説明

洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】ブラシ片の交換作業が容易となると共に、製造コストを低減できる洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供する。
【解決手段】回転軸の外周には90°間隔で4箇所にブラシ片3aの基材33aが穴部8にて固定されている。また、ブラシ片3aは基材33aと被洗浄面と接触する洗浄体33bとに分かれていて、ホック、ボタン、リベット、テープ生地一体型ボタン等各種留め具、面ファスナー等の固定手段5によって着脱可能に固定されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンスタンド等に設置される洗車機と、この洗車機に使用される洗車機用洗浄ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片の車体に接触する部分を不織布片で構成し、車体に接触しない部分を発泡合成樹脂片で構成して、この発泡合成樹脂片を洗車機の回転軸にリベットで固定し、発泡合成樹脂片と不織布片との間は縫製により接合したものが知られている(特許文献1)。また、洗車機用洗浄ブラシは、所定の使用回数を超えると磨耗したブラシ片を回転軸から取り外して交換できるものもあり、ブラシ片を回転軸から着脱可能にするためにファスナーを使用したものが知られている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−62484号公報
【特許文献2】特開2001−301586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1に記載された技術では、ブラシ片の磨耗時にリベットを取り外してブラシ片全体を交換しなければならず、交換作業に時間がかかると共に発泡合成樹脂片が無駄になっていた。また、特許文献2に記載された技術では、一種類の材質でブラシ片を構成している為、車体に接触しない部分が無駄となると共に、高価なファスナーを使用している為、製造コストが高くなるものであった。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、ブラシ片の交換作業が容易となると共に、製造コストを低減できる洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、回転軸の外周に複数のブラシ片を装着した洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、回転軸に固定されてある基材と、被洗浄面と接触する洗浄体とに分割され、基材に洗浄体が着脱可能な固定手段によって装着されてあることに特徴を有する。したがって、ブラシ片が磨耗した場合に、洗浄体のみを交換すれば済むので、経済的であり、着脱可能な固定手段であることから短時間で交換作業を行うことができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ブラシ片は、長手方向に折り合わされた波形断面を成すと共に、両端の洗浄体が重なり合うように折り合わされてあることに特徴を有する。したがって、ブラシ片の製作を容易にすると共に、ブラシ片の毛腰を強くすることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、ブラシ片は、基材と洗浄体との着脱部において、基材及び洗浄体が長手方向に折り合わされた波形断面を成しており、前記波形断面の両端近傍においては、外方に位置する基材又は洗浄体が固定手段を覆うように形成されてあることに特徴を有する。したがって、洗浄時に固定手段が直接車両に当たって傷が付くことを防ぐことができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、基材と洗浄体との着脱部において、少なくとも固定手段を覆う別体で構成されたカバーが設けられてあることに特徴を有する。したがって、別体で構成されたカバーによって、洗浄時に固定手段が直接車両に当たって傷が付くことを防ぐことができる。
【0010】
請求項5の発明は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤と、水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段とを備えると共に、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機に特徴を有する。したがって、ブラシ片の交換が容易であると共に、基材と洗浄体とを固定する固定手段によって、車両に傷が付くことがない洗車機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、ブラシ片の交換作業を容易に行うことができ、請求項2の発明では、ブラシ片の製作が容易に行えると共に、ブラシ片の毛腰を強くすることができる。また、請求項3及び4の発明では、固定手段が車両に当たって傷が付くのを防ぐことができる。
【0012】
請求項5の発明は、洗車機用洗浄ブラシを洗車機にて装着した状態のままブラシ片の交換作業ができる為、ブラシ片の交換作業が容易で、固定手段が車両に当たって傷が付くことがない洗車機となり、製造コストを低減することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態の洗車機用洗浄ブラシ1の断面図である。この図に示すように、回転軸2の外周には90°間隔で4箇所にブラシ片3の基材3aがリベット10によって固定されている。また、ブラシ片3は基材3aと被洗浄面と接触する洗浄体3bとに分かれていて、ホック、ボタン、リベット、テープ生地一体型ボタン等各種留め具、面ファスナー等の固定手段5によって着脱可能に固定されている。ホック、ボタンは、基材3a或いは洗浄体3bが縫製可能な布帛等の場合には、縫い付ける作業のみで固定手段が形成できる。また、面ファスナーは、熱圧着等にて容易に固定手段が形成できる。
【0014】
ここで、洗浄体3bの材質として、不織布、織布、編物などの布帛、合成樹脂発泡体、人工皮革、合成皮革、フィルム状樹脂組成物、熱可塑性エラストマー、合成樹脂と合成ゴムの混合物及び該混合物の発泡体が使用できる。また、基材3a材質としては、洗浄体3bの材質に加えて、フィルム状樹脂シート、合成樹脂シート、エラストマーシート、合成ゴムシートが使用できる。
【0015】
合成樹脂の材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0016】
また、合成樹脂発泡体としては、例えばエチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂を発泡させたものが好適に用いられる。
【0017】
合成ゴムの材質としては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリエーテルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等を挙げることができる。
【0018】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等が採用される。
【0019】
図2は、本発明の第2実施形態のブラシ片3aを示す斜視図である。このブラシ片3aは基材33aと洗浄体33bとを長手方向に沿って折られて谷7、7が形成されたものであり、固定手段5によって着脱可能に固定している。このように折られることによって、毛腰をさらに強くすることができるのである。尚、この図では2回折られているが、1回以上折られたものであれば、本発明の請求項2以下に含まれるものである。また、第2実施形態では洗浄体33bが基材33aの外側にくるようになっているが、この逆であってもよい。さらに、洗浄体33b又は、基材33aの固定手段5が位置する部分に切り込みを入れて、途中から内側と外側とが逆転するように構成してもよい。要するに、固定手段5が外側に露出しないように洗浄体33b又は、基材33aが固定手段5を覆う構成となっていればよいものである。
【0020】
そして、ブラシ片3aは穴部8にピンを差込み、上述した回転軸2に固定し、穴部8が谷となるようにU字型に折り曲げて図3(a)に示す状態で使用するものである。ここで、固定手段5、5aは、図3(b)の平面図に示すように、8箇所に設置してもよい、また、図3(c)の断面図に示すように、基材33a及び洗浄体33bの幅方向の両端部のみに固定手段5を設置してもよい。
【0021】
固定手段5は、ボタンを縫製にて洗浄体33bに縫い付けてあるが、縫い付けることが可能であるならば、いかなる固定手段5も採用できる。
【0022】
図4は、固定手段5をカバー4で覆った状態を示す説明図である。上述したように、固定手段5が洗浄体33b又は、基材33aによって覆われるようにしてもよいが、別体のカバー4で外側から覆い縫製することによって、接合部9を形成する構成としてもよい。このカバー4は図4では固定手段5の近傍を覆っているだけであるが、延長して基材33a全体を覆うようにしてもよい。
【0023】
また、固定手段5は、縫製以外にも溶着、接着等、適時、採用できる。
【0024】
次に、図5は本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図である。洗車機67は、図5のように、本発明の洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されており、この洗車機用洗浄ブラシ66は駆動源68より回転される。ノズル69からは、被洗浄面に対して洗浄剤及び水が散布され、洗車機用洗浄ブラシ66により、洗浄され、洗浄後は洗車機67の乾燥手段である乾燥機90により被洗浄面が乾燥される。
【0025】
洗車機67は、被洗浄面に傷を付けること無く、高い洗浄性を有すると共に、洗浄時の接触音を極力低減、或いは抑制でき、腰の強いブラシ片を有する洗車機用洗浄ブラシ66が搭載されているので、被洗浄面に対して傷を付着させること無く、毛腰を強く当接させることができる。その為、洗車機67は、洗車機用洗浄ブラシ66を低速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、被洗浄面に傷が付着すること無く、且つ洗浄残りの無い高い洗浄性が付与される。また、洗車機用洗浄ブラシ66の回転を、低速回転から高速回転等に急変させた場合においても、前記と同様の作用が洗車機67に付与される。その為、被洗浄面である車体に傷を付けることが無いと共に、洗浄時の接触音を極力低減、或いは抑制できる非常に高い洗浄性が発揮できる洗車機67を提供することができる。また、洗車機用洗浄ブラシ66は、洗浄体のみを交換できる為、洗車機用洗浄ブラシ66を洗車機67に装着した状態のまま、交換作業ができる。その為、交換作業を少人数にて短時間にできると共に、洗車機用洗浄ブラシ66の交換に要する時間を大幅に短縮でき、洗車機67の非稼動時間を短縮できる。
【0026】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機は主に、自動車或いは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機、及び洗車機に搭載される洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態の洗車機用洗浄ブラシの断面図
【図2】本発明の第2実施形態のブラシ片を示す斜視図
【図3】同ブラシ片をU字型に折り曲げた状態の斜視図、平面図及び断面図
【図4】固定手段をカバーで覆った状態を示す説明図
【図5】本発明の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機の正面図
【符号の説明】
【0029】
1、66 洗車機用洗浄ブラシ
2 回転軸
3 ブラシ片
3a、33a 基材
3b、33b 洗浄体
4 カバー
5 固定手段
7 谷
8 穴部
10 リベット
67 洗車機
68 駆動源
69 ノズル
90 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の外周に複数のブラシ片を装着した洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、回転軸に固定されてある基材と、被洗浄面と接触する洗浄体とに分割され、基材に洗浄体が着脱可能な固定手段によって装着されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項2】
ブラシ片は、長手方向に折り合わされた波形断面を成すと共に、両端の洗浄体が重なり合うように折り合わされてあることを特徴とする請求項1に記載の洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項3】
ブラシ片は、基材と洗浄体との着脱部において、基材及び洗浄体が長手方向に折り合わされた波形断面を成しており、前記波形断面の両端近傍においては、外方に位置する基材又は洗浄体が固定手段を覆うように形成されてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項4】
基材と洗浄体との着脱部において、少なくとも固定手段を覆う別体で構成されたカバーが設けられてあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項5】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤と、水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段とを備えると共に、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−149988(P2008−149988A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342476(P2006−342476)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】