洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機
【課題】ブラシ片が長期間に亘り、洗浄水等の液体により張り付き、一体化して互着することが無く、洗浄残りの発生が無い高い洗浄性能を有すると共に、凍結が防止される洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ１において、前記洗車機用洗浄ブラシ１は、ブラシ部２及び軸体３を有し、前記ブラシ部２は前記軸体３の外周部に形成されてあると共に、少なくとも一面に一箇所以上の凹部５及び／又は凸部６が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体からなるブラシ片４を有するものである。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ１において、前記洗車機用洗浄ブラシ１は、ブラシ部２及び軸体３を有し、前記ブラシ部２は前記軸体３の外周部に形成されてあると共に、少なくとも一面に一箇所以上の凹部５及び／又は凸部６が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体からなるブラシ片４を有するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片、そのブラシ片を軸体に装着した洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、無数の独立気泡を有する合成樹脂発泡体よりなるブロックをスライスして形成した複数のシート状洗浄体の基端部が回転体の外周にその回転軸線に略沿うように取付けられていて、その各洗浄体の自由端側が該回転体の略放射方向に延びており、前記各洗浄体の自由端部には、それを複数のスリットにより細分化して、互いに平行に並ぶ横断面方形状の複数のブラシ毛が形成されており、その各ブラシ毛の、前記ブロックのスライス面で形成される平坦な側面が、該各ブラシ毛の先端側から見て前記回転体の回転軸線に対し傾斜するように、前記各洗浄体基端部の前記回転体に対する取付位置が設定されていることを特徴とする洗車機（特許文献１）がある。
【０００３】
特許文献１の洗車機においては、シート状洗浄体の表面は、無数の独立気泡からなる小さな凹凸が無数に存在するものの、前記凹凸は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成されるものであり、外径は一般的に３０〜１５０μｍ程度の微細なものであることから、シート状洗浄体の表面は粗面というよりも、平滑面に近いものである。従って、シート状洗浄体の自由端部に、複数のスリットにより細分化され形成されたブラシ毛は、洗車中に洗浄ブラシが回転すると、隣り合うブラシ毛が互いの平滑面に乗り合うと共に、重なり合ったブラシ毛は、洗浄水等の液体と接触すると、無数の独立気泡の凹部に保水された洗浄水等、あるいは平滑なブラシ毛の表面に付着した洗浄水等により、表面張力が低下して、ブラシ毛同士が容易に張り付き、一旦、互着したブラシ毛は、洗浄ブラシの回転によるブラシ毛の被洗浄面への衝撃力のみでは、互いに離れて、ばらけたものとすることはできなかった。その為、互着した複数本のブラシ毛が一体化することから、洗浄ブラシは、互着したブラシ毛の間に隙間部が生じる。前記隙間部は、シート状洗浄体において、ブラシ毛が形成されていない部分であると同時に、ブラシ毛が被洗浄面に当接しない部分でもある。従って、隣り合うブラシ毛が互着して生じた隙間部においては、ブラシ毛が被洗浄面に当接しないので、被洗浄面には洗浄残りが発生して、洗浄ブラシは洗浄性能が劣るという問題があった。
【０００４】
また、隣り合うブラシ毛は、洗浄水等により互いに張り付き、互着して一体化する為、冬季、特に寒冷地においてブラシ毛が凍り付き、凍結して一体化したブラシ毛が被洗浄面にたいして洗車傷を付着させるという問題も有していた。
【０００５】
図１１を用いて、従来の洗車機に搭載された洗浄ブラシを構成するシート状洗浄体の動作、作用について詳説する。
【０００６】
図１１（ａ）は、従来例におけるシート状洗浄体の平面図、図１１（ｂ）は、重なり合った状態のブラシ毛の部分側面図、図１１（ｃ）、及び図１１（ｄ）は、従来例におけるシート状洗浄体の汚れの除去を示す部分拡大平面図である。
【０００７】
図１１（ａ）において、シート状洗浄体７２は、エチレンエチルアクリレート等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を発泡させた平板状の合成樹脂発泡体からなり、自由端部にはスリット７３により細分割された複数のブラシ毛７４が形成されてあると共に、スリット７３の基端部側にはスリット７３の裂けを防止する目的で、円孔７５が設けられている。シート状洗浄体７２は、回転体（図示せず）の外周に基端部が取り付けられて洗浄ブラシとして構成され、洗車機（図示せず）に前記洗浄ブラシが搭載され、洗浄ブラシが回転してシート状洗浄体７２の自由端部が車体に当接し、車体の表面を洗浄する。シート状洗浄体７２の表面は、無数の独立気泡からなる小さな凹凸が無数に存在するものの、前記凹凸は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成されるものであり、シート状洗浄体７２の表面は、平滑面に近いものである。
【０００８】
洗浄ブラシが回転駆動する際、洗車機のノズルからは、車体に付着した汚れの表面張力を低下させ、汚れを除去しやすくする目的で、洗浄水等の液体が散布される。シート状洗浄体７２は、洗浄ブラシの回転に伴い、自由端部に形成された複数のブラシ毛７４が車体に当接するが、隣り合うブラシ毛７４は、図１１（ｂ）に示すように互いの平滑面に乗り合いながら、車体に当接する。また、洗車機のノズルから散布された洗浄水等の液体は、シート状洗浄体７２とも接触し、互着したブラシ毛７４の表面張力も低下させる。一旦、液体により互着して一体化したブラシ毛７４は、洗浄ブラシの回転によるブラシ毛７４の車体への衝撃力のみでは、互いに離れて、ばらけたものとすることはできず、強固に互着しながら車体に当接する。
【０００９】
図１１（ｃ）において、シート状洗浄体７２は、汚れ７８の付着した車体７７に当接し、図示しない回転体の回転に伴って、矢印Ｃの方向に直進して移動する。基端部側に円孔７５を有して形成されたスリット７３により細分割された複数のブラシ毛７４は、互いの平滑面に乗り合うと共に、洗浄水等の液体により強固に互着して一体化している。互着して一体化したブラシ毛７４の間には、必然的に隙間部７６が形成される。前記の如くに構成されたシート状洗浄体７２が、汚れ７８が付着した車体７７の表面を矢印Ｃの方向に直進して移動すると、図１１（ｄ）の如く、互着したブラシ毛７４が車体７７と当接した跡は、車体７７の表面に付着した汚れ７８を取り除き、汚れ７８が除去された洗浄面７９が露出する。しかしながら、隙間部７６は車体７７と接触しないので、汚れ７８が筋状の洗浄残り７８ａとなって車体７７の表面に残り、車体７７に付着した汚れ７８を均一に除去できないことから、洗浄ブラシの洗浄性能が劣ることになる。
【００１０】
また、図１１（ｂ）の如く、隣り合うブラシ毛７４は、洗浄水等の液体により互いに張り付き、互着して一体化する為、冬季、特に寒冷地においてブラシ毛７４が凍り付き、凍結して一体化したブラシ毛７４が車体７７に当接すると、車体７７にたいして洗車傷を付着させる。
【００１１】
上記問題を解決する為に、例えば、一側がフリンジ成形スリットで多数のフリンジ片に細分され、さらにこのフリンジ片の先端部が、先端分割スリットで複数の先端片に分割された合成樹脂発泡体製の自動洗車ブラシ用洗浄シートにおいて、先端分割スリットの内端部付近に窪み状の押し潰し痕である末端凹部が形成されていると共に、先端片の先端分割スリット側の側縁部に窪み状の押し潰し痕である中間凹部が形成されていることを特徴とする自動洗車ブラシ用洗浄シート（特許文献２）が考案されている。
【００１２】
【特許文献１】特開２００２−３１６６２２号公報
【特許文献２】実用新案登録第３０８９７６０号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
特許文献２の自動洗車ブラシ用洗浄シートは、複数の窪み状の押し潰し痕が先端分割スリットの内端部近傍、及び側縁部に形成されているので、押し潰し痕の残留歪みによる効果が発揮され、隣り合う先端片をＶ字形に開かせ、互いに離れて、ばらけたものとすることは可能である。しかしながら、先端片の表面は、平板状の平滑面として形成されている為、隣接し、相前後する概Ｖ字状の先端片が積層するように互いに重なり合った場合、洗浄水等により互いに張り付いてしまい、複数本の概Ｖ字形状の先端片が一体化し、被洗浄面に付着している汚れの掻き取り性能が劣り、洗浄性能が劣化するという課題を有していた。
【００１４】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ブラシ片が長期間に亘り、洗浄水等の液体により張り付き、一体化して互着することが無く、洗浄残りの発生が無い高い洗浄性能を有すると共に、凍結が防止される洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
前記従来の課題を解決する為に、請求項１の発明の洗車機用洗浄ブラシは、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ部及び軸体を有し、前記ブラシ部は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、少なくとも一面に一箇所以上の凹部及び／又は凸部が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体からなるブラシ片を有するもので、ブラシ片は、長尺形状にて形成されている為、被洗浄面の細かな凹凸部分、あるいは曲面部分にも当接し、汚れを除去する。また、隣り合うブラシ片、あるいは隣接して相前後するブラシ片が、洗車中に仮に重なり合っても、ブラシ片の一面には凹部及び／又は凸部が形成されている為、平滑面からなるブラシ片が重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、密着し難い。従って、重なり合ったブラシ片は、ブラシ片の被洗浄面への接触時の衝撃力のみにて、再び容易に離れ、互いにばらけることが可能であり、長期間に亘り、洗浄水等の液体によるブラシ片の張り付き、すなわち互着が防止される。その為、ブラシ片は一体化して互着しながら被洗浄面に当接することが無く、被洗浄面に均一に当接するので、洗浄残りの発生が抑制され、洗車機用洗浄ブラシは高い洗浄性能を有する。
【００１６】
また、隣り合うブラシ片は洗浄水等の液体により張り付き、互着して一体化することが無いので、ブラシ片の凍結防止性能が具備される。
【００１７】
なお、本発明のブラシ片に形成されてある凹部及び／又は凸部は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成される気泡による凹凸のことではなく、合成樹脂発泡体の製造後、前記合成樹脂発泡体にたいして、例えば、エンボスロール等を用いて、熱加圧等の加圧を施すことにより形成される凹部、あるいは凸部のことである。
【００１８】
請求項２の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ片は少なくとも一面の全域に亘り、凹部及び／又は凸部が形成されてあるもので、ブラシ片が被洗浄面に当接すると、ブラシ片の一面の全域に亘り形成されている凹部及び／又は凸部の有する角部により、被洗浄面に強固に付着している汚れが掻き出される。その為、洗浄性能が大幅に向上する。
【００１９】
請求項３の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１から２の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部は複数本のブラシ片が接合あるいは集束されてあるもので、ブラシ片を、予め接合、あるいは集束しておくことで、洗車機用洗浄ブラシを製作する際の作業性が向上する。その為、洗車機用洗浄ブラシの生産コストの低減につながる。
【００２０】
請求項４の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１から３の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が軸体の軸心の垂線にたいして、前記軸心の長手方向に傾斜角度を有して形成されてあるもので、ブラシ片は、軸体の軸心の垂線にたいして、ブラシ部が略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合うブラシ片が重なり合っても、被洗浄面にたいして斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残りの発生が、一層、確実に防止される。その為、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【００２１】
請求項５の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１から４の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が芯線及び帯状体に挟み付けられ、折り合わされて形成されたチャンネルブラシにて形成されてあるもので、洗車機用洗浄ブラシを製作する際、連続的にチャンネルブラシを形成し、軸体の外周部にチャンネルブラシを固定すればよい。その為、洗車機用洗浄ブラシを製作する際の作業性が大幅に向上し、生産コストの一層の低減につながる。
【００２２】
請求項６の発明の洗車機は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項１から５のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載したもので、ブラシ片が互着することが無く、優れた洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシを低速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの発生が防止され、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片の凍結が防止される為、洗車機用洗浄ブラシを高速回転した場合においても、被洗浄面に傷を付着させることが無い。
【発明の効果】
【００２３】
請求項１の発明の洗車機用洗浄ブラシは、洗浄水等の液体によるブラシ片の互着が防止され、洗浄残りの無い高い洗浄性能を有すると共に、優れた凍結防止性能を発揮することができる。
【００２４】
請求項２の発明の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片の一面の全域に亘り形成されている凹部及び／又は凸部の有する角部により、被洗浄面に強固に付着している汚れを掻き出すことができるので、洗浄性能が大幅に向上する。
【００２５】
請求項３の発明の洗車機用洗浄ブラシは、生産コストを抑え、安価にて提供することができる。また、ブラシ部は、ブラシ片が接合されているので、ブラシ片の毛腰を強化でき、高い洗浄能力を発揮できる。
【００２６】
請求項４の発明の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片は、軸体の軸心の垂線にたいして、ブラシ部が略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合うブラシ片が重なり合っても、被洗浄面にたいして斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残りの発生が、一層、確実に防止され、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【００２７】
請求項５の発明の洗車機用洗浄ブラシは、生産コストの一層の低減につながり、大幅なコスト削減を図ることができる。また、ブラシ片は芯線、及び帯状体に挟み付けられて形成されてある為、ブラシ片が位置ずれ、あるいは脱落等することが無く、迅速に洗車機用洗浄ブラシを製作することができる。
【００２８】
請求項６の発明の洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシを低速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの発生が防止され、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片は優れた凍結防止性能を有することから、洗車機用洗浄ブラシを高速回転した場合においても、被洗浄面に傷を付着させることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【００３０】
（実施例１）
図１（ａ）は、本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、図１（ｂ）は、図１（ａ）の断面図、図２（ａ）は、合成樹脂発泡体を前面側から見た斜視図、図２（ｂ）は、ブラシ片の平面図、図２（ｃ）は、ブラシ部の平面図、図３（ａ）は、本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図、図３（ｂ）は、ブラシ片が重なり合った状態のブラシ部の部分側面図、図４（ａ）は、他の実施の形態におけるブラシ片の平面図、図４（ｂ）は、図４（ａ）のブラシ片を前面側から見た斜視図、図４（ｃ）は、図４（ｂ）の側面図である。
【００３１】
図１（ａ）、及び図１（ｂ）において、洗車機用洗浄ブラシ１は、複数本のブラシ片４を有するブラシ部２が、アルミニウム、鉄等の金属材料、あるいは塩化ビニル、ポリアセタール等の合成樹脂材料からなる略円筒形状の軸体３の外周等分４箇所に設けられた溝部７に、概Ｖ字断面を有するよう配置されている。折り合わされて概Ｖ字断面を有するよう形成されたブラシ部２の谷部には、アルミニウム、鉄等の金属材料からなり概四角形断面を有する長尺形状の固定板８が配置され、固定板８の両端部をネジ９にて軸体３に固定して洗車機用洗浄ブラシ１は形成される。なお、軸体３の外周部に設けられた溝部７は、等分４箇所以外にも、６箇所、８箇所、１２箇所等、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【００３２】
ブラシ部２を構成する複数本のブラシ片４は、一面に凹部５、及び凸部６が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体であり、凹部５、及び凸部６が、折り合わされて概Ｖ字断面を有するよう形成されたブラシ部２の外方に位置するよう洗車機用洗浄ブラシ１の軸体３の外周部に装着されている。複数本のブラシ片４は、折り合わされて概Ｖ字断面を有するよう形成されたブラシ部２の谷部が、縫製による接合部１１を介して接合材１０により接合され、形成されている。
【００３３】
次に、図１、及び図２を用いて、洗車機用洗浄ブラシ１の製作方法について説明する。
【００３４】
最初に、図２（ａ）の如く、片面の全域に亘り、凹部５、及び凸部６が形成された平板状の合成樹脂発泡体１２を用意する。次に、トムソン型、レーザーカッター等の切断刃を用いて、前記合成樹脂発泡体１２より、所望の幅からなる長尺形状のブラシ片４を抜き取る。次に、図２（ｃ）に示すように、接合材１０の上に、複数本のブラシ片４を、互いの側縁部が接するように並べ、ブラシ片４の長手方向の略中央部が接合材１０の上に位置するよう配置する。接合材１０の上には、凹部５、及び凸部６が形成されていないブラシ片４の面を配置する。次いで、凹部５、及び凸部６が形成された面のブラシ片４の長手方向の略中央部に、他の接合材１０を重ね合わせ、縫製糸が複数本のブラシ片４を横断するよう縫製による接合部１１を介して、接合材１０と、接合材１０の間に重ね合わされたブラシ片４が接合され、ブラシ部２が形成される。
【００３５】
接合材１０には、平板状の織布、不織布、編物等の布帛、人工皮革、合成皮革、人造皮革等の擬革、合成樹脂シート、フィルム状樹脂組成物シート等が採用される。また、接合部１１の形成方法は、上記縫製以外にも、ネジ止め、接着、溶着等の方法を用いることができる。
【００３６】
ブラシ部２の形成方法は、上記接合以外にも、複数本の長尺形状のブラシ片４を束ねて、接合材１０と接合部１１を介して、集束して形成した形態も採用できる。ブラシ部２を、予め、接合、あるいは集束して形成しておくことにより、洗車機用洗浄ブラシ１を製作する際の作業性が向上し、洗車機用洗浄ブラシ１の生産コストの低減につながる。また、ブラシ部２は、接合材１０、及び接合部１１を有するので、ブラシ片４の毛腰を強化することができ、高い洗浄能力を発揮できる。
【００３７】
そして、上記の如く形成されたブラシ部２の凹部５、及び凸部６が形成されていない面の接合材１０の上に、固定板８を重ね合わせると共に、ブラシ部２の凹部５、及び凸部６が形成された面が外方に位置するように折り合わせ、図１（ａ）の如く、軸体３の外周等分４箇所に設けられた溝部７に固定板８が重ね合わされたブラシ部２を装着し、固定板８の両端部を、ネジ９にて軸体３に固定して、洗車機用洗浄ブラシ１が製作される。
【００３８】
次に、合成樹脂発泡体１２の製造方法について詳述する。
【００３９】
最初に、直方体の型に、ペレット状、あるいは粉末状の合成樹脂を挿入すると共に、発泡剤、架橋剤等の添加剤を混入して、加熱することにより、合成樹脂を発泡させると共に、合成樹脂の分子間に共有架橋構造を形成する。合成樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された発泡体は、一般的には架橋発泡体と呼ばれ、分子間に橋架け構造が形成されているので、優れた弾力性を有している。次に、得られた立方形状の発泡体を所望の厚みにスライスして、平板状の合成樹脂発泡体１２を形成する。
【００４０】
次いで、合成樹脂発泡体１２の一方の表面にたいして、エンボスロール等を用いて、加圧、あるいは熱加圧することにより、凹部５と凸部６を形成する。本実施例では、合成樹脂発泡体１２の片面のみに、凹部５と凸部６が形成されてあるが、合成樹脂発泡体１２の両面に凹部５と凸部６が形成されてある形態を採用してもよい。なお、凹部５、凸部６の形状は、特に限定されるものではなく、本実施例の如く、凸部６の横断面形状が略四角形に形成されている形態以外にも、隣り合う長尺形状のブラシ片４が洗浄水等の液体による張り付き、すなわち互着することが防止されるのであれば、概丸形、三角形、五角形、菱形、卍形等でも構わない。さらに、凹部５の深さ、あるいは凸部６の高さについても、ブラシ片４の洗浄水等による張り付きと、洗い残しの発生が防止されるのであれば、特に限定されるものではないが、例えば、凸部６の高さは、０．１ｍｍ以上で、使用される合成樹脂発泡体１２の厚みの１／２程度以内にて設定されると、ブラシ片４の洗浄水等による張り付きが抑制されると共に、ブラシ片４が被洗浄面にたいして密着しやすく、洗い残しの発生が防止されるので好ましい。また、エンボスロール等以外にも、例えば、研磨紙、研磨布等を、合成樹脂発泡体１２の表面に擦り付け、細かい凹部５と凸部６を形成することもできる。さらに、プロファイル加工、溝切り加工等にて、合成樹脂発泡体１２の表面に凹部５、凸部６を形成してもよい。
【００４１】
合成樹脂発泡体１２の厚みは、１〜５ｍｍ程度、ブラシ片４の幅は、１〜１０ｍｍ程度に設定される。合成樹脂発泡体１２の厚みが１ｍｍ未満の場合、ブラシ片４は摩耗により擦り切れ等が発生しやすく耐久性が劣り、５ｍｍを超える場合、洗浄音が増大する。また、ブラシ片４の幅が１ｍｍ未満の場合、ブラシ片４が切れやすく、耐久性が劣り、１０ｍｍを超える場合、ブラシ片４は被洗浄面の細かな凹凸部分に付着している汚れを除去しにくく、洗浄性能が劣ることになる。
【００４２】
合成樹脂発泡体１２の発泡倍率は、柔軟性を有し、ブラシ片４に毛腰を付与すると共に、被洗浄面に傷を付着させないという観点から、２倍から１５倍にて調整されるのが好ましい。発泡倍率が２倍未満の場合には、硬すぎて柔軟性が損なわれると共に、被洗浄面に傷を付着させやすくなり、１５倍を超える場合には、柔らかすぎてブラシ片４に毛腰を付与することが難しく、洗浄性能が劣ることになる。より優れた柔軟性と毛腰を兼ね備える為には、発泡倍率は５倍から１２倍にて調整されるのが望ましい。
【００４３】
なお、特に図示しないが、合成樹脂発泡体１２の表面には、無数の微細な独立気泡が形成されており、前記の如くの合成樹脂発泡体１２は、一般的に独立気泡発泡体と呼ばれている。独立気泡とは、気泡の壁面が完全に囲まれている気泡のことである。従って、隣接する気泡間は気泡の壁面によって仕切られて個々に独立して存在する為、気泡内には洗浄水等の液体は流通しない。その為、ブラシ片４は、洗車中に合成樹脂発泡体１２の表面の独立気泡に一時的に洗浄水を貯水するのみで、洗車機用洗浄ブラシ１は、ブラシ片４の含水量を極力抑えることができるので、回転駆動源にたいする負荷が軽減され、洗車機用洗浄ブラシ１は、長期間に亘り、安定した回転を維持することができる。
【００４４】
合成樹脂発泡体１２を製造する際に用いられる合成樹脂としては、エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。なお、ポリオレフィン系樹脂以外にも、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いてもよい。前記合成樹脂は、単独使用、あるいは併用される。
【００４５】
また、合成樹脂発泡体１２を製造する際に用いられる発泡剤としては、従来から合成樹脂発泡体１２の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、４，４−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の熱分解型発泡剤が好適に用いられ、前記発泡剤は単独で用いられても併用されても構わない。
【００４６】
また、合成樹脂発泡体１２を製造する際に用いられる架橋剤としては、従来から合成樹脂発泡体１２に弾力性を付与する目的で製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイド、２，５−ジメチル−２，５−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、１，３−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物が好適に用いられ、前記架橋剤は単独で用いられても併用されても差し支えない。
【００４７】
次に、上記の如く構成された洗車機用洗浄ブラシ１の動作、作用について、図３を用いて説明する。
【００４８】
図３（ａ）において、洗車機用洗浄ブラシ１は、図１０の如くの洗車機６０に搭載されてあり、駆動源６２により矢印Ａの方向に回転する。ブラシ部２は、一面の全域に亘り凹部５、及び凸部６が形成された長尺形状のブラシ片４が軸体３の外周部に固定板８にて装着されている。洗車機用洗浄ブラシ１が矢印Ａの方向に回転すると、ブラシ片４は、凹部５、及び凸部６が形成された面が、汚れ１８の付着した被洗浄面である車体１７に摺接する。ブラシ片４が車体１７に当接すると、ブラシ片４の一面の全域に亘り形成されている凹部５、及び凸部６の有する角部１３により、車体１７の表面に強固に付着している汚れ１８が掻き出される。その為、ブラシ片４の表面に凹部５、及び凸部６が形成されていないブラシ片が用いられる場合に比べて、洗浄性能が大幅に向上する。なお、車体１７に付着した汚れ１８は、砂や埃等を主体とする砂塵、及び排気ガスや雨水等に含まれる不純物が黒ずんだ水垢等の混合物である。
【００４９】
また、図３（ｂ）の如く、ブラシ部２は、仮に、隣り合うブラシ片４が重なり合った場合においても、ブラシ片４の平滑面側は、ブラシ片４の凸部６に乗り上げると共に、ブラシ片４の平滑面と、ブラシ片４の凹部５の間には空間が生じ、前記空間には空気が流入する。その為、隣り合うブラシ片４は、平滑面からなるブラシ片同志が重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、また、空気の抵抗により、重なり合っても迅速、且つ容易に離れることができるので、長期間に亘り、隣り合うブラシ片４は、互いにばらけて、洗浄水等の液体により張り付いて一体化すること、すなわち互着を防ぐことが可能である。その為、ブラシ片４は、図１０に示す洗車機６０のノズル６３から洗浄水等の液体が噴霧されても、一体化して互着しながら車体１７に当接することが無く、車体１７に均一に当接するので、図１１（ｄ）の如くの筋状の洗浄残り７８ａの発生が抑制され、洗車機用洗浄ブラシ１は高い洗浄性能を有する。なお、凹部５、及び凸部６が形成された一面が裏面となり、凹部５、及び凸部６が形成されていない一面が車体１７に当接するように、ブラシ片４を有するブラシ部２を、軸体３の外周部に形成しても、ブラシ片４の互着を防止することができるのは言うまでもない。
【００５０】
さらに、隣り合うブラシ片４は洗浄水等の液体により張り付き、互着して一体化することが無いので、ブラシ片４の凍結防止性能が具備される。
【００５１】
次に、本発明の洗車機用洗浄ブラシ１の洗浄性能について試験した。下記に示した要領で測定し、その結果を表１に示した。
【００５２】
実施例として、厚みが２．５ｍｍで、片面の全域に亘り凹部５、及び凸部６が形成された発泡倍率が８倍の超低密度ポリエチレンからなる合成樹脂発泡体１２より、幅が５ｍｍ、長さが２２６ｍｍの長尺形状のブラシ片４を、３８本切り出した。次に、ブラシ片４の側縁部が接するように並列させると共に、ブラシ片４の長手方向の略中央部に幅が１７ｍｍ、長さが１９０ｍｍ、厚みが０．４５ｍｍの不織布からなる接合材１０を重ね合わせ、縫製による接合部１１を介して、３８本のブラシ片４を接合して、ブラシ部２を形成した。前記の如くのブラシ部２を、４片製作した。次に、厚みが１７ｍｍ、幅が１７ｍｍ、長さが２２０ｍｍの鉄製の固定板８をブラシ部２の有する接合材１０に重ね合わせ、凹部５、及び凸部６が外方となるように折り合わせ、直径が１１４ｍｍで且つ長さが３６０ｍｍの鉄製の略円筒形状の軸体３の外周等分４箇所に設けられた溝部７に、固定板８が重ね合わされたブラシ部２を装着し、固定板８の両端部をネジ９にて軸体３に固定して、実施例の洗車機用洗浄ブラシ１を１本製作した。
【００５３】
比較例として、凹部５、及び凸部６が形成されていない合成樹脂発泡体から切り取ったブラシ片を用いた以外は、上記実施例の洗車機用洗浄ブラシ１と同一条件の洗車機用洗浄ブラシを１本製作した。
【００５４】
次に、上記の如く構成された実施例の洗車機用洗浄ブラシ１、及び比較例の洗車機用洗浄ブラシを、それぞれ回転試験機に取り付け、２４０ｒｐｍの一定の回転速度で回転させる一方、一面に人工汚れを塗布した白色ソリッド塗装鋼板を用意し、前記回転速度で回転している軸体３の外周部に取り付けられたブラシ部２の先端が描く仮想円上から３０ｍｍだけ軸体３の方向に近接した位置に前記白色ソリッド塗装鋼板を、その汚れ面が軸体３に対向した状態に配設すると共に、６Ｌ毎分の散布量にて洗浄水を吹き付けながら１分間に亘って鋼板の汚れ面にブラシ部２を当接させることによって鋼板の汚れを除去した。
【００５５】
そして、鋼板の汚れ面におけるブラシ部２によって汚れを除去した部分の明度を、日本電色工業株式会社製の色差計ＮＲ−１で測定して、下記基準により、洗浄性能を判断した。
○・・・明度の向上が＋５以上
×・・・明度の向上が＋５未満
【００５６】
また、試験後の隣り合うブラシ片４の洗浄水による張り付き、すなわち互着の有無を目視観察して、下記基準により判断した。
○・・・ブラシ片の互着が無い
×・・・ブラシ片の互着が有る
【００５７】
【表１】
【００５８】
上記試験結果より、実施例の洗車機用洗浄ブラシ１は、一面の全域に亘り、凹部５、及び凸部６が形成されている為、隣り合うブラシ片４の互着の発生が無く、ブラシ片４は鋼板に均一に当接するので、洗浄残りの発生が抑制されると共に、凹部５、及び凸部６が有する角部１３により汚れが掻き出されることから、洗車機用洗浄ブラシ１は優れた洗浄性能を有するものであった。
【００５９】
一方、比較例の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片に凹部５、及び凸部６が形成されていない為、隣り合うブラシ片の互着が認められ、互着したブラシ片の間には隙間部が生じ、ブラシ部の描く洗浄軌跡において、隙間部は鋼板に当接しないので、洗浄残りが発生した。また、ブラシ片に凹部５、及び凸部６が形成されていない為、汚れの掻き出し性能が劣り、比較例の洗車機用洗浄ブラシは、洗浄性能の劣るものであった。
【００６０】
次に、図４を用いて、他の実施の形態におけるブラシ片について説明する。
【００６１】
図４（ａ）、及び図４（ｂ）において、ブラシ片１４は、長尺形状にて形成された合成樹脂発泡体からなり、一面に一箇所の凹部１５が形成されてある。
【００６２】
図４（ｃ）において、ブラシ片１４は、凹部１５を境にして所定の傾斜角度θ１だけ三次元的に屈曲変形して、形成されている。傾斜角度θ１は、ブラシ片１４が軸体３の外周部に装着された場合、隣接するブラシ片１４が洗浄水等により張り付くことが無く、洗浄残りの発生を防ぐという観点から、１°〜４５°程度、さらに好ましくは５°〜３０°程度に設定されるのが望ましい。
【００６３】
ブラシ片１４は、次の手順にて製作される。トムソン型等の切断刃により、平板状の合成樹脂発泡体からブラシ片１４を抜き取る際、トムソン型に、前記切断刃の刃先までの高さより僅かに短い高さの突起を設けておく。そして、トムソン型が上方から合成樹脂発泡体に押し付けられ、長尺形状のブラシ片１４を抜き取る際に、前記突起が合成樹脂発泡体から抜き取られるブラシ片１４に押し付けられることにより、凹部１５が形成される。また、平板状の合成樹脂発泡体から長尺形状のブラシ片１４を切り取った後、突起が設けられた型を押し当てて、凹部１５を形成しても構わない。
【００６４】
また、凹部１５は、鏝等の鉄製の道具や突起を加熱して、熱加圧して形成することもできる。熱加圧する場合には、ブラシ片１４に使用される合成樹脂発泡体の融点よりも低く温度設定される必要がある。ブラシ片１４の材質の融点以上で熱加圧されると、ブラシ片１４が溶融し、ブラシ片１４が切断されることになる。さらに、超音波、レーザー波等が発生する発熱器具を用いて、熱加圧による凹部１５を形成することもできる。
【００６５】
上記の如くのブラシ片１４を用いて、洗車機用洗浄ブラシ１を構成した場合の動作、作用は下記の通りである。
【００６６】
ブラシ片１４は、凹部１５を境にして所定の傾斜角度θ１だけ三次元的に屈曲変形されてある為、隣接するブラシ片１４が長期間に亘り、洗浄水等により張り付くことが無い。その為、隣り合うブラシ片１４が互着して一体化すること無く、被洗浄面に当接するので、洗浄残りの発生が防止されると共に、立体的に形成された長尺形状のブラシ片１４が被洗浄面に付着している汚れを掻き取ることから、洗車機用洗浄ブラシ１は高い洗浄性能を有する。
【００６７】
なお、洗車機用洗浄ブラシ１の形成方法は、特に、限定されるものではなく、本実施例の如く、固定板８を用いて、軸体３の外周部にブラシ部２を固定する形態以外にも、例えば、軸体３の外周部に、ブラシ片４を植え付ける複数の穴部を設け、前記穴部にたいしてブラシ片４をステープルで挟み付け、ブラシ片４を二つ折りにして、穴部の底面にたいして打ち込み、ブラシ片４を軸体３に固定する丸線型ブラシ、あるいは穴部にたいしてブラシ片４を薄い平板で押さえ込み、ブラシ片４を二つ折りにして、穴部の内周面に嵌合するように穴部の底面にたいして前記平板を打ち込み、ブラシ片４を軸体３に固定する平線型ブラシ、あるいは穴部にたいしてブラシ片４をナイロン等の引き込み線で押さえ込み、ブラシ片４を二つ折りにして、前記引き込み線を軸体３の内周面に這わせて、ブラシ片４を軸体３に固定する引込型ブラシ等の形態も採用できる。なお、前記の如くの穴部は、軸体３の外周部に等分間隔で設けても良いし、千鳥状に設けても良い。穴部の穴径は、ブラシ片４の植毛量に応じて、適宜、設定される。
【００６８】
（実施例２）
図５（ａ）は、本発明の第２の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、図５（ｂ）は、ブラシ部を前面側から見た斜視図、図６（ａ）、及び図６（ｂ）は、第２の実施例におけるブラシ部の汚れの除去を示す部分拡大平面図である。なお、上記第１の実施例と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【００６９】
図５（ａ）において、洗車機用洗浄ブラシ２１は、略円筒形状の軸体２３の外周等分４箇所に設けられた溝部２７に、合成樹脂発泡体からなる複数本の長尺形状のブラシ片２４を接合して形成されたブラシ部２２と、固定板２８が挿入され、固定板２８の両端部をネジ２９にて軸体２３に固定して形成されている。ブラシ部２２は、軸体２３の外周部に設けられた４箇所の溝部２７に、千鳥形状をなすよう挿入されると共に、ブラシ片２４が軸体２３の軸心（Ｃ．Ｌ）の垂線（Ｐ．Ｌ）にたいして、軸心（Ｃ．Ｌ）の長手方向に傾斜角度θ２を有するよう概Ｖ字形状にて形成されている。また、ブラシ片２４の一面の全域には、凹部２５、及び凸部２６が形成されている。
【００７０】
図５（ｂ）において、ブラシ部２２は、複数本の長尺形状のブラシ片２４が、互いの側縁部が接するよう並列され、長手方向の略中央部にて縫製による接合部３１を介して、複数本のブラシ片２４と接合材３０が接合されて形成されてある。また、長手方向の略中央部にて折り合わされたブラシ部２２は、図５（ａ）に示すように、軸体２３の軸心（Ｃ．Ｌ）の垂線（Ｐ．Ｌ）にたいして、軸心（Ｃ．Ｌ）の長手方向に傾斜角度θ２を有するよう概Ｖ字形状にて形成される為、ブラシ部２２の一方の幅Ｗ１は、他方の幅Ｗ２と重なり合わないように折り合わされる。また、ブラシ片２４の一面の全域に形成された凹部２５、及び凸部２６が外方に位置するように折り合わされる。
【００７１】
次に、上記の如く構成された洗車機用洗浄ブラシ２１の動作、作用について、図６を用いて説明する。
【００７２】
洗車機用洗浄ブラシ２１は、図１０の如くの洗車機６０に搭載されてあり、駆動源６２により回転しながら、図６（ａ）の如く、複数本のブラシ片２４が接合されてなるブラシ部２２が矢印Ｂの方向に直進して車体３７に当接する。ブラシ部２２は、傾斜角度θ２を有する長尺形状のブラシ片２４が、車体３７の表面に付着した汚れ３８を除去する。また、ブラシ片２４の車体３７に当接する側の面には、凹部２５、及び凸部２６が形成されている為、洗車機６０のノズル６３から洗浄水等の液体が噴霧されても、隣り合うブラシ片２４は互着して一体化しながら車体３７に当接することが無く、車体３７に均一に当接するので、図１１（ｄ）の如くの筋状の洗浄残り７８ａの発生が抑制される。さらに、ブラシ片２４は、車体３７にたいして、傾斜角度θ２だけ斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、実施例１の如く、ブラシ部２が軸体３の軸心（Ｃ．Ｌ）の垂線（Ｐ．Ｌ）にたいして、軸心（Ｃ．Ｌ）の長手方向に略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合うブラシ片２４が重なり合っても、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残り７８ａの発生が、一層、確実に防止される。その為、図６（ｂ）の如く、ブラシ部２２の描いた洗浄軌跡には、筋状の洗浄残り７８ａの発生が無く、汚れ３８が確実に除去された洗浄面３９が露出するので、洗車機用洗浄ブラシ２１の洗浄性能が飛躍的に向上する。
【００７３】
なお、傾斜角度θ２は、隣り合うブラシ片２４が重なり合っても、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残り７８ａの発生が、一層、確実に防止されるという観点から６０°以上９０°未満にて設定されるのが望ましい。
【００７４】
（実施例３）
図７（ａ）は、本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、図７（ｂ）は、チャンネルブラシの断面図、図８は、本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシを構成する係止具が固定された軸体を前面側から見た斜視図、図９は、チャンネルブラシの製造状態を前面側から見た斜視図である。なお、上記第１、及び第２の実施例と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【００７５】
図７（ａ）、及び図７（ｂ）において、洗車機用洗浄ブラシ４１は、長尺形状のブラシ片４４を芯線５０、及び帯状体５１にて挟み付けると共に、折り合わして形成された長尺形状のチャンネルブラシ４７が、略円筒形状の軸体４３の外周部に螺旋状に巻き付けられ、ブラシ部４２が形成されてあると共に、チャンネルブラシ４７の両端部に係止具４８を覆い被せ、係止具４８の両端部をネジ４９にて軸体４３に固定して形成されている。
【００７６】
チャンネルブラシ４７を構成する芯線５０は、概丸形断面を有する略円柱形状で、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる。また、帯状体５１は、概コ字状断面を有する長尺形状で、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる。ブラシ片４４は、合成樹脂発泡体からなる長尺形状であり、芯線５０、及び帯状体５１にて挟み付けられると共に、一面の全域に亘り形成された凹部４５、及び凸部４６が外方となるよう概Ｖ字断面を有するように折り合わされている。従って、ブラシ片４４は、洗車機用洗浄ブラシ４１の回転に伴い、凹部４５、及び凸部４６が形成された面が被洗浄面に当接する。また、ブラシ片４４は芯線５０、及び帯状体５１に挟み付けられて形成されてある為、ブラシ片４４が位置ずれ、あるいは脱落等することが無く、迅速に洗車機用洗浄ブラシ４１を製作することができる。
【００７７】
次に、図８、及び図９を用いて、洗車機用洗浄ブラシ４１の製造方法について説明する。
【００７８】
最初に、図８の如く、略円筒形状の軸体４３の外周部の両端部近傍に、複数の爪５２を有する係止具４８を、ネジ４９にて固定する。次に、図９の如く、断面が概コ字状の長尺の帯状体５１にたいして、複数本のブラシ片４４の略中央部が、帯状体８の上部になるよう基台１４に設置する。なお、ブラシ片４４は、一面に凹部４５、及び凸部４６が形成された面が帯状体８の上部に位置するよう設置する。次いで、縦ロール５４を使用して、芯線５０にてブラシ片４４を挟み付けると共に、芯線５０を概コ字状の帯状体５１の内部に押し込む。次に、帯状体５１の両側に設置された横ロール５５を使用して、帯状体５１を両側から、かしめる。その結果、図７（ｂ）の如く、外方に凹部４５、及び凸部４６を有するよう構成された長尺形状のブラシ片４４の略中央部が芯線５０、及び帯状体５１に挟み付けられて折り合わされたチャンネルブラシ４７が形成される。
【００７９】
そして、チャンネルブラシ４７の一方の端部に形成されたブラシ片４４は切り取られ、前記チャンネルブラシ４７の端部は、図８に示した一方の係止具４８の両側に形成された爪５２の間に挿入され、爪５２を内側に折り畳むことにより、固定される。次に、軸体４３を回転させながら、１本の長尺形状に形成されたチャンネルブラシ４７を、軸体４３の外周部の周りに捩りを加えて螺旋状に巻き付け、チャンネルブラシ４７の他方の端部に形成されたブラシ片４４を切り取り、軸体４３の外周部に取り付けられた他方の係止具４８に形成された爪５２にて、チャンネルブラシ４７の他方の端部を固定し、洗車機用洗浄ブラシ４１が製造される。
【００８０】
上記の如く構成された洗車機用洗浄ブラシ４１の動作、作用は下記の通りである。
【００８１】
ブラシ部４２は、ブラシ片４４が芯線５０、及び帯状体５１に挟み付けられ、折り合わされて形成されたチャンネルブラシ４７にて、軸体４３の外周部に形成されてあり、チャンネルブラシ４７は係止具４８にて軸体４３に固定されてあることから、洗車機用洗浄ブラシ４１を製作する際、連続的にチャンネルブラシ４７を形成し、軸体４３の外周部に螺旋状に巻き付けて係止具４８にて固定すればよいので、作業性が大幅に向上する。その為、洗車機用洗浄ブラシ４１の生産コストの一層の低減につながる。
【００８２】
また、ブラシ部４２は、チャンネルブラシ４７により傾斜角度を有して軸体４３の外周部に巻き付けられて装着されているので、洗車中における洗車機用洗浄ブラシ４１の保水性が高まり、洗浄性能がより一層向上する。
【００８３】
なお、軸体４３の外周部にブラシ部４２を装着して、洗車機用洗浄ブラシ４１を形成する方法は、上記に示したチャンネルブラシ４７を、軸体４３の外周部に螺旋状に巻き付けて固定する方法以外にも、例えば、複数本の長尺形状のチャンネルブラシ４７を用意し、軸体４３の外周部の等分箇所に、前記チャンネルブラシ４７を配置し、チャンネルブラシ４７の両端部のブラシ片４４を切り取り、チャンネルブラシ４７の両端部に概Ω形状の係止具４８を覆い被せ、前記係止具４８をネジ４９にて固定して洗車機用洗浄ブラシ４１を形成しても構わない。複数本のチャンネルブラシ４７を、軸体４３の外周部に配置する際、長尺形状のチャンネルブラシ４７を軸体４３の長手方向にたいして、直線状に配置してもよいし、チャンネルブラシ４７に捩りを加えて、軸体４３の長手方向に配置してもよい。
【００８４】
（実施例４）
図１０は、本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図である。
【００８５】
図１０において、洗車機６０は、洗車機用洗浄ブラシ６１が搭載されてあり、洗車機用洗浄ブラシ６１は駆動源６２により回転駆動される。ノズル６３からは、被洗浄面にたいして、洗浄剤、及び洗浄水等の液体が散布され、洗車機用洗浄ブラシ６１により、被洗浄面に付着している汚れが除去され、洗浄後は洗車機６０の乾燥手段である乾燥機６４により被洗浄面が乾燥される。なお、洗車機用洗浄ブラシ６１は、上記実施例における洗車機用洗浄ブラシ１、２１、４１のいずれかと同一である。
【００８６】
上記の如く構成された洗車機６０の動作、作用は下記の通りである。
【００８７】
洗車機６０は、ブラシ片４、１４、２４、４４が互着することが無く、優れた洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシ６１が搭載されてある為、駆動源６２により洗車機用洗浄ブラシ６１を低速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの発生が防止され、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片４、１４、２４、４４の凍結が防止される為、洗車機用洗浄ブラシ６１を高速回転した場合においても、被洗浄面に傷を付着させることが無い。
【産業上の利用可能性】
【００８８】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【００８９】
【図１】（ａ）本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、（ｂ）図１（ａ）の断面図
【図２】（ａ）合成樹脂発泡体を前面側から見た斜視図、（ｂ）ブラシ片の平面図、（ｃ）ブラシ部の平面図
【図３】（ａ）本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図、（ｂ）ブラシ片が重なり合った状態のブラシ部の部分側面図
【図４】（ａ）他の実施の形態におけるブラシ片の平面図、（ｂ）図４（ａ）のブラシ片を前面側から見た斜視図、（ｃ）図４（ｂ）の側面図
【図５】（ａ）本発明の第２の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、（ｂ）ブラシ部を前面側から見た斜視図
【図６】（ａ）第２の実施例におけるブラシ部の汚れの除去を示す部分拡大平面図、（ｂ）第２の実施例におけるブラシ部の汚れの除去を示す部分拡大平面図
【図７】（ａ）本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、（ｂ）チャンネルブラシの断面図
【図８】本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシを構成する係止具が固定された軸体を前面側から見た斜視図
【図９】チャンネルブラシの製造状態を前面側から見た斜視図
【図１０】本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図
【図１１】（ａ）従来例におけるシート状洗浄体の平面図、（ｂ）重なり合った状態のブラシ毛の部分側面図、（ｃ）従来例におけるシート状洗浄体の汚れの除去を示す部分拡大平面図、（ｄ）従来例におけるシート状洗浄体の汚れの除去を示す部分拡大平面図
【符号の説明】
【００９０】
１、２１、４１、６１ 洗車機用洗浄ブラシ
２、２２、４２ ブラシ部
３、２３、４３ 軸体
４、１４、２４、４４ ブラシ片
５、１５、２５、４５ 凹部
６、２６、４６ 凸部
７、２７ 溝部
８、２８ 固定板
９、２９、４９ ネジ
１０、３０ 接合材
１１、３１ 接合部
１２ 合成樹脂発泡体
１３ 角部
１７、３７、７７ 車体
１８、３８、７８ 汚れ
３９、７９ 洗浄面
４７ チャンネルブラシ
４８ 係止具
５０ 芯線
５１ 帯状体
５２ 爪
５３ 基台
５４ 縦ロール
５５ 横ロール
６０ 洗車機
６２ 駆動源
６３ ノズル
６４ 乾燥機
７２ シート状洗浄体
７３ スリット
７４ ブラシ毛
７５ 円孔
７６ 隙間部
７８ａ 洗浄残り
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシのブラシ片、そのブラシ片を軸体に装着した洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、無数の独立気泡を有する合成樹脂発泡体よりなるブロックをスライスして形成した複数のシート状洗浄体の基端部が回転体の外周にその回転軸線に略沿うように取付けられていて、その各洗浄体の自由端側が該回転体の略放射方向に延びており、前記各洗浄体の自由端部には、それを複数のスリットにより細分化して、互いに平行に並ぶ横断面方形状の複数のブラシ毛が形成されており、その各ブラシ毛の、前記ブロックのスライス面で形成される平坦な側面が、該各ブラシ毛の先端側から見て前記回転体の回転軸線に対し傾斜するように、前記各洗浄体基端部の前記回転体に対する取付位置が設定されていることを特徴とする洗車機（特許文献１）がある。
【０００３】
特許文献１の洗車機においては、シート状洗浄体の表面は、無数の独立気泡からなる小さな凹凸が無数に存在するものの、前記凹凸は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成されるものであり、外径は一般的に３０〜１５０μｍ程度の微細なものであることから、シート状洗浄体の表面は粗面というよりも、平滑面に近いものである。従って、シート状洗浄体の自由端部に、複数のスリットにより細分化され形成されたブラシ毛は、洗車中に洗浄ブラシが回転すると、隣り合うブラシ毛が互いの平滑面に乗り合うと共に、重なり合ったブラシ毛は、洗浄水等の液体と接触すると、無数の独立気泡の凹部に保水された洗浄水等、あるいは平滑なブラシ毛の表面に付着した洗浄水等により、表面張力が低下して、ブラシ毛同士が容易に張り付き、一旦、互着したブラシ毛は、洗浄ブラシの回転によるブラシ毛の被洗浄面への衝撃力のみでは、互いに離れて、ばらけたものとすることはできなかった。その為、互着した複数本のブラシ毛が一体化することから、洗浄ブラシは、互着したブラシ毛の間に隙間部が生じる。前記隙間部は、シート状洗浄体において、ブラシ毛が形成されていない部分であると同時に、ブラシ毛が被洗浄面に当接しない部分でもある。従って、隣り合うブラシ毛が互着して生じた隙間部においては、ブラシ毛が被洗浄面に当接しないので、被洗浄面には洗浄残りが発生して、洗浄ブラシは洗浄性能が劣るという問題があった。
【０００４】
また、隣り合うブラシ毛は、洗浄水等により互いに張り付き、互着して一体化する為、冬季、特に寒冷地においてブラシ毛が凍り付き、凍結して一体化したブラシ毛が被洗浄面にたいして洗車傷を付着させるという問題も有していた。
【０００５】
図１１を用いて、従来の洗車機に搭載された洗浄ブラシを構成するシート状洗浄体の動作、作用について詳説する。
【０００６】
図１１（ａ）は、従来例におけるシート状洗浄体の平面図、図１１（ｂ）は、重なり合った状態のブラシ毛の部分側面図、図１１（ｃ）、及び図１１（ｄ）は、従来例におけるシート状洗浄体の汚れの除去を示す部分拡大平面図である。
【０００７】
図１１（ａ）において、シート状洗浄体７２は、エチレンエチルアクリレート等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を発泡させた平板状の合成樹脂発泡体からなり、自由端部にはスリット７３により細分割された複数のブラシ毛７４が形成されてあると共に、スリット７３の基端部側にはスリット７３の裂けを防止する目的で、円孔７５が設けられている。シート状洗浄体７２は、回転体（図示せず）の外周に基端部が取り付けられて洗浄ブラシとして構成され、洗車機（図示せず）に前記洗浄ブラシが搭載され、洗浄ブラシが回転してシート状洗浄体７２の自由端部が車体に当接し、車体の表面を洗浄する。シート状洗浄体７２の表面は、無数の独立気泡からなる小さな凹凸が無数に存在するものの、前記凹凸は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成されるものであり、シート状洗浄体７２の表面は、平滑面に近いものである。
【０００８】
洗浄ブラシが回転駆動する際、洗車機のノズルからは、車体に付着した汚れの表面張力を低下させ、汚れを除去しやすくする目的で、洗浄水等の液体が散布される。シート状洗浄体７２は、洗浄ブラシの回転に伴い、自由端部に形成された複数のブラシ毛７４が車体に当接するが、隣り合うブラシ毛７４は、図１１（ｂ）に示すように互いの平滑面に乗り合いながら、車体に当接する。また、洗車機のノズルから散布された洗浄水等の液体は、シート状洗浄体７２とも接触し、互着したブラシ毛７４の表面張力も低下させる。一旦、液体により互着して一体化したブラシ毛７４は、洗浄ブラシの回転によるブラシ毛７４の車体への衝撃力のみでは、互いに離れて、ばらけたものとすることはできず、強固に互着しながら車体に当接する。
【０００９】
図１１（ｃ）において、シート状洗浄体７２は、汚れ７８の付着した車体７７に当接し、図示しない回転体の回転に伴って、矢印Ｃの方向に直進して移動する。基端部側に円孔７５を有して形成されたスリット７３により細分割された複数のブラシ毛７４は、互いの平滑面に乗り合うと共に、洗浄水等の液体により強固に互着して一体化している。互着して一体化したブラシ毛７４の間には、必然的に隙間部７６が形成される。前記の如くに構成されたシート状洗浄体７２が、汚れ７８が付着した車体７７の表面を矢印Ｃの方向に直進して移動すると、図１１（ｄ）の如く、互着したブラシ毛７４が車体７７と当接した跡は、車体７７の表面に付着した汚れ７８を取り除き、汚れ７８が除去された洗浄面７９が露出する。しかしながら、隙間部７６は車体７７と接触しないので、汚れ７８が筋状の洗浄残り７８ａとなって車体７７の表面に残り、車体７７に付着した汚れ７８を均一に除去できないことから、洗浄ブラシの洗浄性能が劣ることになる。
【００１０】
また、図１１（ｂ）の如く、隣り合うブラシ毛７４は、洗浄水等の液体により互いに張り付き、互着して一体化する為、冬季、特に寒冷地においてブラシ毛７４が凍り付き、凍結して一体化したブラシ毛７４が車体７７に当接すると、車体７７にたいして洗車傷を付着させる。
【００１１】
上記問題を解決する為に、例えば、一側がフリンジ成形スリットで多数のフリンジ片に細分され、さらにこのフリンジ片の先端部が、先端分割スリットで複数の先端片に分割された合成樹脂発泡体製の自動洗車ブラシ用洗浄シートにおいて、先端分割スリットの内端部付近に窪み状の押し潰し痕である末端凹部が形成されていると共に、先端片の先端分割スリット側の側縁部に窪み状の押し潰し痕である中間凹部が形成されていることを特徴とする自動洗車ブラシ用洗浄シート（特許文献２）が考案されている。
【００１２】
【特許文献１】特開２００２−３１６６２２号公報
【特許文献２】実用新案登録第３０８９７６０号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
特許文献２の自動洗車ブラシ用洗浄シートは、複数の窪み状の押し潰し痕が先端分割スリットの内端部近傍、及び側縁部に形成されているので、押し潰し痕の残留歪みによる効果が発揮され、隣り合う先端片をＶ字形に開かせ、互いに離れて、ばらけたものとすることは可能である。しかしながら、先端片の表面は、平板状の平滑面として形成されている為、隣接し、相前後する概Ｖ字状の先端片が積層するように互いに重なり合った場合、洗浄水等により互いに張り付いてしまい、複数本の概Ｖ字形状の先端片が一体化し、被洗浄面に付着している汚れの掻き取り性能が劣り、洗浄性能が劣化するという課題を有していた。
【００１４】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ブラシ片が長期間に亘り、洗浄水等の液体により張り付き、一体化して互着することが無く、洗浄残りの発生が無い高い洗浄性能を有すると共に、凍結が防止される洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
前記従来の課題を解決する為に、請求項１の発明の洗車機用洗浄ブラシは、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ部及び軸体を有し、前記ブラシ部は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、少なくとも一面に一箇所以上の凹部及び／又は凸部が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体からなるブラシ片を有するもので、ブラシ片は、長尺形状にて形成されている為、被洗浄面の細かな凹凸部分、あるいは曲面部分にも当接し、汚れを除去する。また、隣り合うブラシ片、あるいは隣接して相前後するブラシ片が、洗車中に仮に重なり合っても、ブラシ片の一面には凹部及び／又は凸部が形成されている為、平滑面からなるブラシ片が重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、密着し難い。従って、重なり合ったブラシ片は、ブラシ片の被洗浄面への接触時の衝撃力のみにて、再び容易に離れ、互いにばらけることが可能であり、長期間に亘り、洗浄水等の液体によるブラシ片の張り付き、すなわち互着が防止される。その為、ブラシ片は一体化して互着しながら被洗浄面に当接することが無く、被洗浄面に均一に当接するので、洗浄残りの発生が抑制され、洗車機用洗浄ブラシは高い洗浄性能を有する。
【００１６】
また、隣り合うブラシ片は洗浄水等の液体により張り付き、互着して一体化することが無いので、ブラシ片の凍結防止性能が具備される。
【００１７】
なお、本発明のブラシ片に形成されてある凹部及び／又は凸部は、合成樹脂発泡体を製造する際に必然的に形成される気泡による凹凸のことではなく、合成樹脂発泡体の製造後、前記合成樹脂発泡体にたいして、例えば、エンボスロール等を用いて、熱加圧等の加圧を施すことにより形成される凹部、あるいは凸部のことである。
【００１８】
請求項２の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ片は少なくとも一面の全域に亘り、凹部及び／又は凸部が形成されてあるもので、ブラシ片が被洗浄面に当接すると、ブラシ片の一面の全域に亘り形成されている凹部及び／又は凸部の有する角部により、被洗浄面に強固に付着している汚れが掻き出される。その為、洗浄性能が大幅に向上する。
【００１９】
請求項３の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１から２の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部は複数本のブラシ片が接合あるいは集束されてあるもので、ブラシ片を、予め接合、あるいは集束しておくことで、洗車機用洗浄ブラシを製作する際の作業性が向上する。その為、洗車機用洗浄ブラシの生産コストの低減につながる。
【００２０】
請求項４の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１から３の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が軸体の軸心の垂線にたいして、前記軸心の長手方向に傾斜角度を有して形成されてあるもので、ブラシ片は、軸体の軸心の垂線にたいして、ブラシ部が略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合うブラシ片が重なり合っても、被洗浄面にたいして斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残りの発生が、一層、確実に防止される。その為、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【００２１】
請求項５の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項１から４の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が芯線及び帯状体に挟み付けられ、折り合わされて形成されたチャンネルブラシにて形成されてあるもので、洗車機用洗浄ブラシを製作する際、連続的にチャンネルブラシを形成し、軸体の外周部にチャンネルブラシを固定すればよい。その為、洗車機用洗浄ブラシを製作する際の作業性が大幅に向上し、生産コストの一層の低減につながる。
【００２２】
請求項６の発明の洗車機は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項１から５のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載したもので、ブラシ片が互着することが無く、優れた洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシを低速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの発生が防止され、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片の凍結が防止される為、洗車機用洗浄ブラシを高速回転した場合においても、被洗浄面に傷を付着させることが無い。
【発明の効果】
【００２３】
請求項１の発明の洗車機用洗浄ブラシは、洗浄水等の液体によるブラシ片の互着が防止され、洗浄残りの無い高い洗浄性能を有すると共に、優れた凍結防止性能を発揮することができる。
【００２４】
請求項２の発明の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片の一面の全域に亘り形成されている凹部及び／又は凸部の有する角部により、被洗浄面に強固に付着している汚れを掻き出すことができるので、洗浄性能が大幅に向上する。
【００２５】
請求項３の発明の洗車機用洗浄ブラシは、生産コストを抑え、安価にて提供することができる。また、ブラシ部は、ブラシ片が接合されているので、ブラシ片の毛腰を強化でき、高い洗浄能力を発揮できる。
【００２６】
請求項４の発明の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片は、軸体の軸心の垂線にたいして、ブラシ部が略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合うブラシ片が重なり合っても、被洗浄面にたいして斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残りの発生が、一層、確実に防止され、洗浄性能が飛躍的に向上する。
【００２７】
請求項５の発明の洗車機用洗浄ブラシは、生産コストの一層の低減につながり、大幅なコスト削減を図ることができる。また、ブラシ片は芯線、及び帯状体に挟み付けられて形成されてある為、ブラシ片が位置ずれ、あるいは脱落等することが無く、迅速に洗車機用洗浄ブラシを製作することができる。
【００２８】
請求項６の発明の洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシを低速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの発生が防止され、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片は優れた凍結防止性能を有することから、洗車機用洗浄ブラシを高速回転した場合においても、被洗浄面に傷を付着させることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【００３０】
（実施例１）
図１（ａ）は、本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、図１（ｂ）は、図１（ａ）の断面図、図２（ａ）は、合成樹脂発泡体を前面側から見た斜視図、図２（ｂ）は、ブラシ片の平面図、図２（ｃ）は、ブラシ部の平面図、図３（ａ）は、本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図、図３（ｂ）は、ブラシ片が重なり合った状態のブラシ部の部分側面図、図４（ａ）は、他の実施の形態におけるブラシ片の平面図、図４（ｂ）は、図４（ａ）のブラシ片を前面側から見た斜視図、図４（ｃ）は、図４（ｂ）の側面図である。
【００３１】
図１（ａ）、及び図１（ｂ）において、洗車機用洗浄ブラシ１は、複数本のブラシ片４を有するブラシ部２が、アルミニウム、鉄等の金属材料、あるいは塩化ビニル、ポリアセタール等の合成樹脂材料からなる略円筒形状の軸体３の外周等分４箇所に設けられた溝部７に、概Ｖ字断面を有するよう配置されている。折り合わされて概Ｖ字断面を有するよう形成されたブラシ部２の谷部には、アルミニウム、鉄等の金属材料からなり概四角形断面を有する長尺形状の固定板８が配置され、固定板８の両端部をネジ９にて軸体３に固定して洗車機用洗浄ブラシ１は形成される。なお、軸体３の外周部に設けられた溝部７は、等分４箇所以外にも、６箇所、８箇所、１２箇所等、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【００３２】
ブラシ部２を構成する複数本のブラシ片４は、一面に凹部５、及び凸部６が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体であり、凹部５、及び凸部６が、折り合わされて概Ｖ字断面を有するよう形成されたブラシ部２の外方に位置するよう洗車機用洗浄ブラシ１の軸体３の外周部に装着されている。複数本のブラシ片４は、折り合わされて概Ｖ字断面を有するよう形成されたブラシ部２の谷部が、縫製による接合部１１を介して接合材１０により接合され、形成されている。
【００３３】
次に、図１、及び図２を用いて、洗車機用洗浄ブラシ１の製作方法について説明する。
【００３４】
最初に、図２（ａ）の如く、片面の全域に亘り、凹部５、及び凸部６が形成された平板状の合成樹脂発泡体１２を用意する。次に、トムソン型、レーザーカッター等の切断刃を用いて、前記合成樹脂発泡体１２より、所望の幅からなる長尺形状のブラシ片４を抜き取る。次に、図２（ｃ）に示すように、接合材１０の上に、複数本のブラシ片４を、互いの側縁部が接するように並べ、ブラシ片４の長手方向の略中央部が接合材１０の上に位置するよう配置する。接合材１０の上には、凹部５、及び凸部６が形成されていないブラシ片４の面を配置する。次いで、凹部５、及び凸部６が形成された面のブラシ片４の長手方向の略中央部に、他の接合材１０を重ね合わせ、縫製糸が複数本のブラシ片４を横断するよう縫製による接合部１１を介して、接合材１０と、接合材１０の間に重ね合わされたブラシ片４が接合され、ブラシ部２が形成される。
【００３５】
接合材１０には、平板状の織布、不織布、編物等の布帛、人工皮革、合成皮革、人造皮革等の擬革、合成樹脂シート、フィルム状樹脂組成物シート等が採用される。また、接合部１１の形成方法は、上記縫製以外にも、ネジ止め、接着、溶着等の方法を用いることができる。
【００３６】
ブラシ部２の形成方法は、上記接合以外にも、複数本の長尺形状のブラシ片４を束ねて、接合材１０と接合部１１を介して、集束して形成した形態も採用できる。ブラシ部２を、予め、接合、あるいは集束して形成しておくことにより、洗車機用洗浄ブラシ１を製作する際の作業性が向上し、洗車機用洗浄ブラシ１の生産コストの低減につながる。また、ブラシ部２は、接合材１０、及び接合部１１を有するので、ブラシ片４の毛腰を強化することができ、高い洗浄能力を発揮できる。
【００３７】
そして、上記の如く形成されたブラシ部２の凹部５、及び凸部６が形成されていない面の接合材１０の上に、固定板８を重ね合わせると共に、ブラシ部２の凹部５、及び凸部６が形成された面が外方に位置するように折り合わせ、図１（ａ）の如く、軸体３の外周等分４箇所に設けられた溝部７に固定板８が重ね合わされたブラシ部２を装着し、固定板８の両端部を、ネジ９にて軸体３に固定して、洗車機用洗浄ブラシ１が製作される。
【００３８】
次に、合成樹脂発泡体１２の製造方法について詳述する。
【００３９】
最初に、直方体の型に、ペレット状、あるいは粉末状の合成樹脂を挿入すると共に、発泡剤、架橋剤等の添加剤を混入して、加熱することにより、合成樹脂を発泡させると共に、合成樹脂の分子間に共有架橋構造を形成する。合成樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された発泡体は、一般的には架橋発泡体と呼ばれ、分子間に橋架け構造が形成されているので、優れた弾力性を有している。次に、得られた立方形状の発泡体を所望の厚みにスライスして、平板状の合成樹脂発泡体１２を形成する。
【００４０】
次いで、合成樹脂発泡体１２の一方の表面にたいして、エンボスロール等を用いて、加圧、あるいは熱加圧することにより、凹部５と凸部６を形成する。本実施例では、合成樹脂発泡体１２の片面のみに、凹部５と凸部６が形成されてあるが、合成樹脂発泡体１２の両面に凹部５と凸部６が形成されてある形態を採用してもよい。なお、凹部５、凸部６の形状は、特に限定されるものではなく、本実施例の如く、凸部６の横断面形状が略四角形に形成されている形態以外にも、隣り合う長尺形状のブラシ片４が洗浄水等の液体による張り付き、すなわち互着することが防止されるのであれば、概丸形、三角形、五角形、菱形、卍形等でも構わない。さらに、凹部５の深さ、あるいは凸部６の高さについても、ブラシ片４の洗浄水等による張り付きと、洗い残しの発生が防止されるのであれば、特に限定されるものではないが、例えば、凸部６の高さは、０．１ｍｍ以上で、使用される合成樹脂発泡体１２の厚みの１／２程度以内にて設定されると、ブラシ片４の洗浄水等による張り付きが抑制されると共に、ブラシ片４が被洗浄面にたいして密着しやすく、洗い残しの発生が防止されるので好ましい。また、エンボスロール等以外にも、例えば、研磨紙、研磨布等を、合成樹脂発泡体１２の表面に擦り付け、細かい凹部５と凸部６を形成することもできる。さらに、プロファイル加工、溝切り加工等にて、合成樹脂発泡体１２の表面に凹部５、凸部６を形成してもよい。
【００４１】
合成樹脂発泡体１２の厚みは、１〜５ｍｍ程度、ブラシ片４の幅は、１〜１０ｍｍ程度に設定される。合成樹脂発泡体１２の厚みが１ｍｍ未満の場合、ブラシ片４は摩耗により擦り切れ等が発生しやすく耐久性が劣り、５ｍｍを超える場合、洗浄音が増大する。また、ブラシ片４の幅が１ｍｍ未満の場合、ブラシ片４が切れやすく、耐久性が劣り、１０ｍｍを超える場合、ブラシ片４は被洗浄面の細かな凹凸部分に付着している汚れを除去しにくく、洗浄性能が劣ることになる。
【００４２】
合成樹脂発泡体１２の発泡倍率は、柔軟性を有し、ブラシ片４に毛腰を付与すると共に、被洗浄面に傷を付着させないという観点から、２倍から１５倍にて調整されるのが好ましい。発泡倍率が２倍未満の場合には、硬すぎて柔軟性が損なわれると共に、被洗浄面に傷を付着させやすくなり、１５倍を超える場合には、柔らかすぎてブラシ片４に毛腰を付与することが難しく、洗浄性能が劣ることになる。より優れた柔軟性と毛腰を兼ね備える為には、発泡倍率は５倍から１２倍にて調整されるのが望ましい。
【００４３】
なお、特に図示しないが、合成樹脂発泡体１２の表面には、無数の微細な独立気泡が形成されており、前記の如くの合成樹脂発泡体１２は、一般的に独立気泡発泡体と呼ばれている。独立気泡とは、気泡の壁面が完全に囲まれている気泡のことである。従って、隣接する気泡間は気泡の壁面によって仕切られて個々に独立して存在する為、気泡内には洗浄水等の液体は流通しない。その為、ブラシ片４は、洗車中に合成樹脂発泡体１２の表面の独立気泡に一時的に洗浄水を貯水するのみで、洗車機用洗浄ブラシ１は、ブラシ片４の含水量を極力抑えることができるので、回転駆動源にたいする負荷が軽減され、洗車機用洗浄ブラシ１は、長期間に亘り、安定した回転を維持することができる。
【００４４】
合成樹脂発泡体１２を製造する際に用いられる合成樹脂としては、エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。なお、ポリオレフィン系樹脂以外にも、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いてもよい。前記合成樹脂は、単独使用、あるいは併用される。
【００４５】
また、合成樹脂発泡体１２を製造する際に用いられる発泡剤としては、従来から合成樹脂発泡体１２の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、４，４−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の熱分解型発泡剤が好適に用いられ、前記発泡剤は単独で用いられても併用されても構わない。
【００４６】
また、合成樹脂発泡体１２を製造する際に用いられる架橋剤としては、従来から合成樹脂発泡体１２に弾力性を付与する目的で製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイド、２，５−ジメチル−２，５−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキセン、１，３−ビス−ターシャリーパーオキシイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物が好適に用いられ、前記架橋剤は単独で用いられても併用されても差し支えない。
【００４７】
次に、上記の如く構成された洗車機用洗浄ブラシ１の動作、作用について、図３を用いて説明する。
【００４８】
図３（ａ）において、洗車機用洗浄ブラシ１は、図１０の如くの洗車機６０に搭載されてあり、駆動源６２により矢印Ａの方向に回転する。ブラシ部２は、一面の全域に亘り凹部５、及び凸部６が形成された長尺形状のブラシ片４が軸体３の外周部に固定板８にて装着されている。洗車機用洗浄ブラシ１が矢印Ａの方向に回転すると、ブラシ片４は、凹部５、及び凸部６が形成された面が、汚れ１８の付着した被洗浄面である車体１７に摺接する。ブラシ片４が車体１７に当接すると、ブラシ片４の一面の全域に亘り形成されている凹部５、及び凸部６の有する角部１３により、車体１７の表面に強固に付着している汚れ１８が掻き出される。その為、ブラシ片４の表面に凹部５、及び凸部６が形成されていないブラシ片が用いられる場合に比べて、洗浄性能が大幅に向上する。なお、車体１７に付着した汚れ１８は、砂や埃等を主体とする砂塵、及び排気ガスや雨水等に含まれる不純物が黒ずんだ水垢等の混合物である。
【００４９】
また、図３（ｂ）の如く、ブラシ部２は、仮に、隣り合うブラシ片４が重なり合った場合においても、ブラシ片４の平滑面側は、ブラシ片４の凸部６に乗り上げると共に、ブラシ片４の平滑面と、ブラシ片４の凹部５の間には空間が生じ、前記空間には空気が流入する。その為、隣り合うブラシ片４は、平滑面からなるブラシ片同志が重なり合う場合に比べて、接触面積が小さく、また、空気の抵抗により、重なり合っても迅速、且つ容易に離れることができるので、長期間に亘り、隣り合うブラシ片４は、互いにばらけて、洗浄水等の液体により張り付いて一体化すること、すなわち互着を防ぐことが可能である。その為、ブラシ片４は、図１０に示す洗車機６０のノズル６３から洗浄水等の液体が噴霧されても、一体化して互着しながら車体１７に当接することが無く、車体１７に均一に当接するので、図１１（ｄ）の如くの筋状の洗浄残り７８ａの発生が抑制され、洗車機用洗浄ブラシ１は高い洗浄性能を有する。なお、凹部５、及び凸部６が形成された一面が裏面となり、凹部５、及び凸部６が形成されていない一面が車体１７に当接するように、ブラシ片４を有するブラシ部２を、軸体３の外周部に形成しても、ブラシ片４の互着を防止することができるのは言うまでもない。
【００５０】
さらに、隣り合うブラシ片４は洗浄水等の液体により張り付き、互着して一体化することが無いので、ブラシ片４の凍結防止性能が具備される。
【００５１】
次に、本発明の洗車機用洗浄ブラシ１の洗浄性能について試験した。下記に示した要領で測定し、その結果を表１に示した。
【００５２】
実施例として、厚みが２．５ｍｍで、片面の全域に亘り凹部５、及び凸部６が形成された発泡倍率が８倍の超低密度ポリエチレンからなる合成樹脂発泡体１２より、幅が５ｍｍ、長さが２２６ｍｍの長尺形状のブラシ片４を、３８本切り出した。次に、ブラシ片４の側縁部が接するように並列させると共に、ブラシ片４の長手方向の略中央部に幅が１７ｍｍ、長さが１９０ｍｍ、厚みが０．４５ｍｍの不織布からなる接合材１０を重ね合わせ、縫製による接合部１１を介して、３８本のブラシ片４を接合して、ブラシ部２を形成した。前記の如くのブラシ部２を、４片製作した。次に、厚みが１７ｍｍ、幅が１７ｍｍ、長さが２２０ｍｍの鉄製の固定板８をブラシ部２の有する接合材１０に重ね合わせ、凹部５、及び凸部６が外方となるように折り合わせ、直径が１１４ｍｍで且つ長さが３６０ｍｍの鉄製の略円筒形状の軸体３の外周等分４箇所に設けられた溝部７に、固定板８が重ね合わされたブラシ部２を装着し、固定板８の両端部をネジ９にて軸体３に固定して、実施例の洗車機用洗浄ブラシ１を１本製作した。
【００５３】
比較例として、凹部５、及び凸部６が形成されていない合成樹脂発泡体から切り取ったブラシ片を用いた以外は、上記実施例の洗車機用洗浄ブラシ１と同一条件の洗車機用洗浄ブラシを１本製作した。
【００５４】
次に、上記の如く構成された実施例の洗車機用洗浄ブラシ１、及び比較例の洗車機用洗浄ブラシを、それぞれ回転試験機に取り付け、２４０ｒｐｍの一定の回転速度で回転させる一方、一面に人工汚れを塗布した白色ソリッド塗装鋼板を用意し、前記回転速度で回転している軸体３の外周部に取り付けられたブラシ部２の先端が描く仮想円上から３０ｍｍだけ軸体３の方向に近接した位置に前記白色ソリッド塗装鋼板を、その汚れ面が軸体３に対向した状態に配設すると共に、６Ｌ毎分の散布量にて洗浄水を吹き付けながら１分間に亘って鋼板の汚れ面にブラシ部２を当接させることによって鋼板の汚れを除去した。
【００５５】
そして、鋼板の汚れ面におけるブラシ部２によって汚れを除去した部分の明度を、日本電色工業株式会社製の色差計ＮＲ−１で測定して、下記基準により、洗浄性能を判断した。
○・・・明度の向上が＋５以上
×・・・明度の向上が＋５未満
【００５６】
また、試験後の隣り合うブラシ片４の洗浄水による張り付き、すなわち互着の有無を目視観察して、下記基準により判断した。
○・・・ブラシ片の互着が無い
×・・・ブラシ片の互着が有る
【００５７】
【表１】
【００５８】
上記試験結果より、実施例の洗車機用洗浄ブラシ１は、一面の全域に亘り、凹部５、及び凸部６が形成されている為、隣り合うブラシ片４の互着の発生が無く、ブラシ片４は鋼板に均一に当接するので、洗浄残りの発生が抑制されると共に、凹部５、及び凸部６が有する角部１３により汚れが掻き出されることから、洗車機用洗浄ブラシ１は優れた洗浄性能を有するものであった。
【００５９】
一方、比較例の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片に凹部５、及び凸部６が形成されていない為、隣り合うブラシ片の互着が認められ、互着したブラシ片の間には隙間部が生じ、ブラシ部の描く洗浄軌跡において、隙間部は鋼板に当接しないので、洗浄残りが発生した。また、ブラシ片に凹部５、及び凸部６が形成されていない為、汚れの掻き出し性能が劣り、比較例の洗車機用洗浄ブラシは、洗浄性能の劣るものであった。
【００６０】
次に、図４を用いて、他の実施の形態におけるブラシ片について説明する。
【００６１】
図４（ａ）、及び図４（ｂ）において、ブラシ片１４は、長尺形状にて形成された合成樹脂発泡体からなり、一面に一箇所の凹部１５が形成されてある。
【００６２】
図４（ｃ）において、ブラシ片１４は、凹部１５を境にして所定の傾斜角度θ１だけ三次元的に屈曲変形して、形成されている。傾斜角度θ１は、ブラシ片１４が軸体３の外周部に装着された場合、隣接するブラシ片１４が洗浄水等により張り付くことが無く、洗浄残りの発生を防ぐという観点から、１°〜４５°程度、さらに好ましくは５°〜３０°程度に設定されるのが望ましい。
【００６３】
ブラシ片１４は、次の手順にて製作される。トムソン型等の切断刃により、平板状の合成樹脂発泡体からブラシ片１４を抜き取る際、トムソン型に、前記切断刃の刃先までの高さより僅かに短い高さの突起を設けておく。そして、トムソン型が上方から合成樹脂発泡体に押し付けられ、長尺形状のブラシ片１４を抜き取る際に、前記突起が合成樹脂発泡体から抜き取られるブラシ片１４に押し付けられることにより、凹部１５が形成される。また、平板状の合成樹脂発泡体から長尺形状のブラシ片１４を切り取った後、突起が設けられた型を押し当てて、凹部１５を形成しても構わない。
【００６４】
また、凹部１５は、鏝等の鉄製の道具や突起を加熱して、熱加圧して形成することもできる。熱加圧する場合には、ブラシ片１４に使用される合成樹脂発泡体の融点よりも低く温度設定される必要がある。ブラシ片１４の材質の融点以上で熱加圧されると、ブラシ片１４が溶融し、ブラシ片１４が切断されることになる。さらに、超音波、レーザー波等が発生する発熱器具を用いて、熱加圧による凹部１５を形成することもできる。
【００６５】
上記の如くのブラシ片１４を用いて、洗車機用洗浄ブラシ１を構成した場合の動作、作用は下記の通りである。
【００６６】
ブラシ片１４は、凹部１５を境にして所定の傾斜角度θ１だけ三次元的に屈曲変形されてある為、隣接するブラシ片１４が長期間に亘り、洗浄水等により張り付くことが無い。その為、隣り合うブラシ片１４が互着して一体化すること無く、被洗浄面に当接するので、洗浄残りの発生が防止されると共に、立体的に形成された長尺形状のブラシ片１４が被洗浄面に付着している汚れを掻き取ることから、洗車機用洗浄ブラシ１は高い洗浄性能を有する。
【００６７】
なお、洗車機用洗浄ブラシ１の形成方法は、特に、限定されるものではなく、本実施例の如く、固定板８を用いて、軸体３の外周部にブラシ部２を固定する形態以外にも、例えば、軸体３の外周部に、ブラシ片４を植え付ける複数の穴部を設け、前記穴部にたいしてブラシ片４をステープルで挟み付け、ブラシ片４を二つ折りにして、穴部の底面にたいして打ち込み、ブラシ片４を軸体３に固定する丸線型ブラシ、あるいは穴部にたいしてブラシ片４を薄い平板で押さえ込み、ブラシ片４を二つ折りにして、穴部の内周面に嵌合するように穴部の底面にたいして前記平板を打ち込み、ブラシ片４を軸体３に固定する平線型ブラシ、あるいは穴部にたいしてブラシ片４をナイロン等の引き込み線で押さえ込み、ブラシ片４を二つ折りにして、前記引き込み線を軸体３の内周面に這わせて、ブラシ片４を軸体３に固定する引込型ブラシ等の形態も採用できる。なお、前記の如くの穴部は、軸体３の外周部に等分間隔で設けても良いし、千鳥状に設けても良い。穴部の穴径は、ブラシ片４の植毛量に応じて、適宜、設定される。
【００６８】
（実施例２）
図５（ａ）は、本発明の第２の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、図５（ｂ）は、ブラシ部を前面側から見た斜視図、図６（ａ）、及び図６（ｂ）は、第２の実施例におけるブラシ部の汚れの除去を示す部分拡大平面図である。なお、上記第１の実施例と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【００６９】
図５（ａ）において、洗車機用洗浄ブラシ２１は、略円筒形状の軸体２３の外周等分４箇所に設けられた溝部２７に、合成樹脂発泡体からなる複数本の長尺形状のブラシ片２４を接合して形成されたブラシ部２２と、固定板２８が挿入され、固定板２８の両端部をネジ２９にて軸体２３に固定して形成されている。ブラシ部２２は、軸体２３の外周部に設けられた４箇所の溝部２７に、千鳥形状をなすよう挿入されると共に、ブラシ片２４が軸体２３の軸心（Ｃ．Ｌ）の垂線（Ｐ．Ｌ）にたいして、軸心（Ｃ．Ｌ）の長手方向に傾斜角度θ２を有するよう概Ｖ字形状にて形成されている。また、ブラシ片２４の一面の全域には、凹部２５、及び凸部２６が形成されている。
【００７０】
図５（ｂ）において、ブラシ部２２は、複数本の長尺形状のブラシ片２４が、互いの側縁部が接するよう並列され、長手方向の略中央部にて縫製による接合部３１を介して、複数本のブラシ片２４と接合材３０が接合されて形成されてある。また、長手方向の略中央部にて折り合わされたブラシ部２２は、図５（ａ）に示すように、軸体２３の軸心（Ｃ．Ｌ）の垂線（Ｐ．Ｌ）にたいして、軸心（Ｃ．Ｌ）の長手方向に傾斜角度θ２を有するよう概Ｖ字形状にて形成される為、ブラシ部２２の一方の幅Ｗ１は、他方の幅Ｗ２と重なり合わないように折り合わされる。また、ブラシ片２４の一面の全域に形成された凹部２５、及び凸部２６が外方に位置するように折り合わされる。
【００７１】
次に、上記の如く構成された洗車機用洗浄ブラシ２１の動作、作用について、図６を用いて説明する。
【００７２】
洗車機用洗浄ブラシ２１は、図１０の如くの洗車機６０に搭載されてあり、駆動源６２により回転しながら、図６（ａ）の如く、複数本のブラシ片２４が接合されてなるブラシ部２２が矢印Ｂの方向に直進して車体３７に当接する。ブラシ部２２は、傾斜角度θ２を有する長尺形状のブラシ片２４が、車体３７の表面に付着した汚れ３８を除去する。また、ブラシ片２４の車体３７に当接する側の面には、凹部２５、及び凸部２６が形成されている為、洗車機６０のノズル６３から洗浄水等の液体が噴霧されても、隣り合うブラシ片２４は互着して一体化しながら車体３７に当接することが無く、車体３７に均一に当接するので、図１１（ｄ）の如くの筋状の洗浄残り７８ａの発生が抑制される。さらに、ブラシ片２４は、車体３７にたいして、傾斜角度θ２だけ斜向した洗浄軌跡を描きながら当接する為、実施例１の如く、ブラシ部２が軸体３の軸心（Ｃ．Ｌ）の垂線（Ｐ．Ｌ）にたいして、軸心（Ｃ．Ｌ）の長手方向に略直角にて形成されてある場合に比べて、隣り合うブラシ片２４が重なり合っても、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残り７８ａの発生が、一層、確実に防止される。その為、図６（ｂ）の如く、ブラシ部２２の描いた洗浄軌跡には、筋状の洗浄残り７８ａの発生が無く、汚れ３８が確実に除去された洗浄面３９が露出するので、洗車機用洗浄ブラシ２１の洗浄性能が飛躍的に向上する。
【００７３】
なお、傾斜角度θ２は、隣り合うブラシ片２４が重なり合っても、一層容易に離れやすくなると共に、筋状の洗浄残り７８ａの発生が、一層、確実に防止されるという観点から６０°以上９０°未満にて設定されるのが望ましい。
【００７４】
（実施例３）
図７（ａ）は、本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、図７（ｂ）は、チャンネルブラシの断面図、図８は、本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシを構成する係止具が固定された軸体を前面側から見た斜視図、図９は、チャンネルブラシの製造状態を前面側から見た斜視図である。なお、上記第１、及び第２の実施例と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【００７５】
図７（ａ）、及び図７（ｂ）において、洗車機用洗浄ブラシ４１は、長尺形状のブラシ片４４を芯線５０、及び帯状体５１にて挟み付けると共に、折り合わして形成された長尺形状のチャンネルブラシ４７が、略円筒形状の軸体４３の外周部に螺旋状に巻き付けられ、ブラシ部４２が形成されてあると共に、チャンネルブラシ４７の両端部に係止具４８を覆い被せ、係止具４８の両端部をネジ４９にて軸体４３に固定して形成されている。
【００７６】
チャンネルブラシ４７を構成する芯線５０は、概丸形断面を有する略円柱形状で、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる。また、帯状体５１は、概コ字状断面を有する長尺形状で、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる。ブラシ片４４は、合成樹脂発泡体からなる長尺形状であり、芯線５０、及び帯状体５１にて挟み付けられると共に、一面の全域に亘り形成された凹部４５、及び凸部４６が外方となるよう概Ｖ字断面を有するように折り合わされている。従って、ブラシ片４４は、洗車機用洗浄ブラシ４１の回転に伴い、凹部４５、及び凸部４６が形成された面が被洗浄面に当接する。また、ブラシ片４４は芯線５０、及び帯状体５１に挟み付けられて形成されてある為、ブラシ片４４が位置ずれ、あるいは脱落等することが無く、迅速に洗車機用洗浄ブラシ４１を製作することができる。
【００７７】
次に、図８、及び図９を用いて、洗車機用洗浄ブラシ４１の製造方法について説明する。
【００７８】
最初に、図８の如く、略円筒形状の軸体４３の外周部の両端部近傍に、複数の爪５２を有する係止具４８を、ネジ４９にて固定する。次に、図９の如く、断面が概コ字状の長尺の帯状体５１にたいして、複数本のブラシ片４４の略中央部が、帯状体８の上部になるよう基台１４に設置する。なお、ブラシ片４４は、一面に凹部４５、及び凸部４６が形成された面が帯状体８の上部に位置するよう設置する。次いで、縦ロール５４を使用して、芯線５０にてブラシ片４４を挟み付けると共に、芯線５０を概コ字状の帯状体５１の内部に押し込む。次に、帯状体５１の両側に設置された横ロール５５を使用して、帯状体５１を両側から、かしめる。その結果、図７（ｂ）の如く、外方に凹部４５、及び凸部４６を有するよう構成された長尺形状のブラシ片４４の略中央部が芯線５０、及び帯状体５１に挟み付けられて折り合わされたチャンネルブラシ４７が形成される。
【００７９】
そして、チャンネルブラシ４７の一方の端部に形成されたブラシ片４４は切り取られ、前記チャンネルブラシ４７の端部は、図８に示した一方の係止具４８の両側に形成された爪５２の間に挿入され、爪５２を内側に折り畳むことにより、固定される。次に、軸体４３を回転させながら、１本の長尺形状に形成されたチャンネルブラシ４７を、軸体４３の外周部の周りに捩りを加えて螺旋状に巻き付け、チャンネルブラシ４７の他方の端部に形成されたブラシ片４４を切り取り、軸体４３の外周部に取り付けられた他方の係止具４８に形成された爪５２にて、チャンネルブラシ４７の他方の端部を固定し、洗車機用洗浄ブラシ４１が製造される。
【００８０】
上記の如く構成された洗車機用洗浄ブラシ４１の動作、作用は下記の通りである。
【００８１】
ブラシ部４２は、ブラシ片４４が芯線５０、及び帯状体５１に挟み付けられ、折り合わされて形成されたチャンネルブラシ４７にて、軸体４３の外周部に形成されてあり、チャンネルブラシ４７は係止具４８にて軸体４３に固定されてあることから、洗車機用洗浄ブラシ４１を製作する際、連続的にチャンネルブラシ４７を形成し、軸体４３の外周部に螺旋状に巻き付けて係止具４８にて固定すればよいので、作業性が大幅に向上する。その為、洗車機用洗浄ブラシ４１の生産コストの一層の低減につながる。
【００８２】
また、ブラシ部４２は、チャンネルブラシ４７により傾斜角度を有して軸体４３の外周部に巻き付けられて装着されているので、洗車中における洗車機用洗浄ブラシ４１の保水性が高まり、洗浄性能がより一層向上する。
【００８３】
なお、軸体４３の外周部にブラシ部４２を装着して、洗車機用洗浄ブラシ４１を形成する方法は、上記に示したチャンネルブラシ４７を、軸体４３の外周部に螺旋状に巻き付けて固定する方法以外にも、例えば、複数本の長尺形状のチャンネルブラシ４７を用意し、軸体４３の外周部の等分箇所に、前記チャンネルブラシ４７を配置し、チャンネルブラシ４７の両端部のブラシ片４４を切り取り、チャンネルブラシ４７の両端部に概Ω形状の係止具４８を覆い被せ、前記係止具４８をネジ４９にて固定して洗車機用洗浄ブラシ４１を形成しても構わない。複数本のチャンネルブラシ４７を、軸体４３の外周部に配置する際、長尺形状のチャンネルブラシ４７を軸体４３の長手方向にたいして、直線状に配置してもよいし、チャンネルブラシ４７に捩りを加えて、軸体４３の長手方向に配置してもよい。
【００８４】
（実施例４）
図１０は、本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図である。
【００８５】
図１０において、洗車機６０は、洗車機用洗浄ブラシ６１が搭載されてあり、洗車機用洗浄ブラシ６１は駆動源６２により回転駆動される。ノズル６３からは、被洗浄面にたいして、洗浄剤、及び洗浄水等の液体が散布され、洗車機用洗浄ブラシ６１により、被洗浄面に付着している汚れが除去され、洗浄後は洗車機６０の乾燥手段である乾燥機６４により被洗浄面が乾燥される。なお、洗車機用洗浄ブラシ６１は、上記実施例における洗車機用洗浄ブラシ１、２１、４１のいずれかと同一である。
【００８６】
上記の如く構成された洗車機６０の動作、作用は下記の通りである。
【００８７】
洗車機６０は、ブラシ片４、１４、２４、４４が互着することが無く、優れた洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシ６１が搭載されてある為、駆動源６２により洗車機用洗浄ブラシ６１を低速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの発生が防止され、優れた洗浄性能が発揮される。また、ブラシ片４、１４、２４、４４の凍結が防止される為、洗車機用洗浄ブラシ６１を高速回転した場合においても、被洗浄面に傷を付着させることが無い。
【産業上の利用可能性】
【００８８】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【００８９】
【図１】（ａ）本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、（ｂ）図１（ａ）の断面図
【図２】（ａ）合成樹脂発泡体を前面側から見た斜視図、（ｂ）ブラシ片の平面図、（ｃ）ブラシ部の平面図
【図３】（ａ）本発明の第１の実施例における洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図、（ｂ）ブラシ片が重なり合った状態のブラシ部の部分側面図
【図４】（ａ）他の実施の形態におけるブラシ片の平面図、（ｂ）図４（ａ）のブラシ片を前面側から見た斜視図、（ｃ）図４（ｂ）の側面図
【図５】（ａ）本発明の第２の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、（ｂ）ブラシ部を前面側から見た斜視図
【図６】（ａ）第２の実施例におけるブラシ部の汚れの除去を示す部分拡大平面図、（ｂ）第２の実施例におけるブラシ部の汚れの除去を示す部分拡大平面図
【図７】（ａ）本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシの正面図、（ｂ）チャンネルブラシの断面図
【図８】本発明の第３の実施例における洗車機用洗浄ブラシを構成する係止具が固定された軸体を前面側から見た斜視図
【図９】チャンネルブラシの製造状態を前面側から見た斜視図
【図１０】本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図
【図１１】（ａ）従来例におけるシート状洗浄体の平面図、（ｂ）重なり合った状態のブラシ毛の部分側面図、（ｃ）従来例におけるシート状洗浄体の汚れの除去を示す部分拡大平面図、（ｄ）従来例におけるシート状洗浄体の汚れの除去を示す部分拡大平面図
【符号の説明】
【００９０】
１、２１、４１、６１ 洗車機用洗浄ブラシ
２、２２、４２ ブラシ部
３、２３、４３ 軸体
４、１４、２４、４４ ブラシ片
５、１５、２５、４５ 凹部
６、２６、４６ 凸部
７、２７ 溝部
８、２８ 固定板
９、２９、４９ ネジ
１０、３０ 接合材
１１、３１ 接合部
１２ 合成樹脂発泡体
１３ 角部
１７、３７、７７ 車体
１８、３８、７８ 汚れ
３９、７９ 洗浄面
４７ チャンネルブラシ
４８ 係止具
５０ 芯線
５１ 帯状体
５２ 爪
５３ 基台
５４ 縦ロール
５５ 横ロール
６０ 洗車機
６２ 駆動源
６３ ノズル
６４ 乾燥機
７２ シート状洗浄体
７３ スリット
７４ ブラシ毛
７５ 円孔
７６ 隙間部
７８ａ 洗浄残り
【特許請求の範囲】
【請求項１】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ部及び軸体を有し、前記ブラシ部は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、少なくとも一面に一箇所以上の凹部及び／又は凸部が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体からなるブラシ片を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項２】
請求項１記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ片は少なくとも一面の全域に亘り、凹部及び／又は凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項３】
請求項１から２記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部は複数本のブラシ片が接合あるいは集束されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項４】
請求項１から３記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が軸体の軸心の垂線にたいして、前記軸心の長手方向に傾斜角度を有して形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項５】
請求項１から４記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が芯線及び帯状体に挟み付けられ、折り合わされて形成されたチャンネルブラシにて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項６】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項１から５のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。
【請求項１】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ部及び軸体を有し、前記ブラシ部は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、少なくとも一面に一箇所以上の凹部及び／又は凸部が形成された長尺形状の合成樹脂発泡体からなるブラシ片を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項２】
請求項１記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ片は少なくとも一面の全域に亘り、凹部及び／又は凸部が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項３】
請求項１から２記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部は複数本のブラシ片が接合あるいは集束されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項４】
請求項１から３記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が軸体の軸心の垂線にたいして、前記軸心の長手方向に傾斜角度を有して形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項５】
請求項１から４記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部はブラシ片が芯線及び帯状体に挟み付けられ、折り合わされて形成されたチャンネルブラシにて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項６】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項１から５のいずれか１項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００９−１８５９７（Ｐ２００９−１８５９７Ａ）
【公開日】平成２１年１月２９日（２００９．１．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１８０４０５（Ｐ２００７−１８０４０５）
【出願日】平成１９年７月１０日（２００７．７．１０）
【出願人】（３９１０４４７９７）株式会社コーワ (283)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１月２９日（２００９．１．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年７月１０日（２００７．７．１０）
【出願人】（３９１０４４７９７）株式会社コーワ (283)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]