説明

洗車機

【課題】洗車機本体に圧縮空気を供給するためのエアホースや洗浄水を供給するための水ホースや配線ケーブルなどを接続している洗車機において、ホースやケーブルなどの取り入れ口を任意に変更可能な洗車機を提供する。
【解決手段】洗車機本体1に、圧縮空気を供給するためのエアホースや洗浄水を供給するための水ホースや配線ケーブルなどを取り入れる取り入れ口17を複数個所に設けると共に、取り入れ口に、それぞれ取替自在の取付板(PL1〜PL3)を取り付け、この取付板に、エアホースを接続する第一配管継手S1と、水ホースを接続する第二配管継手S2と、配線ケーブルを挿通可能とする配線部材(グロメットG1)との少なくとも一つを装着する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車に使用される洗車機に関し、特に、洗車機本体に圧縮空気を供給するためのエアホースや洗浄水を供給するための水ホースや電源ケーブルなどを接続している洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗車機としては、被洗浄車両と洗車機本体を前後方向に相対移動させながら、貯液タンクに貯留された液剤や洗浄水を噴射して、また、ブラッシングして洗車を行う構成とされる門型洗車機が知られている。
【0003】
従来の門型洗車機の洗浄工程においては、先ず、洗浄水を用いて汚れを落とし、次いでシャンプーなどの液剤を用いて洗浄し、さらに洗浄水を用いて水洗いする。この洗浄工程の後で、各送風ノズルから送風して乾燥する乾燥工程が行われる。また、必要に応じてワックスや撥水コートなどの液剤塗布工程を適宜組み合わせて洗車を行う。このように、洗車の際に用いる液剤として、各種のシャンプーやワックスやコート類が用いられている。これらの液剤は、それぞれ専用の貯液タンクに貯留され、タンク内に挿入されたチューブを介して、洗車工程の処理に応じて噴射され消費される。
【0004】
また、複数の洗車モードから所望のモードを選択し、使用する液剤の種類を選択して所定の洗車モードに設定する操作パネルやリモートパネルを備えている。操作パネルは洗車機本体に配設しているが、リモートパネルは洗車機本体から離れた位置に設置して、このリモートパネルと操作パネルとを電気的に接続して、リモートパネルに設定された洗車モードにより、洗車機を駆動可能にしている。
【0005】
操作パネルやリモートパネルを備える洗車機の一例について図5を用いて説明する。この洗車機WBは、複数のブラシを備える洗浄手段と、ブロワと複数の送風ノズルを備える乾燥手段とを一体に装着し、被洗浄車両CAを跨ぐように門型とされる洗車機本体1を備えた構成であり、被洗浄車両CAと洗車機本体1を前後方向に相対移動させながら、複数の貯液タンクに貯留された液剤をそれぞれ水により希釈して前記被洗浄車両へ噴射して、前記被洗浄車両の洗車を行う。
【0006】
例えば、洗車機本体1が、車輪3を介してレール2上に沿って走行移動する構成とし、被洗浄車両CAを、該被洗浄車両CAを跨ぐ門型とされる洗車機の左右一対のレール間の所定の位置に停車して、洗車機本体1に設置する操作パネル7もしくは洗車機本体1から離れた位置に設置するリモートパネル7Aに、所望の洗車モードを設定し、スタートボタンを操作して、洗車を開始する。
【0007】
門型の洗車機本体1は、被洗浄車両CAを洗浄するブラシとして、例えば、被洗浄車両CAの上面を洗浄するトップブラシ4と、被洗浄車両CAの両側面と前後面を洗浄する左右一対のサイドブラシ5と、被洗浄車両CAの両側面下部を洗浄する左右一対のロッカーブラシ6を備えている。
【0008】
また、ブラッシングの際に使用する洗浄水や各種液剤を噴射する各種ノズルや各種液剤を貯液する貯液タンクを備えている。各種液剤を貯液する複数の貯液タンクは、洗車機本体1に設けられるタンク収納部60に収納されており、電磁式の開閉弁と副給水ホースを備える分配配管部61(水パネルとも称する)を介して各ノズルに分配している。液剤を噴射するノズルとしては、例えば、第一浄水ノズル11、第一洗剤ノズル12、第二浄水ノズル13、撥水コートノズル14、第二洗剤ノズル15、ワックスノズル16などが配設されている。
【0009】
さらに、乾燥のために、ブロワ20と該ブロワ20からの送風を吹き付ける昇降自在なトップ送風ノズル21と左右一対のサイド送風ノズル22を備えている。また、洗車機本体1に配設する操作パネル7、もしくは、洗車機本体1から離れた位置に設置するリモートパネル7Aを介して、洗車機WBの駆動条件を設定し、設定された条件に基づいて洗車機WBを駆動する構成としている。8は、被洗浄車両CAの有無および車高を検知するセンサであって、例えば、光電センサや超音波を利用したソニックセンサが好適に用いられる。
【0010】
操作パネル7やリモートパネル7Aには、水洗いモードや、洗剤を用いた洗浄モードや、ワックスを塗布するワックスモードや、撥水剤をコートする撥水モードなどの各種洗車モードを選択する選択ボタンや、ブラシの回転数を制御するブラシ回転スイッチや、スタート・ストップボタンなどが設けられている。
【0011】
また、洗車機本体1を、洗浄手段を備えた洗浄機本体と乾燥手段を備えた乾燥機本体との別体として、それぞれが、被洗浄車両CAを跨ぐように門型とされ、被洗浄車両CAと洗浄機本体と乾燥機本体とを前後方向に相対移動させながら、被洗浄車両CAの洗車を行う構成の洗車機も知られている。この構成であっても、各種ブラシと各種ノズルを備え、操作パネル7もしくはリモートパネル7Aを備えていることは同じである。
【0012】
上記の門型洗車機を用いて被洗浄車両CAを洗車する際には、圧縮空気や洗浄水や液剤を薄めるための水を供給する必要があるので、洗車機本体1に圧縮空気や水を供給するエアホースおよび水ホースが接続されている。また、電源ケーブルや通信ケーブルなどの配線ケーブルも接続される。
【0013】
洗車機本体1に供給される圧縮空気は、空圧や流量を調整して分配する空圧機器を備えるエアパネルを介して分配制御され、供給される水は、水圧や流量を調整して分配する水圧機器(例えば、分配配管部61)を備える水パネルを介して分配制御され、配線ケーブルは制御パネルに接続される。
【0014】
また、洗車機本体が走行移動するタイプの場合は、接続しているホースやケーブルの洗車機本体の移動に応じて移動させる必要が生じるので、予め、これらのホースやケーブルを垂れた状態で接続したり、傾倒可能なポールを用いて洗車機本体の移動に応じてポールを傾倒させたりして対応している。
【0015】
また、洗車機本体の待機位置の近傍に固定ポールを立設し、洗車機本体に傾倒ポールを垂下した状態に取り付けて、ホースやケーブルを固定ポールの内部を下から上に向けて挿通し、固定ポールの上側から引き出し、傾倒ポールの下から上に向けて挿通して、洗車機本体の上部から取り入れる構成とした洗車機における給水管等の引込み装置が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0016】
また、洗車機本体の上面と平行に屈曲可能に接続される第一、第二支腕(アーム)を設け、立設される枢支筒と回動可能に連結して、これらの内部にホースやケーブルを挿通させて、洗車機本体の上面の所定部位から取り入れるとした給電・給水・給気装置も既に提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0017】
上記した特許文献1および2では、洗車機本体の同一部位から、エアホ−ス、水ホース、配線ケーブルを取り入れている。すなわち、洗車機本体にホースやケーブルなどを取り込む取り込み口が予め設けられ、洗車機本体内部の挿通経路や配線経路も予め定められている。また、洗車機本体に対して、ホースやケーブルを挿通する傾倒ポールの立設位置が予め定められることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】実開昭61−185657号公報
【特許文献2】特開昭60−148761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、洗車機を設置する立地条件により、また、水を供給するための水タンクや、圧縮空気を供給するコンプレッサーなどの設置条件などにより、傾倒ポールの設置位置や、ホースやケーブルの取り入れ口を変更することが求められる場合がある。
【0020】
また、右ハンドル車の多い国では、洗車機本体の右側に制御パネルや操作パネルを配設することが好ましく、左ハンドル車の多い国では、洗車機本体の左側に制御パネルや操作パネルを配設することが好ましい場合がある。すなわち、洗車機を設置する国や地域によっても、ホースやケーブルなどの取り入れ口の好ましい配設位置が異なる場合がある。
【0021】
ホースやケーブルなどの取り入れ口が所定部位に固定されていても、この取り入れ口から離れた位置から洗車機本体の上部を這わせて、取り入れ口から本体内部に取り入れ、内部に設ける配管経路や配線経路に沿ってホースやケーブルなどを挿通し、所定の部位に配設される各パネルに接続することは可能である。しかし、本体内部に、特に可動部を横切るようにして配管経路や配線経路を設けることは、コンパクトな装置構成に対する阻害要因となったり、他の可動部材との干渉を避けるように考慮する必要が生じたりして好ましくない。
【0022】
また、貯液タンクを収納するタンク収納部の配設位置や、水パネルやエアパネルや制御パネルの配設位置に応じて、エアホースや水ホースや配線ケーブルの洗車機本体への取り入れ口は同じ位置が好ましい場合と、異なる位置が好ましい場合とが生じる。
【0023】
そのために、洗車機の立地条件や設置条件などに応じて、ホースやケーブルなどの取り入れ口を適宜変更可能な構成であることが求められ、エアホースや水ホースや配線ケーブルの配管作業や配線作業を容易に行えることが望まれる。
【0024】
本発明は、上記問題点に鑑み、洗車機本体に圧縮空気を供給するためのエアホースや洗浄水を供給するための水ホースや配線ケーブルなどを接続している洗車機において、ホースやケーブルなどの取り入れ口を任意に変更可能な洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために本発明は、洗車機本体と被洗浄車両とを前後方向に相対移動させながら、圧縮空気と水と液剤を用いて洗車を行う洗車機であって、前記洗車機本体に、前記圧縮空気を供給するためのエアホースと、前記水を供給するための水ホースと、電源ケーブルなどの配線ケーブルと、を取り入れる取り入れ口を複数個所に設けると共に、前記取り入れ口に、それぞれ、互いに取替自在の取付板を取り付け、この取付板に、前記エアホースを接続する第一配管継手と、前記水ホースを接続する第二配管継手と、前記配線ケーブルを挿通可能とする配線部材との少なくとも一つを装着したことを特徴としている。
【0026】
この構成によると、エアホースを取り込みたい部位にある取り入れ口にエアホースを接続する配管継手を備えた取付板を装着するなど、それぞれのホースやケーブルを所望の部位から洗車機本体内に容易に取り入れることが可能になる。すなわち、ホースやケーブルなどの取り入れ口を任意に変更可能な洗車機を得ることができる。
【0027】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記洗車機本体は前記被洗浄車両を跨ぐ門型とされ、該門型を構成する左右一対の側部の一方に、取り入れた前記圧縮空気を分岐制御するためのエアパネルと、取り入れた前記水を配水制御するための水パネルと、前記液剤を貯留する貯液タンクを収納するタンク収納部と、を設け、前記側部の他方に、前記配線ケーブルを接続する制御パネルおよび操作パネルを設け、前記取り入れ口を、前記側部の上方側の所定部位にそれぞれ設けたことを特徴としている。この構成によると、門型の洗車機本体の左右両側のそれぞれにホースやケーブルなどの取り入れ口を備えた構成となるので、それぞれの側部側に装着された各パネルに対して配管や配線の距離を短くできる。すなわち、配管接続作業や配線接続作業を容易に行うことができる。
【0028】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記タンク収納部を前記一方の側部の前面側に設け、該タンク収納部の近傍に前記エアパネルと前記水パネルとを設け、前記操作パネルを前記他方の側部の前面側に設け、該操作パネルの近傍に前記制御パネルを設け、前記所定部位は、前記洗車機本体の天面の前面側に近接した部位であることを特徴としている。この構成によると、洗車機の前面側付近に制御パネルやエアパネルや水パネルを設けて、この近傍の天面に取り入れ口を設けるので、各パネルに対して配管や配線の距離を短くでき、配管接続作業や配線接続作業を容易に行うことができる。
【0029】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記取付板は、前記第一配管継手と前記第二配管継手と、を共に備えていることを特徴としている。この構成によると、エアパネルと水パネルを配設している側にこの取付板を装着することで、エアパネルの近傍にエアホースを接続し、水パネルの近傍に水ホースを接続して、短い配管経路で簡単な配管接続作業で圧縮空気と水を取り入れることができる。
【0030】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記取付板は、前記配線部材を備えていることを特徴としている。この構成によると、制御パネルと操作パネルを配設している側にこの取付板を装着することで、制御パネルと操作パネルの近傍から配線ケーブルを取り込むことが可能となり、短い配線経路で簡単な配線接続作業で電源ケーブルなどのケーブル類を接続することができる。
【0031】
また本発明は、上記構成の洗車機において、前記取付板は、前記第一配管継手と、前記第二配管継手と、前記配線部材と、を共に備えていることを特徴としている。この構成によると、洗車機のサイズや立地条件などにより、洗車機本体の一箇所から同時に全てのホースやケーブルなどを取り込む必要がある場合にでも容易に対応可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、洗車機本体に、圧縮空気を供給するためのエアホースや洗浄水を供給するための水ホースや配線ケーブルなどを取り入れる取り入れ口を複数個所に設けると共に、取り入れ口に、それぞれ、互いに取替自在の取付板を取り付け、この取付板に、エアホースを接続する第一配管継手と、水ホースを接続する第二配管継手と、配線ケーブルを挿通可能とする配線部材との少なくとも一つを装着した構成としたので、所望の継手や配線部材を備えた取付板を取り替えることで、ホースやケーブルなどの取り入れ口を任意に変更可能な洗車機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る洗車機の特徴部分を説明する概略正面図である。
【図2】本発明に係る洗車機の特徴部分を説明する概略斜視図である。
【図3A】取付板の第一実施形態を示す平面図である。
【図3B】取付板の第二実施形態を示す平面図である。
【図3C】取付板の第三実施形態を示す平面図である。
【図3D】取付板の変形例を示す平面図である。
【図4】傾倒ポールを備えた構成例を示す概略側面図である。
【図5】洗車機の全体構成を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。また、同一構成部材については同一の符号を用い、詳細な説明は適宜省略する。
【0035】
本実施形態の洗車機WAは、洗車機本体と被洗浄車両とを前後方向に相対移動させながら、圧縮空気と水と液剤を用いて洗車を行う洗車機であって、先に説明した図5に示す洗車機WBと同様な構成とされている。ただし、液剤を貯留する貯液タンクを収納するタンク収納部の配設位置と、ホースやケーブルなどの取り込み構成が異なる。
【0036】
図1に示すように、本実施形態では、門型とされる洗車機本体1の一方の側部1aの下方にタンク収納部60Aを設けている。また、この同じ側部1aに、洗車の際に用いる圧縮空気を分岐制御するためのエアパネルPA1と、同じく洗車の際に用いる水を配水制御するための水パネルPA2を配設している。また、他方の側部1bに、電源ケーブルや通信ケーブルなどの配線ケーブルを接続する制御パネルPA3を配設し、この制御パネルPA3と接続され各種の洗車モードを設定する操作パネル7を前面に設けている。
【0037】
圧縮空気は、外部に設置するコンプレッサー(不図示)からエアホースを介して洗車機本体1に供給される。また、洗浄水や液剤を薄めるための水も、外部に設置する水タンクから水ホースを介して洗車機本体1に供給される。
【0038】
すなわち、洗車機本体1は、電源ケーブルや通信ケーブルなどの配線ケーブルが接続されると共に、エアホースや水ホースも接続される。これらの取り入れ口は、通常、洗車機本体1の側面上部や天面部に設けられており、洗車機本体1の移動距離に対応できるように、予め垂れた状態で接続したり、傾倒ポール(ブームとも称する)を用いて接続したりしている。
【0039】
また、通常、この取り入れ口は一箇所であって、ホースやケーブルなどを一箇所から取り込み、洗車機本体内部に設ける配管経路や配線経路を経由して所定のパネル部まで導いている。
【0040】
しかし、門型洗車機のように、左右の側部に分かれてエアパネルや水パネルや制御パネルが設置されている場合には、一方の側部側に取り入れ口を設けても、いずれかの配管や配線を対向する他方の側部側まで導く必要が生じ、洗車機本体内部に配管経路や配線経路を設けることが求められる。
【0041】
また、国内仕様や海外仕様などの仕様条件によっては、操作パネルを右側ではなく左側に設ける必要が生じてしまい、洗車機本体に設ける取り入れ口から離れた部位まで配線を行う必要が生じる。
【0042】
そこで、本実施形態では、洗車機本体1と被洗浄車両CAとを前後方向に相対移動させながら、圧縮空気と水と液剤を用いて洗車を行う洗車機WAであって、洗車機本体1に、圧縮空気を供給するためのエアホースや洗浄水を供給するための水ホースや、電源ケーブルなどの配線ケーブルを取り入れる取り入れ口を複数個所に設けると共に、この取り入れ口に、それぞれ、互いに取替自在の取付板(PL1、PL2・・)を取り付け、この取付板に、エアホースを接続する第一配管継手S1と、水ホースを接続する第二配管継手S2と、配線ケーブルを挿通可能とする配線部材(例えば、グロメットG1)との少なくとも一つを装着したものである。
【0043】
例えば、図1に示すように、洗車機本体1の一方の側部1aの前面側にタンク収納部60Aを設け、この近傍にエアパネルPA1や水パネルPA2を配設する。また、この側部1aの上方側の所定部位(例えば、天面)に第一の取り入れ口を設け、エアホースを接続する第一配管継手S1と水ホースを接続する第二配管継手S2を備えた取付板PL1を取り付ける。また、他方の側部1bの前面側に操作パネル7を設け、この近傍に制御パネルPA3を配設する。また、この側部1bの上方側の所定部位(例えば、天面)に第二の取り入れ口を設け、配線ケーブルを挿通可能とする配線部材(例えば、グロメットG1)を備えた取付板PL2を取り付ける。
【0044】
このように、ホースやケーブルなどを取り入れる取り入れ口を、予め、複数個所に設けておき、この取り入れ口に互いに取替自在な取付板(PL1、PL2・・)を取り付け可能な構成であれば、任意の取り入れ口に任意の取付板を取り付けることができて、それぞれのホースやケーブルを所望の部位から洗車機本体内に容易に取り入れることが可能になる。すなわち、ホースやケーブルなどの取り入れ口を任意に変更可能な洗車機を得ることができる。
【0045】
すなわち、洗車機本体1の側部の上方側あるいは天面に、取り入れ口を複数個所に設けておき、この取り入れ口に同じサイズの取付板(PL1、PL2・・)を、例えば止めネジを用いて固定できるようにしておく。このようにすることで、取付板(PL1、PL2・・)は互いに取替自在となる。
【0046】
それぞれの取付板(PL1、PL2・・)は、エアホースを接続する第一配管継手S1と、水ホースを接続する第二配管継手S2と、配線ケーブルを挿通可能とする配線部材(例えば、グロメットG1)との少なくとも一つを有する。すなわち、第一配管継手S1か第二配管継手S2か配線部材(例えば、グロメットG1)かのいずれか一つ、または、いずれか二つ、あるいは三つを全て有していてもよい。
【0047】
例えば、図3Aに示す第一実施形態の取付板PL1は、止めネジ用の挿通孔を有する板状部材に、エアホースを接続する第一配管継手S1と水ホースを接続する第二配管継手S2を装着して構成される。また、図3Bに示す第二実施形態の取付板PL1は、止めネジ用の挿通孔を有する板状部材に、配線ケーブルを挿通可能とする配線部材(例えば、グロメットG1)を装着して構成される。
【0048】
第一配管継手S1と第二配管継手S2は、配管するエアホースや水ホースを容易に接続できる構成であればよく、その種類は特には限定されない。例えば、ねじ込み式の管継手を用いることができる。また、配管接続用のソケットを装着していてもよい。
【0049】
また、図3Cに示す第三実施形態の取付板PL3のように、エアホースを接続する第一配管継手S1と水ホースを接続する第二配管継手S2と配線ケーブルを挿通可能とする配線部材(例えば、グロメットG1)を全て装着したものでもよい。この場合は、洗車機のサイズや立地条件などにより、洗車機本体の一箇所から同時に全てのホースやケーブルなどを取り込む必要がある場合にでも容易に対応可能となる。
【0050】
また、予め複数個所に取り入れ口を設けているので、その部分を閉止したい場合には、図3Dに示す変形例のように、配管継手や配線部材を装着していない板金状の取付板PL4を取り付けるとよい。
【0051】
例えば、取り入れ口を二箇所に設ける場合は、図2の概略斜視図に示すように、洗車機本体1の前面側の天面の左右に取り入れ口17(17A、17B)を一対設ける。また、制御パネルPA3と操作パネル7を設けている側部1b側の取り入れ口17Bに取付板PL2(図中に破線で示す)を取り付ける。この構成であれば、制御パネルPA3と操作パネル7の近傍から配線ケーブルを取り込むことが可能となり、短い簡単な配線経路で配線接続することができる。
【0052】
また、エアパネルPA1と水パネルPA2および貯液タンクを収納するタンク収納部60Aを設ける側部1a側の取り入れ口17Aに取付板PL1(図中に破線で示す)を取り付ける。この構成であれば、両パネルの近傍にエアホースと水ホースを接続して配管できるので、短い簡単な配管経路で圧縮エアと水を取り入れることができる。
【0053】
タンク収納部60Aを、制御パネルPA3や操作パネル7を設けている側部1bではない反対側の側部1aの前面に設けているので、液剤の補給や交換の作業を容易に行うことができる。また、エアパネルPA1と水パネルPA2を同じ側に設けているので、これらの間に配設するチューブ配管は短くてよく、配管作業も容易になる。さらに、寒冷地仕様などの場合に、これらを同時に保温できるので、装置構成の単純化とコンパクト化を容易に図ることができる。
【0054】
上記したように、被洗浄車両を跨ぐ門型の一方の側部にエアパネルPA1と水パネルPA2およびタンク収納部60Aを設け、門型の他方の側部に制御パネルPA3および操作パネル7を設け、取り入れ口17(17A、17B)を、それぞれの側部の上方側に設ける構成であれば、門型の洗車機本体1の左右両側のそれぞれにホースやケーブルなどの取り入れ口を備えた構成となるので、それぞれの側部側に装着されたパネルや装備品に対する配管や配線を容易に行うことができる。
【0055】
また、日本仕様とは異なる海外仕様において、操作パネル7を左側の側部1aに設ける場合には、可能であれば、側部1aに配設する部材と側部1bに配設する部材とを全て入れ替えて、側部1a側の取り入れ口に取付板PL2を取り付け、側部1b側の取り入れ口に取付板PL1を取り付けるとよい。
【0056】
また、一方の側部に全ての部材やパネルを配設可能であれば、この一方の側部側の取り入れ口に、前述した取付板PL3を取り付け、他方の側部側の取り入れ口に、取付板PL4を取り付けるとよい。
【0057】
次に、傾倒ポールを介してホースやケーブルなどを導入する実施形態について図4を用いて説明する。
【0058】
図4には、傾倒ポール9を洗車機本体1の側部に配設している実施形態を示す。傾倒ポール9は、基礎に固定される架台91に回動可能に支持されており、例えば、同じく基礎に固定される架台92に装着されるスプリング93により回動駆動されて傾動する。
【0059】
ホースやケーブルなどの管束K1は、傾倒ポール9の先端に設ける管束支持部94に支持され、取り入れ口との間で大きく垂れ下がった状態とされ、洗車機本体1に取り込まれるか接続される。例えば、配線ケーブルは取付板PL2の配線部材(グロメットG1)から洗車機本体1に取り込まれる。また、エアホースや水ホースなどのホース類は、管束支持部94に支持され、取り入れ口との間で大きく垂れ下がり、取付板に装着する配管継手(第一配管継手S1、第二配管継手S2)に接続される。
【0060】
これらのホース類やケーブル類をまとめて一つの管束Kとして配管接続してもよく、管束支持部94から洗車機本体1の天面までは一つの管束Kとして配管し、洗車機本体1の天面において、ホース類とケ−ブル類を分岐して配管してもよい。
【0061】
本実施形態では、ホースやケーブルなどの取り入れ口を洗車機本体1の前方側の天面に設けたので、傾倒ポール9を、洗車機本体1の側部に配設可能であり、洗車機本体1の長手方向の後部に配している従来例と比較して、設置スペースの前後幅を小さくできる。すなわち、洗車機設置スペースの効率化を図ることができる。
【0062】
これは、傾倒ポール9を洗車機本体1の側部に配設していても、洗車機本体1の前方側の天面に設ける取り入れ口と管束支持部94との間で、管束Kを所定の曲げRで大きく垂れ下げ可能な空間領域を形成できるからである。また、洗車機の天面に取り入れ口を設けているので、傾倒ポール9が洗車機本体1の側部で傾倒しても、ポール本体と管束Kとが干渉せずに、その傾倒動作を妨害しないからである。
【0063】
このように、洗車機本体1の前方側の天面(天面の前面側に近接した部位に相当)に取り入れ口17を設ける本実施形態であれば、傾倒ポール9の配設位置を、洗車機本体1の後方に限定することなく、洗車機本体1の側部に配設できるので、設置スペースの効率化と設置スタイルのバリエーションを発揮可能となる。
【0064】
上記したように、本発明によれば、洗車機本体に、圧縮空気を供給するためのエアホースや洗浄水を供給するための水ホースや配線ケーブルなどを取り入れる取り入れ口を複数個所に設けると共に、取り入れ口に、それぞれ、互いに取替自在の取付板を取り付け、この取付板に、エアホースを接続する第一配管継手と、水ホースを接続する第二配管継手と、配線ケーブルを挿通可能とする配線部材(例えば、グロメット)との少なくとも一つを装着した構成としたので、所望の継手やグロメットを備えた取付板を付け替えることで、ホースやケーブルなどの取り入れ口を任意に変更可能な洗車機を得ることができる。
【0065】
また、洗車機本体は、被洗浄車両を跨ぐ門型とされ、該門型の一方の側部に、取り入れた圧縮空気を分岐制御するためのエアパネルと、取り入れた水を配水制御するための水パネルと、液剤を貯留する貯液タンクを収納するタンク収納部と、を設け、門型の他方の側部に、制御パネルおよび操作パネルを設け、前記取り入れ口を、それぞれの側部の上方側の所定部位に左右一対設けた構成にしているので、門型の洗車機本体の左右両側のそれぞれにホースやケーブルなどの取り入れ口を備えた構成となり、それぞれの側部側に装着されたパネルや装備品に対して配管や配線を容易に行うことができる。
【0066】
取り入れ口を設ける所定部位は、左右の側部の上方側でも、洗車機本体の天面の前面側に近接した部位でもよい。また、天面に設ける構成であれば、洗車機本体の側部に傾倒ポールを配設する構成であっても、傾倒するポール本体と導入される管束との干渉が生じないので好ましい。
【0067】
また、取り入れ口に取り付ける取付板は、エアホースを接続する第一配管継手と、水ホースを接続する第二配管継手と、配線ケーブルを挿通可能に支持する配線部材(例えば、グロメット)を共に備えていてもよい。
【0068】
上記したように本発明によれば、洗車機の立地条件や設置条件などに応じて、ホースやケーブルなどの取り入れ口を適宜変更可能な構成となり、エアホースや水ホースや配線ケーブルの配管作業や配線作業を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
そのために、本発明に係る洗車機は、洗車機を設置する国や地域、および、所望の設置レイアウトや設備構成に応じて、適宜、容易に対応することが求められる洗車機に好適に適用される。
【符号の説明】
【0070】
1 洗車機本体
2 レール
7 操作パネル
9 傾倒ポール
17 取り入れ口
60A タンク収納部
PL1〜PL3 取付板
PA1 エアパネル
PA2 水パネル
PA3 制御パネル
S1 第一配管継手
S2 第二配管継手
G1 グロメット(配線部材)
CA 被洗浄車両
WA 洗車機(本発明の)
WB 洗車機(従来の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車機本体と被洗浄車両とを前後方向に相対移動させながら、圧縮空気と水と液剤を用いて洗車を行う洗車機であって、
前記洗車機本体に、前記圧縮空気を供給するためのエアホースと、前記水を供給するための水ホースと、電源ケーブルなどの配線ケーブルと、を取り入れる取り入れ口を複数個所に設けると共に、前記取り入れ口に、それぞれ、互いに取替自在の取付板を取り付け、この取付板に、前記エアホースを接続する第一配管継手と、前記水ホースを接続する第二配管継手と、前記配線ケーブルを挿通可能とする配線部材との少なくとも一つを装着したことを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記洗車機本体は前記被洗浄車両を跨ぐ門型とされ、該門型を構成する左右一対の側部の一方に、取り入れた前記圧縮空気を分岐制御するためのエアパネルと、取り入れた前記水を配水制御するための水パネルと、前記液剤を貯留する貯液タンクを収納するタンク収納部と、を設け、前記側部の他方に、前記配線ケーブルを接続する制御パネルおよび操作パネルを設け、前記取り入れ口を、前記側部の上方側の所定部位にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記タンク収納部を前記一方の側部の前面側に設け、該タンク収納部の近傍に前記エアパネルと前記水パネルとを設け、前記操作パネルを前記他方の側部の前面側に設け、該操作パネルの近傍に前記制御パネルを設け、前記所定部位は、前記洗車機本体の天面の前面側に近接した部位であることを特徴とする請求項2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記取付板は、前記第一配管継手と、前記第二配管継手と、を共に備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗車機。
【請求項5】
前記取付板は、前記配線部材を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗車機。
【請求項6】
前記取付板は、前記第一配管継手と、前記第二配管継手と、前記配線部材と、を共に備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−18303(P2013−18303A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150832(P2011−150832)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】