津波、高潮、洪水対策用退避部屋
【課題】津波、高潮、洪水対策用の退避部屋を提供する。
【解決手段】退避部屋1は、入口にハッチ2を設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用し、水没しても浮上しない。筒状、箱状の構造体で、水圧に耐え、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や、引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定し、あるいは建物の壁と一体構造として、近くの建物の重さ、堅固さ、高さを有効利用し、屋上の高さ不足を補完し、中空2枚壁構造で耐震補強を兼ねる。
【解決手段】退避部屋1は、入口にハッチ2を設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用し、水没しても浮上しない。筒状、箱状の構造体で、水圧に耐え、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や、引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定し、あるいは建物の壁と一体構造として、近くの建物の重さ、堅固さ、高さを有効利用し、屋上の高さ不足を補完し、中空2枚壁構造で耐震補強を兼ねる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頻発する津波警報に迅速に退避でき、想定外の大きな津波や高潮、洪水に物理的な壁で阻止するのではなく、安全に退避するための至近の津波、高潮、洪水対策用退避部屋に関する。
【背景技術】
【0002】
津波対策として高い防潮堤、高台、高い建物が有効であるといわれている。しかし、その高さを超える想定外の津波には呑み込まれ、崩れて、集落が流されてしまう。従来技術は、いずれも想定内であれば安全だが、想定外の現象には抵抗のしようがなく、そこを限界として一転、危険となるところに被害を大きくする原因がある。想定外に天井川が氾濫する時も、安全から一転、被害が拡大する。来る東海・東南海・南海地震にも早期の対策が必要だが、想定値を高めに再設定すればするほど、対策の実現に莫大な費用と年月がかかる。しかも、安全の確率が高まるといえどいつまでも、どこまでも絶対安全だとは言い切れないところに従来技術で阻止するには困難さがある。想定外の津波を想定した防潮堤を築造すればすべてが解決するはずだが、河川からの遡上もあり、限りなく不可能というもの。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−322311
【特許文献2】特開2007−206803
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】平成5年版土木学会構造力学公式集、p341、p405
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い防潮堤ができるまでに相当の年月、費用がかかるが、災害は待ってくれない。高台や高い建物の屋上でも水勢で乗り上げてくる。来たる東海・東南海・南海地震にも早急な準備が必要である。先の東日本大震災による津波では、堅固でない木造家屋は、波力や漂流物に抵抗できず、破壊され、しばらくしての引き潮に流され壊滅状態であったが、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物、その壁の多くは残っていて、波力や漂流物の衝撃、水圧に耐えていた。また、浮力を利用した船舶は陸まで運ばれ、窓の閉まった自動車もたやすく浮いて流されていた。高台に逃げる途中や建物の屋上で流された人、漂流した木造家屋の屋根の上で救出とされた人と様々であった。災害は時と場所を選ばず。日頃の避難訓練が大切だが、頻発する津波警報に、積雪、凍結時、飲酒時、夜中や入浴中、高齢者など遠方の避難所では肉体的、精神的に負担が大きい。
【0006】
一方、嵐、高波に見舞われ転覆した船底の中に閉じ込められながらも救出されたニュースは幾度か聞く。これは、想定外の外力に、船が徐々に傾斜すると空気が逃げて沈没するが、外力に任せて一挙に転覆した船には空気が残り、上になった船底とその中の水面との間で密閉空間ができたことで浮力が働き、海上に浮いた状態が保たれ、救出までの時間、生存に必要な空気量が逃げださなかったものである。これらのことから、至近に、想定外の高い波でも、漂流物の衝撃から保護する構造壁あるいはその機能を有し、人数*浮上時間の生存必要空気量で浮力に逆らわず浮上する密閉構造の退避部屋、あるいは浮力に逆らう重くて堅固な構造体の退避部屋に、人数*水没時間分の生存必要空気量を維持できる密閉空間をつくりだすことで問題を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に漂流物衝撃防止機能を有し、密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持でき、陸側上に設置する退避部屋であって、その退避部屋が、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、上下方向の回転による浸水を防止し、固定しないで設置し、浮力が重量に勝ることを利用して浮上する退避部屋と、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没したまま浮上しない退避部屋と、退避入口にハッチを設けず、構造体の内部に漂流物衝撃防止機能を設け、内部への上昇水面で密閉空間を形成し、圧縮空気として保持し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没したまま浮上しない退避部屋のいずれかから選択されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、上下方向の回転による浸水を防止し、固定しないで設置し、浮力が重量に勝ることを利用して浮上する前記退避部屋として、ロープでつないでない場合は漂流し、ロープでつないでいる場合は、つないでいる個所からロープの長さの限定範囲内で漂流し引き水後は陸地に軟着陸することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に漂流物衝撃防止機能を有し、密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持し、陸側上に設置する退避部屋であって、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没しても浮上しない前記退避部屋として、水没中の水圧に耐える退避部屋で、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に筒状、箱状の退避部屋を固定し、あるいは建物の壁と一体構造として、身近の建物の重さ、堅固さ、高さを有効利用し、あるいはそれ以上逃げようのない屋上の高さ不足を補完したり中空2枚壁構造で耐震補強を兼ねたりして、巨大な設計外力の負担を軽減したことを特徴とする。また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の想定外の津波、高潮、洪水の来襲で密閉性の喪失や崩壊の可能性があり、事前に前記密閉構造体内壁を鋼板、強化プラスチックで一体補強することで、ひび割れの内壁側への貫通防止、それによる密閉性の維持、補強材料の粘り強さ、変形追従性からの崩壊防止ができることを特徴とする。また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、前記密閉構造体にひび割れを生じるなどで密閉性を喪失する致命的損傷が発生しても生存必要空気量が保持できるよう、事前に前記密閉構造体の床以外の内壁5面沿いに防水性の補強として鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と隔離して敷設することで、本体のひび割れが遮断され、上に凸の空気保持空間が形成できることを特徴とする。また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、前記密閉構造体と入口解放の退避部屋を組み合わせて、すなわち前記密閉構造体のハッチのある壁を中壁とし、その前面外側に漂流物衝撃防止機能の部屋を付加したことを特徴とする。本発明でいう建物の壁とは、建物の床、外壁、側壁、中壁、天井、屋上の床の全部を称していう。
【0010】
また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持できる退避部屋であって、退避入口にハッチを設けず、構造体の内部に漂流物衝撃防止機能を設け、内部への上昇水面で密閉空間を形成し、圧縮空気として保持し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没しても浮上しない退避部屋として、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物単独の場合、または前記建物の壁と一体構造の場合、もしくは前記建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定する筒状、箱状の退避部屋の場合は、内部に漂流物衝撃防止機能として、入口頂点高さより高い位置で、人や穏やかな水面上昇で漏れこぼれる水が通れるよう天井より50cm以上の離隔を確保した仕切り壁、または50cm以上の直径を確保したマンホールを形成した仕切り壁、あるいは入口頂点高さより高い位置で高床もしくはその両方
を設置することとし、前記建物の壁や塔に固定する筒状、箱状の退避部屋で空間が狭い場合は、内部に漂流物衝撃防止機能として、入口頂点高さより高い位置で、天井までの退避ゾーンに、漂流物の直接衝突を防ぎ、危険回避のための足場を設置することとして、ハッチを設けず解放されている構造体内部に漂流物衝撃防止機能のこれら仕切り壁や高床、足場を設置することで、外周の水位上昇とともに濁流が上昇して危険な入口濁流ゾーンと、穏やかに水位上昇するなかでの天井近くまでの呼吸を確保して安全な退避ゾーンに分離したことを特徴とする。本発明でいう建物の壁とは、建物の床、外壁、側壁、中壁、天井、屋上の床の全部を称していう。
【発明の効果】
【0011】
(0007)に記載の発明によれば、100年に1度といわれる想定外の津波、高潮、洪水の来襲があっても、いち早くかつ安全に危険回避ができ、本発明の退避部屋で数多くの人が助かる。退避者は構造体の漂流物衝撃防止機能に守られ、濁流や漂流物でけがもせず、難を逃れる人数*時間相当の、生存に必要な空気量を漏れ出さない密閉空間で確保するので、救出で、もしくは自力で生存できる。身近に設置できるのですぐ退避でき、生存率を飛躍的に上げる。家族もバラバラで逃げる必要もない。避難訓練の負担も相当に軽減される。浮力で浮上する退避部屋は、波に呑まれても、いち早く水面に浮上するため空気量は少なくて済む。寸法も小さくできるので家族用に適している。重い重量の退避部屋は、水没したまま難が去るのを待つ。水没時間が長いので大きな空気量が必要であるが、鉄筋コンクリート造りの構造体とすれば容量も大きく、百人単位の収容も可能で、大勢の人数が助かる。災害は、時と場所を選ばない。本発明で、来る東南海地震に対しても早期に対応でき、防災計画立案にも役立つ。さらに、津波以外にも、高潮や台風、大雨時の洪水、堤防決壊による河川氾濫時、海抜以下や天井川沿い地域の防災対策としても有効である。
【0012】
(0008)に記載の発明によれば、構造体にハッチを設け、浮上する移動性の退避部屋で、陸側の身近なところに設置しておくことができる。いち早く退避でき、ハッチは津波の音や外の様子を見ながら閉める余裕時間がある。漂流物衝突防止機能の構造体の壁、ハッチで全体を囲うので直接衝突することもなく退避者を守る。かつ耐圧性、防水性のハッチ、構造体で密閉構造とすることで、全方向の回転にも浸水しないため沈没しない。浮力を利用することとしているため、短時間で水面に浮上する。そのため、密閉空間に確保する生存必要空気量は極端に少なくて済む。退避者の容積を差し引いた残りの退避空間容積で十分である。浮上後ハッチを開ければすぐ空気の入れ替えができる。家族分であれば少ない空気量で充分で、構造体は小さい寸法で可能となる。想定外の巨大な波にも関係なく浮力が有効に働く。固定してないため空気のある水面にいち早く浮上する。その間、波に呑み込まれ、もまれ、天地に回転するので耐える覚悟が必要だ。洋上に漂流しても救出を待てばいい。上に夜光塗料でSOSと書いていれば夜間でもヘリコプターから発見されやすい。ロープでつないであればその長さの限定範囲での漂流で、やがて引き潮後に陸に軟着陸でき自力で助かる。この退避部屋を透明にした公共カプセルで、閉塞空間、必要空気量と呼吸、回転などの体験施設ができれば防災訓練になり防災意識がさらに高まる。
【0013】
(0009)に記載の発明によれば、構造体にハッチを設け、浮上しない固定性の退避部屋で、陸側の身近なところを利用して設置することができる。いち早く退避でき、ハッチは津波の音や外の様子を見ながら閉める余裕時間がある。漂流物衝突防止機能の壁、ハッチで全体を囲うので直接衝突することもなく退避者を守る。かつ耐圧性、防水性のハッチ、構造体で密閉構造とすることで、浸水がない。人数*水没時間の必要空気量を維持するもので、漂流せずに、その場で水没したまま災難が過ぎるのを待つことができる。マンションの壁に固定する筒状の退避部屋は、まさしく居住者のための時間、距離とも最短の退避部屋を提供する。スーパーで販売されるとなると個人で設置可能である。大人数の退避部屋として、学校やマンションにも適している。耐震補強壁を兼ねることもできるため、耐震補強が計画されている学校やマンションに1石2鳥の効果がある。また流されやすく大きな被害を受けた木造住宅であるが、その庭に設置すれば家族単位で助かることになる。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の屋上に退避部屋を設置すると、周辺状況がわかり、屋上を超す水位上昇の可能性の恐怖に怯えなくてもいいということは計り知れない効果といえる。地域ぐるみで協力を得れば、マンションなどの非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段から屋上の退避部屋に誘導できれば大人数で早くかけ上がることができる。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットできれば、まさしく地域ぐるみの実効性の高い防災対策となる。また、竜巻でマンションなどの窓が破れてもハッチを閉めれば退避部屋としても有効である。また、巨大地震で構造体にひび割れが入って、密閉性を喪失しては、津波の来襲時に退避部屋が役立たないどころか、高台に逃げなかったことでかえって危険に追い込み、悔いを残す。事前に構造体の内壁に一体補強や防水性の補強をしておけば、構造体がひび割れても貫通せずもしくは伝達せず、崩壊もせず密閉空気も保たれ、沿岸地域の多くの住民の、折角そこに退避された大人数の命を失わず、2重、3重の安全、安心は、何にも代えがたい。また、(図17)のように、密閉構造体の外側の漂流物衝撃防止機能の部屋は、入口の最後を見張る世話役の人の保護と、ハッチの直接衝突からの保護の両方に有効な漂流物衝撃防止機能がある部屋といえる。周辺の水位の上昇を見てハッチを閉める余裕ができるメリットも大きい。当然に、奥の退避部屋は安全ゾーンであり、前面の漂流物衝撃防止機能部屋は安全に導いてくれる退避部屋といえる。万が一、ハッチを閉めた後に逃げ込んできた人がいたとしても、すなわち安全ゾーンに入れなかったとしても漂流物衝撃防止機能部屋には天井までに圧縮されながらも空気が保持されるので、少人数なら大丈夫である。何より、奥の密閉部屋が定員オーバとなった時のハッチを閉めて見殺しにする精神負担がなくなる。
【0014】
(0010)に記載の発明によれば、構造体にハッチを設けず、浮上しない固定性の退避部屋で、陸側の身近なところを利用して設置することができる。いち早く退避でき、津波の音や外の様子を見ながら奥に進む余裕がある。退避部屋の入口にハッチを設けないため、出入りにある程度の自由度がある。収容定員や水位上昇でハッチを閉める決断に迫られることもない。漂流物衝突防止機能は、退避部屋の壁や内部の仕切り壁や足場により、直接衝突することを防ぎ退避者を守る機能を果たす。外の水面と等しくなったときからの内部の水面の上昇で密閉空間が形成され、そこから必要空気量が保たれる。それ以降の外部の水位上昇に対して内部の空気は圧縮されながらも保持され、どんなに大きな津波でも空気は圧縮されて残るため、スクーバ・タンクの150気圧の圧縮空気の理屈から限りなく安心感がある。人数*水没時間の必要空気量を維持するもので、漂流せずに、その場で水没したまま災難が過ぎるのを待つことができる。物理的な壁で密閉しないため、内外の水圧と気圧が等しく、大きな水圧に耐える構造計算と壁の厚み増を必要としない。そのため適用が容易である。引き潮までの間の状況が水面の動きで分かる。マンションの壁に固定する筒状の退避部屋は、まさしく居住者のための時間、距離とも最短の退避部屋を提供する。スーパーで販売されるとなると個人で設置可能である。大人数の退避部屋として、学校やマンションにも適している。一体構造とすれば耐震補強壁を兼ねることもできるため、耐震補強が計画されている学校やマンションに1石2鳥の効果がある。また流されやすく壊滅的被害を受けた木造住宅であるが、その庭に設置すれば家族単位で助かることになる。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の屋上に退避部屋を設置すると、周辺状況がわかり、屋上を超す水位上昇の可能性の恐怖に怯えなくてもいいということは計り知れない効果といえる。地域ぐるみで協力を得れば、マンションなどの非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段から屋上の退避部屋に誘導できれば大人数で早くかけ上がることができる。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットできれば、まさしく地域ぐるみの実効性の高い防災対策になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ハッチを設けた浮体を球形とし、回転抑制翼を取り付けた退避部屋の立体図
【図2】球体の外側に、衝撃吸収材として当て板を施した退避部屋の立体図
【図3】ロープでつないだ球体の回転抑制のための2点支持した退避部屋の立体図
【図4】鉄筋コンクリート造等の重くて建固な建物の退避部屋の立体図(校庭などの空地、屋上等設置の例)
【図5】鉄筋コンクリート造等の重くて建固な建物に働く射流の水平掃力による転倒モーメントと重量抵抗モーメントとの関係図
【図6】鉄筋コンクリート造等の重くて建固な建物の壁に筒状の退避部屋を固定した断面図
【図7】学校の教室の隣クラスどうしの中壁に一体構造の退避部屋を増築した平面図
【図8】既設マンションの隣どうしの中壁の両側に一体構造の退避部屋を増築し、外壁の非常階段部に地域一般用に供する退避部屋を設けた平面図
【図9】新築マンションの隣どうしの中壁に一体構造の退避部屋を設け、外壁の非常階段部に地域一般用に供する退避部屋を設けた平面図
【図10】マンション外壁と一体構造としてベランダに設置した退避部屋の平面図
【図11】建物の屋上の床に一体構造として設置した退避部屋の断面図
【図12】退避入口にハッチを設けない退避部屋において、津波高さ10m、20m、30m、40m、50mとした場合の内部の空気圧縮による水面上昇の関係図
【図13】建物の壁に、入口にハッチを設けない筒状の退避部屋を固定し、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に足場を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離した場合の、津波高さ10m、20m、30m、40、50mの場合の密閉空間の空気圧縮による水位上昇の関係と足場図
【図14】退避部屋の入口にハッチを設けず、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に仕切り壁を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離した場合の、津波高さ10m、20m、30m、40m、50mと内部の空気圧縮による水面上昇の関係図
【図15】退避部屋の入口にハッチを設けず、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に高床を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離した場合の、津波高さ10m、20m、30m、40m、50mと内部の空気圧縮による水位上昇の関係図
【図16】退避部屋の入口にハッチを設けず、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に仕切り壁を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離し、退避ゾーンに高床を設けた退避部屋の断面図
【図17】退避入口にハッチを設けず、内部の仕切り壁を中壁、構造体の側壁として請求項3のハッチ付き退避部屋を設けた退避部屋の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態として4例あげる。第1について述べる。本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲のときに密閉空間を形成する構造体であって、密閉空間を形成する空間部分の構造体には、通気孔を設けないで空間体積だけで必要空気量を確保する。逆に通気孔を設けると上下回転したときに浸水し、沈没する。港湾空港技術研究所の大型水路実験によると、海岸沿いの建物に高波の先端が崩れ激しくぶつかる射流圧力は14t/m2ほどであった。それを参考に構造体の設計耐圧は15t/m2とする。ただし、高台や高層階ですでに高いところ、海岸から遠方で水勢が弱まるところや堅固な建物の海の反対側に設置するなど激流を避けられる設置場所では設計条件は緩和される。ハッチを閉めて密閉空間を形成し、生存必要空気量を保持する構造体の場合、ハッチは、耐圧防水性とし、浸水しないよう、空気が漏れないようパッキンなどで水密性、気密性を高める。ただし、水圧は外からなので、内から外に押し上げるひも付き、または棒付き、あるいはねじ付きの栓を設けると空気入れ替えができる。内外への両開きとすると救出に役立つ。透光性、水密性ののぞき穴を設けると救出までの不安が和らぐ。構造体本体との接合部の水密性も必要で、これらは耐圧、防水実験で確認することが重要だ。耐圧性、防水性が保持できないと高い波にもまれた場合に、浮上の途中で浸水し、沈没する。ハッチを閉めて生存必要空気量を保持する構造体として、固定しないで設置し、浮力が重量に勝ることで浮上する構造体としての退避部屋は、平時は、建物のベランダ、屋上、室内、室外、敷地に固定しないで設置しておく。設置にはロープでつないでない場合と、つないでいる場合がある。構造体は、耐圧防水用のハッチで塞ぐ退避用入口を設け、鋼製、強化プラスチック製、木製、鉄筋コンクリート製もしくはそれらの組み合わせにより、部屋から空気が逃げない避難用密閉空間を形成する。空気を密閉した物体でその浮力が重量より勝る場合は、巨大な波にも関係なく浮上する。浮体の退避部屋への収容人数は特定できる家族分程度、数人程度までとする。浮体が大きすぎたり軽すぎたりすると浮力が大きく働くため、逆に波間にもまれ、回転、渦転、流転で内壁にぶつかりけがをする。内部に取手を設けるとよい。ヘルメットも準備が必要である。形状は角があると漂流時の衝突に弱いため、角のない直方体形か楕円体、球体がよい。回転で目が回ることも考えられるので、外に図1に示すような翼、リブを張り出すと水平方向の回転が抑制できる。壁板圧が薄いと突き刺さりキズに弱く沈没する。外回りに樽のように木板で図2に示すような当て板をして衝撃緩和を図る方法や鋼製、強化プラスチック製の外回りに鉄筋コンクリートで巻きたて耐衝突性を高める方法は効果的な方法だ。浮力と重量の関係では、半分以上が水中となるほうが安定する。浮体は波に呑込まれたとしても直ちに浮上していくので、大きな水圧はかからないし、空気量も、人が入れる程度の狭い空間で足りる。浮上後にハッチを開けば捕充できる。浮体は、対衝撃性、耐摩擦性、耐紫外線劣化性、耐鋭い刺し傷性が必要である。漂流時には体重のかかる足元が下になりハッチは上になる。極寒時に体温が奪われるのでなかに断熱材、底はさらなる安全のために、リブ補強、2重底構造、クッション材の敷設も有効である。ロープでつないでない場合は引き潮で沖合に出た場合の漂流にも耐える覚悟が必要である。発見されやすいよう浮体に派手な夜光塗料、上にSOSも有効。ハッチを開けて旗、帆を立てておくのもいい。津波高さより長いロープでつないでいる場合は、その長さの限定範囲内で漂流しやがて陸地に軟着陸する。退避部屋を図3に示すような2点以上で支持すれば回転の抑制になる。もしロープが切れたとしても漂流するだけのことで心配はいらない。材料で強化プラスチック製、木製、その組み合わせは、軽くて手ごろだ。日頃のメンテナンスも大切である。中の結露防止にはハッチを少し解放しておく。腐食対策は、地面とか床とかとは湿気防止で空間をとり、設置する台との支持位置をこまめに変える。支持は木片、強化プラスチック製が良い。強化プラスチック製は紫外線劣化に注意する必要があるので、退避部屋の支持片にしていれば劣化度が判定できる。室内の暗所での保管が望まれる。室外ではシートをかぶせ風雨を避ける。子供が遊ばないよう転倒、侵入防止を図る。球体の設計例を(実施例1)に示す。
【0017】
発明を実施するための第2の形態について述べる。本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲のときに密閉空間を形成する構造体であって、密閉空間を形成する空間部分の構造体には、あらかじめ必要空気量を確保するので通気孔は設けない。通気孔は弱点となり大きな水圧を受けると逆流してくる。ちなみに、長期の避難生
活する核シェルターは空気清浄化フィルター付きの通気孔を必要とする。港湾空港技術研究所の大型水路実験による海岸沿いの建物に高波の先端が崩れ激しくぶつかる射流圧力を参考に、構造体の設計耐圧は最低15t/m2とする。ただし、高台や海岸から遠方などで激流を避けられる設置場所では設計条件は緩和される。ハッチを閉めて密閉空間を形成し、生存必要空気量を保持する構造体のハッチは、耐圧防水性とし、浸水しないよう、空気が漏れないようパッキンなどで水密性、気密性を高める。内外への両開きとすると救出に役立つ。透光性、水密性ののぞき穴を設けると救出までの不安が和らぐ。構造体本体との接合部の水密性も必要で、これらは耐圧、防水実験で確認することが重要だ。耐圧性、防水性が保持できないと高い波の場合おおむね水圧が15t/m2以上になるので一挙に浸水する。50mの津波とすると設計水圧は50t/m2になる。固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることで浮上せず、かつ水没中の水圧に耐えられる構造体の例を図4に示す。射流による退避部屋の転倒検討を図5に示す。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定する筒状、箱状の退避部屋の場合は、一体的に浮力に抵抗するもので、鋼製、強化プラスチック製、鉄筋、PCコンクリート製でなる (図6参照)。また、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な退避部屋として単独で設置する場合は主に地面上に設置する(図4参照)。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁と一体構造体とする場合は(図7、8、9、10、11参照)、主に鉄筋コンクリートで一体化する。既設の鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物と一体構造として増築する場合は耐震補強ともなる。これら構造体には、水没相当の大きな水圧がかかるため、耐えるだけの壁厚計算が必要となる。東日本大震災で観測された津波の最高高さは38.9mであったが、津波の高さが50mとした場合の建物単独の退避部屋の設計例を(実施例2)に示す。設置例を列挙する。学校の例では、図7に示すとおり教室の隣クラスとの壁に一体構造として設置すると耐震補強ともなる。校庭にも必要。屋上に設けると大人数が収容できる。屋上に逃げても水位が上がる恐怖から救われる。状況を見ながら安心して退避ができるメリットは計り知れない。マンションなどでは隣り合わせの壁(図8、9参照)、ベランダ(図10参照)、敷地、屋上(図11参照)にも設置できる。図7、8、9に示すように非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段を開放すれば屋上の退避部屋にも大人数で早くかけ上がることができる。この場合も、耐震補強や安全退避のメリットが大きい。屋上では床荷重の制限からの収容人数が多いと床の補強が必要となる場合もある。木造では敷地に家族、少人数分の退避部屋を設置する。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットする。巨大な地震や、古い建物に設置する場合は一体構造体にひび割れが想定される、鋼板で強度補強する場合は、鋼板、強化プラスチックとの一体強化が有効である。すなわち、事前の地震で鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の津波等の大水圧や破壊力で密閉性を喪失したり、一挙に崩壊したりする可能性があるが、鋼板等で一体補強することで、ひび割れ貫通が防止でき密閉性が維持され、鉄板や炭素繊維などの強化プラスチックの粘り強さ、変形追従性で崩落が防止できるため、津波が去るまでの時間を耐え抜くことができる。万が一、ひび割れが構造体に入った場合も破壊の形態を想定するのが、退避部屋のそこから逃れようのない大勢の命を守る想定外への備えである。防水性の補強なら、鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と離隔して敷設する方法が、外力と共にひび割れないので有効といえる。すなわち、万が一、致命的ひび割れが構造体に入った場合も、内部の生存空気を保持できることを想定するのが想定外への備えである。ひび割れが入れば密閉性は保たれないが、事前に本体と離隔して、床防水とは切り離した床以外の内壁5面沿いに防水性の補強を施していれば、例え地震で本体の壁にひび割れが入ってしまったにしても、本体の壁とは離隔があることで、防水材にはひび割れが伝達されない。退避部屋内壁の天井を頂点として側壁沿いに形状保持がされるので、そこに上に凸の空間ができる。空気は水中では上に逃げる性質がある。一部、退避部屋のひび割れが入った壁沿いの防水材との隙間の空気はすぐ外部に逃げだし、それとともに内部の水圧が上昇する。そのあと、一体性の防水材でできる上に凸の空間には、水圧で下から上昇する水面との中に空気が圧縮されながら漏れずに保持される。ひび割れにより外部の水圧と退避部屋内部の空気圧はバランスするので、防水材に特別な強度を要しない。例えば、空気をはらんで漏らさないパラシュートやスーパーのビニール袋を逆にしたイメージで、その程度の柔らかさで十分である。ただし、塗布系の防水材は膜強度がなく不適当といえる。また、床防水と切り離す理由は、6面の全面に防水性の補強をすると、密閉構造体となり、逆にその6面体に大水圧がかかるので直ちに防水材の一部が破損して水が突入したり、破損しない場合は一挙に体積縮小、例えば10mの津波では空気圧は2気圧となり空気体積は1/2に圧縮され危険に陥るためである。ハッチの周辺に取手を付けると入りやすい。中に入っている人が手助けするとスムーズに収容される。引き潮後、入口の外に泥が堆積することも考え、ハッチは低すぎないような位置にする。内部にスクーバ・タンクを設置しておくのも空気補充で何かと安心につながる。
【0018】
発明を実施するための第3の形態について説明する。一般の人や大人数で人数が特定できない、逃げ遅れた人、収容人員に達した場合に、ハッチを閉めるかどうか判断に迷う。一度閉めて、水位がそこまで上がって開けるとなると濁水が入るため現実には困難となる。そこで、入口にハッチを設けず解放されている場合で、内部への上昇水面で密閉空間を形成し、圧縮された空気で生存必要空気量を保持する構造体について説明する。港湾空港技術研究所の大型水路実験による海岸沿いの建物に高波の先端が崩れ激しくぶつかる射流圧力を参考に、構造体の設計耐圧は最低15t/m2とする。射流の検討は実施例2、図5
を参照。ただし、高台や海岸から遠方など激流を避けられる設置場所では設計条件は緩和される。水面でできる密閉空間の構造部分に通気孔があると空気が抜けてしまうので設けてはならない。この場合、密閉空間はボイルの法則によれば気体圧力*体積=pv=一定である。内部の水位は、入口頂点高さまでは周辺の水位と同じ水位となるが、周辺水位がそれ以上の高さになっても、内部の水面は上昇するが密閉空間が確保されていれば空気が圧縮され、水位はその圧縮分までしか上がらない。例えば、図12に示すとおり、10mの津波では空気圧は2気圧となり空気体積は1/2に圧縮され、その分まで外周の水位上
昇に比べて穏やかに水位が上がる。50mの津波の場合の空気圧は6気圧となり空気体積は1/6となり、水位は天井近くまで上がるが生存できる空気は圧縮されて確保されている
。それ以上の津波でも空気は天井近くに必ず確保できている。ちなみに、潜水のスクーバ・タンクの圧縮空気圧は150気圧である。入口が解放されていて外力に抵抗しないので、建物の内側の気圧と外側の水圧が等しく、建物の壁厚を水圧のために厚くする必要はないのも特長である。できるだけ入口頂点高さを低くすると、人は入りにくくはなるが、逆に多くの内部空気量を確保でき構造体をその分小さくできるメリットが大きい。入口の周辺に取手付けると退避がスムーズとなる。入口を広げすぎると濁流や漂流物が流転するので危険である。入口を2つ以上とすると通過流速が速くなるため危険性が増す。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定する筒状、箱状の退避部屋の場合は、一体的に浮力に抵抗するもので、鋼製、強化プラスチック製、鉄筋、PCコンクリート製でなる(図13参照)。空間が狭い場合は、漂流物衝撃防止機能として、濁流物の危険回避のため内部に足場を設ける(図13参照)。筒状の小部屋では、空気量を多く確保するためなるべく下の足元に入口が設けられるが、そのままでは漂流物で足元が危険であるので漂流物衝撃防止機能の足場の上に乗る。あわせて天井近くまで上昇する水面で圧縮された空気を呼吸できるよう、天井近くまで口が届く高さの足場も兼ねる。津波等の来襲時に挿入することも可能。また、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な退避部屋として単独で設置する場合は主に地面上に設置する(図4参照)。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁と一体構造体とする場合(図7、8、9、10、11参照)は、鉄筋コンクリートで一体化するほうが経済的である。既設の鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物と一体構造として増築する場合は耐震補強ともなる。浸水時に入口頂点高さより上方から空気が逃げない退避用密閉空間を形成し、入口頂点高さより高い位置で、内部に濁流や漂流物の侵入による漂流物衝撃防止用機能として天井高さから下に人間や穏やかな水位上昇で漏れこぼれる水が通れるよう0.5m以上の隙間、あるいはマンホールを形成した仕切り壁を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンとを分離する(実施例3、図14、16参照)。入口頂点高さより高い漂流物防止機能の高床のみを設けることもできるが、内部も入口頂点高さまで外の水位と連動するので密閉空間での圧縮される空気量が少なくなり、その分、建物を大きくしなければならない(図15参照)。仕切り壁の後方の退避ゾーンに高床を設けると足元の危険が回避できる(図16参照)。高床は、少なくとも1つは人の呼吸する鼻、口が天井近くまで届く高さの高床、足場とする。足場は組み立て式だと空間余裕が生み出せ、退避環境はさらに良くなる。当然に仕切り壁や高床にタラップや階段を設ける。設置例を列挙する。学校の例では、図7に示すとおり教室の隣クラスとの壁に一体構造として設置すると耐震補強ともなる。校庭にも必要。屋上に設けると大人数が収容できる。屋上に逃げても水位が上がる恐怖から救われる。状況を見ながら安心して退避ができるメリットは計り知れない。マンションなどでは隣り合わせの壁(図8、9参照)、ベランダ(図10参照)、敷地、屋上(図11参照)にも設置できる。図7、8、9に示すように非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段を開放すれば屋上の退避部屋にも大人数で早くかけ上がることができる。この場合も、耐震補強や安全退避のメリットが大きい。屋上では床荷重の制限からの収容人数が多いと床の補強が必要となる場合もある。木造では敷地に家族、少人数分の退避部屋を設置する。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットする。巨大な地震や、古い建物に設置する場合は一体構造体にひび割れが想定される、鋼板で強度補強する場合は、鋼板、強化プラスチックとの一体強化が有効である。防水性の補強なら、鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と離隔して敷設する方法が、外力と共にひび割れないので有効といえる。入口の周辺に取手を付けると入りやすい。中に入っている人が手助けするとスムーズに収容される。内部にスクーバ・タンクを設置しておくのも空気補充で安心につながる。引き潮後、入口に泥が堆積すると出られないので、内部にスコップを備えておく。日常の管理には、入口に押せば破れる程度の簡易防犯程度で子供が入らないような囲いが必要である。
【0019】
発明を実施するための形態の第4の例を説明する。第2の例と第3の例を合わせたもので、退避部屋の入口にハッチを設けないが、中壁にハッチを設けた退避部屋を構成する退避部屋である(図17参照)。入口で漂流物衝突防止機能があるため、ハッチそのものが保護され損傷が少ない。部屋の入口とハッチ位置をずらせば、さらに保護される。すなわち、入口の最後に入る世話役の人の保護とハッチの保護の両方に有効な漂流物衝撃防止機能がある部屋といえる。入口高さより周囲の水位が上がると浮遊物は少なくなり、結果、堆積する泥も比較的少ない。ハッチの位置を入口頂点高さより上に設けると、漂流物衝撃防止機能部屋の内部の水位の上昇を見てハッチを閉める余裕ができる。ただし、そこまでの階段が必要となる。
【実施例1】
【0020】
実施例を3例示す。実施例1は、建物の室内に設置した浮体の退避部屋を示す。子供2人の4人家族分で、木造家屋の室内にコロ付きの台車に乗せて設置して、津波警報とともにドアから室外に移動する。球体とすると転がしての移動も可能である。鋼製で半径50cm、板厚1cmとすると、重量=4πr2*板厚*単位重量=4π*0.5*0.5*0.01*7.86=0.2468tf、浮力=体積=4/3πr3=0.5233t、4人の体重を0.2tとしても浮力=0.5233tf>重量=0.4468tfであるため濁流の渦に巻き込まれても直ちに浮上する。人一人の生存必要空気量は1m3/時といわれている。人の比重を約1として4人の体積は0.2m3で、子供2人で大人1人分空気が必要として4人分には3m3/時の空気が必要。球の4人分体積を差し引いた残る空気体積は0.3233m3で、生存時間は60*0.3233/3≒6.46、すなわち、約6分の空気量がある。浮上の時間はわずかなので漂流の波のうねり具合を見て瞬間的にでもハッチを開ければ新鮮な空気は補充される。ただし、波が収まるまで開けすぎないよう注意が必要なことはもちろんである。港湾空港技術研究所の射流実験を参考に15tf/m2の圧力がかかると想定する。浮体の座屈は、回転体シェルの座屈として、外圧の場合、球形シェルの近似圧壊圧力があたえられる(平成5年版土木学会構造力学公式集p405)。
p=16.70E(t/d)2.5、ここで、E:弾性係数N/mm2、t:板厚、d:球体の直径、したがって、p=16.70*200,000N/mm2*0.00001=3,408tf/m2>15tf/m2で、十分な耐荷力がある。浮体には、回転抑制、衝突防御のために補強リブを張り出すことも考えられる。衝撃吸収材の木片も効果的いえる。
【実施例2】
【0021】
実施例2は、鉄筋コンクリート造の退避部屋であって、退避入口にハッチを用いた場合の、空地に建設する退避部屋の例を示す。人一人が生存に必要な空気量は1m3/時といわれている。大人50人の退避部屋とすると、一時間耐えるには50m3の空気体積が必要で、概略計算のために、部屋は単独の高さ3m、幅4m、奥行き6mの直方体の部屋とすると、内部体積は3*4*6=72m3で引き潮までが1時間としても十分な空気がある。退避する平面スペースは、4人/m2とすると、50/4*6≒2人/m2 で退避用としては余裕がある。浮力は3*4*6=72tf、重量は、コンクリート壁厚を35cmとすると表面積*コンクリート壁厚*単位重量=2*(12+18;24)*0.35*2.5=94.5tfで、重量>浮力となり浮き上がらない。港湾空港技術研究所の射流実験を参考に水平掃力15t/m2を海側面の3m*4mが受けると、その水平モーメントは15*(3*4)*3/2=270t・m、抵抗モーメント=94.5*6/2=283.5t・mで、水平力である掃力に抵抗して転倒しない。ただし、海辺近辺では同時の浮力も考慮して、退避部屋の高さを低くし海側面積を少なくした直方体にするか、床底辺を厚くするか、下にせん断キーすなわち下駄の歯のような突起を設けるか、地中にアンカーをとるなどのさらなる対策が考えられる。東日本大震災の津波の最大は38.9mであるが50mの高さを想定する場合、設計で津波高さ50mとして、水深50mとすると50t/m2の荷重がかかる。ハッチもその設計条件にあわせた耐圧防水性のものを用いる。鉄筋コンクリート造等の建物には水圧が
50t/m2の荷重としてかかる。平板の等分荷重を受ける4辺固定板の最大モーメントは、平成5年版土木学会構造力学公式集のp341から、a=4m,b=6mではb/a=1.5で、表より
M=-0.0757・p・a2
ここに M:平板の等分荷重を受ける4辺固定板のモーメント
p:等分荷重(tf/m)
a:短辺(m)
したがって、p:奥行き幅1m当たりでは50tf/m、a:4mで、
M=-0.0757*50*4*4=60.56tf・mとなる。
簡易計算での終局時の必要鉄筋量は、
As=M/σs*(7/8)*d
ここに As:必要鉄筋量(cm2)
σs:降伏点又は0.2%耐力(N/mm2)
d :部材の有効高さ(cm)
したがって、σs: SD345の降伏点又は0.2%耐力=345N/mm2、部材厚35cm、かぶり10cmとすると、d=25cmとなり、As=6,056,000/3,520*(7/8)*25=78.64cm2、すなわち、鉄筋径D32を10本/mを配置すれば79.42 cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。したがって、50mの津波でも鉄筋コンクリートの壁厚を35cmとすれば実現可能である。
構造体の中間に隔壁を設けると、モーメントはb=4m,a=6/2=3mではb/a=1.33で、表より補間して、M=-0.0699*50*3*3=31.455tf・mとなり約半減できる。建物の壁や屋上の床と一体構造とする場合、浮力は問題にならないので、建物の一般的な壁厚に合わせて薄い壁で設計できる。壁部材厚25cm、かぶり10cmとするとd=15cmで、As=M/σs*(7/8)*d=3,145,500/3,520*(7/8)*15=68.08cm2となり、鉄筋径D32を9本/mを配置すれば71.478cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。ただし、ひび割れがあっては密閉性が保たれないので鋼板とかの強度補強で2重の安全を施すことでより安心につながる。参考として、学校の教室の壁に退避部屋を設ける場合の例を図7に掲げる。生徒40人、子供一人当たりの必要空気量は0.5m3/時として20m3、教室の横幅8m、高さ3mに1m幅の退避部屋を造れば、24m2>20m2で空気量は満足される。マンションの隣との壁に退避部屋を設ける場合の例を図8、9に掲げる。大人2人、子供2人で1時間の必要空気量は3m3、横幅8mの壁を隣どうしで半分にして、高さは3mに0.5m幅の退避部屋を造れば、(8/2)*3*0.5=6m3で空気量は満足できる。図6は鉄筋コンクリート造の重くて堅固な建物の床、中壁、天井に筒状の退避部屋を固定した場合の例である。
【0022】
実施例3は、実施例2と同じく空地に設置した3m*4m*6m、厚み0.35mの鉄筋コンクリート造りの退避部屋とし、入口にハッチを用いないで内部に仕切り壁を設け入口濁流ゾーンと退避ゾーンとに分けた退避部屋の例を示す港湾空港技術研究所の射流実験から設計水平掃力を15tf/m2として、実施例2と同じく浮力には転倒モーメントには十分抵抗して大丈夫である。入口頂点高さを1mとし、仕切り壁の床からの高さを2.3mとし、高床高さを2mとしている(図14、16参照)。入口頂点高さの1mまでは周辺の水位に連動して上昇するが、10mの津波で、周辺が10mの水位で、内部は2気圧となり中の残りの空気体積が半分となるまで水位が上がる。津波50mの水位では6気圧となり密閉空気体積は1/6になり、水位はそこまで上がる。高床には天井まで1mの空間高さがあるので十分に呼吸ができる。子供用には脚立を備えておく。避難用入口が開口部となっているので中の気圧と外の水圧が等しいため、構造的な外圧は特に考慮する必要はない。想定外としても極端な例であるが、90mの津波が来たとしても1/10の空気が残っている。密閉空間の気密性は大切で、通気孔は設けてはならない。通気孔を設けると水面上昇の圧力で空気が逃げていく。密閉空間に地震等によるコンクリートのひび割れができれば水位が上がるときに空気が抜けていく。3mの天井高さまでの水位による気圧上昇は、0.2から0.3気圧なのでそれに耐えられる2層防水シート、あるいは強化プラスチック、鋼板を敷設しておけば、漏水に対応できる。入口には濁流と漂流物が押し寄せ危険なため、漂流物衝撃防止機能の有る仕切り壁を設けて退避ゾーンを分離することにより安心できる。人が仕切り壁を乗り越えるための階段等は当然に必要である。引き水後は泥が入口に堆積しているのでスコップを備えておく。あわせて、スクーバ・タンクを備えておけばより安心できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
地震による大津波が想定される東南海地域においては、莫大な費用と時間のかかる防潮
堤によらない早期の対策が求められる。退避部屋は、建物の骨組み構造を兼ねることも可能で、さらに耐震補強壁としても設計施工に対応可能である。また、その他地域でも既設建物に退避部屋を設置する増築工事で、より効果的な耐震対策、津波、高潮、洪水など幅広い地域防災対策が可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1退避部屋、構造体(漂流物衝撃防止機能を有す)
2ハッチ(漂流物衝撃防止機能を有す)
3翼による水平回転抑制機能
4衝撃吸収材としての木板
5取手
62点でつないだロープ
7建物の天井
8建物の側壁、外壁
9建物の床 10ハッチを設けない入口
11射流
12射流の水平掃力による転倒モーメント
13重量による抵抗モーメント
14転倒や浮力に抵抗するせん断キー
15筒状の退避部屋
16壁との固定で、ボルト、アンカー類による
17廊下
18教室の隣クラスとの中壁
19教室の隣クラスとの中壁と一体構造として増築した退避部屋
20外壁に一体構造として設置、増築した退避部屋
21非常階段
22隣どうしの中壁と一体構造として増築した退避部屋
23隣どうしの中壁を、2分割で一体構造として新築した退避部屋
24マンションのベランダ
25建物の中壁
26建物の外壁と一体構造としたベランダの退避部屋
27建物の屋上の床
28建物の屋上の床と一体構造の退避部屋
29入口頂点高さまでの水位 h(1/1)=内部の水位で必要空気量が決まる水位
30津波高さ10m、20m、30m、40m、50mの場合の水位上昇、
各h(1/2)、h(1/3)、h(1/4)、h(1/5)、h(1/6)
31内部の足場(漂流物衝撃防止機能を有す)、階段、タラップ
32仕切り壁(までの水位)(漂流物衝撃防止機能を有す)
33高床
34中壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、頻発する津波警報に迅速に退避でき、想定外の大きな津波や高潮、洪水に物理的な壁で阻止するのではなく、安全に退避するための至近の津波、高潮、洪水対策用退避部屋に関する。
【背景技術】
【0002】
津波対策として高い防潮堤、高台、高い建物が有効であるといわれている。しかし、その高さを超える想定外の津波には呑み込まれ、崩れて、集落が流されてしまう。従来技術は、いずれも想定内であれば安全だが、想定外の現象には抵抗のしようがなく、そこを限界として一転、危険となるところに被害を大きくする原因がある。想定外に天井川が氾濫する時も、安全から一転、被害が拡大する。来る東海・東南海・南海地震にも早期の対策が必要だが、想定値を高めに再設定すればするほど、対策の実現に莫大な費用と年月がかかる。しかも、安全の確率が高まるといえどいつまでも、どこまでも絶対安全だとは言い切れないところに従来技術で阻止するには困難さがある。想定外の津波を想定した防潮堤を築造すればすべてが解決するはずだが、河川からの遡上もあり、限りなく不可能というもの。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−322311
【特許文献2】特開2007−206803
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】平成5年版土木学会構造力学公式集、p341、p405
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い防潮堤ができるまでに相当の年月、費用がかかるが、災害は待ってくれない。高台や高い建物の屋上でも水勢で乗り上げてくる。来たる東海・東南海・南海地震にも早急な準備が必要である。先の東日本大震災による津波では、堅固でない木造家屋は、波力や漂流物に抵抗できず、破壊され、しばらくしての引き潮に流され壊滅状態であったが、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物、その壁の多くは残っていて、波力や漂流物の衝撃、水圧に耐えていた。また、浮力を利用した船舶は陸まで運ばれ、窓の閉まった自動車もたやすく浮いて流されていた。高台に逃げる途中や建物の屋上で流された人、漂流した木造家屋の屋根の上で救出とされた人と様々であった。災害は時と場所を選ばず。日頃の避難訓練が大切だが、頻発する津波警報に、積雪、凍結時、飲酒時、夜中や入浴中、高齢者など遠方の避難所では肉体的、精神的に負担が大きい。
【0006】
一方、嵐、高波に見舞われ転覆した船底の中に閉じ込められながらも救出されたニュースは幾度か聞く。これは、想定外の外力に、船が徐々に傾斜すると空気が逃げて沈没するが、外力に任せて一挙に転覆した船には空気が残り、上になった船底とその中の水面との間で密閉空間ができたことで浮力が働き、海上に浮いた状態が保たれ、救出までの時間、生存に必要な空気量が逃げださなかったものである。これらのことから、至近に、想定外の高い波でも、漂流物の衝撃から保護する構造壁あるいはその機能を有し、人数*浮上時間の生存必要空気量で浮力に逆らわず浮上する密閉構造の退避部屋、あるいは浮力に逆らう重くて堅固な構造体の退避部屋に、人数*水没時間分の生存必要空気量を維持できる密閉空間をつくりだすことで問題を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に漂流物衝撃防止機能を有し、密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持でき、陸側上に設置する退避部屋であって、その退避部屋が、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、上下方向の回転による浸水を防止し、固定しないで設置し、浮力が重量に勝ることを利用して浮上する退避部屋と、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没したまま浮上しない退避部屋と、退避入口にハッチを設けず、構造体の内部に漂流物衝撃防止機能を設け、内部への上昇水面で密閉空間を形成し、圧縮空気として保持し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没したまま浮上しない退避部屋のいずれかから選択されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、上下方向の回転による浸水を防止し、固定しないで設置し、浮力が重量に勝ることを利用して浮上する前記退避部屋として、ロープでつないでない場合は漂流し、ロープでつないでいる場合は、つないでいる個所からロープの長さの限定範囲内で漂流し引き水後は陸地に軟着陸することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に漂流物衝撃防止機能を有し、密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持し、陸側上に設置する退避部屋であって、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没しても浮上しない前記退避部屋として、水没中の水圧に耐える退避部屋で、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に筒状、箱状の退避部屋を固定し、あるいは建物の壁と一体構造として、身近の建物の重さ、堅固さ、高さを有効利用し、あるいはそれ以上逃げようのない屋上の高さ不足を補完したり中空2枚壁構造で耐震補強を兼ねたりして、巨大な設計外力の負担を軽減したことを特徴とする。また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の想定外の津波、高潮、洪水の来襲で密閉性の喪失や崩壊の可能性があり、事前に前記密閉構造体内壁を鋼板、強化プラスチックで一体補強することで、ひび割れの内壁側への貫通防止、それによる密閉性の維持、補強材料の粘り強さ、変形追従性からの崩壊防止ができることを特徴とする。また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、前記密閉構造体にひび割れを生じるなどで密閉性を喪失する致命的損傷が発生しても生存必要空気量が保持できるよう、事前に前記密閉構造体の床以外の内壁5面沿いに防水性の補強として鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と隔離して敷設することで、本体のひび割れが遮断され、上に凸の空気保持空間が形成できることを特徴とする。また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、前記密閉構造体と入口解放の退避部屋を組み合わせて、すなわち前記密閉構造体のハッチのある壁を中壁とし、その前面外側に漂流物衝撃防止機能の部屋を付加したことを特徴とする。本発明でいう建物の壁とは、建物の床、外壁、側壁、中壁、天井、屋上の床の全部を称していう。
【0010】
また、本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持できる退避部屋であって、退避入口にハッチを設けず、構造体の内部に漂流物衝撃防止機能を設け、内部への上昇水面で密閉空間を形成し、圧縮空気として保持し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没しても浮上しない退避部屋として、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物単独の場合、または前記建物の壁と一体構造の場合、もしくは前記建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定する筒状、箱状の退避部屋の場合は、内部に漂流物衝撃防止機能として、入口頂点高さより高い位置で、人や穏やかな水面上昇で漏れこぼれる水が通れるよう天井より50cm以上の離隔を確保した仕切り壁、または50cm以上の直径を確保したマンホールを形成した仕切り壁、あるいは入口頂点高さより高い位置で高床もしくはその両方
を設置することとし、前記建物の壁や塔に固定する筒状、箱状の退避部屋で空間が狭い場合は、内部に漂流物衝撃防止機能として、入口頂点高さより高い位置で、天井までの退避ゾーンに、漂流物の直接衝突を防ぎ、危険回避のための足場を設置することとして、ハッチを設けず解放されている構造体内部に漂流物衝撃防止機能のこれら仕切り壁や高床、足場を設置することで、外周の水位上昇とともに濁流が上昇して危険な入口濁流ゾーンと、穏やかに水位上昇するなかでの天井近くまでの呼吸を確保して安全な退避ゾーンに分離したことを特徴とする。本発明でいう建物の壁とは、建物の床、外壁、側壁、中壁、天井、屋上の床の全部を称していう。
【発明の効果】
【0011】
(0007)に記載の発明によれば、100年に1度といわれる想定外の津波、高潮、洪水の来襲があっても、いち早くかつ安全に危険回避ができ、本発明の退避部屋で数多くの人が助かる。退避者は構造体の漂流物衝撃防止機能に守られ、濁流や漂流物でけがもせず、難を逃れる人数*時間相当の、生存に必要な空気量を漏れ出さない密閉空間で確保するので、救出で、もしくは自力で生存できる。身近に設置できるのですぐ退避でき、生存率を飛躍的に上げる。家族もバラバラで逃げる必要もない。避難訓練の負担も相当に軽減される。浮力で浮上する退避部屋は、波に呑まれても、いち早く水面に浮上するため空気量は少なくて済む。寸法も小さくできるので家族用に適している。重い重量の退避部屋は、水没したまま難が去るのを待つ。水没時間が長いので大きな空気量が必要であるが、鉄筋コンクリート造りの構造体とすれば容量も大きく、百人単位の収容も可能で、大勢の人数が助かる。災害は、時と場所を選ばない。本発明で、来る東南海地震に対しても早期に対応でき、防災計画立案にも役立つ。さらに、津波以外にも、高潮や台風、大雨時の洪水、堤防決壊による河川氾濫時、海抜以下や天井川沿い地域の防災対策としても有効である。
【0012】
(0008)に記載の発明によれば、構造体にハッチを設け、浮上する移動性の退避部屋で、陸側の身近なところに設置しておくことができる。いち早く退避でき、ハッチは津波の音や外の様子を見ながら閉める余裕時間がある。漂流物衝突防止機能の構造体の壁、ハッチで全体を囲うので直接衝突することもなく退避者を守る。かつ耐圧性、防水性のハッチ、構造体で密閉構造とすることで、全方向の回転にも浸水しないため沈没しない。浮力を利用することとしているため、短時間で水面に浮上する。そのため、密閉空間に確保する生存必要空気量は極端に少なくて済む。退避者の容積を差し引いた残りの退避空間容積で十分である。浮上後ハッチを開ければすぐ空気の入れ替えができる。家族分であれば少ない空気量で充分で、構造体は小さい寸法で可能となる。想定外の巨大な波にも関係なく浮力が有効に働く。固定してないため空気のある水面にいち早く浮上する。その間、波に呑み込まれ、もまれ、天地に回転するので耐える覚悟が必要だ。洋上に漂流しても救出を待てばいい。上に夜光塗料でSOSと書いていれば夜間でもヘリコプターから発見されやすい。ロープでつないであればその長さの限定範囲での漂流で、やがて引き潮後に陸に軟着陸でき自力で助かる。この退避部屋を透明にした公共カプセルで、閉塞空間、必要空気量と呼吸、回転などの体験施設ができれば防災訓練になり防災意識がさらに高まる。
【0013】
(0009)に記載の発明によれば、構造体にハッチを設け、浮上しない固定性の退避部屋で、陸側の身近なところを利用して設置することができる。いち早く退避でき、ハッチは津波の音や外の様子を見ながら閉める余裕時間がある。漂流物衝突防止機能の壁、ハッチで全体を囲うので直接衝突することもなく退避者を守る。かつ耐圧性、防水性のハッチ、構造体で密閉構造とすることで、浸水がない。人数*水没時間の必要空気量を維持するもので、漂流せずに、その場で水没したまま災難が過ぎるのを待つことができる。マンションの壁に固定する筒状の退避部屋は、まさしく居住者のための時間、距離とも最短の退避部屋を提供する。スーパーで販売されるとなると個人で設置可能である。大人数の退避部屋として、学校やマンションにも適している。耐震補強壁を兼ねることもできるため、耐震補強が計画されている学校やマンションに1石2鳥の効果がある。また流されやすく大きな被害を受けた木造住宅であるが、その庭に設置すれば家族単位で助かることになる。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の屋上に退避部屋を設置すると、周辺状況がわかり、屋上を超す水位上昇の可能性の恐怖に怯えなくてもいいということは計り知れない効果といえる。地域ぐるみで協力を得れば、マンションなどの非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段から屋上の退避部屋に誘導できれば大人数で早くかけ上がることができる。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットできれば、まさしく地域ぐるみの実効性の高い防災対策となる。また、竜巻でマンションなどの窓が破れてもハッチを閉めれば退避部屋としても有効である。また、巨大地震で構造体にひび割れが入って、密閉性を喪失しては、津波の来襲時に退避部屋が役立たないどころか、高台に逃げなかったことでかえって危険に追い込み、悔いを残す。事前に構造体の内壁に一体補強や防水性の補強をしておけば、構造体がひび割れても貫通せずもしくは伝達せず、崩壊もせず密閉空気も保たれ、沿岸地域の多くの住民の、折角そこに退避された大人数の命を失わず、2重、3重の安全、安心は、何にも代えがたい。また、(図17)のように、密閉構造体の外側の漂流物衝撃防止機能の部屋は、入口の最後を見張る世話役の人の保護と、ハッチの直接衝突からの保護の両方に有効な漂流物衝撃防止機能がある部屋といえる。周辺の水位の上昇を見てハッチを閉める余裕ができるメリットも大きい。当然に、奥の退避部屋は安全ゾーンであり、前面の漂流物衝撃防止機能部屋は安全に導いてくれる退避部屋といえる。万が一、ハッチを閉めた後に逃げ込んできた人がいたとしても、すなわち安全ゾーンに入れなかったとしても漂流物衝撃防止機能部屋には天井までに圧縮されながらも空気が保持されるので、少人数なら大丈夫である。何より、奥の密閉部屋が定員オーバとなった時のハッチを閉めて見殺しにする精神負担がなくなる。
【0014】
(0010)に記載の発明によれば、構造体にハッチを設けず、浮上しない固定性の退避部屋で、陸側の身近なところを利用して設置することができる。いち早く退避でき、津波の音や外の様子を見ながら奥に進む余裕がある。退避部屋の入口にハッチを設けないため、出入りにある程度の自由度がある。収容定員や水位上昇でハッチを閉める決断に迫られることもない。漂流物衝突防止機能は、退避部屋の壁や内部の仕切り壁や足場により、直接衝突することを防ぎ退避者を守る機能を果たす。外の水面と等しくなったときからの内部の水面の上昇で密閉空間が形成され、そこから必要空気量が保たれる。それ以降の外部の水位上昇に対して内部の空気は圧縮されながらも保持され、どんなに大きな津波でも空気は圧縮されて残るため、スクーバ・タンクの150気圧の圧縮空気の理屈から限りなく安心感がある。人数*水没時間の必要空気量を維持するもので、漂流せずに、その場で水没したまま災難が過ぎるのを待つことができる。物理的な壁で密閉しないため、内外の水圧と気圧が等しく、大きな水圧に耐える構造計算と壁の厚み増を必要としない。そのため適用が容易である。引き潮までの間の状況が水面の動きで分かる。マンションの壁に固定する筒状の退避部屋は、まさしく居住者のための時間、距離とも最短の退避部屋を提供する。スーパーで販売されるとなると個人で設置可能である。大人数の退避部屋として、学校やマンションにも適している。一体構造とすれば耐震補強壁を兼ねることもできるため、耐震補強が計画されている学校やマンションに1石2鳥の効果がある。また流されやすく壊滅的被害を受けた木造住宅であるが、その庭に設置すれば家族単位で助かることになる。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の屋上に退避部屋を設置すると、周辺状況がわかり、屋上を超す水位上昇の可能性の恐怖に怯えなくてもいいということは計り知れない効果といえる。地域ぐるみで協力を得れば、マンションなどの非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段から屋上の退避部屋に誘導できれば大人数で早くかけ上がることができる。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットできれば、まさしく地域ぐるみの実効性の高い防災対策になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ハッチを設けた浮体を球形とし、回転抑制翼を取り付けた退避部屋の立体図
【図2】球体の外側に、衝撃吸収材として当て板を施した退避部屋の立体図
【図3】ロープでつないだ球体の回転抑制のための2点支持した退避部屋の立体図
【図4】鉄筋コンクリート造等の重くて建固な建物の退避部屋の立体図(校庭などの空地、屋上等設置の例)
【図5】鉄筋コンクリート造等の重くて建固な建物に働く射流の水平掃力による転倒モーメントと重量抵抗モーメントとの関係図
【図6】鉄筋コンクリート造等の重くて建固な建物の壁に筒状の退避部屋を固定した断面図
【図7】学校の教室の隣クラスどうしの中壁に一体構造の退避部屋を増築した平面図
【図8】既設マンションの隣どうしの中壁の両側に一体構造の退避部屋を増築し、外壁の非常階段部に地域一般用に供する退避部屋を設けた平面図
【図9】新築マンションの隣どうしの中壁に一体構造の退避部屋を設け、外壁の非常階段部に地域一般用に供する退避部屋を設けた平面図
【図10】マンション外壁と一体構造としてベランダに設置した退避部屋の平面図
【図11】建物の屋上の床に一体構造として設置した退避部屋の断面図
【図12】退避入口にハッチを設けない退避部屋において、津波高さ10m、20m、30m、40m、50mとした場合の内部の空気圧縮による水面上昇の関係図
【図13】建物の壁に、入口にハッチを設けない筒状の退避部屋を固定し、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に足場を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離した場合の、津波高さ10m、20m、30m、40、50mの場合の密閉空間の空気圧縮による水位上昇の関係と足場図
【図14】退避部屋の入口にハッチを設けず、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に仕切り壁を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離した場合の、津波高さ10m、20m、30m、40m、50mと内部の空気圧縮による水面上昇の関係図
【図15】退避部屋の入口にハッチを設けず、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に高床を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離した場合の、津波高さ10m、20m、30m、40m、50mと内部の空気圧縮による水位上昇の関係図
【図16】退避部屋の入口にハッチを設けず、内部に漂流物衝撃防止機能として入口頂点高さより高い位置に仕切り壁を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンに分離し、退避ゾーンに高床を設けた退避部屋の断面図
【図17】退避入口にハッチを設けず、内部の仕切り壁を中壁、構造体の側壁として請求項3のハッチ付き退避部屋を設けた退避部屋の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態として4例あげる。第1について述べる。本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲のときに密閉空間を形成する構造体であって、密閉空間を形成する空間部分の構造体には、通気孔を設けないで空間体積だけで必要空気量を確保する。逆に通気孔を設けると上下回転したときに浸水し、沈没する。港湾空港技術研究所の大型水路実験によると、海岸沿いの建物に高波の先端が崩れ激しくぶつかる射流圧力は14t/m2ほどであった。それを参考に構造体の設計耐圧は15t/m2とする。ただし、高台や高層階ですでに高いところ、海岸から遠方で水勢が弱まるところや堅固な建物の海の反対側に設置するなど激流を避けられる設置場所では設計条件は緩和される。ハッチを閉めて密閉空間を形成し、生存必要空気量を保持する構造体の場合、ハッチは、耐圧防水性とし、浸水しないよう、空気が漏れないようパッキンなどで水密性、気密性を高める。ただし、水圧は外からなので、内から外に押し上げるひも付き、または棒付き、あるいはねじ付きの栓を設けると空気入れ替えができる。内外への両開きとすると救出に役立つ。透光性、水密性ののぞき穴を設けると救出までの不安が和らぐ。構造体本体との接合部の水密性も必要で、これらは耐圧、防水実験で確認することが重要だ。耐圧性、防水性が保持できないと高い波にもまれた場合に、浮上の途中で浸水し、沈没する。ハッチを閉めて生存必要空気量を保持する構造体として、固定しないで設置し、浮力が重量に勝ることで浮上する構造体としての退避部屋は、平時は、建物のベランダ、屋上、室内、室外、敷地に固定しないで設置しておく。設置にはロープでつないでない場合と、つないでいる場合がある。構造体は、耐圧防水用のハッチで塞ぐ退避用入口を設け、鋼製、強化プラスチック製、木製、鉄筋コンクリート製もしくはそれらの組み合わせにより、部屋から空気が逃げない避難用密閉空間を形成する。空気を密閉した物体でその浮力が重量より勝る場合は、巨大な波にも関係なく浮上する。浮体の退避部屋への収容人数は特定できる家族分程度、数人程度までとする。浮体が大きすぎたり軽すぎたりすると浮力が大きく働くため、逆に波間にもまれ、回転、渦転、流転で内壁にぶつかりけがをする。内部に取手を設けるとよい。ヘルメットも準備が必要である。形状は角があると漂流時の衝突に弱いため、角のない直方体形か楕円体、球体がよい。回転で目が回ることも考えられるので、外に図1に示すような翼、リブを張り出すと水平方向の回転が抑制できる。壁板圧が薄いと突き刺さりキズに弱く沈没する。外回りに樽のように木板で図2に示すような当て板をして衝撃緩和を図る方法や鋼製、強化プラスチック製の外回りに鉄筋コンクリートで巻きたて耐衝突性を高める方法は効果的な方法だ。浮力と重量の関係では、半分以上が水中となるほうが安定する。浮体は波に呑込まれたとしても直ちに浮上していくので、大きな水圧はかからないし、空気量も、人が入れる程度の狭い空間で足りる。浮上後にハッチを開けば捕充できる。浮体は、対衝撃性、耐摩擦性、耐紫外線劣化性、耐鋭い刺し傷性が必要である。漂流時には体重のかかる足元が下になりハッチは上になる。極寒時に体温が奪われるのでなかに断熱材、底はさらなる安全のために、リブ補強、2重底構造、クッション材の敷設も有効である。ロープでつないでない場合は引き潮で沖合に出た場合の漂流にも耐える覚悟が必要である。発見されやすいよう浮体に派手な夜光塗料、上にSOSも有効。ハッチを開けて旗、帆を立てておくのもいい。津波高さより長いロープでつないでいる場合は、その長さの限定範囲内で漂流しやがて陸地に軟着陸する。退避部屋を図3に示すような2点以上で支持すれば回転の抑制になる。もしロープが切れたとしても漂流するだけのことで心配はいらない。材料で強化プラスチック製、木製、その組み合わせは、軽くて手ごろだ。日頃のメンテナンスも大切である。中の結露防止にはハッチを少し解放しておく。腐食対策は、地面とか床とかとは湿気防止で空間をとり、設置する台との支持位置をこまめに変える。支持は木片、強化プラスチック製が良い。強化プラスチック製は紫外線劣化に注意する必要があるので、退避部屋の支持片にしていれば劣化度が判定できる。室内の暗所での保管が望まれる。室外ではシートをかぶせ風雨を避ける。子供が遊ばないよう転倒、侵入防止を図る。球体の設計例を(実施例1)に示す。
【0017】
発明を実施するための第2の形態について述べる。本発明の津波、高潮、洪水対策用退避部屋は、津波、高潮、洪水の来襲のときに密閉空間を形成する構造体であって、密閉空間を形成する空間部分の構造体には、あらかじめ必要空気量を確保するので通気孔は設けない。通気孔は弱点となり大きな水圧を受けると逆流してくる。ちなみに、長期の避難生
活する核シェルターは空気清浄化フィルター付きの通気孔を必要とする。港湾空港技術研究所の大型水路実験による海岸沿いの建物に高波の先端が崩れ激しくぶつかる射流圧力を参考に、構造体の設計耐圧は最低15t/m2とする。ただし、高台や海岸から遠方などで激流を避けられる設置場所では設計条件は緩和される。ハッチを閉めて密閉空間を形成し、生存必要空気量を保持する構造体のハッチは、耐圧防水性とし、浸水しないよう、空気が漏れないようパッキンなどで水密性、気密性を高める。内外への両開きとすると救出に役立つ。透光性、水密性ののぞき穴を設けると救出までの不安が和らぐ。構造体本体との接合部の水密性も必要で、これらは耐圧、防水実験で確認することが重要だ。耐圧性、防水性が保持できないと高い波の場合おおむね水圧が15t/m2以上になるので一挙に浸水する。50mの津波とすると設計水圧は50t/m2になる。固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることで浮上せず、かつ水没中の水圧に耐えられる構造体の例を図4に示す。射流による退避部屋の転倒検討を図5に示す。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定する筒状、箱状の退避部屋の場合は、一体的に浮力に抵抗するもので、鋼製、強化プラスチック製、鉄筋、PCコンクリート製でなる (図6参照)。また、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な退避部屋として単独で設置する場合は主に地面上に設置する(図4参照)。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁と一体構造体とする場合は(図7、8、9、10、11参照)、主に鉄筋コンクリートで一体化する。既設の鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物と一体構造として増築する場合は耐震補強ともなる。これら構造体には、水没相当の大きな水圧がかかるため、耐えるだけの壁厚計算が必要となる。東日本大震災で観測された津波の最高高さは38.9mであったが、津波の高さが50mとした場合の建物単独の退避部屋の設計例を(実施例2)に示す。設置例を列挙する。学校の例では、図7に示すとおり教室の隣クラスとの壁に一体構造として設置すると耐震補強ともなる。校庭にも必要。屋上に設けると大人数が収容できる。屋上に逃げても水位が上がる恐怖から救われる。状況を見ながら安心して退避ができるメリットは計り知れない。マンションなどでは隣り合わせの壁(図8、9参照)、ベランダ(図10参照)、敷地、屋上(図11参照)にも設置できる。図7、8、9に示すように非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段を開放すれば屋上の退避部屋にも大人数で早くかけ上がることができる。この場合も、耐震補強や安全退避のメリットが大きい。屋上では床荷重の制限からの収容人数が多いと床の補強が必要となる場合もある。木造では敷地に家族、少人数分の退避部屋を設置する。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットする。巨大な地震や、古い建物に設置する場合は一体構造体にひび割れが想定される、鋼板で強度補強する場合は、鋼板、強化プラスチックとの一体強化が有効である。すなわち、事前の地震で鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の津波等の大水圧や破壊力で密閉性を喪失したり、一挙に崩壊したりする可能性があるが、鋼板等で一体補強することで、ひび割れ貫通が防止でき密閉性が維持され、鉄板や炭素繊維などの強化プラスチックの粘り強さ、変形追従性で崩落が防止できるため、津波が去るまでの時間を耐え抜くことができる。万が一、ひび割れが構造体に入った場合も破壊の形態を想定するのが、退避部屋のそこから逃れようのない大勢の命を守る想定外への備えである。防水性の補強なら、鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と離隔して敷設する方法が、外力と共にひび割れないので有効といえる。すなわち、万が一、致命的ひび割れが構造体に入った場合も、内部の生存空気を保持できることを想定するのが想定外への備えである。ひび割れが入れば密閉性は保たれないが、事前に本体と離隔して、床防水とは切り離した床以外の内壁5面沿いに防水性の補強を施していれば、例え地震で本体の壁にひび割れが入ってしまったにしても、本体の壁とは離隔があることで、防水材にはひび割れが伝達されない。退避部屋内壁の天井を頂点として側壁沿いに形状保持がされるので、そこに上に凸の空間ができる。空気は水中では上に逃げる性質がある。一部、退避部屋のひび割れが入った壁沿いの防水材との隙間の空気はすぐ外部に逃げだし、それとともに内部の水圧が上昇する。そのあと、一体性の防水材でできる上に凸の空間には、水圧で下から上昇する水面との中に空気が圧縮されながら漏れずに保持される。ひび割れにより外部の水圧と退避部屋内部の空気圧はバランスするので、防水材に特別な強度を要しない。例えば、空気をはらんで漏らさないパラシュートやスーパーのビニール袋を逆にしたイメージで、その程度の柔らかさで十分である。ただし、塗布系の防水材は膜強度がなく不適当といえる。また、床防水と切り離す理由は、6面の全面に防水性の補強をすると、密閉構造体となり、逆にその6面体に大水圧がかかるので直ちに防水材の一部が破損して水が突入したり、破損しない場合は一挙に体積縮小、例えば10mの津波では空気圧は2気圧となり空気体積は1/2に圧縮され危険に陥るためである。ハッチの周辺に取手を付けると入りやすい。中に入っている人が手助けするとスムーズに収容される。引き潮後、入口の外に泥が堆積することも考え、ハッチは低すぎないような位置にする。内部にスクーバ・タンクを設置しておくのも空気補充で何かと安心につながる。
【0018】
発明を実施するための第3の形態について説明する。一般の人や大人数で人数が特定できない、逃げ遅れた人、収容人員に達した場合に、ハッチを閉めるかどうか判断に迷う。一度閉めて、水位がそこまで上がって開けるとなると濁水が入るため現実には困難となる。そこで、入口にハッチを設けず解放されている場合で、内部への上昇水面で密閉空間を形成し、圧縮された空気で生存必要空気量を保持する構造体について説明する。港湾空港技術研究所の大型水路実験による海岸沿いの建物に高波の先端が崩れ激しくぶつかる射流圧力を参考に、構造体の設計耐圧は最低15t/m2とする。射流の検討は実施例2、図5
を参照。ただし、高台や海岸から遠方など激流を避けられる設置場所では設計条件は緩和される。水面でできる密閉空間の構造部分に通気孔があると空気が抜けてしまうので設けてはならない。この場合、密閉空間はボイルの法則によれば気体圧力*体積=pv=一定である。内部の水位は、入口頂点高さまでは周辺の水位と同じ水位となるが、周辺水位がそれ以上の高さになっても、内部の水面は上昇するが密閉空間が確保されていれば空気が圧縮され、水位はその圧縮分までしか上がらない。例えば、図12に示すとおり、10mの津波では空気圧は2気圧となり空気体積は1/2に圧縮され、その分まで外周の水位上
昇に比べて穏やかに水位が上がる。50mの津波の場合の空気圧は6気圧となり空気体積は1/6となり、水位は天井近くまで上がるが生存できる空気は圧縮されて確保されている
。それ以上の津波でも空気は天井近くに必ず確保できている。ちなみに、潜水のスクーバ・タンクの圧縮空気圧は150気圧である。入口が解放されていて外力に抵抗しないので、建物の内側の気圧と外側の水圧が等しく、建物の壁厚を水圧のために厚くする必要はないのも特長である。できるだけ入口頂点高さを低くすると、人は入りにくくはなるが、逆に多くの内部空気量を確保でき構造体をその分小さくできるメリットが大きい。入口の周辺に取手付けると退避がスムーズとなる。入口を広げすぎると濁流や漂流物が流転するので危険である。入口を2つ以上とすると通過流速が速くなるため危険性が増す。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に固定する筒状、箱状の退避部屋の場合は、一体的に浮力に抵抗するもので、鋼製、強化プラスチック製、鉄筋、PCコンクリート製でなる(図13参照)。空間が狭い場合は、漂流物衝撃防止機能として、濁流物の危険回避のため内部に足場を設ける(図13参照)。筒状の小部屋では、空気量を多く確保するためなるべく下の足元に入口が設けられるが、そのままでは漂流物で足元が危険であるので漂流物衝撃防止機能の足場の上に乗る。あわせて天井近くまで上昇する水面で圧縮された空気を呼吸できるよう、天井近くまで口が届く高さの足場も兼ねる。津波等の来襲時に挿入することも可能。また、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な退避部屋として単独で設置する場合は主に地面上に設置する(図4参照)。鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁と一体構造体とする場合(図7、8、9、10、11参照)は、鉄筋コンクリートで一体化するほうが経済的である。既設の鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物と一体構造として増築する場合は耐震補強ともなる。浸水時に入口頂点高さより上方から空気が逃げない退避用密閉空間を形成し、入口頂点高さより高い位置で、内部に濁流や漂流物の侵入による漂流物衝撃防止用機能として天井高さから下に人間や穏やかな水位上昇で漏れこぼれる水が通れるよう0.5m以上の隙間、あるいはマンホールを形成した仕切り壁を設け、入口濁流ゾーンと退避ゾーンとを分離する(実施例3、図14、16参照)。入口頂点高さより高い漂流物防止機能の高床のみを設けることもできるが、内部も入口頂点高さまで外の水位と連動するので密閉空間での圧縮される空気量が少なくなり、その分、建物を大きくしなければならない(図15参照)。仕切り壁の後方の退避ゾーンに高床を設けると足元の危険が回避できる(図16参照)。高床は、少なくとも1つは人の呼吸する鼻、口が天井近くまで届く高さの高床、足場とする。足場は組み立て式だと空間余裕が生み出せ、退避環境はさらに良くなる。当然に仕切り壁や高床にタラップや階段を設ける。設置例を列挙する。学校の例では、図7に示すとおり教室の隣クラスとの壁に一体構造として設置すると耐震補強ともなる。校庭にも必要。屋上に設けると大人数が収容できる。屋上に逃げても水位が上がる恐怖から救われる。状況を見ながら安心して退避ができるメリットは計り知れない。マンションなどでは隣り合わせの壁(図8、9参照)、ベランダ(図10参照)、敷地、屋上(図11参照)にも設置できる。図7、8、9に示すように非常階段の外壁に設けると近所や一般の人にも開放できる。非常階段を開放すれば屋上の退避部屋にも大人数で早くかけ上がることができる。この場合も、耐震補強や安全退避のメリットが大きい。屋上では床荷重の制限からの収容人数が多いと床の補強が必要となる場合もある。木造では敷地に家族、少人数分の退避部屋を設置する。共用には例えば1kmごとに目立つよう、前後左右隣の退避部屋までの距離も明示して地域住民の頭の中に日頃からインプットする。巨大な地震や、古い建物に設置する場合は一体構造体にひび割れが想定される、鋼板で強度補強する場合は、鋼板、強化プラスチックとの一体強化が有効である。防水性の補強なら、鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と離隔して敷設する方法が、外力と共にひび割れないので有効といえる。入口の周辺に取手を付けると入りやすい。中に入っている人が手助けするとスムーズに収容される。内部にスクーバ・タンクを設置しておくのも空気補充で安心につながる。引き潮後、入口に泥が堆積すると出られないので、内部にスコップを備えておく。日常の管理には、入口に押せば破れる程度の簡易防犯程度で子供が入らないような囲いが必要である。
【0019】
発明を実施するための形態の第4の例を説明する。第2の例と第3の例を合わせたもので、退避部屋の入口にハッチを設けないが、中壁にハッチを設けた退避部屋を構成する退避部屋である(図17参照)。入口で漂流物衝突防止機能があるため、ハッチそのものが保護され損傷が少ない。部屋の入口とハッチ位置をずらせば、さらに保護される。すなわち、入口の最後に入る世話役の人の保護とハッチの保護の両方に有効な漂流物衝撃防止機能がある部屋といえる。入口高さより周囲の水位が上がると浮遊物は少なくなり、結果、堆積する泥も比較的少ない。ハッチの位置を入口頂点高さより上に設けると、漂流物衝撃防止機能部屋の内部の水位の上昇を見てハッチを閉める余裕ができる。ただし、そこまでの階段が必要となる。
【実施例1】
【0020】
実施例を3例示す。実施例1は、建物の室内に設置した浮体の退避部屋を示す。子供2人の4人家族分で、木造家屋の室内にコロ付きの台車に乗せて設置して、津波警報とともにドアから室外に移動する。球体とすると転がしての移動も可能である。鋼製で半径50cm、板厚1cmとすると、重量=4πr2*板厚*単位重量=4π*0.5*0.5*0.01*7.86=0.2468tf、浮力=体積=4/3πr3=0.5233t、4人の体重を0.2tとしても浮力=0.5233tf>重量=0.4468tfであるため濁流の渦に巻き込まれても直ちに浮上する。人一人の生存必要空気量は1m3/時といわれている。人の比重を約1として4人の体積は0.2m3で、子供2人で大人1人分空気が必要として4人分には3m3/時の空気が必要。球の4人分体積を差し引いた残る空気体積は0.3233m3で、生存時間は60*0.3233/3≒6.46、すなわち、約6分の空気量がある。浮上の時間はわずかなので漂流の波のうねり具合を見て瞬間的にでもハッチを開ければ新鮮な空気は補充される。ただし、波が収まるまで開けすぎないよう注意が必要なことはもちろんである。港湾空港技術研究所の射流実験を参考に15tf/m2の圧力がかかると想定する。浮体の座屈は、回転体シェルの座屈として、外圧の場合、球形シェルの近似圧壊圧力があたえられる(平成5年版土木学会構造力学公式集p405)。
p=16.70E(t/d)2.5、ここで、E:弾性係数N/mm2、t:板厚、d:球体の直径、したがって、p=16.70*200,000N/mm2*0.00001=3,408tf/m2>15tf/m2で、十分な耐荷力がある。浮体には、回転抑制、衝突防御のために補強リブを張り出すことも考えられる。衝撃吸収材の木片も効果的いえる。
【実施例2】
【0021】
実施例2は、鉄筋コンクリート造の退避部屋であって、退避入口にハッチを用いた場合の、空地に建設する退避部屋の例を示す。人一人が生存に必要な空気量は1m3/時といわれている。大人50人の退避部屋とすると、一時間耐えるには50m3の空気体積が必要で、概略計算のために、部屋は単独の高さ3m、幅4m、奥行き6mの直方体の部屋とすると、内部体積は3*4*6=72m3で引き潮までが1時間としても十分な空気がある。退避する平面スペースは、4人/m2とすると、50/4*6≒2人/m2 で退避用としては余裕がある。浮力は3*4*6=72tf、重量は、コンクリート壁厚を35cmとすると表面積*コンクリート壁厚*単位重量=2*(12+18;24)*0.35*2.5=94.5tfで、重量>浮力となり浮き上がらない。港湾空港技術研究所の射流実験を参考に水平掃力15t/m2を海側面の3m*4mが受けると、その水平モーメントは15*(3*4)*3/2=270t・m、抵抗モーメント=94.5*6/2=283.5t・mで、水平力である掃力に抵抗して転倒しない。ただし、海辺近辺では同時の浮力も考慮して、退避部屋の高さを低くし海側面積を少なくした直方体にするか、床底辺を厚くするか、下にせん断キーすなわち下駄の歯のような突起を設けるか、地中にアンカーをとるなどのさらなる対策が考えられる。東日本大震災の津波の最大は38.9mであるが50mの高さを想定する場合、設計で津波高さ50mとして、水深50mとすると50t/m2の荷重がかかる。ハッチもその設計条件にあわせた耐圧防水性のものを用いる。鉄筋コンクリート造等の建物には水圧が
50t/m2の荷重としてかかる。平板の等分荷重を受ける4辺固定板の最大モーメントは、平成5年版土木学会構造力学公式集のp341から、a=4m,b=6mではb/a=1.5で、表より
M=-0.0757・p・a2
ここに M:平板の等分荷重を受ける4辺固定板のモーメント
p:等分荷重(tf/m)
a:短辺(m)
したがって、p:奥行き幅1m当たりでは50tf/m、a:4mで、
M=-0.0757*50*4*4=60.56tf・mとなる。
簡易計算での終局時の必要鉄筋量は、
As=M/σs*(7/8)*d
ここに As:必要鉄筋量(cm2)
σs:降伏点又は0.2%耐力(N/mm2)
d :部材の有効高さ(cm)
したがって、σs: SD345の降伏点又は0.2%耐力=345N/mm2、部材厚35cm、かぶり10cmとすると、d=25cmとなり、As=6,056,000/3,520*(7/8)*25=78.64cm2、すなわち、鉄筋径D32を10本/mを配置すれば79.42 cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。したがって、50mの津波でも鉄筋コンクリートの壁厚を35cmとすれば実現可能である。
構造体の中間に隔壁を設けると、モーメントはb=4m,a=6/2=3mではb/a=1.33で、表より補間して、M=-0.0699*50*3*3=31.455tf・mとなり約半減できる。建物の壁や屋上の床と一体構造とする場合、浮力は問題にならないので、建物の一般的な壁厚に合わせて薄い壁で設計できる。壁部材厚25cm、かぶり10cmとするとd=15cmで、As=M/σs*(7/8)*d=3,145,500/3,520*(7/8)*15=68.08cm2となり、鉄筋径D32を9本/mを配置すれば71.478cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。ただし、ひび割れがあっては密閉性が保たれないので鋼板とかの強度補強で2重の安全を施すことでより安心につながる。参考として、学校の教室の壁に退避部屋を設ける場合の例を図7に掲げる。生徒40人、子供一人当たりの必要空気量は0.5m3/時として20m3、教室の横幅8m、高さ3mに1m幅の退避部屋を造れば、24m2>20m2で空気量は満足される。マンションの隣との壁に退避部屋を設ける場合の例を図8、9に掲げる。大人2人、子供2人で1時間の必要空気量は3m3、横幅8mの壁を隣どうしで半分にして、高さは3mに0.5m幅の退避部屋を造れば、(8/2)*3*0.5=6m3で空気量は満足できる。図6は鉄筋コンクリート造の重くて堅固な建物の床、中壁、天井に筒状の退避部屋を固定した場合の例である。
【0022】
実施例3は、実施例2と同じく空地に設置した3m*4m*6m、厚み0.35mの鉄筋コンクリート造りの退避部屋とし、入口にハッチを用いないで内部に仕切り壁を設け入口濁流ゾーンと退避ゾーンとに分けた退避部屋の例を示す港湾空港技術研究所の射流実験から設計水平掃力を15tf/m2として、実施例2と同じく浮力には転倒モーメントには十分抵抗して大丈夫である。入口頂点高さを1mとし、仕切り壁の床からの高さを2.3mとし、高床高さを2mとしている(図14、16参照)。入口頂点高さの1mまでは周辺の水位に連動して上昇するが、10mの津波で、周辺が10mの水位で、内部は2気圧となり中の残りの空気体積が半分となるまで水位が上がる。津波50mの水位では6気圧となり密閉空気体積は1/6になり、水位はそこまで上がる。高床には天井まで1mの空間高さがあるので十分に呼吸ができる。子供用には脚立を備えておく。避難用入口が開口部となっているので中の気圧と外の水圧が等しいため、構造的な外圧は特に考慮する必要はない。想定外としても極端な例であるが、90mの津波が来たとしても1/10の空気が残っている。密閉空間の気密性は大切で、通気孔は設けてはならない。通気孔を設けると水面上昇の圧力で空気が逃げていく。密閉空間に地震等によるコンクリートのひび割れができれば水位が上がるときに空気が抜けていく。3mの天井高さまでの水位による気圧上昇は、0.2から0.3気圧なのでそれに耐えられる2層防水シート、あるいは強化プラスチック、鋼板を敷設しておけば、漏水に対応できる。入口には濁流と漂流物が押し寄せ危険なため、漂流物衝撃防止機能の有る仕切り壁を設けて退避ゾーンを分離することにより安心できる。人が仕切り壁を乗り越えるための階段等は当然に必要である。引き水後は泥が入口に堆積しているのでスコップを備えておく。あわせて、スクーバ・タンクを備えておけばより安心できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
地震による大津波が想定される東南海地域においては、莫大な費用と時間のかかる防潮
堤によらない早期の対策が求められる。退避部屋は、建物の骨組み構造を兼ねることも可能で、さらに耐震補強壁としても設計施工に対応可能である。また、その他地域でも既設建物に退避部屋を設置する増築工事で、より効果的な耐震対策、津波、高潮、洪水など幅広い地域防災対策が可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1退避部屋、構造体(漂流物衝撃防止機能を有す)
2ハッチ(漂流物衝撃防止機能を有す)
3翼による水平回転抑制機能
4衝撃吸収材としての木板
5取手
62点でつないだロープ
7建物の天井
8建物の側壁、外壁
9建物の床 10ハッチを設けない入口
11射流
12射流の水平掃力による転倒モーメント
13重量による抵抗モーメント
14転倒や浮力に抵抗するせん断キー
15筒状の退避部屋
16壁との固定で、ボルト、アンカー類による
17廊下
18教室の隣クラスとの中壁
19教室の隣クラスとの中壁と一体構造として増築した退避部屋
20外壁に一体構造として設置、増築した退避部屋
21非常階段
22隣どうしの中壁と一体構造として増築した退避部屋
23隣どうしの中壁を、2分割で一体構造として新築した退避部屋
24マンションのベランダ
25建物の中壁
26建物の外壁と一体構造としたベランダの退避部屋
27建物の屋上の床
28建物の屋上の床と一体構造の退避部屋
29入口頂点高さまでの水位 h(1/1)=内部の水位で必要空気量が決まる水位
30津波高さ10m、20m、30m、40m、50mの場合の水位上昇、
各h(1/2)、h(1/3)、h(1/4)、h(1/5)、h(1/6)
31内部の足場(漂流物衝撃防止機能を有す)、階段、タラップ
32仕切り壁(までの水位)(漂流物衝撃防止機能を有す)
33高床
34中壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に漂流物衝撃防止機能を有し、密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持し、陸側上に設置する退避部屋であって、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没しても浮上しない前記退避部屋として、水没中の水圧に耐える退避部屋で、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に筒状、箱状の退避部屋を固定し、あるいは建物の壁と一体構造として、身近の建物の重さ、堅固さ、高さを有効利用し、あるいはそれ以上逃げようのない屋上の高さ不足を補完したり中空2枚壁構造で耐震補強を兼ねたりして、巨大な設計外力の負担を軽減したことを特徴とする津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項2】
津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の想定外の津波、高潮、洪水の来襲で密閉性の喪失や崩壊の可能性があり、事前に前記密閉構造体内壁を鋼板、強化プラスチックで一体補強することで、ひび割れの内壁側への貫通防止、それによる密閉性の維持、補強材料の粘り強さ、変形追従性からの崩壊防止ができることを特徴とする単独の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項3】
津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の想定外の津波、高潮、洪水の来襲で密閉性の喪失や崩壊の可能性があり、事前に前記密閉構造体内壁を鋼板、強化プラスチックで一体補強することで、ひび割れの内壁側への貫通防止、それによる密閉性の維持、補強材料の粘り強さ、変形追従性からの崩壊防止ができることを特徴とする請求項1に記載の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項4】
津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、前記密閉構造体にひび割れを生じるなどで密閉性を喪失する致命的損傷が発生しても生存必要空気量が保持できるよう、事前に前記密閉構造体の床以外の内壁5面沿いに防水性の補強として鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と隔離して敷設することで、本体のひび割れが遮断され、上に凸の空気保持空間が形成できることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項5】
前記密閉構造体と入口解放の退避部屋を組み合わせて、すなわち前記密閉構造体のハッチのある壁を中壁とし、その前面外側に漂流物衝撃防止機能の部屋を付加したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
(1)
【請求項1】
想定外の津波、高潮、洪水の来襲のときでも常に漂流物衝撃防止機能を有し、密閉空間を維持し、生存必要空気量を保持し、陸側上に設置する退避部屋であって、退避入口にハッチを設け、密閉構造体を形成し、水圧による浸水を防止し、固定して設置し、固定重量が浮力に勝ることを利用して水没しても浮上しない前記退避部屋として、水没中の水圧に耐える退避部屋で、鉄筋コンクリート造等の重くて堅固な建物の壁や引き抜き抵抗の大きい鋼管構造の塔に筒状、箱状の退避部屋を固定し、あるいは建物の壁と一体構造として、身近の建物の重さ、堅固さ、高さを有効利用し、あるいはそれ以上逃げようのない屋上の高さ不足を補完したり中空2枚壁構造で耐震補強を兼ねたりして、巨大な設計外力の負担を軽減したことを特徴とする津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項2】
津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の想定外の津波、高潮、洪水の来襲で密閉性の喪失や崩壊の可能性があり、事前に前記密閉構造体内壁を鋼板、強化プラスチックで一体補強することで、ひび割れの内壁側への貫通防止、それによる密閉性の維持、補強材料の粘り強さ、変形追従性からの崩壊防止ができることを特徴とする単独の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項3】
津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、鉄筋コンクリート造等の密閉構造体にひび割れを生じると、その後の想定外の津波、高潮、洪水の来襲で密閉性の喪失や崩壊の可能性があり、事前に前記密閉構造体内壁を鋼板、強化プラスチックで一体補強することで、ひび割れの内壁側への貫通防止、それによる密閉性の維持、補強材料の粘り強さ、変形追従性からの崩壊防止ができることを特徴とする請求項1に記載の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項4】
津波、高潮、洪水の来襲前の巨大地震で、前記密閉構造体にひび割れを生じるなどで密閉性を喪失する致命的損傷が発生しても生存必要空気量が保持できるよう、事前に前記密閉構造体の床以外の内壁5面沿いに防水性の補強として鋼板、強化プラスチック、2層以上の防水シート、これらの組み合わせを本体と隔離して敷設することで、本体のひび割れが遮断され、上に凸の空気保持空間が形成できることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
【請求項5】
前記密閉構造体と入口解放の退避部屋を組み合わせて、すなわち前記密閉構造体のハッチのある壁を中壁とし、その前面外側に漂流物衝撃防止機能の部屋を付加したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の津波、高潮、洪水対策用退避部屋。
(1)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−246750(P2012−246750A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86021(P2012−86021)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【分割の表示】特願2011−133703(P2011−133703)の分割
【原出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(509220323)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【分割の表示】特願2011−133703(P2011−133703)の分割
【原出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(509220323)
【Fターム(参考)】
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