説明

活動モニタリング

異なった動きセンサからの活動値を単純に加えることによって生じる、現在の活動モニタと関連する誤差を低減するように動作する活動モニタが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活動モニタリングに関し、限定的ではないが特に、人間の活動モニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の身体活動は、その人間の健康の重要な決定因子である。日々の身体活動の量は、種々の病気の原因、防止及び処置における中心的な因子であると考えられる。個人の身体活動に関する情報は、当該個人の機能的な健康状態及び生活の質を維持又は向上させることについて当該個人を支援することができる。
【0003】
人間の活動をモニタする既知のシステムは、Bouten他による文献「A Triaxial Accelerometer and Portable Data Processing Unit for the Assessment of Daily Physical Activity」(IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vol. 44, No.3, 1997年3月)に説明されている。
【0004】
この既知のシステムによれば、直交して取り付けられた3つの一軸ピエゾ抵抗型加速度計からなる三軸加速度計が、人体の加速の振幅及び周波数範囲をカバーする加速を測定するのに用いられる。個人が、特定の期間にわたって三軸加速度計を着用する。データ処理ユニットがこの三軸加速度計に取り付けられており、3つの直交する測定方向からの加速度計出力のモジュラスの時間積分を決定するようプログラムされている。これらの時間積分は、合計され、出力は、コンピュータによって読み出されることができるメモリに記憶される。三軸加速度計の出力は、身体活動に起因するエネルギー消費と何らかの関係を持っており、それ自体、このエネルギー消費の尺度を与える。
【0005】
既知のシステムは、三方向における人体の加速の測定を許可する。集積回路技術の分野における最先端の技術を用いることにより、加速度計は、小型且つ軽量に構築されることができ、これにより、該加速度計を着用している個人に負担を負わせることなく数日間又は更に長くさえも着用されることを可能にする。
【0006】
しかし、この既知のシステムは、それぞれの加速度計の出力を単純に加算することは、近軸でない(not paraxial)運動について誤差が導入されることを意味するという大きな欠点を有する。例えば、x及びy軸の間のz面内での運動については、最大誤差は√2(約41%)である。3つの軸については、誤差は、√3にまで高くなりうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、これらの欠点を克服することができる活動モニタを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面によれば、動きセンサによって経験される動きを表すそれぞれのセンサ信号を発生させるための複数の当該動きセンサを含む測定ユニットと、前記測定ユニットから前記センサ信号を受信して前記センサ信号を所定の方法に従って処理するように動作可能なプロセッサとを有する活動モニタにおいて、前記プロセッサは、前記センサ信号をそれぞれのベクトル成分として処理するように動作可能であることを特徴とする活動モニタが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の1つの側面の実施例である活動モニタ1を示す。活動モニタ1は、測定ユニット11、プロセッサ12及びメモリユニット13を有する。測定ユニット11は、活動モニタ1の動きを表すデータ信号を発生させ、これらのデータ信号をプロセッサ12に供給するように動作可能である。プロセッサ12は、測定ユニットから出力されたデータ信号を処理するよう動作可能であり、これらのデータ信号又は処理の結果をメモリユニット13に記憶することができる。データはプロセッサとメモリユニット13との間で転送されることができる。プロセッサ12は、外部のホストシステム2に接続されることも可能であり、該システム2は、パーソナルコンピュータ(PC)又は他の適当なシステムであってよい。外部ホストシステム2は、活動モニタ1に保持されるデータの追加処理を実行するのに用いられることができる。
【0010】
使用中、動作モニタ1は、モニタされるべき物体に取り付けられる。説明の便宜上、以下では、該物体は人間であると仮定されるが、明らかに、このような活動モニタをあらゆる物体に適用することが可能である。活動モニタは、個人又は物体に特定の期間取り付けられる。
【0011】
測定ユニットは、互いに直交する方向に構成される3つの加速度計を有する。加速度計は、これら加速度計によって経験されるそれぞれの加速を表すデータ信号を出力する。3つの加速度計は、従来の態様で互いに直交して構成される。
【0012】
個人の上で、これらの方向は、「前後」、「左右」及び「縦」に形成され、これらはそれぞれx、y及びzとして示される。加速度計は、一軸でシリアルバイモルフである圧電材料のストリップを有する。ストリップは、その一端において固定される。
【0013】
圧電加速度計は、減衰される質量ばねシステム(damped mass-spring systems)として動作し、ここで、圧電ストリップはばね及びダンパとして動作する。個人の運動に起因するストリップの運動は、データ信号の測定につながる電荷を発生させる。人間の運動の場合には、データ信号の周波数は0.1〜20Hzの範囲にある。データ信号の振幅は−12g〜+12gにある。これらの数は、上述の文献においてより詳細に説明されている。このようなデータ信号を測定する適切な圧電材料は、当業者に知られている。
【0014】
図2は、測定ユニット11の3つの加速度計の直交出力を示す。出力は、それぞれax、ay及びazと呼ばれる。本発明によれば、加速度計からのこれらの出力データ信号は、加速ベクトルの直交成分として扱われる。従って、ベクトルの大きさは、a=√(ax2
+ ay2 + az2)と知られる。加速度計の出力をこのように処理し、これによりベクトルの大きさを計算することは、前に発生した誤差が修正されることを可能にする。従って、ベクトルの大きさは活動モニタ1によって経験される合計された加速の正確な反映を与える。加えて、加速ベクトルaは、このとき、自動的に、加速度計によって測定される正味の加速に関する幾らかの方向情報を含む。
【0015】
ベクトルの大きさを計算することはプロセッサ集中的な活動でありうるが、本発明の好適な実施例においては、ax、ay及びazの種々の異なった値についての大きさを与える参照表が提供される。このように、の大きさの計算は、単純に表の参照によって達成されることができる。参照表の使用は、より低い電力消費を可能にすることができる。なぜなら、参照動作は、必要とされる結果を計算するためにアルゴリズムを用いるよりも効率的だからである。一般的には、結果の正確さは、+/−1%のオーダーである必要があるので、記憶されるべきデータはかなり限られている。これは、必要とされる結果を供給するのに限られたメモリ資源しか必要とされないという利点がある。
【0016】
明確にするため、図3は、本発明の他の側面の実施例である方法を示す。ステップAにおいて、プロセッサは、3つの加速度計からデータ信号を受信する。ベクトルは、ステップBでデータ信号を用いて計算され、ベクトルの大きさはステップCで計算される。上記のように、計算は、プロセッサによって直接に又は表参照プロセスによって行われることができる。ステップDにおいて、結果として得られるの大きさはメモリユニット13に記憶される。加えて、の方向に関する情報はメモリに記憶されることができる。
【0017】
加速度計は、所望の動きセンサに過ぎず、本発明の実施例においてあらゆる適切な動きセンサが用いられることができ本発明の利点を達成することができることが容易に認識されるであろう。
【0018】
従って、本発明の実施例である動作モニタ及び方法は、前に考慮された動作モニタにおいて引き起こされた誤差を修正することができることは認識される。本明細書において、用いられる用語「有する(comprise)」は、述べられた機能、整数、ステップ又は構成要素の存在を明示するために用いられるが、1つ又は複数の他の機能、整数、ステップ、構成要素又はこれらの群の追加を排除しないことが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの側面の実施例であるシステムの構成要素を図式的に示すブロック図を示す。
【図2】3つの加速度計の直交位置を図式的に示す。
【図3】本発明の他の側面の実施例である方法のステップの流れ図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動きセンサによって経験される動きを表すそれぞれのセンサ信号を発生させるための複数の当該動きセンサを含む測定ユニットと、
前記測定ユニットから前記センサ信号を受信して前記センサ信号を所定の方法に従って処理するように動作可能なプロセッサと、
を有する活動モニタにおいて、
前記プロセッサは、前記センサ信号をそれぞれのベクトル成分として処理して結果のベクトルを発生させるように動作可能であることを特徴とする活動モニタ。
【請求項2】
前記動きセンサは加速度計である、請求項1に記載の活動モニタ。
【請求項3】
前記動きセンサは互いに直交するように構成される、請求項1又は2に記載の活動モニタ。
【請求項4】
請求項3に記載の活動モニタにおいて、前記プロセッサは、前記結果のベクトルの大きさを次の式に従って計算するように動作可能であり、
a=√(ax2 + ay2 + az2)
ここで、aは前記結果のベクトルの前記大きさであり、ax、ay及びazはそれぞれのセンサ信号である、活動モニタ。
【請求項5】
aの値は参照表に記憶される、請求項4に記載の活動モニタ。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記結果のベクトルの方向を計算するように動作可能である、請求項4に記載の活動モニタ。
【請求項7】
動きセンサによって経験される動きを表すそれぞれのセンサ信号を発生させるように動作可能な複数の当該動きセンサを用いて活動をモニタする方法であって、センサ信号を受信して前記センサ信号を所定の方法に従って処理するステップを有する方法において、前記センサ信号は、それぞれのベクトル成分として処理されて、結果のベクトルを発生させることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記結果のベクトルの大きさは次の式に従って計算され、
a=√(ax2 + ay2 + az2)
ここで、aは前記結果のベクトルの前記大きさであり、ax、ay及びazはそれぞれのセンサ信号である、方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法において、前記結果のベクトルの方向を計算して記憶するステップを有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−509550(P2006−509550A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558894(P2004−558894)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005333
【国際公開番号】WO2004/052201
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】