説明

活性エネルギー線硬化性組成物

【課題】 活性エネルギー線硬化性化合物との相容性に優れ、活性エネルギー線の照射により速やかに硬化して、基材との密着性、硬度、耐水性、耐久性等に優れる被膜等を形成する、活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の提供。
【解決手段】 アミノ基およびカルボキシル基を有する重合体と活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体のうちのいずれか一方を幹部とし他方を枝部とする活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体、並びに(メタ)アクリロイル基を1個以上有する分子量が100〜5,000の活性エネルギー線硬化性化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体を含有する活性エネルギー線硬化性組成物に関する。詳しくは、本発明は、活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体を含有する、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化するインキ、塗料、被覆剤、接着剤、フォトレジストインキ、カラーフィルター、ドライフィルムなどに有効に用いることのできる活性エネルギー線硬化性組成物に関する。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、顔料の分散性、基材との密着性、活性エネルギー線による硬化性、硬化速度などの特性に優れている。
【背景技術】
【0002】
紫外線などの活性エネルギー線硬化性のコーティング剤として、顔料、分散剤およびアクリルオリゴマーなどの活性エネルギー線硬化性化合物を組み合わせたものが従来から知られている。アクリルオリゴマーを用いたコーティング剤は紫外線などの活性エネルギー線による硬化性には優れているが耐候性や顔料分散性に劣っており、一方、分散剤は、顔料の分散を促進するが活性エネルギー線硬化性に劣っていることから、前記コーティング剤は、アクリルオリゴマーと分散剤を併用することによって互いの性能不足を補おうとするものである。
【0003】
前記したコーティング剤などでは、分散剤として、従来、ポリカルボン酸およびその塩に代表されるアニオン性化合物、脂肪族アミンおよびその塩に代表されるカチオン性化合物、アミノ酸やベタイン化合物に代表される両性化合物、非イオン系やフッ素系の高分子化合物が汎用されてきた。例えば、非特許文献1に紹介されているように、このような従来技術では、顔料の表面にある酸点や塩基点に対して分散剤や樹脂中の酸性官能基や塩基性官能基が不可逆的に吸着し、それによって顔料の分散性が向上すると考えられている。高分子重合体系の分散剤では、分散性能の点からは極性基を有するものの方が極性基を持たないものよりも優れていると考えられるが、実際上は、極性基を有する高分子重合体では極性基間で水素結合を起こすことにより高粘度化して分散性能が低下するという問題がある。そのため、従来は、高分子系の分散剤として、上記のように、増粘しない非イオン系の高分子分散剤が好ましいものとして使用されてきた。
【0004】
近年、産業界では軽薄短小化が求められており、それと共にコーティング剤、インキ、カラーフィルターなどの分野では高度の分散性および透明性が求められている。
液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターの製造方法としては、印刷法、染色法、電着法、顔料分散法などが知られている。これらの方法のうち、顔料分散法は、顔料を活性エネルギー線硬化性組成物に分散させてフォトリソグラフ法によりカラーフィルターを製造する方法である。この顔料分散法は、顔料を使用していることにより、耐光性や耐熱性に優れ、しかもフォトリソグラフ法であるために位置精度に優れているという長所があり、汎く採用されている。
しかし、従来の活性エネルギー線硬化性組成物では、顔料の分散性が悪いために光の透過性に劣り、しかも時間の経過に伴って顔料が凝集するという問題がある。さらに、ガラス基板との密着性が悪いために、基板から剥離し易いという欠点がある。
【0005】
このため、上記顔料分散法に用いられる活性エネルギー線硬化性組成物において、顔料の分散性を改良することを目的として、ポリスチレン、ポリベンジルメタクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレートなどを枝部とするグラフト共重合体を分散剤として用い、それに顔料、アクリルオリゴマーを混合した活性エネルギー線硬化性組成物(放射線硬化性組成物)が提案されている(特許文献1〜5を参照)。
しかし、ポリスチレン、ポリベンジルメタクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレートなどを枝部とするグラフト共重合体は、分散性能が不十分であり、光透過性にも劣っているため、分散剤を併用する必要がある。しかも、グラフト共重合体が活性エネルギー線硬化性の官能基が持たないため、活性エネルギー線で硬化した後に生成する被膜や塗膜は、硬度、耐水性、耐久性が不十分である。
【0006】
【非特許文献1】「色材」第70巻第1号、第11〜16頁(1997)
【特許文献1】特開平9−179299号公報
【特許文献2】特開平9−197118号公報
【特許文献3】特開平10−36622号公報
【特許文献4】特開平11−60657号公報
【特許文献5】特開平11−64628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題を解決することにあり、顔料を良好に分散させることができ、アクリルオリゴマーなどの活性エネルギー線硬化性化合物との相容性に優れ、活性エネルギー線硬化性が高く、基材との密着性に優れ、しかも硬度、耐水性、耐久性などに優れる被膜や塗膜などを形成することのできる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、アミノ基とカルボキシル基を有する重合体を幹部とし、活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体を枝部とする新規なグラフト共重合体、およびアミノ基とカルボキシル基を有する重合体を枝部とし、活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体を幹部とする新規なグラフト共重合体を初めて製造し、これらのグラフト共重合体の物性について種々検討を行ったところ、これらのグラフト共重合体は、いずれもアクリルオリゴマーなどの活性エネルギー線硬化性化合物との相容性に優れていること、該グラフト共重合体に対して、また該グラフト共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物を含む組成物に対して活性エネルギー線を照射すると速やかに硬化すること、基材との密着性に優れていること、硬度、耐水性、耐久性などに優れる被膜や塗膜を形成することを見出した。
【0009】
さらに、本発明者は、前記した新規なグラフト共重合体は、3級アミノ基と水酸基を有する重合体を幹部としカルボキシル基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体、および3級アミノ基と水酸基を有する重合体を枝部としカルボキシル基を有する重合体を幹部とするグラフト共重合体の少なくとも一方に、エポキシ基を有する不飽和単量体を反応させ、その後に二塩基酸の無水物を反応させることによって円滑に製造されることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) アミノ基およびカルボキシル基を有する重合体と、活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体のうちのいずれか一方を幹部とし、他方を枝部とする活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体、並びに(メタ)アクリロイル基を1個以上有する分子量が100〜5,000の活性エネルギー線硬化性化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物である。
【0011】
そして、本発明は、
(2) 活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体におけるアミノ基が3級アミノ基である前記(1)の活性エネルギー線硬化性組成物;
(3) 活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体の重量平均分子量が3,000〜300,000である前記(1)または(2)の活性エネルギー線硬化性組成物;
(4) 活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体において、アミノ基が、幹部をなす重合体または枝部をなす重合体の形成に用いたアミノ基含有不飽和単量体に由来し、且つ幹部をなす重合体または枝部なす重合体におけるアミノ基含有不飽和単量体単位の割合が0.1〜50重量%であり、カルボキシル基の含有量がグラフト共重合体1g当たり1〜120mgKOHであり、活性エネルギー線硬化性官能基の含有量がグラフト共重合体1g当たり不飽和二重結合量で2×10-4〜40×10-4eqである、前記(1)〜(3)のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物;
(5) 活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体が、3級アミノ基と水酸基を有する重合体を幹部としカルボキシル基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体(a1)および3級アミノ基と水酸基を有する重合体を枝部としカルボキシル基を有する重合体を幹部とするグラフト共重合体(a2)から選ばれる少なくとも1種のグラフト共重合体に、エポキシ基と活性エネルギー線硬化性官能基を有する単量体(b)を反応させ、次いで二塩基酸無水物(c)を反応させて製造したものである前記(1)〜(4)のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物;および、
(6) 活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体:活性エネルギー線硬化性化合物の重量比が、30:70〜80:20である前記(1)〜(5)のいずれかの活性エネルギー線硬化性組成物;
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中に含まれる活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体は、アクリルオリゴマーなどの活性エネルギー線硬化性化合物との相容性に優れており、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射すると、速やかに硬化して、基材との密着性、硬度、耐水性、耐久性などに優れる被膜や塗膜を形成する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記した優れた特性を活かして、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化するインキ、塗料、被覆剤、接着剤、フォトレジストインキ、カラーフィルター、ドライフィルムなどの種々の用途に有効に使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物で用いる活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体は、本発明者らの見出した方法で円滑に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明について詳細に検討する。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体としては、アミノ基とカルボキシル基を有する重合体を幹部とし活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体(A1)、アミノ基とカルボキシル基を有する重合体を枝部とし活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体を幹部とするグラフト共重合体(A2)、または前記したグラフト共重合体(A1)とグラフト共重合体(A2)の混合物を挙げることができる[以下グラフト共重合体(A1)、グラフト共重合体(A2)およびそれらの混合物を総称して「グラフト共重合体(A)」ということがある]。
【0014】
本発明で用いるグラフト共重合体(A)における幹部をなす重合体および枝部をなす重合体は、重合可能な不飽和基を有する単量体(以下「単量体」という)の重合により得られる重合体である。
グラフト共重合体(A)における幹部をなす重合体の好ましい分子量は、数平均分子量で1,500〜100,000であり、特に好ましくは2,500〜50,000であり、重量平均分子量で3,000〜300,000であり、特に好ましくは5,000〜100,000である。
また、グラフト共重合体(A)における枝部をなす重合体の好ましい分子量は、数平均分子量で1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,500〜20,000であり、重量平均分子量で2,000〜40,000であり、特に好ましくは3,000〜40,000である。
グラフト共重合体(A)全体では、その好ましい分子量は、数平均分子量で1,500〜100,000、特に2,500〜50,000であり、重量平均分子量で3,000〜300,000であり、特に好ましくは5,000〜100,000である。グラフト共重合体(A)の分子量が3,000を下回ると、それを含む組成物を硬化して得られる塗膜や被膜の強度が低下するため好ましくない。また、グラフト共重合体(A)の重量平均分子量が300,000を超えると高粘度となり、それを含む組成物の塗布時のレベリング性が低下するため好ましくない。粘度を低下させるためには、組成物中での分子中に(メタ)アクリロイル基を1個以上有する分子量100〜5,000のアクリルオリゴマー量を増やすこともできるが、分散性能が低下するため好ましくない。
なお、本明細書でいう数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算での分子量をいう。
【0015】
グラフト共重合体(A1)の幹部、およびグラフト共重合体(A2)の枝部が有するアミノ基は、3級アミノ基であることがグラフト共重合体(A1)またはグラフト共重合体(A2)の製造の容易性、工業的に入手可能、アミン分解やマイケル付加反応による副反応の抑制などの点から好ましい。具体的には、アミノ基は、グラフト共重合体(A1)の幹部またはグラフト共重合体(A2)の枝部の形成に用いられるアミノ基を有する単量体(以下「アミノ基含有単量体」という)に由来する3級アミノ基であって、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルベンジルジメチルアミンなどの3級アミノ基を有する不飽和単量体に由来する3級アミノ基であることが好ましい。そのうちでも、アミノ基は、塩基性の強い不飽和単量体である、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどに由来する3級アミノ基であることがより好ましい。
【0016】
グラフト共重合体(A1)の幹部、およびグラフト共重合体(A2)の枝部が有するアミノ基の量は、幹部をなす重合体または枝部なす重合体を構成する単量体単位の重量に基づいて、アミノ基含有単量体単位の割合が0.1〜50重量%であるような量であることが好ましく、0.5〜30重量%であるような量であることがより好ましく、1〜25重量%であるような量であることがさらに好ましい。幹部または枝部におけるアミノ基含有単量体に由来する単位の割合が0.1重量%未満であると分散性能が不足し、一方50重量%を超えると着色の増大や耐水性の低下が起こるため好ましくない。
【0017】
グラフト共重合体(A1)の幹部、およびグラフト共重合体(A2)の枝部が有するカルボキシル基は、後記するように、グラフト共重合体(A1)の幹部をなす重合体またはグラフト共重合体(A2)の枝部をなす重合体中に水酸基を導入しておき、グラフト共重合体の製造後にその水酸基を二塩基酸無水物で変性することによって導入することもできるが、グラフト共重合体(A1)の幹部に導入する場合には、カルボキシル基含有単量体を共重合する方法が製造の容易性などの点から好ましい。
【0018】
グラフト共重合体(A1)の幹部、およびグラフト共重合体(A2)の枝部が有するカルボキシル基の含有量は、グラフト共重合体(A1)またはグラフト共重合体(A2)1g当たり、KOHとの反応当量に換算して、1〜120mgKOHであることが好ましく、1〜80mgKOHであることがより好ましい。グラフト共重合体(A)1g当たりのカルボキシル基の含有量が前記した1mgKOH未満であると顔料の分散性が低下し、一方120mgKOHを超えるとグラフト共重合体(A)の耐水性が低下するため好ましくない。
【0019】
グラフト共重合体(A1)の枝部およびグラフト共重合体(A2)の幹部は、活性エネルギー線硬化性の官能基を有する。
本明細書でいう「活性エネルギー線硬化性」とは、紫外線などの光線(光エネルギー)、電子線、X線、α線、β線、γ線、中性子線などの放射線などの活性エネルギー線を照射したときに反応して硬化し得る性質をいう。そのうちでも、グラフト共重合体(A)が有する活性エネルギー線硬化性官能基は、紫外線または電子線を照射したときに硬化反応を生ずる基であることが好ましい。
【0020】
グラフト共重合体(A1)の枝部およびグラフト共重合体(A2)の幹部が有する活性エネルギー線硬化性官能基としては、活性エネルギー線、特に紫外線または電子線を照射したときに硬化反応を生ずる基であればいずれでもよい。不飽和二重結合を有する基は、反応性の程度に差はあっても、活性エネルギー線の照射によって硬化反応を生ずるので、活性エネルギー線硬化性の官能基として採用することができる。そのうちでも、グラフト共重合体(A1)およびグラフト共重合体(A2)における活性エネルギー線硬化性の官能基は、(メタ)アクリロイル基であるのが活性が高く好ましい。
【0021】
グラフト共重合体(A1)の枝部およびグラフト共重合体(A2)の幹部が有する活性エネルギー線硬化性官能基の含有量は、ヨードまたはブロム付加反応を利用して滴定法により測定することができ、グラフト共重合体(A1)または(A2)1g当たり、該官能基が有する不飽和二重結合の量で2×10-4〜40×10-4eqであることが好ましく、2.5×10-4〜35×10-4eqであることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性官能基の量が2×10-4eq未満であると、活性エネルギー線による硬化性が低下し、一方40×10-4eqを超えると活性エネルギー線を照射しても硬化反応せずに未反応のまま残留する官能基の量が増えて無駄になり、好ましくない。
【0022】
グラフト共重合体(A)の製法は特に制限されず、アミノ基とカルボキシル基を有する重合体および活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体のいずれか一方を幹部とし、他方を枝部とする活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体を製造し得る方法であればいずれも方法で製造してもよい。
そのうちでも、グラフト共重合体(A)は、3級アミノ基と水酸基を有する重合体を幹部としカルボキシル基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体(a1)、3級アミノ基と水酸基を有する重合体を枝部としカルボキシル基を有する重合体を幹部とするグラフト共重合体(a2)、または前記グラフト共重合体(a1)とグラフト共重合体(a2)の混合物に、エポキシ基と活性エネルギー線硬化性官能基を有する単量体(b)(以下「エポキシ基含有単量体(b)」ということがある)を反応させ、次いで二塩基酸無水物(c)を反応させることによって特に好ましく製造することができる。
【0023】
前記したグラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)の製法としては、例えば、
(i) 末端に重合性不飽和二重結合を有し且つカルボキシル基を有するマクロモノマーの存在下に3級アミノ基含有単量体、水酸基含有和単量体および他の単量体を共重合してグラフト共重合体(a1)を製造するか、或いは末端に重合性不飽和二重結合を有し且つ3級アミノ基および水酸基を有するマクロモノマーの存在下にカルボキシル基含有単量体および他の単量体を共重合してグラフト共重合体(a2)を製造する方法(マクロモノマー法);
(ii) 重合体セグメント中にアゾ基やパーオキサイド基等の重合開始基を有し且つカルボキシル基を有する重合体の存在下に3級アミノ基含有単量体、水酸基含有単量体および他の単量体を共重合してグラフト共重合体(a1)を製造するか、或いは重合体セグメント中にアゾ基やパーオキサイド基等の重合開始基を有し且つ3級アミノ基および水酸基を有する重合体の存在下にカルボキシル基含有単量体および他の単量体を共重合してグラフト共重合体(a2)を製造する方法;
(iii) 連鎖移動能の大きい基を側鎖に持ち且つ3級アミノ基および水酸基を有する重合体にカルボキシル基を有する単量体(以下「カルボキシル基含有量単量体」という)および他の単量体をグラフト重合してグラフト共重合体(a1)を製造するか、或いは連鎖移動能の大きい基を側鎖に持ち且つカルボキシル基を有する重合体に3級アミノ基含有単量体、水酸基含有単量体および他の単量体をグラフト重合してグラフト共重合体(a2)を製造する方法;
などを挙げることができる。
【0024】
上記した製法のうちでも、上記(i)のマクロモノマー法が、グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)を効率よく製造でき、好ましい。グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)の製造に用いるマクロモノマーとしては、数平均分子量が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で、1,000〜20,000のものが好ましく用いられる。マクロモノマーの数平均分子量が1,000を下回ると最終的に得られるグラフト共重合体(A)の分散性が低下し易くなり、一方20,000を超えるとマクロモノマーと単量体との共重合性が低下して所望の分散性を有するグラフト共重合体(A)が得られにくくなる。
【0025】
上記(i)のマクロモノマー法において、グラフト共重合体(a1)の製造に用いるカルボキシル基を有するマクロモノマーの合成方法としては、酸無水物添加法、酸分解法、加水分解法などが挙げられる。そのうちでも、酸無水物添加法は、水酸基含有不飽和単量体を共重合した後に、二塩基酸無水物、例えば無水コハク酸を水酸基と付加反応させる方法であり、装置の材質、付帯設備やコスト、水や酸・アルカリ触媒を除去する必要が無い点で、好ましい製法である。
酸無水物添加法によるマクロモノマーの製法の一例としては、水酸基含有単量体とその他の単量体を、連鎖移動剤としてメルカプトプロピオン酸の存在下で溶液重合させて末端にカルボキシル基を有する重合体を製造した後、例えばグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体を付加反応させて末端に重合性不飽和二重結合を有し且つ分子鎖中に水酸基を有するマクロモノマーを製造し、次いでこのマクロモノマー中の水酸基に無水コハク酸を付加反応させてカルボキシル基を有するマクロモノマーとする方法などを挙げることができる。
【0026】
酸分解法や加水分解法により得られるマクロモノマーでは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸基などの不飽和カルボン酸に由来するカルボキシル基が分子鎖中に懸垂した構造となり、酸無水物添加法により得られるマクロモノマーでは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエステルモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体に由来する水酸基が分子鎖中に懸垂し、該水酸基に無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の二塩基酸無水物が付加反応してカルボキシル基を形成した構造となる。
【0027】
上記したような方法で得られるカルボキシル基を有するマクロモノマーに、アミノ基含有単量体、水酸基含有単量体およびその他の単量体を共重合することによって、アミノ基および水酸基を有する重合体を幹部とし、カルボキシル基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体(a1)が得られる。グラフト共重合体(a1)におけるカルボキシル基含有マクロモノマーの共重合割合は、グラフト共重合体(a1)の重量(固形分ベース)に基づいて1〜60重量%であることが好ましく、3〜50重量%であることがより好ましい。マクロモノマーの共重合割合が1重量%未満であると最終的に得られるグラフト共重合体(A1)の分散性が低下し、一方60重量%を超えるとグラフト共重合体(a1)を製造する際のマクロモノマーと単量体との共重合性が低下して重合液の白濁を招き、これが原因で硬化物の透明性が損なわれ易くなる。
【0028】
また、上記(i)のマクロモノマー法において、グラフト共重合体(a2)の製造に用いる、アミノ基および水酸基を有するマクロモノマーは公知の方法で容易に製造できる。
【0029】
アミノ基および水酸基を有するマクロモノマーに、カルボキシル基含有単量体および他の単量体を共重合させることにより、カルボキシル基を有する重合体を幹部とし、アミノ基および水酸基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体(a2)が得られる。
グラフト共重合体(a2)におけるアミノ基および水酸基を有するマクロモノマーの共重合割合としては、グラフト共重合体(a2)の重量(固形分ベース)に基づいて1〜60重量%であることが好ましく、3〜50重量%であることがより好ましい。マクロモノマーの共重合割合が1重量%未満であると最終的に得られるグラフト共重合体(A2)の分散性が低下し易くなり、一方60重量%を超えるとグラフト共重合体(a2)を製造する際のマクロモノマーと単量体との共重合性が低下して重合液の白濁を招き、これが原因で硬化物の透明性が損なわれ易くなる。
【0030】
グラフト共重合体(a1)の幹部を構成する重合体中およびグラフト共重合体(a2)の枝部を構成する重合体中にアミノ基を導入するために使用されるアミノ基含有単量体としては、3級アミノ基を有する不飽和単量体が好ましく用いられる。3級アミノ基含有単量体の具体例としては、上記したようにジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルベンジルジメチルアミン等などを挙げることができる。そのうちでも、塩基性の強い不飽和単量体である、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどがより好ましく用いられる。
【0031】
アミノ基含有単量体の使用量は、グラフト共重合体(a1)では幹部を構成する重合体の製造に用いる単量体の合計重量に基づいて、またグラフト共重合体(a2)では枝部を構成する重合体の製造に用いる単量体の合計重量に基づいて、いずれも0.1〜50重量%であることが好ましく、0.5〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらに好ましい。アミノ基含有単量体の使用量が0.1重量%未満であると分散性が不足し、一方50重量%を超えると最終的に得られるグラフト共重合体(A)の着色の増大や耐水性の低下が起こるため好ましくない。
【0032】
グラフト共重合体(a1)の幹部を構成する重合体中およびグラフト共重合体(a2)の枝部を構成する重合体中に水酸基を導入するのに好ましく用いられる水酸基含有和単量体の具体例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエステルモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物を挙げることができる。そのうちでも、酸無水物との反応性および価格面から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体(例えばダイセル化学株式会社製の「プラクセルFM1」)等の1種または2種以上がより好ましく用いられる。
【0033】
水酸基含有単量体の使用量は、グラフト共重合体(a1)では幹部を構成する重合体の製造に用いる単量体の合計重量に基づいて、またグラフト共重合体(a2)では枝部を構成する重合体の製造に用いる単量体の合計重量に基づいて、いずれも0.2〜50重量%であることが好ましく、0.2〜30重量%であることがより好ましい。水酸基含有単量体の使用量が0.2重量%未満であると、二塩基酸無水物との反応により生成するカルボキシル基の量が不足して、最終的に得られるグラフト共重合体(A)の分散性が低下するため好ましくなく、一方50重量%を超えると最終的に得られるグラフト共重合体(A)の耐水性が不良となるため好ましくない。
【0034】
グラフト共重合体(a1)の枝部およびグラフト共重合体(a2)の幹部にカルボキシル基を導入するためには、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体を重合に供する方法、上記した水酸基含有単量体を反応させて得られる水酸基含有グラフト共重合体と二塩基酸無水物を反応させる方法、前記したカルボキシル基含有マクロモノマーを使用する方法などを採用することができる。
【0035】
後の工程でエポキシ基含有単量体(b)と反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を形成させるために、グラフト共重合体(a1)の枝部またはグラフト共重合体(a2)の幹部に予め存在させておくカルボキシル基含有単量体単位の量は、グラフト共重合体(a2)の重量(固形分ベース)に基づいて、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.2〜25重量%であることがより好ましい。カルボキシル基含有単量体単位の量が0.1重量%未満であると、グラフト共重合体(a2)にエポキシ基含有単量体(b)を反応させて得られる重合体中での活性エネルギー線硬化性官能基の量が少なくなるため、最終的に得られるグラフト共重合体(A)の活性エネルギー線硬化性が低下し、硬化物での硬度が不足してタックが発生するので好ましくない。一方、カルボキシル基含有単量体単位の量が30重量%を超えると、グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)にエポキシ基含有単量体(b)を反応させて得られる重合体での活性エネルギー線硬化性官能基の量が多くなり過ぎて、活性エネルギー線を照射しても未反応のままで残留する活性エネルギー線硬化性官能基の量が増大するため工業的に無駄が多くなる。しかも、エポキシ基含有単量体(b)の使用量によっては、未反応のカルボキシル基がグラフト共重合体中に多量に存在することとなり、最終的に得られるグラフト共重合体(A)の耐水性が低下したものになり易い。
【0036】
グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)の幹部および枝部を形成するために、アミノ基含有単量体、水酸基含有単量体およびカルボキシル基含有単量体と共に用いられる他の単量体の具体例としては、アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パーフロロアルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、αーメチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物、カルボン酸ビニルなどを挙げることができ、これらの単量体の1種または2種以上を用いることができる。
上記した単量体のうち、幹部の形成に当たっては、アルキル(メタ)アクリレートおよびベンジルメタクリレートの1種または2種以上が好ましく用いられ、これらの単量体を用いると最終的に得られるグラフト共重合体(A)と(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線硬化性化合物との相溶性が良好になる。
また、枝部の形成に当たっては、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレンおよびαーメチルスチレンの1種または2種以上が好ましく用いられ、これらの単量体を用いると最終的に得られるグラフト共重合体(A)の顔料分散性が良好になる。
【0037】
グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)は、通常のラジカル重合で採用されている溶液重合、懸濁重合、乳化重合などによって製造することができる。極性基を有する単量体の使用量が多いときや、マクロモノマー中の極性の割合が多いときには、溶液重合を採用すると共重合性の低下を防止することができる。重合温度としては、通常40℃〜160℃、特に60℃〜140℃が好ましく採用される。溶液重合を行う場合の溶剤としては、通常の溶液重合で使用される溶媒のいずれもが使用でき、例えば、芳香族炭化水素類、エステル類、エーテル類、アルコール類などを挙げることができる。好ましく使用される溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、酢酸ブトキシエチル、プロピオン酸エトキシエチル等の酢酸エステル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフランなどを挙げることがでる。グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)に反応させるエポキシ基含有単量体(b)および二塩基酸無水物(c)と反応しない溶剤を用いることが好ましい。
【0038】
グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)の分子量は、重量平均分子量で3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましい。グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)の重量平均分子量が3,000未満であると、最終的に得られる本発明のグラフト共重合体(A)の硬化により生成する塗膜や被膜の強度が低下したものになり易い。一方、グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)の重量平均分子量が300,000を超えると、最終的に得られるグラフト共重合体(A)を含有する組成物の粘度が高くなり過ぎて、塗布時のレベリング性が低下し易い。グラフト共重合体(A)を含有する組成物の粘度を低下させるために、組成物中での(メタ)アクリロイル基を1個以上有する分子量が100〜5,000の活性エネルギー線硬化性化合物の使用割合を増やすこともできるが、分散性能が低下するため好ましくない。
【0039】
グラフト共重合体(a1)、グラフト共重合体(a2)、またはグラフト共重合体(a1)とグラフト共重合体(a2)の混合物に、エポキシ基含有単量体(b)を反応させることによって、グラフト共重合体(a1)の枝部中またはグラフト共重合体(a2)の幹部中のカルボキシル基と単量体(b)のエポキシ基との間に反応が生じ、それと同時にエポキシ基含有単量体(b)中の活性エネルギー線硬化性官能基がグラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)中に導入される。
【0040】
エポキシ基含有単量体(b)としては、エポキシ基と共に活性エネルギー線硬化性官能基を有する単量体であればいずれも使用でき、重合性不飽和基は、程度に差はあるが、一般に活性エネルギー線硬化性を有する。そのうちでも(メタ)アクリロイル基が活性エネルギー線硬化性に優れることから、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基を有する単量体が好ましく用いられる。そのような単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アジリジニルメタクリレートなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、グラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)中のカルボキシル基との反応性が良好である点、価格面などから、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートの1種または2種以上が好ましく用いられる。
【0041】
エポキシ基含有単量体(b)によるグラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)への付加反応は、溶液中で、3級アミン触媒、4級アンモニウム塩触媒、四級ホスホニウム塩触媒、有機錫化合物触媒の存在下で行うことが好ましく、三級アミン触媒、四級アンモニウム塩触媒、四級ホスホニウム塩触媒等は特に着色を生じにくい。最終的に得られるグラフト共重合体(A)を電子情報材料用途に使用する場合はハロゲン化合物が電気特性、特に絶縁性に悪影響を与えるため、3級アミン触媒が特に好ましい。具体例としては、ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド具体的には、テトラブチルホスホニウムブロマイド、ジブチル錫ジラウレートなどを挙げることができる。触媒の使用量は、一般に、0.2〜5重量%であることが好ましい。
【0042】
エポキシ基含有単量体(b)の使用量は、グラフト共重合体(a1)の枝部が有するカルボキシル基、またはグラフト共重合体(a2)の幹部が有するカルボキシル基に対して0.1〜1.0倍当量であることが好ましく、0.5〜1.0倍当量であることがより好ましい。一般に60〜100℃の温度で数時間加熱することによって、エポキシ基含有単量体(b)によるカルボキシル基への付加反応が完結し、グラフト共重合体(a1)の枝部およびグラフト共重合体(a2)の幹部に活性エネルギー線硬化性官能基が導入される。活性エネルギー線硬化性官能基の量は、最終的に得られるグラフト共重合体(A)1g当たり活性エネルギー線硬化性の不飽和二重結合量で2×10-4〜40×10-4eqであることが好ましい。2×10-4eq未満であると硬化性が低下し、一方40×10-4eqを超えると活性エネルギー線硬化性の官能基量が多くなり過ぎて、活性エネルギー線を照射したときに反応せずに残留する官能基が増えて無駄になり経済的でない。
【0043】
次いで、エポキシ基含有単量体(b)による付加反応によって活性エネルギー線硬化性官能基を導入したグラフト共重合体に対して、二塩基酸無水物(c)を反応させる。これによって、グラフト共重合体(a1)の幹部およびグラフト共重合体(a2)の枝部に存在する水酸基が二塩基酸無水物(c)によって変性されて、グラフト共重合体の幹部または枝部にカルボキシル基が導入されて、グラフト共重合体(A1)またはグラフト共重合体(A2)或いはそれらの混合物が製造される。
二塩基酸無水物(c)による変性反応は、エポキシ基含有単量体(b)による付加反応の終了後に行う必要がある。二塩基酸無水物(c)を添加してからエポキシ基含有単量体(b)を添加すると、グラフト共重合体の幹部と枝部にカルボキシル基が等比率で導入され、その結果幹部および枝部の極性がほぼ類似となり、得られるブロック共重合体の分散性能が低下する。また、グラフト共重合体(a1)の幹部およびグラフト共重合体(a2)の枝部に存在するアミノ基と二塩基酸無水物(c)との反応を防止するために、該アミノ基は上述のように3級アミノ基であることが好ましい。
【0044】
二塩基酸無水物(c)の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などを挙げることができ、そのうちでも無水コハク酸が好ましく用いられる。二塩基酸無水物の使用量は、最終的に得られるグラフト共重合体(A)中のカルボキシル基の量が、上述のように、グラフト共重合体(A)1gに対して1〜120mgKOH、特に1〜80mgKOHとなるような量であることが好ましい。最終的に得られるグラフト共重合体(A)1g当たりのカルボキシル基の含有量が前記した1mgKOH未満であると顔料の分散性が低下し、一方120mgKOHを超えるとグラフト共重合体(A)の耐水性が低下するため好ましくない。
【0045】
また、二塩基酸無水物(c)による変性反応は、溶液中で、エポキシ基含有単量体(b)による付加反応に用いたのと同様の上記した3級アミン触媒、4級アンモニウム塩触媒、四級ホスホニウム塩触媒、有機錫化合物触媒の存在下で行うことが好ましく、三級アミン触媒、四級アンモニウム塩触媒、四級ホスホニウム塩触媒の存在下で行うことがより好ましく、3級アミン触媒の存在下で行うことが特に好ましい。触媒の具体例としては、上記のとおりである。触媒の使用量は、一般に0.2〜5重量%であることが好ましい。
【0046】
上記した一連の反応を、グラフト共重合体(a1)を単独で使用して行うとグラフト共重合体(A1)が得られ、グラフト共重合体(a2)を単独で使用して行うとグラフト共重合体(A2)が得られ、グラフト共重合体(a1)とグラフト共重合体(a2)を併用して行うとグラフト共重合体(A1)とグラフト共重合体(A2)の混合物が得られる。
【0047】
上記で得られるグラフト共重合体(A1)、グラフト共重合体(A2)、またはグラフト共重合体(A1)とグラフト共重合体(A2)の混合物を、(メタ)アクリロイル基を1個以上有する分子量が100〜5,000の活性エネルギー線硬化性化合物(d)(以下「アクリルオリゴマー」ということがある)と混合することによって、活性エネルギー線硬化性のインキ、塗料、被覆剤、接着剤、フォトレジストインキ、ドライフイルム、カラーフィルターなどとして有用な本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができる。
【0048】
アクリルオリゴマーの分子量が100未満の場合にはモノマーの蒸発による毒性問題や、皮膚のカブレ発生などを生ずることがある。一方、アクリルオリゴマーの分子量が5,000を超えると、粘度が高くなり過ぎて作業性が低下したり、溶解性の低下によりグラフト共重合体(A)を完全に溶解できなくなったり、活性エネルギー線硬化性が低下するなどの問題が生じ易くなる。
【0049】
アクリルオリゴマーの具体例としては、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ、ジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ、ジ、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、或いはこれら化合物の原料アルコールをアルキレンオキサイドやカプロラクトンで変性した(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0050】
活性エネルギー線硬化性組成物におけるグラフト共重合体(A)およびアクリルオリゴマーの使用量は、グラフト共重合体(A)およびアクリルオリゴマーの分子量、両者が有する活性エネルギー線硬化性官能基の量、分散性などに応じて調節し得るが、一般的には、グラフト共重合体(A):アクリルオリゴマーの重量比が30:70〜80:20であることが、硬化性および分散性の点から好ましく、40:60〜80:20であることがより好ましい。
【0051】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、顔料を添加せずに使用することも可能であるが、顔料分散性に優れているため顔料を併用することが好ましい。
顔料の好ましい配合割合は、上記グラフト共重合体(A)とアクリルオリゴマーの合計量、すなわち、重合性化合物100重量部当たり、5〜80重量部である。顔料の配合量が5重量部未満であると色純度が上がらず実用的でなく、一方80重量部を超えるとアルカリ現像後に非画像部の地汚れや膜残りが生じ易い。
カラーフィルターやインキ用途で使用する顔料に特に制限はなく、従来公知の無機顔料や有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、クロム、亜鉛等の金属酸化物や金属錯体等をあげることができる。有機染顔料としては、C.I.Pigment Yellow、C.I.Pigment Orange、C.I.Pigment Red、C.I.Pigment Violet、C.I.Pigment Blue、C.I.Pigment Green、C.I.Pigment Brown、C.I.Pigment Blackなど挙げることができる。特定のカラーを発現させるために複数の顔料を使用することもできる。
【0052】
活性エネルギー線硬化性組成物中に顔料を分散させる方法は特に制限されず、例えば、フラッシング処理、ニーダー処理、エクストルーダー処理、ボールミル処理、ロールミル処理などによって行うことができる。特に、2本または3本ロールミル処理が、強力な剪断力で顔料の二次凝集を防止して一次粒子化できるため好ましく採用される。
【0053】
活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射によって重合を開始させるための光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の種類は特に制限されず、従来既知のものを使用することができ、具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインアルキルエーテル、9−フルオレノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾチアゾール化合物などを挙げることができる。
【0054】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、有機溶剤に溶解して溶液状の形態で用いることが好ましい。その場合の有機溶剤としては、本発明のグラフト共重合体(A)の前駆体であるグラフト共重合体(a1)およびグラフト共重合体(a2)の製造時に用い得るとした上記各種の有機溶剤を用いることができる。グラフト共重合体(a1)やグラフト共重合体(a2)の製造時、或いはその後のエポキシ基含有単量体(b)による変性時、二塩基酸無水物(c)による変性時に用いた有機溶剤をそのまま活性エネルギー線硬化性組成物で使用してもよい。活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は用途に応じて調整することができるが、一般に、25℃における粘度が100mPa・s以下であることが、製膜性、取り扱い性などの点から好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、充填剤、グラフト共重合体(A)以外の高分子化合物、界面活性剤、密着性改良剤、酸化防止剤、凝集防止剤、有機カルボン酸に代表されるアルカリ溶解性促進剤、製膜助剤、皮張り防止剤などを含有することができる。
【0055】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は紫外線、電子線、γ線、α線、β線、X線などの活性エネルギー線を照射することによって重合・硬化して被膜または塗膜を形成する。そのうちでも活性エネルギー線としては紫外線または電子線が好ましく採用される。紫外線光源としては、波長250〜450nmの光を多く含む高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプなどが挙げられ、実用的に許容されるランプ−被照射物間の距離において365nm近傍の光強度が1〜100mW/cm2程度のものが好ましく採用される。電子線照射装置の種類は特に限定されないが、0.5〜20Mradの範囲の線量を有する装置が実用上適している。
【0056】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化性のインキ、塗料、被覆剤、接着剤、フォトレジストインキ、カラーフィルターなどに有効に用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を例えばカラーフィルター用途に使用する場合は、基板に例えばスピンコート、フローコート、ロールコートなどによって塗布した後、80〜100℃で乾燥し、所定のマスクパターンを通して電子線や紫外線などの活性エネルギー線に露光し、次いで現像液で現像した後、水で洗浄し、アフターベイクすることによってカラーフィルターを製造することができる。基板としては、例えばパイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、シリコンなどが好ましく用いられ、現像剤としては濃度が0.01重量%〜1重量%の水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン等の水溶液が使用される。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。以下において部は重量部を表す。
【0058】
《合成例1》[アミノ基と水酸基を有するマクロモノマーの合成]
(1) プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート95.28部を反応フラスコに仕込み、93℃で攪拌下に加熱した後、窒素気流下で、アゾビスメチルイソブチロニトリル1.0部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30部の混合液を5時間かけて添加し、同時にベンジルメタクリレート86部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7部および3−メルカプトプロピオン酸1.5部の混合液を3時間かけて添加して重合を行い、添加終了後さらに同温度で2時間加熱して重合を完結させて、反応生成物を得た(溶媒を含む反応生成物重量227.78部)。
これにより得られた反応生成物(溶液)中の重合体の分析を行った結果、数平均分子量(Mn)=2,530、重量平均分子量(Mw)=5,200であり、溶液の酸価が0.060meq/g(3.48mgKOH/g)である片末端にカルボキシル基を有する重合体であった。
【0059】
(2) 空気バブリングに切り替えて、引き続き同じ反応フラスコ内に、グリシジルメタクリレート2.21部、メトキシフェノール0.046部、触媒としてジメチルベンジルアミン2.28部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.71部を仕込み、110℃で6時間攪拌下に加熱した。これにより得られた反応生成物(溶液)(溶剤を含む反応生成物重量235.03部)の酸価を測定したところ0.001meq/g(0.06mgKOH/g)以下となり、酸反応率が98%以上となったため、反応を終了した。
(3) 上記(2)で得られた反応生成物(溶液)中のマクロモノマーの分析を行った結果、数平均分子量(Mn)=2,870、重量平均分子量(Mw)=5,500であり、且つアミノ基(N,N−ジメチルアミノエチル基)と水酸基を分子鎖中に有し、片末端にメタクリレート基を有するマクロモノマーであった。200℃で20分間加熱して揮発分を除去した後の固形分を測定した結果、マクロモノマーの収率は44.6%であった。
【0060】
《製造例1》[幹部に活性エネルギー線硬化性官能基を有し枝部にアミノ基およびカルボキシル基を有するグラフト共重合体の製造]
(1) 合成例1の(2)で得られた、揮発分を除去する前のマクロモノマー(アミノ基および水酸基を有するマクロモノマー)の溶液66.67部、メチルメタクリレート20.33部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート57.44部をフラスコに仕込み、85℃で撹拌下に加熱した後、窒素気流下で、メチルメタクリレート40.67部、メタクリル酸9部および3−メルカプトプロピオン酸0.5部の混合液を3時間かけて添加し、それと同時にアゾビスメチルイソブチロニトリル1部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.33部の混合液を5時間かけて添加して重合を行った。その後さらに110℃に昇温して1時間加熱して重合を完結させて、カルボキシル基を有する重合体を幹部とし、アミノ基および水酸基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体を含有する溶液を得た(重合時間合計6.5時間)(グラフト共重合体溶液の合計量224.94部)。これにより得られたグラフト共重合体をGPC分析した結果、重量平均分子量(Mw)=23,800、数平均分子量(Mn)=9,500であった。グラフト共重合体の溶液の酸価は0.485meq/g(27.21mgKOH/g)であった。
【0061】
(2) 上記(1)で得られたグラフト共重合体の溶液に、空気バブリングしながら、グリシジルメタクリレート15.5部、ジメチルベンジルアミン2.25部、メトキシフェノール0.045部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート14.80部を追加添加して、110℃で6時間撹拌下に加熱して、グラフト共重合体のカルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加させた。次いで、無水コハク酸1.60部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1.97部を加えて、110℃で2時間反応させた。反応後、酸価を測定した結果0.065meq/g(3.65mgKOH/g)となっており、無水コハク酸が充分に反応したことが確認された。この反応により、活性エネルギー線硬化性の官能基であるメタクリロイル基を有する重合体を幹部とし、アミノ基およびカルボキシル基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体を含有する薄赤色溶液が得られた。GPC分析の結果、これにより得られたグラフト共重合体の重量平均分子量(Mw)=24,000、数平均分子量(Mn)=9,600であった。
【0062】
《実施例1》[活性エネルギー線硬化性組成物の調製]
(1) 製造例1の(2)で得られたメトクリロイル基を有する重合体を幹部としアミノ基およびカルボキシル基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体溶液250部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(分子量524)90部、ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(光重合開始剤)9部、顔料(C.I.Pigment Blue 15)100部、レベリング剤(日本ユニカー社製「L−7001」)0.2部、メトキシフェノール(重合防止剤)0.04部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート790部を混合し、3本ロールミルを用いて十分に分散させた後、フィルターで濾過して、活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた活性エネルギー線硬化性組成物をガラス基板上に乾燥後の膜厚が2μmになるように塗布した後、100℃で5分間予備加熱して青色膜を形成した。前記青色膜に100mJ/cm2の光エネルギーを有する紫外線照射装置を使用して紫外線を照射して硬化させた。その結果、光沢に優れ、鉛筆硬度4Hの青色膜が得られた。
【0063】
《比較例1》[グラフト共重合体および活性エネルギー硬化性組成物の製造]
(1) 実施例1の(1)において、アミノ基と水酸基を有するマクロモノマーの溶液66.76部の代りにポリスチレンのマクロモノマー(東亜合成株式会社製「AS−6」;数平均分子量約6,000)30部を用い、またプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの使用量を36.67部に変えた以外は、実施例1の(1)と同様にして重合を行って、カルボキシル基を有し且つポリメチルメタクリレート主体とする重合体を幹部とし、ポリスチレンを枝部とするグラフト共重合体の溶液を製造した後、実施例1の(2)と同様にして該グラフト共重合体溶液にグリシジルメタクリレートを添加して、グラフト共重合体中のカルボキシル基にグリシジルメタクリレートを付加させて、幹部に活性エネルギー線硬化性の官能基を有するグラフト共重合体溶液を得た。GPC分析の結果、これにより得られたグラフト共重合体の重量平均分子量(Mw)=22,000、数平均分子量(Mn)=8,900であった。
(2) 上記(1)で得られたグラフト共重合体の溶液を用いて、実施例2と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
(3) 上記(2)で得られた活性エネルギー線硬化性組成物をガラス基板上に乾燥後の膜厚が2μmになるように塗布した後、100℃で5分間予備加熱して青色膜を形成した。前記青色膜に100mJ/cm2の光エネルギーを有する紫外線照射装置を使用して紫外線を照射して硬化させた。その結果、得られた青色膜の鉛筆硬度は4Hであったが、光沢が悪く、薄曇りが見られた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射すると速やかに硬化して、基材との密着性、硬度、耐水性、耐久性などに優れる被膜や塗膜を形成するので、それらの優れた特性を活かして、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化するインキ、塗料、被覆剤、接着剤、フォトレジストインキ、カラーフィルター、ドライフィルムなどの種々の用途に有効に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基およびカルボキシル基を有する重合体と、活性エネルギー線硬化性官能基を有する重合体のうちのいずれか一方を幹部とし、他方を枝部とする活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体、並びに(メタ)アクリロイル基を1個以上有する分子量が100〜5,000の活性エネルギー線硬化性化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項2】
活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体におけるアミノ基が3級アミノ基である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体の重量平均分子量が3,000〜300,000である請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体において、アミノ基が、幹部をなす重合体または枝部をなす重合体の形成に用いたアミノ基含有不飽和単量体に由来し、且つ幹部をなす重合体または枝部なす重合体におけるアミノ基含有不飽和単量体単位の割合が0.1〜50重量%であり、カルボキシル基の含有量がグラフト共重合体1g当たり1〜120mgKOHであり、活性エネルギー線硬化性官能基の含有量がグラフト共重合体1g当たり不飽和二重結合量で2×10-4〜40×10-4eqである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体が、3級アミノ基と水酸基を有する重合体を幹部としカルボキシル基を有する重合体を枝部とするグラフト共重合体(a1)および3級アミノ基と水酸基を有する重合体を枝部としカルボキシル基を有する重合体を幹部とするグラフト共重合体(a2)から選ばれる少なくとも1種のグラフト共重合体に、エポキシ基と活性エネルギー線硬化性官能基を有する単量体(b)を反応させ、次いで二塩基酸無水物(c)を反応させて製造したものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項6】
活性エネルギー線硬化性グラフト共重合体:活性エネルギー線硬化性化合物の重量比が、30:70〜80:20である請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。

【公開番号】特開2007−131865(P2007−131865A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13037(P2007−13037)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【分割の表示】特願2000−100693(P2000−100693)の分割
【原出願日】平成12年4月3日(2000.4.3)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】