説明

活性担体、その製造及びその使用

活性基板1と活性化リンカー官能基を含有する付着リンカーとから成る活性担体。活性担体は、2つ以上の異なる活性化リンカー官能基を含有する。活性基板1と活性化リンカー官能基を含有する付着リンカーとを含む活性担体の製造方法。方法の工程:a)担体官能基を介して、1つ又は複数のリンカー官能基を含有するリンカーと担体基板1とを結合させる工程と、b)工程a)で担体基板と結合したリンカーのリンカー官能基を2つ以上の異なる活性化試薬と同時に反応させる工程。活性担体の使用、この間に活性担体表面は1つ又は複数の小分子溶液と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低分子量化合物の表面固定化のための活性担体、このような活性担体を製造する方法、及びこのような活性担体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
新規のタンパク質(これはヒト、動物、植物、ウイルス、又は他の天然若しくは人工のいずれであってもよい)が、研究者らに多くの新たな挑戦をもたらす。タンパク質は、多くの方法、例えばその配列、分子量、空間構造及び同様に重要なことにタンパク質が結合する天然又は人工リガンド(結合パラメータを含む)で特徴付けることができる。
【0003】
ヒトゲノムの解読の結果として、数千個の新規のヒトタンパク質が同定及び特徴付けられることが待たれている。潜在的な薬剤標的としてのタンパク質の同定は、この先数年間の薬学研究の最も重大な挑戦の1つである。或る特定の疾患状態と、ヒトゲノムでコードされたタンパク質との間の関連性を特定する方法が数多く作り出されている。例えばこのような方法としては、比較二次元ゲル電気泳動(非特許文献1)、及び質量分析と組合せた同位体標識法(非特許文献2)が挙げられる。
【0004】
上記の所定のタンパク質と疾患状態との間の関連性を特定する方法は、例えばその適用が困難であるか、又はタンパク質濃度が低い場合には全く使用することができないために、多くの場合で結果が得られず、多くのタンパク質の同時分離及び検出も実現困難であり得る。さらに、タンパク質と既知の疾患状態との間の関係を確立することは、薬学研究の第一段階の1つにすぎないことも知られている。その後に、タンパク質の機能を変えることができるような小分子をヒト要素から好都合に同定し、それに続いて多くの工程を通して、これらの小分子のいずれかを調合薬へと展開する。
【0005】
同時に、小分子があらゆるタンパク質と結合することができることから、小分子(即ち低分子量の分子)と所定のタンパク質との結合によって、薬剤標的分子としての小分子の次世代治療が実証される。所定の薬剤標的分子と結合することができる分子の予備選択は、阻害剤又は誘導剤、即ち潜在的な調合薬になり得るものとして作用し得る分子の数を制限する。さらに、発現解析は、疾患状態に対する結合の影響を明らかにすることができ、これらの解析によって、タンパク質の機能を確立することもできる(非特許文献3)。
【0006】
分子構成要素がこれらの可能性がある多くの組み合わせで中心構造要素に付着する場合、コンビナトリアルケミストリー及び並行合成の開発によって、多くの新規の小分子及び既知の有効な調合薬分子の類似体の作製が容易になり、その数は数万〜数十万単位になる。この結果として、数十万〜数百万の分子を有する分子ライブラリの作製が可能になった。
【0007】
このような多くの分子を有する分子ライブラリのスクリーニングのために、様々なスクリーニングシステムが利用可能であるが、所定のタンパク質の特徴を考慮して、発現する細胞系、又は所定のタンパク質を含有する他の生体系に適合させなければいけない。このようなシステムの開発には数ヶ月、さらにはまる1年かかることも多い。また、このような大きいライブラリのスクリーニングには、最新の機器システムが必要であり、これらの方法にはコストがかかる。スクリーニングがまだ完了(solved)していない、又はハイスループットシステムに適合し得ない薬剤標的及びタンパク質ファミリーが幾つか知られている。このため、新規及び既知のタンパク質の分類及び一般的な特徴付け、即ち多くの小分子とのアフィニティに基づく相互作用の解析によって実現されるスクリーニングシステムの適用が現時点での研究の最前線である。
【0008】
合成的に作製された有機小分子の使用(一般的に上述のスクリーニングシステムで行われる)は通常、新たに発見した遺伝子でコードされるタンパク質の同定及び機能的検証に不可欠な部分として含まれる。この新規のアプローチは、文献内で「ケミカルゲノミクス」又は「ケミカルプロテオミクス」と呼ばれる。
【0009】
タンパク質と小分子との間の相互作用に基づくアフィニティ法(タンパク質の単離及び同定にも好適である)は、セルロース又は様々なポリマーと結合した小分子形態で既に適用されている。この種類のロード(loads)を含有するアフィニティカラムを通って流れるタンパク質混合物中の単一タンパク質が、カラムと結合する小分子との相互作用の強さによって変わる様々な流速の結果として分離されてカラムから排出される。このようにして、結合タンパク質と非結合タンパク質とを分離することができる。
【0010】
大量及び並行適用に好適な方法を作り出す幾つかの試みがあるが、これらの方法はわずかしか発展を示していない。包括的な名称でアフィニティクロマトグラフィと呼ばれる技法は時間がかかり、小分子に対する要求が大きく、並行適用が実現困難であり得る。
【0011】
小分子と微小サイズのプレート(スライド)との高密度結合によって、革新的に発展が達成された。小分子は、平面マトリクス形態の特定の配列でプレート(スライド)と結合する。平面マトリクスの各ポイントで、所定の単一種類の分子から成る固定化クラスターが存在する。これらの微小サイズの平面マトリクス担体、及び平面マトリクス形態での小分子の配列は、当業者に既知のように「マイクロアレイ」とも呼ばれる。典型的なハイスループットスクリーニングに比べてマイクロアレイの有利な点は、担体と結合した化合物が隣接して位置するため、完全に同一の条件下で多くの測定を行うことができ、そのため結果の比較によって、より正確な結論を導くことが可能になることである。マイクロアレイのさらなる利点は、高性能の自動化技法のとりわけ有用な適用を容易にすることである。表面積が小さいため、マイクロアレイと結合する分子の量は小さい。そのためマイクロモル量の小分子でも、数千個ものマイクロアレイの所定のポイントを調製するのに十分である。さらなる利点は、作製に少量の分子しか要求されず、またスクリーニング中の試験分子(場合によっては標的タンパク質)の量も小さい(1μg〜5μg)ことである。このことは、これまで適用されたアフィニティ相互作用に基づくスクリーニングシステムに比べて、重大な経済的利点がある。
【0012】
DNAマイクロアレイの作製のために、初めにセルロース又はガラス上への結合技術が開発され、この間に異なるDNA分子が同じ担体と結合する。現在この方法は、ハイブリダイゼーション解析に広く利用されている。DNA及び他のオリゴヌクレオチドと担体との結合のために幾つかの化学法が開発されている(非特許文献4)。上記の技法は、期待されたヒトゲノムの決定により迅速に大きく寄与した。その後、タンパク質−タンパク質相互作用及び発現レベルを測定するためのタンパク質マイクロアレイの開発も始まっている(非特許文献5)。
【0013】
非特許文献6は、DNAマイクロアレイ上の共有結合を作製するための固体担体を誘導体化する方法を記載し、この間に分岐構造のリンカー分子を有する担体表面が増大する。このリンカー分子又は単純にリンカーの合成には4工程反応が必要である。固定化前に、リンカーを含有し、これによって官能化される表面は、さらなる活性化試薬(例えばPDITC(フェニレンジイソチオシアネート)、DSC(ジスクシンイミジルカーボネート)又はDMS(スベルイミノ酸ジメチル)によって活性化する。活性化の結果として、リンカーの遊離端が共有結合DNAに好適になる。異なるDNA分子がこのように形成された表面に効率的に付着することができるが、結合安定性は大きく異なり、これらの違いから、共有結合は、DNA分子の内部アミノ基とリンカーとの間の幾つかの場所でのみ形成されるという結論を導くことができる。
【0014】
最近になって小分子と担体とを結合させる試みが行われている。これらの解決は、異なる化学機構及び結合戦略に基づく。サンプル分子の結合は様々な強度を有し得るので、これらの安定性も様々であり得る。最も一般的には、DNAマイクロアレイとの類似性によって化学マイクロアレイを作製するために、ガラス製の顕微鏡スライドを化学分子ライブラリの結合に使用する。これらの種類の結合法の1つは、チオール基を介して金表面上に有機分子を結合させた、ドイツ企業グラフィニティ(Graffinity)の研究者らによって実現されている(特許文献1を参照されたい)。
【0015】
研究者らは、数種類の化学試薬、及びこれらを担持するリンカーを開発しており、これらは小分子を担体と結合させることができる(例えば特許文献2又は特許文献3又は特許文献4を参照されたい)。現在、化学マイクロアレイの作製には、主に化学修飾顕微鏡プレートが使用される。小分子と担体との結合を容易にするためには一般的に、小分子は担体上で形成される官能基(例えばこれまでに言及されたチオール基)との結合を助ける好適な官能基を備えていなければいけない。このように、チオール基、アミノ基又はカルボキシル基を含有するリンカー分子を介して分子を結合することができる。より正確には、チオール基、アミノ基又はカルボキシル基を結合する分子に付加することによって、小分子が、例えばチオール官能基、マレイミド官能基、アミノ官能基、カルボキシ官能基、エステル官能基、エポキシ官能基、ブロモシアン官能基又はアルデヒド官能基を含有する担体と結合する可能性が生まれる。官能基を備える小分子と、担体と結合するリンカーの遊離端との間の結合は、チオ結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアミン結合の形成によって実現される。**そのため、例えば特許文献5では、グリカン、或いはペプチド、オリゴヌクレオチド、又は低分子量の有機分子若しくはリガンドアレイの固相合成に使用することができるポリマー(このポリマーはアミン官能基、カルボキシル官能基及び/又はヒドロキシル官能基を含有する)をコーティングした固体担体の製造方法を開示している。
【0016】
メルカプトシラン又はエポキシシランをコーティングしたシラン化固体担体を使用するほとんどの方法(例えば特許文献6を参照されたい)の欠点の1つは、このようにして結合した分子は、固体担体表面に隣接して位置し、そのためこの分子は、相互作用に関して試験するプローブに容易には接近することができず、結果として特異的に結合する数が減少し得ることである。
【0017】
特許文献7は、このような反応基を介した調合薬と薬剤候補小分子との結合に適用可能な新規の担体又は担体セットの合成を開示しており、これらは分岐構造の連結リンカー上に位置する。新規の本発明の担体は、様々な長さの様々な官能基を有する分子と共有結合することができる。本方法に従って作製された固体担体は、様々なマイクロアレイの調製、並びに分子農芸化学、生物学、生物工学、及び薬理学におけるこれらの担体の適用に使用することができる。
【0018】
コンビナトリアルケミストリのスプリットミックス法(非特許文献7)を使用することによって、かなり多くの化合物を混合物中に作製することができ、その後チオール反応固定基(マレイミド)を使用することによって、「マイクロプリント法」と呼ばれる技法で化合物をガラス表面と効率的に結合させることができる(非特許文献8)。この方法は、タンパク質と大量の分子との間の相互作用を解析するのに好適であるが、化合物の結合がランダムに行われるので、所定の位置での分子の同定は困難である。
【0019】
また、表面上の分子位置が既知である方法でポリプロピレン層の表面上で、コンビナトリアル分子ライブラリの合成が行われ(非特許文献9)、その後生物学的スクリーニングのためにこのコンビナトリアルライブラリを適用する方法に言及しなければいけない。
【0020】
コンビナトリアルケミストリのマイクロアレイの形成、即ちマイクロアレイ上でのコンビナトリアルケミストリ法によって作製されたライブラリの適用は、様々な小分子と結合することができるような固体担体の適用に基づく。結合化合物は、多くの好都合な方法で適用することができ、例えばコンビナトリアルケミストリのマイクロアレイは、様々な分子生物学及び薬学の開発研究の特に有用な手段であり得るため、このように所定のリード(lead)分子の化学環境を容易に解読することができる。
【0021】
化学マイクロアレイの適用領域は、既知の医薬分子又は小分子と新たに発見されたタンパク質との間の相互作用の解析、及びそのため例えば新規のタンパク質の分類に広がり得る。この場合、結合タンパク質は非結合タンパク質から分離され、それからプレート又はアフィニティカラムから取り除かれる。結合タンパク質は好適な方法(例えばMS−MS、非特許文献10)によって同定される。
【0022】
化学マイクロアレイの適用によって、タンパク質との結合の際に、有効な化合物が所定の位置で蛍光発光を示すような方法でハイスループット生物学的スクリーニングが容易になり、マイクロアレイのトポロジーが利用可能であるため、活性化合物(複数可)を迅速に同定することができる。
【0023】
アフィニティクロマトグラフィで使用されるアフィニティカラムの作製中に、小分子がガラス又はポリマービーズ又は他の好適なカラムロード上に固定化される。このようにして作製されたロードは、上で詳述した化学マイクロアレイと、その構造において非常に類似しているが、アフィニティカラムの場合、結合化合物が平面マトリクス形態に位置せずに、ロードの表面上に固定化されるという点でこれらは異なる。表面上に固定化された小分子を有するロードを含有するカラムを通って流れるタンパク質溶液から、ロード上に固定化された小分子と結合することができるタンパク質が小分子と結合し、それから現行の技術水準の方法によって、結合タンパク質をロードから溶出することができる。ロード上で固定化された分子の数は、化学マイクロアレイ上で結合した分子の数よりも数桁多く、そのためアフィニティクロマトグラフィのこれらの技法は、より大量のタンパク質の効果的な分離に使用することもできる。
【0024】
アフィニティクロマトグラフィは、化学マイクロアレイと同様の適用も容易にする。この場合、或る特定の化合物を各ロード因子(例えばビーズ)の表面と結合させ、さらに各ロードは所定のロード因子を特徴付けるレポータ分子を含有する。このようにして調製されたロード混合物を標的分子溶液(例えばタンパク質溶液)と混合する。標的分子と結合するロードは、当業者に既知の手法によって(例えばスペクトル特性又は質量を基に)、標的分子と結合しないロードから分離することができる。この後、レポータ分子の同定によって、所定のロードと結合している分子の同定が可能になる。そのため、この場合、ロードのレポータ分子を用いて、固定化化合物を同定することができ、また化学マイクロアレイの場合ではトポロジーによる同定が可能になるので、この方法の適用中、ロード(それぞれが単一種類のレポータ分子に適合される)は化学マイクロアレイの点で類似している。
【0025】
上記の活性担体の欠点は、所定の担体と結合することができる分子の種類が、担体の官能基によって、又はリンカーを適用する場合はリンカーの官能基によって決定されることである。これまでに知られる担体のさらなる欠点は、溶液相中で標的タンパク質と相互作用する官能基の1つを介して、分子が担体と結合する場合、タンパク質は、スクリーニング中にこの固定化分子とは結合しないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】独国特許第100 27 397号
【特許文献2】日本国特許第3032740号
【特許文献3】PCT国際公開第WO01/01143号
【特許文献4】米国特許第6824987号
【特許文献5】米国特許第5 919 523号
【特許文献6】米国特許第5 919 626号
【特許文献7】ハンガリー特許第P021091号
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】A. Goerg, Proteomics, 2000, July, 3
【非特許文献2】S.P. Gygi and co., Proteomics, 2000, July, 31
【非特許文献3】F. Darvas and co., Curr. Med. Chem. 2004 Dec; 11 (23):31 19-3145
【非特許文献4】L. Hackler Jr. and co. Mol. Divers. 2003; 7 (1): 25-36.
【非特許文献5】MacBeath G, Schreiber SL. Science. 2000 Sep 8; 289 (5485): 1760-1763.
【非特許文献6】Beier M. and Hoheisel J.D. (Nucleic Acid Res. 27(9) 1970-1977 (1999)
【非特許文献7】A. Furka and co. Int. J. Pept. Protein Res, 1991, 37, 478
【非特許文献8】G. MacBeath and co., J. Am. Chem. Soc, 1999, 121, 7967
【非特許文献9】D. Scham and co., J. Comb. Chem., 2000, 2, 361
【非特許文献10】M. J. Dutt and K.H. Lee. Proteomic analysis, Current Opinion in Biotechnology, 2000, 11, 176-179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明者らの目的は、多様性がこれまでに知られる担体のライブラリのものよりも高い、分子ライブラリと結合することができる活性担体の作製であった。
【0029】
本発明者らは、活性担体の作製中、活性化リンカー官能基を作製するのに活性化試薬を1種類だけ適用する代わりに、2つ以上の活性化試薬の混合物を用いて反応を行い、それから反応混合物中の活性化試薬によって示された均等な分布の結果、反応中、全ての活性化試薬が担体基板のありとあらゆるポイントに等しく存在し、そのためあらゆるポイントであらゆる種類の活性化試薬によって作製された活性化リンカー官能基を存在させることを実現した。このようにして、化学マイクロアレイに等しく分布する数種類のリンカー官能基を形成することが可能になり、このためこのような活性担体は、表面上に1つしか官能基が存在しない場合よりも多様性が高く、分子ライブラリの結合に好適である。本発明では、このより多様性が高い分子ライブラリは、幾つかの異なる種類の分子を結合することができることを意味するだけでなく、幾つかの異なる基を介して同じ分子が結合することができ、このためスクリーニング中に同じ分子が幾つかの異なる遊離表面を有することも意味する。
【0030】
本発明者らによって設定された目的は、担体基板に付着した異なる種類の活性化リンカー官能基を有するリンカーを含有し、これによって幾つかの種類の分子が同じ活性担体と結合することができるような活性担体の作製によって解決される。このように、このような分子ライブラリは、任意の既知の担体の場合で使用されるものよりも大きい化学領域をカバーする、本発明に従って作製された活性担体と結合することができる。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記に従って、本発明は、担体基板と活性化リンカー官能基を含有する付着リンカーとから成る活性担体であって、2つ以上の異なる種類の活性化リンカー官能基を含有することを特徴とする、活性担体を開示する。
【0032】
本発明の一実施の形態において、活性担体は、2つ、3つ、4つ又は5つの異なる活性化リンカー官能基を含有する。
【0033】
別の実施の形態において、活性担体は2つ又は3つの異なる活性化リンカー官能基を含有する。
【0034】
さらなる実施の形態において、担体基板の材料はガラス、天然ポリマー又は人工ポリマーである。
【0035】
別の実施の形態において、担体基板の材料はガラスである。
【0036】
別の実施の形態において、担体基板の材料はポリプロピレンである。
【0037】
別の実施の形態において、リンカーは直鎖又は分岐鎖であり、第1級(primer)アミノ酸及び/又は第2級アミノ酸及び/又は第3級アミノ基(複数可)を含有する。
【0038】
別の実施の形態において、リンカーは直鎖又は分岐鎖のポリアミンである。
【0039】
別の実施の形態において、リンカーは最大20個の置換リンカー官能基又は非置換リンカー官能基を含有する。
【0040】
別の実施の形態において、リンカーは一般式1によるものである。
【0041】
【化1】

【0042】
式中、Aは、C又はSiを意味し、
B’はC又はOを意味し、
は独立して、H、ヒドロキシル、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、又は−C−C−シクロアルキル(ここで、アルキルはメチル、エチル又はプロピルであることが好都合である)を意味し、
は独立して、H、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、−C−C−シクロアルキル、ニトリル、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート(Hを除いて場合によっては、チオール、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、フェニル、アルデヒド、ケト、スルホニル、ホスフェート、エステル、スルホ、ニトリル、エポキシド、アミドアルキルハロゲン化物、アクリルアミド、酸無水物、イソシアネート、イソチオシアネート、アジド、−(N(R)CH−N(R、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物(ハロゲン化物は塩素、臭素、ヨウ素であり得る)が挙げられるがこれらに限定されない基から選択される1つ又は複数の基で置換することができる)を意味し、
は独立して、H、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、−C−C−シクロアルキル、ニトリル、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート(Hを除いて場合によっては、チオール、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、フェニル、アルデヒド、ケト、スルホニル、ホスフェート、エステル、スルホ、ニトリル、エポキシド、アミドアルキルハロゲン化物、アクリルアミド、酸無水物、イソシアネート、イソチオシアネート、アジド、−(N(R)CH−N(R、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物(ハロゲン化物は塩素、臭素、ヨウ素であり得る)が挙げられるがこれらに限定されない基から選択される1つ又は複数の基で置換することができる)を意味し、
は独立して、H、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、−C−C−シクロアルキル、ニトリル、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート(Hを除いて場合によっては、チオール、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、フェニル、アルデヒド、ケト、スルホニル、ホスフェート、エステル、スルホ、ニトリル、エポキシド、アミドアルキルハロゲン化物、アクリルアミド、酸無水物、イソシアネート、イソチオシアネート、アジド、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物(ハロゲン化物は塩素、臭素、ヨウ素であり得る)が挙げられるがこれらに限定されない基から選択される1つ又は複数の基で置換することができる)を意味し、
nの値は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である可能性があり、
mの値は独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8である可能性があり、リンカーはB’で示される原子を介して担体基板に、好都合なことにはガラス担体の表面Si原子に、又はポリマー担体の表面C原子又はN原子に付着する。
【0043】
本発明は、活性担体を製造する方法であって、
a)担体官能基を介して、1つ又は複数のリンカー官能基を含有するリンカーと担体基板とを結合させる工程と、
b)工程a)で担体基板と結合したリンカーのリンカー官能基を2つ以上の異なる活性化試薬と同時に反応させる工程とを含む、活性担体を製造する方法も開示する。
【0044】
本発明の一実施の形態において、リンカーはシリル化によって担体表面と結合する。
【0045】
一実施の形態において、シリル化は、3,3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリメトキシシランによって行われる。
【0046】
別の実施の形態において、シリル化は、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシランによって行われる。
【0047】
さらなる実施の形態において、リンカー官能基は2つ、3つ、4つ又は5つの活性化試薬と同時に反応する。
【0048】
またさらなる実施の形態において、リンカー官能基は2つ又は3つの活性化試薬と同時に反応する。
【0049】
一実施の形態において、活性化試薬は以下の化合物から選択され、これらとしては、アクリル酸塩化物、エピクロロヒドリン、クロロアセトニトリル、クロロ酢酸塩化物、ブロモ酢酸塩化物、クロロギ酸塩化物、ブロモギ酸塩化物、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸塩化物、ヨード酢酸無水物、クロロギ酸無水物、ブロモギ酸無水物、ヨードギ酸無水物、アクリル酸無水物、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、クロロ酢酸イソシアネート、ブロモ酢酸イソシアネート、ヨード酢酸イソシアネート、アクリル酸ニトリル、クロロアセトアルデヒド、ブロモアセトアルデヒド、ヨードアセトアルデヒド、4−クロロ酪酸塩化物、4−ブロモ酪酸塩化物、4−ヨード酪酸、4−クロロ酪酸無水物、4−ブロモ酪酸無水物、4−ヨード酪酸無水物、クロロ酢酸イソチオシアネート、ブロモ酢酸イソチオシアネート、ヨード酢酸イソチオシアネート、3−クロロプロパン酸塩化物、3−ブロモプロパン酸塩化物、3−ヨードプロパン酸塩化物、N−クロロカルボニルイソシアネート、フェニルジイソチオシアネート、ジスクシンイミジル−カーボネート、ジスクシンイミジル−オキサレート、スベルイミノ酸ジメチル及びクロロギ酸4−ニトロフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
さらに、本発明は、活性担体の適用であって、この間に活性担体表面を1つ又は複数の小分子溶液で処理する、活性担体の適用に関する。
【0051】
活性担体の一実施の形態において、化学マイクロアレイの作製のために活性担体表面の異なるポイントを2つ以上の異なる小分子溶液で処理する。
【0052】
別の実施の形態において、クロマトグラフィカラムロードを活性担体として使用し、アフィニティカラムの作製のために小分子を当該クロマトグラフィカラムロードと結合させる。
【0053】
以下の記載部分において、図面を用いて本発明を詳細に説明し、これによって本発明を明らかにする目的が果たされるが、決して本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】活性担体の概略図を示す。
【図2】化学マイクロアレイの概略図を示す。
【図3】化学マイクロアレイの作製スキームの概略を示す図である。
【図4】蛍光標識したプロテイナーゼKの相互作用解析の結果を示す図である。
【図5】ビオチニル化ガラスビーズで行われたアフィニティクロマトグラフィ解析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は、記載される特定の方法、プロトコル、試薬に限定されないことが理解される。また本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためであることが理解され、この専門用語は本発明の範囲を限定するものであるとは意図されない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
【0056】
用語「担体基板」は、担体官能基を含有する肉眼サイズの固形体を意味する。本記載を考慮して、特に担体基板はガラスプレート、ガラスビーズ、ポリマープレート、ポリマービーズであり得る。担体基板の幾何学パラメータは用途によって変わる可能性があり、担体基板は平面、球状又は他の形状であり得ることは、当業者にとって既知である。
【0057】
用語「リンカー」は、強い化学結合(例えば共有結合)を介して2つの他の化学単位を連結する化学単位を意味する。したがってリンカーは、或る特定の分子距離と2つの結び付いた化学単位間の連結とを同時に確保する。本記載では、用語「リンカー」は、本発明の活性担体の適用中に一方で担体基板と結合し、もう一方でサンプル分子と結合する化学単位を意味する。したがってこの結果として、サンプル分子はリンカーを介して担体基板と結合し、このようにしてサンプル分子は担体基板表面から特定の分子距離に位置する。本記載の範囲内で、用語「リンカー」は、上記に従って活性担体と結合するが、まだサンプル分子は活性担体と結合していない化学単位も示し、この後者の結合は、活性担体の後期形成工程でのみ形成される。
【0058】
用語「官能基」は、他の化学単位との反応によって強い化学結合(例えば共有結合)を形成することができるような化学基を意味する。本記載に関連して官能基は、担体、リンカー、及び場合によっては、サンプル分子上にあり得る。本発明に従って、官能基には特に重点を置き、したがって明確な定義のために、「担体の官能基」と、「リンカーの官能基」と、「活性リンカーの官能基」との間にはっきりした区別をつける。
【0059】
用語「担体の官能基」は、担体の基板材料として使用される材料の一部であり、そのため担体基板の一部である官能基を意味する。例えばガラス担体の場合、用語「担体の官能基」はSi原子と結合するヒドロキシル基を意味する。本発明に従うと、担体の官能基は、リンカーと結合する、即ち担体基板とリンカーとの間に強い化学結合を形成するのに有用である。
【0060】
用語「リンカーの官能基」は、活性化前にリンカー上に存在する官能基、即ち活性化手順中に数種類の化学反応を受ける基を意味する。ポリアミンを含有するリンカーを適用する場合、リンカーの官能基には、例えば第1級アミン又は第2級アミンが含まれるが、これらに限定されない。本発明に従うと、リンカーの官能基は、異なる種類の化学単位とリンカーとの結合を容易にするのに有用であり、そのためリンカーは小分子の結合に好適になる。
【0061】
用語「活性化リンカーの官能基」は、リンカーの活性化の結果として、即ち異なる種類の化学単位がリンカーの官能基と結合すると形成される官能基を意味する。これらの化学単位は、活性化リンカーの官能基として有用である。したがって、活性化リンカー官能基は、置換リンカーの官能基上に存在する官能基である。本記載を考慮すると、特に活性化リンカー官能基としては、チオール、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、フェニル、アルデヒド、ニトリル、ケト、スルホニル、ホスフェート、エステル、スルホ、ピリジル、ピリミジルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
用語「マイクロアレイ」は微小サイズの平面マトリクス担体を表す。
【0063】
「ケミカルマイクロアレイ」は、所定の種類の小分子から成る固定化クラスターが、スライド又はプレートの各ポイントに位置する種類のマイクロアレイである。
【0064】
用語「サンプル」又は「サンプル分子」は、活性化リンカー官能基を介してリンカーによって活性担体と結合する、即ち結合している分子又は言い換えれば固定化分子を意味する。
【0065】
用語「プローブ」又は「プローブ分子」は、プローブが活性担体と結合したサンプルと結合しているか否かを見ることによって、サンプルとの結合を解析する分子を意味する。化学マイクロアレイを適用する場合、概してプローブは巨大分子(例えばタンパク質)である。
【0066】
用語「固定化」は、強い化学結合(例えば共有結合)を介して分子を固体担体と結合させる操作を意味する。用語「固定化」、「結合」及び「固定」は同じ操作を表し、これらの用語は互いに代替可能であることが当業者には明らかである。本記載の範囲内で、概して本発明者らは担体上への小分子の固定化に取り組み、即ち本発明者らは一態様ではリンカーを介して担体上でサンプル分子を固定化する。
【0067】
この種類の担体は「活性担体」と呼ばれ、リンカーを介して担体基板と結合した活性化リンカー官能基を含有する。
【0068】
一般的に化学マイクロアレイは以下の要素から成る:
a)微小サイズで、担体官能基を含有する担体基板、
b)一態様では、サンプル分子の結合に必要である、担体官能基を用いて担体基板と結合し、担体基板との結合後でもこのような遊離官能基を有する(即ち活性化リンカー官能基を有する)リンカー、
c)単一種類の分子クラスターが担体の各ポイントに位置する場合、担体官能基を用いて担体基板と直接、又は担体基板上に位置するリンカーと結合するサンプル分子。
【0069】
リンカーが必要ではないが、化学マイクロアレイの好都合な要素であることは当業者には明らかである。
【0070】
化学マイクロアレイは以下のように機能する。担体上に固定化させたサンプル分子は、例えば化学マイクロアレイの表面上に好適なタンパク質溶液を滴下することによってプローブと接触する。それから緩衝液を使用して、この溶液を表面から洗い流す。このようなサンプルが位置し、固定化状態のサンプル分子においてタンパク質によって結合することができる表面のポイント上では、洗い流した後であってもタンパク質はそこに結合したままである。したがって、このように結合したタンパク質を当該技術分野で既知の方法によって(例えばUV光で、蛍光技法等によって)検出することができる。どの固定化分子が、(化学マイクロアレイの表面上にサンプル分子配列を含有する)化学マイクロアレイのトポロジーに基づいて観察されたタンパク質によって結合することができるかを求めることができる。
【0071】
本発明は、活性担体であって、数種類の活性化リンカー官能基を含有し、そのためこれまでに知られた担体よりも多くの種類の小分子を本発明に従って作製された担体上に固定化させることができる、活性担体を開示する。
【0072】
図1は、本発明の担体の概略図を示す。担体基板は参照番号1で示されたガラスプレートで構成されている。この担体基板の表面酸化ケイ素単位に、置換トリアミンをSi(OMe)基を介して結合させる。トリアミンのアミノ基の1つ又は複数は異なる活性化リンカー官能基で置換される。(図で参照番号2が与えられた)リンカーの各アミノ基は、担体基板から最も近いものから始めて順番に挙げられる以下の活性化リンカー官能基(−CH=CH−COOCl、−COCl、及び−CN)で単一置換される。この図は、同じ活性化担体上の他のリンカー単位が他の活性化官能基を有することを強調する。例えば、参照番号3が与えられるリンカーの2つの第2級アミノ基は置換されないが、その末端アミノ基は−CN基で単一置換される。
【0073】
図2では、本発明の非限定的な実施形態の1つを示した。本明細書中では、小分子は、共有結合を介して及び図1で示された幾つかの担体の活性化リンカー官能基を介して担体と結合する。参照番号4では、2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾル−1−イル)−4,6−ジフェニルピリミジン分子が−CN活性化リンカー官能基を介して活性担体と結合し、参照番号5では、N−(3−(4−ブロモフェニルアミノ)キノキサリン−2−イル)ベンジルスルホンアミド分子が−CH=CH−COOCl基を介して活性担体と結合し、参照番号6では、1−(4−ニトロフェニル)−3−(ピペリジン−1−イル)プロパン−2−オール分子が−CO−CH=CHCl基を介して活性担体と結合する。遮断に使用する基はR’’で示し、本実施例では脂肪族アルキルアミンである。
【0074】
小分子サンプルが結合しない場合、タンパク質及びプローブ分子が表面と特異的に反応するため、遮断が必要である。この結果として、バックグラウンドが大きく増大し、読み取り及び評価が困難又はさらには不可能になる。したがって、サンプル分子が存在しない場合、そこに位置する反応基が反応性を失う、即ち不活性になるように化学マイクロアレイ部分を遮断するべきでる(即ち活性化リンカー官能基を反応させる必要がある)。
【0075】
現行の技術水準によれば、排他的に1種類の活性化官能基を含有する活性担体のみが知られている。このため、強い化学結合(例えば共有結合)を形成するように所定の活性化リンカー官能基と反応することができる基を含有する分子のみがこれらの担体と結合することができる。
【0076】
本発明は、担体表面上に幾つかの活性化リンカー官能基を同時に含有するような活性担体を提供する。このことは、これまでに知られているいずれのものよりも多様な分子ライブラリと活性担体との結合を容易にする。即ち、活性担体の所定のポイントでは、数種類の活性化リンカー官能基が位置し、このようにしてこのポイントに適用される所定の分子溶液由来の化合物が担体と結合する確率(chance)が増大する。
【0077】
また、幾つかの活性化リンカー官能基は、本発明の活性担体の所定のリンカー単位上に位置する可能性があり、隣接リンカーは異なる官能基を含有し得る(図1を参照されたい)。即ち、本発明による認識は、リンカーが多くのリンカー官能基を保有するように担体基板上に形成されるという事実を含む。図1で示される例では、これらのリンカー官能基は第1級アミノ基又は第2級アミノ基であるが、他のリンカー官能基を適用してもよいことは当業者には容易に明らかである。リンカー官能基を2つ以上の活性化試薬で同時に活性化する場合、単一のリンカー官能基は様々な方法で同時に活性化されるため、異なる活性化官能基が同じ活性担体上に形成される。
【0078】
図3では、本発明の活性担体を作製する方法の鍵となる工程は、担体基板としてガラスプレートの適用を実証することによって示される。ガラスだけではなく、他の材料(天然又は人工ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない)を担体基板として使用することができることが当業者には明らかである。工程1では、リンカー官能基を含有するリンカーを担体基板表面と結合させる。図で示される非限定的な例では、トリアミノ基が表面Si原子上のヒドロキシル基に付着する(詳細には実施例1を参照されたい)。この場合、担体官能基はヒドロキシル基であり、リンカー官能基は第1級アミノ基又は第2級アミノ基である。工程2では、工程1で調製された表面を異なる活性剤と同時に反応させるように、先の工程で形成されたリンカー官能基(この場合、第1級アミン及び第2級アミン)を活性化させる。これによって、活性剤の濃度比及び他の反応パラメータによって、異なる活性化リンカー官能基がリンカー官能基と結合し、結果として表面が幾つかの活性化リンカー官能基を有することになる。図3で示される工程3は、本発明の活性担体の適用のための概略的な例を示す。このプロセス中、工程2で形成された表面を異なる分子溶液で処理し、これらの異なる分子を異なる活性化リンカー官能基と結合させる。したがって、本発明の方法によって、異なる化学特性のためにこれまでの(former)技術水準では同じ活性担体との結合が不可能であった、この種類の分子であっても同じ表面上に結合することができるような活性担体を作製することができる。
【0079】
本発明のプロセス中、最も好都合には一般的に顕微鏡対象物スライドを担体基板として使用することができ、例えば、3,3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリメトキシシラン、又はN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシランによってシリル化(即ち図3の工程1によるリンカーの適用)を行うことができる。
【0080】
リンカー官能基として第1級アミン又は第2級アミンを適用する場合、以下の活性剤(アクリル酸塩化物、エピクロロヒドリン、クロロアセトニトリル、クロロ酢酸塩化物、ブロモ酢酸塩化物、クロロギ酸塩化物、ブロモギ酸塩化物、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸塩化物、ヨード酢酸無水物、クロロギ酸無水物、ブロモギ酸無水物、ヨードギ酸無水物、アクリル酸無水物、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、クロロ酢酸イソシアネート、ブロモ酢酸イソシアネート、ヨード酢酸イソシアネート、アクリル酸ニトリル、クロロアセトアルデヒド、ブロモアセトアルデヒド、ヨードアセトアルデヒド、4−クロロ酪酸塩化物、4−ブロモ酪酸塩化物、4−ヨード酪酸、4−クロロ酪酸無水物、4−ブロモ酪酸無水物、4−ヨード酪酸無水物、クロロ酢酸イソチオシアネート、ブロモ酢酸イソチオシアネート、ヨード酢酸イソチオシアネート、3−クロロプロパン酸塩化物、3−ブロモプロパン酸塩化物、3−ヨードプロパン酸塩化物、N−クロロカルボニルイソシアネート、フェニルジイソチオシアネート、ジスクシンイミジル−カーボネート、ジスクシンイミジル−オキサレート、スベルイミノ酸ジメチル及びクロロギ酸4−ニトロフェニルを含むが、これらに限定されない)がアミノ官能基を活性化し、このようにして活性化リンカー官能基を形成するのに最適である。
【0081】
本発明に従って作製された活性担体を幾つかの方法で適用することができる。非限定的な例の1つは、上記に従って作製された活性担体表面の規定のポイントに小分子溶液を滴下することによって化学マイクロアレイの作製に活性担体を使用することができることである。この適用は、手動で又は機器を使用することによって行うことができる。溶液の適用中に、手動で又は定義済み且つ適用前にプログラミングされた指示に従って、さらに適用を制御するコンピュータによって自動でマイクロアレイのトポロジー(どの溶液を活性担体のどのポイントに滴下させるかの配列)を構築する。本発明のために、これまでの多様性よりも高い、即ちより高化学範囲に変換する化学的ライブラリを同じ担体に適用することができ、このようにしてこれまでの存在量よりも大きい化学マイクロアレイを作製することができる。このようにして、完全に異なる官能基を有する分子を同じ担体上に適用することができる。
【0082】
本発明の活性担体をアフィニティカラムロードの作製に適用することもできる。例えば、異なる小分子を各ロード上に固定化させる場合、例えばビーズ状でカラムロードとして本発明の活性担体を適用することができる。これまでに既知の方法によって、異なる活性化官能基を含有するカラムロードを別々に作製することができるが、単一プロセス内で、幾つかの異なる活性化リンカー官能基を含有するようなカラムロードの作製を容易にし、そのためロードの均一性が確保され、一方で異なるロードの再現可能な混合の問題が取り除かれるため、本方法はこれまでの方法に比べてより好都合である。
【0083】
本発明の方法中、結合するプローブには化学的修飾の必要はなく、大量のサンプルを調製する場合に、この方法のコストはかなり少なくなる。結合中でも、さらなる化学反応(例えば還元)の必要はない。還元しやすい基を含有するサンプルを全く損傷又は変性させることなく固体担体と結合させることができるために、この方法は好都合である。
【実施例】
【0084】
以下の段落において、本発明を実施例によって明らかにする。実施例は、より良好な理解のために用いられ、決して本発明の範囲を限定するものとしては理解されない。
【実施例1】
【0085】
ガラスプレート上でのトリアミノシラン化表面の形成
本実施例では、上に1つの第1級アミンリンカー官能基及び2つの第2級アミンリンカー官能基を形成するガラスプレートを担体基板として使用する。
【0086】
市販の顕微鏡スライドを10%NaOH水溶液(Molar Chemicals Ltd.、ハンガリー、純度98.5%超)に浸した後、水、1%HCl水溶液(Molar Chemicals Ltd.、ハンガリー)、及びその後洗浄溶液が中性pHに達するまで再度水で洗浄する。続けて、室温でプレートを乾燥させる。上記のように調製したエッチング加工ガラスプレートを95%メタノール水溶液中で調製した3%N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン溶液(ICN Biomedicals Inc.、オハイオ州オーロラ)と2時間反応させる。それから、プレートをメタノール、及びその後水で洗浄し、105℃で15分間乾燥及び熱処理する。
【実施例2】
【0087】
ガラスプレート上での分岐構造表面の形成
実施例1で形成され、アミノ基を含有する表面をクロロホルム(Sigma-Aldrich)100ml中で30mmolのアクリル酸塩化物(Fluka)及び30mmolのジイソプロピルエチルアミンと2時間インキュベートした。それから、プレートをクロロホルム100ml中で5回洗浄し、室温で乾燥させた。次いで、プレートを1%テトラエチレンペンタミン(Sigma Aldrich)と2時間反応させた。その後、プレートをメタノールで洗浄した後、水で洗浄し、105℃で15分間乾燥及び熱処理した。このようにして調製したプレートは、1つのリンカー当たり15個の遊離アミノ基を含有しており(以下の概略図を参照されたい)、その上に実施例3で開示される方法によって、多様な活性化リンカー官能基を含有するような活性表面を形成することができる。
【0088】
【化2】

【実施例3】
【0089】
トリアミノシラン化表面上での多様な活性化リンカー官能基の形成
アミノ基を含有する、実施例1又は実施例2で調製した表面上に、以下の活性剤の混合物を適用する:ジクロロエタン(Sigma Aldrich、ハンガリーのブダペスト)100ml中で8mmolのアクリル酸塩化物(Fluka、ドイツ)、8mmolのエピクロロヒドリン、8mmolのクロロアセトニトリル、8mmolのクロロ酢酸塩化物(Fluka)、32mmolのジイソプロピルエチルアミン(ICN Biomedicals Inc.、オハイオ州オーロラ)。これを室温で2時間インキュベートする。それからプレートをジクロロエタン100mlで5回洗浄した後、室温で乾燥する。この方法の結果として、特に以下のリンカーが形成され得る。
【0090】
【化3】

【実施例4】
【0091】
高密度の化学マイクロアレイの作製
様々な化合物からジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma Aldrich)中で10mM濃度の溶液を調製した後、各単一化合物の位置が知られている、384ウェルマイクロタイタープレート(Greiner)に溶液を1つずつ移した。マイクロタイタープレートをMicroGridトータルアレイシステム(BioRobotics、イングランド)機器に入れた。実施例3に従って作製した化学修飾プレートをMicroGridトータルアレイシステム(BioRobotics)のプレート保持ユニットに入れた。機器は、マイクロタイタープレートから化学修飾プレートへと小分子溶液を適用させた(プリント)。機器の設定は、2つのプリントスポット間の距離が250μm、プリントスポットの直径は約150μm〜180μmになるように調整した。プリントはプレートを冷却しながら、湿度50%、温度16℃で行った。プリント後、プレートを室温で2時間インキュベートした。加えた液滴の乾燥を防ぐために、湿潤雰囲気でインキュベーションを行った。機器によって単一ポイントに適用される液体の量は約100nlであった。サンプル分子の適用後、DMSO(3×100ml)、その後メタノール(Molar Chemicals Ltd.、ハンガリー、99.7%超)でプレートを洗浄した。50mMの6−アミノ−ヘキサノール及び150mMのジイソプロピルエチルアミンを含有するジメチルホルムアミド中で室温で2時間、プレートの遮断を行った。それから、ジメチルホルムアミド、メタノール中で、及びその後1×SSC(0.1MのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)の水溶液、0.2重量%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、及びその後水でプレートを洗浄し、室温で乾燥させた。完全なプレートを暗所4℃で保存した。
【実施例5】
【0092】
複数の活性化表面のみと結合する化合物
これらの研究中、本発明者らは、複数の活性化表面のみと結合する小分子が存在する、即ち小分子は本発明で与えられた表面上でのみ固定化することができることに留意した。本実施例で試験した化合物は全て、自己蛍光化合物であった。
【0093】
実施例1に従って作製した、アミノ基を含有する表面上に、以下の化合物から選択された活性剤の混合物を適用する:アクリル酸塩化物(A)、エピクロロヒドリン(B)、クロロアセトニトリル(C)、クロロ酢酸塩化物(D)。表1では、上記由来の2つ以上の活性剤によって活性化された活性担体のみと結合するような化合物が例として挙げられる。全ての分子を可能性のある表面全てで試験した。有意な結合シグナルを示した場合のみを表に示す。
【0094】
【表1−1】

【表1−2】

【0095】
本発明の担体を用いると、それぞれ1つだけ活性化リンカー官能基を含有する表面とは適切な有効性で結合することができないが、本発明の担体だけが有効な結合に好適であるような小分子を固定化することができることが上記の表から明らかである。
【実施例6】
【0096】
プロテイナーゼK酵素の実験
本発明の化学マイクロアレイの試験をセリンプロテアーゼタンパク質であるプロテイナーゼK酵素を用いて行った。プロテイナーゼK溶液(Sigma Aldrich、ブダペスト)1mgを緩衝リン酸緩衝液(「PBS」)に溶解した後、SIGMAのタンパク質標識キット(CSAA1、Panorama(商標)Abマイクロアレイセルシグナル化キット)のプロトコルに従って、タンパク質をCy5蛍光色素[Q15108、Amersham-Pharmacia]で標識した。それぞれが2つの異なるポイントで担体にプリントされた8800個の異なる化合物を含有した化学マイクロアレイの表面上にこのような蛍光標識タンパク質5μgを適用し、このためプリント機器(BioRobotics、MicroGrid II、英国のケンブリッジ)を使用することによって全体で17600個のポイントを作製した。図4はマイクロアレイの一部を示し、またその選択区域は拡大して示す。標識セリンプロテアーゼは幾つかの化合物(明るいスポット)と相互作用したことが明らかに示される。さらなる解析過程中に、これらの中の或る特定の化合物が実際にプロテイナーゼKと結合し、さらにそれらの幾つかが阻害剤として作用したことが証明され、このことはプロテアーゼアッセイで確認された。結果として、本発明者らによって作製された化学マイクロアレイを使用することによって、所定のタンパク質と結合する化合物を同定することができるだけでなく、それらの大部分が阻害剤として作用するため、この方法は薬学研究に十分利用可能である。
【実施例7】
【0097】
アフィニティカラムの調製
本実施例では、担体基板として制御多孔性ガラスビーズ(Controlled Pore Glass)を使用し、その上に1つの第1級アミンリンカー官能基及び2つの第2級アミンリンカー官能基を連結させた。
【0098】
市販のControlled Pore Glass(CPG−3Prime、米国)を10%NaOH水溶液(Molar Chemicals Ltd.、ハンガリー、純度98.5%超)に浸した後、水、1%HCl水溶液(Molar Chemicals Ltd.、ハンガリー)、及びその後洗浄溶液が中性pHに達するまでフィルタノッチ(nutch)上で再度水で洗浄した。この後、室温でガラスビーズを乾燥した。
【0099】
上記のように調製したエッチング加工ガラスビーズを95%メタノール水溶液中で調製した3%N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン溶液(ICN Biomedicals Inc.、オハイオ州オーロラ)と2時間反応させた。それから、ガラスビーズをメタノール、及びその後水で洗浄し、105℃で15分間乾燥及び熱処理した。
【0100】
実施例3で開示された方法を使用することによって、幾つかの活性化リンカー官能基を含有する活性表面がガラスビーズ上に形成した。
【実施例8】
【0101】
ビオチン−ストレプトアビジン結合の検出、及びストレプトアビジン精製のためのアフィニティカラムの適用
ビオチンは、以下の方法で実施例7で記載の方法に従って調製されたガラスビーズと結合した。ビオチン10mgをDMSO(Sigma-Aldrich)1mlに溶解した後、活性化ガラスビーズ200mgを溶液に添加した後、室温で2時間撹拌した。その後、ガラスビーズをDMSO 10mlで1回、及びメタノール100mlで4回洗浄した。
【0102】
ビオチニル化ガラスビーズをPBS 1mlに添加し、それにCy5蛍光色素で標識したストレプトアビジン50μgを添加した(全色素:0.3OD640/ml)。得られた溶液を撹拌した後、再びOD640を測定すると、検出値は0.003であった。このことは、全ての標識タンパク質(ストレプトアビジン)がビオチニル化ガラスビーズと結合したことを示した。特異的な結合を確認するために、2つのクロマトグラフィ解析を行った。最初のクロマトグラフィ解析中、ビオチニル化ガラスビーズ100mgを濃度を増やしながらビオチン溶液で洗浄し、2番目のクロマトグラフティ解析では、ビオチニル化ガラスビーズを含有するカラムを漸増濃度のベンズアミジン溶液で洗浄した。溶出液の吸光度を連続して測定した(図5)。ベンズアミジン溶液を使用せず、ビオチン溶液のみを使用して、蛍光標識したストレプトアビジンを溶出することができた。この結果によって、結合の特異性が確認された。
【0103】
本発明の活性担体は、異なる原子又は基を介した同じ分子と同じ担体との結合を容易にする。好都合なことに、このようにして、タンパク質は幾つかの方向から同じ分子にアプローチすることができるため、或る特定の分子が或る特定のタンパク質と結合するか否かという疑問に対して、高い確率で本当の解答を得ることができる。言い換えれば、「間違った否定的な」測定結果の確率は低減する。この解釈は、これまでの技術水準の技法によって構築された活性担体で考慮される問題点にはなり得ない。
【0104】
本発明のさらなる利点は、担体との結合に幾つかの活性化リンカー官能基が同時に存在することが必要である、分子の固定化を容易にすることである。このようにして、本発明は、現行の技術水準で知られる活性担体との結合が未だに不可能である多くの小分子の固体化に対する解決策を提供する。言い換えれば、本発明は、それぞれ単一種類の活性化リンカー官能基を有する個々のプレートと結合するのと同じ数の分子の結合を容易にするだけでなく、有意により多くの分子をこの方法によって固定化することができる、即ちこれらの分子の結合は2つ以上の活性化リンカー官能基が同時に存在する場合にのみ可能になる。
【0105】
本発明の活性担体の別の利点は、活性担体から作製されたマイクロアレイは必ずしも化学的意味で同様の分子のみを含有する必要はないことである。本発明は、所定の担体の様々な性状(aspects)(例えば治療領域、分子量、ADME特性、リピンスキ原則の要件、他のインシリコ(in silico)、インビトロ(in vitro)、又はインビボ(in vivo)性質、又はさらには行政長官規則(magisterial regulations)に従ったグループ分け(例えば薬剤(pharamaceutical)登録、特許))によって分類される一連の分子の結合を容易にする。結果として、本発明の活性担体は、「単に」より多くの種類の分子と結合することができるだけでなく、これによって、特に薬学研究のための多くの新たな可能性が得られるため、現在知られている担体よりも好都合である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体基板(1)と活性化リンカー官能基を含有する付着リンカーとを含む活性担体であって、2つ以上の異なる活性化リンカー官能基を含有することを特徴とする、活性担体。
【請求項2】
前記担体が2つ、3つ、4つ、又は5つの異なる活性化リンカー官能基を含有することを特徴とする、請求項1に記載の活性担体。
【請求項3】
前記担体が2つ又は3つの異なる活性化リンカー官能基を含有することを特徴とする、請求項2に記載の活性担体。
【請求項4】
前記担体基板(1)の材料がガラス、天然ポリマー又は人工ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の活性担体。
【請求項5】
前記担体基板(1)の材料がガラスであることを特徴とする、請求項4に記載の活性担体。
【請求項6】
前記担体基板(1)の材料がポリプロピレンであることを特徴とする、請求項4に記載の活性担体。
【請求項7】
前記リンカーが直鎖又は分岐鎖であり、第1級及び/又は第2級及び/又は第3級アミノ基(複数可)を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の活性担体。
【請求項8】
前記リンカーが直鎖又は分岐鎖のポリアミンであることを特徴とする、請求項7に記載の活性担体。
【請求項9】
前記リンカーが最大20個の置換リンカー官能基又は非置換リンカー官能基を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の活性担体。
【請求項10】
前記リンカーが一般式1
【化1】

(式中、Aは、C又はSiを意味し、
B’はC又はOを意味し、
は独立して、H、ヒドロキシル、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、又は−C−C−シクロアルキル(ここで、アルキルはメチル、エチル又はプロピルであることが好都合である)を意味し、
は独立して、H、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、−C−C−シクロアルキル、ニトリル、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート(Hを除いて場合によっては、チオール、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、フェニル、アルデヒド、ケト、スルホニル、ホスフェート、エステル、スルホ、ニトリル、エポキシド、アミドアルキルハロゲン化物、アクリルアミド、酸無水物、イソシアネート、イソチオシアネート、アジド、−(N(R)CH−N(R、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物(該ハロゲン化物は塩素、臭素、ヨウ素であり得る)が挙げられるがこれらに限定されない基から選択される1つ又は複数の基で置換することができる)を意味し、
は独立して、H、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、−C−C−シクロアルキル、ニトリル、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート(Hを除いて場合によっては、チオール、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、フェニル、アルデヒド、ケト、スルホニル、ホスフェート、エステル、スルホ、ニトリル、エポキシド、アミドアルキルハロゲン化物、アクリルアミド、酸無水物、イソシアネート、イソチオシアネート、アジド、−(N(R)CH−N(R、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物(該ハロゲン化物は塩素、臭素、ヨウ素であり得る)が挙げられるがこれらに限定されない基から選択される1つ又は複数の基で置換することができる)を意味し、
は独立して、H、−C−C20−アルキル、−OC−C−C20−アルキル、−C−C−シクロアルキル、ニトリル、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート(Hを除いて場合によっては、チオール、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、フェニル、アルデヒド、ケト、スルホニル、ホスフェート、エステル、スルホ、ニトリル、エポキシド、アミドアルキルハロゲン化物、アクリルアミド、酸無水物、イソシアネート、イソチオシアネート、アジド、ハロゲン化物、酸ハロゲン化物(該ハロゲン化物は塩素、臭素、ヨウ素であり得る)が挙げられるがこれらに限定されない基から選択される1つ又は複数の基で置換することができる)を意味し、
nの値は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である可能性があり、
mの値は独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8である可能性がある)によるものであり、前記リンカーが前記B’で示される原子を介して前記担体基板に、好都合なことにはガラス担体の前記表面Si原子に、又はポリマー担体の前記表面C原子又はN原子に付着することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の活性担体。
【請求項11】
担体基板(1)と活性化リンカー官能基を含有する付着リンカーとを含む活性担体を製造する方法であって、
a)前記担体官能基を介して、1つ又は複数のリンカー官能基を含有するリンカーと前記担体基板とを結合させる工程と、
b)工程a)で前記担体基板と結合した前記リンカーのリンカー官能基を2つ以上の異なる活性化試薬と同時に反応させる工程とから成ることを特徴とする、活性担体を製造する方法。
【請求項12】
前記リンカーがシリル化によって前記担体表面と結合することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シリル化が3,3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリメトキシシランによって行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シリル化がN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシランによって行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記リンカー官能基が2つ、3つ、4つ又は5つの活性化試薬と同時に反応することを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記リンカー官能基が2つ又は3つの活性化試薬と同時に反応することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記活性化試薬が、アクリル酸塩化物、エピクロロヒドリン、クロロアセトニトリル、クロロ酢酸塩化物、ブロモ酢酸塩化物、クロロギ酸塩化物、ブロモギ酸塩化物、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸塩化物、ヨード酢酸無水物、クロロギ酸無水物、ブロモギ酸無水物、ヨードギ酸無水物、アクリル酸無水物、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、クロロ酢酸イソシアネート、ブロモ酢酸イソシアネート、ヨード酢酸イソシアネート、アクリル酸ニトリル、クロロアセトアルデヒド、ブロモアセトアルデヒド、ヨードアセトアルデヒド、4−クロロ酪酸塩化物、4−ブロモ酪酸塩化物、4−ヨード酪酸、4−クロロ酪酸無水物、4−ブロモ酪酸無水物、4−ヨード酪酸無水物、クロロ酢酸イソチオシアネート、ブロモ酢酸イソチオシアネート、ヨード酢酸イソチオシアネート、3−クロロプロパン酸塩化物、3−ブロモプロパン酸塩化物、3−ヨードプロパン酸塩化物、N−クロロカルボニルイソシアネート、フェニルジイソチオシアネート、ジスクシンイミジル−カーボネート、ジスクシンイミジル−オキサレート、スベルイミノ酸ジメチル及びクロロギ酸4−ニトロフェニルの化合物から選択されることを特徴とする、請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
担体基板(1)と2つ以上の異なる活性化リンカー官能基を含有する付着リンカーとを含む活性担体の使用であって、該活性担体表面が1つ又は複数の小分子溶液と接触することを特徴とする、活性担体の使用。
【請求項19】
化学マイクロアレイの作製のために、前記活性担体表面の異なるポイントが2つ以上の異なる小分子溶液と接触することを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
クロマトグラフィカラムロードを活性担体として使用し、アフィニティカラムの作製のために小分子を該クロマトグラフィカラムロードと結合させることを特徴とする、請求項18に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−501845(P2010−501845A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525114(P2009−525114)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【国際出願番号】PCT/HU2007/000077
【国際公開番号】WO2008/023208
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(509052137)
【氏名又は名称原語表記】AVICOR KFT.
【Fターム(参考)】