説明

活性物質、好ましくはGNRHの制御放出のための、好ましくはPEGおよびPLGの混合物を含有するポリマーインプラント

目的の活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスが与えられる。活性物質は生分解性ポリマー内に与えられ、活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスが提供される。ポリマー系は、疎水性成分および親水性成分を含んでなる、コポリマーおよびポリマーブレンドであって、ポリマー系は、水系に接触もしくは浸漬した場合、たとえばデバイスを被験体に埋め込んだ場合に、ヒドロゲルを形成しない。デバイスが被験体に投与されたとき、たとえば埋め込まれたときに、デバイスは、ラグ期間なしで、または最小限のラグ期間をおいて、制御された様式で、活性物質を放出する。ポリマーデバイスを作製する方法も提供されるが、ポリマーデバイスを使用して、被験体において活性物質の制御放出を与える方法も提供される。好ましい疎水性成分はPLGである。好ましい親水性成分はPEGまたはメトキシPEGである。好ましいペプチドはLHRH、ゴセレリン、ロイプロリドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ペプチドもしくはタンパク質バイオ医薬品のような活性物質のデリバリーのための制御放出デバイスの分野に属するものであって、ラグ時間のない、または最小限のラグ時間を伴う、等速の、ゼロ次の、または直線的な放出速度を必要とする。
【背景技術】
【0002】
活性物質の生分解性制御放出システムは、当技術分野でよく知られている。ドラッグデリバリーのための生分解性マトリックスは、薬物放出後のデバイスを除去する必要性があらかじめ取り除かれているので、有用である。
【0003】
制御放出システムに使用されるもっとも一般的なマトリックス材料は、ポリマーである。生分解性ポリマーの分野は、ポリ乳酸の合成および生分解性がKulkarniら(1966)Arch. Surg. 93:839によって報告されて以来、急速に発展している。制御放出系のためのマトリックス材料として有用であると報告されている他のポリマーの例には、ポリ酸無水物;ポリグリコリドおよびポリラクチド-コ-グリコリドのようなポリエステル;ポリリジンのようなポリアミノ酸;ポリエチレンオキシド、アクリル末端ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリアクリロニトリル、およびポリホスファゼンからなるポリマーおよびコポリマーがある。たとえば、米国特許第4,891,225号および第4,906,474号、Langer(ポリ酸無水物);第4,767,628 号、Hutchinson(ポリラクチド、ポリラクチド-コ-グリコリド共重合体);第4,530,840号、Ticeら、(ポリラクチド、ポリグリコリド、およびコポリマー);ならびに第5,234,520号(Dunnら、歯周病治療における制御送達のための生分解性ポリマー)を参照されたい。
【0004】
生体起源の生分解性材料はよく知られており、たとえば、架橋ゼラチンがある。ヒアルロン酸は架橋され、分解性膨潤ポリマーとして生物医学的応用に使用されている(たとえば、米国特許第4,957,744号、およびDella Valleら、(1991) Polym. Mater. Sci . Eng., 62:731-735を参照されたい)。
【0005】
生分解性ヒドロゲルもまた、制御放出システムで使用するために開発され、ホルモン、酵素、抗生物質、抗癌剤、および細胞懸濁液といった生物活性物質の担体として有用である。たとえば、米国特許第5,149,543号(Cohen)を参照されたい。
【0006】
ヒドロゲル組成物はまた、細胞および組織培養の基材、補綴用の印象材、創傷パッキング材として、またはサイズ排除クロマトグラフィーもしくはアフィニティクロマトグラフィー用の固相材料として、一般に使用される。たとえば、非多孔質の、変形および/または誘導体化アガロースヒドロゲル組成物は、高速液体クロマトグラフィーおよびアフィニティクロマトグラフィー法で使用されており(Liら、(1990) Preparative Biochem. 20:107-121)、多孔質アガロースヒドロゲルビーズは疎水性相互作用クロマトグラフィーの支持体として使用されている(Gustavssonら、(1999) J. Chromatography 830:275-284)。
【0007】
製薬分野において、ヒドロゲルモノマー(天然もしくは合成)は、一般に、医薬組成物に添加され(重合開始剤、および、場合によっては、架橋剤とともに)、その後重合可能となり、それによってゲスト医薬品はヒドロゲルマトリックスの内部に封入される。ヒドロゲルマクロマーを適切に選択することによって、外科手術、医学的診断および治療において種々の用途に適した、さまざまな透過性、孔径および分解速度を有する膜を作製することができる。こうした技術を用いて、ドラッグターゲティングまたは制御放出システムのためのミクロスフェア担体システムが与えられる。たとえば、架橋ヒドロゲルミクロスフェアを使用して、糖尿病治療用の膵島細胞(Limら、(1980) Science 210:908-910)、または癌抑制物質を産生する癌細胞(米国特許第5,888,497号)を封入し、さらに、生分解性ヒドロゲルミクロスフェアは、医薬組成物、もっとも一般的にはペプチドおよびタンパク質を封入するために広く使用されている(Wangら、(1997) Pharm. Dev. and Technology 2:135-142)。これらの応用において、製剤に使用する個別のヒドロゲルシステムは、ゲスト細胞もしくは医薬物質の長期封入をもたらすように(たとえば、標的化デリバリー、または持続放出型もしくは遅延放出型の薬物動態を与えるように)選択される。あるいはまた、ヒドロゲルは、両親媒性コポリマー系において、親水性成分として使用される。この場合、ヒドロゲルは比較的大量に存在するので、そのポリマー系は大量の水を吸収する能力を有する。たとえば、米国特許第4,526,938号および第4,942,035号、Churchillら、を参照されたい。
【発明の開示】
【0008】
目的とする活性物質を制御放出するためのポリマーデバイスが与えられる。そのデバイスは、疎水性成分および親水性成分を含んでなる、コポリマーおよびポリマーブレンドからなる一群から選択される生分解性ポリマー系を活性物質と併せて含んでなる。このポリマー系は、そのデバイスが水系と接触したとき、ヒドロゲルを形成しない。
【0009】
加えて、このデバイスは、ラグ時間なしで、または最小限のラグ時間で活性物質を放出する。このようにして、本発明のポリマーデバイスは、ゼロ次の、もしくは直線的な、活性物質の制御放出を与える。
【0010】
また、目的の活性物質を制御放出するためのポリマーデバイスの製造において、生分解性ポリマー系を使用することも提供される。生分解性ポリマー系は、疎水性成分および親水性成分を含んでなる、コポリマーおよびポリマーブレンドからなる一群から選択され、活性物質と組み合わせてデバイスを形成する。このポリマー系は、そのデバイスが水系と接触している場合、ヒドロゲルを形成しない。加えて、このデバイスは、ラグ時間なしで、または最小限のラグ時間で活性物質を放出する。このようにして、本発明のポリマーデバイスは、ゼロ次の、もしくは直線的な、活性物質の制御放出を与える。
【0011】
活性物質は、デバイス中に、重量比で約40%までの量として、またはそれ以上存在することができる。ある実施形態において、活性物質はペプチド治療薬および/または予防薬である。たとえば、治療用および/または予防用ペプチドは、ホルモン、成長因子、神経活性物質、メラニン細胞刺激ペプチド、細胞接着因子、サイトカインおよび生体応答調節物質からなる一群から選択することができる。ある好ましい実施形態において、活性物質はGnRH分子もしくはGnRHアナログである。ある好ましい実施形態において、GnRHアナログは、デジレリン(desorelin)、トリプトレリン、ゴセレリン、およびロイプロリドからなる一群から選択することができる。
【0012】
本発明の実施に際して、疎水性ポリマー成分を親水性ポリマーまたはモノマーとともに共重合して、ポリマー系、もっとも好ましくはブロックコポリマーを生じ、または親水性ポリマーとブレンドしてブレンドポリマー系を生成する。このようにして得られたポリマー系は、わずかに親水性を有するという特徴を示すが、水系に浸漬後ヒドロゲルを形成することはない。たとえば、本発明の組成物において使用するために好ましいポリマー系は、ポリエチレングリコールのような水溶性ポリマーを、典型的には重量比で25から30%までの量含有することができるが、以前の制御放出デバイスで見られるようなヒドロゲル特性を与えることはなく、それでも、一相性、またはゼロ次、またはほぼゼロ次の放出速度論を示すデバイスを生成する。このシステムにPEGを使用する場合、好ましい分子量は約700 Daから約500 kDaの間とすることができる。本発明のポリマー系に使用するために特に好ましい他の親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(アルキレンアミン)およびポリ(アルキレンオキシド)が挙げられる。
【0013】
ある実施形態において、存在する親水性成分の量は25%以下である。他の実施形態において、存在する親水性成分の量は15%以下、または0.5から10重量%の間である。他のある実施形態において、ポリマー系は重量比で75%を超える疎水性ポリマーを含んでなる。さらに他の実施形態において、ポリマー系は重量比で85%を超える疎水性ポリマー、91%を超える疎水性ポリマー、またはさらに98%を超える疎水性ポリマーを含んでなる。
【0014】
好ましい実施形態において、ポリマー系の疎水性成分は、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボナート、ポリアミド、およびそれらのコポリマーからなる一群から選択される。別の好ましい実施形態において、ポリマー系は、A成分がラクチド、グリコリド、もしくはカプロラクトンのコポリマーであり、B成分がポリアルキレングリコールである、ABコポリマーである。特に好ましい実施形態において、B成分は、重量比1.25%のポリアルキレングリコールであり、疎水性ポリマーは、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)である。
【0015】
本発明のデバイスのいずれにおいても、活性物質をポリマー内に均一に分布させることができる。非溶媒処理によって、活性物質がポリマー系に取り込まれたデバイスを、形成することができる。さらに、デバイスは、コポリマーの乾式溶融押出または溶融押出によって形成することができる。ある好ましい実施形態において、デバイスは二重の押出ステップで作製され、溶媒を使用することなしに、ポリマーにおける活性物質の最大分散を保証する。ポリマーの親水性成分は、水の取り込みを容易にする量存在するが、ヒドロゲルの形成をもたらす量よりは少なく、典型的には重量比でポリマーの25%より少ない。活性物質は典型的には重量比で最大40%まで組み入れられるが、ただし、好ましくはペプチドの場合には、それより高いこともある。
【0016】
本発明のデバイスは、デバイスの投与方法に応じて、何らかの適当な形態で提供することができる。この点に関して、本発明のデバイスは、経口経路(たとえば、ハードカプセルおよびソフトカプセルといったカプセル、顆粒剤、錠剤、丸剤、トローチ、口内錠、カシェ剤、ペレット剤、散剤、細粒剤、微粒子(およびその他の粒子形態)といった固形製剤)および非経口経路(たとえば、筋肉内、皮下、経皮、内臓、IV (静脈内)、IP (腹腔内)、動脈内、包膜内、関節包内、眼窩内、眼内、腫瘍内、血管周囲、頭蓋内、眼周囲、眼瞼内部、鼻内、洞内、膀胱内、膣内、尿道内、直腸内、外膜、注射可能、肺、吸入可能、経粘膜、および他の適当な形態)で、投与することができる。
【0017】
好ましい実施形態において、デバイスは埋込によって投与されるが、したがって、成形されたもの、たとえば、球状、ロッド状、平板状、フィルム状、繊維状、針状、円筒状、シート状、チューブ状、または微粒子、ミクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルを含む他の適当な形状として、形作られる。デバイスは、特定の部位に適した任意の大きさ、および形状を有する埋込型デバイスとして提供され、たとえば、カテーテル、シャント、くも膜下持続注入のためのデバイス、栄養チューブ、手術癒着を防ぐ固形インプラント、子宮インプラント、人工的括約筋、尿道周囲インプラント、副子、眼部インプラント、コンタクトレンズ、形成外科インプラント、ステント(活性物質を含有する、もしくは活性物質でコートされた)(食道ステント、胃腸ステント、血管ステント、胆管ステント、大腸ステント、膵臓ステント、尿管ステント、尿道ステント、涙腺ステント、耳管ステント、卵管ステント、鼻ステント、洞ステント、気管ステント、もしくは気管支ステントを含む)、またはポート(静脈アクセスデバイス、埋込型ポート、硬膜外カテーテルもしくは中心静脈カテーテル(PICC)を含む)として提供されることがある。
【0018】
望ましい部位に、外科的に、またはトロッカー、カテーテルなどを用いた侵襲の少ない方法によって、デバイスを埋め込むことができる。したがって、こうしたインプラントは、皮内、真皮下、皮下、腹腔内、筋肉内、または管腔内に(たとえば、動脈内、静脈内、膣内、直腸内、または歯根膜腔内に)埋め込むような標準的な技法を用いて、任意の組織内に埋め込むことができる。あるいはまた、デバイスを、マトリックス、移植片、補綴物またはコーティングの一部として加工することもできる。埋込型デバイスが粒子の形状をとり、たとえば、微粒子、ミクロスフェアもしくはマイクロカプセルとして作製される場合には、次に、適当な組織中に、カニューレ、針付き注射器、または粒子懸濁液を注入することができる同様の器具を用いて、これを埋め込むことができる。
【0019】
本発明の方法において、任意の適当な方法を用いてデバイスを投与することができる。投与されるべき活性物質、選択される形状(サイズ、形など)および選択される投与部位に応じて、侵襲の少ない方法を用いて、放出が求められる部位にデバイスを送達し、または埋め込むことができる。こうした方法には、トロッカーまたはカテーテルを用いた埋め込み、(たとえば、粉末、粒子、微粒子、ミクロスフェア、マイクロカプセルの)標準的な針付き注射器による注射、(たとえば、マトリックス、移植片、補綴物またはコーティングの)移植または外科的もしくは非外科的装着、(たとえば、粉末もしくは微粒子の)吸入などを含めることができる。デバイスは、所定の期間にわたって、望ましい投与量で活性物質が放出されるようにデザインされる。デバイスは、活性物質の放出が行われている間およびその後に、デバイスが分解するようデザインされる。
【0020】
ある好ましい実施形態において、デバイスはGnRH分子もしくはGnRHアナログを含むように、固形インプラントの形で製剤される。その後、被験者において、ゴナドトロピン(LHもしくはFSH)の、ある目標の血中濃度、産生、機能、または活性を達成するために、デバイスは被験者に投与される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を詳細に説明するのに先立って、当然のことながら、本発明は、特に例示されたポリマー系またはプロセスパラメーターに(これらは当然変動する可能性があるため)限定されない。これもまた当然のこととして、本明細書で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形"a"、"an"および"the"は、内容から特に明確に指示されない限り、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。したがって、たとえば、「疎水性ポリマー(単数)」への言及は、2つ以上のそうしたポリマーの混合物を包含し、「作用物質(単数)」または「活性物質(単数)」への言及は、2つ以上のそうした物質の混合物を含んでおり、他も同様である。
【0023】
本発明の目的は、生分解性の制御放出デバイスを提供することであって、このデバイスは薬物のような活性物質を長期間にわたって放出し、しかも二相性の放出速度論よりもよく制御されたゼロ次の、もしくは直線的な放出速度を提供するものである。
【0024】
本発明のもう一つの目的は、費用効率がよく、再現性が高く、しかも効果的であって、たとえ使用するとしても最小限の溶媒を使用する、上記デバイスを作製する方法を提供することである。
【0025】
加水分解による生分解性の疎水性ポリマー、たとえばポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、DL-PLGで調製された一体型組成物からの、ペプチドもしくはタンパク質薬物といった活性物質の放出速度を、より定常的もしくは直線的にすることができる組成物および方法は、デバイス中に小量の親水性ポリマーを組み込んだものが開発されている。疎水性ポリマー骨格に小量の親水性ポリマー、たとえば、ポリ(エチレングリコール)、PEG、を好ましくは共有結合で組み込んだ、PLGのような疎水性ポリマーの使用は、特に有利な放出プロフィールを提供する。加えて、こうした材料の選定を、たとえばドライブレンディング、コンパウンディング(初回通過押出)、粉砕および再押出を含む単純なプロセスと組み合わせることで、さらに有利な放出プロフィールが与えられる。一体型組成物もしくはデバイスは、球状、円筒状、シート状、または他の形(微粒子、ミクロスフェア、および/またはマイクロカプセルを含める)といった任意の形状とすることができ、ペプチドのような薬物、および小量の親水性ポリマーを組み込んだ疎水性ポリマーの混合物を、コポリマーもしくはブレンドの形で含んでなる。好ましい製造プロセスは、ポリマーと薬物を混合するために溶媒を使用することを回避する。
【0026】
デバイスは、一相性放出を与えるようにデザインされ、すなわち放出は典型的には直線的もしくはゼロ次であるが、初期の”突出”または”ラグ”の影響が小さい、またはない、持続的な放出を包含することができる。
【0027】
生分解性埋め込み型デリバリーシステムからの、ペプチドホルモンのような生物活性ポリペプチドの長期デリバリーに関して、当業者が直面する数多くの問題がある。ペプチドは一般にポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)("DL-PLG")のような疎水性ポリマー中に溶解しないので、ペプチドおよびDL-PLGの混合物を含んでなる固形組成物は、典型的には、二相性の組成物として与えられ、こうした組成物において副次成分(たとえばペプチド)は、主要成分(たとえば、DL-PLG)中に分散した相として存在する。加えて、DL-PLGのガラス質特性のため、上記の材料は一般に、ペプチドサイズの分子、特に水溶性の分子に対してあまり透過性でない。結果として、DL-PLGからのペプチドの放出は、一般的に、ポリマーマトリックスを通した単純拡散によっては生じない。むしろ、放出は、固形組成物を水性環境に入れたときに形成される水性チャネルを通した拡散によって生じる。
【0028】
先行技術のポリマー組成物が水性環境中に入れられたとき、水が吸収されて、分散しているペプチドを溶解し、その結果、ポリマーマトリックス内に分散したペプチドの高濃度水溶液の領域を生じる。製剤の表面に接しているペプチドは、ポリマーの水和によって形成された水性チャネルを通って拡散により放出される。これは、拡散経路として即座に生じ、抵抗は少ない。しかしながら、DL-PLGマトリックス中に加えられたペプチドが比較的少ない場合、ひとたび表面に結び付いていたペプチドが使い尽くされると、表面から遠く離れたペプチドは、表面に拡散することができる経路を持たないため、放出は止まる、または遅くなる。その後、分解が進むにつれて、ヒドロキシルおよびカルボン酸末端基の増加が、結果として徐々にマトリックスの親水性の増加をもたらす。マトリックスの水分含量が増加するにつれて、新たな水性チャネルが生じ、もっと遠くにあるペプチドが表面にまで拡散して放出される経路が生じる。その結果得られる放出プロフィールは、2期の放出期間が、ほとんど、またはまったくペプチド放出が起こらない期間によって分離された、二相性となる傾向がある。黄体形成ホルモン(LH)のような性腺刺激ホルモンの持続的な抑制を目的とする、ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出ホルモン(GnRH)アゴニストのような、多くのペプチドにとって、2つの放出段階の間に存在する「活気のない(dead)」期間は、特に問題がある。
【0029】
"活気のない"期間を最小にする、または除去する1つのアプローチは、組成物のペプチド含量を高めることを含むものである。組成物のペプチド含量が増加すると、ペプチド粒子間の粒子相互の接触が増加して、より広汎な孔隙のネットワークを提供し、最初の段階で放出されるペプチドの割合は増加して、最終的に、組成物中の薬物のすべてではないが、ほとんどを包含する。放出は、典型的には、分散型薬物一体化デバイスからの放出を目的とする周知のHiguchiモデルに従って、時間平方根の速度式を示す。
【0030】
活気のない期間を最小にして、薬物のいっそう定常的な放出を達成することを目的とする別のアプローチは、比較的速やかに分解するポリマー組成物の使用を包含する。例えば、Hutchinsonに付与された米国特許第4,767,628号、第5,004,602号、第5,366,734号は、放出の第1段階の拡散制御期、および放出の第2段階の分解制御期を、モノマーの比率およびDL-PLGの分子量を注意深く選択することによって部分的に重なり合うようにした、持続性放出組成物を記述する。望ましい放出プロフィールを達成するために、異なるモノマー成分および分子量を持つ2つ以上の賦形剤をブレンドすることが記載されている。そのようなインプラントシステムを作製する方法は、氷酢酸中でペプチドおよび賦形剤を溶媒ブレンドし、その混合物を凍結乾燥して酢酸を除去し、この凍結乾燥組成物を成形または押し出してインプラントを形作ることを包含する。
【0031】
また別のアプローチは、ポリマーマトリックス中のペプチドの透過性が著しく高まるように生分解性ヒドロゲルの使用を包含する。例えば、Churchillに付与された米国特許第4,526,938号および第4,942,035号は、薬理活性のあるペプチドおよび両親媒性ブロックコポリマーを含んでなる持続放出組成物を記述するが、この組成物において疎水性成分は生分解性であり、親水性成分は生分解性でもそうでなくてもよい。一般に、これらの組成物は、比較的大量の親水性成分を含有し、結果として生じるポリマーは大量の水を吸収する能力を有するヒドロゲルとなる。例えば、25部のPEGおよび75部のポリ(DL-ラクチド)を含有するポリマーは、0.41 dl/gの固有粘度を有し、例えば0.2 mmの薄いフィルム状にプレスされた場合、37℃で24時間にわたって、自重の水を吸収する。Churchillらは、同じポリマー組成物から調製されたインプラント、ならびに重量比5%のPEG-6000および95重量%のDL-PLを含んでなるブロックコポリマーから調製されたインプラントも記述する。このインプラントは重量比23.8 %の酢酸ゴセレリンを含有する。ゴセレリンは、親水性の高いインプラントから約18日間、そして親水性の低いインプラントからは250日間を超えて、上記システムからin vitroで持続的に放出された。これらの組成物もまた、氷酢酸を用いてペプチドおよびポリマーを溶媒ブレンドした後、凍結乾燥することによって、調製される。
【0032】
Deghenghiの米国特許第6,159,490号は、1から12か月までの期間にわたって、ラクチドおよびグリコリドのコポリマーからペプチドを送達するための、インプラントを作製する方法を記載する。Deghenghiのプロセスは、最初にペプチドおよびポリマーの完全な混合物を下記によって作り出すことを包含する:(1)ポリマーを粉砕すること;(2)ペプチドの水性スラリーと粉砕したポリマーを混合すること;および(3)水を除去するために混合物を乾燥すること。その後、混合物を70から110℃で溶融押出成形する。Pelletらの米国特許第6,217,893号は、CHCl3中で0.5から1.6 dl/gまでの間の固有粘度を有し、親水性特性を有する、ラクチドおよびグリコリドのポリマーまたはコポリマーからの、ペプチドの持続放出をもたらす組成物を記述する。親水性特性は、極性鎖末端を有するポリマーとして定義され、さらに、1個以上の酸、好ましくは1.5から2個までの酸を有するポリマーとして定義される。Pelletはまた、特異性の高い表面領域を持つペプチドの必要性を記述する。インプラントの調製およびインプラントからの放出の例は与えられない。
【0033】
HutchinsonおよびChurchillが記述している方法は、溶媒として氷酢酸を用いてブレンドしたポリマーおよび薬物を利用する。他の水性プロセスが、Deghenghiの米国特許第6,159,490号に記載され、これは1から12か月までの期間にわたって、ラクチドおよびグリコリドのコポリマーからペプチドを送達するためのインプラントを作製することに関する。Deghenghiのプロセスは、最初にペプチドおよびポリマーの完全な混合物を下記によって作り出すことを包含する:(1)ポリマーを粉砕すること;(2)ペプチドの水性スラリーと粉砕したポリマーを混合すること;および(3)水を除去するために混合物を乾燥すること。その後、混合物を70から110℃で溶融押出成形する。
【0034】
放出について"dead"期間を取り除く上記の過去のアプローチは、2つの異なるポリマーの混合を必要とするアプローチ、膨潤してヒドロゲルを形成するポリマーを要求するアプローチ、または酸性官能基もしくは他の親水性末端基を有する、末端基の数の増加したポリマーを必要とするアプローチ、のいずれかを包含する。2つのポリマーの混合は、2つの材料を用いて全ステップを概括して実施すること、ならびに、作製の際に追加のプロセスステップを与えることも必要である。ヒドロゲルを形成するのに十分なPEGを加えたPLGは、水性環境におかれた後、大幅に膨潤し、均一とならない可能性がある。大量の酸性末端基を有するポリマーは、一般に分子当たり1つの酸性末端基、および均一に存在するアルコール官能基しか存在しないため、狭い範囲でしか変化させることができない。製造のためのプロセスに関して、上記の例はいずれも、有機溶媒もしくは水を使用するある種の溶媒ブレンディングを包含する。このことは、ポリマーもしくは被験者に悪影響をもたらすかもしれない溶媒残留物の可能性を生じる。さらに溶媒混合ステップは、薬物もしくはポリマーが分解する可能性を生じることもあるので、スケールアップに時間とコストの点で重大な影響を及ぼす。
上記と同様の考察は、ペプチド以外の活性物質にも当てはまる。
【0035】
1.材料および組成物
A.ポリマー系
本明細書に記載のプロセスを用いて、生分解性で生体適合性のさまざまなポリマーからデバイスを形成することができる。生分解性は、本明細書で使用される場合、ポリマーがin vivoで分解もしくは腐食して、より小さな化学種となることを意味し、分解は、たとえば、酵素的、化学的、および物理的プロセスに起因することが考えられる。最も好ましい実施形態において、ポリマーは実質的に疎水性であって、加水分解によって分解する。「生体適合性」という用語は、本明細書では、レシピエントの身体に有意な、有害な、もしくは不都合な影響を及ぼさない、ポリマー、およびポリマーの分解産物を示すために使用される。
【0036】
本発明の組成物および方法において使用に適した、生分解性ポリマーおよびオリゴマーの例には下記が含まれるが、それらに限定されない:ポリ(ラクチド);ポリ(グリコリド);ポリ(ラクチド-コ-グリコリド);ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);およびポリ(乳酸-co-グリコール酸);ポリ(カプロラクトン);ポリ(リンゴ酸);ポリアミド;ポリ酸無水物;ポリアミノ酸;ポリオルトエステル;ポリエーテルエステル;ポリシアノアクリレート;ポリホスファジン;ポリホスホエステル;ポリエステルアミド;ポリジオキサノン;ポリアセタール;ポリケタール;ポリカーボネート;ポリオルトカーボネート;分解性ポリウレタン;ポリヒドロキシブチレート;ポリヒドロキシバレレート;ポリアルキレン オキサレート;ポリアルキレン スクシナート;キチン;キトサン;酸化セルロース;ならびに上記材料のいずれかからなるコポリマー、ターポリマー、ブレンド、組み合わせ、もしくは混合物。
【0037】
本明細書で使用される場合、「疎水性」は、実質的に水に不溶性のポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「親水性」は、水溶性と考えられるポリマー、または水を吸収する親和性を有するポリマーを指すが、コポリマーとして疎水性成分と共有結合している場合には、一般にそうではなく、こうしたポリマーはデバイス内に水を引き込む。
【0038】
本発明で使用するのに適した親水性ポリマーは、当技術分野でよく知られた、さまざまな市販品、天然起源もしくは合成起源から得ることができる。適当な親水性ポリマーには下記があるがそれらに限定されない:アニオン性多糖類を含むポリアニオン、たとえば、アルギン酸;アガロース;ヘパリン;ポリアクリル酸塩;ポリメタクリル酸塩;エチレン・無水マレイン酸コポリマー(半エステル);カルボキシメチルアミロース;カルボキシメチルセルロース;カルボキシメチルデキストラン;カルボキシメチルデンプン;カルボキシメチルキチン/キトサン;カルボキシセルロース;2,3-ジカルボキシセルロース;トリカルボキシセルロース;カルボキシ アラビアゴム;カルボキシ カラギーナン;カルボキシ ペクチン;カルボキシ トラガカントゴム;カルボキシ キサンタンガム;カルボキシ グアーガム;カルボキシ デンプン;ペントサンポリサルフェート;カードラン;イノシトール6-硫酸;硫酸βシクロデキストリン;ヒアルロン酸;コンドロイチン6-硫酸;デルマタン硫酸;デキストラン硫酸;ヘパリン硫酸;カラゲナン;ポリガラクツロン酸;ポリリン酸;ポリアルデヒド-カルボン酸;ポリアルデヒド-炭酸;ポリ-1-ヒドロキシ-1-スルホナート-プロペン-2;スチレン・マレイン酸コポリマー;メソグリカン;スルホプロピル化ポリビニルアルコール;硫酸セルロース;硫酸プロタミン;リン酸化グアーガム;ポリグルタミン酸;ポリアスパラギン酸;ポリアミノ酸;およびこれらの任意の誘導体もしくは組み合わせ。当業者は、同様に本発明の範囲に含まれる他の親水性ポリマーを正しく認識することができる。
【0039】
本発明で使用するのに適したさまざまな水溶性ポリマーには、下記があるが、それらに限定されない:ポリ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリコール(PEG);プロピレングリコール;エチレングリコール/プロピレングリコール コポリマー;カルボキシルメチルセルロース;デキストラン;ポリビニルアルコール(PVOH);ポリビニルピロリドン;ポリ(アルキレンアミン);ポリ(アルキレンオキシド);ポリ-1, 3-ジオキソラン;ポリ-1,3,6-トリオキサン;エチレン/無水マレイン酸コポリマー;ポリアミノ酸;ポリ(n-ビニルピロリドン);ポリプロピレン オキシド/エチレン オキシド コポリマー;ポリオキシエチル化ポリオール;ポリビニルアルコール スクシナート;グリセリン;エチレン オキシド;プロピレン オキシド;ポロキサマー;アルコキシル化コポリマー;水溶性ポリアニオン;およびこれらの任意の誘導体もしくは組み合わせ。さらに、水溶性ポリマーは任意の適当な分子量を有し、分枝でも非分枝でもよい。
【0040】
本発明の実施に際して、疎水性ポリマー成分は、親水性ポリマーもしくはモノマーとともに共重合され、ポリマー系、もっとも好ましくはブロックコポリマーを生じ、または親水性ポリマーとブレンドされて、ブレンドポリマー系を生じる。これらの結果生じたポリマー系は、わずかに親水性を有することによって特徴付けられるが、水系に浸漬した後ヒドロゲルを形成することはない。たとえば、本発明の組成物に使用する、好ましいポリマー系は、ポリエチレングリコール(PEG)のような水溶性ポリマーを、典型的には重量比で25から30%までの量として、含有することができるが、Churchillによって記述されたヒドロゲル特性を与えず、一相性、もしくはゼロ次、もしくはほぼゼロ次の放出速度論を示すデバイスを生じる。その系において、PEGが使用される場合、好ましい分子量は、約700 Daから約500 kDaの間とすることができる。本発明のポリマー系で使用する、他の特に好ましい親水性ポリマーには、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(アルキレンアミン)、およびポリ(アルキレンオキシド)が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」および「ポリマー系」は、他に特に明記しない限りコポリマーおよびブレンドを包含する。グラフト共重合、重縮合、および重付加といった標準的な共重合技術によって、また状況に応じて適当な触媒を用いて、ポリマー系を作製することができる。時間および温度に関しては、ポリマー技術分野でよく知られた従来の方法で、上記技法を実施することができる。あるいはまた、ポリマーもしくはコポリマーの標準的なブレンド技術を用いて、ポリマー系を作製することができ、やはり、時間および温度に関しては、ポリマー技術分野でよく知られた従来の方法で、実施することができる。
【0042】
ポリマー系、製造方法、および薬物装填は、デバイスが水系に接触し、もしくは浸漬されたとき、たとえば、in vivoで動物もしくはヒト被験体に与えられたときに、ヒドロゲルを形成しないように選択される。ポリマー系は、親水性成分を含むことによって、純粋な疎水性ポリマー成分と比べて疎水性の低下を特徴とする。このことは、デバイスによる水の取り込み、ならびに組み込まれた活性物質(1つまたは複数)の溶解および放出を促進し、ラグ期間を回避して、直線的もしくはゼロ次の放出速度論をもたらす。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」という用語は、当技術分野での通常の用法で使用され、たとえば、水もしくは他の水系の存在下で膨潤し、水のない状態、もしくは水の量の減少した状態で縮み、その構造内部に有意な水の部分を保持することができ、しかも、一般的には水に溶解しない、ポリマーもしくはポリマー系を指す。当業者には当然のことであるが、ポリマーもしくはポリマー系が、in vivoで動物もしくはヒトの被験体に埋め込まれる場合のように、水系に浸漬されたときに、ヒドロゲルとして機能する、たとえば、ヒドロゲルとなるかどうかを判断するために使用することができる、いくつかの標準的な試験がある。
【0044】
たとえば、ポリマーもしくはポリマー系を粒子の形で調製する、または細かく粉砕して粒子とし、粉末を作ることができる。次に、粉末を適当な容器中で蒸留水と混合し、たとえば、約15分から24時間以上の十分な時間をかけてゲルを形成させることができる。その後、得られた溶液を標準的な光学顕微鏡法により観察して、特徴的なゲル様懸濁液の形成を探索することによって、ヒドロゲルが生成したことを判断することができ、または粒子が懸濁液とならず、および/または溶液から沈澱したかどうかを確かめることができるが、こうしたことは、ポリマー系が水系に浸漬されたときにヒドロゲルを形成しないことを示す。
【0045】
上記の手順の代わりに、またはそれに加えて、水系におけるポリマーもしくはポリマー系の吸収度を評価することができるが、ポリマーの吸水能力はヒドロゲル形成ポリマーの特性である。本明細書で使用される「吸収度」という用語は、したがって、下記の手順にしたがって決定される値を意味するものとする。脱イオン水吸収度の場合、2リットルの脱イオン水および1 gの乾燥ポリマーを3リットル容ビーカーに入れ、約30分から24時間以上にわたって、撹拌しながら、ポリマーに水を吸収させ、その後、100-メッシュ金属ワイヤーガーゼで濾過してポリマーを回収し、次に濾過ケーキとして得られた膨潤ポリマーの体積を、メスシリンダーによって測定することができる。こうして得られた値は、ポリマーの脱イオン水吸収度の値として使用することができる。ポリマーの当初の重量に達するような高い吸収度の値は、ヒドロゲルが形成されたことを示すのに対して、低い値はヒドロゲルが形成されなかったことを示す。
【0046】
食塩水吸収度の場合、200 mlの食塩水(重量比0.9%の塩化ナトリウム水溶液)および1 gの乾燥ポリマーを300 ml容ビーカーに入れ、約30分から約24時間以上にわたって、撹拌しながら、ポリマーに溶液を吸収させ、その後、200-メッシュ金属ワイヤーガーゼで濾過し、濾過ケーキとして得られた膨潤ポリマーの体積を、メスシリンダーによって測定することができる。そこで得られた値は、ポリマーの食塩水吸収度の値として使用することができる。ここでもやはり、ポリマーの当初の重量に達する値、もしくはそれを超える値のような高い値は、ヒドロゲルの形成を示す。
【0047】
遠心保持容量テストと呼ばれる別の試験において、小量のポリマーをティーバッグに入れて秤量し、これを後で接合して閉じることができる。次に、ティーバッグを過剰量の0.9%(重量比)塩化ナトリウム溶液中に入れる(少なくとも1.25塩化ナトリウム溶液/1 g推測ヒドロゲル)。約20分から約24時間以上の膨潤時間の後、ティーバッグを塩化ナトリウム溶液から取り出し、250gで3分間遠心する。その後、遠心したティーバッグを秤量して、ヒドロゲルによって保持された液体量を測定することができる。テスト組成物による有意な液体量の保持は、ヒドロゲルが形成されたことを示す。
【0048】
上記の評価法に加えて、当業者に容易に利用できる試験法であって、それによって、選定されたポリマーもしくはポリマー系が水系に浸漬されたときにヒドロゲルを形成する能力を測定することができる試験法が、他に数多く存在する。
【0049】
B.活性物質
本明細書に記載の方法を含む従来のプロセスを用いて、基本的に任意の活性物質をポリマー系に組み込んで、本発明のデバイスを構成することができる。したがって、本明細書で使用される場合、「活性物質」は、生物(ヒトもしくは動物被験体)に投与されたとき、局所および/または全身性作用によって、望ましい薬理学的および/または生理学的効果を生じさせる、任意の化合物もしくは組成物を包含するといえる。したがって、この用語は、従来、薬物、バイオ医薬品(ペプチド、タンパク質、核酸といった分子を含む)、およびワクチンとされてきた化合物もしくは化学物質を包含する。この用語はさらに、従来、診断薬とされてきた化合物もしくは化学物質を包含する。
【0050】
したがって、本発明の実施に有用な活性物質は、シナプスおよび神経効果器接合部で作用する化合物もしくは組成物(コリン作動性アゴニスト、抗コリンエステラーゼ薬、アトロピン、スコポラミンおよび関連抗ムスカリン薬、カテコールアミンおよび交感神経刺激薬、ならびにアドレナリン受容体拮抗薬); 中枢神経系に作用する薬物; オータコイド(炎症の薬物治療);腎臓機能および電解質代謝に影響を与える薬物;心臓血管薬;胃腸機能に影響を与える薬物;腫瘍性疾患の化学療法;血液および造血器官に作用する薬剤;ならびにホルモンおよびホルモン拮抗薬を包含する。本明細書で使用される場合、「薬物」という用語は、なんらかの病気、障害、または疾患の治療、軽減、処置、または予防に使用することを目的とする物質、または食物以外に、身体の構造または機能に影響を与えることを目的とする物質を含める。この用語は、生物学的活性を有し、動物の生理を変えるよう意図されている有益な薬剤もしくは物質を包含することができる。薬物は、天然もしくは合成の有機化合物、タンパク質、ペプチド、核酸分子、糖タンパク質、糖、炭水化物、脂質、またはそれらの組合せとすることができる。ペプチドおよびタンパク質は、本発明の組成物に使用するための特に好ましい薬物である。
【0051】
さらに具体的には、本発明の組成物に有用な活性物質の種類には下記があるが、それに限定されない:抗生物質および抗ウイルス薬のような抗感染薬;鎮痛薬および複合鎮痛薬;局所および全身麻酔薬;食欲抑制薬;抗関節炎薬;抗喘息薬;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;制吐薬;抗偏頭痛薬;抗腫瘍薬;止痒剤;抗精神病薬;解熱薬;鎮痙薬;心臓血管製剤(カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、ベータ作用薬および抗不整脈薬を含む);抗高血圧薬;利尿薬;血管拡張薬;中枢神経系刺激薬;感冒薬;鬱血除去薬;診断薬;ホルモン;骨成長刺激薬および骨吸収抑制薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;精神刺激薬;鎮静薬;精神安定薬;タンパク質、ペプチドおよびその断片;ならびに核酸分子(リボヌクレオチド(RNA)またはデオキシリボヌクレオチド(DNA)のいずれかである、2つ以上のヌクレオチドからなるポリマー型であって、二本鎖および一本鎖分子、ならびにスーパーコイル状もしくは凝集分子、遺伝子構築物、発現ベクター、プラスミド、アンチセンス分子などを含む)。
【0052】
活性物質として本明細書で使用するために特に興味深い薬物の種類は、たとえば、ベンゾカイン、ブピバカイン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパラカイン、ロピバカイン、テトラカイン、レボブピバカイン、クロロプロカイン、ブタカイン、プロポキシカイン、フェナカイン、ヘキシルカイン、イソブカイン(isobucaine)、シクロメチカイン、ベノキシネート、ジペロドン、ジブカイン、メプリルカイン、ジメチソキン、プラモキシン、ブタンベン、ジクロニンといった麻酔薬類である(デキサメタゾンもしくはエピネフリンといった増強剤を併用する場合と併用しない場合がある)。
【0053】
活性物質として本明細書で使用するために特に興味深いもう一つの薬物の種類は、オピオイド類であって、これには、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アポモルフィン、アポコデイン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルフェン(cyclorphen)、シプレノルフィン(cyprenorphine)、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチル ブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロキシメチルモルヒナン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メチルモルヒネ、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オーメフェンタニル(ohmefentanyl)、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレツム(papaveretum)、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、フォルコジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プレメドール(promedol)、プロファドール(profadol)、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナロキソン メチオジド、ナロルフィン、ナロキソナジン、ナリド(nalide)、ナルメキソン(nalmexone)、ナルブフィン、ナロルフィン ジニコチナート、ナルトリンドール(NTI)、ナルトリンドール イソチオシアナート(NTII)、ナルトリベン(naltriben )(NTB)、ノル-ビナルトルフィミン(nor-BNI)、β-フナルトレキサミン(b-FNA)、BNTX、シプロダイム(cyprodime)、ICI-174,864、LY117413、MR2266、エトルフィン、DAMGO、CTOP、ジプレノルフィン、ナロキソン ベンゾイルヒドラゾン、ブレマゾシン、エチルケトシクラゾシン、U50,488、U69,593、スピラドリン、DPDPE、[D-Ala2,Glu4]デルトルフィン、DSLET、Met-エンケファリン、Leu-エンケファリン、β-エンドルフィン、ダイノルフィンA、ダイノルフィンB、α-ネオエンドルフィン、もしくはナルメフェン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、レボルファノール、メプタジノール、ペンタゾシン、デゾシンと同じ五環系核を有するオピオイド、またはこれらの薬理学的に有効なエステルもしくは塩が含まれる。
【0054】
活性物質として本発明で使用するために特に興味深いさらに別の薬物の種類は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であって、これには、サリチル酸系、ピラゾロン系、インドメタシン、スリンダック、フェナム酸系、トルメチン、およびプロピオン酸誘導体;たとえば、サリチル酸、アスピリン、サリチル酸メチル、ジフルニサル、サルサレート、フェニルブタゾン、インドメタシン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、メフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセン ナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、エトドラク、ケトロラク、アセクロフェナク、ナブメトンなどが含まれる。
【0055】
タンパク質は、本発明の実施に際して、活性物質として使用するために非常に好ましいタイプの薬物である。「タンパク質」という用語は、ペプチド、ポリペプチド、コンセンサス分子、アナログ、誘導体もしくはそれらの組み合わせを包含する。したがって、この用語は、ヒト起源であれ、動物起源であれ、組換え分子もしくは天然に存在する分子を包含し、天然に存在する分子、合成分子、半合成分子、または組換え作製分子を含む。本発明の組成物に用いるのに適したペプチドおよび/またはタンパク質の活性物質の例には、ホルモン、成長因子、神経活性物質、造血因子、メラニン親和性ペプチド、細胞接着因子、サイトカインおよび生体応答調節物質、抗肥満因子、栄養因子、抗炎症性因子、酵素および抗体分子がある。好ましいサイトカインおよび生体応答調節物質には、インターフェロン(たとえば、米国特許第5,372,808号; 第5,541,293号; 第4,897,471号; および第4,695,623号を参照されたい)およびインターロイキン(たとえば、米国特許第5,075,222号を参照されたい)がある。好ましい造血因子は、エリスロポエチン(たとえば、米国特許第4,703,008号; 第5,441,868号; 第5,618,698号; 第5,547,933号; および第5,621,080号を参照されたい)を包含し、好ましい抗肥満因子はOBタンパク質(たとえば、国際公開番号WO 96/40912; WO 96/05309; WO 97/00128; WO 97/01010およびWO 97/06816を参照されたい)を包含する。好ましい成長因子には、顆粒球コロニー刺激因子(たとえば、米国特許第4,999,291号; 第5,581,476号; 第5,582,823号; 第4,810,643号および国際公開番号WO 94/17185を参照されたい); 幹細胞因子(たとえば、国際公開番号WO 91/05795; WO 92/17505およびWO 95/17206を参照されたい); 類似体を含むウシ型およびヒト型塩基性線維芽細胞成長因子(たとえば、米国特許第5,859,208号; 第5,604,293号; 第5,514,566号; 第5,439,616号; 第5,464,774号; 第5,155,214号; および第4,956,455号を参照されたい); ならびに、類似体を含むウシ型およびヒト型血管内皮増殖因子(たとえば、Ferraraら、(1991) J. Cellular Biochem. 47:211-218; Connolly (1991) J. Cellular Biochem. 47:219-223; Joukovら、(1996) EMBO J. 15:290-298, ならびに国際公開番号WO 96/26736およびWO 95/24473を参照されたい)が挙げられる。
【0056】
活性物質として使用する、特に好ましいホルモンは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)としても知られているゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、およびその類似体である。GnRHは受精能の調節に非常に重要である。Johnsonら、(1988) Essential Reproduction, 第3版、Blackwell Scientific Publications。雄および雌において、GnRHは、視床下部から血流中に放出され、血液によって運ばれて下垂体に至り、そこで、性腺刺激ホルモン分泌細胞からのゴナドトロピン、黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を引き起こし、さらにアンドロゲン、エストロゲン、およびプロゲスチンを調節する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「GnRHアナログ」は、黄体形成ホルモン放出ホルモンの構造に類似したペプチド化合物を包含するものとする。GnRHアナログは、GnRHアゴニストもしくはGnRHアンタゴニストである可能性がある。
【0058】
本明細書で使用される場合、「GnRHアゴニスト」は、GnRH受容体を刺激して、黄体形成ホルモンおよび/またはFSHの放出が刺激されるようにする化合物を指すことを意図するものである。GnRHアゴニストの例には、ロイプロリド(商標名:Lupron(登録商標), Abbott/TAP; Viadur(登録商標), Alza)、ゴセレリン(商標名:Zoladex(登録商標); Zeneca)、ブセレリン(Hoechst)、トリプトレリン(Decapeptylとしても知られている、D-Trp-6-LHRH およびDebiopharm.RTM.; Ipsen/Beaufour)、ナファレリン(商標名:Synarel(登録商標); Syntex)、ルトレリン(Wyeth)、シストレリン(Hoechst)、ゴナドレリン(Ayerst)およびヒストレリン(Ortho)、ルリベリン、desorelin、avorelin、cetrrelix、teverelix、ramorelix、ガニレリックス、antide、nictide、およびazalineがある。ロイプロリドアゴニストは、本発明の組成物に使用するのに特に好ましい。
【0059】
本明細書で使用される「GnRHアンタゴニスト」という用語は、GnRH受容体を抑制して、黄体形成ホルモンおよび/またはFSHの放出が抑制されるようにする化合物を指すものとする。GnRHアンタゴニストの例には、Antide、セトロレリクス(Cetrorelix)、ガニレリクス、ならびに、米国特許第5,470,947号; 第5,413,990号; 第5,371,070号; 第5,300,492号; 第5,296,468号; 第5,171,835号; 第5,003,011号; 第4,992,421号; 第4,851,385号; 第4,801,577号; 第4,689,396号; および第4,431,635号、および国際公開番号WO 89/01944に記載の化合物がある。
【0060】
さらに、本発明で用いる他のタンパク質性活性物質には下記があるが、それらに限定されない:抗肥満関連産物、インスリン、ガストリン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、モチリン、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン(IL-1からIL-12まで)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子-結合タンパク質(TNF-bp)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、神経栄養因子3 (NT3)、線維芽細胞成長因子(FGF)、神経栄養成長因子(NGF)、オステオプロテジェリン(OPG)のような骨成長因子、インスリン様成長因子(IGF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、メガケラチノサイト(megakeratinocyte)由来成長因子(MGDF)、トロンボポエチン、血小板由来成長因子(PGDF)、コロニー刺激成長因子(CSF)、骨形成タンパク質 (BMP)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、組織プラスミノーゲンアクチベータ(TPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、カリクレイン、第VIII因子および第IX因子といった血液因子、ならびにポリクローナル、モノクローナル抗体、キメラ抗体分子および抗体フラグメント。
【0061】
ワクチンとしての使用を目的とするデバイスにおいて、活性物質は抗原、すなわち、ホストの免疫系を刺激して、抗原特異的細胞性免疫応答、および/または液性抗体応答を生じることができる、1つもしくは複数のエピトープを含有する、分子とすることができる。したがって、適当な抗原は、タンパク質、ポリペプチド、抗原性タンパク質断片、オリゴ糖、多糖などを包含する。抗原はいかなる既知のウイルス、細菌、寄生虫、植物、原生動物もしくは真菌に由来してもよく、生物全体(生、分割、弱毒化もしくは不活化)、またはその免疫原性の部分、たとえば細胞壁成分とすることができる。抗原は腫瘍に由来するものであってもよい。抗原を発現するオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドも、たとえばDNA免疫法に適用する場合のように、抗原の定義に含まれる。合成抗原も抗原の定義に含められ、これにはたとえば、ハプテン、ポリエピトープ、フランキングエピトープ、および他の組換え体もしくは合成によって得られた抗原(Bergmannら、(1993) Eur. J. Immunol. 23:2777-2781; Bergmannら、(1996) J. Immunol. 157:3242-3249; Suhrbier, A. (1997) Immunol. And Cell Biol. 75:402-408; Gardnerら、(1998) 12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland (Jun. 28 - Jul. 3, 1998)がある。
【0062】
C.添加剤、賦形剤および孔形成剤
活性物質は1つまたは複数の追加成分、たとえば、分散剤、充填剤、結合剤、担体、安定化剤、流動性改善剤、酸化防止剤、pH調整剤、抗刺激剤などとして機能することができる、製薬上許容される賦形剤と組み合わせることができる。当業者には当然のことであるが、ある種の賦形剤は、なんらかの特定製剤において上記機能の複数を果たすことができる。したがって、任意の数の適当な賦形剤をデバイスと混合し、もしくはデバイスに組み込んで、増量性を与え、活性物質の放出速度を変化させ、水の取り込みを増加もしくは遅延させ、pHを制御し、構造的な支えを与え、製造プロセスを容易にし、さらに当業者に知られている他の効用を促進することができる。「賦形剤」という用語は、一般に、毒性が無く、デバイスの他の成分と有害な形で相互作用しない、実質的に不活性の材料を指す。特定の賦形剤がデバイス中に存在する割合は、その賦形剤を提供する目的、および賦形剤自体の性質によって左右される。
【0063】
たとえば、ペプチドの安定化剤としても機能することができる、適当な担体賦形剤には、医薬品等級のデキストロース、ショ糖、乳糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが含まれる。したがって、このような担体は、単糖類、二糖類、多糖類または糖アルコールのような炭水化物とすることができる。他に適当な担体としては、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムまたはカルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸、酒石酸、グリシン、およびそれらの組み合わせがある。水和および溶解動力学を遅らせるためにデバイスに加えることができる疎水性賦形剤の例は、脂肪酸、およびその製薬上許容される塩を包含する(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸およびパルミチン酸ナトリウム)。
【0064】
また、本発明のデバイスにおいて、荷電した脂質、および/または界面活性剤賦形剤を使用することも有用であるかもしれない。適当な荷電脂質は、限定なしに、ホスファチジルコリン(レシチン)などを含む。界面活性剤は、一般に、非イオン、アニオン、カチオンまたは両性界面活性剤である。適した界面活性剤の例は、例えば、Tergitol(登録商標)およびTriton(登録商標)界面活性剤(Union Carbide Chemicals and Plastics);ポリオキシエチレンソルビタン、例えば、TWEEN(登録商標)界面活性剤(Atlas Chemical Industries);ポリソルベート;ポリオキシエチレンエーテル、例えばBrij;製薬上許容される脂肪酸エステル、例えば、ラウリル硫酸およびその塩;両親媒性界面活性剤(グリセリド、など);ならびに同様の材料を包含する。
【0065】
他の賦形剤を、間隙率を変化させるために、デバイスに添加することができるが、これはたとえば、ショ糖、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、乳糖、ポリエチレングリコール、マンニトール、果糖、ポリビニルピロリドンまたはそれらの適切な組合せである。さらに、活性物質を、油(たとえば、ごま油、コーン油、サラダ油)、またはリン脂質(たとば、レシチン)、または中鎖脂肪酸トリグリセリド(たとえば、Miglyol 812)、またはそれらの混合物を用いて分散させ、油性懸濁液を与えることができる。
【0066】
本発明のデバイスに組み込むことができる、さらに別の賦形剤には、さまざまなバッファー成分からなる希釈剤(たとえば、Tris-HCl、酢酸塩);pHおよびイオン強度を変化させる物質;酸化防止剤(たとえば、アスコルビン酸、グルタチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム)のような添加物;防腐剤(たとえば、Thimersol、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン);および、水溶性多糖類(たとえば、マンニトール、乳糖、ブドウ糖、デンプン)、ヒアルロン酸、グリシン、フィブリン、コラーゲンおよび無機塩(たとえば、塩化ナトリウム)のような分散剤がある。
【0067】
D.デバイス
本発明のポリマーデバイスは、一般的な意味で、疎水性成分および親水性成分を有するポリマー系と活性物質との組み合わせによって形成され、そのデバイスは、適当な条件下で活性物質の制御放出を提供し、本明細書の全体を通して詳細に記載された物理的性質を有する。したがって、ここに使用されるように「デバイス」という用語は、対象とする活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスを指す。デバイスは、疎水性成分および親水性成分を有するコポリマーもしくはポリマーブレンドのいずれかである、生分解性ポリマー系を包含し、このポリマー系は、水系に接触または浸漬したとき、たとえば、生きている被験体にデバイスを埋め込んだとき、ヒドロゲルを形成しない。活性物質は、ポリマー系がデバイスからの活性物質の制御放出をもたらすことができるように、ポリマー系内部に組み込まれる。状況に応じて、増量性を与え、活性物質の放出速度を変化させ、水の取り込みを増加もしくは遅延させ、pHを制御し、構造的な支えを与え、製造プロセスもしくは同様の使用を容易にするために、1つもしくは複数の賦形剤もまた、ポリマー系内に組み込むことができる。デバイスが被験体に投与される(たとえば、デバイスが埋め込まれる)と、デバイスはラグ期間なしに、または最小限のラグ期間で、活性物質を制御された様式で放出する。
【0068】
本発明によるデバイスの作製において、疎水性ポリマー成分を親水性ポリマーもしくはモノマーと共重合体化して、適当なコポリマー系、もっとも好ましくはブロックコポリマーを生成すると、または疎水性ポリマー成分を親水性ポリマーとブレンドして適当なブレンドポリマー系を生成すると、ポリマー系が作り上げられる。グラフト共重合、重縮合、および重付加といった標準的な共重合技術によって、状況に応じて適当な触媒を用いて、ポリマー系を作製することができる。時間および温度に関しては、従来の方法で、上記技法を実施することができる。あるいはまた、ポリマーもしくはコポリマーの標準的なブレンド技術を用いて、ポリマー系を作製することができ、時間および温度に関しては、やはり、従来のように実施することができる。
【0069】
ポリマー系それ自体の内部に、疎水性および親水性成分は何らかの適当な割合で存在することができ、各成分の具体的な量はそれぞれ、各成分の疎水性もしくは親水性の相対的な程度に基づいて、ただし常に最終的なデバイス製品が、水系に接触もしくは浸漬後ヒドロゲルを形成しないように、選定される。したがって、結果として得られたポリマー系は、少量の親水性特性を有するとして特徴付けられるが、親水性成分は、典型的にはポリマー系中に疎水性成分より少ない量で存在し、デバイスにヒドロゲル特性を与えるのではなく、ただ、一相性の、またはゼロ次の、またはゼロ次に近い、活性物質の放出速度を示すデバイスを生じる。したがって、親水性成分は典型的には、ポリマー系中に、重量比で約25から30%までの量、もしくはそれより少ない量で存在し、場合によっては、約15%以下の量で、さらに別の場合には、約0.5から10%までの量で存在する。
【0070】
ある好ましい実施形態において、ポリマー系は、重量比約75%を超える疎水性ポリマー成分を含んでなる、コポリマーもしくはポリマーブレンドである。他の好ましい実施形態において、ポリマー系は、重量比約85%を超える疎水性ポリマー成分を含んでなる、コポリマーもしくはポリマーブレンドであり、さらに別の実施形態において、ポリマー系は、重量比約91から約98%を超える疎水性ポリマー成分を含んでなる、コポリマーもしくはポリマーブレンドである。特定の実施形態において、ポリマー系中の疎水性成分は、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボナート、ポリアミド、またはそれらの任意のコポリマーである。特に好ましい実施形態において、ポリマー系の疎水性成分は、重量比90%以上系中に存在するポリ(ラクチド-コ-グリコリド)である。
【0071】
他の好ましい実施形態において、ポリマー系は、重量比で約25%未満の親水性ポリマー成分を含んでなる、コポリマーもしくはポリマーブレンドである。他の好ましい実施形態において、ポリマー系は、重量比で約10%未満の親水性ポリマー成分を含んでなる、コポリマーもしくはポリマーブレンドである。特定の実施形態において、ポリマー系中の親水性成分は、ポリ(アルキレングリコール)、ポリビニル ピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(アルキレンアミン)、ポリ(アルキレンオキシド)、またはそれらの任意のコポリマーである。好ましい実施形態において、ポリマー系中の親水性成分は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、他の実施形態において、親水性成分は、約700 Daから約500 kDaの間の分子量を有するPEGである。特に好ましい実施形態において、親水性成分は、ポリマー系中に重量比で10%以下の量として存在するPEGである。
【0072】
ある具体的な実施形態において、ポリマー系は、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、および分子量750のPEGから形成されるABブロックコポリマーであり、PEGはポリマー系中に重量比で約1.25%存在する。
【0073】
ひとたび適当なポリマー系が選択されたならば、活性成分をポリマー系に組み込む前に、またはそれと同時に、共重合またはポリマーブレンディングステップを実施することができる。このように、活性成分は、標準的な技法によって、ポリマー系と組み合わされてデバイスを形成する。活性物質は、本発明のデバイス中に、重量比約0.1%から約80%以上までの範囲の量含まれるように組み合わされるが、ただし、活性物質は典型的には、重量比で約0.3%から約70%までの量、たとえば、約10%から約60%まで、または約20%から約55%までの量で、存在することができる。実際の量は、活性物質の活性、必要とされる用量、求められる放出持続期間、投与頻度、および他の変数によって左右される。当業者は、選定された活性物質の有効な量を、投与、ならびに望ましい治療効果、薬理効果または診断効果の観察によって確認することができる。したがって、デバイス中の活性物質の正確な量は、in vivoにて、所定の持続期間、活性物質の有効濃度を実現するのに必要な量とすることができる。この量は、使用する活性物質のタイプ、望ましい放出持続期間、対象の状態、望ましい投与頻度、被験動物の種類および他の要因によって変化する。好ましくは、デバイスは十分な量の活性物質を含有し、約0.10 ug/kg/日から100 mg/kg/日の間の放出が望ましい効果を生じる。上記パラメーターは、本明細書を読めば容易に、当業者は正しく認識することができるであろう。
【0074】
活性物質をポリマー系に組み込むために、したがって本発明のデバイスを作製するために使用される技術によって、活性物質をポリマー系内部に均一に分布させることができ、実質的にポリマー系によって封入することができる。適当な溶媒系、水性もしくは非水性のいずれか、を用いて、活性成分を追加してポリマー系に組み込むことができ、または、活性物質を非溶媒プロセスによって組み込むことができる。
【0075】
ポリマー系内への活性物質の組み込みに加えて、デバイスはさらに、製薬上許容される賦形剤、たとえば希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤および/または投与に必要な担体を包含することができる。特定の賦形剤がデバイス中に存在する割合は、その賦形剤が与えられる目的、および賦形剤自体の性質に左右される。目的の活性物質に最適な、最終的な製剤処方は、投与経路および望ましい投与量に応じて、当業者により決定される。医薬組成物の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) Mack Publishing Co., 第18版、Easton, Pa.に記載されている。
【0076】
本発明の特定の実施形態において、上記ポリマー系は、活性物質の治療目的である疾患の、治療もしくは改善に有用な、活性物質の制御放出のための1つもしくは複数のポリマーデバイスを製造するために使用される。したがって、本発明のある態様において、生分解性ポリマー系は、活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスの製造に用いられるが、このポリマー系は、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーもしくはポリマーブレンドであって、このポリマー系は、たとえば、生きた被験体にデバイスを埋め込む場合のように、水系に接触もしくは浸漬したとき、ヒドロゲルを形成しない。活性物質はポリマー系内部に組み込まれ、ポリマー系はデバイスからの活性物質の制御放出をもたらす。デバイスが被験体に投与されたとき、たとえばデバイスが埋め込まれたとき、デバイスは活性物質を、制御された様式で、ラグ期間なしで、もしくは最小のラグ期間で、放出する。好ましい実施形態において、本発明のポリマー系は、ペプチドもしくはタンパク質の活性物質を制御放出するためのポリマーデバイスの製造に用いられる。特に好ましいある実施形態において、ポリマー系はGnRH活性物質、またはそのアナログの制御放出のためのポリマーデバイスを製造するために使用される。
【0077】
本発明のデバイスは、デバイスの投与方法に応じて、任意の適当な形で提供することができる。この点に関して、本発明のデバイスは、経口経路(たとえば、ハードカプセルおよびソフトカプセルといったカプセル、顆粒剤、錠剤、丸剤、トローチ、口内錠、カシェ剤、ペレット剤、散剤、細粒剤、微粒子(およびその他の粒子形態)といった固形製剤)および非経口経路(たとえば、筋肉内、皮下、経皮、内臓、IV (静脈内)、IP (腹腔内)、動脈内、包膜内、関節包内、眼窩内、眼内、腫瘍内、血管周囲、頭蓋内、眼周囲、眼瞼内部、鼻内、洞内、膀胱内、膣内、尿道内、直腸内、外膜、注射可能、肺、吸入可能、経粘膜、および他の適当な形態)で、投与することができる。好ましい実施形態において、デバイスは埋め込みによって投与され、したがって、成形されたもの、たとえば、球状、ロッド状、平板状、フィルム状、繊維状、針状、円筒状、シート状、チューブ状、または微粒子、ミクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルを含む他の適当な形状として、形作られる。デバイスは、特定の部位に適した任意の大きさおよび形状を有する埋込型デバイスとして提供され、たとえば、カテーテル、シャント、くも膜下持続注入のためのデバイス、栄養チューブ、手術癒着を防ぐ固形インプラント、子宮インプラント、人工的括約筋、尿道周囲インプラント、副子、眼部インプラント、コンタクトレンズ、形成外科インプラント、ステント(活性物質を含有する、もしくは活性物質でコートされた)(食道ステント、胃腸ステント、血管ステント、胆管ステント、大腸ステント、膵臓ステント、尿管ステント、尿道ステント、涙腺ステント、耳管ステント、卵管ステント、鼻ステント、洞ステント、気管ステント、もしくは気管支ステントを含む)、またはポート(静脈アクセスデバイス、埋込型ポート、硬膜外カテーテルもしくは中心静脈カテーテル(PICC)を含む)として提供されることが可能である。望ましい部位に、外科的に、またはトロッカー、カテーテルなどを使用する侵襲の少ない方法を用いて、デバイスを埋め込むことができる。こうしたインプラントは、皮内、真皮下、皮下、腹腔内、筋肉内、または管腔内に(たとえば、動脈内、静脈内、膣内、直腸内、または歯根膜腔内に)埋め込むといった標準的な技法を用いて、任意の組織中に埋め込むことができる。あるいはまた、デバイスを、マトリックス、移植片、補綴物またはコーティングの一部として加工することもできる。埋込型デバイスが粒子の形状をとって、たとえば、微粒子、ミクロスフェアもしくはマイクロカプセルとして作製される場合には、次に、適当な組織中に、カニューレ、針付き注射器、または粒子懸濁液を注入することができる同様の器具を用いて、これを埋め込むことができる。
【0078】
II.作製方法
活性物質デリバリーのための繊維状ポリマーデバイスを作製する方法は、当技術分野でよく知られている。たとえば、CowsarおよびDunn、第12章 “Biodegradable and Nonbiodegradable Delivery Systems” 145-162ページ; Gibsonら、第31章 “Development of a Fibrous IUD Delivery System for Estradiol/Progesterone” 215-226ページ; Dunnら、“Fibrous Polymers for the Delivery of Contraceptive Steroids to the Female Reproductive Tract” 125-146ページ; Dunnら、(1985) “Fibrous Delivery Systems for Antimicrobial Agents”、Polymeric Materials in Medicationより、C.G. GebeleinおよびCarraher編、Plenum Publishing Corporation、47-59ページを参照されたい。上記の既知の方法のいずれか、および当技術分野で知られている他の多くの方法を、本発明の実施に際して、本明細書に記載のユニークな特徴を有する繊維状デバイスを作製するために使用することができる。
【0079】
押出成形によってポリマーを加工する様々な方法が、Chris Rauwendaal (1994) “Polymer Extusion” 改訂第3版、Carl Hanser Vertag, Munichに記載されているが、たとえば、可塑化押出では、ポリマーは固体として押出機に供給され、溶融押出では、溶融ポリマーが押出機に供給される。本明細書で使用される場合、「押出」または「溶融紡糸」は、これらの製造方法のすべてを包含する。溶融紡糸において、熱可塑性ポリマーは融点を越えて加熱し、オリフィスを通して押し出し、冷却してフィラメントとする。本発明のデバイスを作製するためのある好ましい実施形態において、ペプチド活性物質は、均一な混合を保証するために、押出前にポリマーと混合し、次にその混合物は粉砕されて、その混合物を再び押し出すための供給原料とする。一般に横断面が円の形状として形作られるが、そうしたデバイスはまた、他のいかなる断面形状、たとえば、楕円、ローブ型、四角形もしくは三角形のものも調製することができる。ポリマーはまた、標準的な加工技術によって、微粒子、シート、フィルムまたはコーティングにすることもできる。
【0080】
デバイスは、薬物の総投与量ならびに想定される投与法および投与部位に応じて、さまざまな大きさで調製することができる。好ましい実施形態において、デバイスは、全径が0.05から5.0 mmの間の一体化ロッド型である。ヒトでの皮下投与のために、全径1.0から4.0 mmの間がより好ましい。デバイスの長さは、典型的には約0.3 cmから10 cmの間である。皮下埋め込みのために、より好ましい長さは、約0.3から3.0 cmの間である。
【0081】
材料がずっと最後まで通過するように徐々に速度を速めて作動する、2組以上のゴデットの周囲に材料を通すことによって、引き落としを完全に行うことができる。材料はゴデットの間の加熱炉を通り、その結果、ポリマーの結晶化度にさらに影響を及ぼすように、注意深く温度を制御することができる。また、材料の最終的な直径を制御するために引き落としを使用できる。
【0082】
こうした構造は、連続的な押出プロセスによって調製されるため、扱いやすい任意の長さで提供することができる。製剤に十分柔軟性があるならば、それをスプールに巻き付ける、またはコイル状にして、切断前にこのように保持することができる。あるいはまた、材料を、おそらくは数センチもしくは数メートルの長さとして集め、切断前に保持することができる。金型のすぐ下流に置かれたフライホイール型カッターを用いて、材料を製造しながら、完成品デバイスの長さに材料を切断することも可能である。
【0083】
組み込まれるべき活性物質の量、およびプロセスで使用される量は、個別の活性物質、計画された放出レベルでの活性物質の望ましい効果、ならびに活性物質が放出されるべきタイムスパンに応じて、変動することになる。上記プロセスのうちいずれかを、ポリマーデバイスに2つ以上の活性物質を組み込むために使用することができる
III.使用方法
本発明にしたがって作製されたデバイスは、あらゆる適当な方法によって投与することができる。投与されるべき活性物質、選定された形態(サイズ、形、など)および選定された投与部位に応じて、侵襲を最小限にする方法を用いて、放出が求められる部位に、デバイスを送達する、または埋め込むことができる。こうした方法は、トロッカーもしくはカテーテルを用いた埋め込み、(たとえば、粉末、粒子、微粒子、ミクロスフェア、マイクロカプセルの)標準的な針付き注射器による注射、(たとえば、マトリックス、移植片、補綴物またはコーティングの)移植または外科的もしくは非外科的装着、(たとえば、粉末もしくは微粒子の)吸入などを含めることができる。デバイスは、所定の期間にわたって、望ましい投与量で活性物質が放出されるように、デザインされる。デバイスは、活性物質の放出が行われている間およびその後に、デバイスが分解するようデザインされる。
【0084】
ある実施形態において、デバイスは固形インプラントの形でGnRH分子もしくはGnRHアナログを含むよう製剤される。ゴナドトロピンLHもしくはFSHの目標血中濃度、産生、機能、または活性を、被験体において性機能が最大となる時期もしくはそれに近い時期(ヒトでは18から35歳までの年齢に相当する時期)に生じるレベル程度にするために、デバイスは被験者に投与される。たとえば、この時期のLHの正常な血中濃度は、雄では約0-10.0 mIU/mlであり、雌では約0.4-92.9 mIU/nl(性周期で変動する)である。この時期のFSHの正常血中濃度は、雄では約2.0-22.6 mIU/mlであり、雌では約2.9-29.5 mIU/nl(性周期で変動する)である。GnRHもしくはGnRHアナログインプラントの投与は、望ましいレベルを達成するように、ゴナドトロピンLHもしくはFSHの血中濃度、産生、機能、または活性を変化させるのに適している。
【0085】
別の実施形態において、固体インプラントの形でGnRH分子もしくはGnRHアナログを含むようにデバイスは製剤される。その後LHもしくはFSHの目標血中濃度、産生、機能、または活性を、検出できない、またはほとんど検出できないレベルにするために、デバイスは被験体に投与される。たとえば、LHおよびFSHについていずれも0.7 mIU/mLの血中濃度は、臨床検査室では現在検出することができない。
発明のもう一つの実施形態において、固体インプラントの形でGnRH分子もしくはGnRHアナログを含むようにデバイスは製剤される。その後LHもしくはFSHの目標血中濃度、産生、機能、または活性を、受け入れがたい有害な副作用なしに可能な限り低いレベルにするために、デバイスは被験体に投与される。受け入れがたい有害な副作用とは、当業者の合理的な判断において、治療の利益より重い犠牲のある不利な副作用である。
【0086】
上記および他の関連の方法の実施に際して、被験体のLHまたはFSHの血中濃度、産生、機能、または活性を定期的にモニターし、LHおよびFSHの目標血中濃度、目標の産生、目標の機能または目標活性を達成するために、LH/FSH抑制物質の組み合わせ、量および投与計画を漸増検討し、または変更することができる。特に好ましい実施形態において、GnRHのアナログ、例えば酢酸ロイプロリドの投与量は、およそ0.01 μg/kg/時間から、およそ100 mg/kg/日の間とすることができ、または本明細書に照らして当業者に明白である別のスケジュールとすることができる。これらの方法では、被験体は、最初に低用量、例えばおよそ0.01 μg/kg/時間の投与を受けることができる。およそ2週後に、LHおよびFSHの血中濃度を測定することができる。LHおよびFSHの血中濃度が目標よりもまだ高いならば、次に、投与量を増やすことができる(例えば0.1 μg/kg/時間だけ)。こうした漸増はLHまたはFSHの血中濃度、産生、機能または活性が、上記の望ましい目標のLHまたはFSHの血中濃度、産生、機能または活性に達するまで繰り返すことができる。
【0087】
たとえば、用量30 mgの時限放出型酢酸ロイプロリドを成人男性被験者に投与することができる。酢酸ロイプロリド活性物質は、生分解性ポリマー系の中に与えられ、活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスが提供される。ポリマー系は、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーもしくはポリマーブレンドであって、ポリマー系は、たとえばデバイスを被験体に埋め込む場合のように、水系に接触もしくは浸漬したとき、ヒドロゲルを形成しない。酢酸ロイプロリド活性物質はポリマー系に組み込まれ、その結果ポリマー系は、デバイスからの活性物質の制御放出を提供する。デバイスを、たとえば埋め込む場合のように、被験体に投与したとき、デバイスは、ラグ期間なしに、または最小限のラグ期間で、制御された様式で活性物質を放出する。このようにして、数ヶ月間にわたってロイプロリドを徐々に放出することができる。2週間後、被験体のLH血中濃度は、検出不能であり、FSHの血中濃度は約5 mIU/mlとなることもある。
【0088】
別の例において、用量1.88 mgの時限放出型酢酸ロイプロリドを被験者に投与することができる。酢酸ロイプロリド活性物質は、生分解性ポリマー系の中に与えられ、活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスが提供される。ポリマー系は、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーもしくはポリマーブレンドであって、ポリマー系は、たとえばデバイスを被験体に埋め込む場合のように、水系に接触もしくは浸漬したとき、ヒドロゲルを形成しない。酢酸ロイプロリド活性物質はポリマー系に組み込まれ、その結果ポリマー系は、デバイスからの活性物質の制御放出を提供する。デバイスを、たとえば埋め込む場合のように、被験体に投与したとき、デバイスは、ラグ期間なしに、または最小限のラグ期間で、制御された様式で活性物質を放出する。このようにして、およそ1ヶ月間にわたって徐々にロイプロリドを放出することが可能であって、ロリプロリドは被験体においてLHおよびFSH血中濃度を検出不能な水準まで低下させることが見込まれる。当業者には明白なことであるが、本明細書に照らして、この目標を達成するために、ロイプロリド活性物質の投与量は、年齢、性別、体重、食事、治療すべき病気、病気の進行度、および投与されるべき他の薬物を考慮して、被験体によって異なるものである。
【0089】
下記は、本発明を実施するための具体的な実施例である。実施例は説明目的のためにのみ提供され、決して、本発明の範囲を限定する目的ではない。
【実施例1】
【0090】
ポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)PEGブロックコポリマーインプラント
方法
DL-ラクチド-コ-グリコリドとともに、重合開始剤として分子量5,000のモノメトキシ末端ポリ(エチレングリコール)[mPEG-5000]を重量比で8.3%使用して、90:10 ポリ(DL-ラクチド-コ-グリコリド)PEGブロックコポリマーを調製し、CHCl3中30℃にて0.89 dl/gの固有粘度を有するブロックコポリマーを作製した。得られたコポリマーは、その後、溶融押出を行って、直径約1.5 mmのロッドを作製し、ロッドを約2 cmの長さのデバイスに切断した。つぎに、デバイスを、67 mM Soerensonリン酸バッファー10 mlの入った清潔なシンチレーションバイアルに入れた。このサンプルを37℃インキュベーター内で保存した。曝露後1、2、4、6、8、10、12、14および16週間後に完全なバッファー交換を実施した。上記サンプルのそれぞれの期間に、3つのデバイスを実験系から取り出し、湿重量を記録した。デバイスを乾燥し(大気圧で室温、その後18mm Hg未満で真空乾燥)、各デバイスの乾重量を記録した。
【0091】
結果
ポリマーの水の取り込みを図1に示す。その結果は、直径が大きくなるという点で、デバイスが大いに水を吸収することを示す。
【実施例2】
【0092】
酢酸ロイプロリド含有インプラントの放出特性
方法
平均粒径3から10ミクロンにまで粉砕した酢酸ロイプロリド9部、およびCHCl3において0.89 dl/gの固有粘度、重量比1.25%のmPEG成分を有し、あらかじめ1 mmスクリーンを通したmPEG750開始90:10 ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)[mPEG-750/(90:10 DL-PLG] 27部を組み合わせて、完全に混合する。つぎに、この粉末ブレンドを直径0.375インチのスクリュー押出機で、温度80-120℃にて溶融押出によって調合した。押出品を粉砕し、同じ装置で、同じ温度範囲で再度押出成形し、直径約1.5 mmのロッドを作製した。その後、ロッドを切断して約2 cmの長さのデバイスとした。
【0093】
個別のデバイスを0.05%(重量比)アジ化ナトリウム含有67 mM Soerensonリン酸バッファー(pH 7.4)10 ml中に入れることによって、デバイスをin vitroでテストし、37℃でインキュベートした。定期的に、バッファーを新バッファーに交換し、古いバッファーをアッセイして、インプラントから放出されたロイプロリドの量を測定した。
【0094】
結果
図2は、デバイスからの放出がおよそ7日間にわたって突出して起こり、その後はより緩慢なロイプロリドの定常的放出が続くことを示す。
【実施例3】
【0095】
酢酸ロイプロリド含有インプラントの放出特性
実施例2の実験を、IV = 0.89 dL/g を有し、重量比8.3 %のmPEG を含有するmPEG-5000/(90:10 DL-PLG)を用いて、再度行った。図3に示すように同様の放出プロフィールが観察された。
【0096】
本発明の修正および変更は当業者にとって明白であって、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、時間経過に伴う水和の増加として測定された、37℃でのmPEG-500 - DL-PLG, (90:10)の水の取り込みおよび膨潤のグラフである。
【図2】図2は、mPEG-750 DL-PLG 90:10ブロックコポリマーにおいて、重量比30%の酢酸ロイプロリドとともに調製された、さまざまな大きさのデバイスからの、時間経過(日数)に伴う、ペプチドの累積放出量および放出速度のグラフである。
【図3】図3は、mPEG 5K DL-PLG (90:10)ブロックコポリマー中に、重量比30%の酢酸ロイプロリド("LA")を含有するデバイスからの、LAのin vitro放出に対するデバイスの大きさの影響を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的とする活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスであって、そのデバイスは、
疎水性成分および親水性成分を含んでなる、コポリマーおよびポリマーブレンドからなる一群から選択される、生分解性ポリマー系;および
活性物質を含んでなり、
そのデバイスを水系と接触させたときポリマー系がヒドロゲルを形成せず、さらに、デバイスがラグ期間なしで、または最小限のラグ期間をおいて、前記物質を放出する、
前記デバイス。
【請求項2】
活性物質が重量比で40%以下の量で存在する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
活性物質がペプチドである、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
ペプチドが、ホルモン、成長因子、神経活性物質、メラニン細胞刺激ペプチド、細胞接着因子、サイトカインおよび生体応答調節物質からなる1群から選択される治療用および/また予防用ペプチドである、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
ペプチドがGnRH分子またはGnRHアナログである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
GnRHアナログが、デゾレリン(desorelin)、トリプトレリン、ゴセレリンおよびロイプロリドからなる1群から選択される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
ポリマー系が、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーである、請求項1〜6のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
ポリマー系が疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーのブレンドである、請求項1〜6のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項9】
親水性成分が25%以下の量で存在する、請求項1〜8のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項10】
親水性成分が15%以下の量で存在する、請求項1〜8のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項11】
親水性成分が重量比で0.5%から10%の間の量で存在する、請求項1〜8のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項12】
ポリマー系がABコポリマーであって、A成分はラクチド、グリコリド、またはカプロラクトンからなるコポリマーであり、B成分はポリアルキレングリコールである、請求項1〜11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項13】
B成分が重量比1.25%のポリアルキレングリコールであり、疎水性ポリマーがポリ(ラクチド-コ-グリコリド)である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
活性物質が、ポリマー内部に均一に分布する、請求項1〜13のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項15】
活性物質が非溶媒プロセスによって組み込まれる、請求項1〜14のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項16】
デバイスが乾式溶融押出によって形成される、請求項1〜15のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項17】
デバイスがペプチドと混合したコポリマーの溶融押出によって形成される、請求項1〜15のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項18】
活性物質が、直線的もしくはゼロ次の放出速度で放出される、請求項1〜17のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項19】
ポリマー系が、重量比75%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項1〜18のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項20】
ポリマー系が、重量比85%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
ポリマー系が、重量比91%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
ポリマー系が、重量比98%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
ポリマー系の疎水性成分が、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、およびそれらのコポリマーからなる一群から選択される、請求項1〜22のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項24】
ポリマー系の親水性成分が、ポリエチレングリコールである、請求項1〜23のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項25】
繊維状、針状またはロッド状の形で与えられる、請求項1〜24のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項26】
シート状、フィルム状またはコーティングの形で与えられる、請求項1〜24のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項27】
微粒子の形で与えられる、請求項1〜24のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項28】
溶媒残留物のない、請求項1〜27のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項29】
活性物質がGnRH分子またはGnRHアナログである、病気を治療するための、請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
活性物質が、ゴナドトロピンレベルを低下させるために使用される、GnRH分子またはGnRHアナログである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項31】
ポリマー系および活性物質を混合すること、ポリマー系および活性物質の混合物を押出成形すること、押し出された混合物を粉砕すること、ならびに粉砕した押出成形混合物を押出機に送り込むことを包含する、請求項1〜30のいずれか1つに記載のデバイスを作製する方法。
【請求項32】
目的とする活性物質の制御放出のためのポリマーデバイスの製造における、生分解性ポリマー系の使用であって、前記生分解性ポリマー系が、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーおよびポリマーブレンドからなる一群から選択され、活性物質と組み合わせてデバイスを形成し、このポリマー系は、そのデバイスが水系と接触したとき、ヒドロゲルを形成せず、加えて、このデバイスは、ラグ時間なしで、または最小限のラグ時間をおいて活性物質を放出する、前記生分解性ポリマー系の使用。
【請求項33】
活性物質が重量比40%までの量で存在する、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
活性物質がペプチドである、請求項32または33に記載の使用。
【請求項35】
ペプチドが、ホルモン、成長因子、神経活性物質、メラニン細胞刺激ペプチド、細胞接着因子、サイトカインおよび生体応答調節物質からなる一群から選択される、治療用および/または予防用ペプチドである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
ペプチドが、GnRH分子もしくはGnRHアナログである、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
GnRHアナログが、デゾレリン(desorelin)、トリプトレリン、ゴセレリン、およびロイプロリドからなる一群から選択される、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
ポリマー系が、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーである、請求項32〜37のいずれか1つに記載の使用。
【請求項39】
ポリマー系が、疎水性成分および親水性成分のブレンドである、請求項32〜37のいずれか1つに記載の使用。
【請求項40】
親水性成分が25%以下の量で存在する、請求項32〜39のいずれか1つに記載の使用。
【請求項41】
親水性成分が15%以下の量で存在する、請求項32〜39のいずれか1つに記載の使用。
【請求項42】
親水性成分が重量比0.5%から10%までの量で存在する、請求項32〜39のいずれか1つに記載の使用。
【請求項43】
ポリマー系がABコポリマーであって、A成分がラクチド、グリコリド、もしくはカプロラクトンのコポリマーであり、B成分がポリアルキレングリコールである、請求項32〜42のいずれか1つに記載の使用。
【請求項44】
B成分が、重量比1.25%のポリアルキレングリコールであり、疎水性ポリマーは、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)である、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
活性成分がポリマー内部に均一に分布する、請求項32〜44のいずれか1つに記載の使用。
【請求項46】
活性物質が、直線的な、もしくはほぼゼロ次の放出速度で放出される、請求項32〜45のいずれか1つに記載の使用。
【請求項47】
ポリマー系が重量比75%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項32〜46のいずれか1つに記載の使用。
【請求項48】
ポリマー系が重量比85%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項32〜46のいずれか1つに記載の使用。
【請求項49】
ポリマー系が重量比91%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
ポリマー系が重量比98%を超える疎水性ポリマーを含んでなる、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
ポリマー系の疎水性成分が、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボナート、ポリアミド、およびそれらのコポリマーからなる一群から選択される、請求項32〜50のいずれか1つに記載の使用。
【請求項52】
ポリマー系の親水性成分が、ポリエチレングリコールである、請求項32〜51のいずれか1つに記載の使用。
【請求項53】
デバイスが、繊維状、針状またはロッド状の形で与えられる、請求項32〜52のいずれか1つに記載の使用。
【請求項54】
デバイスが、シート状、フィルム状またはコーティングの形で与えられる、請求項32〜52のいずれか1つに記載の使用。
【請求項55】
デバイスが、微粒子の形で与えられる、請求項32〜52のいずれか1つに記載の使用。
【請求項56】
デバイスが溶媒残留物を含まない、請求項32〜55のいずれか1つに記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−517042(P2007−517042A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547389(P2006−547389)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043389
【国際公開番号】WO2005/067889
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(505080839)デュレクト コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】