説明

流れ監視マイクロフルイディックデバイス

入口(4)と出口(5)を有する少なくとも1つのカバー付きのマイクロ流路(3)を備えたマイクロフルイディックシステムを構成する、電気化学的な流れ監視デバイス。例えば前記入口(4)と出口(5)の相対的な高さを変えることによって、前記マイクロフルイディックシステムの前記入口と前記出口の間に差圧が加えられ、前記マイクロ流路(3)内の溶液の流れを発生させる。前記マイクロフルイディックシステムは少なくとも1つの電極(8)を有し、前記溶液の電気化学的な特性を測定することによって溶液の前記流れを監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流れ監視マイクロフルイディックデバイス及び分析アッセイを行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を扱うマイクロフルイディックデバイスの開発は10年以上研究の関心の中心であった。マイクロフルイディックの利用は、毛細管電気泳動法又はナノ電子スプレー質量分光計のような手段により微量の流体試料の分析を可能とするので広く行われるようになってきた。これら「フルイディックマイクロチップ」やマイクロフルイディックデバイスの応用は数多くあり、PCRs(ポリメラーゼ連鎖反応)のような反応や、ハイブリダイゼーションや、免疫アッセイや、合成等がこれらマイクロシステムをもとに開発されてきた。
【0003】
変わらぬ関心の1つは、分析中の好ましい流れの様相、流れ方向、及び流量を導き制御する、よりよい方法を見出すことである。いくつかのマイクロフルイディックシステムは、流れを正しい方向に導くのに弁を必要としない、相互連結されたカバー付きマイクロ流路とともに働く。例えば毛細管電気泳動中に正しい流れの様相と方向を可能とするためには高電圧配分を理解していれば十分である。しかし、これらのシステムは分析中の壁面の完全なコントロールを必要とし、現実の試料の取り扱いにおいては困難である。他のシステムは正しい流量と正しい方向で溶液を配分するために、内蔵された弁とポンプを用いて働く。そのようなシステムはデバイス自身にマイクロ弁を内蔵するか又はキャピラリーチューブによって外部の弁とポンプに接続されることが必要である。これらのアプローチは、使い捨てのマイクロフルイディックシステムに内蔵された場合は、最終的なセンサーデバイスのコストを増加させることが明らかなため困難である。更に、使い捨て部品を外部のキャピラリーに接続することは、汚染や無駄な容積なしで実施することが困難となる。
【0004】
これらの問題点を克服するために、異なった手段によってフルイディック(Fluidic)を提供する、ポンプのないシステムが提案されてきた。キャピラリー充填、遠心力(疎水性ゲートジャイロ、ガメラ)、ふき取りによる吸引(特許文献1、キャリパー)、流れを発生させるために重力を利用して差圧を加える(特許文献2、3、4)などである。
【0005】
【特許文献1】WO01/26813
【特許文献2】WO03/008102
【特許文献3】WO00/53320
【特許文献4】WO01/26813
【非特許文献1】ロッシャー他著「プラズマエッチングしたポリマーマイクロ電気化学システム」ラブチップ誌(Lab Chip)、2002年、2月号、p145−150
【非特許文献2】バートレット、P.N.著、エレクトロアナルケミカル誌(J. Electroanal. Chem.)、1998年、453号、p49―60
【非特許文献3】グルシュカ、E著「毛細管電気泳動法の効率における流体静力学的流れの効果」クロマトーグ誌(J. Chromatog.)、559号(1991年)、p81-93
【非特許文献4】ボーア、G.著「動電学的に駆動されるマイクロTASにおける静止流体力学的圧力効果の研究」マイクロTASシステム(Micro TAS systems)、1998年コンファレンス議事録、D.J.ハリソン、A.ファンデンベルグ編集、クリューワーアカデミック出版、バンフ、1998年、p53
【0006】
流れを発生させるためにこのような圧力を利用することは、マイクロフルイディックにはめったに適用されてこなかった。前記差圧をカバー付きマイクロ流路の両端部の間に加えている間チップの内部流量を能率的に監視することが困難であったためである。実際、マイクロ流路内の容積は小さすぎて流量を監視することが困難であるばかりでなく、試料が流路内に入ったことを確信することさえ困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、マイクロフルイディックデバイスを分析又は反応の道具として使用する場合に、導かれた流れの現場(in-situ)測定を可能とし、この流れを電気化学的な事象によって測定することである。この流れのシステマティックな測定は、前記チップの中で行われた分析の結果を最終的に修正するのに役に立つであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カバー付きマイクロ流路の内部の流体や流体の流れの上の圧力の結果として生じている変化は電気化学の手段によって測定できるという事実に基づいている。そこでこのようなマイクロフルイディックデバイス内の変化や流れを指し示す電気化学的な信号の測定ができるようにする装置や方法を提供すること、及びマイクロ流路の入口と出口の間の差圧を応用して流体の流れを発生させることは本発明のもう一つの目的である。
【0009】
本発明は、
入口と出口を有する少なくとも1つのカバー付きのマイクロ流路を備えたマイクロフルイディックシステムを備え、
前記マイクロフルイディックシステムの前記入口と出口の間に差圧を加え、前記カバー付きのマイクロ流路内の溶液の流れを発生する方法を提供し、
前記マイクロフルイディックシステムが溶液の前記流れを監視する少なくとも1つの電極を有し、当該監視が前記溶液の電気化学的な特性を測定することによって行われる、電気化学的な流れ監視デバイスを提供する。
【0010】
前記溶液はレポーター分子を備え、前記溶液の前記電気化学的な特性を測定することによって溶液の前記流れを監視する。
【0011】
1実施例において、前記差圧は重力によって、すなわち前記カバー付きのマイクロ流路の入口と出口の間の溶液の高さの差によって発生する。または、差圧を加える前記手段は外部アクチュエーターを有する。例えばマイクロ流路の入口に接続してポンプシステムを置き、これを作動させてこの入口に、及び/又はマイクロ流路内に存在する流体に圧力をかけることができ、前記マイクロチップ内の溶液の流れを発生させることができる。あるいは、マイクロ流路の出口において負圧を発生し、前記マイクロ流路を流れる流れの吸引を発生することができる。
【0012】
他の実施例では、前記差圧はマイクロフルイディックシステムに加速度を加えることにより発生される。いくつかのケースでは、加速度によって発生するこの差圧は、重力によって発生する差圧又は外部アクチュエーターを経由して加えられる差圧に重ねることができる。または、この加速度はマイクロフルイディックシステム又はマイクロフルイディックシステムがその上に又はその中に設置されている支持剛体の急速な変位によって発生する。いくつかの実施例では、この変位はマイクロフルイディックシステム又はその支持剛体の垂直上昇からなり、この垂直上昇はプラグ機構によって又はマイクロフルイディックシステム又はその支持の下に配置したスプリングによって得られる。0.01秒に1cmの垂直上昇で、5g、すなわち重力の効果の5倍、の加速度が発生する。他の実施例では、前記加速度は前記マイクロフルイディックシステム又はその支持を回転させることによって、遠心力を利用することによって発生させることができ、マイクロ流路の入口及び出口の間に差圧を加えることができる。この目的のために前記マイクロ流路の入口と出口は、普通、回転の中心から同じ距離には配置せず、前記マイクロ流路の入口と出口で異なるモーメンタムを発生するようにし、前記マイクロ流路の両端部の間に差圧が加わるようにする。これを達成するために、前記マイクロ流路は、例えば入口と出口を結ぶ線が回転軸の垂直方向に対して90度と異なる角度を示すように配置される。
【0013】
前記電気化学特性は、特定の伝導性か又は還元又は酸化(酸化還元)特性でよい。前記酸化還元特性は、分子の能力を備えることができ、これは例えば、前記溶液に溶解された、フェロセン、フェロセンカルボキシル酸、ヘキサシアノ鉄酸又は酸素などの、それぞれ還元される又は酸化される能力である。
【0014】
前記マイクロフルイディックシステムはポリマー、ガラス、セラミック、他の流れに結びついた材料、これらの組み合わせ、から選ばれた材料を備えることができる。前記マイクロフルイディックシステムは多層の本体を備えることができる。いくつかの実施例では、前記マイクロフルイディックシステムは多層の本体のプラズマエッチング及び/又はレーザーフォトアブレーションによって製造される。これらの製造プロセスは、1つの又はいくつかの内蔵電極を備えたマイクロフルイディックシステムの製造に実際使用するのに都合が良い。エンボス加工、射出成形、UV−Liga、ポリマー鋳造、シリコンエッチング、他のマイクロ成形技術がマイクロフルイディックシステムを製造するのに使用される。他のいくつかの実施例においては、マイクロフルイディックシステムは光透過性材料で作られ、又は光透過性材料を備えており、例えば、分析対象物質の光学的検知を可能にする。
【0015】
前記マイクロ流路はシールされ、かつ前記マイクロ流路の上に固定され外部圧力によって保持されたラミネーション、シール板、板の1つでカバーされている。
【0016】
前記マイクロフルイディックシステムは好ましくはバイオロジカルな材料例えばこれらに限られないが、酵素、抗体、抗原、オリゴヌクレオチド、DNA、DNAストレイン又はDNAセルを備えることができる。いくつかの実施例では、このバイオロジカルな材料はマイクロ流路の壁及び/又は前記マイクロ流路内の電気化学的特性を測定するのに使用される電極の上に固定される。本発明の流れ監視デバイスはアッセイを行うのに直接使用され、アッセイ中にマイクロ流路を通過する溶液の流れが電気化学的に監視され、電気化学的流れ測定がアッセイの最終結果を修正するのに使用される。
【0017】
少なくとも1つの電極が金属面や、カーボンや、液/液インターフェイスのような伝導性のある表面で構成される。
【0018】
溶液の流れは例えばアフィニティー吸着体アッセイにおいて溶液のインキュベーションを行うために利用される。
【0019】
本発明はまた、以下の工程からなる分析アッセイを行う方法を提供する。
(a)上述のような流れ監視デバイスを用意する。
(b)前記カバー付きのマイクロ流路の入口に溶液を充填する。
(c) 前記マイクロ流路の入口と出口の間に差圧を加え、前記マイクロ流路の中の前記溶液の流れを生じさせる。
(d)電気化学的特性が前記マイクロ流路内の前記溶液の流量に依存する、前記流れている溶液の電気化学的特性を、前記マイクロシステムの前記少なくとも1つの電極によって測定する。
【0020】
前記方法の実施例において、工程b)から d)までは多段階アッセイを行うために繰り返される。
【0021】
前記方法は前記溶液中に存在する分析対象物質を検出するために前記差圧の付加を停止することを備える。例えば、前記溶液と混合しない液体を前記入口及び/又は前記出口の少なくとも1つに加えることができる。他の実施例では、前記溶液の流れは機械的な手段で、例えば前記マイクロ流路の入口及び/又は出口を塞ぐことによって、ブロックできる。更なる実施例では、前記マイクロ流路内で、特に内蔵された電極部で、電気化学的に泡を発生させることができ、マイクロ流路内の溶液の流れをブロックすることができる。
【0022】
前記マイクロ流路の入口及び/又は出口の表面張力もまた、溶液が前記マイクロ流路から流れ出るのを妨げるために使用することができる。他の実施例では、前記マイクロ流路は初めに、前記マイクロ流路の入口で充填溶液の毛細管現象で満たされ、いったん満たされると、差圧が前記マイクロ流路の入口と出口の間に働き、溶液の流れを生じさせ、電気化学的手段で監視できる。
【0023】
測定された流量は本発明の流れ監視デバイスで直接行われたアッセイの最終結果を修正するのに使用できる。このケースでは、前記分析対象物質の検出中に溶液の流れを妨げることが実際に都合が良い。本発明のいくつかの実施例では、レポーター分子がマイクロ流路内の流れを監視するために試料及び/又は試薬の溶液に加えられ、マイクロ流路内の流体の流れを監視する。アッセイ中に検出されなければならない前記分析対象物質は例えば電気活性的であるか、又は高伝導性であり、その存在及び/又はその濃度はこの分析対象物質の電気化学的特性を利用して本発明の流れ監視デバイスによって直接決定することができる。ある実施例においては、1以上の分析対象物質が単一マイクロ流路において同時にアッセイできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1にマイクロフルイディックデバイス1を示す(以下マイクロチップとも言う)。ポリマーベースのマイクロフルイディックデバイスが好ましいが、ガラス、シリコン、セラミック材料等を含む異なったデバイスもまた使用できる。マイクロチップ1は本体2からなり、前記本体は層流条件と両立する少なくとも1次元を有するカバー付きのマイクロ流路3を備える。カバー付きのマイクロ流路は少なくとも1つの入口4と1つの出口5を有し、入口と出口の各々は穴、先端、又は流体(ガス又は液体)の通路となることができる開口した材料から構成されている。この例において、入口4と出口5はそれぞれ入口容器6と出口容器7によって囲まれている。内蔵された電極を備えた検出器8は、本体2と接触しており、カバー付きのマイクロ流路3内の流体の圧力に起因する変化及び/又は流量変化の検出ができる。
【0025】
図2は図2に示すデバイスに類似するデバイスを示すが、内蔵の電極の代わりに非接触の電極8を備えている。図3に示すように、電極8はデバイスの基板上にパターン化された伝導性の通路9と接触しており、伝導性の通路は電気化学的測定のための外部インターフェイス(図示せず)と電気的に接触することを可能としている。
【0026】
このインターフェイスはマイクロフルイディックデバイスを検出システム及び/又はポンプシステムに接続する。このインターフェイスはポンプシステムとカバー付きのマイクロ流路との間のよいシール性を保証する流体接続を備え、同様に伝導性の通路9を通る検出器と電子検出システムの間の電気接続を備える。
【0027】
ポンプシステムはマイクロ流路の入口と出口の間に差圧を発生することができるシステムである。本発明では2つの異なったポンプシステム、(i)注入ポンプ(Kdサイエンティック、モデル200、ハミルトン注入器100μL―図示せず―を装備)と、(ii)図6を参照して以下で論じる、傾斜できる板、が使用されてきた。
【0028】
電子検出システム(図示せず)は、例えばポテンショスタット、インピーダンス装置等、電気化学的測定を行うために採用されるどんなシステムでも含む。ここに述べる本発明の実施例において、電子検出器はマルチプレクサー部分を備え、様々なマイクロ流路を同時に測定することができ、ポテンショスタットは電位を加え、電流を測定することができる(ここでは、ポテンショスタット及びマルチプレクサー部分はオランダのパームインスツルメンツBV製)。
【0029】
マイクロフルイディックデバイス1は、別途詳しく説明されている技術(非特許文献1)で製造された、プラズマエッチングしたチップによって提供される。このマイクロフルイディックデバイスの形状を、マイクロフルイディックデバイスの主要パラメーターを表にして、表1に示す。
【表1】

【0030】
類似のマイクロフルイディックデバイスの使用はすでにポンプデバイスと接続して証明されてきたが、そこではポンプが流路内の一定圧力に対して一定の流量を与えるものであった(非特許文献1)。流量依存が注入ポンプを用いて研究され、検出された電流は与えられた流量と直接関係することが示された。
【0031】
圧力駆動システムの場合は、実物はしばしばもっと複雑であり、ミクロン単位の異なった環境では表面張力の変化又はバブルトラッピングなどを生じ、与えられた圧力が、2つの類似するマイクロフルイディックデバイスにおいて同じ量の液体を同じ流量で圧送するのに不十分であることがしばしば起こる。もしそのようなデバイスが作動すれば、当然のことながら、同じ圧力を加えてもカバー付きマイクロ流路の内部で同じ結果を導くことが想定できない。そこで、本発明によって、検出器8が流体の存在や移動を調べるため及び/又は一定圧力で導かれた流量が正しいことを確認するために使用される。電気化学的方法はまたそのような測定を行うのに使用される。このようにして本発明の前記流れ監視デバイスは好ましくも、間違いのないアッセイプラットフォームの一部となることができる。すなわち、すべてのマイクロフルイディックの工程が溶液の存在を確定することによって制御され、及び/又はマイクロ流路内の溶液の流れの監視によって制御され、これによって、例えばアッセイ中に発生するすべてのマイクロフルイディックの事象に関するレポートの生産を可能とし、又は最終の信号をこれらのマイクロフルイディックの事象の関数として修正することを可能とする、アッセイプラットフォームの一部となることができる。
【0032】
図1又は図2の接触又は非接触の電極8はそれぞれマイクロチップ1の内部の流体の変化、例えば、空気が水溶性の溶液に代わった場合、又は電気抵抗を有する液体(例えば純水)のつぎに血清、血漿、血液(塩分を含む)の試料がくる場合、を調べるために使用することができる。測定された電気抵抗の変化は、試料、洗浄液、試薬溶液が正しくマイクロフルイディックデバイス1を通って移動したことを示すことができる。例えば、マイクロ流路3は初めに電気抵抗のある流体、このケースでは空気、で満たされ、次に毛細管現象によって塩分を含む水溶液(リン酸塩が100mM、KClが100mM)で満たされ、次にこの塩分を含む水溶液が純水と入れ代わった。電気伝導性の変化は異なった流体が流路を移動したことを測定し、調べることができる。
【0033】
本発明のデバイスの他の使用において、溶液の流量は溶液に加えられた酸化還元マーカーの測定によって監視することができる。この流れ監視の理論を証明するために、図2のマイクロフルイディックデバイス1を、Kdサイエンティフィックポンプで駆動する10μLのハミルトン注入器を備えた注入ポンプにインターフェイスによって接続して、実験が行われた。このインターフェイスの役割は、まず、マイクロ流路3を流体接続用のチューブに接続し、また、2つの電極8を図3に示す電気伝導性の通路9を介して接続することである。前記マイクロ流路3は次に酸化還元活性分子の溶液(100mMのリン酸塩バッファと30mMのKClの中に0.5mMのフェロセンカルボキシル酸(FC))で満たされた。前記溶液は次に前記注入ポンプによって決められた0と1.5μLmin-1の間の異なった流量で吸引された。電流は連続的に監視され、還流流量は電気信号に測定可能な変化を生じさせながら規則的に増加された。図4は時間に対してこの電流をプロットしたものである。流量ゼロでは、電流値の約3.8nAは電極に向かう特有の拡散流れを表わしている。この理論電流はバートレットによって凹部のあるマイクロ電極に対して展開された次の式によって与えられる(非特許文献2)。
【数1】

ここで、Iは定常状態の電流
nは分子あたりの交換電子の数
Fはファラデー定数
Dは拡散係数(ここでは、FCに対して、D=5.7×10-102-1
rはディスク電極の半径(ここでは26μm)
cは酸化還元分子の濃度
また、ここで、
【数2】

【数3】

ここで30秒後の定常状態電流に対してt=30である。最終的には、B’、C’、D’は、(非特許文献2、表5)において異なったdr/r値―ここでは約0.3(8μm/26μm)―に対して示された一定値(drは電極の凹部の深さ)となり、B’、C’、D’はそれぞれ0.4428、0.5246、0.9926である。この理論式を用いて、作動している電極の各々は純粋な拡散電流2.05nAを示し、ここでの2つの電極の全電流値は4.1nAとなる。この電流レベルは流量がゼロに対して実測した電流と比較的良い一致をしている。
【0034】
前記流量が前記注入ポンプによって増加された場合、電流の増加が起こり、新しい溶液によって拡散層が新しくなることを示す。前記電流の増加の形状は急激な電流の増加の後に安定した定常部を有するステップ状になる。この急勾配は流量変化の慣性が大変小さく、電気化学的監視が素早いことを示している。また、前記定常部において周波数が測定されており、恐らく注入ポンプによって生じた小さなステップによるものであるといえる。実際、流量が早ければ早いほど前記周波数は高く、これに対して電流の定常状態の平均値は安定したままである。この観察はこの方法で流量のわずかの変化を監視できることをここでも示している。
【0035】
前記マイクロ流路の中に挿入された帯状のマイクロ電極の電流は流量に依存しており、
次のリービッヒの式による。
【数4】

ここで、Iは電流のアンペア値(A)
nは電子の数
Fはファラデー定数(96500Cmol-1
cは前記分析対象物質の濃度(molm-3
Lは帯状電極の長さ(m)
Bは帯状電極の巾(m)
Dは酸化還元分子の拡散係数(m2-1
Qは流量(m3-1
Mとdはそれぞれ前記流路の高さと巾(m)
【0036】
流量に対する電流の定常状態の平均値の増加を図5に示す。測定された信号の増加はグラフで比較できるように、リービッヒの式(式4)に近い。実験値と理論値の間の差は実験のマイクロフルイディックの形状と理論的な形状の間の幾何学的な差による。実際、リービッヒの式はマイクロ流路にはめこまれたマイクロ帯状電極を有する流路に適用でき、一方、実験では、我々は表1に示す凹部を有するディスク状のマイクロ電極を使用している。
【0037】
この実験は、流路内の溶液の前記流量は量的な測定ができることを示しており、前記測定電流がリービッヒのモデルと良く一致することを示している。これらの特性は流量が前記マイクロ流路の入口と出口における差圧によって生じる以下の実験において利用されている。
【0038】
前記注入ポンプをポンプのないシステムに置き換えることは、重力を利用することにより可能である。この基本的なアプローチは、まずブレイス・パスカルによって17世紀に解明され、チューブに流体を入れるとチューブの両端部の間の高さに直接比例した差圧が発生すると述べられている。この法則は式5によって記述される。
【数5】

ここで、ΔPは差圧(Pa)
ρは密度(kgm-3
gは重力加速度(ms-2
Δhはチューブ両端部の高さの差(m)
【0039】
毛細管内部の差圧によって生じる流量を計算するための第2の基礎式は18世紀初めに解明され、1860年にポアゼイユ式として知られる数式にまとめられた。
【数6】

ここで、Qは流量(m3-1
Rはチューブ又は毛細管の半径(m)
ηは流体粘度(Pa・s)
lはチューブ又は毛細管の長さ(m)
【0040】
それゆえ差圧(ΔP)と流量(Q)との間の関係はよく知られており、普通標準的なマイクロフルイディックデバイスでは、これに打ち勝とうと努力されている。毛細管電気泳動法が発明された時でさえ、いわゆる流体力学的圧力により発生した流れが確認され、グルシュカ他の論文に述べられているように数学的に解釈された(非特許文献3)。この効果もまたガラス、ポリマー、又はセラミック材料にエッチングされた簡単な毛細管ではあるが基本的には毛細管と異ならないマイクロチップシステムに存在する。このことはすでにマイクロフルイディックの応用における異なった著者、例えばボーア他(非特許文献4)によって述べられてきた。
【0041】
圧力駆動流れが応用できることを示すため、板上に水平に置かれ、異なった角度で傾斜でき、図6に示すように容器6、7、の間に高さの差を発生できるマイクロフルイディックデバイス1を用いて以下の実験が行われた。上側に傾斜させると、入口容器6と出口容器7の間の高さの差がマイクロ流路の入口から出口へ向かう溶液の流れを生じさせる。下側に傾斜させると、重力による流れが逆方向に生じる。
【0042】
図7は得られた酸化還元電流を示し、流れの監視に使用された前記溶液とマイクロフルイディックデバイスは図4に使用したもの(100mMのリン酸塩バッファと10mMのKClの中に0.5mMのフェロセンカルボキシル酸)と同一である。電流対高さの差が図7に示されており、流れが注入ポンプで生じている図4のグラフと類似のパターンを表わしている。高さの差がゼロである場合にも電流が、純粋に拡散電流に相当する4nAのレンジで測定されている。高さの差を与えると、前記電流は急激に増加して最大値に到達し、次に少し減少する。前記増加はここでもシャープで電気化学的測定システムの反応のよさを示している。前記電流信号が少し減少するのは、溶液がカバー付のマイクロ流路を流れていると1つの容器から他の容器へ高さの差が相殺されてしまうので、流量が減少することを示している。
【0043】
パスカル、ポアゼイユ、リービッヒの式を結合して、カバーをつけたマイクロ流路の入口と出口の高さの差の関数として電流を計算することが可能である。
【数7】

【0044】
高さの差の関数としての電流の上昇を、式7で与えられた解析値とともに図8に示す。解析値と実験結果との間に見られる差は、式7では与えられた形状が表1に示した円形断面を有するチューブに対して有効であるいう事実に主として基づいている。実際には、流路の形状のために圧力降下が生じている。
【0045】
図5に示した電流と流量の校正を利用して、高さの差によって生じた実際の流量を知ることが可能であり、図9にプロットしてある。実際の流量は上述の理由により解析値より下側になる。理想的な毛細管と流体チップとの間の表面積と体積の比の違いを考慮すれば、実験では摩擦が大きくなり圧力降下を生じ、流量を下げることが容易に理解できる。
【0046】
いくつかの応用例に対しては、マイクロフルイディックデバイス1を支持する板を使用して、これを水平にすることにより前記溶液の流れを止めることも有効である。
【0047】
マイクロフルイディックシステムでは、入口及び出口先端での溶液レベルの間の高さの非常に小さな差が溶液の流れを生じさせ、センサーデバイスで得られる信号を乱しうる。前記差圧がゼロに近くても前記流路内の溶液をゆっくりとした流量で連続的に入れ替えてしまうサイホン現象を防止するため、時には前記流路内の流れを完全にブロックすることが重要である。このサイホン現象を防止するため、マイクロ流路3の中に存在する溶液と混合しない有機溶液の液滴をこのマイクロ流路の入口4及び/又は出口5に加えることができ、前記流れをブロックするか又は流れの発生を防止することができる。例えば、混合しない鉱物オイル又は有機オイルのオイルプラグを出口容器7に加えることができ、出口の水と接続することができる。図10はフェロセンカルボキシル酸溶液の有効な流れブロックを実証する実験の結果を示すが、鉱物オイル(パラフィン)が水溶性の溶液の代わりに容器に加えられている。実際、オイルを加える前は、電流は約10nAに達し、図5の校正では約 0.03μLmin-1を示している。前記オイルが加えられると、このわずかな流れは減少し、電流は約4nAになり、これは純粋な拡散流れ(式1)を示す。この流れ止めプラグの効果を示すために、マイクロチップ1はプラグなしでは電流の増加(図7参照)を生じる異なる角度で傾斜された。ここでは61度(Δh=8.7mm)の角度でも電流のステップは測定されず、カバー付きのマイクロ流路の内部では流れが生じていないことが明らかにされたことに注目すべきである。流れを有効にブロックするこの特性は、静的インキュベーションの間、例えば酵素反応の間重要であり、そこでは基質が取り込まれ、固定された酵素が生産物を生じて濃度を増加している。いくつかの実施例では、このオイルの相は流路内の電気化学的事象の検出又は参照のためのイオノード(すなわちイオンを通すことができる膜)として働く。
【0048】
または、機械的な手段がマイクロ流路の入口及び/又は出口を閉じるのに使用され、2つのマイクロ流路先端の間のどんな差圧も妨げ、したがってどんな溶液の流れも妨げる。
【0049】
好ましい実施例において、本発明の流れ監視デバイスは、免疫アッセイ、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、たんぱく質相互作用、医薬発見等これらに限定されないアフィニティーアッセイを行うプラットフォームの一部となり又はプラットフォームを構成する。このケースでは、親和性パートナー(例えば、5分間100ug/mlの濃度で蒸発された(flown)後、さらに次の5分間ブロック因子のインキュベーションを行った抗体、例えば、2%の牛の乳漿アルブミン)は本発明の流れ監視デバイスのカバー付きマイクロ流路の表面に固定できる。次に、この流路はプローブ試料、例えば抗原(例えば0から10uU/mlの異なった濃縮は、一連の独立したマイクロ流路において5分間流れ条件のもとでインキュベーションすることができる)のような分析対象物質を含む溶液、で満たすことができる。このケースでは、抗原と、特定の結合剤によってこの抗原の認識に使用され、普通例えばアルカリ性ホスファターゼのような酵素によってラベル付けされている共役抗体が、マイクロ流路の表面上に固定された親和性パートナーによって捕捉される。これは流れを電気化学的手段で監視するためであり、前記溶液はフェロセンカルボキシル酸(例えば0.25mMの濃度で)のような酸化還元マーカー分子を含むことができ、前記マイクロフルイディックシステムはプラズマエッチングをしたポリイミドのチップでポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート層の積層によってシールされており、金製のマイクロ電極を備えている。溶液の流れを生じさせるため、前記マイクロフルイディックシステムは支持剛体上に置かれており、好ましい流量を生じるために適した角度で傾斜させることができる。電気伝導性及び/又はアンペアメーター検知が連続的に行われ、流量を監視し、角度の修正に基づく、例えば泡の生成や前記溶液の粘度の変化などの、どんな変化も検出する。
【0050】
8つのマイクロ流路を備えた上述のデバイスを平行して使用し、フェロセンカルボキシル酸を酸化還元活性レポーター分子として用いて、各流路に対する電流記録が傾斜角度の関数としてプロットすることができ、時間軸上をステップ状に変化する。前記マイクロ流路が水平(傾斜0°)である場合、前記電流は異なった流路で大変異なっていることが観測できる。対流のない純粋な拡散定常状態に対して予想される電流値は、式5から約2.5nAと予想される。各流路において、電流値はもっと高い値であり、恐らくわずかな流れの存在を示している。記録された電流の形状もまた傾斜角度の小さいところで流路によって異なることがわかる。しかし、傾斜がもっと大きくなれば(約30°)、電流の形状はマイクロ流路それぞれにおいて同一となる。電流値のジャンプが傾斜角度の上昇に基づいて測定され、この電流値はこのステップの後わずかに減少する。実験の終わりでは、電流の平均値は(抗原と共役血清溶液の中に0.25mMのフェロセンカルボキシル酸(FC)を含むものに対して)約6.5nAに到達する。本発明のデバイスを用いて、実流量は約0.1μL/minのレンジにあることが推定された。この流量は図7において純粋の水溶液(PBSの中にPC)が傾斜の説明に使用された時の、同一の傾斜に対して報告されたものよりわずかに小さい。前記差異は恐らく次のうちの異なった要因によるものである。(1)ポアゼイユ式(式10)により流れを減速する、溶液のもっと高い粘度、(2)式5によりバッファ単体と比較した、血清中のFCの拡散係数の減少、(3)たんぱく質コーティング工程の後の電極の特定の表面積の減少の可能性。
【0051】
この流量(約0.1μLmin-1)はプローブ試料の総消耗量となる割合に近く(式1により、>80%)、すなわちマイクロ流路を与えられた拡散係数で通過する分子のほとんどは、壁面に到達し親和性パートナーによって捕捉されるのに時間がかかることを意味する。この親和性パートナーは、マイクロ流路の表面上において前記分析対象物質の効率よい事前濃縮を可能とするものである。
【0052】
数秒から数時間かかるこのインキュベーション工程の後、入口容器内の前記溶液は取り除かれ、洗浄液によって置き換えられる。この溶液は前記プローブ試料溶液より電気伝導性が低いか、及び/又は酸化還元分子を含まないようにでき、これによって本発明のデバイスを使用して前記試料と洗浄液との間の電気化学的分離が可能となり、洗浄液がマイクロ流路を通過したという最終的評価が可能となる。前記実験は、マイクロ流路内で測定された電流が0nAに近いので(洗浄液中にFCを含まず)、マイクロフルイディックシステムを傾斜した後、カバー付きのマイクロ流路内の溶液が変化した、という事実を完全に監視することが可能であることを示している。
【0053】
この洗浄工程の後、マイクロ流路の表面上の前記サンドウィッチ親和性複合体は、酵素基質溶液、例えばパラ‐アミノフェニールリン酸塩、をマイクロ流路の入口に充填することによって、かつこの基質溶液をインキュベーションすることによって検出することができる。この基質は次に共役物の上の酵素ラベルによって加水分解されて生成物となり、生成物の濃度は時間とともに増加する。前記検出を開始する直前に、マイクロ流路内の流れをブロックすることは有益であり、前記生成物がサイホン効果を伴わずに一定容積に蓄積されることを確実にする。このゴールに達するために、上述したようにオイルプラグが出口容器に加えられる。前記酵素生成物(例えば、もしパラアミノフェノールリン酸が前記酵素アルカリホスファターゼの基質として使用されるならばパラアミノフェノール)の検出は次に現場(in-situ)で行うことができる。もし前記酵素生成物が電気化学的手段で検出されるならば、本発明のデバイスは、マイクロフルイディックシステムに内蔵された電極を用いて、この目的のために使用するのに都合が良い。実際、酵素反応の生成物は、例えば内蔵電極での電位を利用した酸化によって検出することができる。そこで異なった時間間隔で測定することにより前記酵素生成物の増加を時間の関数として捉え、分析対象物質の濃度を決定することが可能である。抗原の濃縮が0から10μU/mlまで変化する分析対象物質の溶液が異なるマイクロ流路内でインキュベーションされた上述の手順の後、校正が行われた。
【0054】
カバー付きのマイクロ流路の各々の流量は、全アッセイの各工程で本発明のデバイスを用いて監視されてきたこと、及び測定された信号は、1つの流路が他の流路よりも大きな流量を示すケースでは再校正として利用できることを述べねばならない。
【0055】
上述の手順を適用することによって、本発明のデバイスがマイクロフルイディックシステムの溶液の流れを精密に監視できることのみならず、免疫寛容テストのような高性能の多段階アッセイをポンプシステムを用いずに、よく制御された流量で行えることが証明された。
【0056】
本発明はカバー付きマイクロ流路内の流れを直接監視することを可能とし、内蔵された電気化学的センサーの使用はマイクロ流路内で発生している現象の理解を助けることを可能とする。
【0057】
この明細書で使用された動詞「備える」はすべて、「〜からなる、又は、含む」という意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の1実施例によるマイクロフルイディックデバイスの断面の略図。
【図2】本発明の代案実施例によるマイクロフルイディックデバイスの断面の略図。
【図3】図2に示したデバイスの平面図の略図。
【図4】図1のデバイスを使って流れを監視する目的で時間に対して酸化還元反応電流をグラフにしたもの。
【図5】図4の電流を流量に対してプロットしたグラフ。
【図6】図1のデバイスを傾斜させた状態を示す図。
【図7】図6に示すデバイスを使って流れを監視する目的で時間に対して酸化還元反応電流をグラフにしたもの。
【図8】前記デバイスの2つの容器の間の高さの差に対して、図7の電流をプロットしたグラフ。
【図9】高さの差に対する流量のグラフ。
【図10】フェロセンカルボキシル酸の電流検出のグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と出口を有する少なくとも1つのカバー付きのマイクロ流路を備えたマイクロフルイディックシステムを備え、
前記マイクロフルイディックシステムの前記入口と前記出口の間に差圧を加え、前記カバー付きのマイクロ流路内の溶液の流れを発生する方法を提供し、
前記マイクロフルイディックシステムが溶液の前記流れを監視する少なくとも1つの電極を有し、当該監視が前記溶液の電気化学的な特性を測定することによって行われる、電気化学的な流れ監視デバイス。
【請求項2】
前記溶液がレポーター分子を備え、前記溶液の前記電気化学的な特性を測定することによって溶液の前記流れを監視する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記差圧が重力によって、すなわち前記カバー付きのマイクロ流路の入口と出口の間の溶液の高さの差によって発生する、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記マイクロフルイディックシステムが支持剛体の上に又は支持剛体の中に設置され、当該支持剛体は傾斜することができ、前記カバー付きのマイクロ流路の前記入口と前記出口の間の溶液の前記高さの差を発生する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記差圧を加える手段が外部アクチュエーターを備える、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記外部アクチュエーターが前記マイクロ流路の入口に、及び/又はマイクロ流路内に存在する流体に圧力をかける手段を備え、これによって前記マイクロフルイディックシステム内の溶液の流れを発生させることができる、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記外部アクチュエーターが前記マイクロ流路の前記出口において負圧をかける手段を備え、これによって前記マイクロ流路内の前記溶液の吸引を可能とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記電気化学的特性が特定の電気伝導性である、前記請求項1から7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記電気化学的特性が酸化還元特性である、前記請求項1から8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記酸化還元特性が分子の能力、例えば、前記溶液に溶解された、フェロセン、フェロセンカルボキシル酸、ヘキサシアノ鉄酸又は酸素などのそれぞれ還元される又は酸化される能力を備える、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記マイクロフルイディックシステムがポリマー、ガラス、セラミック、他の流れに結びついた材料、及びこれらの組み合わせ、から選ばれた材料を備える、前記請求項1から10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記マイクロフルイディックシステムが多層の本体を備える、前記請求項1から11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記マイクロフルイディックシステムが光透過性材料を備える、前記請求項1から12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記マイクロフルイディックシステムがプラズマエッチング、レーザーフォトアブレーション、エンボス加工、射出成形、UV−liga、ポリマー鋳造、シリコンエッチング、及びこれらの組み合わせの中から選ばれたプロセスによって製造される、前記請求項1から13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電極が前記マイクロ流路の壁部分に内蔵されている、前記請求項1から14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電極が前記マイクロ流路内の前記溶液と直接接触しない、請求項1から14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記内蔵された電極が前記マイクロフルイディックシステムにおいて精密な寸法と配置を有する、前記請求項1から16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記マイクロフルイディックシステムがマイクロ流路のネットワークを構成する、前記請求項1から17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記マイクロ流路が、前記マイクロ流路の上に固定され外部圧力によって保持されたラミネーション、シール板、板の1つでカバーされている、前記請求項1から18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの電極が金属面、カーボン、液/液インターフェイスから選ばれた伝導性のある表面で構成されている、前記請求項1から19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの電極が前記溶液の流れを監視することに加えて、前記溶液中の分析対象物質を電気化学的に検出するのに使用される、前記請求項1から20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記カバー付きのマイクロ流路がバイオロジカルな化合物を含む、前記請求項1から21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記バイオロジカルな化合物が酵素、抗体、抗原、オリゴヌクレオチド、DNA、DNAストレイン又はDNAセルから選択された、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記バイオロジカルな化合物が前記カバー付きのマイクロ流路内に固定されている、請求項22又は請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記差圧の付加を停止することができる、前記請求項1から24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記差圧の付加の停止が前記マイクロ流路の前記入口及び前記出口のうちの1つを機械的にブロックすることによって行われる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記差圧の付加の停止が前記入口及び前記出口のうちの少なくとも1つに前記溶液と混合しない液体を加えることによって行われる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項28】
前記差圧の付加の停止が前記マイクロ流路内の電気化学的な泡の発生によって行われる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項29】
前記溶液の流れがアフィニティー吸着体アッセイにおいて前記マイクロ流路内の溶液のインキュベーション及び/又は前記マイクロ流路の洗浄を行うために利用される、前記請求項1から28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
(a) 前記請求項1から29のいずれか1項に記載の流れ監視デバイスを備え、
(b) 前記カバー付きのマイクロ流路の入口に溶液を充填し、
(c) 前記マイクロ流路の前記入口と出口の間に差圧を加え、前記マイクロ流路の中の前記溶液の流れを生じさせ、
(d)電気化学的特性が前記マイクロ流路内の前記溶液の流量に依存する、前記流れている溶液の電気化学的特性を、前記マイクロシステムの前記少なくとも1つの電極によって測定する工程からなる分析アッセイを行う方法。
【請求項31】
工程b)から d)までが多段階アッセイを行うために繰り返される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記差圧がマイクロフルイディックシステムに加速度を加えることにより発生される、請求項30又は請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記加速度が前記マイクロフルイディックシステム又は前記マイクロフルイディックシステムが支持剛体の上又は中に設置されている当該支持剛体の変位によって発生する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記変位が前記マイクロフルイディックシステム又は前記マイクロフルイディックシステムの支持剛体の回転又は垂直上昇からなり、それぞれ重力又は遠心力を発生させる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記溶液中に存在する分析対象物質を検出するために前記差圧の付加を停止することを備えた、請求項30から43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
差圧の付加を停止する前記工程が、前記マイクロ流路の前記入口及び前記出口の1つを機械的にブロックすることを備えた、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
差圧の付加を停止する前記工程が、前記入口及び前記出口のうちの少なくとも1つに前記溶液と混合しない液体を加えることを備えた、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
差圧の付加を停止する前記工程が、前記マイクロ流路内で電気化学的に泡を発生させることを備えた、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記アッセイにおいて検出された分析対象物質が、前記分析対象物質を含む前記溶液の電気化学的特性を測定することにより前記溶液の流れを監視するのに直接利用される、請求項30から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
分析対象物質が、前記少なくとも1つの電極によって電気化学的に検出される、請求項30から38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記マイクロフルイディックシステムの少なくとも一部が光透過性材料を備え、分析対象物質が光学的に検知される、請求項32から38のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−506080(P2007−506080A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526616(P2006−526616)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010733
【国際公開番号】WO2005/026665
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(503412539)ディアグノスイス ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】