説明

流体の充填装置及び流体の充填方法

【課題】 流体等の容器に簡易に当該容器を特定するための情報を付与しつつ、簡易にかつ確実に当該情報を読み取って充填作業及び保守作業、管理作業の効率を向上させる。
【解決手段】 流体の充填装置10は、バルブ1を有する容器2にガスその他の流体を充填する充填機12と、容器2を圧力ポンプに搬送する搬送機14と、容器2に取り付けられる電子タグ16と、この電子タグ16に記録された情報を読み取るリーダー18とを備えている。この電子タグ16は、当該電子タグ16が取り付けられた容器2の少なくとも容量情報を含む電子情報を記憶し、充填機12は、リーダー18に電気的に接続され、リーダー18が読み取った容量情報に応じて、当該電子タグ16が付された容器2に、容量情報に対応する所定量の流体を充填する。この電子タグ16は、容器2の上方に設置されるバルブ1に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LPG、LNG等の液体燃料、気体燃料その他の流体をバルブを有するボンベ等の容器に充填する流体の充填装置及び充填方法の改良に関し、特に充填作業及び保守作業、管理作業の効率を向上させることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LPガス等の液体燃料等の流体が充填されるボンベ等の容器には、充填作業の便宜や使用期限の管理等のために容器の容量や充填すべき流体の種類、型式、製造年月日、シリアルナンバー等の情報が付与されることが多い。この場合、最も一般的には、これらの情報をボンベ等の容器に刻印することにより各容器毎に付与し、この刻印を作業者が目視により確認して、当該情報に基づく流体の充填等の処理を行っていた。
【0003】
しかし、刻印による情報の付与は手間を要すると共に、作業者の目視による確認では刻印された情報の読み取りに人為的ミスが生じるおそれがあることから、容器にバーコードラベルを貼付して、このバーコードラベルを光学的に読み取ることにより、対応する情報に基づいて充填等の保守管理をすることも行われている(例えば、特許文献1乃至特許文献6参照)。
【0004】
このバーコードラベルは、貼付するだけで済むため、比較的大型の容器に簡易に情報を付与することができるが、一方で、バーコードリーダーをバーコードに対峙させて光学的に読み取るため、作業者がバーコードラベルが容器のどの位置に貼付されているかを確認する必要が生じる。このため、この確認作業に時間を要し、大量処理に伴う累積的な処理時間の蓄積が作業時間の長期化を招き、処理効率の低減を招いていた。
【0005】
また、作業者の目視によるバーコードラベルの位置確認ではなく、装置の一部として設置されたバーコードリーダーによりバーコードを読み取る場合にも、容器を回転等させて貼付されたバーコードラベルの位置をバーコードリーダーに合わせるための手段、あるいは、逆に、バーコードラベルが存在しうる位置に合わせて複数のバーコードリーダーを設置したり、あるいは、移動可能なバーコードリーダーとすることが必要となる。このため、充填処理システム全体が複雑で大型化する問題があった。
【0006】
更に、このバーコードラベル自体には情報を書き込みすることができないため、バーコードリーダーにより読み取った情報を記録し管理する情報処理装置側において、対応する情報として記録されている情報を書き換えすることができるのみである。即ち、従来の技術では、各容器自体に固有の情報を付与することができないため、これらの情報を、容器が転々とする充填作業所、配送作業所、更には設置場所等の各箇所において利用するためには、容器の流通とは別途に、上記各箇所で情報を共有するためのインフラ、即ち、各箇所を通信接続する必要があった。このため、インフラ整備のためのコストや手間を要すると共に、容器への充填や容器の配送等の作業現場において、例えば、配送先や担当業者等の情報を各容器固体毎に固有の情報として付与したり、あるいはその変更をすることも容易にはできない欠点もあった。
【特許文献1】特開2003−148691号公報
【特許文献2】特開2002−372196号公報
【特許文献3】特開平8−75096号公報
【特許文献4】特開平5−288300号公報
【特許文献5】特開平5−172300号公報
【特許文献6】特開平5−165409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、流体等の容器に簡易に当該容器を特定するための情報を付与しつつ、簡易にかつ確実に当該情報を読み取って充填作業及び保守作業、管理作業の効率を向上させることができる容器の充填装置及び容器の充填方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、バルブを有する容器にガス等の液体、気体その他の流体を充填する充填機と、容器を充填機に搬送する搬送機とを備えた流体の充填装置において、この充填装置は、容器に取り付けられる電子タグと、この電子タグに記録された情報を読み取るリーダーとを更に備え、この電子タグは、当該電子タグが取り付けられた容器の少なくとも容量情報を含む電子情報を記憶し、リーダーは、容器の搬送工程において充填機よりも上流に設置されていることを特徴とする流体の充填装置を提供するものである。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、充填機は、リーダーに電気的に接続され、リーダーが読み取った容量情報に応じて、当該電子タグが付された容器に容量情報に対応する所定量の流体を充填することを特徴とする流体の充填装置を提供するものである。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、電子タグは、容器の上方に設置され、リーダーは容器の上方に設置されていることを特徴とする流体の充填装置を提供するものである。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第3の解決手段において、電子タグは、容器の上方に設置されるバルブに取り付けられていることを特徴とする流体の充填装置を提供するものである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、電子タグには、更に容器の型式、製造年月日、シリアルナンバー、充填すべき流体の種類、充填圧力の適正値、出荷先、作業担当者のうちのいずれか又は複数の情報もリーダーにより読み取り可能な電子情報として記憶されていることを特徴とする流体の充填装置を提供するものである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、電子タグに記憶された情報を書き換えるライターを更に備えていることを特徴とする流体の充填装置を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記第1乃至第6の解決手段である流体の充填装置を使用した下記の流体の充填方法をもを提供するものである。即ち、本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、バルブを有する容器を搬送機により充填機まで搬送し、この充填機により容器にガス等の液体、気体その他の流体を充填する流体の充填方法において、電子タグに当該電子タグが取り付けられるべき容器の少なくとも容量情報を含む電子情報を記憶し、電子タグを容器に取り付け、この電子タグに記録された情報を、容器の搬送工程において充填機よりも上流に設置されたリーダーにより読み取ることを特徴とする流体の充填方法を提供するものである。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第7の解決手段において、充填機をリーダーに電気的に接続し、この充填機によりリーダーが読み取った容量情報に応じて、当該電子タグが付された容器に容量情報に対応する所定量の流体を充填することを特徴とする流体の充填方法を提供するものである。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第7又は第8のいずれかの解決手段において、電子タグを容器の上方に設置し、リーダーを容器の上方に設置することを特徴とする流体の充填方法を提供するものである。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第9の解決手段において、電子タグを、容器の上方に設置されるバルブに取り付ることを特徴とする流体の充填方法を提供するものである。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第7乃至第10のいずれかの解決手段において、電子タグに、容器の型式、製造年月日、シリアルナンバー、充填すべき流体の種類、充填圧力の適正値、出荷先、作業担当者のうちのいずれか又は複数の情報もリーダーにより読み取り可能な電子情報として記憶することを特徴とする流体の充填方法を提供するものである。
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、上記第7乃至第11のいずれかの解決手段において、電子タグに記憶された情報をライターにより書き換えできることを特徴とする流体の充填方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、容器に取り付けられた電子タグに記録された当該容器の少なくとも容量情報を充填機の上流側でリーダーにより電気的に読み取っているため、電子タグが発する電波を受信できる箇所であれば、特に電子タグとリーダーとの間の位置関係を調整することなく、簡易にかつ確実に必要な情報を読み取ることができ、処理時間の短縮による作業効率を向上させることができる実益がある。
【0021】
本発明によれば、上記のように、リーダーと充填機とを電気的に接続し、リーダーにより読み取った情報に応じて、当該容器に適正な容量を充填機により自動的に充填しているため、作業効率をより一層を向上させることができる実益がある。
【0022】
また、本発明によれば、上記のように、電子タグを容器の上面に取付けて、容器の上方に設置されたリーダーにより、電子タグに記憶された情報を読み取っているため、他の作業の障害とならずに情報を読み取ることができる一方、電子タグとリーダー間の電波の送受信に障害が少なく、情報を確実に読み取ることができる実益がある。
【0023】
特に、この場合、本発明によれば、上記のように、電子タグを、容器の上面に設置されたバルブに内蔵する等して取り付けているため、バーコードラベルのように貼付のみでは安定的に容器に取り付けることができない電子タグの容器への取付けを実現することができるのみならず、容器への着脱が自在なバルブに取り付けることにより、比較的大きくまた重たいため取扱いが必ずしも容易ではない容器とは切り離して、電子タグの取付作業を容易に行うことができると同時に、バルブのみを交換するだけで既存の容器にも簡易に適用することができ、手間やコストの高騰を抑制しつつ、電子タグを簡易に容器に取り付けることができる取扱いの容易性を確保することができる実益がある。
【0024】
本発明によれば、上記のように、電子タグに、更に容器の型式、製造年月日、シリアルナンバー、充填すべき流体の種類、充填圧力の適正値、出荷先、作業担当者等の情報も記憶しているため、必要に応じて有用な情報を利用して、より一層適切に容器の保守、管理を行うことができる実益がある。
【0025】
本発明によれば、上記のように、電子タグに記憶された情報をライターにより書き換えることができるため、情報を変更する必要が生じた場合に充填現場で適切に対応することができるのは勿論のこと、このように、容器に取り付けられた電子タグ自体に固有の情報が記録されていることから、この情報も流体が充填された容器と共に転々とするため、移動先の配送所や設置現場等においても、特に、充填作業現場と別途通信設備等を整備して通信接続をすることなく、移動先でもリーダーで読み取るだけで必要な情報を簡易に共有乃至は一元管理して利用することができる実益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1は本発明の流体の充填装置10を示し、この充填装置10は、図示の実施の形態では、図1に示すように、バルブ1を有するボンベ等の容器2に流体を充填する充填機12と、容器2を充填機12に搬送する搬送機14とを備えている。
【0027】
この容器2に充填すべき流体としては、ボンベ等の容器2に充填して提供されることあがる液化プロパンガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)等の液体燃料、気体燃料を挙げることができるが、特に限定されるものではなく、他に水素ガスや更にLPG等の燃料以外の窒素や酸素等の流体とすることもできる。
【0028】
充填機12は、圧力ポンプ等から成り、容器2に充填すべきガス等を、ノズルにより容器2のバルブ1を介して所定の圧力で容器2内に充填する。また、搬送機14としては、図1に示すようにローラーコンベア及び搬送車両を使用することができる。図示の実施の形態では、図1に示すように、充填装置10が設置される充填所3の内部に設置されたローラーコンベアと、容器2を積載して充填所3の入り口付近からローラーコンベアまで移動する搬送車両とにより、容器2を搬送している。これによりトラック等の輸送車両により搬送されてきた容器2を充填所3内の充填機12にまで容易に搬送することができる。
【0029】
本発明においては、充填装置10は、図2に示すように、容器2に取り付けられる電子タグ16と、この電子タグ16に記録された情報を読み取るリーダー18とを更に備えている。この電子タグ16には、当該電子タグ16が取り付けられた容器2の少なくとも容量情報(例えば、何kg等)を含む電子情報が記憶されている。この電子タグ16は、電子情報として記憶した情報を電波として外部に発信する。
【0030】
一方、リーダー18は、図示の実施の形態では、図2に示すように、情報処理器本体18Aと、この情報処理器本体18Aと電気的に接続されたアンテナ18Bとからなり、このアンテナ18Bにより電子タグ16が電波として発信した電子情報を捕捉して情報処理器本体18Aに送り、情報処理器18Aにて電子情報として読み取る。
【0031】
このリーダー18は、図1に示すように、容器2の搬送工程において充填機12よりも上流に設置されている。従って、当該電子タグ16が取り付けられた容器2に流体を充填する前に、当該容器2に関する所定の情報を認識して、当該容器2のその後の処理を決定することができる。この場合、具体的には、図示の実施の形態では、図1に示すように、リーダー18のアンテナ18Bを、充填所3の入り口に設置している。従って、容器2を充填所3へ搬送する際に、同時に、電子タグ16に記録された情報も読み取ることができる。即ち、情報の読み取りのための工程を特別に設定することなく、容器2を流体の充填のために充填所3に搬送するだけで、容器2に関する必要な情報を認識することができ、情報の読み取りのための処理時間の短縮により全体として処理に要する時間も短縮され、効率良く充填作業を行うことができる。
【0032】
但し、電子タグ16が発信する情報を受信するアンテナ18Bの設置箇所は、充填機12よりも上流であれば、必ずしも図示の充填所3の入り口に限定されるものではなく、充填所3内における搬送工程の途中、即ち、ローラーコンベア上に設置することもできる。また、図示の実施の形態では、設置やメンテナンスの容易性を考慮して、情報処理器本体18Aとアンテナ18Bとから成るリーダー18としたが、図示しないセンサを備えた情報処理器自体をリーダー18として搬送工程の途中に設置することもできる。
【0033】
また、この場合、図2に示すように、電子タグ16は、容器2の上面に設置し、リーダー18は容器18の上方に設置することが望ましい。これは、容器2の周方向(横方向)から電子タグ16に記録された情報を読み取る場合に比べ、電波の送受信のための配慮が他の作業の障害となる確率が低い一方、電子タグ16とリーダー18間の電波の送受信にも障害が少なくなり、情報を確実に読み取ることができるからである。
【0034】
この場合、具体的には、電子タグ16は、図2に示すように、容器の上面に設置されるバルブ1に取り付けられている。この場合、電子タグ16は、バルブ1の製造時において、バルブ1のハンドル内に内蔵することができる。これにより、バーコードラベルのように貼付のみで簡単には安定的に容器2に取り付けることができない電子タグ16の容器2への取付けを具体的に実現することができる。
【0035】
また、容器2への着脱が自在であるバルブ1に内蔵等により電子タグ16を取り付けることにより、比較的大きくまた重たいために取扱いが必ずしも容易ではない容器2とは切り離して、即ち、容器2への取付間のバルブ1のみを対象として電子タグ16の設置作業行うことができるため、作業を容易に行うことができると同時に、バルブ1のみを交換するだけで既存の容器2にも簡易に適用することができる。このため、手間やコストの高騰を抑制しつつ、電子タグ16を簡易に容器2に取り付けることができる取扱いの容易性を確保することができる。
【0036】
一方、リーダー18は、具体的には、図示の実施の形態においては、図1に示すように、リーダー18のアンテナ18Bを、充填所3の入り口の上方部分に設置して、このアンテナ18Bの下方を通過する容器2に取り付けられたバルブ1内の電子タグ16の情報を読み取っている。なお、この場合、電子タグ16とアンテナ18Bとの距離は、それぞれの性能にもよるが、約100cmから120cm程度に設定することが好ましい。
【0037】
また、充填機12は、このリーダー18に電気的に接続され、リーダー18が読み取った容量情報に応じて、当該電子タグが付された容器2に、容量情報に対応する所定量の流体を充填する。従って、当該容器に適正な容量を自動的に充填することができ、充填の作業効率をより一層を向上させることができる。
【0038】
この場合、リーダー18と充填機12とを直接的に接続することもできるが、図2に示すように、リーダー18を充填現場に設置された業務用サーバー20を介して、充填機12に電気的に接続して、充填処理を行うと、読み取った情報の事後管理もすることができ、望ましい。また、リーダー18が読み取った情報を、充填機12及び業務用サーバー20の双方に送信して処理することもできる。
【0039】
なお、電子タグ16に記憶させる情報は、流体の自動充填のためには、少なくとも、上記の容量情報は必須であるが、これのみに限定されるものではなく、必要に応じて、所定の情報を記憶させることができる。具体的には、容量の他、容器2の型式、製造年月日、シリアルナンバー、充填すべき流体の種類、充填圧力の適正値、出荷先、作業担当者のうちのいずれか又は複数の情報もリーダーにより読み取り可能な電子情報として記憶することができる。
【0040】
この場合、容器2の型式やシリアルナンバーを読み取ることにより、容器2の固体の特定が可能となり、例えば、容器2自体の破損等により流体の充填に支障が生じた場合等に当該容器を簡易に特定して、修理あるいは廃棄等の管理をすることができる。同様に、製造年月日を読み取ることにより、定められた所定の使用年数を超過した場合には充填対象から除外する等の処理を行うことができる。
【0041】
また、充填すべき流体の種類を読み取ることにより、誤った種類のガスを充填する等のミスを防止することができ、充填圧力の適正値(例えば、何MPa等)を読み取ることにより、より適切に流体を容器2に充填することができる。
【0042】
更に、販売店又は配送所4等の出荷先を読み取ることにより充填後の容器の振り分け作業、配送作業が容易となると共に誤配送等を防止することができ、充填や配送等の作業担当者(事業者)を読み取ることにより、状況確認等がより一層容易となるメリットがある。勿論、必要に応じて、これら以外の任意の情報を記憶させることもできる。
【0043】
加えて、本発明の充填装置10は、電子タグ16に記憶された情報を書き換えるライター22を更に備えている。具体的には、図示の実施の形態においては、図2に示すように、リーダー18として情報処理器本体18A及びアンテナ18Bが同時にライター22としての機能をも兼任している。即ち、これらの情報処理器本体18A及びアンテナ18Bは、情報を読み取るだけではなく、電子タグに情報を送信することもできるリーダー18兼ライター22である。これにより、設備を簡略化することができる。
【0044】
この場合、電子タグ16は、バーコードと異なり、このライター22により電子タグ16自体が記憶している情報を書き換えることができる点で、大きな優位性を有している。即ち、情報を変更する必要が生じた場合に充填現場で適切に対応することができる。具体的には、例えば、配送先や配送作業担当者、充填すべき流体の種類等に変更があった場合には、その場で迅速に対応して適切な処理をすることができるのは勿論のこと、バルブ1を他の容器に付け替えた場合にも、新たに取り付けられた容器2の容量情報等に書き換えて再利用することもできる。
【0045】
とりわけ、本発明においては、このように、容器2に取り付けられた電子タグ16自体に固有の情報が記録されていることから、流体が充填された容器2と共にこれらの情報も転々とするため、図1に示すように、容器2の移動先である販売店又は配送所4や設置現場5等においても、特に、充填作業現場と別途通信設備等を整備して通信接続をすることなく、リーダー18で読み取るだけで必要な情報を簡易に共有乃至は一元管理して利用することができる。このため、充填作業者、配送作業者、あるいは管理事業者等毎に情報を管理する必要がなくなるのは勿論のこと、各事業者が個別に収集した情報を同期させるための整合作業も不要となり、処理効率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、特に、LPG、LNG等の液化ガスの充填管理他、将来的に使用が予想される水素ガス、また、これらの燃料以外でもヘリウムガス、窒素、酸素等の容器に充填して提供される気体、液体その他の流体の充填作業及びその管理に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の流体の充填方法を実施する状態の概略図である。
【図2】本発明に用いられるリーダー及びライターの概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 バルブ
2 容器
3 充填所
4 販売店又は配送所
5 設置現場
10 充填装置
12 充填機
14 搬送機
16 電子タグ
18 リーダー
18A 情報処理器本体
18B アンテナ
20 業務用サーバー
22 ライター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブを有する容器にガス等の液体、気体その他の流体を充填する充填機と、前記容器を前記充填機に搬送する搬送機とを備えた流体の充填装置において、前記充填装置は、前記容器に取り付けられる電子タグと、前記電子タグに記録された情報を読み取るリーダーとを更に備え、前記電子タグは、当該電子タグが取り付けられた容器の少なくとも容量情報を含む電子情報を記憶し、前記リーダーは、前記容器の搬送工程において前記充填機よりも上流に設置されていることを特徴とする流体の充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載された流体の充填装置であって、前記充填機は、前記リーダーに電気的に接続され、前記リーダーが読み取った容量情報に応じて、当該電子タグが付された容器に前記容量情報に対応する所定量の流体を充填することを特徴とする流体の充填装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された流体の充填装置であって、前記電子タグは、前記容器の上面に設置され、前記リーダーは前記容器の上方に設置されていることを特徴とする流体の充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載された流体の充填装置であって、前記電子タグは、前記容器の上面に設置される前記バルブに取り付けられていることを特徴とする流体の充填装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された流体の充填装置であって、前記電子タグには、更に前記容器の型式、製造年月日、シリアルナンバー、充填すべき流体の種類、充填圧力の適正値、出荷先、作業担当者のうちのいずれか又は任意の複数の情報も前記リーダーにより読み取り可能な電子情報として記憶されていることを特徴とする流体の充填装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された流体の充填装置であって、前記電子タグに記憶された情報を書き換えるライターを更に備えていることを特徴とする流体の充填装置。
【請求項7】
バルブを有する容器を搬送機により充填機まで搬送し、前記充填機により前記容器にガス等の液体、気体その他の流体を充填する流体の充填方法において、電子タグに当該電子タグが取り付けられるべき前記容器の少なくとも容量情報を含む電子情報を記憶し、前記電子タグを前記容器に取り付け、前記電子タグに記録された情報を、前記容器の搬送工程において前記充填機よりも上流に設置されたリーダーにより読み取ることを特徴とする流体の充填方法。
【請求項8】
請求項7に記載された流体の充填方法であって、前記充填機を前記リーダーに電気的に接続し、前記充填機により前記リーダーが読み取った容量情報に応じて、当該電子タグが付された容器に前記容量情報に対応する所定量の流体を充填することを特徴とする流体の充填方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8のいずれかに記載された流体の充填方法であって、前記電子タグを前記容器の上面に設置し、前記リーダーを前記容器の上方に設置することを特徴とする流体の充填方法。
【請求項10】
請求項9に記載された流体の充填方法であって、前記電子タグを、前記容器の上面に設置される前記バルブに取り付ることを特徴とする流体の充填方法。
【請求項11】
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載された流体の充填方法であって、前記電子タグに、前記容器の型式、製造年月日、シリアルナンバー、充填すべき流体の種類、充填圧力の適正値、出荷先、作業担当者のうちのいずれか又は複数の情報も前記リーダーにより読み取り可能な電子情報として記憶することを特徴とする流体の充填方法。
【請求項12】
請求項7乃至請求項11のいずれかに記載された流体の充填方法であって、前記電子タグに記憶された情報をライターにより書き換えできることを特徴とする流体の充填方法。

【図1】
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【図2】
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