説明

流体アクチュエータ

【課題】従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明の流体アクチュエータ10は、電極間の電界によって荷電流体11を帯電させかつ動かすものにおいて、前記電極としての第一の電極21、第二の電極2及び第三の電極23と、内壁121,131及び外壁122,132を有し内壁121,131の内側が荷電流体11の流路となる絶縁体としての絶縁基板12,13とを備えている。第一の電極21及び第二の電極2は、荷電流体11を挟んで互いに対向するようにそれぞれ内壁121,131に設けられている。第三の電極23は、絶縁基板13を挟んで第二の電極2に対向するように外壁132に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間の電界によって荷電流体を帯電させかつ動かす流体アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
電位をもつ電極に触れる、或いは他の物体に擦れると帯電する液体は、一部学会で電界共役液体(ECF)と呼ばれている(特許文献1、特許文献2等)。本願では、この液体を荷電流体と定義する。この荷電流体を用いたポンプ或いはモータについての論文が多数発行されている。
【0003】
また、特許文献3には、荷電流体中に浸漬した電極間の電界で発生するクーロン力による駆動力を前記荷電流体に付与する流体アクチュエータが開示されている。この種の流体アクチュエータは、荷電流体が帯電した後、電界により駆動力を発生し、その荷電流体が電極に到達して放電した後に駆動力を失う。このため、荷電流体のジェット流が形成される。この駆動力は、荷電流体の特性、電極の形状と種類、電極の配置、電極間の電圧などによって異なる。このジェット流のメカニズムをEHD(Electro-Hydraulic Dynamics)と言い、その駆動力を効率よく生成し、その駆動力を利用することが重要である。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3041928号公報
【特許文献2】特開平11−215869号公報
【特許文献3】特開2007−196316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献に開示された流体アクチュエータを分析すると、プラス電位とグランド電位を印加する対をなす電極間の間隔を狭く、前記対をなす電極の組の間隔を広く設定している。
【0006】
したがって、従来の流体アクチュエータにおいては、間隔の狭い2つの電極にプラス電位とグランド電位を印加することにより、前記2つの電極間に電界を発生させ、その電界で発生するクーロン力を駆動力として、荷電液体に付与している。荷電液体は、前記クーロン力による駆動力を受けてジェット流として流れる。
【0007】
しかしながら、この種の流体アクチュエータを実用化するに際して、その駆動力の不足が大きな課題となっていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る流体アクチュエータは、電極間の電界によって荷電流体を帯電させかつ動かす流体アクチュエータにおいて、前記電極としての第一の電極、第二の電極及び第三の電極と、内壁及び外壁を有し前記内壁の内側が前記荷電流体の流路となる絶縁体とを備え、前記第一の電極及び前記第二の電極は、前記荷電流体を挟んで互いに対向するように前記内壁に設けられ、前記第三の電極は、前記絶縁体を挟んで前記第二の電極に対向するように前記外壁に設けられた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷電流体を挟んで互いに対向するように絶縁体の内壁に設けられた第一の電極及び第二の電極と、絶縁体を挟んで第二の電極に対向するように絶縁体の外壁に設けられた第三の電極とを備えたことにより、第一の電極と第二の電極との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。したがって、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
電位をもつ電極に触れる、或いは他の物体と擦れると、プラス(+)或いはマイナス(−)に帯電する特性を備えた荷電流体として、(1)2−エチルヘキシルベンジルフタレート(商品名;プライサイザーB−8),(2)9,10−エポキシブルステアレート(商品名;サンソサイザーE−4030),(3)テロラヒドフタル酸ジオクチルエステル(商品名;サンソサイザーDOTP),(4)プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PMA),(5)メチルアセチルリシレート(MAR−N),(6)2−エチルヘキシルパルミテート(商品名;エキセパールEH−P),(7)ブチルステアレート(商品名;エキセパールBS),デカン二酸ジブチルなどが存在する。
【0013】
また、荷電流体としては、そのもの自体が帯電するものに限られるものではなく、溶媒に含まれる溶質が帯電するものであってもよい。また荷電流体としては、プラス(+)又はマイナス(−)のいずれかに単極帯電するもの、双極帯電する或いはイオン化するもののいずれであってもよい。双極帯電する荷電液体としては、電位をもつ電極に触れて、プラス及びマイナスに荷電し、プラスとマイナスの大きさの差に応じて、プラス又はマイナスのいずれかに単極荷電したと同様な効果を発揮するものであればよい。また、イオン化する荷電液体としては、電位をもつ電極に触れて、イオン化してプラス及びマイナスに荷電し、プラスとマイナスの大きさの差に応じて、プラス又はマイナスのいずれかに単極荷電したと同様な効果を発揮するものであればよい。また、荷電液体としては、それ自身が帯電特性を備えたものばかりでなく、その溶媒に含まれる溶質が帯電特性を備えているものでもよい。また、荷電流体が液体の場合についてのみ説明したが、帯電する気体であってもよい。要は、荷電流体は、電位をもつ電極に触れ、或いは他の物体と擦れて、帯電する特性をもつ流体(液体及び気体を含む)であれば、いずれのものであってもよい。以下の説明では、荷電流体の一種である荷電液体を例にとって本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1[1]は、本発明に係る流体アクチュエータの第一実施形態を示す断面図である。図1[2]は、図1[1]の流体アクチュエータの動作原理の一部を示す説明図である。以下、これらの図面に基づき説明する。
【0015】
本実施形態の流体アクチュエータ10は、電極間の電界によって荷電流体11を帯電させかつ動かすものにおいて、前記電極としての第一の電極21、第二の電極2及び第三の電極23と、内壁121,131及び外壁122,132を有し内壁121,131の内側が荷電流体11の流路となる絶縁体としての絶縁基板12,13とを備えている。第一の電極21及び第二の電極2は、荷電流体11を挟んで互いに対向するようにそれぞれ内壁121,131に設けられている。第三の電極23は、絶縁基板13を挟んで第二の電極2に対向するように外壁132に設けられている。
【0016】
第一の電極21、第二の電極2及び第三の電極23には、それぞれ電圧Vg,Vp,Vxが印加される。例えば、Vg=0かつVg<Vx<Vpである。第二の電極2は、荷電流体11の流れ111方向において、第一の電極21又は第三の電極23の中心に対しての非対称となる位置に設けられる。図1[1]では、第一の電極21及び第三の電極23の中心から左側にずれるように、第二の電極2が設けられている。したがって、第二の電極2の左端A点が、第一の電極21及び第三の電極23の左端とほぼ同等の位置又はその左に突き出るように設けられている。そのため、相対的に、電極2の左端A点から電極21までが遠いので電極2の左端A点付近は弱電界になり、電極2の右端B点から電極21までが近いので電極2の右端B点付近は強電界になる、と言える。したがって、第一の電極21及び第二の電極2は、第一の電極21と第二の電極2との間の荷電流体11に、荷電流体11の流れ111方向において第一の電極21の中心に非対称となる電界強度分布を形成する。また、この非対称となる電界強度分布は、非対称となる帯電の度合いの分布又は非対称となる誘電率の分布を形成する。換言すると、電極2と電極21及び電極23との位置関係を左右アンバランスにすると、右向きの駆動力が発生する。
【0017】
荷電流体11は、正又は負の電圧で帯電するものとする。したがって、荷電流体11に対する帯電の度合いは、電極2の左端A点上の位置では低く(帯電されにくく)なり、電極2の右端B点上の位置では高く(帯電されやすく)なる。すなわち、荷電流体11に対する帯電の度合いが、電極2上の位置に応じて異なることになる。第一の電極21及び第二の電極2が荷電流体11に与える駆動力は、クーロン力の他に、第一の電極21と第二の電極2との間の荷電流体11に加えた電界の二乗に比例する力がある。その電界の二乗に比例する力については、第二実施形態で詳述する。
【0018】
絶縁基板12,13は、例えば平板状であり、少なくとも電極21,2,23が形成される面に絶縁性を有すればよい。絶縁基板12,13は互いに平行であり、絶縁基板12,13が形成する空隙に荷電流体11が満たされている。電極21,2,23は、例えば導電性を有する金属膜などからなる。
【0019】
次に、第三の電極23の作用について説明する。第三の電極23は、絶縁基板13の外壁132に配置されている。それは、電圧Vxを適当に選ぶことにより、B点からの荷電分子の噴流のベクトルを大きくかつ右向きになるようにするためである。ここで、第一の電極21と第三の電極23との間について単位面積で考える。第一の電極21と第三の電極23との間は、荷電流体11からなるキャパシタC1と絶縁基板13からなるキャパシタC2とを直列に接続した回路とみなせる。荷電流体11の誘電率をε1、第一の電極21から内壁131までの距離をd1、絶縁基板13の誘電率をε2、内壁131から第三の電極23までの距離をd2とすると、
C1=ε1/d1
C2=ε2/d2
と表される。よって、荷電流体11と絶縁基板13との境界面である内壁131の電圧Vkは、Vg=0とすると、
Vk=Vx−{C1/(C1+C2)}Vx
=Vx−{ε1d2/(ε1d2+ε2d1)}Vx
と表される。つまり、電圧Vkは電圧Vxにより自由に設定できる。
【0020】
この電圧Vkの位置に第二の電極2があるから、電圧Vkと電圧Vpとを最適な状態にすることにより、電極2の右端B点付近の荷電流体11をより多く帯電させ、その荷電分子をより多く噴流させ、かつ、その噴流を流れ111方向により多く向けることができる。これが第三の電極23の作用である。
【0021】
第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、内壁131の第二の電極2に近いごく一部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、第二の電極2の右端B点から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vk>Vgであれば、内壁131の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁131の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0022】
更に、流体アクチュエータ10は、第一の電極21、第二の電極2及び第三の電極23を複数組備え、これらを荷電流体11の流れ111に沿って一組ずつ配設してもよい。この場合、全体で発生する駆動力は、電極が一組しかない場合に比べてその複数倍になる。換言すると、三本のストライプ状の電極21,2,23を適当に接近させてこれを一組とし、多数組を適当な間隔を置いて配置することにより、EHDポンプを構成してもよい。これらストライプ状の電極21,2,23を多数配列することで、低電圧で効率よくポンプ効果を出すことができる。
【0023】
以上説明したように本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,13の内壁121,131に設けられた第一の電極21及び第二の電極2と、絶縁基板13を挟んで第二の電極2に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極2との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0024】
しかも、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極2上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極2との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。そのため、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用することができる。したがって、これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ20を提供できる。また、荷電流体11の流路は、平行平板状の絶縁基板12,13で構成しているが、例えば円筒などの筒状、又は円盤状など、どのような形状の絶縁体で構成してもよい。
【0025】
図2[1]は、本発明に係る流体アクチュエータの第二実施形態を示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図2[1]において図1[1]と同じ部分には図1[1]で用いた符号と同じものを付す。
【0026】
本実施形態の流体アクチュエータ20は、電極間の電界によって荷電流体11を帯電させかつ動かすものにおいて、前記電極としての第一の電極21、第二の電極22及び第三の電極23と、内壁121,131及び外壁122,132を有し内壁121,131の内側が荷電流体11の流路となる絶縁体としての絶縁基板12,13とを備えている。第一の電極21及び第二の電極22は、荷電流体11を挟んで互いに対向するようにそれぞれ内壁121,131に設けられている。第三の電極23は、絶縁基板13を挟んで第二の電極22に対向するように外壁132に設けられている。
【0027】
第二の電極22は、第一の電極21に対して互いに異なる電圧が印加される複数の電極221,…からなる。本実施形態における第二の電極22は、二つの電極221,222からなる。二つの電極221,222は、荷電流体11の流れ111に沿って配設され、かつ互いに異なる電圧Vp,Vqが印加される。換言すると、第一の電極21及び第二の電極22は、第一の電極21と第二の電極22との間の荷電流体11に、荷電流体11の流れ111に沿って電界強度(又は誘電率)の異なる領域(又は勾配)を形成する。
【0028】
電極21に電圧Vg、電極221に電圧Vp、電極222に電圧Vq、電極23に電圧Vxがそれぞれ印加される。例えばVg=0かつVg<Vp<Vqである。そのため、電極221上の荷電流体11は弱電界になり、電極222上の荷電流体11は強電界になる。したがって、荷電流体11に対する帯電の度合いは、電極221上の位置では低く(帯電されにくく)なり、電極222上の位置では高く(帯電されやすく)なる。すなわち、荷電流体11に対する帯電の度合いが、第二の電極22上の位置に応じて異なることになる。
【0029】
次に、流体アクチュエータ20の動作について説明する。荷電流体11に高電圧を印加すると、その荷電流体11中に発生する電界と流れの相互作用によって、前述のEHDと呼ばれるポンピング力が発生する。電界によって発生する体積力(以下、本明細書では「駆動力」という。)fは、次式で表わされる。
【0030】
f=ρeE−(1/2)E2∇ε+(1/2)∇[E2(∂ε/∂ρ)Tρ] ・・・<1>
ここで、ρeは電荷密度、Eは電界、εは誘電率、ρは荷電流体の密度を表す。f,E,∇はベクトル量、他はスカラ量である。
【0031】
式<1>の右辺において、第1項はクーロン力を示し、第2項及び第3項は分極した荷電分子に起因する力を示す。なお、第3項は、荷電流体11が圧縮された場合に発生する電気歪に起因する力を示し、一般的な荷電流体すなわち非圧縮性流体の場合には無視することができる。従来の流体アクチュエータ(特許文献3など)では、式<1>の右辺第1項で示されるクーロン力を利用していた。
【0032】
本実施形態では、荷電流体11を挟んで対向する第一の電極21と第二の電極22とを備え、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極22上の位置に応じて異ならせている。このとき、電界によって発生する駆動力fは、式<1>の右辺第2項の力が大きく作用することが明らかとなった(後述する実施例参照)。これは、荷電流体11の電界(又は帯電の度合い)が第二の電極22上の位置に応じて異なることにより、第一の電極21と第二の電極22との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるためと考えられる。一般に、荷電流体11の誘電率は、荷電流体11に加える電界を強くしていくと、あるところまではほぼ一定であるが、分極が飽和するにつれて減少し始める。また、荷電流体11は、電界に応じて誘電率が変化するものであればどのようなものでもよく、例えば電界が強くなるにつれて誘電率が増加するものでもよい。式<1>の右辺第1項のクーロン力が電界に比例するのに対して、式<1>の右辺第2項の力は電界の二乗に比例するのでより大きな駆動力が得られる。
【0033】
なお、荷電流体11に対する第二の電極22の表面の電界強度を第二の電極22の表面の位置によって異なるようにすると、換言すると第二の電極22の表面の位置によって電子の授受が行われるようにすると、帯電の度合いが第二の電極22上の位置に応じて異なることになる。
【0034】
また、本実施形態では、電極221に電圧Vpを与え、電極222に電圧Vq(>Vp)を与えることにより、二段階の電界の強さの変化で+帯電分子を電極21の方へ向けて斜め上へ加速する。A点からB点にかけて引き寄せた−帯電分子をC点でB点→D点の方向に加速し、D点からB点に向かう帯電分子をほとんど無くしている(D点からB点に向かう電界よりも、D点から電極21へ向かう電界の方が強い。)。A点の電界はE点の電界より弱いので、分子の荷電の度合いは少なく、かつ、A点及びC点で荷電流体11を逆向きに加速することを抑えている。ABCDEの各点を含む全領域では、ヘテロチャージ層(電極の極性と反対の電荷の層)ができており、電極22から電極21へ帯電分子を直接加速することを妨げる力が働いている。
【0035】
換言すると、荷電流体11の液体分子は、高電位の電極221,222に触れたら必ず帯電するのではなく、荷電流体11の種類によって決まった電界以上になった電極221,222に触れると帯電する。よって、電圧Vp,Vqの値を調整して、電極221のA,B点近傍では既に帯電している帯電分子を吸引かつ誘電作用で集積し、電界の強いE点近傍では荷電かつクーロン力で加速することにより、誘電率の大きな変化による加速力を出すことができる。
【0036】
また、第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、内壁131の電極222に近いごく一部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、電極222の右端E点から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vk>Vgであれば、内壁131の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁131の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0037】
流体アクチュエータ20の駆動力は、誘電率変化と電界の二乗との積で発生する力(式<1>右辺第2項)と、クーロン力(式<1>右辺第1項)と、の和である。クーロン力は、電界が集中し帯電が起きやすい電極222のエッジE点で最も強く働く。エッジE点で電界が強くなるように、電極222へ印加する電圧Vqを適当に選ぶ。すると、電極222の表面F点ではエッジE点よりも電界が弱くなるので荷電流体11の誘電率が大きくなり、エッジE点では電界が強くなるので荷電流体11の誘電率が小さくなる。そのため、エッジE点で発生する力は、荷電流体11の誘電率の右向き下り勾配と電界の二乗との積に比例するから、右向きに大きな値となる。更にエッジE点から上方へ離れるにつれて、荷電流体11の誘電率が右向き上り勾配を持つが、荷電流体11に加わる電界が小さくなるので、電界の二乗の積に比例する力は左向きではあるが急速に小さくなる。なお、エッジD点では、電極221に印加される電圧Vpによって電界が緩和されているので、エッジE点のような現象は起きない。
【0038】
更に、流体アクチュエータ20は、第一の電極21及び第三の電極23を一つずつ備えるとともに第二の電極22を複数備え、複数の第二の電極22が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極22の全てに対向するように一つの第一の電極21及び一つの第三の電極23がそれぞれ設けられた、としてもよい。この場合、一つの第一の電極21に対して複数の第二の電極22が対向し、かつ一つの第一の電極21及び複数の第二の電極22が荷電流体11の流れ111に沿って配設される。そのため、第一の電極21と第二の電極22全体との間で発生する駆動力は、第二の電極22が一つしかない場合に比べてその複数倍になる。換言すると、二本のストライプ状の電極221,222を適当に接近させてこれを一組とし、多数組を適当な間隔を置いて配置することにより、EHDポンプを構成してもよい。この二組のストライプ状の電極221,222を多数配列することで、低電圧で効率よくポンプ効果を出すことができる。また、第三の電極23は、第二の電極22と同様に複数としてもよい。
【0039】
その他の構成、作用及び効果は第一実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,13の内壁121,131に設けられた第一の電極21及び第二の電極22と、絶縁基板13を挟んで第二の電極22に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極22との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0040】
しかも、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極22上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極22との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。そのため、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用することができる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ20を提供できる。
【0041】
図2[2]は、本発明に係る流体アクチュエータの第三実施形態を示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図2[2]において図2[1]と同じ部分には図2[1]と同じ符号を付す。
【0042】
本実施形態の流体アクチュエータ30における第二の電極32は、絶縁膜34で覆われた領域321と、第二の電極32が露出した領域322とを有する。絶縁膜34を電荷が通り抜けることは困難であるため、荷電流体11に対する帯電の度合いは、絶縁膜34で覆われた領域321では低く、露出した領域322では高い。すなわち、荷電流体11に対する帯電の度合いが、第二の電極32上の位置に応じて異なることになる。
【0043】
また、電極32の絶縁膜34で覆われた領域321と電極21との間は、絶縁膜34からなるキャパシタと荷電流体11からなるキャパシタとの直列接続となっている。そのため、領域321上の荷電流体11は、電圧Vpが分圧された値の電圧が印加される。一方、露出した領域322上の荷電流体11は、電圧Vpがそのまま印加される。したがって、荷電流体11に対する電界強度が、第二の電極32上の位置に応じて異なることになる。
【0044】
また、領域322のD点及びE点では帯電分子の反発噴流が起こるため、荷電流体11は電極21方向の真上だけでなく右向きにも流れる。最終的に帯電分子は、電極21に吸引され、その電荷が中和される。領域321のA点及びB点では、荷電流体11が帯電しないから、噴流は起こらない。むしろA点、B点及びC点では、荷電流体11の分子を誘電力及びクーロン力で吸引しかつD点へ供給することにより、荷電流体11の逆流を阻止する。ABCDEの各点を含む全領域では、ヘテロチャージ層(電極の極性と反対の電荷の層)ができており、電極32から電極21へ帯電分子を直接加速することを妨げる力が働いている。しかし、E点では、エッジのため電界が強く、帯電分子が斜め上方に加速される。
【0045】
第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、内壁131の電極322に近いごく一部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、電極322の右端E点から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vk>Vgであれば、内壁131の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁131の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0046】
更に、流体アクチュエータ30は、第一の電極21及び第三の電極23を一つずつ備えるとともに第二の電極32を複数備え、複数の第二の電極32が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極32の全てに対向するように一つの第一の電極21及び一つの第三の電極23がそれぞれ設けられた、としてもよい。このとき、電極32は適当な間隔を置いて多数並列に配置し、流路幅をなるべく小さく取り、低電圧でより多くの流量を得るように流路幅及び印加電圧を設定する。また、第三の電極23は、第二の電極32と同様に複数としてもよい。
【0047】
その他の構成、作用及び効果は第一及び第二実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,13の内壁121,131に設けられた第一の電極21及び第二の電極32と、絶縁基板13を挟んで第二の電極32に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極32との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0048】
しかも、荷電流体11に対する電界強度(又は帯電の度合い)を第二の電極32上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極32との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ20を提供できる。また、本実施形態の流体アクチュエータ30は、第二実施形態の流体アクチュエータに比べて、第二の電極32を構成する電極が一つでよく、そのため第二の電極32に印加する電圧も一つでよいので、構成を簡素化できる。
【0049】
図3[1]は、本発明に係る流体アクチュエータの第四実施形態を示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図3[1]において図2[1]と同じ部分には図2[1]と同じ符号を付す。
【0050】
本実施形態の流体アクチュエータ40における第二の電極42は、二つの電極221,222の間に、電圧が印加されない一つ以上の電極223を有する。電極221,223の全部及び電極222の一部は絶縁膜44に覆われ、電極222の残部は露出している。図3[1]では、九個の電極223が示されている。
【0051】
各電極223は、電圧が印加されないため、電極221の電圧Vpと電極222の電圧Vqとの間の電位をとり得る。すなわち、各電極223の電圧をVrとすると、Vp<Vr<Vqが成り立つ。そして、各電極223の電圧Vrは、電極221に近いほどVpに近く、電極222に近いほどVqに近い。ただし、一つの電極223の全体は同電位であるので、二つの電極221,222の間の電位勾配は概ね階段状になる。このように、二つの電極221,222の間に電極223が有る場合は、特有の電位勾配が得られる。
【0052】
換言すると、本実施形態は、電極221と電極222との間に、スダレ状かつ細いストライプ上の電極223を配置するものである。この形状は、リソグラフィ等の技術で作製可能であるから、例えば1μm幅の細線を10〜20本、1μm隔ててすだれ状に入れる。0<Vp<Vqとすると、このすだれ状かつストライプ状の電極223は、電極221と電極222との間に、キャパシタを直列に並べて接続したものと等価になる。その結果、電極221と電極222との間に、小さな階段状に電位分布を作る。図示するように、電極222以外の電極221と電極223とを絶縁膜44で覆ってしまっても良い。絶縁膜44は絶縁体といえども完全非導電性ではない場合もあるから、階段状の電位分布がなめらかになる。
【0053】
第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、内壁131の電極222に近いごく一部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、電極222の右端から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vk>Vgであれば、内壁131の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁131の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0054】
また、流体アクチュエータ40は、第一の電極21及び第三の電極23を一つずつ備えるとともに第二の電極42を複数備え、複数の第二の電極42が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極42の全てに対向するように一つの第一の電極21及び一つの第三の電極23がそれぞれ設けられた、としてもよい。また、第三の電極23は、第二の電極42と同様に複数としてもよい。
【0055】
その他の構成、作用及び効果は第二実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,13の内壁121,131に設けられた第一の電極21及び第二の電極42と、絶縁基板13を挟んで第二の電極42に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極42との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0056】
しかも、荷電流体11を挟んで対向する第一の電極21と第二の電極42とを備え、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極42上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極42との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。したがって、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用することができる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ40を提供できる。
ある。
【0057】
図3[2]は、本発明に係る流体アクチュエータの第五実施形態を示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図3[2]において図2[1]と同じ部分には図2[1]と同じ符号を付す。
【0058】
本実施形態の流体アクチュエータ50における第二の電極52は、二つの電極221,222を繋ぐように設けられた抵抗膜55を有する。電極221及び抵抗膜55は全体が絶縁膜54に覆われ、電極222は一部が絶縁膜54に覆われている。
【0059】
抵抗膜55は、二つの電極221,222に接するため、電極221の電圧Vpと電極222の電圧Vqとの間の電圧をとり得る。すなわち、抵抗膜55の電圧をVrとすると、Vp<Vr<Vqが成り立つ。そして、抵抗膜55の各部分の電圧Vrは、電極221に近いほどVpに近く、電極222に近いほどVqに近い。そのため、二つの電極221,222の間の電圧Vrの勾配は概ね直線状になる。このように、二つの電極221,222の間に抵抗膜55が有る場合は、特有の電位分布が得られる。
【0060】
換言すると、本実施形態では、電極221と電極222との間を高抵抗率の抵抗膜55にすることにより、電極221,222間の電位に勾配を付ける。連続的な電位勾配を得ることで、第四実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、内壁131の電極222に近いごく一部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、電極222の右端から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vk>Vgであれば、内壁131の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁131の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0062】
また、流体アクチュエータ50は、第一の電極21及び第三の電極23を一つずつ備えるとともに第二の電極52を複数備え、複数の第二の電極52が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極52の全てに対向するように一つの第一の電極21及び一つの第三の電極23がそれぞれ設けられた、としてもよい。また、第三の電極23は、第二の電極52と同様に複数としてもよい。
【0063】
その他の構成、作用及び効果は第二実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,13の内壁121,131に設けられた第一の電極21及び第二の電極52と、絶縁基板13を挟んで第二の電極52に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極52との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0064】
しかも、荷電流体11を挟んで対向する第一の電極21と第二の電極52とを備え、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極52上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極52との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。そのため、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用することができる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ50を提供できる。
【0065】
図4[1]は、本発明に係る流体アクチュエータの第六実施形態を示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図4[1]において図2[1]と同じ部分には図2[1]と同じ符号を付す。
【0066】
本実施形態の流体アクチュエータ60は、一つの第一の電極21と複数の第二の電極621,…と一つの第三の電極23とを備え、複数の第二の電極621,…が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極621,…の全てに対向するように一つの第一の電極21及び一つの第三の電極23がそれぞれ設けられている。図4[1]では、六個の第二の電極621〜626が示されている。
【0067】
第二の電極621,…は、第一の電極21に対して非平行になっているため、第一の電極21に遠い領域62aと、第一の電極21に近い領域62bとを有する。そのため、第一の電極21に遠い領域62a上の荷電流体11は弱電界となり、第一の電極21に近い領域62b上の荷電流体11は強電界となる。したがって、荷電流体11に対する帯電の度合いは、第一の電極21に遠い領域62aでは低くなり、第一の電極21に近い領域62bでは高くなる。すなわち、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)が、第二の電極621,…上の位置に応じて異なることになる。また、第二の電極621,…は板状であるので、その裏面62cで発生する駆動力も利用することができる。
【0068】
また、ストライプ状の電極621,…を図示するように傾斜させると電界の傾きができ、電圧によっては電極621,…の右端のみで帯電が起きるように設定できる。つまり、電極621,…の右端で帯電分子の噴出が起こることにより、荷電流体11は右向きに流れる。換言すると、電極621,…の両面に接している荷電分子は、ヘテロチャージ層を形成すると同時に電極621,…に接して帯電し、電極621,…のエッジからGND電極に向かって噴流する。
【0069】
第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、+の荷電分子は、第二の電極621,…の右端から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、Vp>Vk>Vgであれば、内壁131の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁131の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0070】
その他の構成、作用及び効果は第一乃至第五実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,13の内壁121,131に設けられた第一の電極21及び第二の電極621,…と、絶縁基板13を挟んで第二の電極621,…に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極621,…との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0071】
しかも、荷電流体11を挟んで対向する第一の電極21と第二の電極621,…とを備え、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極621,…上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極621,…との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。そのため、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用することができる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ60を提供できる。
【0072】
更に、図4[1]に示す絶縁基板13及び第二の電極621,…を、図4[2]に示す絶縁基板13’及び第二の電極621’,…のように形成してもよい。絶縁基板13’は断面が鋸歯状であり、その鋸歯状の同じ向きの面に第二の電極621’,…が成膜されている。このような構造は、フォトリソグラフィ、スパッタリング(又は蒸着)、エッチング等の微細加工技術を用いて、容易に得られる。
【0073】
換言すると、図4[2]に示す例では、図4[1]に示す傾斜型の電極621,…と同じ効果を得るため、すなわち対向する電極間に電界の勾配を付けるため、絶縁基板13’に凹凸を付けて、その上の電極621’,…を作製する。例えば、絶縁基板13を言わば洗濯板状に加工し、その面にスパッタ技術などで金属の電極621’,…を形成しても良い。これにより、電極621’,…の頂点から、荷電流体11の噴流を起こすことができる。当然、対向する平板状の電極21は配置する。
【0074】
図5[1]は、本発明に係る流体アクチュエータの第七実施形態を示す平面図である。図5[2]は、図5[1]におけるI−I線縦断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図5において図2と同じ部分は図2と同じ符号を付す。
【0075】
図5[1]では、絶縁基板12及び第一の電極21を除去した状態を示している。本実施形態の流体アクチュエータ70は、一つの第一の電極21と一つの第三の電極23と複数の第二の電極72とを備え、複数の第二の電極72が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極72の全てに対向するように一つの第一の電極21及び一つの第三の電極23がそれぞれ設けられている。図示しないが、第一の電極21、第二の電極72及び第三の電極23には電圧が印加され、第一の電極21が電圧Vg、第二の電極72が電圧Vp(>Vg)、第三の電極23が電圧Vxになっている。
【0076】
第二の電極72は、第一の電極21に対して非平行であり、第一の電極21に遠い領域721が絶縁膜74で覆われ、第一の電極21に近い領域722が露出している。第二の電極72の露出した領域722は、平面形状が三角形になっており、第一の電極21に近いほど面積が減少する。絶縁基板73は断面が鋸歯状であり、その鋸歯状の同じ向きの面に第二の電極72が成膜されている。
【0077】
次に、流体アクチュエータ70の動作を説明する。第二の電極72の絶縁膜74で覆われた領域721は第一の電極21に遠く、第二の電極72の露出した領域722は第一の電極21に近い。このとき、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)は、領域721では弱くなり、領域722では強くなる。これに加え、領域722では、第一の電極21に近いほど形状が先鋭化するので、第一の電極21に近いほど強電界となる。すなわち、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)が、第二の電極72上の位置に応じて異なることになる。
【0078】
換言すると、本実施形態は、単純なストライプ状の電極72を加工して、部分的に強電界を作り、荷電流体11に対する帯電及び噴流をし易くしたものである。図示するように、+となる電極72の一部を絶縁膜74で覆い、絶縁膜74に覆われた領域721で−帯電分子を吸引し、その−帯電分子を露出した領域722で+に帯電させかつ噴流させる。
【0079】
第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、+の荷電分子は、第二の電極72の右端から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vk>Vgであれば、内壁731の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁731の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0080】
その他の構成、作用及び効果は第一乃至第六実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,73の内壁121,731に設けられた第一の電極21及び第二の電極72と、絶縁基板73を挟んで第二の電極72に対向するように外壁732に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極72との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0081】
しかも、荷電流体11を挟んで対向する第一の電極21と第二の電極72とを備え、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極72上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極72との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。そのため、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用することができる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ70を提供できる。
【0082】
図6[1]は、本発明に係る流体アクチュエータの第八実施形態を示す平面図である。図6[2]は、図6[1]におけるII−II線縦断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図6において図2又は図5と同じ部分は図2又は図5と同じ符号を付す。
【0083】
図6[1]は、絶縁基板12及び第一の電極21を除去した状態を示している。本実施形態の流体アクチュエータ80は、一つの第一の電極21と一つの第三の電極23と複数の第二の電極82とを備え、複数の第二の電極82が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極82の全てに対向するように一つの第一の電極21及び一つの第三の電極23が設けられている。図示しないが、第一の電極21、第二の電極82及び第三の電極23には電圧が印加され、第一の電極21が電圧Vg、第二の電極82が電圧Vp(>Vg)、第三の電極23が電圧Vxになっている。
【0084】
第二の電極82は、第一の電極21に対して非平行であり、第一の電極21に遠い領域821が絶縁膜84で覆われ、第一の電極21に近い領域822が露出している。第二の電極82の露出した領域822は、基端の平面形状が三角形かつ先端の平面形状が長方形になっており、第一の電極21に近いほど概ね面積が減少する。絶縁基板83は断面が鋸歯状であり、その鋸歯状の同じ向きの面に第二の電極82が成膜されている。
【0085】
次に、流体アクチュエータ80の動作を説明する。第二の電極82の絶縁膜84で覆われた領域821は第一の電極21に遠く、第二の電極82の露出した領域822は第一の電極21に近い。このとき、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)は、領域821では弱くなり、領域822では強くなる。これに加え、領域822では、第一の電極21に近いほど形状が先鋭化するので、第一の電極21に近いほど更に強電界となる。すなわち、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)が、第二の電極72上の位置に応じて異なることになる。また、領域822は、先端の平面形状が長方形になっているので、過度の電界集中が抑えられる。
【0086】
換言すると、本実施形態では、+となる電極82の先端形状を、三角形の頂点のようにしないで、方形に作ってある。この先端部分は、荷電流体11を強電界によって帯電かつ噴流させる部分であるが、放電しやすく損傷しやすい部分でもある。そのため、その先端部分を広くして、耐久性が増すようにしている。また、電極82は、荷電流体11を帯電及び噴流させる領域を露出させ、他の領域を絶縁膜84で覆いかつ−帯電分子を吸引しやすくするように絶縁基板73の凸部にまで張り出させている。そのため、各電極82においては、帯電及び噴出させる部分が互い違いの位置になり、+帯電分子が噴出する位置と−帯電分子が吸引される位置とがぶつからないようにしている。
【0087】
また、第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、+の荷電分子は、第二電極82の右端から、斜め右上方向に第一の電極21へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vk>Vgであれば、内壁731の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁731の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0088】
その他の構成、作用及び効果は第一乃至第七実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,73の内壁121,731に設けられた第一の電極21及び第二の電極82と、絶縁基板73を挟んで第二の電極82に対向するように外壁732に設けられた第三の電極23とを備えたことにより、第一の電極21と第二の電極82との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0089】
しかも、荷電流体11を挟んで対向する第一の電極21と第二の電極82とを備え、荷電流体11に対する電界(又は帯電の度合い)を第二の電極82上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極21と第二の電極82との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。そのため、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用することができる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ80を提供できる。
【0090】
図7は、本発明に係る流体アクチュエータの第九実施形態を示す断面図である。以下、この図面に基づき説明する。なお、図7において図2と同じ部分には図2と同じ符号を付す。
【0091】
本実施形態の流体アクチュエータ90は、複数の第一の電極91と、複数の第二の電極92と、絶縁基板13を挟んで第二の電極92に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23と、絶縁基板12を挟んで第一の電極91に対向するように外壁122に設けられた第四の電極24とを備えている。複数の第一の電極91が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設され、複数の第二の電極92が荷電流体11の流れ111に沿って一つずつ配設されている。複数の第二の電極82の一つ一つの間に位置するように、複数の第一の電極21の一つ一つが設けられている。第一の電極91、第二の電極92、第三の電極23及び第四の電極24には電圧が印加され、第一の電極91が電圧Vg、第二の電極92が電圧Vp(>Vg)、第三の電極23が電圧Vka、第四の電極24が電圧Vkbになっている。
【0092】
第一の電極91は、絶縁膜913で覆われた領域911と、第一の電極91が露出した領域912とを有する。絶縁膜913を電荷が通り抜けることは困難であるため、荷電流体11に対する帯電の度合いは、絶縁膜913で覆われた領域911では低く、露出した領域912では高い。すなわち、荷電流体11に対する帯電の度合いが、第一の電極91上の位置に応じて異なることになる。
【0093】
同様に、第二の電極92は、絶縁膜923で覆われた領域921と、第二の電極92が露出した領域922とを有する。絶縁膜923を電荷が通り抜けることは困難であるため、荷電流体11に対する帯電の度合いは、絶縁膜923で覆われた領域921では低く、露出した領域922では高い。すなわち、荷電流体11に対する帯電の度合いが、第二の電極92上の位置に応じて異なることになる。
【0094】
また、電極91の絶縁膜913で覆われた領域911と電極92との間は、絶縁膜913からなるキャパシタと荷電流体11からなるキャパシタとの直列接続となっている。そのため、領域911上の荷電流体11は、電圧Vgが分圧された値の電圧が印加される。一方、露出した領域912上の荷電流体11は、電圧Vgがそのまま印加される。したがって、荷電流体11に対する電界強度が、第一の電極91上の位置に応じて異なることになる。
【0095】
同様に、電極92の絶縁膜923で覆われた領域921と電極91との間は、絶縁膜923からなるキャパシタと荷電流体11からなるキャパシタとの直列接続となっている。そのため、領域921上の荷電流体11は、電圧Vpが分圧された値の電圧が印加される。一方、露出した領域922上の荷電流体11は、電圧Vpがそのまま印加される。したがって、荷電流体11に対する電界強度が、第二の電極92上の位置に応じて異なることになる。
【0096】
本実施形態では、複数の第一の電極91に対して複数の第二の電極92が互い違いに(千鳥状に)対向し、かつ複数の第一の電極91及び複数の第二の電極92が荷電流体の流れに沿って配設されている。そのため、複数の第一の電極91と複数の第二の電極92との間で発生する全体の駆動力が、第一の電極91及び第二の電極92が一組しかない場合に比べてその複数倍になる。
【0097】
換言すると、本実施形態は、一部が絶縁膜913で覆われたストライプ状の電極91,と、一部が絶縁膜923で覆われたストライプ状の電極92とを、流路の相対位置に交互に配置したものである。電極92と電極91とは、ピッチが同じで、半周期ずつずれている。したがって、電極92の先端から見ると電極91は真上にあり、電極91,92間に強電界が作られ+に帯電した荷電流体11が噴出・加速される。特に電極91が絶縁膜913で覆われた領域911では、荷電流体11が触れても放電することはない。そのため、+に帯電した荷電流体11は、その間加速され、露出する領域912で放電し、逆極性の−に帯電する。同様に、電極91の先端から見た電極92は真上にあり、強電界が作られ−に帯電した荷電流体11が噴出・加速される。この構造では荷電流体11は、+→−→+→−と次々に逆極性に帯電し、その都度加速される。
【0098】
また、第三の電極23が無い場合、例えばVp>Vgであれば、+の荷電分子は、第二の電極92の右端から、斜め右上方向に第一の電極91へ向かう。これに対し、第三の電極23が有る場合、例えばVp>Vka>Vgであれば、内壁131の第三の電極23に対向する領域全部が−に分極する。そのため、+の荷電分子は、−に分極した内壁131の静電力によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0099】
同様に、第四の電極24が無い場合、例えばVp>Vgであれば、−の荷電分子は、第一の電極91の右端から、斜め右下方向に第二の電極92へ向かう。これに対し、第四の電極24が有る場合、例えばVg>Vkbであれば、内壁121の第四の電極24に対向する領域全部が+に分極する。そのため、−の荷電分子は、+に分極した内壁121の静電力(誘電力ともいう。)によって、より多く発生し、かつ流れ111により近い方向に向かう。
【0100】
その他の構成、作用及び効果は第一乃至第八実施形態と同様である。本実施形態によれば、荷電流体11を挟んで互いに対向するように絶縁基板12,13の内壁121,131に設けられた第一の電極91及び第二の電極92と、絶縁基板13を挟んで第二の電極92に対向するように外壁132に設けられた第三の電極23と、絶縁基板12を挟んで第一の電極91に対向するように外壁122に設けられた第四の電極24とを備えたことにより、第一の電極91と第二の電極92との間で発生する荷電分子の噴流を、第三の電極23及び第四の電極24によって増加させたり所望の方向へ導いたりすることができる。
【0101】
しかも、荷電流体11を挟んで対向する第一の電極91と第二の電極92とを備え、荷電流体11に対する電界強度(又は帯電の度合い)を第一の電極91上の位置及び第二の電極92上の位置に応じて異ならせたことにより、第一の電極91と第二の電極92との間の荷電流体11に誘電率の不均一性が生じるので、電界の二乗に比例する大きな駆動力が得られる。そのため、クーロン力に加えて又はクーロン力に代えて、クーロン力以外の力を利用するができる。これらの効果が相俟って、従来に無い大きな駆動力を実現する流体アクチュエータ90を提供できる。
【0102】
図8は本発明に係る流体アクチュエータの一実施例を示し、図8[1]は斜視図、図8[2]は部分平面図である。図9は、図8の流体アクチュエータの測定結果を示すグラフである。本実施例は、図2[1]に示す第二実施形態の一部を更に具体化したものである。図8では、絶縁基板13及び第二の電極22のみを示す。以下、図2[1]、図8及び図9に基づき説明する。
【0103】
本実施例では、絶縁基板12,13として合成石英を用いた。その合成石英上にAu/Crをそれぞれ300nm/80nmの厚みで蒸着し、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、平面形状の第一の電極21及びくし型形状の第二の電極22を作製した。荷電流体11には、住友3M社製の「HFE−7100」を用いた。ただし、図2[1]に示す第三の電極23は形成していない。
【0104】
図8[2]に示す、第二の電極22の数Nすなわち電極221,222は19組、電極221と電極222との間隔Dは60μm、隣り合う第二の電極22の間隔Dpは480μm、電極221,222の幅Wは120μmとした。また、図2[1]に示す、第二の電極22から第一の電極21までの高さHは19μmとした。
【0105】
このとき、第一の電極21の電圧Vg=0〜−700[V]、電極221の電圧Vp=0[V]、電極222の電圧Vq=360〜600[V]の条件で、駆動力fを測定した結果を図9に示す。図9において横軸は電界Eであり縦軸は駆動力fである。電界Eとは、第一の電極21と第二の電極22との間に発生する電界であり、E=(Vq−Vg)/2で与えられる。駆動力fとは、荷電流体11の圧力(静圧)であり、電界Eの垂直方向に発生する。駆動力fの方向は、荷電流体11の流れ111の方向である。
【0106】
図9から明らかなように、駆動力fが電界Eの二乗に比例する関係が得られた。このことから、次のことが導き出される。荷電流体の流れる方向に対して垂直方向に電界が発生するように電圧を印加すると、電圧が高くなるとともに静圧が増加する。その垂直方向の電界で静圧を整理すると、静圧は一つの曲線で整理でき、電界によって分極した流体分子の誘電率の違いによって力が発生している。
【0107】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る流体アクチュエータは、例えばポンプ、モータ等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1[1]は本発明に係る流体アクチュエータの第一実施形態を示す断面図、図1[2]は図1[1]の流体アクチュエータの動作原理の一部を示す説明図である。
【図2】図2[1]は本発明に係る流体アクチュエータの第二実施形態を示す断面図、図2[2]は本発明に係る流体アクチュエータの第三実施形態を示す断面図である。
【図3】図3[1]は本発明に係る流体アクチュエータの第四実施形態を示す断面図、図3[2]は本発明に係る流体アクチュエータの第五実施形態を示す断面図である。
【図4】図4[1]は本発明に係る流体アクチュエータの第六実施形態を示す断面図、図4[2]は本発明に係る流体アクチュエータの第六実施形態の他例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る流体アクチュエータの第七実施形態を示し、図5[1]は平面図、図5[2]は図5[1]におけるI−I線縦断面図である。
【図6】本発明に係る流体アクチュエータの第八実施形態を示し、図6[1]は平面図、図6[2]は図6[1]におけるII−II線縦断面図である。
【図7】本発明に係る流体アクチュエータの第九実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る流体アクチュエータの一実施例を示し、図8[1]は斜視図、図8[2]は部分平面図である。
【図9】図8の流体アクチュエータの測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0110】
2 第二の電極
10 流体アクチュエータ
11 荷電流体
111 荷電流体の流れ
12 絶縁基板(絶縁体)
121 絶縁基板の内壁
122 絶縁基板の外壁
13,13’ 絶縁基板(絶縁体)
131 絶縁基板の内壁
132 絶縁基板の外壁
20 流体アクチュエータ
21 第一の電極
22 第二の電極
221,222 二つの電極
223 一つ以上の電極
23 第三の電極
24 第四の電極
30 流体アクチュエータ
32 第二の電極
321 絶縁膜で覆われた領域
322 露出した領域
34 絶縁膜
40 流体アクチュエータ
42 第二の電極
44 絶縁膜
50 流体アクチュエータ
52 第二の電極
54 絶縁膜
55 抵抗膜
60 流体アクチュエータ
621〜626,621’〜624’ 第二の電極
70 流体アクチュエータ
72 第二の電極
721 絶縁膜で覆われた領域
722 露出した領域
74 絶縁膜
73 絶縁基板(絶縁体)
731 絶縁基板の内壁
732 絶縁基板の外壁
80 流体アクチュエータ
82 第二の電極
821 絶縁膜で覆われた領域
822 露出した領域
84 絶縁膜
90 流体アクチュエータ
91 第一の電極
911 絶縁膜で覆われた領域
912 露出した領域
913 絶縁膜
92 第二の電極
921 絶縁膜で覆われた領域
922 露出した領域
923 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極間の電界によって荷電流体を帯電させかつ動かす流体アクチュエータにおいて、
前記電極としての第一の電極、第二の電極及び第三の電極と、内壁及び外壁を有し前記内壁の内側が前記荷電流体の流路となる絶縁体とを備え、
前記第一の電極及び前記第二の電極は、前記荷電流体を挟んで互いに対向するように前記内壁に設けられ、
前記第三の電極は、前記絶縁体を挟んで前記第二の電極に対向するように前記外壁に設けられた、
ことを特徴とする流体アクチュエータ。
【請求項2】
前記第一の電極及び前記第三の電極をそれぞれ一つずつ備えるとともに前記第二の電極を複数備え、複数の前記第二の電極が前記荷電流体の流れに沿って一対ずつ配設され、複数の前記第二の電極の全てに対向するように一つの前記第一の電極及び一つの前記第三の電極がそれぞれ設けられた、
ことを特徴とする請求項1記載の流体アクチュエータ。
【請求項3】
前記絶縁体は平板状の第一の絶縁基板及び平板状の第二の絶縁基板であり、前記第一の絶縁基板の前記内壁に前記第一の電極が設けられ、前記第二の絶縁基板の前記内壁に前記第二の電極が設けられ、前記第二の絶縁基板の前記外壁に前記第三の電極が設けられた、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の流体アクチュエータ。
【請求項4】
前記第二の電極は、前記第一の電極に対して互いに異なる電圧が印加される複数の電極からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の流体アクチュエータ。
【請求項5】
前記複数が二である、
ことを特徴とする請求項4記載の流体アクチュエータ。
【請求項6】
前記第二の電極は、前記二つの電極の間に、電圧が印加されない一つ以上の電極を有する、
ことを特徴とする請求項5記載の流体アクチュエータ。
【請求項7】
前記第二の電極は、前記二つの電極を繋ぐように設けられた抵抗膜を有する、
ことを特徴とする請求項5記載の流体アクチュエータ。
【請求項8】
前記第二の電極は、絶縁膜で覆われた領域と露出した領域とを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の流体アクチュエータ。
【請求項9】
前記第二の電極は前記第一の電極に対して非平行であり、
前記第二の電極のうち、前記第一の電極に遠い方が前記絶縁膜で覆われた領域であり、前記第一の電極に近い方が前記露出した領域である、
ことを特徴とする請求項8記載の流体アクチュエータ。
【請求項10】
前記露出した領域は、前記第一の電極に近いほど面積が減少する、
ことを特徴とする請求項9記載の流体アクチュエータ。
【請求項11】
前記第二の電極は、前記第一の電極に対して非平行になっている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の流体アクチュエータ。
【請求項12】
複数の前記第一の電極と、複数の前記第二の電極と、前記絶縁体を挟んで前記第一の電極に対向するように前記外壁に設けられた第四の電極とを備え、
前記第二の電極が前記荷電流体の流れに沿って一つずつ配設され、前記第二の電極の一つ一つの間に位置するように前記第一の電極が前記荷電流体の流れに沿って一つずつ配設され、
前記第一の電極及び前記第二の電極は、それぞれ絶縁膜で覆われた領域と露出した領域とを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の流体アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−96157(P2010−96157A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270103(P2008−270103)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年春季フルードパワーシステム講演会 社団法人 日本フルードパワーシステム学会 および 社団法人 日本機械学会 共催 (平成20年5月29日開催)
【出願人】(593108990)
【出願人】(503104221)
【Fターム(参考)】