説明

流体不透過性セグメントを有する中空繊維メンブランマットおよび関連方法

少なくとも1つの実施形態において、本発明は好ましくは、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットであって、前記中空繊維メンブランが、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、前記メンブランが前記線状接続エレメントによって互いに離されて保たれ、前記中空繊維メンブランが熱可塑性ポリマーから構成され、互いに隣接して配置される前記中空繊維メンブランの壁が、前記線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプにおいて流体を通さず(ただし、そのようなストライプの内側の前記中空繊維メンブランは流体密である)、好ましくは最大5%の過熱蒸気収縮を有する中空繊維メンブランマットに関する。本発明の他の実施形態は好ましくは、そのような中空繊維メンブランマットを製造および/または使用するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国特許出願第61/247,205号(2009年9月30日出願)の優先権および利益を主張する。
【0002】
本発明は、メンブランコンタクターもしくはメンブランモジュール、中空繊維メンブランコンタクター、不透過性の選択された区域を有するメンブランコンタクター、不透過性の選択された区域を有する中空繊維メンブランマット、および/または、不透過性の選択された区域を有する中空繊維メンブランに関する。少なくとも1つの実施形態によれば、中空繊維メンブランマットは、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブラン(ただし、中空繊維メンブランは、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の接続用スレッドによって互いにつながれ、メンブランは接続用スレッドによって互いに離されて保たれ、かつ、中空繊維メンブランは熱可塑性ポリマーから構成される)を有する。本発明はさらに、そのようなコンタクター、モジュールまたはマットを製造および/または使用するための方法に関する。
【0003】
中空繊維メンブランまたは毛細管メンブランに基づくメンブランモジュールが、個々の成分を液体からろ過または分離するために、あるいは、そのような成分を液体に加えるために非常に多様な目的で使用される。中空繊維メンブランは概して、それぞれの成分が液体内に浸透する、または、液体から浸透する多孔性構造を有する半透過性壁を有する。多くの場合において、中空繊維メンブランは、マットに、例えば、より良好な加工性のための、同様にまた、改善された流体力学を有するメンブランモジュールの製造のための織物マットまたは編物マットなどに一体化される。このタイプのマットおよびそのようなマットから製造される多層の巻かれた本体部が、例えば、米国特許第4940617号に記載される(参考として本明細書で援用される)。
【0004】
一方、中空繊維メンブランモジュールは、ガスを液体に加える分野において、液体の脱気において、または、ガス分離において幅広い用途が見出されている。中空繊維メンブランのモジュール、コンタクター、布地またはカートリッジが、例えば、米国特許第4220535号、米国特許第5186832号、米国特許第5264171号、米国特許第5284584号および米国特許第5352361号の各文書に記載される(参考として本明細書で援用される)。
【0005】
製薬産業および化学産業における様々なプロセスでは、多段階抽出プロセスの実施が必要であり、この場合、その期間中に、例えば、水相における溶解成分が最初、有機相によって抽出され、その後、第2の水相によって有機相から分離される。このタイプの多段階プロセスは、2つの群の中空繊維メンブランを含有するメンブランモジュールでの一段階プロセスに統合することができ、この場合、供給流が一方の群の中空繊維メンブランを通って流れ、分離された成分を最終的に含有する流れ(ストリップ流)が第2の群の中空繊維メンブランを通って流れる。これらの中空繊維メンブランの回りの外側空間が、抽出される成分を第1の群の中空繊維メンブランから第2の群の中空繊維メンブランに輸送する抽出液体で満たされる。この点で、中空繊維メンブランを取り囲む液体が液体メンブランとして機能する。このタイプのプロセスもまた、CLM(含有液体メンブラン)分離プロセスとして文献に記載される(例えば、Majumdar et al., AlChE Journal, vol. 34(1988), No.7, pp. 1135‐1145;Sengupta et al., AlChE Journal, vol. 34(1988), No.10, pp. 1698‐1708;Basu et al., J.of Membrane Science, vol. 75(1992), pp.131‐149を参照のこと)。これらの分離プロセスによって、成分を液体から、また、ガス状媒体から分離することができる。引用された文献に描かれるメンブランモジュールは、ハウジングの中央区間に互いに平行に配置される2つの群の中空繊維メンブランを有する。
【0006】
CLM分離プロセスの領域における様々な適用において、液相の安定性、すなわち、液体メンブランの安定性が不十分であり、液体メンブランの長期にわたる安定性を可能にする代替モジュール設計が求められている。
【0007】
液相の増大した安定性を有するこのタイプのメンブランモジュール設計またはこのタイプのメンブランコンタクターについての一例が、米国特許出願公開第2009/0272684号A1(2009年11月5日公開)として公開された米国特許出願第12/112,071号(2008年4月30日出願)に開示される(参考として本明細書で援用される)。それに記載されるCLMコンタクターは、中空繊維メンブランの長さ方向において互いにずれて配置される半透過性の中空繊維メンブランから構成される第1および第2のマットを有しており、前記マットは、穴の開いた中心チューブの回りに巻かれる。中空繊維メンブランが巻かれた本体部にこの様式で巻かれるマットの、互いにずれている中空繊維メンブランの端部が、第1および第3の封止用化合物にCLMコンタクターの一方の端部で、また、第2および第4の封止用化合物にコンタクターのもう一方の端部で埋め込まれ、この場合、第1のチャンバーが第1および第3の封止用化合物の間に形成され、同様にまた、第2のチャンバーが第2および第4の封止用化合物の間に形成される。それにより、第1の中空繊維メンブランマットの中空繊維メンブランの壁が第1のチャンバーの区域において液体不透過性であり、また、第2の中空繊維メンブランマットの中空繊維メンブランの壁が第2のチャンバーの区域において液体不透過性であり、これに対して、中空繊維メンブランの壁はそれぞれのチャンバーの外側において多孔性かつ半透過性である。
【0008】
本発明の少なくとも1つの局面または実施形態によれば、本発明は、液体メンブランの長期にわたる安定性を可能にする代替モジュール設計についての必要性に対処する。
【0009】
本発明の少なくとも特定の局面または実施形態によれば、改善された、または、代替となり得るメンブランコンタクターもしくはメンブランモジュール、中空繊維メンブランコンタクター、不透過性の選択された区域を有するメンブランコンタクター、不透過性の選択された区域を有する中空繊維メンブランマット、および/または、不透過性の選択された区域を有する中空繊維メンブランが提供される。少なくとも1つの具体的な実施形態によれば、中空繊維メンブランマットは、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブラン(ただし、中空繊維メンブランは、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の接続用スレッドによって互いにつながれ、メンブランは接続用スレッドによって互いに離されて保たれ、かつ、中空繊維メンブランは熱可塑性ポリマーから構成される)を有する。
【0010】
本発明の少なくとも選択された局面または実施形態によれば、メンブランコンタクター、メンブランモジュールおよび/またはメンブランマットを製造および/または使用するための改善された、または、代替となり得る方法が提供される。
【0011】
液相の増大した安定性を有する、すなわち、液体メンブランの増大した安定性を有するこのタイプのCLMコンタクターのための中空繊維メンブラン配置物を提供することが、本発明の目的の1つである。このタイプの中空繊維メンブラン配置物を製造するための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0012】
改善された、または、新規なメンブランコンタクター(これには、限定されないが、単段階または多段階、シェル型または無シェル型、カートリッジタイプ、エンドポート、サイドポート、3ポート、4ポート、6ポート、円筒状および/または矩形型などが含まれる)、フィルター、カートリッジまたはモジュール、中空繊維メンブランコンタクター、フィルター、カートリッジまたはモジュール、不透過性の選択された区域、その不透過性区間または不透過性部分を有するメンブランコンタクター、中空繊維メンブラン配置物、メンブランマットまたは布地等を提供することが、本発明のさらに別の目的である。そのようなメンブランコンタクター、フィルター、カートリッジまたはモジュール、中空繊維メンブランコンタクター、フィルター、カートリッジまたはモジュール、不透過性の選択された区域、その不透過性区間または不透過性部分を有するメンブランコンタクター、中空繊維メンブラン配置物、メンブランマットまたは布地を製造および/または使用するための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0013】
少なくとも、液相の増大した安定性を有するCLMコンタクター用の中空繊維メンブラン配置物を提供するための本発明による目的が、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランを有し、前記中空繊維メンブランが、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、前記メンブランが前記線状接続エレメントによって互いに離されて保たれ、かつ、前記中空繊維メンブランが熱可塑性ポリマーから構成される中空繊維メンブランマットであって、互いに隣接して配置される前記中空繊維メンブランの壁が、当該中空繊維メンブランマットにおいて前記線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプにおいて流体密(fluid-tight)であること、前記線状接続エレメントが、前記中空繊維メンブランを構成する前記熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有すること、および、前記線状接続エレメントに平行に延びる前記少なくとも1つのストライプの外側の前記線状接続エレメント(ただし、そのようなストライプの内側の前記中空繊維メンブランは流体密である)が好ましくは121℃の温度および100%の雰囲気湿度(飽和蒸気)において最大5%の過熱蒸気収縮を有することを特徴とする、中空繊維メンブランマットによって対処または解決される。
【0014】
この目的はさらに、下記工程a)〜工程c)を含む、中空繊維メンブランの壁が流体不透過性である、少なくとも1つのストライプ形状の区域を有する中空繊維メンブランマットを製造するための方法によって解決または対処される:
a)多孔性の半透過性壁と、連続する内腔とを有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットを提供する工程(ただし、前記中空繊維メンブランは、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、前記メンブランは前記線状接続エレメントによって一定の距離で保たれ、前記中空繊維メンブランは熱可塑性ポリマーから構成され、前記線状接続エレメントは、前記中空繊維メンブランを構成する前記熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有し、かつ、前記接続用スレッドは好ましくは121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大5%の過熱蒸気収縮を有する)、
b)前記中空繊維メンブランマットを、輸送設備によって、かつ、前記線状接続エレメントの延び方向での輸送速度で、輸送方向で作用する張力のもと、前記中空繊維メンブランマットの上方および下方で、かつ、前記中空繊維メンブランマットの表面から一定の距離で、ならびに互いの一定の距離で配置された加熱エレメントを有する輸送方向に延びる少なくとも1つの加熱デバイスに通して輸送し、ただし、この場合、前記少なくとも1つの加熱デバイスを介して、熱が、輸送方向に対して横方向の幅Bにわたり処理帯域において前記中空繊維メンブランに供給され、それにより、前記中空繊維マットが処理区域において処理される工程、および、同時に、
c)前記中空繊維メンブランマットを、前記中空繊維メンブランマットの平坦な延びに対して直角なそれらの接触圧に関して調節可能な締め付けデバイスによって、輸送方向で見たときに前記少なくとも1つの加熱デバイスの左右に位置する帯域において掴む工程(ただし、そのような締め付けデバイスによって、前記中空繊維メンブランは輸送方向に対して横方向の張力のもとで保持される)、
ただし、前記処理帯域において、温度が好ましくは、前記加熱エレメントによって、前記中空繊維メンブランを構成する前記ポリマーの融解温度よりも5%〜15%低い温度に調節され、結果、前記中空繊維メンブランの収縮が前記処理区画において開始され、また、前記締め付けデバイスの前記接触圧を調節することによって、前記中空繊維メンブランをそれらの長さ方向の延びにおける張力のもとで保持し、結果、前記中空繊維メンブランがそれらの長さ方向の延びにおける直線的過程を保持する。
【0015】
本発明の少なくとも選択された実施形態または局面によれば、処理された帯域、帯状部またはストライプは流体不透過性であるか、または流体を通さず、例えば、処理区域における中空繊維メンブランの壁が、放射状熱エレメントの間の処理帯域を通過する期間中の熱処理のために、流体通過に対して不透過性になる。中空繊維メンブランの温度処理は、処理された区域における中空繊維メンブランの収縮または縮小を開始することができ、それにより、その区域における細孔が見かけ上はつぶれ、多孔性構造が消失する。
【0016】
代替において、所望される全体的な透過性を、メンブランコンタクター、メンブランフィルター、メンブランカートリッジまたはメンブランモジュールの所望される透過性に基づいて、完全な透過性(加熱区間がない)から、ほとんどない透過性(すべてが加熱区間)まで制御または変化させることができる。例えば、非常に多孔性のメンブランコンタクターを、その長さに沿ったいくつかのストライプを熱処理することによって、多孔性がより低いメンブランコンタクターに変化させることができる。
【0017】
さらに、伝熱区間を多孔性または透過性の流体移動区間の上流側に提供するために、メンブランコンタクター、メンブランフィルター、メンブランカートリッジまたはメンブランモジュール、中空繊維メンブランコンタクター、中空繊維メンブラン配置物、中空繊維メンブランマットまたは中空繊維メンブラン布地などの最初の区間における細孔を閉じるのが望ましい場合がある。伝熱区間および流体移動(あるいは分離またはろ過)区間を有するそのような二重機能モジュールは、伝熱モジュールおよび流体移動モジュールを有するマルチモジュールシステムに取って代わることができる。
【0018】
本発明の少なくとも選択された実施形態は好ましくは、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットであって、前記中空繊維メンブランが、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、前記メンブランが前記線状接続エレメントによって互いに離されて保たれ、前記中空繊維メンブランが熱可塑性ポリマーから構成され、かつ、互いに隣接して配置される前記中空繊維メンブランの壁が、当該中空繊維メンブランマットの内側の前記線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプにおいて流体密である中空繊維メンブランマットに関する。線状接続エレメントは、中空繊維メンブランを構成する熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い好ましい融解温度を有し、また、線状接続エレメントに平行に延びるそのような少なくとも1つのストライプの外側の線状接続エレメント(ただし、そのようなストライプの内側の前記中空繊維メンブランは流体密である)は好ましくは、最大5%の過熱蒸気収縮を有する。本発明の少なくとも選択された実施形態は好ましくはさらに、そのような中空繊維メンブランマットを製造および/または使用するための方法に関する。
【0019】
図1〜図6は、走査型電子顕微鏡を使用して得られた5000倍の倍率での中空繊維メンブランの壁構造または壁表面の各画像である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、下記実施例1に関連する、前(または非処理)の画像である。
【図2】図2は、下記実施例1に関連する、後(または処理)の画像である。
【図3】図3は、下記実施例2に関連する、前(または非処理)の画像である。
【図4】図4は、下記実施例2に関連する、後(または処理)の画像である。
【図5】図5は、下記実施例3に関連する、前(または非処理)の画像である。
【図6】図6は、下記実施例3に関連する、後(または処理)の画像である。
【0021】
本発明の少なくとも1つの局面または実施形態によれば、本発明は、液体メンブランの長期にわたる安定性を可能にする代替モジュール設計についての必要性に対処する。
【0022】
本発明の少なくとも特定の局面または実施形態によれば、改善された、または、代替となり得るメンブランコンタクターもしくはメンブランモジュール、中空繊維メンブランコンタクター、不透過性の選択された区域を有するメンブランコンタクター、不透過性の選択された区域を有する中空繊維メンブランマット、および/または、不透過性の選択された区域を有する中空繊維メンブランが提供される。少なくとも1つの具体的な実施形態によれば、中空繊維メンブランマットは、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブラン(ただし、中空繊維メンブランは、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の接続用スレッドによって互いにつながれ、メンブランは接続用スレッドによって互いに離されて保たれ、かつ、中空繊維メンブランは熱可塑性ポリマーから構成される)を有する。
【0023】
本発明の少なくとも選択された局面または実施形態によれば、メンブランコンタクター、メンブランモジュールおよび/またはメンブランマットを製造および/または使用するための改善された、または、代替となり得る方法が提供される。
【0024】
本発明の関連において、流体不透過性および流体密であるとは、処理区域または処理された区域における中空繊維メンブランの壁が不透過性であること、すなわち、ガスまたは液体の対流移動または対流通過がないように封止されることを意味することが理解される。流体不透過性の、または、流体密である中空繊維メンブランを走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で調べていると、細孔が、少なくとも1つの処理された区域において、または、線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプにおいて、少なくとも中空繊維メンブランの壁の表面の1つには何ら認められず、一方、この表面は、上記少なくとも1つの処理された区域の外側において、または、線状接続エレメントに平行に延びる上記少なくとも1つのストライプの外側において細孔を有する。
【0025】
加熱エレメントによって、熱を、例えば、熱風送風機を使用することによって、対流によって中空繊維マットに対して処理帯域において供給することができる。熱はまた、例えば、中空繊維マットが、下記で記載されるような温度安定性のキャリアベルトにより覆われる場合には、伝導によって供給することができる。
【0026】
本発明の少なくとも1つの実施形態による好ましい方法のためには、処理帯域における中空繊維メンブランの温度処理期間において、加熱中の互いに向かい合う中空繊維メンブランの動きが回避されるか、または、少なくとも低く保たれることが重要である。より具体的には、中空繊維メンブランは、処理区域における中空繊維メンブランの相互の接触および中空繊維メンブランの相互の融合または接着を引き起こし得る程度に互いに向かって動いてはならない。従って、本発明のプロセスの好ましい実施形態において、輸送方向に延びる少なくとも1つの加熱デバイスは、中空繊維メンブランマットの上方および下方で、かつ、互いからも同様に、中空繊維メンブランマットの表面から一定の距離で配置される放射加熱エレメントを有する。放射加熱エレメントを、例えば、熱風送風機の代わりに使用することは、中空繊維メンブランの処理された区域から非処理区域への急激な移行が、数ミリメートルにわたって、または、それどころか、数センチメートルにわたって及ぶ移行(これは、例えば、CLMコンタクターにおける適用に関しては不都合であるかもしれない)に代わって得られ得るというさらなる利点を有する。
【0027】
放射加熱エレメントに関して、好ましい実施形態において、放射加熱エレメントはホットプレートが可能であり、この場合、ホットプレートは、中空繊維メンブランマットにおける温度が、中空繊維メンブランを構成するポリマーの融解温度よりも5%〜15%低くなるよう十分高い温度に加熱される。ホットプレートは、中空繊維メンブランマットにおけるストライプまたはセグメントの意図された幅に対応する、輸送方向に対して横方向の幅Bを有する矩形の輪郭を有しえ、ただし、この場合、そのようなストライプにおいて、中空繊維メンブランの壁は流体密である。輸送方向におけるホットプレートの長さLが、放射状熱エレメントの区域における中空繊維メンブランの要求される滞留時間に従って、輸送速度を考慮して決定され、好ましくはおよそ5cm〜およそ20cmであり得る。ホットプレートの互いの距離は概して数ミリメートルであり、好ましくは4mm〜8mmである。
【0028】
放射加熱エレメントはまた、中空繊維メンブランマットに対する好適な距離で位置し、結果、中空繊維メンブランを構成するポリマーの融解温度よりも好ましくは5%〜15%低い温度が中空繊維メンブランマットにおいて存在するように赤外(IR)放射体を含むことができる。この場合、赤外線を、中空繊維メンブランマットの要求される処理区域に対して、例えば、適切な大きさの開口部によって制限することが好都合であり得る。
【0029】
流体不透過性の、または、流体密である中空繊維メンブランに関して、処理区域における中空繊維メンブランの壁が、放射状熱エレメントの間の処理帯域を通過する期間中の温度処理のために、流体通過に対して不透過性になる。中空繊維メンブランを構成するポリマーの融解温度より5%〜15%低い好ましい温度における中空繊維メンブランの温度処理は、処理された区域における中空繊維メンブランの収縮または縮小を開始させ、それにより、その区域における細孔が見かけ上はつぶれ、多孔性構造が消失する。
【0030】
あるいは、所望の全体的な透過性を、メンブランコンタクター、メンブランフィルター、メンブランカートリッジまたはメンブランモジュールの所望の透過性に基づき、完全な透過性(加熱区間がない)から、ほとんどない透過性(すべてが加熱区間)まで制御または変化させることができる。例えば、非常に多孔性のメンブランコンタクターを、その長さに沿ったいくつかのストライプを熱処理することによって、多孔性がより低いメンブランコンタクターに変化させることができる。
【0031】
さらに、伝熱区間を多孔性または透過性の流体移動区間の上流側に提供するために、メンブランコンタクター、メンブランフィルター、メンブランカートリッジまたはメンブランモジュール、中空繊維メンブランコンタクター、中空繊維メンブラン配置物、中空繊維メンブランマットまたは中空繊維メンブラン布地などの最初の区間における細孔を閉じることが所望されることがある。伝熱区間および流体移動(あるいは分離またはろ過)区間を有するそのような二重機能モジュールは、伝熱モジュールおよび流体移動モジュールを有するマルチモジュールシステムに取って代わることができる。
【0032】
処理帯域の長さ、したがって、同様にまた、加熱エレメントの長さは、中空繊維メンブランマットの輸送速度を考慮して、処理帯域における中空繊維メンブランの滞留時間が、収縮プロセスが所望の程度にまで進行するのに十分であるよう、例えば、多孔性構造が消失し、処理された区域における中空繊維メンブランの壁が流体不透過性になるように、輸送方向で決定されなければならない。処理帯域における中空繊維メンブランマットの滞留時間は好ましくは0.5分〜5分であり、より好ましくは1分〜3分である。
【0033】
中空繊維メンブランの処理された区域における多孔性構造が、中空繊維メンブランの外側だけでなく、十分な滞留時間では、内腔に面する内側でも、加熱のために消失することが見出された。走査型電子顕微鏡を使用する試験によって証明されるように、処理前には、明確な多孔性構造を処理区域における表面に有した中空繊維メンブランにおいて、細孔を外側に有さず、同様にまた、内側にも有しない封止された表面が、本発明による処理の結果として得られた。走査型電子顕微鏡を使用する5000倍の倍率での表面の試験を判断の根拠とした。本発明による中空繊維メンブランマットまたは本発明の方法に従って製造される中空繊維メンブランマットの好ましい実施形態では、中空繊維メンブランの壁は、細孔を、外側に面する表面におけるのと同様に、内腔に面する表面における少なくとも1つのストリップにおいて有しない。
【0034】
少なくとも選択された実施形態による中空繊維メンブランマットの好ましい温度処理の期間中において、一方で、中空繊維メンブランの完全なつぶれと同様にそのけん縮、および、これと同時に、少なくとも1つの処理区域における中空繊維メンブランの内腔の閉塞を防止するために、中空繊維メンブランが、それらの長さ方向における、すなわち、それらの延び方向における張力のもとで保持されることが重要である。他方で、線状接続エレメントが、中空繊維メンブランを構成する熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有すること、および、線状接続エレメントが低収縮であること、すなわち、線状接続エレメントが121℃の温度および100%の雰囲気湿度(飽和蒸気)において好ましくは最大5%の過熱蒸気収縮を有することが重要である。そうでない場合、線状接続エレメントは、加熱下での大きすぎる収縮を有するかもしれず、このことは線状接続エレメントによる中空繊維メンブランの狭窄を生じさせ得るし、また、使用される線状接続エレメントによっては、中空繊維内腔の閉塞をも生じさせ得る。そのうえ、収縮が大きすぎる場合、隣接する中空繊維メンブランが接触することがあり、また、融合して一緒になることがあり、それにより、中空繊維マットにおける望ましくない堅いセグメントをもたらす。より好ましくは、本発明の少なくとも特定の実施形態による中空繊維メンブランマットの線状接続エレメント、または、本発明の少なくとも選択された実施形態による方法によって製造される中空繊維メンブランマットの線状接続エレメントは、121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大2%の過熱蒸気収縮を有する。過熱蒸気収縮を求めるため、線状接続エレメント材は121℃の温度および100%の雰囲気湿度(飽和蒸気)において30分間処理される。
【0035】
最後に、中空繊維メンブランマットが、加熱デバイスの通過期間中、輸送方向で、すなわち、線状接続エレメントの延び方向で作用する張力のもとで保持されることが、少なくとも特定の実施形態では好ましい。この手段によって、中空繊維メンブランはまた、加熱中、互いに離れて一定間隔のままであり、隣接する中空繊維メンブランの接着が防止される。したがって、輸送方向での張力が、中空繊維メンブランマットの線状接続エレメントを介して加えられ得るだけである。これは、中空繊維メンブラン自身が互いに接触していないからである。したがって、輸送方向で作用する張力は好ましくは、中空繊維メンブランマットの幅にわたって存在する線状接続エレメントあたり5〜15cNである(1cN=1.02g)。マット幅にわたる均一な張力を達成するために、中空繊維メンブランマットが、担体を覆い、例えば、プレートの形態で供給されるか、または、輸送速度で駆動されるキャリアベルトの上に置かれることが好都合であり得る。
【0036】
以上述べたように、中空繊維メンブランを構成するポリマーの融解温度よりも幾分か低い温度における中空繊維メンブランの温度処理は処理区域における中空繊維メンブランの収縮または縮小を開始させ、それにより、これらの区域における細孔が見かけ上はつぶれ、多孔性構造が消失する(または低下する)。そのうえ、中空繊維メンブランの完全なつぶれと同様にそのけん縮、および、これと同時に、中空繊維メンブランの内腔の閉塞が生じ得る。これを防ぐため、本発明の少なくとも選択された実施形態による好ましい方法では、中空繊維メンブランマットが、中空繊維メンブランマットの平坦な延びに対して直角なそれらの接触圧に関して調節可能である締め付けデバイスによって少なくとも1つの加熱デバイスの左右に対して帯域において掴まれる。この場合、接触圧は、中空繊維メンブランがそれらの長さ方向の延びにおいて実際に収縮し得るように調節されなければならない。しかしながら、中空繊維メンブランは、中空繊維メンブランが直線的過程を保持するように張力下で保持される。大きすぎる接触圧では、中空繊維メンブランマットの処理区域における温度処理によって開始される収縮から生じる中空繊維メンブランの延び方向での必要な動きが抑制されることには留意しなければならない。結果、処理区域における毛細管がそれらの外径において収縮し、すなわち、より薄くなる、または、破断点伸びを超えるならば、裂けることもある。他方で、低すぎる接触圧は、処理区域において制御されずに縮むマットをもたらし、毛細管の反りおよび/またはよじれが生じるか、あるいは、中空繊維メンブランの内腔が同様につぶれる。それぞれの場合において好適な接触圧が、簡単な試験によって目視により決定され得る。
【0037】
締め付けデバイスは、例えば、駆動されるローラーにより供給される金属ベルトが可能であり、そのようなベルトは中空繊維メンブランマットを押し付け、また、そのようなベルトは、中空繊維メンブランマットが少なくとも1つの加熱デバイスを通って供給される速度で、すなわち、輸送速度で移動する。しかしながら、締め付けデバイスはまた、静的エレメント、例えば、中空繊維メンブランマットが好ましくは側端で掴まれ、かつ、接触圧がマットに及ぼされるそり形状の調節可能な締め付けシューの形態での静的エレメントが可能である。締め付けデバイスは、当然のことながら、処理帯域の高さで中空繊維メンブランマットの輸送方向に沿って位置しなければならない。
【0038】
本発明によれば、中空繊維メンブランマットに配置される中空繊維メンブランは熱可塑性ポリマーから構成される。具体的には、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンまたはフッ素化ポリオレフィン、スルホンポリマー、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチルビニルアルコール(EVA)、これらのポリマーのコポリマー、あるいは、これらのポリマーのブレンド物または混合物の群から選択される合成ポリマーがこの場合に考慮される。特に好ましくは、中空繊維メンブランを構成するポリマーはポリオレフィンであり、より特に好ましくはポリプロピレンである。中空繊維メンブランマットは、2つ以上のタイプおよび/またはサイズの中空繊維メンブランから構成されてもよい。
【0039】
中空繊維メンブランは好ましくは、互いに離れて一定の間隔で置かれ、かつ、互いに平行に延びる複数の線状接続エレメントによって本発明による中空繊維メンブランマットにおいて接続される。中空繊維メンブランがマットに組み込まれ、かつ、中空繊維メンブランが互いに一定の距離で保たれる線状接続エレメントは、中空繊維メンブランに積層され得るか、または、接着剤によって中空繊維メンブランに接着され得るストリップ形状のエレメントであり得る。線状接続エレメントはまた、リボン様材料から作製することができる。本発明による中空繊維メンブランマットおよびプロセスの好ましい実施形態において、線状接続エレメントは接続用スレッドであり、すなわち、中空繊維メンブランを互いに接続するヤーンまたは繊維である。接続用スレッドは一本の中空繊維メンブランの回りに絡ませることができる。マットにおける中空繊維メンブランは好ましくは、編み方法を使用して接続用スレッドによって接続され、すなわち、中空繊維メンブランマットは好ましくは編みマットである。とりわけ好ましい実施形態において、接続用スレッドはマルチフィラメントヤーンである。マルチフィラメントのポリエステルヤーンが接続用スレッドに最も好ましい。本発明の関連において、好ましいヤーンは、中空繊維メンブランを構成する熱可塑性ポリマーの融解温度と同じくらい高い融解温度を有し、かつ、121℃の温度および100%の雰囲気湿度において、好ましくは最大5%の過熱蒸気収縮を有し、より好ましくは、最大2%の過熱蒸気収縮を有する。中空繊維メンブランは、複数の異なるタイプおよび/またはサイズの線状接続エレメントによって中空繊維メンブランマットにおいて接続されてもよい。さらに、中空繊維メンブランまたは中空繊維メンブランマットは、スペーサーによって一定間隔で離されてもよく、それぞれの末端部におけるポッティング(例えば、エポキシ樹脂)および/またはチューブシートによって中空繊維メンブランのマット、コンタクター、フィルター、カートリッジまたはモジュールにおいて接続または固定されてもよく、ならびに/あるいは、穴の開いた中心チューブの回りに形成されてもよい。
【0040】
本発明の少なくとも特定の実施形態による好ましい方法の工程b)において使用される輸送機器に関して、輸送機器は、従来の機器、例えば、シート様製造物の連続輸送のために使用される機器などが可能である。例えば、輸送機器は、中空繊維マットが、制御された様式で解かれるか、または、中空繊維マットが、制御された様式で巻かれる被動ローターを有することができる。輸送機器は、中空繊維マットが、例えば、輸送ベルトと一緒に、少なくとも1つの加熱デバイスに供給され、また、少なくとも1つの加熱デバイスから引き出されるローラー対をさらに有することができる。それは、中空繊維メンブランマットが、中空繊維メンブランマットの上方および下方に位置し、かつ、中空繊維メンブランマットを覆うキャリアベルトの間に加熱デバイスを通って輸送されるならば、少なくとも1つの加熱デバイスを通る中空繊維メンブランマットの穏やかかつ均一な輸送のために好都合である。中空繊維メンブランマットを同時に加熱エレメントの間の処理帯域において覆うことは、中空繊維メンブランが処理帯域を通って穏やかな様式で供給され、また、特に、温度処理から生じるこの区域における中空繊維メンブランの垂直方向または水平方向の動きもまた防止されるという利点を有する。このタイプの動きは、例えば、隣接する中空繊維メンブランの間での接触を引き起こし得るし、また、中空繊維メンブランの接着を生じさせ得る。
【0041】
キャリアベルトは好ましくは、十分な強度および低い伸びを有する延伸ポリマーフィルム(例えば、ポリテトラフルオロエチレンから作製される延伸ポリマーフィルム)が可能である。さらなる好ましい実施形態において、キャリアベルトは、温度安定性のヤーンから作製されるきめ細かい布地(例えば、ポリテトラフルオロエチレンヤーンおよび/またはアラミドヤーンから作製される布地)が可能である。中空繊維メンブランマットは好ましくは、その幅全体にわたってキャリアベルトによって覆われ、したがって、処理帯域を通過する区域においても同様に覆われ、この場合、したがって、キャリアベルトは温度安定性の材料から構成され、また、マットと、キャリアベルトとの間での接着が起こらず、その結果、キャリアベルトを、少なくとも1つの加熱デバイスを通過した後で、問題なく、かつ、残渣を残すことなく、中空繊維メンブランマットから引き抜くことができる。したがって、キャリアベルトは好ましくは非粘着性である。キャリアベルトはまた、処理帯域の通過期間中において、加熱エレメントと、中空繊維マットの間のスペーサーとして作用することができる。上側および下側に位置するキャリアベルトは好ましくは駆動され、中空繊維メンブランマットを要求される速度で輸送方向に輸送し、輸送デバイスを同時に構成する。
【0042】
中空繊維メンブランマットをその上側全体および下側全体で覆うキャリアベルトの使用は、中空繊維メンブランマットが、少なくとも1つの加熱デバイスを含有する処理機器を通って、均一かつ反りを有することなく供給され得るというさらなる利点を有する。加えて、中空繊維メンブランの延び方向での中空繊維メンブランマットの安定化に影響を及ぼす締め付けデバイスによる穏やかな掴みおよび供給もまた可能である。したがって、本発明による方法の好ましい実施形態において、中空繊維メンブランマットはキャリアベルトによりその側端の区域において覆われ、そして、覆っているキャリアベルトと一緒に、そり形状の締め付けデバイスを通って供給される。
【0043】
本発明による中空繊維マットおよび本発明による方法によって製造される中空繊維マットの使用により、このマットは、マットに配置される中空繊維メンブランの壁が流体不透過性である2つ以上の区域または2つ以上のストライプを有することが必要となり得る。このタイプの中空繊維メンブランマットを製造するために、中空繊維メンブランマットは、第1の加熱デバイスから一定の距離で輸送方向に対して横方向に配置される少なくとも1つの第2の加熱デバイスを通って供給され、この場合、この少なくとも1つの第2の加熱デバイスによって、少なくとも1つのさらなるストライプ形状の区域が線状接続エレメントの延び方向でもたらされ、そのような区域における中空繊維メンブランの壁は流体不透過性である。したがって、この少なくとも1つの第2の加熱デバイスは好ましくは、第1の加熱デバイスと同じ設計を有することができる。
【0044】
流体不透過性区域のために、本発明による好ましい中空繊維メンブランマット、または、本発明による方法に従って製造される好ましい中空繊維メンブランマットは、例えば、これらのコンタクターにおいて形成される液体メンブランの大きい安定性を必要とするCLMコンタクターにおいて有効に使用することができる。
【0045】
図1〜図6は、走査型電子顕微鏡を使用して得られた5000倍の倍率での中空繊維メンブランの壁構造または壁表面の各画像である。
【0046】
次に、本発明の少なくとも選択された実施形態が下記の実施例としてより詳しく記載される。
【0047】
実施例1:
幅750mmの中空繊維メンブランの編みマットが提供された。中空繊維メンブランマットに配置された中空繊維メンブランは、全域にわたる多孔性壁、400μmの直径および40μmの壁厚を有する延伸されたポリプロピレン中空繊維メンブラン(タイプX40、Celgard,LLC、ノースカロライナ州 シャーロット)であった。この中空繊維メンブランをマルチフィラメントのポリエステルスレッドによって中空繊維メンブランマットに束ねた。この場合、150本の縦糸(すなわち、接続用スレッド)を輸送方向にマットの幅にわたって均一に分布させた。ポリエステルスレッドは1%未満の過熱蒸気収縮を有していた。
【0048】
中空繊維メンブランマットを7.6cm/分の輸送速度でロールから引き抜き、マットの上側および下側における、ポリテトラフルオロエチレンヤーンおよびアラミドヤーンから作製された布地から作製される被動キャリアベルトと一緒に加熱デバイスに通して供給し、温度処理後、縦糸あたりおよそ10cNの張力によりロールに巻き取った。
【0049】
加熱デバイスは、マットの上方および下方にそれぞれ位置する放射状の熱エレメントを含んでいた。それぞれの放射状熱エレメントが、ホットプレートあたり2つの加熱カートリッジによって155℃に加熱された、幅125mm、長さ100mmのアルミニウムから作製されるホットプレートを含んでいた。ホットプレートが互いに5mmの間隔で置かれた;中空繊維メンブランマットが、キャリアベルトと一緒に、ホットプレートの間の中心に送り込まれた。この手段によって、中空繊維メンブランマットの区域においても同様に、温度がおよそ155℃であった。この温度はポリプロピレンの融解温度よりもおよそ7%低かった。
【0050】
側端の区域において、そり形状の締め付けデバイスを中空繊維メンブランマットに押し付けた。そのような締め付けデバイスのもと、中空繊維メンブランマットをキャリアベルトと一緒に引っ張った。締め付けデバイスの接触圧を、中空繊維メンブランの直線過程が加熱デバイスの区域において保証され、同時に、中空繊維メンブランの収縮が過熱の結果として加熱デバイスの区域において長さ方向で可能であったように調節した。
【0051】
加熱デバイスを通過する期間中に、中空繊維メンブランは処理区域においておよそ35%〜40%収縮した。加熱帯域通過後、中空繊維メンブラン壁の構造が変化し、このことが、白色から透明への光学的外観における変化によって認識された。中空繊維メンブランの透明区域において、元の多孔性壁構造(図1)が、密なフィルム構造(図2)に変わっていた。このように処理された中空繊維メンブランマットは、接続用スレッドに平行に延びるストライプを有しており、この場合、そのようなストライプにおけるポリプロピレン中空繊維メンブランの壁は流体不透過性であった。
【0052】
実施例2:
手順は実施例1と同じであった。実施例1で使用された延伸ポリプロピレンの中空繊維メンブランから作製された中空繊維メンブランマットの代わりに、非延伸ポリプロピレンの中空繊維メンブラン(タイプPP50280、Membrana GmbH、ドイツ ブッパータール)から作製された中空繊維メンブランマットが提供された。
【0053】
加熱帯域通過後、中空繊維メンブラン壁の構造が変化し、このことが、白色から透明への光学的外観における変化によって認識された。走査型電子顕微鏡での試験によって証明されるように、処理された、中空繊維メンブランの透明区域において、元の多孔性壁構造(図3)が、流体密であるフィルム構造(図4)に変化していた。
【0054】
実施例3:
手順は実施例1と同じであった。実施例1に反して、ポリ−(4−メチル−1−ペンテン)から作製される中空繊維メンブランを使用した(タイプ90200、Membrana GmbH)。ホットプレートを210℃に加熱し、ポリ−(4−メチル−1−ペンテン)の融解温度よりもおよそ15%低い温度にした。
【0055】
温度処理のために、ポリ−(4−メチル−1−ペンテン)から作製された中空繊維メンブランは、外観が白色から透明に同様に変化した。内腔に面する中空繊維メンブランの元の多孔性内側表面(図5)が温度処理後は密であった(図6)。これらのポリ−(4−メチル−1−ペンテン)中空繊維メンブランについてもまた、中空繊維メンブラン壁が接続用スレッドに平行するストライプにおいて流体密であるマットが得られた。
【0056】
比較例1:
手順は実施例1と同じであった。実施例1に反して、ホットプレートを170℃に加熱し、それにより、ポリプロピレンの融解温度をわずかに超える温度にした。
【0057】
処理帯域における高温応力の結果、隣接する中空繊維メンブランの融合および中空繊維メンブランの内腔のつぶれが中空繊維メンブランの大部分について見出された。
【0058】
比較例2:
手順は実施例3と同じであった。実施例3に反して、ホットプレートを195℃に加熱し、ポリ−(4−メチル−1−ペンテン)の融解温度よりもおよそ20%低い温度にした。
【0059】
処理区域において、中空繊維メンブランの外観における変化は何ら認められなかった。中空繊維メンブランは処理後も依然白色であった。すなわち、中空繊維メンブランの壁はこの区域において多孔性構造を持ち続けていた。
【0060】
本発明の少なくとも選択された実施形態は、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットであって、中空繊維メンブランが、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、中空繊維メンブランが線状接続エレメントによって互いに離されて保たれ、かつ、中空繊維メンブランが熱可塑性ポリマーから構成され、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランの壁が、当該中空繊維メンブランマットの内側の線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプにおいて流体密である中空繊維メンブランマットに関する。線状接続エレメントは好ましくは、中空繊維メンブランを構成する熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有し、かつ、線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプの外側の線状接続エレメント(ただし、そのようなストライプの内側の中空繊維メンブランは流体密である)は最大5%の過熱蒸気収縮を有する。本発明の少なくとも選択された実施形態は好ましくはさらに、そのような中空繊維メンブランマットを製造および/または使用するための方法に関する。
【0061】
本発明の少なくとも選択された実施形態によれば、中空繊維メンブランマットは、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブラン(ただし、中空繊維メンブランは、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、メンブランは線状接続エレメントによって互いに離されて保たれ、中空繊維メンブランは少なくとも1つの熱可塑性ポリマーから構成される)を有し、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランの壁が、当該中空繊維メンブランマット内において線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプにおいて流体密であること、線状接続エレメントが、中空繊維メンブランを構成する熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有すること、および、線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプの外側の線状接続エレメント(ただし、そのようなストライプの内側の中空繊維メンブランは流体密である)が121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大5%の過熱蒸気収縮を有することを特徴とする。
【0062】
上記中空繊維メンブランマットは、線状接続エレメントが121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大2%の過熱蒸気収縮を有することを特徴とする。
【0063】
上記中空繊維メンブランマットは、中空繊維メンブランを構成するポリマーがポリオレフィンであることを特徴とする。
【0064】
上記中空繊維メンブランマットは、線状接続エレメントが接続用スレッドであることを特徴とする。
【0065】
上記中空繊維メンブランマットは、接続用スレッドがマルチフィラメントのポリエステルヤーンであることを特徴とする。
【0066】
上記中空繊維メンブランマットは、中空繊維メンブランを距離を置いて保持する接続用スレッドが編み方法により導入されることを特徴とする。
【0067】
上記中空繊維メンブランマットは、少なくとも1つのストライプにおける中空繊維メンブランの壁が、外側に面する表面と同様に、内腔に面する表面において無細孔であることを特徴とする。
【0068】
本発明の少なくとも特定の実施形態によれば、中空繊維メンブランの壁が流体不透過性である、少なくとも1つのストライプ形状の区域を有する中空繊維メンブランマットを製造するための方法は下記の工程を含む:
a)多孔性、微細孔性、および半透過性の壁の少なくとも1つと、連続する内腔とを有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置された中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットを提供する工程(ただし、中空繊維メンブランは、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、メンブランは線状接続エレメントによって一定の距離で保たれ、中空繊維メンブランは熱可塑性ポリマーから構成され、線状接続エレメントは、中空繊維メンブランを構成する熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有し、かつ、線状接続エレメントは121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大5%の過熱蒸気収縮を有する)、
b)中空繊維メンブランマットを、輸送設備によって、かつ、線状接続エレメントの延び方向での輸送速度で、かつ、輸送方向で作用する張力のもと、中空繊維メンブランマットの上方および下方で、かつ、互いからも同様に、中空繊維メンブランマットの表面から一定の距離で配置される加熱エレメントを有する輸送方向に延びる少なくとも1つの加熱デバイスに通して輸送し、ただし、この場合、少なくとも1つの加熱デバイスを介して、熱が、輸送方向に対して横方向の幅Bにわたって処理帯域において中空繊維メンブランに供給され、それにより、中空繊維マットが処理区域において処理される工程、および、同時に、
c)中空繊維メンブランマットを、中空繊維メンブランマットの平坦な延びに対して直角なそれらの接触圧に関して調節可能である締め付けデバイスによって、輸送方向で見たときに少なくとも1つの加熱デバイスの左右に位置する帯域において掴む工程(ただし、そのような締め付けデバイスによって、中空繊維メンブランは輸送方向に対して横方向の張力のもとで保持される)
ただし、処理帯域において、温度が、加熱エレメントによって、中空繊維メンブランを構成するポリマーの融解温度よりも5%〜15%低い温度に調節され、その結果、中空繊維メンブランの収縮が処理区画において開始され、かつ、締め付けデバイスの接触圧を調節することによって、中空繊維メンブランがそれらの長さ方向の延びにおける張力のもとで保持され、その結果、中空繊維メンブランがそれらの長さ方向の延びにおける直線的過程を保持する。
【0069】
上記方法は、中空繊維メンブランマットが、少なくとも1つの第1の加熱デバイスを通って、中空繊維メンブランマットの上方および下方に配置され、かつ、中空繊維メンブランマットを少なくとも1つの加熱デバイスの区域において覆うキャリアベルトの間に輸送されることを特徴とする。
【0070】
上記方法は、中空繊維メンブランマットがキャリアベルトによってその側端の区域において覆われ、かつ、覆っているキャリアベルトと一緒に、そり形状の締め付けデバイスによって供給されることを特徴とする。
【0071】
上記方法は、輸送方向における加熱エレメントの長さ、ならびに、輸送速度が、処理帯域における中空繊維メンブランマットの滞留時間が0.5分〜5分であるように調節されることを特徴とする。
【0072】
上記方法は、加熱エレメントが放射加熱エレメントであることを特徴とする。
【0073】
上記方法は、放射加熱エレメントが平坦なホットプレートであることを特徴とする。
【0074】
上記方法は、ホットプレート間の距離が4mm〜8mmであることを特徴とする。
【0075】
上記方法は、中空繊維メンブランマットが、第1の加熱デバイスから一定の距離で輸送方向に対して横方向に配置される少なくとも1つの第2の加熱デバイスを通って供給され、ただし、それにより、少なくとも1つのさらなるストライプ形状の区域が線状接続エレメントの延び方向でもたらされ、そのような区域において中空繊維メンブランの壁が流体不透過性であることを特徴とする。
【0076】
上記方法は、輸送方向で作用する張力が線状接続エレメントあたり5〜15cNであることを特徴とする。
【0077】
上記方法は、中空繊維メンブランを構成するポリマーがポリオレフィンであることを特徴とする。
【0078】
上記方法は、線状接続エレメントが、接続用のスレッド、部材または繊維であることを特徴とする。
【0079】
上記方法は、接続エレメントがマルチフィラメントのポリエステルヤーンであることを特徴とする。
【0080】
中空繊維メンブランの壁が流体不透過性である、少なくとも1つのストライプ形状の区域を有する中空繊維メンブランマットが、上記方法によって形成される。
【0081】
少なくとも1つの実施形態において、壁および連続する内腔を有する、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランを有し、中空繊維メンブランが熱可塑性ポリマーから構成される中空繊維メンブランマットであって、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランの壁が、低下した多孔性、および、当該マットの長さに沿って延びる少なくとも1つの熱形成された帯状部、ストライプまたは区間において流体密であることの少なくとも1つを特徴とする、中空繊維メンブランマットが提供される。
【0082】
典型的な中空繊維製造プロセスにおける熱硬化および/または熱収縮の制御工程が、本発明に従って細孔を閉じる、または、細孔の多孔性を低下させるために利用される熱収縮(細孔つぶれ)機構において役割を果たしうると考えられる。中空繊維が、中空繊維製造中に熱硬化を行うために使用された温度よりも高い温度に加熱されるならば、細孔構造をもたらしたプロセスは逆向きに進み始め、存在する細孔が閉じることになる。細孔構造内の表面積が(500m/グラム超と)極めて大きいために、起こるかもしれない。十分なエネルギーが熱を介して加えられるとき、ポリマーが結晶融点に近づくにつれ、ポリマーの表面張力により、急速な繊維縮小および細孔閉鎖が生じるかもしれない。温度を制御し、その結果、このプロセスがちょうど始まり、しかし、ポリマー結晶性の十分かつ完全な融解に達しないようにすることが非常に重要であるかもしれない。それが起きれば、繊維の管としての性質が消失するかもしれない。中空繊維が好ましくは、織物マット構造の内部に含有されるので、いくらかの収縮が生じるかもしれないが、収縮は縦糸によって阻止されるかもしれない。管状構造を有するが、少なくとも特定のセグメントにおける壁内の細孔が、小さいサイズを有する、または、つぶれて、効果的に除かれて生じた中空繊維が望ましい。
【0083】
少なくとも特定の実施形態によれば、中空繊維アレイのストライプまたは帯状部を、非処理アレイを影響されずに残しながら、選択的に熱処理する方法が提供される。この方法は、乾燥している引張り成形された中空繊維メンブランに使用されるとき、最も効果的であるかもしれない。明確に制御された温度条件および機械的負荷条件を加えることによって、熱処理された帯域の内部における多孔性が低下するかもしれず、または、完全に除かれるかもしれない。また、アレイの幅の範囲内で、様々な幅の2つ以上の熱処理された帯域を生じさせることができる。
【0084】
この技術は、多数のチューブシートを有するコンタクターまたはモジュールのために非常に有用であるかもしれない。チューブシートにより、種々の体積部が1つのモジュール内にもたらされる。この特別な熱処理をこれらの帯域の1つ以上によってもたらされる体積部内に施すことは有益であるかもしれない。例えば、これらの体積部の1つに入る流体流れの1つがガス状であるならば、その流れは意図せずにメンブランの細孔構造に入るであろう。この帯域を選択的に熱処理することによって、メンブランを不透過性にすることができ、また、ガスの流れを、ガスの流れが意図されるメンブランに導くことができる。
【0085】
1つの好ましいと思われる実施形態において、本発明の熱処理方法は、帯域B1から帯域B2への、帯域C1から帯域C2への2つの異なるガス流れ流を有する含有液体メンブラン(CLM)モジュールにおいて使用されるかもしれない。選択的な熱処理が、B1帯域およびC2帯域においてチューブシートの間にもたらされる体積部において加えられる。これにより、2つのガス流れが、それらが中央部におけるモジュールのCLM部分に入る前に混じって一緒になることが防止される。
【0086】
少なくとも1つの実施形態において、本発明は好ましくは、壁および連続する内腔を有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットであって、中空繊維メンブランが、互いに離れて、かつ、互いに平行に一定間隔で配置される複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、かつ、メンブランが線状接続エレメントによって互いに離されて保たれ、中空繊維メンブランが熱可塑性ポリマーから構成され、かつ、互いに隣接して配置される中空繊維メンブランの壁が、線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つの帯状部、区間またはストライプにおいて流体を通さず、かつ、そのようなストライプの内側の中空繊維メンブランが流体密である中空繊維メンブランマットに関する。本発明の他の実施形態が好ましくは、そのような中空繊維メンブランマットを製造および/または使用するための方法に関する。
【0087】
少なくとも特定の実施形態において、本発明は好ましくは、壁および連続する内腔を有する、互いに重なり、かつ、隣接して配置される中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットまたは中空繊維メンブラン配置物(あるいは、1つ以上のそのようなマットを含むコンタクター)に関し、この場合、中空繊維メンブランが熱可塑性ポリマーから構成され、かつ、互いに隣接して配置される少なくとも中空繊維メンブランの壁が、マット(またはコンタクター)の長さに沿って延びる少なくとも1つのストライプにおいて流体を通さず、かつ、そのようなストライプの内側の中空繊維メンブランが流体密である。本発明の他の実施形態が好ましくは、そのような中空繊維メンブランマットを製造および/または使用するための方法に関する。
【0088】
上記実施例および実施形態は限定ではなく、本発明は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の形態または改変において具体化され得る。したがって、添付の請求項が、本発明の範囲を示すものとして参照され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置された、壁および連続する内腔を有する中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットであって、前記中空繊維メンブランが、互いに離れて間隔を開けて、かつ、互いに平行に配置された複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、前記中空繊維メンブランが前記線状接続エレメントによって互いに離れて保たれ、かつ、前記中空繊維メンブランが少なくとも1つの熱可塑性ポリマーから構成される中空繊維メンブランマットにおいて、互いに隣接して配置された前記中空繊維メンブランの壁が、当該中空繊維メンブランマット内で前記線状接続エレメントに平行に延びる少なくとも1つのストライプにおいて流体密であること、前記線状接続エレメントが、前記中空繊維メンブランを構成する前記熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有すること、および、前記線状接続エレメントに平行に延びる前記少なくとも1つのストライプの外側の前記線状接続エレメントが121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大5%の過熱蒸気収縮を有し、前記ストライプの内側で前記中空繊維メンブランは流体密であることを特徴とする、前記中空繊維メンブランマット。
【請求項2】
前記線状接続エレメントが121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大2%の過熱蒸気収縮を有することを特徴とする、請求項1に記載の中空繊維メンブランマット。
【請求項3】
前記中空繊維メンブランを構成する前記少なくとも1つのポリマーがポリオレフィンであることを特徴とする、請求項1に記載の中空繊維メンブランマット。
【請求項4】
前記線状接続エレメントが接続用スレッドであることを特徴とする、請求項1に記載の中空繊維メンブランマット。
【請求項5】
前記接続用スレッドがマルチフィラメントのポリエステルヤーンであることを特徴とする、請求項4に記載の中空繊維メンブランマット。
【請求項6】
少なくとも2つの異なるタイプまたはサイズの中空繊維メンブランを含むことを特徴とする、請求項1に記載の中空繊維メンブランマット。
【請求項7】
前記少なくとも1つのストライプにおける前記中空繊維メンブランの壁が、外側に面する表面と同様、前記内腔に面する表面において無細孔であることを特徴とする、請求項1に記載の中空繊維メンブランマット。
【請求項8】
中空繊維メンブランの壁が流体不透過性である、少なくとも1つのストライプ形状の区域を有する中空繊維メンブランマットを製造するための方法であって、下記の工程:
a.多孔性、微細孔性、および半透過性の壁の少なくとも1つと、連続する内腔とを有する、互いに平行に、かつ、互いに隣接して配置された中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットを提供する工程(前記中空繊維メンブランは、互いに離れて間隔を開けて、かつ、互いに平行に配置された複数の線状接続エレメントによって互いにつながれ、前記メンブランは前記線状接続エレメントによって一定の距離で保たれ、前記中空繊維メンブランは熱可塑性ポリマーから構成され、前記線状接続エレメントは、前記中空繊維メンブランを構成する前記熱可塑性ポリマーの融解温度と少なくとも同じくらい高い融解温度を有し、かつ、前記線状接続エレメントは121℃の温度および100%の雰囲気湿度において最大5%の過熱蒸気収縮を有する);
b.前記中空繊維メンブランマットを、輸送設備によって、かつ、前記線状接続エレメントの延び方向での輸送速度で、かつ、輸送方向で作用する張力のもと、前記中空繊維メンブランマットの上方および下方で、かつ、前記中空繊維メンブランマットの表面から一定の距離で、ならびに一定の互いの距離で配置された加熱エレメントを有する輸送方向に延びる少なくとも1つの加熱デバイスに通して輸送し、前記少なくとも1つの加熱デバイスを介して、熱は、輸送方向に対して横方向の幅Bにわたって処理帯域において前記中空繊維メンブランに供給され、それにより、前記中空繊維マットが処理区域において処理される工程、および、同時に、
c.前記中空繊維メンブランマットを、前記中空繊維メンブランマットの平坦な延びに対して直角なそれらの接触圧に関して調節可能である締め付けデバイスによって、輸送方向で見たときに前記少なくとも1つの加熱デバイスの左右に位置する帯域において掴む工程(前記締め付けデバイスによって、前記中空繊維メンブランは輸送方向に対して横方向の張力のもとで保持される)
を含み、
前記処理帯域において、温度は、前記加熱エレメントによって、前記中空繊維メンブランを構成する前記ポリマーの融解温度よりも5%〜15%低い温度に調節され、その結果、前記中空繊維メンブランの収縮が前記処理区画において開始され、かつ、前記締め付けデバイスの前記接触圧を調節することによって、前記中空繊維メンブランがそれらの長さ方向の延びにおける張力のもとで保持され、その結果、前記中空繊維メンブランがそれらの長さ方向の延びにおける直線的過程を保持する前記方法。
【請求項9】
前記中空繊維メンブランマットが、前記少なくとも1つの第1の加熱デバイスを通って、前記中空繊維メンブランマットを少なくとも前記少なくとも1つの加熱デバイスの区域において覆う、前記中空繊維メンブランマットの上方および下方に配置されたキャリアベルトの間に輸送されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中空繊維メンブランマットが前記キャリアベルトによってその側端の区域において覆われ、かつ、前記覆っているキャリアベルトと一緒に、そり形状の締め付けデバイスによって供給されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
輸送方向における前記加熱エレメントの長さ、ならびに、前記輸送速度が、前記処理帯域における前記中空繊維メンブランマットの滞留時間が0.5分〜5分であるように調節されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱エレメントが放射加熱エレメントであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記放射加熱エレメントが平坦なホットプレートであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ホットプレート間の距離が4mm〜8mmであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中空繊維メンブランマットが、前記第1の加熱デバイスから一定の距離で輸送方向に対して横方向に配置された少なくとも1つの第2の加熱デバイスを通って供給され、前記少なくとも1つの第2の加熱デバイスにより、少なくとも1つのさらなるストライプ形状の区域が前記線状接続エレメントの延び方向でもたらされ、前記区域における前記中空繊維メンブランの壁が流体不透過性であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
輸送方向で作用する前記張力が線状接続エレメントあたり5cN〜15cNであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記中空繊維メンブランを構成する前記ポリマーがポリオレフィンであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記線状接続エレメントが、接続用のスレッド、部材または繊維であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記接続エレメントがマルチフィラメントのポリエステルヤーンであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
中空繊維メンブランの壁が流体不透過性であり、かつ、請求項8に記載の方法によって形成される、少なくとも1つのストライプ形状の区域を有する中空繊維メンブランマット。
【請求項21】
互いに隣接して配置された、壁および連続する内腔を有する、熱可塑性ポリマーから構成される中空繊維メンブランを有する中空繊維メンブランマットであって、互いに隣接して配置された前記中空繊維メンブランの壁が、低下した多孔性、および、当該マットの長さに沿って延びる少なくとも1つの熱形成された帯状部、ストライプまたは区間において流体密であることの少なくとも1つであることを特徴とする、中空繊維メンブランマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−506542(P2013−506542A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531334(P2012−531334)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064131
【国際公開番号】WO2011/039111
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(300083158)メムブラーナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (14)
【氏名又は名称原語表記】Membrana GmbH
【住所又は居所原語表記】Oehder Strasse 28, D−42289 Wuppertal, Germany
【Fターム(参考)】