説明

流体処理装置及び方法

【課題】流体処理媒体を通じたより均一な透過液流束をもたらすとともに、流体処理媒体の不均一なファウリングを少なくし、また流体処理装置のスループットを高め及び/又は耐用年数を延ばす流体処理モジュールの提供。
【解決手段】流体処理モジュール12は、供給領域と、透過領域と、供給領域を透過領域から分離する流体処理媒体とを有し、供給領域は流体処理媒体の供給面に沿って延び、透過領域は流体処理領域の透過面に沿って延び、供給流体の一部が透過液として流体処理媒体を通過して透過領域へと流入し、その後コアアセンブリ11内に入り、モジュール12の透過領域における流れパラメータを制御するために1つ以上の制御機構が透過流域に対して導入される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
[0001]本発明は、気体、液体、又は、気体、液体若しくは固体の混合物を含む流体のクロスフロー処理のための流体処理装置及び方法に関する。この流体処理装置は、透過性流体処理媒体と、供給領域と、透過領域とを備えていてもよい。流体処理媒体は、供給面と、反対側の透過面とを有する。供給領域は、流体処理媒体の供給面に沿って延びる。透過領域は、流体処理媒体の透過面に沿って延びるとともに、透過性流体処理媒体を通じる場合を除き供給領域から流体的に分離される。プロセス又は供給流体は、例えば流体処理媒体の供給面に沿って接線方向で流体処理媒体の供給端部から還流(retentate)端部へと供給領域を通じてクロスフロー態様で方向付けられてもよい。供給流体が流体処理媒体の供給面に沿って通過する際には、流体の一部、すなわち、濾過液又は透過液が、供給面から流体処理媒体を通じて透過面へと通過し、透過領域内へ流入する場合がある。流体のこの部分は流体処理媒体によって処理される。供給流体の残りの部分、すなわち、濃縮液又は還流液(retentate)は、流体処理モジュールの還流端部を通じて供給領域から流れ出る。
【0002】
[0002]本発明の1つ以上の態様を具現化する流体処理装置及び方法は、多種多様な方法で流体を処理するために使用されるとよい。多くの実施形態において、流体処理装置及び方法は、流体から1つ以上の物質を分離するために分離プロセスで使用される。例えば、分離プロセスは濾過プロセスとすることができ、この濾過プロセスでは、流体、例えば液体が流体処理媒体に沿って及び/又は流体処理媒体を通じて方向付けられ、また、一般に、流体内の物質、例えば特定のサイズを超える固体又は分子が流体処理媒体を通過することが阻止される。本発明の実施形態は、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、及び、逆浸透媒体を含めて、ほぼ全ての濾過プロセスで使用されることができ、また、ほぼ全てのタイプの濾過媒体と共に使用されることができる。他の例として、分離プロセスは捕捉プロセスであってもよく、この捕捉プロセスでは、流体、例えば液体が流体処理媒体に沿って及び/又は流体処理媒体を通じて方向付けられ、また、流体内の物質、例えばイオン、分子、タンパク質、核酸、又は、他の化学物質が流体処理媒体に対して化学的に及び/又は物理的に結合される。本発明の実施形態における多くの特定の用途のうちの幾つかは、カゼイン凝縮及び乳清タンパク質凝縮などの乳加工工程;ビール又はワインの濾過又は静澄化などの飲料処理工程;及び、セルハーベスト、セルライセート濃縮液、及び、タンパク質分離などのバイオテク工程を含む。
【0003】
[0003]本発明の一態様によれば、本流体処理装置は、複数の流体処理モジュールと、コアアセンブリと、1つ以上の制御機構とを備えるものとすることができる。各モジュールは、透過性流体処理媒体と、供給領域と、透過領域と、供給端部と、還流端部とを含むものとすることができる。流体処理媒体は、供給面と、反対側の透過面とを含むものとすることができる。供給領域は流体処理媒体の供給面に沿って延び、また、透過領域は透過面に沿って延びる。モジュールの供給端部は、供給領域に流体的に連通するとともに、透過領域からシールされる。モジュールの還流端部もまた、供給領域に流体的に連通するとともに、透過領域からシールされる。複数の流体処理モジュールは互いに流体的に導通されてもよく、また、1つの流体処理モジュールの還流端部は後続の流体処理モジュールの供給端部と流体的に連通する。コアアセンブリは、複数の流体処理モジュールを貫通して延びるとともに、流体処理モジュールの透過領域と流体的に連通する1つ以上の透過液通路を有する。1つ以上の制御機構は、モジュールの透過領域における流れパラメータを制御するために、少なくとも1つの流体処理モジュールの透過領域に対して流体的に導通される制御機構を含んでいてもよい。多くの実施形態において、流体処理装置は、各モジュールの透過領域における流れパラメータを制御するために複数の流体処理モジュールにそれぞれ結合された複数の制御機構を含んでいてもよい。
【0004】
[0004]本発明の他の態様によれば、流体処理装置は、コアアセンブリと、複数の流体処理モジュールと、1つ以上の制御機構とを備えていてもよい。コアアセンブリは長手方向軸線を有し、複数の流体処理モジュールは、コアアセンブリの周囲に装着され且つコアアセンブリに沿って軸線方向に配置されるとよい。各モジュールは、透過性流体処理媒体と、供給領域と、透過領域と、供給端部と、還流端部とを含む。流体処理媒体は、供給面と、反対側の透過面とを有する。供給領域は流体処理媒体の供給面に沿って延び、また、透過領域は流体処理媒体の透過面に沿って延びる。モジュールの供給端部は、供給領域に流体的に連通するとともに、透過領域からシールされる。還流端部もまた、供給領域に流体的に連通するとともに、透過領域からシールされる。複数の流体処理モジュールは、コアアセンブリに沿って互いに流体的に導通されてもよく、1つの流体処理モジュールの還流端部は後続の流体処理モジュールの供給端部と流体的に連通する。1つ以上の制御機構は、流体処理モジュールの透過領域における流れパラメータを制御するために、コアアセンブリを介して少なくとも1つの流体処理モジュールの透過領域に対して流体的に導通される制御機構を含んでもよい。多くの実施形態において、流体処理装置は、各モジュールの透過領域における流れパラメータを制御するためにコアアセンブリを介して複数の流体処理モジュールにそれぞれ結合された複数の制御機構を含んでいてもよい。
【0005】
[0005]本発明の他の態様によれば、流体を処理する方法は、複数の流体処理モジュールの透過性流体処理媒体の供給領域を通じて且つ上記媒体の供給面に沿って供給流体を通過させるステップであって、供給流体を1つの流体処理モジュールの還流端部にある供給領域から後続の流体処理モジュールの供給端部にある供給領域へと方向付けることを含むステップを備える。また、この方法は、各流体処理モジュールにおいて、供給領域内の供給流体の一部を流体処理媒体の供給面から流体処理媒体を通じて流体処理媒体の透過面へと透過液として通過させて透過流域へと流入させるステップも備える。更に、この方法は、透過液を、各流体処理モジュールの透過領域から、複数の流体処理モジュールを貫通して延びるコアアセンブリへと該コアアセンブリに沿って軸線方向に通過させるステップも備える。更にまた、この方法は、透過液を、少なくとも1つの流体処理モジュールの透過領域から制御機構に通過させるステップであって、少なくとも1つのモジュールの透過領域における流れパラメータを制御することを含むステップも備える。
【0006】
[0006]本発明の実施形態は多くの利点をもたらす。例えば、制御機構によって制御される透過領域における流れパラメータとしては、透過性流体処理媒体を横切る膜間差圧、流体処理媒体を通過する透過液流束、透過領域内の圧力、及び/又は、透過領域内の透過液の流れに対する抵抗を挙げることができる。1つ以上の流体処理モジュールの透過領域における流れパラメータを制御することにより、流体処理装置のモジュール間で、膜間差圧又は透過液流束の変動を殆ど無くすことができ又は全く無くすことができる。その結果、本発明の実施形態は、モジュール間での流体処理媒体の不均一なファウリングに殆ど晒されず、それにより、高いスループットがもたらされ及び/又は耐用年数が延びる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】流体処理装置の再現描写図である。
【図2】流体処理モジュールの断面斜位図である。
【図3A】他の流体処理モジュールのプリーツ付き流体処理パックの側面図である。
【図3B】他の流体処理モジュールのプリーツ付き流体処理パックの端面図の一部である。
【図3C】他の流体処理モジュールのプリーツ付き流体処理パックの断面図の一部である。
【図4】他の流体処理モジュールの螺旋状に巻回された流体処理パックの断面斜位図である。
【図5】他の流体処理装置の再現描写図である。
【図6】流体処理装置の流体処理モジュール内の膜間差圧及びクロスフロー差圧のグラフである。
【実施形態の説明】
【0008】
[0013]本発明の1つ以上の態様を具現化する流体処理装置は、多種多様な方法で構成され得る。流体処理装置の多くの異なる例のうちの1つが図1に示されているが、本発明の1つ以上の態様を具現化する流体処理装置は、図1又は任意の他の図に示される流体処理装置に限定されない。図1において、流体処理装置10は、長手方向軸線を有するコアアセンブリ11と、コアアセンブリ11の周囲に装着されてコアアセンブリ11に沿って軸線方向に配置された複数の流体処理モジュール12とを含んでおり、コアアセンブリ11は流体処理モジュール12を貫通して延びている。流体処理モジュール12は、例えば、コアアセンブリ11に沿って軸線方向にスライドされて、任意の多数の機械的接続によってコアアセンブリ11の周囲の所定位置に取り外し不能に又は取り外し可能に配置され得る。流体処理モジュール12は、直列に流体的に導通され、互いに類似し又は異なっていてもよく、また、コアアセンブリ11に沿って互いに離間され又は互いに隣接して配置されてもよい。
【0009】
[0014]流体処理モジュール12は様々に構成され得る。例えば、図2に示されるように、流体処理モジュール12は、複数の透過性中空ファイバ14を備える透過性流体処理媒体13を含み、各中空ファイバ14は、外部15及び内部16を画定する(これらは構造が実質的にない場合もある)。中空ファイバは、任意の多数の方法で流体処理モジュール内に配置される。幾つかの実施形態では、各中空ファイバの外面は供給面を備えており、また、中空ファイバの外部は供給領域を備え、一方、各中空ファイバの内面は透過面を備え、また、中空ファイバの内部は透過領域を備えている。図2に示される実施形態を含む他の実施形態の場合には、各中空ファイバ14の内面は供給面20を備え、また、中空ファイバ14の内部16は供給領域21を備え、一方、各中空ファイバ14の外面は透過面22を備え、また、中空ファイバ14の外部15は透過領域23を備えている。複数の透過性中空ファイバ14は両側の端部要素24,25間で延びている。各中空ファイバ14は、各中空ファイバ14の内部16が流体処理モジュール12の対向する端部、例えば供給端部26及び還流端部27へ向けて開口する状態で、各端部要素24,25内にシール状態で固定されてもよい。供給領域21は、モジュール12の供給端部26及び還流端部27と流体的に連通してもよく、一方、透過領域23はモジュール12の供給端部26及び還流端部27からシールされてもよい。また、透過領域23は、透過性中空ファイバ14を通じた場合を除き、供給領域21から流体的に分離されていてもよい。コアアセンブリ11は例えば各端部要素24,25の中心を貫通して延びていてもよく、また、各端部要素24,25はコアアセンブリ11に対してシールされてもよい。例えば、流体処理モジュールはコアアセンブリの周囲に取り外し不能に装着されてもよく、また、端部要素がコアアセンブリに対して接着又は溶着されてもよく、又は、流体処理モジュール12がコアアセンブリ11の周囲に取り外し可能に装着されてもよく、また、端部要素24,25が例えばOリング28によってコアアセンブリ11に対してシールされてもよい。この場合、各流体処理モジュール12の透過領域23は、コアアセンブリ11に沿って隣接する流体処理モジュール12の透過領域23から流体的に分離され、一方、流体処理モジュール12の供給領域21は互いに流体的に連通されてもよい。
【0010】
[0015]流体処理モジュール12の他の例は、図3A〜図3Cに示されるように、複数のプリーツを有するプリーツ付き流体処理パック30を含んでもよい。プリーツ付き流体処理パックは多種多様な方法で構成され得る。流体のクロスフロー処理のために使用されるプリーツ付き流体処理パックを有する流体処理装置の多くの例のうちの幾つかは、例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる国際公開第00/13767号、第2005/094963号、及び、第2007/38542号に開示されている。図3Cに示されるように、プリーツ付き流体処理パック30は、一方側に供給面20を有し且つ反対側に透過面22を有する透過性流体処理媒体13のシートと、流体処理媒体13の供給面20に沿って延びる供給領域21と、流体処理媒体13の透過面22に沿って延びる透過領域23とを含むものが考えられる。プリーツ付き流体処理パック30は中空の略円筒状の形態を有していてもよく、また、複数のプリーツは、流体処理モジュール12の両端間、例えば、供給端部26と還流端部27との間で軸線方向に延びていてもよい。複数のプリーツは、パック30の内周に沿って谷部を含むとともに、パック30の外周に沿って山部又は頂部を含むとよい。流体処理媒体の供給面は、径方向外側に面して、すなわち、ほぼ外側に向かって面して配置されてもよく、又は、径方向内側に面して、すなわち、円筒状の流体処理パックのほぼ内側に向かって面して配置されてもよい。例えば、図3Cに示されるように、流体処理媒体13の供給面20及び供給領域21は円筒状のプリーツ付き流体処理パック30の外側へ向けて配置され、一方、流体処理媒体13の透過面22及び透過領域23が円筒状のプリーツ付き流体処理パック30の内側へ向けて配置されてもよい。供給領域21は、円筒状の流体処理パック30の供給端部26及び還流端部27の両方と透過領域23とに対して開口してもよく、又は、透過領域23及び流体処理媒体13は、供給端部26及び還流端部27から及び透過性流体処理媒体13を通じた場合を除き供給領域21から透過領域23をシールする任意の様々な接着剤又は非接着封止剤により、供給端部26及び還流端部27の両方でシールされてもよい。コアアセンブリ11は、プリーツの谷部に沿ってプリーツ付き流体処理パック30の中空の中心を通過してもよく、また、パック30の各端部26,27はコアアセンブリ11に対してシールされてもよい。例えば、流体処理モジュールはコアアセンブリの周囲に取り外し不能に装着されてもよく、また、流体処理パックの各端部でシールされる透過領域がプリーツの谷部でコアアセンブリに対して接着されてもよい。又は、流体処理モジュール12がコアアセンブリ11の周囲に取り外し可能に装着されてもよく、また、流体処理パック30の各端部26,27でシールされる透過領域23は例えばOリング28によってプリーツの谷部でコアアセンブリ11に対して更にシールされてもよい。この場合、各流体処理モジュール12の透過領域23は、コアアセンブリ11に沿って隣接する流体処理モジュール12の透過領域23から流体的に分離されてもよく、一方、流体処理モジュール12の供給領域21は互いに流体的に連通されてもよい。
【0011】
[0016]流体処理モジュール12の更なる他の例は、図4に示されるように、螺旋状に巻回された流体処理パック31を含んだものとしてもよい。螺旋状に巻回された流体処理パックは多種多様な方法で構成され得る。螺旋状に巻回された流体処理パックを有する流体処理装置の多くの例のうちの幾つかは、例えばFluid Treatment Arrangements and Methodsと題される2008年4月11日に出願された米国特許出願第12/101392号に開示されており、当該出願は参照することにより本明細書に組み込まれる。図4に示されるように、螺旋状に巻回された流体処理パック31は、一方側に供給面20を有し且つ反対側に透過面22を有する透過性流体処理媒体13のシートと、流体処理媒体13の供給面20に沿って延びる供給領域21と、流体処理媒体13の透過面22に沿って延びる透過領域23とを含む。流体処理パック31は、供給領域21の複数の巻回体と、流体処理媒体13の複数の巻回体と、透過領域23の複数の巻回体とを備える中空の略円筒状の構造を形成するように螺旋状に巻回される。螺旋状に巻回された流体処理パック31の巻回体は、流体処理モジュール12の両端間、例えば、供給端部26と還流端部27との間で延びる。供給領域21の巻回体は、供給端部26及び還流端部27の両方と透過領域23の巻回体とに対して開口し、又は、透過領域23の巻回体及び流体処理媒体13の巻回体は、供給端部26及び還流端部27から及び透過性流体処理媒体13を通じた場合を除き供給領域21から透過領域23をシールする任意の様々な接着剤又は非接着封止剤により、供給端部26及び還流端部27の両方でシールされる。透過領域23の巻回体と流体的に連通するが供給領域21の巻回体からシールされる少なくとも1つの透過液ポートは、透過液除去を容易にするために殆どの巻回体又は全ての巻回体を略径方向に貫通して延びてもよい。透過液ポートは、例えば、内側端部で開口してもよく、また、外側端部でキャップが付けられてもよい。コアアセンブリ11は、最も内側の巻回体に沿って螺旋状に巻回された流体処理パック31の中空の中心を通過してもよく、また、パック31の各端部26,27がコアアセンブリ11に対してシールされてもよい。例えば、流体処理モジュールはコアアセンブリの周囲に取り外し不能に装着されてもよく、また、流体処理パックの各端部でシールされる透過領域は最も内側の1又は複数の巻回体でコアアセンブリに対して接着されてもよい。或いは、流体処理モジュール12はコアアセンブリ11の周囲に取り外し可能に装着されてもよく、また、流体処理パック31の各端部26,27でシールされる透過領域23は例えばOリング28によって最も内側の1又は複数の巻回体でコアアセンブリ11に対して更にシールされてもよい。この場合、各流体処理モジュール12の透過領域23は、コアアセンブリ11に沿って隣接する流体処理モジュール12の透過領域23から流体的に分離されてもよく、一方、流体処理モジュール12の供給領域21は互いに流体的に連通されてもよい。
【0012】
[0017]任意の流体処理モジュールの流体処理媒体は、例えば天然又は合成のポリマー、金属、セラミック、又は、ガラス繊維を含む任意の多数の材料から形成されてもよい。流体処理媒体は、多孔質構造、透過性構造、半透過性構造、又は、選択透過性構造を含む多種多様な透過性構造を成して形成されてもよい。例えば、流体処理媒体は、1つ以上の透過性中空ファイバ;支持された又は支持されない膜シートを含む透過性膜;織った又は不織の繊維シート又はフィラメント状シートを含む透過性繊維構造体;透過性焼結金属シートを含む透過性金属シート;又は、透過性発泡シートを備えてもよい。多くの実施形態において、流体処理媒体が透過性高分子膜を備えていてもよい。流体処理媒体が1つの層又は複数の層を備えていてもよい。流体処理媒体の層は、互いに類似していてもよく又は互いに異なっていてもよく、また、互いに接触していてもよく又は互いに離間されていてもよい。流体処理媒体は、任意の無数の処理特性を有していてもよく、又は、任意の無数の処理特性を有するように改質されてもよい。例えば、流体処理媒体は、逆浸透又はナノ濾過用途のための任意の様々な阻止特性、ナノ濾過又は限外濾過用途のための任意の様々な分画分子量、又は、限外濾過又は精密濾過用途のための任意の様々な除去定格を有してもよい。更に、流体処理媒体は、プラス、マイナス、又は、中性の電位変化を有していてもよく;流体処理媒体は、例えば疎水性又は親水性又は疎油性又は親油性を含む疎液性又は親液性であってもよく;又は、流体処理媒体は、配位子又は流体中で物質に対して化学的に結合できる任意の他の反応性成分などの付加官能基を含んでもよい。
【0013】
[0018]任意の流体処理モジュールの供給領域及び透過領域は、多種多様な方法で構造化されてもよく、また、互いに類似していてもよく又は異なっていてもよい。例えば、一方又は両方の領域は、中空ファイバの内部を含む構造が実質的に無い流れ空間を備えていてもよい。他の例として、一方又は両方の領域は、例えば国際公開第2005/094193号及び第2007/38542号また米国特許出願第12/101392号に開示されるように、スペーサと、スペーサによって形成され且つ構造が実質的に無い流れ空間とを備えていてもよい。流れ空間は、例えば、流体処理媒体の供給面及び/又は透過面の大部分又はほぼ全てに沿って延びる細長い通路を形成してもよい。流れ空間は、流体処理媒体の供給面に沿う供給流体の供給領域を通じた流れ、又は、流体処理モジュールの一方の軸線方向端部から反対側の軸線方向端部へと向かう流体処理媒体の透過面に沿う透過液の透過領域を通じた流れを容易に促進する。更なる他の例として、供給領域及び透過領域のうちの一方又は両方は、流体処理媒体の表面に沿って延びて該表面と接触してもよい多孔質シート材料を備えていてもよい。多孔質シート材料は、流体処理媒体よりも粗くてもよく、また、沿層方向流れ特性、例えば、シート材料の両側の主面と平行で且つ流体処理媒体の供給面又は透過面に沿う多孔質シート材料内での供給流体又は透過液の沿層方向の流れを容易にする沿層方向流れ抵抗を有していてもよい。例えば、多孔質シート材料は、天然又は合成のポリマーから形成されてもよく、また、織った、押出成形された、拡張された、及び/又は、エンボス加工された網を含む不織繊維質のシート又は網、例えばメッシュ又はスクリーンを備えていてもよい。
【0014】
[0019]流体処理装置10は、流体処理モジュール12のうちの少なくとも1つの透過領域23と動作可能に関連付けられる1つ以上の制御機構32を更に含む。制御機構は、1つの流体処理モジュールだけの透過領域に対して流体的に導通されて、そのモジュールの流れパラメータを制御する。或いは、1つの制御機構は、2つ以上の流体処理モジュールからなるグループの透過領域に対して流体的に導通されて、そのグループ内の各モジュールの流れパラメータを制御してもよい。多くの実施形態においては、流体処理装置10が複数の制御機構32を含み、また、図1に示されるように、流体処理モジュール12の透過領域23の大部分又は全てがそれぞれ、対応するモジュール12の透過領域23の流れパラメータを制御するための制御機構32に対して流体的に導通される。例えば、各制御機構32は、唯一の流体処理モジュール12の透過領域23に流体的に導通されてもよい。制御機構によって制御される流れパラメータとしては、例えば、透過性流体処理媒体を通じた透過液流束、膜間差圧、透過領域内の圧力、及び/又は、透過領域内の透過液流に対する抵抗を挙げることができる。
【0015】
[0020]制御機構は、受動素子又は能動素子を含めて、様々に構成され得る。例えば、制御機構は、固定又は可変オリフィス又は毛細管を含む流れ制限開口、又は、調整可能又は可変バルブを含むバルブを備えていてもよい。図1の実施形態では、各制御機構32が固定の流量制限毛細管を備えている。制御機構はまた、任意のこれらの受動素子及び能動素子の組み合わせを備えていてもよい。流体処理装置の制御機構は、互いに同一であってもよく又は異なっていてもよい。多くの実施形態において、制御機構は、コアアセンブリに沿って1つの流体処理モジュール又はモジュールのグループから他のモジュールへ向かう流れのパラメータ間に所定の関係を与えるように構成されてもよい。例えば、制御機構は、互いにほぼ等しいことを含む互いに類似する複数の流体処理モジュールの流体処理媒体を通じた透過液流束を与えるように構成されてもよい。
【0016】
[0021]制御機構は、流体処理モジュールの透過領域に対して様々な方法で流体的に導通され得る。例えば、制御機構は、流体処理モジュールの透過領域と流体的に連通するようにコアアセンブリと物理的に関連付けられてもよい。コアアセンブリは、制御機構に対応するように多くの異なる方法で構成されてもよい。
【0017】
[0022]例えば、図1に示されるように、コアアセンブリ11は、長手方向透過液流路33を含んでいてもよい。長手方向流路33は、一定の又は変動する直径を有していてもよく、コアアセンブリ11の一方の軸線方向端部で閉じられ且つ他方の軸線方向端部で開口していてもよく、また、流体処理モジュール12の透過領域23と流体的に連通するコアアセンブリ11内の唯一の長手方向流路であってもよい。長手方向流路33は、コアアセンブリ11の壁34を通じて透過領域23と流体的に連通してもよい。例えば、コアアセンブリ11の壁34は、長手方向流路33と、流体処理モジュール12の透過領域23、例えば、図2の中空ファイバ14の外部15、図3Cのプリーツ付き流体処理パック30のプリーツの透過領域23の内部、又は、図4の螺旋状に巻回された流体処理パック31の透過領域23の透過液ポートの内側端部又は最も内側の1又は複数の巻回体との間を流体的に連通する軸線方向に離間する開口35又は開口35の組を有していてもよい。制御機構32、例えば固定毛細管は、モジュール12の透過領域23における1つ以上の流れパラメータを制御するために、流体処理モジュール12の透過領域23と長手方向流路33との間に各制御機構32を流体的に導通するコアアセンブリ11の壁34の開口35内に装着されてもよい。図1の実施形態において、各制御機構32は、1つだけの流体処理モジュール12の透過領域23と流体的に連通してもよく、また、そのモジュール12の透過領域23における1つ以上の流れパラメータを制御する。
【0018】
[0023]コアアセンブリ11と物理的に関連付けられる複数の制御機構32を有する流体処理装置10の他の例が図5に示されている。図5の流体処理装置10の多くの特徴は、図1の流体処理装置の特徴に類似しており、そのため、同じ参照符号を有している。しかしながら、コアアセンブリは複数の透過液流路を含んでいてもよく、各透過液流路は、流体処理モジュールの透過領域に流体的に導通されるとともに、互いに流体的に分離される。例えば、コアアセンブリ11は、コアアセンブリ11の同じ軸線方向端部に対して開口する複数の長手方向透過液流路33a−eを含んでいてもよい。コアアセンブリ11は、それぞれが長手方向流路33a−eのうちの1つからコアアセンブリ11の壁34の外部へと延びる複数の略径方向透過液流路36a−eを更に含んでいてもよい。コアアセンブリ11の外部で、各径方向流路36a−eが流体処理モジュール12の透過領域23と流体的に連通してもよい。図5の実施形態において、各長手方向流路33a−eは、流体処理モジュール12の透過領域23と長手方向流路33a−eとの間に流体的に導通される1つ以上の径方向流路36a−eを介して1つだけの流体処理モジュール12の透過領域23と流体的に連通する。他の実施形態では、2つ以上の流体処理モジュールからなるグループの透過領域と流体的に連通する2つ以上の軸線方向に離間される径方向流路が単一の長手方向流路に流体的に導通され、それにより、流体処理モジュールのグループが同じ長手方向流路と流体的に連通できるようにしてもよい。制御機構32は、対応する流体処理モジュール12の透過領域23における流れパラメータを制御するために、長手方向流路33a−e内又は径方向流路36a−e内に配置されてもよい。例えば、制御機構32、例えば固定毛細管が各長手方向流路33a−eの端部に配置されてもよい。この場合、各制御機構32は、透過領域23における1つ以上の流れパラメータを制御するために、対応する長手方向流路33a−e及び径方向流路36a−eを介して流体処理モジュール12の透過領域23と流体的に連通する。長手方向流路33a−eの端部から、複数の制御機構32がコアアセンブリ11の端部で共通の透過液出口37と流体的に連通してもよい。他の実施形態では、流体的に分離された透過液流路、例えば長手方向流路が、制御機構を伴うことなく、コアアセンブリの端部で終端してもよい。別個の構造体、例えば、制御機構を含むキャップが、制御機構がそれぞれ長手方向透過液流路の端部と流体的に連通した状態でコアアセンブリの端部に装着、例えば取り外し可能に装着されてもよい。
【0019】
[0024]流体処理装置10は、複数の流体処理モジュール12を収容するハウジングアセンブリ40を更に含んでいてもよい。ハウジングアセンブリは、プロセスパラメータ、例えば処理されるべき流体の圧力及び温度及び化学組成に適合する任意の不浸透性材料、例えば金属材料又は高分子材料から形成されるとよい。ハウジングアセンブリは、任意の多数の方法で構成されてもよく、また、流体処理モジュールを取り外し不能に収容して、例えば使い捨て可能な流体処理装置を形成してもよく、又は、流体処理モジュールを取り外し可能に収容して、使用済みの流体処理モジュールを新しい又は洗浄されたモジュールと交換できるようにしてもよい。ハウジングアセンブリが任意の多数の方向に向けられてもよく、例えば、ハウジングの軸線が垂直に延びて、透過液出口ポートが上端及び/又は下端に向けられるなどしてもよい。
【0020】
[0025]ハウジングアセンブリ40の多くの例のうちの1つが図1及び図5に示されている。ハウジングアセンブリ40は、流体処理モジュール12の全てにわたって延びてこれらを取り囲むシェル41を含んでいてもよい。各モジュール12がシェル41に対して様々な方法でシールされてもよい。例えば、各モジュール12は、モジュール12がOリング28によりコアアセンブリ11に対してシールされる方法と類似する態様で、Oリング42によりモジュール12の端部でシェル41に対してシールされてもよい。ハウジングアセンブリ40は、シェル41の一端に対して取り外し不能に又は取り外し可能にシールされる入口ピース43と、シェル41の他端に対して取り外し不能に又は取り外し可能にシールされる出口ピース44と、供給又はプロセス入口ポート45、還流液又は濃縮液出口ポート46、及び、透過液又は濾過液出口ポート47を含む複数のポートとを更に含んでいてもよい。ハウジングアセンブリは、排出、通気、又は、洗浄のためのポートを含む更なるポートを含んでいてもよい。これらのポートは、任意の多種多様な取付具を備えていてもよく、また、任意の多数の位置でハウジングアセンブリに位置決めされてもよい。図1及び図5の実施形態において、入口ピース43は、最初の流体処理モジュール12の供給端部26と流体的に連通する供給入口ポート45を含んでいてもよく、また、出口ピース44は、最後の流体処理モジュール12の還流端部27と流体的に連通する還流液出口ポート46と、コアアセンブリ11の透過液流路33,33a−eと流体的に連通する透過液出口ポート47とを含んでいてもよい。ハウジングアセンブリがポート間に流体流路を形成してもよく、また、流体処理モジュールがハウジングアセンブリ内において流体流路内に配置されてもよい。例えば、流体処理モジュール12は、モジュール12の供給領域21が供給入口ポート45と還流液出口ポート46との間の第1の流体流路内で直列をなした状態で且つ供給領域21、透過性流体処理媒体13、透過領域23、及び、制御機構32が供給入口ポート45と透過液出口ポート47との間の第2の流体流路内で並列をなした状態で、ハウジングアセンブリ40内に配置されてもよい。
【0021】
[0026]流体は、本発明を具現化する流体処理装置及び方法によって任意の多数の方法で処理されてもよい。一動作形態では、供給流体が、最初の流体処理モジュールの供給端部にある供給領域へと方向付けられるとともに、この供給領域を通じて還流端部へと向けられ、この還流端部で供給流体が最初のモジュールから流出する。その後、供給流体は、後続の流体処理モジュールの供給端部にある供給領域へと入り、この供給領域を通じて還流端部へと向けられ、この還流端部で供給流体が後続のモジュールから流出する。供給流体は、該供給流体が最後の流体処理モジュールの還流端部から還流液として流出するまで、それぞれの後続の流体処理モジュールの供給端部から供給領域を通じて還流端部へと通過し続けてもよい。例えば、図1に示されるように、供給流体は、供給入口ポート45を介して流体処理装置10内に入って、ハウジングアセンブリ40により第1の流体流路に沿って供給端部26の供給領域21へと方向付けられ、それから、供給領域21を通じて、それぞれの後続の流体処理モジュール12の還流端部27へと方向付けられてもよい。各流体処理モジュール12の還流端部27では、供給流体が隣接するモジュール12の端部27,26間の空間に入り込み、その後、隣接するモジュール12の供給端部26に入ってもよい。ハウジングアセンブリ40と流体処理モジュール12との間のシール42、コアアセンブリ11とモジュール12との間のシール28、及び、透過領域23のシールされた端部は、供給流体が供給領域21を迂回すること又は透過領域23に入り込むことを阻止する。供給流体は、最後の流体処理モジュール12の還流端部27から、還流液出口ポート46を介して還流液としてハウジングアセンブリ40から流出する。
【0022】
[0027]供給流体が各流体処理モジュール12の供給領域21を通じて流れる際には、該供給流体は、透過性流体処理媒体13の供給面20に沿って接線方向で流れ、また、媒体13の供給面20を含む供給面20の近傍に剪断を引き起こす場合がある。剪断の大きさは、例えば供給領域の寸法、供給流体の特性、例えば供給流体の粘性及び性質、例えば任意の浮遊物質のサイズ、形状及び/又は量、及び、所望の動作パラメータ、例えばクロスフロー差圧及び流量を含む多くの因子によって決まる。より高い剪断、例えば少なくとも約10,000sec−1又は少なくとも約50,000sec−1又は少なくとも約100,000sec−1の剪断速度を生み出す剪断又は少なくとも約1パスカル又は少なくとも約50パスカル又は少なくとも約500パスカルの剪断応力を生み出す剪断は、供給流体の処理を非常に促進させる。例えば、高い剪断は、流体処理媒体13の供給面20におけるゲル層を減少させ又は排除することができ、それにより、透過スループットが向上し及び/又は流体処理モジュール12の耐用年数が延びる。また、高い剪断は、例えば米国特許第6,478,969B2号に開示されるように、流体処理媒体13を通過できる十分小さい種の分離を行なうことができる。しかしながら、高い剪断を生み出すことは、流体処理モジュール12の流体処理媒体13の供給面20に沿う供給流体の急速な流れを伴う場合がある。また、供給流体の急速な流れは、図6に示されるように、最初の流体処理モジュール12の供給端部26と最後のモジュール12の還流端部27との間の供給領域21に沿う供給側圧力の大きなクロスフロー差圧を伴う場合がある。複数の流体処理モジュール12は、このクロスフロー差圧を、各モジュール12の供給端部26と還流端部27との間の更に小さい増分へと分ける。一般に、望まれる剪断が高い場合には、流体処理モジュール12を短くして、各モジュール12の供給端部26から還流端部27へのクロスフロー差圧増分を減少させればよい。例えば、各流体処理モジュール12及び対応する供給領域21の供給端部26から還流端部27までの有効軸線方向長さは、モジュールの端部の任意の埋め込み化合物又は他の封止剤の侵入深さを除き、約1cm以下〜約100cm以上の範囲内であってもよい。幾つかの実施形態において、上記長さは約3cm以下〜約10cm以上の範囲内であってもよい。他の実施形態において、上記長さは約10cm以下〜約20cm以上又は約30cm以上又は約50cm以上の範囲内であってもよい。モジュール12の長さとクロスフロー差圧増分は、流体処理装置10内で、互いにほぼ等しくてもよく又は互いに異なっていてもよい。流体処理装置における流体処理モジュールの数及びモジュールの長さは、流体処理装置間で互いに異なっていてもよく、また、例えば流体処理装置の所望のクロスフロー差圧及び流体処理モジュールの所望のクロスフロー差圧増分にしたがって決定されてもよい。
【0023】
[0028]供給流体が各流体処理モジュール12の供給領域21に沿って通過する際には、供給流体の一部が流体処理媒体13を通じて供給面20から透過面22へと第2の流体流路に沿って透過液として通過して各モジュール12の透過領域23へと流れ込む場合がある。流体が流体処理媒体13を通じて及び/又は流体処理媒体13に沿って通過する際には、流体が媒体13の流体処理特性にしたがって任意の多種多様な方法で処理されてもよい。透過液は、各流体処理モジュール12の透過領域23からコアアセンブリ11内へ流れ込んだ後、透過液出口ポート47を介してハウジングアセンブリ40から流出する。
【0024】
[0029]透過液は、少なくとも1つの流体処理モジュールの透過領域から、モジュールの透過流域における流れパラメータを制御するために透過領域に流体的に導通された制御機構を通過してもよい。多くの実施形態において、透過液は、複数の流体処理モジュールのそれぞれの透過領域から、各モジュールの透過領域における流れパラメータを制御するための複数の制御機構を通過してもよい。例えば、透過液は、図1に示されるように、各流体処理モジュール12の透過領域23からほぼ内側へ第2の流体流路に沿ってコアアセンブリ11の壁34の開口35内の制御機構32を通過し、コアアセンブリ11の単独の長手方向透過液流路33内に流れ込んでもよい。透過液は、長手方向流路33から、透過液出口ポート47を介して、流体処理装置10のハウジングアセンブリ40から流出してもよい。又は、図5に示されるように、透過液は、各流体処理モジュール12の透過領域23からほぼ内側へと第2の流体流路に沿って通過して、その透過領域23に流体的に導通されるコアアセンブリ11の径方向透過液流路36a−e内へ流れ込むことができる。透過液は、各径方向流路36a−eから、長手方向流路33a−e内に流れ込み、長手方向流路33a−eの端部にある対応する制御機構32を通過する。全ての長手方向流路33a−eからの透過液は、制御機構32から、透過液出口ポート47を介して流体処理装置10のハウジングアセンブリ40から流出することができる。
【0025】
[0030]制御機構は、1つ以上の流体処理モジュールの透過領域における1つ以上の流れパラメータを多種多様な方法で制御してもよい。多くの実施形態において、制御機構は、流体処理装置内での1つの流体処理モジュールから他の流体処理モジュールへの流れパラメータの所定の関係を与えるようになっていてもよい。例えば、供給流体は、最初の流体処理モジュール12の供給端部26に第1の圧力で流入して、最後のモジュール12の還流端部27から第2の更に低い圧力で流出し、それにより、図6に示されるよう給側圧力にクロスフロー差圧を生み出すことができる。複数の流体処理モジュール12の供給領域21内の供給流体の圧力は、一連の流体処理モジュールを通じて次第に減少、例えば直線的に減少し、それにより、各モジュール12の供給端部26と還流端部27との間にクロスフロー差圧増分がもたらされる。制御機構32は、クロスフロー圧力がモジュール12間で減少する場合であっても、流体処理装置10内の流体処理モジュール12間で膜間差圧及び/又は流体処理モジュール12内の同様の透過液流束に小変動を与えるようにしてもよい。例えば、制御機構32は、流体処理装置10の各流体処理モジュール12内の透過液流束が全てのモジュール12の透過液流束の平均の約5倍を超えることができない、又は、約2倍を超えることができない、又は、約1.5倍を超えることができないようにしてもよい。更に、制御機構32は、ほぼ同じ透過液流束をモジュール12内に与えるようになっていてもよい。幾つかの実施形態においては、制御機構が互いに次第に異なっており、それにより、隣接する流体処理モジュール12内で最初のモジュール12から最後のモジュール12へと制御機構を流通する透過液が次第に減少するように連続的に制限され、その結果、透過側圧力がモジュール12からモジュール12へと流体処理装置10に沿って減少されてもよい。例えば、毛細管の長さ及び/又は直径が次第に異なり、それにより、連続するモジュール12の透過領域23内の透過液の流れが連続的に制限されてもよい。この場合、制御機構32は、モジュール12間であまり変化しない、例えばより均一な膜間差圧及び対応する透過液流束を与えてもよい。制御機構32は、クロスフロー差圧、剪断速度又は剪断応力を含む上流側クロスフロー剪断、供給流体及び/又は透過液の粘度及び速度、及び、流体処理媒体の性質及びファウリング量を含む多くの因子にしたがって流れパラメータのこの所定の関係を与えるようになっていてもよく、例えば、そのように毛細管が寸法付けられてもよい。
【0026】
[0031]多くの利点は、本発明の1つ以上の態様を具現化する流体処理装置及び方法と関連付けられる。例えば、流体処理装置10の流体処理モジュール12における流れパラメータを制御することにより、モジュール12間での膜間差圧及び透過液流束の小変動を含む流れパラメータの様々な有益な所定の関係を流体処理装置10によって与えることができる。これらの変動の減少は、流体処理モジュール12間で、流体処理媒体を通じたより均一な透過液流束をもたらすとともに、流体処理媒体の不均一なファウリングを少なくし、また、流体処理装置のスループットを高め及び/又は耐用年数を延ばす。
【0027】
[0032]以上、本発明の様々な態様を幾つかの実施形態に関して説明及び/又は図示してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、本発明の1つ以上の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく変更されてもよい。例えば、各流体処理モジュールは、モジュールの内部に例えば中空ファイバに沿って又はプリーツ付き流体処理パック又は螺旋状に巻回される流体処理パックの内周に沿って配置されるコア、及び/又は、モジュールの外部に沿って例えば中空ファイバの周囲又はプリーツ付き流体処理パック又は螺旋状に巻回される流体処理パックの外周の周りに配置されるハウジングを含んでいてもよい。この場合、流体処理装置は、連続する流体処理モジュールのコア同士を取り外し不能に又は取り外し可能に接続してコアアセンブリを形成することにより及び/又は連続する流体処理モジュールのハウジング同士を取り外し不能に又は取り外し可能に接続してハウジングアセンブリを形成することにより組み付けられてもよい。
【0028】
[0033]本発明を具現化する流体処理装置は、多くの他の方法で変更されてもよい。例えば、幾つかの実施形態は、コアアセンブリに対して物理的に装着されず例えばコアアセンブリを貫通して延びる又はコアアセンブリから延びる個々のパイプ又は導管によってコアアセンブリの外部にある流体処理モジュールの透過領域に対して流体的に導通される制御機構を含んでいてもよい。また、幾つかの実施形態において、制御機構は、センサ、アクチュエータ、及び、1つ以上のコントローラを更に含んでもよい動的制御システムの一部であってもよい。例えば、コントローラに結合されるセンサは、流体処理モジュールからの透過液又は還流液を監視してもよく、また、コントローラは、モジュールの流れパラメータの関係を維持又は変えるように制御機構を調整してもよい。
【0029】
[0034]したがって、本発明は、本明細書中で説明及び/又は図示した特定の実施形態に制限されず、請求項の範囲内に入り得る全ての実施形態及び変形を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体処理モジュールと、前記複数の流体処理モジュールを貫通して延びるコアアセンブリと、1つ以上の制御機構を備える流体処理装置であって、
前記流体処理モジュールの各々が、
供給面と反対側の透過面とを有する透過性流体処理媒体と、
前記流体処理媒体の前記供給面に沿って延びる供給領域と、
前記流体処理媒体の前記透過面に沿って延びる透過領域と
を含み、
前記流体処理モジュールの各々が、
前記供給領域に流体的に導通され且つ前記透過領域からシールされる供給端部と、
前記供給領域に流体的に導通され且つ前記透過領域からシールされる還流端部と
を更に含み、
前記流体処理モジュールが、互いに流体的に導通され、
1つの前記流体処理モジュールの還流端部が、後続の流体処理モジュールの供給端部と流体的に連通し、
前記コアアセンブリが、前記流体処理モジュールの前記透過領域と流体的に連通する1つ以上の透過液通路を有し、
前記制御機構が、少なくとも1つの前記流体処理モジュールの前記透過領域に対して流体的に導通され、もって該流体処理モジュールの前記透過領域における流れパラメータを制御するようになっている、流体処理装置。
【請求項2】
前記複数の流体処理モジュールに沿って軸線方向に延びて該流体処理モジュールを取り囲む円筒部を含むハウジングアセンブリを更に備える、請求項1に記載の流体処理装置。
【請求項3】
長手方向軸線を有するコアアセンブリと、該コアアセンブリに対して装着され且つ前記コアアセンブリに沿って軸線方向に配置される複数の流体処理モジュールと、1つ以上の制御機構とを備える流体処理装置であって、
前記流体処理モジュールの各々が、
供給面と反対側の透過面とを有する透過性流体処理媒体と、
前記流体処理媒体の前記供給面に沿って延びる供給領域と、
前記流体処理媒体の前記透過面に沿って延びる透過領域と、
前記供給領域に流体的に導通され且つ前記透過領域からシールされる供給端部と、
前記供給領域に流体的に導通され且つ前記透過領域からシールされる還流端部と
を含み、
前記複数の流体処理モジュールが、前記コアアセンブリに沿って流体的に導通され、
1つの前記流体処理モジュールの還流端部が、後続の流体処理モジュールの供給端部と流体的に連通し、
前記制御機構が、前記コアアセンブリを介して少なくとも1つの前記流体処理モジュールの前記透過領域に対して流体的に導通され、もって該流体処理モジュールの前記透過領域における流れパラメータを制御するようになっている、流体処理装置。
【請求項4】
前記各流体処理モジュールの前記供給領域、前記流体処理媒体、及び、前記透過領域を取り囲むハウジングアセンブリを更に備える、請求項3に記載の流体処理装置。
【請求項5】
前記1つ以上の制御機構が、複数の制御機構を備え、
前記制御機構の各々が、1つの流体処理モジュールの透過領域に対して流体的に導通され、もって該流体処理モジュールの前記透過領域における流れパラメータを制御するわうになっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体処理装置。
【請求項6】
前記各制御機構が、1つだけの前記流体処理モジュールの前記透過領域に流体的に導通される、請求項5に記載の流体処理装置。
【請求項7】
前記1つ以上の制御機構が、前記コアアセンブリと物理的に関連付けられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体処理装置。
【請求項8】
前記1つ以上の制御機構が、前記複数の流体処理モジュールのそれぞれに流体的に導通される複数の制御機構を備え、
前記制御機構が、前記流体処理モジュールの全てにおける透過液流束の平均の約5倍を超えない透過液流束を前記各流体処理モジュール内に与える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体処理装置。
【請求項9】
前記コアアセンブリが、略長手方向通路を有し、
前記1つ以上の制御機構のそれぞれが、前記流体処理モジュールの前記透過領域と前記コアアセンブリ内の前記長手方向通路との間に流体的に導通される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体処理装置。
【請求項10】
前記1つ以上の制御機構が、複数の制御機構を備え、
前記コアアセンブリが、互いに流体的に分離される複数の透過液通路を含み、
前記透過液通路の各々が、前記流体処理モジュールの前記透過領域に流体的に導通され、
前記制御機構の各々が、前記透過液通路に流体的に導通される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体処理装置。
【請求項11】
前記複数の制御機構が、前記コアアセンブリの外部に配置される、請求項10に記載の流体処理装置。
【請求項12】
流体を処理する方法において、
複数の流体処理モジュールの透過性流体処理媒体の供給領域を通じて且つ前記媒体の供給面に沿って供給流体を通過させるステップであって、供給流体を1つの流体処理モジュールの還流端部にある供給領域から後続の流体処理モジュールの供給端部にある供給領域へと方向付けることを含むステップと、
前記各流体処理モジュールにおいて、前記供給領域内の供給流体の一部を前記流体処理媒体の前記供給面から透過性流体処理媒体を通じて前記流体処理媒体の前記透過面へと透過液として通過させて前記透過流域へと流入させるステップと、
前記透過液を、前記各流体処理モジュールの前記透過領域から、前記複数の流体処理モジュールを貫通して延びるコアアセンブリへと該コアアセンブリに沿って軸線方向に通過させるステップと、
前記透過液を、前記少なくとも1つの流体処理モジュールの透過領域から、前記透過領域に流体的に導通される制御機構に通過させるステップであって、前記少なくとも1つのモジュールの前記透過領域における流れパラメータを制御することを含むステップと、
を備える方法。
【請求項13】
透過液を透過領域から制御機構に通過させる前記ステップが、透過液を、前記流体処理モジュールのそれぞれの前記透過領域から、前記コアアセンブリに装着され且つ前記透過領域に流体的に導通される制御機構に通過させる工程であって、前記各流体処理モジュールの前記透過領域における流れパラメータを制御することを伴う工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
透過液を制御機構に通過させる前記ステップが、前記複数の流体処理モジュールの前記流体処理媒体を通じた透過液流束の平均の約5倍を超えない透過液流束を前記各流体処理モジュールの前記流体処理媒体を通じて与える工程を含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
透過液を制御機構に通過させる前記ステップが、互いにほぼ等しい透過液流束を前記複数の流体処理モジュールの前記流体処理媒体を通じて与える工程を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−42404(P2010−42404A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−170362(P2009−170362)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【Fターム(参考)】