説明

流体制御装置

【課題】 ライン支持部材の位置決めを容易にすることで、組立て時間の短縮化を可能とするとともに、流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる流体制御装置を提供する。
【解決手段】 ベース部材30は、上横枠部材31および下横枠部材32とこれらに直交する左右縦枠部材33,34とによって方形の枠状に形成されている。各横枠部材31,32に、各ライン支持部材40を位置決めするための位置決め部が設けられて、各ライン支持部材40の上下端部は、各横枠部材31,32の位置決め部によって位置決めされた状態で、各横枠部材31,32とベース部材30に着脱可能に取り付けられた上下カバー部材37,38との間に挟持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体製造装置等に使用される流体制御装置に関し、特に、複数の流体制御機器が集積化されて形成される流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置で使用される流体制御装置においては、複数の流体制御機器が直列状に配されてパイプや継手を介さずに接続されることによって形成された複数のラインをベース部材上に並列状に設置するという集積化が進んでいる。集積化流体制御装置は、筐体内に垂直状態で設置されることが多く、特許文献1には、このような流体制御装置として、複数の流体制御機器が1つの可動レール(ライン支持部材)に取り付けられることで形成されたラインを複数有しており、複数のラインの各可動レールがこれらと直交する方向を向いた固定レール(ベース部材)に摺動可能に取り付けられているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−204090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の流体制御装置によると、複数の流体制御機器を可動レールに予め組み付けておくことで、筐体内の作業としては、可動レールを固定レールに取り付けるだけでよく、ラインの増設(変更を含む)が容易に行えるという利点を有している。
【0005】
しかしながら、可動レールの位置決めと締結方法に際し、位置決めと締結を同時に行うため、可動レール(ライン支持部材)を位置決めするのに時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、ライン支持部材の位置決めと固定を締結部材(ボルト等)だけで同時に行っているため、締結部材(ボルト)に複数の大きな応力(引張り応力やせん断応力など)が掛かる構造であった。
【0007】
さらに、可動レールの端部が固定レールに重ねられることから、流体制御機器を支持する部分の高さが可動レール(ライン支持部材)の高さ+固定レール(ベース部材)の高さとなり、これに流体制御機器を加えた流体制御装置の高さが高いものとなり、これを収納するためのスペース(筐体)が大きくなるという問題もあった。
【0008】
この発明の目的は、ライン支持部材の固定を容易にすることで、組立て時間の短縮化を可能とすることができる流体制御装置を提供することにある。
【0009】
また、この発明の他の目的は、流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による流体制御装置は、複数の流体制御機器が1つのライン支持部材に取り付けられ、複数のライン支持部材がベース部材に着脱可能に取り付けられている流体制御装置において、ベース部材は、上横枠部材および下横枠部材とこれらに直交する左右縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各横枠部材に、各ライン支持部材を位置決めするための位置決め部が設けられて、各ライン支持部材の上下端部は、各横枠部材の位置決め部によって位置決めされた状態で固定されることを特徴とするものである。
【0011】
この明細書において、流体制御機器が取り付けられたライン支持部材を流体制御機器を手前にして取り付けた状態(図9)を正面図として、正面・背面および上下・左右は、これを基準にしていうものとする。この状態は、流体制御装置の典型的な設置状態であるが、この発明の流体制御装置は、この設置状態に限られるものではなく、方形の枠状に形成されたベース部材が垂直(Y方向)となるように設置されることがあり、また、方形の枠状に形成されたベース部材が水平(X方向,Z方向)となるように設置されることもある。また、垂直状態で設置される場合、上横枠部材が左右いずれか一方に、下横枠部材が同他方に、各ライン支持部材が上下に平行となる並列状に配置されることもある。
【0012】
各ライン支持部材の各横枠部材への固定は、例えば、両部材の嵌め合いによって行ってもよく、別途の部材(例えばカバー部材)を使用して行ってもよい。
【0013】
各ライン支持部材は、各横枠部材とベース部材に着脱可能に取り付けられた上下カバー部材との間に挟持されていることが好ましい。
【0014】
各横枠部材の位置決め部は、例えば、各横枠部材の上面に形成された凹部とされ、各ライン支持部材は、その上下端部が各横枠部材の凹部に嵌め合わされることによって位置決めされる。位置決めのための構成は、これに限定されるものではなく、各横枠部材の位置決め部を凸部として、各ライン支持部材の上下端部にこれに嵌まり合う凹部を設けるようにしてもよい。
【0015】
各横枠部材には、その少なくとも両端部にねじ孔が設けられ、カバー部材は、その両端部におねじ部材挿通孔が形成されて、おねじ部材によって、着脱可能に横枠部材に取り付けられていることが好ましい。
【0016】
各ライン支持部材は、例えば、本体部分が断面逆U字状の板金製とされる。各横枠部材は、例えば、断面が略コの字状の板金製やステンレス鋼などの金属製フラットバーとされる。横枠部材が断面略コの字状の場合には、背面側に開口するように配置されて、その上壁に凹部が形成されることが好ましい。縦枠部材は、例えば、本体部分が断面逆U字状の板金製とされる。カバー部材は、例えば、断面が略L字状の板金製とされる。
【0017】
流体制御機器としては、開閉弁(流体通路の遮断・開放を行う弁)、減圧弁、圧力および流量の測定および表示器、流量調整器(流量制御弁、マスフローコントローラのような熱式質量流量制御装置や圧力式流量制御装置等)などが使用される。
【0018】
1つのラインは、例えば、下段層となる複数のブロック状継手部材がおねじ部材によってライン支持部材に取り付けられ、隣り合う継手部材にまたがるように上段層となる複数の流体制御機器が上方からのおねじ部材によって継手部材に取り付けられる。このようにすると、上方からのおねじ部材を外すことにより、上段層の流体制御機器を単独で上方に取り出すことができる。1つのラインの構成は、下段層と上段層とからなるものに限られるものではなく、種々の構成を採用することができる。
【0019】
この流体制御装置を組み立てるには、所要の流体制御器が取り付けられたライン支持部材を順次位置決めして固定していく(各ライン支持部材をボルトなどで固定する作業は無し)。
【0020】
カバー部材を使用する場合には、すべてのライン支持部材を位置決めした後、上下のカバー部材をボルトなどでベース部材(横枠部材または縦枠部材)に固定すればよい。
【0021】
このようにすると、ライン支持部材の自重を上横枠部材によって支持することができ、作業者への重量の負担が軽減され、作業の手間や作業時間が軽減されるとともに、各ライン支持部材を固定するため手間が解消し、組立て時間の大幅な短縮化が可能となる。
【0022】
各ライン支持部材は、平板状の機器載置部と、その上端側において背面側に折り曲げられた上折曲げ部とを有し、機器載置部の上下端部が各横枠部材の正面に当接させられ、上折曲げ部が上横枠部材の上面に当接させられていることが好ましい。
【0023】
このようにすると、ライン支持部材の上折曲げ部が上横枠部材の上面で受けられることで、ライン支持部材の自重が上横枠部材によって支持されるとともに、流体制御装置における流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる。
【0024】
各ライン支持部材の上折曲げ部に、下方にのびる凸部が設けられて、上横枠部材の上面に、上折曲げ部の凸部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されていることが好ましい。
【0025】
上折曲げ部の凸部は、例えば、上折曲げ部の背面側端部が下側に直角に折り曲げられるとともに、その左右幅が短くなされたものとされる。凸部の形状は、種々の形状とすることが可能であり、これに合わせて、上横枠部材の凹部の形状が決められる。
【0026】
このようにすると、各ライン支持部材の位置決めに際し、上折曲げ部の凸部を上横枠部材の凹部に上方から(自重を利用して)嵌め合わせればよいので、各ライン支持部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0027】
上横枠部材の凹部は、ライン支持部材の配置のピッチよりも小さい間隔で設けられており、複数の凹部を1つ置き、2つ置きなどで使用してライン支持部材を位置決めすることができるようになされていることがより好ましい。
【0028】
各ライン支持部材は、機器載置部の左右両縁において背面側に折り曲げられた左右折曲げ部をさらに有しており、下横枠部材の上面に、左右折曲げ部の下端部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されていることが好ましい。
【0029】
左右折曲げ部は、その上下端部が切り欠かれて、機器載置部の上下長さよりも上下長さが短くされ、機器載置部の上下端部が上下横枠部材の上面に当接した際および上折曲げ部の凸部を上横枠部材の凹部に上方から嵌め合わす際のいずれにおいても、上下横枠部材に干渉しない形状とされる。
【0030】
このようにすると、左右折曲げ部によって機器載置部を補強することができるとともに、この折曲げ部を利用しての位置決めが可能となり、各ライン支持部材の強度を確保して、かつ構成を簡素化することができる。
【0031】
下横枠部材の凹部の左右方向の幅は、下横枠部材の1つの凹部内に隣り合うライン支持部材の一方の左折曲げ部と他方の右折曲げ部との両方が嵌め入れ可能な大きさとされていることが好ましい。
【0032】
具体的には、下横枠部材の凹部の左右方向の幅=各ライン支持部材の板厚の2倍とすればよい。このようにすると、隣り合うライン支持部材を隙間なく配置することができ、各ライン支持部材のガタを抑えることができるとともに、装置の左右方向の全幅を小さくすることができる。
【0033】
下横枠部材の凹部についても、ライン支持部材の配置のピッチよりも小さい間隔で設けられており、複数の凹部を1つ置き、2つ置きなどで使用してライン支持部材を位置決めすることができるようになされていることが好ましい。また、上横枠部材の凹部の左右方向の幅が上横枠部材の凹部の左右方向の幅に等しくされていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0034】
この発明の流体制御装置によると、ベース部材は、上横枠部材および下横枠部材とこれらに直交する左右縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各横枠部材に、各ライン支持部材を位置決めするための位置決め部が設けられて、各ライン支持部材の上下端部は、各横枠部材の位置決め部によって位置決めされた状態で固定されるので、各ライン支持部材の位置決め時には、ボルトなどによる固定作業は不要であり、組立て時間の大幅な短縮化が可能となる。
【0035】
また、各横枠部材とベース部材に着脱可能に取り付けられた上下カバー部材との間に各ライン支持部材が挟持されている構成とすることで、ライン支持部材と各横枠部材との位置決め構造(例えば凸部と凹部との嵌め合わせによる位置決め)と固定構造(上下カバー部材でライン支持部材を固定する構造)とが分けられ、これにより、上下カバー部材を取り付けるためのおねじ部材に掛かる応力は、上下カバー部材でライン支持部材を固定する際に発生する応力のみとなり、おねじ部材に対して不要な応力が掛からないものとできる。
【0036】
そして、各ライン支持部材は、平板状の機器載置部と、その上端側において背面側に折り曲げられた上折曲げ部とを有し、機器載置部の上下端部が各横枠部材の正面に当接させられ、上折曲げ部が上横枠部材の上面に当接させられていることで、流体制御装置における流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、この発明による流体制御装置の実施形態の要部をカバー部材を省略して示す斜視図である。
【図2】図2は、この発明による流体制御装置の実施形態の要部をカバー部材を含めて示す斜視図である。
【図3】図3は、この発明による流体制御装置のライン支持部材を示すもので、(a)は一部切欠き正面図、(b)は同側面図、(c)は同斜視図である。
【図4】図4は、この発明による流体制御装置で使用されている上横枠部材を示す図で、(a)は一部切欠き平面図、(b)は(a)のb−b線に沿う断面図、(c)は一部切欠き正面図である。
【図5】図5は、この発明による流体制御装置で使用されている下横枠部材を示す図で、(a)は一部切欠き平面図、(b)は(a)のb−b線に沿う断面図、(c)は一部切欠き正面図である。
【図6】図6は、この発明による流体制御装置で使用されている下カバー部材を示す図で、(a)は一部切欠き平面図、(b)は(a)のb−b線に沿う断面図、(c)は一部切欠き正面図である。
【図7】図7は、各ライン支持部材と各横枠部材との位置決めの構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、この発明による流体制御装置の要部の一部切欠き垂直断面図である。
【図9】図9は、この発明による流体制御装置の比較例を示す正面図である。
【図10】図10は、同側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0039】
以下の説明において、上下・左右は図9の上下・左右をいうものとし、前後(正面および背面)については、図9の紙面表側を前(正面)、図9の紙面裏側を後(背面)というものとする。
【0040】
図9および図10に、この発明が対象とする流体制御装置の1例(比較例)を示す。
【0041】
流体制御装置(1)は、下段層となる複数のブロック状継手部材(4)がライン支持部材(3)に取り付けられ、隣り合う継手部材(4)にまたがるように上段層となる複数の流体制御機器(5)が継手部材(4)に取り付けられていることで形成されたラインを複数有しており、各ライン支持部材(3)が互いに平行となるようにベース部材(2)に着脱可能に取り付けられている。なお、各流体制御機器(5)は、それぞれ異なる機能を有しているものであるが、公知のものであるので、符号(5)で総称し、個別の説明は省略する。
【0042】
ベース部材(2)は、例えば筐体の垂直な壁面などに固定されており、ラインの変更や増設は、継手部材(4)および流体制御機器(5)が組み込まれたライン支持部材(3)を着脱することで行われる。
【0043】
ベース部材(2)は、上側に配置された上横枠部材(11)および下側に配置された下横枠部材(12)と、これらに直交する左縦枠部材(13)および右縦枠部材(14)とによって、方形の枠状に形成されている。
【0044】
各流体制御機器(5)は、上方からのおねじ部材によって対応する継手部材(4)に固定されている。また、各継手部材(4)は、上方からのおねじ部材によってライン支持部材(3)に固定されている。
【0045】
各横枠部材(11)(12)は、ステンレス鋼製フラットバーとされており、各横枠部材(11)(12)には、これを上下に貫通する複数のねじ孔が所要間隔で設けられている。
【0046】
ライン支持部材(3)は、板金を折り曲げることで一体品として形成されたもので、平板状の機器載置部(21)と、その両端にあって平板状とされた機器載置部(21)の上下端部がそれぞれ折り曲げられることで折曲げ状に形成された上下取付部(22)(23)と、機器載置部(21)の両縁に連なっている補強部(24)とからなる。
【0047】
なお、機器載置部(21)の上下端部の折曲げ形状は、板金を折り曲げて成形する以外に、複数部材で折曲げ形状を構成する等、板金の折曲げによって形成された上下取付部(22)(23)と同等の効果が得られるのであれば、どのような構成であってもよい。
【0048】
ライン支持部材(3)の各取付部(22)(23)は、機器載置部(21)の端部と面一の平板状に形成された平板部(22a)(23a)と、これに直角に連なる直角部(22b)(23b)とによって、略L字状になっており、直角部(22b)(23b)にこれを上下方向に貫通する貫通孔(25)(26)が設けられている。
【0049】
各ライン支持部材(3)は、上取付部(22)の直角部(22b)が上横枠部材(11)の上面(外面)に重ねられて、おねじ部材(10)が上取付部(22)の直角部(22b)の上方(外方)から上横枠部材(11)のねじ孔にねじ込まれることで、その上端部が上横枠部材(11)に固定されており、また、下取付部(23)の直角部(23b)が下横枠部材(12)の下面(外面)に重ねられて、おねじ部材(10)が下取付部(23)の直角部(23b)の下方(外方)から下横枠部材(12)のねじ孔にねじ込まれることで、その下端部が下横枠部材(12)に固定されている。
【0050】
上記の各ライン支持部材(3)の固定に際し、各ライン支持部材(3)の位置決めは、その取付部(22)(23)の貫通孔(25)(26)と各横枠部材(11)(12)のねじ孔(15)とを合わせるだけでよいことから、簡単かつ容易に行うことができ、組立て時間の短縮化が可能となる。また、各ライン支持部材(3)の折曲げ状に形成された取付部(22)(23)の直角部(22b)(23b)が各横枠部材(11)(12)の外面に重ねられるので、ベース部材(2)(横枠部材(11)(12))とライン支持部材(3)とを合わせた高さは、ベース部材(2)の高さ+ライン支持部材(3)の高さではなく、ベース部材(2)の高さ+ライン支持部材(3)の機器載置部(21)の高さとなり、従来構造の固定レール(ベース部材)の高さ+可動レール(ライン支持部材)の高さに比べて、高さを低くすることができる。
【0051】
上記の流体制御装置(1)では、各ライン支持部材(3)をそれぞれおねじ部材(10)で取り付ける必要があり、そのための手間がかかるという問題があった(特許文献1のものでも同様の問題がある。)。この発明による流体制御装置は、図9および図10に示した流体制御装置(1)に対して、各ライン支持部材(3)を固定するための手間の解消が図られたものである。以下では、継手部材(4)および流体制御機器(5)の図示を省略し、ベース部材(30)、ライン支持部材(40)およびカバー部材(36)(37)からなる支持手段のみを図示して説明する。
【0052】
図1および図2に示すように、ベース部材(30)は、上横枠部材(31)および下横枠部材(32)とこれらに直交する左縦枠部材(33)および右縦枠部材(34)とからなり、各縦枠部材(33)(34)の上下両端部がボルトなどのおねじ部材(35)によって各横枠部材(31)(32)の左右端部に固定されることで、方形の枠状に形成されている。各横枠部材(31)(32)には、後述するように、各ライン支持部材(40)を位置決めするための構成(上横枠部材(31)の凹部(図には現れず)および下横枠部材(32)の凹部(47))が設けられている。
【0053】
ライン支持部材(40)としては、符号(40)で示す幅狭のもの(1つのラインを構成するもの)に加えて、幅広のもの(4つのラインを構成するもの)も使用されており、ベース部材(30)の右側部分には、追加のラインを設置するためのスペースが確保されている。
【0054】
各ライン支持部材(40)は、それぞれがボルトなどのおねじ部材によって各横枠部材(31)(32)に固定されるのではなく、図2に示すように、上下カバー部材(36)(37)がボルトなどのおねじ部材(38)で横枠部材(31)(32)に締め付けられることで固定されている。
【0055】
各ライン支持部材(40)は、図3に示すように、平板状の機器載置部(41)と、その上端側において背面側に折り曲げられた上折曲げ部(42)と、機器載置部(41)の左右両縁において背面側に折り曲げられた左右折曲げ部(43)(44)とを有している。
【0056】
上折曲げ部(42)は、方形でかつ水平状とされており、その背面部に、下方にのびる略方形の凸部(45)が設けられている。左右折曲げ部(43)(44)は、上下に長い方形で機器載置部(41)と直角をなす垂直状とされており、機器載置部(41)の上下長さよりも上下長さが短くされている。凸部(45)は、上折曲げ部(42)の背面側端部が下側に直角に折り曲げられるとともに、その左右幅が短くなされたものとされている。なお、図示省略するが、4つのラインを構成する幅広のライン支持部材については、基本的には、図3と同様の形状とされるとともに、その左右両側にそれぞれ凸部が設けられて、中央部には凸部が設けられていない形状、もしくは、一定の間隔で凸部が設けられている形状とされている。
【0057】
図4に示すように、上横枠部材(31)は、背面側に開口する断面略コの字状とされ、上横枠部材の上壁(31a)には、その背面側に、ライン支持部材(40)の上折曲げ部(42)の凸部(45)が嵌め入れ可能な略方形の凹部(46)が所要間隔で形成されている。
【0058】
図5に示すように、下横枠部材(32)は、上横枠部材(31)と同様に、背面側に開口する断面略コの字状とされ、下横枠部材(32)の上壁(32a)には、略方形の凹部(47)が上横枠部材(31)の凹部(46)と同じ間隔で形成されている。この凹部(47)は、上横枠部材(31)の凹部(46)が背面側にのみに設けられているのに対し、上壁(32a)の前後方向の全長に亘って形成されており、ライン支持部材(40)の左右折曲げ部(43)(44)の下端部がこの凹部(47)に嵌め入れ可能とされている。
【0059】
図6に示すように、下カバー部材(37)(上カバー部材(36)も同一形状)は、垂直壁部(37a)および水平壁部(37b)からなる断面L字状とされ、その垂直壁部(37a)には、貫通孔(ボルト挿通孔)(48)が設けられている。
【0060】
図7および図8に、各ライン支持部材(40)と各横枠部材(31)(32)とが組み合わされて位置決めされている状態を示している。
【0061】
同図において、上横枠部材(31)の上面(上壁(31a))に設けられた凹部(46)にライン支持部材(40)の上折曲げ部(42)の凸部(45)が嵌め入れられるとともに、下横枠部材(32)の上面(上壁(32a))に設けられた凹部(47)にライン支持部材(40)の左右折曲げ部(43)(44)の下端部が嵌め入れられている。ライン支持部材(40)の左右折曲げ部(43)(44)は、機器載置部(41)の上下端部が上下横枠部材(31)(32)の正面に当接した際および上折曲げ部(42)の凸部(46)を上横枠部材(31)の凹部(46)に上方から嵌め合わす際のいずれにおいても、上下横枠部材(31)(32)に干渉しないように、上端が機器載置部(41)の上端よりも下方に、下端が機器載置部(41)の下端よりも上方に位置させられている。ライン支持部材(40)は、機器載置部(41)の上下端部が各横枠部材(31)(32)の正面に当接させられ、上折曲げ部(42)が上横枠部材(31)の上面に当接させられている。これにより、ライン支持部材(40)の上折曲げ部(42)が上横枠部材(31)の上面で受けられることで、ライン支持部材(40)の自重が上横枠部材(31)によって支持されている。
【0062】
したがって、各ライン支持部材(40)の位置決めに際し、ライン支持部材(40)の上折曲げ部(42)の凸部(45)を上横枠部材(31)の凹部(46)に上方から(自重を利用して)嵌め合わせればよいので、各ライン支持部材(40)の位置決めを容易に行うことができる。また、左右折曲げ部(43)(44)は、機器載置部(41)を補強しており、この折曲げ部を利用して位置決めを行うことで、各ライン支持部材(40)の強度確保と構成の簡素化が両立するものとなっている。
【0063】
また、高さ(正面と背面との距離)については、ベース部材(30)(横枠部材(31)(32))とライン支持部材(40)とを合わせた高さは、ベース部材(30)の高さ+ライン支持部材(40)の高さではなく、ベース部材(30)の高さ+ライン支持部材(40)の機器載置部(41)の高さ(厚さ)となり、従来構造の固定レール(ベース部材)の高さ+可動レール(ライン支持部材)の高さに比べて、高さを低くすることができ、流体制御装置における流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる。
【0064】
下横枠部材(32)の凹部(47)の左右の幅は、各ライン支持部材(40)の左右折曲げ部(43)(44)の1つ分の厚みの2倍とされている。したがって、下横枠部材(32)の1つの凹部(47)内に隣り合うライン支持部材(40)の一方の左折曲げ部(43)と他方の右折曲げ部(44)の両方が嵌め入れ可能とされている。
【0065】
図8(および図2)に示すように、上カバー部材(36)は、その水平壁部(36b)が上横枠部材(31)の上壁(31a)上面にあてがわれ、その垂直壁部(36a)がライン支持部材(40)の上端部正面にあてがわれており、下カバー部材(37)は、その水平壁部(37b)が下横枠部材(32)の下壁(下面)にあてがわれ、その垂直壁部(37a)がライン支持部材(40)の下端部にあてがわれている。
【0066】
この流体制御装置を組み立てるには、所要の流体制御器が取り付けられたライン支持部材を順次取り付けていき、この際、各ライン支持部材(40)の上折曲げ部(42)の凸部(45)が上横枠部材(31)の凹部(46)に嵌め入れられるとともに、その左右折曲げ部(43)(44)の下端部が下横枠部材(32)の凹部(47)に嵌め入れられることによって位置決めを行う。こうして、すべてのライン支持部材(40)を位置決めした後、図2に示すように、上下カバー部材(36)(37)をおねじ部材(38)で各横枠部材(31)(32)に取り付ける。これにより、各ライン支持部材(40)が上下横枠部材(31)(32)と上下カバー部材(36)(37)との間に挟持され、流体制御器が取り付けられた各ライン支持部材(40)がベース部材(30)に固定される。したがって、各ライン支持部材(40)の位置決め時には、ボルトなどによる固定作業は不要であり、組立て時間の大幅な短縮化が可能となる。また、ラインの増設、変更およびメンテナンス時には、上下カバー部材(36)(37)を取り外して、所要のライン支持部材(40)の取外しや新たなライン支持部材(40)の追加などを行った後、上下カバー部材(36)(37)を取り付ければよく、ラインの増設、変更およびメンテナンスについても、その時間の短縮化が可能となる。
【0067】
なお、左右折曲げ部(43)(44)は、機器載置部(41)に対して垂直状でなくても、機器載置部(41)の補強が可能で、また、複数のライン支持部材(40)を平行して配置する際に、隣のライン支持部材(40)に対して干渉しなければどのような形状でもよい。その場合、それに合わせて下横枠部材(32)の凹部形状を変更してもよい。
【符号の説明】
【0068】
(30) ベース部材
(31) 上横枠部材
(32) 下横枠部材
(33)(34) 左右縦枠部材
(36)(37) 上下カバー部材
(40) ライン支持部材
(41) 機器載置部
(42) 上折曲げ部
(43)(44) 左右折曲げ部
(45) 凸部
(46) 凹部(位置決め部)
(47) 凹部(位置決め部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体制御機器が1つのライン支持部材に取り付けられ、複数のライン支持部材がベース部材に着脱可能に取り付けられている流体制御装置において、
ベース部材は、上横枠部材および下横枠部材とこれらに直交する左右縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各横枠部材に、各ライン支持部材を位置決めするための位置決め部が設けられて、各ライン支持部材の上下端部は、各横枠部材の位置決め部によって位置決めされた状態で固定されることを特徴とする流体制御装置。
【請求項2】
各ライン支持部材は、各横枠部材とベース部材に着脱可能に取り付けられた上下カバー部材との間に挟持されていることを特徴とする請求項1の流体制御装置。
【請求項3】
各ライン支持部材は、平板状の機器載置部と、その上端側において背面側に折り曲げられた上折曲げ部とを有し、機器載置部の上下端部が各横枠部材の正面に当接させられ、上折曲げ部が上横枠部材の上面に当接させられていることを特徴とする請求項1または2の流体制御装置。
【請求項4】
各ライン支持部材の上折曲げ部に、下方にのびる凸部が設けられて、上横枠部材の上面に、上折曲げ部の凸部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されていることを特徴とする請求項3の流体制御装置。
【請求項5】
各ライン支持部材は、機器載置部の左右両縁において背面側に折り曲げられた左右折曲げ部をさらに有しており、下横枠部材の上面に、左右折曲げ部の下端部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されていることを特徴とする請求項4の流体制御装置。
【請求項6】
下横枠部材の凹部の左右方向の幅は、下横枠部材の1つの凹部内に隣り合うライン支持部材の一方の左折曲げ部と他方の右折曲げ部との両方が嵌め入れ可能な大きさとされていることを特徴とする請求項5の流体制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−241823(P2012−241823A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113531(P2011−113531)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】