説明

流体噴出器具

【課題】高圧流体を使用する流体噴出器具のシールに関する。
【解決手段】供給筒体15の上端の外周でケーシング10内に除圧輪体18が嵌挿されていて、この除圧輪体18内に密着した状態で、前記供給筒体15の一部である上導路16aの外周と摺動可能に伸縮量が少ない耐圧シール材20が、外周にOリング21を装着した状態で嵌挿されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高圧流体を使用する流体噴出器具に関し、より詳細には流体噴出器具のシールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体噴出器具として、高圧の流体を介して、回転(2次元)可能なスプレーノズル、或いは自転と公転(3次元)可能なスプレーノズルは、100〜200Paの流体を噴射ノズルから噴射し、タンク内等を洗浄することがある。
そのため、スプレーノズル本体におけるシール部は、かかる圧力に耐え得る構造及びシール部材を選定しなければならず、長寿命で且つ簡便なシール機構、安価なシール部材が要求されている。
そこで、特開2000−246149号公報には、流体噴出器具は、供液ノズルからジェット流が噴射することに伴って外気を流入させることによって、シールは簡便なシール機構を備える流体噴出器具が特開2000−246149号公報に開示してある。
【0003】
【特許文献1】特開2000−246149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特開2000−246149号公報に開示の流体噴出器具は、供液ノズルからジェット流が噴射することに伴って外気を流入させるものであるので、圧力損失が多く、ノズルの先端から噴出する流体圧力が低下するという課題がある。
そこで、本願発明は、種々の条件下で試作を試み、係る流体圧力の低下を招来しない流体噴出器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の流体噴出器具について実施の形態を参照して説明する。流体通路11を形成のケーシング10内に、複数のベアリングを介して回転可能な供給筒体15を取付けてある。そして、前記流体通路11からの流体は供給筒体15、連結管95を経てスプレーノズル100から噴出して、供給筒体15、連結管95及びスプレーノズル100が回転しながら流体が噴出する。
又、この流体噴出器具は、供給筒体15の上端の外周でケーシング10内に除圧輪体18が嵌挿されていて、この除圧輪体18内に密着した状態で、前記供給筒体15の一部である上導路16aの外周と摺動可能に伸縮量が少ない耐圧シール材20が嵌挿されている。又、この耐圧シール材20の外周には弾性を備えるOリング21が取り付けてある。
【0006】
そこで、高圧流体が流体通路11から入って、耐圧シール材20に高圧力がかかるが、この耐圧シール材20は伸縮量が少ないので、除圧輪体18内に密着して嵌挿されている耐圧シール材20は、上導路16aの外周と摩擦が少ない状態を維持する。そのため、導路16aの摺動面への締め付け力としてはあまり作用しないし、摺動抵抗と隙間の調整は耐圧シール材20の外周に装着のOリング21によって行われる。
【0007】
又、請求項2の流体噴出器具は、供給筒体15の断面積を流体通路11の断面積より小さく形成してあり、除圧輪体18の下端部をケーシング10に形成の溝28aに嵌挿の止め輪体28で支持する。そのため、供給筒体15にかかる圧力は小さいし、この供給筒体15にかかるスラスト力を止め輪体28で支持するので、高圧力がかかる状態であっても、供給筒体15は円滑に回転できる。
【発明の効果】
【0008】
本願の請求項1の流体噴出器具は、除圧輪体内に密着した状態で伸縮量が少ない耐圧シール材が嵌挿されているので、高圧力が耐圧シール材にかかっても、導路の摺動面への締め付け力としてはあまり作用せず、Oリングによる摺動抵抗と隙間の調整によって、摺動抵抗が増加することはなく、供給筒体の回転が円滑に行われる。
又、請求項2の流体噴出器具は、供給筒体にかかる圧力は小さいし、この供給筒体にかかるスラスト力を止め輪体で支持するので、高圧力がかかる状態であっても、供給筒体は円滑に回転できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の流体噴出器具の例として、回転可能なスプレーノズルを取り上げ、正面断面を示す図1を参照して説明する。
ケーシング10には、流体が流入する流体通路11が形成してあると共に、内外周面には図示略のポンプと連結の流体配管と接続可能に内周ネジ10aが形成してある。尚、前記流体通路11の断面積をAとする。
【0010】
又、このケーシング10の中央には、供給筒体15が回転可能に取り付けてあり、この供給筒体15の中央には、前記流体通路11からの噴流体をスプレーノズル100の端部に導く上導路16aと、その上導路16aの口径より大きな口径の下導路16bが中央に形成してある。尚、前記供給筒体15の断面積はBで、前記流体通路11の断面積Aより小さい。
又、この供給筒体15の上端には、前記ケーシング10の内側に断面形状略S字状で金属の除圧輪体18が嵌挿してある。そして、その除圧輪体18に形成のシール室には、前記上導路16aの外周と摺動する耐圧シール材20が、この耐圧シール材20の外周に装着されている弾性を備えるOリング21と共に嵌挿してある。
尚、前記耐圧シール材20は、薄板円筒状であり、テフロン(登録商標)系のシール材である。又、この耐圧シール材20の口径は、厚みの2倍以上であり、厚み方向に圧縮力がかかっても、伸長し難い材質であるので、回転する上導路16aの外周との摺動摩擦は少ない。
【0011】
又、前記耐圧シール材20の上部には、耐圧シール材20が外れないように抑えのストップリング22が除圧輪体18に形成の凹溝18aに嵌挿してある。
又、前記除圧輪体18には凹溝24が形成されていて、この凹溝24内にOリング25が装着され、除圧輪体18とケーシング10のシールをしている。
又、止め輪体28は、前記除圧輪体18の下端部で、ケーシング10に形成の溝28aに嵌挿されていて、後記で詳述する供給筒体15にかかる圧力を支持している。
【0012】
又、前記止め輪体28で支持され、前記除圧輪体18の内側に、上ラジアルベアリング33が、回転する供給筒体15を支持している。又、前記上ラジアルベアリング33の下には、回転する供給筒体15を支持するスラストベアリング35、下ラジアルベアリング37及びボトムシール38を介してボトムリング40が嵌挿されている。尚、前記ボトムシール38の上下には、ボトムリング40との間のシールをなすOリング41が装着してある。
【0013】
前記供給筒体15の下端部は、連結箱50にボルト51を介して固定されている。又、スプレーノズル100を端部に固定の連結管95は前記連結箱50内にボルト55を介して固定されていて、前記供給筒体15内の噴流体は、前記スプレーノズル100から噴出可能になっている。尚、前記一対のスプレーノズル100は、前記供給筒体15に対して、相反対方向に傾斜して固定してあり、一対の噴出流によって、供給筒体15と連結管95及びスプレーノズル100が一定方向に回転する。
【0014】
次に、前記流体噴出器具の作用について説明すると、100〜200Paの流体を流体通路11から供給すると、その流体は供給筒体15の上導路16a、下導路16bを通り、連結箱50内に入る。そして、その流体は、連結管95を通ってスプレーノズル100から噴出する、又、スプレーノズル100は傾斜して取り付けてあるので、回転モーメントが生じ、供給筒体15と連結管95及びスプレーノズル100は回転する。
【0015】
尚、流体通路11には高圧の流体圧がかかる。そこで、前記耐圧シール材20に伸縮性があると、耐圧シール材20は押し潰された状態になって上導路16aとの摺動面に摩擦抵抗が増加して、供給筒体15の回転が円滑にできない状態になる。又、同様に、例えば、耐圧シール材20の断面形状をV字状の物を使用すると、そのV字状の下側から、上導路16a側に押圧する力がかかり、耐圧シール材20と上導路16aとの摺動面における摩擦抵抗が増大し、供給筒体15の回転が得られ難くなる。
【0016】
そこで、本願では、供給筒体15の断面積Bを前記流体通路11の断面積Aより小さく形成して、供給筒体15にかかる圧力を小さくしている。又、この供給筒体15にかかる圧力は、止め輪体28で支持され、スラストベアリング35には殆どかからない構造になっている。
さらに、上導路16aの外周と摺動可能に嵌挿してある耐圧シール材20には、前記流体通路11と同じ圧力がかかるが、耐圧シール材20を伸長し難い材質であるので、その圧力によって、回転する上導路16aの外周との摺動摩擦が大きくならない。
【0017】
この様に、耐圧シール材20を圧縮力がかかっても伸縮が少ないテフロン(登録商標)系を選定し、除圧輪体18に形成のシール室内に密に嵌挿されているので、上導路16aの摺動面への締め付け力としては作用せず、摺動抵抗が増加することはないし、その摺動抵抗と隙間の調整は、耐圧シール材20の外周に装着のOリング21で行う。
又、供給筒体15に係るスラスト力は止め輪体28で支持され、スラストベアリング35には殆どかからない構造であるので、高圧(100〜200Pa)の流体に対して、円滑な供給筒体15の回転が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】流体噴出器具(スプレーノズル)の正面断面図と一部正面図である。
【図2】流体噴出器具(スプレーノズル)の正面断面の一部拡大図である。
【符号の説明】
【0019】
10 ケーシング
11 流体通路
15 供給筒体
16a 上導路
16b 下導路
18 除圧輪体
18a 凹溝
20 耐圧シール材
21 Oリング
22 ストップリング
28 止め輪体
33 上ラジアルベアリング
35 スラストベアリング
37 下ラジアルベアリング
38 ボトムシール
40 ボトムリング
95 連結管
100 スプレーノズル

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路を形成のケーシング内に、複数のベアリングを介して回転可能な供給筒体を取付け、前記流体通路からの流体を供給筒体、連結管を経てスプレーノズルから噴出する流体噴出器具であって、
前記供給筒体の上端の外周でケーシング内に除圧輪体を嵌挿し、その除圧輪体内に密着した状態で、前記供給筒体の一部である上導路の外周と摺動可能に伸縮量が少ない耐圧シール材を嵌挿し、この耐圧シール材の外周には弾性を備えるOリングが取り付けてあることを特徴とする流体噴出器具。
【請求項2】
供給筒体の断面積を流体通路の断面積より小さく形成し、除圧輪体の下端部をケーシングに形成の溝に嵌挿の止め輪体で支持することを特徴とする請求項1の流体噴出器具。

























【図1】
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【図2】
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