流体噴射装置、及び、流体噴射方法
【課題】背景画像を高画質に形成することを目的とする。
【解決手段】主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが所定方向に並び、移動方向に第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体とを移動方向に相対移動させながら背景画像だけを形成するために第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体とを移動方向に相対移動させながら主画像及び背景画像を形成するために第1ノズル及び第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、搬送動作と、を繰り返すことによって前記媒体に画像を形成する制御部と、を有する流体噴射装置である。
【解決手段】主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが所定方向に並び、移動方向に第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体とを移動方向に相対移動させながら背景画像だけを形成するために第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、第1ノズル列及び第2ノズル列と媒体とを移動方向に相対移動させながら主画像及び背景画像を形成するために第1ノズル及び第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、搬送動作と、を繰り返すことによって前記媒体に画像を形成する制御部と、を有する流体噴射装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、及び、流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一つとして、媒体に対してノズルからインクを噴射するヘッドを有するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が知られている。プリンターの中には、主画像とその背景となる背景画像とを印刷するプリンターがある。例えば、カラーインクの他に白インクを用いるプリンターであれば、カラーインクによる主画像と白インクによる背景画像を重ねて印刷することができる(例えば、特許文献1参照)。その結果、媒体の地色に影響されずに、発色性の良い画像を印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−38063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、背景画像ではインクが隙間無く塗布される。そのため、例えば、媒体に対してヘッドが移動しながら画像を形成する画像形成動作と媒体を搬送する動作とを繰り返すプリンターにおいて、主画像を印刷するための画像形成動作の回数と背景画像を印刷するための画像形成動作の回数を同じにしてしまうと、背景画像の濃度が不十分となる虞がある。
【0005】
そこで、本発明では、背景画像を高画質に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為の主たる発明は、媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンターの全体構成ブロック図である。
【図2】プリンターの斜視図である。
【図3】ヘッドの下面に設けられるノズルの配列を示す図である。
【図4】プリンターが有する印刷モードを説明する図である。
【図5】図5A及び図5Bは重複領域と背景単独領域を説明する図である。
【図6】表刷りモードにおける実施例1の説明図である。
【図7】図7Aから図7Cは背景単独領域及び重複領域にそれぞれ形成されるドットの位置を説明する図である。
【図8】裏刷りモードにおける実施例1の説明図である。
【図9】表刷りモードにおける実施例2の説明図である。
【図10】表刷りモードにおける実施例3の説明図である。
【図11】表刷りモードにおける実施例4の説明図である。
【図12】表刷りモードにおける印刷パターン2の説明図である。
【図13】、表刷りモードにおける印刷パターン3の説明図である。
【図14】表刷りモードにおける印刷パターン4の説明図である。
【図15】表刷りモードにおける印刷パターン5の説明図である。
【図16】変形例の印刷パターンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0009】
即ち、媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、背景画像を高濃度に形成することができ、背景画像を高画質に形成することができる。
【0010】
かかる流体噴射装置であって、前記媒体に前記主画像と前記背景画像を重ねて形成する場合に、前記媒体の所定領域に対して前記背景画像を前記主画像よりも先に形成する第1モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方側に位置する第1ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第1ノズル群よりも前記所定方向の他方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第2ノズル群によって前記背景画像を形成し、前記媒体の所定領域に対して前記主画像を前記背景画像よりも先に形成する第2モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の他方側に位置する第3ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第3ノズル群よりも前記所定方向の前記一方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第4ノズル群によって前記背景画像を形成すること。
このような流体噴射装置によれば、主画像を形成する画像形成動作と背景画像を形成する画像形成動作を異ならせることができ、主画像または背景画像の乾燥時間を長くすることができる。
【0011】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作で形成し、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの一方の画像形成動作で形成すること。
このような流体噴射装置によれば、主画像と重ならない背景画像部分を高画質に形成しつつ、背景画像を形成する流体の消費を抑えることができる。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの先の画像形成動作で形成し、前記第2モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの後の画像形成動作で形成すること。
このような流体噴射装置によれば、主画像または背景画像の乾燥時間を長くすることができる。
【0013】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードでは、前記第1の画像形成動作、前記第2の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返し、前記第2モードでは、前記第2の画像形成動作、前記第1の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返すこと。
このような流体噴射装置によれば、主画像または背景画像の乾燥時間を長くすることができる。
【0014】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を前記第2ノズル群と前記第4ノズル群によって形成すること。
このような流体噴射装置によれば、背景画像をより高濃度に形成することができる。
【0015】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットと前記第2の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットを重ねることによって形成すること。
このような流体噴射装置によれば、背景画像を高濃度に形成することができる。
【0016】
また、媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、を有する流体噴射装置による流体噴射方法であって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する、ことを特徴とする流体噴射方法である。
このような流体噴射方法によれば、背景画像を高濃度に形成することができ、背景画像を高画質に形成することができる。
【0017】
===印刷システムについて===
以下、流体噴射装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて実施形態を説明する。
【0018】
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図である。図2は、プリンター1の斜視図である。コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。なお、コンピューター60には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。プリンタードライバーは、CD−ROMなどの記憶媒体(コンピューターが読み取り可能な記憶媒体)に記憶されていたり、インターネットを介してコンピューターにダウンロード可能であったりする。
【0019】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送量で媒体Sを搬送させるものである。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する移動方向に移動させるためのものであり、キャリッジ31を有する。
【0021】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41はキャリッジ31によって移動方向(所定方向と交差する方向に相当)に移動する。ヘッド41の下面にはインク噴射部であるノズルが複数設けられ、各ノズルにはインクが入った圧力室(不図示)が設けられている。
【0022】
図3は、ヘッド41の下面に設けられるノズルの配列を示す図である。なお、図はヘッド41の上面から仮想的にノズルを見た図である。ヘッド41の下面には、180個のノズルが搬送方向(所定方向に相当)に所定の間隔Dで並んだノズル列が5列形成されている。図示するように、ブラックインクを噴射するブラックノズル列K・シアンインクを噴射するシアンノズル列C・マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列M・イエローインクを噴射するイエローノズル列Y・白インクを噴射するホワイトノズル列Wが、移動方向に並んでいる。なお、各ノズル列が有する180個のノズルに対して、搬送方向の下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。なお、4色のインクを噴射するノズルが第1ノズルに相当し、4色インクをそれぞれ噴射するノズル列(YMCK)が第1ノズル列に相当し、白インクを噴射するノズルが第2ノズルに相当し、ホワイトノズル列Wが第2ノズル列に相当する。
【0023】
このようなプリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴射させて媒体上にドットを形成する画像形成動作と、ヘッド41に対して媒体を搬送方向に搬送する搬送動作とが繰り返される。そうすることで、先の画像形成動作により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、後の画像形成動作にてドットを形成することができ、媒体上に2次元の画像を印刷することができる。なお、ヘッド41がインク滴を噴射しながら移動方向に1回移動する動作(1回の画像形成動作)を「パス」と呼ぶ。
【0024】
===印刷モードについて===
図4は、本実施形態のプリンター1が有する印刷モードを説明する図である。本実施形態のプリンター1は、4色インクのノズル列(YMCK)の中の少なくとも1つを用いて印刷する主画像(カラー画像やモノクロ画像)とホワイトノズル列Wを用いて印刷する白色の背景画像とを重ねた印刷物を形成する。主画像の背景に白色の背景画像を設けることで、特に媒体が白色でない場合に、発色性の良い画像を印刷することができる。また、媒体が透明である場合には、主画像と背景画像を重ねて印刷することで、印刷物の反対側が透けてしまうことを防止できる。
【0025】
なお、白インクのみを使用して背景画像を印刷すると、その白インクの色そのものの色が背景画像の色となる。しかし、同じように白インクと呼ばれるインクであっても、インクの材料などによって白色の色味が若干異なる。そのため、使用する白インクによってユーザーが所望する色とは異なる色の背景画像が印刷されてしまう場合がある。また、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する背景画像が所望されることもある。そこで、本実施形態のプリンター1は、白インクと共に少量の4色インク(YMCK)を適宜使用して、所望の白色の背景画像(調整された白色の背景画像)を印刷する。そうすることで、逆に、白インクが若干の色彩を有する場合には、その色彩を打ち消すインクと共に背景画像を印刷し、背景画像を無彩色に近づけることもできる。なお、プリンターが淡インク(ライトシアンやライトマゼンタ)を有する場合には、背景画像の色味の調整には淡インクを用いるとよい。
【0026】
そして、白インクと共に4色インクを適宜使用した背景画像をプリンター1に印刷させるための印刷データは、プリンター1が予め記憶するようにしても良いし、プリンター1のモニターやコンピューターの画面をユーザーが見るなどして所望の背景画像の色の選択が行われる場合には、選択された色に応じた背景画像の印刷データをプリンタードライバーが生成するようにするとよい。
【0027】
そして、プリンター1は、主画像と背景画像を重ねた印刷物を形成する場合に、「表刷りモード」と「裏刷りモード」の何れかのモードによって印刷物を形成する。表刷りモードは、主画像が印刷面側から視認されるように画像を印刷するモードである。そのため、表刷りモードでは媒体の所定領域に対して先に背景画像が印刷され、その背景画像上に主画像が印刷される。一方、裏刷りモードは、媒体を介して主画像が印刷面と反対側の面から視認されるように画像を印刷するモードであり、媒体が透明性を有する場合に裏刷りモードが実施される。裏刷りモードでは媒体の所定領域に対して先に主画像が印刷され、その主画像上に背景画像が印刷される。
【0028】
図5A及び図5Bは、重複領域と背景単独領域を説明する図である。図は表刷りモードにて印刷される主画像と背景画像を示し、図5Aは印刷物の斜視図であり、図5Bは印刷物の断面図である。以下の説明のため、媒体上において主画像が形成される領域、即ち、主画像と背景画像が重ねて形成される領域を「重複領域」と呼ぶ。そして、媒体上において背景画像が形成される領域であって主画像が形成されない領域を「背景単独領域」と呼ぶ。なお、主画像の背景画像を図5に示すような略長方形状にするに限らない。例えば、主画像である文字Aを縁取った背景画像、即ち、文字Aの周辺の数mm程度の範囲を背景画像としてもよい。
【0029】
===実施例1===
図6は、表刷りモードにおける実施例1の説明図である。図では、説明の簡略のため、4色インクを各々噴射するノズルが搬送方向に並ぶノズル列(YMCK)をまとめて「カラーノズル列Co」と示し、また、実際のプリンターよりもノズル数を減らしたり媒体搬送量を短くしたりする。カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wにそれぞれ属するノズル数を8個(#1〜#8)とし、ノズル列において搬送方向に並ぶノズルの間隔をDとする。なお、以下に示す印刷方法では、ヘッド41が移動方向の一方側に移動する往路時に画像を形成し、ヘッド41が移動方向の他方側に移動する復路時にも画像を形成する双方向印刷でもよいし、往路時と復路時の何れか一方の時だけ画像を形成する単方向印刷でもよいとする。
【0030】
図6の上図は各画像を印刷するために使用するノズルを示す図である。表刷りモードの場合、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を、主画像を印刷するための「主画像ノズル群」(黒塗りの丸ノズル)とし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を、背景画像の白色の色味を調整するための「調色ノズル群」(白抜きの丸ノズル)とする。そして、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を不使用ノズルとし、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を、背景画像を印刷するための「第1背景ノズル群」(白抜きの三角ノズル)とする。
【0031】
なお、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さい。ただし、背景画像におけるカラーインクの粒状感を低減するため、背景画像上においてカラーインクのドットをなるべく均一に分散することが好ましい。即ち、背景画像の単位領域あたりの白インク密度(ドット密度)に対して背景画像の単位領域あたりのカラーインク密度(ドット密度)を小さくする。そのため、図6に示すように、第1背景ノズル群に属するノズル数と調色ノズル群に属するノズル数を等しくして、調色ノズル群によるドットを小さいサイズのドットにするとよい。ただし、これに限らず、第1背景ノズル群に属するノズル数よりも調色ノズル群に属するノズル数を少なくしてもよい。
【0032】
図6の下図は各パスにおけるノズルの搬送方向の位置を示す図であり、カラーノズル列Coのノズル(●・○)とホワイトノズル列Wのノズル(△)を1つのノズル列として描く。実際のプリンター1ではヘッド41に対して媒体が搬送方向下流側に搬送されるが、図6の下図ではヘッド41が搬送方向上流側に搬送される様子を示す。図6に示す印刷方法はバンド印刷(印刷パターン1)である。バンド印刷とは、1回のパスで形成されるバンド画像が搬送方向に並ぶ印刷方法であり、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に他のパスにてラスターラインを形成しない印刷方法である。よって、バンド印刷では、1回の媒体搬送量が、1回のパスで形成されるバンド画像の搬送方向の幅長さに相当する。
【0033】
ところで、背景画像は、通常、ベタ塗り画像であり、背景画像を印刷するために白インクが隙間無く塗布される。そのため、1回のパスだけで背景画像を印刷したとすると、背景画像の濃度が不十分となる虞がある。特に、背景単独領域の背景画像(図5)は、主画像と重ねて印刷されずに直接に視認されるため、高濃度に印刷する必要がある。
【0034】
そこで、背景画像を印刷するパス数を、主画像を印刷するパス数よりも多くする。そのために、本実施形態のプリンター1は、背景画像だけを形成するためにホワイトノズル列Wのノズルから流体を噴射させるパス(第1の画像形成動作に相当)、及び、主画像と背景画像を形成するためにカラーノズル列Coのノズルとホワイトノズル列Wのノズルから流体を噴射させるパス(第2の画像形成動作)と、媒体の搬送動作とを、繰り返す印刷方法(流体噴射方法)を実施する。つまり、主画像と背景画像が印刷されるパスの他に背景画像だけが印刷されるパスを設けた印刷方法を実施する。
【0035】
そして、背景単独領域の背景画像を、背景画像だけを形成するパスでホワイトノズル列Wのノズルによって形成されるドットと、主画像と背景画像を形成するパスでホワイトノズル列Wのノズルによって形成されるドットとを、重ねることによって形成する。その結果、背景単独領域の背景画像を濃く印刷することができ、背景単独領域の背景画像をより高画質に形成することができる。
【0036】
また、本実施形態では、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数を、重複領域の背景画像を印刷するパス数よりも多くする。そのために、背景単独領域の背景画像(背景画像において主画像と重ならない画像部分)は、主画像と背景画像が印刷されるパスと背景画像だけが印刷されるパスの両方のパスで印刷するのに対して、重複領域の背景画像(背景画像において主画像と重なる画像部分)は、主画像と背景画像が印刷されるパスと背景画像だけが印刷されるパスのうちの一方のパスで印刷する。
【0037】
重複領域の背景画像は、主画像と重ねて印刷されるため、主画像の遮蔽性を確保できればよく、背景単独領域の背景画像ほど高濃度に印刷する必要は無い。逆に言えば、重複領域の背景画像を印刷するパス数を背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくすることで、重複領域の背景画像が必要以上に濃く印刷されることがなくなり、白インクの消費量を抑えることができる。
【0038】
また、印刷に使用するインクが例えば水系インク(溶剤として水を少なくとも含むインク)であり、印刷に使用する媒体が水系インクの吸収性を有する媒体である場合、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量が制限されてしまう。媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えてインクを噴射してしまうと、媒体内部に吸収しきれないインクが媒体上に溢れだし、媒体上の近傍に着弾した異色のインク滴が混じり合ってブリーディング(滲み)等が発生してしまう。
【0039】
背景単独領域の背景画像は主画像と重ねて印刷されない。そのため、背景単独領域の背景画像を印刷するために媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量は、主画像や重複領域の背景画像を印刷するために媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量よりも多くすることができる。ゆえに、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数を主画像や重複領域の背景画像を印刷するパス数よりも多くして、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷したとしても、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えてインクが噴射されてしまうことを防止できる。
【0040】
一方、重複領域の背景画像は主画像と重ねて印刷される。そのため、重複領域の背景画像を印刷するパス数を背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくすることで、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えてインクが噴射されてしまうことを防止できる。言い換えれば、重複領域の背景画像を印刷するパス数を背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくして、媒体の単位領域あたりに噴射するインク量を少なくすることで、主画像を印刷するために媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を増やすことができる。その結果、主画像の発色性を良くすることができる。
【0041】
次に、主画像と背景画像が印刷されるパスの他に背景画像だけが印刷されるパスを設けた印刷方法について、図6の下図を用いて具体的に説明する。図6の下図において、第1背景ノズル群(△)が背景単独領域と重複領域にドットを形成するパスを「単+重」と示し、第1背景ノズル群が背景単独領域だけにドットを形成するパスを「単」と示す。なお、以下では、背景単独領域の背景画像は調色ノズル群によって白色の色味を調整して印刷するが、重複領域の背景画像は白色の色味を調整せずに白インクのみによって印刷するとする。
【0042】
図6の下図に示すように、実施例1では、第1背景ノズル群(△)によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷するパス(第1の画像形成動作に相当)と、媒体を搬送することなく主画像ノズル群(●)によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域の背景画像を印刷するパス(第2の画像形成動作に相当)と、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。
【0043】
その結果、例えば、図6の下図における媒体上の搬送方向の位置Aでは、まず、パス1で第1背景ノズル群(△)によって背景単独領域及び重複領域に背景画像が印刷され、次のパス2で第1背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域に背景画像が印刷される。その後、媒体が搬送され、パス3では何も画像が印刷されず、次のパス4で主画像ノズル群(●)によって重複領域に主画像が印刷される。
【0044】
このように表刷りモード(第1モードに相当)で背景画像上に主画像を重ねて印刷する場合、カラーノズル列Coの搬送方向下流側(所定方向の一方側に相当)に位置する主画像ノズル群(第1ノズル群に相当)によって主画像を形成し、主画像ノズル群よりも搬送方向上流側に位置するホワイトノズル列Wの第1背景ノズル群(第2ノズル群に相当)によって背景画像を形成する。そうすることで、媒体の所定領域は主画像ノズル群よりも先に第1背景ノズル群と対向するため、背景画像上に主画像を印刷することができる。そして、第1背景ノズル群により重複領域の背景画像が印刷されるパス(例:図6のパス1)と、主画像ノズル群により主画像が印刷されるパス(例:図6のパス4)とを、異ならせることができる。その結果、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを防止できる。
【0045】
次に、具体的なドット形成方法について説明する。
図7Aから図7Cは、背景単独領域及び重複領域にそれぞれ形成されるドットの位置を説明する図である。図では、点線のマス目を、1つのドットが形成される媒体上の単位領域である「画素」とする。水平位置として、移動方向の左の画素から順に小さい番号(1、2、3…)を付し、列番号として、搬送方向の下流側の画素から順に小さい番号(L1、L2、L3…)を付す。水平位置が1〜4の画素と8〜11の画素を「背景単独領域」に属する画素とし、水平位置が5〜7の画素を「重複領域」に属する画素とする。また、列番号がL1〜L4の画素を搬送方向の位置Aの領域に属する画素とし、列番号がL5〜L8の画素を搬送方向の位置Bの領域に属する画素とする。
【0046】
なお、図7では、全ての画素にドットを形成するように印刷データが指示しているとする。また、図7において、第1背景ノズル群によって形成されるドットを「△(白抜きの三角)」で示し、調色ノズル群によって形成されるドットを「○(白抜きの丸)」で示し、主画像ノズル群によって形成されるドットを「●(黒塗りの丸)」で示す。
【0047】
まず、図7Aに示すパス1では、第1背景ノズル群は、搬送方向の位置Aの領域に属する画素であり、且つ、背景単独領域および重複領域に属する全ての画素にドット(△)を形成する。次に、媒体を搬送方向下流側に搬送せずに、図7Bに示すパス2にて、第1背景ノズル群と調色ノズル群は、背景単独領域に属する画素だけにドットを形成する。その結果、背景単独領域に属する画素では、パス1で第1背景ノズル群によって形成されたドットとパス2で第1背景ノズル群によって形成されたドットとが重なる。ゆえに、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。
【0048】
次に、ノズル列の半分の長さだけ媒体を搬送方向下流側に搬送し、図7Cに示すパス3にて、搬送方向の位置Bの領域に属する画素であり、且つ、背景単独領域および重複領域に属する全ての画素に第1背景ノズル群によるドット(△)を形成する。一方、搬送方向の位置Aの領域に属する画素には何もドットを形成しない。ゆえに、パス3は背景画像だけを印刷するパスである。
【0049】
その後、媒体を搬送方向下流側に搬送せずに、図7Dに示すパス4にて、第1背景ノズル群と調色ノズル群は、背景単独領域に属する画素だけにドットを形成する。その結果、搬送方向の位置Bの背景単独領域に属する画素でも、第1背景ノズル群によるドットが重ねて形成され、背景単特領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができる。また、パス4では、主画像ノズル群が、搬送方向の位置Aの領域に属する画素であり、且つ、重複領域に属する画素に、ドット(●)を形成する。その結果、重複領域では背景画像上に主画像が印刷される。ゆえに、パス4は主画像と背景画像を印刷するパスである。
【0050】
なお、図7の例では、背景単独領域に属する全ての画素においてドットを重ねて形成しているが、これに限らない。例えば、ユーザーが所望する背景画像の濃度に応じて、背景単独領域に属する画素のうちの所定数の画素だけにドットを重ねて形成するようにしてもよい。
【0051】
このように、主画像と背景画像を印刷するパスと背景画像だけを印刷するパスとで、背景単独領域に属する画素のドットを重ねて形成することで、背景単独領域の背景画像を高濃度に印刷することができる。更に、この実施例1(図6及び図7)では、表刷りモードの場合、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの先のパスで、重複領域の背景画像を形成する。例えば、媒体上の搬送方向の位置Aの重複領域に対して、パス1でもパス2でも第1背景ノズル群によって背景画像用のドットは形成可能である。しかし、表刷りモードの場合には、パス2ではなく先のパス1で重複領域の背景画像を形成する。そうすることで、パス2で重複領域の背景画像を形成する場合に比べて、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。ただし、これに限らず、表刷りモードの場合であっても、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの後のパスで重複領域の背景画像を形成してもよい。
【0052】
また、実施例1では、表刷りモードの場合、背景画像だけを印刷するパス(例:図6のパス1やパス3・第1の画像形成動作)、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図6のパス2やパス4・第2の画像形成動作)、搬送動作の順に、各動作が繰り返される。そうすることで、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。
【0053】
例えば、図6に示す搬送方向の位置Aではパス1とパス2のうちの先のパス1で重複領域の背景画像が印刷され、パス3が背景画像だけを印刷するパスとなりパス4が主画像と背景画像を印刷するパスとなる。よって、搬送方向の位置Aの重複領域に形成される背景画像は、パス2とパス3を乾燥時間に充てることができる。その結果、画像の滲みを抑制できる。
【0054】
なお、先に印刷する画像の乾燥時間を更に長くするためには、第1背景ノズル群と主画像ノズル群との間に、不使用ノズルを設けるとよい。そうすることで、媒体の所定領域に対して背景画像を印刷するパスと主画像を印刷するパスとの間に、画像が印刷されないパス(不使用ノズルが媒体と対向するパス)を設けることができ、画像の乾燥時間を更に長くすることができる。また、不使用ノズルが属する領域の搬送方向の長さは媒体搬送量の整数倍の長さにするとよい。そうすることで、背景画像を印刷するパスと主画像を印刷するパスとの間のパス数を、画像全域において一定にすることができ、画像の濃度むらを防止できる。
【0055】
また、実施例1では、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスのうちの後のパスで、調色ノズル群によって調色用のドットを形成する。例えば、図6の媒体上の搬送方向の位置Aに対して、パス1でもパス2でも調色ノズル群によって調色用のドットを形成することは可能であるが、後のパス2で調色用のドット(△)を形成している。これは、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスのうちの先のパスで調色用のドットを形成したとしても、その上に白インクのドットが形成されると、調色用のドットの色味が打ち消されてしまう虞があるからである。
【0056】
つまり、背景単独領域の背景画像を印刷する複数のパスの中の最後のパスで、調色ノズル群により調色用のドットを形成することが好ましい。そうすることで所望の色の背景画像を印刷することができる。ただし、これに限らず、例えば、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスのうちの両方のパスで調色用のドットを形成してもよいし、先のパスで調色用のドットを形成してもよい。
【0057】
図8は、裏刷りモードにおける実施例1の説明図である。裏刷りモードでは、表刷りモード(図6)とは逆に、図8の上図に示すように、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#4)を調色ノズル群(○)とし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#5〜#8)を主画像ノズル群(●)とする。そして、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#4)を、背景画像を印刷するための第2背景ノズル群(△)とし、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル(#5〜#8)を不使用ノズルとする。
【0058】
裏刷りモードでは、第2背景ノズル群(△)によって背景単独領域の背景画像を印刷し、且つ、主画像ノズル群(●)によって主画像を印刷するパスと、媒体を搬送することなく第2背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。なお、重複領域の背景画像の白色を調整しない場合、調色ノズル群は背景単独領域に属する画素にのみ調色用のドットを形成する。
【0059】
その結果、例えば、図8の下図における媒体上の搬送方向の位置Aでは、まず、パス1で主画像ノズル群(●)によって重複領域に主画像が印刷され、次のパス2では何も画像が印刷されない。その後、媒体が搬送され、パス3では第2背景ノズル群によって背景単独領域に背景画像が印刷され、次のパス4で第2背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域及び重複領域に背景画像が印刷される。
【0060】
このように裏刷りモード(第2モードに相当)で主画像上に背景画像を重ねて印刷する場合、カラーノズル列Coの搬送方向上流側(所定方向の他方側に相当)に位置する主画像ノズル群(第3ノズル群に相当)によって主画像を形成し、主画像ノズル群よりも搬送方向下流側に位置するホワイトノズル列Wの第2背景ノズル群(第4ノズル群に相当)によって背景画像を形成する。そうすることで、媒体の所定領域は第2背景ノズル群よりも先に主画像ノズル群と対向するため、主画像上に背景画像を印刷することができる。そして、主画像ノズル群により主画像が印刷されるパス(例:図8のパス1)と、第2背景ノズル群により重複領域の背景画像が印刷されるパス(例:図8のパス4)とを、異ならせることができる。その結果、主画像が印刷されてから重複領域の背景画像が印刷されるまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを防止できる。
【0061】
また、裏刷りモードの場合、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの後のパスで、重複領域の背景画像を形成する。例えば、媒体上の搬送方向の位置Aの重複領域に対して、パス3でもパス4でも第2背景ノズル群によって背景画像用のドットを形成することは可能である。しかし、パス3ではなく後のパス4で重複領域の背景画像を形成する。そうすることで、パス3で重複領域の背景画像を形成する場合に比べて、主画像が印刷されてから重複領域の背景画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。ただし、これに限らず、裏刷りモードの場合であっても、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの先のパスで重複領域の背景画像を形成してもよい。
【0062】
また、裏刷りモードの場合、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図8のパス1やパス3・第2の画像形成動作)、背景画像だけを印刷するパス(例:図8のパス2やパス4・第1の画像形成動作)、搬送動作の順に、各動作が繰り返される。そうすることで、主画像が印刷されてから重複領域の背景画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。例えば、図8に示す搬送方向の位置Aの重複領域に形成される背景画像は、パス2とパス3を乾燥時間に充てることができる。その結果、画像の滲みを抑制できる。
【0063】
===実施例2===
図9は、表刷りモードにおける実施例2の説明図である。実施例2におけるノズル構成は実施例1のノズル構成(図6の上図)と同じである。前述の実施例1では、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図6のパス2)において背景単独領域の背景画像だけを印刷し、背景画像だけを印刷するパス(例:図6のパス1)において背景単独領域および重複領域の背景画像を印刷している。これに対して、実施例2では、主画像と背景画像を印刷するパスの他に、背景単独領域の背景画像だけを印刷するパスを設けた印刷方法とする。
【0064】
具体的には、主画像ノズル群(●)によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群(△)によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷するパスと、媒体を搬送することなく第1背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。
【0065】
この場合にも、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数(2回)は、主画像や重複領域の背景画像を印刷するパス数(1回)よりも多くなる。そして、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスでそれぞれ形成されるドットを重ねることで、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。
【0066】
===実施例3===
図10は、表刷りモードにおける実施例3の説明図である。前述の実施例1及び実施例2では、カラーノズル列Coの主画像ノズル群と移動方向に並ぶホワイトノズル列Wのノズル(例えば図6のホワイトノズル列Wのノズル#1〜#4)を印刷に使用しない不使用ノズルとしている。これに対して、実施例3では、主画像が印刷されないパスにおいて、主画像ノズル群と移動方向に並ぶホワイトノズル列Wのノズルを印刷に用いる。
【0067】
即ち、図10の上図に示すように、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を「主画像ノズル群(●)」とし、搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を「調色ノズル群(○)」とする。そして、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を「第2背景ノズル群(斜線の三角)」とし、搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を「第1背景ノズル群(△)」とする。
【0068】
そして、実施例3では、図10の下図に示すように、第1背景ノズル群によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷し、且つ、第2背景ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、主画像ノズル群によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群及び調色ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。なお、図10の下図では、カラーノズル列Coとホワイトノズル列Wを個別に示している。
【0069】
その結果、例えば、図10の下図における媒体上の搬送方向の位置Aの背景単独領域に対して、パス1の第1背景ノズル群と、パス2の第1背景ノズル群(△)と、パス3の第2背景ノズル群によって、背景画像を印刷することが可能となる。即ち、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数「3回」を、主画像および重複領域の背景画像をそれぞれ印刷するパス数「1回」よりも多くすることができ、最大で3つのドットを重ねて背景単独領域の背景画像を印刷することができる。よって、背景単独領域の背景画像をより高濃度に印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。
【0070】
なお、背景単独領域の背景画像を印刷するために、3つのドットを重ねるに限らず、例えば、媒体上において移動方向に並ぶ画素の一部に対して第1背景ノズル群によるドットを2つ重ねて形成し、移動方向に並ぶ画素の別の一部に対して第2背景ノズル群によるドットを単独で形成してもよい。
【0071】
つまり、実施例3では、主画像と背景画像を印刷するパスの他に背景画像だけを印刷するパス(例えば図10のパス1)を加えるだけでなく、背景単独領域の背景画像を印刷するノズル数を増やすことによって、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数を増やす。言い換えると、実施例3では、背景単独領域の背景画像部分を、主画像ノズル群と移動方向に並ぶホワイトノズル列Wのノズル群と、主画像ノズル群と搬送方向にずれたホワイトノズル列Wのノズル群によって形成する。
【0072】
また、背景単独領域の背景画像を構成するラスターラインが、第1背景ノズル群のノズルと第2背景ノズル群のノズルによって形成されるため、一方のノズルが不良ノズルであったとしても他方のノズルによってドットが形成される。ゆえに、背景単独領域の背景画像上において、不良ノズルによる白スジを目立ち難くすることができる。
また、背景単独領域の背景画像を印刷する複数のパス間に媒体の搬送動作が実施されるため、あるパスの前の搬送動作で誤差が生じてドット形成位置がずれたとしても、別のパスのドットを正しい位置に形成することで、画質劣化を抑制できる。
【0073】
また、主画像ノズル群と移動方向に並ぶ第2背景ノズル群を使用することで、ホワイトノズル列Wを有効に利用できる。よって、ノズルの使用頻度の偏りを抑制でき、ヘッド41の寿命を長くすることができる。他にも、長時間に亘るノズルの不使用によるインクの目詰まりやインク組成物である色材の沈降などを防止できる。なお、本実施形態では、背景画像の色味を調整するために、カラーノズル列Coもホワイトノズル列Wと同様に有効に利用している。
【0074】
また、図10では、第2背景ノズル群よりも搬送方向上流側のカラーノズル列Coを調色ノズル群としている。そのため、例えば、図10の媒体上の搬送方向の位置Aに対して、パス2で調色ノズル群によって調色用のドットを形成したとしても、パス3で調色用のドット上に第2背景ノズル群による白インクのドットが形成される。そうすると、調色用のドットの色味が白インクのドットによって打ち消されて、所望の色の背景画像が印刷されない虞がある。そこで、第2背景ノズル群によって白インクのドットが形成される画素に対しては、主画像ノズル群によって調色用のドットを形成するようにしてもよい。即ち、主画像ノズル群に調色ノズル群の役割の一部を担わせる。そうすることで、白インクのドットと調色用のドットが同じパスで形成されるため、2つのドットが混色し、画像上におけるドットの粒状性を良くすることができる。
【0075】
また、実施例3においても、表刷りモードの場合、背景画像を形成可能な3回のパスのうちの先のパス(例:図10のパス1からパス3のうちのパス1)において、重複領域の背景画像を印刷する。また、背景画像を印刷するパス(例:図10のパス1)と、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図10のパス2)と、搬送動作とを、順に繰り返す。その結果、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを防止できる。
【0076】
===実施例4===
図11は、表刷りモードにおける実施例4の説明図である。実施例4は実施例3(図10の上図)と同じノズル構成とする。即ち、主画像ノズル群に対して搬送方向上流側にずれた第1背景ノズル群(第2ノズル群に相当)と、主画像ノズル群と移動方向に並ぶ第2背景ノズル群(第4ノズル群に相当)とを用いて、背景単独領域の背景画像を印刷する。背景単独領域の背景画像は主画像と重ならない。そのため、実施例4では、主画像を印刷するパスにおいても、主画像ノズル群と移動方向に並ぶ第2背景ノズル群を用いて背景単独領域の背景画像を印刷する。
【0077】
具体的には、図11に示すように、第1背景ノズル群によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷し、且つ、第2背景ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、主画像ノズル群によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群、第2背景ノズル群、及び、調色ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。
【0078】
その結果、例えば、図11における媒体上の搬送方向の位置Aの背景単独領域に対して、パス1及びパス2の第1背景ノズル群と、パス3及びパス4の第2背景ノズル群によって、背景画像を印刷することが可能となる。即ち、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数「4回」を、主画像および重複領域の背景画像をそれぞれ印刷するパス数「1回」よりも多くすることができ、最大で4つのドットを重ねて背景単独領域の背景画像を印刷することができる。よって、背景単独領域の背景画像をより高濃度に印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。なお、背景単独領域の背景画像を印刷するために、4つのドットを全て重ねるに限らない。例えば、媒体上において、移動方向に並ぶ画素の一部に第1背景ノズル群による2つのドットを重ねて形成し、残りの画素に第2背景ノズル群による2つのドットを重ねて形成してもよい。
【0079】
実施例3と同様に実施例4においても、背景単独領域の背景画像を構成するラスターラインが、第1背景ノズル群のノズルと第2背景ノズル群のノズルによって形成されるため、不良ノズルによる画質劣化を抑制できる。また、背景単独領域の背景画像を印刷する複数のパス間に媒体の搬送動作が実施されるため、画質劣化を抑制できる。また、第2背景ノズル群によって白インクのドットが形成される画素に対しては、第2背景ノズル群と移動方向に並ぶ主画像ノズル群によって調色用のドットを形成するようにしてもよい。
【0080】
また、通常、最大で1画素の面積よりも大きなドットが形成され、特に背景画像はベタ塗り画像であるので1画素の面積よりも大きなドットが形成される。そのため、背景単独領域の背景画像が印刷される画素が、主画像が印刷される画素に隣接していると、主画像が印刷されるパスにおいて隣接する各画素に背景画像用のドットと主画像用のドットが形成される。その結果、背景画像用のドットと主画像用のドットが混色する虞がある。そこで、主画像が印刷される画素の周囲、即ち、重複領域に属する画素の周囲に「予備領域」を設けるとよい。そして、予備領域の背景画像の印刷には、重複領域の背景画像と同様に、第2背景ノズル群を用いないようにする。そうすることで、背景画像用のドットと主画像用のドットの混色を防止でき、印刷画像の滲みを抑制できる。
【0081】
===実施例5===
実施例1から実施例4では、重複領域の背景画像を印刷するパス数を、主画像を印刷するパス数と同じとし、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくしているが、これに限らない。実施例5では、重複領域の背景画像を印刷するパス数を、主画像を印刷するパス数よりも多くする。そして、重複領域の背景画像を印刷する複数のパスでそれぞれ形成するドットを重ねて形成することで、重複領域の背景画像の濃度を濃くすることができる。その結果、主画像の遮蔽性をより高めることができる。
【0082】
例えば、実施例1(図6)や実施例2(図9)において、パス1だけでなくパス2でも重複領域の背景画像を印刷するようにする。また、実施例3(図10)において、例えばパス3で第2背景ノズル群を用いて重複領域の背景画像を印刷することができる。ただし、実施例4(図11)のように主画像を印刷するパスで第2背景ノズル群を用いて、重複領域の背景画像を印刷することはできない。
【0083】
また、インク吸収性媒体を使用する場合には、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量が制限される。重複領域の背景画像は、主画像と重ねて印刷されるため、背景単独領域の背景画像に比べると、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量は少なくなる。よって、重複領域の背景画像を印刷するパス数を、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数と同様に、主画像を印刷するパス数よりも増やす場合には、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えないように重複領域の背景画像を印刷するとよい。なお、紫外線を照射すると硬化するインク(UVインク)を用いる場合、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量が制限されないため、重複領域の背景画像を印刷するパス数を増やすことで、背景単独領域の背景画像と同等の濃度で重複領域の背景画像を印刷することができる。
【0084】
===別の印刷パターン===
実施例1から実施例5を説明する際にバンド印刷(印刷パターン1)を例に挙げているが、これに限らない。以下の印刷パターンにおいても、背景画像と主画像を印刷するパスの他に、背景画像だけを印刷するパスを設けることで、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができる。なお、実施例1(図6)に基づいて以下の印刷パターンを説明する。
【0085】
<印刷パターン2>
図12は、表刷りモードにおける印刷パターン2の説明図である。印刷パターン2は、あるパスで形成されるラスターライン間に他のパスにてラスターラインを形成する印刷方法(インターレース印刷)とする。例えば、パス1、パス2でノズル#7,#8により形成される背景画像用のラスターライン間に、パス3、パス4とパス5、パス6で背景画像用のラスターラインが形成される。そのため、印刷パターン2では、前述のバンド印刷(図6)よりも、媒体搬送量を4D/3と短くする。印刷パターン2では、バンド印刷に比べて、搬送方向の印刷解像を高くすることができる。
【0086】
<印刷パターン3>
図13は、表刷りモードにおける印刷パターン3の説明図である。印刷パターン3では、印刷パターン2(図12)よりも更に媒体搬送量(2D/3)を短くする。そのため、1つのラスターラインに対して、第1背景ノズル群のうちの異なる2つのノズル(△)が割り当てられ、主画像ノズル群のうちの異なる2つのノズル(●)が割り当てられる。例えば、印刷開始位置の直ぐ下のラスターラインに対して、第1背景ノズル群のノズル#7とノズル#5が割り当てられ、主画像ノズル群のノズル#3とノズル#1が割り当てられる。ゆえに、一方のノズルが不良ノズルであったとしても、他方のノズルでドットを形成することができるため、不良ノズルによる画像の画質劣化を抑制できる。
【0087】
また、印刷パターン3では、1つのラスターラインに対して、第1背景ノズル群が4回のパスにて割り当てられ、主画像ノズル群が2回のパスにて割り当てられる。ゆえに、前述のバンド印刷(図6)や印刷パターン2に比べて、背景画像を印刷するパス数、及び、主画像を印刷するパス数を増やすことができ、各画像の濃度を濃く印刷することができる。
【0088】
<印刷パターン4>
図14は、表刷りモードにおける印刷パターン4の説明図である。印刷パターン4では、主画像ノズル群に属するノズル数よりも、主画像ノズル群と搬送方向にずれた第1背景ノズル群に属するノズル数を少なくする。図14では、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wにそれぞれ属するノズル数を6個とする。そして、カラーノズル列Coのうち、搬送方向下流側の4個のノズル(#1〜#4)を主画像ノズル群とし、搬送方向上流側の2個のノズル(#5〜#6)を調色ノズル群とする。また、ホワイトノズル列Wのうちの搬送方向上流側の2個のノズル(#5〜#6)を第1背景ノズル群とする。
【0089】
本実施形態では、主画像と背景画像を印刷するパスの他に背景画像だけを印刷するパスを設けるため、第1背景ノズル群に属するノズル数を主画像ノズル群に属するノズル数より少なくしたとしても、背景画像の濃度を濃く印刷することができる。
【0090】
<印刷パターン5>
図15は、表刷りモードにおける印刷パターン5の説明図である。図15では、ノズル列における搬送方向のノズル間隔Dが短い場合の印刷方法を説明する図である。ノズル間隔Dが短いヘッド41を用いて印刷する場合、印刷パターン2から印刷パターン4(図12〜図14)のように或るパスで形成されるラスターライン間に他のパスのラスターラインを形成することなく、搬送方向の印刷解像度を高めて印刷することができる。
【0091】
また、印刷パターン5では前述のバンド印刷(図6)に比べて、媒体搬送量を短くしている。ゆえに、印刷パターン3(図13)と同様に、1つのラスターラインに対して、第1背景ノズル群の異なる2つのノズルが割り当てられ、主画像ノズル群の異なる2つのノズルが割り当てられる。よって、不良ノズルによる画像の画質劣化を抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態では、プリンタードライバーが、背景画像だけを形成するパス(第1の画像形成動作)、及び、主画像と背景画像を形成するパス(第2の画像形成動作)と、搬送動作とが繰り返されるように、印刷データを作成する。そして、その印刷データに基づいて、プリンター1のコントローラー10が、ヘッドユニット40等を制御する。よって、プリンター1のコントローラー10とプリンタードライバーをインストールしたコンピューター60とが「制御部」に相当し、プリンター1とコンピューター60が接続された印刷システムが「流体噴射装置」に相当する。ただし、これに限らず、プリンタードライバーの役割をプリンター1のコントローラー10が担ってもよく、この場合、プリンター1のコントローラー10が「制御部」に相当し、プリンター1単体が「流体噴射装置」に相当する。
【0093】
===変形例===
図16は、変形例の印刷パターンを説明する図である。前述の実施形態では、カラーノズル列Coおよびホワイトノズル列Wを2分割して印刷に用いているが、これに限らない。この変形例のように、カラーノズル列Coおよびホワイトノズル列Wにそれぞれ属する全ノズル(#1〜#8)を印刷に用いても良い。この場合も、背景単独領域の背景画像を高濃度に印刷するために、主画像と背景画像を印刷するパスの他に、背景画像だけを印刷するパスを設ける。
【0094】
図16は表刷りモードの印刷例を示す図であり、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域及び重複領域に画像を印刷するパスと、カラーノズル列Coによって主画像を印刷し、且つ、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、ノズル列長さ(8D)の媒体を搬送する動作と、が順に繰り返される。そうすることで、背景画像上に主画像を印刷することができ、また、重複領域の背景画像と主画像を異なるパスで印刷することができるため、画像の滲みを防止できる。そして、背景単独領域の背景画像を、ホワイトノズル列Wによって2回のパスで印刷することができ、その2回のパスのドットを重ねることで、背景単独領域の背景画像を高濃度に印刷することができる。
【0095】
なお、裏刷りモードの場合(不図示)、カラーノズル列Coによって主画像を印刷し、且つ、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域および重複領域の背景画像を印刷するパスと、媒体搬送動作と、を順に繰り返すとよい。
【0096】
前述の実施形態では、白インクに4色インク(YMCK)を適宜使用して、白色の色味を調整した背景画像を印刷する例を挙げているが、これに限らず、白インクだけで背景画像を印刷してもよい。他に、背景画像を白色とするに限らず、白インク以外の色インク(例えば、メタリック系のインク)によって背景画像を印刷してもよい。また、前述の実施形態では、4色インク(YMCK)だけで主画像を印刷しているが、これに限らず、4色インクと共に白インク(背景画像用のインク)を用いて主画像を印刷してもよい。4色インクに白インクを加えて主画像を印刷することで、高明度、且つ、高彩度の色を再現した画像を印刷することができる。
【0097】
また、前述の実施形態では、主画像と背景画像を重ねて印刷しているが、これに限らない。例えば、主画像の周囲にだけ背景画像を印刷してもよい。即ち、図5Bに示す背景単独領域に背景画像だけを印刷し、重複領域に主画像だけを印刷する。この場合にも、主画像と背景画像を印刷するパスの他に、背景画像だけを印刷するパスを設ける。そうすることで、背景単独領域の背景画像を濃く印刷して背景画像の画質を向上させたり、不良ノズルによる背景画像の画質劣化を抑制したりすることができる。
【0098】
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、印刷方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0099】
<インクと媒体について>
プリンター1で用いる(記録)媒体として、紫外線を照射すると硬化するインク(UVインク)を用いてもよく、UVインクを用いる場合には、インク吸収性を有する媒体である必要がない。ただし、紫外線を照射する照射器が必要となる。
【0100】
他に、プリンター1で用いる(記録)媒体として、インク吸収性を有する媒体が挙げられる。インク吸収性を有する媒体に吸収されるインクには、溶剤として水を少なくとも含む「水系インク」がある。なお、このような組成物のカラーインク(YMC)やブラックインク(K)として、例えば、特開2008−81693、特開2005−105135、特開2003−292834に記載のインクが挙げられる。また、白インク(W)として、例えば、特開2009−138078、特開2009−137124に記載のインクが挙げられる。
【0101】
水系インクを吸収する媒体には、例えば、紙、布などのインクを吸収する基材を用いた媒体や、インクを吸収する基材或いはインクを吸収しない基材にインクを吸収するインク吸収層を設けた媒体がある。基材の材料としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、又はポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム、普通紙、コート紙、又はトレーシングペーパー等の紙、樹脂被覆紙、あるいは合成紙を挙げることができる。なお、透明性の有る媒体として、例えば、特開2009−925、特開平9−99634、特開平9−208870に記載の媒体が挙げられる。
【0102】
<白色について>
本明細書において「白色」とは、可視光線のすべての波長を100%反射する物体の表面色である厳密な意味での白色に限らず、いわゆる「白っぽい色」のように、社会通念上、白色と呼ばれる色を含むものとする。「白色」とは、例えば、(1)x-rite社製の測色機eye-one Proを用いて測色モード:スポット測色、光源:D50、バッキング:Black、印刷媒体:透明フィルムで測色した場合に、Lab系での標記がa*b*平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(2)ミノルタ製の測色計CM2022を用いて測定モードD502°視野、SCFモード、白地バックで測色した場合に、Lab系での標記がa*b*平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(3)特開2004−306591号公報に記載されているように画像の背景として用いられるインクの色をいい、背景として用いられるのであれば純粋な白に限られない。
【0103】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、ヘッド41を移動方向に移動しながら媒体に画像を形成する動作と、ヘッド41に対して媒体を搬送方向に搬送する動作と、を繰り返すプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、(複数の)ヘッドを有するヘッドユニットを媒体搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドユニットを紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送して再び画像を形成するプリンターであってもよい。
【0104】
また、ノズルからの流体噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて圧力室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって流体を噴射させるサーマル方式でもよい。
【0105】
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、プリンター1が説明されていたが、これに限られるものではなくインク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射する流体噴射装置に具現化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【符号の説明】
【0106】
1 プリンター、
10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、50 検出器群、
60 コンピューター
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、及び、流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一つとして、媒体に対してノズルからインクを噴射するヘッドを有するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が知られている。プリンターの中には、主画像とその背景となる背景画像とを印刷するプリンターがある。例えば、カラーインクの他に白インクを用いるプリンターであれば、カラーインクによる主画像と白インクによる背景画像を重ねて印刷することができる(例えば、特許文献1参照)。その結果、媒体の地色に影響されずに、発色性の良い画像を印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−38063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、背景画像ではインクが隙間無く塗布される。そのため、例えば、媒体に対してヘッドが移動しながら画像を形成する画像形成動作と媒体を搬送する動作とを繰り返すプリンターにおいて、主画像を印刷するための画像形成動作の回数と背景画像を印刷するための画像形成動作の回数を同じにしてしまうと、背景画像の濃度が不十分となる虞がある。
【0005】
そこで、本発明では、背景画像を高画質に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為の主たる発明は、媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンターの全体構成ブロック図である。
【図2】プリンターの斜視図である。
【図3】ヘッドの下面に設けられるノズルの配列を示す図である。
【図4】プリンターが有する印刷モードを説明する図である。
【図5】図5A及び図5Bは重複領域と背景単独領域を説明する図である。
【図6】表刷りモードにおける実施例1の説明図である。
【図7】図7Aから図7Cは背景単独領域及び重複領域にそれぞれ形成されるドットの位置を説明する図である。
【図8】裏刷りモードにおける実施例1の説明図である。
【図9】表刷りモードにおける実施例2の説明図である。
【図10】表刷りモードにおける実施例3の説明図である。
【図11】表刷りモードにおける実施例4の説明図である。
【図12】表刷りモードにおける印刷パターン2の説明図である。
【図13】、表刷りモードにおける印刷パターン3の説明図である。
【図14】表刷りモードにおける印刷パターン4の説明図である。
【図15】表刷りモードにおける印刷パターン5の説明図である。
【図16】変形例の印刷パターンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0009】
即ち、媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、背景画像を高濃度に形成することができ、背景画像を高画質に形成することができる。
【0010】
かかる流体噴射装置であって、前記媒体に前記主画像と前記背景画像を重ねて形成する場合に、前記媒体の所定領域に対して前記背景画像を前記主画像よりも先に形成する第1モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方側に位置する第1ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第1ノズル群よりも前記所定方向の他方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第2ノズル群によって前記背景画像を形成し、前記媒体の所定領域に対して前記主画像を前記背景画像よりも先に形成する第2モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の他方側に位置する第3ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第3ノズル群よりも前記所定方向の前記一方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第4ノズル群によって前記背景画像を形成すること。
このような流体噴射装置によれば、主画像を形成する画像形成動作と背景画像を形成する画像形成動作を異ならせることができ、主画像または背景画像の乾燥時間を長くすることができる。
【0011】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作で形成し、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの一方の画像形成動作で形成すること。
このような流体噴射装置によれば、主画像と重ならない背景画像部分を高画質に形成しつつ、背景画像を形成する流体の消費を抑えることができる。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの先の画像形成動作で形成し、前記第2モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの後の画像形成動作で形成すること。
このような流体噴射装置によれば、主画像または背景画像の乾燥時間を長くすることができる。
【0013】
かかる流体噴射装置であって、前記第1モードでは、前記第1の画像形成動作、前記第2の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返し、前記第2モードでは、前記第2の画像形成動作、前記第1の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返すこと。
このような流体噴射装置によれば、主画像または背景画像の乾燥時間を長くすることができる。
【0014】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を前記第2ノズル群と前記第4ノズル群によって形成すること。
このような流体噴射装置によれば、背景画像をより高濃度に形成することができる。
【0015】
かかる流体噴射装置であって、前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットと前記第2の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットを重ねることによって形成すること。
このような流体噴射装置によれば、背景画像を高濃度に形成することができる。
【0016】
また、媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、を有する流体噴射装置による流体噴射方法であって、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する、ことを特徴とする流体噴射方法である。
このような流体噴射方法によれば、背景画像を高濃度に形成することができ、背景画像を高画質に形成することができる。
【0017】
===印刷システムについて===
以下、流体噴射装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて実施形態を説明する。
【0018】
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図である。図2は、プリンター1の斜視図である。コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。なお、コンピューター60には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。プリンタードライバーは、CD−ROMなどの記憶媒体(コンピューターが読み取り可能な記憶媒体)に記憶されていたり、インターネットを介してコンピューターにダウンロード可能であったりする。
【0019】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送量で媒体Sを搬送させるものである。
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する移動方向に移動させるためのものであり、キャリッジ31を有する。
【0021】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41はキャリッジ31によって移動方向(所定方向と交差する方向に相当)に移動する。ヘッド41の下面にはインク噴射部であるノズルが複数設けられ、各ノズルにはインクが入った圧力室(不図示)が設けられている。
【0022】
図3は、ヘッド41の下面に設けられるノズルの配列を示す図である。なお、図はヘッド41の上面から仮想的にノズルを見た図である。ヘッド41の下面には、180個のノズルが搬送方向(所定方向に相当)に所定の間隔Dで並んだノズル列が5列形成されている。図示するように、ブラックインクを噴射するブラックノズル列K・シアンインクを噴射するシアンノズル列C・マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列M・イエローインクを噴射するイエローノズル列Y・白インクを噴射するホワイトノズル列Wが、移動方向に並んでいる。なお、各ノズル列が有する180個のノズルに対して、搬送方向の下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。なお、4色のインクを噴射するノズルが第1ノズルに相当し、4色インクをそれぞれ噴射するノズル列(YMCK)が第1ノズル列に相当し、白インクを噴射するノズルが第2ノズルに相当し、ホワイトノズル列Wが第2ノズル列に相当する。
【0023】
このようなプリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に噴射させて媒体上にドットを形成する画像形成動作と、ヘッド41に対して媒体を搬送方向に搬送する搬送動作とが繰り返される。そうすることで、先の画像形成動作により形成されたドットの位置とは異なる媒体上の位置に、後の画像形成動作にてドットを形成することができ、媒体上に2次元の画像を印刷することができる。なお、ヘッド41がインク滴を噴射しながら移動方向に1回移動する動作(1回の画像形成動作)を「パス」と呼ぶ。
【0024】
===印刷モードについて===
図4は、本実施形態のプリンター1が有する印刷モードを説明する図である。本実施形態のプリンター1は、4色インクのノズル列(YMCK)の中の少なくとも1つを用いて印刷する主画像(カラー画像やモノクロ画像)とホワイトノズル列Wを用いて印刷する白色の背景画像とを重ねた印刷物を形成する。主画像の背景に白色の背景画像を設けることで、特に媒体が白色でない場合に、発色性の良い画像を印刷することができる。また、媒体が透明である場合には、主画像と背景画像を重ねて印刷することで、印刷物の反対側が透けてしまうことを防止できる。
【0025】
なお、白インクのみを使用して背景画像を印刷すると、その白インクの色そのものの色が背景画像の色となる。しかし、同じように白インクと呼ばれるインクであっても、インクの材料などによって白色の色味が若干異なる。そのため、使用する白インクによってユーザーが所望する色とは異なる色の背景画像が印刷されてしまう場合がある。また、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する背景画像が所望されることもある。そこで、本実施形態のプリンター1は、白インクと共に少量の4色インク(YMCK)を適宜使用して、所望の白色の背景画像(調整された白色の背景画像)を印刷する。そうすることで、逆に、白インクが若干の色彩を有する場合には、その色彩を打ち消すインクと共に背景画像を印刷し、背景画像を無彩色に近づけることもできる。なお、プリンターが淡インク(ライトシアンやライトマゼンタ)を有する場合には、背景画像の色味の調整には淡インクを用いるとよい。
【0026】
そして、白インクと共に4色インクを適宜使用した背景画像をプリンター1に印刷させるための印刷データは、プリンター1が予め記憶するようにしても良いし、プリンター1のモニターやコンピューターの画面をユーザーが見るなどして所望の背景画像の色の選択が行われる場合には、選択された色に応じた背景画像の印刷データをプリンタードライバーが生成するようにするとよい。
【0027】
そして、プリンター1は、主画像と背景画像を重ねた印刷物を形成する場合に、「表刷りモード」と「裏刷りモード」の何れかのモードによって印刷物を形成する。表刷りモードは、主画像が印刷面側から視認されるように画像を印刷するモードである。そのため、表刷りモードでは媒体の所定領域に対して先に背景画像が印刷され、その背景画像上に主画像が印刷される。一方、裏刷りモードは、媒体を介して主画像が印刷面と反対側の面から視認されるように画像を印刷するモードであり、媒体が透明性を有する場合に裏刷りモードが実施される。裏刷りモードでは媒体の所定領域に対して先に主画像が印刷され、その主画像上に背景画像が印刷される。
【0028】
図5A及び図5Bは、重複領域と背景単独領域を説明する図である。図は表刷りモードにて印刷される主画像と背景画像を示し、図5Aは印刷物の斜視図であり、図5Bは印刷物の断面図である。以下の説明のため、媒体上において主画像が形成される領域、即ち、主画像と背景画像が重ねて形成される領域を「重複領域」と呼ぶ。そして、媒体上において背景画像が形成される領域であって主画像が形成されない領域を「背景単独領域」と呼ぶ。なお、主画像の背景画像を図5に示すような略長方形状にするに限らない。例えば、主画像である文字Aを縁取った背景画像、即ち、文字Aの周辺の数mm程度の範囲を背景画像としてもよい。
【0029】
===実施例1===
図6は、表刷りモードにおける実施例1の説明図である。図では、説明の簡略のため、4色インクを各々噴射するノズルが搬送方向に並ぶノズル列(YMCK)をまとめて「カラーノズル列Co」と示し、また、実際のプリンターよりもノズル数を減らしたり媒体搬送量を短くしたりする。カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wにそれぞれ属するノズル数を8個(#1〜#8)とし、ノズル列において搬送方向に並ぶノズルの間隔をDとする。なお、以下に示す印刷方法では、ヘッド41が移動方向の一方側に移動する往路時に画像を形成し、ヘッド41が移動方向の他方側に移動する復路時にも画像を形成する双方向印刷でもよいし、往路時と復路時の何れか一方の時だけ画像を形成する単方向印刷でもよいとする。
【0030】
図6の上図は各画像を印刷するために使用するノズルを示す図である。表刷りモードの場合、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を、主画像を印刷するための「主画像ノズル群」(黒塗りの丸ノズル)とし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を、背景画像の白色の色味を調整するための「調色ノズル群」(白抜きの丸ノズル)とする。そして、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を不使用ノズルとし、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を、背景画像を印刷するための「第1背景ノズル群」(白抜きの三角ノズル)とする。
【0031】
なお、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さい。ただし、背景画像におけるカラーインクの粒状感を低減するため、背景画像上においてカラーインクのドットをなるべく均一に分散することが好ましい。即ち、背景画像の単位領域あたりの白インク密度(ドット密度)に対して背景画像の単位領域あたりのカラーインク密度(ドット密度)を小さくする。そのため、図6に示すように、第1背景ノズル群に属するノズル数と調色ノズル群に属するノズル数を等しくして、調色ノズル群によるドットを小さいサイズのドットにするとよい。ただし、これに限らず、第1背景ノズル群に属するノズル数よりも調色ノズル群に属するノズル数を少なくしてもよい。
【0032】
図6の下図は各パスにおけるノズルの搬送方向の位置を示す図であり、カラーノズル列Coのノズル(●・○)とホワイトノズル列Wのノズル(△)を1つのノズル列として描く。実際のプリンター1ではヘッド41に対して媒体が搬送方向下流側に搬送されるが、図6の下図ではヘッド41が搬送方向上流側に搬送される様子を示す。図6に示す印刷方法はバンド印刷(印刷パターン1)である。バンド印刷とは、1回のパスで形成されるバンド画像が搬送方向に並ぶ印刷方法であり、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に他のパスにてラスターラインを形成しない印刷方法である。よって、バンド印刷では、1回の媒体搬送量が、1回のパスで形成されるバンド画像の搬送方向の幅長さに相当する。
【0033】
ところで、背景画像は、通常、ベタ塗り画像であり、背景画像を印刷するために白インクが隙間無く塗布される。そのため、1回のパスだけで背景画像を印刷したとすると、背景画像の濃度が不十分となる虞がある。特に、背景単独領域の背景画像(図5)は、主画像と重ねて印刷されずに直接に視認されるため、高濃度に印刷する必要がある。
【0034】
そこで、背景画像を印刷するパス数を、主画像を印刷するパス数よりも多くする。そのために、本実施形態のプリンター1は、背景画像だけを形成するためにホワイトノズル列Wのノズルから流体を噴射させるパス(第1の画像形成動作に相当)、及び、主画像と背景画像を形成するためにカラーノズル列Coのノズルとホワイトノズル列Wのノズルから流体を噴射させるパス(第2の画像形成動作)と、媒体の搬送動作とを、繰り返す印刷方法(流体噴射方法)を実施する。つまり、主画像と背景画像が印刷されるパスの他に背景画像だけが印刷されるパスを設けた印刷方法を実施する。
【0035】
そして、背景単独領域の背景画像を、背景画像だけを形成するパスでホワイトノズル列Wのノズルによって形成されるドットと、主画像と背景画像を形成するパスでホワイトノズル列Wのノズルによって形成されるドットとを、重ねることによって形成する。その結果、背景単独領域の背景画像を濃く印刷することができ、背景単独領域の背景画像をより高画質に形成することができる。
【0036】
また、本実施形態では、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数を、重複領域の背景画像を印刷するパス数よりも多くする。そのために、背景単独領域の背景画像(背景画像において主画像と重ならない画像部分)は、主画像と背景画像が印刷されるパスと背景画像だけが印刷されるパスの両方のパスで印刷するのに対して、重複領域の背景画像(背景画像において主画像と重なる画像部分)は、主画像と背景画像が印刷されるパスと背景画像だけが印刷されるパスのうちの一方のパスで印刷する。
【0037】
重複領域の背景画像は、主画像と重ねて印刷されるため、主画像の遮蔽性を確保できればよく、背景単独領域の背景画像ほど高濃度に印刷する必要は無い。逆に言えば、重複領域の背景画像を印刷するパス数を背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくすることで、重複領域の背景画像が必要以上に濃く印刷されることがなくなり、白インクの消費量を抑えることができる。
【0038】
また、印刷に使用するインクが例えば水系インク(溶剤として水を少なくとも含むインク)であり、印刷に使用する媒体が水系インクの吸収性を有する媒体である場合、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量が制限されてしまう。媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えてインクを噴射してしまうと、媒体内部に吸収しきれないインクが媒体上に溢れだし、媒体上の近傍に着弾した異色のインク滴が混じり合ってブリーディング(滲み)等が発生してしまう。
【0039】
背景単独領域の背景画像は主画像と重ねて印刷されない。そのため、背景単独領域の背景画像を印刷するために媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量は、主画像や重複領域の背景画像を印刷するために媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量よりも多くすることができる。ゆえに、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数を主画像や重複領域の背景画像を印刷するパス数よりも多くして、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷したとしても、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えてインクが噴射されてしまうことを防止できる。
【0040】
一方、重複領域の背景画像は主画像と重ねて印刷される。そのため、重複領域の背景画像を印刷するパス数を背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくすることで、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えてインクが噴射されてしまうことを防止できる。言い換えれば、重複領域の背景画像を印刷するパス数を背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくして、媒体の単位領域あたりに噴射するインク量を少なくすることで、主画像を印刷するために媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を増やすことができる。その結果、主画像の発色性を良くすることができる。
【0041】
次に、主画像と背景画像が印刷されるパスの他に背景画像だけが印刷されるパスを設けた印刷方法について、図6の下図を用いて具体的に説明する。図6の下図において、第1背景ノズル群(△)が背景単独領域と重複領域にドットを形成するパスを「単+重」と示し、第1背景ノズル群が背景単独領域だけにドットを形成するパスを「単」と示す。なお、以下では、背景単独領域の背景画像は調色ノズル群によって白色の色味を調整して印刷するが、重複領域の背景画像は白色の色味を調整せずに白インクのみによって印刷するとする。
【0042】
図6の下図に示すように、実施例1では、第1背景ノズル群(△)によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷するパス(第1の画像形成動作に相当)と、媒体を搬送することなく主画像ノズル群(●)によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域の背景画像を印刷するパス(第2の画像形成動作に相当)と、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。
【0043】
その結果、例えば、図6の下図における媒体上の搬送方向の位置Aでは、まず、パス1で第1背景ノズル群(△)によって背景単独領域及び重複領域に背景画像が印刷され、次のパス2で第1背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域に背景画像が印刷される。その後、媒体が搬送され、パス3では何も画像が印刷されず、次のパス4で主画像ノズル群(●)によって重複領域に主画像が印刷される。
【0044】
このように表刷りモード(第1モードに相当)で背景画像上に主画像を重ねて印刷する場合、カラーノズル列Coの搬送方向下流側(所定方向の一方側に相当)に位置する主画像ノズル群(第1ノズル群に相当)によって主画像を形成し、主画像ノズル群よりも搬送方向上流側に位置するホワイトノズル列Wの第1背景ノズル群(第2ノズル群に相当)によって背景画像を形成する。そうすることで、媒体の所定領域は主画像ノズル群よりも先に第1背景ノズル群と対向するため、背景画像上に主画像を印刷することができる。そして、第1背景ノズル群により重複領域の背景画像が印刷されるパス(例:図6のパス1)と、主画像ノズル群により主画像が印刷されるパス(例:図6のパス4)とを、異ならせることができる。その結果、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを防止できる。
【0045】
次に、具体的なドット形成方法について説明する。
図7Aから図7Cは、背景単独領域及び重複領域にそれぞれ形成されるドットの位置を説明する図である。図では、点線のマス目を、1つのドットが形成される媒体上の単位領域である「画素」とする。水平位置として、移動方向の左の画素から順に小さい番号(1、2、3…)を付し、列番号として、搬送方向の下流側の画素から順に小さい番号(L1、L2、L3…)を付す。水平位置が1〜4の画素と8〜11の画素を「背景単独領域」に属する画素とし、水平位置が5〜7の画素を「重複領域」に属する画素とする。また、列番号がL1〜L4の画素を搬送方向の位置Aの領域に属する画素とし、列番号がL5〜L8の画素を搬送方向の位置Bの領域に属する画素とする。
【0046】
なお、図7では、全ての画素にドットを形成するように印刷データが指示しているとする。また、図7において、第1背景ノズル群によって形成されるドットを「△(白抜きの三角)」で示し、調色ノズル群によって形成されるドットを「○(白抜きの丸)」で示し、主画像ノズル群によって形成されるドットを「●(黒塗りの丸)」で示す。
【0047】
まず、図7Aに示すパス1では、第1背景ノズル群は、搬送方向の位置Aの領域に属する画素であり、且つ、背景単独領域および重複領域に属する全ての画素にドット(△)を形成する。次に、媒体を搬送方向下流側に搬送せずに、図7Bに示すパス2にて、第1背景ノズル群と調色ノズル群は、背景単独領域に属する画素だけにドットを形成する。その結果、背景単独領域に属する画素では、パス1で第1背景ノズル群によって形成されたドットとパス2で第1背景ノズル群によって形成されたドットとが重なる。ゆえに、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。
【0048】
次に、ノズル列の半分の長さだけ媒体を搬送方向下流側に搬送し、図7Cに示すパス3にて、搬送方向の位置Bの領域に属する画素であり、且つ、背景単独領域および重複領域に属する全ての画素に第1背景ノズル群によるドット(△)を形成する。一方、搬送方向の位置Aの領域に属する画素には何もドットを形成しない。ゆえに、パス3は背景画像だけを印刷するパスである。
【0049】
その後、媒体を搬送方向下流側に搬送せずに、図7Dに示すパス4にて、第1背景ノズル群と調色ノズル群は、背景単独領域に属する画素だけにドットを形成する。その結果、搬送方向の位置Bの背景単独領域に属する画素でも、第1背景ノズル群によるドットが重ねて形成され、背景単特領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができる。また、パス4では、主画像ノズル群が、搬送方向の位置Aの領域に属する画素であり、且つ、重複領域に属する画素に、ドット(●)を形成する。その結果、重複領域では背景画像上に主画像が印刷される。ゆえに、パス4は主画像と背景画像を印刷するパスである。
【0050】
なお、図7の例では、背景単独領域に属する全ての画素においてドットを重ねて形成しているが、これに限らない。例えば、ユーザーが所望する背景画像の濃度に応じて、背景単独領域に属する画素のうちの所定数の画素だけにドットを重ねて形成するようにしてもよい。
【0051】
このように、主画像と背景画像を印刷するパスと背景画像だけを印刷するパスとで、背景単独領域に属する画素のドットを重ねて形成することで、背景単独領域の背景画像を高濃度に印刷することができる。更に、この実施例1(図6及び図7)では、表刷りモードの場合、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの先のパスで、重複領域の背景画像を形成する。例えば、媒体上の搬送方向の位置Aの重複領域に対して、パス1でもパス2でも第1背景ノズル群によって背景画像用のドットは形成可能である。しかし、表刷りモードの場合には、パス2ではなく先のパス1で重複領域の背景画像を形成する。そうすることで、パス2で重複領域の背景画像を形成する場合に比べて、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。ただし、これに限らず、表刷りモードの場合であっても、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの後のパスで重複領域の背景画像を形成してもよい。
【0052】
また、実施例1では、表刷りモードの場合、背景画像だけを印刷するパス(例:図6のパス1やパス3・第1の画像形成動作)、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図6のパス2やパス4・第2の画像形成動作)、搬送動作の順に、各動作が繰り返される。そうすることで、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。
【0053】
例えば、図6に示す搬送方向の位置Aではパス1とパス2のうちの先のパス1で重複領域の背景画像が印刷され、パス3が背景画像だけを印刷するパスとなりパス4が主画像と背景画像を印刷するパスとなる。よって、搬送方向の位置Aの重複領域に形成される背景画像は、パス2とパス3を乾燥時間に充てることができる。その結果、画像の滲みを抑制できる。
【0054】
なお、先に印刷する画像の乾燥時間を更に長くするためには、第1背景ノズル群と主画像ノズル群との間に、不使用ノズルを設けるとよい。そうすることで、媒体の所定領域に対して背景画像を印刷するパスと主画像を印刷するパスとの間に、画像が印刷されないパス(不使用ノズルが媒体と対向するパス)を設けることができ、画像の乾燥時間を更に長くすることができる。また、不使用ノズルが属する領域の搬送方向の長さは媒体搬送量の整数倍の長さにするとよい。そうすることで、背景画像を印刷するパスと主画像を印刷するパスとの間のパス数を、画像全域において一定にすることができ、画像の濃度むらを防止できる。
【0055】
また、実施例1では、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスのうちの後のパスで、調色ノズル群によって調色用のドットを形成する。例えば、図6の媒体上の搬送方向の位置Aに対して、パス1でもパス2でも調色ノズル群によって調色用のドットを形成することは可能であるが、後のパス2で調色用のドット(△)を形成している。これは、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスのうちの先のパスで調色用のドットを形成したとしても、その上に白インクのドットが形成されると、調色用のドットの色味が打ち消されてしまう虞があるからである。
【0056】
つまり、背景単独領域の背景画像を印刷する複数のパスの中の最後のパスで、調色ノズル群により調色用のドットを形成することが好ましい。そうすることで所望の色の背景画像を印刷することができる。ただし、これに限らず、例えば、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスのうちの両方のパスで調色用のドットを形成してもよいし、先のパスで調色用のドットを形成してもよい。
【0057】
図8は、裏刷りモードにおける実施例1の説明図である。裏刷りモードでは、表刷りモード(図6)とは逆に、図8の上図に示すように、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#4)を調色ノズル群(○)とし、カラーノズル列Coの搬送方向上流側の半分のノズル(#5〜#8)を主画像ノズル群(●)とする。そして、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#4)を、背景画像を印刷するための第2背景ノズル群(△)とし、ホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル(#5〜#8)を不使用ノズルとする。
【0058】
裏刷りモードでは、第2背景ノズル群(△)によって背景単独領域の背景画像を印刷し、且つ、主画像ノズル群(●)によって主画像を印刷するパスと、媒体を搬送することなく第2背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。なお、重複領域の背景画像の白色を調整しない場合、調色ノズル群は背景単独領域に属する画素にのみ調色用のドットを形成する。
【0059】
その結果、例えば、図8の下図における媒体上の搬送方向の位置Aでは、まず、パス1で主画像ノズル群(●)によって重複領域に主画像が印刷され、次のパス2では何も画像が印刷されない。その後、媒体が搬送され、パス3では第2背景ノズル群によって背景単独領域に背景画像が印刷され、次のパス4で第2背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域及び重複領域に背景画像が印刷される。
【0060】
このように裏刷りモード(第2モードに相当)で主画像上に背景画像を重ねて印刷する場合、カラーノズル列Coの搬送方向上流側(所定方向の他方側に相当)に位置する主画像ノズル群(第3ノズル群に相当)によって主画像を形成し、主画像ノズル群よりも搬送方向下流側に位置するホワイトノズル列Wの第2背景ノズル群(第4ノズル群に相当)によって背景画像を形成する。そうすることで、媒体の所定領域は第2背景ノズル群よりも先に主画像ノズル群と対向するため、主画像上に背景画像を印刷することができる。そして、主画像ノズル群により主画像が印刷されるパス(例:図8のパス1)と、第2背景ノズル群により重複領域の背景画像が印刷されるパス(例:図8のパス4)とを、異ならせることができる。その結果、主画像が印刷されてから重複領域の背景画像が印刷されるまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを防止できる。
【0061】
また、裏刷りモードの場合、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの後のパスで、重複領域の背景画像を形成する。例えば、媒体上の搬送方向の位置Aの重複領域に対して、パス3でもパス4でも第2背景ノズル群によって背景画像用のドットを形成することは可能である。しかし、パス3ではなく後のパス4で重複領域の背景画像を形成する。そうすることで、パス3で重複領域の背景画像を形成する場合に比べて、主画像が印刷されてから重複領域の背景画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。ただし、これに限らず、裏刷りモードの場合であっても、背景画像を形成可能な2回のパスのうちの先のパスで重複領域の背景画像を形成してもよい。
【0062】
また、裏刷りモードの場合、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図8のパス1やパス3・第2の画像形成動作)、背景画像だけを印刷するパス(例:図8のパス2やパス4・第1の画像形成動作)、搬送動作の順に、各動作が繰り返される。そうすることで、主画像が印刷されてから重複領域の背景画像が印刷されるまでの乾燥時間を出来る限り長くすることができる。例えば、図8に示す搬送方向の位置Aの重複領域に形成される背景画像は、パス2とパス3を乾燥時間に充てることができる。その結果、画像の滲みを抑制できる。
【0063】
===実施例2===
図9は、表刷りモードにおける実施例2の説明図である。実施例2におけるノズル構成は実施例1のノズル構成(図6の上図)と同じである。前述の実施例1では、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図6のパス2)において背景単独領域の背景画像だけを印刷し、背景画像だけを印刷するパス(例:図6のパス1)において背景単独領域および重複領域の背景画像を印刷している。これに対して、実施例2では、主画像と背景画像を印刷するパスの他に、背景単独領域の背景画像だけを印刷するパスを設けた印刷方法とする。
【0064】
具体的には、主画像ノズル群(●)によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群(△)によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷するパスと、媒体を搬送することなく第1背景ノズル群(△)及び調色ノズル群(○)によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。
【0065】
この場合にも、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数(2回)は、主画像や重複領域の背景画像を印刷するパス数(1回)よりも多くなる。そして、背景単独領域の背景画像を印刷する2回のパスでそれぞれ形成されるドットを重ねることで、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。
【0066】
===実施例3===
図10は、表刷りモードにおける実施例3の説明図である。前述の実施例1及び実施例2では、カラーノズル列Coの主画像ノズル群と移動方向に並ぶホワイトノズル列Wのノズル(例えば図6のホワイトノズル列Wのノズル#1〜#4)を印刷に使用しない不使用ノズルとしている。これに対して、実施例3では、主画像が印刷されないパスにおいて、主画像ノズル群と移動方向に並ぶホワイトノズル列Wのノズルを印刷に用いる。
【0067】
即ち、図10の上図に示すように、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を「主画像ノズル群(●)」とし、搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を「調色ノズル群(○)」とする。そして、ホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を「第2背景ノズル群(斜線の三角)」とし、搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を「第1背景ノズル群(△)」とする。
【0068】
そして、実施例3では、図10の下図に示すように、第1背景ノズル群によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷し、且つ、第2背景ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、主画像ノズル群によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群及び調色ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。なお、図10の下図では、カラーノズル列Coとホワイトノズル列Wを個別に示している。
【0069】
その結果、例えば、図10の下図における媒体上の搬送方向の位置Aの背景単独領域に対して、パス1の第1背景ノズル群と、パス2の第1背景ノズル群(△)と、パス3の第2背景ノズル群によって、背景画像を印刷することが可能となる。即ち、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数「3回」を、主画像および重複領域の背景画像をそれぞれ印刷するパス数「1回」よりも多くすることができ、最大で3つのドットを重ねて背景単独領域の背景画像を印刷することができる。よって、背景単独領域の背景画像をより高濃度に印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。
【0070】
なお、背景単独領域の背景画像を印刷するために、3つのドットを重ねるに限らず、例えば、媒体上において移動方向に並ぶ画素の一部に対して第1背景ノズル群によるドットを2つ重ねて形成し、移動方向に並ぶ画素の別の一部に対して第2背景ノズル群によるドットを単独で形成してもよい。
【0071】
つまり、実施例3では、主画像と背景画像を印刷するパスの他に背景画像だけを印刷するパス(例えば図10のパス1)を加えるだけでなく、背景単独領域の背景画像を印刷するノズル数を増やすことによって、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数を増やす。言い換えると、実施例3では、背景単独領域の背景画像部分を、主画像ノズル群と移動方向に並ぶホワイトノズル列Wのノズル群と、主画像ノズル群と搬送方向にずれたホワイトノズル列Wのノズル群によって形成する。
【0072】
また、背景単独領域の背景画像を構成するラスターラインが、第1背景ノズル群のノズルと第2背景ノズル群のノズルによって形成されるため、一方のノズルが不良ノズルであったとしても他方のノズルによってドットが形成される。ゆえに、背景単独領域の背景画像上において、不良ノズルによる白スジを目立ち難くすることができる。
また、背景単独領域の背景画像を印刷する複数のパス間に媒体の搬送動作が実施されるため、あるパスの前の搬送動作で誤差が生じてドット形成位置がずれたとしても、別のパスのドットを正しい位置に形成することで、画質劣化を抑制できる。
【0073】
また、主画像ノズル群と移動方向に並ぶ第2背景ノズル群を使用することで、ホワイトノズル列Wを有効に利用できる。よって、ノズルの使用頻度の偏りを抑制でき、ヘッド41の寿命を長くすることができる。他にも、長時間に亘るノズルの不使用によるインクの目詰まりやインク組成物である色材の沈降などを防止できる。なお、本実施形態では、背景画像の色味を調整するために、カラーノズル列Coもホワイトノズル列Wと同様に有効に利用している。
【0074】
また、図10では、第2背景ノズル群よりも搬送方向上流側のカラーノズル列Coを調色ノズル群としている。そのため、例えば、図10の媒体上の搬送方向の位置Aに対して、パス2で調色ノズル群によって調色用のドットを形成したとしても、パス3で調色用のドット上に第2背景ノズル群による白インクのドットが形成される。そうすると、調色用のドットの色味が白インクのドットによって打ち消されて、所望の色の背景画像が印刷されない虞がある。そこで、第2背景ノズル群によって白インクのドットが形成される画素に対しては、主画像ノズル群によって調色用のドットを形成するようにしてもよい。即ち、主画像ノズル群に調色ノズル群の役割の一部を担わせる。そうすることで、白インクのドットと調色用のドットが同じパスで形成されるため、2つのドットが混色し、画像上におけるドットの粒状性を良くすることができる。
【0075】
また、実施例3においても、表刷りモードの場合、背景画像を形成可能な3回のパスのうちの先のパス(例:図10のパス1からパス3のうちのパス1)において、重複領域の背景画像を印刷する。また、背景画像を印刷するパス(例:図10のパス1)と、主画像と背景画像を印刷するパス(例:図10のパス2)と、搬送動作とを、順に繰り返す。その結果、重複領域の背景画像が印刷されてから主画像が印刷されるまでの乾燥時間を比較的に長くすることができ、画像の滲みを防止できる。
【0076】
===実施例4===
図11は、表刷りモードにおける実施例4の説明図である。実施例4は実施例3(図10の上図)と同じノズル構成とする。即ち、主画像ノズル群に対して搬送方向上流側にずれた第1背景ノズル群(第2ノズル群に相当)と、主画像ノズル群と移動方向に並ぶ第2背景ノズル群(第4ノズル群に相当)とを用いて、背景単独領域の背景画像を印刷する。背景単独領域の背景画像は主画像と重ならない。そのため、実施例4では、主画像を印刷するパスにおいても、主画像ノズル群と移動方向に並ぶ第2背景ノズル群を用いて背景単独領域の背景画像を印刷する。
【0077】
具体的には、図11に示すように、第1背景ノズル群によって背景単独領域及び重複領域の背景画像を印刷し、且つ、第2背景ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、主画像ノズル群によって主画像を印刷し、且つ、第1背景ノズル群、第2背景ノズル群、及び、調色ノズル群によって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、媒体をノズル列の半分の長さ(4D)だけ搬送方向下流側に搬送する動作とが、順に繰り返される。
【0078】
その結果、例えば、図11における媒体上の搬送方向の位置Aの背景単独領域に対して、パス1及びパス2の第1背景ノズル群と、パス3及びパス4の第2背景ノズル群によって、背景画像を印刷することが可能となる。即ち、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数「4回」を、主画像および重複領域の背景画像をそれぞれ印刷するパス数「1回」よりも多くすることができ、最大で4つのドットを重ねて背景単独領域の背景画像を印刷することができる。よって、背景単独領域の背景画像をより高濃度に印刷することができ、背景単独領域の背景画像を高画質に形成することができる。なお、背景単独領域の背景画像を印刷するために、4つのドットを全て重ねるに限らない。例えば、媒体上において、移動方向に並ぶ画素の一部に第1背景ノズル群による2つのドットを重ねて形成し、残りの画素に第2背景ノズル群による2つのドットを重ねて形成してもよい。
【0079】
実施例3と同様に実施例4においても、背景単独領域の背景画像を構成するラスターラインが、第1背景ノズル群のノズルと第2背景ノズル群のノズルによって形成されるため、不良ノズルによる画質劣化を抑制できる。また、背景単独領域の背景画像を印刷する複数のパス間に媒体の搬送動作が実施されるため、画質劣化を抑制できる。また、第2背景ノズル群によって白インクのドットが形成される画素に対しては、第2背景ノズル群と移動方向に並ぶ主画像ノズル群によって調色用のドットを形成するようにしてもよい。
【0080】
また、通常、最大で1画素の面積よりも大きなドットが形成され、特に背景画像はベタ塗り画像であるので1画素の面積よりも大きなドットが形成される。そのため、背景単独領域の背景画像が印刷される画素が、主画像が印刷される画素に隣接していると、主画像が印刷されるパスにおいて隣接する各画素に背景画像用のドットと主画像用のドットが形成される。その結果、背景画像用のドットと主画像用のドットが混色する虞がある。そこで、主画像が印刷される画素の周囲、即ち、重複領域に属する画素の周囲に「予備領域」を設けるとよい。そして、予備領域の背景画像の印刷には、重複領域の背景画像と同様に、第2背景ノズル群を用いないようにする。そうすることで、背景画像用のドットと主画像用のドットの混色を防止でき、印刷画像の滲みを抑制できる。
【0081】
===実施例5===
実施例1から実施例4では、重複領域の背景画像を印刷するパス数を、主画像を印刷するパス数と同じとし、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数よりも少なくしているが、これに限らない。実施例5では、重複領域の背景画像を印刷するパス数を、主画像を印刷するパス数よりも多くする。そして、重複領域の背景画像を印刷する複数のパスでそれぞれ形成するドットを重ねて形成することで、重複領域の背景画像の濃度を濃くすることができる。その結果、主画像の遮蔽性をより高めることができる。
【0082】
例えば、実施例1(図6)や実施例2(図9)において、パス1だけでなくパス2でも重複領域の背景画像を印刷するようにする。また、実施例3(図10)において、例えばパス3で第2背景ノズル群を用いて重複領域の背景画像を印刷することができる。ただし、実施例4(図11)のように主画像を印刷するパスで第2背景ノズル群を用いて、重複領域の背景画像を印刷することはできない。
【0083】
また、インク吸収性媒体を使用する場合には、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量が制限される。重複領域の背景画像は、主画像と重ねて印刷されるため、背景単独領域の背景画像に比べると、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量は少なくなる。よって、重複領域の背景画像を印刷するパス数を、背景単独領域の背景画像を印刷するパス数と同様に、主画像を印刷するパス数よりも増やす場合には、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量を超えないように重複領域の背景画像を印刷するとよい。なお、紫外線を照射すると硬化するインク(UVインク)を用いる場合、媒体の単位領域あたりに噴射可能なインク量が制限されないため、重複領域の背景画像を印刷するパス数を増やすことで、背景単独領域の背景画像と同等の濃度で重複領域の背景画像を印刷することができる。
【0084】
===別の印刷パターン===
実施例1から実施例5を説明する際にバンド印刷(印刷パターン1)を例に挙げているが、これに限らない。以下の印刷パターンにおいても、背景画像と主画像を印刷するパスの他に、背景画像だけを印刷するパスを設けることで、背景単独領域の背景画像の濃度を濃く印刷することができる。なお、実施例1(図6)に基づいて以下の印刷パターンを説明する。
【0085】
<印刷パターン2>
図12は、表刷りモードにおける印刷パターン2の説明図である。印刷パターン2は、あるパスで形成されるラスターライン間に他のパスにてラスターラインを形成する印刷方法(インターレース印刷)とする。例えば、パス1、パス2でノズル#7,#8により形成される背景画像用のラスターライン間に、パス3、パス4とパス5、パス6で背景画像用のラスターラインが形成される。そのため、印刷パターン2では、前述のバンド印刷(図6)よりも、媒体搬送量を4D/3と短くする。印刷パターン2では、バンド印刷に比べて、搬送方向の印刷解像を高くすることができる。
【0086】
<印刷パターン3>
図13は、表刷りモードにおける印刷パターン3の説明図である。印刷パターン3では、印刷パターン2(図12)よりも更に媒体搬送量(2D/3)を短くする。そのため、1つのラスターラインに対して、第1背景ノズル群のうちの異なる2つのノズル(△)が割り当てられ、主画像ノズル群のうちの異なる2つのノズル(●)が割り当てられる。例えば、印刷開始位置の直ぐ下のラスターラインに対して、第1背景ノズル群のノズル#7とノズル#5が割り当てられ、主画像ノズル群のノズル#3とノズル#1が割り当てられる。ゆえに、一方のノズルが不良ノズルであったとしても、他方のノズルでドットを形成することができるため、不良ノズルによる画像の画質劣化を抑制できる。
【0087】
また、印刷パターン3では、1つのラスターラインに対して、第1背景ノズル群が4回のパスにて割り当てられ、主画像ノズル群が2回のパスにて割り当てられる。ゆえに、前述のバンド印刷(図6)や印刷パターン2に比べて、背景画像を印刷するパス数、及び、主画像を印刷するパス数を増やすことができ、各画像の濃度を濃く印刷することができる。
【0088】
<印刷パターン4>
図14は、表刷りモードにおける印刷パターン4の説明図である。印刷パターン4では、主画像ノズル群に属するノズル数よりも、主画像ノズル群と搬送方向にずれた第1背景ノズル群に属するノズル数を少なくする。図14では、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wにそれぞれ属するノズル数を6個とする。そして、カラーノズル列Coのうち、搬送方向下流側の4個のノズル(#1〜#4)を主画像ノズル群とし、搬送方向上流側の2個のノズル(#5〜#6)を調色ノズル群とする。また、ホワイトノズル列Wのうちの搬送方向上流側の2個のノズル(#5〜#6)を第1背景ノズル群とする。
【0089】
本実施形態では、主画像と背景画像を印刷するパスの他に背景画像だけを印刷するパスを設けるため、第1背景ノズル群に属するノズル数を主画像ノズル群に属するノズル数より少なくしたとしても、背景画像の濃度を濃く印刷することができる。
【0090】
<印刷パターン5>
図15は、表刷りモードにおける印刷パターン5の説明図である。図15では、ノズル列における搬送方向のノズル間隔Dが短い場合の印刷方法を説明する図である。ノズル間隔Dが短いヘッド41を用いて印刷する場合、印刷パターン2から印刷パターン4(図12〜図14)のように或るパスで形成されるラスターライン間に他のパスのラスターラインを形成することなく、搬送方向の印刷解像度を高めて印刷することができる。
【0091】
また、印刷パターン5では前述のバンド印刷(図6)に比べて、媒体搬送量を短くしている。ゆえに、印刷パターン3(図13)と同様に、1つのラスターラインに対して、第1背景ノズル群の異なる2つのノズルが割り当てられ、主画像ノズル群の異なる2つのノズルが割り当てられる。よって、不良ノズルによる画像の画質劣化を抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態では、プリンタードライバーが、背景画像だけを形成するパス(第1の画像形成動作)、及び、主画像と背景画像を形成するパス(第2の画像形成動作)と、搬送動作とが繰り返されるように、印刷データを作成する。そして、その印刷データに基づいて、プリンター1のコントローラー10が、ヘッドユニット40等を制御する。よって、プリンター1のコントローラー10とプリンタードライバーをインストールしたコンピューター60とが「制御部」に相当し、プリンター1とコンピューター60が接続された印刷システムが「流体噴射装置」に相当する。ただし、これに限らず、プリンタードライバーの役割をプリンター1のコントローラー10が担ってもよく、この場合、プリンター1のコントローラー10が「制御部」に相当し、プリンター1単体が「流体噴射装置」に相当する。
【0093】
===変形例===
図16は、変形例の印刷パターンを説明する図である。前述の実施形態では、カラーノズル列Coおよびホワイトノズル列Wを2分割して印刷に用いているが、これに限らない。この変形例のように、カラーノズル列Coおよびホワイトノズル列Wにそれぞれ属する全ノズル(#1〜#8)を印刷に用いても良い。この場合も、背景単独領域の背景画像を高濃度に印刷するために、主画像と背景画像を印刷するパスの他に、背景画像だけを印刷するパスを設ける。
【0094】
図16は表刷りモードの印刷例を示す図であり、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域及び重複領域に画像を印刷するパスと、カラーノズル列Coによって主画像を印刷し、且つ、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、ノズル列長さ(8D)の媒体を搬送する動作と、が順に繰り返される。そうすることで、背景画像上に主画像を印刷することができ、また、重複領域の背景画像と主画像を異なるパスで印刷することができるため、画像の滲みを防止できる。そして、背景単独領域の背景画像を、ホワイトノズル列Wによって2回のパスで印刷することができ、その2回のパスのドットを重ねることで、背景単独領域の背景画像を高濃度に印刷することができる。
【0095】
なお、裏刷りモードの場合(不図示)、カラーノズル列Coによって主画像を印刷し、且つ、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域の背景画像を印刷するパスと、ホワイトノズル列Wによって背景単独領域および重複領域の背景画像を印刷するパスと、媒体搬送動作と、を順に繰り返すとよい。
【0096】
前述の実施形態では、白インクに4色インク(YMCK)を適宜使用して、白色の色味を調整した背景画像を印刷する例を挙げているが、これに限らず、白インクだけで背景画像を印刷してもよい。他に、背景画像を白色とするに限らず、白インク以外の色インク(例えば、メタリック系のインク)によって背景画像を印刷してもよい。また、前述の実施形態では、4色インク(YMCK)だけで主画像を印刷しているが、これに限らず、4色インクと共に白インク(背景画像用のインク)を用いて主画像を印刷してもよい。4色インクに白インクを加えて主画像を印刷することで、高明度、且つ、高彩度の色を再現した画像を印刷することができる。
【0097】
また、前述の実施形態では、主画像と背景画像を重ねて印刷しているが、これに限らない。例えば、主画像の周囲にだけ背景画像を印刷してもよい。即ち、図5Bに示す背景単独領域に背景画像だけを印刷し、重複領域に主画像だけを印刷する。この場合にも、主画像と背景画像を印刷するパスの他に、背景画像だけを印刷するパスを設ける。そうすることで、背景単独領域の背景画像を濃く印刷して背景画像の画質を向上させたり、不良ノズルによる背景画像の画質劣化を抑制したりすることができる。
【0098】
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、印刷方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0099】
<インクと媒体について>
プリンター1で用いる(記録)媒体として、紫外線を照射すると硬化するインク(UVインク)を用いてもよく、UVインクを用いる場合には、インク吸収性を有する媒体である必要がない。ただし、紫外線を照射する照射器が必要となる。
【0100】
他に、プリンター1で用いる(記録)媒体として、インク吸収性を有する媒体が挙げられる。インク吸収性を有する媒体に吸収されるインクには、溶剤として水を少なくとも含む「水系インク」がある。なお、このような組成物のカラーインク(YMC)やブラックインク(K)として、例えば、特開2008−81693、特開2005−105135、特開2003−292834に記載のインクが挙げられる。また、白インク(W)として、例えば、特開2009−138078、特開2009−137124に記載のインクが挙げられる。
【0101】
水系インクを吸収する媒体には、例えば、紙、布などのインクを吸収する基材を用いた媒体や、インクを吸収する基材或いはインクを吸収しない基材にインクを吸収するインク吸収層を設けた媒体がある。基材の材料としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、又はポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム、普通紙、コート紙、又はトレーシングペーパー等の紙、樹脂被覆紙、あるいは合成紙を挙げることができる。なお、透明性の有る媒体として、例えば、特開2009−925、特開平9−99634、特開平9−208870に記載の媒体が挙げられる。
【0102】
<白色について>
本明細書において「白色」とは、可視光線のすべての波長を100%反射する物体の表面色である厳密な意味での白色に限らず、いわゆる「白っぽい色」のように、社会通念上、白色と呼ばれる色を含むものとする。「白色」とは、例えば、(1)x-rite社製の測色機eye-one Proを用いて測色モード:スポット測色、光源:D50、バッキング:Black、印刷媒体:透明フィルムで測色した場合に、Lab系での標記がa*b*平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(2)ミノルタ製の測色計CM2022を用いて測定モードD502°視野、SCFモード、白地バックで測色した場合に、Lab系での標記がa*b*平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(3)特開2004−306591号公報に記載されているように画像の背景として用いられるインクの色をいい、背景として用いられるのであれば純粋な白に限られない。
【0103】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、ヘッド41を移動方向に移動しながら媒体に画像を形成する動作と、ヘッド41に対して媒体を搬送方向に搬送する動作と、を繰り返すプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、(複数の)ヘッドを有するヘッドユニットを媒体搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドユニットを紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送して再び画像を形成するプリンターであってもよい。
【0104】
また、ノズルからの流体噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて圧力室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって流体を噴射させるサーマル方式でもよい。
【0105】
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、プリンター1が説明されていたが、これに限られるものではなくインク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような流状体)を噴射する流体噴射装置に具現化することもできる。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、気体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用してもよい。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【符号の説明】
【0106】
1 プリンター、
10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、50 検出器群、
60 コンピューター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、
前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する制御部と、
を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記媒体に前記主画像と前記背景画像を重ねて形成する場合に、
前記媒体の所定領域に対して前記背景画像を前記主画像よりも先に形成する第1モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方側に位置する第1ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第1ノズル群よりも前記所定方向の他方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第2ノズル群によって前記背景画像を形成し、
前記媒体の所定領域に対して前記主画像を前記背景画像よりも先に形成する第2モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の他方側に位置する第3ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第3ノズル群よりも前記所定方向の前記一方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第4ノズル群によって前記背景画像を形成する、
流体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作で形成し、
前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの一方の画像形成動作で形成する、
流体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、
前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの先の画像形成動作で形成し、
前記第2モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの後の画像形成動作で形成する、
流体噴射装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードでは、前記第1の画像形成動作、前記第2の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返し、
前記第2モードでは、前記第2の画像形成動作、前記第1の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返す、
流体噴射装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を前記第2ノズル群と前記第4ノズル群によって形成する、
流体噴射装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットと前記第2の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットを重ねることによって形成する、
流体噴射装置。
【請求項8】
媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、を有する流体噴射装置による流体噴射方法であって、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する、
ことを特徴とする流体噴射方法。
【請求項1】
媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、
前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び、前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する制御部と、
を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記媒体に前記主画像と前記背景画像を重ねて形成する場合に、
前記媒体の所定領域に対して前記背景画像を前記主画像よりも先に形成する第1モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の前記一方側に位置する第1ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第1ノズル群よりも前記所定方向の他方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第2ノズル群によって前記背景画像を形成し、
前記媒体の所定領域に対して前記主画像を前記背景画像よりも先に形成する第2モードでは、前記第1ノズル列の前記所定方向の他方側に位置する第3ノズル群によって前記主画像を形成し、前記第3ノズル群よりも前記所定方向の前記一方側に位置する前記第2ノズル列の前記ノズルである第4ノズル群によって前記背景画像を形成する、
流体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作で形成し、
前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの一方の画像形成動作で形成する、
流体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、
前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの先の画像形成動作で形成し、
前記第2モードでは、前記背景画像において前記主画像と重なる画像部分を、前記第1の画像形成動作と前記第2の画像形成動作のうちの後の画像形成動作で形成する、
流体噴射装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記第1モードでは、前記第1の画像形成動作、前記第2の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返し、
前記第2モードでは、前記第2の画像形成動作、前記第1の画像形成動作、前記搬送動作の順に、各動作を繰り返す、
流体噴射装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を前記第2ノズル群と前記第4ノズル群によって形成する、
流体噴射装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記背景画像において前記主画像と重ならない画像部分を、前記第1の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットと前記第2の画像形成動作で前記第2ノズルによって形成されるドットを重ねることによって形成する、
流体噴射装置。
【請求項8】
媒体に主画像を形成する流体を噴射する第1ノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列と、前記媒体に前記主画像の背景画像を形成する流体を噴射する第2ノズルが前記所定方向に並び前記所定方向と交差する方向である移動方向に前記第1ノズル列と並ぶ第2ノズル列と、を有する流体噴射装置による流体噴射方法であって、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記背景画像だけを形成するために前記第2ノズルから流体を噴射させる第1の画像形成動作、及び、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列と前記媒体とを前記移動方向に相対移動させながら前記主画像及び前記背景画像を形成するために前記第1ノズル及び前記第2ノズルから流体を噴射させる第2の画像形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に対する前記媒体の相対位置を前記所定方向の一方側に搬送させる搬送動作と、を繰り返すことによって、前記媒体に画像を形成する、
ことを特徴とする流体噴射方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−24991(P2012−24991A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164267(P2010−164267)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]