説明

流体噴射装置、及び、流体噴射方法

【課題】画像の画質劣化を抑制すること。
【解決手段】第1流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列、及び、第2流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第2ノズル列を有するノズル列群と媒体とを所定方向と交差する移動方向に相対移動させながらノズルから流体を噴射させる第1動作と、媒体とノズル列群とを所定方向に相対移動させる第2動作と、を繰り返し、第1流体による主画像と第2流体による背景画像とが重なる重複画像を形成する第1動作時に、その第1動作で形成される画像の移動方向における一方側の端の位置から他方側の端の位置までに応じて媒体とノズル列群とを移動方向に一定の距離を相対移動させる流体噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、及び、流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一例として、ヘッドと媒体を所定の移動方向に相対移動させながらヘッドに設けられたノズルからインク(流体)を噴射させて媒体上に画像を印刷するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。プリンターの中には、一般的なカラーインク(例えば、シアン,マゼンタ,イエロー)の他に、アルミニウム微粒子等の金属粒子を含むメタリックインクを使用するものがある。そして、メタリックインクを使用するプリンターにおいて、網目上に印刷したメタリックインク画像の上にカラーインク画像を重ねて印刷することで、カラーインクの色調と金属光沢のバランスを調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−78204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、印刷時間短縮のために、移動方向における画像幅に応じて、ヘッドと媒体の移動方向への相対移動距離を変動させる印刷方法を実施するプリンターがある。この印刷方法では、幅の異なる画像を印刷する際に、ヘッドと媒体の相対移動距離が異なるため、画像を完成させる印刷時間が異なる。そのため、メタリック画像の上にカラー画像を重ねて印刷する場合に上記の印刷方法を実施してしまうと、幅の異なる画像間において、メタリック画像の印刷を開始してからカラー画像を重ねて印刷するまでの時間、即ち、メタリック画像の乾燥時間が異なってしまう。そうすると、幅の異なる画像間において均一な金属光沢感を出すことが出来ずに、画像の画質が劣化してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、画像の画質劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)第1流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列、及び、第2流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列を有するノズル列群と、(B)媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる第1動作と、前記媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向に相対移動させる第2動作と、を繰り返し実行させる制御部であって、前記第1流体による主画像と前記第2流体による背景画像とが重なる重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する前記第1動作で形成される画像の前記移動方向における一方側の端の位置から前記移動方向における他方側の端の位置までに応じて、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向に一定の距離を相対移動させる制御部と、(C)を備えたことを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンターの全体構成ブロック図である。
【図2】図2Aはプリンターの概略斜視図であり、図2Bはヘッドの下面に設けられたノズルの配列を示す図である。
【図3】図3Aは単独モードの印刷方法を説明する図であり、図3Bは重複モードの印刷方法を説明する図である。
【図4】図4A及び図4Bは重複モードにおける別の印刷方法を示す図である。
【図5】図5Aは比較例の印刷制御方法を説明する図であり、図5Bはメタリック画像の乾燥時間の違いを説明する図である。
【図6】図6Aは実施例1の印刷制御方法を説明する図であり、図6Bはメタリック画像の乾燥時間を説明する図であり、図6Cは実施例1の印刷制御方法を示すフローである。
【図7】図7Aから図7Cは他の重複画像を印刷する場合の印刷制御方法を説明する図である。
【図8】実施例2の印刷制御方法を説明する図である。
【図9】図9Aはラメ調画像を説明する図であり、図9Bはラメ調画像と通常の重複画像を印刷する場合の印刷制御方法を説明する図である。
【図10】図10Aは実施例4におけるヘッドのノズル配列を説明する図であり、図10Bは実施例4で印刷される画像を説明する図である。
【図11】図11Aから図11Cは重複画像の別の印刷方法を説明する図である。
【図12】図12は実施例6における別の印刷制御方法を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0009】
即ち、(A)第1流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列、及び、第2流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列を有するノズル列群と、(B)媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる第1動作と、前記媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向に相対移動させる第2動作と、を繰り返し実行させる制御部であって、前記第1流体による主画像と前記第2流体による背景画像とが重なる重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する前記第1動作で形成される画像の前記移動方向における一方側の端の位置から前記移動方向における他方側の端の位置までに応じて、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向に一定の距離を相対移動させる制御部と、(C)を備えたことを特徴とする流体噴射装置である。
このような流体噴射装置によれば、重複画像を形成する第1動作では、第1動作に要する時間が等しくなり、背景画像の乾燥時間の違いを低減し、重複画像の画質(例えば、金属光沢感)を均一にすることができる。
【0010】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、前記重複画像を形成しない前記第1動作時に、前記重複画像を形成しない各前記第1動作でそれぞれ形成される画像の前記移動方向における前記一方側の端の位置から前記移動方向における前記他方側の端の位置までに応じて、前記媒体と前記ノズル列群との前記移動方向への相対移動距離を変動させること。
このような流体噴射装置によれば、画質を劣化させることなく、画像形成時間を短縮することができる。
【0011】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、前記重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する全ての前記第1動作で形成される画像のうち、前記移動方向における最も前記一方側の画像端を形成する位置から前記移動方向における最も前記他方側の画像端を形成する位置まで、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向に相対移動させること。
このような流体噴射装置によれば、媒体とノズル列群との移動方向への相対移動距離を一定にすることができる。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、前記重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する各前記第1動作でそれぞれ形成される画像の前記移動方向における前記一方側の端の位置から前記移動方向における前記他方側の端の位置までの距離の中の最大距離に応じて、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向に一定の距離を相対移動させること。
このような流体噴射装置によれば、媒体とノズル列群との移動方向への相対移動距離を一定にすることができる。
【0013】
かかる流体噴射装置であって、前記制御部は、流体の噴射位置に応じて当該流体の噴射を制限するマスクが適用された前記重複画像を形成する前記第1動作時と、前記マスクが適用されていない前記重複画像を形成する前記第1動作時とで、前記媒体と前記ノズル列群との前記移動方向への相対移動距離を揃えないこと。
このような流体噴射装置によれば、画質を劣化させることなく、画像形成時間を短縮することができる。
【0014】
かかる流体噴射装置であって、前記主画像と前記背景画像のうちの一方の画像を複数回の前記第1動作に亘って前記媒体の所定領域に対して先に形成した後に、当該一方の画像の上に前記主画像と前記背景画像のうちの他方の画像を形成すること。
このような流体噴射装置によれば、背景画像の乾燥時間に違いが生じ易い場合にも、背景画像の乾燥時間の違いを低減し、重複画像の画質を均一にすることができる。
【0015】
かかる流体噴射装置であって、前記重複画像を形成する前記第1動作における前記媒体と前記ノズル列群との前記移動方向への一定の相対移動距離が閾値未満の場合、前記制御部は、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向における一方向に相対移動させる際に前記ノズルから流体を噴射させ、前記一定の相対移動距離が前記閾値以上の場合、前記制御部は、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向における双方向に相対移動させる際に前記ノズルから流体を噴射させること。
このような流体噴射装置によれば、画像の滲み等を抑制しつつ、画像形成時間を出来る限り短縮することができる。
【0016】
また、第1流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列、及び、第2流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列を有するノズル列群を備え、媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる第1動作と、前記媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向に相対移動させる第2動作と、を繰り返す流体噴射装置による流体噴射方法であって、前記第1流体による主画像と前記第2流体による背景画像とが重なる重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する前記第1動作で形成される画像の前記移動方向における一方側の端の位置から前記移動方向における他方側の端の位置までに応じて、前記媒体と前記ノズル列群とが前記移動方向に一定の距離を相対移動することを特徴とする流体噴射方法である。
このような流体噴射方法によれば、重複画像を形成する第1動作で、第1動作に要する時間が等しくなり、背景画像の乾燥時間の違いを低減し、重複画像の画質(例えば、金属光沢感)を均一にすることができる。
【0017】
===印刷システム===
流体噴射装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて実施形態を説明する。
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図2Aは、プリンター1の概略斜視図であり、図2Bは、ヘッド41の下面に設けられたノズルの配列を示す図である。なお、図2Bは、ヘッド41の上面から見たノズルの配列を仮想的に示す図である。
コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。コンピューター60には、各アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。
【0018】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0019】
搬送ユニット20は、媒体S(例えば、紙,布,フィルム等)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向(所定方向に相当)に所定の搬送量で媒体Sを搬送するためのものである。
キャリッジユニット30は、キャリッジ31に搭載されたヘッド41を、ガイドレール32に沿って搬送方向と交差する移動方向に移動するためのものである。
【0020】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41の下面にはインクを噴射可能なノズルが多数設けられている。なお、ノズルからのインク噴射方式としては、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけてインク室を膨張・収縮させることによりノズルからインクを噴射させるピエゾ方式や、駆動素子(発熱素子)によりノズル内に気泡を発生させ、その気泡でノズルからインクを噴射させるサーマル方式がある。
【0021】
ヘッド41の下面には、図2Bに示すように、ブラックインクを噴射するブラックノズル列Kと、シアンインクを噴射するシアンノズル列Cと、マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列Mと、イエローインクを噴射するイエローノズル列Yと、メタリックインクを噴射するメタリックノズル列Meと、が移動方向に並ぶノズル列群が設けられている。各ノズル列では、180個のノズルが搬送方向に所定の間隔Dで並んでいる。以下の説明のため、搬送方向の下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1〜#180)。なお、4色のインクを噴射するノズル列(YMCK)が第1ノズル列に相当し、メタリックノズル列Meが第2ノズル列に相当する。
【0022】
また、メタリックインク(光輝性を有するインク)は、印刷物にメタリック感(金属光沢感)を発現するインクであり、例えば、金属顔料と有機溶剤と樹脂とを含む油性インク組成物が挙げられる。視覚的に金属的な質感を効果的に生じさせるために、金属顔料を平板状の粒子にすることが好ましく、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、且つ、R50/Z>5の条件を満たすことが好ましい。このような金属顔料は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、銀、銀合金によって形成することができ、また、金属蒸着膜を破砕して作成することも可能である。メタリックインクに含まれる金属顔料の濃度は、例えば、0.1〜10.0重量%とすることができる。ただし、このような組成に限らず、メタリック感が生じる組成であれば他の組成を適宜採用することが可能である。なお、本実施形態では、メタリックインクの組成を、アルミニウム顔料1.5重量%、グリセリン20重量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル40重量%、BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.1重量%とした。
【0023】
このような構成のプリンター1において、コントローラー10(制御部に相当)は、媒体Sに対してヘッド41(ノズル列群)を移動方向に移動させながらノズルからインクを噴射させる画像形成動作(第1動作に相当)と、ヘッド41に対して媒体Sを搬送方向に搬送させる搬送動作(第2動作に相当)と、を繰り返し実行させる。そうすることで、先の画像形成動作で形成されたドット位置とは異なる媒体S上の位置に、後の画像形成動作にてドットを形成することができ、媒体S上に2次元の画像を印刷することができる。以下の説明のため、ヘッド41の移動方向への1回の移動(1回の画像形成動作)を「パス」とも呼ぶ。
【0024】
===印刷モード===
本実施形態のプリンター1は、単独モードと重複モードを有する。「単独モード」とは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色インク(第1流体に相当)を適宜使用して印刷する画像(モノクロ画像やカラー画像)である「主画像」のみを媒体Sに印刷するモードである。一方、「重複モード」とは、メタリックインク(第2流体に相当)を使用して印刷する画像である「メタリック画像(背景画像に相当)」の上に主画像を重ねて印刷する画像である「重複画像」を媒体Sに印刷するモードである。メタリック画像の上に主画像を重ねて印刷することで、金属光沢感のある画像を媒体Sに印刷することができる。
【0025】
===印刷方法===
図3Aは、単独モードの印刷方法を説明する図であり、図3Bは、重複モードの印刷方法を説明する図である。図では説明の簡略のため、1ノズル列に属するノズル数を6個に減らし、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの4色のインクを噴射するノズル列(YMCK)をまとめて「カラーノズル列Co」として示す。また、実際には、ヘッド41に対して媒体Sが搬送方向の下流側に搬送されるが、図3では、ヘッド41を搬送方向の上流側にずらして描くことにより、各パスのノズルの位置関係を示す。
【0026】
本実施形態のプリンター1は、あるパスで印刷されるラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に、別のパスでラスターラインを印刷する印刷方法(所謂インターレース印刷)を実施する。具体的には、1回のパスで印刷されるラスターライン間に3本のラスターラインが印刷されるとし、搬送方向の解像度(例えば720dpi)がノズルピッチD(例えば180dpi)の4倍の解像度であるとする。
【0027】
単独モードでは、図3Aに示すように、カラーノズル列Coに属する6個のノズル(以下、カラーノズル)のうちの5個のノズル#1〜#5を使用ノズルとし、メタリックノズル列Meに属する全てのノズル(以下、メタリックノズル)を不使用ノズルとする。そして、1回の媒体搬送量を5D/4とし、直前のパスで印刷されたラスターラインの直ぐ上流側の位置に次のパスでラスターラインが印刷されるようにする。その結果、例えば、パス1(p1)のノズル#4,#5で印刷されたラスターライン間に、パス2のノズル#3とパス3のノズル#2とパス4のノズル#1によって3本のラスターラインが印刷される。
【0028】
重複モードでは、図3Bに示すように、カラーノズル列Coに属する6個のノズルのうち、搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#3を使用ノズルとし、搬送方向上流側の半分のノズル#4〜#6を不使用ノズルとする。逆に、メタリックノズル列Meに属する6個のノズルのうち、搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#3を不使用ノズルとし、搬送方向上流側の半分のノズル#4〜#6を使用ノズルとする。なお、図3Bの右図では、カラーノズル列Coの使用ノズルとメタリックノズル列Meの使用ノズルを1つのノズル列で示す。そして、1回の媒体搬送量を3D/4とし、直前のパスで印刷されたラスターラインの直ぐ下流側の位置に次のパスでラスターラインが印刷されるようにする。
【0029】
その結果、あるパスで印刷されるラスターライン間に別のパスで3本のラスターラインが印刷され、更に、メタリックノズルによるラスターライン上に、カラーノズルによるラスターラインが印刷される。
【0030】
このように重複モードでは、下層となるメタリック画像を印刷するノズルを、上層となる主画像を印刷するノズルよりも、搬送方向上流側のノズルに設定する。そうすることで、媒体Sの所定領域はメタリックノズルと先に対向するため媒体Sの所定領域に対してメタリック画像を先に印刷することができ、また、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像と主画像を異なるパスで印刷することができる。従って、メタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの時間(即ち、メタリック画像の乾燥時間)を比較的に長くすることができ、画像の滲みや混色を抑制することができる。
【0031】
更に、本実施形態の印刷方法では、あるパスで印刷されるラスターライン間に別のパスで3本のラスターラインが印刷される。そのため、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像が複数回のパスに亘って先に印刷された後に、そのメタリック画像の上に主画像が印刷される。例えば、図3Bに示す領域Aでは、パス1〜パス4に亘ってメタリック画像が印刷された後に、そのメタリック画像の上にパス5〜パス8に亘って主画像が印刷される。
【0032】
より具体的に言えば、パス1のメタリックノズル#6によるラスターライン上にパス5のカラーノズル#3によるラスターラインが印刷される。即ち、メタリックノズルによりラスターラインが印刷されてから、その上にカラーノズルによりラスターラインが印刷されるまでの間に、3回のパスが存在する。従って、メタリック画像の乾燥時間をより長くすることができる。
【0033】
図4A及び図4Bは、重複モードにおける別の印刷方法を示す図である。図4Aでは、媒体Sを3回微小送りした後に(搬送量D/4)、その微小送りの間に形成された画像幅分だけ媒体Sを搬送する(搬送量9D/4)。その結果、図3Bの印刷方法と同様に、あるパスで印刷されたラスターライン間に別のパスにて3本のラスターラインが印刷される。
【0034】
図4Bでは、1ノズル列に属するノズル数を12個とし、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の6個のノズル(#1〜#6)を使用ノズルとし、メタリックノズル列Meの搬送方向上流側の6個のノズル(#7〜#12)を使用ノズルとする。そして、1回の媒体搬送量を2Dとし、搬送方向の解像度をノズルピッチDと等しくする。その結果、1つのラスターラインが3個のノズルで印刷される(図4Bは所謂オーバーラップ印刷である)。
【0035】
これらの印刷方法(図4A・図4B)においても、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像が複数回のパスに亘って先に印刷された後に、そのメタリック画像の上に主画像が印刷される。例えば、図4Aに示す領域Aでは、パス1〜パス4に亘ってメタリック画像が印刷された後に、その上にパス5〜パス8に亘って主画像が印刷され、図4Bに示す領域Aでは、パス1〜パス3に亘ってメタリック画像が印刷された後に、その上にパス4〜パス6に亘って主画像が印刷される。
【0036】
===印刷制御方法:比較例===
図5Aは、比較例の印刷制御方法を説明する図であり、図5Bは、メタリック画像の乾燥時間の違いを説明する図である。比較例の印刷制御方法では、主画像だけを印刷する単独モードであっても、メタリック画像と主画像を重ねて印刷する重複モードであっても、最短印刷制御を実施する。
【0037】
最短印刷制御とは、移動方向における画像幅に応じて、ヘッド41(キャリッジ31)の移動方向への移動距離を変動させる制御方法であり、移動方向の幅が短い画像を印刷する際にはヘッド41の移動距離が短くなる。そうすることで、画像を印刷しない領域までヘッド41が不必要に移動することがなくなり、例えば媒体Sやガイドレール32の両端間をヘッド41が一律に往復移動する場合に比べて、印刷時間を短縮することが出来る。
【0038】
以下、重複モードにおいて最短印刷制御を実施する場合について説明する。図5Aに示すように、メタリック画像と主画像が重なる2つの重複画像Pd(1),Pd(2)が印刷される場合を例に挙げる。なお、ヘッド41が移動方向の一方側に移動する往路時にもヘッド41が移動方向の他方側に移動する復路時にも、ヘッド41からインクが噴射されるとする(所謂、双方向印刷が実施されるとする)。
【0039】
2つの重複画像のうちの一方の第1重複画像Pd(1)は、他方の第2重複画像Pd(2)に比べて、移動方向の幅が短い。比較例では、印刷モードに関係なく最短印刷制御が実施される。そのため、プリンター1のコントローラー10は、第1重複画像Pd(1)を印刷する際にヘッド41を移動させる距離X1を、幅の長い第2重複画像Pd(2)を印刷する際にヘッド41を移動させる距離X2よりも短くする。そのため、第1重複画像Pd(1)を構成するメタリック画像を印刷する時間の方が、第2重複画像Pd(2)を構成するメタリック画像を印刷する時間よりも短くなる。
【0040】
具体的に説明するため、図5Bに示すように、第1重複画像Pd(1)の印刷時に1回のパスに要する時間、即ち、第1重複画像Pd(1)の移動方向の幅に応じた距離X1をヘッド41が移動する時間を「TX1」とし、第2重複画像Pd(2)の印刷時に1回のパスに要する時間、即ち、第2重複画像Pd(2)の移動方向の幅に応じた距離X2をヘッド41が移動する時間を「TX2」とする。距離X1の方が距離X2よりも短いため、第1重複画像Pd(1)の印刷時に1回のパスに要する時間TX1の方が第2重複画像Pd(2)の印刷時に1回のパスに要する時間TX2よりも短くなる。なお、1回の搬送動作に要する時間を「Tc」と示し、重複画像の幅に関係なく一定であるとする。
【0041】
前述のように、本実施形態のプリンター1は、図3Bに示す印刷方法を実施する。即ち、プリンター1は、媒体Sの所定領域(例えば、図3Bの領域A)に対して4回のパス(例えば、パス1〜パス4)に亘ってメタリック画像を印刷した後に、そのメタリック画像の上に4回のパス(例えば、パス5〜パス8)に亘って主画像を印刷する。
【0042】
そのため、媒体Sの所定領域に対して第1重複画像Pd(1)のメタリック画像を印刷するのに要する時間(T1)の方が、同じ大きさの領域に対して第2重複画像Pd(2)のメタリック画像を印刷するのに要する時間(T2)よりも、1回のパスに要する時間差の4倍の時間分だけ((TX2−TX1)×4)短くなる。よって、第1重複画像Pd(1)の印刷時と第2重複画像Pd(2)の印刷時では、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの時間、即ち、メタリック画像の乾燥時間が異なってしまう。
【0043】
なお、図3Bに示す印刷方法では、メタリックノズルによりラスターラインが印刷されてからその上にカラーノズルによるラスターラインが印刷されるまでの間に3回のパスが存在する。そのため、より厳密に言えば、第1重複画像Pd(1)の印刷時の方が第2重複画像Pd(2)の印刷時よりも、1回のパスに要する時間差の3倍の時間分だけ、メタリック画像の乾燥時間が短い。
【0044】
第1重複画像Pd(1)の印刷時と第2重複画像Pd(2)の印刷時とでメタリック画像の乾燥時間が異なると、メタリックインクと4色インク(YMCK)の混色具合が異なってしまう。そうすると、第1重複画像Pd(1)の金属光沢感と第2重複画像Pd(2)の金属光沢感が異なり、印刷物の画質が劣化してしまう。
【0045】
このように、重複モードで最短印刷制御を実施してしまうと、移動方向の幅が異なる重複画像を印刷する場合に、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの時間、即ち、メタリック画像の乾燥時間が異なり、移動方向の幅の異なる重複画像の金属光沢感を均一にすることが出来なくなってしまう。特に、メタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの間に存在するパス数が多い印刷方法を実施する場合や、重複画像の移動方向の幅の差が大きい場合に、金属光沢感の違いが大きくなってしまう。
【0046】
===印刷制御方法:実施例1===
図6Aは、実施例1の印刷制御方法を説明する図であり、図6Bは、メタリック画像の乾燥時間を説明する図であり、図6Cは、実施例1の印刷制御方法を示すフローである。実施例1では、単独モードでは最短印刷制御を実施するが、重複モードでは、重複画像を印刷する全パスで印刷される画像のうち、移動方向における最も左側の画像端を印刷する位置から最も右側の画像端を印刷する位置までに応じて、重複画像を印刷する全パスでのヘッド41の移動距離を一定にする。
【0047】
そのために、プリンター1のコントローラー10は、印刷ジョブを受信すると、まず、その印刷ジョブの印刷モードが重複モードに設定されているのか否かを判断する(S001)。そして、印刷モードが単独モードに設定されている場合(S001→N)、コントローラー10は最短印刷制御にて主画像を印刷する(S004)。即ち、コントローラー10は、各パスでそれぞれ印刷される主画像の移動方向における最左端の位置から最右端の位置までに応じて、各パスでのヘッド41の移動距離を変動させながら、主画像を印刷させる。
【0048】
一方、印刷モードが重複モードに設定されている場合(S001→Y)、コントローラー10は、重複画像を印刷する全パスで印刷される画像のうち、移動方向における最も左側の画像端を印刷する位置Lと、移動方向における最も右側の画像端を印刷する位置Rと、を決定する(S002)。
【0049】
ここで、図6Aに示すように、移動方向の幅が異なる第1重複画像Pd(1)と第2重複画像Pd(2)を印刷する場合を例に挙げて説明する。なお、第1重複画像Pd(1)よりも第2重複画像Pd(2)の方が移動方向の幅が長く、第1重複画像Pd(1)の左端と第2重複画像Pd(2)の左端の位置は等しいが、第1重複画像Pd(1)の右端よりも第2重複画像Pd(2)の右端の方が、移動方向の右側に位置する。
【0050】
この場合、コントローラー10は、印刷データに基づいて、重複画像を印刷する全パスで印刷される画像のうち、最も左側の画像端を印刷する位置Lを、第1重複画像Pd(1)及び第2重複画像Pd(2)の左端を印刷する位置に決定し、最も右側の画像端を印刷する位置Rを、第2重複画像Pd(2)の右端を印刷する位置に決定する。
【0051】
その後、コントローラー10は、重複画像を印刷する全パスで、最左端の印刷位置Lから最右端の印刷位置Rまで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X2間を往復移動させながら、画像を印刷させる(S003)。
【0052】
このように、実施例1では、コントローラー10(制御部に相当)が、4色(YMCK)のインク(第1流体に相当)による主画像とメタリックインク(第2流体に相当)によるメタリック画像(背景画像に相当)とが重なる重複画像を印刷するパス(第1動作に相当)で、重複画像を印刷する全パスで印刷される画像のうち、移動方向における最も左側(一方側に相当)の画像端を印刷する位置Lから移動方向における最も右側(他方側に相当)の画像端を印刷する位置Rまで、ヘッド41(キャリッジ31)を移動方向に一定の距離X2を移動させる。
【0053】
そのため、実施例1では、第1重複画像Pd(1)の印刷時と第2重複画像Pd(2)の印刷時とで、1回のパスに要する時間TX2が等しくなり、図6Bに示すように、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの時間(例えば、パス1からパス5までの時間)、即ち、メタリック画像の乾燥時間を等しくすることができる(乾燥時間の違いを低減することができる)。
【0054】
従って、第1重複画像Pd(1)と第2重複画像Pd(2)とで、メタリックインクと4色インク(YMCK)の混色具合を同程度にすることができ、第1重複画像Pd(1)の金属光沢感と第2重複画像Pd(2)の金属光沢感を均一にすることができ、印刷物の画質劣化を抑制することができる。また、例えば媒体Sやガイドレール32の両端間をヘッド41が一律に往復移動する場合に比べて、印刷時間を短縮することが出来る。
【0055】
また、本実施例のプリンター1は、図3Bに示すように、メタリック画像を複数回のパスに亘って媒体Sの所定領域に対して先に印刷した後に、そのメタリック画像の上に主画像を重ねて印刷する印刷方法を実施する。そのため、比較例のように重複モード時に最短印刷制御を実施してしまうと、移動方向の幅の異なる重複画像間において、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの時間差がより大きくなり、金属光沢感の違いがより大きくなってしまう。しかし、本実施例では、重複モード時にヘッド41の移動距離を一定にするため、図3Bに示す印刷方法にて移動方向の幅の異なる重複画像を印刷する場合にも、各重複画像の金属光沢感を均一にすることができる。
【0056】
また、本実施例では単独モード時に最短印刷制御が実施される。また、重複モードに設定されていても、重複画像だけが印刷されるに限らず、重複画像と単独の主画像の2種類の画像が印刷される場合がある。この場合、重複モードに設定されていても、重複画像を印刷しないパスでは、最短印刷制御を実施するようにする。つまり、コントローラー10が、重複画像を印刷しないパスでは、その重複画像を印刷しない各パスでそれぞれ印刷される画像の移動方向における左端の位置から右端の位置までに応じて、ヘッド41の移動方向への移動距離を変動させる。
【0057】
そうすることで、重複画像を印刷しないパスでは、画像を印刷しない領域までヘッド41が不必要に移動することがなくなり、印刷時間を短縮することができる。また、重複画像を印刷しないパスでは、主画像の下層にメタリック画像が印刷されないため、移動方向における画像幅に応じてヘッド41の移動距離が変動し、1回のパスに要する時間が変動したとしても、画質が劣化する問題が生じない。
【0058】
図7Aから図7Cは、他の重複画像を印刷する場合の印刷制御方法を説明する図である。図7Aでは、第1重複画像Pd(1)の左端の方が第2重複画像Pd(2)の左端よりも左側に位置し、第1重複画像Pd(1)の右端よりも第2重複画像Pd(2)の右端の方が右側に位置している。この場合、コントローラー10は、重複画像を印刷する全パスで、第1重複画像Pd(1)の左端を印刷する位置Lから第2重複画像Pd(2)の右端を印刷する位置Rまでヘッド41を移動方向に一定の距離X3間を往復移動させる。
【0059】
また、図7Bでは、図7Aと同様の重複画像Pd(1),Pd(2)が印刷される他に、第1重複画像Pd(1)を印刷するパスと同じパスで、第3の画像P(重複画像でも単独の主画像でもよい)が印刷される。この場合、移動方向の幅が最も長い画像は第2重複画像Pd(2)となるが、コントローラー10は、重複画像を印刷する全パスで、第1重複画像Pd(1)の左端を印刷する位置Lから第3の画像Pの右端を印刷する位置Rまで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X4間を往復移動させる。
【0060】
また、図7Cに示すように、移動方向の幅が一定でない重複画像Pd(3)(ここでは三角形)が1つ印刷される場合もある。この場合、コントローラー10は、重複画像Pd(3)を印刷する全パスで、重複画像Pd(3)における底辺の左端を印刷する位置Lから底辺の右端を印刷する位置Rまで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X5間を往復移動させる。
【0061】
===印刷制御方法:実施例2===
図8は、実施例2の印刷制御方法を説明する図である。実施例2では、重複画像を印刷する各パスでそれぞれ印刷される画像の移動方向における左端の位置から右端の位置までの距離の中の最大距離に応じて、重複画像を印刷する全パスでヘッド41を移動方向に一定の距離を移動させる。
【0062】
ここでは、図8に示すように、第1重複画像Pd(1)と、第1重複画像Pd(1)よりも幅の長い第2重複画像Pd(2)が印刷される場合を例に挙げて説明する。また、第1重複画像Pd(1)の左端の方が第2重複画像Pd(2)の左端よりもズレ量αだけ左側に位置し、第1重複画像Pd(1)の右端よりも第2重複画像Pd(2)の右端の方が右側に位置しているとする。
【0063】
この場合、コントローラー10は、印刷データに基づいて、重複画像を印刷する各パスでそれぞれ印刷される画像の左端から右端までの距離の中の最大距離が、第2重複画像Pd(2)の左端から右端までの距離であると判断する。従って、コントローラー10は、重複画像を印刷する全パスにおいて、第2重複画像Pd(2)の左端を印刷する位置Lから第2重複画像Pd(2)の右端を印刷する位置Rまでの一定の距離X2でヘッド41を往復移動させる。
【0064】
具体的に説明すると、第2重複画像Pd(2)を印刷するパスでは、コントローラー10は、第2重複画像Pd(2)の左端を印刷する位置Lから第2重複画像Pd(2)の右端を印刷する位置Rまで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X2間を往復移動させる。
一方、第1重複画像Pd(1)を印刷するパスでは、コントローラー10は、第1重複画像Pd(1)の左端を印刷する位置L’から、その位置L’から移動方向の右側に距離X2だけ離れた位置R’まで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X2間を往復移動させる。
即ち、前述の実施例1では、重複画像を印刷するパスでヘッド41が移動する位置が固定されるのに対して、実施例2では、重複画像を印刷するパスでヘッド41が移動する位置が変動する場合がある。
【0065】
このような実施例2においても、重複画像を印刷する全パスで、1回のパスに要する時間が等しくなる。そのため、移動方向の幅の異なる重複画像Pd(1),Pd(2)を印刷する場合にも、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの時間、即ち、メタリック画像の乾燥時間を等しくすることができる。従って、移動方向の幅が異なる重複画像の金属光沢感を均一にすることができる。
【0066】
===印刷制御方法:実施例3===
図9Aは、ラメ調画像を説明する図であり、図9Bは、ラメ調画像Pl(1),Pl(2)と通常の重複画像Pd(1),Pd(2)を印刷する場合の印刷制御方法を説明する図である。実施例3では、金属光沢感が均一である通常の重複画像とラメ調画像を印刷する場合を例に挙げる。ラメ調画像とは、場所によってメタリックインクを露呈させたり強調させたりすることで照射された光を乱反射し、キラキラとした光沢感のある重複画像である。
【0067】
図9Aに示すように、メタリック画像データと主画像データ(元データ)の少なくとも一方にマスクを適用した画像データにより、ラメ調画像を印刷することができる。マスクは、複数のブロックから構成され、各ブロックは、対応する画像データに基づくインク噴射量の制限値を有する。
例えば、主画像データに対してマスクを適用する場合を例に挙げる。そして、マスクの中の或るブロックの示す制限値が100%である場合、そのブロックに対応する主画像データに基づくインク噴射量はゼロとなり、その主画像データに対応する媒体領域には全くカラーインク(YMCK)が噴射されず、その媒体領域ではメタリック画像が露呈する。一方、マスクの中の別のブロックの示す制限値が30%である場合、そのブロックに対応する主画像データに基づくインク噴射量は70%となり、その主画像データに対応する媒体領域には比較的に多くのカラーインクが噴射されるため、その媒体領域ではメタリック画像の影響(金属光沢感)を抑えることが出来る。
【0068】
マスクを適用していない通常の重複画像とラメ調画像では画像の質感が異なる。そこで、実施例3では、通常の重複画像の印刷時とラメ調画像の印刷時とで印刷制御方法を異ならせる。図9Bに示すように、移動方向の幅が異なる第1ラメ調画像Pl(1)及び第2ラメ調画像Pl(2)と、移動方向の幅が異なる通常の第1重複画像Pd(1)及び第2重複画像Pd(2)を印刷する場合を例に挙げて印刷制御方法を説明する。
【0069】
コントローラー10は、ラメ調画像Pl(1),Pl(2)を印刷するパスでは、ラメ調画像を印刷する全パスで印刷される画像の最左端を印刷する位置L1から最右端を印刷する位置R1まで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X6間を往復移動させる。そうすることで、各ラメ調画像Pl(1),Pl(2)を構成するメタリック画像の乾燥時間を等しくすることができ、移動方向の幅の異なるラメ調画像Pl(1),Pl(2)の質感を均一にすることができる。
【0070】
また、コントローラー10は、通常の重複画像Pd(1),Pd(2)を印刷するパスでは、通常の重複画像を印刷する全パスで印刷される画像の最左端を印刷する位置L2から最右端を印刷する位置R2まで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X7間を往復移動させる。そうすることで、各重複画像Pd(1),Pd(2)を構成するメタリック画像の乾燥時間を等しくすることができ、移動方向の幅の異なる重複画像Pd(1),Pd(2)の金属光沢感を均一にすることができる。なお、ここでは実施例1の印刷制御方法を適用しているが、実施例2の印刷制御方法を適用してもよい。
【0071】
このように実施例3では、インクの噴射位置に応じてそのインクの噴射を制限するマスクが適用されたラメ調画像を印刷するパスと、マスクが適用されていない通常の重複画像を印刷するパスとで、ヘッド41の移動距離を揃えない。
【0072】
そうすることで、例えば、通常の重複画像の方がラメ調画像よりも移動方向の幅が長い場合に、ラメ調整画像を印刷するパスにてヘッド41が不必要に移動することがなくなり、印刷時間を短縮できる。また、通常の重複画像とラメ調画像では質感が異なるため、ヘッド41の移動距離を揃えなくても、即ち、メタリック画像の乾燥時間を揃えなくても、画質劣化に影響しない。なお、図9Bでは移動方向の幅の異なるラメ調画像を印刷する全パスでのヘッド41の移動距離を一定(X6)にしているが、これに限らず、ラメ調画像の印刷時に最短印刷制御を実施するようにしてもよい。
【0073】
===印刷制御方法:実施例4===
図10Aは、実施例4におけるヘッド41のノズル配列を説明する図であり、図10Bは、実施例4で印刷される画像を説明する図である。なお、説明の簡略のため、図10Aでは1ノズル列に属するノズル数を9個にする。また、実施例4のヘッド41には、カラーノズル列Co(=YMCK)とメタリックノズル列Meに加えて、無色透明のクリアインクを噴射するクリアノズル列Clが設けられている。
【0074】
図10Aに示すように、カラーノズル列Coの搬送方向下流側の1/3のノズル#1〜#3を使用ノズルとし、クリアノズル列Clの搬送方向中央部の1/3のノズル#4〜#6を使用ノズルとし、メタリックノズル列Meの搬送方向上流側の1/3のノズル#7〜#9を使用ノズルにする。そうすることで、メタリック画像と主画像の間にクリアインクによる画像(以下、クリア画像)を印刷することができ、メタリック画像と主画像の混色を抑制したり、メタリックインクに含まれる金属顔料の化学変化を抑制したりすることができる。また、重複画像や主画像の上にクリア画像を重ねて印刷することで、画像の光沢性を向上させたり、画像を保護したりすることができる。
【0075】
また、実施例4でも、実施例1や実施例2のように、重複画像を印刷するパスで印刷される画像端の位置に応じて重複画像を印刷するパスでのヘッド41の移動距離を一定にする。例えば、図10Bに示すように、移動方向の幅の短い第1重複画像Pd(1)を印刷するパスでも、移動方向の幅の長い第2重複画像Pd(2)に合わせて、第2重複画像Pd(2)の左端を印刷する位置Lから第2重複画像Pd(2)の右端を印刷する位置Rまで、ヘッド41を移動方向に一定の距離X2間を往復移動させる。
【0076】
そのために、実施例4では、搬送方向の位置が第1重複画像Pd(1)と同じ位置であって、右端の位置が第2重複画像Pd(1)の右端と同じになる位置に、クリア画像Pcを印刷する。なお、印刷データを作成するプリンタードライバーやプリンター1側のコントローラー10が、クリア画像Pcを印刷するための印刷データを作成するようにするとよい。
【0077】
そうすることで、重複モード時に最短印刷制御を実施しても、第1重複画像Pd(1)を印刷するパスで、ヘッド41は、クリア画像Pcの右端を印刷する位置、即ち、第2重複画像Pd(2)の右端を印刷する位置と同じ位置まで移動する。つまり、実施例4では、重複モード時に最短印刷制御を実施しても、クリア画像Pcを印刷するために、重複画像を印刷する全パスでのヘッド41の移動距離を一定にすることができる。そのため、移動方向の幅が異なる重複画像を構成するメタリック画像の乾燥時間を一定にすることができ、重複画像の金属光沢感を均一にすることができる。従って、実施例4では、コントローラー10を動作させるプログラムを簡略化することができる。また、ユーザーが指定する画像の他にクリア画像Pcを印刷したとしても、クリア画像は人間に視認されないため、印刷物の画質が劣化する問題も生じない。
【0078】
===印刷制御方法:実施例5===
図11Aから図11Cは、重複画像の別の印刷方法を説明する図である。実施例5では、媒体Sを逆搬送(バックフィード)することによって、メタリック画像の上に主画像を重ねて印刷する。
具体的に説明すると、プリンター1は、まず、図11Aに示すように、メタリックノズル列Meに属する全ノズル(#1〜#180)を使用して、媒体Sを搬送方向の下流側に搬送しつつ、媒体S上にメタリック画像を印刷する。その後、プリンター1は、図11Bに示すように、搬送方向の下流側から上流側に媒体Sを逆方向に搬送する。そして、プリンター1は、図11Cに示すように、カラーノズル列Coに属する全ノズル(#1〜#180)を使用して、媒体Sを搬送方向の下流側に搬送しつつ、メタリック画像の上に主画像を重ねて印刷する。
【0079】
この印刷方法によれば、ノズル列Co,Meに属する全ノズルを使用することができ、また、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像が印刷されてから主画像が重ねて印刷されるまでの時間(即ち、メタリック画像の乾燥時間)がより長くなるため、画像の滲みや混色をより抑制することができる。
【0080】
また、図2Bに示すヘッド41では、カラーノズル列Co(=YMCK)とメタリックノズル列Meが移動方向に並んでいるが、これに限らない。例えば、メタリックノズル列Meをカラーノズル列Coよりも搬送方向の上流側にずらして配置してもよい(不図示)。そうすることで、ノズル列Me,Coに属する全ノズルを使用しつつ、メタリック画像の上に主画像を異なるパスで重ねて印刷することができる。
【0081】
===印刷制御方法:実施例6===
実施例6では印刷モードが単独モードに設定されている場合、コントローラー10は、最短印刷制御を実施し、且つ、ヘッド41が移動方向の双方向に移動する際に(即ち、往路時にも復路時にも)ノズルからインクを噴射させる双方向印刷を実施する。一方、印刷モードが重複モードに設定されている場合、コントローラー10は、重複画像を印刷するパスではヘッド41の移動距離を一定にし、且つ、ヘッド41が移動方向の一方向に移動する際にのみ(例えば、往路時にのみ)ノズルからインクを噴射させる単方向印刷を実施する。
【0082】
重複モードでは、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像が印刷されてから主画像が重ねて印刷されるまでの時間(即ち、メタリック画像の乾燥時間)を長くすることで、画像の滲みや混色をより抑制することができる。従って、重複モード時に単方向印刷を実施することで、インクが噴射されるパスの後にインクが噴射されないパスを設けることができ、メタリック画像の乾燥時間をより長くすることができる。逆に、単独モードでは、主画像しか印刷されず、2種類の画像の滲みや混色の問題が生じないため、双方向印刷を実施することで、印刷時間をより短縮することができる。
【0083】
図12は、実施例6における別の印刷制御方法を示すフローである。図12のフローでは、印刷モードが重複モードに設定されている場合(S101→Y)、コントローラー10は、重複画像が印刷される1回のパスでヘッド41が移動する距離(例えば、図6Aの距離X2や図8の距離X2)と閾値を比較する(S102)。そして、コントローラー10は、重複画像が印刷される1回のパスでヘッド41が移動する距離(以下、「1パスの移動距離」と呼ぶ、一定の相対移動距離に相当)が閾値未満の場合(S102→N)、単方向印刷を実施し(S104)、1パスの移動距離が閾値以上の場合(S102→Y)、双方向印刷を実施する(S103)。
【0084】
1パスの移動距離が長いほど、1パスに要する時間が長くなり、媒体Sの所定領域に対してメタリック画像の印刷を開始してから主画像を重ねて印刷するまでの時間、即ち、メタリック画像の乾燥時間が長くなる。そのため、1パスの移動距離が閾値以上の場合に双方向印刷を実施しても、画像の滲みや混色を抑制することができ、印刷時間を出来る限り短縮することができる。一方、1パスの移動距離が閾値未満の場合に単方向印刷を実施することで、1パスに要する時間が短くとも、メタリック画像の乾燥時間を長くすることができ、画像の滲みや混色を防止することができる。また、1パスの移動距離が閾値未満の場合に、双方向印刷を実施し、パス間に所定の給紙時間を設けるようにしてもよい。
【0085】
===変形例===
<インクについて>
前述の実施例では、メタリック画像(背景画像)の上に主画像を重ねて印刷する場合を例に挙げているが、これに限らない。例えば、白インクによる背景画像の上に一般的な有色インク(例えばYMCK)による主画像を重ねて印刷してもよいし、一般的な有色インク(例えばYMCK)を背景画像の印刷に使用してもよいし、メタリックインクや白インクを主画像の印刷に使用してもよい。また、メタリックインクの代わりに他の光沢インク(例えば、真珠光沢感を発現するようなインク)を使用して背景画像を印刷してもよい。これらの場合であっても、1パスのヘッド41の移動距離を一定にすることで、移動方向の幅の異なる重複画像の質感を均一にすることができる。また、重複画像を印刷する媒体の別の領域に、単独のメタリック画像や単独の主画像を印刷してもよい。また、白インクと呼ばれるインクであってもインク成分によって白色が若干異なる場合があるため、白インクと共に一般的な有色インク(YMCK)を媒体Sに噴射して、所望の白色の背景画像を印刷してもよい。
【0086】
なお、「白色」とは、可視光線のすべての波長を100%反射する物体の表面色である厳密な意味での白色に限らず、所謂「白っぽい色」のように社会通念上、白色と呼ばれる色を含むものとする。「白色」とは、例えば、(1)x-rite社製の測色機eye-oneProを用いて、測色モード:スポット測色、光源:D50、バッキング:Black、印刷媒体:透明フィルムで測色した場合に、L色空間での標記がa平面上で半径20の円周及びその内側にあり、且つ、L値が70以上で表される色相範囲内の色か、(2)ミノルタ製測色計CM2022を用いて測定モードD502°視野、SCFモード、白地バックで測色した場合に、L色空間での標記がa平面上で半径20の円周及びその内側にあり、且つ、L値が70以上で表される色相範囲内の色か、(3)特開2004−306591号公報に記載されているように画像の背景として用いられるインクの色をいい、背景として用いられるのであれば純粋な白に限られない。
【0087】
<プリンターについて>
前述の実施例では、ヘッド41が移動方向に移動しながら媒体にインクを噴射する動作と、移動方向と交差する搬送方向に媒体を搬送する動作と、を繰り返すプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。
例えば、ノズル列に沿った方向(媒体の搬送方向)に移動可能なステージと、ノズル列に沿った方向と交差する方向(移動方向)に移動可能なヘッドと、を有するプリンターでもよい。このようなプリンターでは、ステージ上に載置された媒体に対してヘッドが移動方向に移動しながら画像を印刷する動作と、ステージの移動に伴って媒体が搬送方向に移動する動作と、が繰り返される。
また、例えば、ノズル列に沿った方向(Y方向)と、それに交差する方向(X方向)に、ヘッドが移動可能なプリンターでてもよい。このようなプリンターでは、印刷領域に位置する媒体部位(カット紙やロール紙)に対してヘッドがX方向に移動しながら画像を印刷する動作と、ヘッドがY方向に移動する動作と、が繰り返され、印刷領域に位置する媒体部位に2次元の画像が印刷される。そして、媒体をX方向に移動することによって、印刷前の媒体部位が印刷領域に位置し、その媒体部位に画像が印刷される。
【0088】
<印刷方法について>
前述の実施例では、媒体Sにメタリック画像を先に印刷し、そのメタリック画像の上に主画像を印刷しているが(所謂、表刷り印刷を実施しているが)、これに限らない。例えば、透明性を有する媒体Sに画像を印刷する場合には、媒体Sに主画像を先に印刷し、その主画像の上にメタリック画像を印刷するようにしてもよい(所謂、裏刷り印刷を実施してもよい)。この印刷物では、印刷面の裏面側から媒体Sを介して画像が視認される。
【0089】
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主として流体噴射装置について記載されているが、流体噴射方法等の開示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0090】
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、流体噴射装置としてインクジェットプリンターを例示しているが、これに限らない。流体噴射装置であれば、プリンターに限らず、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、
31 キャリッジ、32 ガイドレール、40 ヘッドユニット、
41 ヘッド、50 検出器群、60 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列、及び、第2流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列を有するノズル列群と、
(B)媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる第1動作と、前記媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向に相対移動させる第2動作と、を繰り返し実行させる制御部であって、
前記第1流体による主画像と前記第2流体による背景画像とが重なる重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する前記第1動作で形成される画像の前記移動方向における一方側の端の位置から前記移動方向における他方側の端の位置までに応じて、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向に一定の距離を相対移動させる制御部と、
(C)を備えたことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、前記重複画像を形成しない前記第1動作時に、前記重複画像を形成しない各前記第1動作でそれぞれ形成される画像の前記移動方向における前記一方側の端の位置から前記移動方向における前記他方側の端の位置までに応じて、前記媒体と前記ノズル列群との前記移動方向への相対移動距離を変動させる、
流体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、前記重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する全ての前記第1動作で形成される画像のうち、前記移動方向における最も前記一方側の画像端を形成する位置から前記移動方向における最も前記他方側の画像端を形成する位置まで、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向に相対移動させる、
流体噴射装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、前記重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する各前記第1動作でそれぞれ形成される画像の前記移動方向における前記一方側の端の位置から前記移動方向における前記他方側の端の位置までの距離の中の最大距離に応じて、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向に一定の距離を相対移動させる、
流体噴射装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記制御部は、流体の噴射位置に応じて当該流体の噴射を制限するマスクが適用された前記重複画像を形成する前記第1動作時と、前記マスクが適用されていない前記重複画像を形成する前記第1動作時とで、前記媒体と前記ノズル列群との前記移動方向への相対移動距離を揃えない、
流体噴射装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記主画像と前記背景画像のうちの一方の画像を複数回の前記第1動作に亘って前記媒体の所定領域に対して先に形成した後に、当該一方の画像の上に前記主画像と前記背景画像のうちの他方の画像を形成する、
流体噴射装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の流体噴射装置であって、
前記重複画像を形成する前記第1動作における前記媒体と前記ノズル列群との前記移動方向への一定の相対移動距離が閾値未満の場合、前記制御部は、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向における一方向に相対移動させる際に前記ノズルから流体を噴射させ、
前記一定の相対移動距離が前記閾値以上の場合、前記制御部は、前記媒体と前記ノズル列群とを前記移動方向における双方向に相対移動させる際に前記ノズルから流体を噴射させる、
流体噴射装置。
【請求項8】
第1流体を噴射するノズルが所定方向に並ぶ第1ノズル列、及び、第2流体を噴射するノズルが前記所定方向に並ぶ第2ノズル列を有するノズル列群を備え、媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから流体を噴射させる第1動作と、前記媒体と前記ノズル列群とを前記所定方向に相対移動させる第2動作と、を繰り返す流体噴射装置による流体噴射方法であって、
前記第1流体による主画像と前記第2流体による背景画像とが重なる重複画像を形成する前記第1動作時に、前記重複画像を形成する前記第1動作で形成される画像の前記移動方向における一方側の端の位置から前記移動方向における他方側の端の位置までに応じて、前記媒体と前記ノズル列群とが前記移動方向に一定の距離を相対移動することを特徴とする流体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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