説明

流体圧システム

【課題】作動装置が低温でも迅速かつ高信頼性で動作され得る流体圧システムを提供する。
【解決手段】消費装置10のピストン室7は、2つの供給ライン6、8を備えており、消費装置10、12、13、14が作動されない時、液圧流体はピストン室7を通って液圧流体貯蔵部2へと第2供給ライン6を介して常に流れる。消費装置10、12、13、14を作動させるために、液圧流体は、第1流体供給ライン8と第2流体供給ライン6とを介して、ピストン室7に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の上位概念部分に詳しく記載された技術の、流体圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
種類に応じた流体圧システムによって、消費装置が作動される。ここで、圧力媒体源からの圧力媒体は、当該消費装置のピストン室内に供給されて、それによってピストンが移動される。
【0003】
その際に、例えば、遮断可能な差動ギヤ装置が重要であり得る。そこでは、作動(消費)装置のピストンがマルチディスクブレーキに作用する。運行時の快適さにとって重要なのは、ここでは差動遮断装置の反応特性であり、それはピストンの速度によって決定される。特に、外気温が低い場合には、圧力媒体の粘度が高くなり、そのことによって、ピストンの反応特性従って差動遮断装置の作動速度は明らかに低減する。このことは、望ましくない運行状況をもたらす。
【0004】
DE19846955A1は、負荷状態において切り替え可能な後退ギヤ装置を開示している。そこでは、ピストン室を排気するために、作動装置の非作動状態において、圧力媒体がスロットル部及び逆止弁を介してピストン室を通って導かれ、圧力媒体貯蔵部に流れ出る。ピストン室は圧力によって作動され、逆止弁は閉じられ、圧力媒体は供給部を通ってピストン室に案内される。
【発明の開示】
【0005】
本発明の課題は、それによって作動装置が低温でも迅速かつ高信頼性で動作され得る流体圧システムを創造することである。
【0006】
この課題は、特許請求の範囲の主請求項の特徴部分を有する流体圧システムによって解決される。
【0007】
本発明によれば、流体圧システムにおいて、圧力媒体源からの圧力媒体が、圧力媒体貯蔵部から引き出され、非作動状態のピストン室にスロットル部を介して供給され、続いて、再び圧力媒体貯蔵部に案内される。これにより、消費装置を通る圧力媒体流は永続的に流れ、これにより全ての供給部が圧力媒体によって満たされ、そのことによって、均一の運転粘度が達成される、ということが保証される。ピストン室は圧力によって作動され、それにより消費装置が作動され、その結果、少なくとも二つの圧力媒体供給部によって加圧が生じる。それによって、加圧及びピストンの移動が非常に速く行われ得る、ということが保証される。好ましくは、これは、圧力媒体源と3/2−方向制御弁で結合されている第1圧力媒体供給部上、及び、圧力媒体源に永続的に結合されている第2圧力媒体供給部上において、実現される。本流体圧システムは、様々な圧力レベルで作動可能である複数の消費装置を有しており、3/2−方向制御弁と消費装置との間にバイパス弁を配置することが可能である。それによって、消費装置が所定の圧力レベルを超えないということが保証される。このバイパス弁は、例えば差動機において遮断クラッチの所定のスライド(すべり)状態を調節するために、無段階に変化可能であり得る。
【0008】
本発明による流体圧システムによれば、消費装置のピストンが外気温に影響されることなく一様に迅速に作動されうる、ということが保証される。本システムの追加の利点は、本システムが容易に構築され、わずかな構成要素及び弁のみを有する、という点にある。
【0009】
更なる特徴が、図を参照して知見される。
図は、流体圧システムを示している。ここでは、圧力媒体源1は、圧力媒体貯蔵部2から圧力媒体を引き出し、一方では3/2−方向制御弁3に、他方では配管4に供給する。3/2−方向制御弁3が初期状態にある時、圧力媒体は配管4を通ってスロットル部5に達し、そこから第2圧力媒体供給部6に、さらにそこからピストン室7に達する。圧力媒体は、そこから第1圧力媒体供給部8を通って再び3/2−方向制御弁3に戻り、さらにそこから配管9を介して圧力媒体貯蔵部2に戻ることができる。このことにより、消費装置10の非作動状態において、圧力媒体源1からの圧力媒体が、永続的に、ピストン室7を通り、そこから圧力媒体貯蔵部2に戻る、ということが保証される。3/2−方向制御弁3が反転される(切り替えられる)と、圧力媒体は配管11を通って第1圧力媒体供給部8へ、さらにピストン室7へ達し、同時に、スロットル部5及び第2圧力媒体供給部6を通ってもピストン室に達する。このことによって、消費装置10は、迅速かつ高信頼性で作動される。消費装置12、13及び14は、類似する態様で制御される。バイパス弁15は、消費装置を異なる圧力レベルで作動可能とするために、3/2−方向制御弁3と第1圧力媒体供給部8との間に配置される。ピストン室7の圧力は、それぞれの調節に応じて制御され得る。消費装置12、13及び14もまた、対応するバイパス弁を備えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の流体圧システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それによって、圧力媒体源(1)からの圧力媒体が、圧力媒体貯蔵部(2)から、ピストン室(7)を有する少なくとも一つの消費装置(10、12、13、14)及び少なくとも二つの圧力媒体供給部(6、8)へと供給される流体圧システムであって、
消費装置(10、12、13、14)の非作動状態では、第1圧力媒体供給部(8)が圧力媒体貯蔵部(2)に結合され、第2圧力媒体供給部(6)が圧力媒体源(1)に結合され、
消費装置(10、12、13、14)の作動状態では、第1及び第2圧力媒体供給部(6,8)が圧力媒体源(1)に結合されて同一の圧力レベルを有する
ことを特徴とする流体圧システム。
【請求項2】
第1圧力媒体供給部(8)は、3/2−方向制御弁(3)を介して、圧力媒体源(1)あるいは圧力媒体貯蔵部(2)と結合可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の流体圧システム。
【請求項3】
第2圧力媒体供給部(6)は、スロットル部(5)を介して、圧力媒体源(1)に結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の流体圧システム。
【請求項4】
3/2−方向制御弁(3)との間に、バイパス弁(15)が配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の流体圧システム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−69496(P2011−69496A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265636(P2010−265636)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2006−515746(P2006−515746)の分割
【原出願日】平成16年3月20日(2004.3.20)
【出願人】(500045121)ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト (312)
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【Fターム(参考)】