説明

流体圧機器のケース構造

【課題】流体圧機器において、ボディに対してケースを確実且つ容易に連結すると共に、外部からケース内部をより一層確実且つ容易に視認可能とし、前記ケースの耐久性を向上させる。
【解決手段】流体圧ユニット10を構成するフィルタ12は、第1ボディ20と、該第1ボディ20の下部に連結されるケースユニット22と、該ケースユニット22の内部に収納されるフィルタユニット24とを備え、前記ケースユニット22は、透過性を有する透明な材料から有底筒状に形成されたアウターケース40と、該アウターケース40の内部に挿入されるインナーケース42からなる。そして、ケースユニット22を、第1ボディ20の下部に開口した装着孔36に挿入し、回転させることによって前記ケースユニット22の外周面に設けられた突部58及び保持壁56を、前記装着孔36に設けられた支持部38に係合させて連結状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に流体の流通する流体圧機器に用いられるケース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、圧力流体中の塵埃等を除去するフィルタ(流体圧機器)を提案している(特許文献1参照)。このフィルタは、圧力流体の供給・排出されるポートを有したボディと、前記ボディの下部に設けられた中空状のケースと、前記ケースの内部に収容され塵埃等を除去可能なフィルタエレメントとを備える。また、ケースの外周側には、該ケースを覆うようにケースカバーが設けられ、該ケースカバーには、ケース内のフィルタエレメントの状況を外部から確認するための確認窓が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−9618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の提案に基づいてなされたものであり、ボディに対してケースを確実且つ容易に連結可能であり、外部からケース内部をより一層確実且つ容易に視認可能で、しかも、前記ケースの耐久性を向上させることが可能な流体圧機器のケース構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明は、圧力流体が内部に導入されるケースを有した流体圧機器のケース構造であって、
前記流体圧機器は、前記圧力流体の供給・排出されるポートを有したボディと、
前記ボディの装着孔に連結され、内部が前記ポートと連通する有底筒状のケースと、
を備え、
前記ケースは、内部を視認可能な透過性を有し、第1ケース部と、前記第1ケース部の内部に設けられる第2ケース部とを備え、前記第1及び第2ケース部の少なくともいずれか一方の外周面に設けられた第1係合部が、前記装着孔の内周面に形成された第2係合部に係合されることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、流体圧機器において、圧力流体が内部に導入されるケースを、その内部を視認可能な透過性を有するように形成し、且つ、第1ケース部と、前記第1ケース部の内部に設けられる第2ケース部とから構成すると共に、前記ケースの外周面に第1係合部を設け、ボディの装着孔に形成された第2係合部に係合させることにより連結することができる。
【0007】
従って、ケースを、ボディの装着孔に形成された第2係合部に係合させることで確実且つ容易に前記ボディに対してケースを連結することができると共に、前記ケースの内部を外部から視認可能であるため、該内部に導入される圧力流体の状態(例えば、含有される塵埃や水分の量)を前記ケースの外周面全面から確実且つ容易に確認することが可能である。
【0008】
また、第2ケース部が、第1ケース部の内部に設けられ、前記第2ケース部が外部に露呈することがないため、例えば、流体圧機器の設置環境下におけるガスや溶剤等が前記第2ケース部に対して付着することを防止できるため、前記第2ケース部の耐久性を向上することができる。
【0009】
さらに、第1係合部は、前記ケースの外周面に対して半径外方向に突出し、前記第2係合部は、前記内周面に対して半径内方向に突出して形成され、前記ケースを前記装着孔内で前記ボディに対して回転させることによって前記第1係合部と第2係合部とを係合させるとよい。
【0010】
さらにまた、ケースには、該ケースと前記ボディとの相対的な回転変位を規制するストッパ手段を設けるとよい。
【0011】
またさらに、ストッパ手段は、ケースの軸線方向に変位自在に設けられ、ボディの凹部に挿入されることによって前記ボディに対する回転変位を規制するとよい。
【0012】
さらに、流体圧機器は、ケースの内部にフィルタが収納され、圧力流体に含まれる塵埃等を除去可能なフィルタユニットとするとよい。
【0013】
さらにまた、流体圧機器は、ケースの内部に潤滑油が充填され、該潤滑油を圧力流体に混合させてポートから排出するルブリケータとするとよい。
【0014】
またさらに、流体圧機器は、ケースの内部にフィルタが収納され、且つ、ボディに前記圧力流体の圧力を調整可能な調圧機構を備えたフィルタレギュレータとするとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、流体圧機器において、圧力流体が内部に導入されるケースを、透過性を有するように形成することで、前記ケースの内部に導入される圧力流体の状態(例えば、含有される塵埃や水分の量)を該ケースの外周面全面から確実且つ容易に確認することが可能であり、しかも、ケースの外周面に第1係合部を設け、ボディの装着孔に形成された第2係合部に係合させるという簡便な作業で、確実且つ容易に前記ボディに対してケースを連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るケース構造が適用された流体圧ユニットの外観斜視図である。
【図2】図1に示す流体圧ユニットの正面図である。
【図3】図1の流体圧ユニットを構成するフィルタの分解断面斜視図である。
【図4】図3に示すフィルタの全体断面図である。
【図5】図1の流体圧ユニットを構成するフィルタの分解斜視図である。
【図6】図5のフィルタを構成するケースユニットの分解斜視図である。
【図7】図6のフィルタを構成するフィルタユニットの分解斜視図である。
【図8】図8Aは、図2のVIIIA−VIIIA線に沿った断面図であり、図8Bは、図8Aのリリースボタンが下降し、第1ボディとケースユニットとの回転規制状態が解除された状態を示す断面図である。
【図9】図1の流体圧ユニットを構成するルブリケータの全体断面図である。
【図10】図1のルブリケータを構成するケースユニットの分解斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るケース構造が適用された流体圧ユニットの外観斜視図である。
【図12】図11に示す流体圧ユニットの正面図である。
【図13】図12の流体圧ユニットを構成するフィルタレギュレータの全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る流体圧機器のケース構造について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0019】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るケース構造が適用された流体圧機器を含む流体圧ユニット10を示す。
【0020】
この流体圧ユニット10は、図1及び図2に示されるように、圧力流体中に含まれる塵埃等を除去するフィルタ12と、前記圧力流体の圧力を減圧するレギュレータ14と、前記圧力流体に対して潤滑油を混合するルブリケータ16と、前記フィルタ12及びルブリケータ16を互いに連結する接続装置18a、18bとから構成される。
【0021】
上述したフィルタ12及びルブリケータ16が、その内部に圧力流体の供給される流体圧機器として機能し、前記レギュレータ14が前記フィルタ12とルブリケータ16との間となるように配置される。
【0022】
フィルタ12は、図1〜図7に示されるように、第1ボディ20と、該第1ボディ20の下部に連結されるケースユニット22と、該ケースユニット22の内部に装填されるフィルタユニット24とを含む。
【0023】
第1ボディ20には、圧力流体の供給・排出される第1及び第2ポート26、28が側方に設けられ、略水平方向にそれぞれ開口している(図4参照)。第1ポート26は、図示しない配管と接続され、該配管を通じて圧力流体が供給されると共に、第1ボディ20の内部において軸方向(矢印A、B方向)に延在する第1連通路30と連通している。第2ポート28は、第1ポート26に供給された圧力流体が後述するレギュレータ14へと排出され、前記第1ボディ20の略中央部において軸方向(矢印A、B方向)に延在する第2連通路32と連通している。
【0024】
また、第1ボディ20の側面には、第1及び第2ポート26、28が設けられた端面の外縁部に相互に対向して形成される一組の係合用突部34a、34bが設けられる。
【0025】
第1ボディ20の下部には、ケースユニット22の挿入される装着孔36が開口しており、断面略円形状に形成された前記装着孔36には、その外周側に前記第1連通路30が連通し、前記装着孔36の中央部に第2連通路32が連通している。
【0026】
この装着孔36の内周面には、図3及び図4に示されるように、半径内方向に突出した複数の支持部(第2係合部)38が形成され、前記支持部38には、ケースユニット22を構成するインナーケース(第2ケース部)42の突部(第1係合部)58及びアウターケース(第1ケース部)40の保持壁(第1係合部)56が係合される。支持部38は、装着孔36の周方向に沿って互いに等間隔離間するように設けられる。
【0027】
ケースユニット22は、有底筒状に形成されたアウターケース40と、該アウターケース40の内部に挿入されるインナーケース42と、前記アウターケース40に対して変位自在に設けられるリリースボタン44と、前記アウターケース40及びインナーケース42の底部に設けられるドレンコック46とを含む。
【0028】
アウターケース40は、例えば、透過性を有した透明な樹脂製材料(アクリル、ポリカーボネート等)から略一定径、且つ、軸方向(矢印A、B方向)に所定長さで形成され、その底部が半球状に形成されると共に上端部が開口している。アウターケース40の上部には、上方(矢印A方向)に向かって軸方向に突出した一対の接続片48a、48b(図6参照)が形成されると共に、一方の接続片48aと他方の接続片48bとの間となる位置に、後述するリリースボタン44の装着されるボタン孔50が形成される。接続片48a、48bは、アウターケース40の半径方向に弾性変形可能に設けられ、その略中央部にはインナーケース42の突起部52が係合される孔部54を備える。なお、孔部54は、略矩形状に開口して形成される。
【0029】
また、ボタン孔50は、アウターケース40の上端部から下方(矢印B方向)に向かって軸方向に延在し、略長方状に切り欠かれて形成される。
【0030】
さらに、アウターケース40の上部には、半径外方向に向かって徐々に拡径した複数の保持壁56が形成され、該保持壁56は、前記アウターケース40の周方向に沿って互いに略等間隔離間して設けられると共に、前記アウターケース40の内部にインナーケース42が収納された際、その突部58を保持可能に設けられる。
【0031】
一方、アウターケース40の底部には、軸線上となる略中央部にインナーケース42のドレンボス68(後述する)が挿入されるボス孔60が形成される。
【0032】
インナーケース42は、アウターケース40と同様に、例えば、透過性を有した透明な樹脂製材料(ポリカーボネート等)から略一定径、且つ、軸方向(矢印A、B方向)に所定長さで形成され、その底部が半球状に形成されると共に上端部が開口している。なお、インナーケース42の外周径は、アウターケース40の内周径と略同等若しくは若干小さくなるように設定される(図4参照)。そして、インナーケース42は、アウターケース40の内部に収納され、該アウターケース40の外部に露呈することがない。
【0033】
また、インナーケース42の上部には、その外周面から半径外方向に突出した複数の突部58が形成され、前記インナーケース42の周方向に沿って互いに略等間隔離間して設けられる。この突部58及び保持壁56の数量は、第1ボディ20の支持部38と同数で設定され、且つ、隣接する突部58及び保持壁56同士の間隔も、隣接する支持部38同士の間隔と同一となるように設定される。
【0034】
突部58の下部には、上方に向かって傾斜した傾斜面を備え、一方、前記突部58の上面は、略水平方向に延在する平面状に形成される。そして、インナーケース42がアウターケース40の内部に収納された際、突部58の傾斜面が保持壁56にそれぞれ当接して保持される。
【0035】
また、隣接する2つの突部58の間には、インナーケース42の外周面に対して所定高さで突出した一対の突起部52が設けられ、アウターケース40に対してインナーケース42を組み付ける際、断面略矩形状に形成された突起部52が、接続片48a、48bの孔部54に係合される。これにより、一対の接続片48a、48bによってアウターケース40とインナーケース42とが互いに強固に連結される。
【0036】
さらに、インナーケース42の上部には、該インナーケース42の外周面に対して半径内方向に縮径した環状壁62が形成され、該環状壁62には、その上部から突出した複数のフック64が設けられると共に、環状壁62の外周側には弾性材料からなる第1シールリング66が装着される。このフック64は、インナーケース42の周方向に沿って互いに等間隔離間し、且つ、その上端部が半径外方向に突出している。換言すれば、フック64は、その上端部が半径外方向に向かって突出した断面L字状に形成されている。
【0037】
そして、インナーケース42を含むケースユニット22の内部にフィルタユニット24が収納された際、該フィルタユニット24を構成するディフレクタ82(後述する)が前記フック64によって保持される。
【0038】
一方、インナーケース42の底部には、軸線上となる略中央部に軸方向(矢印A、B方向)に向かって突出したドレンボス68が設けられ、該ドレンボス68の内部にはドレンコック46の挿入されるドレン孔70が形成される。そして、アウターケース40に対してインナーケース42を組み付ける際、前記アウターケース40のボス孔60にインナーケース42のドレンボス68が挿通された後、ドレン孔70にドレンコック46が挿入(例えば、軽圧入)され、前記インナーケース42の内部から固定用プラグ72で固定される。
【0039】
なお、ドレンコック46の外周面には、弾性材料からなる第2シールリング74が環状溝を介して装着され、ドレン孔70に挿入された際に該ドレン孔70の内周面に当接することによって前記ドレンコック46とドレン孔70との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。
【0040】
リリースボタン44は、断面L字状のブロック体からなり、外方に突出した部位がアウターケース40に対して外側且つ下側(矢印B方向)となるようにボタン孔50に対して装着される。このリリースボタン44は、ボタン孔50に沿って上下方向(矢印A、B方向)に変位自在に設けられ、該ボタン孔50の下端面との間にスプリング76が介装される。これにより、リリースボタン44は、アウターケース40の上方(矢印A方向)に向かって常に付勢された状態にある。
【0041】
そして、第1ボディ20の装着孔36に対してケースユニット22が装着された際、リリースボタン44の上端部が、第1ボディ20の装着孔36に形成された凹部78(図8A参照)に挿入される。これにより、第1ボディ20に対するケースユニット22の回転方向への変位が規制される。
【0042】
すなわち、リリースボタン44は、第1ボディ20に対してケースユニット22が連結された状態で、前記ケースユニット22の回転変位を規制するストッパ手段として機能する。
【0043】
フィルタユニット24は、図3〜図5及び図7に示されるように、円筒状に形成されたフィルタエレメント80と、該フィルタエレメント80を保持するディフレクタ82と、前記ディフレクタ82の端部に装着されるバッフル84とを含む。このフィルタエレメント80は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の繊維材が巻回され、半径方向に所定厚さを有した筒状に形成される。
【0044】
ディフレクタ82は、円盤状に形成された本体部86と、該本体部86の下部に形成されバッフル84を保持可能な保持部88とを備え、前記本体部86の略中央部には貫通孔90が貫通すると共に、該貫通孔90の外周側には複数のフィン91が形成される。このフィン91は、ディフレクタ82の周方向に沿って互いに等間隔離間し、且つ、前記ディフレクタ82の軸方向に対して所定角度傾斜して形成される。
【0045】
また、本体部86において貫通孔90の外周側には弾性材料からなる第3シールリング92が装着され、フィルタユニット24がケースユニット22と共に第1ボディ20へと装着される際、前記第3シールリング92が第2連通路32の内周面に当接する。これにより、フィルタユニット24と第2連通路32との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。
【0046】
また、本体部86には、フィン91の外周側となる外縁部に下方(矢印B方向)に向かって突出した複数(例えば、4箇所)のガイド壁94が形成され、前記ガイド壁94は、本体部86の周方向に沿って互いに等間隔離間し、且つ、前記外縁部に対して半径外方向に所定間隔離間して形成される。また、ガイド壁94は、その下端部が半径内方向に折曲された断面略L字状に形成される。
【0047】
そして、フィルタユニット24をケースユニット22に対して組み付ける際、インナーケース42のフック64を、ガイド壁94の内周側に挿入することによって該ガイド壁94の下端部と前記フック64の上端部とが半径方向に重複することとなるため(図4参照)、前記インナーケース42とディフレクタ82を含むフィルタユニット24との軸方向(矢印A、B方向)への変位が規制される。これにより、フィルタユニット24が、ケースユニット22の内部に収納された状態で連結される。
【0048】
一方、本体部86の下面には、フィルタエレメント80の上端部が挿入されるフィルタ溝96が環状に形成される。
【0049】
保持部88は、円柱状に形成され、本体部86に対して連結されると共に該本体部86から軸方向(矢印B方向)に所定間隔離間して設けられる。そして、保持部88には、外周面から一対のピン98が突出し、該ピン98が後述するバッフル84の溝部100に挿入されることによって前記保持部88に対して前記バッフル84が連結される。また、保持部88の外周側には、円筒状のフィルタ12が挿通される。
【0050】
バッフル84は、円盤状に形成されたベース部102と、該ベース部102の上部に形成されディフレクタ82の保持部88に連結される連結部104と、前記ベース部102の下部に形成されるスカート部106とを含む。ベース部102は、略平面状に形成され、その上面にフィルタ12の下端面が当接して保持される。連結部104は、上方に向かって徐々に先細状となる断面円錐形状で形成され、その壁面に沿って一組の溝部100が周方向に沿って延在している。
【0051】
そして、ディフレクタ82の保持部88がフィルタ12に挿通された状態で、連結部104の内部に前記保持部88を挿入し、ピン98をそれぞれ溝部100に挿入した後、前記保持部88とバッフル84とを互いに反対方向となるように周方向に所定角度だけ回転させる。これにより、ピン98が溝部100の端部まで移動して係合される。その結果、ディフレクタ82とバッフル84との軸方向(矢印A、B方向)への相対的な変位が規制され、フィルタ12がディフレクタ82とバッフル84との間に保持された状態で、前記保持部88に対して前記バッフル84が連結される。
【0052】
レギュレータ14は、図1及び図2に示されるように、第2ボディ108と、該第2ボディ108の下部に回転自在に設けられるハンドル110と、前記ハンドル110を操作することによって圧力流体を調圧可能な圧力調整機構(図示せず)とを備える。この第2ボディ108の側方には、圧力流体の供給・排出される一対のポート(図示せず)がそれぞれ形成され、一方のポートが、フィルタ12の第2ポート28と接続されて連通し、前記フィルタ12から圧力流体が供給され、他方のポートが、ルブリケータ16の第3ポート122(後述する)と接続されて連通し、前記圧力流体が排出される。
【0053】
また、第2ボディ108の側面には、一対のポートが設けられた端面の外縁部に相互に対向するように一組の係合用突部112a、112bが設けられ、フィルタ12の第2ポート28と接続される端面の係合用突部112aが、隣接する前記フィルタ12の係合用突部34bと当接した状態で、該係合用突部34b、112aの外側から覆うように接続装置18aを装着することによって互いに連結される。この際、フィルタ12の第2ポート28とレギュレータ14における一方のポートとが連通した状態で連結される。
【0054】
そして、レギュレータ14は、その内部に圧力調整機構を備え、ハンドル110を回転させることによって前記圧力調整機構を駆動させ、一方のポートから供給された圧力流体の圧力を所望の圧力へと調圧した後、他方のポートから排出してルブリケータ16へと供給する。
【0055】
ルブリケータ16は、圧力流体中に潤滑油を滴下し、前記圧力流体の流れを利用して、流体圧機器における摺動部位等へ潤滑油を供給する目的で用いられ、図1、図2、図9及び図10に示されるように、第3ボディ114と、該第3ボディ114の下部に連結されるケースユニット116と、前記第3ボディ114の内部に挿入される滴下部118と、前記滴下部118を前記第3ボディ114に対して固定するホルダ120とを含む。
【0056】
第3ボディ114には、圧力流体の供給・排出される第3及び第4ポート122、124が側方に設けられ、前記第3ポート122と第4ポート124とは、第3連通路126を介して互いに連通している。なお、第3ポート122は、隣接して設けられたレギュレータ14における他方のポートと接続され、第4ポート124は図示しない配管と接続される。
【0057】
また、第3ボディ114の側面には、第3及び第4ポート122、124が設けられた端面の外縁部に相互に対向して形成される一組の係合用突部128a、128bが設けられ、レギュレータ14側となる端面の係合用突部128aが、前記レギュレータ14の係合用突部112bと当接した状態で、該係合用突部112b、128aの外側から覆うように接続装置18bを装着することによって前記ルブリケータ16がレギュレータ14に対して連結される。この際、ルブリケータ16の第3ポート122とレギュレータ14における他方のポートとが連通した状態で連結される。
【0058】
さらに、第3ボディ114の下部には、ケースユニット116の挿入される装着孔130が開口しており、前記装着孔130の内周面には、図9に示されるように、半径内方向に突出した複数の支持部132が形成され、前記支持部132には、ケースユニット116を構成するインナーケース(第2ケース部)138の突部58及びアウターケース(第1ケース部)136の保持壁56が係合される。支持部132は、装着孔130の周方向に沿って互いに等間隔離間するように設けられる。
【0059】
また、装着孔130には、第3ポート122側(矢印A方向)に向かって延在する分岐通路134が形成され、前記第3ポート122に供給される圧力流体の一部が、分岐通路134を通じて装着孔130に装着されたケースユニット116の内部へと供給される。
【0060】
ケースユニット116は、有底筒状に形成されたアウターケース136と、該アウターケース136の内部に挿入されるインナーケース138と、前記アウターケース136に対して変位自在に設けられるリリースボタン140とを含む。このインナーケース138は、アウターケース136の内部に収納され、該アウターケース136の外部に露呈することがない。なお、このケースユニット116の構成は、上述したフィルタ12のケースユニット116とほぼ同様であるため、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0061】
アウターケース136は、例えば、透過性を有した透明な樹脂製材料(アクリル、ポリカーボネート等)から略一定径、且つ、軸方向に所定長さで形成され、その底部が半球状に形成されると共に上端部が開口している。アウターケース136の上部には、上方(矢印A方向)に向かって軸方向に突出した一組の接続片48a、48bが形成されると共に、一方の接続片48aと他方の接続片48bとの間となる位置に、後述するリリースボタン140の装着されるボタン孔50が形成される。
【0062】
さらに、アウターケース136の上部には、半径外方向に向かって徐々に拡径した複数の保持壁56が形成され、該保持壁56は、前記アウターケース136の周方向に沿って互いに所定間隔離間して設けられると共に、前記アウターケース136の内部にインナーケース138が収納された際、その突部58を保持可能に設けられる。
【0063】
インナーケース138は、アウターケース136と同様に、例えば、透過性を有した透明な樹脂製材料(ポリカーボネート等)から略一定径、且つ、軸方向に所定長さで形成され、その底部が半球状に形成されると共に上端部が開口している。そして、インナーケース138の内部には、第3ボディ114に設けられた給油プラグ142(図1及び図2参照)を通じて潤滑油が充填される。
【0064】
また、インナーケース138の上部には、その外周面から半径外方向に突出した複数の突部58が形成され、前記インナーケース138の周方向に沿って互いに略等間隔離間して設けられる。そして、インナーケース138がアウターケース136の内部に収納された際、突部58の傾斜面が保持壁56にそれぞれ当接して保持される。
【0065】
また、隣接する2つの突部58の間には、インナーケース138の外周面に対して所定高さで突出した一対の突起部52が設けられ、アウターケース136に対してインナーケース138を組み付ける際、断面略矩形状に形成された突起部52が、接続片48a、48bの孔部54に係合されることによって前記アウターケース136とインナーケース138とが互いに強固に連結される。
【0066】
さらに、インナーケース138の上部には、該インナーケース138の外周面に対して半径内方向に縮径した環状壁62が形成され、該環状壁62には、その上部から突出した複数のフック64が設けられると共に、環状壁62の外周側には弾性材料からなる第1シールリング66が装着される。
【0067】
リリースボタン140は、断面L字状のブロック体からなり、外方に突出した部位がアウターケース136に対して外側且つ下側(矢印B方向)となるようにボタン孔50に対して装着される。このリリースボタン140は、ボタン孔50に沿って上下方向(矢印A、B方向)に変位自在に設けられ、該ボタン孔50の下端面との間にスプリング76が介装される。これにより、リリースボタン140は、アウターケース136の上方(矢印A方向)に向かって常に付勢された状態にある。
【0068】
そして、第3ボディ114の装着孔130に対してケースユニット116が装着された際、リリースボタン140の上端部が、前記第3ボディ114の装着孔130に形成された凹部78に挿入される。これにより、第3ボディ114に対するケースユニット116の回転方向への変位が規制される。すなわち、リリースボタン140は、第3ボディ114に対してケースユニット116が連結された状態で、前記ケースユニット116の回転変位を規制するストッパ手段として機能する。
【0069】
滴下部118は、図9に示されるように、第3ボディ114の内部に挿入されるインナー部材144と、該インナー部材144の上部に設けられる滴下プラグ146とを備え、前記インナー部材144が第3連通路126を貫通するように挿入される。このインナー部材144は、水平方向に貫通した第4連通路148を有し、前記第4連通路148が前記第3連通路126と一直線状に配置される。すなわち、第3ポート122に供給された圧力流体が、第3及び第4連通路126、148を通じて第4ポート124へと流通することとなる。
【0070】
また、第4連通路148には、弾性材料からなり該第4連通路148の延在方向と直交するように立設したダンパ150が設けられ、該ダンパ150は、第3ポート122側から供給される圧力流体の流量に応じて第4ポート124側へと所定角度だけ傾動するように設けられる。
【0071】
インナー部材144には、第4連通路148の上部にインナーケース138から潤滑油の供給される貯留室152が形成される。この貯留室152は、下方に延在した油通路154と連通し、該油通路154を通じて潤滑油が供給されると共に、その略中央部には、下方に開口して第4連通路148と連通する滴下口156を有する。油通路154は、第4連通路148に対して直交し、且つ、分離されて延在しており、ホルダ120に形成される油供給ポート158と連通している。
【0072】
ホルダ120は、滴下部118を構成するインナー部材144の下部に装着され、ダンパ150の一部を挟持することによって保持すると共に、油通路154と連通する油供給ポート158を備える。この油供給ポート158は、下方(矢印B方向)に向かって突出してインナーケース138の内部に配置されると共に導油チューブ160が接続される。
【0073】
導油チューブ160は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有し、油供給ポート158に接続された状態でインナーケース138の底部近傍まで延在している。また、導油チューブ160の下端部には、潤滑油に含まれる塵埃等を除去可能な除去フィルタ162が設けられる。
【0074】
そして、インナーケース138内に充填された潤滑油が、導油チューブ160を通じてホルダ120側へと流通した後、油通路154を通じて貯留室152に供給され、該貯留室152から滴下口156を通じて第4連通路148内へと滴下される。これにより、第4連通路148を流通する圧力流体に潤滑油が所望量だけ混合される。なお、油供給ポート158には、油通路154からインナータンク側への潤滑油の逆流を防止するための逆止弁164が設けられている。
【0075】
本発明の第1の実施の形態に係るケース構造が適用された流体圧ユニット10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にフィルタ12及びルブリケータ16の組み付けについて説明する。最初に、フィルタ12の組み付けについて図4〜図6を参照しながら説明する。なお、フィルタユニット24は、予めフィルタエレメント80、ディフレクタ82及びバッフル84が予め組み付けられた状態とする(図5参照)。
【0076】
先ず、ケースユニット22を組み付ける。この場合、図6に示される状態において、開口したアウターケース40の上部から内部へとインナーケース42を挿入し、互いの底部同士を接近させドレンボス68をボス孔60に挿入すると共に、前記アウターケース40の接続片48a、48bを、前記インナーケース42の突起部52に対峙させて孔部54に該突起部52を挿入する。これにより、接続片48a、48bの孔部54と突起部52とが係合され、アウターケース40の内部にインナーケース42が収納された状態で互いに連結される。
【0077】
この際、アウターケース40とインナーケース42とが、互いの軸方向(矢印A、B方向)及び周方向への相対変位が規制された状態で連結されると共に、前記インナーケース42がアウターケース40によって覆われ、該アウターケース40の外部に露呈することがないように収納される。
【0078】
また、インナーケース42の突部58には、その下面にアウターケース40の保持壁56がそれぞれ当接している(図4参照)。
【0079】
そして、アウターケース40のボス孔60に対して下方からドレンコック46を挿入した後、固定用プラグ72で固定すると共に、インナーケース42における環状壁62の外周側に第1シールリング66を装着することによってケースユニット22の組み付けが完了する(図3及び図5参照)。
【0080】
次に、図5に示される状態から、ディフレクタ82の本体部86が上部となるようにフィルタユニット24をケースユニット22の内部へと挿入し、インナーケース42のフック64を前記本体部86のガイド壁94の間となる位置に配置する。そして、ケースユニット22に対してフィルタユニット24を軸線を中心として所定角度だけ回転させることによってフック64を前記ガイド壁94に臨み、且つ、該ガイド壁94の内周側となる位置に移動させる。すなわち、複数のフック64が、ガイド壁94によってそれぞれ覆われた状態となる。
【0081】
これにより、フック64の上端部が、ガイド壁94の下端部と半径方向に重複した状態となり、前記インナーケース42とディフレクタ82を含むフィルタユニット24との軸方向(矢印A、B方向)への変位が規制される。これにより、フィルタユニット24が、ケースユニット22の内部に収納された状態で互いに連結される。
【0082】
最後に、フィルタユニット24の組み付けられたケースユニット22を、その開口部を上方とした状態で第1ボディ20の装着孔36に挿入し、前記ケースユニット22を軸線を中心として前記第1ボディ20に対して所定角度だけ回転させることにより、突部58及び保持壁56と支持部38とを軸方向(矢印A、B方向)に重複させ、前記突部58及び保持壁56を前記支持部38に係合させる。この際、突部58の下部に当接している保持壁56が、支持部38に対して当接している。
【0083】
また同時に、図8Aに示されるように、リリースボタン44をスプリング76の弾発力によって上方(矢印A方向)へと移動させ、装着孔36の凹部78に挿入する。これにより、ケースユニット22は、第1ボディ20の装着孔36に挿入された状態で、支持部38によって保持され下方(矢印B方向)への脱落が防止された状態で保持されると共に、リリースボタン44によって回転方向(図3中、矢印C方向)への移動も規制される。すなわち、ケースユニット22は、リリースボタン44によって第1ボディ20に対する回転が規制されているため、支持部38との係合状態が解除されることがない。
【0084】
これにより、フィルタユニット24の収納されたケースユニット22が、第1ボディ20の下部に連結された状態となり、フィルタ12の組み付けが完了する(図4参照)。この際、図4に示されるように、第1連通路30とディフレクタ82のフィン91とが対峙して連通すると共に、第2連通路32と貫通孔90とが連通している。また、第1シールリング66は、装着孔36の内周面に当接し、第3シールリング92は、第2連通路32の内周面に当接する。
【0085】
なお、第1ボディ20に対してケースユニット22を取り外す際には、図8Bに示されるように、リリースボタン44をスプリング76の弾発力に抗して押し下げ、該リリースボタン44を凹部78から離脱させることにより、前記ケースユニット22の回転変位が規制された状態が解除される。その後、ケースユニット22を所定角度だけ回転させ、その突部58及び保持壁56と支持部38との係合状態を解除した後、前記ケースユニット22を第1ボディ20から離脱させる方向(矢印B方向)へと移動させる。
【0086】
次に、ルブリケータ16の組み付けについて説明する。先ず、ケースユニット116を組み付けるにあたり、開口したアウターケース136の上部から内部にインナーケース138を挿入し、前記アウターケース136の接続片48a、48bを、前記インナーケース138の突起部52に対峙させて孔部54に該突起部52を挿入する。これにより、接続片48a、48bの孔部54と突起部52とが係合され、アウターケース136の内部にインナーケース138が収納された状態で互いに連結されると共に、前記インナーケース138がアウターケース136によって覆われ、該アウターケース136の外部に露呈することがないように収納される。この際、アウターケース136とインナーケース138とが、互いの軸方向(矢印A、B方向)及び周方向への相対変位が規制された状態となる。また、インナーケース138の突部58には、その下面にアウターケース136の保持壁56がそれぞれ当接している。
【0087】
そして、インナーケース138における環状壁62の外周側に第1シールリング66を装着することによってケースユニット116の組み付けが完了する。
【0088】
次に、上述したケースユニット116を、その開口部を上方とした状態で、第3ボディ114の装着孔130に挿入し、前記ケースユニット116を軸線を中心として前記第3ボディ114に対して所定角度だけ回転させることにより、突部58及び保持壁56を前記装着孔130に設けられた支持部132に係合させる。また同時に、リリースボタン140をスプリング76の弾発力によって上方(矢印A方向)へと移動させ、装着孔130の凹部78に挿入する。これにより、ケースユニット116は、第3ボディ114の装着孔130に挿入された状態で、支持部132によって保持され、下方(矢印B方向)への脱落が防止された状態で保持されると共に、リリースボタン140によって回転方向への移動も規制される。すなわち、ケースユニット116は、リリースボタン140によって第3ボディ114に対する回転が規制されているため、支持部132との係合状態が解除されることがない。
【0089】
これにより、導油チューブ160がインナーケース138の内部に挿入された状態で、ケースユニット116が第3ボディ114の下部に連結され、ルブリケータ16の組み付けが完了する。
【0090】
なお、第3ボディ114に対してケースユニット116を取り外す際には、リリースボタン140をスプリングの弾発力に抗して押し下げ、該リリースボタン140を凹部78から離脱させることにより、前記ケースユニット116の回転変位が規制された状態が解除される。その後、ケースユニット116を所定角度だけ回転させ、その突部58及び保持壁56と支持部132との係合状態を解除した後、前記ケースユニット116を第3ボディ114から離脱させる方向(軸方向)へと移動させる。
【0091】
次に、上述したように組み付けられたフィルタ12及びルブリケータ16を含む流体圧ユニット10の動作並びに作用効果について説明する。なお、フィルタ12の第1ポート26及びルブリケータ16の第4ポート124には、図示しない配管が予め接続されている。
【0092】
先ず、図示しない圧力流体供給源より配管を通じてフィルタ12の第1ポート26へと圧力流体が供給され、前記圧力流体は、前記フィルタ12の第1ポート26から第1連通路30へと流通した後、ディフレクタ82のフィン91の間を通じてインナーケース42の内部へと導入される。この際、圧力流体は、複数のフィン91の間を通過することによってインナーケース42の軸線を中心として周方向に旋回するように該インナーケース42内に導入される。これにより、圧力流体中に含まれる水分等が、その旋回によって生じる遠心力で半径外方向に分離されインナーケース42の内周面側へと移動する。
【0093】
また、分離した水分等は、インナーケース42の内周面に沿って下方(矢印B方向)へと移動した後、底部に溜まってドレンとなる。なお、このドレンは、ドレンコック46を開くことによってインナーケース42の外部へと排出することが可能である。
【0094】
一方、水分等の分離された圧力流体は、フィルタエレメント80の外周側から内周側へと通過することにより、該圧力流体中に含まれる塵埃等が好適に除去され、その後、圧力流体は、フィルタエレメント80内を上昇して貫通孔90、第2連通路32へと導かれた後、第2ポート28から清浄な圧力流体として排出される。
【0095】
なお、フィルタ12では、ケースユニット22を構成するアウターケース40及びインナーケース42が、いずれも透過性を有した透明な樹脂製材料から形成されているため、その内部に貯留されるドレンの量やフィルタエレメント80に付着した塵埃等を外部から容易に視認することが可能である。
【0096】
このフィルタ12で水分、塵埃等の除去された圧力流体は、該フィルタ12の第2ポート28から接続装置18aによって一体的に連結されたレギュレータ14のポート(図示せず)へと供給され、ハンドル110によって予め設定された圧力値に調整された後、調圧された圧力流体が他方のポートを介して、接続装置18bによって一体的に連結されたルブリケータ16へと供給される。
【0097】
この調圧された圧力流体は、ルブリケータ16の第3ポート122から供給され、第3及び第4連通路126、148を通じて第4ポート124側へと流通すると同時に、前記第3ポート122と連通した分岐通路134を通じて圧力流体の一部がインナーケース138の内部へと供給される。この際、ダンパ150によって第3ポート122から第4ポート124へと直接流通する圧力流体に比べ、分岐通路134を通じてインナーケース138の内部へ導入される圧力流体の圧力が高くなる。
【0098】
そのため、インナーケース138内に供給された圧力流体によって潤滑油が押圧され、該潤滑油が導油チューブ160を通じてホルダ120側(矢印A方向)へと流通した後、油通路154を通じて貯留室152に供給され、滴下口156を通じて第4連通路148内へと滴下される。これにより、圧力流体は、第4連通路148内を通過する際に潤滑油が所定量だけ混合された後に、第4ポート124から配管を通じて、潤滑が必要とされる別の流体圧機器へと供給される。
【0099】
なお、ケースユニット116を構成するアウターケース136及びインナーケース138は、いずれも透過性を有した透明な樹脂製材料から形成されているため、その内部に充填された潤滑油の量などを外部から容易に視認することが可能である。
【0100】
以上のように、第1の実施の形態において、フィルタ12及びルブリケータ16では、ケースユニット22、116を構成するアウターケース40、136の外周面に半径外方向に突出した保持壁56を設けると共に、インナーケース42、138の外周面には、前記保持壁56の上部に当接する突部58を設けている。そして、ケースユニット22、116を第1及び第3ボディ20、114の装着孔36、130に挿入して所定角度だけ回転させ、該装着孔36、130の内壁面に沿って設けられた複数の支持部38に係合させることで前記第1及び第3ボディ20、114に対するケースユニット22、116の軸方向(矢印A、B方向)への変位が規制され、前記第1及び第3ボディ20、114に対してケースユニット22、116を簡便且つ確実に連結することができる。
【0101】
また、アウターケース40、136に設けられたリリースボタン44、140を第1及び第3ボディ20、114の凹部78に係合させることによって該第1及び第3ボディ20、114に対するケースユニット22、116の回転変位が規制されるため、該ケースユニット22、116が誤って回転し、支持部38に対する保持壁56及び突部58の係合状態が解除されてしまうことが防止される。その結果、リリースボタン44、140を凹部78に係合させることによって第1及び第3ボディ20、114に対するケースユニット22、116の連結状態が確実に維持される。
【0102】
さらに、フィルタ12を構成するケースユニット22は、圧力流体の導入されるインナーケース42と、該インナーケース42の外側に設けられるアウターケース40がそれぞれ透過性を有した透明な材料から形成されているため、前記インナーケース42内に貯留されるドレンの量やフィルタエレメント80に付着する塵埃等の量を確実且つ容易に前記ケースユニット22の外部から視認することが可能である。詳細には、ケースユニット22の周方向に沿ったいずれの位置から見ても、該ケースユニット22の内部を確実に視認することができるため、例えば、フィルタ12を含む流体圧ユニット10の設置環境下において視認可能な位置が限定されている場合でも、ケースユニット22の内部におけるドレンの量等を確実に視認することが可能である。そのため、フィルタエレメント80の交換やドレンコック46によるドレンの排出等のメンテナンスを適切なタイミングで行うことができる。
【0103】
すなわち、塵埃等の付着状況を確実に視認できることによってフィルタエレメント80の目詰まりを回避することができ、所定量以上のドレンがインナーケース42内に溜まってしまうことを回避できる。
【0104】
さらにまた、ルブリケータ16を構成するケースユニット116は、潤滑油の充填されるインナーケース138と、該インナーケース138の外側に設けられるアウターケース136がそれぞれ透過性を有した透明な材料から形成されているため、前記インナーケース138内における潤滑油の充填量を前記ケースユニット116の外部から確実且つ容易に視認することが可能である。詳細には、ケースユニット116の周方向に沿ったいずれの位置から見ても、該ケースユニット116の内部を確実に視認することができるため、例えば、ルブリケータ16を含む流体圧ユニット10の設置環境下において視認可能な位置が限定されている場合でも、ケースユニット116の内部における潤滑油の充填量を確実に視認することが可能である。そのため、潤滑油の補充等のメンテナンスを適切なタイミングで行うことができる。
【0105】
また、フィルタ12を構成するケースユニット22、ルブリケータ16を構成するケースユニット116では、インナーケース42、138の外周側を覆うようにアウターケース40、136が設けられ、前記インナーケース42、138が外部に露呈することがないように構成しているため、例えば、雰囲気中にガス、溶剤等が浮遊又は飛散している流体圧ユニット10の設置環境下において、前記ガス、溶剤等が前記インナーケース42、138に付着することを防止できる。その結果、インナーケース42、138の耐久性を向上することができる。
【0106】
なお、フィルタ12及びルブリケータ16を構成するケースユニット22、116は、透過性を有した透明な樹脂製材料から形成される場合に限定されるものではなく、例えば、透明な耐圧ガラスで形成するようにしてもよいし、透明ではなく半透明な材料から形成するようにしてもよい。すなわち、ケースユニット22、116を構成するアウターケース40、136及びインナーケース42、138に対して付与される圧力に耐え、且つ、外部から内部を視認可能な材料で形成されていればよい。
【0107】
次に、第2の実施の形態に係るケース構造が適用された流体圧機器を含む流体圧ユニット200を図11〜図13に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係る流体圧ユニット10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0108】
この第2の実施の形態に係る流体圧ユニット200では、流体中に含まれる塵埃等を除去するフィルタと前記流体の圧力を減圧するレギュレータとが一体的に設けられたフィルタレギュレータ202を備える点で、第1の実施の形態に係る流体圧機器と相違している。
【0109】
この流体圧ユニット200は、図11〜図13に示されるように、フィルタレギュレータ202と、該フィルタレギュレータ202に接続され前記圧力流体に対して潤滑油を混合するルブリケータ16と、前記フィルタレギュレータ202及びルブリケータ16を互いに連結する接続装置18aとから構成される。上述したフィルタレギュレータ202及びルブリケータ16が、その内部に圧力流体の供給される流体圧機器として機能する。
【0110】
なお、ルブリケータ16については、上述した第1の実施の形態に係る流体圧ユニット10と同一の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0111】
このフィルタレギュレータ202は、ボディ204と、該ボディ204の下部に連結されるケースユニット206と、前記ケースユニット206の内部に装填されるフィルタユニット208と、前記ボディ204の上部に連結されるボンネット210と、前記ボンネット210の内部に設けられる調圧機構212と、前記ボンネット210の上部に回動自在に設けられるハンドル214とを含む。
【0112】
ボディ204には、圧力流体の供給・排出される第5及び第6ポート216、218と、該第5ポート216に連通する第5連通路220と、前記第6ポート218に連通する第6連通路222とを備える。
【0113】
ケースユニット206は、有底筒状に形成されたアウターケース(第1ケース部)224と、該アウターケース224の内部に挿入されるインナーケース(第2ケース部)226と、前記アウターケース224に対して変位自在に設けられるリリースボタン228と、前記アウターケース224及びインナーケース226の底部に設けられるドレンコック230とを含む。なお、ケースユニット206及びフィルタユニット208の構成は、上述した第1の実施の形態に係るフィルタ12と同一の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0114】
ボンネット210は、円筒状に形成され、調圧機構212を構成するダイヤフラム232を挟んでボディ204の上部に連結される。また、ボンネット210の上部には、回転シャフト234を介してハンドル214が回転自在に設けられる。この回転シャフト234と調圧機構212を構成するディスク部材236との間には、スプリングホルダ238を介してスプリング240が介装される。
【0115】
そして、ハンドル214を回転させることによって回転シャフト234が一体的に回転し、それに伴って、前記回転シャフト234に螺合されたスプリングホルダ238が軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位することにより、例えば、スプリング240が前記スプリングホルダ238を介して圧縮され、その押圧力がダイヤフラム232へと付勢される。
【0116】
調圧機構212は、ボディ204とボンネット210との間に挟持され、可撓性を有した薄膜状のダイヤフラム232と、該ダイヤフラム232の中央部を保持する保持部材242と、該ダイヤフラム232を挟んで前記保持部材242の上部に設けられるスプリングホルダ238と、前記保持部材242の下部に設けられるシャフト244とを含む。
【0117】
ダイヤフラム232の下部には、ボディ204との間にダイヤフラム室246が形成され、該ダイヤフラム室246がパイロット通路248を通じて第6連通路222と連通している。
【0118】
また、シャフト244の下端部には、ディフレクタ82の本体部86と保持部88との間に設けられたシャフトホルダ250が当接し、該シャフトホルダ250と保持部88との間には、リターンスプリング252が介装されている。このリターンスプリング252の弾発力によってシャフトホルダ250を介してシャフト244が上方(矢印A方向)へと付勢されている。一方、シャフト244の上端部は、保持部材242の中央部に当接している。
【0119】
次に、第2の実施の形態に係る流体圧ユニット200の動作並びに作用効果について説明する。なお、ハンドル214を操作することによって所望圧力となるように予め設定されている。
【0120】
先ず、図示しない圧力流体供給源から圧力流体をボディ204の第5ポート216へと供給することにより、前記圧力流体が第5連通路220を通じてインナーケース226内へと流通し、ディフレクタ82のフィン91の間を通過することによって旋回しながら下方へと導入される。この際、圧力流体中に含まれる水分等が、その旋回によって生じる遠心力の作用下に好適に分離されインナーケース226の内周面側へと移動する。また、分離された水分は、インナーケース226の内周面に沿って下方へと移動した後、底部に溜まってドレンとなる。なお、このドレンは、ドレンコック230を開くことによってインナーケース226の外部へと排出することが可能である。
【0121】
一方、水分等の分離された圧力流体は、フィルタエレメント80の外周側から内周側へと通過することにより、該圧力流体中に含まれる塵埃等が好適に除去され、その後、フィルタエレメント80内を上昇して第6連通路222へと流通する。なお、ケースユニット206を構成するアウターケース224及びインナーケース226は、いずれも透過性を有した透明な樹脂製材料から形成されているため、その内部に貯留されるドレンや塵埃等を外部から視認することが可能である。
【0122】
また、同時に、スプリング240によるダイヤフラム232への押圧力と、前記ダイヤフラム室246内の圧力流体によってダイヤフラム232に作用する圧力の差によってシャフト244が軸方向(矢印A、B方向)に変位し、前記圧力流体が所望の圧力に調圧される。そして、圧力流体は、水分や塵埃等が除去され、且つ、所定圧力に調圧された後、第6ポート218を通じて隣接したルブリケータ16へと供給される。
【0123】
このルブリケータ16に供給された圧力流体は、その内部において所望量の潤滑油が滴下されて混合された後、潤滑が必要とされる別の流体圧機器へと供給される。
【0124】
以上のように、第2の実施の形態において、フィルタレギュレータ202では、ケースユニット206を構成するアウターケース224の外周面に半径外方向に突出した保持壁56を設けると共に、インナーケース226の外周面には、前記保持壁56の上部に当接する突部58を設けている。そして、ケースユニット206をボディ204の装着孔36に挿入して所定角度だけ回転させ、該装着孔36の内壁面に沿って設けられた複数の支持部38に係合させることで前記ボディ204に対するケースユニット206の軸方向(矢印A、B方向)への変位が規制され、前記ボディ204に対してケースユニット206を簡便且つ確実に連結することができる。
【0125】
また、アウターケース224に設けられたリリースボタン228をボディ204の凹部78に係合させることによって該ボディ204に対するケースユニット206の回転変位が規制されるため、該ケースユニット206が誤って回転し、支持部38に対する保持壁56及び突部58の係合状態が解除されてしまうことが防止される。その結果、リリースボタン228を凹部78に係合させることによってボディ204に対するケースユニット206の連結状態が確実に維持される。
【0126】
さらに、ケースユニット206は、圧力流体の導入されるインナーケース226と、該インナーケース226の外側に設けられるアウターケース224がそれぞれ透過性を有した透明な材料から形成されているため、前記インナーケース226内に貯留されるドレンの量やフィルタエレメント80に付着する塵埃等の量を確実且つ容易に前記ケースユニット206の外部から視認することが可能である。詳細には、ケースユニット206の周方向に沿ったいずれの位置から見ても、該ケースユニット206の内部を確実に視認することができるため、例えば、フィルタレギュレータ202を含む流体圧ユニット200の設置環境下において視認可能な位置が限定されている場合でも、ケースユニット206の内部におけるドレンの量等を確実に視認することが可能である。そのため、フィルタエレメント80の交換やドレンコック230によるドレンの排出等のメンテナンスを適切なタイミングで行うことができる。
【0127】
また、ケースユニット206は、インナーケース226の外周側を覆うようにアウターケース224が設けられ、前記インナーケース226が外部に露呈することがないように構成しているため、例えば、雰囲気中にガス、溶剤等が浮遊又は飛散している流体圧ユニット200の設置環境下において、前記ガス、溶剤等が前記インナーケース226に対して付着することを防止できる。その結果、インナーケース226の耐久性を向上することができる。
【0128】
なお、本発明に係る流体圧機器のケース構造は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0129】
10、200…流体圧ユニット 12…フィルタ
14…レギュレータ 16…ルブリケータ
18a、18b…接続装置 20…第1ボディ
22、116、206…ケースユニット
24、208…フィルタユニット 26…第1ポート
28…第2ポート 36、130…装着孔
40、136、224…アウターケース
42、138、226…インナーケース
44、140、228…リリースボタン
46、230…ドレンコック 78…凹部
80…フィルタエレメント 82…ディフレクタ
84…バッフル 94…ガイド壁
108…第2ボディ 110、214…ハンドル
114…第3ボディ 118…滴下部
120…ホルダ 122…第3ポート
124…第4ポート 134…分岐通路
142…給油プラグ 144…インナー部材
146…滴下プラグ 150…ダンパ
152…貯留室 156…滴下口
160…導油チューブ 202…フィルタレギュレータ
204…ボディ 210…ボンネット
212…調圧機構 216…第5ポート
218…第6ポート 232…ダイヤフラム
234…回転シャフト 236…ディスク部材
242…保持部材 244…シャフト
246…ダイヤフラム室 248…パイロット通路
250…シャフトホルダ 252…リターンスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体が内部に導入されるケースを有した流体圧機器のケース構造であって、
前記流体圧機器は、前記圧力流体の供給・排出されるポートを有したボディと、
前記ボディの装着孔に連結され、内部が前記ポートと連通する有底筒状のケースと、
を備え、
前記ケースは、内部を視認可能な透過性を有し、第1ケース部と、前記第1ケース部の内部に設けられる第2ケース部とを備え、前記第1及び第2ケース部の少なくともいずれか一方の外周面に設けられた第1係合部が、前記装着孔の内周面に形成された第2係合部に係合されることを特徴とする流体圧機器のケース構造。
【請求項2】
請求項1記載のケース構造において、
前記第1係合部は、前記ケースの外周面に対して半径外方向に突出し、前記第2係合部は、前記内周面に対して半径内方向に突出して形成され、前記ケースを前記装着孔内で前記ボディに対して回転させることによって前記第1係合部と第2係合部とが係合されることを特徴とする流体圧機器のケース構造。
【請求項3】
請求項2記載のケース構造において、
前記ケースには、該ケースと前記ボディとの相対的な回転変位を規制するストッパ手段が設けられることを特徴とする流体圧機器のケース構造。
【請求項4】
請求項3記載のケース構造において、
前記ストッパ手段は、前記ケースの軸線方向に変位自在に設けられ、前記ボディの凹部に挿入されることによって前記ボディに対する回転変位が規制されることを特徴とする流体圧機器のケース構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のケース構造において、
前記流体圧機器は、前記ケースの内部にフィルタが収納され、前記圧力流体に含まれる塵埃等を除去可能なフィルタユニットであることを特徴とする流体圧機器のケース構造。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のケース構造において、
前記流体圧機器は、前記ケースの内部に潤滑油が充填され、該潤滑油を前記圧力流体に混合させて前記ポートから排出するルブリケータであることを特徴とする流体圧機器のケース構造。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のケース構造において、
前記流体圧機器は、前記ケースの内部にフィルタが収納され、且つ、前記ボディに前記圧力流体の圧力を調整可能な調圧機構を備えたフィルタレギュレータであることを特徴とする流体圧機器のケース構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−232280(P2012−232280A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104623(P2011−104623)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】