説明

流体微粒化装置

【課題】密閉された空間や狭い場所に設置する場合においても外部からの気体配管や液体配管を容易に行うことができる流体微粒化装置を提供する。
【解決手段】流体微粒化装置1は、気体と液体の供給を受け、液体を気体によって微粒化する流体微粒化装置であって、供給された気体と液体が接触して液体が微粒化されるノズル部7と、ノズル部の液体供給部7aに液体を供給する液体供給管9と、ノズル部の気体供給部7bに気体を供給する気体供給管11とを有し、気体供給管もしくは液体供給管の少なくとも一方はノズル部と間隙13を介して相対するように設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と液体の供給を受けて液体を気体によって微粒化する流体微粒化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を微粒化する流体微粒化装置の例としては、特許文献1に開示された二流体微粒化ノズルがある。
特許文献1に開示された二流体微粒化ノズルは、「液体供給器、液膜形成器、気体供給器、気流旋回器、外筒とからなり、前記液膜形成器は、基部から先端の第1の円形開口に延びる回転対称の内周壁面を有し、前記気流旋回器は半径流方式で、前記外筒は、その先端部壁に前記第1の円形開口と同心に第2の円形開口が開口し、気流の一部が気流旋回器を経て前記液膜形成器の内周壁面で囲まれた空間に旋回流となって流入して前記第1の円形開口から噴出する第1の流路と、気流の他の一部が、前記第2の円形開口の内周壁と前記第1の円形開口の外周壁との間の環状開口から噴出する第2の流路を備えるものとし、液体は前記液体供給器の内部に配設された液体溜まりに連通する液体噴出孔から噴出して前記液膜形成器の内周壁面上を流れ、前記第1の円形開口において円筒状液膜となって、内周を前記第1の流路の気流により、外周を前記第2の流路の気流により挟まれて流出して微粒化されるようにした。」というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-297589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された二流体微粒化ノズルのように、ノズル内に気体と液体を導入して液体を微粒化するものの場合、ノズル内に気体を導入するための気体導入路及び液体を導入するための液体導入路が設けられている。そして、気体導入路及び液体導入路に外部から気体及び液体を供給するための気体供給管や液体供給管を接続する。このため、気体供給管や液体供給管の先端部の位置を二流体微粒化ノズル側の気体導入路及び液体導入路の接続部に正確に合わせて配管しなければならない。
【0005】
しかしながら、一般に気体供給管や液体供給管は剛体であるため、二流体微粒化ノズル側の気体導入路及び液体導入路に正確に合わせるのは難しい。特に、二流体微粒化ノズルを密閉された空間や狭い場所に設置する場合にはなおさらである。例えばパイプライン中に二流体微粒化ノズルを設置する場合、気体供給管および液体供給管はパイプを貫通させる必要がある。この貫通部分は耐圧・気密性を持たせる必要があるため、例えばパイプ貫通面で溶接する。この溶接部から二流体微粒化ノズルまでの距離は通常短く、溶接部で拘束されている気体供給管および液体供給管の自由度はほとんど無いといってよい。このため、気体供給管および液体供給管の先端を二流体微粒化ノズル側の気体導入路及び液体導入路のそれぞれの接続部に合わせるのは非常に困難なものとなる。
そのため、液体配管又は気体配管のいずれか一方に自由度を持たせる、すなわちフレキシブルな構造にして配管することが行われる。しかし、フレキシブルな構造、例えば蛇腹のような構造にした場合には、圧損が大きくなるし、また振動しやすいために振動防止の対策を別途施す必要がある。
【0006】
本発明はかかる従来例の有する課題を解決するためになされたものであり、密閉された空間や狭い場所に設置する場合においても外部からの気体配管や液体配管の接続を容易に行うことができる流体微粒化装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の二流体微粒化ノズルにおいては、一つの剛体であるノズルに二本の配管、すなわち液体配管と気体配管を直接連結するというものであった。ノズル内部には気体流路と液体流路が予め設けられており、各流路の入口側の位置も固定化され、それ故に固定化された位置に気体配管と液体配管を正確に接続しなければならないものであった。
そこで、発明者は、ノズル部と、気体配管もしくは液体配管の少なくとも一方を空間を介して相対するように設置する非結合配管とし、さらにノズル部と非結合配管を設置した時にその相対位置が決まるようにすることで、ノズル部とそれに接続する配管の自由度が増し、配管が容易になると考えた。
本発明は係る考えに基づくものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
【0008】
(1)本発明に係る流体微粒化装置は、気体と液体の供給を受け、前記液体を前記気体によって微粒化する流体微粒化装置であって、供給された気体と液体が接触して液体が微粒化されるノズル部と、該ノズル部の液体供給部に液体を供給する液体供給管と、前記ノズル部の気体供給部に気体を供給する気体供給管とを有し、前記気体供給管もしくは液体供給管の少なくとも一方は前記ノズル部と間隙を介して相対するように設置されていることを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記ノズル部は液体供給管によって液体が供給される内筒と、該内筒を収容し、その上流端が気体供給部となる外筒とを備えた二重管構造であることを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、気体供給管は、気体を吐出する吐出部が外筒の上流端側に該上流端との間に間隙を設けて配置されると共に、該気体供給管の吐出部が縮径しており、縮径した吐出部が前記外筒の上流端内に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の流体微粒化装置は、供給された気体と液体が接触して液体が微粒化されるノズル部と、該ノズル部の液体供給部に液体を供給する液体供給管と、前記ノズル部の気体供給部に気体を供給する気体供給管とを有し、前記気体供給管もしくは液体供給管の少なくとも一方は前記ノズル部と間隙を介して相対するように設置されているようにしたので、気体供給管又は液体配管のうちのノズル部と間隙を設けて配置される側の配管は間隙があることで位置ずれが許容され、それ故に配管時における厳格な位置合わせの必要がなく、配管作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る流体微粒化装置の説明図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る流体微粒化装置の説明図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る流体微粒化装置の説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る流体微粒化装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る流体微粒化装置1は、外筒3の内部に内筒5を有する二重管構造のノズル部7と、内筒5に液体を供給する液体供給管9と、外筒3に気体を供給する気体供給管11とを有している。
以下詳細に説明する。
【0014】
<ノズル部7>
ノズル部7は、外筒3と内筒5との二重管構造になっており、内筒5の外面と外筒3の内面との間は所定の隙間が形成されている。この隙間は上流側からの気体が流れるリング状流路15となる。
内筒5には、内筒5の内壁に形成された供給口17に液体を供給する液体供給部7aが設けられ、液体供給部7aに液体供給管9の先端が接続されている。
外筒3における上流端側すなわち気体供給管11が配置される側は気体供給部7bとなっている。
なお、ノズル部7は主流管21などにステーを取るなどして支持するようにすればよい。
【0015】
<液体供給管9>
液体供給管9は、液体供給部7aに接続されて液体供給部7aに液体を供給する。液体供給管9は、液体供給部7aに固定されていてもよいし、着脱可能に取り付けられるものでもよい。
【0016】
<気体供給管11>
気体供給管11は、ノズル部7の上流側に配置されて気体供給部7bに気体を供給するものである。気体供給管11における気体の吐出部19は気体供給部7bとの間に間隙13を設けるように配置されている。
本実施の形態の気体供給管11の吐出部19は縮径しており、前記外筒3より小口径の吐出部19が気体供給部7bである外筒3基端部に概略同軸状に相対するように配置されている。吐出部19を縮径することで、吐出部19から吐出される気体が高速かつ低圧になることによって周囲から流体を吸引する作用を生じるエジェクタ効果によって供給される気体およびノズル部7の内部の流体が間隙13から主流管21側に漏れるのを防止する効果がある。
【0017】
上記のように構成された流体微粒化装置1の設置の際の手順の一例を、流体微粒化装置1を気体が流れる主流管21内に設置する場合を例に挙げて説明する。
主流管21内に液体供給管9と気体供給管11をそれぞれ所定の位置に設置する。この状態でノズル部7を設置するが、上記構成の流体微粒化装置1の場合、ノズル部7の液体供給部7aを液体供給管9先端に接続する。この際、気体供給管11の吐出部19とノズル部7の気体供給部7bである外筒3基端部は、間隙13を介して相対する位置に開口する非結合流路を形成することになる。すなわち気体供給管11は非結合配管となる。間隙13により、気体供給管11の吐出部19と気体供給部7bの配置について多少のずれが許容される。そのため、厳格な位置合わせの必要がなく、各構成機器、すなわち、ノズル部7、気体供給管11、および液体供給管9の設置が容易に行える。
このように各構成機器を所定位置に設置することで非結合流路の相対位置が決まり、流体微粒化装置1が完成状態になる。
この状態で、主流管21の外部において、液体供給管9に液体配管23、気体供給管11に気体配管25をそれぞれ接続すればよい。
【0018】
次に、上記のように主流管21内に設置された流体微粒化装置1の作用を説明する。
液体供給管9から液体供給部7aを介して内筒5に供給された液体は、上流側から供給される気体によって管状噴霧流となって内筒5内の壁面に液膜を形成しながら流れる。内筒5の外周側にもリング状流路15が形成されており、このリング状流路15にも気体が流れている。内筒5の出口側において、内筒5内壁面に形成されている液膜は、内筒5の管軸方向に液膜状態を保ったまま噴出する。その液膜の内側には内筒5内を流れてきた気体流れが存在し、液膜の外側にはリング状流路15を流れてきた気体流れが存在する。すなわち、液膜はこれらの気体流れで挟まれる状況となり、液膜は微細な液滴に微粒化されることになる。
【0019】
以上のように、本実施の形態の流体微粒化装置1においては、気体供給管11の吐出部19とノズル部7の気体供給部7bである外筒3の基端部を、間隙13を介して配置するようにしたので、この間隙13により、気体供給管11の吐出部19と気体供給部7bの配置について多少のずれが許容され、厳格な位置合わせの必要がなく、各構成機器、すなわち、ノズル部7、気体供給管11、および液体供給管9の設置が容易に行える。
【0020】
[実施の形態2]
本実施の形態2を図2に基づいて説明する。図2において、図1と同一部分には同一の符号が付してある。
本実施の形態の流体微粒化装置31は、ノズル部7を実施の形態1と同様の外筒3と内筒5を備えた二重管構造にすると共に、内筒5側の液体供給部7aの受給口35に液体供給管9の先端部を、間隙37を介して配置したものである。
なお、気体供給管11とノズル部7の気体供給部7bとは間隙を設けることなく連結されている。気体供給管11は、気体供給部7bに固定されていてもよいし、着脱可能に取り付けられるものでもよい。
【0021】
本実施の形態の流体微粒化装置31においては、液体供給部7aの受給口35に液体供給管9を、間隙37を設けた状態で設置すればよく、配管時における厳格な位置合わせの必要がなく、ノズル部7、液体供給管9及び気体供給管11の設置が容易に行える。
なお、この場合も液体供給管9の先端部を縮径してエジェクタ効果をもたせることも可能である。
【0022】
[実施の形態3]
本実施の形態3を図3に基づいて説明する。図3において、図2と同一部分には同一の符号が付してある。
本実施の形態の流体微粒化装置41は、ノズル部7を実施の形態1と同様の外筒3と内筒5を備えた二重管構造にすると共に、気体供給管11と気体供給部7bとの間に間隙13を介して配置し、実施の形態2と同様に、液体供給部7aの受給口35に液体供給管9の先端部を、間隙37を介して配置したものである。
【0023】
本実施の形態の流体微粒化装置においては、実施の形態1、2で説明したように、各構成機器、すなわち、ノズル部7、気体供給管11、および液体供給管9の設置が容易に行える。
【0024】
[実施の形態4]
本実施の形態4を図4に基づいて説明する。図4において、図1と同一部分には同一の符号が付してある。
本実施の形態の流体微粒化装置51は、ノズル部53を二重管構造ではなく、単管55によって構成し、単管55に液体供給部53aを設けると共に単管55の上流端側を気体供給部53bとしたものである。そして、気体供給管11は、実施の形態1と同様に、気体の吐出部19を気体供給部53bとの間に間隙13を設けて配置したものである。
【0025】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、各構成機器、すなわち、ノズル部53、気体供給管11、および液体供給管9の設置が容易に行える。
【符号の説明】
【0026】
1 流体微粒化装置
3 外筒
5 内筒
7 ノズル部
7a 液体供給部
7b 気体供給部
9 液体供給管
11 気体供給管
13 間隙
15 リング状流路
17 供給口
19 吐出部
21 主流管
23 液体配管
25 気体配管
31 流体微粒化装置
35 受給口
37 間隙
41 流体微粒化装置
51 流体微粒化装置
53 ノズル部
53a 液体供給部
53b 気体供給部
55 単管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と液体の供給を受け、前記液体を前記気体によって微粒化する流体微粒化装置であって、
供給された気体と液体が接触して液体が微粒化されるノズル部と、該ノズル部の液体供給部に液体を供給する液体供給管と、前記ノズル部の気体供給部に気体を供給する気体供給管とを有し、
前記気体供給管もしくは液体供給管の少なくとも一方は前記ノズル部と間隙を介して相対するように設置されていることを特徴とする流体微粒化装置。
【請求項2】
前記ノズル部は液体供給管によって液体が供給される内筒と、該内筒を収容し、その上流端が気体供給部となる外筒とを備えた二重管構造であることを特徴とする請求項1記載の流体微粒化装置。
【請求項3】
気体供給管は、気体を吐出する吐出部が外筒の上流端側に該上流端との間に間隙を設けて配置されると共に、該気体供給管の吐出部が縮径しており、縮径した吐出部が前記外筒の上流端内に配置されていることを特徴とする請求項2記載の流体微粒化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−206072(P2012−206072A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75528(P2011−75528)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】