流体渦キャビテーション発生デバイス及び方法
一つ又はそれ以上の液体、ガス又は固体を混合及び/又は反応させるデバイスが提供される。デバイスは、周縁オリフィスの手段によって流体が流入しキャビテーション泡を形成する少なくとも一つのキャビティを有する。キャビティは、閉位置と開位置との間を交互に繰り返す。閉位置では、流体の圧力が上昇すると、キャビテーション泡が破壊される。開位置では、流体がキャビティから流出する。また、流体を混合及び/又は反応させる方法が提供される。また、この方法による混合生成物及び/又は反応生成物が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中のキャビテーション泡の破壊と形成を制御できるデバイス及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャビテーションは、液体中の空洞と泡の形成に関係するものである。泡の形成は、液体の局所的な圧力降下を生じさせ得るものである。例えば、液体の局所的な圧力がその沸点以下に下降すると、蒸気で満たされた空洞及び泡が形成される。その後圧力が上昇すると、泡で蒸気が凝集し、泡が破壊して、高圧衝撃波が発生し高温となる。物質の混合処理にキャビテーションが利用され、この処理は、高せん断混合処理と呼称されることがある。
【0003】
液体中にキャビテーション泡を発生させることのできる方法が幾つかある。一つの方法は、液体中で、又は液体を通じて、プロペラのブレードを回転させるものである。ブレードの表面で十分な圧力降下が生じると、キャビテーション泡が発生する。他の方法は、オリフィス板のような絞り穴を通じて流体を移動させるものである。このオリフィスを通じて十分な圧力降下が生じると、キャビテーション泡が発生する。キャビテーション泡は、超音波を利用しても発生させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャビテーション泡の破壊により生じる衝撃波と高温は、様々な混合処理、乳化処理、均質化処理及び分散処理に利用され、また様々な化学的な反応を開始させたり、化学的な反応を容易にさせるためにも利用されている。しかし、液体中にキャビテーションを発生できるように設計したデバイス及び方法では、キャビテーション泡の形成のレート、キャビテーション泡の破壊のレート、及びキャビテーション泡が形成される場所のうちのいずれかを十分に制御できない。例えば、化学的な反応においてキャビテーションが制御できない場合、圧力及び/又は熱が、化学的な反応又は生成物にダメージを与えかねない。また、キャビテーションデバイスの壁に沿ったキャビテーション泡の形成がこの壁を短時間で侵食させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流体中のキャビテーション泡の形成と破壊を制御できるデバイス及び方法を提供するものである。本発明のデバイス及び方法は、キャビティに流体を流入させてキャビテーション泡を形成するものである。このキャビティ内で渦も形成され得る。一般に、キャビティは、少なくとも二つの位置の間を交互に繰り返す。一方の位置(“閉位置”という)では、キャビティの圧力が上昇し、キャビティのキャビテーション泡が破壊される。他方の位置(“開位置”という)では、少なくとも幾らかの流体がキャビティから流出する。
【発明の効果】
【0006】
流体のキャビテーション泡の破壊と形成を制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付図面に、以下で詳細に説明する本発明のデバイス及び方法の実施例を示す。図面は、好適実施例及び変形例を示すことを目的とするものであり、本発明をこれらに限定するものではない。
【0008】
また、添付図面では、同様の部品又は構成成分を同じ符号で示す。また、一部の部品又は構成成分を利便的に強調して示す。
【0009】
図1に、混合デバイス100の一つの実施例の斜視図を示す。混合デバイス100は、ハウジング101、及びハウジング101に形成したキャビティ102を含む。図示の実施例では、キャビティ102の形状は円筒形であるが、他の形状であってもよい。キャビティ102は、少なくとも一つの壁104により形成されるが、一つ以上の壁104であってもよい。一般に、キャビティの壁104は、キャビティ102の形状を定めるものである。
【0010】
一つの実施例では、キャビティ102が混合デバイス100の外部105と連通する少なくとも二つの開口を有する周縁(又はタンジェンシャル)開路(周縁オリフィス又は周縁流路ともいう)106を有する。周縁開路106は、図1に示すように、混合デバイス100内に形成される。周縁開路は、第一の端部108、及び第二の端部110を有し、流体は、第一の端部108を通じ、次に第二の端部110を通じてキャビティ102内に流入する。
【0011】
一般に、周縁開路106の第一の端部108から流体が流入し、周縁開路106の第二の端部110からキャビティ102内に流体が流入するように力が生じる。一つの実施例では、流体は、ポンプにより周縁開路106を通じてキャビティ102に送られる。例えば、機械的なポンプがこのような力を与え得る。他の実施例では、混合デバイス100を移動させることにより、流体を周縁開路106内へ送り込むための力を発生させることができる。例えば、流体を周縁開路106内に送り込むことができる遠心力を生じさせるように混合デバイス100を回転させることができる。
【0012】
図1に示す例では、周縁開路106の形状は円筒形であるが、他の形状とすることも可能であることは明らかである。周縁開路106の幅(周縁開路106の形状が円筒形であるときは直径)は、周縁開路106を通過してキャビティ102内に流体が流入した後にキャビテーション泡を形成できるように設定される。一つの例では、周縁開路106の幅の寸法は、キャビテーション泡が形成されるように、周縁開路106を通じてキャビティ102内へ流体が流れている間、幾つかの地点において流体の圧力が降下するように設定される。周縁開路106がキャビティ102に入り込む地点又はその付近(例えば、周縁開路106の第二の端部110、又はその付近)で圧力が降下し得る。
【0013】
キャビティ102は、第二の開口すなわち流出口112を通じて混合デバイス100の外部105に連通する。一つの実施例では、流出口112は、周縁開路106を通じてキャビティ102内に流入した流体をキャビティ102から流出させる開口である。図1に示す実施例では、流出口112は、円筒形のキャビティ102の開口端部である。
【0014】
図2は、図1の平行線AA及びBBで形成される平面に沿った混合デバイス100の実施例の断面図である。キャビティ102は、混合デバイス100のハウジング101内の円形の開口エリアである。円筒形のキャビティ102は、一つの壁104で形成されている。また、キャビティ102と混合デバイス100の外部105との間を連通する周縁開路106の断面も図示する。混合デバイス100の外部105から周縁開路106内に向いた矢印で示すように、流体は、周縁開路106の第一の端部108から流入し、周縁開路106の第二の端部110を通じ、キャビティ102内へ流入する。キャビテーション泡200(一般に、周縁開路106を通じ、キャビティ102内に流入した流体によって形成される)を不規則な円形状でキャビティ102内に示す。キャビテーション泡は、また、キャビティ102内に、周縁開路106の圧力と比較してより低い圧力が存在すると形成され得る。
【0015】
流体がキャビティ102に流入する位置及び方向は、それぞれ、一般に、周縁開路106がキャビティ102の壁104と交差する位置、及び周縁開路106がキャビティ104と交差する角度によって与えられるものである。周縁開路106とキャビティ102とが交差する位置及び角度は、キャビティ102内に流体の渦が形成されるように与えられ得る。この流体の渦は、一般に、キャビティ102内にキャビテーション泡200を形成させるためのものであり得る。一つの実施例では、周縁開路106は、キャビテーション泡200がキャビティ102の一つ又はそれ以上の壁104と全く接触しないか又は極少しだけしか接触しないように、キャビティ102に設けられる。キャビティの壁104へのキャビテーション泡200のこのような非接触又は極微小接触は、キャビテーション泡200によるキャビティ102の壁104の侵食を極小にする。
【0016】
一つの実施例では、周縁開路106は、周縁開路106がキャビティ102と交差する地点においてキャビティ102の壁104と実質的に平行となるように設けられる。図示の矢印は、キャビティ102内の渦の方向を示すものである。キャビテーション泡200は、キャビティ102の壁104から離れたところに位置するように図に示されている。他の実施例では、周縁開路106は、開口が径方向でなければ、キャビティの長手方向の軸線の近くに設けることができる。
【0017】
流体がキャビティ102に流入すると、流体は流出口112を通じて流出する。混合デバイス100では、キャビティ102の流出口112は、次に、(a)ブロック又は部分的にブロックされ、流出口112を通じる流体の流れが抑制又は部分的に抑制され(つまり、閉位置)、(b)アンブロック(unblock)又は部分的にアンブロックされ、流出口112を通じキャビティ102の外部へ流体が流出又は部分的に流出される(つまり、開位置)。
【0018】
キャビティ102の流出口112のブロックとアンブロックは様々な方法でなされ得る。例えば、面が、キャビティ102の流出口112に対面するように位置決めされ(つまり、閉位置)、流出口112をブロック又は部分的にブロックし得る。この面は、キャビティ102の流出口112から離れて位置決めされ(つまり、開位置)、流出口112をアンブロック又は部分的にアンブロックする。一つの例では、このような面は、“可動面”300である。可動面300が異なる実施例を有し得る。一つの実施例では、可動面300は、可動部材又はディスクのそれ自体又は一部分であり得る。
【0019】
他の実施例では、混合デバイス100は、一方の位置で、キャビティ102の流出口112が面と対面するように位置決めされ、キャビティ102の閉位置が与えられ、他方の位置で、キャビティ102の流出口112が面から離れて位置決めされ、キャビティ102の開位置が与えられるように、移動が可能となっている。より詳しく後述するように、移動可能な混合デバイス100の一つの実施例は、ローターである。また、より詳しく後述するように、キャビティ102の開位置及び閉位置を与える面は、ステーターによって与えられ得る。
【0020】
図3Aは、キャビティ102が開位置にあるように可動面300を位置決めした図1の混合デバイス100の斜視図である。この特定的な実施例では、可動面は平面のように図示されている。他の実施例では、可動面300は、様々な他の形状のものであり得る。図示のように、可動面300は、キャビティ102内の流体が流出口112を通じてキャビティ102の外部へ流出又は部分的に流出できるように流出口112から離れるように位置決めされる。
【0021】
図3Bは、キャビティ102が閉位置にあるように可動面300を位置決めした図1の混合デバイス100の斜視図である。図示のように、可動面300は、キャビティ102内の流体の流出口112を通じるキャビティ102の外部への流出が抑制又は部分的に抑制されるように流出口112と実質的に対面するように位置決めされる。
【0022】
キャビティ102の開位置と閉位置を与えるキャビティ102の流出口の間欠的なブロックとアンブロックは、それぞれ、キャビテーション泡200の形成と破壊の連続的なサイクルにより、混合デバイス100に、高せん断流体混合処理を与える。一つの実施例では、キャビテーション泡200は、キャビティ102が開位置にあるときに発生する。そして、閉位置において、キャビティ102の圧力が上昇し、キャビティ102内のキャビテーション泡200が破壊される。一般に、キャビティ102の流出口112と、流出口112をブロックし且つキャビティ102の外部への流体の流出を抑制する面との間の空間は、キャビテーション泡200を破壊させる圧力上昇を与えるのに十分なものである。一般に、このような空間は、流体の圧力を、少なくとも1.4psi(ポンド/平方インチ)又は処理される流体の少なくとも飽和蒸気圧力以上に上昇させるものである。これに続くキャビティ102の流出口112のアンブロックは、流体の圧力を降下させ、キャビテーション泡200を形成させるものである。このようなキャビテーション泡の形成と破壊の一つのサイクルを図4A及び図4Bに示す。
【0023】
図4Aは、開位置におけるキャビティ102の一つの実施例の断面図である。キャビティ102に加えて、キャビティ102の壁104及び混合デバイス100の周囲の固体部分101を図示する。周縁開路106の第二の端部110は、キャビティ102の壁104とほぼ平行にキャビティ102内に入り込むように図に示される。キャビテーション泡200は、キャビティ102の壁104からほぼ離れたところに位置するように、キャビティ102内に示されている。キャビティ102内の渦の方向を矢印で示す。また、キャビティ102の流出口112と流出口112に対面して位置決めした面400とを示す。面400は、流出口112を通じてキャビティ102の外部へ流体を流出又は部分的に流出させるために設けた切欠又はリセス402を有する。図示の実施例では、リセス402は、図面に垂直な方向に流れる流体のチャネルを与えるものである。
【0024】
図4Bは、閉位置におけるキャビティ102の一つの実施例の断面図である。図4Bは、図4Aと同様に面400がキャビティ102の流出口112に対面するように位置決めされ、図4Aに類似するものであるが、リセス402を有していない点で図4Aと異なる。図示のように位置決めされると、面400は、流出口112を通じるキャビティ102の外部への流体の流れが抑制又は部分的に抑制される。キャビティ102の外部への流れの抑制又は部分的な抑制は、キャビティ102内の流体の圧力を上昇させる。この圧力の上昇は、キャビティ102内のキャビテーション泡200の全て又は幾つかを破壊又は部分的に破壊させる。破壊されたキャビテーション泡404を図4Bに示す。
【0025】
混合デバイス100の作動中、流体が周縁開路106を通じてキャビティ102に流入するように流体に力(一般に、連続的な力)が作用している。一つの例では、このような力は、ポンプにより与えられる。この力により流体がキャビティ102内に向けられると、キャビティは、開位置と閉位置とを交互に繰り返す。この交互繰返しの際に、i)キャビティ102にキャビテーション泡200が形成され、ii)キャビティの流体の圧力を上昇させ、iii)キャビテーション泡200が破壊され、iv)流体をキャビティ102の外部に流出させる、というサイクルが連続する。
【0026】
上述のように、混合デバイス100の連続サイクルによって生じる高せん断混合処理は、制御又は規制できるものである。一般に、混合処理の制御又は規制は、キャビテーション泡200の形成とキャビテーション泡200の破壊のいすれか一方又は両方を制御することによるものである。キャビテーション泡200の形成及び/又は破壊は、多くのファクター(factor)により制御できるものである。例えば、キャビティ102に流入する流体のレート、周縁開路106の幅又は直径、キャビティ102の体積、キャビティ102の閉位置と開位置の時間、及び他の同様のファクターがある。
【0027】
他の実施例では、一つ又はそれ以上の混合デバイスが単一の第一のデバイスの一部である。一つの実施例では、第一のデバイスは、回転軸に関して回転するローターである。一つの実施例では、ローターは、第二のデバイスに対面するように位置決めされる。一つの実施例では、第二のデバイスは、ステーターである。ローターがステーターに対面するように位置決めされると、キャビティの流出口が、ステーターの一部である一つ又はそれ以上の面にほぼ近接する。ローターがその回転軸に関して回転すると、流出口が、ステーターの一つ又はそれ以上の面に近接して、交互にブロック及びアンブロックされる。
【0028】
他の実施例では、一つ又はそれ以上の混合デバイスを含む単一の第一のデバイスは回転しない。一つの実施例では、第一のデバイスは、第二のデバイスに対面するように位置決めされる。この実施例では、第二のデバイスが回転可能であり、第二のデバイスが回転すると、第二のデバイスが、第一のデバイスの一部であるキャビティの流出口を交互にブロック及びアンブロックする。
【0029】
その他の実施例では、一つ又はそれ以上の混合デバイスを含む単一のデバイスと、これと対面するように位置決めした第二のデバイスとが両方とも回転可能である。両方のデバイスが回転すると、第一のデバイスのキャビティ102の流出口が交互にブロック及びアンブロックされ、キャビティの閉位置と開位置が与えられる。
【0030】
図5は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローター500の一つの実施例の斜視図である。この実施例では、ローター500は、ベース部分502を有する。ベース部分502は、図示のような円形のディスクの形状にあるか、又は他の形状であってもよい。周囲部分(又は、突出し環状部分)504が、ローター500のベース部分502から突き出している。この周囲部分504は、リング状であり、周囲部分504の内部に内面506を有する。周囲部分504の内面506とベース部分502とによって形成されるエリアが入口空間508である。図示の実施例では、入口空間508の形状は、後述するように、ローターの回転軸と実質的に一直線上にある軸を有する円筒形である。一つの実施例では、流体は、まず、入口空間508を通じてローター500に流入する。
【0031】
シャフト510が、ベース部分502の背面に取り付けられている。シャフト510は、ローター500の回転を容易にできるように設計されている。ローター500は、その中心を通じ、シャフト510の長さ方向に沿った長手方向の直線によって定められる軸に関して回転できる。この軸がローター500の回転軸である。
【0032】
複数のキャビティ512が、ローター500の周囲部分504に設けられている。図5に示す実施例では、キャビティ512の形状はほぼ円筒形であり、この円筒形のキャビティ102はローターの回転軸と平行又は実質的に平行な軸を有する。ここで、キャビティは他の形状であってもよいことは理解できることである。一つの実施例では、円筒形のキャビティ512の軸は、ローター500の回転軸から間隔があけられている。
【0033】
一つの実施例では、周囲部分504は、内面506と各々のキャビティ512との間に伸長する複数の周縁オリフィス514を含む。
【0034】
図5に示す実施例では、各々の周縁オリフィス514は、ローター500の周囲部分504の内面506から各々のキャビティ512に身長し、ローター500の回転軸と実質的に垂直な軸を有する。各々の周縁オリフィス514は、入口空間508と各々のキャビティ512との間を連通する。
【0035】
一つの実施例では、入口空間508でローター500に流入する流体は、周縁オリフィス514へ向けられ、次にキャビティ512内に向けられる。一般に、周縁オリフィス514内に流体を流入させる力は、ローター500の回転軸に関してローター500を回転させることにより生じる遠心力である。
【0036】
一つの実施例では、各々のキャビティ512は、キャビティ512から流体を流出できる開口516を含む。
【0037】
図6は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローター600の他の実施例の斜視図である。図示の実施例では、ローター600が回転すると、流体が入口空間508から周縁オリフィス514に向けられるように、一連の羽根602が、キャビティ512の底壁604に設けられている。
【0038】
図7は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるステーター700の一つの実施例の斜視図である。上述のように、ステーター700は、ローターに対面するように位置決めしたときに各々のキャビティ512からそれらの流出口516を通じて流出する流体の流れをブロック又は抑制し、変形的に、流出口516を通じてキャビティ512の外部に流出する流体の流れをブロック又は抑制しない面を含む。図示の実施例では、ステーター700は、不連続な表面を与える一連の交互に繰り返すタブ702とリセス704を有する。不連続な表面は、回転するローターに対面するように位置決めされると、上述のように、キャビティ512の流出口516のブロックとアンブロックとを交互に行う。このようなブロックとアンブロックを行うステーター700の他の形状が、明らかに可能である。
【0039】
図8及び図9は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイス800の実施例の分解斜視図である。図示の実施例では、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイス800は、ローター500とステーター700とを含むことができる。図8及び図8は、ステーター700に関するローター500の配列を示す。ローター500とステーター700が相互に近づくと、ステーター700の整列リング802がローター500の入口空間508内に係合し、ローター500とステーター700が相互に正確に位置される。ステーター700のタブ702とリセス(又は、切欠)704は、ローター500のキャビティ512の流出口516の近くにある。このように位置決めされると、ローター500とステーター700は、相互に“対面するように”位置決めされたといえる。
【0040】
作動中、流体は、図9に示すように、入口804を通じてデバイス800内に流入する。次に、流体は、ローター500の入口空間508に流入する。一つの実施例では、ローター500は、その回転軸に関して回転する。この回転により遠心力が流体に作用し、流体が、ローター500の内面506に向けて移動し、ローター500の周縁開路514内に流入する。次に、流体は、周縁開路514を通じてキャビティ512内に流入する。流体が周縁開路514を通じてキャビティ512内に流入すると、キャビテーション泡が流体中に形成される。ローター500の回転により、キャビティ512は、タブ702と切欠704とからなるステーター700の不連続な表面とキャビティ512の流出口516との整列に基づいて、開位置と閉位置との間を交互に繰り返す。キャビティ512の開位置と閉位置との間の交互繰返しについては、より詳しく後述する。
【0041】
図10Aは、ステーター700に関して開位置にあるローター500の複数のキャビティ512の一つの実施例の断面図である。ローター500の一部であるキャビティ512、周縁開路514及び流出口516を図示する。また、ステーター700の一部であるタブ702及び切欠704を図示する。図4Aに関連して説明したのと同様に、キャビテーション泡1004をキャビティ512内に示し、周縁開路514を通じてキャビティ512内に流入した流体により生じたキャビテーション泡1004は、キャビティ512の壁1006から離れて位置する。キャビティ512内には、渦が形成され得る。キャビティ512内の渦の方向は、キャビティ512内に矢印で示す。また、キャビティ512の流出口516、及び流出口516に対面するように位置決めされた切欠704も示す。切欠704は流出口516と整列している。切欠704は、流出口516を通じキャビティ512の外部へ流体を流出又は部分的に流出させるものである。
【0042】
図10Bは、閉位置にあるローター500の複数のキャビティ512の一つの実施例の断面図である。図10Bでは、図10Aと比較して、ローター500は、キャビティ512が閉位置にあるように、ステーター700に関して回転されたところを示す。図示のように、タブ702は、流出口516に対面するように位置決めされる。タブ702は、流出口516と整列し、流出口516を通じキャビティ512の外部へ流れる流体を抑制又は部分的に抑制する。キャビティ512の外部へ流れる流体の抑制又は部分的な抑制は、キャビティ512内の流体の圧力を上昇させる。この圧力の上昇は、キャビティ512内のキャビテーション泡1004の全部又は幾つかを破壊又は部分的に破壊する。破壊されたキャビテーション泡1008を図Bに示している。
【0043】
ステーター700に関するローター500の連続的な回転は、キャビテーション泡1004を一定又はほぼ一定に発生させ、これらを破壊し、キャビティ512から流出させる。キャビテーション泡1004の破壊のレートと同様に、キャビテーション泡1004の形成のレートを制御できる。例えば、キャビテーションプロセスは、ローター500の回転のレートを変えることにより制御できる。また、ローター500の回転をより高速にすると、キャビテーション泡1004の形成のレート、破壊のレート、又は形成及び破壊のレートが高くなり、圧力及び/又は温度がより高くなる。対照的に、ローター500の回転をより低くすると、キャビテーション泡1004の形成のレート、破壊のレート、又は形成及び破壊のレートが低くなり、圧力及び/又は温度がより低くなる。
【0044】
一般に、ローター500の回転レートは、発生する遠心力の大きさを制御でき、また流体が入口空間508に流入するレート、流体が周縁開路514に流入するレート、キャビティ512の圧力などを含む様々なファクターを制御し得るものである。
【0045】
付加的に、キャビテーションプロセスは、ローター500及び/又はステーター700の寸法、ステーター700に関するローター500の位置などによって制御し得る。例えば、ステーター700に関してローター500の直径を変えると、キャビテーションの程度を変えることができる。他の例では、周縁開路514の第一の端部(内面506に隣接する)とローター500の回転軸との間の距離を大きくすると、キャビテーションプロセスにより生成される圧力及び/又は温度を上昇させることができる。同様に、周縁開路514の第二の端部(周縁開路514に隣接する)とローター500の回転軸との間の距離を大きくしても、キャビテーションプロセスにより生成される圧力及び/又は温度を上昇させることができる。
【0046】
上記した様々なファクターを変化させてキャビテーションを制御できるので、特定の応用に対して利点的な圧力及び/又は温度でキャビテーションプロセスを行うことができる。
【0047】
図11は、混合デバイス1100の一つの実施例の縦断面図である。図示の実施例では、混合デバイス1100は、ローター500、ステーター700及びハウジング1102を含む。図示の実施例では、ステーター700は、ステーター700の取付穴1112を通じて位置されるスクリュー1104を使用してハウジング1102に取り付けられる。混合デバイス1100のこの実施例では、ローター500とステーター700がハウジング1100内に配置される。他の実施例では、ステーター700は、ハウジングと一体であり得る。
【0048】
図11は、相互に対面するように位置決めしたローター500とステーター700を示す。図示の実施例では、ハウジング1100は、シャフト挿通口1106を有し、このシャフト挿通口1106を通じて、ローター500のシャフト510が挿入されている。これにより、混合デバイス1100にローター500を正確に位置決めできる。また、ハウジング1100は、ベアリング1108を有し、シャフト510によるローター500の回転を容易にしている。図示の例では、出口1110がハウジング1102に設けられている。この出口1110は、混合デバイス1100から流体を流出させるためのものである。
【0049】
作動中、流体は、ステーター700の入口804を通じて混合デバイス1100に流入する。このデバイスは、図9及び図10に関連して説明したように機能する。図10Aに関連して説明したように、流体が流出口516を通じて流出すると、流体は出口1110を通じて混合デバイス1100から流出する。
【0050】
図12は、図11のAA線に沿った混合デバイス1100の横断面図である。図12は、ハウジング1100内に組み込んだローター500を示すものである。出口1110が図示されている。また、入口空間508とキャビティ512との間を連通する周縁開路514も図示されている。
【0051】
図13は、図11のBB線に沿った混合デバイス1100の横断面図である。ステーター700の断面を示す。タブ702、切欠704、入口穴804及び整列リング802が図示されている。
【0052】
変形例では、キャビティは、ステーター700に設けられ、ローター500は、キャビティの開閉を行うメカニズムとポンプ機能を有するものとなる。
【0053】
他の実施例は、流体にキャビテーション泡を発生させる方法である。一つの実施例では、流体を一つ又はそれ以上のキャビティに流入して、キャビティ内にキャビテーション泡を形成する。キャビティへの流体の流入により、上述したように、キャビティ内に渦が形成される。一般に、渦は、キャビテーション泡の形成に寄与する。渦は、キャビテーション泡の形成に十分なだけの流体の圧力降下に寄与し得る。一般に、この圧力降下は、渦の中心又はその付近、又は渦の“コア領域”に存在し、その場所にキャビテーション泡を容易に形成できる。流体の圧力を上昇させて、一つ又はそれ以上のキャビティを閉じることによってキャビテーション泡を破壊する方法を付加的に与える。また、一つ又はそれ以上のキャビティから流体を流出できるように一つ又はそれ以上のキャビティを開ける方法も与えられ得る。
【0054】
他の実施例は、上記の方法によって作られる生成物である。一般に、生成物は、一つ又はそれ以上の液体、ガス又は固体の混合物であり得る。また、生成物は、一つ又はそれ以上の液体、ガス又は固体の反応生成物であり得る。
【0055】
以上において、好適な実施例及び選択的な変形例について説明した。変更物及び変形物が上記の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。上記した実施例は全てのこのような変形物及び変更物を含むように解釈され、これらは添付の特許請求の範囲の範囲内にあることを意図とする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、混合デバイスの一つの実施例の斜視図である。
【図2】図2は、図1の平行線AA及びBBで形成される平面に沿った断面図である。
【図3】図3Aは、キャビティが開位置にあるように可動面を位置決めした図1の混合デバイスの斜視図であり、図3Bは、キャビティが閉位置にあるように可動面を位置決めした図1の混合デバイスの斜視図である。
【図4】図4Aは、開位置におけるキャビティの一つの実施例の断面図であり、図4Bは、閉位置におけるキャビティの一つの実施例の断面図である。
【図5】図5は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローターの一つの実施例の斜視図である。
【図6】図6は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローターの他の実施例の斜視図である。
【図7】図7は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるステーターの一つの実施例の斜視図である。
【図8】図8は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスの一つの実施例の一方向からの分解斜視図である。
【図9】図9は、流体中に渦キャビテーションを発生させるための図8のデバイスの一つの実施例の他方向からの分解斜視図である。
【図10】図10Aは、開位置にある複数のキャビティの一つの実施例の断面図であり、図10Bは、閉位置にある複数のキャビティの一つの実施例の断面図である。
【図11】図11は、混合デバイスの一つの実施例の縦断面図である。
【図12】図12は、図11のAA線に沿った横断面図である。
【図13】図13は、図11のBB線に沿った横断面図である。
【符号の説明】
【0057】
100・・・混合デバイス
101・・・ハウジング
102・・・キャビティ
104・・・壁
105・・・外部
106・・・周縁開路
108・・・第一の端部
110・・・第二の端部
500・・・ローター
502・・・ベース部分
504・・・周囲部分(又は、突出し環状部分)
506・・・内面
508・・・入口空間
510・・・シャフト
512・・・キャビティ
514・・・周縁オリフィス
516・・・流出口
700・・・ステーター
702・・・タブ
704・・・リセス(又は切欠)
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中のキャビテーション泡の破壊と形成を制御できるデバイス及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャビテーションは、液体中の空洞と泡の形成に関係するものである。泡の形成は、液体の局所的な圧力降下を生じさせ得るものである。例えば、液体の局所的な圧力がその沸点以下に下降すると、蒸気で満たされた空洞及び泡が形成される。その後圧力が上昇すると、泡で蒸気が凝集し、泡が破壊して、高圧衝撃波が発生し高温となる。物質の混合処理にキャビテーションが利用され、この処理は、高せん断混合処理と呼称されることがある。
【0003】
液体中にキャビテーション泡を発生させることのできる方法が幾つかある。一つの方法は、液体中で、又は液体を通じて、プロペラのブレードを回転させるものである。ブレードの表面で十分な圧力降下が生じると、キャビテーション泡が発生する。他の方法は、オリフィス板のような絞り穴を通じて流体を移動させるものである。このオリフィスを通じて十分な圧力降下が生じると、キャビテーション泡が発生する。キャビテーション泡は、超音波を利用しても発生させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャビテーション泡の破壊により生じる衝撃波と高温は、様々な混合処理、乳化処理、均質化処理及び分散処理に利用され、また様々な化学的な反応を開始させたり、化学的な反応を容易にさせるためにも利用されている。しかし、液体中にキャビテーションを発生できるように設計したデバイス及び方法では、キャビテーション泡の形成のレート、キャビテーション泡の破壊のレート、及びキャビテーション泡が形成される場所のうちのいずれかを十分に制御できない。例えば、化学的な反応においてキャビテーションが制御できない場合、圧力及び/又は熱が、化学的な反応又は生成物にダメージを与えかねない。また、キャビテーションデバイスの壁に沿ったキャビテーション泡の形成がこの壁を短時間で侵食させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流体中のキャビテーション泡の形成と破壊を制御できるデバイス及び方法を提供するものである。本発明のデバイス及び方法は、キャビティに流体を流入させてキャビテーション泡を形成するものである。このキャビティ内で渦も形成され得る。一般に、キャビティは、少なくとも二つの位置の間を交互に繰り返す。一方の位置(“閉位置”という)では、キャビティの圧力が上昇し、キャビティのキャビテーション泡が破壊される。他方の位置(“開位置”という)では、少なくとも幾らかの流体がキャビティから流出する。
【発明の効果】
【0006】
流体のキャビテーション泡の破壊と形成を制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付図面に、以下で詳細に説明する本発明のデバイス及び方法の実施例を示す。図面は、好適実施例及び変形例を示すことを目的とするものであり、本発明をこれらに限定するものではない。
【0008】
また、添付図面では、同様の部品又は構成成分を同じ符号で示す。また、一部の部品又は構成成分を利便的に強調して示す。
【0009】
図1に、混合デバイス100の一つの実施例の斜視図を示す。混合デバイス100は、ハウジング101、及びハウジング101に形成したキャビティ102を含む。図示の実施例では、キャビティ102の形状は円筒形であるが、他の形状であってもよい。キャビティ102は、少なくとも一つの壁104により形成されるが、一つ以上の壁104であってもよい。一般に、キャビティの壁104は、キャビティ102の形状を定めるものである。
【0010】
一つの実施例では、キャビティ102が混合デバイス100の外部105と連通する少なくとも二つの開口を有する周縁(又はタンジェンシャル)開路(周縁オリフィス又は周縁流路ともいう)106を有する。周縁開路106は、図1に示すように、混合デバイス100内に形成される。周縁開路は、第一の端部108、及び第二の端部110を有し、流体は、第一の端部108を通じ、次に第二の端部110を通じてキャビティ102内に流入する。
【0011】
一般に、周縁開路106の第一の端部108から流体が流入し、周縁開路106の第二の端部110からキャビティ102内に流体が流入するように力が生じる。一つの実施例では、流体は、ポンプにより周縁開路106を通じてキャビティ102に送られる。例えば、機械的なポンプがこのような力を与え得る。他の実施例では、混合デバイス100を移動させることにより、流体を周縁開路106内へ送り込むための力を発生させることができる。例えば、流体を周縁開路106内に送り込むことができる遠心力を生じさせるように混合デバイス100を回転させることができる。
【0012】
図1に示す例では、周縁開路106の形状は円筒形であるが、他の形状とすることも可能であることは明らかである。周縁開路106の幅(周縁開路106の形状が円筒形であるときは直径)は、周縁開路106を通過してキャビティ102内に流体が流入した後にキャビテーション泡を形成できるように設定される。一つの例では、周縁開路106の幅の寸法は、キャビテーション泡が形成されるように、周縁開路106を通じてキャビティ102内へ流体が流れている間、幾つかの地点において流体の圧力が降下するように設定される。周縁開路106がキャビティ102に入り込む地点又はその付近(例えば、周縁開路106の第二の端部110、又はその付近)で圧力が降下し得る。
【0013】
キャビティ102は、第二の開口すなわち流出口112を通じて混合デバイス100の外部105に連通する。一つの実施例では、流出口112は、周縁開路106を通じてキャビティ102内に流入した流体をキャビティ102から流出させる開口である。図1に示す実施例では、流出口112は、円筒形のキャビティ102の開口端部である。
【0014】
図2は、図1の平行線AA及びBBで形成される平面に沿った混合デバイス100の実施例の断面図である。キャビティ102は、混合デバイス100のハウジング101内の円形の開口エリアである。円筒形のキャビティ102は、一つの壁104で形成されている。また、キャビティ102と混合デバイス100の外部105との間を連通する周縁開路106の断面も図示する。混合デバイス100の外部105から周縁開路106内に向いた矢印で示すように、流体は、周縁開路106の第一の端部108から流入し、周縁開路106の第二の端部110を通じ、キャビティ102内へ流入する。キャビテーション泡200(一般に、周縁開路106を通じ、キャビティ102内に流入した流体によって形成される)を不規則な円形状でキャビティ102内に示す。キャビテーション泡は、また、キャビティ102内に、周縁開路106の圧力と比較してより低い圧力が存在すると形成され得る。
【0015】
流体がキャビティ102に流入する位置及び方向は、それぞれ、一般に、周縁開路106がキャビティ102の壁104と交差する位置、及び周縁開路106がキャビティ104と交差する角度によって与えられるものである。周縁開路106とキャビティ102とが交差する位置及び角度は、キャビティ102内に流体の渦が形成されるように与えられ得る。この流体の渦は、一般に、キャビティ102内にキャビテーション泡200を形成させるためのものであり得る。一つの実施例では、周縁開路106は、キャビテーション泡200がキャビティ102の一つ又はそれ以上の壁104と全く接触しないか又は極少しだけしか接触しないように、キャビティ102に設けられる。キャビティの壁104へのキャビテーション泡200のこのような非接触又は極微小接触は、キャビテーション泡200によるキャビティ102の壁104の侵食を極小にする。
【0016】
一つの実施例では、周縁開路106は、周縁開路106がキャビティ102と交差する地点においてキャビティ102の壁104と実質的に平行となるように設けられる。図示の矢印は、キャビティ102内の渦の方向を示すものである。キャビテーション泡200は、キャビティ102の壁104から離れたところに位置するように図に示されている。他の実施例では、周縁開路106は、開口が径方向でなければ、キャビティの長手方向の軸線の近くに設けることができる。
【0017】
流体がキャビティ102に流入すると、流体は流出口112を通じて流出する。混合デバイス100では、キャビティ102の流出口112は、次に、(a)ブロック又は部分的にブロックされ、流出口112を通じる流体の流れが抑制又は部分的に抑制され(つまり、閉位置)、(b)アンブロック(unblock)又は部分的にアンブロックされ、流出口112を通じキャビティ102の外部へ流体が流出又は部分的に流出される(つまり、開位置)。
【0018】
キャビティ102の流出口112のブロックとアンブロックは様々な方法でなされ得る。例えば、面が、キャビティ102の流出口112に対面するように位置決めされ(つまり、閉位置)、流出口112をブロック又は部分的にブロックし得る。この面は、キャビティ102の流出口112から離れて位置決めされ(つまり、開位置)、流出口112をアンブロック又は部分的にアンブロックする。一つの例では、このような面は、“可動面”300である。可動面300が異なる実施例を有し得る。一つの実施例では、可動面300は、可動部材又はディスクのそれ自体又は一部分であり得る。
【0019】
他の実施例では、混合デバイス100は、一方の位置で、キャビティ102の流出口112が面と対面するように位置決めされ、キャビティ102の閉位置が与えられ、他方の位置で、キャビティ102の流出口112が面から離れて位置決めされ、キャビティ102の開位置が与えられるように、移動が可能となっている。より詳しく後述するように、移動可能な混合デバイス100の一つの実施例は、ローターである。また、より詳しく後述するように、キャビティ102の開位置及び閉位置を与える面は、ステーターによって与えられ得る。
【0020】
図3Aは、キャビティ102が開位置にあるように可動面300を位置決めした図1の混合デバイス100の斜視図である。この特定的な実施例では、可動面は平面のように図示されている。他の実施例では、可動面300は、様々な他の形状のものであり得る。図示のように、可動面300は、キャビティ102内の流体が流出口112を通じてキャビティ102の外部へ流出又は部分的に流出できるように流出口112から離れるように位置決めされる。
【0021】
図3Bは、キャビティ102が閉位置にあるように可動面300を位置決めした図1の混合デバイス100の斜視図である。図示のように、可動面300は、キャビティ102内の流体の流出口112を通じるキャビティ102の外部への流出が抑制又は部分的に抑制されるように流出口112と実質的に対面するように位置決めされる。
【0022】
キャビティ102の開位置と閉位置を与えるキャビティ102の流出口の間欠的なブロックとアンブロックは、それぞれ、キャビテーション泡200の形成と破壊の連続的なサイクルにより、混合デバイス100に、高せん断流体混合処理を与える。一つの実施例では、キャビテーション泡200は、キャビティ102が開位置にあるときに発生する。そして、閉位置において、キャビティ102の圧力が上昇し、キャビティ102内のキャビテーション泡200が破壊される。一般に、キャビティ102の流出口112と、流出口112をブロックし且つキャビティ102の外部への流体の流出を抑制する面との間の空間は、キャビテーション泡200を破壊させる圧力上昇を与えるのに十分なものである。一般に、このような空間は、流体の圧力を、少なくとも1.4psi(ポンド/平方インチ)又は処理される流体の少なくとも飽和蒸気圧力以上に上昇させるものである。これに続くキャビティ102の流出口112のアンブロックは、流体の圧力を降下させ、キャビテーション泡200を形成させるものである。このようなキャビテーション泡の形成と破壊の一つのサイクルを図4A及び図4Bに示す。
【0023】
図4Aは、開位置におけるキャビティ102の一つの実施例の断面図である。キャビティ102に加えて、キャビティ102の壁104及び混合デバイス100の周囲の固体部分101を図示する。周縁開路106の第二の端部110は、キャビティ102の壁104とほぼ平行にキャビティ102内に入り込むように図に示される。キャビテーション泡200は、キャビティ102の壁104からほぼ離れたところに位置するように、キャビティ102内に示されている。キャビティ102内の渦の方向を矢印で示す。また、キャビティ102の流出口112と流出口112に対面して位置決めした面400とを示す。面400は、流出口112を通じてキャビティ102の外部へ流体を流出又は部分的に流出させるために設けた切欠又はリセス402を有する。図示の実施例では、リセス402は、図面に垂直な方向に流れる流体のチャネルを与えるものである。
【0024】
図4Bは、閉位置におけるキャビティ102の一つの実施例の断面図である。図4Bは、図4Aと同様に面400がキャビティ102の流出口112に対面するように位置決めされ、図4Aに類似するものであるが、リセス402を有していない点で図4Aと異なる。図示のように位置決めされると、面400は、流出口112を通じるキャビティ102の外部への流体の流れが抑制又は部分的に抑制される。キャビティ102の外部への流れの抑制又は部分的な抑制は、キャビティ102内の流体の圧力を上昇させる。この圧力の上昇は、キャビティ102内のキャビテーション泡200の全て又は幾つかを破壊又は部分的に破壊させる。破壊されたキャビテーション泡404を図4Bに示す。
【0025】
混合デバイス100の作動中、流体が周縁開路106を通じてキャビティ102に流入するように流体に力(一般に、連続的な力)が作用している。一つの例では、このような力は、ポンプにより与えられる。この力により流体がキャビティ102内に向けられると、キャビティは、開位置と閉位置とを交互に繰り返す。この交互繰返しの際に、i)キャビティ102にキャビテーション泡200が形成され、ii)キャビティの流体の圧力を上昇させ、iii)キャビテーション泡200が破壊され、iv)流体をキャビティ102の外部に流出させる、というサイクルが連続する。
【0026】
上述のように、混合デバイス100の連続サイクルによって生じる高せん断混合処理は、制御又は規制できるものである。一般に、混合処理の制御又は規制は、キャビテーション泡200の形成とキャビテーション泡200の破壊のいすれか一方又は両方を制御することによるものである。キャビテーション泡200の形成及び/又は破壊は、多くのファクター(factor)により制御できるものである。例えば、キャビティ102に流入する流体のレート、周縁開路106の幅又は直径、キャビティ102の体積、キャビティ102の閉位置と開位置の時間、及び他の同様のファクターがある。
【0027】
他の実施例では、一つ又はそれ以上の混合デバイスが単一の第一のデバイスの一部である。一つの実施例では、第一のデバイスは、回転軸に関して回転するローターである。一つの実施例では、ローターは、第二のデバイスに対面するように位置決めされる。一つの実施例では、第二のデバイスは、ステーターである。ローターがステーターに対面するように位置決めされると、キャビティの流出口が、ステーターの一部である一つ又はそれ以上の面にほぼ近接する。ローターがその回転軸に関して回転すると、流出口が、ステーターの一つ又はそれ以上の面に近接して、交互にブロック及びアンブロックされる。
【0028】
他の実施例では、一つ又はそれ以上の混合デバイスを含む単一の第一のデバイスは回転しない。一つの実施例では、第一のデバイスは、第二のデバイスに対面するように位置決めされる。この実施例では、第二のデバイスが回転可能であり、第二のデバイスが回転すると、第二のデバイスが、第一のデバイスの一部であるキャビティの流出口を交互にブロック及びアンブロックする。
【0029】
その他の実施例では、一つ又はそれ以上の混合デバイスを含む単一のデバイスと、これと対面するように位置決めした第二のデバイスとが両方とも回転可能である。両方のデバイスが回転すると、第一のデバイスのキャビティ102の流出口が交互にブロック及びアンブロックされ、キャビティの閉位置と開位置が与えられる。
【0030】
図5は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローター500の一つの実施例の斜視図である。この実施例では、ローター500は、ベース部分502を有する。ベース部分502は、図示のような円形のディスクの形状にあるか、又は他の形状であってもよい。周囲部分(又は、突出し環状部分)504が、ローター500のベース部分502から突き出している。この周囲部分504は、リング状であり、周囲部分504の内部に内面506を有する。周囲部分504の内面506とベース部分502とによって形成されるエリアが入口空間508である。図示の実施例では、入口空間508の形状は、後述するように、ローターの回転軸と実質的に一直線上にある軸を有する円筒形である。一つの実施例では、流体は、まず、入口空間508を通じてローター500に流入する。
【0031】
シャフト510が、ベース部分502の背面に取り付けられている。シャフト510は、ローター500の回転を容易にできるように設計されている。ローター500は、その中心を通じ、シャフト510の長さ方向に沿った長手方向の直線によって定められる軸に関して回転できる。この軸がローター500の回転軸である。
【0032】
複数のキャビティ512が、ローター500の周囲部分504に設けられている。図5に示す実施例では、キャビティ512の形状はほぼ円筒形であり、この円筒形のキャビティ102はローターの回転軸と平行又は実質的に平行な軸を有する。ここで、キャビティは他の形状であってもよいことは理解できることである。一つの実施例では、円筒形のキャビティ512の軸は、ローター500の回転軸から間隔があけられている。
【0033】
一つの実施例では、周囲部分504は、内面506と各々のキャビティ512との間に伸長する複数の周縁オリフィス514を含む。
【0034】
図5に示す実施例では、各々の周縁オリフィス514は、ローター500の周囲部分504の内面506から各々のキャビティ512に身長し、ローター500の回転軸と実質的に垂直な軸を有する。各々の周縁オリフィス514は、入口空間508と各々のキャビティ512との間を連通する。
【0035】
一つの実施例では、入口空間508でローター500に流入する流体は、周縁オリフィス514へ向けられ、次にキャビティ512内に向けられる。一般に、周縁オリフィス514内に流体を流入させる力は、ローター500の回転軸に関してローター500を回転させることにより生じる遠心力である。
【0036】
一つの実施例では、各々のキャビティ512は、キャビティ512から流体を流出できる開口516を含む。
【0037】
図6は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローター600の他の実施例の斜視図である。図示の実施例では、ローター600が回転すると、流体が入口空間508から周縁オリフィス514に向けられるように、一連の羽根602が、キャビティ512の底壁604に設けられている。
【0038】
図7は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるステーター700の一つの実施例の斜視図である。上述のように、ステーター700は、ローターに対面するように位置決めしたときに各々のキャビティ512からそれらの流出口516を通じて流出する流体の流れをブロック又は抑制し、変形的に、流出口516を通じてキャビティ512の外部に流出する流体の流れをブロック又は抑制しない面を含む。図示の実施例では、ステーター700は、不連続な表面を与える一連の交互に繰り返すタブ702とリセス704を有する。不連続な表面は、回転するローターに対面するように位置決めされると、上述のように、キャビティ512の流出口516のブロックとアンブロックとを交互に行う。このようなブロックとアンブロックを行うステーター700の他の形状が、明らかに可能である。
【0039】
図8及び図9は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイス800の実施例の分解斜視図である。図示の実施例では、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイス800は、ローター500とステーター700とを含むことができる。図8及び図8は、ステーター700に関するローター500の配列を示す。ローター500とステーター700が相互に近づくと、ステーター700の整列リング802がローター500の入口空間508内に係合し、ローター500とステーター700が相互に正確に位置される。ステーター700のタブ702とリセス(又は、切欠)704は、ローター500のキャビティ512の流出口516の近くにある。このように位置決めされると、ローター500とステーター700は、相互に“対面するように”位置決めされたといえる。
【0040】
作動中、流体は、図9に示すように、入口804を通じてデバイス800内に流入する。次に、流体は、ローター500の入口空間508に流入する。一つの実施例では、ローター500は、その回転軸に関して回転する。この回転により遠心力が流体に作用し、流体が、ローター500の内面506に向けて移動し、ローター500の周縁開路514内に流入する。次に、流体は、周縁開路514を通じてキャビティ512内に流入する。流体が周縁開路514を通じてキャビティ512内に流入すると、キャビテーション泡が流体中に形成される。ローター500の回転により、キャビティ512は、タブ702と切欠704とからなるステーター700の不連続な表面とキャビティ512の流出口516との整列に基づいて、開位置と閉位置との間を交互に繰り返す。キャビティ512の開位置と閉位置との間の交互繰返しについては、より詳しく後述する。
【0041】
図10Aは、ステーター700に関して開位置にあるローター500の複数のキャビティ512の一つの実施例の断面図である。ローター500の一部であるキャビティ512、周縁開路514及び流出口516を図示する。また、ステーター700の一部であるタブ702及び切欠704を図示する。図4Aに関連して説明したのと同様に、キャビテーション泡1004をキャビティ512内に示し、周縁開路514を通じてキャビティ512内に流入した流体により生じたキャビテーション泡1004は、キャビティ512の壁1006から離れて位置する。キャビティ512内には、渦が形成され得る。キャビティ512内の渦の方向は、キャビティ512内に矢印で示す。また、キャビティ512の流出口516、及び流出口516に対面するように位置決めされた切欠704も示す。切欠704は流出口516と整列している。切欠704は、流出口516を通じキャビティ512の外部へ流体を流出又は部分的に流出させるものである。
【0042】
図10Bは、閉位置にあるローター500の複数のキャビティ512の一つの実施例の断面図である。図10Bでは、図10Aと比較して、ローター500は、キャビティ512が閉位置にあるように、ステーター700に関して回転されたところを示す。図示のように、タブ702は、流出口516に対面するように位置決めされる。タブ702は、流出口516と整列し、流出口516を通じキャビティ512の外部へ流れる流体を抑制又は部分的に抑制する。キャビティ512の外部へ流れる流体の抑制又は部分的な抑制は、キャビティ512内の流体の圧力を上昇させる。この圧力の上昇は、キャビティ512内のキャビテーション泡1004の全部又は幾つかを破壊又は部分的に破壊する。破壊されたキャビテーション泡1008を図Bに示している。
【0043】
ステーター700に関するローター500の連続的な回転は、キャビテーション泡1004を一定又はほぼ一定に発生させ、これらを破壊し、キャビティ512から流出させる。キャビテーション泡1004の破壊のレートと同様に、キャビテーション泡1004の形成のレートを制御できる。例えば、キャビテーションプロセスは、ローター500の回転のレートを変えることにより制御できる。また、ローター500の回転をより高速にすると、キャビテーション泡1004の形成のレート、破壊のレート、又は形成及び破壊のレートが高くなり、圧力及び/又は温度がより高くなる。対照的に、ローター500の回転をより低くすると、キャビテーション泡1004の形成のレート、破壊のレート、又は形成及び破壊のレートが低くなり、圧力及び/又は温度がより低くなる。
【0044】
一般に、ローター500の回転レートは、発生する遠心力の大きさを制御でき、また流体が入口空間508に流入するレート、流体が周縁開路514に流入するレート、キャビティ512の圧力などを含む様々なファクターを制御し得るものである。
【0045】
付加的に、キャビテーションプロセスは、ローター500及び/又はステーター700の寸法、ステーター700に関するローター500の位置などによって制御し得る。例えば、ステーター700に関してローター500の直径を変えると、キャビテーションの程度を変えることができる。他の例では、周縁開路514の第一の端部(内面506に隣接する)とローター500の回転軸との間の距離を大きくすると、キャビテーションプロセスにより生成される圧力及び/又は温度を上昇させることができる。同様に、周縁開路514の第二の端部(周縁開路514に隣接する)とローター500の回転軸との間の距離を大きくしても、キャビテーションプロセスにより生成される圧力及び/又は温度を上昇させることができる。
【0046】
上記した様々なファクターを変化させてキャビテーションを制御できるので、特定の応用に対して利点的な圧力及び/又は温度でキャビテーションプロセスを行うことができる。
【0047】
図11は、混合デバイス1100の一つの実施例の縦断面図である。図示の実施例では、混合デバイス1100は、ローター500、ステーター700及びハウジング1102を含む。図示の実施例では、ステーター700は、ステーター700の取付穴1112を通じて位置されるスクリュー1104を使用してハウジング1102に取り付けられる。混合デバイス1100のこの実施例では、ローター500とステーター700がハウジング1100内に配置される。他の実施例では、ステーター700は、ハウジングと一体であり得る。
【0048】
図11は、相互に対面するように位置決めしたローター500とステーター700を示す。図示の実施例では、ハウジング1100は、シャフト挿通口1106を有し、このシャフト挿通口1106を通じて、ローター500のシャフト510が挿入されている。これにより、混合デバイス1100にローター500を正確に位置決めできる。また、ハウジング1100は、ベアリング1108を有し、シャフト510によるローター500の回転を容易にしている。図示の例では、出口1110がハウジング1102に設けられている。この出口1110は、混合デバイス1100から流体を流出させるためのものである。
【0049】
作動中、流体は、ステーター700の入口804を通じて混合デバイス1100に流入する。このデバイスは、図9及び図10に関連して説明したように機能する。図10Aに関連して説明したように、流体が流出口516を通じて流出すると、流体は出口1110を通じて混合デバイス1100から流出する。
【0050】
図12は、図11のAA線に沿った混合デバイス1100の横断面図である。図12は、ハウジング1100内に組み込んだローター500を示すものである。出口1110が図示されている。また、入口空間508とキャビティ512との間を連通する周縁開路514も図示されている。
【0051】
図13は、図11のBB線に沿った混合デバイス1100の横断面図である。ステーター700の断面を示す。タブ702、切欠704、入口穴804及び整列リング802が図示されている。
【0052】
変形例では、キャビティは、ステーター700に設けられ、ローター500は、キャビティの開閉を行うメカニズムとポンプ機能を有するものとなる。
【0053】
他の実施例は、流体にキャビテーション泡を発生させる方法である。一つの実施例では、流体を一つ又はそれ以上のキャビティに流入して、キャビティ内にキャビテーション泡を形成する。キャビティへの流体の流入により、上述したように、キャビティ内に渦が形成される。一般に、渦は、キャビテーション泡の形成に寄与する。渦は、キャビテーション泡の形成に十分なだけの流体の圧力降下に寄与し得る。一般に、この圧力降下は、渦の中心又はその付近、又は渦の“コア領域”に存在し、その場所にキャビテーション泡を容易に形成できる。流体の圧力を上昇させて、一つ又はそれ以上のキャビティを閉じることによってキャビテーション泡を破壊する方法を付加的に与える。また、一つ又はそれ以上のキャビティから流体を流出できるように一つ又はそれ以上のキャビティを開ける方法も与えられ得る。
【0054】
他の実施例は、上記の方法によって作られる生成物である。一般に、生成物は、一つ又はそれ以上の液体、ガス又は固体の混合物であり得る。また、生成物は、一つ又はそれ以上の液体、ガス又は固体の反応生成物であり得る。
【0055】
以上において、好適な実施例及び選択的な変形例について説明した。変更物及び変形物が上記の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。上記した実施例は全てのこのような変形物及び変更物を含むように解釈され、これらは添付の特許請求の範囲の範囲内にあることを意図とする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、混合デバイスの一つの実施例の斜視図である。
【図2】図2は、図1の平行線AA及びBBで形成される平面に沿った断面図である。
【図3】図3Aは、キャビティが開位置にあるように可動面を位置決めした図1の混合デバイスの斜視図であり、図3Bは、キャビティが閉位置にあるように可動面を位置決めした図1の混合デバイスの斜視図である。
【図4】図4Aは、開位置におけるキャビティの一つの実施例の断面図であり、図4Bは、閉位置におけるキャビティの一つの実施例の断面図である。
【図5】図5は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローターの一つの実施例の斜視図である。
【図6】図6は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるローターの他の実施例の斜視図である。
【図7】図7は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスに用いられるステーターの一つの実施例の斜視図である。
【図8】図8は、流体中に渦キャビテーションを発生させるためのデバイスの一つの実施例の一方向からの分解斜視図である。
【図9】図9は、流体中に渦キャビテーションを発生させるための図8のデバイスの一つの実施例の他方向からの分解斜視図である。
【図10】図10Aは、開位置にある複数のキャビティの一つの実施例の断面図であり、図10Bは、閉位置にある複数のキャビティの一つの実施例の断面図である。
【図11】図11は、混合デバイスの一つの実施例の縦断面図である。
【図12】図12は、図11のAA線に沿った横断面図である。
【図13】図13は、図11のBB線に沿った横断面図である。
【符号の説明】
【0057】
100・・・混合デバイス
101・・・ハウジング
102・・・キャビティ
104・・・壁
105・・・外部
106・・・周縁開路
108・・・第一の端部
110・・・第二の端部
500・・・ローター
502・・・ベース部分
504・・・周囲部分(又は、突出し環状部分)
506・・・内面
508・・・入口空間
510・・・シャフト
512・・・キャビティ
514・・・周縁オリフィス
516・・・流出口
700・・・ステーター
702・・・タブ
704・・・リセス(又は切欠)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合装置に用いる混合デバイスであって、
少なくとも一つのキャビティ、及び
少なくとも一つの周縁開路、
を含み、
前記周縁開路の一方の端部が前記キャビティに連通し、当該混合デバイスの内部の流路を形成し、流体がこの周縁開路を通じて前記キャビティへ流入し、流体中にキャビテーション泡が形成され、
前記キャビティが、開位置と閉位置との間を交互に繰り返し、
前記閉位置において、前記キャビティの圧力が上昇し、前記流体中のキャビテーション泡が破壊され、高せん断混合処理がなされ、
前記開位置において、流体の少なくとも一部が前記キャビティから流出し、前記キャビティの圧力が降下し、前記キャビティの前記流体にキャビテーション泡が付加的に形成される、
ところの混合デバイス。
【請求項2】
請求項1の混合デバイスであって、
前記キャビティが、流体が前記キャビティから流出する流出口を有する、
ところの混合デバイス。
【請求項3】
請求項2の混合デバイスであって、
前記閉位置において、前記流出口がブロック又は部分的にブロックされ、
前記開位置において、前記流出口がアンブロック又は部分的にアンブロックされる、
ところの混合デバイス。
【請求項4】
請求項1の混合デバイスであって、
前記キャビティに付加的に流入する流体が、前記キャビティ内に渦を形成する、
ところの混合デバイス。
【請求項5】
請求項1の混合デバイスであって、
当該混合デバイスに流体を流入させる入口をさらに含み、
前記入口が、前記周縁開路の他方の端部と連通し、流体が前記入口から前記キャビティへ流入する、
ところの混合デバイス。
【請求項6】
請求項1の混合デバイスであって、
当該混合デバイスの回転によって、流体に遠心力が作用し、前記流体が、前記周縁開路を通じて前記キャビティに流入する、
ところの混合デバイス。
【請求項7】
請求項6の混合デバイスであって、
当該混合デバイスに対面するように位置決めしたステーターに関する当該混合デバイスの回転により、前記キャビティの前記開位置と前記閉位置とが交互に繰り返す、
ところの混合デバイス。
【請求項8】
請求項7の混合デバイスであって、
前記キャビティの前記閉位置において、前記ステーターと当該混合デバイスとの間の空間が、キャビテーション泡を破壊させる圧力の上昇を与えるのに十分なものである、
ところの混合デバイス。
【請求項9】
請求項8の混合デバイスであって、
前記圧力の上昇が、前記流体の少なくとも飽和蒸気圧力以上である、
ところの混合デバイス。
【請求項10】
請求項1の混合デバイスであって、
前記キャビティの前記開位置と前記閉位置との間の交互繰返しが可動面によってなされ、前記可動面が、前記キャビティから流出する流体を間欠的に抑制して前記圧力を上昇させる、
ところの混合デバイス。
【請求項11】
請求項10の混合デバイスであって、
前記可動面が回転可能なディスクによって与えられる、
ところの混合デバイス。
【請求項12】
混合装置に用いるためのローターであって、
前記ローターが、回転軸を有し、この回転軸に関して回転し、
前記ローターが、
ベース部分、及び
前記ベース部分から突き出す周囲部分であって、前記ベース部分と前記周囲部分との間に、流体を流入する入口空間が形成される、周囲部分、
を含み、
前記周囲部分が、
複数のキャビティ、及び
複数の周縁オリフィス、
を含み、
前記オリフィスの各々が、前記入口空間と前記キャビティの各々との間を相互に接続し、流体を前記入口空間から前記キャビティの各々に流入させ、前記キャビティの各々に渦を形成し、前記流体中にキャビテーション泡を形成し、
前記キャビティの各々が、開位置と閉位置との間を交互に繰り返し、
前記閉位置において、前記キャビティの各々の圧力が上昇し、前記流体中の前記キャビテーション泡を破壊して、高せん断混合処理がなされ、
前記開位置において、前記流体が前記キャビティの各々から流出し、圧力が低下して、前記キャビティの各々にキャビテーション泡が付加的に形成される、
ところのローター。
【請求項13】
請求項12のローターであって、
当該ローターの回転によって、前記流体に遠心力が作用して、前記流体が、前記周縁開路の各々から前記キャビティの各々に流入する、
ところのローター。
【請求項14】
請求項12にローターであって、
当該ローターと対面するように位置決めしたステーターに関して当該ローターが回転すると、前記キャビティの各々が前記開位置と前記閉位置との間で交互に繰り返す、
ところのローター。
【請求項15】
請求項12のローターであって、
キャビテーション泡の形成のレート、キャビテーション泡の破壊のレート、又はキャビテーション泡の形成及び破壊のレートが、前記入口空間に流入する流体のレート、前記周縁オリフィスの各々の直径、前記キャビティの各々の体積、及び前記入口空間に隣接する前記周縁オリフィスの各々の第一の端部と前記回転軸との間の距離のうちの一つ又はそれ以上により制御される、
ところのローター。
【請求項16】
請求項15のローターであって、
当該ローターの回転により発生した流体の遠心力と、前記キャビティの各々に流入する流体の圧力とが、前記入口空間から遠方の前記周縁オリフィスの各々の第二の端部と前記回転軸との間の距離によって制御される、
ところのローター。
【請求項17】
請求項12のローターであって、
前記キャビティの各々の形状が、前記回転軸と実質的に平行で、前記回転軸から間隔をあけた軸を有する円筒形である、
ところのローター。
【請求項18】
請求項12のローターであって、
前記入口空間の形状が、前記回転軸と整列した軸を有する円筒形である、
ところのローター。
【請求項19】
請求項12のローターであって、
前記周縁オリフィスの各々が、前記回転軸と実質的に垂直な軸を有する、
ところのローター。
【請求項20】
請求項12のローターであって、
前記ベース部分が、前記入口空間を部分的に形成する内面を有し、
前記内面が、前記周縁オリフィスへの流体の流入を付勢する一つ又はそれ以上の羽根を含む、
ところのローター。
【請求項21】
流体中に渦キャビテーションを生成するためのデバイスであって、
複数のキャビティを有するローターであって、前記キャビティの各々が、前記キャビティの各々に渦を形成し、前記流体中にキャビテーション泡を形成するように、前記キャビティに流体を流入させる周縁流路を有する、ところのローター、及び
前記ローターと対面するように位置決めされるステーターであって、前記ローターが回転すると、前記ステーターが、前記キャビティを間欠的に開閉する、ところのステーター、
を含み、
前記キャビティの各々が閉位置にあるとき、前記キャビティの流体の圧力が上昇し、前記キャビテーション泡が破壊され、
前記キャビティの各々が開位置にあるとき、前記流体の少なくとも一部が前記キャビティの各々から流出し、前記キャビティの圧力が降下し、キャビテーション泡が形成される、
ところのデバイス。
【請求項22】
請求項21のデバイスであって、
前記キャビティの各々が、流出口を有し、
前記キャビティの各々が前記開位置にあるとき、流体が前記流出口を通じて前記キャビティの各々の外部に流出する、
ところのデバイス。
【請求項23】
請求項21のデバイスであって、
前記キャビティの間欠的な開閉が、前記ローターの回転中に、前記流出口に対面するステーターの不連続な面の変化によりなされる、
ところのデバイス。
【請求項24】
請求項21のデバイスであって、
前記ローターが回転可能であり、前記ローターの回転レートによって、前記キャビティでのキャビテーション泡の形成及びキャビテーション泡の破壊のうちの一方又は両方が制御される、
ところのデバイス。
【請求項25】
請求項21のデバイスであって、
キャビテーション泡の形成のレート、キャビテーション泡の破壊のレート、又はキャビテーション泡の形成及び破壊のレートが、前記ローターに流入する流体のレート、前記周縁流路の直径、前記キャビティの体積及び前記ローターの直径のうちの一つ又はそれ以上のものにより制御される、
ところのデバイス。
【請求項26】
請求項21のデバイスであって、
前記ローターが、ハウジング内に配置される、
ところのデバイス。
【請求項27】
請求項26のデバイスであって、
前記ステーターが、前記ハウジング内に配置される、
ところのデバイス。
【請求項28】
請求項26のデバイスであって、
前記ステーターが前記ハウジングと一体である、
ところのデバイス。
【請求項29】
混合デバイスであって、
当該混合デバイスに流体を流入させる入口を有するハウジング、
軸を有する入口空間を形成する突出し環状部分を有するローターであって、前記突出し環状部分が、前記入口空間から放射方向の外側に配列した複数のキャビティを有し、前記突出し環状部分が、複数の流路をさらに含み、前記流路の各々の一方の端部で前記キャビティの各々と連通し、前記流路の各々の他方の端部が前記入口に連通し、前記流路の各々を通じて、流体が前記キャビティの各々に流入し、キャビテーション泡が形成される、ところのローター、及び
前記ローターと対面するように位置決めされるステーターであって、前記ステーターが、前記キャビティを間欠的にブロックして前記キャビテーション泡を破壊し、前記キャビティをアンブロックして、流体の少なくとも一部を前記キャビティから流出させ、出口を通じて当該混合デバイスの外部に流出させる、ところのステーター、
を含む混合デバイス。
【請求項30】
請求項29の混合デバイスであって、
前記出口が、前記ハウジングに設けられる、
ところの混合デバイス。
【請求項31】
請求項29の混合デバイスであって、
前記キャビティの各々に流体が流入すると渦が形成される、
ところの混合デバイス。
【請求項32】
流体中にキャビテーション泡を形成する方法であって、
少なくとも一つのキャビティ内に前記流体を流入させる工程であって、前記キャビティに前記流体の渦が発生し、前記流体中にキャビテーション泡が形成されるのに十分なだけ前記渦のコア領域の圧力が降下する、ところの工程、及び
前記キャビティを閉じる工程であって、前記キャビテーション泡が破壊されるのに十分なだけ前記キャビティの圧力が上昇する、ところの工程、
を含む方法。
【請求項33】
請求項32の方法であって、
前記キャビティを開ける工程であって、前記流体が前記キャビティから流出する、ところの工程、
をさらに含む方法。
【請求項34】
請求項32の方法であって、
少なくとも一つのキャビティ内に前記流体を流入させる前記工程が、前記流体中に渦を形成する、
ところの方法。
【請求項35】
請求項32の方法であって、
少なくとも一つのキャビティ内に前記流体を流入させる前記工程が、
ローターの入口に流体を流入させる工程、及び
前記ローターを回転させる工程であって、前記ローターの前記キャビティと連通するオリフィスを通じて前記流体が前記キャビティに流入する、ところの工程、
を含む、
ところの方法。
【請求項36】
請求項32の方法によって作られた生成物。
【請求項37】
請求項36の生成物であって、
当該生成物が、液体、ガス及び固体のうちの一つ又はそれ以上の混合物である、
ところの生成物。
【請求項38】
請求項36の生成物であって、
当該生成物が、液体、ガス及び固体のうちの一つ又はそれ以上の反応生成物である、
ところの生成物。
【請求項1】
混合装置に用いる混合デバイスであって、
少なくとも一つのキャビティ、及び
少なくとも一つの周縁開路、
を含み、
前記周縁開路の一方の端部が前記キャビティに連通し、当該混合デバイスの内部の流路を形成し、流体がこの周縁開路を通じて前記キャビティへ流入し、流体中にキャビテーション泡が形成され、
前記キャビティが、開位置と閉位置との間を交互に繰り返し、
前記閉位置において、前記キャビティの圧力が上昇し、前記流体中のキャビテーション泡が破壊され、高せん断混合処理がなされ、
前記開位置において、流体の少なくとも一部が前記キャビティから流出し、前記キャビティの圧力が降下し、前記キャビティの前記流体にキャビテーション泡が付加的に形成される、
ところの混合デバイス。
【請求項2】
請求項1の混合デバイスであって、
前記キャビティが、流体が前記キャビティから流出する流出口を有する、
ところの混合デバイス。
【請求項3】
請求項2の混合デバイスであって、
前記閉位置において、前記流出口がブロック又は部分的にブロックされ、
前記開位置において、前記流出口がアンブロック又は部分的にアンブロックされる、
ところの混合デバイス。
【請求項4】
請求項1の混合デバイスであって、
前記キャビティに付加的に流入する流体が、前記キャビティ内に渦を形成する、
ところの混合デバイス。
【請求項5】
請求項1の混合デバイスであって、
当該混合デバイスに流体を流入させる入口をさらに含み、
前記入口が、前記周縁開路の他方の端部と連通し、流体が前記入口から前記キャビティへ流入する、
ところの混合デバイス。
【請求項6】
請求項1の混合デバイスであって、
当該混合デバイスの回転によって、流体に遠心力が作用し、前記流体が、前記周縁開路を通じて前記キャビティに流入する、
ところの混合デバイス。
【請求項7】
請求項6の混合デバイスであって、
当該混合デバイスに対面するように位置決めしたステーターに関する当該混合デバイスの回転により、前記キャビティの前記開位置と前記閉位置とが交互に繰り返す、
ところの混合デバイス。
【請求項8】
請求項7の混合デバイスであって、
前記キャビティの前記閉位置において、前記ステーターと当該混合デバイスとの間の空間が、キャビテーション泡を破壊させる圧力の上昇を与えるのに十分なものである、
ところの混合デバイス。
【請求項9】
請求項8の混合デバイスであって、
前記圧力の上昇が、前記流体の少なくとも飽和蒸気圧力以上である、
ところの混合デバイス。
【請求項10】
請求項1の混合デバイスであって、
前記キャビティの前記開位置と前記閉位置との間の交互繰返しが可動面によってなされ、前記可動面が、前記キャビティから流出する流体を間欠的に抑制して前記圧力を上昇させる、
ところの混合デバイス。
【請求項11】
請求項10の混合デバイスであって、
前記可動面が回転可能なディスクによって与えられる、
ところの混合デバイス。
【請求項12】
混合装置に用いるためのローターであって、
前記ローターが、回転軸を有し、この回転軸に関して回転し、
前記ローターが、
ベース部分、及び
前記ベース部分から突き出す周囲部分であって、前記ベース部分と前記周囲部分との間に、流体を流入する入口空間が形成される、周囲部分、
を含み、
前記周囲部分が、
複数のキャビティ、及び
複数の周縁オリフィス、
を含み、
前記オリフィスの各々が、前記入口空間と前記キャビティの各々との間を相互に接続し、流体を前記入口空間から前記キャビティの各々に流入させ、前記キャビティの各々に渦を形成し、前記流体中にキャビテーション泡を形成し、
前記キャビティの各々が、開位置と閉位置との間を交互に繰り返し、
前記閉位置において、前記キャビティの各々の圧力が上昇し、前記流体中の前記キャビテーション泡を破壊して、高せん断混合処理がなされ、
前記開位置において、前記流体が前記キャビティの各々から流出し、圧力が低下して、前記キャビティの各々にキャビテーション泡が付加的に形成される、
ところのローター。
【請求項13】
請求項12のローターであって、
当該ローターの回転によって、前記流体に遠心力が作用して、前記流体が、前記周縁開路の各々から前記キャビティの各々に流入する、
ところのローター。
【請求項14】
請求項12にローターであって、
当該ローターと対面するように位置決めしたステーターに関して当該ローターが回転すると、前記キャビティの各々が前記開位置と前記閉位置との間で交互に繰り返す、
ところのローター。
【請求項15】
請求項12のローターであって、
キャビテーション泡の形成のレート、キャビテーション泡の破壊のレート、又はキャビテーション泡の形成及び破壊のレートが、前記入口空間に流入する流体のレート、前記周縁オリフィスの各々の直径、前記キャビティの各々の体積、及び前記入口空間に隣接する前記周縁オリフィスの各々の第一の端部と前記回転軸との間の距離のうちの一つ又はそれ以上により制御される、
ところのローター。
【請求項16】
請求項15のローターであって、
当該ローターの回転により発生した流体の遠心力と、前記キャビティの各々に流入する流体の圧力とが、前記入口空間から遠方の前記周縁オリフィスの各々の第二の端部と前記回転軸との間の距離によって制御される、
ところのローター。
【請求項17】
請求項12のローターであって、
前記キャビティの各々の形状が、前記回転軸と実質的に平行で、前記回転軸から間隔をあけた軸を有する円筒形である、
ところのローター。
【請求項18】
請求項12のローターであって、
前記入口空間の形状が、前記回転軸と整列した軸を有する円筒形である、
ところのローター。
【請求項19】
請求項12のローターであって、
前記周縁オリフィスの各々が、前記回転軸と実質的に垂直な軸を有する、
ところのローター。
【請求項20】
請求項12のローターであって、
前記ベース部分が、前記入口空間を部分的に形成する内面を有し、
前記内面が、前記周縁オリフィスへの流体の流入を付勢する一つ又はそれ以上の羽根を含む、
ところのローター。
【請求項21】
流体中に渦キャビテーションを生成するためのデバイスであって、
複数のキャビティを有するローターであって、前記キャビティの各々が、前記キャビティの各々に渦を形成し、前記流体中にキャビテーション泡を形成するように、前記キャビティに流体を流入させる周縁流路を有する、ところのローター、及び
前記ローターと対面するように位置決めされるステーターであって、前記ローターが回転すると、前記ステーターが、前記キャビティを間欠的に開閉する、ところのステーター、
を含み、
前記キャビティの各々が閉位置にあるとき、前記キャビティの流体の圧力が上昇し、前記キャビテーション泡が破壊され、
前記キャビティの各々が開位置にあるとき、前記流体の少なくとも一部が前記キャビティの各々から流出し、前記キャビティの圧力が降下し、キャビテーション泡が形成される、
ところのデバイス。
【請求項22】
請求項21のデバイスであって、
前記キャビティの各々が、流出口を有し、
前記キャビティの各々が前記開位置にあるとき、流体が前記流出口を通じて前記キャビティの各々の外部に流出する、
ところのデバイス。
【請求項23】
請求項21のデバイスであって、
前記キャビティの間欠的な開閉が、前記ローターの回転中に、前記流出口に対面するステーターの不連続な面の変化によりなされる、
ところのデバイス。
【請求項24】
請求項21のデバイスであって、
前記ローターが回転可能であり、前記ローターの回転レートによって、前記キャビティでのキャビテーション泡の形成及びキャビテーション泡の破壊のうちの一方又は両方が制御される、
ところのデバイス。
【請求項25】
請求項21のデバイスであって、
キャビテーション泡の形成のレート、キャビテーション泡の破壊のレート、又はキャビテーション泡の形成及び破壊のレートが、前記ローターに流入する流体のレート、前記周縁流路の直径、前記キャビティの体積及び前記ローターの直径のうちの一つ又はそれ以上のものにより制御される、
ところのデバイス。
【請求項26】
請求項21のデバイスであって、
前記ローターが、ハウジング内に配置される、
ところのデバイス。
【請求項27】
請求項26のデバイスであって、
前記ステーターが、前記ハウジング内に配置される、
ところのデバイス。
【請求項28】
請求項26のデバイスであって、
前記ステーターが前記ハウジングと一体である、
ところのデバイス。
【請求項29】
混合デバイスであって、
当該混合デバイスに流体を流入させる入口を有するハウジング、
軸を有する入口空間を形成する突出し環状部分を有するローターであって、前記突出し環状部分が、前記入口空間から放射方向の外側に配列した複数のキャビティを有し、前記突出し環状部分が、複数の流路をさらに含み、前記流路の各々の一方の端部で前記キャビティの各々と連通し、前記流路の各々の他方の端部が前記入口に連通し、前記流路の各々を通じて、流体が前記キャビティの各々に流入し、キャビテーション泡が形成される、ところのローター、及び
前記ローターと対面するように位置決めされるステーターであって、前記ステーターが、前記キャビティを間欠的にブロックして前記キャビテーション泡を破壊し、前記キャビティをアンブロックして、流体の少なくとも一部を前記キャビティから流出させ、出口を通じて当該混合デバイスの外部に流出させる、ところのステーター、
を含む混合デバイス。
【請求項30】
請求項29の混合デバイスであって、
前記出口が、前記ハウジングに設けられる、
ところの混合デバイス。
【請求項31】
請求項29の混合デバイスであって、
前記キャビティの各々に流体が流入すると渦が形成される、
ところの混合デバイス。
【請求項32】
流体中にキャビテーション泡を形成する方法であって、
少なくとも一つのキャビティ内に前記流体を流入させる工程であって、前記キャビティに前記流体の渦が発生し、前記流体中にキャビテーション泡が形成されるのに十分なだけ前記渦のコア領域の圧力が降下する、ところの工程、及び
前記キャビティを閉じる工程であって、前記キャビテーション泡が破壊されるのに十分なだけ前記キャビティの圧力が上昇する、ところの工程、
を含む方法。
【請求項33】
請求項32の方法であって、
前記キャビティを開ける工程であって、前記流体が前記キャビティから流出する、ところの工程、
をさらに含む方法。
【請求項34】
請求項32の方法であって、
少なくとも一つのキャビティ内に前記流体を流入させる前記工程が、前記流体中に渦を形成する、
ところの方法。
【請求項35】
請求項32の方法であって、
少なくとも一つのキャビティ内に前記流体を流入させる前記工程が、
ローターの入口に流体を流入させる工程、及び
前記ローターを回転させる工程であって、前記ローターの前記キャビティと連通するオリフィスを通じて前記流体が前記キャビティに流入する、ところの工程、
を含む、
ところの方法。
【請求項36】
請求項32の方法によって作られた生成物。
【請求項37】
請求項36の生成物であって、
当該生成物が、液体、ガス及び固体のうちの一つ又はそれ以上の混合物である、
ところの生成物。
【請求項38】
請求項36の生成物であって、
当該生成物が、液体、ガス及び固体のうちの一つ又はそれ以上の反応生成物である、
ところの生成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−533453(P2007−533453A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509582(P2007−509582)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/013363
【国際公開番号】WO2005/105281
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(505333344)ファイブ・スター・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】FIVE STAR TECHNOLOGIES INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】21200 Aerospace Parkway, Cleveland, Ohio 44142 U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/013363
【国際公開番号】WO2005/105281
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(505333344)ファイブ・スター・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】FIVE STAR TECHNOLOGIES INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】21200 Aerospace Parkway, Cleveland, Ohio 44142 U.S.A.
【Fターム(参考)】
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