説明

流体管清掃装置

【課題】既設流体管から延設された連通管内の異物の除去を行いつつ、異物の除去によって生じた異物片の既設流体管内への流入を防止すること。
【解決手段】既設流体管1に連通する連通管2に水密に挿通され、連通管2の管軸回りに回動することで連通管2の内周面に付着している異物5を除去する切削部7と、連通管2の内周面から除去した異物5を連通管2の外方に排出する排出部9bと、を備える流体管清掃装置4であって、切削部7は、異物5における連通管2の内周面から内径側に突出した箇所を切削する第1切削部11と、第1切削部11の切削により連通管2の内周面に残留している異物5を切削する、第1切削部11よりも大径に形成された第2切削部12と、を備え、切削された異物5を既設流体管1内を流れる流体によって排出部9bから連通管2の外方に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設流体管に連通する連通管に水密に挿通され、連通管の管軸回りに回動することで連通管の内周面に付着している異物を切削する切削部と、連通管の内周面から切削した異物を連通管の外方に排出する排出部と、を備える流体管清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体管清掃装置は、管路(既設流体管)から上方に向けて分岐している枝管部(連通管)内に水密に挿入される筒状の除去刃(切削部)と、この除去刃が先端に接続されるとともに、外方に連通する排水口(排出部)が穿設された筒状のパイプ軸と、を備えており、除去刃を枝管部内に回転させながら挿入していくことで枝管部の内周面に付着した錆(異物)を破砕することで切削するとともに、枝管部の内周面から錆を切削した後、管路の管底近傍までパイプ軸の先端を移動させ、排水口を開放することで管路に堆積していた錆片(異物)を管路内の水とともにパイプ軸及び排水口を介して流体管清掃装置の外方に排出している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−22914号公報(第4頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の流体管清掃装置にあっては、管路(既設流体管)の断水を行わず枝管部(連通管)内の錆(異物)を切削するため、異物を破砕することで生じる錆片(異物)が管路内に落下することで管路内を流れる水に錆片が混入してしまい、水質を低下させてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、既設流体管から延設された連通管内の異物の切削を行いつつ、異物の切削によって生じた異物の既設流体管内への流入を防止することができる流体管清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の流体管清掃装置は、
既設流体管に連通する連通管に水密に挿通され、該連通管の管軸回りに回動することで該連通管の内周面に付着している異物を切削する切削部と、前記連通管の内周面から切削した前記異物を前記連通管の外方に排出する排出部と、を備え、不断流状態で前記連通管を清掃する流体管清掃装置であって、
前記切削部は、前記異物における前記連通管の内周面から内径側に突出した箇所を切削する第1切削部と、該第1切削部の切削により前記連通管の内周面に残留している異物を切削する、前記第1切削部よりも大径に形成された第2切削部と、を備え、切削された異物を前記既設流体管内を流れる流体によって前記排出部から前記連通管の外方に排出することを特徴としている。
この特徴によれば、連通管の内周面に付着している異物における連通管の内径側に突出している箇所を第1切削部にて第1段の切削を行い、第1切削部よりも大径の第2切削部にて内周面に残留している異物を仕上げ切削として第2段の切削を行う2段構えとすることで、各異物を細かく軽量化して切削することができ、既設流体管内を流れる流体によって異物を排出部から排出することができるので、切削された異物が連通管内から既設流体管内に流入することを防止することができる。
【0007】
本発明の流体管清掃装置は、
前記第1切削部の先端部は、前記連通管への挿入方向に向けて縮径されたテーパー状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、切削部を連通管に挿通させていくことで、異物が連通管の内径側に突出していても、異物に当接する第1切削部を拡径させながら異物の切削を漸次安定して行うことができる。
【0008】
本発明の流体管清掃装置は、
前記第2切削部は、前記連通管の外径方向に向けて膨出量を調整可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、連通管の直径に合わせて第2切削部を膨出させることで、連通管の内周面に残留している異物をより確実に切削することができる。
【0009】
本発明の流体管清掃装置は、
前記第1切削部には、前記連通管の管軸方向に向けて貫通する貫通孔が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、既設流体管から排出部に向けて流れる流体が、連通管よりも小径の貫通孔内を通過することで加速されるので、切削部によって切削された異物を強力に排出部から排出することができる。
【0010】
本発明の流体管清掃装置は、
前記第1切削部の外周面には、螺旋状の溝部が複数形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、切削部を水平方向に回動させることによって、第1切削部の下方から、第1切削部にて切削された異物を溝部に沿って巻き上げることができるとともに、既設流体管から排出部に向けて流れる流体により排出部に向けて渦を形成し、この渦によって切削部によって切削された異物を強力に排出部から排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における流体管清掃装置を示す断面図である。
【図2】(a)は、切削部の断面図であり、(b)は、切削部の側面図である。
【図3】第1切削部による異物の切削を示す断面図である。
【図4】第2切削部による異物の切削を示す断面図である。
【図5】(a)は、実施例2における切削部の一部断面図であり、(b)は、切削部の側面図であり、(c)は、切削部の底面図である。
【図6】(a)は、実施例3における切削部の一部断面図であり、(b)は、切削部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る流体管清掃装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る流体管清掃装置につき、図1から図4を参照して説明する。図1の符号1は、上水輸送管としての既設流体管である。図1に示すように、この既設流体管1の所定箇所には、上方に向けて連通管2が延設されている。連通管2の上端部には、更に補修弁3が水密に接続されている。この補修弁3の上端部には、既設流体管1の管内の空気を管外に排出するための図示しない空気弁や消火栓等の配管部材が水密に接続されるようになっている。
【0014】
そして、本発明である流体管清掃装置4は、前記配管部材に替えて補修弁3の上端部に接続された後、連通管2の内周面に付着した錆瘤等の異物5を除去するために使用される装置である。この流体管清掃装置4は、補修弁3に水密に取り付けられる収容ケース6と、収容ケース6の内部に収容され、連通管2内に挿通される切削部7と、切削部7の上部に一体に接続されて収容ケース6の上面から突出し、収容ケース6に対し水密に上下動可能且つ水平方向に回動可能に設けられた挿入部材8と、から構成されている。
【0015】
収容ケース6は、下端部に、補修弁3のフランジ3aに水密に接続可能なフランジ6aを有し、フランジ6aには、補修弁3のフランジ3aに形成されたボルト挿通孔3bに対応した、ボルト挿通孔6bが形成されている。収容ケース6は、これらボルト挿通孔3b,6bに挿通させたボルト・ナット13によってフランジ3a,6aを緊締することによって補修弁に水密に接続される。また、収容ケース6の内部には、切削部7が収容されており、収容ケース6の上面には挿入部材8を水密に挿通する挿通孔6cが形成されている。
【0016】
更に、収容ケース6の上部に、収容ケース6内部と開閉可能に連通する本発明における排出部としての排水バルブ9a,9bが設けられている。このうち排水バルブ9aは、排水バルブ9bよりも上方に設けられている。また、排水バルブ9bは、排水バルブ9aよりも大径に形成されている。
【0017】
挿入部材8は、内空の円筒形状に形成された外筒部8aと、外筒部8a内で回動可能に挿通された内杆部8bと、から主として構成され、外筒部8aの外周面がパッキン8cを介して収容ケース6の挿通孔6cに上下動可能に挿通されており、内杆部8bの下端部には切削部7が一体に接続されている。
【0018】
外筒部8aの上端部には、雄螺子部8d(図4参照)が形成されており、この雄螺子部8dには、高ナット15が螺着されている。内杆部8bは、この高ナット15に挿通された状態で、高ナット15の上方にて上端部が水平方向を向く移動アーム10の水平方向の略中央部に固着されている。このため、内杆部8bは、高ナット15を雄螺子部8dに対して回動させて上方に向けて移動させることで、移動アーム10を上方に向けて押し上げることが可能となっており、雄螺子部8dに対する高ナット15の緩締を利用して外筒部8aに対して上下方向に移動可能となっている。
【0019】
切削部7は、図2(a)及び図2(b)に示すように、上端部の水平方向における略中央部が内杆部8bの下端部に接続された、本発明における第1切削部としての砥石部材11と、この砥石部材11と外筒部8aの下端部との間に配置された、本発明における第2切削部としての複数(本実施例では一対)の板バネ12と、から構成されている。
【0020】
このうち砥石部材11は、外周面の全体に亘って無数の微小な凹凸を有している。また、外周面の上端部は、連通管2の内径よりも僅かに小径(図3参照)であり、外周面の下部側は、上端部側から砥石部材11の連通管2への挿入方向である下端部側に向けて縮径されたテーパー面11aに形成されている。このため、砥石部材11は、側面視で円錐台状に形成されている。更に、砥石部材11には、連通管2の管軸方向に向けて貫通する貫通孔11bが複数形成されている。
【0021】
一方、各板バネ12は、両板バネ12,12の上下幅方向の略中央部間の幅寸法が、砥石部材11の直径よりも僅かに短寸となるように、上端部側が外筒部8aの下端部にボルト16によって連結されており、下端部側が砥石部材11の上端部にボルト16によって連結されている。尚、内杆部8bの下部には、一対の切欠8e(一方は図示せず)が形成されており、これら切欠8e内には、外筒部8aから螺挿された固定ボルト8fの先端が載置されている。これら固定ボルト8fの先端が各切欠8e内に配置されていることで、移動アーム10の水平回動によって内杆部8bの外筒部8aに対しての水平方向への相対回動が防止されている。
【0022】
また、前述したように、内杆部8bは、高ナット15を雄螺子部8dに対して回動することで外筒部8aに対して上方に向けて移動可能となっているため、砥石部材11は、高ナット15を雄螺子部8dに対して回動させることで、内杆部8bとともに上方に向けて移動する。このため、両板バネ12,12は、この砥石部材11の上方への移動によって、外筒部8aと砥石部材11との間で上下幅方向から挟圧されることで、連通管2の外径方向に向けて膨出するようになっている。
【0023】
このように構成された流体管清掃装置4によって連通管2内から異物5を除去するには、先ず、図1に示すように、補修弁3を閉塞した状態で、補修弁3の上端部に図示しない前記配管部材に替えて、流体管清掃装置4を水密に取り付ける。
【0024】
次に、排水バルブ9aを開放した後に補修弁3を開放し、既設流体管1内を流れる流体を連通管2、補修弁3及び収容ケース6内に充満させる。収容ケース6内にまで流体が充満することで排水バルブ9aから流体が排水されたら、排水バルブ9aを閉塞する。
【0025】
そして、図3に示すように、排水バルブ9bを開放するとともに、移動アーム10を下方に向けて押し込むことで、切削部7を収容ケース6内から既設流体管1に向けて補修弁3内及び連通管2内を移動させていく。このとき、挿入部材8を水平方向に回動させながら切削部7を既設流体管1に向けて移動させていくことで、連通管2の管軸回りである水平方向に回動する砥石部材11のテーパー面11aに形成されている微小な凹凸によって、異物5の連通管2の内径側に突出している箇所を上方側から順次切削していく。このため、砥石部材11によって切削された異物5は質量の小さい粉末状となる。
【0026】
また、前述したように、砥石部材11による異物5の切削中は、排水バルブ9bが開放されているため、連通管2内には、既設流体管1側から排水バルブ9bに向けて水流が生じている。この水流は、排水バルブ9bに向けて流れていく過程で、連通管2の断面積よりも小さい断面積を有する砥石部材11の外周面と連通管2の内周面の間、及び貫通孔11b内を流れるため、これら砥石部材11の外周面と連通管2の内周面の間及び貫通孔11b内で流速が加速され、強力に切削された異物5を排水バルブ9bに向けて搬送し、最終的には排水バルブ9bから既設流体管1及び連通管2の外方に異物5を排出する。
【0027】
そして、砥石部材11を既設流体管1内にまで移動させることで砥石部材11による異物5の切削が終了した後は、図4に示すように、高ナット15を雄螺子部8dに対して回動させて上方に向けて移動させることで両板バネ12,12間を弾性変形させ、連通管2の外径方向に砥石部材11よりも大径となるように膨出させる。この状態で、移動アーム10を上下動させながら水平回動させることで、両板バネ12,12を上下動させながら水平方向に回動させ、砥石部材11により切削しきれなかった異物5の切削を行う。
【0028】
尚、このとき、両板バネ12,12には、連通管2の外径方向に膨出するように弾性変形することで復元力がはたらいているため、この復元力によって高ナット15と外筒部8aの上端部に形成された雄螺子部8dとの間に強力に摩擦力が生じている。加えて、前述したように、各切欠8e内に固定ボルト8fの先端が配置されているため、高ナット15と雄螺子部8dとの間に生じている摩擦力と、各切欠8eの側面に固定ボルト8fの先端が当接することで移動アーム10の外筒部8aに対する相対回動が阻止され、更に、砥石部材11と板バネ12,12及び板バネ12,12と外筒部8aがボルト16で連結されていることで、移動アーム10の水平回動が両板バネ12,12に連動して異物5の切削が可能となっている。
【0029】
本実施例では、図4に示すように、板バネ12を連通管2の内周面に当接させた状態で板バネ12による異物5の切削を行っているが、僅かに板バネ12を連通管2の外径方向に膨出させる毎に板バネ12による異物5の切削を行っていき、最終的に板バネ12を連通管2の内周面に当接させて異物5の切削を行うことで、最終的に連通管2の内周面から異物5を綺麗に除去することができる。
【0030】
板バネ12による異物5の切削においても、砥石部材11による異物5の切削と同様に、既設流体管1内から排水バルブ9bに向けて水流が生じているため、板バネ12によって切削された異物5は、砥石部材11の外周面と連通管2の内周面の間及び貫通孔11b内で流速が加速された水流によって排水バルブ9bに向けて搬送され、最終的に排水バルブ9bから既設流体管1及び連通管2の外方に排出される。
【0031】
尚、板バネ12による異物5の切削が完了した後は、暫くの間排水バルブ9bの開放を維持しておくことで連通管2、補修弁3及び収容ケース6内から完全に切削された異物5を排出し、その後排水バルブ9bを閉塞する。
【0032】
そして、図1に示すように、移動アーム10を上方に引き戻すことで切削部7を収容ケース6内に収容し、補修弁3を閉塞する。補修弁3の閉塞後は、流体管清掃装置4に替えて、再び補修弁3に図示しない前記配管部材を取り付け、補修弁3を開放する。
【0033】
以上、本実施例における流体管清掃装置4にあっては、切削部7は、異物5における連通管2の内周面から内径側に突出した箇所を切削する砥石部材11と、砥石部材11の切削により連通管2の内周面に残留している異物5を切削する、砥石部材11よりも大径に形成された板バネ12と、を備え、切削された異物5を既設流体管1内を流れる流体によって排水バルブ9bから連通管2の外方に排出するので、連通管2の内周面に付着している異物5における連通管2の内径側に突出している箇所を砥石部材11にて第1段の切削を行い、砥石部材11よりも大径の板バネ12,12にて内周面に残留している異物5を仕上げ切削として第2段の切削を行う2段構えとすることで、各異物5を細かく軽量化して切削することができ、既設流体管1内を流れる流体によって異物5を排水バルブ9bから排出することができるので、切削された異物5が連通管2内から既設流体管1内に流入することを防止することができる。
【0034】
また、砥石部材11の先端部は、連通管2への挿入方向に向けて縮径されたテーパー面11aに形成されているので、切削部7を連通管2に挿通させていくことで、異物5が連通管2の内径側に突出しても異物5に当接する砥石部材11を拡径させながら異物5の切削を漸次安定して行うことができる。
【0035】
また、板バネ12は、連通管2の外径方向に向けて膨出量を調整可能であるので、連通管2の直径に合わせて板バネ12を膨出させることで、連通管2の内周面に残留している異物5をより確実に切削することができる。
【0036】
また、砥石部材11には、連通管2の管軸方向に向けて貫通する貫通孔11bが形成されているので、既設流体管1から排水バルブ9bに向けて流れる流体が、連通管2よりも小径の貫通孔11b内を通過することで加速されるので、切削部7によって切削された異物5を強力に排水バルブ9bから排出することができる。
【実施例2】
【0037】
次に、実施例2に係る流体管清掃装置につき、図5(a)から図5(c)を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0038】
本実施例における第1切削部は、図5(a)、図5(b)及び図5(c)に示すように、金属製のドリル部材14として構成している。このドリル部材14は、外周面の一部が実施例1における砥石部材11と同様に上端部側からドリル部材14の連通管2への挿入方向である下端部側に向けて縮径されたテーパー面14aに形成されている。このドリル部材14には、連通管2の管軸方向に向けて貫通する貫通孔14bが複数形成されているとともに、テーパー面14aを含むドリル部材14の外周面には、下端部から上端部にかけて複数の螺旋状の溝部14cが形成されている。
【0039】
このように第1切削部をドリル部材14として構成することで、ドリル部材14を水平方向に回動させると、異物5を複数の溝部14cにて切削し、ドリル部材14の下方から、ドリル部材14にて切削された異物5を溝部14cに沿って巻き上げることが可能である。更に、既設流体管1から排水バルブ9bに向けて流れる流体の水流が貫通孔14b内を通過することにより加速されることに加え、水流の一部が溝部14c内を通過することで、ドリル部材14の上方に流体の水流による渦が形成されるので、ドリル部材14によって切削された異物5は、この渦によってより強力に排水バルブ9bまで搬送され、外部に排出される。
【0040】
以上、本実施例における流体管清掃装置4にあっては、ドリル部材14の外周面には、螺旋状の溝部14cが複数形成されているので、切削部7を水平方向に回動させることによって、ドリル部材14の下方から、ドリル部材14にて切削された異物5を溝部14cに沿って巻き上げることができるとともに、既設流体管1から排水バルブ9bに向けて流れる流体により排水バルブ9bに向けて渦を形成し、この渦によって切削部7によって切削された異物5を強力に排水バルブ9bから排出することができる。
【実施例3】
【0041】
次に、実施例3に係る流体管清掃装置につき、図6(a)から図6(b)を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0042】
図6(a)及び図6(b)に示すように、本実施例における第1切削部は、前記実施例1の砥石部材11と同一材質の砥石部材11’である。この砥石部材11’は、正面視で上端部が連通管2の内径よりも僅かに短寸に形成されているとともに、下端部が上端部よりも更に短寸に形成された正面視で略台形状の板状に形成されている。このため、本実施例の砥石部材11’では、実施例1の砥石部材11及び実施例2のドリル部材14よりも連通管2内において連通管2の内周面と砥石部材11’との間を多量の水流が流れるようになっている。
【0043】
また、砥石部材11’は、板状に形成されているため、実施例1の砥石部材11及び実施例2のドリル部材14よりも水流から受ける抵抗が小さため、容易に切削部7を収容ケース6内から既設流体管1に向けて補修弁3内及び連通管2内を移動させることが可能となっている。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0045】
例えば、前記実施例では、砥石部材11に連通管2の管軸方向に向けて貫通孔11bを形成したが、既設流体管1から排水バルブ9bに向けての水流に切削された異物5を搬送する十分な流速を有していれば、砥石部材11に貫通孔11bを形成せずともよい。
【0046】
また、前記実施例では、既設流体管1内の流体は上水であるが、既設流体管1の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
【0047】
また、前記実施例1及び3では、第1切削部を外周面の全体に亘って無数の微小な凹凸を有している砥石部材11,11’として構成し、前記実施例2では、第1切削部を外周面には、下端部から上端部にかけて複数の螺旋状の溝部14cが形成されているドリル部材14として構成したが、第1切削部は、異物5の切削が可能な凹凸を外周面に形成することが可能であれば、外周面にローレット加工や人工ダイアモンドを施したり、ヤスリ状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 既設流体管
2 連通管
4 流体管清掃装置
5 異物
7 切削部
9a,9b 排水バルブ(排出部)
11 砥石部材(第1切削部)
11a テーパー面
11b 貫通孔
12 板バネ(第2切削部)
14 ドリル部材(第1切削部)
14a テーパー面
14b 貫通孔
14c 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設流体管に連通する連通管に水密に挿通され、該連通管の管軸回りに回動することで該連通管の内周面に付着している異物を切削する切削部と、前記連通管の内周面から切削した前記異物を前記連通管の外方に排出する排出部と、を備え、不断流状態で前記連通管を清掃する流体管清掃装置であって、
前記切削部は、前記異物における前記連通管の内周面から内径側に突出した箇所を切削する第1切削部と、該第1切削部の切削により前記連通管の内周面に残留している異物を切削する、前記第1切削部よりも大径に形成された第2切削部と、を備え、切削された異物を前記既設流体管内を流れる流体によって前記排出部から前記連通管の外方に排出することを特徴とする流体管清掃装置。
【請求項2】
前記第1切削部の先端部は、前記連通管への挿入方向に向けて縮径されたテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体管清掃装置。
【請求項3】
前記第2切削部は、前記連通管の外径方向に向けて膨出量を調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の流体管清掃装置。
【請求項4】
前記第1切削部には、前記連通管の管軸方向に向けて貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の流体管清掃装置。
【請求項5】
前記第1切削部の外周面には、螺旋状の溝部が複数形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の流体管清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176334(P2012−176334A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39217(P2011−39217)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】