説明

流体誘導接続を形成するための取付部品

プラスチック貯蔵器(1)に、詳細には流体、特に作動媒体を保持するためのタンクに、流体誘導接続を形成するための取付部品は、ジャケット(21)を有する中空本体(5)の形として備えられる接続部分を包含し、ジャケットは、中空本体(5)の端部(7、23)の間に中空本体(5)の長手方向の軸に沿って延在する。中空本体(5)は、貯臓器(1)の開口部(9)の縁部の中空本体(5)の開口端部(7)と、中空本体(5)のジャケット(21)の少なくとも一部分の領域とが、貯臓器(1)の壁(3)のプラスチックによって囲われるような方法で、貯臓器(1)の壁(3)のプラスチックに埋め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの容器の、詳細には流体、特に作動液を受容するためのタンクの壁の開口部に、流体誘導接続を形成するための取付部品に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックタンクは、作動液を収納するために液圧装置で広く使用されている。比較的単純な形状、軽量、及び耐腐食性の可能性によって、プラスチックタンクは、掘削機、ホイールローダ等々のような機械の、特に液圧装置で広範囲に使用される。
【0003】
このようなタンクは、周知の回転成形又はブロー成形工程によって一般的に生産され、例えば、ポリエチレン又はポリアミドのプラスチックが、作動液用のタンクのようなより大きな容器に使用されている。
【0004】
しかしながら、耐腐食性、軽量、及び成形の容易さの利点は、プラスチックタンクの場合に、容器又はタンクのプラスチックの壁の開口部における流体誘導接続の制作が、避けられない困難さを引起す欠点によって相殺される。プラスチック材料の物理的な特性によって、密閉する力と温度効果の結果として、開口部の領域で変形が生じうる危険性があり、高価な密閉要素を使用したとしても、変形はプラスチックタンクと付属要素との間に漏洩をもたらす。
【0005】
【非特許文献1】Schaal、Stoeckhert著「プラスチック機械の操作者(A Kunststoff Maschinenfuhrer @ [Plastic Machine Operator])」、p.561-564
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この技術状態に基づいて、本発明の目的は、プラスチック容器の開口部に、操作上信頼性のある長期間にわたって漏洩のない接続を可能にする取付部品を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
完全に請求項1に明記された特徴を所有する取付部品によって、この目的が達成されることが、本発明によって主張される。
【0008】
容器の壁のプラスチックに埋め込まれる中空要素の形状の接続部分を備える本発明で主張する取付部品は、強化要素を利用可能にし、強化要素は、タンクのプラスチック材料が、その材料が容器の開口部の中空要素の開口端部で中空要素を囲うばかりでなく、中空要素のジャケットの領域の少なくとも一部分に広がって埋め込む大きな領域によって、継手及び/又は密閉要素のような付加要素を装着するために本質的に強固な基盤を形成する。中空材料は、好ましくは金属の中空材料は、結合する液圧装置に一体化される継手又は付加要素のいずれの場合も、操作上信頼性高く連結可能であるばかりでなく、開口部の領域に配置されるプラスチックの容器又はタンクの領域の強化にも寄与する。
【0009】
有利な例示の実施形態において、流体誘導接続を形成するための中空要素は、中空要素の端部から一定の距離を開けて、ジャケットから突出し長手方向の軸に対して横方向に延在する接続分岐部を有し、この接続分岐部は、中空要素のジャケットに流体通路を形成し、容器の壁を貫通し、外部に延伸する。
【0010】
好ましくは、接続分岐部と一体化するように形成される中空要素が金属材料から作られると、大きな領域に亘って埋め込まれた中空要素は、固定する力、密閉する力、及び動的(振動)及び熱的効果のような中空要素に掛かる荷重がそれ自体によって、構造的に中空要素の変形を引起すことができないし、又、これらの荷重が、容器の中空要素の埋め込まれている全領域に亘って導かれる故に、容器のプラスチック材料に直接影響を与えることができないから、容器の壁のプラスチック材料を変形から信頼性高く保護する。
【0011】
有利な例示の実施形態において、容器の壁を貫通する接続分岐部の端部は、容器の壁の外面を越えて延伸するように形成され、接続分岐部は、接続分岐部の突出る部分が、少なくとも部分的にプラスチックで囲われるような方法で、容器の壁のプラスチックに埋め込まれる。このように達成される全領域に亘る中空要素と接続分岐部の埋め込みは、特に高い構造強度を保証する。
【0012】
好適な例示の実施形態において、中空要素は、円筒として形成され、容器の開口部と関連する端部から少し離れて、中空要素のジャケットに沿って延伸する材料の部分によって完全に外部から囲われるように、開口部の縁部でプラスチックに埋め込まれるフランジを有する。特に、中空要素の長手方向の軸に沿って作用する軸方向力に対する中空要素の良好な固定は、それによって達成される。
【0013】
容器の開口部が、キャップ形状の密閉要素によって厳封することが出来る、例示の実施形態において、例えば、中空要素の端部が容器の開口部の縁部を越えて外側に突出るような方法で、及び閉鎖要素による密閉接続のための密閉配置が、突出ている端部に備えられるように中空要素を埋め込んでもよい。
【0014】
代替として、中空要素が、容器の開口部と関連する中空要素の開口部の近傍の内部に、密閉を実施するための環状表面と共に機能する環状密閉要素の座として環状溝を有してもよく、この環状表面は、開口部に装着される閉鎖要素から中空要素の内部に延在する。
【0015】
キャップの形状の閉鎖要素の場合に、キャップは、さらに開口部を囲む壁と共に密閉を実施するために、中空要素の縁部を越えて半径方向に突出る密閉配置を備える要素を有してもよい。
【0016】
容器の開口部から離れて面する中空要素の端部に、中空要素がタンク頂部のフィルタを装着するための座を有してもよく、それは、例えば中空要素を交換するために、想定される閉鎖要素を介し、容器の開口部を介してアクセス出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、図面で示される例示の実施形態によって、以下により詳細に述べられるだろう。
【0018】
図1は、周知の回転成形工程(非特許文献1を参照)によって、より大きな容器に適切なプラスチック材料から製作されるプラスチックのタンク1の形状の容器の上部領域を示す。回転成形工程において、円筒形状の中空要素5は、中空要素5の図面の中で7として示される上端部が、タンク1の壁3の開口部9の内部に隣接するように、プラスチック壁3に成形される。図1に示される例示において、中空要素5の端部7は、壁3の外面を少し越えて突出し、突出ている端部に、ねじキャップ13の形状の閉鎖要素と共に、中空要素5のそれぞれの端部7で厳封を可能にし、結果として容器の壁3の開口部9の密閉を可能にする密閉リング11を備える。
【0019】
キャップ13は、中空要素5の内面のめねじ山17によって捩じ込むことが出来る、環状要素15の形状のねじ山が切られた構成要素を有する。
【0020】
示された例示の実施形態において、中空要素5は、圧入成形によって一体化され、端部7の外側近傍に円周フランジ19を有する。上端部7と下端部23との間のジャケット21のほぼ中央領域に、ジャケット21から、このジャケット21と一体化した接続分岐部25が、中空要素5の長手方向に又は円筒の軸に直角に延伸し、分岐部25の壁厚はジャケット21から自由端部27までに少し減少していて、これは、圧入成形による中空要素5の製造において加工中の素材の成形に有利に働くことに関係する。下端部23において、中空要素5のジャケット21は、半径方向で少し内側に突出る端部の縁29を有し、それが、円筒形状の中空要素5の内部31のそれぞれの開口部の直径を少し減少し、環状の肩部33を形成し、環状の肩部は、密閉リング35を介して環状の肩部に載っている市販のタンク頂部のフィルタ37のための座を形成する。フィルタ37の上側とキャップ13との間に装着される圧力バネ39は、バネの伸長力によって座にフィルタを保持する。
【0021】
図面で明白に分かるように、中空要素5が、中空要素5の上端部7で及びフランジ19の全外面に亘ってプラスチックに囲まれるように、及びプラスチックが、中空要素5のジャケット21に沿って下端部23まで延伸し、そこでさらにジャケット21の下端部の縁29を越えて延伸するように、容器の壁3のプラスチックに埋め込まれる。加えて、接続分岐部25が、ジャケット21と容器の壁3の内部との間の部分に亘って完全にプラスチックに囲まれるばかりでなく、壁3のプラスチックがまた、タンク1の外面の接続分岐部25も囲む。すでに述べられたように、中空要素5は、接続分岐部25の端部で流体接続のような付属要素のための接続部分を形成し、この接続部分は強化要素として機能し、強化要素は、容器の壁3のプラスチック材料で囲まれる大きな領域のために、容器の壁3に作用する力をタンク1のプラスチックへの低い特定の表面圧力として導いて、タンクの変形を防止する。
【0022】
図2に示される例示の実施形態は、キャップ13と中空要素5の上端部7との間の密閉配置が形状において異なっていることだけが、図1に示されたものと異なる。図2に示された例示において、中空要素5の上端部7は、タンク1のプラスチック壁3の外面とほぼ端部が揃っている。中空要素5とキャップ13との間の軸方向の密閉として備えられた図1の例示で示した密閉配置11に代わって、図2に示された例示において、中空要素5の内面の端部7の近傍に環状溝があり、その溝に半径方向の密閉部41が設置される。この密閉部41は、キャップ13の環状要素15に配置される環状表面43と共に機能する。中空要素5の内部31に延伸するこの環状要素15は、密閉部41と共に機能する環状要素のねじ山が切られていない環状表面43に続いて、おねじ山47を備える部分を有し、その部分を中空要素5のめねじ山17に捩じ込むことが出来る。
【0023】
半径方向の密閉部41に加えて、密閉接続が、キャップ13の壁3に面する円周の縁部51の表面の環状溝に設置される軸方向の密閉部49によって、キャップ13と容器1との間に備えられる。この円周の縁部51は、中空要素5の上端部7上で半径方向に、第一例示の実施形態の円周の縁部14が突出るより大きな距離を突出る。図2で示される例示における軸方向の密閉部49は、結果としてタンク1の壁3の外面と共に直接に機能する。
【0024】
図に示され上述された例示において、容器の壁の開口部9と結合する中空要素5の端部7に、キャップ13の形状の閉鎖要素がある。容器1の壁3の開口部9は、タンク頂部のフィルタ37のためのアクセス開口部としてこれらの例示の中で役割をなし、一方中空要素5の内部31に接続された接続分岐部25は、流体誘導接続を形成するために備えられる。キャップ13とは異なる種類の継手又は付加要素を、中空要素5の形状で接続部分に備えることが出来ることが理解されるだろう。例えば、タンク頂部のフィルタの継手先端部を、キャップ13の代わりに中空要素5の結合する端部7に固定することが出来るだろう。どの場合にも、タンク1の壁3のプラスチック材料の中に大きな領域に亘って埋め込まれる中空要素5の形をとる接続部分の存在に基づく該当の利点は、このような例示の実施形態によってもまた得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】作動液を受容するために備えられ、本発明の例示の実施形態を表し、さらにタンク頂部のフィルタの容器を形成する取付部品を備える、プラスチックのタンク形状の容器の上部分の領域のほぼ垂直断面を示す。
【図2】図1の実施形態に対応する、第二例示の実施形態の垂直断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックの容器(1)に、特に流体を、特に作動液を受容するためのタンクに流体誘導接続を形成するための取付部品であって、
前記タンクが、ジャケット(21)を備える中空要素(5)の形をとる接続部分を有し、前記ジャケット(21)が、前記中空要素(5)の端部(7、23)の間に前記中空要素(5)の長手方向の軸に沿って延在し、
タンクの中空要素(5)は、前記容器(1)の開口部(9)の縁部の前記中空要素(5)の開口端部(7)と、前記中空要素(5)のジャケット(21)の少なくとも一部分の領域とが、前記容器(1)の壁(3)のプラスチックによって囲われるように、前記容器(1)の壁(3)のプラスチックに埋め込まれる、取付部品。
【請求項2】
前記中空要素(5)は、前記中空要素(5)の端部(7、23)から少し離れて、前記ジャケット(21)から長手方向の軸に対して横方向に延伸する接続分岐部(25)を有し、前記中空要素(5)のジャケット(21)に流体通路を形成し、外部に延伸する前記接続分岐部(25)は、前記容器(1)の壁(3)を貫通する、請求項1に記載の取付部品。
【請求項3】
前記中空要素(5)が、前記接続分岐部(25)と一体化するように形成され、金属材料から成る、請求項2に記載の取付部品。
【請求項4】
前記容器(1)の壁(3)を貫通する前記接続分岐部(25)の端部(27)は、前記容器(1)の壁(3)の外面を越えて外側に突出るように形成され、前記接続分岐部(25)の突出ている部分が、少なくとも部分的にプラスチックによって囲われるように、前記容器(1)の壁(3)のプラスチックに埋め込まれる、請求項2又は3に記載の取付部品。
【請求項5】
前記容器(1)の壁(3)の内側から前記中空要素(5)のジャケット(21)に延伸する前記接続分岐部(25)の部分が、接続分岐部の全体領域に亘ってプラスチックで囲われ、その結果、連続したプラスチック構造体が、前記中空要素(5)のジャケット(21)を囲っている材料部分から前記接続分岐部(25)に沿って前記容器(1)の壁(3)まで、及び前記接続分岐部(25)の突出ている部分に沿って前記容器(1)の外面を越えて延在する、請求項4に記載の取付部品。
【請求項6】
前記中空要素(5)が、円筒の形であり、前記容器(1)の前記開口部(9)と関連する前記端部(7)から少し離れて、前記中空要素(5)のジャケット(21)に沿って延在するプラスチック材料の部分によって、見た目には完全に囲われるように、前記開口部(9)の縁部に、前記プラスチックに埋め込まれたフランジ(19)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の取付部品。
【請求項7】
前記中空要素(5)は、その端部(7)が前記容器(1)の前記開口部(9)の縁部を越えて外側に突き出すように埋め込まれ、前記突出る端部(7)は、閉鎖を実施するために前記容器(1)の前記開口部(9)に配置される閉鎖要素(13)を備える密閉接続のための密閉配置(11)を有する、請求項6に記載の取付部品。
【請求項8】
前記中空要素(5)が、その内面で、前記容器(1)の前記開口部(9)と関連する、中空要素の端部(7)の近傍に環状密閉要素(41)のための座として環状溝を有し、環状溝は、密閉を実施するために環状表面(43)と共に機能し、前記表面(43)は、前記開口部(9)に装着される閉鎖要素(13)から前記中空要素(5)の内部に延在する、請求項6に記載の取付部品。
【請求項9】
閉鎖要素として、おねじ山を備えるねじ山が切られた要素(47)を有するキャップ(13)が備えられ、前記要素(47)は、前記中空要素(5)の内面のめねじ山(17)に捩じ込まれる環状要素(15)の形になる、請求項7又は8に記載の取付部品。
【請求項10】
前記環状要素(15)が、ねじ山が切られていない部分を介して、前記中空要素(5)の内面の前記環状密閉要素(41)と共に作動する前記環状表面(43)を形成する、請求項8及び9に記載の取付部品。
【請求項11】
前記キャップ(13)が、前記中空要素(5)の縁部と部分的に重なり合う、半径方向に延伸する円周の縁部(14、15)を有する、請求項9又は10に記載の取付部品。
【請求項12】
前記円周の縁部(14)に、前記中空要素(5)の突出ている端部(7)の前記密閉配置(11)と共に作動するための密閉表面が備えられる、請求項7及び11に記載の取付部品。
【請求項13】
前記キャップ(13)の円周の縁部(51)が、前記中空要素(5)の縁部を越えて半径方向に突出る部分を有し、半径方向に突出るこの部分に、前記開口部(9)を囲む前記容器(1)の壁(3)と密閉を形成するための密閉配置(49)が備えられる、請求項11に記載の取付部品。
【請求項14】
前記中空要素(5)が、前記開口部(9)から離れて面する中空要素の端部(23)に、タンク頂部のフィルタ(37)を設置するための座(33)を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の取付部品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−526634(P2008−526634A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550685(P2007−550685)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011960
【国際公開番号】WO2006/074726
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(500082609)ハイダック フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (26)
【Fターム(参考)】