説明

流動層反応炉においてフルオロシリケートから四フッ化ケイ素を生成するプロセス及びシステム

アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを流動層反応炉において熱分解することにより四フッ化ケイ素を調製するためのプロセス及びシステム。分解反応において発生する四フッ化ケイ素の一部を反応炉に循環させ流動化ガスとして使用して上記フルオロシリケート材料を分散させる。上記分解反応において発生したアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物残渣を上記反応炉から排出し、フルオロケイ酸と反応させてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを生成させる。当該フルオロシリケートを、四フッ化ケイ素をさらに発生させるため上記反応炉に導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、概して、四フッ化ケイ素の調製に関し、より詳細には、流動層反応炉において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解して四フッ化ケイ素及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物とすることに関する。
【背景技術】
【0002】
四フッ化ケイ素は、シランを生成する際に前駆物質として用いられうる多用途のガスである。シランは、半導体及び太陽電池を製造するために用いられる多結晶シリコン製造のための価値あるフィードストックである。また、四フッ化ケイ素は、例えばイオン注入、フッ素化されたシリカのプラズマ析出のため用いられ、金属シリサイドエッチングに用いられる。
【0003】
四フッ化ケイ素は、従来、例えば、珪フッ化ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解することにより調製されていた。フルオロシリケートは、フルオロケイ酸をアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、カルボン酸、又は塩(具体的にはNaCl)と反応させることにより調製される。フルオロケイ酸は、リン酸肥料の製造において、又は硫酸と、ヘキサフルオロケイ酸バリウム、アパタイト、蛍石と反応させることにより副生成物として生成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
四フッ化ケイ素ガスを調製する従来の方法の一つには、米国特許第5,242,670号に記載されているように、窯でフルオロシリケートを加熱することによりフルオロシリケートを熱分解し四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物を生成させることが含まれる。このようなプロセスにより、JP10−231114に記載されているように、典型的には、フルオロシリケート材料に対する熱移動が少なく、そのため、過剰なエネルギーを用いることになる。通常、当該プロセスは二酸化珪素又は三酸化アルミニウムを加えることを必要とし、フッ化物残留物が凝集して残留物の固体ブロックが形成されることを防止する。シリコン又はアルミニウムの酸化物を用いることにより、商業的に、残留物がリサイクルに適さなくなってしまう。これは、残留物が、未反応のシリコン酸化物又はアルミニウム酸化物とフッ化物塩との混合物となるからである。残留混合物における不純物は、リサイクルされた製品の収率をより低下させる。したがって、典型的には、そのような残留混合物は、リサイクルよりも埋め立てにより廃棄されており、フルオロシリケートから四フッ化ケイ素を生産するためのプロセス及びシステムに対してニーズが存在する。フルオロシリケートは、フルオロシリケート材料に対して熱を効率的に伝達し適切にリサイクルされうる副生成物を生成する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様は、流動層反応炉において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解することにより四フッ化ケイ素を調製するプロセスに関する。当該流動層反応炉は、反応チャンバを備える。フルオロシリケート及び液状媒体は上記反応チャンバに導入される。当該フルオロシリケートは、当該反応チャンバにおいて液状媒体中に分散されている。反応チャンバの少なくとも一部の温度は、約400℃より高く維持され、フルオロシリケートの少なくとも一部又は全部を熱分解し四フッ化ケイ素を生成する。四フッ化ケイ素はその後反応チャンバから排出される。
【0006】
本発明の別の態様は、流動層反応炉において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解することにより四フッ化ケイ素を調製するプロセスに関する。フルオロシリケートは反応チャンバに導入され、反応チャンバの少なくとも一部または全部の温度が約400℃より高く維持され、フルオロシリケートの一部または全部を熱分解し四フッ化ケイ素を生成する。四フッ化ケイ素は、当該反応チャンバから排出され、排出された四フッ化ケイ素の一部が反応チャンバに導入される。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解することにより四フッ化ケイ素を調製するためのシステムに関する。当該システムは、フルオロシリケートを熱分解し四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物とするための反応チャンバを有する流動層反応炉を備える。加熱装置は、反応チャンバと熱的に接続されている。排気ガス処理システムは、上記流動層反応炉から排出されたガスを処理する。上記排気ガス処理システムは、上記流動層反応炉から排出された気体からアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物を除去するため、上記流動層反応炉に流体的に接続された特定のセパレータを含む。
【0008】
本発明の上述の態様に関連して述べた特徴について様々な限定が存在する。同様に別の特徴を本発明の上述した態様に組み込んでもよい。これらの限定及び付加的な特徴は、単独で又は組み合わせて存在してもよい。例えば、本発明の例示されたいずれかの実施の形態に関連して以下に説明する様々な特徴を本発明の上述の態様のいずれかに単独で又は組み合わせて組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、反応炉に出入されるフローを含む流動層反応炉の概略図である。
【図2】図2は、本発明の第一の実施の形態に係るシステムであって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートの熱分解により四フッ化ケイ素を生産するためのシステムのフロー図である。
【図3】図3は、本発明の第二の実施の形態に係るシステムであって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートの熱分解により四フッ化ケイ素を生産するためのシステムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、流動層反応炉においてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートの熱分解により四フッ化ケイ素を調製するためのプロセスを提供することを含む。分解反応において、発生する四フッ化ケイ素の一部を反応炉に循環させ、上記フルオロシリケート材料を分散させるために使用する。分解反応において発生するアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の残留物を当該反応炉から排出してもよいし、四フッ化ケイ素の更なる発生のための反応炉に導入されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを生成するため、フルオロケイ酸と反応させてもよい。
【0011】
以下に示すようにアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートは熱的に分解され四フッ化ケイ素及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物が生成される。
SiF→SiF+XMF2/x、
ここで、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、xはMがアルカリ金属である場合は2、Mがアルカリ土類金属である場合は1である。本発明のプロセスの実施の形態には、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のフロオロシリケート(通常ここでは”フルオロシリケート”と称する)及び流動媒体を流動層反応炉の反応チャンバに導入する工程が含まれる。当該フルオロシリケートは、上記反応チャンバの上記流動媒体内において分散されるようになる。反応チャンバの少なくとも一部の温度は、上記フルオロシリケートが分解される温度、典型的には、約400℃の温度より高く維持され、当該フルオロシリケートが熱的に分解され、四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のフッ化物が生成される。四フッ化ケイ素は、上記反応チャンバから排出され、別の処理工程に供される。別の処理工程には、例えば、上記排出されたアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のフッ化物の一部又は全部を上記反応チャンバに導入することにより四フッ化ケイ素をリサイクルすることが含まれる。リサイクルされた四フッ化ケイ素は、上記フルオロシリケートを分散させる流動媒体として機能する。他の処理工程は、例えば、上記フルオロシリケート供給物の乾燥、及び上記四フッ化ケイ素分解生成物からの粒子及び/又は水蒸気の除去を含む、本発明の実施の形態に従って実行してもよい。
【0012】
フルオロシリケート供給物
上記フルオロシリケート供給物は、好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートである。適切なアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートには、例えば、リチウムフルオロシリケート、ナトリウムフルオロシリケート、カリウムフルオロシリケート、マグネシウムフルオロシリケート、バリウムフルオロシリケート、カルシウムフルオロシリケート、及びこれらの組み合わせが含まれる。フルオロケイ酸(リン酸肥料を製造する際に生成される副生成物)と効果的に反応しナトリウムフルオロシリケートを生成しうる苛性ソーダ及び炭酸カリウム等のナトリウムフィードストックの幅広い利用可能性を考慮すると、ナトリウムフルオロシリケートは、特に好ましいフィードストックである。
【0013】
上記フルオロシリケートフィードストックは、本発明の実施の形態に係る不純物をどれだけ含んでいてもよい。これは、当該不純物は、典型的には固相中に残存し上記生成ガス中に混入していないからである。いくつかの実施の形態では、上記フルオロシリケートフィードストックには、乾燥状態で、約2質量%未満の不純物が含まれ、すなわち、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケート及び水分以外の約2質量%未満の化合物が含まれるが、しかしながら、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り不純物をいくらか含むフルオロシリケートを使用してもよい。他の実施の形態では、上記フルオロシリケートフィードストックは、乾燥状態で、約1質量%未満の不純物を含む。必要に応じて、フルオロシリケートにおける所定量の不純物を、上記不純物を選択的に吸収する吸収剤に上記フルオロシリケート材料を接触させることにより除去してもよい。
【0014】
いくつかの実施の形態において、上記フルオロシリケート粒子の平均公称直径は、約500μm未満であり、他の実施の形態では、約25μm〜約500μmであり、さらに別の実施の形態では、約80μm〜約250μmである。市販されているフルオロシリケートは、典型的には、これらの粒径範囲のフルオロシリケート粒子を含み、粒径の減少は、典型的には要求されない。しかしながら、より大きな粒径を有するフィードストックを用いる場合、フルオロシリケートの粒径を、例えば、上記フルオロシリケートを切削又はミリングする等の従来の方法で低減させてもよい。
【0015】
上記流動層反応炉に供給されるフルオロシリケートの固形物は、約3質量%未満の水分、約2質量%未満の水分、約1質量%未満の水分、さらには、約0.1質量%未満の水分を含んでいてもよい。本発明の技術的範囲を逸脱しない限りより多くの水分を含むフルオロシリケートを使用してもよいが、より多くの量の水分を含むフルオロシリケートは凝集し塊が形成されうる。当該塊は、加熱及び分解することが困難であり当該反応炉において分散させることが困難である。四フッ化ケイ素生成物は、さらに、上記水分と反応し不所望のフッ化水素及びフルオロジシロキサンが生成される。これらにより、上記反応チャンバの腐食が促進される(当該反応チャンバは例えば耐熱性オーステナイトステンレス鋼から構成される)。
【0016】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、水分は、上記流動層反応炉に導入する前に、上記フルオロシリケート材料を乾燥装置に導入することにより、上記フルオロシリケート供給物から除去してもよい。上記乾燥装置は、例えば回転ドライヤ又はドラムドライヤ等の間接ドライヤであってもよいし、例えば流動層ドライヤ、ベルトドライヤ又は真空ドライヤ等の直接ドライヤであってもよい。上記乾燥装置及び上記流動層ドライヤは、統合して一つのユニットとしてもよいが(すなわち、当該装置の同一箇所において乾燥と熱分解とが起こる)、しかしながら、四フッ化ケイ素に対するプロセス選択性を改良するため、そして、上記四フッ化ケイ素生成ガスにおける副生成物の量を低減するため、上記フルオロシリケート材料を上記流動層反応炉に導入する前にフルオロシリケート材料の乾燥を行うことが好ましい。
【0017】
上記乾燥装置及び上記流動層反応炉を統合して一つのユニットとしている実施の形態において(すなわち、当該装置の同一箇所において乾燥と熱分解とが起こる)、温度及び/又は周囲のガスを上記ユニットに亘って変更してもよく、これにより、温度及び/又は周囲のガスが、当該装置の1以上の領域において、上記フルオロシリケートの乾燥を助力し、一方、他の領域における温度及び/又は周囲のガスは、上記フルオロシリケートの分解を助力する。このような複数領域の設計が商業的に実行可能でない場合、上記流動層反応炉における温度及び/又は周囲のガスをバッチモードで変更してもよい。当該バッチモードでは、フルオロシリケート供給物を最初のステップにおいて異なる温度及び周囲のガスの条件で乾燥させる。
【0018】
好ましくは、不活性ガスを含む雰囲気を上記乾燥装置に循環させ、蒸発した水蒸気を除去しフルオロシリケートフィードストックからの水分の除去を促進することを助力する。適切な不活性ガスには、例えば、窒素、ヘリウム、及びアルゴンが含まれる。いくつかの実施の形態において、水蒸気に取り込まれた空気を含む大気を上記乾燥装置を介して循環させる。例えば冷却装置を用いることにより水蒸気を空気から除去してもよい。上記大気及び水蒸気を再循環ファン又はブロワにより上記乾燥装置に注入してもよいし又は注出してもよい。上記排ガスに取り込まれた微粒子、すなわち、フルオロシリケートダストを除去するため、上記乾燥装置から排出された水蒸気及び大気(集合的には”排ガス”)を微粒子セパレータに導入する。適切な微粒子セパレータには、例えば、バックフィルタ、サイクロンセパレータ及び液体スクラバ等が含まれる。フルオロシリケートダストを上記乾燥装置へ、より好ましくは上記流動層反応炉へ循環させてもよい。
【0019】
上記排ガスを、蒸気セパレータ、例えば、ミストエリミネータ又は液体スクラバ等に導入し水蒸気を除去してもよい。上記液体スクラバの一つの例としては、水蒸気を霧状にするベンチュリスクラバがある。いくつかの実施の形態において、上記微粒子セパレータ及び上記蒸気セパレータは一つのユニットとされている(すなわち、微粒子及び水蒸気は、当該装置において排ガスから除去される)。いくつかの実施の形態において、排ガス中の水蒸気を最初霧状にし、上記微粒子に衝突する水粒子を生成する。微粒子を含んでいる水粒子は、サイクロンセパレータにおいて分離してもよい。本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、上記微粒子及び水蒸気を任意の順序で上記排ガスから除去してもよい。好ましくは水蒸気に取り込まれ微粒子に取り込まれた排ガスを上記乾燥装置に循環させてもよい。
【0020】
流動層反応炉
フルオロシリケート供給物及び流動媒体を流動層反応炉に導入し、上記流動媒体において当該フルオロシリケートを分散させそして上記フルオロシリケートを熱分解して四フッ化ケイ素及びフッ化物残渣が生成される。以下、図1を参照すると、本発明の実施の形態に係る使用に適した流動層反応炉が概して1で示されている。反応炉1は、反応チャンバ10及びガス分散ユニット2を含む。反応チャンバ10は、典型的には、フルオロシリケート粒子が、上記反応炉において、流動媒体、典型的には流動化ガスの上方向のフローにより分散される流動層である。流動層反応炉は、分解フルオロシリケート粒子と、上記フルオロシリケート粒子の分解速度を向上させる気相との間において高い質量輸送速度及び高い熱輸送速度を提供する。
【0021】
流動層反応炉1は、流動層オペレーションに対して許容できる数多くの構成要素により特徴付けられる。いくつかの実施の形態では、上記流動層反応炉は、バブリング流動層タイプの反応炉である。他の実施の形態では、上記流動層反応炉は、副生成物の固形物と未反応のフルオロシリケート供給物が、四フッ化ケイ素ガスとともに上記反応炉から輸送される循環流動層である。さらに別の実施の形態では、上記流動層反応炉は輸送反応炉である。オペレーションのモードに拘わらず、上記流動層反応炉は、概して、円柱状水平容器であってもよい。全ての反応炉設計は、上記流動層直後の、例えば、サイクロンセパレータ等の微粒子セパレーションユニットを含む。上記反応炉の特定の寸法は、主として、システムデザイン要素に依存する。当該要素は、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、所望のシステムアウトプット、熱輸送効率、及びシステム流体力学等によってシステム毎に異なる。
【0022】
反応チャンバ10の入口に流動化ガスを均一に分配するため、流動化ガス5を分配ユニット2に導入する。分配ユニット2は、フルオロシリケート材料の分解速度を最大化するため、反応チャンバ10を介して流動化ガスを均一に分配することを助力する。均一な流動化は、副生成物残渣に対する上記フルオロシリケート供給物の凝集及び融合を防止するよう助力する。
【0023】
ホッパ及び回転エアーロックを用いることにより、又は、振動供給装置を用いることにより、フルオロシリケート材料8を空気圧で反応チャンバ10に導入してもよい。フルオロシリケート材料を連続的に反応チャンバ10に加えて、流動層をよく混合された状態に維持し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の副生成物が凝集するのを防止することが好ましい。よく混合された流動層により、反応チャンバ10内においてホットスポットが形成されることが防止される。共晶点温度を超えるホットスポットにより、フルオロシリケート及びフッ化物の副生成物からなる溶融した液体ペーストから共晶が形成されうる。共融混合物の形成により、上記分散ユニット及び/又は生成物排出ユニットを塞いでしまい、このため、反応炉をオフラインにして洗浄することが必要となる。上記反応チャンバにおける材料の組成とともに共晶点は変動し、当該技術の分野における当業者により容易に決定することができる。一般的に及び本明細書のいくつかの実施の形態では共晶点は約695℃である。さらに高いホットスポット温度により、フッ化物副生成物が溶解され、それにより、不必要で付加的な反応炉の中断が引き起こされる。他の実施の形態では、1以上の反応チャンバ10にフルオロシリケート供給材料が断続的に導入されるバッチ式システムを用いてもよい。設計結果(design consideration)に応じて、フルオロシリケート材料8を反応チャンバ10の上部、下部、又は中央部に加えてもよい。
【0024】
流動層反応炉1のオペレーションの間、反応領域を通過する流動化ガスの速度は、フルオロシリケート粒子の最小流動速度を超えるように維持される。分配ユニット2に近い反応チャンバ10を通過するガス表面速度は、概して、上記流動層内において粒子を流動化させるに必要な最小流動速度の約1倍〜約8倍の速度に維持される。いくつかの実施の形態において、ガス速度は、約2倍〜約5倍であり、少なくとも1つの実施の形態では、上記流動層内において粒子を流動化するに必要な最小流動速度の約4倍である。上記最小流動速度は、含まれるガス及び粒子の特性に応じて変動する。上記最小流動速度は従来の手段により決定してもよい(例えば、ペリー化学エンジニアハンドブック第7版の第17−4参照。ここで引用して援用する)。
【0025】
上記最小流動速度は、それらが分配ユニット2の近くに存在するため、条件に合わせて算出することが好ましい。これらの条件(通常、温度が反応炉の残余の部分より冷たいことが含まれる)を用いて、確実に、算出された最小流動速度を、全流動層を流動化させるに充分なものとすることができる。分配ユニットを超える高温において、粘度及び密度の変数は、熱に対して敏感であり、上記流動層の下部におけるより低い温度では、上記流動層を流動化させるに充分でないような最小流動速度となるであろう。そのため、冷却装置の条件に基づいて最小流動速度を算出することにより、全流動層を流動化させるであろう最も低い流動速度を確実に算出することができる。本発明は、特定の最小流動速度に限定されることはないけれども、本発明において有効な最小流動速度は、約0.1cm/秒〜約20cm/秒に亘り、さらに好ましくは約0.5cm/秒〜約5cm/秒に亘る。
【0026】
通常、上記最小流動流速より速いガス速度によりより高い生産性が達成されることが望まれている。ガス速度は、最小流動速度を超えて増加するため、過剰のガスがバブルを形成しそれにより流動層の空隙率が増加する。当該流動層は、フルオロシリケート粒子に接触するガスを含むバブル及び’エマルジョン’からなると考えられる。エマルジョンの品質は、最小流動化条件における上記流動層の品質と全く同じである。当該エマルジョンにおける局所的な空隙率は、最小流動層空隙率に近い。そのため、最小流動化を達成するために必要とされるものを超えて導入されたガスによりバブルが発生する。最小速度により除された実際のガス速度の比率が増加するに従って、バブルの形成が増加する。最小流動化流速より速いガス速度下において、粒子は、急速に分解反応温度まで加熱され、四フッ化ケイ素ガスが反応チャンバから急速に除去される。粒子の近くの四フッ化ケイ素ガス濃度は、四フッ化ケイ素ガスの生成率に影響を与える。
【0027】
典型的には、外部からの熱を用いて、フルオロシリケート粒子の温度を、それらが分解されるポイントまで増加させる。加熱方法には、例えば、容量加熱、インダクションコイル(RF)及び電気抵抗エレメントが含まれる。いくつかの実施の形態において、流動化ガスは、反応チャンバ10に導入する前に加熱される。反応チャンバ10に導入する際、流動ガスは、熱を当該粒子に輸送し、それらを熱分解させる。いくつかの実施の形態において、熱の外部付与及び流動ガスの事前加熱の両方を実行する。
【0028】
反応チャンバ10における温度は、好ましくは、フルオロシリケート材料が分解され四フッ化ケイ素及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物が生成される温度より高く維持される。反応チャンバ10の温度は約400℃より高く、典型的には、約400℃〜約800℃、約400℃〜約750℃、さらには、約500℃〜約695℃に維持してもよい。好ましくは、上記反応チャンバにおける温度は、フルオロシリケート及びフッ化物残渣が共融混合物を形成する温度(通常約695℃)未満であって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の溶融温度未満に維持される。
【0029】
分解反応は可逆反応であり、熱分解の程度は部分的に反応炉の圧力に依存するため、上記反応炉内の(絶対)圧力(排ガス16が反応チャンバに存在するポイントにおいて上記反応炉上方で測定する)は、好ましくは、約1バール未満に維持してもよい。他の実施の形態では、当該圧力は、約0.001バール〜約1バールに維持される。他の実施の形態では、当該圧力は、約0.001バール〜約0.9バール、約0.001バール〜約0.5バール、約0.001バール〜約0.1バール、又は約0.001バール〜約0.01バールに維持される。
【0030】
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケート材料は分解され四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物残渣が生成される。当該残渣は典型的には粉末であり、当該残渣を、反応チャンバから、反応チャンバのベースにおける重力ドロップ(不図示)を通って、副生成物取出チューブ12を介して、フッ化物残渣貯蔵庫15まで引き込んでもよい。他の実施の形態では、残渣は四フッ化ケイ素の排ガス16とともに反応チャンバ10に存在し、微粒子セパレータ、例えばサイクロンセパレータ等によりガスから分離される。好ましくは、当該残渣は、反応チャンバ10から連続的に取り除かれる。しかしながら、当該残渣は、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り断続的に(すなわち、バッチワイズ方法により)除去してもよい。好ましくは、フルオロシリケート粒子の反応チャンバ10への導入と、フルオロシリケート粒子の熱分解の副生成物として生産された対応するフッ化物残渣の排出との間の平均時間間隔は、約5分〜約50分又は約10分〜約30分である。
【0031】
本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、上述のプロセスを実行することができる任意の反応炉を用いることができることに留意すべきである。そのような反応炉は、流動層反応炉として一般的に記載されている。さらに、本発明のプロセスは、一の流動層反応炉において反応を実行してもよいし、又は直列及び/又は並列に構成された1以上の流動層反応炉を組み込んでもよい。
【0032】
排ガス処理
分解生成物(集合的には”排ガス”)16として生成される流動化ガス及び四フッ化ケイ素ガスは反応チャンバ10に存在し、別のプロセスユニット18に導入してもよい。上記排ガスは、再循環ファン又はブロワにより上記流動層反応炉に注入又は注出される。上記排ガスに取り込まれたアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物又はフルオロシリケートダストを除去するため、上記排ガスを微粒子セパレータに導入してもよい。適切な微粒子セパレータには、例えば、セラミックの及び金属のダストフィルタ及びサイクロンセパレータが含まれる。上記排ガスから除去されたフッ化物は、以下により詳細に記載するように廃棄又はリサイクルされる。いくつかの実施の形態において、上記排ガスから除去された微粒子は流動層反応炉1に戻される。
【0033】
排ガスを、蒸気セパレータ、例えば、上記排ガスを冷却し濃縮し上記ガス中に存在する水蒸気及びフッ化水素を除去する濃縮除去装置等に導入してもよい。本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、上記微粒子及び水蒸気を任意の順序で除去してもよい。好ましくは水蒸気及び微粒子に取り込まれた排ガスを上記システムから生成ガスとして抜き出してもよい。上記生成ガスは、液体窒素温度において固体として貯蔵してもよいし又は加圧ガスとして貯蔵してもよい。上記排ガスの一部は、上記流動ガスとして上記流動層反応炉へ循環させてもよい。
【0034】
上記流動層反応炉において使用される流動化ガスは、上記反応炉から排出される四フッ化ケイ素ガスの一部であることが好ましい。しかしながら、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、窒素、ヘリウム及びアルゴンを含む不活性ガス等の他の流動化ガスを用いてもよい。上記反応チャンバにおいて、四フッ化ケイ素以外の流動化ガスが用いられる場合、上記排ガス中の四フッ化ケイ素は、好ましくは、生成物の回収のため、上記流動化ガスから分離される。分離技術には、例えば、吸着、膜分離及び蒸留が含まれる。
【0035】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属のフッ化物の処理
上記反応炉から取り出されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物残渣を生成物として収集し、より好ましくはさらに処理して反応チャンバ10に循環させる。以下に示すように、上記フッ化物残渣をフルオロケイ酸と反応させてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを生成させてもよい。
XMF2/x+HSiF→MSiF+2HF
ここで、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、xはMがアルカリ金属である場合は2であり、Mがアルカリ土類金属である場合は1である。アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物を直接液体のフルオロケイ酸に加えて、フッ化水素及び未反応のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物及びフルオロケイ酸並びに沈殿したフルオロシリケートを含む上澄みが生成される。上記沈殿したフルオロシリケートを上記上澄みから分離し流動層反応炉1の反応チャンバ10に導入する。上記フルオロシリケートを、好ましくは、流動層反応炉1に導入される前に浄化し乾燥する。上記フルオロシリケート材料は、図3に示されるように、フルオロシリケート供給材料を乾燥させるために用いられる乾燥装置に導入してもよい。上記フッ化水素の浮遊物を浄化し生成物として集め、付加的な四フッ化ケイ素を生成するために用いてもよい。以下に示すように、フッ化水素をシリコン酸化物と反応させて、付加的な四フッ化ケイ素を生成させてもよい。
4HF+SiO→SiF+2H
【0036】
四フッ化ケイ素を調製するためのシステム
本発明のプロセスを、四フッ化ケイ素を生成させるためのシステム、例えば、図2に示すシステム又は図3に示すシステムにおいて実行してもよい。当該システムは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の供給物貯蔵庫(”フルオロシリケート供給物貯蔵庫”)を含む。上記フルオロシリケート供給物を、上記フルオロシリケート供給物から水分を除去するため、搬送装置によって乾燥装置に搬送する。上記フルオロシリケート供給物から除去された水蒸気を含む、上記乾燥装置からの排ガスを排ガス処理システムに導入する。当該排ガス処理システムは、微粒子セパレータ及び蒸気セパレータを含む。上記微粒子セパレータは、上記乾燥装置を介して循環させた排ガスからフルオロシリケートダストを分離する。蒸気セパレータは、上記乾燥装置において発生した水蒸気を分離する。本発明の技術的範囲から逸脱しない限り、上記微粒子及び水蒸気を任意の順序で排ガスから分離してもよい。例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、又は任意の水分除去空気を含む構成ガスを上記排ガス処理システムに供給してもよい。搬送装置は、フルオロシリケート供給物を上記乾燥装置から流動層反応炉へ搬送する。当該流動層反応炉は、フルオロシリケートを熱分解して四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物とするための反応チャンバを含む。当該システムは、上記反応チャンバと熱的に接続されたヒータ装置を備える。
【0037】
上記流動層反応炉において生成された排ガスを排ガス処理システムに導入する。当該排ガス処理システムは、上記流動層反応炉から排出されたガスから、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物及び/又はフルオロシリケートダストを除去するため、上記流動層反応炉と流体的に接続された微粒子セパレータを含む。上記排ガス処理システムは、また、上記流動層反応炉から排出されたガスから水蒸気を濃縮除去するための蒸気セパレータを備える。本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、上記微粒子及び水蒸気を任意の順序で上記排ガスから除去してもよい。当該システムは、四フッ化ケイ素生成物の貯蔵システムを含んでいてもよい。上記流動層反応炉から排出された四フッ化ケイ素の一部が流動化ガスとして搬送装置により上記流動層反応炉へ搬送される。
【0038】
上記システムには、フッ化物反応炉を有するフッ化物処理システムが含まれる。搬送装置は、上記微粒子セパレータから排出された(又は、これに代えて若しくはこれに加重して、上記流動層反応炉から排出された)アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物を上記フッ化物反応炉に搬送する。フルオロケイ酸は、上記フッ化物反応炉において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物と反応して、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートが生成される。上記フッ化物反応炉から排出されたフルオロシリケート材料を搬送装置により上記流動層反応炉まで搬送してもよい。上記流動層反応炉に導入する前に、上記フルオロシリケート材料を浄化し(不図示)及び/又は図2に示す乾燥装置において乾燥させてもよい。上記乾燥装置は、図3に示すような、フルオロシリケート供給材料を乾燥させるために使用されるものと同じ乾燥装置であってもよい。
【0039】
適切な搬送装置は、従来のものであり、当該技術分野においてよく知られている。ガスを搬送するための適切な搬送装置には、例えば、再循環ファン又はブロワが含まれ、固体を搬送させるための適切な搬送装置には、例えば、ドラッグ、スクリュー、ベルト、及び空気圧式コンベヤが含まれる。
【0040】
四フッ化ケイ素の生成のためのシステムにおいて使用される全ての装置は、雰囲気における腐食(酸成分へさらすこと、より詳細には、例えば、四フッ化ケイ素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、四フッ化ケイ素、及びフッ化水素を含むフッ素含有化合物にさらすことを含む)に対して耐性を有することが好ましい。適切な構成材料は、本発明の技術分野において、従来から用いられているものでありよく知られている。当該材料には、例えば、オーステナイトステンレス鋼、MONEL合金、INCONEL合金、HASTELLOY合金及びニッケルが含まれる。
【0041】
本発明の又はその好ましい実施の形態の構成要素を導入する際、冠詞”a”、”an”、”the”及び”said”は、1以上の構成要素が存在することを意味しようとしている。”comprising(含む)”、”including(含有する)”、及び”having(有する)”なる用語は、包括的であり、列挙された構成要素以外の付加的な構成要素が存在してもよいことを意味しようとしている。
【0042】
本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、上述の装置及び方法において様々に変更することができるため、上記明細書に含まれ添付の図面において図示された全ての事項は、例示であると解釈されるべきであり、限定することを目的とするものではないことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバを含む流動層反応炉においてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解することにより四フッ化ケイ素を調製するプロセスであって、
反応チャンバにフルオロシリケート及び流動媒体を導入する工程と、
上記反応チャンバの流動媒体内においてフルオロシリケートを分散させる工程と、
上記反応チャンバの温度を約400℃より高く維持して上記フルオロシリケートを熱分解し四フッ化ケイ素を生成させる工程と、
上記反応チャンバから四フッ化ケイ素を排出する工程と、を備えるプロセス。
【請求項2】
上記流動媒体には、四フッ化ケイ素ガスが含まれる請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
上記排出された四フッ化ケイ素の一部が、上記反応チャンバに導入され、上記反応チャンバにおいてフルオロシリケートが分散される請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
上記フルオロシリケートが分解され、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物が生成される請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
上記反応チャンバが、上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の溶融温度未満に維持される請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
上記反応チャンバが、上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物及びフルオロシリケートが共融混合物を生成する温度未満に維持される請求項4又は5記載のプロセス。
【請求項7】
上記フルオロシリケートが、リチウムフルオロシリケート、ナトリウムフルオロシリケート、カリウムフルオロシリケート、マグネシウムフルオロシリケート、バリウムフルオロシリケート、カルシウムフルオロシリケート、及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
上記フルオロシリケートが、ナトリウムフルオロシリケートである請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
上記反応チャンバが、約400℃〜約800℃の温度に維持される請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
上記反応チャンバが、約400℃〜約750℃の温度に維持される請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
上記反応チャンバが、約500℃〜約695℃の温度に維持される請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
上記反応チャンバは、側壁を含み、
上記反応チャンバの温度は、上記反応チャンバの側壁に熱を付与することにより、約400℃〜約800℃に維持される請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
抵抗ヒータにより上記側壁に熱が付与される請求項12記載のプロセス。
【請求項14】
燃焼ガスを上記側壁に接触させることにより、上記側壁に熱が付与される請求項12記載のプロセス。
【請求項15】
誘導コイルを用いて上記側壁を誘導的に加熱することにより、上記側壁に熱が付与される請求項12記載のプロセス。
【請求項16】
上記反応チャンバの温度が、上記排出された四フッ化ケイ素の一部を加熱し、かつ上記加熱された四フッ化ケイ素を上記反応チャンバに導入することにより、約400℃〜約800℃に維持される請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
上記反応チャンバは、側壁を含み、
上記反応チャンバの温度が、(1)上記反応チャンバの側壁に熱を加えることにより、及び(2)上記排出された四フッ化ケイ素の一部を加熱し上記加熱された四フッ化ケイ素を上記反応チャンバに導入することにより、約400℃〜約800℃に維持される請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
上記フルオロシリケートが粉状粒子を含む粉末である請求項1〜17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
上記粒子は、約25μm〜約500μmの平均公称直径を有する請求項18記載のプロセス。
【請求項20】
上記フルオロシリケート粉状粒子が分解され四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の固体残渣が生成される請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項21】
上記フッ化物の残渣が、上記反応チャンバから排出される請求項20記載のプロセス。
【請求項22】
上記反応チャンバにフルオロシリケート粉状粒子を導入することと、対応する上記フッ化物残渣を排出することとの間の平均時間間隔が、約5分〜約50分である請求項21記載のプロセス。
【請求項23】
上記反応チャンバにフルオロシリケート粉状粒子を導入することと、対応する上記フッ化物残渣を排出することとの間の平均時間間隔が、約10分〜約30分である請求項21記載のプロセス。
【請求項24】
上記フッ化物残渣が、上記反応チャンバから排出された四フッ化ケイ素とともに、上記反応チャンバから排出され、
上記フッ化物残渣が、微粒子セパレータにおいて、上記排出された四フッ化ケイ素から分離される請求項20〜23のいずれかに記載のプロセス。
【請求項25】
上記反応チャンバが、約1バール未満の絶対圧力に維持される請求項1〜24のいずれかに記載のプロセス。
【請求項26】
上記反応チャンバが、約0.001バール〜約1バールの絶対圧力に維持される請求項1〜24のいずれかに記載のプロセス。
【請求項27】
上記反応チャンバが、約0.001バール〜約0.1バールの絶対圧力に維持される請求項1〜24のいずれかに記載のプロセス。
【請求項28】
上記反応チャンバが、約0.001バール〜約0.01バールの絶対圧力に維持される請求項1〜24のいずれかに記載のプロセス。
【請求項29】
上記反応チャンバに導入する前に上記フルオロシリケートを乾燥させる請求項1〜28のいずれかに記載のプロセス。
【請求項30】
上記フルオロシリケートを分解しアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の固体残渣を生成させるプロセスであって、
反応チャンバからフッ化物残渣を排出する工程と、
上記フッ化物残渣にフルオロケイ酸を反応させてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを生成させる工程と、
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを上記反応チャンバに導入する工程と、
をさらに備える請求項1〜29のいずれかに記載のプロセス。
【請求項31】
反応チャンバにおいてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解することにより四フッ化ケイ素を調製するプロセスであって、
フルオロシリケートを反応チャンバに導入する工程と、
上記反応チャンバの温度を約400℃より高い温度に維持して上記フルオロシリケートを熱分解し四フッ化ケイ素を生成させる工程と、
上記反応チャンバから四フッ化ケイ素を排出する工程と、
上記排出された四フッ化ケイ素の一部を上記反応チャンバへ導入する工程と、を備えるプロセス。
【請求項32】
上記の排出された四フッ化ケイ素が、流動化ガスとして上記反応チャンバへ導入され、上記反応チャンバにおいてフルオロシリケートを分散させる請求項31記載のプロセス。
【請求項33】
上記フルオロシリケートが分解されアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物が生成される請求項31又は32記載のプロセス。
【請求項34】
上記反応チャンバが、上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の溶融温度未満の温度に維持される請求項33記載のプロセス。
【請求項35】
上記反応チャンバが、上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物及びフルオロシリケートが共融混合物を生成する温度未満の温度に維持される請求項33又は34記載のプロセス。
【請求項36】
上記フルオロシリケートが、リチウムフルオロシリケート、ナトリウムフルオロシリケート、カリウムフルオロシリケート、マグネシウムフルオロシリケート、バリウムフルオロシリケート、カルシウムフルオロシリケート、及びそれらの混合物からなる群から選択される請求項31〜35のいずれかに記載のプロセス。
【請求項37】
上記フルオロシリケートが、ナトリウムフルオロシリケートである請求項31〜35のいずれかに記載のプロセス。
【請求項38】
上記反応チャンバが、約400℃〜約800℃の温度に維持される請求項31〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項39】
上記反応チャンバが、約400℃〜約750℃の温度に維持される請求項31〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項40】
上記反応チャンバが、約500℃〜約695℃の温度に維持される請求項31〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項41】
上記反応チャンバが、側壁を有し、
上記反応チャンバの温度が、上記反応チャンバの側壁に熱を付与することにより、約400℃〜約800℃に維持される請求項31〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項42】
抵抗ヒータにより上記反応チャンバに熱が付与される請求項41記載のプロセス。
【請求項43】
燃焼ガスを上記側壁に接触させることにより上記側壁に熱が付与される請求項41記載のプロセス。
【請求項44】
誘導コイルを用いて上記側壁を誘導的に加熱することにより、上記側壁に熱が付加される請求項41記載のプロセス。
【請求項45】
上記反応チャンバの温度が、上記排出された四フッ化ケイ素の一部を加熱し、上記加熱された四フッ化ケイ素を上記反応チャンバに導入することにより、約400℃〜約800℃に維持される請求項31〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項46】
上記反応チャンバは、側壁を含み、
上記反応チャンバの温度が、(1)上記反応チャンバの側壁に熱を付与することにより、及び(2)上記排出された四フッ化ケイ素の一部を加熱し上記加熱された四フッ化ケイ素を上記反応チャンバに導入することにより、約400℃〜約800℃に維持される請求項31〜37のいずれかに記載のプロセス。
【請求項47】
上記フルオロシリケートが、粉状粒子を含む粉末である請求項31〜46のいずれかに記載のプロセス。
【請求項48】
上記粒子が、約25μm〜約500μmの平均公称直径を有する請求項47記載のプロセス。
【請求項49】
上記フルオロシリケート粉状粒子が分解され四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の固体残渣が生成される請求項47又は48記載のプロセス。
【請求項50】
上記フッ化物残渣が、上記反応チャンバから排出される請求項49記載のプロセス。
【請求項51】
上記反応チャンバにフルオロシリケート粉状粒子を導入することと、対応する上記フッ化物残渣を排出することとの間の平均時間間隔が、約5分〜約50分である請求項50記載のプロセス。
【請求項52】
上記反応チャンバにフルオロシリケート粉状粒子を導入することと、対応する上記フッ化物残渣を排出することとの間の平均時間間隔が、約10分〜約30分である請求項50
記載のプロセス。
【請求項53】
上記フッ化物残渣が、上記反応チャンバから排出された四フッ化ケイ素とともに、上記反応チャンバから排出され、
上記フッ化物残渣が、微粒子セパレータにおいて、上記排出された四フッ化ケイ素から分離される請求項49〜52のいずれかに記載のプロセス。
【請求項54】
上記反応チャンバが、約1バール未満の絶対圧力に維持される請求項31〜53のいずれかに記載のプロセス。
【請求項55】
上記反応チャンバが、約0.001バール〜約1バールの絶対圧力に維持される請求項31〜53のいずれかに記載のプロセス。
【請求項56】
上記反応チャンバが、約0.001バール〜約0.1バールの絶対圧力に維持される請求項31〜53のいずれかに記載のプロセス。
【請求項57】
上記反応チャンバが、約0.001バール〜約0.01バールの絶対圧力に維持される請求項31〜53のいずれかに記載のプロセス。
【請求項58】
上記反応チャンバに導入する前に上記フルオロシリケートを乾燥させる請求項31〜57のいずれかに記載のプロセス。
【請求項59】
上記フルオロシリケートを分解しアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物の固形残渣を生成させるプロセスであって、
反応チャンバからフッ化物残渣を排出する工程と、
上記フッ化物残渣をフルオロケイ酸と反応させてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを生成させる工程と、
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを上記反応チャンバに導入する工程と、
をさらに備える請求項31〜58のいずれかに記載のプロセス。
【請求項60】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを熱分解することにより四フッ化ケイ素を調製するためのシステムであって、
フルオロシリケートを熱分解して四フッ化ケイ素ガス及びアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物とするための反応チャンバを備える流動層反応炉と、
上記反応チャンバと熱的に接続されたヒータ装置と、
上記流動層反応炉から排出されたガスを処理するための排ガス処理システムであって、上記流動層反応炉から排出されたガスからアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物を除去するために上記流動層反応炉と熱的に接続された微粒子セパレータを含む排ガス処理システムと、を備えるシステム。
【請求項61】
フルオロシリケート供給物から水分を除去するための乾燥装置を備える請求項60記載のシステム。
【請求項62】
上記乾燥装置から排出されたガスを処理するための排ガス処理システムを備え、
上記排ガス処理システムは、
上記乾燥装置から排出されたガスからフルオロシリケートダストを分離するための、上記乾燥装置に流体的に接続された微粒子セパレータと、
上記乾燥装置から排出されたガスから水蒸気を濃縮する蒸気セパレータと、を備えるシステム。
【請求項63】
上記排ガス処理システムは、上記流動層反応炉から排出されたガスから水蒸気を濃縮・除去する蒸気セパレータを備える請求項60〜62のいずれかに記載のシステム。
【請求項64】
フルオロシリケート供給物貯蔵システムをさらに備える請求項60〜63のいずれかに記載のシステム。
【請求項65】
フルオロシリケート供給物を上記フルオロシリケート供給物貯蔵システムから上記乾燥装置へ搬送する搬送装置をさらに備える請求項64記載のシステム。
【請求項66】
フルオロシリケート供給物を上記乾燥装置から上記流動層反応炉へ搬送する搬送装置をさらに備える請求項61〜65のいずれかに記載のシステム。
【請求項67】
四フッ化ケイ素生成物の貯蔵システムをさらに備える請求項60〜66のいずれかに記載のシステム。
【請求項68】
上記流動層反応炉から排出された四フッ化ケイ素の一部を、流動化ガスとして上記流動層反応炉に輸送するための四フッ化ケイ素搬送装置をさらに備える請求項60〜67のいずれかに記載のシステム。
【請求項69】
上記流動層反応炉から排出されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物をフルオロケイ酸と反応させアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフルオロシリケートを生成するためのフッ化物反応炉を備えるフッ化物処理システムをさらに備える請求項60〜68のいずれかに記載のシステム。
【請求項70】
上記微粒子セパレータから排出されたアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物を上記フッ化物反応炉へ搬送するための搬送装置をさらに備える請求項69記載のシステム。
【請求項71】
上記フッ化物反応炉から排出されたフルオロシリケートを上記流動層反応炉へ搬送する搬送装置をさらに備える請求項69又は70のいずれかに記載のシステム。
【請求項72】
上記フッ化物反応炉から排出されたフルオロシリケートから水分を除去するための乾燥装置をさらに備える請求項69又は70記載のシステム。
【請求項73】
上記乾燥装置は、上記フルオロシリケート供給物から水分を除去するために使用されるものと同じ乾燥装置である請求項72記載のシステム。
【請求項74】
上記フッ化物反応炉から排出されたフルオロシリケートを上記乾燥装置へ搬送するための搬送装置をさらに備える請求項72又は73記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−512132(P2012−512132A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542347(P2011−542347)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068103
【国際公開番号】WO2010/077880
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(392026316)エムイーエムシー・エレクトロニック・マテリアルズ・インコーポレイテッド (74)
【氏名又は名称原語表記】MEMC ELECTRONIC MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】