説明

流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料及びその製造方法

【課題】十分な貯蔵安定性を有する流動性で、室温で架橋可能な、縮合架橋性又は付加架橋性のシリコーンゴム調製物の配合のための基礎として適しており、極性添加剤を有効量で添加しても、粘度増加又はチキソトロピーによる流動性の損失がもたらされないポリマー/充填剤混合物の製造方法を提供する。
【解決手段】流動性の架橋可能な(A)懸濁液、(B)縮合架橋系及び付加架橋系の群から選択される架橋系、(C)相応の架橋触媒、(D)極性添加剤及び(E)更なる添加物質を含有する材料を製造するにあたり、前記の懸濁液(A)を、明細書中に記載の(1)〜(7)を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温又は高められた温度で加硫されてエラストマーとなり、かつ極性添加剤を添加しても、その流動性を保持する、補強性充填剤を含有する流動性のポリオルガノシロキサン材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動性のシリコーンゴム材料は、多くの利用分野で、とりわけ弾性の下型並びに成形部材、例えば印刷タンポン、ケーブル付属品などを製造するための流延材料として使用される。そのような型及び成形部材には比較的高い機械的要求が課されるため、大抵は補強性充填剤を含有する組成物が使用され、その際、これらの補強性充填剤は主に、>40m/gの比表面積(BET)を有する沈降ケイ酸又は熱分解法ケイ酸である。
【0003】
親水性の、すなわち未処理のケイ酸と長鎖(n>50)のシロキサンポリマーとを混合すると、顕著な充填剤/ポリマー間の相互作用が生じ、その相互作用は大体において、ケイ酸表面上のSiOH基とポリシロキサン鎖の酸素原子との間の水素架橋結合に基づくものである。長鎖ポリマー鎖と複数の充填剤粒子とが相互作用しうるので、ポリマー鎖が個々の充填剤粒子の表面上に固定化されることによって所望の補強作用が生ずるだけでなく、偽架橋(Pseudovernetzung)(“ストラクチャー形成”)も生じ、結果として流動性と貯蔵安定性が不十分なポリマー/充填剤−分散液がもたらされる。
【0004】
従って、ケイ酸の表面は適切に変性させねばならない。文献において基本的に好適であると記載され、かつ当業者に公知の多くの処理剤のうち、Si−Cl官能、Si−N官能、Si−H官能、SiOH官能及びSi−OR官能を有するケイ素化合物が、部分的に追加の触媒と組み合わされて最も広く用いられ、その際、ケイ酸は、別個の工程で処理した後にシリコーンポリマーと混合されるか、又はシリコーンポリマーの存在下に“インサイチュー”で疎水化される。同様に、前処理されたケイ酸を使用して付加的なインサイチューの処理をしないことで、純粋なインサイチューの工程と比べて、一般に、同じ充填剤含有率の場合に流動性が多少良好な材料がもたらされることは当業者に公知である。しかしながら、インサイチューの工程の場合にも、考えられる多くの影響要素、例えば処理剤の種類と量、温度操作、ケイ酸の導入様式、剪断、揮発物の除去などは、望みの結果に応じて最適化せねばならず、これはしばしば困難であることが分かっている。
【0005】
親水性ケイ酸の処理のために、2つの原理的方策が存在する:
A)ケイ酸上のSiOH基を、基本的に化学量論量のモノマー又はオリゴマーの処理剤と反応させて、前記の基の大部分を、空間的に比較的小さく非極性であるため、もはや相互作用し得ない基に変換する。
【0006】
B)ケイ酸表面を比較的短鎖(充填剤粒子間の橋かけを少なく保つため)のオリゴオルガノシロキサン又はポリオルガノシロキサンで覆い、これを反応的に及び/又は水素架橋結合を介して充填剤表面上に固着及び固定化させることによって、SiOH基を保護する。
【0007】
先行技術であるA)又はB)による幾つかの変法あるいはA)とB)との組合せは、十分な流動性及び貯蔵安定性と、加硫力学(Vulkanisatmechanik)、特に極限引裂強さ及び引裂伝播抵抗のいずれをも有するシリコーンゴム材料をもたらす。しかしながら、このことは一般に、極性の添加物質を必要としない場合のみに言えることである。しかしながら、ゴムに、例えば界面活性物質(帯電防止剤もしくは親水化改質剤として)、官能性シラン(定着剤として)又はフェニルシリコーン油(例えば離型効果、潤滑効果又は疎水化効果のための自己滲出性の媒体として)によって所定の特性を授けるために、かかる添加剤を使用する必要があるのであれば、これらの添加剤は、ケイ酸表面上のなおも存在する空間的に到達可能なSiOH基と、方法に制約されて、系中になおも存在する極性の処理剤あるいはその反応生成物のいずれとも相互作用でき、それによって増粘効果あるいはチキソトロピー効果がもたらされ、本来流動性のゴム材料を安定した粘稠性へと導きうる。
【0008】
適切な処理剤あるいは方法パラメータの選択によって、流動性と、貯蔵安定性と、加硫力学と、ストラクチャー形成性添加剤に対する許容性とを、要求に相応して兼ね備えさせる試みには事欠かなかった。
【0009】
最も頻繁にケイ酸処理に使用されるシラザン、一般にはヘキサメチルジシラザンを用いて、一般に行われる方法、例えば特許US3,243,404号に記載される方法に従って製造されたポリオルガノシロキサン/ケイ酸−調製物は極性添加剤を添加すると、その流動性を失うことが知られており、これは、一方で、激しい凹凸があるケイ酸表面について比較的小さいトリメチルシロキシ基の遮蔽作用が不足していることと、他方で、トリメチルシラノールとアミンのような極性の反応生成物が形成することとが原因である。
【0010】
欧州特許出願EP1171079号A1は、熱分解法ケイ酸の他に補強性充填剤として、シリコーン表面に親水性を授ける1種以上の界面活性剤から構成される湿潤剤を含有する付加架橋性のポリオルガノシロキサン組成物を特徴とするシリコーン材料、その製造方法並びにそれらの使用を特許請求の範囲に記載している。そのシリコーン材料は、特に歯科用印象材料として適しており、かつ未架橋状態での流動性と、未架橋状態と架橋状態とにおける親水性と、架橋状態における高い機械的強度とを兼ね備える。前記の出願に記載されるケイ酸についての処理法は、欧州特許出願EP0991712号A1で特許請求の範囲に記載された方法と同じである。
【0011】
国際特許出願WO2002/102326号A1は、熱分解法ケイ酸の他に補強性充填剤として、シリコーンゴム表面に親水性及び/又は帯電防止特性を授ける非イオン系界面活性剤を含有する、付加架橋性のポリオルガノシロキサン組成物から構成されるシリコーン材料、その製造方法並びにそれらの使用を特許請求の範囲に記載している。そのシリコーン材料は、特に歯科用印象材料として、歯科用鋳型の再現用の成形材料として、印刷タンポン及びコピーロールの製造のために適している。確かに実施例において、オクタメチルシクロテトラシロキサンで前処理されたケイ酸が使用されてはいるが、その明細書は、良好な流動性が必要な場合には、ケイ酸を欧州特許出願EP0991712号A1に相当する方法に従って処理することが好ましいと指摘している。
【0012】
上述の特許文献EP1171079号A1とWO2002/102326号A1によるシリコーン材料は、極性添加剤を必要な作用濃度で添加しているにも拘わらず優れた流動性を示し、これは、熱分解法ケイ酸について特有のインサイチューの処理法がなされ、これをポリマー/充填剤−懸濁液の形で完成材料に導入することによって達成される。前記方法は、欧州特許出願EP0991712号A1の特許請求の範囲に記載されており、その際、当該懸濁液は、少なくとも2段階の処理で、シリコーン材料又はその部分量、水及び全充填剤又はその部分量と、全処理剤の第一の部分量とを、充填剤の乾燥重量に対して8%未満、有利には5%未満、特に有利には3%未満の範囲で混合し、次いで全処理剤の第二の部分量を、充填剤の乾燥重量に対して5〜25質量%、、有利には10〜20質量%の範囲で混加させて実施することで付加架橋性のシリコーン組成物の製造を実施するのに適している。これらの実施例から、処理剤は、有利にはシラザン、特に有利にはヘキサメチルジシラザン(HMDS)であるが、その際、第一の処理段階において、HMDSの他に、代わりの処理剤として、ヒドロキシル基を有する二官能性の、しかしながら一官能性が好ましいシロキサン、アミン、有利にはアンモニア及び/又はアルキルアミン、特に有利にはジエチルアミン又は有機酸、有利にはギ酸又は酢酸を単独又は混合物で使用することもできるということが明らかである。
【0013】
欧州特許EP1141108号B1は、重縮合によって架橋可能なシリコーン組成物の製造方法において、粒子形状の補強性充填剤を相溶化剤によって処理するにあたり、充填剤の乾燥重量の8〜30質量%に相当する部分量の処理剤を、使用されるシリコーンマトリクスの少なくとも部分量と10〜50質量%のポリオルガノシロキサンを含む使用される粒子形状の補強性充填剤の少なくとも部分量とを導入する前に及び/又はそれらを導入するのとほぼ同時に添加し、そして充填剤の乾燥重量の2〜25質量%に相当する第二の部分量を、シリコーンマトリクスの少なくとも部分量に充填剤を導入した後に添加することを特徴とする同様の方法を特許請求の範囲に記載している。相溶化剤としては、専ら、標準状態で液状となるオルガノシラザン又はシクロオルガノシラザンを特許請求の範囲に記載しているが、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0014】
それらの特許請求の範囲に記載された両方の変法は、個別に製造されて使用されるべき少なくとも1種の処理剤、有利にはヘキサメチルジシラザンを、場合によりジビニルテトラメチルジシラザンと組み合わせて、ケイ酸の乾燥重量に対して少なくとも5質量%、有利には10質量%より高い全量で必要とし、その際、その添加は、少なくとも2段階で行わねばならない。
【0015】
また、特許文献EP1171079号A1及びEP0991712号A1の特許請求の範囲に記載されるように、第一の処理段階において、前記の代わりの処理剤の1種を使用する場合にも、第二の処理段階において、従って処理剤の全量の大部分として常にヘキサメチルジシラザンが使用される。反応生成物であるトリメチルシラノール、アンモニア及び場合によりアミンは、極性添加剤を添加するにも拘わらず流動性材料を得ることが望ましい場合に全く完全に除去せねばならず、これは特に時間を費やし費用のかかる焼成段階を必要とする。ジエチルアミンを使用する場合には、更に黄変の傾向にあり、今日どこにでも存在する窒素酸化物と一緒に発現性のニトロソアミンの形成が危惧される。
【0016】
B)として挙げられたインサイチューの処理剤のうち、はるかに大部分までが、ヒドロキシル基を有する二官能性の、時として一官能性のシロキサンも使用される:
熱分解法ケイ酸のための処理剤としてSiOHを有するシランあるいはシロキサンを使用することは、例えば特許US2,890,188号に記載されており、該特許の特許請求の範囲に記載されているものは、粘度≧10000mPa・sを有するベンゼン可溶性ポリマー100質量部、SiOH含量3300〜370000ppmを有するオルガノシラン(シロキサン)1〜100質量部、HDK10〜90質量部並びに加硫剤、有利には有機ペルオキシド1〜10質量部である。その目的は、機械的強度が高められた加硫物に導く貯蔵安定性材料を製造することである。
【0017】
特許US5,118,754号は、処理剤として1分子当たりに4つのRSiO単位と少なくとも1つのビニル基及びヒドロキシル基を有する環状ポリオルガノシロキサン、又は1分子当たりに少なくとも1つのヒドロキシル基と、平均して1つのビニル基とを有し、かつn=4〜50の平均鎖長を有する直鎖状のポリオルガノシロキサンを、100質量部に対して1〜20質量部の割合で用い、その際、ケイ酸を付加的にインサイチューにヘキサメチルジシラザンで疎水化するか、又はヘキサメチルジシラザンで事前に疎水化されたケイ酸を使用する、熱分解法ケイ酸を含有する付加架橋性のシリコーンゴム組成物を特許請求の範囲に記載している。その目的は、射出成形に適した貯蔵安定性の材料であって、その加硫物が改善された耐疲労性を示す材料を製造することである。
【0018】
欧州特許EP491598号B1は、熱分解法ケイ酸を含有する付加架橋性のシリコーンゴム組成物と、式
(CHSiO(HO)(R)SiOSi(R)(OH)OSi(CH、又は
(CHSiO(HO)(R)SiOSi(CH
(式中、Rはメチル、トリメチルシロキシ、ビニル又はトリフルオロプロピルである)で示される特定の低分子量のOH官能性処理剤の他に、単独又は組み合わせて、NH、NHOH、アンモニウム塩、ケイ酸リン、ケイ酸カリウム又はスズ化合物、チタン化合物又は亜鉛化合物から選択される縮合触媒を使用するそれらの製造方法とを特許請求の範囲に記載している。その目的は、注型用樹脂の離型性が高められた型の製造のための流動性ゴム材料を製造することである。
【0019】
特許US5,674,935号は、補強性充填剤のインサイチューの処理方法において、加硫可能なシリコーンポリマー又はフルオロシリコーンポリマー、熱分解法ケイ酸及び式
HO[(CH=CH)(R)SiO][(R)(R)SiO][(R)(R)SiO]
で示される処理剤約1〜10質量部から構成される粘度約80〜1000mPa・sを有する組成物を、充填剤と処理剤とが完全に反応するまで、約60〜100℃の温度において剪断下に混合し、引き続き約200℃で焼成することを特徴とする方法を特許請求の範囲に記載している。これらの実施例において加硫は例外なく有機ペルオキシドによって行われている。該処理剤は、更に架橋剤としての要求を満たす。その目的は、補強性充填剤の割合を低下させても良好な機械的特性を提供する高温で加硫するゴム材料を製造することである。
【0020】
上述の方法は、流動性でないと推測される非常に高粘性で、加圧法又は押出法のいずれかを介してしか加工できないゴム材料を製造するために用いられ、あるいは費用をかけてのみ製造される個別の処理剤を必要とする。流動性の材料の場合に、極性添加剤の添加は例外なく記載されていない。
【0021】
更なる充填剤処理法は、比較的低分子のポリオルガノシロキサンジオールを、場合によりオルガノシクロシロキサンと組み合わせて補強性充填剤の存在下に重合/平衡化させて、高分子のポリオルガノシロキサンを得ることである。
【0022】
特許US3,477,988号は、高分子のポリオルガノシロキサンを得るためには低分子のオルガノシクロシロキサンから、又は比較的低分子のポリオルガノシロキサンを得るためには比較的高分子のポリオルガノシロキサンから出発して、選択的に熱分解法ケイ酸、水及び場合により連鎖停止剤の存在下に、ポリオルガノシロキサンをアルカリ重合/平衡化させる方法において、既に知られたアルカリ重合触媒及び平衡化触媒の他に、促進剤(活性化剤、助触媒)として、有機リン化合物、有利にはとりわけトリエチルホスフェート、ヘキサメチルホスホアミド、トリブチルホスフィンオキシド又はトリオクチルホスフィンオキシドを使用することを特徴とする方法を特許請求の範囲に記載している。その特許請求の範囲に記載される促進剤を使用することの特定の利点としては、該促進剤が活性の塩基性縮合触媒の存在下でさえもシラノール縮合を阻害することと、例えばケイ酸のような充填剤が存在しても、重合/平衡化が阻害されないということが挙げられる。明示された目標は、ケイ酸のインサイチューの処理ではなく、低分子のオルガノシロキサンの重合について、あるいは架橋された充填剤含有のポリオルガノシロキサン又は未架橋のポリオルガノシロキサンの分解について活性が高められた触媒/促進剤−系を提供することである。
【0023】
英国特許GB1,325,657号は、n≧2の低分子のオルガノシクロシロキサンを、場合によりn=1〜20の直鎖状のオルガノシロキサンと混合して、酸性又は中性の熱分解法ケイ酸の存在下に重合させる方法において、重合触媒として、全オルガノシロキサンに対して少なくとも0.05%の無水の過フッ化アルカンスルホン酸を使用する方法を特許請求の範囲に記載している。中和は、有利にはヘキサメチルジシラザン又は炭酸亜鉛を用いて行われる。その目的は、酸性充填剤の存在下でも活性な重合触媒を提供することと、補強性充填剤を含有する高分子ポリオルガノシロキサンを製造することである。
【0024】
欧州特許EP0119093号B1は、α,ω−ヒドロキシポリジオルガノシロキサンを不活性充填剤又は活性充填剤の存在下に重合させるにあたり、式HO(RSiO)H(x=3〜200)で示されるオルガノシロキサンと充填剤とを混合し、式MO(RSiO)Q[式中、Mはアルカリ金属又はテトラアルキルアンモニウム基又はテトラアルキルホスホニウム基であり、Qはアルカリ金属、テトラアルキルアンモニウム基又はテトラアルキルホスホニウム基又は水素であり、かつzは≧1である]で示される縮合触媒を追加使用して、該混合物を引き続き触媒の分解点未満の温度で加熱することによって脱水させ、最終的に触媒を失活させる方法において、形成されたシリコーンポリマーが出発オルガノシロキサンよりも高い分子量を有することを特徴とする方法を特許請求の範囲に記載している。テトラ−n−ブチルホスホニウム−ジメチルシラノレート(分解温度より高い温度での加熱によって失活)の他に有利な触媒は、カリウムジオルガノシラノレートであり、その失活は弱酸、有利にはCOによって行われる。そのポリマー/充填剤−混合物は、ペルオキシドにより縮合架橋と付加架橋する調製物のための基礎として用いることができる。
【0025】
欧州特許EP0120645号B1は、式HO(RSiO)H(x=3〜50)及び/又は(RSiO)(y=3〜10)で示されるオルガノシロキサンを、場合により連鎖停止剤としての式RSiO(RSiO)SiR及び/又はRSiO(RSiO)H(z=0〜50)で示されるオルガノシロキサンの存在下でも、酸性又は中性の補強性充填剤の存在下に重合させるための方法において、重合触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を使用する方法を特許請求の範囲に記載している。中和は、最終的に、ルイス塩基、有利には焼成された酸化マグネシウムによって行われる。そのポリマー/充填剤−混合物は、ペルオキシドにより縮合架橋と付加架橋する調製物のための基礎として用いることができる。
【0026】
特許US4,482,670号は、式HO(RSiO)H(x=3〜100)で示されるオルガノシロキサンを、場合により連鎖停止剤としての式RSiO(RSiO)SiR及び/又はRSiO(RSiO)H(z=0〜50)で示されるオルガノシロキサンの存在下でも、酸性又は中性の補強性充填剤の存在下に重合させるための方法において、形成されたシリコーンポリマーが、出発オルガノシロキサンよりも高い分子量を有し、その際、重合触媒として硫酸又は式XSOH(X=ハロゲン、アルキル、アリール、アルコキシ又はアラルキル)で示されるスルホン酸を使用することを特徴とする方法を特許請求の範囲に記載している。中和は、最終的に、ルイス塩基、有利には焼成された酸化マグネシウム又はジエチルアミンによって行われる。そのポリマー/充填剤−混合物は、ペルオキシドにより縮合架橋と付加架橋する調製物のための基礎として用いることができる。
【0027】
特許US4,486,567号は、式HO(RSiO)H(x=3〜50)で示されるオルガノシロキサンを、場合により連鎖停止剤としての式RSiO(RSiO)H(z=0〜50)で示されるオルガノシロキサンの存在下でも、酸性又は中性の補強性充填剤の存在下に、反応の際に形成される水を除去しながら重合させるための方法において、形成されたシリコーンポリマーが、出発オルガノシロキサンよりも高い分子量を有し、その際、重合触媒として、式RNOC(O)Rで示される第四級アンモニウムカルボキシレート、有利にはラウリルトリメチルアンモニウムアセテートを、式RCOOHで示されるカルボン酸、有利には酢酸と組み合わせて使用することを特徴とする方法を特許請求の範囲に記載している。触媒の失活は150〜200℃に加熱することによって行われる。そのポリマー/充填剤−混合物は、ペルオキシドにより縮合架橋と付加架橋する調製物のための基礎として用いることができる。
【0028】
欧州特許EP0205964号B1は、一般式HO(RSiO)H(x=3〜100)あるいは(RSiO)(y=3〜10)で示されるオルガノシロキサン又はその混合物を、場合により連鎖停止剤として式RSiO(RSiO)SiR又はRSiO(RSiO)H(z=0〜50)で示されるオルガノシロキサンを含んで、充填剤1〜150質量部並びに、硫酸、式XSOH(式中、Xはハロゲン、アルキル、アリール、アルコキシ又はアラルキルを意味する)で示されるスルホン酸、過フッ化アルカンスルホン酸、リン酸、活性化アルミナ及び第四級カルボン酸アンモニウムが酸性充填剤又は中性充填剤の場合に選択され、かつ水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルシラン酸カリウム及びテトラブチルスルホニウムジメチルシラノレートが塩基性充填剤の場合に選択される充填剤の存在下に作用する重合触媒0.02〜10質量部のの存在下に重合させることによって、シリコーンポリマー−充填剤−混合物を製造するための連続的な混練法を特許請求の範囲に記載している。触媒の失活は、中和によって行われる。そのポリマー/充填剤−混合物は、ペルオキシドにより縮合架橋と付加架橋する調製物のための基礎として用いることができる。
【0029】
上記の全ての方法は、原則的に、低分子のあるいは非常に高分子のないし架橋されたポリオルガノシロキサンから出発し、該シロキサンは、連鎖停止剤を用いずに又は用いて、重合触媒/平衡化触媒を添加することによって、インサイチューで補強性充填剤の存在下で初めて変換されて、最終的に得ようとする加硫特性に必要なポリマーであって、そのために必要な鎖長あるいは分子量を有するポリマーとなる。所定の分子量、すなわち所定の鎖長分布を有するオルガノシロキサンポリマーの製造のためのかかる重合法/平衡化法は、活性充填剤が存在しなくても、触媒の選択と触媒の失活に関して手法的に制御に費用がかかりかつ困難であることは当業者には公知である。
【0030】
充填剤を混和するのと同時に処理を行う条件下に、再現可能なポリマー品質に達することを見積もるのは、それだけ一層重要である。
【0031】
従って、前記の欠点を回避して、オルガノシロキサンポリマーの存在下に補強性充填剤を処理する方法が必要とされている。
【特許文献1】US3,243,404号
【特許文献2】EP1171079号A1
【特許文献3】EP0991712号A1
【特許文献4】WO2002/102326号A1
【特許文献5】EP1141108号B1
【特許文献6】US2,890,188号
【特許文献7】US5,118,754号
【特許文献8】EP491598号B1
【特許文献9】US5,674,935号
【特許文献10】US3,477,988号
【特許文献11】GB1,325,657号
【特許文献12】EP0119093号B1
【特許文献13】EP0120645号B1
【特許文献14】US4,482,670号
【特許文献15】US4,486,567号
【特許文献16】EP0205964号B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の課題は、ポリオルガノシロキサンと補強性充填剤とから構成される均質な混合物を、充填剤のインサイチューでの疎水化によって製造するための方法において、その場合に得られるポリマー/充填剤−混合物をポリオルガノシロキサン調製物の製造のための基礎として用いることができる新規の方法を提供することである。本発明の目的は、かかるポリマー/充填剤−混合物を、容易に、廉価に、かつ再現的に製造する方法である。本発明の有利な目的は、十分な貯蔵安定性を有する流動性で架橋可能なポリオルガノシロキサン調製物の配合のための基礎として適しており、製造される加硫物が高められた機械的強度を有するポリマー/充填剤混合物の製造方法である。
【0033】
本発明の特に有利な目的は、十分な貯蔵安定性を有する流動性で、室温で架橋可能な、縮合架橋性又は付加架橋性のシリコーンゴム調製物の配合のための基礎として適しており、極性添加剤を有効量で添加しても、粘度増加又はチキソトロピーによる流動性の損失がもたらされないポリマー/充填剤混合物の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0034】
従って本発明の対象は、流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料であり、
(A)補強性充填剤をポリオルガノシロキサン中に懸濁させた懸濁液少なくとも1種、
(B)縮合架橋系及び付加架橋系の群から選択される架橋系少なくとも1種、
(C)相応の架橋触媒少なくとも1種、
(D)場合により、極性添加剤1種以上、及び
(E)場合により、更なる添加物質
を含有する材料であって、前記の懸濁液(A)が、
(1)以下の(X)と(Y)と(Z)
(X)23℃での粘度100〜500000mPa・sを有するポリオルガノシロキサン又はかかるポリオルガノシロキサンの混合物、
(Y)水(但し、その全添加量は、別個にか又は添加される水の部分量又は全量として、また縮合触媒/平衡化触媒(Z)の成分として、又は吸着された状態で補強性充填剤(F)を介して混合物中に導入できる)、
(Z)縮合触媒/平衡化触媒として作用する物質又はかかる物質の混合物
を混合すること、
(2)場合により、該混合物を高められた温度、有利には50℃〜180℃で15〜120分の時間にわたって平衡化すること、
(3)比表面積(BET)少なくとも40m/gを有する補強性充填剤(F)を添加すること、
(4)高められた温度、有利には50℃〜180℃で反応させること、
(5)1種以上の失活剤(DA)を添加することによって触媒(Z)を失活させること、
(6)揮発性成分を、不活性ガス流中及び/又は減圧下で温度範囲80℃〜180℃において加熱することによって除去すること、
(7)場合により、他のポリシロキサン(XX)又はポリシロキサンの混合物を添加すること
によって得られることを特徴とする流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料である。
【0035】
従って本発明の更なる対象は、流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料であり、
(A)補強性充填剤をポリオルガノシロキサン中に懸濁させた懸濁液少なくとも1種、
(B)縮合架橋系及び付加架橋系の群から選択される架橋系少なくとも1種、
(C)相応の架橋触媒少なくとも1種、
(D)場合により、極性添加剤1種以上、及び
(E)場合により、更なる添加物質
を含有する材料を製造する方法であって、前記の懸濁液(A)を、
(1)以下の(X)と(Y)と(Z)
(X)23℃での粘度100〜500000mPa・sを有するポリオルガノシロキサン又はかかるポリオルガノシロキサンの混合物、
(Y)水(但し、その全添加量は、別個にか又は添加される水の部分量又は全量として、また縮合触媒/平衡化触媒(Z)の成分として、又は吸着された状態で補強性充填剤(F)を介して混合物中に導入できる)、
(Z)縮合触媒/平衡化触媒として作用する物質又はかかる物質の混合物
を混合すること、
(2)場合により、該混合物を高められた温度、有利には50℃〜180℃で15〜120分の時間にわたって平衡化すること、
(3)比表面積(BET)少なくとも40m/gを有する補強性充填剤(F)を添加すること、
(4)高められた温度、有利には50℃〜180℃で反応させること、
(5)1種以上の失活剤(DA)を添加することによって触媒(Z)を失活させること、
(6)揮発性成分を、不活性ガス流中及び/又は減圧下で温度範囲80℃〜180℃において加熱することによって除去すること、
(7)場合により、他のポリシロキサン(XX)又はポリシロキサンの混合物を添加すること
によって得ることを特徴とする方法である。
【0036】
懸濁液(A)の成分としてのポリオルガノシロキサン(X)は、一般式(I)
SiO(4−a)/2 (I)
[式中、
Rは、同一又は異なって、Si−C結合を有し、置換又は非置換の一価のC〜C18−炭化水素基又はヒドロキシル基を意味し、
aは、0、1、2又は3の値、平均して1.85〜2.4、有利には1.9〜2.1の値を意味するが、但し、
Rが使用される縮合触媒/平衡化触媒の存在下に反応性の基ではないのは、この基がポリオルガノシロキサン(X)の全量に対して>1000ppm、有利には>700ppmの濃度で存在している限りである]で示される単位から構成されている。
【0037】
基Rのための例は、アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル(例えばn−ヘキシル)、ヘプチル(例えばn−ヘプチル)、オクチル(例えばn−オクチル、i−オクチル、例えば2,2,4−トリメチルペンチル)、ノニル(例えばn−ノニル)、デシル(例えばn−デシル)、ドデシル(例えばn−ドデシル)、オクタデシル(例えばn−オクタデシル);アルケニル基、例えばビニル、アリル、n−プロペニル、i−プロペニル、n−ブテニル、アルケニルオキシ;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びメチルシクロヘキシル;シクロアルケニル、例えばシクロヘキセニル;アリール基、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル、−キシリル、−エチルフェニル;アラルキル基、例えばベンジル、α−及びβ−フェニルである。
【0038】
置換された基Rのための例は、シアノアルキル基、例えばβ−シアノエチル;ハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロ−i−プロピル、ヘプタフルオロ−i−プロピル、クロロメチル、ブロモエチル;ハロゲンアリール基、例えばo−、m−、p−クロロフェニルである。
【0039】
ポリオルガノシロキサン(X)は、23℃での粘度100〜500000mPa・s、有利には500〜50000mPa・s、特に有利には1000〜20000mPa・sを有する。
【0040】
ポリオルガノシロキサン(X)としては、有利には一般式(II)
【0041】
【化1】

[式中、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する一価の不飽和のC〜C−アルキル基を意味し、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の一価の飽和C〜C−アルキル基、置換又は非置換のC〜C−アリール基又はヒドロキシル基を意味し、
mは、100〜1200、有利には150〜700、特に有利には200〜500の値を意味し、
nは、0又は1〜50の数を意味し、
xは、0又は1〜3の数を意味する]で示されるポリジオルガノシロキサンが使用される。
【0042】
一般式(II)のポリシロキサン鎖内部にあるいは該鎖に沿って、ジオルガノシロキサン単位[Si(RO]及び[Si(R)(R)O]の他に、更に別のシロキサン単位が存在してよい。かかる別のシロキサン単位のための例は、式(RSiO3/2)、(RSiO1/2)及びSiO4/2[式中、Rはそれぞれ前記の意味を有する]で示されるシロキサン単位である。しかしながら、ジオルガノシロキサン単位としての別のかかるシロキサン単位の量的割合は、それぞれポリジオルガノシロキサン(X)の質量に対して、有利には最大で10モル%、特に高くて1モル%である。
【0043】
SiC結合を有する不飽和の一価のC〜C−アルキル基Rのための例は、アルケニル基、例えばビニル、アリル、シクロヘキセニル、アルケニルオキシ、有利にはビニルである。基Rのための有利な例は、メチル、フェニル及び3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、特にメチルである。xが0又は1の値を有し、かつnが0又は1〜5の値、特に有利には0の値を有することが好ましく、すなわち鎖端にトリメチルシロキシ基及びビニルジメチルシロキシ基が存在することが特に好ましい。
【0044】
ポリオルガノシロキサン(X)として、1種のポリジオルガノシロキサン(II)も、少なくとも2種の異なる種類のポリジオルガノシロキサン(II)から構成される混合物をも使用することができる。
【0045】
混合物の成分としての水(Y)は、縮合触媒/平衡化触媒(Z)と組み合わせて、ポリオルガノシロキサン(H)を、1分子中に少なくとも1つの、ケイ素原子に直接結合されたヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサン(X)からインサイチューで製造するために用いられ、その際、ヒドロキシル基の生成は、(X)のポリオルガノシロキサン鎖の触媒による分解によって行われる。ポリオルガノシロキサンをHOの存在下に触媒により脱重合/平衡化することは公知であり、例えばNoll,W著のシリコーンの化学と技術、Chemie出版、ヴァインハイム、第2版、1964年、200〜206頁(Noll, W., Chemie und Technologie der Silicone, Verlag Chemie, Weinheim, 2. Auflage 1964, S. 200-206)に記載されている。
【0046】
1分子中に少なくとも1つの、ケイ素原子に直接結合されたヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサン(H)は、結果的に、補強性充填剤のための処理剤として用いられ、そのSiOH基は充填剤表面上に存在するSiOH基と縮合及び脱水して共有結合を形成する。前記の化学結合によって、かつポリオルガノシロキサン鎖中の酸素原子の自由電子対と充填剤表面上に存在する更なるSiOH基との付加的な分子内相互作用によって、ポリオルガノシロキサン鎖は充填剤表面上に固定化され、それにより充填剤表面は、極性基を有する物質との相互作用から保護される。
【0047】
懸濁液(A)中に含まれる活性充填剤(F)の表面の十分な保護に必要なポリオルガノシロキサン(H)の全量は、必然的に、(F)の添加量とそのBET表面積とに左右される。
【0048】
懸濁液(A)中に含まれる活性充填剤(F)の処理のために使用できるポリオルガノシロキサン(H)の全量は、触媒(Z)の作用下にポリオルガノシロキサン(X)の加水分解によって、その使用できる反応相手である水量によって実質的に規定される十分な触媒濃度を要して、インサイチューで製造される。
【0049】
十分な充填剤処理のために必要とされるポリオルガノシロキサン(H)の全量を生成するのに使用できる水(Y)の全量は、別個にか又は添加される水の部分量又は全量として、また縮合触媒/平衡化触媒(Z)の成分として、又は吸着された状態で補強性充填剤(F)を介して混合物中に導入できる添加水量、そしてポリオルガノシロキサン(H)のSiOH基と活性充填剤(F)の表面上に存在するSiOH基との反応により形成される縮合水の量から構成される。
【0050】
充填剤処理のために必要なポリオルガノシロキサン(H)の主要量は、縮合触媒/平衡化触媒(Z)の作用下に同時にインサイチューで、処理反応時に生ずる水から形成されるので、ヒドロキシル基を含むポリオルガノシロキサン(H)は、ポリオルガノシロキサン(X)中において、充填剤供給開始時には比較的低い初期濃度で十分である。得ようとする補強作用のために十分な量の補強性充填剤を、装入されているポリオルガノシロキサン(X)に供給して、それを完全に処理するには、充填剤表面に吸着された平均0.2質量%の水量の他に、添加される補強性充填剤(F)の量に対してそれぞれ0.05〜1.5質量%のHO、有利には0.1〜1質量%のHO、特に有利には0.25〜0.65質量%のHOを添加することが必要であり、その際、添加は別個にか又は縮合触媒/平衡化触媒(Z)の成分として行うことができる。
【0051】
縮合触媒/平衡化触媒(Z)としては、すなわち(X)のポリオルガノシロキサン鎖の開裂にもHOの存在下に形成されるポリオルガノシロキサン(H)上のヒドロキシ基と補強性充填剤(F)のSiOHとの縮合にも適した物質が当業者に長い間知られており、先に引用した特許文献の他に、例えばNoll,W著のシリコーンの化学と技術、Chemie出版、ヴァインハイム、第2版、1964年、200〜206頁に記載されている。
【0052】
基本的に、触媒(Z)の選択において技術的な制限はないが、それは該触媒が選択された条件下に十分に反応性であって、ポリオルガノシロキサン(X)の鎖の加水分解を完全な処理に必要な程度で可能にし、そして生ずるポリオルガノシロキサン(H)上のヒドロキシル基と補強性充填剤(F)の表面上のSiOH基との縮合をも可能にする場合に限る。
【0053】
原則的に、酸性触媒とアルカリ性触媒のいずれも使用できるが、選択された条件下に、一方でできる限り低い脱重合作用を示し、かつ低分子ポリオルガノシクロシロキサンの形成傾向が低く、他方で、主に、生ずるポリオルガノシロキサン(H)上のヒドロキシル基と補強性充填剤(F)の表面上のSiOH基との縮合を、分子量の増大に導くポリオルガノシロキサンに結合するヒドロキシル基の相互の縮合よりも促進するような触媒を使用できる。
【0054】
脱重合が激しすぎると、必然的に、本来使用されるポリオルガノシロキサン(X)の特性は、その網目形成特性に関して極めて大きく変化するので、更に分散液(A)から製造されるポリオルガノシロキサン材料について、意図的な(X)の選択によって得ようとする特性は得られない。
【0055】
ポリオルガノシロキサンに結合するヒドロキシル基の相互の縮合が激しすぎて、分子量増大に結びつくことで、懸濁液の粘度は、懸濁液(A)から十分に流動性のポリオルガノシロキサン材料をもはや配合できないほど激しく高まる。
【0056】
基本的に適した触媒(Z)のための例は、カルボン酸(場合によりその第四級アンモニウム塩との組合せで)、一般式XSOH[式中、Xはアルキル、アリール及びアルカリール又はハロゲンを意味する]で示されるスルホン酸、第二級及び第三級のアルキルアミン、アルキルスルホニウムシラノレート、アルカリ金属酸化物、−水酸化物、−アルコキシド、−シラノレート、第四級アンモニウム化合物及びホスホニウム化合物などである。本発明による方法に好ましい触媒(Z)は、アルカリ金属酸化物、−水酸化物、−アルコキシド及び−シラノレート、特に有利には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルシラノール酸ナトリウム及びトリメチルシラノール酸カリウムである。
【0057】
補強性充填剤(F)の処理のために十分なヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサン(H)の濃度を、混和期間において保証するために、添加される補強性充填剤(F)の量に対してそれぞれ、0.05〜5質量%、有利には0.1〜3.5質量%、特に有利には0.5〜2.5質量%の縮合触媒/平衡化触媒の添加量が必要である。補強性充填剤(F)の処理のために使用可能な、ヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサン(H)の濃度は、補強性充填剤(F)の添加の開始時点では、縮合触媒/平衡化触媒(Z)の種類と量の他に、ポリオルガノシロキサン(X)、水(Y)及び触媒(Z)から構成される混合物の温度と、ポリオルガノシロキサン/水−混合物に対する触媒の作用時間に左右される。
【0058】
ポリオルガノシロキサン(X)に対して、ポリオルガノシロキサン(X)のSiOH含量が100ppm未満であり、かつ/又は処理されるべき補強性充填剤(F)の割合が30質量%より多く、かつ/又は(F)が0.1質量%未満の湿分含量を有するのであれば、ポリオルガノシロキサン(X)、水(Y)及び触媒(Z)から構成される混合物を15分〜120分、好ましくは60分の期間にわたって、50℃〜180℃、好ましくは90℃〜170℃、特に好ましくは120℃〜150℃の温度で予備反応させることが好ましい。
【0059】
本発明による方法の有利な一実施態様では、工程(1)において、ポリオルガノシロキサン(X)の全供給量又は2種以上のポリオルガノシロキサン(X)の混合物の全供給量を触媒(Z)の全量と混合し、そして補強性充填剤(F)を混合物の予備反応なくして混加させる。本発明による方法の有利なもう一つの実施態様では、工程(1)において、ポリオルガノシロキサン(X)の全供給量又は2種以上のポリオルガノシロキサン(X)の混合物の全供給量を触媒(Z)の全量と混合し、そして補強性充填剤(F)を添加する前に前記のように予備反応させる。本発明による方法の有利なもう一つの実施態様では、工程(1)において、ポリオルガノシロキサン(X)の全供給量の部分量又は2種以上のポリオルガノシロキサン(X)の混合物の全供給量の部分量を触媒(Z)の全量と混合し、そして前記のように予備反応させる。次いで、反応混合物を120℃未満、有利には100℃未満に冷却し、そしてポリオルガノシロキサン(X)の全供給量又は2種以上のポリオルガノシロキサン(X)の混合物の全供給量の残りの部分量を混加させてから、補強性充填剤(F)を添加する。
【0060】
工程(1)におけるポリオルガノシロキサン(X)、水(Y)及び縮合触媒/平衡化触媒(Z)の混合並びに場合により工程(2)における前記混合物の予備反応は同じ混合装置中で実施し、その装置中で引き続き工程(3)において補強性充填剤(F)の添加を、そして工程(4)においてそのインサイチューの処理を、そして工程(5)において触媒(Z)の失活を、そして場合により工程(7)で更なるポリオルガノシロキサン(XX)又はポリオルガノシロキサンの混合物の添加を実施することが好ましい。
【0061】
補強性充填剤(F)の二次構造と三次構造の十分な分解をしつつ完全な処理を達成することと、ゲル状の充填剤/ポリオルガノシロキサン凝集体を妨げつつ処理された充填剤粒子の十分に均一で高分散性の分配を達成するために、補強性充填剤(F)の混和と処理とを高い機械的剪断下に実施することが好ましい。これは、高速運転する歯付ディスクによる混合物の撹拌によって、又はできる限りの硬質相中で混合物を混練することによって実施することができる。
【0062】
適当な混合装置のための例は、1つ以上の遊星型混合アームと1つ以上の高トルクの歯付ディスクと組み合わせて加熱と冷却が可能な混合槽を有する遊星型溶解混合機、加熱と冷却が可能なトラフと2つの共回転又は反転の、場合により加熱と冷却が可能な混練ブレードを有する混合混練機、内部ミキサー、連続混合押出機又は同等の強力な混合作用と温度調節を伴う別の断続的又は連続的な装置である。有利には、該混合装置は、内部空間を不活性ガス、例えば連続的に窒素を流通させる方式を有し、かつ所定の混合工程の段階にわたり真空を加える方式を有する。
【0063】
比表面積(BET)少なくとも40m/gを有する上述の補強性充填剤(F)のための例は、熱分解法ケイ酸、沈降ケイ酸、ケイ素アルミニウム混合酸化物及び熱分解法二酸化チタンである。
【0064】
比表面積(BET)50〜400m/g、特に有利には90〜300m/gを有する熱分解法ケイ酸と沈降ケイ酸が好ましい。上述の充填剤(F)は、例えばオルガノシラン、オルガノシラザン又はオルガノシロキサンによる処理によって疎水化することができるが、親水性が好ましい。1種のみの充填剤(F)又は2種以上の充填剤(F)の混合物を使用することができる。該充填剤は、ポリオルガノシロキサン(X)に対して10〜100質量%、好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは30〜40質量%の量で使用することができる。
【0065】
工程(3)における補強性充填剤(F)の全量の添加は、添加される充填剤部分量を冷却せずに完全に混合物中に混和してから、後続の部分量を添加するように、少しずつ行うことが好ましい。全充填剤量を添加した後に、工程(4)においてポリオルガノシロキサン/充填剤/触媒−混合物を、15分〜10時間、有利には1時間〜5時間、特に有利には2時間〜3時間の期間にわたって、120℃〜180℃、有利には140℃〜160℃の温度で、非常に高い混合出力で混合する。
【0066】
工程(5)における縮合触媒/平衡化触媒(Z)の失活は、(Z)が酸である場合には塩基を用いて、又は(Z)が塩基である場合には酸を用いて行われ、その際、両方の場合において、塩基もしくは酸の完全な失活が相応の塩の形成によって保証される量で塩基もしくは酸をそれぞれ添加する。有利には、縮合触媒/平衡化触媒(Z)の失活に際して、同等の塩基強度もしくは酸強度の失活剤(DA)を使用する。(Z)が強酸であれば、強塩基で失活させることが好ましく、(Z)が強塩基であれば、強酸で失活させることが好ましい。内容に則って弱酸もしくは弱塩基についても同じことが言える。このことにより、失活に際して形成される塩が湿分の作用により解離することで、中性領域あるいは弱酸性領域もしくは弱塩基性領域で反応がもたらされ、一方で弱塩基で強酸性の縮合触媒/平衡化触媒(Z)が失活されると加水分解の場合に明らかに酸性領域に変移が生じ、弱酸で強塩基性の縮合触媒/平衡化触媒(Z)が失活されると加水分解の場合に明らかに塩基性領域に変移が生じる。緩衝作用を発揮しない中性塩が形成する場合に、不揮発性又は難揮発性の失活剤(DA)を使用すれば、中和に事実上必要な量より若干多いか又は少ない添加量で既に望ましくない明らかな中和点の偏向がもたらされる。
【0067】
添加された過剰量を後に除去するために十分に揮発性の失活剤(DA)の特に有利な使用の他に、失活工程(5)の有利な一実施態様は、不揮発性又は難揮発性の失活剤(DA)を過剰に揮発性の失活剤(DA)と組み合わせて添加することにあるので、全体で過剰の失活剤(DA)が混合物中に存在し、その際、その過剰量は主に揮発性の失活剤(DA)からなり、その失活剤は混合物の加熱処理による失活工程が完了した後に、不活性ガスを流通させるか、又は有利には減圧させることで混合物から除去される。
【0068】
特に有利な触媒(Z)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルシラノール酸ナトリウム及びトリメチルシラノール酸カリウムのために特に好ましい難揮発性の失活剤(DA)は、メタンスルホン酸及びメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルである。特に有利な触媒(Z)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルシラノール酸ナトリウム及びトリメチルシラノール酸カリウムのために特に好ましい揮発性の失活剤(DA)は、反応生成物としてアルカリ金属ハロゲン化物を中性の金属として形成する物質、従って、ハロゲン化水素並びに、置換又は非置換のオルガノハロゲンシラン又は−シロキサン、特に有利には1013hPaでの沸点55℃〜140℃を有する置換又は非置換のオルガノハロゲンシランであり、それらは、それぞれ単独又は組合せで使用される。特に有利なオルガノハロゲンシランのための例は、トリメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン及びクロロメチルメチルジクロロシランである。
【0069】
他の特に有利な揮発性の失活剤(DA)は、ギ酸及び酢酸である。
【0070】
失活剤(DA)を添加する前に、混合物を120℃未満にまで冷却する。中和に必要な量の失活剤(DA)は均一に、有利には失活段階にわたり複数に分けて混加される。その都度の懸濁液(A)に必要な失活剤(DA)量は実験的に決定することが好ましい。これは、例えば酸含量あるいは塩基含量のアルカリ滴定もしくは酸滴定によって、又は相応の範囲で急変する酸/塩基指示薬によって実施できる。
【0071】
失活段階の後に、その工程で縮合触媒/平衡化触媒(Z)の作用により形成された揮発性成分の除去を、不活性ガス流中及び/又は減圧下で80℃〜180℃、有利には120℃〜150℃の温度範囲において懸濁液(A)を加熱することによって実施する。
【0072】
補強性充填剤をポリオルガノシロキサンに懸濁させた懸濁液は、充填剤含量が増大すると、補強性充填剤/ポリマー相互作用に基づいて、充填剤を事前に処理した場合でさえも、貯蔵時にその粘度が一層高まる傾向にある。従って、すぐに使用できるポリオルガノシロキサン調製物の基礎をなす懸濁液を、それが次の処理の前に中間貯蔵すべき場合には、前記の不所望な粘度増加を低下させるために更なるポリオルガノシロキサン(XX)又はポリオルガノシロキサン(XX)の混合物と混合することが好ましく、その際、その1種以上のポリオルガノシロキサン(XX)は、懸濁液(A)を基礎とする即使用可能なオルガノポリシロキサン調製物の配合成分である、すなわち該シロキサンは完成材料からポリマー/充填剤−懸濁液へと引き継がれる。
【0073】
ポリオルガノシロキサン(XX)の種類、特性及び供給量は、すぐに使用できるポリオルガノシロキサン調製物の選択された架橋系によっても同時に決定される。
【0074】
ポリオルガノシロキサン(XX)又はポリオルガノシロキサン(XX)の混合物は、それぞれ種類及び特性において、ポリオルガノシロキサン(X)と同一であっても、それとは異なってもよく、かつそれぞれの架橋系において、反応性でも、非反応性であってもよい。
【0075】
懸濁液(A)の随意の成分としてのポリオルガノシロキサン(XX)は、一般式
SiO(4−a)−2 (III)
[式中、
Rは、同一又は異なって、Si−C結合を有する、置換又は非置換の一価のC〜C18−炭化水素基、ヒドロキシル基又は水素基を意味し、かつ
aは、0、1、2又は3の値を意味し、平均して1.85〜2.4を意味する]で示される単位から構成される。
【0076】
基Rと置換された基Rのための例は、式(I)と同様である。ポリオルガノシロキサン(XX)は、23℃での粘度10〜500000mPa・s、有利には100〜20000mPa・s、特に有利には200〜10000mPa・sを有する。ポリオルガノシロキサン(XX)として、有利には一般式(IV)
【0077】
【化2】

[式中、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、一価の、不飽和のC〜C−アルキル基、縮合可能又は加水分解可能な基を意味し、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、一価の、置換又は非置換の飽和のC〜C18−アルキル基、置換又は非置換のC〜C18−アリール基を意味し、
mは、0又は1〜1500の数、有利には0〜1000、特に有利には0〜600を意味し、
nは、0又は1〜50の数を意味し、
xは、0又は1〜3の数を意味する]で示されるポリジオルガノシロキサンが使用される。
【0078】
一般式(IV)のポリシロキサン鎖内部にあるいは該鎖に沿って、ジオルガノシロキサン単位[Si(RO]及び[Si(R)(R)O]の他に、更に別のシロキサン単位が存在してよい。かかる別のシロキサン単位のための例は、式(RSiO3/2)、(RSiO1/2)及びSiO4/2[式中、Rはそれぞれ前記の意味を有する]で示されるシロキサン単位である。しかしながら、ジオルガノシロキサン単位しての別のかかるシロキサン単位の量的割合は、それぞれポリジオルガノシロキサン(XX)の質量に対して、有利には最大で10モル%、特に高くて1モル%である。SiC結合を有する不飽和の一価のC〜C−アルキル基Rのための例は、アルケニル基、例えばビニル、アリル、シクロヘキセニル、アルケニルオキシであり、その際、ビニルが好ましい。縮合可能な基Rのための例は、ヒドロキシ、水素及びハロゲン、有利には塩素である。
【0079】
加水分解可能な基Rのための例は、アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、メトキシエトキシ;アルケニルオキシ基、例えばイソプロペニルオキシ、イソブテニルオキシ、1−エチル−2−メチルビニルオキシ;アシルオキシ基、例えばアセトキシ、プロピオンオキシ、ブチルオキシ、ベンゾイルオキシ、2−エチルヘキサノイルオキシ;イミノオキシ基、例えばジメチルケトキシム、メチルエチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロペンタンオキシム、シクロヘキサンオキシム;アミノ基、例えばN−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N−ブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ;アミド基、例えばN−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N−メチルベンザミド;アミノオキシ基、例えばN,N−ジメチルアミノオキシ、N,N−ジエチルアミノオキシ、N,N−ジフェニルアミノオキシである。
【0080】
基Rのために有利な例は、C〜C−アルキル基、特に有利にはメチル、ビニル及びフェニルである。xが0又は1の値を有することが好ましい。ポリオルガノシロキサン(XX)として、1種のポリジオルガノシロキサン(IV)も、少なくとも2種の異なるポリジオルガノシロキサン(IV)から構成される混合物をも使用することができる。
【0081】
本発明による方法に従って製造される流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料の有利な一実施態様は、縮合架橋性のポリオルガノシロキサン材料であって、その製造のために、
(AA)前記の方法に従って製造され、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン(XX)を場合により含有してよい懸濁液(A)、
(BB)場合により、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン又は複数のポリオルガノシロキサン(XX)の混合物(その際、(AA)が、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン(XX)を含有しない場合に、配合成分(BB)は必須である)、
(CC)場合により、
− 一般式
4−bSiR (V)
[式中、
は、同一又は異なってよく、一般式(IV)と同じ加水分解可能な基Rであってよく、
は、同一又は異なってよく、一般式(IV)と同じ基Rであってよく、かつ
bは2〜4の整数を意味する]で示される1種のオルガノシラン、
− 一般式(V)で示されるオルガノシランからの1種以上の部分加水分解された反応生成物(その際、配合成分(AA)又は(BB)中に含まれるポリオルガノシロキサン(XX)がヒドロキシ官能性のポリオルガノシロキサン、有利にはα,ω−ジヒドロキシポリオルガノシロキサンである場合には、配合成分(CC)は必須である)
から選択される1種以上の架橋剤、
(DD)縮合系で作用する架橋触媒、
(EE)場合により、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有さないポリオルガノシロキサン又は複数のポリオルガノシロキサン(XX)からの混合物、有利にはα,ω−ビス(トリアルキルシロキシ)ポリオルガノシロキサンであって、そのトリアルキルシロキシ基が有利にはトリメチルシロキシ基又はビニルジメチルシロキシ基であるシロキサン、
(FF)場合により、1種以上の非補強性又は部分補強性の充填剤、
(GG)場合により、1種以上の極性添加剤、
(HH)場合により、更なる添加物質、及び
(JJ)場合により、水
を混合する材料である。
【0082】
本発明による方法に従って製造される流動性の縮合架橋性のポリオルガノシロキサン材料のための架橋剤(CC)として適している一般式(V)のオルガノシランのための具体的な例は、メチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、メチルトリス(i−プロペンオキシ)シラン、ビニルトリス(i−プロペンオキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビス(N−メチルベンザミド)エトキシメチルシラン、トリス(シクロヘキシルアミノ)メチルシランである。
【0083】
一般式(V)として挙げられるオルガノシランからの部分加水分解された反応生成物のための具体的な例は、これらはしばしばそのSiOの含量によって質量%で記載されるが、これはヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサ−n−プロポキシジシロキサン、ヘキサ−n−ブトキシジシロキサン、オクタメトキシトリシロキサン、オクタエトキシトリシロキサン、オクタ−n−ブトキシトリシロキサン、デカメトキシテトラシロキサン、デカエトキシテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンである。
【0084】
架橋剤(CC)は、ポリオルガノシロキサン(XX)に対して2〜50質量%、有利には5〜20質量%、特に有利には1〜10質量%の量的割合で本発明によるポリオルガノシロキサン調製物中で使用される。
【0085】
本発明による方法に従って製造された流動性の縮合架橋性のポリオルガノシロキサン材料のための架橋触媒(DD)として適した化合物のための具体的な例は、とりわけ有機スズ化合物、例えばスズジ−2−エチルヘキサノエート、スズジ−2,2−ジメチルオクトエート(二バーサチック酸(登録商標)スズ)、ジメチルスズジアセテート、ジメチルスズジ−2−エチルヘキサノエート、ジメチルスズジ−2,2−ジメチルオクトエート(二バーサチック酸(登録商標)ジメチルスズ)、ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズヒドロキシオレエート、ジメチルスズジステアレート、ジメチルスズジマレイネート、ジメチルスズジオレエート、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズジ−2−エチルヘキサノエート、ジ−n−ブチルスズジ−2,2−ジメチルオクトエート(二バーサチック酸(登録商標)ジ−n−ブチルスズ)、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズジステアレート、ジ−n−ブチルスズジマレイネート、ジ−n−ブチルスズジ−2−エチルヘキシルマレイネート、ジ−n−ジブチルスズジベンジルマレイネート、ジ−n−ブチルスズジオレエート、ジ−n−ブチルスズジ−2,4−ペンタンジオネート、ジ−n−ブチルスズジメトキシド、ジ−n−ブチルスズクロロブトキシド、ジ−n−オクチルスズジアセテート、ジ−n−オクチルスズジ−2−エチルヘキサノエート、ジ−n−オクチルスズジ−2,2−ジメチルオクトエート(二バーサチック酸(登録商標)ジ−n−オクチルスズ)、ジ−n−オクチルスズジマレイネート及びジ−n−オクチルスズジラウレート、有利にはジ−n−ブチルスズジ−2−エチルヘキサノエート、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズジ−2,2−ジメチルオクトエート(二バーサチック酸(登録商標)ジ−n−ブチルスズ)、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−オクチルスズジ−2−エチルヘキサノエート、ジ−n−オクチルスズジマレイネート、ジ−n−オクチルスズジ−2,2−ジメチルオクトエート(二バーサチック酸(登録商標)ジ−n−オクチルスズ)及びジ−n−オクチルスズジラウレート;有機スズ化合物と(CC)で挙げられるシラン又は(CC)で挙げられるシランの部分加水分解生成物との反応混合物、例えばテトラエトキシシランもしくはヘキサエトキシジシロキサンもしくは約40質量%のSiOを有するエトキシオリゴシロキサンもしくはテトラ−n−プロポキシシランもしくはテトラ−n−ブトキシシランとジ−n−ブチルスズジアセテートもしくはジ−n−オクチルスズジアセテートもしくはジ−n−ブチルスズジラウレートもしくはジ−n−オクチルスズジラウレートとの反応生成物、有利にはテトラエトキシシランとジ−n−ブチルスズジアセテートとの反応生成物、ヘキサエトキシジシロキサンとジ−n−ブチルスズジアセテートとの反応生成物、テトラ−n−プロポキシシランとジ−n−ブチルスズジアセテートとの反応生成物、テトラ−n−ブトキシシランとジ−n−ブチルスズジアセテートとの反応生成物、テトラエトキシシランとジ−n−ブチルスズジラウレートとの反応生成物、ヘキサエトキシジシロキサンとジ−n−ブチルスズジラウレートとの反応生成物、テトラ−n−プロポキシシランとジ−n−ブチルスズジラウレートとの反応生成物並びにテトラエトキシシランとジ−n−オクチルスズジアセテートとの反応生成物;有機チタン化合物、例えばテトラエチルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラキス(トリメチルシリル)チタネート、ビス(ジアセチルアセトナト)ジ−i−プロポキシチタン、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ジ−i−プロポキシチタン及びビス(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−ブトキシチタン;別の有機金属化合物、例えばアルミニウムアルコキシレート、鉄−2−エチルヘキサノエート、ステアリン酸鉄、コバルト−2−エチルヘキサノエート、ナフテン酸コバルト、マンガン−2−エチルヘキサノエート、亜鉛−2−エチルヘキサノエート、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛及び鉛−2−エチルヘキサノエート;脂肪酸のアルカリ金属塩、例えばシュウ酸リチウム;酢酸ナトリウム及び酢酸カリウム;アミン化合物、例えばジブチルアミン、ヘキシルアミン、オクタデシルアミン;第四級アンモニウム塩、例えばベンジルトリエチルアンモニウムアセテート;ジアルキルヒドロキシルアミン、例えばジメチルヒドロキシルアミン及びジエチルヒドロキシルアミン;アミノアルキル置換されたアルコキシシラン、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;グアニジル置換されたシラン及びシロキサン、例えばテトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン及びテトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランである。
【0086】
触媒(DD)は、個々に又は混合物で使用できるが、縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン(XX)に対して、0.001〜10質量%、有利には0.01〜5質量%の量的割合で使用できる。
【0087】
本発明による方法に従って製造される流動性の縮合架橋性のポリオルガノシロキサン材料のために適した非補強性又は部分補強性の充填剤(FF)は、有利には、粒度0.05μm〜300μmを有し、特に有利には0.1μm〜50μmを有し、かつ繊維充填剤については50μm〜200μmを有する。
【0088】
非補強性又は部分補強性の充填剤(FF)のための具体的な例は、石英粉、クリストバライト粉、珪藻土、雲母、ケイ酸アルミニウム、マグネシウム−アルミニウム−ケイ酸塩、メタケイ酸カルシウム(ウォラストナイト)、ケイ酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム(Annalin)、硫酸バリウム、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維、金属粉(例えばアルミニウム、銅、銀、金)、ガラス繊維又はガラス中空球である。充填剤(FF)の表面は、未処理でも又は処理されていてもよく、その際、処理は、例えば疎水化を与える有機ケイ素化合物、有利にはアルコキシシラン、オルガノポリシロキサン又は脂肪酸によって実施することができる。
【0089】
充填剤(FF)は、個々にも、一緒に及び/又は互いに組み合わせても使用でき、その際、使用される充填剤の種類と量とは、本発明による縮合架橋性のポリオルガノシロキサン調製物が流動性の粘稠性を有する、すなわち最大で500000mPa・s、有利には最大で100000mPa・s、特に有利には最大で60000mPa・sの粘度を有するように選択すべきである。
【0090】
充填剤(FF)の全量的割合は、有利には1〜80質量%、特に有利には5〜50質量%である。
【0091】
本発明の範囲内での極性添加剤(GG)は、これらがその顕著な極性に基づいて、ケイ酸表面上のなおも存在し空間的に到達可能なSiOH基とも、方法に制約されて、系中になおも存在する極性の充填剤処理剤の基あるいはその反応生成物のいずれとも相互作用でき、それによって大体において強い増粘効果あるいはチキソトロピー効果がもたらされ、本来流動性のゴム材料において完全な流動性の損失までをもたらしうることを特徴とする。しかしながら、本発明による方法による充填剤処理は、かかる極性添加剤との相互作用が小さすぎて、明らかな粘度の増加又は完全な流動性の損失をもたらしえないほど高いケイ酸表面の保護をもたらす。
【0092】
かかる極性添加剤(GG)のための例は、一般に知られる製品、例えば帯電防止剤及び親水化改質剤、定着剤、離型剤、滑剤又は疎水化剤である。
【0093】
帯電防止剤及び親水化改質剤として適した添加剤(GG)のための例は、非イオン系、両性、アニオン系及びカチオン系の界面活性剤である。非イオン系界面活性剤のための例は、アルキルポリグリコールエーテル、ポリアルコキシ化脂肪アルコール及びアルキルフェノール、ポリアルコキシ化脂肪酸及びそのエステル、ポリアルコキシ化脂肪酸アミン及び−アミド、アルキルポリグルコシド、N−メチルグルカミド、ソルビタン脂肪酸エステル、エチレンオキシド(EO)/プロピレンオキシド(PO)−ブロックコポリマー、エチレンジアミン/EO/PO−ブロックコポリマー、(A)ジオルガノシロキシブロックと(B)アルキレンオキシドブロックからなるABA型、BAB型又は(AB)型の鎖でのコポリマー、アルキレンオキシドブロック又はポリオールを側鎖又は鎖端に有するポリオルガノシロキサン−コポリマーである。両性界面活性剤のための例は、アルキルアミノカルボン酸、ベタイン、例えばアルキルアミドプロピルベタイン及びアルキルジメチルカルボキシメチルベタイン並びにスルホベタイン、例えばアルキルトリメチルスルホベタインである。
【0094】
アニオン系界面活性剤のための例は、アルカリ金属塩、有利にはナトリウム塩のオレフィンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルカリールスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸、アルカリールエーテル硫酸、ポリグリコールエーテル硫酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルアミンスルホスクシンアミド酸、リン酸モノ−及びジアルキルエステル、ポリアルコキシ化脂肪アルコール及びポリエチレングリコールのリン酸ジエステル、ポリアルコキシ化脂肪アルコールのリン酸モノ−、−ジ−及び−トリエステル、アルキルポリオキシアルキレンカルボン酸並びにカリウム塩のアルキルベンジルスルホン酸である。
【0095】
カチオン系界面活性剤のための例は、第四級アンモニウム化合物、例えばアルキルトリメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチル塩化アンモニウム、ジアルキルジメチル塩化アンモニウム及びジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェートである。
【0096】
本発明による方法に従って製造される流動性の縮合架橋性のポリオルガノシロキサン材料のための帯電防止剤及び親水化改質剤としては、アニオン系界面活性剤が好ましく、ナトリウム塩のリン酸モノ−及び−ジアルキルエステル、ポリアルコキシ化脂肪アルコール及びポリエチレングリコールのリン酸ジエステル、及びポリアルコキシ化脂肪アルコールのリン酸モノ−、−ジ−及び−トリエステル、例えば2EO基を有するラウリルエトキシレートとポリエチレングリコールとのリン酸エステルのナトリウム塩が特に好ましい。アニオン系界面活性剤は、50〜2000mPa・s、有利には100〜1000mPa・sの粘度を有する。
【0097】
定着剤として適した添加剤(GG)のための例は、官能性シラン、例えばN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン及び3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、有利にはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0098】
離型剤、滑剤又は疎水化剤として適した、加硫されたシリコーンゴムからの滲出作用を有する添加剤(GG)のための例は、一般式(VI)
(RSiO)SiR (VI)
[式中、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の一価のC〜C−アルキル基、有利にはメチル及びビニル、置換又は非置換のC〜C−アリール基、有利にはフェニルを意味し、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の一価のC〜C−アルキル基、有利にはメチル及びビニル、置換又は非置換のC〜C−アリール基、有利にはフェニルを意味し、その際、R基の10〜45モル%がアリール基、有利にはフェニルであり、
nは、3〜50の数、有利には5〜30の数を意味する]で示されるアリール含有のポリオルガノシロキサンである。
【0099】
アリール含有のポリオルガノシロキサンは、50〜500mPa・s、有利には100〜250mPa・sの粘度を有する。
【0100】
極性添加剤(GG)は、単独でも、同様の及び/又は異なった極性添加剤(GG)と組み合わせて使用することができ、その際、添加量は、全ポリオルガノシロキサン調製物に対して、0〜25質量%、有利には0.1〜20質量%、特に有利には0.1〜10質量%、特に好ましくは0.1〜6質量%である。
【0101】
本発明による流動性の縮合架橋性のポリオルガノシロキサン調製物中に場合により含まれる更なる添加物質(HH)は、該系に所定の特性を授けるために添加できるが、但し、該添加物質は本発明の目的を妨げない。
【0102】
かかる添加物質(HH)は、例えば本発明による縮合架橋性のポリオルガノシロキサン調製物の反応性の調節のために役立ち、従って促進剤又は抑制剤として作用しうる。こうして塩基は縮合架橋性の系において通常は架橋反応を促進するが、酸はその減速作用を有する。その反応性は、シラノール含有化合物の添加によっても、有利には一般式HO(RSiO)H[式中、有利にはnは3〜200であり、かつRは同一又は異なって、Si−C結合を有する、置換又は非置換の一価のC〜C18−炭化水素基である]で示され、23℃での粘度有利には10〜1000mPa・s、好ましくは20〜500mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンによって、量的割合0.1〜10質量%、有利には0.2〜3質量%で低下させることができる。添加物質(HH)は、更に所定の特性、例えば耐熱性又は難燃性を、例えば酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンゾトリアゾール又は白金化合物の添加によって改善でき、又は可溶性染料又は不溶性着色顔料の場合には色付与に役立ちうる。
【0103】
本願で挙げられる添加物質(HH)のための例は、実例のみであり、本発明によるポリオルガノシロキサン調製物の限定として考慮されるものではない。
【0104】
ポリオルガノシロキサン材料の縮合架橋のために、所定量の水が必要である。添加される水(JJ)の量は、縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン(XX)に対して、有利には0〜2質量%、特に有利には0〜1質量%であり、その際、十分な水量が縮合架橋性のポリオルガノシロキサン材料の他の成分を介して該系中にもたらされる場合には、水の添加は不要である。
【0105】
本発明による縮合架橋性のポリオルガノシロキサン調製物は、1成分系、2成分系又は多成分系のいずれとしても配合できる。
【0106】
1成分系を得るために、全ての配合成分を無水条件下に混合する。こうして得られた材料は、空気湿分の作用下に又は水を添加することによって、通常は室温で、場合により100℃までの高められた温度でも加硫する。
【0107】
2成分系又は多成分系を得るために、配合成分を、一緒に混合すると加硫が行われる2種又は多種の成分となるように分け、その際、それらの成分の一方は1種の触媒(DD)又は複数種の触媒(DD)を含有し、場合により1種の架橋剤(CC)又は複数種の架橋剤(CC)をも含有する。有利な一実施態様では、2種の成分を、その両者の成分の一方が、1種の架橋剤(CC)又は複数種の架橋剤(CC)を含有するのと同様に、1種の触媒(DD)又は複数種の触媒(DD)も含有するように配合する。
【0108】
本発明による方法に従って製造される流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料の更に有利な実施態様は、付加架橋性のポリオルガノシロキサン材料であって、その製造のために:
(AAA)前記の方法に従って製造される懸濁液(A)(その際、該懸濁液は場合により、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、不飽和の一価のC〜C−アルキル基、有利にはビニル基を有してよいポリオルガノシロキサン(X)を含有してよく、又は場合により、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、不飽和の一価のC〜C−アルキル基、有利にはビニル基又は水素基を有してよいポリオルガノシロキサン(XX)を有してよい)、
(BBB)場合により、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、一価の不飽和のC〜C−アルキル基、有利にはビニルを有する、ポリオルガノシロキサン(XX)又は複数種のポリオルガノシロキサン(XX)から構成される混合物(その際、配合成分(BBB)が必須となるのは、(AAA)が、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、一価の不飽和のC〜C−アルキル基、有利にはビニル基を有するポリオルガノシロキサン(X)を含有しないか、又は一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、一価の不飽和のC〜C−アルキル基、有利にはビニル基を有するポリオルガノシロキサン(XX)を含有しない場合である)、
(CCC)場合により、一般式
R′SiO(4−b−c)/4 (VII)
[式中、
R′は、それぞれ自体互いに無関係に、一般式(IV)で示される基Rを意味し、
bは、0.6〜2.3の値を意味し、かつ
cは、0.005〜1.3の値を意味するが、但し、合計(b+c)は0.8〜2.7の値を有し、かつ一般式(VII)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、各分子中に少なくとも2つのSiに結合する水素基を有する]で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから選択される、1種又は複数種の架橋剤(その際、配合成分(CCC)が必須となるのは、配合成分(AAA)中に含まれるポリオルガノシロキサン(XX)が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンではなく、かつ架橋剤(CCC)及び場合により懸濁液(A)の成分としてのポリオルガノシロキサン(XX)中のSi−H基と配合成分(AAA)及び場合により(BBB)中のアルケニル基とのモル比が0.3〜10、有利には0.5〜5である場合である)、
(DDD)付加系に作用する架橋触媒、
(EEE)場合により、一般式(IV)で示され、縮合可能な基又は加水分解可能な基を有さない、ポリオルガノシロキサン又は複数種のポリオルガノシロキサン(XX)から構成される混合物、有利にはα,ω−ビス(トリアルキルシロキシ)ポリオルガノシロキサン、特に有利にはα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン、
(FFF)場合により、(FF)として上記されたような、1種又は複数種の非補強性又は部分補強性の充填剤、
(GGG)場合により、(GG)として詳細に上記されたような、1種又は複数種の極性添加剤、並びに
(HHH)場合により、更なる添加物質
を混合することを特徴とする材料である。
【0109】
架橋剤(CCC)は、一般式(VIII)、(IX)及び(X)
【0110】
【化3】

[式中、
R′′は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の、一価の飽和又は不飽和のC〜C−アルキル基、有利にはメチル及びビニル、置換又は非置換のC〜C−アリール基、有利にはフェニル基を意味し、
mは、0又は1〜300の数、有利には0〜200の数、特に有利には0〜150の数を意味し、
nは、0又は1〜100の数、有利には0〜60の数を意味し、
pは、0又は1〜6の数、有利には0〜4の数を意味し、
qは、2〜8の数を意味し、
rは、1〜2の数を意味し、
sは、0又は1を意味し、
yは、0又は1〜2の数、有利には0〜1の数を意味し、かつ
zは、2〜4の数、有利には3〜4の数を意味する]によって記載される、直鎖状、分枝鎖状又は環式のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであってよい。
【0111】
架橋剤(CCC)のための具体的な有利な例は、α,ω−ビス(ジメチルヒドリドシロキシ)ポリジメチルシロキサン;ポリメチル−H−シロキサン又はジメチルシロキサン−メチル−H−シロキサン−コポリマーであって、鎖端にジメチルヒドリドシロキシ基又はトリメチルシロキシ基を有するコポリマー;環状のポリメチル−H−シロキサン又は環状のジメチルシロキサン−メチル−H−シロキサンコポリマー、テトラキス(ジメチルヒドリドシロキシ)シラン、トリス(ジメチルヒドリドシロキシ)メチルシラン及びトリス(ジメチルヒドリドシロキシ)シランである。
【0112】
架橋剤(CCC)は、有利には23℃で2000mPa・sの粘度を有する。
【0113】
本発明による方法に従って製造される流動性の、付加架橋性のポリオルガノシロキサン材料に適した触媒(DDD)は、有利には周期律表の第VIII副族の金属、例えば白金、ロジウム又はパラジウム並びにそれらの化合物、有利には白金及びそれらの化合物である。
【0114】
触媒(DDD)のために具体的な例は、白金黒、ヘキサクロロ白金酸及びオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンカルビノールとの白金錯体である。
【0115】
触媒(DDD)は、単独又は混合物で使用することができるが、アルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(X)及び/又はポリオルガノシロキサン(XX)の全量に対して、0.1〜2000ppm、有利には1〜500ppm、特に有利には5〜100ppmの量的割合で使用することができる。
【0116】
詳細に(GG)として上記された、場合による1種又は複数種の極性添加剤(GGG)において、本発明による方法に従って製造される流動性の付加架橋性のポリオルガノシロキサン材料のための帯電防止剤及び親水化改質剤としては、非イオン系界面活性剤が好ましく、特に
a)一般式(XI)
HO(CO)(CO)
[式中、
xは、0.05〜0.06y、有利には0.2〜0.4yを意味し、
x+yは、40〜60、有利には45〜55を意味する]で示されるエチレンオキシド(EO)/プロピレンオキシド(PO)−ブロックコポリマー、
b)一般式(XII)
【0117】
【化4】

[式中、
は、式(II)での意味と同じ、有利にはメチルを意味し、
Xは、ヒドロキシ又はアルコキシ、有利にはヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシを意味し、
nは、2又は3を意味し、
mは、1〜50の数、有利には10〜20の数を意味し、
xは、1〜20の数、有利には5〜15の数を意味し、
yは、1、2又は3、有利には3を意味する]で示される(A)ジオルガノシロキシブロック並びに(B)EOブロック及び/又はPOブロックからなるBAB型の鎖におけるコポリマー、
c)式(XIII)
SiO(RSiO)(RYSiO)OSiR (XIII)
[式中、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、飽和又は不飽和の一価のC〜C−アルキル基、有利にはメチル及びビニル、又は水素を意味し、
xは、0又は1〜250の数、有利には10〜200の数を意味し、
yは、1〜50の数、有利には10〜40の数を意味し、
Yは、−C2n(OCHCH(OCHCHCH
(式中、
Qは、OH又はC〜C−アルコキシ基、有利にはOH、メトキシ、エトキシ、プロポキシを意味し、
nは、0〜6、有利には2及び3、特に有利には3を意味し、
pは、≧1の数、有利には2〜8、特に有利には3〜6を意味し、かつ
qは、≧0の数、有利には0〜1、特に有利には0を意味する)を意味する]で示される、側鎖又は鎖端にアルキレンオキシドブロック又はポリオールを有するポリオルガノシロキサン、
が好ましい。
【0118】
非イオン系界面活性剤は、50〜2000mPa・s、有利には100〜1000mPa・sの粘度を有する。
【0119】
詳細に(GG)として記載したような、本発明による方法に従って製造される流動性の付加架橋性のポリオルガノシロキサン材料のための定着剤として適した極性添加剤(GGG)のための例は、官能性シラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、有利には3−(2,3−エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン及び3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0120】
離型剤、滑剤又は疎水化剤として適した、加硫されたシリコーンゴムからの滲出作用を有する添加剤(GGG)のための例は、一般式(VI)
(RSiO)SiR (VI)
[式中、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の一価のC〜C−アルキル基、有利にはメチル及びビニル、置換又は非置換のC〜C−アリール基、有利にはフェニルを意味し、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の一価のC〜C−アルキル基、有利にはメチル及びビニル、置換又は非置換のC〜C−アリール基、有利にはフェニルを意味し、その際、R基の10〜45モル%がアリール基、有利にはフェニルであり、
nは、3〜50の数、有利には5〜30の数を意味する]で示されるアリール含有のポリオルガノシロキサンである。
【0121】
アリール含有のポリオルガノシロキサンは、50〜500mPa・s、有利には100〜250mPa・sの粘度を有する。
【0122】
極性添加剤(GGG)は、単独でも、同様の及び/又は異なった極性添加剤(GGG)と組み合わせて使用することができ、その際、添加量は、全ポリオルガノシロキサン調製物に対して、0〜10質量%、有利には0〜5質量%である。
【0123】
本発明による流動性の付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物中に場合により含まれる更なる添加物質(HHH)は、該系に所定の特性を授けるために添加できるが、但し、該添加剤は本発明の目的を妨げない。
【0124】
かかる添加物質(HHH)は、例えば本発明による付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物の反応性の調節のために適した触媒(DDD)用の抑制剤であってよい。かかる抑制剤のために有利な例は、不飽和基を有するシロキサン、例えば1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキセニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、ポリビニルメチルシロキサン又はジメチルシロキサン−ビニルメチルシロキサン−コポリマー、並びにアセチレンアルコール、例えば1−エチニル−1−シクロヘキサノール及び2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール;トリアゾール化合物、例えばベンゾトリアゾールである。
【0125】
かかる抑制剤の添加量は、貯蔵条件、加工条件及び加硫条件に依存し、そしてアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(X)及び/又はポリオルガノシロキサン(XX)の全量に対して、1ppm〜50000ppm、有利には10ppm〜10000ppmであってよい。添加物質(HHH)は、更に所定の特性、例えば耐熱性又は難燃性を、例えば酸化セリウム、酸化アンチモン、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンゾトリアゾール又は白金化合物の添加によって改善でき、又は可溶性染料又は不溶性着色顔料の場合には色付与に役立ちうる。
【0126】
本願で挙げられる添加物質(HHH)のための例は、実例のみであり、本発明によるポリオルガノシロキサン調製物の限定として考慮されるものではない。
【0127】
本発明による流動性の付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物は、1成分系、2成分系又は多成分系のいずれとしても配合できる。1成分系を得るために、全ての配合成分を混合する。触媒(DDD)のために十分に効果的な抑制剤、有利にはアセチレンアルコール、例えば1−エチニル−1−シクロヘキサノール及び2−メチル−3−ブチン−2−オールを添加することによって、貯蔵時間は1年間まで可能である。次いで、加硫は、150℃〜200℃の高められた温度で実施される。
【0128】
2成分系又は多成分系を得るために、配合成分を、一緒に混合すると加硫が行われる2種又は多種の成分となるように分け、その際、それらの成分の一方は1種の触媒(DDD)又は複数種の触媒(DDD)を含有し、もう一方が1種の架橋剤(CCC)又は複数種の架橋剤(CCC)を含有する。
【0129】
ポリオルガノシロキサンと補強性充填剤とから構成される本発明による懸濁液を基礎とする流動性の縮合架橋性もしくは付加架橋性のオルガノポリシロキサン調製物は、有利には流動性で、室温又は高められた温度で加硫可能であり、高められた加硫強さを有するシリコーンゴム材料を使用する全ての用途のために、場合により所定の添加剤を添加して、例えば電機部品又は電子部品の注型のため、ガスケット及びシールのため、成形部材、なかでも印刷タンポンの製造のため、並びに歯科用成形品を含む原型の成形品を製造するために基本的には適している。
【実施例】
【0130】
以下の実施例は、本発明による補強性充填剤をポリオルガノシロキサン中に懸濁させた懸濁液の製造方法、流動性の縮合架橋性及び付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物の製造のための前記懸濁液の使用、並びに極性添加剤の添加に対する前記調製物の粘度耐性を説明するために役立つものである。
【0131】
これらの実施例は、本発明による調製物の全用途範囲を限定するものでも狭めるものではない。
【0132】
全ての部は、質量部である。
【0133】
インサイチューの充填剤処理とポリオルガノシロキサン/充填剤−分散液の製造は、加熱と冷却が可能なトラフ及び2つの反転混練ブレードを有する15lの混合混練機において、常圧で、不活性ガス(N;約200l/h)を流通させつつ、揮発性物質を除去するための冷却トラップを使用して不活性ガス流中で実施した。混合物成分は、補強性充填剤を完全に添加した後に、できるだけ硬質であるが、更に完全に均質な相が生じて、ポリオルガノシロキサン/充填剤−混合物のできる限り高い剪断が達成されるように選択した。完成したポリオルガノシロキサン/充填剤−分散液は、二本ロール混練機を介して摩滅させ、更に100μmの篩を通じて濾過した。
【0134】
すぐに使用できるポリオルガノシロキサン調製物の製造は、加熱と冷却が可能な槽を有する排気可能な5lの遊星型溶解機中で実施した。
【0135】
ポリマー/充填剤−分散液の粘度測定は、Physica社製のMCR300型のプレート・コーン型動的粘度計を用いて規格DIN EN ISO3219に従って以下の条件:
温度:25℃
測定法:回転測定
プレート/コーン−寸法:直径25mm;円錐角2゜
測定方式:剪断速度制御
剪断速度範囲:0.1〜1s−1
測定時間:2分
測定値の数:30(対数分布:初期値については10sで、最終値については1sで)
評価:剪断速度D0.89s−1での内挿値としてのmPa・sにおける粘度表記
で実施した。
【0136】
すぐに使用可能なポリオルガノシロキサン調製物の粘度とその加工時間の測定は、Brookfield社製のRVTDV−I型の、デジタル粘度計を用いて、適切なスピンドルをもって2.5回転/分で、23℃/50%相対空気湿度において規格EN ISO2555に従って実施した。
【0137】
加工時間としては、両方の成分AとBを混合してから、触媒された混合物の粘度が60000mPa・sに達した時点までの時間間隔を定義した。
【0138】
機械的特性の測定は、縮合架橋性の系の場合には、流延され、離型後に4日間標準条件(23℃/50%の相対空気湿度)で貯蔵された2mmの層厚を有する加硫物シートで実施し、そして付加架橋系の場合には、100℃で10分間加熱可能な液圧式プレス中で200バールのプレス圧で製造され、離型後に1時間標準条件(23℃/50%の相対湿度)で貯蔵された2mmの層厚を有する加硫物シートで実施した。これらの測定は、
− ショアA硬度の場合に、DIN EN ISO868(DIN53505)で、
− 極限引張強さ(N/mm)及び破断点伸び(%)の場合に、規格DIN53504S3Aで、
− 引裂伝播抵抗(N/mm)の場合に、規格DIN53507(ISO34−1) − 試験片(トラウザー試験片)で
実施した。
【0139】
実施例1
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン3500gを、混練機中で不活性ガスを流通させつつ30gの50%水性KOHと混合した。加熱又は冷却をせずに、少しずつ60分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g混和した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱しながら3時間混練し、その際、該材料の温度は150℃に達した。
【0140】
20分間の冷却段階(混合温度:100℃)の後に、メタンスルホン酸(98%)10gと、次いでビニルジメチルクロロシラン20g及び粘度100mPa・sを有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン20gから構成される混合物40gとを同量で4回に分けて混加させた。冷却せずに1時間混練した後に、該混合物を150℃で不活性ガス流において2時間加熱し、次いで90℃に冷却した。引き続き、まず粘度12000mPa・s及びOH含量900ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン300gと、次いで粘度6000mPa・s及びOH含量1100ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン850gとを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(1)は、粘度180000mPa・sを有する。そのポリマー/充填剤−分散液(1)を基礎として、縮合架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(1A)を、
ポリマー/充填剤−分散液(1)2.20kg、
平均粒度3μmを有する石英粉0.80kg、
粘度500mPa・s及びOH含量2800ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン0.15kg、
粘度12000mPa・s及びOH含量900ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン0.35kg、
粘度20000mPa・s及びOH含量750ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン0.50kg、並びに
粘度100mPa・s及び残留OH含量600ppmを有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン0.40kg
を混合することによって製造した。
【0141】
そのポリオルガノシロキサン調製物(1A)は、粘度30000mPa・sを有する。
【0142】
ポリオルガノシロキサン調製物(1A)100部を、テトラ−n−プロポキシシラン2部、ジ−n−ブチルスズジネオデカノエート1部及び粘度100mPa・sを有を有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン2部から構成される硬化剤調製物(1B)5部と混合した。
【0143】
その触媒された混合物は、粘度25000mPa・sを有し、かつ加工時間40分を有する。機械的特性を、第1表に示す。
【0144】
実施例2(比較例)
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン2450gを、混練機中で不活性ガスを流通させつつ、そして加熱又は冷却をせずに、少しずつ45分以内に、ヘキサメチルジシラザンで前処理されたBET表面積140m/gを有する熱分解法ケイ酸を全体で2450g混合した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱及び冷却させずに1時間混練し、その際、該材料の温度は140℃に達した。次いで、該混合物を150℃で不活性ガス流において2時間加熱し、引き続き90℃に冷却した。引き続き、まず粘度12000mPa・s及びOH含量900ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン300gと、次いで粘度6000mPa・s及びOH含量1100ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン850gと、更に粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1050gとを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(2)は、粘度600000mPa・sを有する。
【0145】
そのポリマー/充填剤−分散液(2)を基礎として、調製物(1A)と同じ組成を有し、粘度35000mPa・sを有する縮合架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(2A)を製造した。
【0146】
ポリオルガノシロキサン調製物(2A)100部を、硬化剤調製物(1B)と同一の硬化剤調製物(2B)5部と混合した。
【0147】
その触媒された混合物は、粘度22000mPa・sを有し、かつ加工時間100分を有する。機械的特性を、第1表に示す。
【0148】
実施例3(比較例)
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン3500gを、混練機中で不活性ガスを流通させつつ水45g及びヘキサメチルジシラザン370gと混合した。加熱又は冷却をせずに、少しずつ30分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g混和した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱又は冷却せずに1時間混練し、その際、該材料の温度は100℃に達した。引き続き、該混合物を150℃で不活性ガス流において2時間加熱し、次いで90℃に冷却した。引き続き、まず粘度12000mPa・s及びOH含量900ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン300gと、次いで粘度6000mPa・s及びOH含量1100ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン850gとを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(3)は、粘度6500000mPa・sを有する。
【0149】
そのポリマー/充填剤−分散液(3)を基礎として、調製物(1A)と同じ組成を有し、粘度50000mPa・sを有する縮合架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(3A)を製造した。
【0150】
ポリオルガノシロキサン調製物(3A)100部を、硬化剤調製物(1B)と同一の硬化剤調製物(3B)5部と混合した。
【0151】
その触媒された混合物は、粘度45000mPa・sを有し、かつ加工時間12分を有する。機械的特性を、第1表に示す。
【0152】
第1表
【0153】
【表1】

【0154】
ポリオルガノシロキサン調製物1A、2A及び3Aを、それぞれ1種の極性添加剤と作用濃度で混合した。添加剤を添加した10分後に、粘度を測定した(第1a表):
第1a表
【0155】
【表2】

【0156】
実施例4
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量10ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gを、混練機中で不活性ガスを流通させつつ30gの50%水性KOHと混合した。該混合物を150℃で1時間混練し、引き続き混練しながら100℃に冷却した。ここで、粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gを混加させた。それに従って、加熱又は冷却をせずに、少しずつ60分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g混和した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱しながら3時間混練し、その際、該材料の温度は150℃に達した。120℃の混合物温度に達するまでの冷却段階の後に、メタンスルホン酸10gと、次いでビニルジメチルクロロシラン28g及び粘度100mPa・sを有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン28gから構成される混合物56gとを同量で4回に分けて混加させた。冷却せずに1時間混練した後に、該混合物を150℃で不活性ガス流において2時間加熱し、次いで120℃に冷却した。引き続き、粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン2600gを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(4)は、粘度52000mPa・sを有する。
【0157】
ポリマー/充填剤−分散液(4)を基礎として、付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(4A)を、
ポリマー/充填剤−分散液(4)3.60kg、
平均粒度3μmを有する石英粉0.08kg、
粘度1000mPa・s及びビニル含量3200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチル)ポリジメチルシロキサン0.09kg、
粘度20000mPa・s及びビニル含量1200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチル)ポリジメチルシロキサン0.03kg、
粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン0.64kg、並びに
粘度180mPa・s及びH含量1800ppmを有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチル(メチル−H−)シロキサン0.06kg
を混合することによって製造した。
【0158】
そのポリオルガノシロキサン調製物(4A)は、粘度23000mPa・sを有する。
【0159】
更に、付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(4B)を、
粘度200m/g及びビニル含量7400ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチル)ポリジメチルシロキサン0.225kg、
粘度1000mPa・s及びビニル含量3200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチル)ポリジメチルシロキサン0.175kg、
粘度20000mPa・s及びビニル含量1200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチル)ポリジメチルシロキサン0.067kg、
ヘキサメチルジシラザンで前処理された、BET表面積140m/gを有する熱分解法ケイ酸0.020kg、
粘度1000mPa・sのα,ω−ビス(ビニルジメチル)ポリジメチルシロキサン中の白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(US3,775,452号の第2欄第14行〜第4欄第39行)(白金含量10000ppm)0.006kg、並びに
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.007kg
を混合することによって製造した。
【0160】
そのポリオルガノシロキサン調製物(4B)は、粘度900mPa・sを有する。
【0161】
ポリオルガノシロキサン調製物(4A)450部を、ポリオルガノシロキサン調製物(4B)50部と混合した。その触媒された混合物は、粘度15000mPa・sを有し、かつ加工時間30分を有する。機械的特性を、第2表に示す。
【0162】
実施例5
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量10ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gを、混練機中で不活性ガスを流通させつつ60gの65%水性KOHと混合した。該混合物を150℃で1時間混練し、引き続き混練しながら100℃に冷却した。ここで、粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gを混加させた。それに従って、加熱又は冷却をせずに、少しずつ60分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g導入した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱しながら3時間混練し、その際、該材料の温度は150℃に達した。混合物温度が120℃に達するまでの冷却段階の後に、ギ酸50gを同量で2回に分けて混加させた。冷却せずに1時間混練した後に、該混合物を150℃で不活性ガス流において2時間加熱し、次いで120℃に冷却した。引き続き、粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン2600gを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(5)は、粘度41000mPa・sを有する。
【0163】
そのポリマー/充填剤−分散液(5)を基礎として、調製物(4A)と同じ組成を有し、粘度19500mPa・sを有する付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(5A)を製造した。
【0164】
ポリオルガノシロキサン調製物(5A)450部を、ポリオルガノシロキサン調製物(4B)と同一であるポリオルガノシロキサン調製物(5B)50部と混合した。
【0165】
その触媒された混合物は、粘度14000mPa・sを有し、かつ加工時間35分を有する。機械的特性を、第2表に示す。
【0166】
実施例6(比較例)
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量10ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750g及び粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gから構成される混合物を、混練機中で不活性ガスを流通させつつ、加熱又は冷却せずに、少しずつ15分以内に、ヘキサメチルジシラザンで前処理された、BET表面積140m/gを有する熱分解法ケイ酸を、全体で2450g混合した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱及び冷却せずに1時間混練し、その際、該材料の温度は82℃に達した。次いで、該混合物を150℃で不活性ガス流において3時間加熱し、引き続き90℃に冷却した。引き続き、粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン2600gを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(6)は、粘度134000mPa・sを有する。
【0167】
そのポリマー/充填剤−分散液(6)を基礎として、調製物(4A)と同じ組成を有し、粘度38000mPa・sを有する付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(6A)を製造した。
【0168】
ポリオルガノシロキサン調製物(6A)450部を、ポリオルガノシロキサン調製物(4B)と同一であるポリオルガノシロキサン調製物(6B)50部と混合した。
【0169】
その触媒された混合物は、粘度26000mPa・sを有し、かつ加工時間67分を有する。機械的特性を、第2表に示す。
【0170】
実施例7(比較例)
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量10ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750g及び粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gを、混練機中で不活性ガスを流通させつつ、水110g及びヘキサメチルジシラザン370gと混合した。加熱又は冷却をせずに、少しずつ15分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g混和した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱又は冷却せずに1時間混練し、その際、該材料の温度は70℃に達した。引き続き、該混合物を150℃で不活性ガス流において3時間加熱し、次いで90℃に冷却した。引き続き、粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン2600gを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(7)は、粘度58000mPa・sを有する。
【0171】
そのポリマー/充填剤−分散液(7)を基礎として、調製物(4A)と同じ組成を有し、粘度18000mPa・sを有する付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(7A)を製造した。
【0172】
ポリオルガノシロキサン調製物(7A)450部を、ポリオルガノシロキサン調製物(4B)と同一であるポリオルガノシロキサン調製物(7B)50部と混合した。その触媒された混合物は、粘度12000mPa・sを有し、かつ加工時間133分を有する。機械的特性を、第2表に示す。
【0173】
実施例8(比較例)
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量10ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750g及び粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gから構成される混合物を、混練機中で不活性ガスを流通させつつ、水45g及びヘキサメチルジシラザン45gと混合した。加熱又は冷却をせずに、少しずつ40分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g混和した。充填剤の添加が完了した後に、更にヘキサメチルジシラザン330gを添加し、そのうえで該混合物を加熱又は冷却せずに1時間混練し、その際、該材料の温度は55℃に達した。引き続き、該混合物を150℃で不活性ガス流において3時間加熱し、次いで90℃に冷却した。引き続き、粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン2600gを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(8)は、粘度29000mPa・sを有する。
【0174】
そのポリマー/充填剤−分散液(8)を基礎として、調製物(4A)と同じ組成を有し、粘度10000mPa・sを有する付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(8A)を製造した。
【0175】
ポリオルガノシロキサン調製物(8A)450部を、ポリオルガノシロキサン調製物(4B)と同一であるポリオルガノシロキサン調製物(8B)50部と混合した。
【0176】
その触媒された混合物は、粘度7000mPa・sを有し、かつ加工時間93分を有する。機械的特性を、第2表に示す。
【0177】
実施例9(比較例)
粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量10ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750g及び粘度1000mPa・s及び残留SiOH含量200ppmを有するα,ω−ビス(ビニルジメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1750gを、混練機中で不活性ガスを流通させつつ、粘度40mPa・s及びOH含量39000ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン75gと混合した。加熱又は冷却をせずに、少しずつ45分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g混和した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱又は冷却せずに1時間混練し、その際、該材料の温度は105℃に達した。引き続き、該混合物を150℃で不活性ガス流において1時間加熱し、次いで90℃に冷却した。引き続き、粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン2600gを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(9)は、粘度800000mPa・sを有する。
【0178】
そのポリマー/充填剤−分散液(9)を基礎として、調製物(4A)と同じ組成を有する付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(9A)を製造したが、該調製物は、粘度測定のためにはチキソトロピーが高すぎた。
【0179】
ポリオルガノシロキサン調製物(9A)450部を、ポリオルガノシロキサン調製物(4B)と同一であるポリオルガノシロキサン調製物(9B)50部と混合した。
【0180】
その触媒された混合物は、同様に粘度測定のためには大きすぎるチキソトロピーを有する。
【0181】
実施例10(比較例)
粘度80mPa・s及びOH含量8000ppmを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン3500gと1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン44g及び65%の水性KOH60gから構成される混合物を混練機中で不活性ガスを流通させつつ装入した。全加熱をしながら、少しずつ45分以内で、BET表面積140m/gを有する未処理の熱分解法ケイ酸を全体で2450g混和した。充填剤の添加が完了した後に、該混合物を加熱しながら1時間混練し、その際、該材料の温度は140℃に達した。混合物温度が120℃に達するまでの冷却段階の後に、ギ酸50gを同量で2回に分けて混加させた。冷却せずに1時間混練した後に、該混合物を150℃で不活性ガス流において2時間加熱し、次いで120℃に冷却した。引き続き、粘度1000mPa・s及びH含量120ppmを有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン2600gを混加させた。そのポリマー/充填剤−分散液(10)は、粘度1100000mPa・sを有する。
【0182】
ポリマー/充填剤−分散液(10)を基礎として、調製物(4A)と同じ組成を有する付加架橋性のポリオルガノシロキサン調製物(10A)を製造したが、該調製物は、粘度測定のためにはチキソトロピーが高すぎた。
【0183】
ポリオルガノシロキサン調製物(10A)450部を、ポリオルガノシロキサン調製物(4B)と同一であるポリオルガノシロキサン調製物(10B)50部と混合した。その触媒された混合物は、同様に粘度測定のためには大きすぎるチキソトロピーを有する。
【0184】
機械的特性を、第2表に示す。
【0185】
第2表
【0186】
【表3】

【0187】
ポリオルガノシロキサン調製物4A、5A、6A、7A、8A、9A及び10Aを、それぞれ極性添加剤と作用濃度で混合した。添加剤を添加した1分後に、粘度を測定した(第2a表):
第2a表
【0188】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性の架橋可能な、
(A)補強性充填剤をポリオルガノシロキサン中に懸濁させた懸濁液少なくとも1種、
(B)縮合架橋系及び付加架橋系の群から選択される架橋系少なくとも1種、
(C)相応の架橋触媒少なくとも1種、
(D)場合により、極性添加剤1種以上、及び
(E)場合により、更なる添加物質
を含有するポリオルガノシロキサン材料であって、前記の懸濁液(A)が、
(1)以下の(X)と(Y)と(Z)
(X)23℃での粘度100〜500000mPa・sを有するポリオルガノシロキサン又はかかるポリオルガノシロキサンの混合物、
(Y)水(但し、その全添加量は、別個にか又は添加される水の部分量又は全量として、また縮合触媒/平衡化触媒(Z)の成分として、又は吸着された状態で補強性充填剤(F)を介して混合物中に導入できる)、
(Z)縮合触媒/平衡化触媒として作用する物質又はかかる物質の混合物
を混合すること、
(2)場合により、該混合物を高められた温度、有利には50℃〜180℃で15〜120分の時間にわたって平衡化すること、
(3)比表面積(BET)少なくとも40m/gを有する補強性充填剤(F)を添加すること、
(4)高められた温度、有利には50℃〜180℃で反応させること、
(5)1種以上の失活剤(DA)を添加することによって触媒(Z)を失活させること、
(6)揮発性成分を、不活性ガス流中及び/又は減圧下で温度範囲80℃〜180℃において加熱することによって除去すること、
(7)場合により、他のポリシロキサン(XX)又はポリシロキサンの混合物を添加すること
によって得られることを特徴とする流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料。
【請求項2】
懸濁液(A)の成分としてのポリオルガノシロキサン(X)が、一般式(I)
SiO(4−a)/2 (I)
[式中、
Rは、同一又は異なって、Si−C結合を有し、置換又は非置換の一価のC〜C18−炭化水素基又はヒドロキシル基を意味し、
aは、0、1、2又は3の値、平均して1.85〜2.4、有利には1.9〜2.1の値を意味するが、但し、
Rが、使用される縮合触媒/平衡化触媒の存在下に反応性の基を表さないのは、この基がポリオルガノシロキサン(X)の全量に対して>1000ppm、有利には>700ppmの濃度で存在している限りである]で示される単位から構成されていることを特徴とする、請求項1記載のポリオルガノシロキサン材料。
【請求項3】
ポリオルガノシロキサン(X)が23℃での粘度100〜500000mPa・sを有することを特徴とする、請求項1又は2記載のポリオルガノシロキサン材料。
【請求項4】
ポリオルガノシロキサン(X)として、有利には一般式(II)
【化1】

[式中、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する一価の不飽和のC〜C−アルキル基を意味し、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の一価の飽和C〜C−アルキル基、置換又は非置換のC〜C−アリール基又はヒドロキシル基を意味し、
mは、100〜1200、有利には150〜700、特に有利には200〜500の値を意味し、
nは、0又は1〜50の数を意味し、
xは、0又は1〜3の数を意味する]で示されるポリジオルガノシロキサンを使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン材料。
【請求項5】
触媒(Z)が、カルボン酸(場合によりその第四級アンモニウム塩との組合せで)、一般式XSOH[式中、Xはアルキル、アリール及びアルカリール又はハロゲンを意味する]で示されるスルホン酸、第二級及び第三級のアルキルアミン、アルキルスルホニウムシラノレート、アルカリ金属酸化物、−水酸化物、−アルコキシド、−シラノレート、第四級アンモニウム化合物及びホスホニウム化合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン材料。
【請求項6】
ポリオルガノシロキサン材料が、懸濁液(A)の更なる成分として、一般式(III)
SiO(4−a)−2 (III)
[式中、
Rは、同一又は異なって、Si−C結合を有する、置換又は非置換の一価のC〜C18−炭化水素基、ヒドロキシル基又は水素基を意味し、かつ
aは、0、1、2又は3の値を意味する]で示される単位から構成されるポリオルガノシロキサン(XX)を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン材料。
【請求項7】
ポリオルガノシロキサン(XX)として、一般式(IV)
【化2】

[式中、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、一価の、不飽和のC〜C−アルキル基、縮合可能な基又は加水分解可能な基を意味し、
は、同一又は異なって、SiC結合を有する、一価の、置換又は非置換の飽和のC〜C18−アルキル基、置換又は非置換のC〜C18−アリール基を意味し、
mは、0又は1〜1500の数、有利には0〜1000、特に有利には0〜600を意味し、
nは、0又は1〜50の数を意味し、
xは、0又は1〜3の数を意味する]で示されるポリオルガノシロキサンを使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン材料。
【請求項8】
流動性の架橋可能な、
(A)補強性充填剤をポリオルガノシロキサン中に懸濁させた懸濁液少なくとも1種、
(B)縮合架橋系及び付加架橋系の群から選択される架橋系少なくとも1種、
(C)相応の架橋触媒少なくとも1種、
(D)場合により、極性添加剤1種以上、及び
(E)場合により、更なる添加物質
を含有するポリオルガノシロキサン材料の製造方法において、前記の懸濁液(A)が、
(1)以下の(X)と(Y)と(Z)
(X)23℃での粘度100〜500000mPa・sを有するポリオルガノシロキサン又はかかるポリオルガノシロキサンの混合物、
(Y)水(但し、その全添加量は、別個にか又は添加される水の部分量又は全量として、また縮合触媒/平衡化触媒(Z)の成分として、又は吸着された状態で補強性充填剤(F)を介して混合物中に導入できる)、
(Z)縮合触媒/平衡化触媒として作用する物質又はかかる物質の混合物
を混合すること、
(2)場合により、該混合物を高められた温度、有利には50℃〜180℃で15〜120分の時間にわたって平衡化すること、
(3)比表面積(BET)少なくとも40m/gを有する補強性充填剤(F)を添加すること、
(4)高められた温度、有利には50℃〜180℃で反応させること、
(5)1種以上の失活剤(DA)を添加することによって触媒(Z)を失活させること、
(6)揮発性成分を、不活性ガス流中及び/又は減圧下で温度範囲80℃〜180℃において加熱することによって除去すること、
(7)場合により、他のポリシロキサン(XX)又はポリシロキサンの混合物を添加すること
によって得られることを特徴とする流動性の架橋可能なポリオルガノシロキサン材料の製造方法。
【請求項9】
工程(1)におけるポリオルガノシロキサン(X)、水(Y)及び縮合触媒/平衡化触媒(Z)の混合並びに場合により工程(2)における前記混合物の予備反応を同じ混合装置中で実施し、その装置中で引き続き工程(3)において補強性充填剤(F)の添加を、そして工程(4)においてそのインサイチューの処理を、そして工程(5)において触媒(Z)の失活を、そして場合により工程(6)で更なるポリオルガノシロキサン(XX)又はポリオルガノシロキサンの混合物の添加を実施することを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
製造のために、
(AA)請求項8又は9記載の方法により得られる、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン(XX)を場合により有してよい懸濁液(A)、
(BB)場合により、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン又は複数のポリオルガノシロキサン(XX)の混合物(その際、(AA)が、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有するポリオルガノシロキサン(XX)を含有しない場合に、配合成分(BB)は必須である)、
(CC)場合により、
− 一般式
4−bSiR (V)
[式中、
は、同一又は異なってよく、一般式(IV)と同じ加水分解可能な基Rであってよく、
は、同一又は異なってよく、一般式(IV)と同じ基Rであってよく、かつ
bは2〜4の整数を意味する]で示される1種のオルガノシラン、
− 一般式(V)で示されるオルガノシランからの1種以上の部分加水分解された反応生成物(その際、配合成分(AA)又は(BB)中に含まれるポリオルガノシロキサン(XX)がヒドロキシ官能性のポリオルガノシロキサン、有利にはα,ω−ジヒドロキシポリオルガノシロキサンである場合には、配合成分(CC)は必須である)
から選択される1種以上の架橋剤、
(DD)縮合系で作用する架橋触媒、
(EE)場合により、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有さないポリオルガノシロキサン又は複数のポリオルガノシロキサン(XX)からの混合物、有利にはα,ω−ビス(トリアルキルシロキシ)ポリオルガノシロキサンであって、そのトリアルキルシロキシ基が有利にはトリメチルシロキシ基又はビニルジメチルシロキシ基であるシロキサン、
(FF)場合により、1種以上の非補強性又は部分補強性の充填剤、
(GG)場合により、1種以上の極性添加剤、
(HH)場合により、更なる添加物質、及び
(JJ)場合により、水
を混合することを特徴とする、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
製造のために:
(AAA)請求項8又は9記載の方法により得られる懸濁液(A)(その際、該懸濁液は場合により、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、不飽和の一価のC〜C−アルキル基を有してよいポリオルガノシロキサン(X)を含有してよく、又は場合により、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、不飽和の一価のC〜C−アルキル基又は水素基を有してよいポリオルガノシロキサン(XX)を有してよい)、
(BBB)場合により、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、一価の不飽和のC〜C−アルキル基を有する、ポリオルガノシロキサン(XX)又は複数種のポリオルガノシロキサン(XX)から構成される混合物(その際、配合成分(BBB)が必須となるのは、(AAA)が、一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、一価の不飽和のC〜C−アルキル基を有するポリオルガノシロキサン(X)を含有しないか、又は一般式(IV)で示され、同一又は異なる、SiC結合を有する、一価の不飽和のC〜C−アルキル基を有するポリオルガノシロキサン(XX)を含有しない場合である)、
(CCC)場合により、一般式
R′SiO(4−b−c)/4 (VII)
[式中、
R′は、それぞれ自体互いに無関係に、一般式(IV)で示される基Rを意味し、
bは、0.6〜2.3の値を意味し、かつ
cは、0.005〜1.3の値を意味するが、但し、合計(b+c)は0.8〜2.7の値を有し、かつ一般式(VII)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、各分子中に少なくとも2つのSiに結合する水素基を有する]で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンから選択される、1種又は複数種の架橋剤(その際、配合成分(CCC)が必須となるのは、配合成分(AAA)中に含まれるポリオルガノシロキサン(XX)が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンではなく、かつ架橋剤(CCC)及び場合により懸濁液(A)の成分としてのポリオルガノシロキサン(XX)中のSi−H基と配合成分(AAA)及び場合により(BBB)中のアルケニル基とのモル比が0.3〜10、有利には0.5〜5である場合である)、
(DDD)付加系に作用する架橋触媒、
(EEE)場合により、一般式(IV)で示される縮合可能な基又は加水分解可能な基を有さない、ポリオルガノシロキサン又は複数種のポリオルガノシロキサン(XX)から構成される混合物、
(FFF)場合により、1種又は複数種の非補強性又は部分補強性の充填剤、
(GGG)場合により、1種又は複数種の極性添加剤、並びに
(HHH)場合により、更なる添加物質
を混合することを特徴とする、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
架橋剤(CCC)が、一般式(VIII)、(IX)及び(X)
【化3】

[式中、
R′′は、同一又は異なって、SiC結合を有する、置換又は非置換の、一価の飽和又は不飽和のC〜C−アルキル基、有利にはメチル及びビニル、置換又は非置換のC〜C−アリール基、有利にはフェニル基を意味し、
mは、0又は1〜300の数、有利には0〜200の数、特に有利には0〜150の数を意味し、
nは、0又は1〜100の数、有利には0〜60の数を意味し、
pは、0又は1〜6の数、有利には0〜4の数を意味し、
qは、2〜8の数を意味し、
rは、1〜2の数を意味し、
sは、0又は1を意味し、
yは、0又は1〜2の数、有利には0〜1の数を意味し、かつ
zは、2〜4の数、有利には3〜4の数を意味する]で示される、直鎖状、分枝鎖状又は環式のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。

【公開番号】特開2006−307226(P2006−307226A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126775(P2006−126775)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】