説明

流動性または半流動性製品の保管兼放出装置

【課題】 アクチュエータ部材と出口部材とを結ぶ接続手段が、出口部材に、力や感知しうるような動きを伝達することのないようにし、かつ限られた容積の装置内にも設置しうるようにする。
【解決手段】 貯留槽2と、この貯留槽から延出しているアクチュエータ部材7,9,19を備え、かつ貯留槽の壁体4上に支持された放出アセンブリ5と、接続手段23,3131とを具備する流動性または半流動性製品の保管兼放出装置であって、アクチュエータ部材は、垂直な作動方向に移動することができ、接続手段は、アクチュエータ部材に接続された第1の端部手段23と、出口部材24,29に接続された第2の端部手段30とを備え、かつ所定量の製品を、出口部材まで導くよう、これら2つの端部手段の間の部分で変形することができる。本発明の特徴は、接続手段が、一方の端部手段から他方の端部手段へ、アクチュエータ部材と出口部材とを直線的に結ぶ垂直で平らなバンド状の領域Bから、迂回するように向かうことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留槽と、この貯留槽から突出したアクチュエータ部材を備え、かつこの貯留槽の壁体に接続されている放出アセンブリと、前記アクチュエータ部材と接続された第1の端部、および前記貯留槽に固定され、この貯留槽から流動性製品または半流動性製品を放出しうる開口を備えている出口部材に接続された第2の端部を有する接続手段とを備える流動性または半流動性製品の保管兼放出装置に関する。
【0002】
前記アクチュエータ部材は、流動性または半流動性製品を取り出す方向(垂直方向)に動かすことができ、このアクチュエータ部材内に形成された通路を介して、製品を前記貯留槽から放出しうるようになっている。また、前記接続手段は、前記出口部材に大きな力を伝達することなく、製品をこの出口部材まで導きうるように、前記両端部間の少なくとも一部にわたって変形しうるようになっている。
【背景技術】
【0003】
すでに公知となっているこの種の装置においては、通常、放出アセンブリは、非加圧式の貯留槽を用いる場合には手動のポンプ、加圧式の貯留槽を用いる場合にはバルブである。また、アクチュエータ部材は、中空のポンプロッド、またはブッシュボタンが上部に取り付けられたバルブである。
【0004】
この種の装置は、出口部材が貯留槽に固定されており、かつ出口部材に、これを動かすほどの大きな力が伝達されることがないため、貯留槽内の流動性または半流動性製品を、所望の箇所において、所望の方向に正確に取り出すことができる。この種の装置は、化粧料、薬剤等の製品を取り出すために用いられる(特許文献1〜3参照)。
【0005】
この種の装置に対しては、以前から、変形可能な部品が、材料の疲労と、早期の経年劣化につながる局所的な過度の変形を受けることのないよう、接続手段が十分な長さを有するようにし、かつ接続手段の剛性を和らげてほしいとの要望があり、この要望に対しては、種々の対策が提案されてきた。
【0006】
特許文献1においては、ポンプを、スプレーノズルから離れる方向に動かしうるよう、ポンプの位置を、貯留槽の回転軸からずらし、これに伴って、ポンプとスプレーノズルとをつなぐ可撓性連結部材を長くした構成が提案されている。しかし、この提案は、ポンプとスプレーノズル間の距離が十分に長い装置を予定したもので、特定の形状を有する装置の場合には、採用することができない。
【0007】
特許文献2においては、ポンプロッドをスプレーノズルに接続する可撓性チューブを、ポンプロッドの周りで巻回することによって、長くした構成が提案されている。この特許文献に記載された装置においては、可撓性チューブは、まずポンプロッドからスプレーノズルに向かい、ついで、横方向に向きを変える。
【0008】
このような構成の欠点は、ポンプロッドとスプレーノズルの間に可撓性チューブを配置するために、かなりのスペースが必要になることである。また、ポンプロッドとスプレーノズル間の水平距離が非常に短い特定の形状の装置においては、前記特許文献1の提案と同様に、採用することができない。実際、この構成においては、製品を放出させるための圧力が許容しえない程度にまで低下するか、可撓性チューブによじれのおそれが生じるまで、可撓性チューブを巻回する際の曲率を大きくする必要がある。
【0009】
特許文献3においては、スプレーノズルの位置を、バルブ棒から垂直方向に所定の距離だけ高くする構成が提案されている。しかし、この構成では、貯留槽の上方の部分が大型化するため、装置の全体的な容積が決められているなかでは、貯留槽の容積を制限せざるを得ないという欠点がある。
【特許文献1】フランス国特許第2767799号明細書
【特許文献2】米国特許第3640274号明細書
【特許文献3】米国特許第3189232号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来の装置にみられる欠点の少なくともいくつかを解決しうる流動性または半流動性製品の保管兼放出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的のため、本発明は、上述の流動性または半流動性製品の保管兼放出装置において、前記接続手段が、前記一方の端部手段から他方の端部手段へ、前記アクチュエータ部材と前記出口部材とを直線的に結ぶ垂直で平らなバンド状の領域から、迂回するように向かうことを特徴とする流動性または半流動性製品の保管兼放出装置を提供する。
【0012】
このような構成においては、接続手段は、一方の端部から、好ましくはどちらの端部からでも、例えば製品用通路の入口の高さにあるアクチュエータ部材と、例えば製品用通路の出口の高さにある出口部材とを直線で結ぶ垂直バンドから迂回するように進む。このような構成にすると、接続手段の長さ、特にその変形可能な部分(可撓性部分)の長さを長くすることができる。この部分が長くなると、接続手段は、上述の垂直バンドから離れて、例えば垂直バンドと垂直をなすような部分が生じ、迂回するようになる。よって、装置の容積を垂直方向に押し縮めるような弊害を生じることなく、接続手段を長くすることができる。
【0013】
アクチュエータ部材は、装置を作動するための垂直方向の動きを伝達しうる1つまたは複数の構成要素からなる。複数の構成要素からなる場合は、これらの要素は、共働して、上記の動きを伝達するのが好ましい。出口部材は、放出される製品の流れを開口の方向へ向ける1つまたは複数の構成要素からなる。
【0014】
前記接続手段は、可撓性チューブからなるのが好ましい。また、前記接続手段は、前記アクチュエータ部材と出口部材の少なくとも一方に固定され、かつ前記可撓性チューブに気密に連結されうる少なくとも1つの雄または雌のコネクタを包含する。このコネクタは、前記バンド状の領域を含む垂直面、すなわちアクチュエータ部材および出口部材と交わる垂直面と一定の角度をなす方向を向いている。したがって、可撓性チューブは、よじれるおそれなく、所望の方向を向かせることができる。
【0015】
前記コネクタが前記垂直面となす角度は、30°よりも大きく、概ね90°であるのが好ましい。
【0016】
接続手段における複数の端部、例えば可撓性チューブの両端部の向きは、接続手段が水平面の特定の部分を通じて、例えば、特定の水平断面を有する貯留槽に沿って進むように設定される。
【0017】
前記接続手段は、第1の端部手段から第2の端部手段に向かって、前記垂直面の一方の側においてのみ延びているのが好ましい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記接続手段における少なくとも一方の端部手段は、他方の端部手段から遠ざかる方向を向く。この場合、接続手段の長さは、一層長くなり、出口部材とアクチュエータ部材の直線距離が非常に短い場合に、特に有利である。
【0019】
本発明のもう一つの実施形態によれば、貯留槽の水平断面は、全体として非円形、例えば楕円形、三角形、矩形または台形の形状をなす。
【0020】
この場合、貯留槽の水平断面は、前記垂直面と交差する方向、好ましくは概ね直交する方向において、最大の寸法を有するのが好ましい。このような形状の貯留槽は、掌で保持するのが容易である。
【0021】
剛質のキャップは、前記アクチュエータ部材と前記接続手段を、前記放出アセンブリを支持する貯留槽の壁体とこのキャップの壁体との間で包囲するよう、貯留槽に取り付けられており、前記アクチュエータ部材は、前記キャップの壁体を通じて、垂直方向に案内されつつ移動するプッシュボタンを備えているのが好ましい。
【0022】
前記プッシュボタンは、前記キャップの外側からアクセスしうる押圧面を有しており、この押圧面は、ブッシュボタンが休止位置にあるとき、概ね、キャップの外表面と共面をなすのが好ましい。このような構成にすると、ブッシュボタンを押すのに無理がなく、ブッシュボタンがキャップから突出している場合と比べ、アクチュエータ部材を誤って作動させるおそれを小さくすることができる。
【0023】
前記アクチュエータ部材は、中空のポンプロッドと、このポンプロッドおよびブッシュボタンの間に取り付けられた、押圧力伝達用のロッドとを備え、前記キャップと前記貯留槽の壁体との間には中間壁が設けられ、前記ロッドは、この中間壁を通じて案内されるのが好ましい。
【0024】
前記出口部材は、前記キャップに固定されたノズル支持体と、このノズル支持体に固定されたスプレーノズルとを備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、アクチュエータ部材と出口部材とを結ぶ接続手段は、剛質の程度が非常に小さく、弾性的に変形して曲がるため、出口部材に、力や感知しうるような動きを伝達することはなく、かつ限られた容積の装置内にも設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
上記以外の本発明の目的、詳細、特徴および効果は、例示のための添付図面を参照して行う以下の詳細な説明から明らかになると思う。
【0027】
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態に係る流動性または半流動性製品の保管兼放出装置を示す。この装置1は、流動性または半流動性製品、例えば香水を保管し、かつ取り出すためのアトマイザ(携帯噴霧装置)である。
【0028】
製品は、水平方向の断面が概ね楕円形(図3参照)の貯留槽2に収容されている。貯留槽2は、頂壁4を有し、この頂壁4の中央部から首3が突出している。貯留槽2は、例えばガラスから形成することができる。
【0029】
手で操作されるポンプ5は、首3に弾性嵌合により固定されている。ポンプ5の構造は、公知であり、首3に収容されてポンプ室を区画する本体6(図4にのみ示す)と、復帰手段(図示せず)の作用に抗してポンプ室内でピストンを駆動させるために、本体6と摺動可能に取り付けられた中空のポンプロッド7とを備えている。この種の装置においては、慣例により、ポンプロッド7の運動方向(図4における軸Zの方向)を垂直方向と呼んでいる。
【0030】
ポンプロッド7は、首3から、その軸方向に突出しており、ポンプ5の作動時、すなわちポンプロッド7が本体6の内部まで押し下げられたときに放出される製品が通過する軸方向の通路を有している。
【0031】
貯留槽2の上部には、2つの部品、すなわちリング11とシェル(貝殻状体)12とからなる剛質のキャップ10が被せられている。下方のリング11は、貯留槽2の頂壁4の周縁部に嵌合して固定されている。リング11は、ABS樹脂のようなプラスチックから形成することができる。リング11の上部に装着された透明なシェル12は、PCTA(ポリ塩化テルフェニール)のようなプラスチックから形成されている。シェル12は、このシェル12の一部をなし、かつリング11の内側リムを把持する可撓性のフック13(図4参照)を介して、リング11に装着されている。
【0032】
シェル12およびリング11からなるキャップ10は、このように組み立てられているため、概ね連続した外表面を有し、全体として、中空楕円体の半分、または断面略楕円形のシリンダ状をなしている。キャップ10の下端部は、貯留槽2の頂壁4を包囲している。
【0033】
シェル12の壁体の頂部には、垂直に延びる周壁15と底壁16とを有する井戸型のくぼみ14が設けられている。くぼみ14には、ヘッド17とロッド18とからなるブッシュボタン19が収容されている。ブッシュボタンのヘッド17は、周壁15に沿って摺動することにより、垂直方向に案内される。ブッシュボタンのロッド18は、底壁16の中央に設けられた開口20を通過する。図3においては、この開口20を示すため、プッシュボタン19は省略してある。図3に示すように、プッシュボタンのヘッド17は、平面視において、概ね楕円形状を有する。
【0034】
プッシュボタン19は、ポンプロッド7を動かしうるよう、ポンプロッド7と垂直方向に整列して設置され、かつ端部片9を介して、ポンプロッド7と連結されている。端部片9は、プッシュボタンの押圧力を伝達するとともに、製品がポンプロッド7を通じて、後述する接続手段に向かって放出されるように案内する。プッシュボタンのロッド18は、端部片9を収容しうる中空の下端部21を有している。端部片9の水平断面は、ロッド18のそれよりも小さい。プッシュボタン19と端部片9は、加圧により嵌合されるか、または留め金具によって組み合わされる。
【0035】
この実施形態の変形例においては、端部片9とプッシュボタン19は、単一の部材として成形される。
【0036】
図2に詳細に示す端部片9は、概ね立方体形状の本体22と、この本体22の側面から延びる接続スリーブ23とを備えている。本体22の底面(図2においては隠れている)には、ポンプロッド7の端部を収容しうるシリンダ状のスペースが設けられている。このスペースは、貯留槽内の製品が、中空のポンプロッド7を通じて接続スリーブ23に到達するように、本体22の内部を貫通して、接続スリーブ23の壁体の端部と通じている。図1に示すように、ブッシュボタンのロッド18における通路の下端部21は、接続スリーブ23の通路を装着するための切欠きを備えている。
【0037】
リング11の平面視楕円形をなす周面の軸方向中央部には、ノズル支持体24を取り付けるための矩形の開口25が設けられている。ノズル支持体24は、短いシリンダ状の本体26と、この本体26の軸方向と直交する方向に延びる、本体26を固定するための矩形フランジ27とからなっている。フランジ27は、開口25に嵌め込まれている。
【0038】
ノズル支持体の本体26の内部には、リング11の壁体と概ね直交する方向に延びる環状のチャンバが設けられている。このチャンバの軸方向により、噴霧される製品が放出される方向が定められる。このチャンバの中央部からは、ノズル支持体24の外側へ向かって、ペグ28が突出している。ペグ28には、製品をジェット式に噴霧しうるよう、スプレーノズル29(図2には示していない)が固定されている。ノズル支持体の本体26の後端には、この本体26およびスプレーノズル29の軸方向と直交する方向に延びる接続スリーブ30が固定されている。
【0039】
この実施形態の変形例として、開口25を、スプレーノズル29だけを通しうる円形の孔とすることもできる。この場合、ノズル支持体24は、リング11の内側に隠れることとなる。
【0040】
接続スリーブ23と30の各端部には、TPX(ポリメチルペンテン)等のプラスチック製の可撓性チューブ31が、加圧して嵌め込まれ、接続スリーブ23と30に液密に接続されている。
【0041】
図3には、アトマイザ1が組み立て状態にあるとき、ポンプロッド7とスプレーノズル29とを結ぶ直線を含む垂直面、すなわち、ポンプロッド7とスプレーノズル29の両方と交わる面を表わす軸Pを示してある。この軸Pによって表わされる垂直面は、貯留槽2とキャップ10の対称面でもある。軸Pは、貯留槽2とキャップ10における楕円形水平断面の短軸に相当する。
【0042】
接続スリーブ23と30は、図3において、軸Pを含む面の左側に延びている。接続スリーブ23は、軸Pを含む面と概ね直交する方向、すなわち楕円形貯留槽2の長軸と平行に、水平に延びている。接続スリーブ30は、軸Pを含む面と約45°をなしており、したがって、水平面、すなわちポンプロッド7と直交する面からも45°上方を向いている。
【0043】
可撓性チューブ31は、接続スリーブ23から始まり、接続スリーブ23の軸方向に沿って、楕円形貯留槽2の長軸方向に延びる第1の終端部分31aと、この第1の終端部分31aと概ね直交し、かつ楕円形貯留槽2の短軸方向と平行に水平に延びる中央部分31bと、接続スリーブ30の軸方向に沿って延び、接続スリーブ30の端部で終端する第2の終端部分31cとを備えている。
【0044】
つぎに、この実施形態に係るアトマイザ1の作動原理を説明する。ポンプロッド7が、例えばポンプ5の内部にある復帰手段によって休止位置に保持されているときには、ブッシュボタンのヘッド17の上面(押圧面)は、キャップ10が、頂部において平らな外面を呈するよう、隣接するシェル12の壁体と整列している。
【0045】
図1に示すアトマイザ1においては、ポンプロッド7はこの休止位置にある。ポンプ5は、プッシュボタン19を、くぼみ14の中へ垂直に手で押し下げることによって作動する。ブッシュボタンの行程の全長は、ポンプをフル稼働させ、製品を高速で流すことにより、スプレーノズル29によって噴霧させうるよう、ポンプ5におけるポンプロッド7の当接位置によって定められる。
【0046】
アトマイザ1のアクチュエータ部材、すなわちブッシュボタン19、端部片9、およびポンプロッド7の三者が、貯留槽2に向かって移動している間、可撓性チューブ31は、弾性的に変形して曲がる。可撓性チューブ31は、剛質の程度が非常に小さいため、ノズル支持体24に、力や感知しうるような動きを伝達することはない。ポンプロッド7を通過して放出される製品は、順に、端部端9、接続スリーブ23、可撓性チューブ31、接続スリーブ30、および本体26の環状室の内部通路を通過し、スプレーノズル29を介して外部に放出される。
【0047】
接続スリーブ23と30の向きを変えることによって、可撓性チューブ31が、ポンプロッド7とノズル支持体24の本体26の入口とを結ぶ直線よりも約2〜4倍長い経路を進むようにすることができる。可撓性チューブ31は、ポンプロッド7とノズル支持体24とを直線で結ぶ長さしかないと、アクチュエータ部材の動きを十分正確に捉えることはできない。可撓性チューブ31の第1の終端部分31aは、接続スリーブ23から始まり、ノズル支持体24から離れて、水平面上において、貯留槽2が最大の寸法を有する方向、すなわち楕円形貯留槽2の長軸の方向に延びている。
【0048】
この変形例として、接続スリーブ23と30は、雄のコネクタとすることもできる。図示の接続スリーブ23と30の向きは、単なる例示である。例えば、接続スリーブ23は、水平の代わりに、斜め下方に、かつ平面視において、軸Pを含む面から90°以外の角度で進むようにすることができる。例えば、接続スリーブ23は、平面視において、可撓性チューブ31の長さを若干長くするよう、ノズル支持体24の軸方向に対して30〜90°の角度をなすようにするか、これよりも長くするよう、ノズル支持体24の軸方向に対して120〜180°の角度をなすようにすることもできる。
【0049】
接続スリーブ23を、ノズル支持体24に対して180°の角度をなすように設置した場合、接続スリーブ23は、軸Pを含む面と平行であるが、軸Pを含む面内にあって、ポンプロッド7とスプレーノズル29とを結ぶ垂直で平らなバンド状の領域Bからは離れる方向を向く。図3に示すように、バンド状の領域Bは、概ね、ポンプロッド7の垂直軸と、ノズル支持体24またはスプレーノズル29と交差する垂直軸とによって区画されている。
【0050】
同様に、接続スリーブ30の向きも、水平面からの傾き、および楕円形貯留槽の短軸からの傾きに関して、変化させることができる。この外、接続スリーブ30は、垂直方向を向くようにすることもできる。
【0051】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るアトマイザ100を示す。図1〜図3に示す第1の実施形態と同一または類似の構成要素には、図1〜図3における符号に100を加えた符号を付して、説明を省略する。
【0052】
この第2の実施形態においては、リング111は、貯留槽102の首103を収容しうるよう、中央部に開口41を有するベースプレート40の一つの部品として形成されている。ベースプレート40は、アトマイザ100が組立てられたときには、貯留槽102の頂壁104を覆うこととなる。
【0053】
ベースプレート40とシェル112の間には、シェル112よりも小型で、全体として概ね楕円形状の隔壁42が設けられている。この隔壁42は、シェル112の内面と概ね同一の形状と曲率を有する周縁リム43、および周縁部が鈍角をなしてリム43に連なっている中央壁44を備えている。中央壁44は、シェル112とベースプレート40の間の中間的な位置に、全体として水平方向に広がっている。
【0054】
第1の実施形態における端部片9は、隔壁42の中央壁44に形成された中央の開口を介して押圧力を伝達するロッド109に置き換えられている。図4には、ロッド109の内部構造も示してある。ロッド109は、2段の円筒形の孔を有する。径が大きい孔には、ポンプロッド107が密接に収容され、ポンプロッド107の端部は、段差部分に当接する。他方、径が短い孔は、径が大きい孔の側の端部において、壁体によって閉鎖されている。この壁体は、ポンプロッド107の端部の開口と対向し、貯留槽から放出された製品を収容するチャンバ45を区画している。接続スリーブ123は、ロッド109の下部の径の大きい孔から直角方向に延びており、接続スリーブ123の内部は、チャンバ45と連通している。
【0055】
シェル112の頂点に位置する井戸型のくぼみには底壁がない。垂直な周壁115は、シェル112の内部に向かって突出する自由端を有する。ブッシュボタンのヘッド117は、ロッド109の上端部を収容するために下面から突出した中央スリーブ47を備える、平面視楕円形で概ねプラトー(台地)状をなす付属的構成要素である。中央スリーブ47の内側には、製品の放出アセンブリを挟みつけることによって保持するため、ロッド109の端部を径方向において弾性的に把持しうる2つのリブ(図示せず)が設けられている。
【0056】
図4は、貯留槽2の底部まで垂れ下がった、製品をポンプの本体6まで吸い上げるためのディップチューブ8をも示している。
【0057】
可撓性チューブ131は、第1の実施形態と同様に配置されている。アトマイザ100の作動様式は、第1の実施形態におけるアトマイザ1のそれと同じである。
【0058】
アトマイザ100は、以下のようにして組み立てられる。まず、可撓性チューブ131を、ノズル支持体(図4には示していない)および接続スリーブ123と接続する。ついで、ノズル支持体の爪をベースプレート40に引っ掛けることによってリング111に固定する。ロッド109の上方端部を、隔壁42の凹部側から、中央壁44と直交するように貫通させることによって、ロッド109を隔壁42に係合させる。
【0059】
中央壁44の中央部の開口の周りには、ポンプを駆動させるべく上下動するロッド109を案内するシリンダ状の案内壁48が、下方に突出している。この案内壁48は、図4の右側において接続スリーブ123を挿入しうるよう、接続スリーブ123の軸方向に延びる通路を有している。この通路の底部には、通路の内部に向かって突出する2つの爪(図示せず)が設けられている。これら2つの爪は、接続スリーブ123が挿入されるときに弾性的に離間し、その後、ロッド109が隔壁42から外れるのを防止する。
【0060】
つぎに、隔壁42を、弾性的に嵌着しうるタブ49を介して、ベースプレート40に嵌める。タブ49は、隔壁42のリブ43の縁部から垂直方向に延びている。タブ49は、ベースプレート40の対応する切欠きに係合して、ベースプレート40を把持する。この組立て工程中には、隔壁42の内部に収容されている可撓性チューブ131は、例えばポンプ105の周りを3/4周させるなど、所望の方向に向けることができる。
【0061】
このような設計のアトマイザは、ベースプレート40、隔壁42、ノズル支持体24、可撓性チューブ131、およびロッド109を、貯留槽102とは独立に、予め(すなわち、別の作業場で)組み立てておくことができるため、有利である。同様に、貯留槽102に、予め組み立てておかれるアクチュエータ部材とは独立に、ポンプ105を装填することができる。このため、残りの組立て工程を、簡単にすることができる。
【0062】
つぎに、ベースプレート40を、貯留槽102の首103に嵌合することによって、ベースプレート40と貯留槽102とを組み立てる。同時に、ポンプロッド107をロッド109に係合させる。ベースプレート中央部の開口41の内部には、ベースプレート40を貯留槽102の首103に強固に取付けうるよう、爪(図示せず)が設けられている。
【0063】
このアトマイザを組み立てた状態においては、リング111は、貯留槽102の周縁リム50を押圧している。
【0064】
この後、ブッシュボタン117を、ロッド109に取り付ける。ブッシュボタンのヘッド117を繰り返して押すと、ロッド109が、ポンプロッド107およびブッシュボタンのヘッド117と強固に組み合され、ポンプ105の準備が整う。最後に、シェル112を、ベースプレート40およびリング111と組み合わせ、同時に、ブッシュボタンのヘッド117を、シェル112の頂部におけるくぼみに係合させて、組立てが完了する。
【0065】
通常のポンプは、かなり短いポンプロッドを備えているため、上述の2つの実施形態においては、ポンプ5または105を作動させるためのアクチュエータ部材は、ポンプロッド7または107の外に、数点の部品を備えている。
【0066】
しかし、ポンプロッドは、上記のものよりもはるかに長く、ロッド109と類似の構造をもつ、上記実施形態におけるものとは異なる設計にすることもできる。この場合、アクチュエータ部材は、上記実施形態よりも多いか、または少ない部品を備えることとなる。したがって、上述の組立て工程を採用しつつも、ブッシュボタンのヘッド117とロッド109は、単一の部品として成形することもできる。
【0067】
ノズル支持体やスプレーノズルのような出口部材は、本発明に係る装置のどのような箇所にも、すなわち垂直方向において、ポンプの上部、下部、または同位置に、また貯留槽周縁部のどの位置にも配置することができる。
【0068】
さらに、貯留槽を加圧式のものとし、その取り出しバルブをもって、ポンプと置き換えることもできる。
【0069】
以上、本発明を特定の実施形態との関連において説明してきたが、当然のことながら、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、上記実施形態における各手段と技術的に均等で、本発明の要旨に含まれるもの、およびこれらの組合せを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流動性または半流動性製品の保管兼放出装置の斜視図である。
【図2】図1の装置における可撓性チューブとノズル支持体の端部同士の嵌合の態様を示す拡大斜視図である。
【図3】図1の装置の平面図である。
【図4】図3を本発明の第2の実施形態に係る流動性または半流動性製品の保管兼放出装置の平面図とした場合のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 アトマイザ
2 貯留槽
5 ポンプ
7 ポンプロッド
9 端部片
10 キャップ
11 リング
12 シェル
13 フック
14 くぼみ
17 ヘッド
18 ロッド
19 ブッシュボタン
20 開口
23 接続スリーブ
24 ノズル支持体
25 開口
27 フランジ
28 ペグ
29 スプレーノズル
30 接続スリーブ
31 可撓性チューブ
40 ベースプレート
42 隔壁
45 チャンバ
48 案内壁
49 タブ
100 アトマイザ
102 貯留槽
105 ポンプ
107 ポンプロッド
109 ロッド
111 リング
112 シェル
117 プッシュボタンのヘッド
123 接続スリーブ
131 可撓性チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽(2)(102)と、この貯留槽から延出しているアクチュエータ部材(7)(9)(19)(107)(109)(117)を備え、かつ貯留槽の壁体(4)(104)上に支持された放出アセンブリ(5)(105)と、接続手段(23)(31)(30)(123)(131)とを具備する流動性または半流動性製品の保管兼放出装置(1)(100)であって、前記アクチュエータ部材は、前記貯留槽から所定量の製品を、このアクチュエータ部材内の通路(45)を通じて放出させるために垂直な作動方向(Z方向)に移動させることができ、前記接続手段は、前記アクチュエータ部材に接続された第1の端部手段(23)と、出口部材(24)(29)に接続された第2の端部手段(30)とを備え、かつ前記所定量の製品を、前記出口部材に大きな力を伝達することなく、この出口部材まで導くよう、少なくともこれら2つの端部手段の間の部分で変形することができ、この出口部材は、前記貯留槽に固着され、前記所定量の製品を放出しうる開口を有するようになっている流動性または半流動性製品の保管兼放出装置において、
前記接続手段は、前記アクチュエータ部材(7)(9)(19)(107)(109)(117)と前記出口部材(24)(29)とを直線的に結ぶ垂直で平らなバンド状の領域(B)から、迂回するように向かっていることを特徴とする流動性または半流動性製品の保管兼放出装置。
【請求項2】
前記接続手段は、可撓性チューブ(31)(131)からなることを特徴とする請求項1記載の保管兼放出装置。
【請求項3】
前記接続手段は、前記アクチュエータ部材(7)(107)と出口部材(24)(29)の少なくとも一方に固定され、かつ前記可撓性チューブに気密に連結されうる少なくとも1つの雄または雌のコネクタ(23)(30)を含み、このコネクタは、前記バンド状の領域(B)を含む垂直面(P)と一定の角度をなす方向を向いていることを特徴とする請求項2記載の保管兼放出装置。
【請求項4】
前記コネクタが前記垂直面(P)となす角度は、30°よりも大きく、概ね90°であることを特徴とする請求項2記載の保管兼放出装置。
【請求項5】
前記接続手段は、第1の端部手段から第2の端部手段に向かって、前記垂直面(P)の一方の側においてのみ延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項6】
前記接続手段における少なくとも一方の端部手段(23)は、他方の端部手段(30)から遠ざかる方向を向いていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項7】
前記貯留槽(2)(102)の水平断面は、全体として非円形の形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項8】
前記貯留槽(2)(102)の水平断面は、前記垂直面(P)と概ね直交する方向において最大の寸法を有することを特徴とする請求項7記載の保管兼放出装置。
【請求項9】
剛質のキャップ(10)(11)(12)(111)(112)が、前記アクチュエータ部材と前記接続手段を、前記放出アセンブリ(5)(105)を支持する貯留槽の壁体(4)(104)とこのキャップの壁体(12)(112)との間で包囲するよう、貯留槽に取り付けられており、前記アクチュエータ部材(7)(107)は、前記キャップの壁体(12)(112)を通じて垂直方向に案内されつつ移動するプッシュボタン(17)(117)を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項10】
前記プッシュボタン(17)(117)は、前記キャップの外側からアクセスしうる押圧面を有し、この押圧面は、ブッシュボタンが休止位置にあるとき、概ね、キャップの外表面と共面をなすことを特徴とする請求項9記載の保管兼放出装置。
【請求項11】
前記アクチュエータ部材は、中空のポンプロッド(107)と、このポンプロッド(107)およびブッシュボタン(117)の間に取り付けられた、押圧力伝達用のロッド(109)とを備え、前記キャップ(112)と前記貯留槽の壁体(104)との間には中間壁(44)が設けられ、前記ロッド(109)は、この中間壁(44)を通じて案内されることを特徴とする請求項9または10記載の保管兼放出装置。
【請求項12】
前記出口部材は、前記キャップ(11)(111)に固定されたノズル支持体(24)と、このノズル支持体(24)に固定されたスプレーノズル(29)とを備えていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽(2)(102)と、この貯留槽から延出しているアクチュエータ部材(7)(9)(19)(107)(109)(117)を備え、かつ貯留槽の壁体(4)(104)上に支持された放出アセンブリ(5)(105)と、接続手段(23)(31)(30)(123)(131)とを具備する流動性または半流動性製品の保管兼放出装置(1)(101)であって、前記アクチュエータ部材は、前記貯留槽から所定量の製品を、このアクチュエータ部材内の通路(45)を通じて放出させるために垂直な作動方向(Z方向)に移動させることができ、前記接続手段は、前記アクチュエータ部材に接続された第1の端部手段(23)と、出口部材(24)(29)に接続された第2の端部手段(30)とを備え、かつ前記所定量の製品を、前記出口部材に大きな力を伝達することなく、この出口部材まで導くよう、少なくともこれら2つの端部手段の間の部分で変形することができ、この出口部材は、前記貯留槽に固着され、前記所定量の製品を放出しうる開口を有するようになっている流動性または半流動性製品の保管兼放出装置において、
前記接続手段は、前記一方の端部手段から他方の端部手段へ、前記アクチュエータ部材(7)(9)(19)(107)(109)(117)と前記出口部材(24)(29)とを直線的に結ぶ垂直で平らなバンド状の領域(B)から、迂回するように向かうことを特徴とする流動性または半流動性製品の保管兼放出装置。
【請求項2】
前記接続手段は、可撓性チューブ(31)(131)からなることを特徴とする請求項1記載の保管兼放出装置。
【請求項3】
前記接続手段は、前記アクチュエータ部材(7)(107)と出口部材(24)(29)の少なくとも一方に固定され、かつ前記可撓性チューブに気密に連結されうる少なくとも1つの雄または雌のコネクタ(23)(30)を含み、このコネクタは、前記バンド状の領域(B)を含む垂直面(P)と一定の角度をなす方向を向いていることを特徴とする請求項2記載の保管兼放出装置。
【請求項4】
前記コネクタが前記垂直面(P)となす角度は、30°よりも大きく、概ね90°であることを特徴とする請求項記載の保管兼放出装置。
【請求項5】
前記接続手段は、第1の端部手段から第2の端部手段に向かって、前記垂直面(P)の一方の側においてのみ延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項6】
前記接続手段における少なくとも一方の端部手段(23)は、他方の端部手段(30)から遠ざかる方向を向いていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項7】
前記貯留槽(2)(102)の水平断面は、全体として非円形の形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項8】
前記貯留槽(2)(102)の水平断面は、前記垂直面(P)と概ね直交する方向において最大の寸法を有することを特徴とする請求項7記載の保管兼放出装置。
【請求項9】
剛質のキャップ(10)(11)(12)(111)(112)が、前記アクチュエータ部材と前記接続手段を、前記放出アセンブリ(5)(105)を支持する貯留槽の壁体(4)(104)とこのキャップの壁体(12)(112)との間で包囲するよう、貯留槽に取り付けられており、前記アクチュエータ部材(7)(107)は、前記キャップの壁体(12)(112)を通じて垂直方向に案内されつつ移動するプッシュボタン(17)(117)を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の保管兼放出装置。
【請求項10】
前記プッシュボタン(17)(117)は、前記キャップの外側からアクセスしうる押圧面を有し、この押圧面は、ブッシュボタンが休止位置にあるとき、概ね、キャップの外表面と共面をなすことを特徴とする請求項9記載の保管兼放出装置。
【請求項11】
前記アクチュエータ部材は、中空のポンプ棒(107)と、このポンプ棒(107)およびブッシュボタン(117)の間に取り付けられた、押圧力伝達用のロッド(109)とを備え、前記キャップ(112)と前記貯留槽の壁体(104)との間には中間壁(44)が設けられ、前記ロッド(109)は、この中間壁(44)を通じて案内されることを特徴とする請求項9または10記載の保管兼放出装置。
【請求項12】
前記出口部材は、前記キャップ(11)(111)に固定されたノズル支持体(24)と、このノズル支持体(24)に固定されたスプレーノズル(29)とを備えていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の保管兼放出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−505463(P2006−505463A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550745(P2004−550745)
【出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003306
【国際公開番号】WO2004/043827
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(505166133)
【Fターム(参考)】