説明

流動性改良剤および熱可塑性樹脂組成物

【課題】金属汚染および機械的強度低下の問題がない新規な流動性改良剤および当該流動性改良剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】モノカルボン酸成分および/またはモノアルコール成分の存在下または不存在下に多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを、全カルボン酸成分に対する全アルコール成分の割合が1.1〜2.5モル比の条件下にエステル化反応して得られる、エステル化反応物から成る流動性改良剤、および、熱可塑性樹脂に上記の流動性改良剤を配合して成り、熱可塑性樹脂100質量部に対する流動性改良剤の割合が0.001〜5質量部である熱可塑性樹脂組成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性改良剤および熱可塑性樹脂組成物に関し、更に、当該熱可塑性樹脂組成物の成形品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂の成形、特に射出成形において、溶融樹脂の流動性(メルトフローレート)は、金型キャビティへの充填の容易さを決めるだけではなく、充填後に十分な圧力がキャビティ内、特に樹脂流動末端の薄肉部の樹脂へ伝わるかどうかも左右するため、成形品の寸法精度にも影響を与え、樹脂の加工性を決める重要な因子である。上記の流動性改良剤としては、数多くの提案がなされているが、古くから、高級脂肪酸の金属塩が使用されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開昭62−190242公報
【0003】
しかしながら、高級脂肪酸の金属塩の場合、特に、精密電子部品用途においては、金属汚染の懸念がある。そればりか、高級脂肪酸の金属塩の配合により、樹脂の機械的性質が低下するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、従来技術の欠点を克服した新規な流動性改良剤および熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の当該熱可塑性樹脂組成物の成形品およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明の第1の要旨は、モノカルボン酸成分および/またはモノアルコール成分の存在下または不存在下に多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを、全カルボン酸成分に対する全アルコール成分の割合が1.1〜2.5モル比の条件下にエステル化反応して得られる、エステル化反応物から成ることを特徴とする熱可塑性樹脂の流動性改良剤に存する。
【0006】
本発明の第2の要旨は、熱可塑性樹脂重合に上記の流動性改良剤を配合して成り、熱可塑性樹脂100質量部に対する流動性改良剤の割合が0.001〜5質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存する。
【0007】
そして、本発明の第3の要旨は、上記の熱可塑性樹脂組成物から成ることを特徴とする成形品に存し、第4の要旨は、上記の熱可塑性樹脂組成物を加熱成形することを特徴とする成形品の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば金属汚染および機械的強度低下の問題がない新規な流動性改良剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
先ず、本発明の流動性改良剤について説明する。本発明の流動性改良剤は、モノカルボン酸成分および/またはモノアルコール成分の存在下または不存在下に多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とをエステル化反応して得られる、エステル化反応物から成る。
【0010】
上記の多価カルボン酸成分としては、2価または3価の脂肪族または芳香族多価カルボン酸が好ましく、多価アルコール成分としては脂肪族多価アルコールが好ましい。
【0011】
上記の多価カルボン酸成分の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、これらの酸無水物などが挙げられる。これらは二種以上を併用してもよい。上記の多価アルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは二種以上を併用してもよい。
【0012】
モノカルボン酸成分および/またはモノアルコール成分の存在下にエステル化反応を行なうことにより、エステル化反応物(ポリエステルポリオールを含む反応物)のアルキル基末端変性物を得ることが出来る。
【0013】
モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ラウリル酸、安息香酸などが挙げられ、モノアルコールとしては、例えば、2−エチルヘキサノール、イソノニルアルコール、デカノール等が挙げられる。
【0014】
本発明において、エステル化反応物は、公知の方法に従って、前記のカルボン酸成分(多価カルボン酸や1価カルボン酸など)とアルコール成分(多価アルコールや1価アルコ
ール等)を原料としたエステル化反応により得られる。エステル化反応では、一般に、エステル化触媒として酸触媒が使用される。酸触媒として使用されるルイス酸としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のオルトチタン酸エステル;ジエチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド等の錫系化合物;酸化亜鉛などの金属化合物が挙げられる。また、ルイス酸の他には、パラトルエンスルホン酸などのブレンステッド酸を使用しても構わない。これらの触媒の使用量は、原料のカルボン酸とアルコール成分の合計に対し、通常0.01〜1.0質量%、好ましくは0.01〜0.2質量%、更に好ましくは0.01〜0.1質量%である。
【0015】
本発明において、上記のエステル化反応は、全カルボン酸成分に対する全アルコール成分の割合が2.5モル比以下(好ましくは2.0モル比以下)の条件下に行なう。斯かる条件により、得られるエステル化反応物は流動性を保持することが出来る。組成としては、二量体以上の成分の含有量が40質量%以上で且つ未反応成分および単量体の含有量が5〜60質量%である。また、エステル化反応物の粘度(45℃の測定値)は、通常300〜10万mPa・s、好ましくは500〜5万mPa・sである。
【0016】
全カルボン酸成分に対する全アルコール成分の割合が1を超える場合は、水酸基末端のエステル化反応物が得られ、1未満の場合はカルボキシル基末端のエステル化反応物が得られる。エステル化反応物の平均官能基数(1分子中の官能基の数)は、通常0.2〜4、好ましくは1〜4、更に好ましくは2〜3である。なお、全カルボン酸成分に対する全アルコール成分の割合の下限は、通常0.5、好ましくは0.8である。
【0017】
水酸基末端のエステル化反応物を得る場合、全カルボン酸成分に対する全アルコール成分の割合は、好ましくは1.1モル比以上(更に好ましくは1.2モル比以上)である。カルボン酸成分のカルボキシル基1当量に対するアルコール成分の水酸基の当量としては、通常1.05〜4.0当量、好ましくは1.1〜3.0当量、更に好ましくは1.2〜は2.5当量である。水酸基末端のエステル化反応物の水酸基価は、通常100〜400
mgKOH/gである。
【0018】
反応温度は、通常150〜250℃、好ましくは180〜230℃である。例えば、150℃で反応を開始し、反応の進行に伴って230℃まで徐々に昇温するような条件であれば、反応を制御し易い。また、反応圧力は、常圧でも構わないが、副生する水を系外に除去し、反応を速やかに完結させるために反応の進行に伴って、徐々に減圧するとよい。ただし、反応時の減圧度が不足するとエステル化反応の完結度が低くなり、酸価の高いエステル化反応物が生成する。一方、反応時に過度に減圧にすると、アルコール成分が系外に留去され収率を損なうばかりか、高分子量のエステル化反応物が形成され、得られたエステル化反応物の粘度が著しく上昇して取り扱いが困難となる。従って、適切な到達反応圧力は、反応温度によっても異なるが、例えば、反応温度が200℃の場合、通常2〜50kPa、好ましくは5〜30kPaである。勿論、目標とするエステル化反応物の粘度や水酸基価、原料の種類、使用量によっては、上記の圧力範囲以外の条件で反応を行っても構わない。また、減圧する代わりに、トルエン、キシレン等の有機溶媒を少量併用して副生する水を系外に共沸させて除去しても構わない。
【0019】
反応の終点は、通常、使用したカルボン酸成分の未反応カルボキシル基の量で決定する。水酸基末端のエステル化反応物を得る場合においては、未反応のカルボキシル基の量(すなわち酸価)は、出来るだけ低い方が好ましく、通常、10mgKOH/g以下、好ましくは5mgKOH/g以下、更に好ましくは3mgKOH/g以下である。一方、カルボキシル基末端のエステル化反応物を得る場合には、所望する酸価になる様に反応を行なう。
【0020】
上記の様にして得られたエステル化反応物は、通常、使用したカルボン酸成分とアルコール成分から成る構造を有するエステル化反応物と未反応のアルコール成分とから成る。例えば、無水フタル酸とジエチレングリコールとのエステル化反応は以下の化学式に示す通りである。
【0021】
【化1】

【0022】
また、エステル化反応物の平均官能基数を一定の目標値に保ち、および/または、平均分子量を一定に保つには、エステル化反応中にエステル交換反応に伴って平衡状態にあるアルコール成分を極力反応系外に留出させないことが重要である。アルコール成分の留出が多すぎると、エステル化反応物の平均官能基数が当初の製品設計に対して異なったものになったり、平均分子量が大きくなり、その結果、得られるエステル化反応物の粘度が著しく大きくなる。従って、エステル化反応中に系外に留出するアルコール成分の量は、全アルコール成分に対し、通常5%以下、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。但し、目標とするエステル化反応物の粘度や水酸基価、原料アルコール成分の使用量によっては、上記の範囲を超えてアルコール成分を留去しても構わない。
【0023】
なお、反応開始時には、生成するエステル化反応物の着色を防ぐために反応容器の空間部を窒素置換し、更に、反応液中の溶存酸素も除去することが好ましい。また、反応終了の後に、適当な減圧条件下に、未反応のアルコール成分を系外に留去させて、エステル化反応物の物性や性能を調節しても構わない。反応形式は、通常のバッチ方式または連続方式の何れでもよいが、反応時間が長時間に渡ること、得られるエステル化反応物の粘度が原料のアルコール成分に比べてかなり高くなること等からバッチ方式が好ましい。
【0024】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に前記の流動性改良剤を配合して成り、熱可塑性樹脂100質量部に対する流動性改良剤の割合が0.001〜5質量部であることを特徴とする。
【0025】
上記の熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、各種のものを使用することが出来る。例えば、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ゴム強化熱可塑性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリエチレン等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を使用した(共)重合体などのアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂(POM);ポリカーボネート樹脂(PC);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。その他、熱可塑性エラストマー、ポリマーアロイ等であってもよい。
【0026】
上記の熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー;ジエン系エラストマー;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体などのスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ウレタン系エラストマー;塩ビ系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;フッ素ゴム系エラストマー等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記のポリマーアロイとしては、PA/ゴム強化熱可塑性樹脂、PC/ゴム強化熱可塑性樹脂、PBT/ゴム強化熱可塑性樹脂、PC/PMMA、PC/PET等が挙げられる
。これらは2種以上を併用してもよい。
【0028】
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0029】
本発明で使用する前記の流動性改良剤の屈折率は通常25℃における値として1.45〜1.55であり、従って、同様の屈折率を有する熱可塑性樹脂を使用した場合は、特に、透明性に優れる熱可塑性樹脂組成物が得られる。斯かる目的で使用される熱可塑性樹脂としては、アクリルゴム強化樹脂(屈折率1.49〜1.51)、一般用ポリスチレン系樹脂(1.59)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(1.57)、高密度ポリエチレン樹脂(1.53)、ポリプロピレン樹脂(1.49)等が挙げられる。なお、上記のカッコ内に記載した屈折率はASTM D542の評価方法に基づく値である。
【0030】
本発明で使用する前記の流動性改良剤は、金属汚染および機械的強度低下の問題がないという効果を奏するが、特に機械的強度低下が少ない点が重要である。すなわち、成形時の溶融樹脂の流動性を高めるが、得られた樹脂成形品の機械的強度低下が少ない、すなわち、可塑化することが少ないないという点は重要である。何故ならば、時として、流動性改良剤が可塑剤としても機能し、逆に言えば、可塑剤が流動性改良剤の代替として使用されることがあるからである。しかしながら、熱可塑性樹脂の本来の物性を損なうことなく、成形時の溶融樹脂の流動性を高める要望は大きく、本発明で使用する前記の流動性改良剤は、斯かる要望に応えるものである。
【0031】
上記の観点から、本発明で推奨される熱可塑性樹脂は、ゴム強化樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の群から選択される少なくとも1種であり、特に、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体、ABS樹脂の群から選ばれた少なくとも1種のスチレン系樹脂が最適である。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂100質量部に対する流動性改良剤の割合は、0.001〜5質量部であるが、好ましくは0.01〜3質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。流動性改良剤の割合が上記の値未満の場合は十分な流動性が得られず、上記の値を超える場合は流動性改良剤がブリードアウトする等の恐れがある。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、目的や用途に応じ、更に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、耐候剤、充填材、滑剤、抗菌剤、加飾剤、淡色系着色剤、可塑剤、親水性付与剤などの添加剤を含有してもよい。
【0034】
上記の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。紫外線吸収剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.05〜5質量部である。
【0035】
前記の酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。酸化防止剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.1〜5質量部である。
【0036】
前記の老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系化合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。老化防止剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.1〜5質量部である。
【0037】
前記の帯電防止剤としては、低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤などが挙げられる。また、これらは、イオン伝導型でもよいし、電子伝導型でもよい。低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を使用することも出来る。帯電防止剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.5〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部である。
【0038】
前記の難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤などを使用することが出来る。
【0039】
有機系難燃剤としては、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー、ブロム化アルキルトリアジン化合物などのハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル及びこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素と窒素元素を含むホスファゼン誘導体などのリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0040】
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0041】
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記の難燃剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常1〜30質量部、好ましくは3〜20質量部である。
【0043】
なお、上述の難燃剤を使用する場合は難燃助剤を併用することが好ましい。難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記の耐候剤としては、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物、ヒドロキシル基を含有する有機化合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。耐候剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.1〜5質量部である。
【0045】
前記の充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウムウィスカ−等の繊維;ウォラストナイト;ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属の無機系繊維状充填材;有機系繊維状充填材;シリカ、石英粉末、ガラスビ−ズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレ−、硅藻土などの硅酸塩;アルミナ等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素などから成る粒子状充填材;タルク、マイカ、ガラスフレ−ク、金属箔などの板状充填材などが挙げられる。これらの充填材は補強材と
して使用することも出来る。これらは2種以上を併用してもよい。充填材用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常1〜30質量部、好ましくは1〜25質量部、更に好ましくは1〜20質量部である。
【0046】
前記の滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、金属石鹸、シリコーン、変性シリコーン等)が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。滑剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.1〜5質量部である。
【0047】
前記の抗菌剤としては、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤、無機・有機ハイブリッド抗菌剤、天然抗菌剤などが挙げられる。
【0048】
無機系抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀・亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤;錯体化銀・シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤;ガラス系抗菌剤;リン酸カルシウム系抗菌剤;リン酸ジルコニウム系抗菌剤;銀・ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤;チタン含有抗菌剤;セラミック系抗菌剤;ウィスカー系抗菌剤などが挙げられる。
【0049】
有機系抗菌剤としては、ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ベンズイミダゾール誘導体、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物などが挙げられる。
【0050】
前記の抗菌剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
【0051】
前記の加飾剤としては、成形品とした場合に、その表面に、メタリック調、メタリック光沢などのメタリック模様を形成することが出来るものを使用することが出来る。
【0052】
メタリック調の模様を形成するためには、メタリック顔料などを使用することが出来、メタリック顔料としては、平均粒径が以下に記載の所定の範囲にあり、且つ、金属様光沢を有する粒子を使用することが好ましい。顔料粒子の形状は、特に限定されず、球形、略球形、角形(立方体、直方体、多面体など)、鱗片状、星形、棒状などが挙げられるが、金属様光沢性に優れるとの観点から、多面体が好ましい。メタリック顔料の平均粒径は、通常1〜500μm、好ましくは2〜300μmである。斯かる範囲に調節することにより、得られる成形品の模様が鮮明になり易い。なお、メタリック顔料が球形以外の場合、上述の「平均粒径」は、最大長さを意味するものとする。
【0053】
上述の金属様光沢を有する粒子としては、ニッケル、アルミニウム、銀、銅、スズ、クロム、亜鉛、コバルト、鉄、モリブデン、マンガン、タングステン、金、チタン、アンチモン、ケイ素、白金、マグネシウム等の金属を含むもの、上記金属の合金を含むもの、更に、金属様光沢のある金属化合物(酸化物、窒化物、硫化物等)を含むもの、炭酸カルシウムガラスを含むもの、雲母などの鉱物などが挙げられる。
【0054】
また、金属様光沢のない粒子状材料の表面に、メッキ、蒸着などにより、上記の金属、合金、金属化合物などを含む膜またはガラス等の膜を形成させてメタリック顔料として使用することも出来る。これらの各粒子は2種以上を併用してもよい。加飾剤の使用割合は、目的、用途などによるが、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
【0055】
また、前記の着色剤として、有機顔料、無機顔料、染料などを使用することが出来、着色剤の使用割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、通常0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。
【0056】
特に、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、充填材、メタリック顔料の群から選択される少なくとも1種の機能性付与剤を、それぞれ、所定量含有する場合には、流動性の改良のみならず、所望の機能を高レベルに発揮、維持する熱可塑性樹脂組成物(成形品)を得ることが出来る。
【0057】
次に、本発明の成形品およびその製造方法について説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート成形、フィルム成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形などの公知の成形法により、各種の成形品にすることが出来る。これらの成形法で得られた成形品としては以下のものが例示される。
【0058】
各種ギア、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、ウエハーケース、ICトレー、液晶トレー、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ部品、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶FDDキャリッジ、FDDシャーシー、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品。
【0059】
VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーデイオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音声器部品、照明部品、冷蔵庫部品などに代表される家庭・事務電気製品部品。
【0060】
オフィスコンピューター関連部品、電話機器関連部品、ファクシミリー関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具関連部品。便座、タンクカバー、ケーシング、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等のサニタリー関連部品。窓枠、家具、床材、壁材等の住宅・住設関連部品。顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機器関連部品。
【0061】
オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種バルブ。エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイパーハーネス、ウインドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁弁用コイルボビン、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローラー、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース。
【0062】
パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブ等の記憶装
置のハウジング、シャーシー、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビン等の電気・電子機器部品。バンパー、フェンダー等の車両用外装部材、その他各種用途。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り質量部および質量%である。
【0064】
<エステル化反応物:流動性改良剤の調製>
【0065】
(1)攪拌機、還流冷却機、温度計、圧力計、加熱装置などを装備した、容積が2リットルのガラス製反応器に、無水フタル酸494g、ジエチレングリコール566gを仕込み、反応器の空間部を窒素ガス置換した後、反応器内用物の加熱を開始した。反応器内温が200℃に達した時点で、触媒としてテトライソプロピルチタネート0.5gを反応器内に添加し、反応を開始した。その後、反応終了時までこの温度を保持した。一方、反応器内の圧力は、触媒添加後の1時間を88.0kPaに維持した。その後、6時間かけて徐々に減圧して、13.3kPaとし、反応が終了するまでこの圧力を保持した。反応の進行に伴い、反応混合物は均一な溶液になることが、目視観察された。反応進行中に、反応混合物の一部を反応器から抜き出して、抜き出した試料につき、酸価を測定して反応の進行状況確認の指標とした。反応の終了は、酸価が1.0以下となり、かつ、反応混合物が均一な溶液となった時点とした。反応終了後、加熱を停止して100℃付近まで冷却し、エステル化反応物を抜き出した。ここで得られたエステル化反応物を「エステル化反応物(A)」とした。
【0066】
(2)上記(1)において、無水フタル酸の使用量を90g、ジエチレングリコールの使用量を242gに変更し、更に、テレフタル酸405g、エチレングリコール19g、トリエチレングリコール343gを使用した以外は、上記(1)同様の手順で反応させた。ここで得られたエステル化反応物を「エステル化反応物(B)」とした。
【0067】
(3)上記(1)において、無水フタル酸の使用量を496gに変更し、ジエチレングリコールの代わりにトリエチレングリコール335gと2−エチルヘキサノール350
gを使用した以外は、上記(1)同様の手順で反応させた。そして、エステル化反応後、200℃で余剰の2−エチルヘキサノールを減圧留去し、アルキル基末端変性されたエステル化反応物を得た。ここで得られたエステル化反応物を「エステル化反応物(C)」とした。
【0068】
(4)上記(1)において、無水フタル酸の代わりにコハク酸513gを使用し、ジエチレングリコールの使用量を326gに変更し、更に、トリエチレングリコール318gを使用した以外は、上記(1)同様の手順で反応させた。ここで得られたエステル化反応物を「エステル化反応物(D)」とした。
【0069】
(5)上記(1)において、無水フタル酸の代わりにコハク酸467gを使用し、ジエチレングリコールの代わりにトリエチレングリコール396gを使用し、更に、末端アルキル変性剤としてノニルアルコール570gを使用した以外は、上記(3)同様の手順で反応させた。ここで得られたエステル化反応物を「エステル化反応物(E)」とした。なお、エステル化反応物(E)の変性率は100%である。
【0070】
上記の各エステル化反応物について、以下の方法により、酸価、水酸基価、粘度、組成比を測定した。また、各原料の仕込量から平均官能基数を算出した。結果を後述の表1に示す。
【0071】
(1)酸価、水酸基価、粘度:
これらは、何れも、JIS K1557 1970に規定する方法に準拠して測定した。そして、粘度は、回転粘度計(B型粘度計)を使用し45℃で測定した。
【0072】
(2)組成:
GPC法で測定した。カラムには、東ソー製「TSK-GEL G1000 HXL」、「TSK-GEL G2000 HXL」、「TSK-GEL G3000 HXL」(何れも、直径7.8mm,長さ300mm)を3本直列に接続して使用した。溶離液:THF(流速1.0ml/min)、カラム温度:40℃、検出器:RIの条件で測定した。
【0073】
【表1】

【0074】
<市販の流動性改良剤>
比較のため、和光純薬工業(株)製のステアリン酸マグネシウムを使用した。
【0075】
実施例1〜4及び参考例1並びに比較例1:
熱可塑性樹脂として、市販のゴム強化樹脂(テクノポリマー(株)製「テクノABS330」)(無着色品)を使用した。本熱可塑性樹脂を「汎用ABS」と略記する。
【0076】
前述の動性改良剤と上記の熱可塑性樹脂とを使用し、後述の表3及び表4に示す割合でブレンドし、二軸押出成形機(ベルストルフZE40型:φ43、L/D=33.5)を使用し、設定温度180〜280℃、吐出量10kg/hでペレット化を行った。
【0077】
次いで、熱風乾燥機を使用し、上記のペレットを80℃で3hr乾燥し、射出成形機(クロックナーF40型)により、80×80×2mmtの鏡面平板に成形した。成形条件
は、設定温度:180〜280℃、射出圧力:1次=50kg/cm、2次=40kg/cm、背圧:5kg/cm、計量:42mm、金型温度50℃とした。そして、試料として上記の鏡面平板を使用し次の表2に示す方法により各物性を測定した。評価結果を後述の表3及び表4に示す。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
実施例5及び参考例:
実施例4において、熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂(PSジャパン(株)社製「GPPS HF77」)に変更した以外は、実施例4と同様に、ペレット化、成形、評価を行った。結果を表5に示す。
【0082】
【表5】

【0083】
実施例6及び参考例3:
実施例4において、熱可塑性樹脂として、アクリロニトリル−スチレン樹脂(テクノポリマー(株)社製「サンレックス SAN−T」)に変更した以外は、実施例4と同様に、ペレット化、成形、評価を行った。結果を表6に示す
【0084】
【表6】

【0085】
参考例4〜8:
熱可塑性樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学社製「レイシア H−100」)を使用した。前述のエステル化反応物D及びEと上記の熱可塑性樹脂とを使用し、後述の表8に示す割合でブレンドした。そして、二軸押出成形機(ベルストルフZE40型:φ43、L/D=33.5)を使用し、設定温度180℃、吐出量10kg/hでペレット化を行った。
【0086】
次いで、上記のペレットを40℃で24hr減圧乾燥し、射出成形機(クロックナーF
40型)により、80×80×2mmtの鏡面平板に成形した。成形条件は、設定温度:180℃、射出圧力:1次=50kg/cm、2次=40kg/cm、背圧:5kg/cm、計量:42mm、金型温度15℃とした。
【0087】
以下の表7に示すASTMに準拠して上記成形品の物性測定を実施し、その結果を表8に示した。
【0088】
【表7】

【0089】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノカルボン酸成分および/またはモノアルコール成分の存在下または不存在下に多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを、全カルボン酸成分に対する全アルコール成分の割合が1.1〜2.5モル比の条件下にエステル化反応して得られる、エステル化反応物から成ることを特徴とする熱可塑性樹脂の流動性改良剤。
【請求項2】
二量体以上の成分の含有量が40質量%以上で且つ単量体および未反応成分の含有量が5〜60質量%である請求項1に記載の流動性改良剤。
【請求項3】
原料のカルボン酸成分およびアルコール成分から計算されるエステル化反応物の平均官能基数が4以下である請求項1又は2に記載の流動性改良剤。
【請求項4】
エステル化反応物の末端官能基が水酸基である請求項1〜3の何れかに記載の流動性改良剤。
【請求項5】
水酸基価が100〜400mgKOH/gである請求項1〜4の何れかに記載の流動性改良剤。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、ゴム強化樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の群から選択される少なくとも1種である請求項1〜5の何れかに記載の流動性改良剤。
【請求項7】
熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である請求項1〜5の何れかに記載の流動性改良剤。
【請求項8】
スチレン系樹脂が、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体、ABS樹脂の群から選ばれた少なくとも1種である請求項7に記載の流動性改良剤。
【請求項9】
熱可塑性樹脂に請求項1〜5の何れかに記載の流動性改良剤を配合して成り、熱可塑性樹脂100質量部に対する流動性改良剤の割合が0.001〜5質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
熱可塑性樹脂が、ゴム強化樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の群から選択される少なくとも1種である請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
スチレン系樹脂が、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体、ABS樹脂の群から選ばれた少なくとも1種である請求項11に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】
難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、充填材、メタリック顔料の群から選択される少なくとも1種の機能性付与剤を含有し、熱可塑性樹脂100質量部に対し、難燃剤割合は1〜30質量部、帯電防止剤の割合は0.5〜10質量部、抗菌剤の割合は0.01〜10質量部、充填材の割合は1〜30質量部、メタリック顔料の割合は0.1〜10質量部である請求項9〜12の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項9〜13の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物から成ることを特徴とする成形品。
【請求項15】
請求項9〜13の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を加熱成形することを特徴とする成形品の製造方法。

【公開番号】特開2007−191685(P2007−191685A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273229(P2006−273229)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】