説明

浄化槽のマンホール枠

【課題】簡単に紐状体を架けるだけでマンホール枠とマンホール蓋とが組み合わさった状体で梱包できる浄化槽のマンホール枠を提供する。
【解決手段】内側にマンホールを備えたマンホール筐体2に対する取付け部7を下側に形成すると共に、マンホールを塞ぐマンホール蓋5を嵌合自在な嵌合部6を上側に形成する枠本体4を設け、嵌合部6にマンホール蓋5を嵌合させた状態でそれらの上側を架け渡す紐状体に対する係止部9を、枠本体4の外周部で径方向に対向する部分に夫々設けて、係止部9を構成するに、端部に開口部を備え、且つ、枠本体4の周方向に沿ったスリットを、複数径方向に並べ、そのスリット夫々に開口部を通して紐状体を挿通可能に構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マンホールを備えたマンホール筐体に対する取付け部を下側に形成すると共に、前記マンホールを塞ぐマンホール蓋を嵌合自在な嵌合部を上側に形成する枠本体を設け、前記嵌合部に前記マンホール蓋を嵌合させた状態でそれらの上側を架け渡す紐状体に対する係止部を、前記枠本体の外周部で径方向に対向する部分に夫々設けてある浄化槽のマンホール枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紐状体の係止部は、紐状体を挿通するための挿通孔を設けてあるだけであった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−305368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のマンホール枠では、マンホール蓋を嵌合部に勘合して、マンホール枠とマンホール蓋とをセットした製品として出荷するためには、マンホール枠とマンホール蓋とがバラバラにならないように、枠本体の外周部で径方向に対向する部分に設けた一対の挿通孔に亘って紐状体を架け渡し、その紐状体の両端部を結束具で結束しなければならず、挿通孔に紐状体をその端から挿通させるのに手間取ったり、結束するのに別部材としての結束具が必要で、操作性が悪くまたコスト高になるという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、簡単に紐状体を架けるだけでマンホール枠とマンホール蓋とが組み合わさった状体で梱包できる浄化槽のマンホール枠を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、前記係止部を構成するに、端部に開口部を備え、且つ、前記枠本体の周方向に沿ったスリットを、複数径方向に並べ、そのスリット夫々に前記開口部を通して前記紐状体を挿通可能に構成してあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記枠本体の嵌合部に前記マンホール蓋を嵌合した状態で、紐状体を対向する前記係止部間に亘って架け渡し、その紐状体の両端部を、夫々の前記係止部の前記開口部からスリットの奥側に向けて枠本体の周方向に移動させることで、紐状体はその両端部を緩めずに引っ張りながらスリット内に入れることができる。つまり、従来例のように、挿通孔に紐状体の端から挿入すると言った手間をかけなくとも、紐状体のスリットへの挿入が簡単に行える。
また、紐状体を複数径方向に並べたスリット夫々にジグザグに蛇行させながら夫々の開口部を通して挿入させるという簡単な操作を行うことで、紐状体は各スリットの角部に圧接しながら係止する。つまり、複数のスリットの角部に対する摩擦により、紐状体は結束具を使わずともスリットから抜けないように簡単に係止させられる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記複数のスリット夫々の開口部を、隣接するもの同士互いに異なる方向に向けて形成してあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、複数のスリット夫々の開口部に、紐状体を手で引っ張りながら枠本体の周方向に沿って移動させることで、スリットの奥に挿入させることができる。その挿入操作を、順次隣接するスリットの開口部夫々に枠本体の周方向に沿って互い違いに異なる方向から移動させて挿入することで、紐状体は隣接するスリット夫々の奥側に係止しながら挿入操作が行えるので、片手操作でも隣接するスリットから外れてしまうことなく架け渡すことができる。
従って、簡単な操作で迅速に紐状体を架け渡してマンホール枠にマンホール蓋をセットして梱包できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)マンホール枠とマンホール蓋との分解斜視図、(b)浄化槽にマンホール枠とマンホール蓋とを装着した状態の斜視図である。
【図2】要部平面図である。
【図3】要部縦断面図である。
【図4】梱包状態の斜視図である。
【図5】梱包状態の要部縦断面図である。
【図6】(a)〜(e)は、紐状体を架け渡して梱包する手順を示す要部斜視図である。
【図7】別実施形態の要部平面図である。
【図8】別実施形態の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
本発明の実施形態は、浄化槽1の槽の上部に形成するマンホール筐体2に取り付けるための合成樹脂製のマンホール枠3を、図1〜3に示してある。
前記マンホール枠3には、内側にマンホールを備えたマンホール筐体2に対する取付け部7を下側に形成すると共に、前記マンホールを塞ぐマンホール蓋5を嵌合自在な嵌合部6を上側に形成する枠本体4を設け、嵌合部6にマンホール蓋5を嵌合させた状態でそれらの径方向に架け渡すポリプロピレン製バンド(PPバンド)からなる紐状体8の係止部9を、枠本体4の外周部で径方向に対向する部分に夫々設けてある。
前記係止部9は、図2〜図6に示すように、端部に開口部10を備え、且つ、枠本体4の周方向に沿ったスリット11を、複数並べ、そのスリット11夫々に開口部10を通して紐状体8を挿通可能に構成してある。
そして、複数のスリット11(第1スリット11a、第2スリット11b、第3スリット11c)夫々の開口部10は、隣接するもの同士互いに異なる方向に向けて形成してある。つまり、枠本体4の外周部の横方向に突出するカギ部12を形成して、そのカギ部12に、端部に開口部10を形成し紐状体8が挿入できる幅のスリット11が3箇所形成されている(図2)。
【0013】
ジグザグ形のカギ部12の屈曲部には、図2、図6に示すように、第1、第2誘導ガイド部13,14を設け、第1誘導ガイド部13は、紐状体8を上から引っ張りながら揺動させて第1スリット11aに挿入しやすくするために、カギ部12の下側で、マンホール枠3の周方向に沿って突設し、第2誘導ガイド部14は、紐状体8を下から上に引っ張りながら揺動させて第2スリット11bに挿入しやすくするために、カギ部12の上側で、マンホール枠3の周方向に沿って突設させてある。
【0014】
前記マンホール枠3にマンホール蓋5を装着した状態で一体に梱包するために、紐状体8で固定する手順について説明する。
1.マンホール枠3の嵌合部6にマンホール蓋5を嵌合する。
2.図6(a)に示すように、マンホール枠3の径方向に対向する一対の係止部9の内、一方の係止部9の2本のスリット11に、紐状体8を折り返して作ったループ状部8aを係止する。
3.図6(b)に示すように、折り返した紐状体8の2重部分を、他方の係止部9に渡って上側から架け渡して、引っ張りながら内側の第1スリット11aに、その開口部10から枠本体4の周方向に沿ってスライドさせながら挿入する。
4.図6(c)→(d)に示すように、紐状体8を、スリット11を形成するカギ部12を下から取り巻くようにして隣接する第2スリット11bに、その開口部10からスライドさせて挿入する。
5.さらに、図6(d)→(e)に示すように、紐状体8を上から下にカギ部12を取り巻くようにしながら一番外側の第3スリット11cに、その開口部10からスライドさせて挿入し、結果的に図4、図5に示す状態にする。
なお、係止部9に係止した紐状体8を外す時は、架け渡す時の逆の手順をふむか、紐状体8を切断すればよい。
【0015】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0016】
〈1〉 スリット11は、先の実施形態では3本形成してあるが、図7、図8に示すように、最低2本並べて形成してあれば良く、3本以上あれば多いほど紐状体8に対する摩擦力は上がるために、緩みにくくなるが、3本が妥当な所である。スリットの形状は、直線的であっても枠本体の周方向に沿って湾曲していても良い。また、紐状体8に対する摩擦力をあげたり横方向に抜けるのを防ぐために、スリットの内面にギザギザを付けたり凹凸を付けてあってもよい。
〈2〉 前記複数並べて形成したスリット11の開口部10は、図7に示すように、隣接する物同士同じ方向に向けてあるものでも良い。ただし、この場合、隣接するスリット11に亘って紐状体8を架け渡す際に、開口部10から紐状体8が抜け出して外れないように注意を払わなければならない。
〈3〉 マンホール枠3の径方向に対向する一対の係止部9に対する紐状体8の係止操作は、先の実施形態の他方の係止部9に対する係止のように、複数のスリット11にジグザグに架け渡す操作を、紐状体8の両端部を両方の係止部9夫々に同様に係止しても良い。
〈4〉 紐状体8は、PPバンド以外に、他の合成樹脂製や金属製や天然繊維製のバンド又は、ワイヤ等を使用しても良い。
【0017】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、浄化槽のマンホール枠以外に、下水道や共同溝等の他のマンホール筐体のマンホール枠に使用することもできる。
【符号の説明】
【0019】
2 マンホール筐体
3 マンホール枠
4 枠本体
5 マンホール蓋
6 嵌合部
7 取付け部
8 紐状体
9 係止部
10 開口部
11 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールを備えたマンホール筐体に対する取付け部を下側に形成すると共に、前記マンホールを塞ぐマンホール蓋を嵌合自在な嵌合部を上側に形成する枠本体を設け、前記嵌合部に前記マンホール蓋を嵌合させた状態でそれらの上側を架け渡す紐状体に対する係止部を、前記枠本体の外周部で径方向に対向する部分に夫々設けてある浄化槽のマンホール枠であって、前記係止部を構成するに、端部に開口部を備え、且つ、前記枠本体の周方向に沿ったスリットを、複数径方向に並べ、そのスリット夫々に前記開口部を通して前記紐状体を挿通可能に構成してある浄化槽のマンホール枠。
【請求項2】
前記複数のスリット夫々の開口部を、隣接するもの同士互いに異なる方向に向けて形成してある請求項1に記載の浄化槽のマンホール枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−236205(P2010−236205A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83218(P2009−83218)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】