説明

浄水器

【課題】適切な捨て水量を定めることが可能な浄水器を提供する。
【解決手段】浄水器1は、浄水供給部110と積算流量計測部113と制御・演算部131とを備える。制御・演算部131は、浄水供給部110によって浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量が予め定められた使用不適浄水量Qtiよりも少ない場合に、浄水供給部110によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水であると判定するように構成されている。N回目のQtiは、(N−1)回目に浄水供給部110が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さと、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量と(N−1)回目のQtiとの差とに基づいて定められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道水や井戸水等の原水を浄化して浄水を供給する浄水器がある。家庭用蛇口直結型浄水器等の一般的な浄水器では、浄水を供給した後、浄水器内の濾材(浄水カートリッジ)や通水路内に水が滞留する。浄水器内に水が滞留したままで長時間放置されると、浄水器内に細菌が増殖し、不衛生である。
【0003】
特に、濾材の一部、あるいは濾材の全部が活性炭で構成されている浄水器では、濾材通過後の2次側、すなわち、濾材の下流側の通水路内では滞留水中に細菌が増殖しやすい。これは、濾材中の活性炭によって原水中の塩素成分が除去されるためである。
【0004】
そこで、浄水器メーカーは、浄水器を使用する上での注意点として、毎日最初に浄水器から供給される浄水や、浄水器を何日間か使用しなかった場合に浄水器の使用を再開するとき最初に浄水器から供給される浄水など、浄水器の使用再開後の使い始めの浄水を所定時間だけ流して捨てる、いわゆる捨て水を行うように、使用者に促している。
【0005】
しかしながら、実際に浄水器の使用再開後の浄水の使い始めに捨て水を行うかどうかということや、どの程度の時間、どの程度の量の捨て水を行うかということは、浄水器の使用者の判断に委ねられている。そのため、使用者が捨て水を忘れた場合や、十分に捨て水を行わなかった場合には、使用者に健康被害の恐れが生じることがある。
【0006】
そこで、使用者が捨て水を適切に行うことができるようにするために、使用者に捨て水をするために必要な時間を報知する機能を有する浄水器や自動的に捨て水を行う浄水器が提案されている。
【0007】
例えば、特開平9−141250号公報(特許文献1)には、通水がなされていない時間が所定時間以上継続すると、浄水装置内に滞留していた水を廃棄するのに十分な長さの時間、捨て水と洗浄を行うための警報が発生される浄水装置が記載されている。この浄水装置では、通水がなされない時間の長さに応じて洗浄時間を変化させてもよいことが記載されている。また、捨て水実行中の流量センサの検出信号に基づいて、捨て水時間を補正してもよいことが記載されている。
【0008】
特開平11―169844号公報(特許文献2)に記載の浄水器では、浄水器を一定時間使用しなかった場合、浄水器内の残留水の吐出終了までは橙色のLEDを点灯し、その後は緑色のLEDを点灯させることによって、浄水の使用の可否を使用者に告知している。
【0009】
また、特開2006−15232号公報(特許文献3)と特開2006−142244号公報(特許文献4)に記載の浄水装置では、止水栓の止栓状態を検知し、その期間を算出して滞留日数として表示する。滞留日数が所定の滞留時間以上になると、使用者が滞留水を水道管から捨て去るとき、その捨て水の量の目安として使用する減算カウンタの内容が表示されるとともに、表示灯が点滅表示される。
【0010】
特開2002−263638号公報(特許文献5)に記載の浄水装置では、活性炭槽に水道水を流す給水栓が開かれてから次に開かれるまでの時間間隔が一定時間以上経過すると、活性炭槽の二次側から給水栓に所定の設定時間、水道水を流して殺菌洗浄する。
【0011】
特開2007−217916号公報(特許文献6)に記載の浄水システムでは、浄水された水道水の滞留時間が、予め定められた設定時間を超えたとき、捨て水用電磁弁が開かれて滞留水の捨て水処理が行われる。予め定められた開栓時間が経過すると、捨て水用電磁弁が止栓される。
【0012】
このように、これらの浄水装置や浄水器、浄水システムでは、通水が行われていない時間が所定の時間よりも長ければ、一定の量の捨て水を行うように報知されたり、自動的に一定の量の捨て水が行われたりする。これは、これらの浄水装置や浄水器、浄水システムでは、主に、滞留水を捨てることが考えられているためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−141250号公報
【特許文献2】特開平11―169844号公報
【特許文献3】特開2006−15232号公報
【特許文献4】特開2006−142244号公報
【特許文献5】特開2002−263638号公報
【特許文献6】特開2007−217916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、浄水器内の細菌は、時間とともに、連続的に増殖する。そのため、浄水器内に滞留している水を排出するだけでは、浄水器内、特に、通水路の内側などに付着している細菌が十分に排出されない場合がある。
【0015】
浄水器内の通水が停止されると、滞留水の中だけでなく、通水路や濾材の中の細菌も増えることがある。そのため、捨て水は、滞留水を捨てるために必要な量だけでなく、通水路や濾材の中を洗浄するために必要な量だけ行われることが好ましい。
【0016】
しかしながら、特開平9−141250号公報(特許文献1)に記載の浄水装置では、一旦、捨て水が開始されると、通水されていない時間の積算が止まってしまう。また、この浄水装置では、主に滞留水を捨てるために捨て水が行われるので、捨て水が開始された後、必要量の捨て水が行われる前に捨て水が途中で停止されても、捨て水量の設定は変更されない。特開平11―169844号公報(特許文献2)に記載の浄水器でも、捨て水を行っているときに水栓が閉じられると、捨て水量の設定は変更されない。そのため、これらの浄水装置や浄水器では、浄水を捨て水にすることが長時間に亘って中断されると、その後、再び浄水器が使用されたときに、滞留水を捨てることができても、通水路や濾材の中を洗浄するために十分な量の捨て水を行うことができない場合がある。
【0017】
また、特開2006−15232号公報(特許文献3)と特開2006−142244号公報(特許文献4)に記載の浄水装置では、止水栓が一旦、開けられると、止水栓が開栓された時間が短く、十分に捨て水されていなくても、滞留時間がリセットされてしまう。また、捨て水の量は、減算カウンタを用いて、止水栓が開栓された時から経過する時間の長さによって測定されており、減算カウンタによって捨て水に必要な時間が測定されている間に止水栓が閉じられても、減算カウンタによる時間の測定が中断されることはない。そのため、これらの浄水装置では、使用者が捨て水の途中で止水栓を閉めて、またすぐに止水栓を開くと、捨て水にすべき水が使用可能な浄水として排出される。また、浄水を捨て水にすることが長時間に亘って中断されると、滞留水を捨てることができても、通水路や濾材の中を洗浄するために十分な量の捨て水をすることができない場合がある。
【0018】
特開2002−263638号公報(特許文献5)に記載の浄水装置と特開2007−217916号公報(特許文献6)に記載の浄水システムでは、一定時間以上、水道水の滞留が続いたときに自動的に捨て水がされるが、使用者が途中で捨て水を中断した場合については記載されていない。
【0019】
さらに、時間によって捨て水の量が計測されると、浄水の瞬時流量が少ない場合は捨て水の量が少なく、浄水の瞬時流量が多い場合は捨て水の量が多くなり、実際に必要十分な量の捨て水を行うことを保証することができなくなる。
【0020】
そこで、この発明の目的は、適切な捨て水量を定めることが可能な浄水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に従った浄水器は、浄水供給部と浄水量測定部と判定部とを備える。浄水供給部は、浄水を生成して、浄水器の外部に浄水を供給する。浄水供給部は、浄水の供給の開始と停止とを複数回繰り返して断続的に浄水の供給を行うように構成されている。浄水量測定部は、浄水供給部によって供給される浄水の量を測定する。判定部は、浄水供給部によって行われる複数回の浄水の供給のうち、N回目(Nは自然数)の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間の時点において、浄水供給部によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水であるかどうかを判定する。
【0022】
判定部は、浄水供給部によって浄水の供給が開始されてから、浄水供給部によって供給される浄水が使用不適浄水であるかどうかを判定部が判定する判定時点までの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量が予め定められた使用不適浄水量よりも少ない場合に、浄水供給部によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水であると判定するように構成されている。
【0023】
(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量が(N−1)回目の使用不適浄水量よりも少ないときに(N−1)回目の浄水の供給が停止された場合には、N回目の使用不適浄水量は、(N−1)回目に浄水供給部が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さと、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量と(N−1)回目の使用不適浄水量との差とに基づいて定められる量である。
【0024】
使用不適浄水とは、浄水供給部による浄水の供給が停止された後、浄水の供給が再開されたときに、捨て水にする必要がある浄水である。使用不適浄水は、浄水供給部による浄水の供給が停止されている間、浄水器内に滞留していた浄水を排出したり、浄水器内の細菌を洗い流したりするために、使用者によって使用されずに捨てられる必要がある。使用不適浄水量とは、使用不適浄水の量、すなわち、必要な捨て水の量である。
【0025】
(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量が(N−1)回目の使用不適浄水量よりも少ないときに(N−1)回目の浄水の供給が停止された場合には、(N−1)回目の浄水の供給において捨て水にする必要がある浄水量のうち、ある程度だけ捨て水にされている。すなわち、このような場合には、(N−1)回目には、不十分な捨て水がされている。
【0026】
そこで、(N−1)回目に不十分な捨て水がされている場合には、N回目の使用不適浄水量が、(N−1)回目に浄水供給部が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さと、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量と(N−1)回目の使用不適浄水量との差とに基づいて定められることによって、(N−1)回目の捨て水の不十分さを考慮して、N回目の捨て水量を定めることができる。
【0027】
例えば、(N−1)回目に浄水供給部が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さが比較的短い場合でも、(N−1)回目の捨て水量が(N−1)回目の使用不適浄水量より少なければ、N回目の捨て水量を多くすることができる。また例えば、(N−1)回目に浄水供給部が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さが比較的長い場合には、(N−1)回目にある程度の量の浄水が捨て水にされていても、N回目の捨て水量を多くすることができ、十分に、浄水器内に滞留していた浄水を排出したり、浄水器内の細菌を洗い流したりすることができる。
【0028】
このようにすることにより、適切な捨て水量を定めることが可能な浄水器を提供することができる。
【0029】
この発明に従った浄水器は、浄水供給部によって供給される浄水についての情報を使用者に報知する報知部を備えることが好ましい。
【0030】
このようにすることにより、使用者が適切な量の捨て水を確実に行うことが容易になる。
【0031】
この発明に従った浄水器においては、報知部は、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量未満である場合に、判定時点において供給される浄水が使用に適さないことを報知するように構成されていることが好ましい。
【0032】
このようにすることにより、使用者が誤って、使用不適浄水を使用することを防ぐことができる。
【0033】
この発明に従った浄水器においては、報知部は、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量以上である場合に、判定時点において供給される浄水が使用に適することを報知するように構成されていることが好ましい。
【0034】
このようにすることにより、使用者が安心して浄水を使用することを可能にする。
【0035】
この発明に従った浄水器においては、報知部は、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量未満であるときに浄水供給部による浄水の供給が停止された場合、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に供給される浄水の量がN回目の使用不適浄水量未満であることを報知するように構成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすることにより、N回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に捨て水が十分に行われなかったことを報知して、使用者に注意を促し、捨て水が必要であることを使用者に認識させることができる。
【0037】
この発明に従った浄水器においては、報知部は、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量以下である場合に、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に供給される浄水の量とN回目の使用不適浄水量との差を報知するように構成されていることが好ましい。
【0038】
このようにすることにより、必要な捨て水の残量を使用者に認識させることができる。
【0039】
この発明に従った浄水器においては、報知部は、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量以下である場合に、N回目の使用不適浄水量とN回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定された浄水の量との差と、N回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に浄水供給部によって浄水が供給された時間と、N回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定された浄水の量とに基づいて、浄水供給部がN回目の使用不適浄水量の浄水を供給するために必要な時間の残りを報知するように構成されていることが好ましい。
【0040】
このようにすることにより、必要な捨て水に掛かる残時間、すなわち、使用可能な浄水が供給されるまでの時間を使用者に認識させることができる。
【0041】
この発明に従った浄水器においては、浄水供給部は、第1の浄水口と第2の浄水口とを含むことが好ましい。この発明に従った浄水器は、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量未満である場合には、浄水供給部は第1の浄水口から浄水を供給し、浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量以上である場合には、浄水供給部は第2の浄水口から浄水を供給するように構成されていることが好ましい。
【0042】
このようにすることにより、第1の浄水口から供給される浄水は飲用などの使用に適さない浄水であり、第2の浄水口から供給される浄水は飲用などの使用に適した浄水であるので、使用者が誤って捨て水を飲用水などとして使用する危険性を低減することができる。
【0043】
この発明に従った浄水器は、第1の浄水口に接続される貯水容器を備え、貯水容器の上部には排水口が形成されていることが好ましい。
【0044】
このようにすることにより、使用不適浄水を貯水容器に貯めて、浄水としての使用用途以外の用途、例えば、草木の水やりや洗車などに利用することができる。さらに、貯水容器の上部に排水口が形成されていることによって、貯水容器から水があふれる等の事故を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、この発明によれば、適切な捨て水量を定めることが可能な浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の第1実施形態に係る浄水器の構成を模式的に示す図である。
【図2】(N−1)回目の使用不適浄水供給残量と浄水供給停止残時間との関係の一例を表す図である。
【図3】浄水供給停止総時間とN回目の使用不適浄水量との関係の一例を示す図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る浄水器の捨て水報知動作における制御処理を順に示すフローチャートである。
【図5】この発明の第2実施形態に係る浄水器の捨て水報知動作における制御処理を順に示すフローチャートである。
【図6】この発明の第3実施形態に係る浄水器の捨て水報知動作における制御処理を順に示すフローチャートである。
【図7】この発明の第4実施形態に係る浄水器の構成を模式的に示す図である。
【図8】この発明の第4実施形態に係る浄水器の捨て水報知動作における制御処理を順に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0048】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の浄水器1は、浄水供給部110と、計時部(タイマ)121と、判定部として制御・演算部131と、記憶部(メモリ)132と、報知部141とを備える。浄水供給部110は、浄水器1の外部から水道水や井戸水などの原水を取り込み、浄水を生成して、浄水器1の外部に浄水を供給するものである。浄水供給部110は、浄水・原水切換部111と水流検知部112と積算流量計測部113と浄水生成部114とが通水路内に配置されることによって構成されている。浄水供給部110においては、浄水供給部110に取り込まれる原水が、浄水・原水切換部111、水流検知部112、積算流量計測部113、浄水生成部114を順に流れるように、これらの部材が配置されている。積算流量計測部113は浄水量測定部の一例である。
【0049】
浄水・原水切換部111は、浄水器1の使用者が切換レバー(図示しない)等を操作して、浄水器1から浄水を供給するか、原水を供給するかを選択するためのものである。この実施形態においては、浄水器1が浄水を供給するように選択された場合を「浄水モード」、浄水器1が原水を供給するように選択された場合を「原水モード」とする。
【0050】
水流検知部112は、浄水供給部110において浄水・原水切換部111の下流側に配置されている。水流検知部112は、「浄水モード」にされている場合において、水が流れていることを検知したとき、制御・演算部131に水流検知信号を送信する。
【0051】
積算流量計測部113は流量計等によって構成されて、水流検知部112の下流側に配置されている。積算流量計測部113は、浄水器1の通水路内を流れる水の積算流量を計測し、計測した値(積算流量値)を制御・演算部131に送信する。積算流量計測部113は、制御・演算部131から送信されるリセット信号を受信すると積算流量値を0にリセットして、積算流量を計測し始める。積算流量計測部113によって計測される積算流量値は、浄水生成部114の上流側を流れる水の積算流量である。
【0052】
浄水生成部114は浄水フィルタ等によって構成されて、積算流量計測部113の下流側に配置されている。浄水生成部114は、濾材(浄水フィルタ)などによって原水を浄化して浄水にする。積算流量計測部113によって計測された原水はすべて浄水生成部114を通過して浄水にされるので、積算流量計測部113は、浄水供給部110によって供給される浄水の量を測定する。
【0053】
計時部121は、時間を計測する。計時部121は、制御・演算部131と信号の送受信を行う。計時部121は制御・演算部131から送信されるリセット信号を受信すると、計測時間を0にリセットして0から時間を計測し始める。
【0054】
制御・演算部131はマイクロコンピュータによって構成される。制御・演算部131は、積算流量計測部113、計時部121、報知部141の制御や、各種演算を行う。制御・演算部131は、水流検知部112から水流検知信号を受信する。制御・演算部131は上述のように、積算流量計測部113と信号の送受信を行う。制御・演算部131はまた、計時部121と記憶部132と信号の送受信を行う。制御・演算部131は、報知部141に制御信号を送信して、報知部141の制御を行う。
【0055】
記憶部132は、プログラムやパラメータを格納する。記憶部132は、格納されているプログラムやパラメータを制御・演算部131に送信する。また場合によっては、制御・演算部131と一時的なデータを送受信する。
【0056】
報知部141は、浄水器1の使用者に対し、浄水や浄水器1に関する情報を報知する。報知部141は、例えば、スピーカ、ディスプレイ、ランプなど、何らかの報知手段を備えており、音声、文字や映像による表示、あるいは、特定の色を発光させるなどの方法を用いて報知することができる。報知部141は、音声、文字や映像による表示の以外の他の手段で報知するものであってもよい。
【0057】
以上のように構成される浄水器1が浄水を供給するときの動作について説明する。
【0058】
使用者が浄水器1の切換レバー(図示しない)等を操作して「浄水モード」を選択し、水栓(図示しない)が開かれると、水道水や井戸水などの原水が浄水供給部110の通水路内に流入する。原水は、浄水・原水切換部111、水流検知部112、積算流量計測部113を順に通過して、浄水生成部114に流入する。浄水生成部114は濾材によって構成されており、浄水生成部114を通過する水は浄水される。浄水生成部114を通過した水は、浄水として浄水器1の外部に供給される。このように、「浄水モード」が選択されて水栓が開かれると、浄水供給部110による浄水の供給が開始される。
【0059】
使用者が「原水モード」を選択した場合には、水栓が開かれて浄水器1の内部に原水が供給されても、原水は浄水供給部110の浄水生成部114を通過せず、そのまま浄水器1の外部に排出される。
【0060】
水栓が閉じられたり、浄水・原水切換部111が操作されて「浄水モード」から「原水モード」が切り換えられたりすることによって、浄水供給部110による浄水の供給が停止される。浄水供給部110による浄水の供給が停止された後、再び水栓が開かれて「浄水モード」にされると、浄水供給部110による浄水の供給が再開される。
【0061】
このように、浄水供給部110は、浄水の供給の開始と停止とを複数回繰り返して断続的に浄水の供給を行うように構成されている。
【0062】
浄水器1の浄水供給部110によって行われる複数回の浄水の供給のうち、N回目(Nは自然数)の浄水の供給が開始されるときの使用不適浄水量Qtiについて説明する。
【0063】
N回目の浄水の供給が開始されたときに捨て水にすることが必要な浄水量、すなわち、N回目の使用不適浄水量Qtiは、(N−1)回目の浄水供給部110が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さに基づいて定められる。
【0064】
特に、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に積算流量計測部113によって測定された浄水の量が(N−1)回目の使用不適浄水量Qptiよりも少ないときに(N−1)回目の浄水の供給が停止された場合には、N回目の使用不適浄水量Qtiは、(N−1)回目に浄水供給部110が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さと、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量と(N−1)回目の使用不適浄水量Qptiとの差とに基づいて定められる量である。
【0065】
この実施形態においては、N回目の使用不適浄水量Qtiは、例えば次のようにして求められる。
【0066】
まず、(N−1)回目に浄水の供給が開始されてから停止されるまで、すなわち、(N−1)回目の浄水供給時の使用不適浄水量Qptiと(N−1)回目に浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間の浄水供給量Qpmfとから、下記(式1)を用いて(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriを算出する。
【0067】
(式1) Qpri=max(Qpti−Qpmf,0)
【0068】
ただし、max(A,B)はAとBの最大値を表す。
【0069】
次に、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriに相当する浄水供給停止時間(以下、N回目の浄水供給停止残時間Trsとする)を、下記(式2)を用いて算出する。
【0070】
(式2) Trs=F1(Qpri
【0071】
ただし、F1(x)は、定義域0≦x≦Qpti、値域0≦F1(x)≦Tptsの(0,0)と(Qpti,Tpts)を通る単調増加関数である。Tptsは、((N−1)回目の使用不適浄水残量Qpri)=((N−1)回目の使用不適浄水量Qpti)のときのN回目の浄水供給停止残時間Trs、すなわち、(N−1)回目に浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間の浄水供給量Qpmfが0とみなされたときの浄水供給停止残時間(以下、(N−1)回目の浄水供給停止総時間Tptsとする)である。
【0072】
図2に示すように、例えば、TrsをQpriの一次関数として説明する。(N−1)回目の浄水供給量Qpmfが(N−1)回目の使用不適浄水量Qpti未満であれば、(N−1)回目の捨て水は不十分である。このように(N−1)回目の捨て水が不十分である場合には、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriが0よりも大きい量になる。(N−1)回目の浄水供給量Qpmfが0に近い場合には、(N−1)回目の浄水の供給において捨て水がほとんど行われなかったことになる。この場合には、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriは、ほとんど(N−1)回目の使用不適浄水量Qptiと同じ量になる。(N−1)回目の浄水供給量Qpmfが多ければ(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriは小さくなる。(N−1)回目の浄水供給量Qpmfが(N−1)回目の使用不適浄水量Qpti以上であれば、(N−1)回目の浄水の供給において、捨て水が十分に行われている。このとき、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriは(式1)によって、0になる。
【0073】
図2に示すように、(式2)に基づいて、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriの浄水を供給するために必要な残時間、すなわち、N回目の浄水供給停止残時間Trsを求めることができる。
【0074】
次に、N回目の浄水供給停止残時間Trsと、(N−1)回目の浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間(以下、浄水供給停止実時間Tasという)とから、(式3)のようにN回目の浄水供給停止総時間Ttsを求める。
【0075】
(式3) Tts=Tas+Trs
【0076】
最後に、(式4)に基づいてN回目の使用不適浄水量Qtiを求める。
【0077】
(式4) Qti=F2(Tts
【0078】
ただし、F2(x)は定義域0≦x、値域0≦F2(x)の(0,0)を通る単調増加関数である。
【0079】
図3に示すように、例えば、QtiをTtsの一次関数として説明する。N回目の浄水供給停止総時間Ttsが長くなれば長くなるほど、N回目の使用不適浄水量Qtiが大きくなる。浄水供給停止総時間Ttsが短く、例えば、ほとんど0に近い場合には、N回目の使用不適浄水量Qtiもほとんど0に近い値になる。このような場合には、捨て水を行う必要はほとんどない。N回目の浄水供給停止総時間Ttsが長くなれば長くなるほど、より多くの捨て水が必要になる。そこで、N回目の浄水供給停止総時間Ttsが長くなれば長くなるほど、より多くの捨て水が必要になることを使用者に報知する必要がある。
【0080】
図3に示すように、(式4)は(0,0)を通る単調増加関数であるから、(式4)を例えば、次の(式5)のように表すことができる。
【0081】
(式5) y=F2(x)=ax
【0082】
ただし、aは正の定数である。(式5)では、xが増加すればyが線形に増加し、xが減少すればyは線形に減少する。
【0083】
aの値は、浄水器1の構造や、浄水器1の内部の滞留水の量、通水路の材質、例えば、細菌の付着のしやすさや汚れやすさなどを考慮して設定されることが望ましい。例えば、浄水器1に滞留水が多い場合や、浄水器1の内部に菌が付着しやすい場合には、aの値を大きくすればよい。一方、浄水器1に滞留水が少ない場合や、浄水器1の内部に菌が付着しにくい場合には、aの値を小さくすればよい。
【0084】
なお、(式4)としては、(式5)に表される関数に限定されることなく、浄水器1の性質に応じて最適な、すなわち、必要十分な捨て水が行われるような関数が選択されることが望ましい。
【0085】
ところで、N回目の浄水供給停止残時間Trsを求める(式2)は、例えば次の(式6)のように表すことができる。
【0086】
(式6) y=F1(x)
=(Tpts/Qpti)/x
=(F2-1(Qpti)/Qpti)x
【0087】
2(x)の具体例として(式5)を用いると、(式6)は最終的に次の(式7)になる。
【0088】
(式7) y=(F2-1(Qpti)/Qpti)x
=((Qpti/a)/Qpti)x
=x/a
【0089】
すなわち、(式2)は、(式4)の逆関数となる。
【0090】
(式7)では、x(Qpri)が増加するとともに、y(Trs)が増加し、x(Qpri)が減少するとともに、y(Trs)が減少する。つまり、(N−1)回目の浄水供給量Qpmfが多ければ多いほど、x(Qpri)が小さくなり、浄水供給停止残時間Trsが線形に少なくなり、(N−1)回目の浄水供給量Qpmfが(N−1)回目の浄水供給時の使用不適浄水量Qpti以上(x=0)になれば、浄水供給停止残時間Trsは0になる。
【0091】
なお、(式2)としては、(式7)に表される関数に限定されることなく、浄水器1の性質に応じて最適な、すなわち、必要十分な捨て水が行われるような関数が選択されることが望ましい。
【0092】
また、(式2)と(式4)は互いに逆関数でなくてもよい。
【0093】
また、N回目の使用不適浄水量Qtiを関数を用いて算出する以外に、xとyの関係を表すテーブルを記憶部132に記憶させ、xをキーにしてyを参照することによって、N回目の浄水供給停止残時間Trsや(N−1)回目の使用不適浄水量Qptiを導出してもよい。
【0094】
このように、この実施形態においては、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriに基づいて、まず(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriの浄水を供給するために必要なN回目の浄水供給停止残時間Trsを求め、次に、N回目の浄水供給停止残時間TrsとN回目の浄水供給停止実時間Tasとに基づいてN回目の使用不適浄水量Qtiが定められている。
【0095】
次に、浄水器1において、捨て水が必要であるかどうかを使用者に報知する捨て水報知動作について説明する。この実施形態においては、浄水供給部110によって行われる複数回の浄水の供給のうち、N回目(Nは自然数)の浄水の供給が開始される場合について説明する。
【0096】
図4に示すように、ステップS101では、使用者が浄水器1の電源(図示しない)を投入した場合や、浄水器1のリセットボタン(図示しない)を押した場合、あるいは、浄水器1が濾材交換可能な場合において濾材(図示しない)を交換した場合などに、制御・演算部131がパラメータを初期化する。ステップS101で初期化されるパラメータは、(N−1)回目の使用不適浄水量Qptiと、(N−1)回目に浄水の供給が開始されてから停止されるまでの浄水供給量、すなわち、(N−1)回目の浄水供給量Qpmfとである。
【0097】
パラメータの初期化は、例えば、浄水器1の初期利用時や、浄水器1が濾材交換可能な場合における濾材交換時に、捨て水が必要なければQpti=Qpmf=0とする。一方、所定量の捨て水を必要とする場合は、Qpti=所定量、Qpmf=0として記憶部132にパラメータとして格納する。
【0098】
さらに必要であれば、制御・演算部131は報知部141に報知を停止する旨の報知信号を送信して報知部141を初期化する。報知部141は、報知を停止する旨の報知信号を受信すると、使用者への報知を停止する。
【0099】
ステップS102では、制御・演算部131は、積算流量計測部113と計時部121にリセット信号を送信し、積算流量計測部113と計時部121とを初期化する。制御・演算部131は、積算流量計測部113と計時部121との初期化として、積算流量計測部113が計測する積算流量と計時部121で計測される時間とを0にリセットする。
【0100】
ステップS103では、制御・演算部131は、水流検知部112によって水の流通が検知されたかどうかを確認する。水流検知部112によって水の流通が検知されれば、ステップS104に進む。水流検知部112によって水の流通が検知されなければ、ステップS103に戻る。
【0101】
ステップS104では、制御・演算部131は、計時部121と制御信号の送受信を行い、計時部121から、その時点において計時部121で計測された時間、すなわち、N回目の浄水供給停止実時間Tasを取得する。N回目の浄水供給停止実時間Tasは、浄水の供給が停止されている時間である。
【0102】
ステップS105では、制御・演算部131は、N回目の浄水供給停止残時間Trsを求める。N回目の浄水供給停止残時間Trsは、次のようにして求められる。
【0103】
まず、制御・演算部131は、(N−1)回目の浄水供給時の使用不適浄水量Qptiと(N−1)回目に浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間の浄水供給量Qpmfとから、上述の(式1)を用いて(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriを算出する。
【0104】
次に、制御・演算部131は、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriから、(N−1)回目の使用不適浄水残量Qpriの浄水を供給する場合に必要な時間(以下、浄水供給停止残時間Trsとする)を、上述の(式2)を用いて算出する。
【0105】
なお、初回の浄水供給開始時、すなわち、1回目(N=1)の浄水供給開始時には、(N−1)回目の使用不適浄水量Qptiには予め定められた0以上の初期値が設定され、(N−1)回目の浄水供給量Qpmfには0が初期値として設定されている。1回目(N=1)の浄水供給開始時には浄水供給停止総時間Tptsは、この実施形態では上述のようにF2(x)の逆関数を用いたTpts=F2-1(Qpti)で定義される。
【0106】
ステップS106では、ステップS104で取得された浄水供給停止実時間TasとステップS105で算出された浄水供給停止残時間Trsとから、N回目の使用不適浄水量Qtiを供給するために必要な時間として浄水供給停止総時間Ttsを、上述の(式3)を用いて算出する。
【0107】
ステップS107では、ステップS106で求められた浄水供給停止総時間TtsからN回目の使用不適浄水量Qtiを、上述の(式4)を用いて算出する。
【0108】
なお、浄水器1が、N回目の浄水供給停止総時間Ttsが大きくても、所定量の水を流せば使用に適する浄水を供給することができるように構成されている場合には、N回目の使用不適浄水量Qtiに所定の上限値を設け、(式4)の結果が所定の上限値を超えると、N回目の使用不適浄水量Qtiを上限値に設定する処理(リミッタ処理)をステップS107の直後に行うように構成してもよい。
【0109】
ステップS108では、積算流量計測部113より、現時点における積算流量、すなわち、N回目の浄水供給開始時からの現時点までの積算流量、すなわち、N回目の積算流量Qmfを取得する。
【0110】
ステップS109では、制御・演算部131は、浄水が供給されているかどうかを判断する。制御・演算部131は、水流検知部112から水流検知信号が受信されていれば、浄水が供給されていると判断する。浄水が供給されていれば、ステップS110に進む。浄水が供給されていなければ、ステップS113に進む。
【0111】
ステップS110では、制御・演算部131は、N回目の積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti未満かどうかを判定する。N回目の積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti未満であれば、ステップS111に進む。N回目の積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti未満でなければ、ステップS112に進む。
【0112】
ステップS111では、制御・演算部131は、使用不適浄水が供給されている旨の報知信号を報知部141に送信し、報知部141が、使用不適浄水が供給されていることを使用者に報知する。その後、ステップS108に戻る。
【0113】
なお、N回目の浄水供給停止総時間Ttsが短く(例えば数時間以内)、その結果、N回目の使用不適浄水量Qtiも少なく(例えば数十ミリリットル以内)、使用者の健康被害の恐れが低い場合は、使用不適浄水が供給されている旨の報知信号を送信しないようにしてもよい。
【0114】
ステップS112では、制御・演算部131は、使用不適浄水が供給されている旨の報知を停止する報知信号を報知部141に送信し、報知部141は報知を停止する。その後、ステップS108に戻る。
【0115】
ステップS113では、制御・演算部131は、使用不適浄水が供給されている旨の報知を停止する報知信号を報知部141に送信し、報知部141は報知を停止する。その後、ステップS114に進む。
【0116】
ステップS114では、制御・演算部131は、N回目の使用不適浄水量Qtiを(N−1)回目の使用不適浄水量Qptiとして記憶部132に記憶させ、N回目の浄水の供給の開始から停止までの間に測定されたN回目の積算流量Qmfの値を(N−1)回目の浄水の供給の開始から停止までの間に測定された(N−1)回目の浄水供給量Qpmfの値として記憶部132に記憶させる。その後、ステップS102に戻る。
【0117】
この実施形態では、N回目の浄水の供給を開始した時から計測される積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti未満の間は、浄水が使用不適である旨を報知している。しかし、浄水器1が、単位時間当りの浄水供給量が一定になるように構成されている場合は、N回目の浄水供給開始時からの積算流量Qmfと浄水供給時間Twpとが比例関係になるので、浄水供給部110がN回目の使用不適浄水量Qtiの浄水を排出するために必要な浄水供給時間Twpに相当する所定時間未満の間、浄水が使用不適である旨を報知してもよい。
【0118】
以上のように、第1実施形態の浄水器1は、浄水供給部110と積算流量計測部113と制御・演算部131とを備える。浄水供給部110は、浄水を生成して、浄水器1の外部に浄水を供給する。浄水供給部110は、浄水の供給の開始と停止とを複数回繰り返して断続的に浄水の供給を行うように構成されている。積算流量計測部113は、浄水供給部110によって供給される浄水の量を測定する。制御・演算部131は、浄水供給部110によって行われる複数回の浄水の供給のうち、N回目(Nは自然数)の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間の時点において、浄水供給部110によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水であるかどうかを判定する。
【0119】
制御・演算部131は、浄水供給部110によって浄水の供給が開始されてから、浄水供給部110によって供給される浄水が使用不適浄水であるかどうかを制御・演算部131が判定する判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量が予め定められた使用不適浄水量Qtiよりも少ない場合に、浄水供給部110によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水であると判定するように構成されている。
【0120】
(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量が(N−1)回目の使用不適浄水量Qtiよりも少ないときに(N−1)回目の浄水の供給が停止された場合には、N回目の使用不適浄水量Qtiは、(N−1)回目に浄水供給部110が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さと、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量と(N−1)回目の使用不適浄水量Qtiとの差とに基づいて定められる量である。
【0121】
(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量が(N−1)回目の使用不適浄水量Qtiよりも少ないときに(N−1)回目の浄水の供給が停止された場合には、(N−1)回目の浄水の供給において捨て水する必要がある浄水量のうち、ある程度だけ捨て水にされている。すなわち、このような場合には、(N−1)回目には、不十分な捨て水がされている。
【0122】
そこで、(N−1)回目に不十分な捨て水がされている場合には、N回目の使用不適浄水量Qtiが、(N−1)回目に浄水供給部110が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さと、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量と(N−1)回目の使用不適浄水量Qtiとの差とに基づいて定められることによって、(N−1)回目の捨て水の不十分さを考慮して、N回目の捨て水量を定めることができる。
【0123】
例えば、(N−1)回目に浄水供給部110が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さが比較的短い場合でも、(N−1)回目の捨て水量が(N−1)回目の使用不適浄水量より少なければ、N回目の捨て水量を多くすることができる。また例えば、(N−1)回目に浄水供給部110が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さが比較的長い場合には、(N−1)回目にある程度の量の浄水が捨て水にされていても、N回目の捨て水量を多くすることができ、十分に、浄水器1内に滞留していた浄水を排出したり、浄水器1内の細菌を洗い流したりすることができる。
【0124】
このようにすることにより、適切な捨て水量を定めることが可能な浄水器1を提供することができる。
【0125】
また、第1実施形態の浄水器1は、浄水供給部110によって供給される浄水についての情報を使用者に報知する報知部141を備える。
【0126】
このようにすることにより、使用者が適切な量の捨て水を確実に行うことが容易になる。
【0127】
また、第1実施形態の浄水器1においては、報知部141は、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量Qti未満である場合に、浄水供給部110によって判定時点において供給される浄水が使用に適さないことを報知するように構成されている。
【0128】
このようにすることにより、使用者が誤って、使用不適浄水を使用することを防ぐことができる。
【0129】
(第2実施形態)
第2実施形態の浄水器は、第1実施形態の浄水器1(図1)と同様に構成されている。第2実施形態においては、浄水器1の報知部141は、浄水供給部110によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水である場合に報知するだけでなく、使用に適する使用適浄水が供給されている場合、使用適浄水が供給されていることを報知するように構成されている。さらに、報知部141は、N回目に浄水供給部110による浄水の供給が開始された時から計測される積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti未満である間に、水流検知部112が浄水の供給停止を検知すると、報知部141は、N回目の使用不適浄水量Qtiの浄水が十分に捨て水にされていないことを使用者に報知するように構成されている。
【0130】
図5に示すように、浄水器1においては、第1実施形態と同様に、ステップS109で、制御・演算部131は、浄水が供給されているかどうかを判断する。制御・演算部131は、水流検知部112から水流検知信号が受信されていれば、浄水が供給されていると判断する。浄水が供給されていれば、ステップS110に進む。浄水が供給されていなければ、第1実施形態とは異なり、ステップS202に進む。
【0131】
ステップS110では、第1実施形態と同様に、制御・演算部131は、浄水供給開始時からの積算流量Qmfが使用不適浄水量Qti未満かどうかを判定する。浄水供給開始時からの積算流量Qmfが使用不適浄水量Qti未満であれば、ステップS111に進む。浄水供給開始時からの積算流量Qmfが使用不適浄水量Qti未満でなければ、第1実施形態とは異なり、ステップS201に進む。
【0132】
ステップS111では、第1実施形態と同様に、制御・演算部131は、使用不適浄水が供給されている旨の報知信号を報知部141に送信し、報知部141が、使用不適浄水が供給されていることを使用者に報知する。その後、ステップS108に戻る。
【0133】
ステップS201では、制御・演算部131は、使用に適する使用適浄水が供給されている旨の報知信号を報知部141に送信し、報知部141が、使用適浄水が供給されていることを使用者に報知する。その後、ステップS108に戻る。
【0134】
ステップS202では、制御・演算部131は、N回目の積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti以上であるかどうかを判断する。N回目の積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti以上であれば、ステップS113に進み、第1実施形態と同様に、制御・演算部131は、使用適浄水が供給されている旨の報知を停止する報知信号を報知部141に送信し、報知部141は報知を停止する。その後、ステップS114に進む。N回目の積算流量QmfがN回目の使用不適浄水量Qti以上でなければ、ステップS203に進む。
【0135】
ステップS203では、制御・演算部131は、使用不適浄水の供給が不完全であること、すなわち、捨て水が十分に行われていないことを報知するように、報知部141を制御する。報知部141は、制御・演算部131から報知信号を受信して、使用者に、捨て水が十分に行われていないことを一定時間、報知する。その後、ステップS113に進む。
【0136】
以上のように、第2実施形態の浄水器1においては、報知部141は、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量Qti以上である場合に、判定時点において供給される浄水が使用に適することを報知するように構成されている。
【0137】
このようにすることにより、使用者が安心して浄水を使用することを可能にする。
【0138】
また、第2実施形態の浄水器1においては、報知部141は、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時間までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量Qti未満であるときに浄水供給部110による浄水の供給が停止された場合、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時間までの間に供給される浄水の量が使用不適浄水量Qti未満であることを報知するように構成されている。
【0139】
このようにすることにより、N回目の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間に捨て水が十分に行われなかったことを報知して、使用者に注意を促し、捨て水が必要であることを使用者に認識させることができる。
【0140】
第2実施形態の浄水器のその他の構成と効果は、第1実施形態の浄水器と同様である。
【0141】
(第3実施形態)
第3実施形態の浄水器は、第1実施形態の浄水器1(図1)と同様に構成されている。第3実施形態においては、浄水器1の報知部141は、浄水供給部110によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水である場合に報知するだけでなく、N回目の使用不適浄水量Qtiの残量を報知するように構成されている。さらに、報知部141は、N回目の使用不適浄水量Qtiの残量を捨て水にするために必要な時間、すなわち、N回目の使用不適浄水供給残時間Triを報知するように構成されている。
【0142】
図6に示すように、第3実施形態の浄水器1においては、第1実施形態と同様に、ステップS104では、制御・演算部131は、計時部121と制御信号の送受信を行い、計時部121から、その時点において計時部121で計測された時間、すなわち、浄水供給停止実時間Tasを取得する。浄水供給停止実時間Tasは、浄水の供給が停止されている時間である。その後、第1実施形態と異なり、ステップS301に進む。
【0143】
ステップS301では、制御・演算部131は、計時部121に制御信号を送信して、計時部121を初期化する。計時部121は、計測時間を0にリセットして、0から時間を計測し始める。次に、ステップS105に進む。
【0144】
ステップS105からステップS108は、第1実施形態と同様である。
【0145】
ステップS108では、第1実施形態と同様に、積算流量計測部113より、現時点における積算流量、すなわち、N回目の浄水供給開始時からの現時点までの積算流量Qmfを取得する。その後、第1実施形態と異なり、ステップS302に進む。
【0146】
ステップS302では、制御・演算部131は、計時部121と信号の送受信を行い、計時部121から、ステップS301からステップS302までの間に計時部121によって計測された時間として浄水供給時間Twpを取得する。その後、ステップS109に進む。
【0147】
ステップS109からステップS111は、第1実施形態と同様である。ステップS111では、制御・演算部131は、使用不適浄水が供給されている旨の報知信号を報知部141に送信し、報知部141が、使用不適浄水が供給されていることを使用者に報知する。その後、第1実施形態とは異なり、ステップS303に進む。
【0148】
ステップS303では、まず、制御・演算部131は、N回目の使用不適浄水供給残量Qriを算出する。N回目の使用不適浄水供給残量Qriは、次の(式8)によって算出される。
【0149】
(式8) Qri=Qti−Qmf
【0150】
制御・演算部131は、N回目の使用不適浄水供給残量Qriの値を表す報知信号を報知部141に送信する。制御・演算部131から報知信号を受信した報知部141は、使用者に、N回目の使用不適浄水供給残量Qriを報知する。報知部141は、スピーカやディスプレイなどの報知手段を用いて報知する。報知部141は、他の報知手段を用いて報知するように構成されていてもかまわない。その後、ステップS304に進む。
【0151】
ステップS304では、制御・演算部131は、N回目の使用不適浄水供給残時間Triを次の(式9)によって算出する。
【0152】
(式9) Tri=(Qriwp)/Qmf
【0153】
(式9)は次のようにして導かれる。
【0154】
N回目の浄水供給開始からの積算流量QmfとN回目の使用不適浄水供給残量Qri(=Qti−Qmf)の比は、浄水供給時間TwpとN回目の使用不適浄水供給残時間Triの比に等しい。すなわち、以下の(式10)が成り立つ。
【0155】
(式10) Qmf:Qri=Twp:Tri
【0156】
ステップS304では、N回目の使用不適浄水供給残時間Triだけが未知数であるため、(式10)を変形した(式9)から、N回目の使用不適浄水供給残時間Triを算出することができる。
【0157】
ただし、浄水の供給を開始した直後は、N回目の浄水の供給開始時点からの積算流量Qmfと浄水供給時間Twpの値が小さく、誤差が大きくなりやすい。そこで、浄水供給開始後、しばらく時間が経過してから、浄水供給時間Twpを報知してもよい。
【0158】
なお、浄水供給時の瞬時流量が一定であるとは限らないため、N回目の使用不適浄水供給残時間Triは推測値である。しかし、N回目の使用不適浄水供給残量Qriが0に近づくと、N回目の使用不適浄水供給残時間Triも0に近づき、N回目の使用不適浄水供給残量Qriが0になると、N回目の使用不適浄水供給残時間Triも0になるため、(式9)によって求められたN回目の使用不適浄水供給残時間Triは捨て水を十分に行うために必要な残り時間の目安になる。
【0159】
また、第3実施形態においては、浄水器1はN回目の使用不適浄水供給残量QriとN回目の使用不適浄水供給残時間Triの両方を報知するように構成されているが、いずれか一方のみを報知するように構成されていてもよい。
【0160】
以上のように、第3実施形態の浄水器1においては、報知部141は、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量Qti以下である場合に、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に供給される浄水の量とN回目の使用不適浄水量Qtiとの差を報知するように構成されている。
【0161】
このようにすることにより、必要な捨て水の残量を使用者に認識させることができる。
【0162】
また、第3実施形態の浄水器1においては、報知部141は、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量Qti以下である場合に、N回目の使用不適浄水量QtiとN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定された浄水の量との差と、N回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に浄水供給部110によって浄水が供給された時間と、N回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定された浄水の量とに基づいて、浄水供給部110がN回目の使用不適浄水量Qtiの浄水を供給するために必要な時間の残りを報知するように構成されている。
【0163】
このようにすることにより、必要な捨て水に掛かる残時間、すなわち、使用可能な浄水が供給されるまでの時間を使用者に認識させることができる。
【0164】
第3実施形態の浄水器のその他の構成と効果は、第1実施形態の浄水器と同様である。
【0165】
(第4実施形態)
図7に示すように、第4実施形態の浄水器2は、浄水器本体201と、貯水容器として貯水タンク251とから構成されている。浄水器本体201には、第1実施形態の浄水器1(図1)の構成に加えて、浄水口切換部215が備えられている。浄水口切換部215は、制御・演算部131から信号を受信して、浄水供給部110から供給される浄水を、第1の浄水口216から供給するか、第2の浄水口217から供給するかを切り換えるためのものである。貯水タンク251の上部には、排水口252が形成されている。貯水タンク251内の水は、排水口252の位置まで貯められると、排水口252を通って浄水器2の外部に排出される。貯水タンク251と浄水器本体201は、浄水器本体201の第1の浄水口216から供給される浄水が貯水タンク251に流入するように接続されている。貯水タンク251には、蛇口(図示しない)が取り付けられ、使用者は、蛇口を開いて貯水タンク251内から水を取り出すことができる。第4実施形態の浄水器2のその他の構成は、第1実施形態の浄水器1(図1)と同様である。
【0166】
図8に示すように、浄水器2においては、第1実施形態と同様に、ステップS111では、制御・演算部131は、使用不適浄水が供給されている旨の報知信号を報知部141に送信し、報知部141が、使用不適浄水が供給されていることを使用者に報知する。その後、第1実施形態とは異なり、ステップS401に進む。
【0167】
ステップS401では、制御・演算部131は浄水口切換部215に制御信号を送信して、第1の浄水口216から浄水を供給するように浄水口切換部215を制御する。その後、ステップS108に戻る。ただし、浄水口切換部215が、すでに第1の浄水口216から浄水を供給するように切り換えられている場合は、浄水口切換部215による浄水口の切換は行われない。
【0168】
第1の浄水口216から供給される浄水は、貯水タンク251に貯められる。貯水タンク215内の水は排水口252の高さまで貯まる。さらに水が貯水タンク251内に供給されると、貯水タンク251内の水は排水口252から排出される。使用者は、貯水タンク251の蛇口を開いて、貯水タンク251内に貯められた使用不適浄水を貯水タンク251内から取り出すことができる。使用者は、貯水タンク251から取り出した水を、飲用以外の用途に使用してもよい。
【0169】
また、浄水器2では、第1実施形態と同様に、ステップS112では、制御・演算部131は、使用不適浄水が供給されている旨の報知を停止する報知信号を報知部141に送信し、報知部141は報知を停止する。その後、第1実施形態とは異なり、ステップS402に進む。
【0170】
ステップS402では、制御・演算部131は浄水口切換部215に制御信号を送信して、第2の浄水口217から浄水を供給するように浄水口切換部215を制御する。その後、ステップS108に戻る。使用者は、第2の浄水口217から供給される浄水をそのまま飲用等に使用することができる。
【0171】
以上のように、第4実施形態の浄水器2においては、浄水供給部110は、第1の浄水口216と第2の浄水口217とを含む。浄水器2は、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量Qti未満である場合には、浄水供給部110は第1の浄水口216から浄水を供給し、浄水供給部110によってN回目の浄水の供給が開始されてから判定時点までの間に積算流量計測部113によって測定される浄水の量がN回目の使用不適浄水量以上である場合には、浄水供給部110は第2の浄水口217から浄水を供給するように構成されている。
【0172】
このようにすることにより、第1の浄水口216から供給される浄水は飲用などの使用に適さない浄水であり、第2の浄水口217から供給される浄水は飲用などの使用に適した浄水であるので、使用者が誤って捨て水を飲用水などとして使用する危険性を低減することができる。
【0173】
また、第4実施形態の浄水器2は、第1の浄水口216に接続される貯水タンク251を備え、貯水タンク251の上部には排水口252が形成されている。
【0174】
このようにすることにより、使用不適浄水を貯水タンク251に貯めて、浄水としての使用用途以外の用途、例えば、草木の水やりや洗車などに利用することができる。さらに、貯水タンク251の上部に排水口252が形成されていることによって、貯水タンク251から水があふれる等の事故を防ぐことができる。
【0175】
第4実施形態の浄水器2のその他の構成と効果は、第1実施形態の浄水器1と同様である。
【0176】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0177】
1,2:浄水器、110:浄水供給部、111:浄水・原水切換部、112:水流検知部、113:積算流量計測部、114:浄水生成部、121:計時部、131:制御・演算部、132:記憶部、141:報知部、216:第1の浄水口、217:第2の浄水口、251:貯水タンク、252:排水口。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水を生成して、当該浄水器の外部に浄水を供給する浄水供給部を備え、
前記浄水供給部は、浄水の供給の開始と停止とを複数回繰り返して断続的に浄水の供給を行うように構成されており、さらに、
前記浄水供給部によって供給される浄水の量を測定する浄水量測定部と、
前記浄水供給部によって行われる複数回の浄水の供給のうち、N回目(Nは自然数)の浄水の供給が開始されてから停止されるまでの間の時点において、前記浄水供給部によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水であるかどうかを判定する判定部とを備えた浄水器であって、
前記判定部は、前記浄水供給部によって浄水の供給が開始されてから、前記浄水供給部によって供給される浄水が使用不適浄水であるかどうかを前記判定部が判定する判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量が予め定められた使用不適浄水量よりも少ない場合に、前記浄水供給部によって供給される浄水が使用に適さない使用不適浄水であると判定するように構成され、
(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量が(N−1)回目の前記使用不適浄水量よりも少ないときに(N−1)回目の浄水の供給が停止された場合には、N回目の前記使用不適浄水量は、(N−1)回目に前記浄水供給部が浄水の供給を停止してからN回目の浄水の供給を開始するまでの時間の長さと、(N−1)回目の浄水の供給が開始されてから(N−1)回目の浄水の供給が停止されるまでの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量と(N−1)回目の前記使用不適浄水量との差とに基づいて定められる量である、浄水器。
【請求項2】
前記浄水供給部によって供給される浄水についての情報を使用者に報知する報知部を備える、請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記報知部は、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量未満である場合に、前記判定時点において供給される浄水が使用に適さないことを報知するように構成されている、請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記報知部は、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量以上である場合に、前記判定時点において供給される浄水が使用に適することを報知するように構成されている、請求項2または請求項3に記載の浄水器。
【請求項5】
前記報知部は、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量未満であるときに前記浄水供給部による浄水の供給が停止された場合、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に供給される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量未満であることを報知するように構成されている、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項6】
前記報知部は、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量以下である場合に、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に供給される浄水の量とN回目の前記使用不適浄水量との差を報知するように構成されている、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項7】
前記報知部は、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量以下である場合に、N回目の前記使用不適浄水量とN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定された浄水の量との差と、N回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水供給部によって浄水が供給された時間と、N回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定された浄水の量とに基づいて、前記浄水供給部がN回目の前記使用不適浄水量の浄水を供給するために必要な時間の残りを報知するように構成されている、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項8】
前記浄水供給部は、第1の浄水口と第2の浄水口とを含み、
前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量未満である場合には、前記浄水供給部は前記第1の浄水口から浄水を供給し、前記浄水供給部によってN回目の浄水の供給が開始されてから前記判定時点までの間に前記浄水量測定部によって測定される浄水の量がN回目の前記使用不適浄水量以上である場合には、前記浄水供給部は前記第2の浄水口から浄水を供給するように構成されている、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項9】
前記第1の浄水口に接続される貯水容器を備え、
前記貯水容器の上部には排水口が形成されている、請求項8に記載の浄水器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−200786(P2011−200786A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69871(P2010−69871)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】