浄水器
【課題】浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能である浄水器を提供する。
【解決手段】浄水器は、フィルタ槽と、少なくともフィルタ槽に液体を流通させる流路と、流路のうちのフィルタ槽にて液体が濾過される経路とフィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように流路での液体の流れを開閉する弁機構60,70,80と、使用者によって操作され、弁機構60,70,80を作動させる切換レバー6とを備えている。弁機構60,70,80は切換レバー6の作動に連動する。
【解決手段】浄水器は、フィルタ槽と、少なくともフィルタ槽に液体を流通させる流路と、流路のうちのフィルタ槽にて液体が濾過される経路とフィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように流路での液体の流れを開閉する弁機構60,70,80と、使用者によって操作され、弁機構60,70,80を作動させる切換レバー6とを備えている。弁機構60,70,80は切換レバー6の作動に連動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、濾材を洗浄する機能を有する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平08−84989号公報(特許文献1)に記載されているように、浄水器等の液体浄化装置において、複数のフィルタ槽が備えられたものが知られている。複数のフィルタ槽には、中空糸膜型のフィルタがそれぞれ収容されている。フィルタ槽に流入する汚れた原水は、これらのフィルタを通過することによって浄化される。
【0003】
特開平08−84989号公報(特許文献1)に係る浄水器では、フィルタが洗浄されるときは、少なくとも一つのフィルタ槽のフィルタを通過することによって浄化された浄水を他のフィルタ槽のフィルタに通過させることにより、他のフィルタ槽のフィルタを洗浄している。
【0004】
また、特開平08−84989号公報(特許文献1)に係る浄水器は、一のフィルタ槽を通過させる経路と、他のフィルタ槽を通過させる経路とを切り換える複数の電磁弁を備えている。すなわち、これら電磁弁の開閉は、制御装置等によって電子的または電磁的に制御される。
【0005】
一のフィルタ槽を通過させる経路は、例えば液体浄化装置において浄水を生成するときのものである。また、他のフィルタ槽を通過させる経路は、例えば液体浄化装置において一のフィルタ槽のフィルタを逆洗浄するときのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−84989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制御装置等によって電子的または電磁的に制御されるような電磁弁は、手動によって切り換えられる弁に比べてコストが高く、また電磁弁を制御する制御装置にも比較的高いコストが掛かってしまう。また、電磁弁が多数用いられることにより、各電磁弁と制御装置とを接続する電装部品が占める体積によって液体浄化装置の小型化が困難である。
【0008】
そのため、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成された浄水器のうち、比較的安価であり且つ小型化が可能であるものが望まれていた。
【0009】
そこで、この発明の目的は、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、フィルタ槽と、流路と、複数の弁機構と、切換部とを備えた浄水器である。流路は、少なくともフィルタ槽に液体を流通させる。複数の弁機構は、流路のうちのフィルタ槽にて液体が濾過される経路とフィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように開閉される。切換部は、当該浄水器の使用者によって操作され、複数の弁機構を作動させる。各弁機構は、切換部の作動に連動する。
【0011】
この発明によれば、複数の弁機構が流路の液体の流れを開閉することにより、流路のうちのフィルタ槽にて液体が濾過される経路と、フィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、各弁機構は、切換部の作動に連動する。切換部は、使用者によって操作される。つまり、各弁機構の開閉が使用者によって操作される。このように、この発明に従った浄水器では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、この発明に従った浄水器に係るコストを抑えることができる。また、当該浄水器の小型化が可能である。したがって、この発明によれば、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器を提供することができる。また、当該浄水器が電気を使用しないものである場合には、電源仕様に左右されない浄水器を実現することができる。
【0012】
この発明に従った浄水器は、他のフィルタ槽をさらに備えていることが好ましい。他のフィルタ槽は、フィルタ槽を洗浄する際に、他の経路を流れる液体を濾過するものであることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、他のフィルタ槽にて濾過された液体を用いてフィルタ槽を洗浄することができる。そのため、フィルタ槽の内部をより清潔に洗浄することが可能である。
【0014】
この発明に従った浄水器において、複数の弁機構は一箇所に集められていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、複数の弁機構が一箇所に集められる、つまり、一箇所にまとめられるように配置されていることにより、複数の弁機構が占める体積を小さくさせることが可能である。また、切換部と各弁機構との連結が簡略化される。そのため、当該浄水器の小型化がさらに可能である。
【0016】
この発明に従った浄水器では、切換部は操作部と回転軸とを有していることが好ましい。操作部は、当該浄水器の使用者によって操作されるものである。回転軸は、操作部とともに回転するものであることが好ましい。各弁機構は、流路から各弁機構に液体を流入させる流入口と、各弁機構から流路に液体を流出させる流出口とを有していることが好ましい。また、各弁機構は、回転軸に固定されたカムと、回転軸の一部とカムの一部とを囲むカムガイドと、カムガイドに固定され且つ流入口もしくは流出口を開閉する閉塞部とを有していることが好ましい。さらに、この発明に従った浄水器では、操作部の操作によって回転軸およびカムの回転に連動してカムガイドおよび閉塞部が移動することにより、閉塞部が流入口もしくは流出口を開閉することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、回転軸とカムとが互いに固定されている。カムガイドと閉塞部とが互いに固定されている。使用者によって操作部が操作されることにより、回転軸およびカムは、操作部とともに回転する。さらに、回転軸およびカムの回転に連動してカムガイドおよび閉塞部が移動することにより、閉塞部が流入口もしくは流出口を開閉する。このように、この発明に従った浄水器では、多数の電磁弁が用いられることなく、使用者による操作部の操作によってカムが作動する。さらに、カムの作動によって各弁機構が作動する。したがって、この発明に従った浄水器に係るコストを抑えることができ、且つ、当該浄水器の小型化が可能である。
【0018】
この発明に従った浄水器において、複数の弁機構のうちの少なくとも一つは、一つの流入口と複数の流出口とを有していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、少なくとも一つの弁機構において、一つの流入口に対して複数の流出口が配置されている。この場合には、当該浄水器が流出口の数の弁機構を有している場合に比べ、弁機構の全体に係る体積を小さくすることができる。そのため、当該浄水器の小型化がさらに可能である。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、この発明によれば、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る浄水器が一のフィルタ槽の濾材を洗浄するときの水の流れを示す系統図である。
【図3】この発明に係る浄水器の分岐水栓の概略図である。
【図4】この発明に係る浄水器の複数の弁機構の断面図である。
【図5】図4のV−V線の拡大断面図である。
【図6】この発明に係る浄水器の切換レバーを概略的に示した正面図である。
【図7】この発明に係る浄水器の弁機構の概略図である。
【図8】この発明の第1実施形態に係る浄水器が浄水を生成するときの各弁機構の作動の状態を概略的に示す図であって、(A)は一の弁機構の一部を示す図であり、(B)は一の弁機構の他の一部を示す図であり、(C)は別の弁機構の一部を示す図であり、(D)はまた別の弁機構の一部を示す図である。
【図9】この発明の第1実施形態に係る浄水器がフィルタ槽の濾材を洗浄するときの各弁機構の作動の状態を概略的に示す図であって、(A)は一の弁機構の一部を示す図であり、(B)は一の弁機構の他の一部を示す図であり、(C)は別の弁機構の一部を示す図であり、(D)はまた別の弁機構の一部を示す図である。
【図10】この発明の第2実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【図11】この発明の第3実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【図12】この発明の第4実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1に示すように、浄水器100は、流路130として、流路131,132,133,134,135,136,137,138,139を備えている。また、浄水器100は、活性炭フィルタ槽3と、一のフィルタ槽としてのフィルタ槽4と、他のフィルタ槽としてのフィルタ槽5とを備えている。各流路131,132,133,134,135,136,137,138,139は、例えばホース等の管状部材で形成されている。
【0024】
活性炭フィルタ槽3は、原水に含まれる塩素、臭気、またはトリハロメタン等を除去する。活性炭フィルタ槽3には、例えば、活性炭等の多孔質の物質が利用されている。一方、フィルタ槽4に収容される濾材43とフィルタ槽5に収容される濾材53は、細菌またはウィルス等の微粒子を除去する。濾材43と濾材53には、除去する対象物によって精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、または逆浸透膜(RO膜)等が利用されている。
【0025】
流路130は、液体としての水を流通させるものである。流路130のうち、流路131は、分岐水栓2と活性炭フィルタ槽3とを接続している。流路131の一端は分岐水栓2に接続され、他端は活性炭フィルタ槽3の流入ノズル31に接続されている。流路133の一端が活性炭フィルタ槽3の流出ノズル32に接続され、他端が弁機構60に接続されている。また、弁機構60には、流路134の一端と流路135の一端とが接続されている。
【0026】
流路135の他端は、フィルタ槽4のノズル41に接続されている。流路135には、逆止弁91が配置されている。一方、流路134の他端は、フィルタ槽5のノズル51に接続されている。
【0027】
また、フィルタ槽4のノズル41には流路136の一端が接続されている。流路136の他端と流路137の一端とが弁機構70に接続されている。フィルタ槽4とフィルタ槽5との間を流れる水は、流路138を流通する。流路138の一端は、フィルタ槽5のノズル52に接続されている。流路138の他端はノズル42に接続されている。流路138には、逆止弁92が配置されている。
【0028】
また、フィルタ槽4のノズル42には、流路139の一端が接続されている。流路139の他端は弁機構80に接続されている。また、弁機構80には流路132の一端が接続されている。流路132の他端は分岐水栓2に接続されている。
【0029】
浄水器100の使用者が水道蛇口1を開放することにより、原水としての水道水が分岐水栓2を介して浄水器100に供給される。ただし、原水は、水道水に限定されず、井戸水、または河川水等であってもよい。
【0030】
水道蛇口1が開かれることによって分岐水栓2に流入する水は、分岐水栓2の図示しないレバーが操作されることにより、水道水として分岐水栓2から流出されたり、流路131を通って浄水器100に流入されたりする。浄水器100において浄水が生成される場合は、水が分岐水栓2から流路131を通って流入ノズル31を介して活性炭フィルタ槽3に流入する。活性炭フィルタ槽3の内部を流通した水は、流出ノズル32を介して流路133に流出する。流路133を流通する水は、弁機構60によって流れの方向が切り換えられ、流路135に向かって流れ始める。流路135を流れる水は、ノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入する。浄水器100において浄水が生成される場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を閉塞し、且つ、弁機構80が流路139と流路132との間を開放している。
【0031】
フィルタ槽4の内部を流通する水は、濾材43によって濾過され、浄水が生成される。浄水は、流路139および弁機構80を介して流路132を通って浄水器100の外部に供給される。
【0032】
浄水器100において浄水が生成される場合は、弁機構60が流路133と流路135との間を開放し且つ流路133と流路134との間を閉塞する。また、浄水器100において浄水が生成される場合は、弁機構70は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路136と流路137との間を閉塞する。さらに、この場合は、弁機構80は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路139と流路132との間を開放する。
【0033】
一方、浄水器100においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を開放し、且つ、弁機構80が流路139と流路132との間を閉塞する。図2に示すように、浄水器100においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、流路133を流通する水が、弁機構60によって流れの方向が切り換えられ、流路134に向かって流れる。流路134を流れる水は、ノズル51を介してフィルタ槽5の内部に流入する。フィルタ槽5の内部を流通する水は、濾材53によって濾過され、浄水が生成される。濾材53によって濾過された水は、流路138を通ってノズル42を介してフィルタ槽4の内部に流入する。
【0034】
フィルタ槽4の濾材43が洗浄される際には、フィルタ槽4にて浄水が生成されるときと逆方向にフィルタ槽4の内部を水が流通する。濾材43の逆洗浄に用いられた水は、ノズル41から流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器100の外部に排出される。
【0035】
浄水器100においてフィルタ槽4の濾材43が洗浄される場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路135との間を閉塞する。また、浄水器100において濾材43が洗浄される場合は、弁機構70は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路136と流路137との間を開放する。さらに、この場合は、弁機構80は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路139と流路132との間を閉塞する。このようにして、弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、流路130のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。
【0036】
図3に示すように、分岐水栓2は、水道水が流れる方向を、分岐水栓2から浄水器100に向かって流れる方向と、分岐水栓2から分岐水栓2の外方に向かって流れる方向とに切り換えることができる。また、分岐水栓2から浄水器100に向かって水道水が流れるときには、浄水器100から分岐水栓2に向かって浄水が流れてくる。浄水器100から分岐水栓2に向かって流れる浄水は、分岐水栓2から分岐水栓2の外方に向かって流れ、使用者に浄水が供給される。
【0037】
図4に示すように、浄水器100では、弁機構60と弁機構70と弁機構80とがケース110の内部にて一箇所に集められている。流路130のうちの少なくとも流路131の一部と流路132の一部とを除いた部分と、弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、ケース110に収容されている。ケース110は、浄水器100の外郭の一部を形成している。浄水器100は、操作部としての切換レバー6を備えている。切換レバー6は、浄水器100の使用者によって操作される。切換レバー6は、使用者が切換レバー6を操作することができるように、ケース110の外方に配置されている。
【0038】
切換レバー6は、回転軸10に連結されている。回転軸10は、回転軸線Cを中心に切換レバー6とともに回転する。切換レバー6は操作部の一例である。また、浄水器100において、回転軸10と切換レバー6とは切換部の一例である。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが作動する。なお、回転軸10は、弁機構60と弁機構70と弁機構80とを貫通している。つまり、回転軸10の長さは、弁機構60と弁機構70と弁機構80との幅(図4の左右方向の大きさ)よりも長い。
【0039】
以下では、切換レバー6の作動に連動する弁機構60,70,80の構成について説明する。図5は、弁機構70の断面を示している。弁機構70は、流路136から弁機構70に水を流入させる流入口171と、弁機構70から流路137に水を流出させる流出口172とを有している。弁機構70の流入ノズル75の内部には、流路136の一部が形成されている。弁機構70の流出ノズル76の内部には、流路137の一部が形成されている。
【0040】
弁機構70は、カム77と、カムガイド71と、脚部78とを有している。カム77は回転軸10の外表面11に固定されている。カム77の一部には、カム77から外方に突出する突出部72が形成されている。カムガイド71は、図5の左右方向と上下方向の四方から回転軸10の一部とカム77の一部とを囲んでいる。カム77に形成された突出部72は、カムガイド71に囲まれている。脚部78は、カムガイド71に固定され且つカムガイド71から流出口172に向かって延びている。カムガイド71と脚部78との付根には、環状部材74が取り付けられている。環状部材74は、ゴム等の弾性材料で形成されている。浄水器100の弁機構70においては、少なくとも脚部78と環状部材74とによって閉塞部が構成されている。カムガイド71は、閉塞部が流出口172を閉口するように、バネ73によって図5の上方から下方に向かって付勢されている。
【0041】
図4に示すように、弁機構80は、流路139から弁機構80に水を流入させる流入口181と、弁機構80から流路132に水を流出させる流出口182とを有している。流路139の一部が弁機構80の流入ノズル85の内部に形成されている。流路132の一部が弁機構80の流出ノズル86の内部に形成されている。弁機構80は、カム87と、カムガイド81と、脚部88とを有している。カムガイド81と脚部88との付根には、弾性材料で形成された環状部材84が取り付けられている。カム87の一部には、カム87から外方に突出する突出部82が形成されている。突出部82はカムガイド81に囲まれている。カムガイド81は、脚部88の環状部材84が流出口182を閉口するように、バネ83によって図4の上方から下方に向かって付勢されている。
【0042】
弁機構60は、流路133から弁機構60に水を流入させる流入口161と、弁機構60から流路134に水を流出させる流出口162と、弁機構60から流路135に水を流出させる流出口163とを有している。流路133の一部は弁機構60の流入ノズル65の内部に形成されている。流路134の一部は弁機構60の流出ノズル66の内部に形成されている。流路135の一部は弁機構60の流出ノズル69の内部に形成されている。
【0043】
弁機構60は、カム67と、カムガイド611と、脚部681とを有している。カムガイド611と脚部681との付根には、弾性材料で形成された環状部材64が取り付けられている。カムガイド611は、脚部681の環状部材64が流出口162を閉口するように、バネ631によって図4の上方から下方に向かって付勢されている。カム67の一部にはカム67から外方に突出する突出部621が形成されている。突出部621はカムガイド611に囲まれている。また、突出部621よりも図4の左方において、カム67の他の一部にはカム67から外方に突出する突出部622が形成されている。弁機構60は、さらにカムガイド612と、脚部682とを有している。突出部622はカムガイド612に囲まれている。カムガイド612と脚部682との付根には、弾性材料で形成された環状部材68が取り付けられている。カムガイド612は、脚部682の環状部材68が流出口163を閉口するように、バネ632によって図4の上方から下方に向かって付勢されている。
【0044】
図6に示す切換レバー6は、図4の左方から切換レバー6を見たときの概略図である。図6に示す切換レバー6の正面視において、使用者が切換レバー6を時計回りに回転させた位置(二点鎖線で示す位置)は、浄水器100が浄水を生成することができる位置(以下では浄水位置という)である。一方、使用者が切換レバー6を反時計回りに回転させた位置(実線で示す位置)は、浄水器100がフィルタ槽4(図1参照)の濾材43を洗浄することができる位置(以下では洗浄位置という)である。
【0045】
切換レバー6が浄水位置と洗浄位置との間で回転されるときには、回転軸10(図5参照)が回転軸線Cを中心に略90度の間隔で回転する。図7は、弁機構80を概略的に示す図である。図7に示す弁機構80は、脚部88の環状部材84が流出口182を閉口している状態である。このとき、切換レバー6(図6参照)は、洗浄位置を指している。一方、切換レバー6が浄水位置を指している場合には、後述するように、弁機構80は脚部88の環状部材84が流出口182を開口した状態である。
【0046】
図8は、浄水器100が浄水を生成するときの弁機構60,70,80の作動の状態を概略的に示す図である。図8(A)は弁機構60の一部を示す図であり、図8(B)は弁機構60の他の一部を示す図であり、図8(C)は弁機構70の一部を示す図であり、図8(D)は弁機構80の一部を示す図である。上述のように、浄水器100が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。図8(A)に示すように、弁機構60は、脚部681の環状部材64が流出口162を閉口した状態である。また、図8(B)に示すように、弁機構60は、脚部682の環状部材68が流出口163を開口した状態である。これらのように、切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構60が流路133(図1参照)と流路134との間を閉塞し且つ流路133と流路135との間を開放している。
【0047】
図8(C)に示すように、弁機構70は、脚部78の環状部材74が流出口172を閉口した状態である。また、図8(D)に示すように、弁機構80は、脚部88の環状部材84が流出口182を開口した状態である。このように、切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構70が流路137の水の流れを閉塞し、また弁機構80が流路132の水の流れを開放する。
【0048】
図9は、浄水器100がフィルタ槽4の濾材43を洗浄するときの各弁機構の作動の状態を概略的に示す図である。図9(A)は弁機構60の一部を示す図であり、図9(B)は弁機構60の他の一部を示す図であり、図9(C)は弁機構70の一部を示す図であり、図9(D)は弁機構80の一部を示す図である。上述のように、浄水器100が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6(図6参照)は、洗浄位置を指している。図9(A)に示すように、弁機構60は、脚部681の環状部材64が流出口162を開口した状態である。
【0049】
図6に示すように使用者によって切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転させられることにより、図8(A)に示す回転軸10および突出部621がカムガイド611の内部を略90度回転する。これにより、突出部621は、図9(A)に示すようにカムガイド611の内面天井に接触する位置に配置される。切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、突出部621は、カムガイド611の内面天井に接触しながらカムガイド611を上方に移動させる。このように、カム67(図4参照)に対する従動子としてのカムガイド611が上方に移動することにより、カムガイド611に固定された脚部681と、脚部681の環状部材64とが上方に移動する。これにより、流出口162が開口され、流路134の水の流れが開放される。
【0050】
また、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、図8(B)に示すようにカムガイド612の内面天井に接触していた突出部622は、図9(B)に示すようにカムガイド612の内面天井との接触を解消する。そのため、カムガイド612が上方から下方に向かって移動する。このように、従動子としてのカムガイド612が下方に移動することにより、カムガイド612に固定された脚部682と、脚部682の環状部材68とが下方に移動する。これにより、流出口163が閉口され、流路135の水の流れが閉塞される。
【0051】
同様に、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、図8(C)に示す回転軸10および突出部72がカムガイド71の内部を略90度回転し、図9(C)に示すように突出部72がカムガイド71の内面天井に接触する位置に配置される。また、このときに、カムガイド71と脚部78と環状部材74とが上方に移動する。これにより、流出口172が開口され、流路137の水の流れが開放される。
【0052】
また同様に、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、図8(D)に示すようにカムガイド81の内面天井に接触していた突出部82は、図9(D)に示すようにカムガイド81の内面天井との接触を解消する。この間に、カムガイド81と脚部88と環状部材84とが下方に移動する。これにより、流出口182が閉口され、流路132の水の流れが閉塞される。
【0053】
上述のように、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、図4に示すように、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路135との間を閉塞している。また、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、弁機構70が流路137を開放し、また弁機構80が流路132を閉塞する。
【0054】
一方、切換レバー6が洗浄位置から浄水位置に図6の時計回りに回転する間に、回転軸10および突出部621,622,72,82がそれぞれカムガイド611,612,71,81の内部を略90度回転する。この間に、例えば弁機構80において、図8(D)に示すように、突出部82は、カムガイド81の内面天井に接触する。この間に、突出部82がカムガイド81を持ちあげることによって、カムガイド81と脚部88と環状部材84とが上方に移動する。これにより、流出口182が開口され、流路132の水の流れが開放される。このようにして、切換レバー6の操作によって、例えば回転軸10およびカム87(図4参照)の回転に連動してカムガイド81と脚部88と環状部材84とが移動することにより、脚部88と環状部材84とが流出口182を開閉する。
【0055】
以上のように、浄水器100は、フィルタ槽4と、フィルタ槽5と、流路130と、弁機構60,70,80と、切換レバー6と、回転軸10とを備えている。フィルタ槽5は、フィルタ槽4を洗浄する際に水を濾過する。流路130は、少なくともフィルタ槽4とフィルタ槽5との間に水を流通させる。弁機構60は、流路130のうち、フィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路133と流路134との間と、流路133と流路135との間とを開閉する。
【0056】
弁機構70は、流路130のうち、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路136と流路137との間を開閉する。弁機構80は、流路130のうち、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路139と流路132との間を開閉する。切換レバー6は、使用者によって操作され、回転軸10を介して弁機構60と弁機構70と弁機構80とを作動させる。弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。
【0057】
浄水器100によれば、流路130のうち、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが、それぞれ流路133と流路134との間および流路133と流路135との間と、流路136と流路137との間と、流路139と流路132との間とを開閉することにより、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、弁機構60,70,80は、使用者によって操作される切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。つまり、弁機構60,70,80の開閉が使用者によって操作される。このように、浄水器100では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、浄水器100に係るコストを抑えることができる。また、浄水器100の小型化が可能である。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器100を提供することができる。また、浄水器100が電気を使用しないものである場合には、電源仕様に左右されない浄水器を実現することができる。
【0059】
また、浄水器100によれば、フィルタ槽5の濾材53にて濾過された水を用いてフィルタ槽4を洗浄することができる。そのため、フィルタ槽4の内部をより清潔に洗浄することが可能である。
【0060】
この発明に従った浄水器において、弁機構60と弁機構70と弁機構80とは一箇所に集められている。
【0061】
この構成によれば、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが一箇所にまとめられるように配置されていることにより、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが占める体積を小さくさせることが可能である。また、切換レバー6および回転軸10と弁機構60,70,80との連結が簡略化される。そのため、浄水器100の小型化がさらに可能である。
【0062】
浄水器100では、少なくとも切換レバー6と回転軸10とによって切換部が構成されている。切換レバー6は、浄水器100の使用者によって操作されるものである。回転軸10は、切換レバー6とともに回転するものである。弁機構60は、流路133から弁機構60に水を流入させる流入口161と、弁機構60から流路134に水を流出させる流出口162と、弁機構60から流路135に水を流出させる流出口163とを有している。弁機構70は、流路136から弁機構70に水を流入させる流入口171と、弁機構70から流路137に水を流出させる流出口172とを有している。弁機構80は、流路139から弁機構80に水を流入させる流入口181と、弁機構80から流路132に水を流出させる流出口182とを有している。
【0063】
例えば弁機構70は、回転軸10に固定されたカム77と、回転軸10の一部とカム77の一部とを囲むカムガイド71と、カムガイド71に固定され且つ流出口172を開閉する脚部78と、脚部78に取り付けられた環状部材74とを有している。さらに、例えば弁機構70では、切換レバー6の操作によって回転軸10およびカム77の回転に連動してカムガイド71および脚部78が移動することにより、脚部78の環状部材74が流出口172を開閉する。
【0064】
浄水器100によれば、回転軸10とカム67,77,87とが互いに固定されている。脚部681,682,78,88は、それぞれカムガイド611,612,71,81に固定されている。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、回転軸10およびカム67,77,87は、切換レバー6とともに回転する。さらに、回転軸10およびカム67,77,87の回転に連動してカムガイド611,612,71,81および脚部681,682,78,88が下方から上方に向かって移動することにより、環状部材64,68,74,84がそれぞれ流出口162,163,172,182を開閉する。このように、浄水器100では、多数の電磁弁が用いられることなく、使用者による切換レバー6の操作によって、カム67,77,87が作動する。カム67,77,87の作動により、弁機構60,70,80が作動する。そのため、浄水器100に係るコストを抑えることができ、且つ、浄水器100の小型化が可能である。
【0065】
浄水器100において、弁機構60は、一つの流入口161と、二つの流出口162,163とを有している。
【0066】
この構成によれば、弁機構60において、一つの流入口161に対して二つの流出口162,163が配置されている。この場合には、浄水器100が流出口の数の弁機構を有している場合に比べ、弁機構60と弁機構70と弁機構80との全体に係る体積を小さくすることができる。そのため、浄水器100の小型化がさらに可能である。
【0067】
なお、浄水器100において、切換レバー6および回転軸10が回転する角度は、略90度であることに限定されない。切換レバー6および回転軸10が回転する角度は、カムガイド611,612,71,81の形状と、カム67,77,87の形状とに応じて適宜決定されていればよい。また、図4に示すように、回転軸10の横断面積は一定であることに限定されない。
【0068】
なお、浄水器100において、弁機構60,70,80は、それぞれ流出口162,163,172,182を閉口するものであったが、弁機構70と弁機構80とは、それぞれ流入口171と流入口181とを閉口するものであってもよい。例えば、弁機構70において、バネ73が付勢する方向と、カムガイド71に対する脚部78の位置とが調整されることにより、脚部78に取り付けられた環状部材74が流入口171を閉口することが可能である。
【0069】
さらに、浄水器100において、切換レバー6の形状は特に限定されない。切換レバー6は、少なくとも浄水位置と洗浄位置との間で回転することが可能であって、回転軸10を所定の回転角度にて回転させることができるものであればよい。また、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に回転する方向は、反時計回りに限定されず、時計回りに回転することであってもよい。切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に時計回りに回転することにより、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する経路とが切り換えられるように、流路130と弁機構60,70,80とが接続されていてもよい。
【0070】
浄水器100において、弁機構60,70,80は、切換レバー6の回転が回転軸10に伝達されることによって作動するものに限定されない。弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、浄水器100の使用者によって操作される切換レバー6の作動に連動するものであれば、他の形態のものであってもよい。
【0071】
なお、浄水器100は、フィルタ槽5を備えていなくてもよい。例えば図2を基に、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合のフィルタ槽4の濾材43の洗浄について説明する。浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であってフィルタ槽4の濾材43が洗浄されるときは、流路133を流れる水は、弁機構60によって流れの方向が切り換えられることにより、流路134に向かって流れていてもよく、流路135に向かって流れていてもよい。また、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であってフィルタ槽4の濾材43が洗浄されるときは、流路133を流れる水は、図示しない他の流路を通ってノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入していてもよい。図示しない他の流路は、弁機構60とノズル41とを接続している。
【0072】
浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であって濾材43が洗浄されるときに流路134を流れる水は、流路138を通らずに、つまり流路134から直接的にノズル42を介してフィルタ槽4の内部に流入していてもよい。このときは、フィルタ槽4の内部を水が逆方向に流れる。
【0073】
一方、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であって濾材43が洗浄されるときに流路135を流れる水は、フィルタ槽4の内部を順方向に流れる。さらに、濾材43が洗浄される場合に図示しない他の流路を水が通るときには、濾材43の洗浄に効果的な洗剤が水に混入されてもよい。図示しない他の流路を流れる水に混入された洗剤によって、より清潔に濾材43が洗浄される。図示しない他の流路を通ってノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入した洗浄水は、フィルタ槽4の内部を順方向に流れた後、弁機構70が接続された流路を通って浄水器100の外部に排出される。弁機構70が接続された流路、つまり、流路136は、ノズル42に接続されていてもよい。
【0074】
また、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であってフィルタ槽4が逆洗浄されるときにときに、流路134を流れる水に洗剤が混入されていてもよい。濾材43の洗浄に効果的な洗剤は、浄水器100がフィルタ槽5と濾材53とを備えている場合に、流路130を流れる水に混入されていてもよい。
【0075】
以上のように、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合は、浄水器100は、フィルタ槽4と、流路130と、弁機構60,70,80と、切換レバー6と、回転軸10とを備えている。流路130は、少なくとも流路131と流路133と流路134と流路135とを有している。流路130は少なくともフィルタ槽4に水を流通させる。弁機構60,70,80は、流路130のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように開閉される。切換レバー6は、使用者によって操作され、回転軸10を介して弁機構60と弁機構70と弁機構80とを作動させる。弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。この構成によれば、浄水器100では、浄水器100に係るコストを抑えることができ、且つ、浄水器100の小型化が可能である。
【0076】
(第2実施形態)
図10に第2実施形態に係る浄水器200を示す。浄水器200が第1実施形態の浄水器100と異なる点は、フィルタ槽4の濾材43が後述するように順洗浄される。
【0077】
図10に示すように、浄水器200では、流路230のうち、流路136の一端がフィルタ槽4のノズル44に接続されている。また、流路138の一端がフィルタ槽5のノズル52に接続され且つ流路138の他端がノズル41に接続されている。
【0078】
浄水器200において弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水が生成される場合とフィルタ槽4が洗浄される場合とに、流路230のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。
【0079】
浄水器200においてフィルタ槽4の濾材43が洗浄される際には、フィルタ槽4にて浄水が生成されるときと同じ方向にフィルタ槽4の内部を水が流通する。濾材43の順洗浄に用いられた水は、ノズル44から流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器200の外部に排出される。
【0080】
第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水器200が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。一方、浄水器200が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6は、洗浄位置を指している。
【0081】
切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を閉塞し且つ流路133と流路135との間を開放している。また、切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を閉塞し、また弁機構80が流路139と流路132との間を開放する。一方、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路135との間を閉塞している。また、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を開放し、また弁機構80が流路139と流路132との間を閉塞する。
【0082】
切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構60,70,80の内部では、第1実施形態に係る浄水器100のそれぞれ弁機構60,70,80の内部と同様に作動する。
【0083】
浄水器200のその他の構成は、第1実施形態に係る浄水器100と同様である。浄水器200のその他の構成についての説明は省略する。
【0084】
(第3実施形態)
図11に第3実施形態に係る浄水器300を示す。浄水器300が第1実施形態の浄水器100と異なる点は、二方向弁である弁機構70,80(図1参照)の代わりに、三方向弁である弁機構370,380が用いられている。
【0085】
浄水器300では、流路330のうちの流路134の一端と流路335の一端とが弁機構60に接続されている。流路335の他端は、弁機構370に接続されている。流路335には、逆止弁91が配置されている。
【0086】
また、弁機構370には流路336の一端と流路137の一端とが接続されている。一方、フィルタ槽4とフィルタ槽5との間を流れる水は、流路338と流路339とを流通する。流路338の一端は、フィルタ槽5のノズル52に接続されている。流路338の他端は弁機構380に接続されている。流路338には、逆止弁92が配置されている。また、フィルタ槽4のノズル42には、流路339の一端が接続されている。流路339の他端は弁機構380に接続されている。また、弁機構380には流路132の一端が接続されている。流路132の他端は分岐水栓2に接続されている。
【0087】
浄水器300において浄水が生成される場合に、流路335から弁機構370に水が流入するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において浄水が生成される場合に、弁機構370から流路336に水が流出するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流出口として機能する。一方、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、流路336から弁機構370に水が流入するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、弁機構370から流路137に水が流出するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流出口として機能する。なお、浄水器300において、浄水が生成される場合に弁機構370から流路336に水が流出するときの弁機構370の流出口は、濾材43が洗浄される場合に流路336から弁機構370に水が流入するときの弁機構370の流入口を兼ねている。このように、浄水器300において、弁機構370は、一つの流入口と、二つの流出口とを有している。
【0088】
また、浄水器300において浄水が生成される場合に、流路339から弁機構380に水が流入するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において浄水が生成される場合に、弁機構380から流路132に水が流出するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流出口として機能する。一方、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、流路338から弁機構380に水が流入するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、弁機構380から流路339に水が流出するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流出口として機能する。なお、浄水器300において、浄水が生成される場合に流路339から弁機構380に水が流入するときの弁機構380の流入口は、濾材43が洗浄される場合に弁機構380から流路339に水が流出するときの弁機構380の流出口を兼ねている。このように、浄水器300において、弁機構380は、一つの流入口と、二つの流出口とを有している。
【0089】
浄水器300において浄水が生成される場合は、弁機構60が流路133と流路335との間を開放し且つ流路133と流路134との間を閉塞する。また、弁機構370が流路335と流路336との間を開放し且つ流路335または流路336と流路137との間を閉塞している。さらに、弁機構380が流路338と流路339または流路132との間を閉塞し且つ流路339と流路132との間を開放している。尚、浄水器300は弁機構60を備えていなくてもよい。浄水器300が弁機構60を備えていない場合でも、浄水器300において浄水が生成されるときに、弁機構380が流路338と流路339または流路132との間を閉塞していることにより、流路133から流路134に水が流れず、流路133から流路335に水が流れる。
【0090】
一方、浄水器300においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路335との間を閉塞する。また、弁機構370が流路335と流路336または流路137との間を閉塞し且つ流路336と流路137との間を開放している。さらに、弁機構380が流路338と流路339との間を開放し且つ流路339または流路338と流路132との間を閉塞している。尚、上記のように浄水器300が弁機構60を備えていない場合でも、浄水器300においてフィルタ槽4が洗浄されるときに、弁機構370が流路335と流路336または流路137との間を閉塞していることにより、流路133から流路335に水が流れず、流路133から流路134に水が流れる。
【0091】
このようにして、弁機構60と弁機構370と弁機構380とは、流路330のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。尚、弁機構60は省略することもできる。
【0092】
浄水器300においてフィルタ槽4の濾材43が洗浄される際には、第1実施形態に係る浄水器100と同様にフィルタ槽4にて浄水が生成されるときと逆方向にフィルタ槽4の内部を水が流通する。濾材43の逆洗浄に用いられた水は、ノズル41から流路336に流出し、さらに流路137を通って浄水器300の外部に排出される。
【0093】
図示は省略するが、浄水器300では、弁機構60と弁機構370と弁機構380とがケース(図示せず)の内部にて一箇所に集められている。第1実施形態に係る浄水器100と同様に、流路330のうちの少なくとも流路131の一部と流路132の一部とを除いた部分と、弁機構60と弁機構370と弁機構380とは、浄水器300の外郭の一部を形成するケースに収容されている。切換レバー6(図4参照)は、使用者が切換レバー6を操作することができるように、ケースの外方に配置されている。切換レバー6は、回転軸10(図4参照)に連結されている。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、回転軸10の回転に連動して弁機構60と弁機構370と弁機構380とが作動する。
【0094】
第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水器300が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。一方、浄水器300が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6は、洗浄位置を指している。
【0095】
図示は省略するが、切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構60,370,380の内部は、第1実施形態に係る浄水器100の弁機構60の内部のように作動する。
【0096】
浄水器300の構成によれば、弁機構60と弁機構370と弁機構380とにおいて、一つの流入口に対して二つの流出口が配置されている。この場合には、浄水器300が流出口の数の弁機構を有している場合に比べ、弁機構60と弁機構370と弁機構380との全体に係る体積を小さくすることができる。そのため、浄水器300の小型化がさらに可能である。また、流路330を形成するホースやノズル等の環状部材を削減することが可能である。
【0097】
以上のように、浄水器300によれば、弁機構60と弁機構370と弁機構380とにより、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、弁機構60,370,380は、使用者によって操作される切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。このように、浄水器300では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、浄水器300に係るコストを抑えることができる。また、浄水器300の小型化が可能である。
【0098】
尚、第3実施形態に係る浄水器300の変形例として、浄水器300は、上述したように弁機構60を備えていないものであってもよい。浄水器300が弁機構60を備えていない場合には、浄水器300をさらに小型化することが可能である。
【0099】
(第4実施形態)
図12に第4実施形態に係る浄水器400を示す。浄水器400が第1実施形態の浄水器100と異なる点は、浄水器400が、フィルタ槽4の濾材43の洗浄に用いられる他のフィルタ槽を備えておらず、浄水を溜めるタンク410を備えている。
【0100】
浄水器400では、流路430のうち、流路433の一端が活性炭フィルタ槽3の流出ノズル32に接続され、他端がフィルタ槽4のノズル41に接続されている。流路433には、逆止弁491が配置されている。また、フィルタ槽4のノズル42には、流路139の一端と流路436の一端とが接続されている。流路436の他端は弁機構490に接続されている。また、弁機構490には、流路438の一端が接続されている。流路438の他端はタンク410に接続されている。
【0101】
弁機構70と弁機構80とは、浄水器400において浄水が生成される場合とフィルタ槽4が洗浄される場合とに、第1実施形態に係る浄水器100と同様に、流路430のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路136と流路137との間と流路139と流路132との間とをそれぞれ開閉する。
【0102】
また、浄水器400において浄水が生成される場合は、弁機構490は、流路436と流路438との間を開放する。濾材43によって濾過された浄水の一部は、流路436と流路438とを通ってタンク410に溜められる。濾材43によって濾過された浄水の他の一部は、流路139と流路132とを通って浄水器400の外部に供給される。タンク410が満杯の状態になれば、弁機構490が流路436と流路438との間を開放したままでも、浄水は流路139と流路132とを通って浄水器400の外部に供給される。
【0103】
浄水器400においてフィルタ槽4が逆洗浄される場合は、弁機構490は、流路436と流路438との間を開放する。一方、浄水器400においてフィルタ槽4が順洗浄される場合は、弁機構490は、流路436と流路438との間を閉塞する。このようにして、弁機構70と弁機構80と弁機構490とは、流路430のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。
【0104】
浄水器400において浄水が生成される場合に、流路436から弁機構490に水が流入するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器400において浄水が生成される場合に、弁機構490から流路438に水が流出するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流出口として機能する。一方、浄水器400において濾材43が逆洗浄される場合に、流路438から弁機構490に水が流入するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流入口として機能する。浄水器400において濾材43が逆洗浄される場合に、弁機構490から流路436に水が流出するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流出口として機能する。
【0105】
浄水器400においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、原水の供給が停止されていてもタンク410の浄水を利用することができる。タンク410の浄水は、ポンプ420の作動によってフィルタ槽4に送水される。浄水器400においてフィルタ槽4が逆洗浄される場合は、タンク410の浄水が流路438と流路436とを通ってノズル42を介してフィルタ槽4の内部に流入する。濾材43の逆洗浄に用いられた水は、ノズル41から流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器400の外部に排出される。
【0106】
浄水器400においてフィルタ槽4が順洗浄される場合は、タンク410の浄水が流路434を通ってノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入する。濾材43の順洗浄に用いられた水は、ノズル44から流路435を介して流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器400の外部に排出される。流路435はノズル44と流路136とを接続している。
【0107】
図示は省略するが、浄水器400では、弁機構70と弁機構80と弁機構490とがケース(図示せず)の内部にて一箇所に集められている。第1実施形態に係る浄水器100と同様に、流路430のうちの少なくとも流路131の一部と流路132の一部とを除いた部分と、弁機構70と弁機構80と弁機構490とは、浄水器400の外郭の一部を形成するケースに収容されている。切換レバー6(図4参照)は、使用者が切換レバー6を操作することができるように、ケースの外方に配置されている。切換レバー6は、回転軸10(図4参照)に連結されている。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、回転軸10の回転に連動して弁機構70と弁機構80と弁機構490とが作動する。
【0108】
第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水器400が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。一方、浄水器400が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6は、洗浄位置を指している。
【0109】
図示は省略するが、切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構70,80の内部は、第1実施形態に係る浄水器100の弁機構70,80の内部と同様に作動する。また、切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構490の内部は、第1実施形態に係る浄水器100の弁機構70または弁機構80の内部のように作動する。
【0110】
以上のように、浄水器400によれば、弁機構490は流路430のうちの流路436と流路438との間を開閉し、弁機構70は流路136と流路137との間を開閉し、弁機構80は流路139と流路132との間を開閉する。このように、弁機構490と弁機構70と弁機構80とにより、浄水器400においてフィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、弁機構70,80,490は、使用者によって操作される切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。このように、浄水器400では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、浄水器400に係るコストを抑えることができる。また、浄水器400の小型化が可能である。
【0111】
なお、浄水器400では、弁機構70の代わりに三方向弁が用いられることにより、流路435と流路136と流路137とが当該三方向弁の弁機構に接続されていてもよい。
【0112】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0113】
4:フィルタ槽、5:フィルタ槽、6:切換レバー、10:回転軸、60:弁機構、70:弁機構、80:弁機構、100:浄水器、130:流路、161:流入口、162,163:流出口、611,612:カムガイド、64,68:環状部材、67:カム、681,682:脚部
【技術分野】
【0001】
この発明は、濾材を洗浄する機能を有する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平08−84989号公報(特許文献1)に記載されているように、浄水器等の液体浄化装置において、複数のフィルタ槽が備えられたものが知られている。複数のフィルタ槽には、中空糸膜型のフィルタがそれぞれ収容されている。フィルタ槽に流入する汚れた原水は、これらのフィルタを通過することによって浄化される。
【0003】
特開平08−84989号公報(特許文献1)に係る浄水器では、フィルタが洗浄されるときは、少なくとも一つのフィルタ槽のフィルタを通過することによって浄化された浄水を他のフィルタ槽のフィルタに通過させることにより、他のフィルタ槽のフィルタを洗浄している。
【0004】
また、特開平08−84989号公報(特許文献1)に係る浄水器は、一のフィルタ槽を通過させる経路と、他のフィルタ槽を通過させる経路とを切り換える複数の電磁弁を備えている。すなわち、これら電磁弁の開閉は、制御装置等によって電子的または電磁的に制御される。
【0005】
一のフィルタ槽を通過させる経路は、例えば液体浄化装置において浄水を生成するときのものである。また、他のフィルタ槽を通過させる経路は、例えば液体浄化装置において一のフィルタ槽のフィルタを逆洗浄するときのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−84989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制御装置等によって電子的または電磁的に制御されるような電磁弁は、手動によって切り換えられる弁に比べてコストが高く、また電磁弁を制御する制御装置にも比較的高いコストが掛かってしまう。また、電磁弁が多数用いられることにより、各電磁弁と制御装置とを接続する電装部品が占める体積によって液体浄化装置の小型化が困難である。
【0008】
そのため、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成された浄水器のうち、比較的安価であり且つ小型化が可能であるものが望まれていた。
【0009】
そこで、この発明の目的は、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、フィルタ槽と、流路と、複数の弁機構と、切換部とを備えた浄水器である。流路は、少なくともフィルタ槽に液体を流通させる。複数の弁機構は、流路のうちのフィルタ槽にて液体が濾過される経路とフィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように開閉される。切換部は、当該浄水器の使用者によって操作され、複数の弁機構を作動させる。各弁機構は、切換部の作動に連動する。
【0011】
この発明によれば、複数の弁機構が流路の液体の流れを開閉することにより、流路のうちのフィルタ槽にて液体が濾過される経路と、フィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、各弁機構は、切換部の作動に連動する。切換部は、使用者によって操作される。つまり、各弁機構の開閉が使用者によって操作される。このように、この発明に従った浄水器では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、この発明に従った浄水器に係るコストを抑えることができる。また、当該浄水器の小型化が可能である。したがって、この発明によれば、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器を提供することができる。また、当該浄水器が電気を使用しないものである場合には、電源仕様に左右されない浄水器を実現することができる。
【0012】
この発明に従った浄水器は、他のフィルタ槽をさらに備えていることが好ましい。他のフィルタ槽は、フィルタ槽を洗浄する際に、他の経路を流れる液体を濾過するものであることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、他のフィルタ槽にて濾過された液体を用いてフィルタ槽を洗浄することができる。そのため、フィルタ槽の内部をより清潔に洗浄することが可能である。
【0014】
この発明に従った浄水器において、複数の弁機構は一箇所に集められていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、複数の弁機構が一箇所に集められる、つまり、一箇所にまとめられるように配置されていることにより、複数の弁機構が占める体積を小さくさせることが可能である。また、切換部と各弁機構との連結が簡略化される。そのため、当該浄水器の小型化がさらに可能である。
【0016】
この発明に従った浄水器では、切換部は操作部と回転軸とを有していることが好ましい。操作部は、当該浄水器の使用者によって操作されるものである。回転軸は、操作部とともに回転するものであることが好ましい。各弁機構は、流路から各弁機構に液体を流入させる流入口と、各弁機構から流路に液体を流出させる流出口とを有していることが好ましい。また、各弁機構は、回転軸に固定されたカムと、回転軸の一部とカムの一部とを囲むカムガイドと、カムガイドに固定され且つ流入口もしくは流出口を開閉する閉塞部とを有していることが好ましい。さらに、この発明に従った浄水器では、操作部の操作によって回転軸およびカムの回転に連動してカムガイドおよび閉塞部が移動することにより、閉塞部が流入口もしくは流出口を開閉することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、回転軸とカムとが互いに固定されている。カムガイドと閉塞部とが互いに固定されている。使用者によって操作部が操作されることにより、回転軸およびカムは、操作部とともに回転する。さらに、回転軸およびカムの回転に連動してカムガイドおよび閉塞部が移動することにより、閉塞部が流入口もしくは流出口を開閉する。このように、この発明に従った浄水器では、多数の電磁弁が用いられることなく、使用者による操作部の操作によってカムが作動する。さらに、カムの作動によって各弁機構が作動する。したがって、この発明に従った浄水器に係るコストを抑えることができ、且つ、当該浄水器の小型化が可能である。
【0018】
この発明に従った浄水器において、複数の弁機構のうちの少なくとも一つは、一つの流入口と複数の流出口とを有していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、少なくとも一つの弁機構において、一つの流入口に対して複数の流出口が配置されている。この場合には、当該浄水器が流出口の数の弁機構を有している場合に比べ、弁機構の全体に係る体積を小さくすることができる。そのため、当該浄水器の小型化がさらに可能である。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、この発明によれば、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る浄水器が一のフィルタ槽の濾材を洗浄するときの水の流れを示す系統図である。
【図3】この発明に係る浄水器の分岐水栓の概略図である。
【図4】この発明に係る浄水器の複数の弁機構の断面図である。
【図5】図4のV−V線の拡大断面図である。
【図6】この発明に係る浄水器の切換レバーを概略的に示した正面図である。
【図7】この発明に係る浄水器の弁機構の概略図である。
【図8】この発明の第1実施形態に係る浄水器が浄水を生成するときの各弁機構の作動の状態を概略的に示す図であって、(A)は一の弁機構の一部を示す図であり、(B)は一の弁機構の他の一部を示す図であり、(C)は別の弁機構の一部を示す図であり、(D)はまた別の弁機構の一部を示す図である。
【図9】この発明の第1実施形態に係る浄水器がフィルタ槽の濾材を洗浄するときの各弁機構の作動の状態を概略的に示す図であって、(A)は一の弁機構の一部を示す図であり、(B)は一の弁機構の他の一部を示す図であり、(C)は別の弁機構の一部を示す図であり、(D)はまた別の弁機構の一部を示す図である。
【図10】この発明の第2実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【図11】この発明の第3実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【図12】この発明の第4実施形態に係る浄水器が原水を浄化するときの水の流れを示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1に示すように、浄水器100は、流路130として、流路131,132,133,134,135,136,137,138,139を備えている。また、浄水器100は、活性炭フィルタ槽3と、一のフィルタ槽としてのフィルタ槽4と、他のフィルタ槽としてのフィルタ槽5とを備えている。各流路131,132,133,134,135,136,137,138,139は、例えばホース等の管状部材で形成されている。
【0024】
活性炭フィルタ槽3は、原水に含まれる塩素、臭気、またはトリハロメタン等を除去する。活性炭フィルタ槽3には、例えば、活性炭等の多孔質の物質が利用されている。一方、フィルタ槽4に収容される濾材43とフィルタ槽5に収容される濾材53は、細菌またはウィルス等の微粒子を除去する。濾材43と濾材53には、除去する対象物によって精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、または逆浸透膜(RO膜)等が利用されている。
【0025】
流路130は、液体としての水を流通させるものである。流路130のうち、流路131は、分岐水栓2と活性炭フィルタ槽3とを接続している。流路131の一端は分岐水栓2に接続され、他端は活性炭フィルタ槽3の流入ノズル31に接続されている。流路133の一端が活性炭フィルタ槽3の流出ノズル32に接続され、他端が弁機構60に接続されている。また、弁機構60には、流路134の一端と流路135の一端とが接続されている。
【0026】
流路135の他端は、フィルタ槽4のノズル41に接続されている。流路135には、逆止弁91が配置されている。一方、流路134の他端は、フィルタ槽5のノズル51に接続されている。
【0027】
また、フィルタ槽4のノズル41には流路136の一端が接続されている。流路136の他端と流路137の一端とが弁機構70に接続されている。フィルタ槽4とフィルタ槽5との間を流れる水は、流路138を流通する。流路138の一端は、フィルタ槽5のノズル52に接続されている。流路138の他端はノズル42に接続されている。流路138には、逆止弁92が配置されている。
【0028】
また、フィルタ槽4のノズル42には、流路139の一端が接続されている。流路139の他端は弁機構80に接続されている。また、弁機構80には流路132の一端が接続されている。流路132の他端は分岐水栓2に接続されている。
【0029】
浄水器100の使用者が水道蛇口1を開放することにより、原水としての水道水が分岐水栓2を介して浄水器100に供給される。ただし、原水は、水道水に限定されず、井戸水、または河川水等であってもよい。
【0030】
水道蛇口1が開かれることによって分岐水栓2に流入する水は、分岐水栓2の図示しないレバーが操作されることにより、水道水として分岐水栓2から流出されたり、流路131を通って浄水器100に流入されたりする。浄水器100において浄水が生成される場合は、水が分岐水栓2から流路131を通って流入ノズル31を介して活性炭フィルタ槽3に流入する。活性炭フィルタ槽3の内部を流通した水は、流出ノズル32を介して流路133に流出する。流路133を流通する水は、弁機構60によって流れの方向が切り換えられ、流路135に向かって流れ始める。流路135を流れる水は、ノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入する。浄水器100において浄水が生成される場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を閉塞し、且つ、弁機構80が流路139と流路132との間を開放している。
【0031】
フィルタ槽4の内部を流通する水は、濾材43によって濾過され、浄水が生成される。浄水は、流路139および弁機構80を介して流路132を通って浄水器100の外部に供給される。
【0032】
浄水器100において浄水が生成される場合は、弁機構60が流路133と流路135との間を開放し且つ流路133と流路134との間を閉塞する。また、浄水器100において浄水が生成される場合は、弁機構70は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路136と流路137との間を閉塞する。さらに、この場合は、弁機構80は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路139と流路132との間を開放する。
【0033】
一方、浄水器100においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を開放し、且つ、弁機構80が流路139と流路132との間を閉塞する。図2に示すように、浄水器100においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、流路133を流通する水が、弁機構60によって流れの方向が切り換えられ、流路134に向かって流れる。流路134を流れる水は、ノズル51を介してフィルタ槽5の内部に流入する。フィルタ槽5の内部を流通する水は、濾材53によって濾過され、浄水が生成される。濾材53によって濾過された水は、流路138を通ってノズル42を介してフィルタ槽4の内部に流入する。
【0034】
フィルタ槽4の濾材43が洗浄される際には、フィルタ槽4にて浄水が生成されるときと逆方向にフィルタ槽4の内部を水が流通する。濾材43の逆洗浄に用いられた水は、ノズル41から流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器100の外部に排出される。
【0035】
浄水器100においてフィルタ槽4の濾材43が洗浄される場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路135との間を閉塞する。また、浄水器100において濾材43が洗浄される場合は、弁機構70は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路136と流路137との間を開放する。さらに、この場合は、弁機構80は、フィルタ槽4の内部と浄水器100の外部とを結ぶ流路139と流路132との間を閉塞する。このようにして、弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、流路130のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。
【0036】
図3に示すように、分岐水栓2は、水道水が流れる方向を、分岐水栓2から浄水器100に向かって流れる方向と、分岐水栓2から分岐水栓2の外方に向かって流れる方向とに切り換えることができる。また、分岐水栓2から浄水器100に向かって水道水が流れるときには、浄水器100から分岐水栓2に向かって浄水が流れてくる。浄水器100から分岐水栓2に向かって流れる浄水は、分岐水栓2から分岐水栓2の外方に向かって流れ、使用者に浄水が供給される。
【0037】
図4に示すように、浄水器100では、弁機構60と弁機構70と弁機構80とがケース110の内部にて一箇所に集められている。流路130のうちの少なくとも流路131の一部と流路132の一部とを除いた部分と、弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、ケース110に収容されている。ケース110は、浄水器100の外郭の一部を形成している。浄水器100は、操作部としての切換レバー6を備えている。切換レバー6は、浄水器100の使用者によって操作される。切換レバー6は、使用者が切換レバー6を操作することができるように、ケース110の外方に配置されている。
【0038】
切換レバー6は、回転軸10に連結されている。回転軸10は、回転軸線Cを中心に切換レバー6とともに回転する。切換レバー6は操作部の一例である。また、浄水器100において、回転軸10と切換レバー6とは切換部の一例である。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが作動する。なお、回転軸10は、弁機構60と弁機構70と弁機構80とを貫通している。つまり、回転軸10の長さは、弁機構60と弁機構70と弁機構80との幅(図4の左右方向の大きさ)よりも長い。
【0039】
以下では、切換レバー6の作動に連動する弁機構60,70,80の構成について説明する。図5は、弁機構70の断面を示している。弁機構70は、流路136から弁機構70に水を流入させる流入口171と、弁機構70から流路137に水を流出させる流出口172とを有している。弁機構70の流入ノズル75の内部には、流路136の一部が形成されている。弁機構70の流出ノズル76の内部には、流路137の一部が形成されている。
【0040】
弁機構70は、カム77と、カムガイド71と、脚部78とを有している。カム77は回転軸10の外表面11に固定されている。カム77の一部には、カム77から外方に突出する突出部72が形成されている。カムガイド71は、図5の左右方向と上下方向の四方から回転軸10の一部とカム77の一部とを囲んでいる。カム77に形成された突出部72は、カムガイド71に囲まれている。脚部78は、カムガイド71に固定され且つカムガイド71から流出口172に向かって延びている。カムガイド71と脚部78との付根には、環状部材74が取り付けられている。環状部材74は、ゴム等の弾性材料で形成されている。浄水器100の弁機構70においては、少なくとも脚部78と環状部材74とによって閉塞部が構成されている。カムガイド71は、閉塞部が流出口172を閉口するように、バネ73によって図5の上方から下方に向かって付勢されている。
【0041】
図4に示すように、弁機構80は、流路139から弁機構80に水を流入させる流入口181と、弁機構80から流路132に水を流出させる流出口182とを有している。流路139の一部が弁機構80の流入ノズル85の内部に形成されている。流路132の一部が弁機構80の流出ノズル86の内部に形成されている。弁機構80は、カム87と、カムガイド81と、脚部88とを有している。カムガイド81と脚部88との付根には、弾性材料で形成された環状部材84が取り付けられている。カム87の一部には、カム87から外方に突出する突出部82が形成されている。突出部82はカムガイド81に囲まれている。カムガイド81は、脚部88の環状部材84が流出口182を閉口するように、バネ83によって図4の上方から下方に向かって付勢されている。
【0042】
弁機構60は、流路133から弁機構60に水を流入させる流入口161と、弁機構60から流路134に水を流出させる流出口162と、弁機構60から流路135に水を流出させる流出口163とを有している。流路133の一部は弁機構60の流入ノズル65の内部に形成されている。流路134の一部は弁機構60の流出ノズル66の内部に形成されている。流路135の一部は弁機構60の流出ノズル69の内部に形成されている。
【0043】
弁機構60は、カム67と、カムガイド611と、脚部681とを有している。カムガイド611と脚部681との付根には、弾性材料で形成された環状部材64が取り付けられている。カムガイド611は、脚部681の環状部材64が流出口162を閉口するように、バネ631によって図4の上方から下方に向かって付勢されている。カム67の一部にはカム67から外方に突出する突出部621が形成されている。突出部621はカムガイド611に囲まれている。また、突出部621よりも図4の左方において、カム67の他の一部にはカム67から外方に突出する突出部622が形成されている。弁機構60は、さらにカムガイド612と、脚部682とを有している。突出部622はカムガイド612に囲まれている。カムガイド612と脚部682との付根には、弾性材料で形成された環状部材68が取り付けられている。カムガイド612は、脚部682の環状部材68が流出口163を閉口するように、バネ632によって図4の上方から下方に向かって付勢されている。
【0044】
図6に示す切換レバー6は、図4の左方から切換レバー6を見たときの概略図である。図6に示す切換レバー6の正面視において、使用者が切換レバー6を時計回りに回転させた位置(二点鎖線で示す位置)は、浄水器100が浄水を生成することができる位置(以下では浄水位置という)である。一方、使用者が切換レバー6を反時計回りに回転させた位置(実線で示す位置)は、浄水器100がフィルタ槽4(図1参照)の濾材43を洗浄することができる位置(以下では洗浄位置という)である。
【0045】
切換レバー6が浄水位置と洗浄位置との間で回転されるときには、回転軸10(図5参照)が回転軸線Cを中心に略90度の間隔で回転する。図7は、弁機構80を概略的に示す図である。図7に示す弁機構80は、脚部88の環状部材84が流出口182を閉口している状態である。このとき、切換レバー6(図6参照)は、洗浄位置を指している。一方、切換レバー6が浄水位置を指している場合には、後述するように、弁機構80は脚部88の環状部材84が流出口182を開口した状態である。
【0046】
図8は、浄水器100が浄水を生成するときの弁機構60,70,80の作動の状態を概略的に示す図である。図8(A)は弁機構60の一部を示す図であり、図8(B)は弁機構60の他の一部を示す図であり、図8(C)は弁機構70の一部を示す図であり、図8(D)は弁機構80の一部を示す図である。上述のように、浄水器100が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。図8(A)に示すように、弁機構60は、脚部681の環状部材64が流出口162を閉口した状態である。また、図8(B)に示すように、弁機構60は、脚部682の環状部材68が流出口163を開口した状態である。これらのように、切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構60が流路133(図1参照)と流路134との間を閉塞し且つ流路133と流路135との間を開放している。
【0047】
図8(C)に示すように、弁機構70は、脚部78の環状部材74が流出口172を閉口した状態である。また、図8(D)に示すように、弁機構80は、脚部88の環状部材84が流出口182を開口した状態である。このように、切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構70が流路137の水の流れを閉塞し、また弁機構80が流路132の水の流れを開放する。
【0048】
図9は、浄水器100がフィルタ槽4の濾材43を洗浄するときの各弁機構の作動の状態を概略的に示す図である。図9(A)は弁機構60の一部を示す図であり、図9(B)は弁機構60の他の一部を示す図であり、図9(C)は弁機構70の一部を示す図であり、図9(D)は弁機構80の一部を示す図である。上述のように、浄水器100が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6(図6参照)は、洗浄位置を指している。図9(A)に示すように、弁機構60は、脚部681の環状部材64が流出口162を開口した状態である。
【0049】
図6に示すように使用者によって切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転させられることにより、図8(A)に示す回転軸10および突出部621がカムガイド611の内部を略90度回転する。これにより、突出部621は、図9(A)に示すようにカムガイド611の内面天井に接触する位置に配置される。切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、突出部621は、カムガイド611の内面天井に接触しながらカムガイド611を上方に移動させる。このように、カム67(図4参照)に対する従動子としてのカムガイド611が上方に移動することにより、カムガイド611に固定された脚部681と、脚部681の環状部材64とが上方に移動する。これにより、流出口162が開口され、流路134の水の流れが開放される。
【0050】
また、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、図8(B)に示すようにカムガイド612の内面天井に接触していた突出部622は、図9(B)に示すようにカムガイド612の内面天井との接触を解消する。そのため、カムガイド612が上方から下方に向かって移動する。このように、従動子としてのカムガイド612が下方に移動することにより、カムガイド612に固定された脚部682と、脚部682の環状部材68とが下方に移動する。これにより、流出口163が閉口され、流路135の水の流れが閉塞される。
【0051】
同様に、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、図8(C)に示す回転軸10および突出部72がカムガイド71の内部を略90度回転し、図9(C)に示すように突出部72がカムガイド71の内面天井に接触する位置に配置される。また、このときに、カムガイド71と脚部78と環状部材74とが上方に移動する。これにより、流出口172が開口され、流路137の水の流れが開放される。
【0052】
また同様に、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に反時計回りに回転する間に、図8(D)に示すようにカムガイド81の内面天井に接触していた突出部82は、図9(D)に示すようにカムガイド81の内面天井との接触を解消する。この間に、カムガイド81と脚部88と環状部材84とが下方に移動する。これにより、流出口182が閉口され、流路132の水の流れが閉塞される。
【0053】
上述のように、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、図4に示すように、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路135との間を閉塞している。また、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、弁機構70が流路137を開放し、また弁機構80が流路132を閉塞する。
【0054】
一方、切換レバー6が洗浄位置から浄水位置に図6の時計回りに回転する間に、回転軸10および突出部621,622,72,82がそれぞれカムガイド611,612,71,81の内部を略90度回転する。この間に、例えば弁機構80において、図8(D)に示すように、突出部82は、カムガイド81の内面天井に接触する。この間に、突出部82がカムガイド81を持ちあげることによって、カムガイド81と脚部88と環状部材84とが上方に移動する。これにより、流出口182が開口され、流路132の水の流れが開放される。このようにして、切換レバー6の操作によって、例えば回転軸10およびカム87(図4参照)の回転に連動してカムガイド81と脚部88と環状部材84とが移動することにより、脚部88と環状部材84とが流出口182を開閉する。
【0055】
以上のように、浄水器100は、フィルタ槽4と、フィルタ槽5と、流路130と、弁機構60,70,80と、切換レバー6と、回転軸10とを備えている。フィルタ槽5は、フィルタ槽4を洗浄する際に水を濾過する。流路130は、少なくともフィルタ槽4とフィルタ槽5との間に水を流通させる。弁機構60は、流路130のうち、フィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路133と流路134との間と、流路133と流路135との間とを開閉する。
【0056】
弁機構70は、流路130のうち、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路136と流路137との間を開閉する。弁機構80は、流路130のうち、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路139と流路132との間を開閉する。切換レバー6は、使用者によって操作され、回転軸10を介して弁機構60と弁機構70と弁機構80とを作動させる。弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。
【0057】
浄水器100によれば、流路130のうち、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが、それぞれ流路133と流路134との間および流路133と流路135との間と、流路136と流路137との間と、流路139と流路132との間とを開閉することにより、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、弁機構60,70,80は、使用者によって操作される切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。つまり、弁機構60,70,80の開閉が使用者によって操作される。このように、浄水器100では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、浄水器100に係るコストを抑えることができる。また、浄水器100の小型化が可能である。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、浄水を生成するときの経路と濾材を洗浄するときの経路とを切り換える複数の弁の開閉を同時に操作することができるように構成され、比較的安価であり且つ小型化が可能な浄水器100を提供することができる。また、浄水器100が電気を使用しないものである場合には、電源仕様に左右されない浄水器を実現することができる。
【0059】
また、浄水器100によれば、フィルタ槽5の濾材53にて濾過された水を用いてフィルタ槽4を洗浄することができる。そのため、フィルタ槽4の内部をより清潔に洗浄することが可能である。
【0060】
この発明に従った浄水器において、弁機構60と弁機構70と弁機構80とは一箇所に集められている。
【0061】
この構成によれば、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが一箇所にまとめられるように配置されていることにより、弁機構60と弁機構70と弁機構80とが占める体積を小さくさせることが可能である。また、切換レバー6および回転軸10と弁機構60,70,80との連結が簡略化される。そのため、浄水器100の小型化がさらに可能である。
【0062】
浄水器100では、少なくとも切換レバー6と回転軸10とによって切換部が構成されている。切換レバー6は、浄水器100の使用者によって操作されるものである。回転軸10は、切換レバー6とともに回転するものである。弁機構60は、流路133から弁機構60に水を流入させる流入口161と、弁機構60から流路134に水を流出させる流出口162と、弁機構60から流路135に水を流出させる流出口163とを有している。弁機構70は、流路136から弁機構70に水を流入させる流入口171と、弁機構70から流路137に水を流出させる流出口172とを有している。弁機構80は、流路139から弁機構80に水を流入させる流入口181と、弁機構80から流路132に水を流出させる流出口182とを有している。
【0063】
例えば弁機構70は、回転軸10に固定されたカム77と、回転軸10の一部とカム77の一部とを囲むカムガイド71と、カムガイド71に固定され且つ流出口172を開閉する脚部78と、脚部78に取り付けられた環状部材74とを有している。さらに、例えば弁機構70では、切換レバー6の操作によって回転軸10およびカム77の回転に連動してカムガイド71および脚部78が移動することにより、脚部78の環状部材74が流出口172を開閉する。
【0064】
浄水器100によれば、回転軸10とカム67,77,87とが互いに固定されている。脚部681,682,78,88は、それぞれカムガイド611,612,71,81に固定されている。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、回転軸10およびカム67,77,87は、切換レバー6とともに回転する。さらに、回転軸10およびカム67,77,87の回転に連動してカムガイド611,612,71,81および脚部681,682,78,88が下方から上方に向かって移動することにより、環状部材64,68,74,84がそれぞれ流出口162,163,172,182を開閉する。このように、浄水器100では、多数の電磁弁が用いられることなく、使用者による切換レバー6の操作によって、カム67,77,87が作動する。カム67,77,87の作動により、弁機構60,70,80が作動する。そのため、浄水器100に係るコストを抑えることができ、且つ、浄水器100の小型化が可能である。
【0065】
浄水器100において、弁機構60は、一つの流入口161と、二つの流出口162,163とを有している。
【0066】
この構成によれば、弁機構60において、一つの流入口161に対して二つの流出口162,163が配置されている。この場合には、浄水器100が流出口の数の弁機構を有している場合に比べ、弁機構60と弁機構70と弁機構80との全体に係る体積を小さくすることができる。そのため、浄水器100の小型化がさらに可能である。
【0067】
なお、浄水器100において、切換レバー6および回転軸10が回転する角度は、略90度であることに限定されない。切換レバー6および回転軸10が回転する角度は、カムガイド611,612,71,81の形状と、カム67,77,87の形状とに応じて適宜決定されていればよい。また、図4に示すように、回転軸10の横断面積は一定であることに限定されない。
【0068】
なお、浄水器100において、弁機構60,70,80は、それぞれ流出口162,163,172,182を閉口するものであったが、弁機構70と弁機構80とは、それぞれ流入口171と流入口181とを閉口するものであってもよい。例えば、弁機構70において、バネ73が付勢する方向と、カムガイド71に対する脚部78の位置とが調整されることにより、脚部78に取り付けられた環状部材74が流入口171を閉口することが可能である。
【0069】
さらに、浄水器100において、切換レバー6の形状は特に限定されない。切換レバー6は、少なくとも浄水位置と洗浄位置との間で回転することが可能であって、回転軸10を所定の回転角度にて回転させることができるものであればよい。また、切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に回転する方向は、反時計回りに限定されず、時計回りに回転することであってもよい。切換レバー6が浄水位置から洗浄位置に時計回りに回転することにより、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する経路とが切り換えられるように、流路130と弁機構60,70,80とが接続されていてもよい。
【0070】
浄水器100において、弁機構60,70,80は、切換レバー6の回転が回転軸10に伝達されることによって作動するものに限定されない。弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、浄水器100の使用者によって操作される切換レバー6の作動に連動するものであれば、他の形態のものであってもよい。
【0071】
なお、浄水器100は、フィルタ槽5を備えていなくてもよい。例えば図2を基に、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合のフィルタ槽4の濾材43の洗浄について説明する。浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であってフィルタ槽4の濾材43が洗浄されるときは、流路133を流れる水は、弁機構60によって流れの方向が切り換えられることにより、流路134に向かって流れていてもよく、流路135に向かって流れていてもよい。また、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であってフィルタ槽4の濾材43が洗浄されるときは、流路133を流れる水は、図示しない他の流路を通ってノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入していてもよい。図示しない他の流路は、弁機構60とノズル41とを接続している。
【0072】
浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であって濾材43が洗浄されるときに流路134を流れる水は、流路138を通らずに、つまり流路134から直接的にノズル42を介してフィルタ槽4の内部に流入していてもよい。このときは、フィルタ槽4の内部を水が逆方向に流れる。
【0073】
一方、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であって濾材43が洗浄されるときに流路135を流れる水は、フィルタ槽4の内部を順方向に流れる。さらに、濾材43が洗浄される場合に図示しない他の流路を水が通るときには、濾材43の洗浄に効果的な洗剤が水に混入されてもよい。図示しない他の流路を流れる水に混入された洗剤によって、より清潔に濾材43が洗浄される。図示しない他の流路を通ってノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入した洗浄水は、フィルタ槽4の内部を順方向に流れた後、弁機構70が接続された流路を通って浄水器100の外部に排出される。弁機構70が接続された流路、つまり、流路136は、ノズル42に接続されていてもよい。
【0074】
また、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合であってフィルタ槽4が逆洗浄されるときにときに、流路134を流れる水に洗剤が混入されていてもよい。濾材43の洗浄に効果的な洗剤は、浄水器100がフィルタ槽5と濾材53とを備えている場合に、流路130を流れる水に混入されていてもよい。
【0075】
以上のように、浄水器100がフィルタ槽5を備えていない場合は、浄水器100は、フィルタ槽4と、流路130と、弁機構60,70,80と、切換レバー6と、回転軸10とを備えている。流路130は、少なくとも流路131と流路133と流路134と流路135とを有している。流路130は少なくともフィルタ槽4に水を流通させる。弁機構60,70,80は、流路130のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように開閉される。切換レバー6は、使用者によって操作され、回転軸10を介して弁機構60と弁機構70と弁機構80とを作動させる。弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。この構成によれば、浄水器100では、浄水器100に係るコストを抑えることができ、且つ、浄水器100の小型化が可能である。
【0076】
(第2実施形態)
図10に第2実施形態に係る浄水器200を示す。浄水器200が第1実施形態の浄水器100と異なる点は、フィルタ槽4の濾材43が後述するように順洗浄される。
【0077】
図10に示すように、浄水器200では、流路230のうち、流路136の一端がフィルタ槽4のノズル44に接続されている。また、流路138の一端がフィルタ槽5のノズル52に接続され且つ流路138の他端がノズル41に接続されている。
【0078】
浄水器200において弁機構60と弁機構70と弁機構80とは、第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水が生成される場合とフィルタ槽4が洗浄される場合とに、流路230のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。
【0079】
浄水器200においてフィルタ槽4の濾材43が洗浄される際には、フィルタ槽4にて浄水が生成されるときと同じ方向にフィルタ槽4の内部を水が流通する。濾材43の順洗浄に用いられた水は、ノズル44から流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器200の外部に排出される。
【0080】
第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水器200が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。一方、浄水器200が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6は、洗浄位置を指している。
【0081】
切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を閉塞し且つ流路133と流路135との間を開放している。また、切換レバー6が浄水位置を指している場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を閉塞し、また弁機構80が流路139と流路132との間を開放する。一方、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路135との間を閉塞している。また、切換レバー6が洗浄位置を指している場合は、弁機構70が流路136と流路137との間を開放し、また弁機構80が流路139と流路132との間を閉塞する。
【0082】
切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構60,70,80の内部では、第1実施形態に係る浄水器100のそれぞれ弁機構60,70,80の内部と同様に作動する。
【0083】
浄水器200のその他の構成は、第1実施形態に係る浄水器100と同様である。浄水器200のその他の構成についての説明は省略する。
【0084】
(第3実施形態)
図11に第3実施形態に係る浄水器300を示す。浄水器300が第1実施形態の浄水器100と異なる点は、二方向弁である弁機構70,80(図1参照)の代わりに、三方向弁である弁機構370,380が用いられている。
【0085】
浄水器300では、流路330のうちの流路134の一端と流路335の一端とが弁機構60に接続されている。流路335の他端は、弁機構370に接続されている。流路335には、逆止弁91が配置されている。
【0086】
また、弁機構370には流路336の一端と流路137の一端とが接続されている。一方、フィルタ槽4とフィルタ槽5との間を流れる水は、流路338と流路339とを流通する。流路338の一端は、フィルタ槽5のノズル52に接続されている。流路338の他端は弁機構380に接続されている。流路338には、逆止弁92が配置されている。また、フィルタ槽4のノズル42には、流路339の一端が接続されている。流路339の他端は弁機構380に接続されている。また、弁機構380には流路132の一端が接続されている。流路132の他端は分岐水栓2に接続されている。
【0087】
浄水器300において浄水が生成される場合に、流路335から弁機構370に水が流入するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において浄水が生成される場合に、弁機構370から流路336に水が流出するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流出口として機能する。一方、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、流路336から弁機構370に水が流入するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、弁機構370から流路137に水が流出するときの弁機構370の開口(図示せず)は、流出口として機能する。なお、浄水器300において、浄水が生成される場合に弁機構370から流路336に水が流出するときの弁機構370の流出口は、濾材43が洗浄される場合に流路336から弁機構370に水が流入するときの弁機構370の流入口を兼ねている。このように、浄水器300において、弁機構370は、一つの流入口と、二つの流出口とを有している。
【0088】
また、浄水器300において浄水が生成される場合に、流路339から弁機構380に水が流入するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において浄水が生成される場合に、弁機構380から流路132に水が流出するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流出口として機能する。一方、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、流路338から弁機構380に水が流入するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器300において濾材43が洗浄される場合に、弁機構380から流路339に水が流出するときの弁機構380の開口(図示せず)は、流出口として機能する。なお、浄水器300において、浄水が生成される場合に流路339から弁機構380に水が流入するときの弁機構380の流入口は、濾材43が洗浄される場合に弁機構380から流路339に水が流出するときの弁機構380の流出口を兼ねている。このように、浄水器300において、弁機構380は、一つの流入口と、二つの流出口とを有している。
【0089】
浄水器300において浄水が生成される場合は、弁機構60が流路133と流路335との間を開放し且つ流路133と流路134との間を閉塞する。また、弁機構370が流路335と流路336との間を開放し且つ流路335または流路336と流路137との間を閉塞している。さらに、弁機構380が流路338と流路339または流路132との間を閉塞し且つ流路339と流路132との間を開放している。尚、浄水器300は弁機構60を備えていなくてもよい。浄水器300が弁機構60を備えていない場合でも、浄水器300において浄水が生成されるときに、弁機構380が流路338と流路339または流路132との間を閉塞していることにより、流路133から流路134に水が流れず、流路133から流路335に水が流れる。
【0090】
一方、浄水器300においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、弁機構60が流路133と流路134との間を開放し且つ流路133と流路335との間を閉塞する。また、弁機構370が流路335と流路336または流路137との間を閉塞し且つ流路336と流路137との間を開放している。さらに、弁機構380が流路338と流路339との間を開放し且つ流路339または流路338と流路132との間を閉塞している。尚、上記のように浄水器300が弁機構60を備えていない場合でも、浄水器300においてフィルタ槽4が洗浄されるときに、弁機構370が流路335と流路336または流路137との間を閉塞していることにより、流路133から流路335に水が流れず、流路133から流路134に水が流れる。
【0091】
このようにして、弁機構60と弁機構370と弁機構380とは、流路330のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。尚、弁機構60は省略することもできる。
【0092】
浄水器300においてフィルタ槽4の濾材43が洗浄される際には、第1実施形態に係る浄水器100と同様にフィルタ槽4にて浄水が生成されるときと逆方向にフィルタ槽4の内部を水が流通する。濾材43の逆洗浄に用いられた水は、ノズル41から流路336に流出し、さらに流路137を通って浄水器300の外部に排出される。
【0093】
図示は省略するが、浄水器300では、弁機構60と弁機構370と弁機構380とがケース(図示せず)の内部にて一箇所に集められている。第1実施形態に係る浄水器100と同様に、流路330のうちの少なくとも流路131の一部と流路132の一部とを除いた部分と、弁機構60と弁機構370と弁機構380とは、浄水器300の外郭の一部を形成するケースに収容されている。切換レバー6(図4参照)は、使用者が切換レバー6を操作することができるように、ケースの外方に配置されている。切換レバー6は、回転軸10(図4参照)に連結されている。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、回転軸10の回転に連動して弁機構60と弁機構370と弁機構380とが作動する。
【0094】
第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水器300が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。一方、浄水器300が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6は、洗浄位置を指している。
【0095】
図示は省略するが、切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構60,370,380の内部は、第1実施形態に係る浄水器100の弁機構60の内部のように作動する。
【0096】
浄水器300の構成によれば、弁機構60と弁機構370と弁機構380とにおいて、一つの流入口に対して二つの流出口が配置されている。この場合には、浄水器300が流出口の数の弁機構を有している場合に比べ、弁機構60と弁機構370と弁機構380との全体に係る体積を小さくすることができる。そのため、浄水器300の小型化がさらに可能である。また、流路330を形成するホースやノズル等の環状部材を削減することが可能である。
【0097】
以上のように、浄水器300によれば、弁機構60と弁機構370と弁機構380とにより、フィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、弁機構60,370,380は、使用者によって操作される切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。このように、浄水器300では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、浄水器300に係るコストを抑えることができる。また、浄水器300の小型化が可能である。
【0098】
尚、第3実施形態に係る浄水器300の変形例として、浄水器300は、上述したように弁機構60を備えていないものであってもよい。浄水器300が弁機構60を備えていない場合には、浄水器300をさらに小型化することが可能である。
【0099】
(第4実施形態)
図12に第4実施形態に係る浄水器400を示す。浄水器400が第1実施形態の浄水器100と異なる点は、浄水器400が、フィルタ槽4の濾材43の洗浄に用いられる他のフィルタ槽を備えておらず、浄水を溜めるタンク410を備えている。
【0100】
浄水器400では、流路430のうち、流路433の一端が活性炭フィルタ槽3の流出ノズル32に接続され、他端がフィルタ槽4のノズル41に接続されている。流路433には、逆止弁491が配置されている。また、フィルタ槽4のノズル42には、流路139の一端と流路436の一端とが接続されている。流路436の他端は弁機構490に接続されている。また、弁機構490には、流路438の一端が接続されている。流路438の他端はタンク410に接続されている。
【0101】
弁機構70と弁機構80とは、浄水器400において浄水が生成される場合とフィルタ槽4が洗浄される場合とに、第1実施形態に係る浄水器100と同様に、流路430のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換えるように、流路136と流路137との間と流路139と流路132との間とをそれぞれ開閉する。
【0102】
また、浄水器400において浄水が生成される場合は、弁機構490は、流路436と流路438との間を開放する。濾材43によって濾過された浄水の一部は、流路436と流路438とを通ってタンク410に溜められる。濾材43によって濾過された浄水の他の一部は、流路139と流路132とを通って浄水器400の外部に供給される。タンク410が満杯の状態になれば、弁機構490が流路436と流路438との間を開放したままでも、浄水は流路139と流路132とを通って浄水器400の外部に供給される。
【0103】
浄水器400においてフィルタ槽4が逆洗浄される場合は、弁機構490は、流路436と流路438との間を開放する。一方、浄水器400においてフィルタ槽4が順洗浄される場合は、弁機構490は、流路436と流路438との間を閉塞する。このようにして、弁機構70と弁機構80と弁機構490とは、流路430のうちのフィルタ槽4にて水が濾過される経路と、フィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とを切り換える。
【0104】
浄水器400において浄水が生成される場合に、流路436から弁機構490に水が流入するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流入口として機能する。また、浄水器400において浄水が生成される場合に、弁機構490から流路438に水が流出するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流出口として機能する。一方、浄水器400において濾材43が逆洗浄される場合に、流路438から弁機構490に水が流入するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流入口として機能する。浄水器400において濾材43が逆洗浄される場合に、弁機構490から流路436に水が流出するときの弁機構490の開口(図示せず)は、流出口として機能する。
【0105】
浄水器400においてフィルタ槽4が洗浄される場合は、原水の供給が停止されていてもタンク410の浄水を利用することができる。タンク410の浄水は、ポンプ420の作動によってフィルタ槽4に送水される。浄水器400においてフィルタ槽4が逆洗浄される場合は、タンク410の浄水が流路438と流路436とを通ってノズル42を介してフィルタ槽4の内部に流入する。濾材43の逆洗浄に用いられた水は、ノズル41から流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器400の外部に排出される。
【0106】
浄水器400においてフィルタ槽4が順洗浄される場合は、タンク410の浄水が流路434を通ってノズル41を介してフィルタ槽4の内部に流入する。濾材43の順洗浄に用いられた水は、ノズル44から流路435を介して流路136に流出し、さらに流路137を通って浄水器400の外部に排出される。流路435はノズル44と流路136とを接続している。
【0107】
図示は省略するが、浄水器400では、弁機構70と弁機構80と弁機構490とがケース(図示せず)の内部にて一箇所に集められている。第1実施形態に係る浄水器100と同様に、流路430のうちの少なくとも流路131の一部と流路132の一部とを除いた部分と、弁機構70と弁機構80と弁機構490とは、浄水器400の外郭の一部を形成するケースに収容されている。切換レバー6(図4参照)は、使用者が切換レバー6を操作することができるように、ケースの外方に配置されている。切換レバー6は、回転軸10(図4参照)に連結されている。使用者によって切換レバー6が操作されることにより、回転軸10の回転に連動して弁機構70と弁機構80と弁機構490とが作動する。
【0108】
第1実施形態に係る浄水器100と同様に、浄水器400が浄水を生成するときには、切換レバー6(図6参照)は、浄水位置を指している。一方、浄水器400が濾材43を洗浄するときには、切換レバー6は、洗浄位置を指している。
【0109】
図示は省略するが、切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構70,80の内部は、第1実施形態に係る浄水器100の弁機構70,80の内部と同様に作動する。また、切換レバー6が洗浄位置と浄水位置との間で回転するときは、弁機構490の内部は、第1実施形態に係る浄水器100の弁機構70または弁機構80の内部のように作動する。
【0110】
以上のように、浄水器400によれば、弁機構490は流路430のうちの流路436と流路438との間を開閉し、弁機構70は流路136と流路137との間を開閉し、弁機構80は流路139と流路132との間を開閉する。このように、弁機構490と弁機構70と弁機構80とにより、浄水器400においてフィルタ槽4にて水が濾過される経路とフィルタ槽4の濾材43を洗浄する他の経路とが切り換えられる。また、弁機構70,80,490は、使用者によって操作される切換レバー6と回転軸10との作動に連動する。このように、浄水器400では、多数の電磁弁が用いられることがない。さらに、電磁弁を制御するための制御装置が不要である。そのため、浄水器400に係るコストを抑えることができる。また、浄水器400の小型化が可能である。
【0111】
なお、浄水器400では、弁機構70の代わりに三方向弁が用いられることにより、流路435と流路136と流路137とが当該三方向弁の弁機構に接続されていてもよい。
【0112】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0113】
4:フィルタ槽、5:フィルタ槽、6:切換レバー、10:回転軸、60:弁機構、70:弁機構、80:弁機構、100:浄水器、130:流路、161:流入口、162,163:流出口、611,612:カムガイド、64,68:環状部材、67:カム、681,682:脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ槽と、
少なくとも前記フィルタ槽に液体を流通させる流路と、
前記流路のうちの前記フィルタ槽にて液体が濾過される経路と前記フィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように開閉される複数の弁機構と、
当該浄水器の使用者によって操作され、前記複数の弁機構を作動させる切換部と、を備え、
前記各弁機構は前記切換部の作動に連動する、浄水器。
【請求項2】
前記フィルタ槽を洗浄する際に、前記流路のうちの前記他の経路を流れる液体を濾過する他のフィルタ槽をさらに備えた、
請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記複数の弁機構は一箇所に集められている、
請求項1または請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記切換部は、当該浄水器の使用者によって操作される操作部と、前記操作部とともに回転する回転軸と、を有し、
前記各弁機構は、前記流路から前記各弁機構に液体を流入させる流入口と、前記各弁機構から前記流路に液体を流出させる流出口と、前記回転軸に固定されたカムと、前記回転軸の一部と前記カムの一部とを囲むカムガイドと、前記カムガイドに固定され且つ前記流入口もしくは前記流出口を開閉する閉塞部と、を有し、
前記操作部の操作によって前記回転軸および前記カムの回転に連動して前記カムガイドおよび前記閉塞部が移動することにより、前記閉塞部が前記流入口もしくは前記流出口を開閉する、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項5】
前記複数の弁機構のうちの少なくとも一つは、一つの前記流入口と複数の前記流出口とを有している、
請求項4に記載の浄水器。
【請求項1】
フィルタ槽と、
少なくとも前記フィルタ槽に液体を流通させる流路と、
前記流路のうちの前記フィルタ槽にて液体が濾過される経路と前記フィルタ槽の内部を洗浄する他の経路とを切り換えるように開閉される複数の弁機構と、
当該浄水器の使用者によって操作され、前記複数の弁機構を作動させる切換部と、を備え、
前記各弁機構は前記切換部の作動に連動する、浄水器。
【請求項2】
前記フィルタ槽を洗浄する際に、前記流路のうちの前記他の経路を流れる液体を濾過する他のフィルタ槽をさらに備えた、
請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記複数の弁機構は一箇所に集められている、
請求項1または請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記切換部は、当該浄水器の使用者によって操作される操作部と、前記操作部とともに回転する回転軸と、を有し、
前記各弁機構は、前記流路から前記各弁機構に液体を流入させる流入口と、前記各弁機構から前記流路に液体を流出させる流出口と、前記回転軸に固定されたカムと、前記回転軸の一部と前記カムの一部とを囲むカムガイドと、前記カムガイドに固定され且つ前記流入口もしくは前記流出口を開閉する閉塞部と、を有し、
前記操作部の操作によって前記回転軸および前記カムの回転に連動して前記カムガイドおよび前記閉塞部が移動することにより、前記閉塞部が前記流入口もしくは前記流出口を開閉する、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項5】
前記複数の弁機構のうちの少なくとも一つは、一つの前記流入口と複数の前記流出口とを有している、
請求項4に記載の浄水器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−176352(P2012−176352A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40164(P2011−40164)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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