説明

浄水装置用セラミック

【課題】 浄水装置用セラミックとして、より効果的に水を活性化でき、その水を生体に与えた際、細胞の活性化が効果的に図れるようにするとともに、容器内のセラミックの充填率に余裕を持たせてセラミックを水圧等で攪乱させる場合でも、セラミックが損傷しにくくなるようにする。
【解決手段】 セラミック単体の形状を、七面以上の平面で囲まれる多面体とし、その表面に、波長範囲3.33〜25.42μmにおける遠赤外線積分放射率83%以上の物質を釉薬として塗布する。この塗布の際、セラミック表面に局所的に塗布することにより、遠赤外線を放射する領域とセラミックの生地から放射される育成光線が混在するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水装置に用いられるセラミックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水道水等の水質を改善するため、浄水装置の水路の途中に遠赤外線放射性を有するセラミック粒子を充填した容器を配設し、この容器内に水を通すことにより、セラミック粒子から水中に遠赤外線を放射して水のクラスターを細分化し活性化させておいしい水を作り出すような技術が知られており、この際、容器の上流側と下流側に偏向フィンを設けて水に乱流を発生させることで、セラミック粒子に均一に水を衝突させるような技術(例えば、特許文献1参照。)や、セラミック粒子を充填する容器の上流側と下流側に一対のマグネットを取付けて磁気エネルギーと遠赤外線エネルギーとの相乗作用で浄水効果を高めるような技術(例えば、特許文献2参照。)や、遠赤外線放射セラミックが充填される容器を貯水槽の中に入れ、容器を強制回転させることで放射効果を高めるようにした技術(特許文献3参照。)なども知られている。
【特許文献1】特開平08−71543号公報
【特許文献2】特開2004−261799号公報
【特許文献3】実用新案登録第3026532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の浄水装置用の遠赤外線セラミック粒子は、粒子単体の形状が球状であるのが一般的であるため、容器内に充填する際にセラミック同士間の隙間が大きくなって充填率が下がると同時に、セラミック粒子の隙間を水が流動する際の抵抗が少ないため円滑に流れすぎるようになり、容器内における水の滞留時間が短いということもあって、水に対する遠赤外線放射効率が充分でなく、水の活性化に限界が生じるという問題があった。
すなわち、遠赤外線を水に放射して水を活性化するという意義は、遠赤外線の放射によって水分子の集合体を小さくすると同時に、遠赤外線の中の育成光線によってヒドロキシルイオンを生成することにあり、小さくされた水分子の集合体及びヒドロキシルイオンを含んだ水は、細胞へ浸透しやすくなるとともに、細胞の活性化を高める。
しかし、遠赤外線を放射するセラミックの充填密度が低く、しかも容器内への水の滞留時間が短くなると、水分子の集合体を小さくすることと、ヒドロキシルイオンを生成することに対して限界があった。
【0004】
一方、セラミック単体の形状を多面体構造にして角部を設ければ、多面体の形状によっては球体の場合に較べて容器内への充填密度を高めることができるとともに、球体の場合に較べて、水の流動抵抗が増大して滞留時間を長くすることができ、遠赤外線放射効率をより高めることができるが、例えば容器内の空間部にセラミックを余裕を持たせて充填することにより水圧でセラミックを攪乱させて遠赤外線放射効率を高めるようにした場合には、例えば六面体や四面体などの場合は、角部の頂角が90度または鋭角となって、お互いにぶつかり合ったときに、角部が損傷しやすくなるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、浄水装置用セラミックとして、より効果的に水を活性化でき、その水を生体に与えた際、細胞の活性化が効果的に図れるようにするとともに、容器内のセラミックの充填率に余裕を持たせてセラミックを水圧等で攪乱させる場合でも、セラミックが損傷しにくくなるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、水を浄化する浄水装置に組み込まれる浄水装置用セラミックにおいて、セラミック単体の形状を、七面以上の平面で囲まれる多面体とし、その表面に、波長範囲3.33〜25.42μmにおける遠赤外線積分放射率83%以上の物質を釉薬として塗布するようにした。
【0007】
このようにセラミックの表面に、所定波長範囲内の遠赤外線積分放射率83%以上の物質を釉薬として塗布することにより、遠赤外線放射効果によって水分子の集合体を小さくする効果が増大して、細胞への浸透力が高まるとともに、育成光線の作用によって生成されたヒドロキシルイオンが体に吸収されることにより血液の浄化や細胞の活性化等が図られ、自然治癒力が向上する。
ここで、生地となるセラミックや、波長範囲3.33〜25.42μmにおける遠赤外線積分放射率が83%以上の物質からなる釉薬としては、例えば、トルマリンや、カリ長石や、アルミナや、鉄分等のブレンド材料から構成されるものである。
【0008】
また、セラミック単体の形状を、七面以上の平面で囲まれる多面体とすることで、例えば、これらを容器内にほぼ一杯に充填する場合に、球体の場合に較べて充填密度を高めることができるとともに、球体の場合に較べてセラミック間を流通する水の流動を遅くして、容器内への水の滞留時間を伸ばすことができ、遠赤外線放射による水の活性化をより促進させることができる。
一方、容器内の空間部に余裕を持ってセラミックを充填し、水圧でセラミックを攪乱させるようにした場合でも、六面体などに較べて角部が損傷しにくくなる。なお、七面以上の平面で囲まれる多面体としては、例えば、12個の正五角形で形成される正十二面体や、6つの正方形と8つの正六角形で形成される切頂八面体等が好適であり、特に、全ての面が同一形状である正十二面体は、製作の点や、損傷防止の点から特に好ましい。
【0009】
また本発明では、前記釉薬を、前記多面体の全表面のうちの一部に塗布することにより、釉薬の塗布された領域とセラミックの生地が露出する領域とを混在させるようにした。
【0010】
すなわち、釉薬を多面体の表面の全領域に塗布すれば、高温で焼き付けた場合に釉薬がガラス状になるため、セラミック生地に含まれる遷移金属から酸化していく血液を還元させて人体にできる活性酸素などのフリーラジカルを減少させる効果が低くなり、釉薬を全く塗布しなければ遠赤外線放射の効果が減少するか、または得られなくなる。そこで、釉薬を塗布した領域とセラミック生地が露出する領域を混在させることにより、ヒドロキシルイオンによって細胞を活性化させ血液をサラサラにさせる等の効果や水をおいしくする効果と血液中のフリーラジカルを減少させる効果等の両方の効果を得ることができる。
なお、釉薬を部分的に塗布する方法としては、例えば多面体のある平面領域には塗布し、他の平面領域には塗布しないようにすれば簡単に塗り分けることができる。
【発明の効果】
【0011】
水を浄化するための浄水装置用セラミックとして、セラミック単体の形状を、七面以上の平面で囲まれる多面体とすることで、例えば、容器内にセラミックを一杯充填しようとする場合にその充填密度を高めることができるとともに、容器内への水の滞留時間を長くすることができて、水に対する遠赤外線放射効果をより高めることができる。一方、容器内の空間部に余裕を持たせてセラミックを充填することで、水圧等によりセラミックを攪乱させる場合でも、セラミックの損傷を招きにくくすることができる。また、その表面に、波長範囲3.33〜25.42μmにおける遠赤外線積分放射率が83%以上の物質を釉薬として塗布することにより、遠赤外線によって水分子集合体を小さくすることがより効果的となり、健康保持により有効な水にすることができる。
この際、釉薬を塗布する領域と、セラミック生地が露出する領域を混在させることにより、特に人体に対する健康保持に有効なヒドロキシルイオンの放射効果と、水をおいしくし、且つ水中や体内の細胞の活性化等に有効な遠赤外線放射効果の両方を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る浄水装置の一例を示す説明図、図2は容器内に充填されるセラミックの一例を示す説明図、図3はセラミック単体の形状の一例を示す説明図、図4は本実施例における釉薬の遠赤外線放射率を測定した試験成績表である。
【0013】
本発明に係る浄水装置用セラミックは、水道水等の水を浄化することで通常の浄水器等で除去できない細菌やヒ素、重金属イオン、トリハロメタン、ダイオキシンなどの有害物質をほぼ完全に取り除き、しかも人が飲んだとき、体内の細胞が活性化される効果を高め、しかも血液をサラサラにすることができるような浄水装置の一部に組み込まれている。
【0014】
すなわち、本浄水装置用セラミックが適用される浄水装置1の一例は、図1に示すように、水道水等の処理水の流水経路の上流側に配設される第1フィルタ2と、この第1フィルタ2に下流に配設されるブースターポンプ3と、このブースターポンプ3の下流に配設される第2フィルタ4と、この第2フィルタ4の下流に配設される逆浸透膜フィルタ5を備えており、この逆浸透膜フィルタ5によって処理された水は、三方管6を介して貯留タンク7または特殊フィルタ8に送られるようにされている。そして、特殊フィルタ8を通過した水が飲み水等として供給されるようになっており、本浄水装置用セラミックは、特殊フィルタ8の容器内に配設されている。
【0015】
前記第1フィルタ2は、化学繊維等のフィルタによって1μm以上の泥やサビや水垢などの不純物を除去できるようにされ、前記第2フィルタ4は、上質な活性炭の吸着により、塩素や臭みなどの有機化合物を除去できるようにされている。
【0016】
そして、第1フィルタ2を通しブースターポンプ3によって加圧した処理水を第2フィルタ4に送り込み一般の濾過式浄水器で行われる浄水機能全てが発揮されるようにしており、その後、逆浸透膜フィルタ5に送り込むようにしている。
【0017】
逆浸透膜フィルタ5は、例えば0.0001μm程度の微細孔を有するTFC膜(合成薄層フィルム膜)から構成され、一般の濾過式浄水器では除去できないヒ素、トリハロメタン、硝酸性窒素、ホルムアルデヒド、ダイオキシン、農薬、アルミニウム、溶解性鉛などの有害化学物質や放射性物質などを除去できるようにされ、除去された不純物を廃棄水として器外に排出するようにされている。
【0018】
前記特殊フィルタ8には、図2に示すように、その容器8h内に本発明に係るセラミック10が充填され、三方管6を通って送り込まれる水を容器8h内に導き、セラミック10の隙間を通して流動させることができるようにされている。この際、容器8h内にセラミック10をほぼ一杯に充填しても良く、または余裕を持って充填することにより水圧でセラミック10が攪乱されるようにしても良いが、以下に述べるように、セラミック10から水中に放射される遠赤外線やヒドロキシルイオンがより多く発生するように充填することが好ましい。
【0019】
前記セラミック10は、トルマリンや、カリ長石や、アルミナや、鉄分や粘土等を含む成分組成の材料から構成され、七面以上の平面で囲まれる多面体形状とされており、本実施例では、図3(a)に示すような正十二面体、または(b)に示すような切頂八面体構造としている。
このため、例えば容器8h内にセラミック10を一杯に充填しようとする場合には、球体のセラミックに較べて充填密度をより高めることができる。
【0020】
そしてこのセラミック10には、一旦素焼きした生地の表面に、局部的に遠赤外線放射率の高い物質からなる釉薬uが塗布されており、釉薬uを塗布した後、再度、高温で焼成することにより、釉薬uが塗布されたコート面と、セラミック10の生地がそのまま露出する非コート面とが混在するようにされている。
なお、この釉薬uの成分については、トルマリンパウダーやカリ長石パウダーなどをブレンドしたものである。
【0021】
また、釉薬uの遠赤外線放射特性は、本実施例では、波長範囲3.33〜25.42μmにおける遠赤外線積分放射率が83%以上のものとしており、本実施例では、実施例のAタイプでは、図4(a)に示すように、波長範囲3.33〜25.42μmにおける積分放射率が86.8%、実施例のBタイプでは、図4(b)に示すように、波長範囲3.33〜25.42μmにおける積分放射率が87.6%のものとしている。
因みに、この遠赤外線放射率は、遠赤外線分光放射計を使用し、ヒータ温度100℃にて測定し、Aタイプのセラミックについては、表面温度90.1℃、Bタイプのセラミックについては、表面温度89.9℃の条件下で測定したものである。
【0022】
以上のような浄水装置用セラミック10が適用される浄水装置1において、第1フィルタ2や第2フィルタ4や逆浸透膜フィルタ5によって不純物が除去され、限りなく純水に近い水に精製された後、この精製された水が特殊フィルタ8に送り込まれる。
【0023】
この際、特殊フィルタ8の容器8h内には、局所的に釉薬uが塗布された多面体形状のセラミック10が充填されているため、釉薬uが塗布された箇所からは遠赤外線が活発に放射され、水分子の集合体を小さくし、ヒドロキシルイオンによって細胞が活性化され血液がサラサラになる等の効果や水をおいしくする効果が発揮され、動植物等の生体に極めて有効に作用する。この際、セラミック10の形状が多面体であるため、容器8h内に一杯充填する場合には、球体の場合に較べて充填密度を高くすることができるとともに、球体の場合に較べて水の容器8h内への滞留時間が長くなり、遠赤外線の放射効率が高まる。
【0024】
また、遠赤外線の放射効率を高めるため、容器8h内の空間部に余裕を持たせてセラミック10を充填し、水圧によってセラミック10を攪乱するようにした場合でも、七面以上の平面で囲まれる多面体であるため、角部等が損傷しにくくなり、また、六面体である場合などに較べて水圧の圧損が生じにくい。
【0025】
一方、セラミック10の釉薬uを塗布していない箇所からは、酸化していく血液を還元させ人体にできる活性酸素などのフリーラジカルを減少させる効果を得ることができる。
【0026】
以上のような構成により、本セラミックを、特に飲み水や植物育成用の水の浄水用として使用すれば、極めて効果的に作用させることができる。
【0027】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば、多面体の具体的形状等は例示であり、また、浄水装置1の具体的構成や、特殊フィルタの形態等も例示である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
特に、生体の細胞等に効果的に作用する水を作り出すことができるため、飲み水浄水用として、あるいは植物育成用浄水として広い範囲での利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る浄水装置の一例を示す説明図
【図2】容器内に充填されるセラミックの一例を示す説明図
【図3】セラミック単体の形状の一例を示す説明図
【図4】釉薬の遠赤外線放射率を測定した試験成績表
【符号の説明】
【0030】
1…浄水装置、8…特殊フィルタ、10…セラミック、u…釉薬。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を浄化する浄水装置に組み込まれる浄水装置用セラミックであって、セラミック単体の形状が、七面以上の平面で囲まれる多面体であり、その表面に、波長範囲3.33〜25.42μmにおける遠赤外線積分放射率83%以上の物質が釉薬として塗布されることを特徴とする浄水装置用セラミック。
【請求項2】
前記釉薬は、前記多面体の全表面のうちの一部に塗布され、釉薬の塗布された領域とセラミックの生地が露出する領域とが混在することを特徴とする請求項1に記載の浄水装置用セラミック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−268964(P2009−268964A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121227(P2008−121227)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(508135884)
【Fターム(参考)】