説明

浚渫工法およびクラブバケット

【課題】A型フレームを共通とし、2種類の異なる浚渫ユニットを浚渫船上で交換できるようにする。
【解決手段】A型フレーム11に、シェル12L,12R及びセンターブロック13とが一体になった浚渫ユニットU,U1を、4つの固定ピン17L,17L,17R,17Rを用いて取り付けてなるグラブバケットを用いる。2種類の浚渫ユニットU,U1と、それらに共通の、1つのA型フレーム11とを浚渫船に搭載する。浚渫船のクレーンを用いて、浚渫厚さに応じて、A型フレーム11に取り付ける浚渫ユニットU,U1を交換し、浚渫作業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類のグラブバケットを用いた浚渫工法およびそれに用いるクラブバケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浚渫船などのクレーンから2本の吊支ロープ(図示せず)にて昇降可能に吊り下げられ、A型フレームに左右一対のシェルが開閉可能に設けられたグラブバケットは知られており(例えば特許文献1参照)、そのようなクラブバケットを用いて、河川、湖沼、海域などで、広い面積にわたって、水底土砂をつかみ揚げ、泥倉または舷側の土運船に積載する浚渫工事が行われている。
【0003】
また、浚渫船上には、2種類のグラブバケット(例えば、普通土砂用ライトグラブバケットと硬土盤用ヘビィーグラブバケット)が搭載され、使用用途に応じて使い分けるようにしたものは知られている。その場合には、浚渫船上で、グラブバケット全体を、使用用途に応じて交換するようにしている。
【0004】
そのようなグラブバケットは、シェルの磨耗及び破損等した場合に、磨耗及び破損等したシェルだけを新品のシェルに交換するようにしている。その交換作業は陸上にて陸上クレーン2台を用いて実施され、グラブバケット全体の分解を行い、再度組み上げる、といった作業で、シェルだけを交換している。
【0005】
そのようなシェルの交換作業は、具体的には、図7(a)〜(j)に示すように行われている。即ち、図7(a)に示すように、A型フレーム11と、シェル12L’,12R’が回転軸16を介して開閉可能にセンターブロック13に支持されてなる浚渫ユニットUとを連結している固定ピン(図1の4つの固定ピン17L,17L,17R,17R)を4箇所外し、シェル12L’,12R’が開放された状態で浚渫ユニットUを地上の架台C’に残して、A型フレーム11だけを第1のクレーンCR1にて上方に吊り上げる。このとき、A型フレーム11と、浚渫ユニットUが緩衝しないように第2のクレーンCR12で吊り上げ補助を行う。
【0006】
図7(b)に示すように、2台のクレーンCR1,CR12を用いて、A型フレーム11を仮置きできるように90度回転させ、図7(c)に示すように、A型フレーム11を地上の架台D上に仮置きする。
【0007】
続いて、図7(d)に示すように、シェル12L’,12R’をセンターブロック13に開閉可能に連結する連結ピンとしての機能している回転軸16を外し、シェル12L’,12R’だけを地上に残し、クレーンCR12にてセンターブロック13を上方に吊り上げる。
【0008】
それから、図7(e)に示すように、クレーンCR1を用いて、取り替える片方のシェル(新品シェル)12Rを別の架台C上に置き、図7(f)に示すように、この架台C上に置いたシェル12Rにもう片方のシェル12L(新品シェル)を重ね置く。
【0009】
それから、図7(g)に示すように、シェル12L,12Rにセンターブロック13を位置合わせして置き、それから、図7(h)に示すように、シェル12L,12Rとセンターブロック13との回転軸16を連結ピンとして取り付ける。
【0010】
その後、図7(i)に示すように、A型フレーム11を吊り降ろし、A型フレーム11がシェル12L,12Rに緩衝しないように2つのクレーンCR1,CR12を使用しつつ、A型フレーム11と片方のシェル12Rの固定ピンを取り付ける。それから、図7(j)に示すように、クレーンCR12を使用しつつ、A型フレーム11の微調整を行いつつ、もう片方のシェル12Lの固定ピンを取り付ける。
【0011】
その作業も2台の陸上クレーンを使い、2台のクレーンの組み合わせは、陸上のクレーン2台である。陸上クレーン1台、海上クレーン各々1台ずつ用いることも考えられるが、海象状況により陸上クレーンと海上クレーンの連携が取りにくく、安全性に欠ける。また、そのようなシェルの交換作業は、海上の浚渫船上では実施されていない。
【0012】
ところで、近年の浚渫工事は、航路や泊地の維持を目的とした浚渫工事が多く、1つの工事の中で、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫の区域や、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫の区域が混在している場合がある。また、航路・泊地浚渫は、近隣のコンテナ埠頭の稼働状況によっては日々施工厚さの違う場所に移らなければならない。
【0013】
また、最近は、薄層の仕上げを想定した1m浚渫厚さ対応のグラブバケット『A』と0.5m浚渫厚さ対応のグラブバケット『B』が存在している。次の表1に示すように、浚渫厚さに応じて、最適なグラブバケットが異なる。
【0014】
【表1】

※1:掘ることはできるが、半分は水を掬うことになる。バケット『B』に比べて掘削量が減少するので、時間がかかる。余分に水を掬うことは濁水を生む原因となり、環境汚染につながる。
※2:掘ることはできるが、2回に分けて掬わなければならない。バケット『A』に比べて時間が2倍程度の時間を要する。
【0015】
以上のことから、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫用のクラブバケットと、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫用のクラブバケットとを2種類一緒に保有するようにすれば、浚渫厚さに応じてクラブバケットを交換することで、作業効率が向上すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3884028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫用のクラブバケットと、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫用のクラブバケットとを2種類一緒に保有するようにすれば、費用が2倍かかる。また、A型フレームを有するため、保有場所には高さ方向に大きなスペースを必要とする。
【0018】
そこで、発明者は、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫用の浚渫ユニットと、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫用の浚渫ユニットとでは、A型フレームを共通化しても、強度的に問題がなく、A型フレームと浚渫ユニットとの固定・固定解除を、4本の固定ピンによってできることに着目し、最適浚渫厚さが異なる2種類の浚渫ユニットと、それらに共通の、1つのA型フレームを保有し、使用用途(浚渫厚さ)に応じて、浚渫ユニットを交換するようにすれば、コストアップを図ることなく、浚渫厚さに応じて、グラブバケットの使い分けができることに着想し、本発明をなしたものである。
【0019】
この発明は、A型フレームを共通とし、2種類の浚渫ユニットを海上の浚渫船上で交換できるようにすることで、効率よく浚渫工事ができる浚渫工法およびそれに用いるクラブバケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1の発明は、A型フレームに、シェル及びセンターブロックとが一体になった浚渫ユニットを固定ピンを用いて取り付けてなるグラブバケットを用いて、浚渫作業を行う浚渫工法であって、2種類の浚渫ユニットと、それらに共通のA型フレームとを保有し、浚渫厚さに応じて、前記A型フレームに取り付ける浚渫ユニットを交換し、浚渫作業を行うことを特徴とする。
【0021】
このようにすれば、2種類の浚渫ユニットと、それらに共通のA型フレームとを保有するだけであるので、2種類のクラブバケットを保有する場合に比べて、コスト面で有利となる。また、浚渫ユニットだけの交換なので、新品シェル交換のように陸上で一旦分解して再度組み立てるような手間をなくすことができ、1台のクレーンの作業で足りるので、浚渫船上で交換することができる。また、浚渫ユニットのみの交換なので、陸上での新品シェルの交換に要する時間の半分程度の時間で、交換することができる。
【0022】
前述したような新品シェルの交換作業の場合は、グラブバケット自体の解体作業、再組立作業が必要であったが、浚渫ユニットの交換作業の場合には、グラブバケット自体の解体作業、再組立作業が必要なくなるので、作業が容易になり、簡素化される。また、前述したように、交換作業に要する時間自体もあまり長くならない。
【0023】
このように浚渫ユニットを交換することで、シェルの入れ替えが容易になり、浚渫効率の向上と濁水発生の抑制に寄与することができ、近年の混載した工事(浚渫厚さ)にも臨機応変に対応することができる。
【0024】
この場合、請求項2に記載のように、前記A型フレームは、上部フレームと、この上部フレームの両端部に上端部が連結されるタイロッドと、前記上部フレームに前記タイロッドとの間に隙間を存するように設けられる上部シーブと、この上部シーブに設けられ前記タイロッドとの隙間を調整可能であるアジャスタボルトとを備え、前記浚渫ユニットよりA型フレームを分離する際には、前記アジャスタボルトを前記隙間を維持するように突出させる一方、前記浚渫ユニットを前記A型フレームに取り付けている際には、前記アジャスタボルトを収納し、前記隙間を維持させるようにすればよい。
【0025】
このようにすれば、容易に浚渫船上で2種類のシェルを交換して浚渫作業を効率よく行うことができる。特に、A型フレームを分離する際には、前記上部フレームに前記タイロッドとの間の隙間を維持するようにアジャスタボルトを突出させるので、交換する浚渫ユニットにA型フレームを連結する際の位置合わせも容易となる。
【0026】
請求項3に記載のように、前記センターブロックは、取付穴が設けられた回り止めプレートを有する一方、前記シェルに、前記取付穴に対応してねじ穴を有し、前記浚渫ユニットより前記A型フレームを分離する際には、前記取付穴を通じて前記ねじ穴にボルトをねじ込みそれらを固定する一方、前記浚渫ユニットを前記A型フレームに取り付ける際には、前記ボルトを取り外すことが望ましい。
【0027】
このようにすれば、前記浚渫ユニットより前記A型フレームを分離する際に、シェルに対しセンターブロックが倒れるのを防止することができる。
【0028】
請求項4に記載のように、前記2種類の浚渫ユニットは、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫用のものと、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫用のものとすることができる。
【0029】
このようにすれば、1つの工事の中で、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫の区域や、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫の区域が混在していても、2種類の浚渫ユニットを適宜交換して、浚渫作業を効率よく行うことができる。
【0030】
前述した浚渫工法に用いるグラブバケットは、次の請求項5,6に記載のように構成することができる。つまり、請求項5のグラブバケットは、A型フレームに、シェル及びセンターブロックとが一体になった浚渫ユニットを固定ピンを用いて取り付けてなり、浚渫厚さに応じて交換して浚渫作業を行うグラブバケットであって、前記A型フレームは、上部フレームと、この上部フレームの両端部に上端部が連結されるタイロッドと、前記上部フレームに前記タイロッドとの間に隙間を存するように設けられる上部シーブと、この上部シーブに設けられ前記タイロッドとの隙間を調整可能であるアジャスタボルトとを備えることを特徴とするものである。そのようなものにおいて、請求項6に記載のように、前記センターブロックは、取付穴が設けられた回り止めプレートを有する一方、前記シェルに、前記取付穴に対応してねじ穴を有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上記のように、2種類の浚渫ユニットと、それらに共通のA型フレームとを保有するだけであるので、2種類のクラブバケットを保有する場合に比べて、コスト面で有利となり、浚渫ユニットのみの交換なので、陸上での新品シェルの交換に要する時間の半分程度の時間で、交換することができる。また、2種類のクラブバケットを保有する場合に比べて、保有場所には高さ方向に大きなスペースを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)(b)は本発明に係る浚渫工法に用いるグラブバケットの一例を示す正面図及び側面図である。
【図2】図1(b)のA部詳細図である。
【図3】図1(a)のB部を拡大して示し、(a)は通常使用時の状態を示す図、(b)(c)はユニット交換時の状態を示す図である。
【図4】図1(a)のX部詳細図である。
【図5】図1(b)のY部を拡大して示し、(a)は通常使用時の状態を示す図、(b)はユニット交換時の状態を示す図である。
【図6】(a)〜(d)は浚渫工法の説明図である。
【図7】(a)〜(j)はそれぞれ従来の、新品シェル交換の手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0034】
図1(a)(b)に示すように、クラブバケット1は、浚渫船のクレーンの2本の吊支ロープにて吊り下げられるA型フレーム11と、そのA型フレーム11の下側に左右一対のシェル12L,12Rおよびセンターブロック13(下部フレーム)が取り付けられている。A型フレーム11は、前記2本の吊支ロープに吊環14a,14aを介して連結される上部フレーム14と、この上部フレーム14の両端部に上端部が連結されるタイロッド15L,15Rとを備える。
【0035】
センターブロック13にはシェル12L,12Rの中央部が回転軸16,16を介して回転可能に軸支されている。シェル12L,12Rの外側ブラケット部12a,12aは、図2に示すように、4つの固定ピン17L,17L,17R,17Rを介して、タイロッド15L,15Rの下端部に連結されている、具体的には図2に示すように、タイロッド15Rの、下方に突出する下側凸片部15Raが、シェル12Rより上方に突出する1対の連結片部12Rb,12Rbの間に挿入され、連結片部12Rb,12Rbのボス部12Rc,12Rcおよび下側凸片部15Raの貫通穴15Rbを貫通して固定ピン17Rが設けられ、突出した部分に固定具21が設けられて固定されるようになっている。センターブロック13とシェル12L,12Rとは回転軸16,16を介して連結され、4つの固定ピン17L,17L,17R,17Rを取り外すことでA型フレーム11から分離することが可能な浚渫ユニットUとなっている。つまり、浚渫ユニットUは、構成要素として、センターブロック13と、シェル12L,12Rと、回転軸16,16とを備える。
【0036】
そして、上部フレーム14には上シーブ18L,18Rが回転可能に軸支されている。センターブロック13には下シーブ19が回転可能に軸支されている。上シーブ18L,18Rと下シーブ19との間にシェル開閉用の開閉ロープ(図示せず)を掛け回してシェル12L,12Rを開閉可能なるようにしている。
【0037】
この上部シーブ18Lは、図3(a)に示すように、溶接により取り付けられた複数のナット18Laを有し、この各ナット18Laに対してアジャスタボルト22がねじ込まれ、アジャスタボルト22の先端部をナット18Laから突出させてそれの先端部をタイロッド15Lに接触させることで、A型フレーム11を分離した状態でも上部シーブ18Lとタイロッド15Lとの間に一定の隙間Sを保持できるようになっている。なお、上部シーブ18Rにも、同様な構造でもって、アジャスタボルトが設けられ、A型フレーム11を分離した状態でも上部シーブ18Rとタイロッド15Rとの間に一定の隙間を保持できるようになっている。
【0038】
そして、浚渫ユニットU(シェル12L,12Rおよびセンターブロック13、回転軸16,16)をA型フレーム11に取り付けた状態である施工時においては、図3(a)に示すように、アジャスタボルト22の先端部を突出させることなく上シーブ18L内にアジャスタボルト22を収納し、上部シーブ18L,18Rとタイロッド15L,15Rとの間に一定の隙間Sを形成する。このような隙間Sを設けているのは、各部材を連結および固定しているピンとピン穴との間にはクリアランスがあることから、隙間Sを緩衝スペースとして機能させるためである。一方、浚渫ユニットUよりA型フレーム11を分離するユニット交換時には、図3(b)(c)に示すように、アジャスタボルト22を回して徐々に突出させて先端部をタイロッド15L,15Rに接触させ、A型フレーム11を分離した状態でも、上部シーブ18L,18Rとタイロッド15L,15Rとの間の隙間Sを、前記施工時と同様に保持するようにする。これにより、再び連結する際にA型フレーム11と浚渫ユニットUとの位置合わせが容易となるようにする。
【0039】
また、センターブロック13には、図4及び図5(a)に示すように、下方に突出し取付穴13Aaを有する回り止めプレート13Aが設けられ、この回り止めプレート13Aの取付穴13Aaに対応して、一方のシェル12Rの上部にはねじ穴12aが形成されている。これにより、浚渫ユニットの交換の際に、図5(b)に示すように、取付穴13Aaを通じてねじ穴12aにボルト23をねじ込んで回り止めプレート13A(センターブロック13)とシェル12Rとを固定することで、前記開閉ロープを取り外しても、センターブロック13が倒れないようにすることができる。
【0040】
続いて、浚渫船上での、浚渫ユニットU,U1の交換手順について説明する。
(工程1)
まず、例えば浚渫船の架台C上に載置されている交換しようとする浚渫 ユニットU(例えば、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫に対応したセミワイドシェル)について、図6(a)に示すように、アジャストボルト22を突出させて、一定の隙間Sを保持させると共に(図3(c)参照)、浚渫ユニットUが倒れないようにボルト23を取付穴13Aaを通じてねじ穴12aにボルト23をねじ込んでそれらを固定する(図5(b)参照)。それから、4本の固定ピン17L,17L,17R,17Rを引き抜くと共に、シェル開閉用の開閉ロープを取り外す。これにより、A型フレーム1と浚渫ユニットUとの連結が解除される。
(工程2)
図6(b)に示すように、浚渫ユニットUを地上に残して、浚渫船のクレーンCR3にて、A型フレーム11を吊り上げる。つまり、A型フレーム11と浚渫ユニットUとを分離させる。
(工程3)
図6(c)に示すように、クレーンCR3にてA型フレーム11を吊り上げた状態で、クレーンCR3にてA型フレーム11を、交換しようとする別の浚渫ユニットU1(例えば、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫に対応したワイドシェル)の上方に移動させる。
(工程4)
図6(d)に示すように、A型フレーム11を、交換しようとする別の浚渫ユニットU1の上方に移動させた後、浚渫ユニットU1に向けて降ろし、A型フレーム11と浚渫ユニットUとの位置合わせを行って、4本の固定ピン17L,17L,17R,17Rを所定箇所に挿入して、A型フレーム11と浚渫ユニットU1とを連結し、シェル開閉用の開閉ロープを取り付けて、次の浚渫工事の浚渫厚さに適するグラブバケットとする。
【0041】
そして、ボルト23を取り除くと共に、アジャスタボルト22を上シーブ18L,18R内に収納し、上部シーブ18L,18Rとタイロッド15L,15Rとの間に、緩衝スペースとして一定の隙間Sを形成する(図3(a),図5(a)参照)。
【0042】
上記浚渫工法によれば、浚渫船上に、2種類の浚渫ユニットU,U1と1つのA型フレーム11を保有するだけであるので、2種類のクラブバケット全体を交換する場合に比べて、A型フレームを1つ省略することができ、コストダウンが図れる。それに加えて、シェルの交換であっても、従来の新品シェルの交換作業のように、陸上で2台のクレーンを用いて、一旦分解して再度組み立てるような作業を行わないので、交換に要する作業時間も短時間でよく、作業の簡素化を図ることができる。特に、固定ピン17L,17Rによる固定解除・固定による浚渫ユニットのみの交換時間なので、新品シェルとの交換に要する時間の半分程度の時間で、交換することができる。
【0043】
また、浚渫船上で、浚渫船搭載のクレーンCR3を用いて、簡単に交換ができるので、作業性にも優れる。このように、浚渫ユニットの交換(シェルの入れ替え)を容易にするので、浚渫効率の向上(余堀り低減)と濁水発生の抑制(水質汚濁防止)に寄与するすることができ、1つの工事の中で、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫の区域や、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫の区域が混在している場合であっても臨機応変に対応することができる。
【符号の説明】
【0044】
U,U1 浚渫ユニット
CR3 浚渫船のクレーン
1 クラブバケット
11 A型フレーム
12L,12R シェル
12a ねじ穴
13 センターブロック
13A 回り止めプレート
13Aa 取付穴
14 上部フレーム
15L,15R タイロッド
16 回転軸
17L,17R 固定ピン
22 アジャスタボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A型フレームに、シェル及びセンターブロックとが一体になった浚渫ユニットを固定ピンを用いて取り付けてなるグラブバケットを用いて、浚渫作業を行う浚渫工法であって、
2種類の浚渫ユニットと、それらに共通のA型フレームとを保有し、
浚渫厚さに応じて、前記A型フレームに取り付ける浚渫ユニットを交換し、浚渫作業を行うことを特徴とする浚渫工法。
【請求項2】
前記A型フレームは、上部フレームと、この上部フレームの両端部に上端部が連結されるタイロッドと、前記上部フレームに前記タイロッドとの間に隙間を存するように設けられる上部シーブと、この上部シーブに設けられ前記タイロッドとの隙間を調整可能であるアジャスタボルトとを備え、
前記浚渫ユニットより前記A型フレームを分離する際には、前記アジャスタボルトを前記隙間を維持するように突出させる一方、前記浚渫ユニットを前記A型フレームに取り付けている際には、前記アジャスタボルトを収納し、前記隙間を維持させる請求項1記載の浚渫工法。
【請求項3】
前記センターブロックは、取付穴が設けられた回り止めプレートを有する一方、前記シェルに、前記取付穴に対応してねじ穴を有し、
前記浚渫ユニットより前記A型フレームを分離する際には、前記取付穴を通じて前記ねじ穴にボルトをねじ込みそれらを固定する一方、前記浚渫ユニットを前記A型フレームに取り付ける際には、前記ボルトを取り外す請求項1または2記載の浚渫工法。
【請求項4】
前記2種類の浚渫ユニットは、浚渫厚さ1m以下の薄層浚渫用のものと、浚渫厚さ0.5m以下の超薄層浚渫用のものである請求項1〜3のいずれか1つに記載の浚渫工法。
【請求項5】
A型フレームに、シェル及びセンターブロックとが一体になった浚渫ユニットを固定ピンを用いて取り付けてなり、浚渫厚さに応じて交換して浚渫作業を行うグラブバケットであって、
前記A型フレームは、上部フレームと、この上部フレームの両端部に上端部が連結されるタイロッドと、前記上部フレームに前記タイロッドとの間に隙間を存するように設けられる上部シーブと、この上部シーブに設けられ前記タイロッドとの隙間を調整可能であるアジャスタボルトとを備えることを特徴とするグラブバケット。
【請求項6】
前記センターブロックは、取付穴が設けられた回り止めプレートを有する一方、前記シェルに、前記取付穴に対応してねじ穴を有する請求項5記載のグラブバケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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