説明

浮上分離装置

【課題】本発明の目的は、高速処理が可能な浮上分離装置を提供することにある。
【解決手段】被処理水中の被処理物質に気泡を付着させ、被処理物質を浮上物として分離する浮上分離装置であって、浮上槽と、前記浮上槽を垂直方向上部および下部に区画する整流板と、前記被処理水を前記浮上槽内に導入する被処理水導入管と、前記被処理水導入管を介して導入される被処理水を前記浮上槽の液面方向に導く流入筒と、前記被処理物質が分離された処理水を前記下部から集水する集水部と、を有し、前記整流板には、前記処理水を通水させる複数の整流孔が形成され、前記流入筒は前記上部に配置され、前記流入筒の一端及び他端は開口され、前記一端の開口部は、前記上部の水平方向の中心部で、前記浮上槽の液面に向かって開口され、前記他端の開口部は、前記整流板に向かって開口され、前記被処理水を放出する前記被処理水導入管の放出口は、前記流入筒内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中の被処理物質に気泡を付着させ、被処理物質を浮上物として分離する浮上分離装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理水中に含まれるSS成分、油分等の被処理物質を除去する方法として、被処理水と気泡とを混合して、浮上槽に供給し、被処理物質に気泡を付着させて浮上槽の液面に浮上させ、被処理物質を分離する浮上処理が知られている。なお、処理効率を上げるために、被処理水を浮上槽に供給する前に、凝集剤を添加して、被処理水中に含まれる被処理物質をフロック化させることも行われている。
【0003】
図3は、従来の浮上分離装置の構成を示す模式図である。この浮上分離装置2において、浮上槽70には、槽体を構成する外周壁72の内側に、下端が槽内中間部に至る内周壁74が外周壁72の内周に沿って設けられている。外周壁72及び内周壁74は円筒形である。外周壁72と内周壁74との間は、内周壁74によって浮上物が進入するのが防止され、処理水が集水される処理水室76が形成されている。浮上槽70内の中央部分には、上部および下部が開放された流入筒78が設けられ、この流入筒78内には、浮上槽70の底部70aの中央から延設され、流入筒78内で開口する被処理水導入管80が設けられている。被処理水導入管80には、浮上槽70外にて被処理水流入管82が接続されている。また、被処理水流入管82には、加圧水流入管84が接続され、ここから加圧タンク等で高圧下で空気が溶解した加圧水が供給されている。
【0004】
浮上分離装置2の運転方法を説明する。例えば、加圧水流入管84を介して、処理水に高圧下において空気を溶解させた加圧水を被処理水流入管82に供給し、加圧水と被処理水が混合された混合液が被処理水流入管82を通り、被処理水導入管80を介し、浮上槽70の流入筒78内に供給される。浮上槽70内では、加圧水中に溶解していた気体が気泡として析出し、被処理水中に含まれる被処理物質に付着し、被処理物質が浮上分離され、浮上槽70の液面に浮上物23として浮上する。そして、被処理物質が除去された処理水は、処理水室76の下端部76aから処理水室76を通り、浮上槽70の外周壁72の上端の越流堰をオーバーフローして調整槽86に供給され、ここに接続されている処理水排出管88により系外に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0115881号明細書
【特許文献2】特開2010−5519号公報
【特許文献3】特開2010−5520号公報
【特許文献4】特開2010−22964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図3に示す浮上分離装置2では、水面積負荷(浮上槽70の水平断面積に対する処理水量(線速度LV))を高くすると(例えば、LV=10〜40m/h)、浮上槽70に供給された被処理水により、浮上槽70の液面が乱れ、浮上物23が沈降するため、高速処理を行うことが難しい。
【0007】
そこで、本発明は、高速処理が可能な浮上分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被処理水中の被処理物質に気泡を付着させ、被処理物質を浮上物として分離する浮上分離装置であって、浮上槽と、前記浮上槽を垂直方向上部および下部に区画する整流板と、前記被処理水を前記浮上槽内に導入する被処理水導入管と、前記被処理水導入管を介して導入される被処理水を前記浮上槽の液面方向に導く流入筒と、前記被処理物質が分離された処理水を前記下部から集水する集水部と、を有し、前記整流板には、前記処理水を通水させる複数の整流孔が形成され、前記流入筒は前記上部に配置され、前記流入筒の一端及び他端は開口され、前記一端の開口部は、前記上部の水平方向の中心部で、前記浮上槽の液面に向かって開口され、前記他端の開口部は、前記整流板に向かって開口され、前記被処理水を放出する前記被処理水導入管の放出口は、前記流入筒内に配置される。
【0009】
また、前記浮上分離装置において、前記被処理物質のうち前記整流板上に沈殿した沈殿物を前記整流孔から下方に排出する整流板スクレーパーを備えることが好ましい。
【0010】
また、前記浮上分離装置において、前記浮上槽の底部は傾斜し、前記底部の傾斜角は60度以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の浮上分離装置では、高速処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る浮上分離装置の構成の一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る浮上分離装置の構成の一例を示す模式上面図である。
【図3】従来の浮上分離装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る浮上分離装置の構成の一例を示す模式断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る浮上分離装置の構成の一例を示す模式上面図である。図1に示す浮上分離装置1は、浮上槽10、排出部12、整流板14、浮上物スキマー16、整流板スクレーパー18、流入筒26、被処理水導入管28、を備える。
【0015】
本実施形態では、整流板14が浮上槽10内に設置され、浮上槽10が垂直方向の上部20a及び下部20bに区画される。整流板14には、処理水が通水する複数の整流孔14aが形成されている。
【0016】
図2に示すように、本実施形態では、浮上槽10の周壁10aは円筒形とされ、浮上槽10の底部10bは中央に向かって低位となるホッパ状とされている。また、図1に示すように、底部10bの中央には、不図示の沈殿物排出口が設けられ、沈殿物排出管19が接続されている。
【0017】
浮上槽10には、集水口10cが設けられ、集水口10cは浮上槽10の下部20b側、すなわち整流板14より垂直方向下方に配置される。
【0018】
浮上槽10には、被処理物質のうち、液面に浮上した浮上物23(いわゆるスカム)を排出するための浮上物ポット24が設けられ、浮上物ポット24には、浮上物排出管44が接続されている。
【0019】
本実施形態では、被処理水導入管28は浮上槽10の下部20bから浮上槽10内に挿入され、整流板14を介して、流入筒26まで延設され、被処理水導入管28の放出口28aが流入筒26内に配置される。なお、本実施形態では、整流板14には、被処理水導入管28を挿入するための挿入孔が設けられている。被処理水導入管28には、被処理水流入管30が接続され、被処理水流入管30には加圧水流入管32が接続されている。
【0020】
本実施形態では、流入筒26は、周壁10a等にフレームなどで固定され、浮上槽10の上部20aに設置される。流入筒26の一端及び他端には開口部(26a,26b)が形成されている。流入筒26の一端の開口部26aは、上部20aの中心部で、浮上槽10の液面に向かって開口している。
【0021】
本実施形態では、排出部12は、処理水取出管38、水位調整槽40、処理水排出管42を備える。処理水取出管38の一端は、浮上槽10に設けられた集水口10cに接続されており、処理水取出管38の他端は、水位調整槽40の入口に接続されている。また、水位調整槽40の出口には処理水排出管42が接続されている。
【0022】
本実施形態の浮上物スキマー16は、羽根、螺旋羽根等のスクレーパー部を有している。本実施形態の浮上物スキマー16は、モータ66に設置されたシャフトに固定されており、モータ66が駆動することにより、浮上物スキマー16が回転する。
【0023】
本実施形態の整流板スクレーパー18は、羽根、螺旋羽根等のスクレーパー部を有している。本実施形態の整流板スクレーパー18は、流入筒26に取り付けられ、モータ66の駆動により、整流板スクレーパー18及び流入筒26は一体に回転する。
【0024】
次に、本実施形態に係る浮上分離装置1による運転方法の一例を説明する。
【0025】
まず、被処理水流入管30から被処理水を流入させると共に、加圧水流入管32から高圧下で気体を溶解させた加圧水を流入させる。加圧水は、処理水の一部を加圧タンクに導入し、ここにおいて高圧下で空気を溶解させて生成する。
【0026】
加圧水流入管32を通る加圧水は、被処理水流入管30を通る被処理水に混合される。被処理水及び加圧水からなる混合液は被処理水流入管30から、被処理水導入管28に供給される。被処理水及び加圧水は被処理水導入管28を介し、被処理水導入管28の放出口28aから流入筒26内に供給される。流入筒26内に供給された被処理水及び加圧水は、流入筒26の一端の開口部26aから浮上槽10の上部20aに流入し、浮上槽10の液面に向かって上昇する。浮上槽10の上部20a(及び流入筒26内)は、大気圧状態であるため、加圧水に溶解していた気体が気泡として析出し、被処理水中の被処理物質(SS成分、油分等)に付着する。そして、気泡が付着した被処理物質は浮上物23として液面上に浮上する。なお、気泡の発生方法としては、上記のように加圧水を用いる方法に制限されるものではなく、その他に、例えば、界面活性剤等の気泡発生剤を被処理水に添加する方法等であってもよい。また、被処理水自体を空気溶解タンクに導入し、ここで被処理水に直接空気を溶解する全量加圧方式を採用してもよい。
【0027】
液面に浮上した被処理物質(浮上物23)は、回転する浮上物スキマー16のスクレーパー部により浮上物23が半径方向外側に移動させられ、浮上槽10に設けられた浮上物ポット24に集められ、浮上物排出管44から排出される。
【0028】
浮上槽10の上部20aで、被処理物質が除去された処理水は、整流板14に設けた整流孔14aを通り、浮上槽10の下部20bに供給される。整流板14を設けることにより、上部20aから下部20bへ流れる処理水の流れが整流されるため、上部20aから下部20bへ流れる処理水の流速は、整流板14の整流効果により、どの場所でもほぼ均一となる。その結果、浮上槽10の上部20a全体を浮上分離処理に使用することが可能となり、効率的に気泡を被処理物質に付着させることができるため、処理能力を向上させることができる。さらに、気泡が付着しても浮上することができない比重の重い被処理物質(沈殿物)や、気泡が十分付着しなかった被処理物質が、上部20aから下部20bへ流れる処理水の流速が速い箇所の底部10bに局所的に沈殿することも抑えられ、底部10b全体に沈殿させることができる。このように、被処理物質の除去において、浮上槽10全体を有効に使用することができるため、装置の小型化、浮上分離槽装置の高速処理が可能となる。
【0029】
また、本実施形態では、流入筒26の他端が開口しているため(開口部26b)、被処理水の一部(整流孔14aを通過しなかった被処理水)は、他端の開口部26bから流入筒26内に流入し、再度、流入筒26の一端の開口部26aから浮上槽10の液面に向かって上昇する。このように、流入筒26を介して、被処理水を浮上槽10の上部20aで循環させることにより、気泡と被処理物質との接触効率を高めることができるため、多くの被処理物質を浮上物23として液面上に浮上させることができる。その結果、被処理物質の処理効率を向上させることができるため、装置の小型化、浮上分離装置の高速処理が可能となる。
【0030】
次に、整流板14に形成された整流孔14aを通って、浮上槽10の下部20bに供給された処理水は、浮上槽10の集水口10cから処理水取出管38を通り、水位調整槽40に供給される。水位調整槽40に設けられた可動堰41の高さを調整することで、浮上槽10における水位を調整でき、浮上槽10の水位が浮上物23の浮上物ポット24への排出に適した水位に調整することが可能となる。そして、処理水が水位調整槽40の出口から処理水排出管42へ排出される。なお、可動堰41を間欠的に上昇させ、これによって浮上槽10内の浮上物23を浮上物ポット24へオーバーフローさせることも可能である。
【0031】
一方、気泡が付着しても浮上することができない比重の重い被処理物質(沈殿物)や、気泡が十分付着しなかった被処理物質は、整流板14上や浮上槽10の底部10bに沈殿する。整流板14に沈殿した沈殿物は、回転する整流板スクレーパー18のスクレーパー部により掻き取られ、整流板14の整流孔14aから排出される。また、浮上槽10の底部10bに沈殿した沈殿物は、沈殿物排出管19から排出される。このようにして、被処理水の処理が行われる。
【0032】
本実施形態で用いられる浮上槽10の周壁10aは、矩形であってもよいが、円筒形であることが好ましい。浮上槽10の周壁10aを円筒状にすることによって、被処理水は流入筒26の一端の開口部26aから放射状に拡がりながら流れる分散流れとなって、浮上槽10の周壁10aに達する。その結果、一端の開口部26aから供給された被処理水の流れは、浮上槽10の周壁10aに到達するまでに緩やかになり、上部20aから下部20bに向かって流れる被処理水の下降流、特に周壁10aに沿って流れる被処理水の下降流も緩やかになる。したがって、急速な下降流によって生じる処理水の水質の悪化は抑制される。
【0033】
本実施形態の流入筒26の一端の開口部26aは、上記でも説明したように、浮上槽10の中心部に配置されることが好ましい。ここで、中心部とは、浮上槽10の水平断面における中心から周壁10aまでの距離に対し、中心から1/3以内の領域である。このように、一端の開口部26aを中心部に設置することにより、被処理水は、放射状に拡がりながら流れる分散流れとなるため、浮上分離装置の水面積負荷(浮上槽10の水平断面積に対する処理水量(線速度LV))を高くしても、浮上槽10の液面が乱れ難くなり、液面に浮上した浮上物23の再沈降を抑制することができる。すなわち、高速処理を行っても処理水の水質悪化を抑制することができる。
【0034】
また、流入筒26の一端の開口部26aが、浮上槽10の液面付近に位置すると、流入筒26の一端の開口部26aから供給される被処理水が液面に噴き上げて、液面を乱し、液面に浮上した浮上物23の再沈降を招く虞があるため、被処理水が液面に噴き上げない程度に、液面から下方に配置されることが好ましい。
【0035】
流入筒26の一端の開口部26aの形状は、特に制限されるものではないが、流入筒26の一端の開口部26aから供給される被処理水が放射状に分散し易くなる点で、浮上槽10において上方に向けてテーパ状に広がっていることが好ましい。
【0036】
また、流入筒26の一端の開口部26a及び他端の開口部26bの水平断面積は、特に制限されるものではないが、流入筒26を流れる被処理水の流速を適切に制御することができる点で、好ましくは浮上槽10の水平断面積の1/30〜1/3の範囲、より好ましくは浮上槽10の水平断面積の1/20〜1/8の範囲とするのがよい。流入筒26の一端の開口部26aの水平断面積が浮上槽10の水平断面積の1/30より小さいと、一端の開口部26aから出る際の被処理水の流速が速くなるため、一端の開口部26aから浮上槽10の周壁10aに向かって流れる被処理水の流速も速くなり、浮上槽10の液面に乱れが生じやすく、液面に浮上した浮上物23の再沈降を招く虞がある。また、浮上槽10の周壁10aに沿って流れる被処理水の下降流も速くなるため、整流板14の全体を有効に利用することができず、その整流効果が減少し、処理水の水質が悪化する可能性がある。また、一端の開口部26aの水平断面積が浮上槽10の水平断面積の1/3より大きいと、浮上槽10の面積を確保することが難しくなり、浮上槽10の水面積負荷が大きくなり、効率的な浮上処理が行えなくなる場合がある。また、他端の開口部26bの水平断面積が浮上槽10の水平断面積の1/30より小さいと、流入筒26を介して循環する被処理水の循環効率が低下し、気泡と被処理物質との接触効率を十分に確保することができない場合がある。また、他端の開口部26bの水平断面積が浮上槽10の水平断面積の1/3より大きいと、浮上槽10の面積を確保することが難しくなり、浮上槽10の水面積負荷が大きくなり、効率的な浮上処理が行えなくなる場合がある。
【0037】
本実施形態では、浮上分離装置1に浮上物スキマー16を必ずしも設置する必要はないが、浮上物23を効率的に排出することができる点で、浮上分離装置1に浮上物スキマー16を設置することが好ましい。浮上物スキマー16は、液面に浮上した浮上物23を掻き寄せることができるものであれば、本実施形態の構成に制限されるものではない。
【0038】
本実施形態では、浮上分離装置1に整流板スクレーパー18を必ずしも設置する必要はないが、整流板14上に堆積する沈殿物を効率的に排出することができるため、メンテナンス回数を減らし、装置の長期連続運転が可能となる点で、整流板スクレーパー18を設置することが好ましい。整流板スクレーパー18は、整流板14に沈殿した沈殿物を掻き取り、整流板14の整流孔14aから下方に落下排出することができるものであれば、本実施形態の構成に制限されるものではない。
【0039】
なお、浮上物スキマー16及び整流板スクレーパー18の回転数は同一でなく、それぞれ異ならせてもよい。しかし、同一回転数とすれば、減速機構等が不要で、駆動機構を簡単にすることができる。
【0040】
本実施形態では、浮上槽10の底部10bは傾斜し、底部10bの傾斜角(図1のR)は60度以上であることが好ましい。一般的に、底部10bに堆積した沈殿物は、モータにより回転する軸に固定され、その軸の回転と共に回転する沈殿物掻き寄せ機により、中央に掻き寄せられ、沈殿物排出管19から排出される。しかし、本実施形態のように、底部10bの傾斜角を60度以上にすることによって、上記のような沈殿物掻き寄せ機を設置しなくても、底部10bに堆積する沈殿物を中央に集め、効率よく沈殿物を沈殿物排出管19から排出させることができる。このように、沈殿物掻き寄せ機の設置が不要になれば、簡易な装置構成により、沈殿物を排出することが可能となる。
【0041】
また、一般的に、沈殿物掻き寄せ機を設置する場合、装置構成を簡略化するため、沈殿物掻き寄せ機を回転させるモータを浮上物スキマー16や整流板スクレーパー18を回転させるモータと共用させ、これらを一体に回転させる。このような場合、例えば、浮上物23の発生量が多く、浮上物スキマー16の回転速度を上げて、浮上物23の排出速度を速めようとすると、沈殿物掻き寄せ機の回転速度も速まるため、底部10bに堆積した沈殿物を巻き上げて、処理水の水質を悪化させる虞がある。しかし、本実施形態のように、底部10bの傾斜角を60度以上にすることによって、沈殿物掻き寄せ機の設置が不要になるため、上記のように底部10bに堆積した沈殿物を巻き上げることによる処理水の水質悪化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0042】
1,2 浮上分離装置、10 浮上槽、10a 周壁、10b 底部、10c 集水口、12 排出部、14 整流板、14a 整流孔、16 浮上物スキマー、18 整流板スクレーパー、19 沈殿物排出管、20a 上部、20b 下部、23 浮上物、24 浮上物ポット、26 流入筒、26a 開口部、26b 開口部、28 被処理水導入管、28a 放出口、30 被処理水流入管、32 加圧水流入管、38 処理水取出管、40 水位調整槽、41 可動堰、42 処理水排出管、44 浮上物排出管、66 モータ、70 浮上槽、70a 底部、72 外周壁、74 内周壁、76 処理水室、76a 下端部、78 流入筒、80 被処理水導入管、82 被処理水流入管、84 加圧水流入管、86 調整槽、88 処理水排出管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水中の被処理物質に気泡を付着させ、被処理物質を浮上物として分離する浮上分離装置であって、
浮上槽と、前記浮上槽を垂直方向上部および下部に区画する整流板と、前記被処理水を前記浮上槽内に導入する被処理水導入管と、前記被処理水導入管を介して導入される被処理水を前記浮上槽の液面方向に導く流入筒と、前記被処理物質が分離された処理水を前記下部から集水する集水部と、を有し、
前記整流板には、前記処理水を通水させる複数の整流孔が形成され、
前記流入筒は前記上部に配置され、
前記流入筒の一端及び他端は開口され、前記一端の開口部は、前記上部の水平方向の中心部で、前記浮上槽の液面に向かって開口され、前記他端の開口部は、前記整流板に向かって開口され、
前記被処理水を放出する前記被処理水導入管の放出口は、前記流入筒内に配置されることを特徴とする浮上分離装置。
【請求項2】
請求項1記載の浮上分離装置であって、前記被処理物質のうち前記整流板上に沈殿した沈殿物を前記整流孔から下方に排出する整流板スクレーパーを備えることを特徴とする浮上分離装置。
【請求項3】
請求項1記載の浮上分離装置であって、前記浮上槽の底部は傾斜し、前記底部の傾斜角は60度以上であることを特徴とする浮上分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−55829(P2012−55829A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201674(P2010−201674)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】