浴室の洗場構造
【課題】洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強を行うことが出来るとともに、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止され、さらに洗場パンの断熱を容易に図ることの出来る浴室の洗場構造を提供する。
【解決手段】樹脂により形成された平板状の洗場パン2と、洗場パン2の下方に配置された補強板3と、補強板3の下面に取り付けられた脚部4とを備え、洗場パン2と補強板3との間には断熱材9が設けられ、断熱材9の貫通孔11に大きな耐荷強度を有する複数のスペーサ5が配置され、高さ調整用脚部4が、スペーサ5に対応する位置に設けられている。
【解決手段】樹脂により形成された平板状の洗場パン2と、洗場パン2の下方に配置された補強板3と、補強板3の下面に取り付けられた脚部4とを備え、洗場パン2と補強板3との間には断熱材9が設けられ、断熱材9の貫通孔11に大きな耐荷強度を有する複数のスペーサ5が配置され、高さ調整用脚部4が、スペーサ5に対応する位置に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観に不良が生じることなく洗場の補強を行うことが出来るとともに、断熱を容易に図ることの出来る浴室の洗場構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室洗場の床を構成する樹脂製の洗場パンとして、その下面に格子状のリブが設けられたものがある(特許文献1)。このような洗場パンは、シートモールディングコンパウンド法等によって成形され、前記リブが設けられていることで上下に撓まないように補強されたものとなっている。
【特許文献1】特開2005−42339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記リブを洗場パンに設けた場合には、洗場パンの形状が複雑になるために洗場パンの成形が困難になるとともに、洗場の重量が重くなる。また、リブを洗場パンに設けると、ヒケ等により洗場パンの表面の見栄えが損なわれることがある。さらに、洗場パンの断熱性を保つために、リブの各格子内側に断熱材を装着したり、洗場パンの下面に発泡樹脂等の吹き付けを行ったりする場合には、多大な手間を要する。
【0004】
そこで本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強を行うことが出来るとともに、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止され、さらに洗場パンの断熱を容易に図ることの出来る浴室の洗場構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、樹脂により形成された平板状の洗場パンと、該洗場パンの下方に配置された補強板と、該補強板の下面に取り付けられた複数の脚部と、前記洗場パンと前記補強板との間に設けられた断熱材と、前記洗場パンと前記補強板との間に配置された複数のスペーサとを備え、前記スペーサは、前記脚部に対応する位置に設けられ、前記洗い場パン、前記スペーサ、前記補強板及び前記脚部を一体に連結する連結部材を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記連結部材は、前記脚部、前記補強板及び前記スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される三部材貫通螺子を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3において、前記連結部材は、該補強板及び該スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される二部材貫通螺子を有することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記スペーサの上面及び下面には、互いに対応する位置に凹部が形成されているとともに、前記スペーサには、前記上面側の凹部と前記下面側の凹部とを繋ぐ上下方向の貫通孔が形成され、前記補強板には、前記スペーサの下面の凹部に対応する位置に貫通孔が形成され、前記脚部には、前記補強板の貫通孔を通って、前記スペーサの下面の凹部に嵌合する脚部側突出部が形成され、前記洗場パンには、前記スペーサの上面の凹部に嵌合する洗場パン側突出部が形成され、前記脚部側突出部と前記洗場パン側突出部とには、前記スペーサの貫通孔と同軸上に配置された孔がそれぞれ形成され、 前記三部材貫通螺子は、前記脚部側突出部の孔、前記スペーサの貫通孔、及び前記洗場パン側突出部の孔を通って、前記洗場パン側突出部の孔に形成されたネジ部に螺合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1つにおいて、前記洗場パンは、バルクモールディングコンパウンド又はシートモールディングコンパウンドで成形したものであることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1つにおいて、前記脚部は、高さ調整部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、補強板に洗場パンが平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側に補強用リブを設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パンの重量を軽くすることが出来る。これにより、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0013】
また、洗場パンと補強板との間で、脚部に対応する位置に耐荷強度の大きなスペーサが配置されていることから、洗場パンから荷重がかかった際に、洗場パンにかかる荷重がスペーサを介して補強板に伝えられ、補強板で受けられる。これにより、断熱材が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材による断熱効果は確実に発揮される。
【0014】
また、洗場パンが平板状を呈していることから、洗場パンの表面にヒケ等の外観不良が生じることが防止され、また洗場パンと補強板との間に断熱材を容易に設置出来るため、洗場パンの断熱を図ることが容易になる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記洗場パンと前記補強板との間が有効に利用される。
【0016】
請求項3の発明によれば、前記三部材貫通螺子によって、前記洗場パン、高さ調整用脚部、前記補強板及び前記スペーサを押圧固定するようにしたことから、洗場を組み立てるために必要となる締結部材の数が少なくなる。これにより、材料コストの低減を図ることが出来るとともに、洗場の組み立てが容易になる。また前記三部材貫通螺子による締結により、前記洗場パンと前記補強板とは互いに近づくように連結されることから、前記断熱材は、前記洗場パンと前記補強板との間に緊密に挟持される。
【0017】
請求項4の発明によれば、前記三部材貫通螺子の締結作業を行う前に、前記二部材貫通螺子により前記洗場パンと補強板とスペーサとを固定しておくことで前記三部材貫通螺子を通す貫通孔の位置決めをしておくことが出来るので、前記三部材貫通螺子の締結作業が容易になる。これにより、さらに洗場の組み立てが容易になる。また、前記二部材貫通螺子によって洗場パンと補強板とスペーサとはさらに強固に固定されるとともに、断熱材は、洗場パンと補強板との間にさらに一層緊密に挟持されるようになる。
【0018】
請求項5の発明によれば、前記洗場パン側突出部をスペーサの上面の凹部に嵌合させるとともに、補強板の貫通孔を通した脚部側突出部をスペーサの下面の凹部に嵌合させておくことで、前記脚部側突出部の孔、前記スペーサの貫通孔、及び前記洗場パン側突出部は同軸上に配置された状態になる。これにより、三部材貫通螺子の締結作業に先立ち、上述した嵌合作業を行っておくことで、洗場パンとスペーサ、スペーサと補強板の位置決めが確実に行われるので、前記三部材貫通螺子の締結作業は容易になる。
【0019】
請求項6の発明によれば、洗場パンから補強用リブを廃止できるので、シートモールディングコンパウンドやバルクモールディングコンパウンドで洗場パンを成形した際に、表面にヒケが出来ることが防止され、表面の美観が向上する。特に、表面のヒケの問題が発生しないので、バルクモールディングコンパウンドの材料が有する深み、透明感、高級感のある外観が活かされた洗場パンを得ることができる。
【0020】
そして、洗場パンの裏面側に補強用リブを設けることを廃止できることによって、洗場パンの下側(裏面側)に平板状の断熱材と補強板とを積層することができ、洗場の剛性を高められる。そのことによって、シートモールディングコンパウンドやバルクモールディングコンパウンドによって形成する洗場パンの板厚を従来の板厚よりも薄くして洗場の軽量化を図ることが出来る。また、シートモールディングコンパウンドには、バルクモールディングコンパウンドに比べて長繊維のガラス繊維が含まれ、またその含有量も高いために、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合には、バルクモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合に比して薄い板厚で同等の剛性を得ることが出来る。このため、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成することで、洗場パンの板厚をさらに一層薄くすることが出来るため、洗場の重量はさらに軽くなる。
【0021】
請求項7の発明によれば、浴室の設置面に対して、脚部の高さを容易に調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の洗場1の分解斜視図であり、洗場1を構成する部材を上下に分解した状態を示し、(a)は該分解した状態を斜め上方から視た図であり、(b)は該分解した状態を斜め下方から視た図である。また、図2は後述の洗場パン2の拡大図であり、(a)は洗場パン2の平面図、(b)は(a)における下方から視た洗場パン2の側面図、(c)は(a)における右方から視た洗場パン2の側面図である。
【0024】
洗場1は、樹脂により形成された洗場パン2と、該洗場パン2の下方に配置された鋼板製の補強板3と、該補強板3の下面6に取り付けられた4つの高さ調整用脚部4とを備え、該高さ調整用脚部4を浴室の設置面上に立設して使用される。
【0025】
洗場パン2は、バルクモールディングコンパウンドをプレス加工することによって、深み、透明感、高級感のある大理石調の柄模様を表出させたものであって、平面矩形の平板状に形成されている。洗場パン2の幅方向一端側における中央には、下方に陥没した陥没部7が設けられている。該陥没部7の底部中央には、洗場パン2の上面10に落下した水を排水するための排水口8が形成されており、洗場パン2の上面10は陥没部7に向けて低くなるように傾斜している。なお洗場パン2は、シートモールディングコンパウンドをプレス加工することによって形成したものを用いることも出来る。
【0026】
補強板3は、平面形状が洗場パン2と略同じ大きさの平板状に形成されており、洗場パン2と補強板3との間には、発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等からなる断熱材9と、該断熱材9よりも大きな耐荷強度を有する樹脂製の4つのスペーサ5とが配置されている。
【0027】
断熱材9は、平面形状が洗場パン2及び補強板3と略同じ大きさの平板状に形成されている。断熱材9には洗場パン2の4隅の各々に対応する位置に上下方向の貫通孔11が形成されて、各貫通孔11内にスペーサ5が1つずつ配置されている。そして、スペーサ5の上面12と断熱材9の上面21とが洗場パン2の下面13に接し、スペーサ5の下面14と断熱材9の下面27が補強板3の上面15に接触するように配設され、スペーサ5によって、確実に洗場パン2の荷重を受けると共に、断熱材9によって確実に断熱できるようになっている。
【0028】
また、この第1の実施形態では、スペーサ5は、4角に設けた各高さ調整用脚部4に対応する位置で、補強板9と洗場パン2との間に設けられている。しかし、洗場パンが大きくて4角位置のスペーサ5だけでは洗場パン2を安定して確実に保持できない場合には、例えば、4角位置以外で補強を必要とする部位にスペーサ5を追加設置しても良い。この場合、補強したい部位に追加したスペーサ5の下位置には必ずしも脚部4を設けなくても良い。
【0029】
なお、第1の実施形態において、断熱材9と補強板3とが洗場パン2の略全体の下方に設けられているので、断熱材9が洗場パン2の荷重を受ける強度を有するようにすれば、洗場パン2のいずれの位置から荷重が負荷されたとしても、該荷重を断熱材9或いはスペーサ5を介して補強板3に伝達して支持するようにすることもできる。その場合には、洗場パンを更に薄く、軽量化することができる。
【0030】
また、断熱材9と補強板3とには、幅方向一端側の中央に、洗場パン2の陥没部7を嵌め込むための切り欠き33,34が形成されている。
【0031】
図3は洗場1の組付方法を示す分解斜視図であり、図4は図3のA−A線断面図であり、図5は図3のB−B線断面図である。なお図3では便宜のために断熱材9の図示を省略している。
【0032】
図4,5に示すように、高さ調整用脚部4は、樹脂製の本体部16と、金属製の筒部材17と、六角ボルト18と、ナット19とから構成されている。
【0033】
本体部16は、上下方向に延びた中空部材であり上方になるにつれて外径が拡大するコーン部77と、コーン部77の大径側端部(上端部)21の周縁から外向きに延びたフランジ22とから構成されている。
【0034】
図3に示すように、フランジ22の外縁は、平面矩形状を呈しており、該フランジ22の各隅には上下方向の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23は、高さ調整用脚部4を補強板3の下面85に取り付けるために使用されるものであって、補強板3には各貫通孔23に対応する位置に上下方向の貫通孔27が形成されている。また、スペーサ5の下面14には、貫通孔23,27に通したビス26の螺子部先端が締結される螺子孔28が、貫通孔23,27に対応する位置、すなわちスペーサ5外周の各辺における中央近傍に形成されている。
【0035】
高さ調整用脚部4におけるコーン部77の側面には、4つの補強用リブ24が周方向に等しい間隔をおいて形成されている。これらの補強用リブ24は、コーン部77の側面の上下端に亘って形成されたものであって、上側になるにつれて幅広となる断面三角状を呈し、図3に示すように、各補強用リブ24の上端は、フランジ22外縁をなす4辺のうち対応する辺の中央に向けて延びている。
【0036】
筒部材17は、コーン部77の小径側端部25(下端部)の内側にインサート成形により取り付けられたものであって、筒部材17の内面には雌螺子が形成されて六角ボルト18の螺子部先端が螺着されている。なお、筒部材17は、コーン部77の小径側端部25内に圧入されて取り付けられてもよい。筒部材17に対して六角ボルト18の捩じ込み量を調整することで、高さ調整部を構成している。
【0037】
ナット19は、筒部材17の下方において六角ボルト18の螺子部中間に螺合しており、上面がコーン部77下端に当接することで六角ボルト18の回動を規制し、調整した高さ調整が変動することを防止している。
【0038】
スペーサ5には、その下面14の各隅に凹部29(図3,5参照)が形成されているとともに、該凹部29の底面から上方に延びてスペーサ5の上面12に開口した貫通孔78(図4参照)が形成されている。該貫通孔78は、スペーサ5を洗場パン2に固定させるビス79を通すためのであって、洗場パン2の下面13には、ビス79の螺子部先端を締結させるためのボス32が、貫通孔78に対応する位置に形成されている。なお、該ビス79によってスペーサ5が洗場パン2に固定された状態では、図4に示すように、ビス79の頭部は凹部29内に収容されるようになっている。第1の実施形態では、ビス26とビス79が、洗場パン2、スペーサ5、補強板3、脚部4を一体に連結する連結部材を構成している。なお、ビス79の頭部と補強板3の上面15とは接してないが、ビス79の頭部と補強板3の上面15とは接するようにして、ビス79が緩まないようにしても良い。
【0039】
次に、本実施形態における洗場1を組み立てる工程について説明する。
【0040】
まず、洗場パン2をスペーサ5の取り付け側(洗場1が浴室内に設置された状態における洗場パン2の下面13側)が上になるように作業場に載置する。
【0041】
次いで、洗場パン2の各隅に1つずつスペーサ5を取り付ける。この際には、スペーサ5の貫通孔78(図4参照)とボス32の螺子孔82とが同軸上に位置するようにスペーサ5の位置を調整した状態で、凹部29から貫通孔78に通したビス79の先端を、ボス32の螺子孔82に締結する。なお、この作業が完了した際には、ボス32の先端がスペーサ5に接することで、洗場パン2とスペーサ5との間にボス32の高さ分の隙間が生じている。
【0042】
次いで、洗場パン2の上に断熱材9を重ねる。この際には、断熱材9の各貫通孔11(図1参照)内に一つずつスペーサ5が配置されるとともに、断熱材9の切り欠き33に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるように、断熱材9の位置を調節する。
【0043】
次いで、断熱材9の上に補強板3を重ねる。この際には、補強板3の切り欠き34(図1参照)に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるとともに、補強板3の各隅において、スペーサ5の螺子孔28と補強板3の貫通孔27とが同軸上に位置するように、補強板3の位置を調節する。
【0044】
次いで、高さ調整用脚部4を組み立てる。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が所定長となるように、六角ボルト18の螺子部中央にナット19を取り付けた後に、ナット19の上面がコーン部77の下端に接するまで六角ボルト18の螺子部先端を筒部材17の内側に螺着させる。
【0045】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部4を、補強板3の各隅に順次取り付ける。この際には、高さ調整用脚部4の貫通孔23が補強板3の貫通孔27と同軸上に位置するように高さ調整用脚部4の位置を調節した状態で、ビス26の螺子部を高さ調整用脚部4側から貫通孔23,27に通して、ビス26の螺子部先端をスペーサ5の螺子孔28に締結する。この結果、洗場1が組み立てられる。
【0046】
そして以上のように組み立てられた洗場1は、六角ボルト18の頭部を浴室の設置面上に載置することによって、該浴室内に配置される。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が調整されていることから、洗場パン2は所定の高さに保持された状態になっている。なお、六角ボルト18とナット19とをコーン部77に仮組みした状態で高さ調整用脚部4を洗場に組み付けた後、前記長さLを調整することで、洗場パン2の高さ調整を行うようにしてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、洗場パン2が平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側に補強用リブを一体に設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パン2の重量を軽くすることが出来る。そして、洗場パン2からの荷重がスペーサ5を介して補強板3に伝達されるので、洗場パン2からの荷重を補強板3に受け支えさせることができる。これにより、洗場の重量増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0048】
また、洗場パン2と補強板3との間に耐荷強度の大きなスペーサ5が配置され、該スペーサ5に対応する位置(スペーサ5の下方)に高さ調整用脚部4が設けられていることから、洗場パン2から荷重がかかった際に洗場パン2と高さ調整用脚部4との間に洗場パン2と高さ調整用脚部4とから上下方向の圧縮力が負荷されたとしても、洗場パン2と補強板3との間は一定に保たれる。これにより、断熱材9が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材9による断熱効果は確実に発揮される。
【0049】
また、洗場パン2に補強用のリブを設けずに洗場パン2を平板状に形成したことから、洗場パン2の表面にヒケが生じることが防止される。
【0050】
また、洗場パン2から補強用のリブを廃止して洗場パン2の表面にヒケが生じることを防止したことから、バルクモールディングコンパウンドの材料が有する深み、透明感、高級感のある外観が活かされるとともに、洗場パン2の下側(裏面側)に断熱材9と補強板3とを積層することで洗場1の剛性を高めることができるので、バルクモールディングコンパウンドによって形成する洗場パン2の板厚を従来の板厚よりも薄くして洗場の軽量化を図ることが出来る。
【0051】
また同じく洗場パン2が平板状を呈していることから、洗場パン2と補強板3との間に断熱材9を容易に設置出来るため、洗場パン2の断熱を図ることが容易になる。
【0052】
また、スペーサ5が断熱材9に形成された上下方向の貫通孔11内に設けられていることから、洗場パン2と補強板3との間が有効に利用される。
【0053】
また、洗場パン2の下面13にボス32を設け、このボス32内部にビス79の螺子部を締結するようにしたことから、洗場パン2の本体部に、前記ビス79の螺子部が貫入することが防止される。これにより、洗場パン2の本体部の厚さを薄くすることが出来るとともに、バルクモールディングコンパウンドの外観の良さが失われない。
【0054】
なお本実施形態では、図4,5に示すように、スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間には該ボス32の高さ分の隙間が存在しており、この隙間には断熱材9は配置されていない。これは、前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間に断熱材9を配置することの困難さを考慮したものであるが、この隙間の容積は微小であるために、該隙間による断熱効果の低減は微かなものとなる。なお前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間の断熱性を確保すべく、該上面12と下面13との間に小片の断熱材を配置したり、洗場パン2の下面13に発泡樹脂等を吹き付けたとしても、スペーサ5の数が4と少ないことから、作業上の負担は僅かなものとなる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図6〜8をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については同一の符号を図6〜8に付して説明を省略する。
【0055】
図6は第2実施形態における図3相当図である。図7,8は図6のC−C線断面図であり、図7は高さ調整用脚部40を取り付ける前の状態を示し、図8は高さ調整用脚部40を取り付けた後の状態を示している。なお第2実施形態では、断熱材は、第1実施形態の断熱材9と同様のものが用いられ、図6では、図3と同様に、説明の便宜のために断熱材9の図示を省略している。
【0056】
第2実施形態では、洗場パン20、高さ調整用脚部40、補強板30及びスペーサ50は、高さ調整用脚部40と補強板30とスペーサ50とを貫通して先端が洗場パン20に締結された三部材貫通ボルト57(三部材貫通螺子)によって連結固定されており、高さ調整用脚部40のフランジ22、補強板30、及びスペーサ50には、三部材貫通ボルト57の螺子部を通すための貫通孔58,59,60が互いに対応する位置に形成され、洗場パン20の下面13には、貫通孔58,59,60に対応する位置において、三部材貫通ボルト57の螺子部先端を締結するためのボス61が形成されている。なお、貫通孔58はフランジ22外周部の各隅に設けられ、貫通孔60はスペーサ50の各隅に設けられている。
【0057】
また、洗場パン20、補強板30及びスペーサ50は、補強板30とスペーサ50とを貫通して先端が洗場パン20に締結された二部材貫通ボルト62(二部材貫通螺子)によっても連結固定されており、補強板30とスペーサ50とには、二部材貫通ボルト62(二部材貫通螺子)を通すための貫通孔63,64が互いに対応する位置に形成され、洗場パン20の下面13には、貫通孔63,64に対応する位置において、二部材貫通ボルト62の螺子部先端を締結するためのボス65が形成されている。なお、貫通孔64はスペーサ50の中央に設けられ、ボス65は4つのボス61から等間隔に離隔した位置に設けられている。
【0058】
次に、本実施形態における洗場1の組み立て工程について説明する。
【0059】
まず、第1実施形態と同様、洗場パン20をスペーサ50の取り付け面(下面13に対応)側が上になるように作業場に載置する。
【0060】
次いで、洗場パン20の各隅に一つずつスペーサ50を配置する。この際には、スペーサ50の貫通孔64とボス65の螺子孔83とが同軸上に位置し、スペーサ50の各貫通孔60とこれらに対応するボス61の螺子孔84とが同軸上に位置するように、スペーサ50の位置を調節する。
【0061】
次いで、洗場パン20の上に断熱材9を重ねる。この工程は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0062】
次いで、断熱材9の上に補強板30を重ねる。この際には、補強板30の切り欠き34(図1参照)に洗場パン20の陥没部7が嵌め込まれるとともに、補強板30の各隅において、補強板30の貫通孔63とスペーサ50の貫通孔64とが同軸上に位置するとともに、補強板30の各貫通孔59とこれらに対応するスペーサ50の貫通孔60とが同軸上に位置するように、補強板30の位置を調節する。
【0063】
次いで、補強板30の各隅において、二部材貫通ボルト62の螺子部を貫通孔63,64に通して、二部材貫通ボルト62の螺子部先端をボス65の螺子孔83に締結する。これにより、洗場パン20とスペーサ50と補強板30とは二部材貫通ボルト62によって連結固定され、三部材貫通ボルト57の螺子部が通される貫通孔59と貫通孔60とボス61の螺子孔84とは、同軸上に位置した状態が保持される。
【0064】
次いで、高さ調整用脚部40を組み立てる。この工程は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0065】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部40を、補強板30の各隅に順次取り付ける。この際には、フランジ22の各貫通孔58がこれらに対応する補強板30の貫通孔59と同軸上に位置するように、高さ調整用脚部40の位置を調整する。
【0066】
次いで、各高さ調整用脚部40の位置において、三部材貫通ボルト57を貫通孔58,59,60に通して、その先端をボス61の螺子孔84に締結する。これにより、洗場の組み立ては完了し、洗場パン20、高さ調整用脚部40、補強板30及びスペーサ50は三部材貫通ボルト57によって連結固定された状態になる。
【0067】
本実施形態によれば、三部材貫通ボルト57によって、洗場パン20と高さ調整用脚部40と補強板30とスペーサ50とを連結固定するようにしたことから、洗場を組み立てるために必要となる締結部材の数を少なくすることが出来る。これにより、材料コストの低減を図ることが出来るとともに、洗場の組み立てが容易になる。また、三部材貫通ボルト57によって洗場パン20と補強板30とは互いに近づくように連結されることから、断熱材9は洗場パン20と補強板30との間に緊密に挟持される。
【0068】
また、三部材貫通ボルト57の締結作業を行う前に、二部材貫通ボルト62によって、洗場パン2と補強板30とスペーサ50とを固定しておくことで、補強板30の貫通孔59とスペーサ50の貫通孔60と洗場パン20におけるボス61の螺子孔84とが同軸上に位置するように位置決めしておくことが出来る。これにより、三部材貫通ボルト57の締結作業が容易になる。これにより、洗場の組み立てがさらに容易になる。また、二部材貫通ボルト62によって、洗場パン2とスペーサ50と補強板30とはさらに強固に固定され、これに伴い、断熱材9は洗場パン20と補強板30との間により一層緊密に挟持される。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下では、第1,2の実施形態との相違点を中心に説明し、第1,2の実施形態と共通する箇所については同一の符号を付した図9及び10をもとに説明する。
【0069】
図9は第3実施形態における図3相当図であり、図10は、図9のD−D線断面図である。なお、図9では、図3と同様、便宜のために断熱材9は図示を省略している。
【0070】
本実施形態では、スペーサ51における上面12と下面14とには、互いに対応する位置に凹部66,67が形成されているとともに、スペーサ51には、上面12側の凹部66と下面14側の凹部67とを繋ぐ上下方向の貫通孔68が形成されている。
【0071】
補強板31には、前記スペーサ51の凹部67に対応する位置に、該凹部67と径が一致する貫通孔75が形成されている。
【0072】
高さ調整用脚部41のフランジ22の上面には、前記スペーサ51の下面14の凹部67及び補強板31の貫通孔75に対応する位置に脚部側突出部69が形成されており、該脚部側突出部69は、補強板31の貫通孔75を通って、その先端がスペーサ51の凹部67に嵌合するようになっている。
【0073】
洗場パン21の下面13には、前記スペーサ51の上面12の凹部66に嵌合する洗場パン側突出部70が形成されている。
【0074】
ここで本実施形態では、上述したスペーサ51の凹部66,67、スペーサ51の貫通孔68、補強板31の貫通孔75、高さ調整用脚部41の脚部側突出部69、及び洗場パン21の洗場パン側突出部70は、それぞれ4つずつ設けられており、脚部側突出部69はフランジ22上面の各隅に設けられ、スペーサ51の凹部66,67及び貫通孔68はスペーサ50の各隅に設けられている。
【0075】
そして図10に示すように、脚部側突出部69にはフランジ22を上下方向に貫通する貫通孔72が設けられ、また洗場パン側突出部70には螺子孔73が設けられており、螺子孔73の底部は洗場パン側突出部70内部に位置している。前記貫通孔72及び螺子孔73は、スペーサ51の貫通孔68と同軸上に配置されるようになっており、洗場パン21とスペーサ51と補強板31と高さ調整用脚部41とは、螺子孔73と貫通孔68と貫通孔72とを通る三部材貫通ボルト74(三部材貫通螺子)によって連結固定される。
【0076】
次に、本実施形態における洗場の組み立て工程について説明する。
【0077】
まず、第1実施形態と同様、洗場パン21をスペーサ51の取り付け面(下面13に対応)側が上になるように作業場に載置する。
【0078】
次いで、洗場パン21の各隅に一つずつスペーサ51を配置する。この際には、スペーサ51の各凹部66に洗場パン側突出部70が嵌合するようにスペーサ51の位置を調節する。
【0079】
次いで、洗場パン21の上に断熱材9を重ねる。この工程は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0080】
次いで、断熱材9の上に補強板31を重ねる。この際には、洗場パン21の陥没部7が補強板31の切り欠き34に嵌合するとともに(図1参照)、補強板31の各隅において、補強板31の各貫通孔75がこれらに対応するスペーサ51の凹部67の上方に位置するように、補強板31の位置を調節する。
【0081】
次いで、高さ調整用脚部41を組み立てる。この工程は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部41を、補強板31の各隅に順次セットする。この際には、高さ調整用脚部41の脚部側突出部69を、補強板31の貫通孔75に通して、その先端がスペーサ51の凹部67に嵌め込まれるように、高さ調整用脚部41の位置を調節する。これにより、高さ調整用脚部41の貫通孔72と補強板の貫通孔75とスペーサ51の貫通孔68と洗場パン側突出部70の螺子孔73とは、同軸上に位置した状態が保たれる。
【0083】
次いで、各高さ調整用脚部41の位置において、三部材貫通ボルト74の螺子部を、貫通孔72,75,68に通して、三部材貫通ボルト74の螺子部先端を洗場パン側突出部70の螺子孔73に締結する。これにより洗場は組み立てられ、図10に示すように、洗場パン21とスペーサ51と補強板31と高さ調整用脚部41とは三部材貫通ボルト74によって押圧固定された状態になり、これに伴い、断熱材9は補強板31と洗場パン21との間に緊密に挟持される。
【0084】
本実施形態によれば、洗場パン側突出部70をスペーサ51の上面の凹部66に嵌合させるとともに、補強板31の貫通孔75に通した脚部側突出部69をスペーサ51の下面の凹部67に嵌合させておくことで、前記脚部側突出部69の貫通孔72、前記スペーサ51の貫通孔68、及び前記洗場パン側突出部70の螺子孔73は同軸上に位置した状態が保たれる。これにより、前記嵌合作業を三部材貫通ボルト74の締結作業の前に行っておくことで、三部材貫通ボルト74の締結作業が容易になる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0086】
例えば第1実施形態では、上述のスペーサ51に代えて図11に示すスペーサ35を使用することが出来る。図11において、(a)はスペーサ35の平面図であり、(b)は(a)のE−E線断面図であり、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【0087】
スペーサ35は、平面略矩形状のプレート36と、該プレート36の周縁から下方に突出する側壁37とから構成されて、下方に開口した箱状を呈している。
【0088】
プレート36の各隅38は、内側に向かって凹となる円弧状に湾曲しており、該プレート36の隅38から立設する側壁部37a(側壁37の一部)の下端には、外側に略半円状に突出する平面部39が設けられている。該平面部39には、スペーサ35を洗場パン2に締結するために使用される上下方向の貫通孔81が形成されている。そして、この貫通孔81が使用されてスペーサ35が洗場パン2に締結された状態では、側壁37は、洗場パン2の下面13に対して垂直に立設した状態で、その上端が洗場2パンの下面13に接している。
【0089】
また、前記側壁部37aの上部には、内側に突出する厚肉部80が設けられており、該厚肉部80の位置では、プレート36を貫通して、その底が厚肉部80の内部に位置する螺子孔42が形成されている。
【0090】
また、プレート36の外縁を構成する各辺の中央から立設する側壁部37b(側壁37の一部)も、その上部に内側に突出する厚肉部43が設けられ、該厚肉部43の位置においても、プレート36を貫通して、その底が厚肉部43の内部に位置する螺子孔44が形成されている。
【0091】
図12,13は、図11に示すスペーサ35が使用される場合に、補強板3の下面に取り付けられる高さ調整用脚部45,46を示している。なお、図12,13は、高さ調整用脚部45,46とスペーサ35との位置関係を示すために、スペーサ35を破線によって示している。なお、図11に示すスペーサ35に対しては、どちらかの高さ調整用脚部45,46を用いればよい。
【0092】
図12に示す高さ調整用脚部45において、フランジ22の外縁寸法は、スペーサ35外縁の寸法よりも小さく設定され、コーン部77の側面には、8つの補強用リブ49が周方向に等しい間隔をあけて形成されている。この高さ調整用脚部45は、フランジ22の貫通孔23に通したビス26の螺子部先端をスペーサ35の螺子孔44(図11参照)に締結することで固定される。
【0093】
また、図13に示す高さ調整用脚部46においては、フランジ52の外縁寸法は、スペーサ35の外縁寸法と略同一に形成され、コーン部77の側面には12個の補強用リブ54が周方向に等しい間隔をあけて形成されている。この高さ調整用脚部46は、フランジ22の貫通孔23に通したビス26の螺子部をスペーサ35の螺子孔42に締結することで固定される。
【0094】
以上のスペーサ35及び高さ調整用脚部45,46が使用される場合には、スペーサ35が箱状に形成されていることから、スペーサ35の重量は軽くなる。これにより、洗場の軽量化が図られる。また、スペーサ35が洗場パン2に締結された状態では、スペーサの側壁37は洗場パン2の下面に対して垂直に立設した状態になり、洗場パン2は該スペーサの側壁37によって支持される。これにより、洗場パン2は安定して支持される。また、高さ調整用脚部45,46では、図に示した高さ調整用脚部4に比して、コーン部77の側面に設けられる補強用リブの数が多くなるために、高さ調整用脚部の剛性が高められる。
【0095】
なお、第2及び3実施形態に用いるスペーサも、スペーサ35のように箱状に設けることが出来る。例えば第2実施形態では、三部材締結ボルト60を通す貫通孔が形成された平面部が、箱状スペーサの側壁下端から外側に延びるように形成されるとともに、二部材貫通ボルト62を通す貫通孔が、箱状スペーサのプレートに設けられる。また第3実施形態では、箱状スペーサのプレートには側壁よりも外側に延びた外縁部が設けられて、該外縁部に洗場パン側突出部70が嵌め込まれる貫通孔が形成され、さらに側壁には、その下端に前記プレートの外縁部と上下方向に対向する平面部が設けられて、該平面部に脚部側突出部69が嵌め込まれる貫通孔が形成される。
【0096】
また第1〜3実施形態において、洗場パンは、シートモールディングコンパウンドをプレス加工することによって成形されてもよい。この場合においても、洗場パンが平板状に形成されていることから、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止される。また、シートモールディングコンパウンドには、バルクモールディングコンパウンドに比べて長繊維のガラス繊維が含まれ、またその含有量も高いために、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合には、バルクモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合に比して薄い板厚で同等の剛性を得ることが出来る。このため、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成することで、洗場パンの板厚をさらに一層薄くすることが出来るため、洗場の重量はさらに軽くなる。
【0097】
なお、第1〜3実施形態のように洗場パンの各隅の下方にスペーサを配置することで、洗場パンはスペーサによって安定して支持される。しかし、第1〜3実施形態において、スペーサの数は4つに限られず、4以外の任意の複数に設定され得る。この場合において、各高さ調整用脚部に対応する位置(各高さ調整用脚部の上方)にはスペーサを設けることが好ましい。なお、例えば、洗場パンが大きくて、スペーサを矩形状洗場パンの4ヶ所に設けただけでは、洗場パンの剛性が不十分な部分がある場合には、その部分にスペーサを配設しても良い。例えば、陥没部7の周りに一部スペーサを設けるようにしても良い。その場合に、新たに設けたスペーサの下側位置には、脚部を設けても良く、脚部を設けなくても良く、使用状態や使用位置等によって選択すればよい。また、洗場パンから前記補強板に荷重が伝達されるような強度を有する断熱材を使用すれば、洗場パンから荷重が断熱材及びスペーサを介して補強板に伝達されるので、洗場パンからの荷重を補強板に受け支えさせることができる。これにより、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0098】
なお、第1〜3実施形態では各高さ調整用脚部4が高さ調整機能を有するものであるが、本発明では、脚部の設置面がフラットで同じ高さで、高さ調整を必要としない脚部にも適用可能である。また、脚部として高さ調整機能のない脚部を使用して、その場合に、脚部の高さを調整する必要がある場合に、脚部とは別に設けた別部材で高さ調整するようにしても良い。
【0099】
また第1〜3実施形態では、補強板は鋼板製であるが、この材質に限られるものではなく、FRP等の合成樹脂などであっても良い。
【0100】
また第1〜3実施形態では、スペーサを断熱材の貫通孔内に設置するようにしたが、例えば、断熱材の外縁に内側に凹となる切り欠きを設け、この切り欠きにスペーサを設けるようにしてもよい。この場合においても、前記洗場パンと前記補強板との間を無駄なく有効に利用することが出来る。
【0101】
また第1〜3実施形態において、上述した三部材貫通ボルト57や二部材貫通ボルト62のように、洗場パン、スペーサ、補強板、又は高さ調整用脚部を固定するために使用される締結部材の数は上記に限られず任意の数に設定され得る。この場合、洗場パン等には、前記締結部材のそれぞれに対応した貫通孔や螺子孔が設けられる。
【0102】
また第1〜3実施形態において、断熱材とスペーサと補強板とは、洗場パンの一部の下方にのみ設けるようにしてもよい。この場合、断熱材及び補強板の設置位置を適切に調節することで、洗場の所望の箇所に、断熱材による断熱効果を生じさせるとともに、補強板による補強効果を生じさせることが出来る。
【0103】
また第1〜3実施形態において、補強板は、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、アクリル、ABSなどの樹脂製材料から形成されてもよい。なお、洗場の補強を充分図るためには、補強板は洗場パンよりも剛性の高い材料から形成することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の洗場の分解斜視図である。
【図2】洗場パンの拡大図である。
【図3】洗場の組付方法を示す分解斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】第2実施形態における図3相当図である。
【図7】図6のC−C線断面図であり、高さ調整用脚部を取り付ける前の状態を示している。
【図8】図6のC−C線断面図であり、高さ調整用脚部を取り付けた後の状態を示している。
【図9】第3実施形態における図3相当図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】第1実施形態における他態様のスペーサを示す拡大図である。
【図12】第1実施形態における他態様の高さ調整用脚部を示す拡大平面図である。
【図13】第1実施形態における他態様の高さ調整用脚部を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0105】
1 洗場、
2,20,21 洗場パン、
3,30,31 補強板、
4,40,41,45,46 高さ調整用脚部、
9 断熱材、
5,35,50,51 スペーサ、
11 断熱材に形成された上下方向の貫通孔、
57,74 三部材貫通螺子、
62 二部材貫通螺子、
66 スペーサの上面に形成された凹部、
67 スペーサの下面に形成された凹部、
68 スペーサの上下方向の貫通孔、
75 補強板の貫通孔、
69 脚部側突出部、
70 洗場パン側突出部、
72 脚部側突出部の貫通孔(孔)、
73 洗場パン側突出部の螺子孔(孔)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観に不良が生じることなく洗場の補強を行うことが出来るとともに、断熱を容易に図ることの出来る浴室の洗場構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室洗場の床を構成する樹脂製の洗場パンとして、その下面に格子状のリブが設けられたものがある(特許文献1)。このような洗場パンは、シートモールディングコンパウンド法等によって成形され、前記リブが設けられていることで上下に撓まないように補強されたものとなっている。
【特許文献1】特開2005−42339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記リブを洗場パンに設けた場合には、洗場パンの形状が複雑になるために洗場パンの成形が困難になるとともに、洗場の重量が重くなる。また、リブを洗場パンに設けると、ヒケ等により洗場パンの表面の見栄えが損なわれることがある。さらに、洗場パンの断熱性を保つために、リブの各格子内側に断熱材を装着したり、洗場パンの下面に発泡樹脂等の吹き付けを行ったりする場合には、多大な手間を要する。
【0004】
そこで本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強を行うことが出来るとともに、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止され、さらに洗場パンの断熱を容易に図ることの出来る浴室の洗場構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、樹脂により形成された平板状の洗場パンと、該洗場パンの下方に配置された補強板と、該補強板の下面に取り付けられた複数の脚部と、前記洗場パンと前記補強板との間に設けられた断熱材と、前記洗場パンと前記補強板との間に配置された複数のスペーサとを備え、前記スペーサは、前記脚部に対応する位置に設けられ、前記洗い場パン、前記スペーサ、前記補強板及び前記脚部を一体に連結する連結部材を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記連結部材は、前記脚部、前記補強板及び前記スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される三部材貫通螺子を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3において、前記連結部材は、該補強板及び該スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される二部材貫通螺子を有することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記スペーサの上面及び下面には、互いに対応する位置に凹部が形成されているとともに、前記スペーサには、前記上面側の凹部と前記下面側の凹部とを繋ぐ上下方向の貫通孔が形成され、前記補強板には、前記スペーサの下面の凹部に対応する位置に貫通孔が形成され、前記脚部には、前記補強板の貫通孔を通って、前記スペーサの下面の凹部に嵌合する脚部側突出部が形成され、前記洗場パンには、前記スペーサの上面の凹部に嵌合する洗場パン側突出部が形成され、前記脚部側突出部と前記洗場パン側突出部とには、前記スペーサの貫通孔と同軸上に配置された孔がそれぞれ形成され、 前記三部材貫通螺子は、前記脚部側突出部の孔、前記スペーサの貫通孔、及び前記洗場パン側突出部の孔を通って、前記洗場パン側突出部の孔に形成されたネジ部に螺合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1つにおいて、前記洗場パンは、バルクモールディングコンパウンド又はシートモールディングコンパウンドで成形したものであることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1つにおいて、前記脚部は、高さ調整部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、補強板に洗場パンが平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側に補強用リブを設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パンの重量を軽くすることが出来る。これにより、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0013】
また、洗場パンと補強板との間で、脚部に対応する位置に耐荷強度の大きなスペーサが配置されていることから、洗場パンから荷重がかかった際に、洗場パンにかかる荷重がスペーサを介して補強板に伝えられ、補強板で受けられる。これにより、断熱材が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材による断熱効果は確実に発揮される。
【0014】
また、洗場パンが平板状を呈していることから、洗場パンの表面にヒケ等の外観不良が生じることが防止され、また洗場パンと補強板との間に断熱材を容易に設置出来るため、洗場パンの断熱を図ることが容易になる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記洗場パンと前記補強板との間が有効に利用される。
【0016】
請求項3の発明によれば、前記三部材貫通螺子によって、前記洗場パン、高さ調整用脚部、前記補強板及び前記スペーサを押圧固定するようにしたことから、洗場を組み立てるために必要となる締結部材の数が少なくなる。これにより、材料コストの低減を図ることが出来るとともに、洗場の組み立てが容易になる。また前記三部材貫通螺子による締結により、前記洗場パンと前記補強板とは互いに近づくように連結されることから、前記断熱材は、前記洗場パンと前記補強板との間に緊密に挟持される。
【0017】
請求項4の発明によれば、前記三部材貫通螺子の締結作業を行う前に、前記二部材貫通螺子により前記洗場パンと補強板とスペーサとを固定しておくことで前記三部材貫通螺子を通す貫通孔の位置決めをしておくことが出来るので、前記三部材貫通螺子の締結作業が容易になる。これにより、さらに洗場の組み立てが容易になる。また、前記二部材貫通螺子によって洗場パンと補強板とスペーサとはさらに強固に固定されるとともに、断熱材は、洗場パンと補強板との間にさらに一層緊密に挟持されるようになる。
【0018】
請求項5の発明によれば、前記洗場パン側突出部をスペーサの上面の凹部に嵌合させるとともに、補強板の貫通孔を通した脚部側突出部をスペーサの下面の凹部に嵌合させておくことで、前記脚部側突出部の孔、前記スペーサの貫通孔、及び前記洗場パン側突出部は同軸上に配置された状態になる。これにより、三部材貫通螺子の締結作業に先立ち、上述した嵌合作業を行っておくことで、洗場パンとスペーサ、スペーサと補強板の位置決めが確実に行われるので、前記三部材貫通螺子の締結作業は容易になる。
【0019】
請求項6の発明によれば、洗場パンから補強用リブを廃止できるので、シートモールディングコンパウンドやバルクモールディングコンパウンドで洗場パンを成形した際に、表面にヒケが出来ることが防止され、表面の美観が向上する。特に、表面のヒケの問題が発生しないので、バルクモールディングコンパウンドの材料が有する深み、透明感、高級感のある外観が活かされた洗場パンを得ることができる。
【0020】
そして、洗場パンの裏面側に補強用リブを設けることを廃止できることによって、洗場パンの下側(裏面側)に平板状の断熱材と補強板とを積層することができ、洗場の剛性を高められる。そのことによって、シートモールディングコンパウンドやバルクモールディングコンパウンドによって形成する洗場パンの板厚を従来の板厚よりも薄くして洗場の軽量化を図ることが出来る。また、シートモールディングコンパウンドには、バルクモールディングコンパウンドに比べて長繊維のガラス繊維が含まれ、またその含有量も高いために、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合には、バルクモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合に比して薄い板厚で同等の剛性を得ることが出来る。このため、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成することで、洗場パンの板厚をさらに一層薄くすることが出来るため、洗場の重量はさらに軽くなる。
【0021】
請求項7の発明によれば、浴室の設置面に対して、脚部の高さを容易に調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の洗場1の分解斜視図であり、洗場1を構成する部材を上下に分解した状態を示し、(a)は該分解した状態を斜め上方から視た図であり、(b)は該分解した状態を斜め下方から視た図である。また、図2は後述の洗場パン2の拡大図であり、(a)は洗場パン2の平面図、(b)は(a)における下方から視た洗場パン2の側面図、(c)は(a)における右方から視た洗場パン2の側面図である。
【0024】
洗場1は、樹脂により形成された洗場パン2と、該洗場パン2の下方に配置された鋼板製の補強板3と、該補強板3の下面6に取り付けられた4つの高さ調整用脚部4とを備え、該高さ調整用脚部4を浴室の設置面上に立設して使用される。
【0025】
洗場パン2は、バルクモールディングコンパウンドをプレス加工することによって、深み、透明感、高級感のある大理石調の柄模様を表出させたものであって、平面矩形の平板状に形成されている。洗場パン2の幅方向一端側における中央には、下方に陥没した陥没部7が設けられている。該陥没部7の底部中央には、洗場パン2の上面10に落下した水を排水するための排水口8が形成されており、洗場パン2の上面10は陥没部7に向けて低くなるように傾斜している。なお洗場パン2は、シートモールディングコンパウンドをプレス加工することによって形成したものを用いることも出来る。
【0026】
補強板3は、平面形状が洗場パン2と略同じ大きさの平板状に形成されており、洗場パン2と補強板3との間には、発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等からなる断熱材9と、該断熱材9よりも大きな耐荷強度を有する樹脂製の4つのスペーサ5とが配置されている。
【0027】
断熱材9は、平面形状が洗場パン2及び補強板3と略同じ大きさの平板状に形成されている。断熱材9には洗場パン2の4隅の各々に対応する位置に上下方向の貫通孔11が形成されて、各貫通孔11内にスペーサ5が1つずつ配置されている。そして、スペーサ5の上面12と断熱材9の上面21とが洗場パン2の下面13に接し、スペーサ5の下面14と断熱材9の下面27が補強板3の上面15に接触するように配設され、スペーサ5によって、確実に洗場パン2の荷重を受けると共に、断熱材9によって確実に断熱できるようになっている。
【0028】
また、この第1の実施形態では、スペーサ5は、4角に設けた各高さ調整用脚部4に対応する位置で、補強板9と洗場パン2との間に設けられている。しかし、洗場パンが大きくて4角位置のスペーサ5だけでは洗場パン2を安定して確実に保持できない場合には、例えば、4角位置以外で補強を必要とする部位にスペーサ5を追加設置しても良い。この場合、補強したい部位に追加したスペーサ5の下位置には必ずしも脚部4を設けなくても良い。
【0029】
なお、第1の実施形態において、断熱材9と補強板3とが洗場パン2の略全体の下方に設けられているので、断熱材9が洗場パン2の荷重を受ける強度を有するようにすれば、洗場パン2のいずれの位置から荷重が負荷されたとしても、該荷重を断熱材9或いはスペーサ5を介して補強板3に伝達して支持するようにすることもできる。その場合には、洗場パンを更に薄く、軽量化することができる。
【0030】
また、断熱材9と補強板3とには、幅方向一端側の中央に、洗場パン2の陥没部7を嵌め込むための切り欠き33,34が形成されている。
【0031】
図3は洗場1の組付方法を示す分解斜視図であり、図4は図3のA−A線断面図であり、図5は図3のB−B線断面図である。なお図3では便宜のために断熱材9の図示を省略している。
【0032】
図4,5に示すように、高さ調整用脚部4は、樹脂製の本体部16と、金属製の筒部材17と、六角ボルト18と、ナット19とから構成されている。
【0033】
本体部16は、上下方向に延びた中空部材であり上方になるにつれて外径が拡大するコーン部77と、コーン部77の大径側端部(上端部)21の周縁から外向きに延びたフランジ22とから構成されている。
【0034】
図3に示すように、フランジ22の外縁は、平面矩形状を呈しており、該フランジ22の各隅には上下方向の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23は、高さ調整用脚部4を補強板3の下面85に取り付けるために使用されるものであって、補強板3には各貫通孔23に対応する位置に上下方向の貫通孔27が形成されている。また、スペーサ5の下面14には、貫通孔23,27に通したビス26の螺子部先端が締結される螺子孔28が、貫通孔23,27に対応する位置、すなわちスペーサ5外周の各辺における中央近傍に形成されている。
【0035】
高さ調整用脚部4におけるコーン部77の側面には、4つの補強用リブ24が周方向に等しい間隔をおいて形成されている。これらの補強用リブ24は、コーン部77の側面の上下端に亘って形成されたものであって、上側になるにつれて幅広となる断面三角状を呈し、図3に示すように、各補強用リブ24の上端は、フランジ22外縁をなす4辺のうち対応する辺の中央に向けて延びている。
【0036】
筒部材17は、コーン部77の小径側端部25(下端部)の内側にインサート成形により取り付けられたものであって、筒部材17の内面には雌螺子が形成されて六角ボルト18の螺子部先端が螺着されている。なお、筒部材17は、コーン部77の小径側端部25内に圧入されて取り付けられてもよい。筒部材17に対して六角ボルト18の捩じ込み量を調整することで、高さ調整部を構成している。
【0037】
ナット19は、筒部材17の下方において六角ボルト18の螺子部中間に螺合しており、上面がコーン部77下端に当接することで六角ボルト18の回動を規制し、調整した高さ調整が変動することを防止している。
【0038】
スペーサ5には、その下面14の各隅に凹部29(図3,5参照)が形成されているとともに、該凹部29の底面から上方に延びてスペーサ5の上面12に開口した貫通孔78(図4参照)が形成されている。該貫通孔78は、スペーサ5を洗場パン2に固定させるビス79を通すためのであって、洗場パン2の下面13には、ビス79の螺子部先端を締結させるためのボス32が、貫通孔78に対応する位置に形成されている。なお、該ビス79によってスペーサ5が洗場パン2に固定された状態では、図4に示すように、ビス79の頭部は凹部29内に収容されるようになっている。第1の実施形態では、ビス26とビス79が、洗場パン2、スペーサ5、補強板3、脚部4を一体に連結する連結部材を構成している。なお、ビス79の頭部と補強板3の上面15とは接してないが、ビス79の頭部と補強板3の上面15とは接するようにして、ビス79が緩まないようにしても良い。
【0039】
次に、本実施形態における洗場1を組み立てる工程について説明する。
【0040】
まず、洗場パン2をスペーサ5の取り付け側(洗場1が浴室内に設置された状態における洗場パン2の下面13側)が上になるように作業場に載置する。
【0041】
次いで、洗場パン2の各隅に1つずつスペーサ5を取り付ける。この際には、スペーサ5の貫通孔78(図4参照)とボス32の螺子孔82とが同軸上に位置するようにスペーサ5の位置を調整した状態で、凹部29から貫通孔78に通したビス79の先端を、ボス32の螺子孔82に締結する。なお、この作業が完了した際には、ボス32の先端がスペーサ5に接することで、洗場パン2とスペーサ5との間にボス32の高さ分の隙間が生じている。
【0042】
次いで、洗場パン2の上に断熱材9を重ねる。この際には、断熱材9の各貫通孔11(図1参照)内に一つずつスペーサ5が配置されるとともに、断熱材9の切り欠き33に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるように、断熱材9の位置を調節する。
【0043】
次いで、断熱材9の上に補強板3を重ねる。この際には、補強板3の切り欠き34(図1参照)に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるとともに、補強板3の各隅において、スペーサ5の螺子孔28と補強板3の貫通孔27とが同軸上に位置するように、補強板3の位置を調節する。
【0044】
次いで、高さ調整用脚部4を組み立てる。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が所定長となるように、六角ボルト18の螺子部中央にナット19を取り付けた後に、ナット19の上面がコーン部77の下端に接するまで六角ボルト18の螺子部先端を筒部材17の内側に螺着させる。
【0045】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部4を、補強板3の各隅に順次取り付ける。この際には、高さ調整用脚部4の貫通孔23が補強板3の貫通孔27と同軸上に位置するように高さ調整用脚部4の位置を調節した状態で、ビス26の螺子部を高さ調整用脚部4側から貫通孔23,27に通して、ビス26の螺子部先端をスペーサ5の螺子孔28に締結する。この結果、洗場1が組み立てられる。
【0046】
そして以上のように組み立てられた洗場1は、六角ボルト18の頭部を浴室の設置面上に載置することによって、該浴室内に配置される。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が調整されていることから、洗場パン2は所定の高さに保持された状態になっている。なお、六角ボルト18とナット19とをコーン部77に仮組みした状態で高さ調整用脚部4を洗場に組み付けた後、前記長さLを調整することで、洗場パン2の高さ調整を行うようにしてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、洗場パン2が平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側に補強用リブを一体に設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パン2の重量を軽くすることが出来る。そして、洗場パン2からの荷重がスペーサ5を介して補強板3に伝達されるので、洗場パン2からの荷重を補強板3に受け支えさせることができる。これにより、洗場の重量増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0048】
また、洗場パン2と補強板3との間に耐荷強度の大きなスペーサ5が配置され、該スペーサ5に対応する位置(スペーサ5の下方)に高さ調整用脚部4が設けられていることから、洗場パン2から荷重がかかった際に洗場パン2と高さ調整用脚部4との間に洗場パン2と高さ調整用脚部4とから上下方向の圧縮力が負荷されたとしても、洗場パン2と補強板3との間は一定に保たれる。これにより、断熱材9が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材9による断熱効果は確実に発揮される。
【0049】
また、洗場パン2に補強用のリブを設けずに洗場パン2を平板状に形成したことから、洗場パン2の表面にヒケが生じることが防止される。
【0050】
また、洗場パン2から補強用のリブを廃止して洗場パン2の表面にヒケが生じることを防止したことから、バルクモールディングコンパウンドの材料が有する深み、透明感、高級感のある外観が活かされるとともに、洗場パン2の下側(裏面側)に断熱材9と補強板3とを積層することで洗場1の剛性を高めることができるので、バルクモールディングコンパウンドによって形成する洗場パン2の板厚を従来の板厚よりも薄くして洗場の軽量化を図ることが出来る。
【0051】
また同じく洗場パン2が平板状を呈していることから、洗場パン2と補強板3との間に断熱材9を容易に設置出来るため、洗場パン2の断熱を図ることが容易になる。
【0052】
また、スペーサ5が断熱材9に形成された上下方向の貫通孔11内に設けられていることから、洗場パン2と補強板3との間が有効に利用される。
【0053】
また、洗場パン2の下面13にボス32を設け、このボス32内部にビス79の螺子部を締結するようにしたことから、洗場パン2の本体部に、前記ビス79の螺子部が貫入することが防止される。これにより、洗場パン2の本体部の厚さを薄くすることが出来るとともに、バルクモールディングコンパウンドの外観の良さが失われない。
【0054】
なお本実施形態では、図4,5に示すように、スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間には該ボス32の高さ分の隙間が存在しており、この隙間には断熱材9は配置されていない。これは、前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間に断熱材9を配置することの困難さを考慮したものであるが、この隙間の容積は微小であるために、該隙間による断熱効果の低減は微かなものとなる。なお前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間の断熱性を確保すべく、該上面12と下面13との間に小片の断熱材を配置したり、洗場パン2の下面13に発泡樹脂等を吹き付けたとしても、スペーサ5の数が4と少ないことから、作業上の負担は僅かなものとなる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図6〜8をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については同一の符号を図6〜8に付して説明を省略する。
【0055】
図6は第2実施形態における図3相当図である。図7,8は図6のC−C線断面図であり、図7は高さ調整用脚部40を取り付ける前の状態を示し、図8は高さ調整用脚部40を取り付けた後の状態を示している。なお第2実施形態では、断熱材は、第1実施形態の断熱材9と同様のものが用いられ、図6では、図3と同様に、説明の便宜のために断熱材9の図示を省略している。
【0056】
第2実施形態では、洗場パン20、高さ調整用脚部40、補強板30及びスペーサ50は、高さ調整用脚部40と補強板30とスペーサ50とを貫通して先端が洗場パン20に締結された三部材貫通ボルト57(三部材貫通螺子)によって連結固定されており、高さ調整用脚部40のフランジ22、補強板30、及びスペーサ50には、三部材貫通ボルト57の螺子部を通すための貫通孔58,59,60が互いに対応する位置に形成され、洗場パン20の下面13には、貫通孔58,59,60に対応する位置において、三部材貫通ボルト57の螺子部先端を締結するためのボス61が形成されている。なお、貫通孔58はフランジ22外周部の各隅に設けられ、貫通孔60はスペーサ50の各隅に設けられている。
【0057】
また、洗場パン20、補強板30及びスペーサ50は、補強板30とスペーサ50とを貫通して先端が洗場パン20に締結された二部材貫通ボルト62(二部材貫通螺子)によっても連結固定されており、補強板30とスペーサ50とには、二部材貫通ボルト62(二部材貫通螺子)を通すための貫通孔63,64が互いに対応する位置に形成され、洗場パン20の下面13には、貫通孔63,64に対応する位置において、二部材貫通ボルト62の螺子部先端を締結するためのボス65が形成されている。なお、貫通孔64はスペーサ50の中央に設けられ、ボス65は4つのボス61から等間隔に離隔した位置に設けられている。
【0058】
次に、本実施形態における洗場1の組み立て工程について説明する。
【0059】
まず、第1実施形態と同様、洗場パン20をスペーサ50の取り付け面(下面13に対応)側が上になるように作業場に載置する。
【0060】
次いで、洗場パン20の各隅に一つずつスペーサ50を配置する。この際には、スペーサ50の貫通孔64とボス65の螺子孔83とが同軸上に位置し、スペーサ50の各貫通孔60とこれらに対応するボス61の螺子孔84とが同軸上に位置するように、スペーサ50の位置を調節する。
【0061】
次いで、洗場パン20の上に断熱材9を重ねる。この工程は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0062】
次いで、断熱材9の上に補強板30を重ねる。この際には、補強板30の切り欠き34(図1参照)に洗場パン20の陥没部7が嵌め込まれるとともに、補強板30の各隅において、補強板30の貫通孔63とスペーサ50の貫通孔64とが同軸上に位置するとともに、補強板30の各貫通孔59とこれらに対応するスペーサ50の貫通孔60とが同軸上に位置するように、補強板30の位置を調節する。
【0063】
次いで、補強板30の各隅において、二部材貫通ボルト62の螺子部を貫通孔63,64に通して、二部材貫通ボルト62の螺子部先端をボス65の螺子孔83に締結する。これにより、洗場パン20とスペーサ50と補強板30とは二部材貫通ボルト62によって連結固定され、三部材貫通ボルト57の螺子部が通される貫通孔59と貫通孔60とボス61の螺子孔84とは、同軸上に位置した状態が保持される。
【0064】
次いで、高さ調整用脚部40を組み立てる。この工程は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0065】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部40を、補強板30の各隅に順次取り付ける。この際には、フランジ22の各貫通孔58がこれらに対応する補強板30の貫通孔59と同軸上に位置するように、高さ調整用脚部40の位置を調整する。
【0066】
次いで、各高さ調整用脚部40の位置において、三部材貫通ボルト57を貫通孔58,59,60に通して、その先端をボス61の螺子孔84に締結する。これにより、洗場の組み立ては完了し、洗場パン20、高さ調整用脚部40、補強板30及びスペーサ50は三部材貫通ボルト57によって連結固定された状態になる。
【0067】
本実施形態によれば、三部材貫通ボルト57によって、洗場パン20と高さ調整用脚部40と補強板30とスペーサ50とを連結固定するようにしたことから、洗場を組み立てるために必要となる締結部材の数を少なくすることが出来る。これにより、材料コストの低減を図ることが出来るとともに、洗場の組み立てが容易になる。また、三部材貫通ボルト57によって洗場パン20と補強板30とは互いに近づくように連結されることから、断熱材9は洗場パン20と補強板30との間に緊密に挟持される。
【0068】
また、三部材貫通ボルト57の締結作業を行う前に、二部材貫通ボルト62によって、洗場パン2と補強板30とスペーサ50とを固定しておくことで、補強板30の貫通孔59とスペーサ50の貫通孔60と洗場パン20におけるボス61の螺子孔84とが同軸上に位置するように位置決めしておくことが出来る。これにより、三部材貫通ボルト57の締結作業が容易になる。これにより、洗場の組み立てがさらに容易になる。また、二部材貫通ボルト62によって、洗場パン2とスペーサ50と補強板30とはさらに強固に固定され、これに伴い、断熱材9は洗場パン20と補強板30との間により一層緊密に挟持される。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下では、第1,2の実施形態との相違点を中心に説明し、第1,2の実施形態と共通する箇所については同一の符号を付した図9及び10をもとに説明する。
【0069】
図9は第3実施形態における図3相当図であり、図10は、図9のD−D線断面図である。なお、図9では、図3と同様、便宜のために断熱材9は図示を省略している。
【0070】
本実施形態では、スペーサ51における上面12と下面14とには、互いに対応する位置に凹部66,67が形成されているとともに、スペーサ51には、上面12側の凹部66と下面14側の凹部67とを繋ぐ上下方向の貫通孔68が形成されている。
【0071】
補強板31には、前記スペーサ51の凹部67に対応する位置に、該凹部67と径が一致する貫通孔75が形成されている。
【0072】
高さ調整用脚部41のフランジ22の上面には、前記スペーサ51の下面14の凹部67及び補強板31の貫通孔75に対応する位置に脚部側突出部69が形成されており、該脚部側突出部69は、補強板31の貫通孔75を通って、その先端がスペーサ51の凹部67に嵌合するようになっている。
【0073】
洗場パン21の下面13には、前記スペーサ51の上面12の凹部66に嵌合する洗場パン側突出部70が形成されている。
【0074】
ここで本実施形態では、上述したスペーサ51の凹部66,67、スペーサ51の貫通孔68、補強板31の貫通孔75、高さ調整用脚部41の脚部側突出部69、及び洗場パン21の洗場パン側突出部70は、それぞれ4つずつ設けられており、脚部側突出部69はフランジ22上面の各隅に設けられ、スペーサ51の凹部66,67及び貫通孔68はスペーサ50の各隅に設けられている。
【0075】
そして図10に示すように、脚部側突出部69にはフランジ22を上下方向に貫通する貫通孔72が設けられ、また洗場パン側突出部70には螺子孔73が設けられており、螺子孔73の底部は洗場パン側突出部70内部に位置している。前記貫通孔72及び螺子孔73は、スペーサ51の貫通孔68と同軸上に配置されるようになっており、洗場パン21とスペーサ51と補強板31と高さ調整用脚部41とは、螺子孔73と貫通孔68と貫通孔72とを通る三部材貫通ボルト74(三部材貫通螺子)によって連結固定される。
【0076】
次に、本実施形態における洗場の組み立て工程について説明する。
【0077】
まず、第1実施形態と同様、洗場パン21をスペーサ51の取り付け面(下面13に対応)側が上になるように作業場に載置する。
【0078】
次いで、洗場パン21の各隅に一つずつスペーサ51を配置する。この際には、スペーサ51の各凹部66に洗場パン側突出部70が嵌合するようにスペーサ51の位置を調節する。
【0079】
次いで、洗場パン21の上に断熱材9を重ねる。この工程は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0080】
次いで、断熱材9の上に補強板31を重ねる。この際には、洗場パン21の陥没部7が補強板31の切り欠き34に嵌合するとともに(図1参照)、補強板31の各隅において、補強板31の各貫通孔75がこれらに対応するスペーサ51の凹部67の上方に位置するように、補強板31の位置を調節する。
【0081】
次いで、高さ調整用脚部41を組み立てる。この工程は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部41を、補強板31の各隅に順次セットする。この際には、高さ調整用脚部41の脚部側突出部69を、補強板31の貫通孔75に通して、その先端がスペーサ51の凹部67に嵌め込まれるように、高さ調整用脚部41の位置を調節する。これにより、高さ調整用脚部41の貫通孔72と補強板の貫通孔75とスペーサ51の貫通孔68と洗場パン側突出部70の螺子孔73とは、同軸上に位置した状態が保たれる。
【0083】
次いで、各高さ調整用脚部41の位置において、三部材貫通ボルト74の螺子部を、貫通孔72,75,68に通して、三部材貫通ボルト74の螺子部先端を洗場パン側突出部70の螺子孔73に締結する。これにより洗場は組み立てられ、図10に示すように、洗場パン21とスペーサ51と補強板31と高さ調整用脚部41とは三部材貫通ボルト74によって押圧固定された状態になり、これに伴い、断熱材9は補強板31と洗場パン21との間に緊密に挟持される。
【0084】
本実施形態によれば、洗場パン側突出部70をスペーサ51の上面の凹部66に嵌合させるとともに、補強板31の貫通孔75に通した脚部側突出部69をスペーサ51の下面の凹部67に嵌合させておくことで、前記脚部側突出部69の貫通孔72、前記スペーサ51の貫通孔68、及び前記洗場パン側突出部70の螺子孔73は同軸上に位置した状態が保たれる。これにより、前記嵌合作業を三部材貫通ボルト74の締結作業の前に行っておくことで、三部材貫通ボルト74の締結作業が容易になる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0086】
例えば第1実施形態では、上述のスペーサ51に代えて図11に示すスペーサ35を使用することが出来る。図11において、(a)はスペーサ35の平面図であり、(b)は(a)のE−E線断面図であり、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【0087】
スペーサ35は、平面略矩形状のプレート36と、該プレート36の周縁から下方に突出する側壁37とから構成されて、下方に開口した箱状を呈している。
【0088】
プレート36の各隅38は、内側に向かって凹となる円弧状に湾曲しており、該プレート36の隅38から立設する側壁部37a(側壁37の一部)の下端には、外側に略半円状に突出する平面部39が設けられている。該平面部39には、スペーサ35を洗場パン2に締結するために使用される上下方向の貫通孔81が形成されている。そして、この貫通孔81が使用されてスペーサ35が洗場パン2に締結された状態では、側壁37は、洗場パン2の下面13に対して垂直に立設した状態で、その上端が洗場2パンの下面13に接している。
【0089】
また、前記側壁部37aの上部には、内側に突出する厚肉部80が設けられており、該厚肉部80の位置では、プレート36を貫通して、その底が厚肉部80の内部に位置する螺子孔42が形成されている。
【0090】
また、プレート36の外縁を構成する各辺の中央から立設する側壁部37b(側壁37の一部)も、その上部に内側に突出する厚肉部43が設けられ、該厚肉部43の位置においても、プレート36を貫通して、その底が厚肉部43の内部に位置する螺子孔44が形成されている。
【0091】
図12,13は、図11に示すスペーサ35が使用される場合に、補強板3の下面に取り付けられる高さ調整用脚部45,46を示している。なお、図12,13は、高さ調整用脚部45,46とスペーサ35との位置関係を示すために、スペーサ35を破線によって示している。なお、図11に示すスペーサ35に対しては、どちらかの高さ調整用脚部45,46を用いればよい。
【0092】
図12に示す高さ調整用脚部45において、フランジ22の外縁寸法は、スペーサ35外縁の寸法よりも小さく設定され、コーン部77の側面には、8つの補強用リブ49が周方向に等しい間隔をあけて形成されている。この高さ調整用脚部45は、フランジ22の貫通孔23に通したビス26の螺子部先端をスペーサ35の螺子孔44(図11参照)に締結することで固定される。
【0093】
また、図13に示す高さ調整用脚部46においては、フランジ52の外縁寸法は、スペーサ35の外縁寸法と略同一に形成され、コーン部77の側面には12個の補強用リブ54が周方向に等しい間隔をあけて形成されている。この高さ調整用脚部46は、フランジ22の貫通孔23に通したビス26の螺子部をスペーサ35の螺子孔42に締結することで固定される。
【0094】
以上のスペーサ35及び高さ調整用脚部45,46が使用される場合には、スペーサ35が箱状に形成されていることから、スペーサ35の重量は軽くなる。これにより、洗場の軽量化が図られる。また、スペーサ35が洗場パン2に締結された状態では、スペーサの側壁37は洗場パン2の下面に対して垂直に立設した状態になり、洗場パン2は該スペーサの側壁37によって支持される。これにより、洗場パン2は安定して支持される。また、高さ調整用脚部45,46では、図に示した高さ調整用脚部4に比して、コーン部77の側面に設けられる補強用リブの数が多くなるために、高さ調整用脚部の剛性が高められる。
【0095】
なお、第2及び3実施形態に用いるスペーサも、スペーサ35のように箱状に設けることが出来る。例えば第2実施形態では、三部材締結ボルト60を通す貫通孔が形成された平面部が、箱状スペーサの側壁下端から外側に延びるように形成されるとともに、二部材貫通ボルト62を通す貫通孔が、箱状スペーサのプレートに設けられる。また第3実施形態では、箱状スペーサのプレートには側壁よりも外側に延びた外縁部が設けられて、該外縁部に洗場パン側突出部70が嵌め込まれる貫通孔が形成され、さらに側壁には、その下端に前記プレートの外縁部と上下方向に対向する平面部が設けられて、該平面部に脚部側突出部69が嵌め込まれる貫通孔が形成される。
【0096】
また第1〜3実施形態において、洗場パンは、シートモールディングコンパウンドをプレス加工することによって成形されてもよい。この場合においても、洗場パンが平板状に形成されていることから、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止される。また、シートモールディングコンパウンドには、バルクモールディングコンパウンドに比べて長繊維のガラス繊維が含まれ、またその含有量も高いために、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合には、バルクモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成する場合に比して薄い板厚で同等の剛性を得ることが出来る。このため、シートモールディングコンパウンドによって洗場パンを形成することで、洗場パンの板厚をさらに一層薄くすることが出来るため、洗場の重量はさらに軽くなる。
【0097】
なお、第1〜3実施形態のように洗場パンの各隅の下方にスペーサを配置することで、洗場パンはスペーサによって安定して支持される。しかし、第1〜3実施形態において、スペーサの数は4つに限られず、4以外の任意の複数に設定され得る。この場合において、各高さ調整用脚部に対応する位置(各高さ調整用脚部の上方)にはスペーサを設けることが好ましい。なお、例えば、洗場パンが大きくて、スペーサを矩形状洗場パンの4ヶ所に設けただけでは、洗場パンの剛性が不十分な部分がある場合には、その部分にスペーサを配設しても良い。例えば、陥没部7の周りに一部スペーサを設けるようにしても良い。その場合に、新たに設けたスペーサの下側位置には、脚部を設けても良く、脚部を設けなくても良く、使用状態や使用位置等によって選択すればよい。また、洗場パンから前記補強板に荷重が伝達されるような強度を有する断熱材を使用すれば、洗場パンから荷重が断熱材及びスペーサを介して補強板に伝達されるので、洗場パンからの荷重を補強板に受け支えさせることができる。これにより、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0098】
なお、第1〜3実施形態では各高さ調整用脚部4が高さ調整機能を有するものであるが、本発明では、脚部の設置面がフラットで同じ高さで、高さ調整を必要としない脚部にも適用可能である。また、脚部として高さ調整機能のない脚部を使用して、その場合に、脚部の高さを調整する必要がある場合に、脚部とは別に設けた別部材で高さ調整するようにしても良い。
【0099】
また第1〜3実施形態では、補強板は鋼板製であるが、この材質に限られるものではなく、FRP等の合成樹脂などであっても良い。
【0100】
また第1〜3実施形態では、スペーサを断熱材の貫通孔内に設置するようにしたが、例えば、断熱材の外縁に内側に凹となる切り欠きを設け、この切り欠きにスペーサを設けるようにしてもよい。この場合においても、前記洗場パンと前記補強板との間を無駄なく有効に利用することが出来る。
【0101】
また第1〜3実施形態において、上述した三部材貫通ボルト57や二部材貫通ボルト62のように、洗場パン、スペーサ、補強板、又は高さ調整用脚部を固定するために使用される締結部材の数は上記に限られず任意の数に設定され得る。この場合、洗場パン等には、前記締結部材のそれぞれに対応した貫通孔や螺子孔が設けられる。
【0102】
また第1〜3実施形態において、断熱材とスペーサと補強板とは、洗場パンの一部の下方にのみ設けるようにしてもよい。この場合、断熱材及び補強板の設置位置を適切に調節することで、洗場の所望の箇所に、断熱材による断熱効果を生じさせるとともに、補強板による補強効果を生じさせることが出来る。
【0103】
また第1〜3実施形態において、補強板は、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、アクリル、ABSなどの樹脂製材料から形成されてもよい。なお、洗場の補強を充分図るためには、補強板は洗場パンよりも剛性の高い材料から形成することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の洗場の分解斜視図である。
【図2】洗場パンの拡大図である。
【図3】洗場の組付方法を示す分解斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】第2実施形態における図3相当図である。
【図7】図6のC−C線断面図であり、高さ調整用脚部を取り付ける前の状態を示している。
【図8】図6のC−C線断面図であり、高さ調整用脚部を取り付けた後の状態を示している。
【図9】第3実施形態における図3相当図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】第1実施形態における他態様のスペーサを示す拡大図である。
【図12】第1実施形態における他態様の高さ調整用脚部を示す拡大平面図である。
【図13】第1実施形態における他態様の高さ調整用脚部を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0105】
1 洗場、
2,20,21 洗場パン、
3,30,31 補強板、
4,40,41,45,46 高さ調整用脚部、
9 断熱材、
5,35,50,51 スペーサ、
11 断熱材に形成された上下方向の貫通孔、
57,74 三部材貫通螺子、
62 二部材貫通螺子、
66 スペーサの上面に形成された凹部、
67 スペーサの下面に形成された凹部、
68 スペーサの上下方向の貫通孔、
75 補強板の貫通孔、
69 脚部側突出部、
70 洗場パン側突出部、
72 脚部側突出部の貫通孔(孔)、
73 洗場パン側突出部の螺子孔(孔)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂により形成された平板状の洗場パンと、
該洗場パンの下方に配置された補強板と、
該補強板の下面に取り付けられた複数の脚部と、
前記洗場パンと前記補強板との間に設けられた断熱材と、
前記洗場パンと前記補強板との間に配置された複数のスペーサとを備え、
前記スペーサは、前記脚部に対応する位置に設けられ、
前記洗い場パン、前記スペーサ、前記補強板及び前記脚部を一体に連結する連結部材を備えることを特徴とする浴室の洗場構造。
【請求項2】
前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の洗場構造。
【請求項3】
前記連結部材は、前記脚部、前記補強板及び前記スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される三部材貫通螺子を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室の洗場構造。
【請求項4】
前記連結部材は、該補強板及び該スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される二部材貫通螺子を有することを特徴とする請求項3に記載の浴室の洗場構造。
【請求項5】
前記スペーサの上面及び下面には、互いに対応する位置に凹部が形成されているとともに、前記スペーサには、前記上面側の凹部と前記下面側の凹部とを繋ぐ上下方向の貫通孔が形成され、
前記補強板には、前記スペーサの下面の凹部に対応する位置に貫通孔が形成され、
前記脚部には、前記補強板の貫通孔を通って、前記スペーサの下面の凹部に嵌合する脚部側突出部が形成され、
前記洗場パンには、前記スペーサの上面の凹部に嵌合する洗場パン側突出部が形成され、
前記脚部側突出部と前記洗場パン側突出部とには、前記スペーサの貫通孔と同軸上に配置された孔がそれぞれ形成され、
前記三部材貫通螺子は、前記脚部側突出部の孔、前記スペーサの貫通孔、及び前記洗場パン側突出部の孔を通って、前記洗場パン側突出部の孔に形成されたネジ部に螺合されていることを特徴とする請求項3に記載の浴室の洗場構造。
【請求項6】
前記洗場パンは、バルクモールディングコンパウンド又はシートモールディングコンパウンドで成形したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項7】
前記脚部は、高さ調整部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項1】
樹脂により形成された平板状の洗場パンと、
該洗場パンの下方に配置された補強板と、
該補強板の下面に取り付けられた複数の脚部と、
前記洗場パンと前記補強板との間に設けられた断熱材と、
前記洗場パンと前記補強板との間に配置された複数のスペーサとを備え、
前記スペーサは、前記脚部に対応する位置に設けられ、
前記洗い場パン、前記スペーサ、前記補強板及び前記脚部を一体に連結する連結部材を備えることを特徴とする浴室の洗場構造。
【請求項2】
前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の洗場構造。
【請求項3】
前記連結部材は、前記脚部、前記補強板及び前記スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される三部材貫通螺子を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室の洗場構造。
【請求項4】
前記連結部材は、該補強板及び該スペーサを貫通して先端が前記洗場パンに締結される二部材貫通螺子を有することを特徴とする請求項3に記載の浴室の洗場構造。
【請求項5】
前記スペーサの上面及び下面には、互いに対応する位置に凹部が形成されているとともに、前記スペーサには、前記上面側の凹部と前記下面側の凹部とを繋ぐ上下方向の貫通孔が形成され、
前記補強板には、前記スペーサの下面の凹部に対応する位置に貫通孔が形成され、
前記脚部には、前記補強板の貫通孔を通って、前記スペーサの下面の凹部に嵌合する脚部側突出部が形成され、
前記洗場パンには、前記スペーサの上面の凹部に嵌合する洗場パン側突出部が形成され、
前記脚部側突出部と前記洗場パン側突出部とには、前記スペーサの貫通孔と同軸上に配置された孔がそれぞれ形成され、
前記三部材貫通螺子は、前記脚部側突出部の孔、前記スペーサの貫通孔、及び前記洗場パン側突出部の孔を通って、前記洗場パン側突出部の孔に形成されたネジ部に螺合されていることを特徴とする請求項3に記載の浴室の洗場構造。
【請求項6】
前記洗場パンは、バルクモールディングコンパウンド又はシートモールディングコンパウンドで成形したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項7】
前記脚部は、高さ調整部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−179951(P2009−179951A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17417(P2008−17417)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】
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