浴室の洗場構造
【課題】洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強を行うことが出来るとともに、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止される浴室の洗場構造を提供する。
【解決手段】浴室の洗場1は、樹脂により形成された平板状の洗場パン2と、該洗場パン2の下方に配置された底板3と、洗場パン2と底板3との間に設けられた断熱材9と、底板3の下面38に取り付けられた脚部4とを備え、底板3には、その周囲全周から上方に立ち上がって断熱材9を囲む側壁6が一体に設けられ、該側壁6は洗場パン2に締結されている。
【解決手段】浴室の洗場1は、樹脂により形成された平板状の洗場パン2と、該洗場パン2の下方に配置された底板3と、洗場パン2と底板3との間に設けられた断熱材9と、底板3の下面38に取り付けられた脚部4とを備え、底板3には、その周囲全周から上方に立ち上がって断熱材9を囲む側壁6が一体に設けられ、該側壁6は洗場パン2に締結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗場構造、特に、洗場パンが樹脂によって形成された洗場構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室洗場の床を構成する樹脂製の洗場パンとして、その下面に格子状のリブを設けたものがある(特許文献1)。このような洗場パンは、シートモールディングコンパウンド材料を用いて圧縮成形によって成形され、剛性をより上げるために高さの大きな補強用リブが設けられていることで、上下に撓まないように補強されたものとなっている。
【特許文献1】特開2005−42339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記リブを洗場パンに設けた場合には、洗場パンの形状が複雑になるために洗場パンの成形が困難になるとともに、洗場の重量が大きくなる。また、剛性を上げるために高さの大きな補強用リブを洗場パンに設けると、ヒケ等により洗場パンの表面の見栄えが損なわれることがある。
【0004】
そこで本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強を行うことが出来るとともに、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止される浴室の洗場構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、樹脂により形成された平板状の洗場パンと、該洗場パンの下方に配置された底板と、前記洗場パンと前記底板との間に設けられたスペーサと、前記底板の下面に取り付けられた脚部とを備え、前記底板には、その周囲全周から上方に立ち上がって前記スペーサを囲む側壁が一体に設けられ、該側壁は前記洗場パンに締結されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、前記洗場パンの外周に設けられた枠部の近傍の下面には突出部が設けられ、前記側壁は、前記突出部と重なるように延びる重合部を備え、該重合部において前記突出部に締結されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記側壁には、上端部において外側に張り出したフランジが設けられて、該フランジが前記洗場パンの突出部に締結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1つにおいて、前記洗場パンと前記底板との間には、断熱材が洗場パンの下面と接するように配置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1つにおいて、前記脚部は、前記スペーサに対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項4又は5において、前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項5又は6において、前記複数のスペーサは、前記洗場パンの角近傍に配置された角用のスペーサと、該角用のスペーサの内、いずれか2つの角用のスペーサ間に配置された中間用のスペーサとを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか1つにおいて、前記スペーサのうち少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、 該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記張り出し部が前記洗場パンに当接され、前記底面部が前記底板に当接されて洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項5〜7のいずれか1つにおいて、前記スペーサの少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、 該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記底面部が前記洗場パンに当接され、前記張り出し部が前記底板に当接されて前記洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1つにおいて、前記脚部が高さ調整部を備えることを特徴とする
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、洗場パンが平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側にリブを設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パンの重量を小さくすることが出来る。また、洗場パンが平板状を呈していることから、洗場パンの表面にヒケ等の外観不良が生じることが防止される。そして、洗場パンからの荷重がスペーサを介して底板に伝達されるために、洗場パンからの荷重を底板に受け支えさせることができる。これにより、洗場の重量増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0016】
また、底板に設けられた側壁が洗場パンに締結されていることから、洗場パンに荷重が加わった際に、洗場パンの上下方向の撓みが生じることが防止される。また、側壁を利用して底板を洗場パンに取り付けるようにしたことから、底板を洗場パンに取り付けるための部材を別途設ける必要がない。これにより、底板を洗場パンに取り付けることが容易になるとともに、簡素な構造で安価な洗場を得ることができる。
【0017】
請求項2又は3の発明によれば、突出部は、洗場の外周に設けられた枠部の近傍下面に設けられているので、洗場パンの表面にヒケを発生させる恐れがない。また、簡易な構成で、前記底板の側壁を洗場パンに締結することが出来る。
【0018】
請求項4の発明によれば、洗場パンと底板との間に断熱材が配置されていることから、洗場パンの断熱を図ることが出来る。また、断熱材は側壁によって囲まれることから、断熱材が露出することがないために断熱材の損傷が防止されるとともに、該洗場の外側面を平坦にすることが出来るために前記洗場の外側面に身体が接触することで負傷することが防止される。また洗場パンが平板状を呈していることから、洗場パンと底板との間に断熱材を容易に設置出来るため、洗場パンの断熱を図ることが容易になる。
【0019】
請求項5の発明によれば、洗場パンと底板との間に耐荷強度の大きなスペーサが配置され、該スペーサに対応する位置に脚部が設けられていることから、洗場パンに荷重が加わった際に、洗場パンにかかる荷重がスペーサを介して底板及び脚部に伝えられる。これにより、断熱材が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材による断熱効果は確実に発揮される。 請求項6の発明によれば、スペーサが断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることから、洗場パンと底板との間が有効に利用される。
【0020】
請求項7の発明によれば、大きな撓みが生じやすい洗場パンの角用スペーサと角用スペーサとの間に、別のスペーサが配置されているので、洗場パンの上下方向の撓みが効果的に防止される。特に、別のスペーサを洗場パンの中央部分に設けると効果的である。
【0021】
請求項8の発明によれば、補強構造体で形成されたスペーサの縦壁部が、洗場パンの下面に対して垂直に立設されることから、洗場パンからの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パンを支持することができる。これにより、補強構造体で形成されたスペーサによって洗場パンの上下方向の撓みが効果的に防止される。
【0022】
請求項9の発明によれば、補強構造体で形成されたスペーサの縦壁部が、洗場パンの下面に対して垂直に立設されることから、洗場パンからの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パンを支持することができる。これにより、補強構造体で形成されたスペーサによって洗場パンの上下方向の撓みが防止される。
【0023】
請求項10の発明によれば、浴室の設置面に対して、脚部の高さを容易に調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態における洗場1の分解斜視図であり、洗場1を構成する部材を上下に分解した状態を示し、(a)は該分解した状態を斜め上方から視た図であり、(b)は該分解した状態を斜め下方から視た図である。また、図2は第1実施形態における洗場1の組付方法を示す分解斜視図であり、図3は図2のA−A線断面図であり、図4は図2のB−B線断面図であり、図5は図2のC−C線断面図である。なお図2では便宜のために断熱材9の図示を省略している。
【0026】
洗場1は、樹脂により形成された洗場パン2と、該洗場パン2の下方に配置された鋼板製の底板3と、洗場パン2と底板3との間に設けられた断熱材9と、底板3の下面38に取り付けられた高さ調整用脚部4とを備え、該高さ調整用脚部4を浴室の設置面上に立設して使用される。
【0027】
洗場パン2は、バルクモールディングコンパウンドをプレス加工することによって、深み、透明感、高級感のある大理石調の柄模様を表出させたものであって、平面矩形の平板状に形成されている。洗場パン2の上面10における外周部には、その全周に亘って上方に突出する壁状の枠部33が形成され、洗場パン2の幅方向一端側の中央には前記枠部33の内側において下方に陥没した陥没部7が設けられている。該陥没部7の底部中央には、洗場パン2の上面10に落下した水を排水するための排水口8が形成されており、枠部33内側における洗場パン2の上面10は陥没部7に向けて低くなるように傾斜している。
【0028】
洗場パン2の下面13における各隅部には、断熱材9の外側において下方に突出する突出部20が設けられている。該突出部20は、洗場パン2の隅に対応して屈曲した「く」の字状を呈し、図2に示すように、該突出部20を構成する2つの平面部21には、それぞれ水平方向の貫通孔30が形成されている。
【0029】
底板3には、その周囲全周から上方に立ち上がって断熱材9を囲む側壁6が一体に設けられている。図3に示すように、側壁6は、洗場パン2の突出部20と重なるように延びる重合部34を備え、該重合部34の内面が突出部20の外面に係合するようになっている。側壁6の重合部34には、突出部20の貫通孔30と同軸上に位置する水平方向の貫通孔35が形成されている。突出部20の貫通孔30と重合部34の貫通孔35とは、側壁6の重合部34を突出部20に締結するために設けられたものであって、貫通孔30,35には図2に示すタッピングビス36の螺子部が通されて、タッピングビス36の螺子部先端は断熱材9内部に埋設されるようになっている。なお、上述した側壁6は、重合部34の外面が突出部20の内面に係合するように突出部20の内側に延びていてもよい。
【0030】
断熱材9は、発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等から形成されている。該断熱材9において洗場パン2の各隅に対応する位置には、上下方向の貫通孔11が設けられており、各貫通孔11内には、断熱材9よりも大きな耐荷強度を有する樹脂製の角用スペーサ5が1つずつ配置されている。そして、スペーサ5の上面12と断熱材9の上面21とが洗場パン2の下面13に接し、スペーサ5の下面14と断熱材9の下面27が底板3の上面15に接触するように配設され、スペーサ5によって、確実に洗場パン2の荷重を受けると共に、断熱材9によって確実に断熱できるようになっている。
【0031】
また図1に示すように、断熱材9と底板3とには、幅方向一端側の中央に洗場パン2の陥没部7を嵌め込むための切り欠き31,32が形成されている。
【0032】
図4,5に示すように、高さ調整用脚部4は、樹脂製の本体部16と、金属製の筒部材17と、六角ボルト18と、ナット19とから構成されている。
【0033】
本体部16は、上下方向に延びた中空部材であり上方になるにつれて外径が拡大するコーン部77と、該コーン部77の大径側端部(上端部)21の周縁から外向きに延びたフランジ22とから構成されている。
【0034】
図2に示すように、フランジ22の外縁は、平面矩形状を呈しており、該フランジ22の各隅には上下方向の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23は、高さ調整用脚部4を底板3の下面38に取り付けるために使用されるものであって、底板3には各貫通孔23に対応する位置に上下方向の貫通孔27が形成されている。また、スペーサ5の下面14には、貫通孔23,27に通したビス26の螺子部先端が締結される螺子孔28が、貫通孔23,27に対応する位置、すなわちスペーサ5外周の各辺における中央近傍に形成されている。
【0035】
高さ調整用脚部4におけるコーン部77の側面には、4つの補強用リブ24が周方向に等しい間隔をおいて形成されている。これらの補強用リブ24は、コーン部77の側面の上下端に亘って形成されたものであって、上側になるにつれて幅広となる断面三角状を呈し、図3に示すように、各補強用リブ24の上端は、フランジ22外縁をなす4辺のうち対応する辺の中央に向けて延びている。
【0036】
筒部材17は、コーン部77の小径側端部25(下端部)の内側にインサート成形により取り付けられたものであって、筒部材17の内面には雌螺子が形成されて六角ボルト18の螺子部先端が螺着されている。なお、筒部材17は、コーン部77の小径側端部25内に圧入されて取り付けられてもよい。筒部材17に対して六角ボルト18の捩じ込み量を調整することで、高さ調整部を構成している。
【0037】
ナット19は、筒部材17の下方において六角ボルト18の螺子部中間に螺合しており、上面がコーン部77下端に当接することで六角ボルト18の回動を規制し、調整した高さ調整が変動することを防止している。
【0038】
スペーサ5には、その下面14の各隅に凹部29(図2参照)が形成されているとともに、該凹部29の底面から上方に延びてスペーサ5の上面12に開口した貫通孔78(図5参照)が形成されている。該貫通孔78は、スペーサ5を洗場パン2に固定させるビス79を通すためのものであって、洗場パン2の下面13には、ビス79の螺子部先端を締結させるためのボス37が、貫通孔78に対応する位置に形成されている。なお、該ビス79によってスペーサ5が洗場パン2に固定された状態では、図5に示すように、ビス79の頭部は凹部29内に収容されるようになっている。第1の実施形態では、ビス26とビス79が、洗場パン2、スペーサ5、補強板3、脚部4を一体に連結する連結部材を構成している。なお、本実施形態では、ビス79の頭部と補強板3の上面15とを接してないようにしたが、ビス79の頭部と補強板3の上面15とを接するようにして、ビス79が緩まないようにしても良い。
【0039】
次に、本実施形態における洗場1を組み立てる工程について説明する。
【0040】
まず、洗場パン2をスペーサ5の取り付け側(洗場1が浴室内に設置された状態における洗場パン2の下面13側)が上になるように作業場に載置する。
【0041】
次いで、洗場パン2の各隅に1つずつスペーサ5を取り付ける。この際には、スペーサ5の貫通孔78(図5参照)とボス37の螺子孔82とが同軸上に位置するようにスペーサ5の位置を調整した状態で、凹部29から貫通孔78に通したビス79の先端を、ボス37の螺子孔82に締結する。なお、この作業が完了した際には、ボス37の先端がスペーサ5に接することで、洗場パン2の下面13とスペーサ5の上面12との間にボス37の高さ分の隙間が生じている。
【0042】
次いで、洗場パン2の上に断熱材9を重ねる。この際には、断熱材9の各貫通孔11(図1参照)内に一つずつスペーサ5が配置されるとともに、断熱材9の切り欠き31に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるように、断熱材9の位置を調節する。この作業が完了した際には、突出部20は断熱材9の外側に位置している。
【0043】
次いで、側壁6の内側に断熱材9が配置されるように底板3を断熱材9の上にかぶせる。この際には、側壁6の貫通孔35と突出部20の貫通孔30とが同軸上に位置するとともに、底板3の切り欠き32(図1参照)に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるように、底板3の位置を調節する。
【0044】
次いで、タッピングビス36の螺子部を貫通孔30,35に通して、該タッピングビス36の螺子部先端を断熱材9内部に埋設する。これにより、断熱材9が側壁6に囲まれた状態で、側壁6が突出部20に締結される。
【0045】
次いで、高さ調整用脚部4を組み立てる。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が所定長となるように、六角ボルト18の螺子部中央にナット19を取り付けた後に、ナット19の上面がコーン部77の下端に接するまで六角ボルト18の螺子部先端を筒部材17の内側に螺着させる。
【0046】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部4を、底板3の各隅に順次取り付ける。この際には、図2に示すように、高さ調整用脚部4の貫通孔23が底板3の貫通孔27と同軸上に位置するように高さ調整用脚部4の位置を調節した状態で、ビス26の螺子部を高さ調整用脚部4側から貫通孔23,27に通して、ビス26の螺子部先端をスペーサ5の螺子孔28に締結する。この結果、洗場1が組み立てられる。
【0047】
そして以上のように組み立てられた洗場1は、六角ボルト18の頭部を浴室の設置面上に載置することによって、該浴室内に配置される。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が調整されていることから、洗場パン2は所定の高さに維持された状態になっている。なお六角ボルト18とナット19とをコーン部77に仮組みしておいて、高さ調整用脚部4を洗場に組み付けた後、前記長さLを調整することによって、洗場パン2の高さ調整を行ってもよい。
【0048】
本実施形態によれば、洗場パン2が平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側に高い剛性を維持するための高さの大きな補強用リブを設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パン2の重量を小さくすることが出来る。また、洗場パン2が平板状を呈していることから、洗場パン2の表面にヒケ等の外観不良が生じることが防止される。
【0049】
また、洗場パン2の下面13に高さの大きな補強用リブが設けられていないことから、洗場パン2の下面13をほぼ平面に形成できるので、洗場パン2と底板3との間に断熱材9を容易に設置できる。断熱材9は側壁6によって囲まれることから、断熱材9が露出することがないために断熱材9の損傷が防止されるとともに、該洗場1の外側面を平坦にすることが出来るために前記洗場1の外側面に身体が接触することで負傷することが防止される。また洗場パン2が平板状を呈していることから、洗場パン2と底板3との間に断熱材9を容易に設置出来るため、洗場パン2の断熱を図ることが容易になる。
【0050】
また、洗場パン2の突出部20は、洗場1の外周に設けられた枠部33の近傍下面に設けられているので、洗場パン2の表面にヒケを発生させる恐れがない。
【0051】
また、底板3に設けられた側壁6が洗場パンに締結されていることから、洗場パンに荷重が加わった際に、洗場パン2からの荷重が側壁6を介して底板3に伝達されるために、洗場パン2からの荷重を底板3に受け支えさせることができ、洗場パン2に上下方向の撓みが生じることが防止される。これにより、洗場の重量増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。また、側壁6を利用して底板3を洗場パン2に取り付けるようにした(具体的には、側壁6を洗場パン2の突出部20と重なるように延ばして該重合部34において突出部20に締結した)ので、簡易な構成で底板3を洗場パン2に締結出来る。これにより、底板3を洗場パン2に取り付けることが容易になり、底板3を洗場パン2に取り付けるための部材を別途設ける必要がない。
【0052】
また、洗場パン2と底板3との間に耐荷強度の大きな角用スペーサ5が配置され、該角用スペーサ5に対応する位置(スペーサ5の下方)に高さ調整用脚部4が設けられていることから、洗場パン2から荷重がかかった際に洗場パン2と高さ調整用脚部4との間に洗場パン2と高さ調整用脚部4とから上下方向の圧縮力が負荷されたとしても、洗場パン2と底板3との間は一定に保たれる。これにより、断熱材9が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材9による断熱効果は確実に発揮される。
【0053】
また、スペーサ5が断熱材9に形成された上下方向の貫通孔11内に設けられていることから、洗場パン2と底板3との間が有効に利用される。
【0054】
また、洗場パン2から高さの大きな補強用リブを廃止して洗場パン2の表面にヒケが生じることを防止したことから、バルクモールディングコンパウンドの材料が有する深み、透明感、高級感のある外観が活かされるとともに、洗場パン2の下側(裏面側)に、スペーサ5、断熱材9、及び底板3を配置したことで洗場1の剛性を高めることができるので、バルクモールディングコンパウンドによって形成する洗場パン2の板厚を従来の板厚よりも薄くして洗場の軽量化を図ることが出来る。
【0055】
また、洗場パン2の下面13にボス37を設け、このボス37内部にビス79の螺子部を締結するようにしたことから、洗場パン2の本体部に、前記ビス79の螺子部が貫入することが防止される。これにより、洗場パン2の本体部の厚さを薄くすることが出来るとともに、バルクモールディングコンパウンドの外観の良さが失われない。
【0056】
なお本実施形態では、図4,5に示すように、スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間には該ボス37の高さ分の隙間が存在しており、この隙間には断熱材9は配置されていない。これは、前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間に断熱材9を配置することの困難さを考慮したものであるが、この隙間の容積は微小であるために、該隙間による断熱効果の低減は微かなものとなる。なお前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間の断熱性を確保すべく、該スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間に小片の断熱材を配置したり、洗場パン2の下面13に発泡樹脂等を吹き付けたとしても、スペーサ5の数が4と少ないことから、作業上の負担は僅かなものとなる。
【0057】
なお、突出部20は、側壁6と締結できれば良く、その設置位置も、洗場パン2の下面13の4隅に限られない。例えば、突出部20は、洗場パン2において隣り合う2隅の中間部分に設けられて、側壁6と螺子により締結されるようにしても良く、前記4隅に加えて前記中間部分に追加して設けても良い。また、側壁6の上端が洗場パン2の下面13に部分的にでも当接するようにすると、洗場パン2の変形を抑制できるので、好ましい。さらに、側壁6の上端全面が洗場パン2の下面13に当接するようにすると、洗場パン2の変形をより抑制できるので、より好ましい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図6〜8をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については同一の符号を図6〜8に付して説明を省略する。
【0058】
図6は第2実施形態における図1相当図であり、図7は第2実施形態における図2相当図であり、図8は図7のD−D線断面図である。
【0059】
本実施形態では、底板3の側壁6には、上端部において外側に張り出たフランジ72が重合部として設けられている。該フランジ72は、側壁6を構成する4つの平面部40(図6(a)参照)の両端に、各1つずつ設けられた結果、側壁6の各隅に2つずつ配置されている。図7,8に示すように、各フランジ72には上下方向の貫通孔73が形成されている。この貫通孔73は、フランジ72を洗場パン2に締結するために設けられたものであって、洗場パン2の下面13には、各フランジ72に対応する位置に突出部としてボス74が設けられて、該ボス74には、貫通孔73と同軸上に位置する螺子孔75が形成されている。
【0060】
次に、底板3の側壁6を洗場パン2に締結する作業について説明する。
【0061】
本実施形態の洗場100の組み立て時において、洗場パン2に、スペーサ5及び断熱材9を組み付ける作業は、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。その後、側壁6の内側に断熱材9が位置する状態にして底板3を断熱材9の上に被せて、底板3の切り欠き32に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるとともに、フランジ72の各貫通孔73と対応するボス74の螺子孔75とが同軸上に位置するように、底板3の位置を調節する。そして、このように底板3を断熱材9の上にかぶせた状態で、貫通孔73にタッピングビス76の螺子部を通して、タッピングビス76の螺子部先端をボス74の螺子孔75に螺合する。これにより、底板3の側壁6は洗場パン2に締結される。
【0062】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が発揮されることに加え、上述したフランジ72とボス74とによって底板3の側壁6を洗場パン2に締結するようにしたことから、簡易な構成で側壁6を洗場パン2に締結させることが出来る。
【0063】
なお、2つのフランジ72の間に、別のフランジを設け、この別のフランジに対応して洗場パン2にボスを追加して、洗場パン2と底板3の側壁6とをさらに強固に係合するようにしても良い。また、側壁6の上端が洗場パン2の下面13に部分的にでも当接するようにすると、洗場パン2の変形を抑制できるので、好ましい。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について図9をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する箇所については同一の符号を図9に付して説明を省略する。
【0064】
図9は第3実施形態における図1相当図である。
【0065】
第3実施形態の洗場101は、第1実施形態の洗場1に対して、洗場パン2の4角に配置する角用のスペーサ5に加えて、中間用のスペーサ50を追加したものである。該スペーサ50は、前記洗場パン2の中央位置に配置されており、断熱材9には、該スペーサ50を配置するための貫通孔51が形成されている。
【0066】
スペーサ50は、スペーサ5と同様に、洗場パン2の下面13に取り付けられるものであって、スペーサ50には、図2,5に示した凹部29及び貫通孔78(図9には図示せず)が形成され、洗場パン2の下面13における中央位置には、凹部29から貫通孔78に通したビス79の先端を締結するボス52が設けられている。なお本実施形態では、スペーサ50の下方には高さ調整用脚部4は設けられず、これに伴い、スペーサ50には、図2,4に示した螺子孔28は形成されていない。
【0067】
本実施形態によれば、洗場パン2において上下方向の撓みが生じやすい中央位置にスペーサ50を配置したので、前記洗場パン2の撓みが効果的に防止される。
【0068】
なお、スペーサ50の下方にも高さ調整用脚部4が取り付けられてもよい。この場合には、スペーサ50にも、スペーサ5と同様、図2,4に示した螺子孔28が形成される。
【0069】
なお、スペーサ50の設置位置は上記実施形態で示した位置に限られず、スペーサ50は、洗場パン2の撓みを効果的に防止するにあたって、相応しい場所に設けられ得る。例えば、排水口8に水を確実に流すべく洗場パン2の上面10が勾配を有するように、スペーサ50を、排水口8と相対する側に位置する側壁6の近傍に設けるようにしても良い。また、スペーサ50は、1つだけでなく、複数設けても良い。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について図10及び11をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については同一の符号を図10及び11に付して説明を省略する。
【0070】
図10は第4実施形態における図1相当図であり、図11は図10のE−E線断面図である。
【0071】
第4実施形態は、洗場パン2の4角に配置する角用のスペーサに加えて、洗場パン2の中央位置に中間用のスペーサとしてのハット形鋼53を配置したものである。図11に示すように、該ハット形鋼53は、底面部54と、該底面部54の両端から延びた一対の縦壁部55と、各前記縦壁部55の一端から外側に延びた一対の張り出し部56とから構成されて、断熱材9に形成された貫通孔41(図10参照)内に設置されている。ハット形鋼53の各張り出し部56には、ハット形鋼53の長手方向に等しい間隔をおいて3つの貫通孔57(図10(a)、図11参照)が形成されている。該貫通孔57は、張り出し部56を洗場パン2の下面13に締結するために設けられたものであって、洗場パン2の下面13には、各貫通孔57に通したビス58の螺子部を締結するボス59(図10(b)、図11参照)が設けられている。該ボス59は、貫通孔57に対応して設けられていることで、洗場パン2の長手方向に3つずつ2列に別れて並んでいる。そして、前記貫通孔57及びボス59が使用されて、張り出し部56を洗場パン2の下面13に締結された状態では、ハット形鋼53は、洗場パン2の長手方向に延びるように洗場パン2の下面に取り付けられる。なお、ハット形鋼53は、洗場パン2の短手方向に延びるように設けられてもよい。この場合、前記貫通孔57及びボス59は、洗場パン2の短手方向に並設され得る。
【0072】
そして図11に示すように、ハット形鋼53は、一対の縦壁部55が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設した状態で、張り出し部56が洗場パン2の下面13に締結されているとともに底面部54の下面60が底板3の上面15に接していることで、洗場パン2に加わる荷重を分担して受けており、洗場パン2の変形を防止している。また、ハット形鋼53の2つの縦壁部55の間には、発泡ポリエスチレンや発泡ポリプロピレン等によって形成された断熱材61がハット形鋼53の長手方向の全体に亘って配置されている。
【0073】
次に、上述したハット形鋼53及び断熱材61を、洗場パン2と底板3との間に配置する作業について説明する。
【0074】
まず、洗場パン2をスペーサ5及びハット形鋼53の取り付け側が上になるように作業場に載置した状態で、図10に示すように、2列に並ぶボス59の列間に断熱材61を配置する。
【0075】
次いで、洗場パン2の中央位置にハット形鋼53を配置する。この際には、断熱材61がハット形鋼53の2つの縦壁部55の間に配置されるとともに、張り出し部56の各貫通孔57が対応するボス59の螺子孔62(図11参照)と同軸上に位置するように、ハット形鋼53の位置を調節する。
【0076】
次いで、貫通孔57にビス58の螺子部を通して、該ビス58の螺子部先端をボス59の螺子孔62に締結する。この結果、2つの縦壁部55の間に断熱材61が配置された状態で、張り出し部56が洗場パン2の下面13に締結される。
【0077】
そして以上の作業と各スペーサ5の取り付け作業が完了したときには洗場パン2の上に断熱材9を重ねる工程に移行し、この工程では、第1実施形態で述べた事項に加え、断熱材9の貫通孔41内にハット形鋼53が配置されるように、断熱材9の位置を調節する。
【0078】
そして次工程の底板の取り付け作業が行われることによって、ハット形鋼53及び断熱材61は、洗場パン2と底板3との間に配置された状態になる。
【0079】
本実施形態においても、第1〜3実施形態で述べた効果が同様に発揮されることに加え、ハット形鋼53の縦壁部55が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設されることから、ハット形鋼53は、洗場パン2からの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パン2を支持する。これにより、洗場パン2の上下方向の撓みが効果的に防止される。
【0080】
また、2つの縦壁部55の間に断熱材61が配置されていることから、洗場パン2と底板3との間においてハット形鋼53が配置される領域にも断熱機能を持たせることが出来る。これにより、洗場パン2の断熱を確実に図る上で有利になる。
【0081】
なお、断熱材61を予め、ハット形鋼53の2つの縦壁部55の間に配置して、ハット形鋼53を洗場パン2に組み付けるようにしても良い。
【0082】
本実施形態では、ハット形鋼53の張り出し部56を洗場パン2に係合させ、底面部54については底板3に係合させてないが、張り出し部56及び底面部54の少なくとも一方が、相手側の洗場パン2・底板3に係合するようにしても良く、張り出し部56及び底面部54の両方がそれぞれ相手側の洗場パン2・底板3に係合するようにしても良い。
【0083】
また、底面部54が洗場パン2側で、張り出し部56が底板3側になるように、ハット形鋼53を反対にして配置しても良い。
【0084】
なお、ハット形鋼53の構造は、底面部54、縦壁部55及び張り出し部56を備えた補強構造体であればよく、上記実施形態に限られるものではない。また、ハット形鋼53に代えて、H形鋼、I形鋼、断面コ字形状、ボックス形状、クランク形状(縦壁部に対して、底面部と張り出し部が逆方向に延びた形状)を設けても良い。また、ハット形鋼53の構造は、両側に縦壁部55がある上記構造に限らず、周囲に縦壁部がある構造や一カ所のみ縦壁部55がある構造も含む。また、ハット形鋼53の構造は、両側に張り出し部がある上記構造に限らず、周囲に全周に張り出し部がある構造や一カ所のみ張り出し部がある構造も含む。ハット形鋼53や他の補強構造体は、角用のスペーサに適用することも可能である。なお、ハット形鋼53等の補強構造体は、中間用のスペーサ全てに用いても良く、一部でも良い。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について図12及び13をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については図12及び13に同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
図12は第5実施形態における図1相当図であり、図13は、図12のF−F線断面図である。
【0086】
第5実施形態は、洗場パン2の4角に配置する角用のスペーサ5に加えて、洗場パン2の中央位置に中間用のスペーサとしての溝形鋼63を配置したものである。図13に示すように、該溝形鋼63は、底面部64と、該底面部64の両端から延びた一対の縦壁部65とから構成されて、断熱材9に形成された貫通孔71(図12参照)内に設置されている。
【0087】
溝形鋼63の底面部64には、溝形鋼63の長手方向に等しい間隔をおいて3つの貫通孔66(図12(a)、図13参照)が形成されている。該貫通孔66は、ウェブ64を洗場パン2の下面13に締結するために設けられたものであって、洗場パン2の下面13における中央位置には、底面部64の貫通孔66に通したビス67の螺子部を締結するボス68(図12参照))が設けられている。該ボス68は、各貫通孔66に対応するように設けられた結果、洗場パン2の長手方向に3つ並んでいる。
【0088】
そして図13に示すように、溝形鋼63は、一対の縦壁部65が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設した状態で、底面部64が洗場パン2に締結されているとともに縦壁部65の先端が底板3の上面15に接することで洗場パン2に加わる荷重の一部を受けて、洗場パン2の変形を防止するようになっている。
【0089】
また、底面部64が洗場パン2に締結された状態では、溝形鋼63は洗場パン2の長手方向に延びて配置されている。なお、溝形鋼63は、洗場パン2の短手方向に延びるように設けても良い。この場合、ボス68及び貫通孔66は洗場パン2の短手方向に並設され得る。
【0090】
2つの縦壁部55の間には、発泡ポリエスチレンや発泡ポリプロピレン等によって形成された断熱材69が、溝形鋼63の長手方向全体に亘って配置されている。
【0091】
次に、上述した溝形鋼63及び断熱材69を、洗場パン2と底板3との間に配置する作業について説明する。
【0092】
まず、洗場パン2をスペーサ5及び溝形鋼63の取り付け側が上になるように作業場に載置した状態で、洗場パン2の中央位置に溝形鋼63を配置する。この際には、底面部64の貫通孔66がボス68の螺子孔70と同軸上に位置するように、溝形鋼63の位置を調節する。
【0093】
次いで、底面部64の貫通孔66にビス67の螺子部を通して、ビス67の螺子部先端をボス68の螺子孔70に締結する。この結果、底面部64は洗場パン2に締結される。
【0094】
次いで、溝形鋼63の2つの縦壁部65の間に断熱材69を配置する。
【0095】
そして以上の作業と各スペーサ5の取り付け作業が完了したときには洗場パン2の上に断熱材9を重ねる工程に移行し、この工程では、第1実施形態で述べた事項に加えて、断熱材9の貫通孔71内に溝形鋼63及び断熱材69が配置されるように、断熱材9の位置を調節する。
【0096】
そして、次工程の底板の取り付け作業が行われることによって、溝形鋼63及び断熱材69は、洗場パン2と底板3との間に配置された状態になる。なお、断熱材69を組み付けた後に、断熱材9を組み付けるようにしても良い。
【0097】
本実施形態によれば、第1及び第2実施形態で述べた効果が同様に発揮されるとともに、溝形鋼63の縦壁部65が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設されることから、溝形鋼63は洗場パン2からの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パン2を支持する。これにより、洗場パン2の上下方向の撓みが防止される。
【0098】
また、2つの縦壁部65の間に断熱材を配置することによって、溝形鋼が配置される領域に洗場パンの断熱機能も持たせることが出来る。これにより、洗場パン2の断熱を確実に図る上で有利になる。
【0099】
なお、ボス68は、溝形鋼63を洗場パン2に締結できれば良く、前記実施形態のように一つの直線上に並ぶように配置されずに、ジグザグ状に配置されても良い。また、溝形鋼63は、図12,13に示す状態とは反対の向きになるように、すなわち底面部64を底板3側にして、縦壁部65の先端が洗場パン2の下面に接触するように配置されても良い。
【0100】
また、溝形鋼63の構造は、角用のスペーサに適用することも可能である。なお、溝形鋼63の構造は、中間用のスペーサ全てに用いても良く、一部でも良い。
【0101】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0102】
例えば、第1〜5実施形態では、洗場パン2は、シートモールディングコンパウンドをプレス加工することによって成形されてもよい。この場合においても、洗場パン2が平板状に形成されていることから、洗場パン2にヒケ等の外観不良が生じることが防止される。
【0103】
また第1〜5実施形態において、底板3は、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、アクリル、ABSなどの樹脂製材料から形成されてもよい。なお、洗場の補強を充分図るためには、底板は洗場パンよりも剛性の高い材料から形成することが好ましい。
【0104】
また第1〜5実施形態では、洗場パン2と底板2との間に断熱材9を配置したが、断熱機能を有していない部材を芯材として配置してもよい。この場合においても、芯材を介して洗場パン2から底板3に荷重が伝達されるので洗場は補強される。
【0105】
また第1〜5実施形態において、洗場パン2、スペーサ5,50、底板3、高さ調整用脚部4、ハット形鋼、溝形鋼を固定するために使用される締結部材の数は上記に限られず任意の数に設定され得る。この場合、洗場パン等には、前記締結部材のそれぞれに対応した貫通孔や螺子孔が設けられる。
【0106】
また第1〜5実施形態において、スペーサ5の数は4つに限られず、4以外の任意の複数に設定され得る。なお、洗場パン2の各隅の下方にスペーサ5を配置することで、洗場パン2はスペーサ5によって安定して支持される。
【0107】
なお、第1〜5実施形態では各高さ調整用脚部4が高さ調整機能を有するものであるが、本発明では、浴室の設置面がフラットで一律の高さを有している場合には、高さ調整を必要としない脚部にも適用可能である。また高さ調整機能のない脚部を使用した場合に、脚部の高さを調整する必要があるときには、脚部とは別に設けた部材で高さ調整するようにしても良い。
【0108】
また第4及び5実施形態では、ハット形鋼53又は溝形鋼63は、洗場パン2と底板3との間における任意の位置に設置されてもよく、また、その数も複数であってもよい。
【0109】
また第1〜5実施形態では、スペーサ5、ハット形鋼53、又は溝形鋼63を断熱材9の貫通孔内に設置するようにしたが、断熱材9の外縁に内側に凹となる切り欠きを設け、この切り欠きに前記スペーサ5等を配置するようにしてもよい。この場合においても、前記洗場パン2と前記底板3との間を無駄なく有効に利用することが出来る。
【0110】
また第4及び5実施形態では、断熱材9による断熱効果が充分期待できる場合には、ハット形鋼53や溝形鋼63における2つのフランジの間に断熱材61,69は設けられなくてもよい。この場合、断熱材61,69の取り付け作業を省略することが出来るため、洗場の組み立てが容易になる。
【0111】
また第4及び5実施形態では、上述したハット形鋼53や溝形鋼63に代えて、ハット形断面又は溝形断面を有する樹脂をスペーサとして配置してもよい。この場合においても、該スペーサの縦壁部を洗場パン2の下面13に対して垂直に立設させることによって、洗場パン2の上下方向の撓みを効果的に防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1実施形態における洗場の分解斜視図である。
【図2】第1実施形態における洗場1の組付方法を示す分解斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線断面図である。
【図6】第2実施形態における図1相当図である。
【図7】第2実施形態における図2相当図である。
【図8】図7のD−D線断面図である。
【図9】第3実施形態における図1相当図である。
【図10】第4実施形態における図1相当図である。
【図11】図10のE−E線断面図である。
【図12】第5実施形態における図1相当図である。
【図13】図12のF−F線断面図である。
【符号の説明】
【0113】
1,100,101,102,103 浴室の洗場、
2 洗場パン、
3 底板、
4 高さ調整用脚部、
5,50 スペーサ、
6 側壁、
9 断熱材(芯材)、
11 貫通孔、
13 洗場パンの下面、
20 突出部、
34 重合部、
54 底面部、
55 縦壁部、
56 張り出し部、
53 ハット形鋼(ハット形断面のスペーサ)、
64 底面部、
65 縦壁部、
63 溝形鋼(溝形断面のスペーサ)、
72 フランジ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗場構造、特に、洗場パンが樹脂によって形成された洗場構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室洗場の床を構成する樹脂製の洗場パンとして、その下面に格子状のリブを設けたものがある(特許文献1)。このような洗場パンは、シートモールディングコンパウンド材料を用いて圧縮成形によって成形され、剛性をより上げるために高さの大きな補強用リブが設けられていることで、上下に撓まないように補強されたものとなっている。
【特許文献1】特開2005−42339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記リブを洗場パンに設けた場合には、洗場パンの形状が複雑になるために洗場パンの成形が困難になるとともに、洗場の重量が大きくなる。また、剛性を上げるために高さの大きな補強用リブを洗場パンに設けると、ヒケ等により洗場パンの表面の見栄えが損なわれることがある。
【0004】
そこで本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗場の重量の増加を極力抑えた状態で洗場の補強を行うことが出来るとともに、洗場パンにヒケ等の外観不良が生じることが防止される浴室の洗場構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、樹脂により形成された平板状の洗場パンと、該洗場パンの下方に配置された底板と、前記洗場パンと前記底板との間に設けられたスペーサと、前記底板の下面に取り付けられた脚部とを備え、前記底板には、その周囲全周から上方に立ち上がって前記スペーサを囲む側壁が一体に設けられ、該側壁は前記洗場パンに締結されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、前記洗場パンの外周に設けられた枠部の近傍の下面には突出部が設けられ、前記側壁は、前記突出部と重なるように延びる重合部を備え、該重合部において前記突出部に締結されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記側壁には、上端部において外側に張り出したフランジが設けられて、該フランジが前記洗場パンの突出部に締結されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1つにおいて、前記洗場パンと前記底板との間には、断熱材が洗場パンの下面と接するように配置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1つにおいて、前記脚部は、前記スペーサに対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項4又は5において、前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項5又は6において、前記複数のスペーサは、前記洗場パンの角近傍に配置された角用のスペーサと、該角用のスペーサの内、いずれか2つの角用のスペーサ間に配置された中間用のスペーサとを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか1つにおいて、前記スペーサのうち少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、 該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記張り出し部が前記洗場パンに当接され、前記底面部が前記底板に当接されて洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項5〜7のいずれか1つにおいて、前記スペーサの少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、 該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記底面部が前記洗場パンに当接され、前記張り出し部が前記底板に当接されて前記洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1つにおいて、前記脚部が高さ調整部を備えることを特徴とする
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、洗場パンが平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側にリブを設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パンの重量を小さくすることが出来る。また、洗場パンが平板状を呈していることから、洗場パンの表面にヒケ等の外観不良が生じることが防止される。そして、洗場パンからの荷重がスペーサを介して底板に伝達されるために、洗場パンからの荷重を底板に受け支えさせることができる。これにより、洗場の重量増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。
【0016】
また、底板に設けられた側壁が洗場パンに締結されていることから、洗場パンに荷重が加わった際に、洗場パンの上下方向の撓みが生じることが防止される。また、側壁を利用して底板を洗場パンに取り付けるようにしたことから、底板を洗場パンに取り付けるための部材を別途設ける必要がない。これにより、底板を洗場パンに取り付けることが容易になるとともに、簡素な構造で安価な洗場を得ることができる。
【0017】
請求項2又は3の発明によれば、突出部は、洗場の外周に設けられた枠部の近傍下面に設けられているので、洗場パンの表面にヒケを発生させる恐れがない。また、簡易な構成で、前記底板の側壁を洗場パンに締結することが出来る。
【0018】
請求項4の発明によれば、洗場パンと底板との間に断熱材が配置されていることから、洗場パンの断熱を図ることが出来る。また、断熱材は側壁によって囲まれることから、断熱材が露出することがないために断熱材の損傷が防止されるとともに、該洗場の外側面を平坦にすることが出来るために前記洗場の外側面に身体が接触することで負傷することが防止される。また洗場パンが平板状を呈していることから、洗場パンと底板との間に断熱材を容易に設置出来るため、洗場パンの断熱を図ることが容易になる。
【0019】
請求項5の発明によれば、洗場パンと底板との間に耐荷強度の大きなスペーサが配置され、該スペーサに対応する位置に脚部が設けられていることから、洗場パンに荷重が加わった際に、洗場パンにかかる荷重がスペーサを介して底板及び脚部に伝えられる。これにより、断熱材が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材による断熱効果は確実に発揮される。 請求項6の発明によれば、スペーサが断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることから、洗場パンと底板との間が有効に利用される。
【0020】
請求項7の発明によれば、大きな撓みが生じやすい洗場パンの角用スペーサと角用スペーサとの間に、別のスペーサが配置されているので、洗場パンの上下方向の撓みが効果的に防止される。特に、別のスペーサを洗場パンの中央部分に設けると効果的である。
【0021】
請求項8の発明によれば、補強構造体で形成されたスペーサの縦壁部が、洗場パンの下面に対して垂直に立設されることから、洗場パンからの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パンを支持することができる。これにより、補強構造体で形成されたスペーサによって洗場パンの上下方向の撓みが効果的に防止される。
【0022】
請求項9の発明によれば、補強構造体で形成されたスペーサの縦壁部が、洗場パンの下面に対して垂直に立設されることから、洗場パンからの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パンを支持することができる。これにより、補強構造体で形成されたスペーサによって洗場パンの上下方向の撓みが防止される。
【0023】
請求項10の発明によれば、浴室の設置面に対して、脚部の高さを容易に調整できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態における洗場1の分解斜視図であり、洗場1を構成する部材を上下に分解した状態を示し、(a)は該分解した状態を斜め上方から視た図であり、(b)は該分解した状態を斜め下方から視た図である。また、図2は第1実施形態における洗場1の組付方法を示す分解斜視図であり、図3は図2のA−A線断面図であり、図4は図2のB−B線断面図であり、図5は図2のC−C線断面図である。なお図2では便宜のために断熱材9の図示を省略している。
【0026】
洗場1は、樹脂により形成された洗場パン2と、該洗場パン2の下方に配置された鋼板製の底板3と、洗場パン2と底板3との間に設けられた断熱材9と、底板3の下面38に取り付けられた高さ調整用脚部4とを備え、該高さ調整用脚部4を浴室の設置面上に立設して使用される。
【0027】
洗場パン2は、バルクモールディングコンパウンドをプレス加工することによって、深み、透明感、高級感のある大理石調の柄模様を表出させたものであって、平面矩形の平板状に形成されている。洗場パン2の上面10における外周部には、その全周に亘って上方に突出する壁状の枠部33が形成され、洗場パン2の幅方向一端側の中央には前記枠部33の内側において下方に陥没した陥没部7が設けられている。該陥没部7の底部中央には、洗場パン2の上面10に落下した水を排水するための排水口8が形成されており、枠部33内側における洗場パン2の上面10は陥没部7に向けて低くなるように傾斜している。
【0028】
洗場パン2の下面13における各隅部には、断熱材9の外側において下方に突出する突出部20が設けられている。該突出部20は、洗場パン2の隅に対応して屈曲した「く」の字状を呈し、図2に示すように、該突出部20を構成する2つの平面部21には、それぞれ水平方向の貫通孔30が形成されている。
【0029】
底板3には、その周囲全周から上方に立ち上がって断熱材9を囲む側壁6が一体に設けられている。図3に示すように、側壁6は、洗場パン2の突出部20と重なるように延びる重合部34を備え、該重合部34の内面が突出部20の外面に係合するようになっている。側壁6の重合部34には、突出部20の貫通孔30と同軸上に位置する水平方向の貫通孔35が形成されている。突出部20の貫通孔30と重合部34の貫通孔35とは、側壁6の重合部34を突出部20に締結するために設けられたものであって、貫通孔30,35には図2に示すタッピングビス36の螺子部が通されて、タッピングビス36の螺子部先端は断熱材9内部に埋設されるようになっている。なお、上述した側壁6は、重合部34の外面が突出部20の内面に係合するように突出部20の内側に延びていてもよい。
【0030】
断熱材9は、発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等から形成されている。該断熱材9において洗場パン2の各隅に対応する位置には、上下方向の貫通孔11が設けられており、各貫通孔11内には、断熱材9よりも大きな耐荷強度を有する樹脂製の角用スペーサ5が1つずつ配置されている。そして、スペーサ5の上面12と断熱材9の上面21とが洗場パン2の下面13に接し、スペーサ5の下面14と断熱材9の下面27が底板3の上面15に接触するように配設され、スペーサ5によって、確実に洗場パン2の荷重を受けると共に、断熱材9によって確実に断熱できるようになっている。
【0031】
また図1に示すように、断熱材9と底板3とには、幅方向一端側の中央に洗場パン2の陥没部7を嵌め込むための切り欠き31,32が形成されている。
【0032】
図4,5に示すように、高さ調整用脚部4は、樹脂製の本体部16と、金属製の筒部材17と、六角ボルト18と、ナット19とから構成されている。
【0033】
本体部16は、上下方向に延びた中空部材であり上方になるにつれて外径が拡大するコーン部77と、該コーン部77の大径側端部(上端部)21の周縁から外向きに延びたフランジ22とから構成されている。
【0034】
図2に示すように、フランジ22の外縁は、平面矩形状を呈しており、該フランジ22の各隅には上下方向の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23は、高さ調整用脚部4を底板3の下面38に取り付けるために使用されるものであって、底板3には各貫通孔23に対応する位置に上下方向の貫通孔27が形成されている。また、スペーサ5の下面14には、貫通孔23,27に通したビス26の螺子部先端が締結される螺子孔28が、貫通孔23,27に対応する位置、すなわちスペーサ5外周の各辺における中央近傍に形成されている。
【0035】
高さ調整用脚部4におけるコーン部77の側面には、4つの補強用リブ24が周方向に等しい間隔をおいて形成されている。これらの補強用リブ24は、コーン部77の側面の上下端に亘って形成されたものであって、上側になるにつれて幅広となる断面三角状を呈し、図3に示すように、各補強用リブ24の上端は、フランジ22外縁をなす4辺のうち対応する辺の中央に向けて延びている。
【0036】
筒部材17は、コーン部77の小径側端部25(下端部)の内側にインサート成形により取り付けられたものであって、筒部材17の内面には雌螺子が形成されて六角ボルト18の螺子部先端が螺着されている。なお、筒部材17は、コーン部77の小径側端部25内に圧入されて取り付けられてもよい。筒部材17に対して六角ボルト18の捩じ込み量を調整することで、高さ調整部を構成している。
【0037】
ナット19は、筒部材17の下方において六角ボルト18の螺子部中間に螺合しており、上面がコーン部77下端に当接することで六角ボルト18の回動を規制し、調整した高さ調整が変動することを防止している。
【0038】
スペーサ5には、その下面14の各隅に凹部29(図2参照)が形成されているとともに、該凹部29の底面から上方に延びてスペーサ5の上面12に開口した貫通孔78(図5参照)が形成されている。該貫通孔78は、スペーサ5を洗場パン2に固定させるビス79を通すためのものであって、洗場パン2の下面13には、ビス79の螺子部先端を締結させるためのボス37が、貫通孔78に対応する位置に形成されている。なお、該ビス79によってスペーサ5が洗場パン2に固定された状態では、図5に示すように、ビス79の頭部は凹部29内に収容されるようになっている。第1の実施形態では、ビス26とビス79が、洗場パン2、スペーサ5、補強板3、脚部4を一体に連結する連結部材を構成している。なお、本実施形態では、ビス79の頭部と補強板3の上面15とを接してないようにしたが、ビス79の頭部と補強板3の上面15とを接するようにして、ビス79が緩まないようにしても良い。
【0039】
次に、本実施形態における洗場1を組み立てる工程について説明する。
【0040】
まず、洗場パン2をスペーサ5の取り付け側(洗場1が浴室内に設置された状態における洗場パン2の下面13側)が上になるように作業場に載置する。
【0041】
次いで、洗場パン2の各隅に1つずつスペーサ5を取り付ける。この際には、スペーサ5の貫通孔78(図5参照)とボス37の螺子孔82とが同軸上に位置するようにスペーサ5の位置を調整した状態で、凹部29から貫通孔78に通したビス79の先端を、ボス37の螺子孔82に締結する。なお、この作業が完了した際には、ボス37の先端がスペーサ5に接することで、洗場パン2の下面13とスペーサ5の上面12との間にボス37の高さ分の隙間が生じている。
【0042】
次いで、洗場パン2の上に断熱材9を重ねる。この際には、断熱材9の各貫通孔11(図1参照)内に一つずつスペーサ5が配置されるとともに、断熱材9の切り欠き31に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるように、断熱材9の位置を調節する。この作業が完了した際には、突出部20は断熱材9の外側に位置している。
【0043】
次いで、側壁6の内側に断熱材9が配置されるように底板3を断熱材9の上にかぶせる。この際には、側壁6の貫通孔35と突出部20の貫通孔30とが同軸上に位置するとともに、底板3の切り欠き32(図1参照)に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるように、底板3の位置を調節する。
【0044】
次いで、タッピングビス36の螺子部を貫通孔30,35に通して、該タッピングビス36の螺子部先端を断熱材9内部に埋設する。これにより、断熱材9が側壁6に囲まれた状態で、側壁6が突出部20に締結される。
【0045】
次いで、高さ調整用脚部4を組み立てる。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が所定長となるように、六角ボルト18の螺子部中央にナット19を取り付けた後に、ナット19の上面がコーン部77の下端に接するまで六角ボルト18の螺子部先端を筒部材17の内側に螺着させる。
【0046】
次いで、組み立てた高さ調整用脚部4を、底板3の各隅に順次取り付ける。この際には、図2に示すように、高さ調整用脚部4の貫通孔23が底板3の貫通孔27と同軸上に位置するように高さ調整用脚部4の位置を調節した状態で、ビス26の螺子部を高さ調整用脚部4側から貫通孔23,27に通して、ビス26の螺子部先端をスペーサ5の螺子孔28に締結する。この結果、洗場1が組み立てられる。
【0047】
そして以上のように組み立てられた洗場1は、六角ボルト18の頭部を浴室の設置面上に載置することによって、該浴室内に配置される。この際には、六角ボルト18の頭部とナット19とが離隔する長さL(図4,5参照)が調整されていることから、洗場パン2は所定の高さに維持された状態になっている。なお六角ボルト18とナット19とをコーン部77に仮組みしておいて、高さ調整用脚部4を洗場に組み付けた後、前記長さLを調整することによって、洗場パン2の高さ調整を行ってもよい。
【0048】
本実施形態によれば、洗場パン2が平板状を呈していることから、従来のように洗場パンの裏面側に高い剛性を維持するための高さの大きな補強用リブを設けた場合と比較して、複雑な加工が不要となるとともに、洗場パン2の重量を小さくすることが出来る。また、洗場パン2が平板状を呈していることから、洗場パン2の表面にヒケ等の外観不良が生じることが防止される。
【0049】
また、洗場パン2の下面13に高さの大きな補強用リブが設けられていないことから、洗場パン2の下面13をほぼ平面に形成できるので、洗場パン2と底板3との間に断熱材9を容易に設置できる。断熱材9は側壁6によって囲まれることから、断熱材9が露出することがないために断熱材9の損傷が防止されるとともに、該洗場1の外側面を平坦にすることが出来るために前記洗場1の外側面に身体が接触することで負傷することが防止される。また洗場パン2が平板状を呈していることから、洗場パン2と底板3との間に断熱材9を容易に設置出来るため、洗場パン2の断熱を図ることが容易になる。
【0050】
また、洗場パン2の突出部20は、洗場1の外周に設けられた枠部33の近傍下面に設けられているので、洗場パン2の表面にヒケを発生させる恐れがない。
【0051】
また、底板3に設けられた側壁6が洗場パンに締結されていることから、洗場パンに荷重が加わった際に、洗場パン2からの荷重が側壁6を介して底板3に伝達されるために、洗場パン2からの荷重を底板3に受け支えさせることができ、洗場パン2に上下方向の撓みが生じることが防止される。これにより、洗場の重量増加を極力抑えた状態で洗場の補強が図られる。また、側壁6を利用して底板3を洗場パン2に取り付けるようにした(具体的には、側壁6を洗場パン2の突出部20と重なるように延ばして該重合部34において突出部20に締結した)ので、簡易な構成で底板3を洗場パン2に締結出来る。これにより、底板3を洗場パン2に取り付けることが容易になり、底板3を洗場パン2に取り付けるための部材を別途設ける必要がない。
【0052】
また、洗場パン2と底板3との間に耐荷強度の大きな角用スペーサ5が配置され、該角用スペーサ5に対応する位置(スペーサ5の下方)に高さ調整用脚部4が設けられていることから、洗場パン2から荷重がかかった際に洗場パン2と高さ調整用脚部4との間に洗場パン2と高さ調整用脚部4とから上下方向の圧縮力が負荷されたとしても、洗場パン2と底板3との間は一定に保たれる。これにより、断熱材9が圧縮したり傷付くことが防止されるため、断熱材9による断熱効果は確実に発揮される。
【0053】
また、スペーサ5が断熱材9に形成された上下方向の貫通孔11内に設けられていることから、洗場パン2と底板3との間が有効に利用される。
【0054】
また、洗場パン2から高さの大きな補強用リブを廃止して洗場パン2の表面にヒケが生じることを防止したことから、バルクモールディングコンパウンドの材料が有する深み、透明感、高級感のある外観が活かされるとともに、洗場パン2の下側(裏面側)に、スペーサ5、断熱材9、及び底板3を配置したことで洗場1の剛性を高めることができるので、バルクモールディングコンパウンドによって形成する洗場パン2の板厚を従来の板厚よりも薄くして洗場の軽量化を図ることが出来る。
【0055】
また、洗場パン2の下面13にボス37を設け、このボス37内部にビス79の螺子部を締結するようにしたことから、洗場パン2の本体部に、前記ビス79の螺子部が貫入することが防止される。これにより、洗場パン2の本体部の厚さを薄くすることが出来るとともに、バルクモールディングコンパウンドの外観の良さが失われない。
【0056】
なお本実施形態では、図4,5に示すように、スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間には該ボス37の高さ分の隙間が存在しており、この隙間には断熱材9は配置されていない。これは、前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間に断熱材9を配置することの困難さを考慮したものであるが、この隙間の容積は微小であるために、該隙間による断熱効果の低減は微かなものとなる。なお前記スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間の断熱性を確保すべく、該スペーサ5の上面12と洗場パン2の下面13との間に小片の断熱材を配置したり、洗場パン2の下面13に発泡樹脂等を吹き付けたとしても、スペーサ5の数が4と少ないことから、作業上の負担は僅かなものとなる。
【0057】
なお、突出部20は、側壁6と締結できれば良く、その設置位置も、洗場パン2の下面13の4隅に限られない。例えば、突出部20は、洗場パン2において隣り合う2隅の中間部分に設けられて、側壁6と螺子により締結されるようにしても良く、前記4隅に加えて前記中間部分に追加して設けても良い。また、側壁6の上端が洗場パン2の下面13に部分的にでも当接するようにすると、洗場パン2の変形を抑制できるので、好ましい。さらに、側壁6の上端全面が洗場パン2の下面13に当接するようにすると、洗場パン2の変形をより抑制できるので、より好ましい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図6〜8をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については同一の符号を図6〜8に付して説明を省略する。
【0058】
図6は第2実施形態における図1相当図であり、図7は第2実施形態における図2相当図であり、図8は図7のD−D線断面図である。
【0059】
本実施形態では、底板3の側壁6には、上端部において外側に張り出たフランジ72が重合部として設けられている。該フランジ72は、側壁6を構成する4つの平面部40(図6(a)参照)の両端に、各1つずつ設けられた結果、側壁6の各隅に2つずつ配置されている。図7,8に示すように、各フランジ72には上下方向の貫通孔73が形成されている。この貫通孔73は、フランジ72を洗場パン2に締結するために設けられたものであって、洗場パン2の下面13には、各フランジ72に対応する位置に突出部としてボス74が設けられて、該ボス74には、貫通孔73と同軸上に位置する螺子孔75が形成されている。
【0060】
次に、底板3の側壁6を洗場パン2に締結する作業について説明する。
【0061】
本実施形態の洗場100の組み立て時において、洗場パン2に、スペーサ5及び断熱材9を組み付ける作業は、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。その後、側壁6の内側に断熱材9が位置する状態にして底板3を断熱材9の上に被せて、底板3の切り欠き32に洗場パン2の陥没部7が嵌め込まれるとともに、フランジ72の各貫通孔73と対応するボス74の螺子孔75とが同軸上に位置するように、底板3の位置を調節する。そして、このように底板3を断熱材9の上にかぶせた状態で、貫通孔73にタッピングビス76の螺子部を通して、タッピングビス76の螺子部先端をボス74の螺子孔75に螺合する。これにより、底板3の側壁6は洗場パン2に締結される。
【0062】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が発揮されることに加え、上述したフランジ72とボス74とによって底板3の側壁6を洗場パン2に締結するようにしたことから、簡易な構成で側壁6を洗場パン2に締結させることが出来る。
【0063】
なお、2つのフランジ72の間に、別のフランジを設け、この別のフランジに対応して洗場パン2にボスを追加して、洗場パン2と底板3の側壁6とをさらに強固に係合するようにしても良い。また、側壁6の上端が洗場パン2の下面13に部分的にでも当接するようにすると、洗場パン2の変形を抑制できるので、好ましい。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について図9をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する箇所については同一の符号を図9に付して説明を省略する。
【0064】
図9は第3実施形態における図1相当図である。
【0065】
第3実施形態の洗場101は、第1実施形態の洗場1に対して、洗場パン2の4角に配置する角用のスペーサ5に加えて、中間用のスペーサ50を追加したものである。該スペーサ50は、前記洗場パン2の中央位置に配置されており、断熱材9には、該スペーサ50を配置するための貫通孔51が形成されている。
【0066】
スペーサ50は、スペーサ5と同様に、洗場パン2の下面13に取り付けられるものであって、スペーサ50には、図2,5に示した凹部29及び貫通孔78(図9には図示せず)が形成され、洗場パン2の下面13における中央位置には、凹部29から貫通孔78に通したビス79の先端を締結するボス52が設けられている。なお本実施形態では、スペーサ50の下方には高さ調整用脚部4は設けられず、これに伴い、スペーサ50には、図2,4に示した螺子孔28は形成されていない。
【0067】
本実施形態によれば、洗場パン2において上下方向の撓みが生じやすい中央位置にスペーサ50を配置したので、前記洗場パン2の撓みが効果的に防止される。
【0068】
なお、スペーサ50の下方にも高さ調整用脚部4が取り付けられてもよい。この場合には、スペーサ50にも、スペーサ5と同様、図2,4に示した螺子孔28が形成される。
【0069】
なお、スペーサ50の設置位置は上記実施形態で示した位置に限られず、スペーサ50は、洗場パン2の撓みを効果的に防止するにあたって、相応しい場所に設けられ得る。例えば、排水口8に水を確実に流すべく洗場パン2の上面10が勾配を有するように、スペーサ50を、排水口8と相対する側に位置する側壁6の近傍に設けるようにしても良い。また、スペーサ50は、1つだけでなく、複数設けても良い。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について図10及び11をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については同一の符号を図10及び11に付して説明を省略する。
【0070】
図10は第4実施形態における図1相当図であり、図11は図10のE−E線断面図である。
【0071】
第4実施形態は、洗場パン2の4角に配置する角用のスペーサに加えて、洗場パン2の中央位置に中間用のスペーサとしてのハット形鋼53を配置したものである。図11に示すように、該ハット形鋼53は、底面部54と、該底面部54の両端から延びた一対の縦壁部55と、各前記縦壁部55の一端から外側に延びた一対の張り出し部56とから構成されて、断熱材9に形成された貫通孔41(図10参照)内に設置されている。ハット形鋼53の各張り出し部56には、ハット形鋼53の長手方向に等しい間隔をおいて3つの貫通孔57(図10(a)、図11参照)が形成されている。該貫通孔57は、張り出し部56を洗場パン2の下面13に締結するために設けられたものであって、洗場パン2の下面13には、各貫通孔57に通したビス58の螺子部を締結するボス59(図10(b)、図11参照)が設けられている。該ボス59は、貫通孔57に対応して設けられていることで、洗場パン2の長手方向に3つずつ2列に別れて並んでいる。そして、前記貫通孔57及びボス59が使用されて、張り出し部56を洗場パン2の下面13に締結された状態では、ハット形鋼53は、洗場パン2の長手方向に延びるように洗場パン2の下面に取り付けられる。なお、ハット形鋼53は、洗場パン2の短手方向に延びるように設けられてもよい。この場合、前記貫通孔57及びボス59は、洗場パン2の短手方向に並設され得る。
【0072】
そして図11に示すように、ハット形鋼53は、一対の縦壁部55が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設した状態で、張り出し部56が洗場パン2の下面13に締結されているとともに底面部54の下面60が底板3の上面15に接していることで、洗場パン2に加わる荷重を分担して受けており、洗場パン2の変形を防止している。また、ハット形鋼53の2つの縦壁部55の間には、発泡ポリエスチレンや発泡ポリプロピレン等によって形成された断熱材61がハット形鋼53の長手方向の全体に亘って配置されている。
【0073】
次に、上述したハット形鋼53及び断熱材61を、洗場パン2と底板3との間に配置する作業について説明する。
【0074】
まず、洗場パン2をスペーサ5及びハット形鋼53の取り付け側が上になるように作業場に載置した状態で、図10に示すように、2列に並ぶボス59の列間に断熱材61を配置する。
【0075】
次いで、洗場パン2の中央位置にハット形鋼53を配置する。この際には、断熱材61がハット形鋼53の2つの縦壁部55の間に配置されるとともに、張り出し部56の各貫通孔57が対応するボス59の螺子孔62(図11参照)と同軸上に位置するように、ハット形鋼53の位置を調節する。
【0076】
次いで、貫通孔57にビス58の螺子部を通して、該ビス58の螺子部先端をボス59の螺子孔62に締結する。この結果、2つの縦壁部55の間に断熱材61が配置された状態で、張り出し部56が洗場パン2の下面13に締結される。
【0077】
そして以上の作業と各スペーサ5の取り付け作業が完了したときには洗場パン2の上に断熱材9を重ねる工程に移行し、この工程では、第1実施形態で述べた事項に加え、断熱材9の貫通孔41内にハット形鋼53が配置されるように、断熱材9の位置を調節する。
【0078】
そして次工程の底板の取り付け作業が行われることによって、ハット形鋼53及び断熱材61は、洗場パン2と底板3との間に配置された状態になる。
【0079】
本実施形態においても、第1〜3実施形態で述べた効果が同様に発揮されることに加え、ハット形鋼53の縦壁部55が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設されることから、ハット形鋼53は、洗場パン2からの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パン2を支持する。これにより、洗場パン2の上下方向の撓みが効果的に防止される。
【0080】
また、2つの縦壁部55の間に断熱材61が配置されていることから、洗場パン2と底板3との間においてハット形鋼53が配置される領域にも断熱機能を持たせることが出来る。これにより、洗場パン2の断熱を確実に図る上で有利になる。
【0081】
なお、断熱材61を予め、ハット形鋼53の2つの縦壁部55の間に配置して、ハット形鋼53を洗場パン2に組み付けるようにしても良い。
【0082】
本実施形態では、ハット形鋼53の張り出し部56を洗場パン2に係合させ、底面部54については底板3に係合させてないが、張り出し部56及び底面部54の少なくとも一方が、相手側の洗場パン2・底板3に係合するようにしても良く、張り出し部56及び底面部54の両方がそれぞれ相手側の洗場パン2・底板3に係合するようにしても良い。
【0083】
また、底面部54が洗場パン2側で、張り出し部56が底板3側になるように、ハット形鋼53を反対にして配置しても良い。
【0084】
なお、ハット形鋼53の構造は、底面部54、縦壁部55及び張り出し部56を備えた補強構造体であればよく、上記実施形態に限られるものではない。また、ハット形鋼53に代えて、H形鋼、I形鋼、断面コ字形状、ボックス形状、クランク形状(縦壁部に対して、底面部と張り出し部が逆方向に延びた形状)を設けても良い。また、ハット形鋼53の構造は、両側に縦壁部55がある上記構造に限らず、周囲に縦壁部がある構造や一カ所のみ縦壁部55がある構造も含む。また、ハット形鋼53の構造は、両側に張り出し部がある上記構造に限らず、周囲に全周に張り出し部がある構造や一カ所のみ張り出し部がある構造も含む。ハット形鋼53や他の補強構造体は、角用のスペーサに適用することも可能である。なお、ハット形鋼53等の補強構造体は、中間用のスペーサ全てに用いても良く、一部でも良い。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について図12及び13をもとに説明する。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する箇所については図12及び13に同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
図12は第5実施形態における図1相当図であり、図13は、図12のF−F線断面図である。
【0086】
第5実施形態は、洗場パン2の4角に配置する角用のスペーサ5に加えて、洗場パン2の中央位置に中間用のスペーサとしての溝形鋼63を配置したものである。図13に示すように、該溝形鋼63は、底面部64と、該底面部64の両端から延びた一対の縦壁部65とから構成されて、断熱材9に形成された貫通孔71(図12参照)内に設置されている。
【0087】
溝形鋼63の底面部64には、溝形鋼63の長手方向に等しい間隔をおいて3つの貫通孔66(図12(a)、図13参照)が形成されている。該貫通孔66は、ウェブ64を洗場パン2の下面13に締結するために設けられたものであって、洗場パン2の下面13における中央位置には、底面部64の貫通孔66に通したビス67の螺子部を締結するボス68(図12参照))が設けられている。該ボス68は、各貫通孔66に対応するように設けられた結果、洗場パン2の長手方向に3つ並んでいる。
【0088】
そして図13に示すように、溝形鋼63は、一対の縦壁部65が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設した状態で、底面部64が洗場パン2に締結されているとともに縦壁部65の先端が底板3の上面15に接することで洗場パン2に加わる荷重の一部を受けて、洗場パン2の変形を防止するようになっている。
【0089】
また、底面部64が洗場パン2に締結された状態では、溝形鋼63は洗場パン2の長手方向に延びて配置されている。なお、溝形鋼63は、洗場パン2の短手方向に延びるように設けても良い。この場合、ボス68及び貫通孔66は洗場パン2の短手方向に並設され得る。
【0090】
2つの縦壁部55の間には、発泡ポリエスチレンや発泡ポリプロピレン等によって形成された断熱材69が、溝形鋼63の長手方向全体に亘って配置されている。
【0091】
次に、上述した溝形鋼63及び断熱材69を、洗場パン2と底板3との間に配置する作業について説明する。
【0092】
まず、洗場パン2をスペーサ5及び溝形鋼63の取り付け側が上になるように作業場に載置した状態で、洗場パン2の中央位置に溝形鋼63を配置する。この際には、底面部64の貫通孔66がボス68の螺子孔70と同軸上に位置するように、溝形鋼63の位置を調節する。
【0093】
次いで、底面部64の貫通孔66にビス67の螺子部を通して、ビス67の螺子部先端をボス68の螺子孔70に締結する。この結果、底面部64は洗場パン2に締結される。
【0094】
次いで、溝形鋼63の2つの縦壁部65の間に断熱材69を配置する。
【0095】
そして以上の作業と各スペーサ5の取り付け作業が完了したときには洗場パン2の上に断熱材9を重ねる工程に移行し、この工程では、第1実施形態で述べた事項に加えて、断熱材9の貫通孔71内に溝形鋼63及び断熱材69が配置されるように、断熱材9の位置を調節する。
【0096】
そして、次工程の底板の取り付け作業が行われることによって、溝形鋼63及び断熱材69は、洗場パン2と底板3との間に配置された状態になる。なお、断熱材69を組み付けた後に、断熱材9を組み付けるようにしても良い。
【0097】
本実施形態によれば、第1及び第2実施形態で述べた効果が同様に発揮されるとともに、溝形鋼63の縦壁部65が洗場パン2の下面13に対して垂直に立設されることから、溝形鋼63は洗場パン2からの荷重に対して高い剛性を有した状態で洗場パン2を支持する。これにより、洗場パン2の上下方向の撓みが防止される。
【0098】
また、2つの縦壁部65の間に断熱材を配置することによって、溝形鋼が配置される領域に洗場パンの断熱機能も持たせることが出来る。これにより、洗場パン2の断熱を確実に図る上で有利になる。
【0099】
なお、ボス68は、溝形鋼63を洗場パン2に締結できれば良く、前記実施形態のように一つの直線上に並ぶように配置されずに、ジグザグ状に配置されても良い。また、溝形鋼63は、図12,13に示す状態とは反対の向きになるように、すなわち底面部64を底板3側にして、縦壁部65の先端が洗場パン2の下面に接触するように配置されても良い。
【0100】
また、溝形鋼63の構造は、角用のスペーサに適用することも可能である。なお、溝形鋼63の構造は、中間用のスペーサ全てに用いても良く、一部でも良い。
【0101】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0102】
例えば、第1〜5実施形態では、洗場パン2は、シートモールディングコンパウンドをプレス加工することによって成形されてもよい。この場合においても、洗場パン2が平板状に形成されていることから、洗場パン2にヒケ等の外観不良が生じることが防止される。
【0103】
また第1〜5実施形態において、底板3は、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、アクリル、ABSなどの樹脂製材料から形成されてもよい。なお、洗場の補強を充分図るためには、底板は洗場パンよりも剛性の高い材料から形成することが好ましい。
【0104】
また第1〜5実施形態では、洗場パン2と底板2との間に断熱材9を配置したが、断熱機能を有していない部材を芯材として配置してもよい。この場合においても、芯材を介して洗場パン2から底板3に荷重が伝達されるので洗場は補強される。
【0105】
また第1〜5実施形態において、洗場パン2、スペーサ5,50、底板3、高さ調整用脚部4、ハット形鋼、溝形鋼を固定するために使用される締結部材の数は上記に限られず任意の数に設定され得る。この場合、洗場パン等には、前記締結部材のそれぞれに対応した貫通孔や螺子孔が設けられる。
【0106】
また第1〜5実施形態において、スペーサ5の数は4つに限られず、4以外の任意の複数に設定され得る。なお、洗場パン2の各隅の下方にスペーサ5を配置することで、洗場パン2はスペーサ5によって安定して支持される。
【0107】
なお、第1〜5実施形態では各高さ調整用脚部4が高さ調整機能を有するものであるが、本発明では、浴室の設置面がフラットで一律の高さを有している場合には、高さ調整を必要としない脚部にも適用可能である。また高さ調整機能のない脚部を使用した場合に、脚部の高さを調整する必要があるときには、脚部とは別に設けた部材で高さ調整するようにしても良い。
【0108】
また第4及び5実施形態では、ハット形鋼53又は溝形鋼63は、洗場パン2と底板3との間における任意の位置に設置されてもよく、また、その数も複数であってもよい。
【0109】
また第1〜5実施形態では、スペーサ5、ハット形鋼53、又は溝形鋼63を断熱材9の貫通孔内に設置するようにしたが、断熱材9の外縁に内側に凹となる切り欠きを設け、この切り欠きに前記スペーサ5等を配置するようにしてもよい。この場合においても、前記洗場パン2と前記底板3との間を無駄なく有効に利用することが出来る。
【0110】
また第4及び5実施形態では、断熱材9による断熱効果が充分期待できる場合には、ハット形鋼53や溝形鋼63における2つのフランジの間に断熱材61,69は設けられなくてもよい。この場合、断熱材61,69の取り付け作業を省略することが出来るため、洗場の組み立てが容易になる。
【0111】
また第4及び5実施形態では、上述したハット形鋼53や溝形鋼63に代えて、ハット形断面又は溝形断面を有する樹脂をスペーサとして配置してもよい。この場合においても、該スペーサの縦壁部を洗場パン2の下面13に対して垂直に立設させることによって、洗場パン2の上下方向の撓みを効果的に防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1実施形態における洗場の分解斜視図である。
【図2】第1実施形態における洗場1の組付方法を示す分解斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線断面図である。
【図6】第2実施形態における図1相当図である。
【図7】第2実施形態における図2相当図である。
【図8】図7のD−D線断面図である。
【図9】第3実施形態における図1相当図である。
【図10】第4実施形態における図1相当図である。
【図11】図10のE−E線断面図である。
【図12】第5実施形態における図1相当図である。
【図13】図12のF−F線断面図である。
【符号の説明】
【0113】
1,100,101,102,103 浴室の洗場、
2 洗場パン、
3 底板、
4 高さ調整用脚部、
5,50 スペーサ、
6 側壁、
9 断熱材(芯材)、
11 貫通孔、
13 洗場パンの下面、
20 突出部、
34 重合部、
54 底面部、
55 縦壁部、
56 張り出し部、
53 ハット形鋼(ハット形断面のスペーサ)、
64 底面部、
65 縦壁部、
63 溝形鋼(溝形断面のスペーサ)、
72 フランジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂により形成された平板状の洗場パンと、
該洗場パンの下方に配置された底板と、
前記洗場パンと前記底板との間に設けられたスペーサと、
前記底板の下面に取り付けられた脚部とを備え、
前記底板には、その周囲全周から上方に立ち上がって前記スペーサを囲む側壁が一体に設けられ、該側壁は前記洗場パンに締結されていることを特徴とする浴室の洗場構造。
【請求項2】
前記洗場パンの外周に設けられた枠部の近傍の下面には突出部が設けられ、
前記側壁は、前記突出部と重なるように延びる重合部を備え、該重合部において前記突出部に締結されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の洗場構造。
【請求項3】
前記側壁には、上端部において外側に張り出したフランジが設けられて、該フランジが前記洗場パンの突出部に締結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室の洗場構造。
【請求項4】
前記洗場パンと前記底板との間には、断熱材が洗場パンの下面と接するように配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項5】
前記脚部は、前記スペーサに対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項6】
前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の浴室の洗場構造。
【請求項7】
前記複数のスペーサは、前記洗場パンの角近傍に配置された角用のスペーサと、該角用のスペーサの内、いずれか2つの角用のスペーサ間に配置された中間用のスペーサとを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の浴室の洗場構造。
【請求項8】
前記スペーサのうち少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、
該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記張り出し部が前記洗場パンに当接され、前記底面部が前記底板に当接されて洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項9】
前記スペーサの少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、
該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記底面部が前記洗場パンに当接され、前記張り出し部が前記底板に当接されて前記洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項10】
前記脚部が高さ調整部を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項1】
樹脂により形成された平板状の洗場パンと、
該洗場パンの下方に配置された底板と、
前記洗場パンと前記底板との間に設けられたスペーサと、
前記底板の下面に取り付けられた脚部とを備え、
前記底板には、その周囲全周から上方に立ち上がって前記スペーサを囲む側壁が一体に設けられ、該側壁は前記洗場パンに締結されていることを特徴とする浴室の洗場構造。
【請求項2】
前記洗場パンの外周に設けられた枠部の近傍の下面には突出部が設けられ、
前記側壁は、前記突出部と重なるように延びる重合部を備え、該重合部において前記突出部に締結されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の洗場構造。
【請求項3】
前記側壁には、上端部において外側に張り出したフランジが設けられて、該フランジが前記洗場パンの突出部に締結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室の洗場構造。
【請求項4】
前記洗場パンと前記底板との間には、断熱材が洗場パンの下面と接するように配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項5】
前記脚部は、前記スペーサに対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項6】
前記スペーサは、前記断熱材に形成された上下方向の貫通孔内に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の浴室の洗場構造。
【請求項7】
前記複数のスペーサは、前記洗場パンの角近傍に配置された角用のスペーサと、該角用のスペーサの内、いずれか2つの角用のスペーサ間に配置された中間用のスペーサとを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の浴室の洗場構造。
【請求項8】
前記スペーサのうち少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、
該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記張り出し部が前記洗場パンに当接され、前記底面部が前記底板に当接されて洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項9】
前記スペーサの少なくとも一つは、底面部と、該底面部から立設する縦壁部と、該縦壁部から延びた張り出し部とからなる補強構造体で形成されており、
該補強構造体のスペーサは、前記縦壁部が前記洗場パンの下面に対して垂直に立設した状態で、前記底面部が前記洗場パンに当接され、前記張り出し部が前記底板に当接されて前記洗場パンからの荷重を前記底板に伝達するようになっていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【請求項10】
前記脚部が高さ調整部を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の浴室の洗場構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−180037(P2009−180037A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21641(P2008−21641)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】
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