説明

浴室ユニットの洗い場構造

【課題】洗い場床設置域の四辺について漏水の危険性を無くした浴室ユニットの洗い場構造。
【解決手段】洗い場床設置域の四辺の下側を構成する支持フレーム2と、床面部4aの周縁の少なくとも三辺に沿って形成した設置用起立部4bを支持フレーム2に支持させた洗い場床4と、支持フレーム2と洗い場床4の間に配置させて洗い場床設置域の四辺に沿って環状の溝部6を形成した環状パッキン5とを備え、環状パッキン5の溝部6に洗い場床4の設置用起立部4bを配置させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットの洗い場構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室ユニットの洗い場構造には、洗い場床設置域の三辺の下側に配置した支持フレームと、支持フレームに被せた壁載置部材と、支持フレームに壁載置部材を介して支持させて建て込んだ壁パネルと、壁パネルを建て込んだ後に支持フレームに壁載置部材を介して支持させて設置した洗い場床と、洗い場床の外周立上片と壁パネルの間に介在したパッキンとを備え、洗い場床の周辺立上片を浴室内側から壁パネルに対してネジ等で固定したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−268995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記浴室ユニットの洗い場構造は、支持フレームが配置されていない洗い場床設置域の一辺(浴槽設置域に隣接する辺)について別の止水構造を必要とするため、洗い場床の外周立上片と壁パネルの間に介在したパッキンと別の止水構造の継ぎ目からの漏水の危険性があり、コーキング等の止水作業が別途と必要となる問題がある。
【0005】
本発明は、前記問題を解決するために、洗い場床設置域の四辺について漏水の危険性の無い浴室ユニットの洗い場構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
洗い場床設置域の四辺について漏水の危険性を無くするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図4に示す如く、洗い場床設置域Aの四辺の下側を構成する支持フレーム2と、床面部4aの周縁の少なくとも三辺に沿って形成した設置用起立部4bを支持フレーム2に支持させた洗い場床4と、支持フレーム2と洗い場床4の間に配置させて洗い場床設置域Aの四辺に沿って環状の溝部6を形成した環状パッキン5とを備え、設置用起立部4bが形成された床面部4aの周縁を環状パッキン5の溝部6の上方に位置させたことを特徴とする浴室ユニットの洗い場構造である。なお、洗い場床4の設置用起立部4bを環状パッキン5の溝部6に配置させることもある。
【0007】
環状パッキンより内側の洗い場床の下側を湿らせないようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、環状パッキン5は、溝部6の内周側を弾性変形が容易な環状の内側周壁部8で形成し、内側周壁部8の上端縁8aを洗い場床4の底面4cに水密に当接させた請求項1記載の浴室ユニットの洗い場構造である。
【0008】
洗い場床の外周に露出する支持フレームの縁側片部の止水を確実にするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、支持フレーム2は、洗い場床4を載置させた床載置用片部20と、床載置用片部20の外縁から上方へ延びた中間起立片部21と、中間起立片部21の上縁から外側へ延びた伏倒片部22(24)とが連続的に形成され、環状パッキン5は、溝部6の底部7と、溝部6の外周側を形成する外側周壁部9と、外側周壁部9の上縁から外側へ延びる鍔状片部10とが連続的に形成され、支持フレーム2の床載置用片部20、中間起立片部21及び伏倒片部22(24)を環状パッキン5の底部7、外側周壁部9及び鍔状片部10で覆った請求項2記載の浴室ユニットの洗い場構造である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造は、洗い場床の床面部の周縁から水が溢れてしまった場合でも環状パッキンの環状の溝部で受け止めることで、洗い場床設置域の四辺について漏水の危険性を無くすことができる。また、支持フレームを構成する部材間に継目がある場合にも、継目のない環状パッキンで覆われた部材間の継目からの漏水の危険性を無くすることができる。更に、現場施工の際にも、支持フレームに環状パッキンを設置するだけでよいため、コーキング材の充填や止水テープの手ばりする従来に比べて、簡単且つ確実に止水することができる。
【0010】
請求項2記載の本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造は、洗い場床の底面に環状パッキンの内側周壁の上端縁を水密に当接させることで、環状パッキンの溝部と洗い場床の下側との連通が遮断され、環状パッキンより内側の洗い場床の下側を湿らせないようにすることができる。
【0011】
請求項3記載の本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造は、洗い場床の外周に露出する支持フレームの縁側片部を形成する床載置用片部、起立片部及び伏倒片部を、環状パッキン3の底部、外側周壁部及び鍔状片部で覆うことで、洗い場床の外周に露出する支持フレームの縁側片部の止水を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造の第1の実施の形態において支持フレームを構成する枠フレーム材の床載置用片部に洗い場床を載置して連結する手順を示す斜視図であって、図(A)は洗い場床の載置前の状態を示し、図(B)は洗い場床を載置して連結した状態を示すものである。
【図2】図(A)は同実施の形態において支持フレームと環状パッキンと洗い場床を分離して示す斜視図であって環状パッキン及び洗い場床の一部を切欠いたものであり、図(B)は図(A)中の破線円bを拡大した斜視図、図(C)は図(A)中の破線円cを拡大した斜視図である。
【図3】図2の図(A)のC3−C3線箇所で断面して中間省略した正面断面図であって、図(A)は支持フレームと環状パッキンと洗い場床を分離した状態を示し、図(B)は組み立てた状態を示すものである。
【図4】図2の図(A)のC4−C4線箇所で断面して中間省略した側面断面図であって組み立てた状態を示すものである。
【図5】本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造の第2の実施の形態を示す中間省略した正面断面図であって、図(A)は支持フレームと環状パッキンと洗い場床を分離した状態を示し、図(B)は組み立てた状態を示すものである。
【図6】本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造の第3の実施の形態を示す中間省略した側面断面図であって、図(A)は環状パッキンを取付けた支持フレームと洗い場床を分離した状態を示し、図(B)は組み立てた状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る浴室ユニットの洗い場構造(以下、「本発明洗い場構造」という。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、図面に示されたものに拠る。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1乃至図4に示す第1の実施の形態に係る本発明洗い場構造1は、洗い場床設置域Aの四辺の下側を構成する支持フレーム2と、床面部4aの周縁の浴槽設置域Bに隣接する一辺(左辺)を除く他の三辺(前・後・右の各辺)に沿って形成した設置用起立部4bを支持フレーム2に支持させた洗い場床4と、支持フレーム2と洗い場床4の間に配置させて洗い場床設置域Aの四辺に沿って環状の溝部6を形成した環状パッキン5を備え、設置用起立部4bが形成された床面部4aの三辺の周縁を環状パッキン5の溝部6の上方に位置させて設置用起立部4bを環状パッキン5の溝部6に配置させると共に、浴槽設置域Bに隣接する床面部4aの周縁の一辺(左辺)側を支持フレーム2に支持させてある。支持フレーム2に支持させた洗い場床4は、後述する床用連結構造36で支持フレーム2に連結して浮き上がらないようにしてある。本発明洗い場構造1は、支持フレーム2の浴槽設置域Bに隣接する一辺を除く他の三辺に壁パネル3及び出入口扉(図示略)を支持させると共に、床面部4aの浴槽設置域Bに隣接する周縁の一辺側にエプロン12(図3(B)参照)の下端側を支持させてある。
【0015】
前記支持フレーム2は、図2に示す如く、洗い場域Aにおける浴槽設置域Bに隣接する一辺(左辺)の下側を構成する一辺構成用枠フレーム材15と、洗い場域Aにおける他の三辺(前・右・後の各辺)の下側を構成する三辺構成用枠フレーム材16,17,18とを連結したものである。一辺構成用枠フレーム材15は、洗い場床4が載置される水平な床載置用片部20と、床載置用片部20の外縁から上方へ延びる鉛直な中間起立片部21と、中間起立片部21の上縁から外側へ延びる床面部支持用の水平な伏倒片部24とが連続的に形成されている。三辺構成用枠フレーム材16(17,18)の各々は、洗い場床4が載置される水平な床載置用片部20と、床載置用片部20の外縁から上方へ延びる中間起立片部21と、中間起立片部21の上縁から外側へ延びる壁パネル載置用の水平な伏倒片部22と、伏倒片部22の外縁から上方へ延びる水返し機能及び壁パネル等の位置決め機能のある上端側起立片部23が連続的に形成されている。各枠フレーム材15(16,17,18)は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス鋼板等の板材を折曲げ加工する等して形成され、洗い場床設置域Aの大きさに応じてその長さが決定される。なお、各枠フレーム材15(16,17,18)は、図示は省略したが、床載置用片部20の内側縁から上方へ延びる延長起立片を設け、床載置用片部20の曲げ剛性を大きくすることもある。
【0016】
前記支持フレーム2は、四隅に枠フレーム材用連結構造(図示略)を設けて、施工現場において隣接する枠フレーム材どうし(15と16、16と17、17と18、18と15)の連結を容易にしてある。枠フレーム材用連結構造は、例えば、隣接する一方の枠フレーム材の中間起立片部21又は伏倒片部22から延びる立ち片部に設けた係合用片部と、隣接する他方の枠フレーム材の中間起立片部21に設けた係合用開口部を備え、係合用開口部へ係合用片部を差し込んで係合させ、係合用片部と立ち片部とで係合用開口部の縁部を挟持して枠フレーム材どうしを連結し、枠フレーム材どうしの鉛直方向の分離を拘束するようにしてある。
【0017】
前記支持フレーム2は、図2(A)に示す如く、枠フレーム材15,16,17,18の内側に、第1補強フレーム材26,26、第2補強フレーム材27,27、第3補強フレーム材28及び第4補強フレーム材29を配置し、対峙する枠フレーム材15,17どうしを第1補強フレーム材26,26で連結し、第1補強フレーム材26と枠フレーム材16(18)を第2補強フレーム材27で連結し、第1補強フレーム材26,26どうしを第3補強フレーム材28で連結し、第3補強フレーム材28と枠フレーム材17を第4補強フレーム材29で連結してある。支持フレーム2は、第1補強フレーム材26,26の各々に、フレーム設置用の支持脚34,34を取り付けてある。各補強フレーム28(26,27,29)は、図2(B)に示す如く、亜鉛メッキ鋼板やステンレス鋼板等からなる板材を折曲げ加工する等して形成され、底片部31と、底片部31の両長手縁から上方へ延びる起立片部32,32と、各起立片部32の長手上縁から外側へ延びる水平な鍔片部33とが連続的に形成されている。
【0018】
前記第1補強フレーム材26、第2補強フレーム材27及び第4補強フレーム材29を枠フレーム材15〜16に連結する補強・枠フレーム連結構造、並びに、第1補強フレーム材26と第2補強フレーム材27、第1補強フレーム材26と第3補強フレーム材28及び第3補強フレーム材28と第4補強フレーム材29を連結する補強フレームどうし連結構造は、図示は省略したが、例えば、連結する一方に設けた係合用片部と他方に設けた係合用開口部を備え、係合用開口部へ係合用片部を差し込んで係合させ、係合用片部と立ち片部とで係合用開口部の縁部を挟持して連結し、連結するフレーム材どうしの鉛直方向の分離を拘束するようにしてある。
【0019】
前記支持フレーム2は、前記枠フレーム材用連結構造、補強・枠フレーム連結構造及び補強フレームどうし連結構造について、係合用片部を係合用開口部へ差し込む方向として直交する二種類を混在させることで、連結箇所を分離し難くしてある。支持フレーム2は、これら連結構造を採用することで、施工現場で容易に組立てられるようになっている。なお、支持フレーム2は、枠フレーム材どうしの連結、枠フレーム材と補強フレーム材の連結及び補強フレーム材どうしの連結を支持フレーム製造工場における溶接で行い、組み立てた状態で施工現場へ搬入する態様とすることも可能である。
【0020】
前記支持フレーム2は、図2(A)に示す如く、浴槽設置域Bに隣接する一辺の枠フレーム15に浴槽設置用支持フレーム13,13が連結される。
【0021】
前記洗い場床4は、図2(A)、図1、図3及び図4に示す如く、合成樹脂素材又は金属素材等から成形され、床面部4aの周縁の浴槽設置域Bに隣接する一辺(左辺)を除く他の三辺(前・後・右の各辺)の裏面側に下方へ延びる設置用起立部4bが形成されていると共に、床面部4aの周縁の一辺(左辺)側から外側へ延びる水平設置片部4eが形成され、三辺(前・後・右の各辺)の各設置用起立部4bを、支持フレーム2を構成する各枠フレーム材16(17,18)の床載置用片部20に環状パッキン5を介して載置すると共に、水平設置片部4eを、枠フレーム材15の伏倒片部24に環状パッキン5を介して載置してある。洗い場床4は、図示は省略したが、床面部4aの裏面側に補強用リブを設けて床面部4aの曲げ剛性を大きくすることもある。なお、洗い場床4は、図示は省略したが、床面部4aの周縁の浴槽設置域Bに隣接する一辺(左辺)の裏面側に下方へ延びる設置用起立部4bを形成し、この設置用起立部4bを、支持フレーム2を構成する枠フレーム材15の床載置用片部20に環状パッキン5を介して載置させることも可能である。
【0022】
前記洗い場床4は、図3(B)及び図2(A)に示す如く、浴槽設置域Bに隣接する床面部4aの一辺(左辺)側に前後方向に沿って水返し片部4dを突設して、エプロン12を取付けるようにしてある。エプロン12は、洗い場室内R側から本体部12aの下端側を水返し片部4dにビス止め19されると共に、本体部12aの凹部に嵌着した化粧カバー12bでビス頭を覆って止水してある。
【0023】
前記環状パッキン5は、図2(A)(C)及び図1に示す如く、ゴム素材又は合成樹脂素材等から成形され、支持フレーム2の四辺を形成する枠フレーム15 ,16,17,18の各床載置用片部20に当接する環状の底部7と、底部7の内側から上方へ延びて上端縁8aが洗い場床4の底面4cへ水密状に当接する継ぎ目の無い環状の内側周壁部8と、底部7の外側から上方へ延びて枠フレーム15 ,16,17,18の各中間起立片部21に当接する環状の外側周壁部9とで上端開口の環状溝部6を形成して、枠フレーム15 ,16,17,18の各床載置用片部20及び各中間起立片部21を覆っている。また、環状パッキン5は、外側周壁部9の上縁から外側へ延びる鍔状片部10を枠フレーム15 ,16,17,18の各伏倒片部22(24)に当接させて、各伏倒片部22(24)を覆っている。更に、環状パッキン5は、浴槽設置域Bに隣接しない三辺(前・後・右の各辺)の枠フレーム16,17,18に対応する各鍔状片部10の外側縁から上方へ延びる溝状の縁部11を形成して、枠フレーム16,17,18の各上端側起立片部23に縁部11を嵌着して覆うようにすると共に、浴槽設置域Bに隣接する一辺(左辺)の枠フレーム15に対応する鍔状片部10の外側縁から上方へ延びる片状の縁部11(図3参照)を形成し、水が溢れでようとするのを防止してある。環状パッキン5は、支持フレーム2に取付けるときに、枠フレーム16,17,18の上端側起立片部23に溝状の縁部11を外嵌装着させることで、支持フレーム2の所定位置に移動しないように配置することができ、環状パッキン5の上に洗い場床4を配置するときにも移動することがなく、所定位置の配置を維持することができる。
【0024】
本発明洗い場構造1は、洗い場床4の外周に露出する支持フレーム2の縁側片部を形成する枠フレーム15 ,16,17,18の各床載置用片部20、各中間起立片部21、各伏倒片部22(24)及び各上端側起立片部23を、環状パッキン5の底部7、外側周壁部9、鍔状片部10及び縁部11で覆うことで、洗い場床4の外周に露出する支持フレーム2の縁側片部の止水を確実にすることができる。
【0025】
前記環状パッキン5は、環状溝部6の適所から枠フレーム15 〜18の床載置用片部20を貫通して延設する排水具(図示略)を取り付け、環状溝部6で受け止めた水を排水具を介して排水トラップ等へ排出するようにすることもある。
【0026】
前記環状パッキン5は、図2(A)(C)及び図1に示す如く、全体を軟質の素材から一体成形すると共に、環状の内側周壁部8の内側を中空にした横断面を略菱形状に形成して圧縮弾性変形が容易となるようにし、圧縮弾性変形させた内側周壁部8の上端縁8aを洗い場床4の底面4cに反発弾性力で圧接させて水密性を向上させ、環状パッキン5より内側の洗い場床4の下側を湿らせないようにすることができる。
【0027】
支持フレーム2に洗い場床4を連結する床用連結構造36は、洗い場床4の前後側の複数箇所(本例では計8箇所)に設けてある。各床用連結構造36は、図1〜図3に示す如く、洗い場床4の床面部4a又は補強用リブ(図示略)から下方へ突設したフック状の一方の係合部37と、支持フレーム2の四辺の枠フレーム材15,16,17,18の各床載置用片部20の内側縁部で形成した他方の係合部38(図2(A)参照)を備え、洗い場床4を支持フレーム2に載置するときに、一方の係合部37を弾性変成させつつ先端引掛け部37aが他方の係合部38を通過して係合部38に係合することで洗い場床4を浮き上がらないように連結できるようにしてある。各床用連結構造36は、洗い場床4を取外すとき、支持フレーム2に連結されている洗い場床4を持ち上げて一方の係合部37を非係合方向へ弾性変形させることで、他方の係合部38に対する一方の係合部37の先端引掛け部37aの係合を解き、その後に洗い場床4を更に持ち上げることで支持フレーム2から分離させることができる。床用連結構造36を設ける個数及び位置は、支持フレーム2及び洗い場床4の大きさに応じて適宜変更される。
【0028】
本発明洗い場構造1は、床用連結構造36の洗い場床4に設けた一方の係合部37と枠フレーム材15〜18に設けた他方の係合部38を離脱させて洗い場床4を撤去することで、洗い場床4の床下点検等が可能となる。
【0029】
本発明洗い場構造1は、支持フレーム2に洗い場床4を載置して床用連結構造36で連結した後に、図3(B)及び図4に示す如く、洗い場床4の三辺の設置用起立部4bと環状パッキン5の外周周壁部9の間に形成されている隙間にコーキング材39を充填して止水することもある。
【0030】
本発明洗い場構造1は、環状パッキン5の溝部6が連続した環状に形成されているため、枠フレーム材16(15,17,18)の連結部における隣接する床載置用片部20,20どうしの間に隙間が形成されたり、枠フレーム材16(15,17,18)の床載置用片部20の途中に切欠き部が形成されていたとしても、環状パッキン5の溝部6を形成する底部7が、これら隙間や切欠き部を跨ぐことができるので、環状パッキン5で覆われる枠フレーム材16(15,17,18)の箇所を止水することができる。
【0031】
また、本発明洗い場構造1は、環状パッキン5の溝部6の内周側を弾性変形が容易な環状の内側周壁部8で形成してあるため、枠フレーム材16(15,17,18)の各床載置用片部20について長手方向に沿った上下方向や左右(又は前後)方向の多少の変形があったとしても、床載置用片部20の変形に追従して内側周壁部8が変形するため、内側周壁部8の上端縁8aを洗い場床4の底面4cに水密に当接させることができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図5に示す第2の実施の形態に係る本発明洗い場構造51は、洗い場床4の設置用起立部4bの位置、環状パッキン5の内側周壁部8の形状及びエプロン12の下端側の支持構造が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図5において図1〜図4と同一符号は相当部分を示す。
【0033】
洗い場床4は、四辺(前・後・右・左の各辺)の各設置用起立部4bを床面部4aの外周縁より内側に位置させることで、環状パッキン5の環状の内側周壁部8の内側に位置して支持フレーム2の四辺の枠フレーム材15,16,17,18の床載置用片部20に載置するようにしてある。前記環状パッキン5は、環状の内側周壁部8の内側を中空にした横断面を略楕円状に形成してある。
【0034】
エプロン12は、洗い場室内Rの外側で、エプロン12の下端側を洗い場床4の左側の水平設置片部4eと共に支持フレーム2にビス止め19してある。なお、本例では、支持フレーム2にビス止め19された左側の水平設置片部4eの上下移動が拘束されるため、洗い場床4を支持フレーム2に連結させる床用連結構造36のうち、浴槽設置域B側となる左側の前後方向に沿って配置するものを省略することができる。
【0035】
(第3の実施の形態)
図6に示す第3の実施の形態に係る本発明洗い場構造61は、環状パッキン5の構造及び洗い場床4を支持フレーム2に連結させる床用連結構造46が前記第1の実施の形態と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図6において図1〜図4と同一符号は相当部分を示す。
【0036】
環状パッキン5は、環状の内側周壁部8を圧縮弾性変形し易い軟質素材で横断面矩形状又は略菱形状等に成形すると共に、内側周壁部8を除く底部7、外側周壁部9、鍔状片部10及び縁部11を内側周壁部8に比べ弾性変形し難い素材で成形して取付け易くし、底部7と内側周壁部8とを、一体で押出成形するか又は接着若しくは粘着等して一体化してある。
【0037】
床用連結構造46は、洗い場床4の下面側に設けた一方の係合部47と、枠フレーム材16,18(15,17)の床載置用片部20の適所に設けた他方の係合部48とからなり、一方の係合部47を先端に拡径部47Aaを設けた棒状係合具47Aで形成すると共に、他方の係合部48を枠フレーム材16,18(15,17)の床載置用片部20に穿設した嵌挿孔48aで形成して、嵌挿孔48aに棒状係合具47Aの拡径部47Aaを無理ばめ嵌合させることで着脱自在に係合させ、洗い場床4の水平方向の移動と浮き上がりを防止するようにしてある。
【0038】
(その他の実施の形態)
支持フレーム2に洗い場床4を着脱自在に連結する床用連結構造は、前記床用連結構造36,46以外に、図示は省略したが、支持フレーム2を構成する枠フレーム材16(15,17,18)の床載置用片部20と洗い場床4の下面側の間に面ファスナーを設け、面ファスナーて着脱自在に連結して、洗い場床4の水平方向の移動と浮き上がりを防止するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1(51,61)…本発明洗い場構造、2…支持フレーム、3…壁パネル、4…洗い場床、4a…床面部、4b…設置用起立部、4c…底面、4d…水返し片部、4e…水平設置片部、5……環状パッキン、6…溝部、7…底部、8…内側周壁部、8a…上端縁、9…外側周壁部、10…鍔状片部、11…縁部、12…エプロン、12a…本体部、12b…化粧カバー、13…浴槽設置用支持フレーム、15…一辺構成用枠フレーム材、16…三辺構成用枠フレーム材、17…三辺構成用枠フレーム材、19…ビスト止め、18…三辺構成用枠フレーム材、20…床載置用片部、21…中間起立片部、22…伏倒片部(壁パネル載置用)、23…上端側起立片部、24…伏倒片部(エプロン設置用)、26…第1補強フレーム材、27…第2補強フレーム材、28…第3補強フレーム材、29…第4補強フレーム材、31…底片部、32…起立片部、33…鍔片部、34…脚、36…床用連結構造、37…一方の係合部、37a…先端引掛け部、38…他方の係合部、46…床用連結構造、47…一方の係合部、47A…棒状係合具、47Aa…拡径部、48…他方の係合部、48a…嵌挿孔、A…洗い場床設置域、B…浴槽設置域、R…洗い場室内

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗い場床設置域の四辺の下側を構成する支持フレームと、床面部の周縁の少なくとも三辺に沿って形成した設置用起立部を支持フレームに支持させた洗い場床と、支持フレームと洗い場床の間に配置させて洗い場床設置域の四辺に沿って環状の溝部を形成した環状パッキンとを備え、設置用起立部が形成された床面部の周縁を環状パッキンの溝部の上方に位置させたことを特徴とする浴室ユニットの洗い場構造。
【請求項2】
前記環状パッキンは、溝部の内周側を弾性変形が容易な環状の内側周壁で形成し、内側周壁の上端縁を洗い場床の底面に水密に当接させた請求項1記載の浴室ユニットの洗い場構造。
【請求項3】
前記支持フレームは、洗い場床を載置させた床載置用片部と、床載置用片部の外縁から上方へ延びた中間起立片部と、中間起立片の上縁から外側へ延びた伏倒片部とが連続的に形成され、環状パッキンは、溝部の底部と、溝部の外周側を形成する外側周壁部と、外側周壁部の上縁から外側へ延びる鍔状片部とが連続的に形成され、支持フレームの床載置用片部、中間起立片部及び伏倒片部を環状パッキンの底部、外側周壁部及び鍔状片部で覆った請求項2記載の浴室ユニットの洗い場構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−172395(P2012−172395A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35479(P2011−35479)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】