浴室ユニット
【課題】 熱可塑性樹脂を用いて床面を形成しながらも、複数の壁部材を狙い通りに嵌め込んで組み上げることが可能な浴室ユニットを提供すること。
【解決手段】 浴槽と、前記浴槽の一辺と隣接する位置に配置される洗い場床パンと、前記浴槽および前記洗い場床パンの周囲に立設される板状に形成された複数の壁部材と、を備える浴室ユニットであって、前記洗い場床パンは、前記浴槽に沿う辺を除く他辺の周縁部に前記壁部材が載置される壁載置部が一体的に設けられており、前記壁載置部に前記複数の壁部材が所定間隔で載置可能なように、前記洗い場床パンの水平面投影領域を矯正する矯正手段を設け、前記矯正手段は、前記洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させるものであることを特徴とする。
【解決手段】 浴槽と、前記浴槽の一辺と隣接する位置に配置される洗い場床パンと、前記浴槽および前記洗い場床パンの周囲に立設される板状に形成された複数の壁部材と、を備える浴室ユニットであって、前記洗い場床パンは、前記浴槽に沿う辺を除く他辺の周縁部に前記壁部材が載置される壁載置部が一体的に設けられており、前記壁載置部に前記複数の壁部材が所定間隔で載置可能なように、前記洗い場床パンの水平面投影領域を矯正する矯正手段を設け、前記矯正手段は、前記洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させるものであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽と、洗い場床パンと、壁部材と、を備える浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような浴槽と壁部材と洗い場床パンとを備える浴室ユニットは、いわゆる在来工法の浴室に対して施工性及び生産性に優れることから広く普及している。浴室ユニットの床部材は、浴室の床としての強度や防水性や成形性といった様々な要求品質を満たしやすいことから、繊維樹脂強化プラスチック(以下、FRP(Fiber Reinforced Plastic)ともいう)によって形成されている。
【0003】
FRPによって形成された床部材は、上述した強度や防水性や成形性といった要求品質を満たすためには優れたものであるが、解決すべき課題もある。下記特許文献1では、FRP製の床部材が抱えるリサイクル課題を解決するために一つの提案を行っている。このリサイクル課題とは、FRPが炭素繊維といった強化材料を熱硬化性樹脂によってバインドすることで形成されることに起因するものであって、熱溶解してあらたな製品に成形し直すといった単純なリサイクル工程が適用できないことに起因する課題である。
【0004】
このような課題を解決するものとして下記特許文献1では、建物床上に据え付けられるフレーム状架台と、フレーム状架台の上に固定される板状架台と、板状架台の上に支持される防水パンと、を備える床部材が提案されている。防水パンは熱可塑性樹脂からなり、フレーム状架台は鋼材からなり、板状架台は2枚の金属板の間に芯材を挟んでなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−25122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術は、最上層に配置される防水パンを熱可塑性樹脂によって構成することで、上述したリサイクル課題を解決すると共に、FRP単一材料の一体構造では得られない素材選択の自由度も得られる優れた技術である。
【0007】
しかしながら、熱可塑性樹脂は、線膨張係数が大きいものであり、与えられる熱の変動によって膨張したり収縮したりする性質がある。そのため、洗い場床パン単体としては上述したような優れた性質を持つものの、例えば、低温度環境下で浴室ユニットを組み立てる場合には、洗い場床パンの平面寸法が狙いの寸法よりも小さくなり、壁載置部の周長が狙いの寸法よりも小さくなる場合がある。この場合、洗い場床パンの周縁部に立設される複数の壁部材が嵌めにくくなったり、収縮がより大きい場合には、壁部材が嵌まらなくなる可能性がある。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱可塑性樹脂を用いて床面を形成しながらも、複数の壁部材を狙い通りに嵌め込んで組み上げることが可能な浴室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る浴室ユニットは、浴槽と、前記浴槽の一辺と隣接する位置に配置される洗い場床パンと、前記浴槽および前記洗い場床パンの周囲に立設される板状に形成された複数の壁部材と、を備える浴室ユニットであって、前記洗い場床パンは、前記浴槽に沿う辺を除く他辺の周縁部に前記壁部材が載置される壁載置部が一体的に設けられており、前記壁載置部に前記複数の壁部材が所定間隔で載置可能なように、前記洗い場床パンの水平面投影領域を矯正する矯正手段を設け、前記矯正手段は、前記洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させるものであることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、洗い場の床面を構成する洗い場床パンを、熱可塑性樹脂によって形成しているので、成形時の二酸化炭素排出量を低減することが出来ると共に、リサイクルを容易なものとすることができる。また、洗い場床パンには、壁部材を載置するための壁載置部を一体的に設けているので、この壁載置部に壁部材を載せた状態を保つことで優れた防水性能を発揮することができる。
【0011】
更に本発明では、例えば、低温度環境下によって、洗い場床パンが平面方向に収縮し、水平面投影領域が狙いの寸法よりも小さくなったとしても、洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させることで、狙いの水平面投影領域を確保できるように構成されている。このように構成することで、壁載置部の周長が狙いの寸法となるため、複数の壁部材を複数の壁部材を狙い通りに嵌め込んで組み上げることが可能となる。
【0012】
また本発明に係る浴室ユニットでは、前記洗い場床パンの下側に配置され、前記洗い場床パンの線膨張係数よりも小さい線膨張係数となるように形成された床支持部材を備え、前記矯正手段は、前記床支持部材に対して取り付けられていることも好ましい。
【0013】
この好ましい態様では、洗い場床パンよりも線膨張係数の小さい床支持部材に矯正手段が取り付けられているため、矯正手段の位置は、低温度環境下であっても変化せず、より安定的に洗い場床パンを所定の水平面投影領域となるように矯正することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱可塑性樹脂を用いて床面を形成しながらも、複数の壁部材を狙い通りに嵌め込んで組み上げることが可能な浴室ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す浴室ユニットの床部材を構成する洗い場床パン及び床支持部材を示す斜視図である。
【図3】図1に示す浴室ユニットの床部材を構成する洗い場床パン及び床支持部材を示す平面図である。
【図4】図1に示す浴室ユニットの床部材を構成する洗い場床パン及び床支持部材を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0017】
本発明の実施形態に係る浴室ユニットの概略構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る浴室ユニットUBの概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、浴室ユニットUBは、浴槽BTと、浴槽BTを囲むように立設される板状の壁部材WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7と、浴槽BTと壁部材WP1,WP2,WP3,WP4との間に配置される略矩形状の洗い場床パンFP及び床支持部材HP(床部材)と、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7を支持する柱状の第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3(支柱部材)と、を備える。
【0018】
図1においては、図面の視認性を考慮し、浴槽BT、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3は、それぞれ破線で外形を示した。また、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4のいずれかは、ドア部材として開閉可能なように形成されている。
【0019】
洗い場床パンFPは、熱可塑性樹脂を発泡成形することで形成されている。洗い場床パンFPは、浴槽BTに沿う辺を除く他辺の周縁部に壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が載置される壁載置部FPqが一体的に設けられている。壁載置部FPqは、洗い場床面FPpの外側に形成された溝状の部分である。壁載置部FPqの外側には、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4側(上側)に立設するように、水返し壁部FPcが形成されている。
【0020】
洗い場床パンFPの浴槽BTに沿う辺の中央近傍には、排水ピットFPaが形成されている。排水ピットFPaは、排水金具(図示しない)が収められる部分であって、床支持部材HP側(下側)に突出した突起部を有している。洗い場床パンFPの中央領域には、位置規制部FPbが形成されている。位置規制部FPbは、床支持部材HP側(下側)に突出した突起部として形成されている。
【0021】
床支持部材HPは、洗い場床パンFPの線膨張係数よりも小さい線膨張係数となり且つ洗い場床パンFPの剛性よりも高い剛性となるように形成されている。床支持部材HPは、洗い場床パンFPの下側に配置される支持部材である。床支持部材HPは、床支持面HPp上に洗い場床パンFPを載せることで、洗い場床パンFPを支持している。
【0022】
床支持部材HPの浴槽BTに沿う辺の中央近傍には、排水ピット穴HPaが形成されている。排水ピット穴HPaは、排水ピットFPaが挿入される穴である。従って、洗い場床パンFPの排水ピットFPaは、床支持部材HPの排水ピット穴HPaに嵌め合わされることで、水平方向の位置ずれを規制するように水平方向において拘束される。
【0023】
床支持部材HPの中央領域には、位置規制穴HPbが形成されている。位置規制穴HPbは、位置規制部FPbが挿入される穴である。従って、洗い場床パンFPの位置規制部FPbは、床支持部材HPの位置規制穴HPbに嵌め合わされることで、水平方向の位置ずれを規制するように水平方向において拘束される。
【0024】
床支持部材HPの、浴槽BT側とは反対側における一対の角部には、それぞれ取付部材2が取り付けられている。取付部材2は、第一支柱部材PC1,PC2を床支持部材HPに対して取り付けるための金具である。取付部材2は、第一支柱部材PC1,PC2と組み合わされることで、矯正部CMbとして機能する。
【0025】
床支持部材HPの、浴槽BT側の辺以外の三辺には、それぞれ第二矯正部材12(第二矯正部、取付部材)が取り付けられている。第二矯正部材12は、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けるための金具である。第二矯正部材12は、後述する第一矯正部材10と組み合わされることで、矯正部CMaとして機能する。
【0026】
床支持部材HPに対して洗い場床パンFPを戴置した状態を図2に示す。図2に示すように、床支持部材HPに対して洗い場床パンFPを戴置すると、取付部材2及び第二矯正部材12は、洗い場床パンFPよりも上方側から視認可能な位置まで突出する。取付部材2は、第一支柱部材PC1,PC2が固定されることで、洗い場床パンFPを外側に向けて引き伸ばすように作用する。第二矯正部材12は、後述する第一矯正部材10が固定されることで、洗い場床パンFPを外側に向けて引き伸ばすように作用する。
【0027】
このように、洗い場床パンFPが引き伸ばされて、その水平面投影領域が矯正される状態を、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、洗い場床パンFP及び床支持部材HPを模式的に示す平面図であって、矯正前の状態を示すものである。図4は、洗い場床パンFP及び床支持部材HPを模式的に示す平面図であって、矯正後の状態を示すものである。
【0028】
図3に示すように、矯正前の状態では、洗い場床パンFPの水平面投影領域は、床支持部材HPの水平面投影領域よりも小さくなるように構成されている。これは、洗い場床パンFPが、熱可塑性樹脂を発泡成形することで形成されていることに起因するものであり、当初の寸法設定上、水平面投影領域が小さくなるように構成されていても、成型後の収縮によって水平面投影領域が小さくなってしまっても構わないものである。
【0029】
図4に示すように、矯正部CMa及び矯正部CMbによって、洗い場床パンFPが外側に引き伸ばされることで、洗い場床パンFPの水平面投影領域が所定の領域となるように矯正される。より具体的には、洗い場床パンFPの周縁部に形成される壁載置部FPqに、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が戴置された場合に、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が所定の位置に設置可能な程度まで強制されるものである。洗い場床パンFPは、矯正部CMa及び矯正部CMbによって引き伸ばされるので、矯正部CMa及び矯正部CMbが設けられた部分は、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が本来設置されるべき位置まで引き伸ばされる。矯正部CMa及び矯正部CMbが設けられていない部分において、洗い場床パンFPは内側に撓むことも想定されるが、その場合は壁部材WP1,WP2,WP3,WP4によって、水返し壁部FPcが外側に引っ張られることで、洗い場床パンFPが矯正される。これは、洗い場床パンFPが熱可塑性樹脂を発泡成形することで形成されているため剛性が相対的に低い一方で、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4の剛性が十分に高いことによるものである。
【0030】
続いて、矯正部CMaについて図5を参照しながら説明する。図5は、矯正部CMa近傍を示す斜視図である。図5に示すように、洗い場床パンFPにおいては、洗い場床面FPpの周囲に、壁載置部FPqが溝状に形成されている。従って、壁載置部FPqの溝下面である、壁載置部上面FPdは、洗い場床面FPpよりも一段下がった下方に位置するように形成されている。
【0031】
矯正部CMaは、第一矯正部材10と、第二矯正部材12と、固定ネジ14(固定部)と、を有している。第二矯正部材12は、床支持部材HPに取り付けられ、洗い場床パンFPの外側から壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように設けられている。第一矯正部材10は、洗い場床パンFPの水返し壁部FPcを外側に押し出すように設けられている。第一矯正部材10は、固定ネジ14によって第二矯正部材12に固定されている。従って、少なくとも矯正部CMaが設けられている部分において、水返し壁部FPcは第二矯正部材12に当接するまで押し出されている。
【0032】
図6に、第二矯正部材12を外側から見た状態を示す。図6に示すように、第二矯正部材12は、床連結部121と、接続部122と、柱固定部123とが一体となった板状部材として形成されている。床連結部121は、床支持部材HPに形成されている連結スリットHPcに挿入される部分である。床連結部121には、連結溝121aが形成されている。床連結部121の連結溝121aよりも下方の部分が、連結スリットHPcに挿入される。柱固定部123は、第二支柱部材PP1〜PP3が固定される部分である。柱固定部123には、固定穴123aが形成されている。
【0033】
図7に、第二矯正部材12を床支持部材HPに挿入した状態を示す。図7に示すように、第二矯正部材12の床連結部121を、床支持部材HPの連結スリットHPcに挿入すると、第二矯正部材12の柱固定部123は洗い場床パンFPよりも上方に突出した状態となる。第二矯正部材12の接続部122は、洗い場床パンFPの溝部FPeに収められ、洗い場床パンFPの外周よりも外側に突出しないように構成されている。
【0034】
図8に、第二矯正部材12と第二支柱部材PP1〜PP3とを固定する状態を示す。図8に示すように、第二矯正部材12に第一矯正部材10を固定することで、水返し壁部FPcが第二矯正部材12に当接するように矯正される。この状態で、第二支柱部材PP1を、第一矯正部材10及び第二矯正部材12よりも内側に配置する。その後、第二支柱部材PP1に形成されている固定穴PP1aと、第二矯正部材12に形成されている固定穴123aとを固定ネジ16で貫通固定する(図9参照)。
【0035】
続いて、矯正部CMbについて図10を参照しながら説明する。図10は、矯正部CMbを構成する取付部材2近傍を示す斜視図である。図10に示すように、取付部材2は、床支持部材HPの角部に固定されるものである。取付部材2は、立設部20と、床固定部22とを有している。立設部20には、第一支柱部材PC1,PC2を固定するための固定穴201が形成されている。床固定部22は、立設部20の下端において、床支持部材HPに沿うように折り曲げられた部分である。床固定部22には、固定穴221が形成されている。床固定部22の固定穴221を固定ネジ24によって貫通し、床支持部材HPに取付部材2を固定する(図11参照)。
【0036】
図12に、取付部材2と第一支柱部材PC1,PC2とを固定する状態を示す。図12に示すように、取付部材2と第一支柱部材PC1とによって、水返し壁部FPcを挟み込むようにし、固定ネジ26によって取付部材2と第一支柱部材PC1とを固定する。第一支柱部材PC1の下端側には、係合突起PCaが形成されている。この係合突起PCaが、水返し壁部FPcよりも内側に入り込み、取付部材2との間で水返し壁部FPcを保持する。従って、取付部材2と係合突起PCaとによって、矯正部CMbが構成されている。
【0037】
上述したように本実施形態に係る浴室ユニットUBでは、一対の支柱部材(第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3において、隣接する支柱部材)間に対向する壁載置部FPcの一部と、一対の支柱部材との距離が所定距離となるように、洗い場床パンFPを一対の支柱部材側に引き伸ばし、洗い場床パンFPの水平面投影領域を矯正する矯正部CMa,CMb(矯正手段)を設けている。
【0038】
本実施形態によれば、洗い場床面FPpを構成する洗い場床パンFPを、熱可塑性樹脂によって形成しているので、成形時の二酸化炭素排出量を低減することが出来ると共に、リサイクルを容易なものとすることができる。洗い場床パンFPを発泡成形によって形成しているので、成形時の内圧を低減することができるため成形型の費用を低減することができ、洗い場床パン自体の軽量化を図ることもできる。洗い場床パンFPには、壁部材WP1〜WP4を載置するための壁載置部FPqを一体的に設けているので、この壁載置部Fpqに壁部材WP1〜WP4を載せた状態を保つことで優れた防水性能を発揮することができる。第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けることで、洗い場床パンFPに取り付けた場合に比較して、長期的に安定して壁部材WP1〜WP4を支持することができる。
【0039】
更に本実施形態では、洗い場床パンFPが収縮してしまい、狙いの水平面投影領域を確保できない場合であっても、洗い場床パンFPを一対の支柱部材側に引き伸ばすことで、狙いの水平面投影領域を確保することができる。このため、壁載置部の周長が狙いの寸法となるため、複数の壁部材を所定間隔で壁載置部に載置でき、熱可塑性樹脂を用いて床面を形成しながらも、壁部材を容易に組み上げることが可能となる。また、一対の支柱部材間に対向する壁載置部FPqの一部と、一対の支柱部材との距離が所定距離となるように、洗い場床パンFPを一対の支柱部材側に引き伸ばしているので、洗い場床パンFPの壁載置部FPqを、壁部材WP1〜WP4を載せるための正規の位置に配置することができる。第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を洗い場床パンFPの外側から壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように設けており、この支柱部材側に洗い場床パンFPを引き伸ばしているので、浴室ユニットしての平面寸法を維持した状態で配置することができる。結果として、壁部材WP1〜WP4を第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に沿って垂直に立設することができ、壁部材や天井パネルを密接させて取り付けることができる。
【0040】
また本実施形態では、矯正部CMa,CMbを第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に対応する位置に設けているので、洗い場床パンFPを第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に対応する位置において確実に狙いの位置まで引き伸ばすことができる。そのため、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3が配置された場所においては、壁部材WP1〜WP4を確実に正規の位置に配置することができる。更に、壁載置部FPqの外側には壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように水返し壁部FPcが設けられているので、一対の支柱部材間においては、壁部材WP1〜WP4が水返し壁部FPcを外側に押すことで壁載置部FPqを正規の位置まで移動させ、結果として壁部材WP1〜WP4を正規の位置に立設させることができる。従って、矯正部CMa,CMbを洗い場床パンFPを囲繞するように全周に設けることなく、洗い場床パンFPの水平面投影領域を矯正し、壁部材WP1〜WP4を第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に沿って垂直に立設することができる。
【0041】
また本実施形態では、第一矯正部材10が水返し壁部FPcを第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に押し広げるので、洗い場床パンFPが収縮してしまったとしても、第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に確実に引き伸ばして水平面投影領域を矯正することができる。
【0042】
また本実施形態では、水返し壁部FPcを押し出す第一矯正部材10と固定される第二矯正部材12を第二支柱部材PP1,PP2,PP3と一体的に設け、水返し壁部FPcの外側壁面が第二支柱部材PP1,PP2,PP3及び第二矯正部材12の少なくとも一方に当接するまで押し出すので、水返し壁部FPcを支柱部材に向けて確実に押し出すことができる。第一矯正部材10と第二矯正部材12とは固定ネジ14によって固定されるので、水返し壁部FPcを含む洗い場床パンFPに取付用の穴を設けることなく、洗い場床パンFPを第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に確実に引き伸ばして水平面投影領域を矯正することができる。
【0043】
また本実施形態では、第二矯正部材12を床支持部材HPに取り付けて、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して間接的に取り付けることができるように構成している。従って、第二矯正部材12は、第二支柱部材PP1,PP2,PP3の床支持部材HPに対する取付部材として構成することができるので、全体の構成を簡素化することができる。
【0044】
また本実施形態では、洗い場床パンFPの裏面の中央領域に位置規制部FPbを設けているので、この中央領域の位置規制部FPbを基準として水平方向における洗い場床パンFP全体の位置ずれを規制している。従って、この中央領域の位置規制部FPbを基準として、矯正部CMa,CMbが洗い場床パンFPを第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に引き伸ばすことになるので、各辺における引き伸ばし量の偏在化を抑制することができる。換言すれば、洗い場床パンFPの各辺における引き伸ばし量を略均等化することができるので、浴室ユニットUBを設置する際の矯正作業が容易なものとなる。
【0045】
更に、上述したように本実施形態に係る浴室ユニットUBでは、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3は、床支持部材HPに対して取り付けられると共に、洗い場床パンFPの外側から壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように取り付けられ、洗い場床パンFPを床支持部材HP上に配置した状態で床支持部材HPに対して着脱可能なように構成されている。
【0046】
このように構成されていることで、洗い場床パンFPを床支持部材HPから取り外すことなく着脱し、その設置位置を変更することができる。従って、洗い場床パンFPを床支持部材HP上に配置する前に、支柱部材の正確な位置決めをせずに第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けたとしても、洗い場床パンFPの配置後にその設置位置を微調整することが可能になるので、浴室ユニットUBの組立作業性が向上する。また、洗い場床パンFPを床支持部材HP上に設置した後に、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を取り付けることも可能になるので、例えば第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を設置し忘れた場所に第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を後から設置することが可能になる。
【0047】
また本実施形態では、取付部材2を仲介させて第一支柱部材PC1,PC2を床支持部材HPに取り付けていると共に、取付部材として機能する第二矯正部材12を仲介させて第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けている。取付部材2及び第二矯正部材12を床支持部材HPに取り付けてから、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を取付部材2及び第二矯正部材12に取り付けることで、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けることができるので、組立作業性が向上する。更に、取付部材2及び第二矯正部材12は床支持部材HPの上面に取り付けられているので、上方から視認することができるように構成することが可能となり、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3の着脱作業性が向上する。
【0048】
また本実施形態では、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けた状態で、洗い場床パンFPの周縁部に沿って位置調整可能なように構成している(図8及び図9参照)ので、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPから取り外さずにその取り付け位置の微調整が可能なものとなる。従って、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けるための部材を設けた場合であっても、その部材を取り外さずに第二支柱部材PP1,PP2,PP3の位置微調整が可能になるので、組立作業時にその部材を建築躯体と浴室ユニットとの間に落としてしまうような事態を回避することができる。
【0049】
浴室ユニットUBでは、ドアの位置が変わったとしても、角を含むような位置に配置されることがない。そこで本実施形態では、第一支柱部材PC1,PC2を位置調整できないように固定配置している(図10〜図12参照)。そして、この第一支柱部材PC1,PC2の位置を基準として、位置調整可能なように設けられた第二支柱部材PP1,PP2,PP3の取り付け位置を調整することが可能になっているので、壁部材WP1〜WP4の一側と他側とを確実に第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3によって保持することができる。
【0050】
また本実施形態では、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けた状態で、洗い場床パンFPの周縁部に沿って位置調整可能なように構成することで、洗い場床パンFPの設置後においてもその位置の微調整が可能なように構成すると共に、位置調整可能な状態から位置調整不可能な状態に遷移させる固定ネジ14(固定手段)を備えることで、位置調整後には第二支柱部材PP1,PP2,PP3が動かないようにしている。従って、壁部材WP1〜WP4を取り付ける作業工程においては、第二支柱部材PP1,PP2,PP3が動かないように固定することが可能になるので、壁部材WP1〜WP4の取り付け時の組立作業性がより向上する。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0052】
UB:浴室ユニット
BT:浴槽
WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7:壁部材
PC1,PC2:第一支柱部材
PCa:係合突起
PP1,PP2,PP3:第二支柱部材
PP1a:固定穴
FP:洗い場床パン(床部材)
FPa:排水ピット
FPb:位置規制部
FPc:水返し壁部
FPd:壁載置部上面
FPe:溝部
FPq:壁載置部
FPp:洗い場床面
HP:床支持部材(床部材)
HPa:排水ピット穴
HPb:位置規制穴
HPc:連結スリット
HPp:床支持面
CMa:矯正部
CMb:矯正部
10:第一矯正部材(第一矯正部)
101:接合部
102:保持部
12:第二矯正部材(第二矯正部、取付部材)
121:床連結部
121a:連結溝
122:接続部
123:柱固定部
123a:固定穴
14:固定ネジ(固定部)
16:固定ネジ
2:取付部材
20:立設部
201:固定穴
22:床固定部
221:固定穴
24:固定ネジ
26:固定ネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽と、洗い場床パンと、壁部材と、を備える浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような浴槽と壁部材と洗い場床パンとを備える浴室ユニットは、いわゆる在来工法の浴室に対して施工性及び生産性に優れることから広く普及している。浴室ユニットの床部材は、浴室の床としての強度や防水性や成形性といった様々な要求品質を満たしやすいことから、繊維樹脂強化プラスチック(以下、FRP(Fiber Reinforced Plastic)ともいう)によって形成されている。
【0003】
FRPによって形成された床部材は、上述した強度や防水性や成形性といった要求品質を満たすためには優れたものであるが、解決すべき課題もある。下記特許文献1では、FRP製の床部材が抱えるリサイクル課題を解決するために一つの提案を行っている。このリサイクル課題とは、FRPが炭素繊維といった強化材料を熱硬化性樹脂によってバインドすることで形成されることに起因するものであって、熱溶解してあらたな製品に成形し直すといった単純なリサイクル工程が適用できないことに起因する課題である。
【0004】
このような課題を解決するものとして下記特許文献1では、建物床上に据え付けられるフレーム状架台と、フレーム状架台の上に固定される板状架台と、板状架台の上に支持される防水パンと、を備える床部材が提案されている。防水パンは熱可塑性樹脂からなり、フレーム状架台は鋼材からなり、板状架台は2枚の金属板の間に芯材を挟んでなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−25122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術は、最上層に配置される防水パンを熱可塑性樹脂によって構成することで、上述したリサイクル課題を解決すると共に、FRP単一材料の一体構造では得られない素材選択の自由度も得られる優れた技術である。
【0007】
しかしながら、熱可塑性樹脂は、線膨張係数が大きいものであり、与えられる熱の変動によって膨張したり収縮したりする性質がある。そのため、洗い場床パン単体としては上述したような優れた性質を持つものの、例えば、低温度環境下で浴室ユニットを組み立てる場合には、洗い場床パンの平面寸法が狙いの寸法よりも小さくなり、壁載置部の周長が狙いの寸法よりも小さくなる場合がある。この場合、洗い場床パンの周縁部に立設される複数の壁部材が嵌めにくくなったり、収縮がより大きい場合には、壁部材が嵌まらなくなる可能性がある。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱可塑性樹脂を用いて床面を形成しながらも、複数の壁部材を狙い通りに嵌め込んで組み上げることが可能な浴室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る浴室ユニットは、浴槽と、前記浴槽の一辺と隣接する位置に配置される洗い場床パンと、前記浴槽および前記洗い場床パンの周囲に立設される板状に形成された複数の壁部材と、を備える浴室ユニットであって、前記洗い場床パンは、前記浴槽に沿う辺を除く他辺の周縁部に前記壁部材が載置される壁載置部が一体的に設けられており、前記壁載置部に前記複数の壁部材が所定間隔で載置可能なように、前記洗い場床パンの水平面投影領域を矯正する矯正手段を設け、前記矯正手段は、前記洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させるものであることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、洗い場の床面を構成する洗い場床パンを、熱可塑性樹脂によって形成しているので、成形時の二酸化炭素排出量を低減することが出来ると共に、リサイクルを容易なものとすることができる。また、洗い場床パンには、壁部材を載置するための壁載置部を一体的に設けているので、この壁載置部に壁部材を載せた状態を保つことで優れた防水性能を発揮することができる。
【0011】
更に本発明では、例えば、低温度環境下によって、洗い場床パンが平面方向に収縮し、水平面投影領域が狙いの寸法よりも小さくなったとしても、洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させることで、狙いの水平面投影領域を確保できるように構成されている。このように構成することで、壁載置部の周長が狙いの寸法となるため、複数の壁部材を複数の壁部材を狙い通りに嵌め込んで組み上げることが可能となる。
【0012】
また本発明に係る浴室ユニットでは、前記洗い場床パンの下側に配置され、前記洗い場床パンの線膨張係数よりも小さい線膨張係数となるように形成された床支持部材を備え、前記矯正手段は、前記床支持部材に対して取り付けられていることも好ましい。
【0013】
この好ましい態様では、洗い場床パンよりも線膨張係数の小さい床支持部材に矯正手段が取り付けられているため、矯正手段の位置は、低温度環境下であっても変化せず、より安定的に洗い場床パンを所定の水平面投影領域となるように矯正することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱可塑性樹脂を用いて床面を形成しながらも、複数の壁部材を狙い通りに嵌め込んで組み上げることが可能な浴室ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す浴室ユニットの床部材を構成する洗い場床パン及び床支持部材を示す斜視図である。
【図3】図1に示す浴室ユニットの床部材を構成する洗い場床パン及び床支持部材を示す平面図である。
【図4】図1に示す浴室ユニットの床部材を構成する洗い場床パン及び床支持部材を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの矯正部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0017】
本発明の実施形態に係る浴室ユニットの概略構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る浴室ユニットUBの概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、浴室ユニットUBは、浴槽BTと、浴槽BTを囲むように立設される板状の壁部材WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7と、浴槽BTと壁部材WP1,WP2,WP3,WP4との間に配置される略矩形状の洗い場床パンFP及び床支持部材HP(床部材)と、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7を支持する柱状の第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3(支柱部材)と、を備える。
【0018】
図1においては、図面の視認性を考慮し、浴槽BT、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3は、それぞれ破線で外形を示した。また、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4のいずれかは、ドア部材として開閉可能なように形成されている。
【0019】
洗い場床パンFPは、熱可塑性樹脂を発泡成形することで形成されている。洗い場床パンFPは、浴槽BTに沿う辺を除く他辺の周縁部に壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が載置される壁載置部FPqが一体的に設けられている。壁載置部FPqは、洗い場床面FPpの外側に形成された溝状の部分である。壁載置部FPqの外側には、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4側(上側)に立設するように、水返し壁部FPcが形成されている。
【0020】
洗い場床パンFPの浴槽BTに沿う辺の中央近傍には、排水ピットFPaが形成されている。排水ピットFPaは、排水金具(図示しない)が収められる部分であって、床支持部材HP側(下側)に突出した突起部を有している。洗い場床パンFPの中央領域には、位置規制部FPbが形成されている。位置規制部FPbは、床支持部材HP側(下側)に突出した突起部として形成されている。
【0021】
床支持部材HPは、洗い場床パンFPの線膨張係数よりも小さい線膨張係数となり且つ洗い場床パンFPの剛性よりも高い剛性となるように形成されている。床支持部材HPは、洗い場床パンFPの下側に配置される支持部材である。床支持部材HPは、床支持面HPp上に洗い場床パンFPを載せることで、洗い場床パンFPを支持している。
【0022】
床支持部材HPの浴槽BTに沿う辺の中央近傍には、排水ピット穴HPaが形成されている。排水ピット穴HPaは、排水ピットFPaが挿入される穴である。従って、洗い場床パンFPの排水ピットFPaは、床支持部材HPの排水ピット穴HPaに嵌め合わされることで、水平方向の位置ずれを規制するように水平方向において拘束される。
【0023】
床支持部材HPの中央領域には、位置規制穴HPbが形成されている。位置規制穴HPbは、位置規制部FPbが挿入される穴である。従って、洗い場床パンFPの位置規制部FPbは、床支持部材HPの位置規制穴HPbに嵌め合わされることで、水平方向の位置ずれを規制するように水平方向において拘束される。
【0024】
床支持部材HPの、浴槽BT側とは反対側における一対の角部には、それぞれ取付部材2が取り付けられている。取付部材2は、第一支柱部材PC1,PC2を床支持部材HPに対して取り付けるための金具である。取付部材2は、第一支柱部材PC1,PC2と組み合わされることで、矯正部CMbとして機能する。
【0025】
床支持部材HPの、浴槽BT側の辺以外の三辺には、それぞれ第二矯正部材12(第二矯正部、取付部材)が取り付けられている。第二矯正部材12は、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けるための金具である。第二矯正部材12は、後述する第一矯正部材10と組み合わされることで、矯正部CMaとして機能する。
【0026】
床支持部材HPに対して洗い場床パンFPを戴置した状態を図2に示す。図2に示すように、床支持部材HPに対して洗い場床パンFPを戴置すると、取付部材2及び第二矯正部材12は、洗い場床パンFPよりも上方側から視認可能な位置まで突出する。取付部材2は、第一支柱部材PC1,PC2が固定されることで、洗い場床パンFPを外側に向けて引き伸ばすように作用する。第二矯正部材12は、後述する第一矯正部材10が固定されることで、洗い場床パンFPを外側に向けて引き伸ばすように作用する。
【0027】
このように、洗い場床パンFPが引き伸ばされて、その水平面投影領域が矯正される状態を、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、洗い場床パンFP及び床支持部材HPを模式的に示す平面図であって、矯正前の状態を示すものである。図4は、洗い場床パンFP及び床支持部材HPを模式的に示す平面図であって、矯正後の状態を示すものである。
【0028】
図3に示すように、矯正前の状態では、洗い場床パンFPの水平面投影領域は、床支持部材HPの水平面投影領域よりも小さくなるように構成されている。これは、洗い場床パンFPが、熱可塑性樹脂を発泡成形することで形成されていることに起因するものであり、当初の寸法設定上、水平面投影領域が小さくなるように構成されていても、成型後の収縮によって水平面投影領域が小さくなってしまっても構わないものである。
【0029】
図4に示すように、矯正部CMa及び矯正部CMbによって、洗い場床パンFPが外側に引き伸ばされることで、洗い場床パンFPの水平面投影領域が所定の領域となるように矯正される。より具体的には、洗い場床パンFPの周縁部に形成される壁載置部FPqに、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が戴置された場合に、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が所定の位置に設置可能な程度まで強制されるものである。洗い場床パンFPは、矯正部CMa及び矯正部CMbによって引き伸ばされるので、矯正部CMa及び矯正部CMbが設けられた部分は、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4が本来設置されるべき位置まで引き伸ばされる。矯正部CMa及び矯正部CMbが設けられていない部分において、洗い場床パンFPは内側に撓むことも想定されるが、その場合は壁部材WP1,WP2,WP3,WP4によって、水返し壁部FPcが外側に引っ張られることで、洗い場床パンFPが矯正される。これは、洗い場床パンFPが熱可塑性樹脂を発泡成形することで形成されているため剛性が相対的に低い一方で、壁部材WP1,WP2,WP3,WP4の剛性が十分に高いことによるものである。
【0030】
続いて、矯正部CMaについて図5を参照しながら説明する。図5は、矯正部CMa近傍を示す斜視図である。図5に示すように、洗い場床パンFPにおいては、洗い場床面FPpの周囲に、壁載置部FPqが溝状に形成されている。従って、壁載置部FPqの溝下面である、壁載置部上面FPdは、洗い場床面FPpよりも一段下がった下方に位置するように形成されている。
【0031】
矯正部CMaは、第一矯正部材10と、第二矯正部材12と、固定ネジ14(固定部)と、を有している。第二矯正部材12は、床支持部材HPに取り付けられ、洗い場床パンFPの外側から壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように設けられている。第一矯正部材10は、洗い場床パンFPの水返し壁部FPcを外側に押し出すように設けられている。第一矯正部材10は、固定ネジ14によって第二矯正部材12に固定されている。従って、少なくとも矯正部CMaが設けられている部分において、水返し壁部FPcは第二矯正部材12に当接するまで押し出されている。
【0032】
図6に、第二矯正部材12を外側から見た状態を示す。図6に示すように、第二矯正部材12は、床連結部121と、接続部122と、柱固定部123とが一体となった板状部材として形成されている。床連結部121は、床支持部材HPに形成されている連結スリットHPcに挿入される部分である。床連結部121には、連結溝121aが形成されている。床連結部121の連結溝121aよりも下方の部分が、連結スリットHPcに挿入される。柱固定部123は、第二支柱部材PP1〜PP3が固定される部分である。柱固定部123には、固定穴123aが形成されている。
【0033】
図7に、第二矯正部材12を床支持部材HPに挿入した状態を示す。図7に示すように、第二矯正部材12の床連結部121を、床支持部材HPの連結スリットHPcに挿入すると、第二矯正部材12の柱固定部123は洗い場床パンFPよりも上方に突出した状態となる。第二矯正部材12の接続部122は、洗い場床パンFPの溝部FPeに収められ、洗い場床パンFPの外周よりも外側に突出しないように構成されている。
【0034】
図8に、第二矯正部材12と第二支柱部材PP1〜PP3とを固定する状態を示す。図8に示すように、第二矯正部材12に第一矯正部材10を固定することで、水返し壁部FPcが第二矯正部材12に当接するように矯正される。この状態で、第二支柱部材PP1を、第一矯正部材10及び第二矯正部材12よりも内側に配置する。その後、第二支柱部材PP1に形成されている固定穴PP1aと、第二矯正部材12に形成されている固定穴123aとを固定ネジ16で貫通固定する(図9参照)。
【0035】
続いて、矯正部CMbについて図10を参照しながら説明する。図10は、矯正部CMbを構成する取付部材2近傍を示す斜視図である。図10に示すように、取付部材2は、床支持部材HPの角部に固定されるものである。取付部材2は、立設部20と、床固定部22とを有している。立設部20には、第一支柱部材PC1,PC2を固定するための固定穴201が形成されている。床固定部22は、立設部20の下端において、床支持部材HPに沿うように折り曲げられた部分である。床固定部22には、固定穴221が形成されている。床固定部22の固定穴221を固定ネジ24によって貫通し、床支持部材HPに取付部材2を固定する(図11参照)。
【0036】
図12に、取付部材2と第一支柱部材PC1,PC2とを固定する状態を示す。図12に示すように、取付部材2と第一支柱部材PC1とによって、水返し壁部FPcを挟み込むようにし、固定ネジ26によって取付部材2と第一支柱部材PC1とを固定する。第一支柱部材PC1の下端側には、係合突起PCaが形成されている。この係合突起PCaが、水返し壁部FPcよりも内側に入り込み、取付部材2との間で水返し壁部FPcを保持する。従って、取付部材2と係合突起PCaとによって、矯正部CMbが構成されている。
【0037】
上述したように本実施形態に係る浴室ユニットUBでは、一対の支柱部材(第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3において、隣接する支柱部材)間に対向する壁載置部FPcの一部と、一対の支柱部材との距離が所定距離となるように、洗い場床パンFPを一対の支柱部材側に引き伸ばし、洗い場床パンFPの水平面投影領域を矯正する矯正部CMa,CMb(矯正手段)を設けている。
【0038】
本実施形態によれば、洗い場床面FPpを構成する洗い場床パンFPを、熱可塑性樹脂によって形成しているので、成形時の二酸化炭素排出量を低減することが出来ると共に、リサイクルを容易なものとすることができる。洗い場床パンFPを発泡成形によって形成しているので、成形時の内圧を低減することができるため成形型の費用を低減することができ、洗い場床パン自体の軽量化を図ることもできる。洗い場床パンFPには、壁部材WP1〜WP4を載置するための壁載置部FPqを一体的に設けているので、この壁載置部Fpqに壁部材WP1〜WP4を載せた状態を保つことで優れた防水性能を発揮することができる。第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けることで、洗い場床パンFPに取り付けた場合に比較して、長期的に安定して壁部材WP1〜WP4を支持することができる。
【0039】
更に本実施形態では、洗い場床パンFPが収縮してしまい、狙いの水平面投影領域を確保できない場合であっても、洗い場床パンFPを一対の支柱部材側に引き伸ばすことで、狙いの水平面投影領域を確保することができる。このため、壁載置部の周長が狙いの寸法となるため、複数の壁部材を所定間隔で壁載置部に載置でき、熱可塑性樹脂を用いて床面を形成しながらも、壁部材を容易に組み上げることが可能となる。また、一対の支柱部材間に対向する壁載置部FPqの一部と、一対の支柱部材との距離が所定距離となるように、洗い場床パンFPを一対の支柱部材側に引き伸ばしているので、洗い場床パンFPの壁載置部FPqを、壁部材WP1〜WP4を載せるための正規の位置に配置することができる。第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を洗い場床パンFPの外側から壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように設けており、この支柱部材側に洗い場床パンFPを引き伸ばしているので、浴室ユニットしての平面寸法を維持した状態で配置することができる。結果として、壁部材WP1〜WP4を第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に沿って垂直に立設することができ、壁部材や天井パネルを密接させて取り付けることができる。
【0040】
また本実施形態では、矯正部CMa,CMbを第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に対応する位置に設けているので、洗い場床パンFPを第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に対応する位置において確実に狙いの位置まで引き伸ばすことができる。そのため、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3が配置された場所においては、壁部材WP1〜WP4を確実に正規の位置に配置することができる。更に、壁載置部FPqの外側には壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように水返し壁部FPcが設けられているので、一対の支柱部材間においては、壁部材WP1〜WP4が水返し壁部FPcを外側に押すことで壁載置部FPqを正規の位置まで移動させ、結果として壁部材WP1〜WP4を正規の位置に立設させることができる。従って、矯正部CMa,CMbを洗い場床パンFPを囲繞するように全周に設けることなく、洗い場床パンFPの水平面投影領域を矯正し、壁部材WP1〜WP4を第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3に沿って垂直に立設することができる。
【0041】
また本実施形態では、第一矯正部材10が水返し壁部FPcを第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に押し広げるので、洗い場床パンFPが収縮してしまったとしても、第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に確実に引き伸ばして水平面投影領域を矯正することができる。
【0042】
また本実施形態では、水返し壁部FPcを押し出す第一矯正部材10と固定される第二矯正部材12を第二支柱部材PP1,PP2,PP3と一体的に設け、水返し壁部FPcの外側壁面が第二支柱部材PP1,PP2,PP3及び第二矯正部材12の少なくとも一方に当接するまで押し出すので、水返し壁部FPcを支柱部材に向けて確実に押し出すことができる。第一矯正部材10と第二矯正部材12とは固定ネジ14によって固定されるので、水返し壁部FPcを含む洗い場床パンFPに取付用の穴を設けることなく、洗い場床パンFPを第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に確実に引き伸ばして水平面投影領域を矯正することができる。
【0043】
また本実施形態では、第二矯正部材12を床支持部材HPに取り付けて、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して間接的に取り付けることができるように構成している。従って、第二矯正部材12は、第二支柱部材PP1,PP2,PP3の床支持部材HPに対する取付部材として構成することができるので、全体の構成を簡素化することができる。
【0044】
また本実施形態では、洗い場床パンFPの裏面の中央領域に位置規制部FPbを設けているので、この中央領域の位置規制部FPbを基準として水平方向における洗い場床パンFP全体の位置ずれを規制している。従って、この中央領域の位置規制部FPbを基準として、矯正部CMa,CMbが洗い場床パンFPを第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3側に引き伸ばすことになるので、各辺における引き伸ばし量の偏在化を抑制することができる。換言すれば、洗い場床パンFPの各辺における引き伸ばし量を略均等化することができるので、浴室ユニットUBを設置する際の矯正作業が容易なものとなる。
【0045】
更に、上述したように本実施形態に係る浴室ユニットUBでは、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3は、床支持部材HPに対して取り付けられると共に、洗い場床パンFPの外側から壁部材WP1〜WP4側(上方側)に立設するように取り付けられ、洗い場床パンFPを床支持部材HP上に配置した状態で床支持部材HPに対して着脱可能なように構成されている。
【0046】
このように構成されていることで、洗い場床パンFPを床支持部材HPから取り外すことなく着脱し、その設置位置を変更することができる。従って、洗い場床パンFPを床支持部材HP上に配置する前に、支柱部材の正確な位置決めをせずに第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けたとしても、洗い場床パンFPの配置後にその設置位置を微調整することが可能になるので、浴室ユニットUBの組立作業性が向上する。また、洗い場床パンFPを床支持部材HP上に設置した後に、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を取り付けることも可能になるので、例えば第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を設置し忘れた場所に第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を後から設置することが可能になる。
【0047】
また本実施形態では、取付部材2を仲介させて第一支柱部材PC1,PC2を床支持部材HPに取り付けていると共に、取付部材として機能する第二矯正部材12を仲介させて第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けている。取付部材2及び第二矯正部材12を床支持部材HPに取り付けてから、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を取付部材2及び第二矯正部材12に取り付けることで、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けることができるので、組立作業性が向上する。更に、取付部材2及び第二矯正部材12は床支持部材HPの上面に取り付けられているので、上方から視認することができるように構成することが可能となり、第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3の着脱作業性が向上する。
【0048】
また本実施形態では、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けた状態で、洗い場床パンFPの周縁部に沿って位置調整可能なように構成している(図8及び図9参照)ので、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPから取り外さずにその取り付け位置の微調整が可能なものとなる。従って、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに対して取り付けるための部材を設けた場合であっても、その部材を取り外さずに第二支柱部材PP1,PP2,PP3の位置微調整が可能になるので、組立作業時にその部材を建築躯体と浴室ユニットとの間に落としてしまうような事態を回避することができる。
【0049】
浴室ユニットUBでは、ドアの位置が変わったとしても、角を含むような位置に配置されることがない。そこで本実施形態では、第一支柱部材PC1,PC2を位置調整できないように固定配置している(図10〜図12参照)。そして、この第一支柱部材PC1,PC2の位置を基準として、位置調整可能なように設けられた第二支柱部材PP1,PP2,PP3の取り付け位置を調整することが可能になっているので、壁部材WP1〜WP4の一側と他側とを確実に第一支柱部材PC1,PC2及び第二支柱部材PP1,PP2,PP3によって保持することができる。
【0050】
また本実施形態では、第二支柱部材PP1,PP2,PP3を床支持部材HPに取り付けた状態で、洗い場床パンFPの周縁部に沿って位置調整可能なように構成することで、洗い場床パンFPの設置後においてもその位置の微調整が可能なように構成すると共に、位置調整可能な状態から位置調整不可能な状態に遷移させる固定ネジ14(固定手段)を備えることで、位置調整後には第二支柱部材PP1,PP2,PP3が動かないようにしている。従って、壁部材WP1〜WP4を取り付ける作業工程においては、第二支柱部材PP1,PP2,PP3が動かないように固定することが可能になるので、壁部材WP1〜WP4の取り付け時の組立作業性がより向上する。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0052】
UB:浴室ユニット
BT:浴槽
WP1,WP2,WP3,WP4,WP5,WP6,WP7:壁部材
PC1,PC2:第一支柱部材
PCa:係合突起
PP1,PP2,PP3:第二支柱部材
PP1a:固定穴
FP:洗い場床パン(床部材)
FPa:排水ピット
FPb:位置規制部
FPc:水返し壁部
FPd:壁載置部上面
FPe:溝部
FPq:壁載置部
FPp:洗い場床面
HP:床支持部材(床部材)
HPa:排水ピット穴
HPb:位置規制穴
HPc:連結スリット
HPp:床支持面
CMa:矯正部
CMb:矯正部
10:第一矯正部材(第一矯正部)
101:接合部
102:保持部
12:第二矯正部材(第二矯正部、取付部材)
121:床連結部
121a:連結溝
122:接続部
123:柱固定部
123a:固定穴
14:固定ネジ(固定部)
16:固定ネジ
2:取付部材
20:立設部
201:固定穴
22:床固定部
221:固定穴
24:固定ネジ
26:固定ネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、前記浴槽の一辺と隣接する位置に配置される洗い場床パンと、前記浴槽および前記洗い場床パンの周囲に立設される板状に形成された複数の壁部材と、を備える浴室ユニットであって、
前記洗い場床パンは、前記浴槽に沿う辺を除く他辺の周縁部に前記壁部材が載置される壁載置部が一体的に設けられており、
前記壁載置部に前記複数の壁部材が所定間隔で載置可能なように、前記洗い場床パンの水平面投影領域を矯正する矯正手段を設け、
前記矯正手段は、前記洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させるものであることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記洗い場床パンの下側に配置され、前記洗い場床パンの線膨張係数よりも小さい線膨張係数となるように形成された床支持部材を備え、
前記矯正手段は、前記床支持部材に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項1】
浴槽と、前記浴槽の一辺と隣接する位置に配置される洗い場床パンと、前記浴槽および前記洗い場床パンの周囲に立設される板状に形成された複数の壁部材と、を備える浴室ユニットであって、
前記洗い場床パンは、前記浴槽に沿う辺を除く他辺の周縁部に前記壁部材が載置される壁載置部が一体的に設けられており、
前記壁載置部に前記複数の壁部材が所定間隔で載置可能なように、前記洗い場床パンの水平面投影領域を矯正する矯正手段を設け、
前記矯正手段は、前記洗い場床パンを平面方向に引き伸ばして変形させるものであることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記洗い場床パンの下側に配置され、前記洗い場床パンの線膨張係数よりも小さい線膨張係数となるように形成された床支持部材を備え、
前記矯正手段は、前記床支持部材に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−193564(P2012−193564A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59145(P2011−59145)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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