浴室構造
【課題】入浴者の身体状況に応じて簡単に使用者側で浴槽を移動することのできる浴室構造を提供すること。
【解決手段】各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床31と洗い場床32とからなる防水パン3と、前記浴槽配置用床31の長辺よりも所定長さ短く形成された浴槽2とを備え、該浴槽2の底面には、長手方向に並んで脚部21が取り付けられるとともに、該脚部21の底面には低摩擦材の層22が形成され、前記浴槽2の側面には、下端に凹部を有するサイドエプロンが取り付けられるとともに、前記凹部に入るように前記浴槽配置用床の浴槽非配置部に載置されるサイドボードが配置され、前記浴槽2が浴槽配置用床31の上の端部に置き換え自在に配置されている。
【解決手段】各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床31と洗い場床32とからなる防水パン3と、前記浴槽配置用床31の長辺よりも所定長さ短く形成された浴槽2とを備え、該浴槽2の底面には、長手方向に並んで脚部21が取り付けられるとともに、該脚部21の底面には低摩擦材の層22が形成され、前記浴槽2の側面には、下端に凹部を有するサイドエプロンが取り付けられるとともに、前記凹部に入るように前記浴槽配置用床の浴槽非配置部に載置されるサイドボードが配置され、前記浴槽2が浴槽配置用床31の上の端部に置き換え自在に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽の配置を容易に変更できる浴室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、少子化等による高齢化社会の到来が社会問題になっており、各方面でその対策が急がれている。例えば、入浴者が高齢化等により、健丈な状態から半身または全身の身体機能が低下あるはい麻痺した場合、通常の規格品である浴室では、そのまま使い続けることが困難になる場合が生じる。
【0003】
例えば、入浴者の身体機能の低下が進み、片側麻痺から全身麻痺(寝たきり)となった場合には、その状態によって介助の仕方が変わってくるので、介護補助機器を変更したり、浴室全体の改装を行う必要が生じる。
【0004】
そのために、例えば、カウンターのみを取り外し可能とし、浴槽を浴室の端部に移動できるようにした浴室構造が提案されている。また、このカウンターは入浴者の移乗台としても利用可能とされ、これにより使用方法を健常者用と2方向介護が可能な要介護者用とに容易に変更することができるユニットバスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、左右いずれかの片側麻痺の人にも対応できる浴室構造として、浴槽を浴室の略中央に配置し、浴槽の両端側にバスボード或いは床カバーを配置して浴槽の両端側の何れからも介護することができたり、バスボードを左右いずれかの片側麻痺の人の移乗台とすることのできる浴室構造が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−4331号公報
【特許文献2】特開2001−104197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の浴室構造においては、要介護者用の浴槽隣接カウンターや洗い場カウンターは自立式であり移動は容易であるが、重量のある浴槽本体の移動には相当の労力が必要で、移動が困難である。
また、特許文献2の浴槽の移動可能な浴室構造においても、左右いずれか片側の機能の低下が激しい人の自立入浴を補助するバスボード、床カバー、あるいはサイドエプロンは容易に着脱できる構造になっていて、これ等を移動させることは容易であるが、重量のある浴槽本体の移動は必ずしも容易ではない。また、浴槽をスライド移動させるときに、床と浴槽やサイドエプロンが擦れて、これ等に傷が付く等の問題がある。
【0008】
また、この特許文献2の浴槽では、浴槽のサイドエプロンやバスボード等が壁等にビスで固定されているので、ビスが緩んでサイドエプロンやバスボードががたつくことがあるし、浴槽を移動するときに、浴槽、バスボード、サイドエプロン等を取り付けているビスを取り外し、ばらし、移動させた後に、ビスで組み立て直す方式であるため、工事作業等が必要であって、使用者が浴槽を簡単に移動させることができなかった。
【0009】
また、集合住宅や、増設・仮設ルームにおいて使用者が変わったりするときに、新たな使用者が高齢のために身体が不自由である場合もある。このような場合、浴室においても、高齢者や身体障害者のために、例えば、前記特許文献1や2に記載されているような浴槽を移動させることのできる構造を備える等の配慮をすることが望ましく、また、身体障害の機能が回復したときには、浴槽を元の位置に戻すことのできる浴室が望ましい。
【0010】
そこで、この発明の目的は、上記の問題点を解消し、入浴者の身体状況に応じて使用者が浴槽を簡単に移動させることのできる浴室構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床と洗い場床とからなる防水パンと、前記浴槽配置用床の長辺よりも所定長さ短く形成された浴槽とを備え、該浴槽の底面には、長手方向に並んで脚部が取り付けられるとともに、該脚部の底面には低摩擦材の層が形成され、前記浴槽の側面には、下端に凹部を有するサイドエプロンが取り付けられるとともに、前記凹部に入るように前記浴槽配置用床の浴槽非配置部に載置されるサイドボードが配置され、前記浴槽が浴槽配置用床の上を置き換え自在に配置されていることを特徴とする浴室構造である。
【0012】
このように構成すれば、浴槽を浴槽配置用床の上を滑らせて浴槽配置用床の端部に移動させることが容易となり、配置を容易に変更することができる。従って、入浴者に応じてその配置を選択することが容易である。
【0013】
請求項1に関連する第1の発明は、前記浴槽の側面に凹部が形成され、該凹部にサイドエプロンが取り付けられ、該サイドエプロンにかかる垂直荷重を浴槽配置用床の上方に設けられたサイドボードの端部で受け止める構造になされていることを特徴とする請求項1記載の浴室構造である。
【0014】
このように構成すれば、サイドボードを取り外して浴槽を略中央または端部に移動配置する際、サイドエプロンを取り外さなくともよくなる。即ち、このサイドボードより上にあるサイドエプロンは、浴槽配置用床より高く、しかも、洗い場床より浴槽側にあって、サイドエプロンを付けたまま浴槽をスライド移動させても、この浴槽配置用床に擦れることがなく、洗い場床及びサイドエプロンに傷を付けることなく容易に移動配置させることができる。
【0015】
請求項1に関連する第2の発明は、前記浴槽の側面に取り付けられたサイドエプロンには凹部が設けられ、該サイドエプロンの凹部には浴槽側のバスボード受け部品が着脱自在に装着され、浴室の壁に壁側のバスボード受け部品が取り付けられ、バスボードが、バスボードの上面と浴槽の上面部とを略面一にして、前記壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品とに架け渡され、前記浴槽が浴室の壁側に移動されたときに、浴槽側のバスボード受け部品が取り外された状態の該サイドエプロンの凹部に、浴室の壁に取り付けられている壁側のバスボード受け部品が収まる構造になされていることを特徴とする請求項1に関連する第1の発明に記載の浴室構造である。
【0016】
このように構成すれば、壁側のバスボード受け部品や浴槽側のバスボード受け部品を容易に取り付けたり取り外したりすることができるし、バスボードがこの壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品とに架け渡されているだけであるので、バスボードを取り付けたり取り外すことが容易である。また、浴槽の上端部と面一になっているバスボードに入浴者が腰掛けたり、浴槽の出入りの際に、介護を必要とする機能の低下した人がバスボードの上で、体を浴槽側や洗い場側に回転させるための移乗台として利用することができる。
【0017】
また、浴槽を浴室の壁側に移動して使用する場合に、壁側のバスボード受け部品が、サイドエプロンに設けられている浴槽側のバスボード受け部品を装着するための凹部に収まり、壁側のバスボード受け部品が対向する壁等と突き当たることによる突出寸法分の隙間ができなくなる。従って、この隙間に手を入れる等の危険がなくなり、安全性が向上し、室内空間上もスッキリしたものとなる。
なお、このバスボードの上面を平滑にすると、高齢者や身体障害者にとって安全で使い易く、デザイン的にもスッキリとしたものとなる。
【0018】
請求項1に関連する第3の発明は、前記壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品には、それぞれ、出っ張った受け部が設けられ、前記バスボードの裏面周縁部には、複数個の固定金具が取り付けられ、該固定金具には、上記バスボード受け部品の受け部の出っ張りの下側に引っ掛ける係止片が備えられており、前記バスボードが壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品の上に、前記固定金具の係止片をそれぞれ両側にあるバスボード受け部品の受け部の下側に引っ掛けた状態にして、載置されて、該バスボードが略水平方向にスライドさせて着脱可能な構造になされていることを特徴とする請求項1に関連する第2の発明に記載の浴室構造である。
【0019】
このように構成すれば、バスボードの裏面側に取り付けられた固定金具の係止片がバスボード受け部の下側に引っ掛かり、バスボードが上方に引っ張られても抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
なお、バスボードを奥側の壁に固定金具を使用してネジで固定すると、手前にずれることもなく安定する。
【0020】
請求項1に関連する第4の発明は、前記浴室の壁には突起が、該突起の下側をバスボードの上面部と略同じ高さにして、設けられ、前記バスボードが浴槽側のバスボード受け部品と壁側のバスボード受け部品とに載置されたときに、前記突起がバスボードの上面を押さる構造になされていることを特徴とする請求項1に関連する第2または3の発明に記載の浴室構造である。
【0021】
このように構成すれば、バスボードが上方から突起に押さえ付けられて、バスボードががたつかないように安定した状態に固定される。例えば、バスボードの上に介護者や要介護者が乗ったときにバスボードの端部が跳ね上がることがあるが、かかることがなくなる。また、バスボードが上方に引っ張られても突起に引っ掛かって抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【0022】
特に、請求項1に関連する第2の発明記載のように、壁に壁側のバスボード受け部品が取り付けられていると、バスボードが下側のバスボード受け部品と上側の突起に挟まれて、特に、がたつかないように安定した状態に取り付けられる。
また、バスボードを2個以上の突起で押さえることができるように、突起をバスボードの短片の長さの1/2以下のピッチで設けることが好ましい。具体的には、200mm以下のピッチが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、浴槽を浴槽配置用床の上を滑らせて浴槽配置用床の端部に移動させることが容易となり、配置を容易に変更することができる。従って、入浴者に応じてその配置を容易に選択することができるのである。
【0024】
請求項1に関連する第1の発明に記載の発明によれば、サイドボードを取り外して浴槽を略中央または端部に移動配置する際、サイドエプロンを取り外さなくともよくなる。即ち、このサイドボードより上にあるサイドエプロンは、浴槽配置用床より高く、しかも、洗い場床より浴槽側にあるので、サイドエプロンを付けたまま浴槽をスライド移動させても、この浴槽配置用床に擦れることがなく、洗い場床及びサイドエプロンに傷を付けることなく容易に移動配置させることができる。
【0025】
請求項1に関連する第2の発明に記載の発明によれば、壁側のバスボード受け部品や浴槽側のバスボード受け部品を容易に取り付けたり取り外したりすることができるし、バスボードがこの壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品とに架け渡されているだけであるので、バスボードを取り付けたり取り外すことが容易である。また、浴槽の上端部と面一になっているバスボードに入浴者が腰掛けたり、浴槽の出入りの際に、介護を必要とする機能の低下した人がバスボードの上で体を浴槽側や洗い場側に回転させるための移乗台として利用することができる。
【0026】
また、浴槽を浴室の壁側に移動して使用する場合に、壁側のバスボード受け部品が、サイドエプロンに設けられているバスボード受け部品装着用の凹部に収まり、バスボード受け部品が対向する壁等と突き当たることによる突出寸法分の隙間ができなくなり、安全性が向上し、室内空間上もスッキリしたものとなる。
また、このバスボードの上面を平滑にすると、高齢者や身体障害者にとって安全で遣い易く、デザイン的にもスッキリとしたものとなる。
【0027】
請求項1に関連する第3の発明に記載の発明によれば、バスボードの裏面側に取り付けられた固定金具の係止片がバスボード受け部の下側に引っ掛かり、バスボードが上方に引っ張られても抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
なお、バスボードを奥側の壁に固定金具を使用してネジで固定すると、手前にずれることもなく安定する。
【0028】
請求項1に関連する第4の発明に記載の発明によれば、バスボードが上方から突起に押さえ付けられて、バスボードががたつかないように安定した状態に固定される。例えば、バスボードの上に介護者や要介護者が乗ったときにバスボードの端部が跳ね上がることがあるが、かかることがなくなる。また、バスボードが上方に引っ張られても突起に引っ掛かって抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【0029】
特に、請求項1に関連する第2の発明記載のように、壁に壁側のバスボード受け部品が取り付けられていると、バスボードが下側のバスボード受け部品と上側の突起に挟まれて、特に、がたつかないように安定した状態に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、浴室の斜視図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】図1の浴槽部分を示す斜視図である。
【図4】浴槽を略中央に配置し、サイドボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図5】浴室の壁側に壁側のバスボード受け部品が取り付られた状態を示す断面図である。
【図6】浴槽の側面に浴槽側のバスボード受け部品を取り付けている状態を示す斜視図である。
【図7】図6のB−B線における断面図である。
【図8】バスボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図9】図8のC−C線における断面図である。
【図10】(イ)はZ字状の固定金具を示す斜視図、(ロ)はL字状の固定金具を示す斜視図、(ハ)はL字状の固定金具でバスボードが壁に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図11】バスボードを取り外している状態を示す斜視図である。
【図12】バスボード受け部品を取り外している状態を示す斜視図である。
【図13】サイドボードを取り外している状態を示す斜視図である。
【図14】浴槽を浴室の壁側に移動させ、バスボート受け部品を取り付けている状態を示す斜視図である。
【図15】サイドボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図16】バスボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図17】バスボードの裏面に取り付けられた固定金具の配置を示すバスボードの平面図である。
【図18】本発明に関連する発明の実施例を示すもので、(イ)は浴槽が略中央に配置されたときのバスボード側を示す平面図、(ロ)は(イ)のD−D線における断面図である。
【図19】浴槽が壁側に配置されたときのバスボード側を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 浴室
2 浴槽
3 防水パン
31 浴槽配置用床
311 非配置部
32 洗い場
33 立上壁
4 バスボード
5 サイドエプロン
51 壁側のバスボード受け部品
52 凹部
53 浴槽側のバスボード受け部品
6 フロントエプロン
7 サイドボード
8 突起
9 固定金具
9a Z字状固定金具
9b L字状固定金具
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明及び本発明に関連する発明の具体的な実施の形態を実施例で、図面を参照しつつ説明する。(実施例1)
図1〜図17は本発明及び本発明に関連する発明の一実施例を示すもので、図1は、本発明の一実施例を示すもので、浴室の斜視図、図2は図1のA−A線における断面図、図3は図1の浴槽部分を示す斜視図、図4は浴槽を略中央に配置し、サイドボードを取り付けている状態を示す斜視図、図5は浴室の壁に壁側のバスボード受け部品が取り付られた状態を示す断面図、図6は浴槽の側面に浴槽側のバスボード受け部品を取り付けている状態を示す斜視図、図7は図6のB−B線における断面図、図8はバスボードを取り付けている状態を示す斜視図、図9は図8のC−C線における断面図、図10(イ)はZ字状の固定金具を示す斜視図、(ロ)はL字状の固定金具を示す斜視図、(ハ)はL字状の固定金具でバスボードを壁に取り付けた状態を示す断面図、図11はバスボードを取り外している状態を示す斜視図、図12はバスボード受け部品を取り外している状態を示す斜視図、図13はサイドボードを取り外している状態を示す斜視図、図14は浴槽を浴室の壁側に移動させ、バスボード受け部品を取り付けている状態を示す斜視図、図15はサイドボードを取り付けている状態を示す斜視図、図16はバスボードを取り付けている状態を示す斜視図、図17はバスボードの裏面に取り付けられた固定金具の配置を示すバスボードの平面図である。
【0033】
図1〜図17において、符号1は浴室ユニットであり、この浴室ユニット1は防水パン3と壁パネル34と図示しない天井パネルとで画成される。防水パン3は、各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床31と洗い場床32とを隣接させ、周縁に立上壁33を設けた一体的な形状に、形成されたものである。
【0034】
ここで、洗い場床32は浴槽配置用床31の長辺側に面して隣接されている。また、浴槽配置用床31は洗い場床32の上面より一段低くした落し込み構造となっている。
【0035】
防水パン3の周縁の3辺に設けられた立上壁33は、奥立壁33a、右立上壁33b、左立上壁33cとからなり、防水パン周縁の立上壁33が設けられていない部分には、引き戸等の扉を設けることができるようになっている。
【0036】
図2の浴槽2の横断面図において、浴槽2の長手方向に並んで2個取り付けられた脚部21、21の底面には、低摩擦材であるテフロン(登録商標)シート、または低密度ポリエチレンシート22、22が装着されており、浴槽2を浴槽配置用床31の少なくとも略中央、または、両端部に容易に滑らせて移動配置させることができるようになっている。もちろん、任意の位置に移動配置させることも可能である。
【0037】
図3に示すように、浴槽配置用床31に配置される浴槽2は平面形状が略長方形状である。この浴槽2の長辺の長さをWb、短辺の長さを2Waとすると、浴槽配置用床31の長辺3aの長さは、浴槽の長辺の長さWbと短辺の長さ2Waとの和(Wb+2Wa)に等しくなっている。また、浴槽配置用床31の短辺の長さは浴槽2の短辺の長さに略等しく2Waになっている。
【0038】
なお、浴槽2の下側は上側より若干小さくなされていて、浴槽2を、洗い場床32より一段低くした浴槽配置用床31の上方に配置することができるようになっている。また、浴槽2と立上壁33との間であって、浴槽2の配置したところ以外の部分(非配置部311)には、バスボード4が配置される。このバスボード4は、平面形状が略長方形状とされ、長辺の長さは浴槽2の短辺の長さと等しく2Wa、短辺の長さはその1/2であるWaとなっている。
【0039】
ここで、上述したように、浴槽配置用床31の長辺の長さはWb+2Wa、短辺の長さは2Waになされているので、浴槽配置用床31の上方を浴槽2と2つの同一形状のバスボード4で完全に覆うことができる。具体的には、図1に示すように、浴槽2の両側に形成される非配置部311にバスボード4を浴槽2のかまち上面(浴槽の上面部)2aと略面一に載置することができる。このようになっているので、浴槽2のかまち上面2aと面一になっているバスボード4に入浴者が腰掛けることができるし、浴槽の出入りの際に、介護を必要とする機能の低下した人がバスボード4の上で体を浴槽側や洗い場側に回転させるための移乗台として利用することができる。
【0040】
また、浴槽配置用床31上方であって、浴槽2の配置したところ以外の洗い場床32と略同じ高さの部分(非配置部311)には、サイドボード7が配置される。このサイドボード7は、平面形状が略長方形状とされ、長辺の長さは浴槽2の短辺の長さと等しく2Wa、短辺の長さはその1/2であるWaとなされている。
【0041】
上述したように、浴槽配置用床31の長辺の長さがWb+2Waで、短辺の長さが2Waになっているので、床部分を浴槽配置用床31を浴槽2と2つの同一形状のサイドボード7で完全に覆うことができる。
【0042】
次に、浴槽2を浴槽配置用床31の中央に配置する例について説明する。
図4に示すように、浴槽2を浴槽配置用床31の略中央に移動させると、両側に非載置部311が形成される。この両側に形成される非載置部311にサイドボード7を落し込み、洗い場床32から浴槽配置用床31に到る傾斜面に設けられた段部39に引っ掛けて、載置すると、このサイドボード7の上面と洗い場床32とが略面一の状態になる。
【0043】
次に、図7に示すように、浴槽2の左右側壁33b、33cには、凹部54が設けられていて、この凹部54の中にサイドエプロン5を挿入し取り付ける。この際、サイドボード7の浴槽2側の先端71は、図4に示すように、サイドエプロン5の下端の凹部55に入るようにして、サイドエプロン5を取り付ける。
【0044】
このようになっているので、浴槽2のかまち上面2aに入浴者が腰をおろしたとき等に、浴槽2のサイドエプロン5に垂直荷重がかかるが、このサイドエプロン5にかかる垂直荷重をサイドボート7が受ける構造となる。
このように、サイドエプロン5やサイドボード7を凹部54又は凹部55の中に挿入するだけで、このサイドエプロン5やサイドボード7を取り付けることでき、この取付作業や取外作業は簡単である。
【0045】
また、図5に示すように、防水パン3周縁の右立上壁33b、左立上壁33cの上方に設置された壁パネル34、34に、略水平な上面511を形成する状態に出っ張った受け部512を有する壁側のバスボード受け部品51を、固定ビス513で固定する。この際、この壁側のバスボード受け部品51を、バスボード受け部品51の上面511の上にバスボード4を載置させたときに、このバスボード4の上面が浴槽2のかまち上面2a(浴槽2の上面部)と面一になるように、取り付ける。
【0046】
次いで、図6、図7に示すように、浴槽2のサイドエプロン5に設けられた凹部52に浴槽側のバスボード受け部品53を、先端の薄い部分531から差し込んで、底部533をサイドエプロン5の凹部の底部522に嵌合して取り付ける。
この浴槽側のバスボード受け部品53は、壁側のバスボード受け部品と同様に、略水平な上面534を形成する状態に出っ張った受け部532を有する。
【0047】
そして、バスボード4を、この壁側のバスボード受け部品51の上面511と浴槽側のバスボード受け部品53の受け部532の上面534に載置する。すると、バスボード4が浴槽2のかまち上面2a(上面部)と面一になるような位置に取り付けられる。
【0048】
このバスボード4の取付方法を説明すると、バスボード4の両側の下面には、図10(イ)に示すZ形の固定金具9aの一方のフランジ91aが取り付けられていて、図9に示すように、バスボード4の裏面に固定されたZ字状の固定金具9aの他方のフランジである係止片92aが、浴槽側のバスボード受け部品53の受け部532の下側及び壁側のバスボード受け部品51の受け部51の下側に引っ掛けた状態にして、バスボード4をスライドさせて奥側に差し込む。
【0049】
すると、この壁側のバスボード受け部品51の受け部の上面511と浴槽側のバスボード受け部品53の受け部532の上面534にサイドボード4が載置される。
このようになっているので、バスボード4の裏面にはネジ10aで固定されたZ字状の固定金具9aの係止片92aが壁側のバスボード受け部品51、51の受け面511の下側及び浴槽側のバスボード受け部品52、52の受け面532の下側に引っ掛けられて、バスボード4を上方に引っ張っても抜けない構造になっている。
【0050】
そして、バスボード4と奥側の裏面に、図10(ロ)に示すバスボード4の裏面にL字状の固定金具9bをネジ10aで固定し、バスボードをスライドさせて差し込んで奥側の壁パネル34に当接したときに、通孔33bに挿入されたネジ10bでバスボード4を奥側の壁パネル34に固定する。すると、バスボード4は手前にずれたりして外れることはなく安定する。
【0051】
次に、図11〜図16を参照しながら、浴槽2を浴槽配置用床31の右端に配置する例について説明する。
先ず、図11に示すように、浴槽2の長辺側の両側に配置されているバスボード4、4の壁パネル34側を固定している固定金具9b、9bの固定ネジ10b、10bを外し、バスボード4、4を手前にスライドさせて引き出し、壁側のバスボード受け部品51、51及び浴槽側のバスボード受け部品53、53から取り外す。
【0052】
次に、図12に示すように、浴槽2の右側にあるサイドエプロン5の凹部52、52に嵌合されている浴槽側のバスボード受け部品53、53を取り外す。
又、図13に示すように、浴槽2の長辺側の両側の床面に配置されているサイドボード7、7を持ち上げて取り外す。
【0053】
次に、図14に示すように、浴槽2をスライドさせて移動し、右の壁パネル34側に寄せる。
このように浴槽2をスライドさせるときに、サイドボード7より上にあるサイドエプロン5は、浴槽配置用床32より高く、しかも、洗い場床32より浴槽側にあるので、サイドエプロン5が浴槽配置用床32に擦れることがなく、浴槽配置用床31を傷つけることがなく、サイドエプロン5を取り付けたまま浴槽2をスライド移動させることができる。
【0054】
しかも、脚部21の先端には低摩擦材が取り付けられているので、浴槽2を浴槽配置用床32の略中央から壁側に移動させることが容易である。
このようにして浴槽2を移動させると、浴槽2が壁34に当接する。すると、浴槽2の長辺側のバスボード受け部品53、53を取り外した凹部52、52に壁パネル側に取り付けられた壁側のバスボード受け部品51、51が嵌合されて壁パネル34と浴槽2との接合部に隙間がなくなる。
【0055】
このように、壁側のバスボード受け部品51が、サイドエプロン5に設けられている浴槽側のバスボード受け部品53を装着するための凹部に収まり、壁側のバスボード受け部品51が対向する壁34と突き当たって突出寸法分の隙間ができなくなるので、この隙間に手を入れる等の危険がなくなり、安全性が向上し、室内空間上もスッキリしたものとなる。
【0056】
次に、図15に示すように、浴槽2を右側に隙間なく寄せたことにより生じた左側の床31部分にサイドボード7を取り付けると、2枚のサイドボード7、7が丁度ぴったりと敷き詰められる。そして、図16に示すように、バスボード4、4を長辺側から壁パネル34に向けて壁側のバスボード受け部品51、51の上面511とサイドエプロン5の凹部52、52に嵌合されている浴槽側のバスボード受け部品53、53の上面534の上をスライドさせて差し込んで、バスボード4をバスボード受け部品51、53の上に載置する。
【0057】
このようにバスボード受け部品51、53の上をスライドさせて、バスボード4をバスボード受け部品51、53の上に載置すればよく、バスボード4の取付作業が簡単である。
このバスボード4を差し込むと、先端が奥側の壁34に当接するが、このように奥側の壁34に当接した後に、奥側の壁パネル34とバスボード4とをL字状の固定金具9bで固定する。また、バスボード4、4の長辺側で接する部分についてもそれぞれのL字状固定金具9b、9b同士をネジ止めしてバスボード4を手前から外れないように固定する。
【0058】
このバスボード4には、図17に示すように、裏面の長辺側にはZ字状の固定金具9aが各辺にそれぞれ2個、短辺側にはL字状の固定金具9bが各辺に1個取り付けられている。そして、図1に示すように、浴槽2を浴槽配置用床31の略中央に配置したときには、バスボード4を浴槽2の両側に載置して軽度に機能の低下した人の移乗材として浴槽2の左右のバスボードのどちらかからでも利用することができる。
【0059】
また、サイドボード4の裏面に取り付けられる固定金具9a、9aを上記とは逆に取り付けられてもよい。即ち、バスボード4の裏面の長辺側にはL字状の固定金具9bを各辺にそれぞれ2個、短辺側にはZ字状の固定金具9aが各辺に1個取り付ける。この場合には、図16のように使用する。即ち、浴槽2を浴槽配置用床31の左右どちらかの壁側に配置し、バスボード4を浴槽2の非載置側にバスボード4の長辺側を対向する壁パネル34に向かって差し込み、壁パネル34とバスボード4の長辺側で接する側に固定された固定金具9bをネジ10で固定する。同様に長辺側で2枚のバスボード4、4に接する部分も固定金具9b同士をネジ或いはピンで止めて固定する。
このようにすると、2個のバスボード4、4が繋がった幅の広い面となるので、この2枚のバスボード4、4を介護を必要とする機能の低下した人の移乗台として利用することができる。
このように、要介護者の状態に合わせて、浴槽2を移動させてバスボード4の配置を換えたり広さを換えることができる。
【0060】
従って、介護施設等では、介護レベルに対応して、バスボードを施設管理者等が自由に取り外したり取り付けたりして、背・脚両側からの介助、シャワーキャリーでの介助等の身体機能に合わせた介助動作が可能である。
また、一般家庭では、高齢者の身体能力の衰えに対応して家族等がバスボード4の一を換えて在宅介助が可能となる。
【0061】
(実施例2)
図18及び図19は本発明に関連する発明の実施例を示すもので、図18(イ)は浴槽が略中央に配置されたときのバスボード側を示す平面図、(ロ)は(イ)のD−D線における断面図、図19は浴槽が壁側に配置されたときのバスボード側を示す平面図である。
【0062】
この図18及び図19に示す実施例2を図1〜図17に示す実施例1と比較するとバスボード4の取付構造が異なる。その他の構造は略同じである。
従って、この異なる構造およびこの構造の異なることによる作用に付いて説明し、その他は省略する。
【0063】
即ち、浴室3の壁34には突起8が短辺側の壁と、この短辺側の壁近傍の長辺側の壁にそれぞれ4個ずつ200mmピッチで設けられている。
この際、突起8の下側をバスボード4の上面部と略同じ高さにする。
すると、図18に示すように、浴槽2が略中央に配置されたときには、短辺側の壁の4個の突起8と長辺側の壁の2個の突起8がバスボード4の上面を押さえる。
【0064】
このようになっているので、バスボード4と浴槽2は上方から突起8に押さえ付けられて、バスボード4と浴槽2が、がたつかないように安定した状態に固定されるし、バスボード4の上に人が乗っても端部が跳ね上がることがない。
特に、短辺側には、バスボード4の下側には壁側のバスボード受け部品51があるので、このバスボード4は4個の突起8と壁側のバスボード受け部品51とで挟まれて安定した状態に取り付けられる。
【0065】
また、バスボード8を上方に引っ張っても突起8に引っ掛かって抜けることがない。
また、このバスボード4を浴槽2の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【0066】
図19に示すように、浴槽2が壁34側の端部に配置されたときには、奥側に取り付けられたバスボード4は長辺側の壁(奥側の壁)の4個の突起と短辺側の2個の突起で押さえられるし、手前側に取り付けられたバスボード4は短辺側の2個の突起に押さえられ、このバスボード4と浴槽2が、がたつかないように安定した状態に固定されるし、バスボード4の上に人が乗っても端部が跳ね上がることがない。
【0067】
特に、短辺側には、バスボード4の下側には壁側のバスボード受け部品51があるので、この両方のバスボード4、4は2個の突起8と壁側のバスボード受け部品51とで挟まれて安定した状態に取り付けられる。
また、バスボード8を上方に引っ張っても突起8に引っ掛かって抜けることがない。
また、このバスボード4を浴槽2の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽の配置を容易に変更できる浴室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、少子化等による高齢化社会の到来が社会問題になっており、各方面でその対策が急がれている。例えば、入浴者が高齢化等により、健丈な状態から半身または全身の身体機能が低下あるはい麻痺した場合、通常の規格品である浴室では、そのまま使い続けることが困難になる場合が生じる。
【0003】
例えば、入浴者の身体機能の低下が進み、片側麻痺から全身麻痺(寝たきり)となった場合には、その状態によって介助の仕方が変わってくるので、介護補助機器を変更したり、浴室全体の改装を行う必要が生じる。
【0004】
そのために、例えば、カウンターのみを取り外し可能とし、浴槽を浴室の端部に移動できるようにした浴室構造が提案されている。また、このカウンターは入浴者の移乗台としても利用可能とされ、これにより使用方法を健常者用と2方向介護が可能な要介護者用とに容易に変更することができるユニットバスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、左右いずれかの片側麻痺の人にも対応できる浴室構造として、浴槽を浴室の略中央に配置し、浴槽の両端側にバスボード或いは床カバーを配置して浴槽の両端側の何れからも介護することができたり、バスボードを左右いずれかの片側麻痺の人の移乗台とすることのできる浴室構造が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−4331号公報
【特許文献2】特開2001−104197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の浴室構造においては、要介護者用の浴槽隣接カウンターや洗い場カウンターは自立式であり移動は容易であるが、重量のある浴槽本体の移動には相当の労力が必要で、移動が困難である。
また、特許文献2の浴槽の移動可能な浴室構造においても、左右いずれか片側の機能の低下が激しい人の自立入浴を補助するバスボード、床カバー、あるいはサイドエプロンは容易に着脱できる構造になっていて、これ等を移動させることは容易であるが、重量のある浴槽本体の移動は必ずしも容易ではない。また、浴槽をスライド移動させるときに、床と浴槽やサイドエプロンが擦れて、これ等に傷が付く等の問題がある。
【0008】
また、この特許文献2の浴槽では、浴槽のサイドエプロンやバスボード等が壁等にビスで固定されているので、ビスが緩んでサイドエプロンやバスボードががたつくことがあるし、浴槽を移動するときに、浴槽、バスボード、サイドエプロン等を取り付けているビスを取り外し、ばらし、移動させた後に、ビスで組み立て直す方式であるため、工事作業等が必要であって、使用者が浴槽を簡単に移動させることができなかった。
【0009】
また、集合住宅や、増設・仮設ルームにおいて使用者が変わったりするときに、新たな使用者が高齢のために身体が不自由である場合もある。このような場合、浴室においても、高齢者や身体障害者のために、例えば、前記特許文献1や2に記載されているような浴槽を移動させることのできる構造を備える等の配慮をすることが望ましく、また、身体障害の機能が回復したときには、浴槽を元の位置に戻すことのできる浴室が望ましい。
【0010】
そこで、この発明の目的は、上記の問題点を解消し、入浴者の身体状況に応じて使用者が浴槽を簡単に移動させることのできる浴室構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床と洗い場床とからなる防水パンと、前記浴槽配置用床の長辺よりも所定長さ短く形成された浴槽とを備え、該浴槽の底面には、長手方向に並んで脚部が取り付けられるとともに、該脚部の底面には低摩擦材の層が形成され、前記浴槽の側面には、下端に凹部を有するサイドエプロンが取り付けられるとともに、前記凹部に入るように前記浴槽配置用床の浴槽非配置部に載置されるサイドボードが配置され、前記浴槽が浴槽配置用床の上を置き換え自在に配置されていることを特徴とする浴室構造である。
【0012】
このように構成すれば、浴槽を浴槽配置用床の上を滑らせて浴槽配置用床の端部に移動させることが容易となり、配置を容易に変更することができる。従って、入浴者に応じてその配置を選択することが容易である。
【0013】
請求項1に関連する第1の発明は、前記浴槽の側面に凹部が形成され、該凹部にサイドエプロンが取り付けられ、該サイドエプロンにかかる垂直荷重を浴槽配置用床の上方に設けられたサイドボードの端部で受け止める構造になされていることを特徴とする請求項1記載の浴室構造である。
【0014】
このように構成すれば、サイドボードを取り外して浴槽を略中央または端部に移動配置する際、サイドエプロンを取り外さなくともよくなる。即ち、このサイドボードより上にあるサイドエプロンは、浴槽配置用床より高く、しかも、洗い場床より浴槽側にあって、サイドエプロンを付けたまま浴槽をスライド移動させても、この浴槽配置用床に擦れることがなく、洗い場床及びサイドエプロンに傷を付けることなく容易に移動配置させることができる。
【0015】
請求項1に関連する第2の発明は、前記浴槽の側面に取り付けられたサイドエプロンには凹部が設けられ、該サイドエプロンの凹部には浴槽側のバスボード受け部品が着脱自在に装着され、浴室の壁に壁側のバスボード受け部品が取り付けられ、バスボードが、バスボードの上面と浴槽の上面部とを略面一にして、前記壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品とに架け渡され、前記浴槽が浴室の壁側に移動されたときに、浴槽側のバスボード受け部品が取り外された状態の該サイドエプロンの凹部に、浴室の壁に取り付けられている壁側のバスボード受け部品が収まる構造になされていることを特徴とする請求項1に関連する第1の発明に記載の浴室構造である。
【0016】
このように構成すれば、壁側のバスボード受け部品や浴槽側のバスボード受け部品を容易に取り付けたり取り外したりすることができるし、バスボードがこの壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品とに架け渡されているだけであるので、バスボードを取り付けたり取り外すことが容易である。また、浴槽の上端部と面一になっているバスボードに入浴者が腰掛けたり、浴槽の出入りの際に、介護を必要とする機能の低下した人がバスボードの上で、体を浴槽側や洗い場側に回転させるための移乗台として利用することができる。
【0017】
また、浴槽を浴室の壁側に移動して使用する場合に、壁側のバスボード受け部品が、サイドエプロンに設けられている浴槽側のバスボード受け部品を装着するための凹部に収まり、壁側のバスボード受け部品が対向する壁等と突き当たることによる突出寸法分の隙間ができなくなる。従って、この隙間に手を入れる等の危険がなくなり、安全性が向上し、室内空間上もスッキリしたものとなる。
なお、このバスボードの上面を平滑にすると、高齢者や身体障害者にとって安全で使い易く、デザイン的にもスッキリとしたものとなる。
【0018】
請求項1に関連する第3の発明は、前記壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品には、それぞれ、出っ張った受け部が設けられ、前記バスボードの裏面周縁部には、複数個の固定金具が取り付けられ、該固定金具には、上記バスボード受け部品の受け部の出っ張りの下側に引っ掛ける係止片が備えられており、前記バスボードが壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品の上に、前記固定金具の係止片をそれぞれ両側にあるバスボード受け部品の受け部の下側に引っ掛けた状態にして、載置されて、該バスボードが略水平方向にスライドさせて着脱可能な構造になされていることを特徴とする請求項1に関連する第2の発明に記載の浴室構造である。
【0019】
このように構成すれば、バスボードの裏面側に取り付けられた固定金具の係止片がバスボード受け部の下側に引っ掛かり、バスボードが上方に引っ張られても抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
なお、バスボードを奥側の壁に固定金具を使用してネジで固定すると、手前にずれることもなく安定する。
【0020】
請求項1に関連する第4の発明は、前記浴室の壁には突起が、該突起の下側をバスボードの上面部と略同じ高さにして、設けられ、前記バスボードが浴槽側のバスボード受け部品と壁側のバスボード受け部品とに載置されたときに、前記突起がバスボードの上面を押さる構造になされていることを特徴とする請求項1に関連する第2または3の発明に記載の浴室構造である。
【0021】
このように構成すれば、バスボードが上方から突起に押さえ付けられて、バスボードががたつかないように安定した状態に固定される。例えば、バスボードの上に介護者や要介護者が乗ったときにバスボードの端部が跳ね上がることがあるが、かかることがなくなる。また、バスボードが上方に引っ張られても突起に引っ掛かって抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【0022】
特に、請求項1に関連する第2の発明記載のように、壁に壁側のバスボード受け部品が取り付けられていると、バスボードが下側のバスボード受け部品と上側の突起に挟まれて、特に、がたつかないように安定した状態に取り付けられる。
また、バスボードを2個以上の突起で押さえることができるように、突起をバスボードの短片の長さの1/2以下のピッチで設けることが好ましい。具体的には、200mm以下のピッチが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、浴槽を浴槽配置用床の上を滑らせて浴槽配置用床の端部に移動させることが容易となり、配置を容易に変更することができる。従って、入浴者に応じてその配置を容易に選択することができるのである。
【0024】
請求項1に関連する第1の発明に記載の発明によれば、サイドボードを取り外して浴槽を略中央または端部に移動配置する際、サイドエプロンを取り外さなくともよくなる。即ち、このサイドボードより上にあるサイドエプロンは、浴槽配置用床より高く、しかも、洗い場床より浴槽側にあるので、サイドエプロンを付けたまま浴槽をスライド移動させても、この浴槽配置用床に擦れることがなく、洗い場床及びサイドエプロンに傷を付けることなく容易に移動配置させることができる。
【0025】
請求項1に関連する第2の発明に記載の発明によれば、壁側のバスボード受け部品や浴槽側のバスボード受け部品を容易に取り付けたり取り外したりすることができるし、バスボードがこの壁側のバスボード受け部品と浴槽側のバスボード受け部品とに架け渡されているだけであるので、バスボードを取り付けたり取り外すことが容易である。また、浴槽の上端部と面一になっているバスボードに入浴者が腰掛けたり、浴槽の出入りの際に、介護を必要とする機能の低下した人がバスボードの上で体を浴槽側や洗い場側に回転させるための移乗台として利用することができる。
【0026】
また、浴槽を浴室の壁側に移動して使用する場合に、壁側のバスボード受け部品が、サイドエプロンに設けられているバスボード受け部品装着用の凹部に収まり、バスボード受け部品が対向する壁等と突き当たることによる突出寸法分の隙間ができなくなり、安全性が向上し、室内空間上もスッキリしたものとなる。
また、このバスボードの上面を平滑にすると、高齢者や身体障害者にとって安全で遣い易く、デザイン的にもスッキリとしたものとなる。
【0027】
請求項1に関連する第3の発明に記載の発明によれば、バスボードの裏面側に取り付けられた固定金具の係止片がバスボード受け部の下側に引っ掛かり、バスボードが上方に引っ張られても抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
なお、バスボードを奥側の壁に固定金具を使用してネジで固定すると、手前にずれることもなく安定する。
【0028】
請求項1に関連する第4の発明に記載の発明によれば、バスボードが上方から突起に押さえ付けられて、バスボードががたつかないように安定した状態に固定される。例えば、バスボードの上に介護者や要介護者が乗ったときにバスボードの端部が跳ね上がることがあるが、かかることがなくなる。また、バスボードが上方に引っ張られても突起に引っ掛かって抜けることがない。また、浴槽の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【0029】
特に、請求項1に関連する第2の発明記載のように、壁に壁側のバスボード受け部品が取り付けられていると、バスボードが下側のバスボード受け部品と上側の突起に挟まれて、特に、がたつかないように安定した状態に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、浴室の斜視図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】図1の浴槽部分を示す斜視図である。
【図4】浴槽を略中央に配置し、サイドボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図5】浴室の壁側に壁側のバスボード受け部品が取り付られた状態を示す断面図である。
【図6】浴槽の側面に浴槽側のバスボード受け部品を取り付けている状態を示す斜視図である。
【図7】図6のB−B線における断面図である。
【図8】バスボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図9】図8のC−C線における断面図である。
【図10】(イ)はZ字状の固定金具を示す斜視図、(ロ)はL字状の固定金具を示す斜視図、(ハ)はL字状の固定金具でバスボードが壁に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図11】バスボードを取り外している状態を示す斜視図である。
【図12】バスボード受け部品を取り外している状態を示す斜視図である。
【図13】サイドボードを取り外している状態を示す斜視図である。
【図14】浴槽を浴室の壁側に移動させ、バスボート受け部品を取り付けている状態を示す斜視図である。
【図15】サイドボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図16】バスボードを取り付けている状態を示す斜視図である。
【図17】バスボードの裏面に取り付けられた固定金具の配置を示すバスボードの平面図である。
【図18】本発明に関連する発明の実施例を示すもので、(イ)は浴槽が略中央に配置されたときのバスボード側を示す平面図、(ロ)は(イ)のD−D線における断面図である。
【図19】浴槽が壁側に配置されたときのバスボード側を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 浴室
2 浴槽
3 防水パン
31 浴槽配置用床
311 非配置部
32 洗い場
33 立上壁
4 バスボード
5 サイドエプロン
51 壁側のバスボード受け部品
52 凹部
53 浴槽側のバスボード受け部品
6 フロントエプロン
7 サイドボード
8 突起
9 固定金具
9a Z字状固定金具
9b L字状固定金具
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明及び本発明に関連する発明の具体的な実施の形態を実施例で、図面を参照しつつ説明する。(実施例1)
図1〜図17は本発明及び本発明に関連する発明の一実施例を示すもので、図1は、本発明の一実施例を示すもので、浴室の斜視図、図2は図1のA−A線における断面図、図3は図1の浴槽部分を示す斜視図、図4は浴槽を略中央に配置し、サイドボードを取り付けている状態を示す斜視図、図5は浴室の壁に壁側のバスボード受け部品が取り付られた状態を示す断面図、図6は浴槽の側面に浴槽側のバスボード受け部品を取り付けている状態を示す斜視図、図7は図6のB−B線における断面図、図8はバスボードを取り付けている状態を示す斜視図、図9は図8のC−C線における断面図、図10(イ)はZ字状の固定金具を示す斜視図、(ロ)はL字状の固定金具を示す斜視図、(ハ)はL字状の固定金具でバスボードを壁に取り付けた状態を示す断面図、図11はバスボードを取り外している状態を示す斜視図、図12はバスボード受け部品を取り外している状態を示す斜視図、図13はサイドボードを取り外している状態を示す斜視図、図14は浴槽を浴室の壁側に移動させ、バスボード受け部品を取り付けている状態を示す斜視図、図15はサイドボードを取り付けている状態を示す斜視図、図16はバスボードを取り付けている状態を示す斜視図、図17はバスボードの裏面に取り付けられた固定金具の配置を示すバスボードの平面図である。
【0033】
図1〜図17において、符号1は浴室ユニットであり、この浴室ユニット1は防水パン3と壁パネル34と図示しない天井パネルとで画成される。防水パン3は、各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床31と洗い場床32とを隣接させ、周縁に立上壁33を設けた一体的な形状に、形成されたものである。
【0034】
ここで、洗い場床32は浴槽配置用床31の長辺側に面して隣接されている。また、浴槽配置用床31は洗い場床32の上面より一段低くした落し込み構造となっている。
【0035】
防水パン3の周縁の3辺に設けられた立上壁33は、奥立壁33a、右立上壁33b、左立上壁33cとからなり、防水パン周縁の立上壁33が設けられていない部分には、引き戸等の扉を設けることができるようになっている。
【0036】
図2の浴槽2の横断面図において、浴槽2の長手方向に並んで2個取り付けられた脚部21、21の底面には、低摩擦材であるテフロン(登録商標)シート、または低密度ポリエチレンシート22、22が装着されており、浴槽2を浴槽配置用床31の少なくとも略中央、または、両端部に容易に滑らせて移動配置させることができるようになっている。もちろん、任意の位置に移動配置させることも可能である。
【0037】
図3に示すように、浴槽配置用床31に配置される浴槽2は平面形状が略長方形状である。この浴槽2の長辺の長さをWb、短辺の長さを2Waとすると、浴槽配置用床31の長辺3aの長さは、浴槽の長辺の長さWbと短辺の長さ2Waとの和(Wb+2Wa)に等しくなっている。また、浴槽配置用床31の短辺の長さは浴槽2の短辺の長さに略等しく2Waになっている。
【0038】
なお、浴槽2の下側は上側より若干小さくなされていて、浴槽2を、洗い場床32より一段低くした浴槽配置用床31の上方に配置することができるようになっている。また、浴槽2と立上壁33との間であって、浴槽2の配置したところ以外の部分(非配置部311)には、バスボード4が配置される。このバスボード4は、平面形状が略長方形状とされ、長辺の長さは浴槽2の短辺の長さと等しく2Wa、短辺の長さはその1/2であるWaとなっている。
【0039】
ここで、上述したように、浴槽配置用床31の長辺の長さはWb+2Wa、短辺の長さは2Waになされているので、浴槽配置用床31の上方を浴槽2と2つの同一形状のバスボード4で完全に覆うことができる。具体的には、図1に示すように、浴槽2の両側に形成される非配置部311にバスボード4を浴槽2のかまち上面(浴槽の上面部)2aと略面一に載置することができる。このようになっているので、浴槽2のかまち上面2aと面一になっているバスボード4に入浴者が腰掛けることができるし、浴槽の出入りの際に、介護を必要とする機能の低下した人がバスボード4の上で体を浴槽側や洗い場側に回転させるための移乗台として利用することができる。
【0040】
また、浴槽配置用床31上方であって、浴槽2の配置したところ以外の洗い場床32と略同じ高さの部分(非配置部311)には、サイドボード7が配置される。このサイドボード7は、平面形状が略長方形状とされ、長辺の長さは浴槽2の短辺の長さと等しく2Wa、短辺の長さはその1/2であるWaとなされている。
【0041】
上述したように、浴槽配置用床31の長辺の長さがWb+2Waで、短辺の長さが2Waになっているので、床部分を浴槽配置用床31を浴槽2と2つの同一形状のサイドボード7で完全に覆うことができる。
【0042】
次に、浴槽2を浴槽配置用床31の中央に配置する例について説明する。
図4に示すように、浴槽2を浴槽配置用床31の略中央に移動させると、両側に非載置部311が形成される。この両側に形成される非載置部311にサイドボード7を落し込み、洗い場床32から浴槽配置用床31に到る傾斜面に設けられた段部39に引っ掛けて、載置すると、このサイドボード7の上面と洗い場床32とが略面一の状態になる。
【0043】
次に、図7に示すように、浴槽2の左右側壁33b、33cには、凹部54が設けられていて、この凹部54の中にサイドエプロン5を挿入し取り付ける。この際、サイドボード7の浴槽2側の先端71は、図4に示すように、サイドエプロン5の下端の凹部55に入るようにして、サイドエプロン5を取り付ける。
【0044】
このようになっているので、浴槽2のかまち上面2aに入浴者が腰をおろしたとき等に、浴槽2のサイドエプロン5に垂直荷重がかかるが、このサイドエプロン5にかかる垂直荷重をサイドボート7が受ける構造となる。
このように、サイドエプロン5やサイドボード7を凹部54又は凹部55の中に挿入するだけで、このサイドエプロン5やサイドボード7を取り付けることでき、この取付作業や取外作業は簡単である。
【0045】
また、図5に示すように、防水パン3周縁の右立上壁33b、左立上壁33cの上方に設置された壁パネル34、34に、略水平な上面511を形成する状態に出っ張った受け部512を有する壁側のバスボード受け部品51を、固定ビス513で固定する。この際、この壁側のバスボード受け部品51を、バスボード受け部品51の上面511の上にバスボード4を載置させたときに、このバスボード4の上面が浴槽2のかまち上面2a(浴槽2の上面部)と面一になるように、取り付ける。
【0046】
次いで、図6、図7に示すように、浴槽2のサイドエプロン5に設けられた凹部52に浴槽側のバスボード受け部品53を、先端の薄い部分531から差し込んで、底部533をサイドエプロン5の凹部の底部522に嵌合して取り付ける。
この浴槽側のバスボード受け部品53は、壁側のバスボード受け部品と同様に、略水平な上面534を形成する状態に出っ張った受け部532を有する。
【0047】
そして、バスボード4を、この壁側のバスボード受け部品51の上面511と浴槽側のバスボード受け部品53の受け部532の上面534に載置する。すると、バスボード4が浴槽2のかまち上面2a(上面部)と面一になるような位置に取り付けられる。
【0048】
このバスボード4の取付方法を説明すると、バスボード4の両側の下面には、図10(イ)に示すZ形の固定金具9aの一方のフランジ91aが取り付けられていて、図9に示すように、バスボード4の裏面に固定されたZ字状の固定金具9aの他方のフランジである係止片92aが、浴槽側のバスボード受け部品53の受け部532の下側及び壁側のバスボード受け部品51の受け部51の下側に引っ掛けた状態にして、バスボード4をスライドさせて奥側に差し込む。
【0049】
すると、この壁側のバスボード受け部品51の受け部の上面511と浴槽側のバスボード受け部品53の受け部532の上面534にサイドボード4が載置される。
このようになっているので、バスボード4の裏面にはネジ10aで固定されたZ字状の固定金具9aの係止片92aが壁側のバスボード受け部品51、51の受け面511の下側及び浴槽側のバスボード受け部品52、52の受け面532の下側に引っ掛けられて、バスボード4を上方に引っ張っても抜けない構造になっている。
【0050】
そして、バスボード4と奥側の裏面に、図10(ロ)に示すバスボード4の裏面にL字状の固定金具9bをネジ10aで固定し、バスボードをスライドさせて差し込んで奥側の壁パネル34に当接したときに、通孔33bに挿入されたネジ10bでバスボード4を奥側の壁パネル34に固定する。すると、バスボード4は手前にずれたりして外れることはなく安定する。
【0051】
次に、図11〜図16を参照しながら、浴槽2を浴槽配置用床31の右端に配置する例について説明する。
先ず、図11に示すように、浴槽2の長辺側の両側に配置されているバスボード4、4の壁パネル34側を固定している固定金具9b、9bの固定ネジ10b、10bを外し、バスボード4、4を手前にスライドさせて引き出し、壁側のバスボード受け部品51、51及び浴槽側のバスボード受け部品53、53から取り外す。
【0052】
次に、図12に示すように、浴槽2の右側にあるサイドエプロン5の凹部52、52に嵌合されている浴槽側のバスボード受け部品53、53を取り外す。
又、図13に示すように、浴槽2の長辺側の両側の床面に配置されているサイドボード7、7を持ち上げて取り外す。
【0053】
次に、図14に示すように、浴槽2をスライドさせて移動し、右の壁パネル34側に寄せる。
このように浴槽2をスライドさせるときに、サイドボード7より上にあるサイドエプロン5は、浴槽配置用床32より高く、しかも、洗い場床32より浴槽側にあるので、サイドエプロン5が浴槽配置用床32に擦れることがなく、浴槽配置用床31を傷つけることがなく、サイドエプロン5を取り付けたまま浴槽2をスライド移動させることができる。
【0054】
しかも、脚部21の先端には低摩擦材が取り付けられているので、浴槽2を浴槽配置用床32の略中央から壁側に移動させることが容易である。
このようにして浴槽2を移動させると、浴槽2が壁34に当接する。すると、浴槽2の長辺側のバスボード受け部品53、53を取り外した凹部52、52に壁パネル側に取り付けられた壁側のバスボード受け部品51、51が嵌合されて壁パネル34と浴槽2との接合部に隙間がなくなる。
【0055】
このように、壁側のバスボード受け部品51が、サイドエプロン5に設けられている浴槽側のバスボード受け部品53を装着するための凹部に収まり、壁側のバスボード受け部品51が対向する壁34と突き当たって突出寸法分の隙間ができなくなるので、この隙間に手を入れる等の危険がなくなり、安全性が向上し、室内空間上もスッキリしたものとなる。
【0056】
次に、図15に示すように、浴槽2を右側に隙間なく寄せたことにより生じた左側の床31部分にサイドボード7を取り付けると、2枚のサイドボード7、7が丁度ぴったりと敷き詰められる。そして、図16に示すように、バスボード4、4を長辺側から壁パネル34に向けて壁側のバスボード受け部品51、51の上面511とサイドエプロン5の凹部52、52に嵌合されている浴槽側のバスボード受け部品53、53の上面534の上をスライドさせて差し込んで、バスボード4をバスボード受け部品51、53の上に載置する。
【0057】
このようにバスボード受け部品51、53の上をスライドさせて、バスボード4をバスボード受け部品51、53の上に載置すればよく、バスボード4の取付作業が簡単である。
このバスボード4を差し込むと、先端が奥側の壁34に当接するが、このように奥側の壁34に当接した後に、奥側の壁パネル34とバスボード4とをL字状の固定金具9bで固定する。また、バスボード4、4の長辺側で接する部分についてもそれぞれのL字状固定金具9b、9b同士をネジ止めしてバスボード4を手前から外れないように固定する。
【0058】
このバスボード4には、図17に示すように、裏面の長辺側にはZ字状の固定金具9aが各辺にそれぞれ2個、短辺側にはL字状の固定金具9bが各辺に1個取り付けられている。そして、図1に示すように、浴槽2を浴槽配置用床31の略中央に配置したときには、バスボード4を浴槽2の両側に載置して軽度に機能の低下した人の移乗材として浴槽2の左右のバスボードのどちらかからでも利用することができる。
【0059】
また、サイドボード4の裏面に取り付けられる固定金具9a、9aを上記とは逆に取り付けられてもよい。即ち、バスボード4の裏面の長辺側にはL字状の固定金具9bを各辺にそれぞれ2個、短辺側にはZ字状の固定金具9aが各辺に1個取り付ける。この場合には、図16のように使用する。即ち、浴槽2を浴槽配置用床31の左右どちらかの壁側に配置し、バスボード4を浴槽2の非載置側にバスボード4の長辺側を対向する壁パネル34に向かって差し込み、壁パネル34とバスボード4の長辺側で接する側に固定された固定金具9bをネジ10で固定する。同様に長辺側で2枚のバスボード4、4に接する部分も固定金具9b同士をネジ或いはピンで止めて固定する。
このようにすると、2個のバスボード4、4が繋がった幅の広い面となるので、この2枚のバスボード4、4を介護を必要とする機能の低下した人の移乗台として利用することができる。
このように、要介護者の状態に合わせて、浴槽2を移動させてバスボード4の配置を換えたり広さを換えることができる。
【0060】
従って、介護施設等では、介護レベルに対応して、バスボードを施設管理者等が自由に取り外したり取り付けたりして、背・脚両側からの介助、シャワーキャリーでの介助等の身体機能に合わせた介助動作が可能である。
また、一般家庭では、高齢者の身体能力の衰えに対応して家族等がバスボード4の一を換えて在宅介助が可能となる。
【0061】
(実施例2)
図18及び図19は本発明に関連する発明の実施例を示すもので、図18(イ)は浴槽が略中央に配置されたときのバスボード側を示す平面図、(ロ)は(イ)のD−D線における断面図、図19は浴槽が壁側に配置されたときのバスボード側を示す平面図である。
【0062】
この図18及び図19に示す実施例2を図1〜図17に示す実施例1と比較するとバスボード4の取付構造が異なる。その他の構造は略同じである。
従って、この異なる構造およびこの構造の異なることによる作用に付いて説明し、その他は省略する。
【0063】
即ち、浴室3の壁34には突起8が短辺側の壁と、この短辺側の壁近傍の長辺側の壁にそれぞれ4個ずつ200mmピッチで設けられている。
この際、突起8の下側をバスボード4の上面部と略同じ高さにする。
すると、図18に示すように、浴槽2が略中央に配置されたときには、短辺側の壁の4個の突起8と長辺側の壁の2個の突起8がバスボード4の上面を押さえる。
【0064】
このようになっているので、バスボード4と浴槽2は上方から突起8に押さえ付けられて、バスボード4と浴槽2が、がたつかないように安定した状態に固定されるし、バスボード4の上に人が乗っても端部が跳ね上がることがない。
特に、短辺側には、バスボード4の下側には壁側のバスボード受け部品51があるので、このバスボード4は4個の突起8と壁側のバスボード受け部品51とで挟まれて安定した状態に取り付けられる。
【0065】
また、バスボード8を上方に引っ張っても突起8に引っ掛かって抜けることがない。
また、このバスボード4を浴槽2の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて引き出して取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【0066】
図19に示すように、浴槽2が壁34側の端部に配置されたときには、奥側に取り付けられたバスボード4は長辺側の壁(奥側の壁)の4個の突起と短辺側の2個の突起で押さえられるし、手前側に取り付けられたバスボード4は短辺側の2個の突起に押さえられ、このバスボード4と浴槽2が、がたつかないように安定した状態に固定されるし、バスボード4の上に人が乗っても端部が跳ね上がることがない。
【0067】
特に、短辺側には、バスボード4の下側には壁側のバスボード受け部品51があるので、この両方のバスボード4、4は2個の突起8と壁側のバスボード受け部品51とで挟まれて安定した状態に取り付けられる。
また、バスボード8を上方に引っ張っても突起8に引っ掛かって抜けることがない。
また、このバスボード4を浴槽2の手前からスライドさせて差し込んで取り付けたり、スライドさせて取り外すことができ、着脱操作が容易である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床と洗い場床とからなる防水パンと、
前記浴槽配置用床の長辺よりも所定長さ短く形成された浴槽とを備え、
該浴槽の底面には、長手方向に並んで脚部が取り付けられるとともに、該脚部の底面には低摩擦材の層が形成され、
前記浴槽の側面には、下端に凹部を有するサイドエプロンが取り付けられるとともに、前記凹部に入るように前記浴槽配置用床の浴槽非配置部に載置されるサイドボードが配置され、
前記浴槽が浴槽配置用床の上を置き換え自在に配置されていることを特徴とする浴室構造。
【請求項1】
各々平面形状が略長方形の浴槽配置用床と洗い場床とからなる防水パンと、
前記浴槽配置用床の長辺よりも所定長さ短く形成された浴槽とを備え、
該浴槽の底面には、長手方向に並んで脚部が取り付けられるとともに、該脚部の底面には低摩擦材の層が形成され、
前記浴槽の側面には、下端に凹部を有するサイドエプロンが取り付けられるとともに、前記凹部に入るように前記浴槽配置用床の浴槽非配置部に載置されるサイドボードが配置され、
前記浴槽が浴槽配置用床の上を置き換え自在に配置されていることを特徴とする浴室構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−19931(P2011−19931A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215328(P2010−215328)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2002−328810(P2002−328810)の分割
【原出願日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2002−328810(P2002−328810)の分割
【原出願日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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