説明

浴室用床パン

【課題】多種サイズのユニットバスに対応することができ、浴室用床パンをカットした際に形成される切断面の寸法誤差の影響を受けることなく、壁パネルを正確な位置に配置することができる浴室用床パンを提供する。
【解決手段】周縁に設けられ、壁パネルが載置される壁載置部と、前記壁載置部が切り落とされた際に形成される切断面と、前記壁パネルの載置位置の基準となるピース部材を正確な位置に取り付けるために、床パン本体の下面に成形時に形成された位置決め手段と、を備え、前記ピース部材は、前記ピース部材と前記切断面との間に間隙が形成されることにより、切断面に接触しないことを特徴とする浴室用床パンが提供される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室用床パンに関し、具体的にはユニットバスに用いられる浴室用床パンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された洗い場付き浴槽では、洗い場パンの外周に立上片が一体形成されており、この立上片の内周には、壁パネルが建て付けられる壁載置面が形成されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された洗い場付き浴槽では、ユニットバスの大きさに応じて、種々の大きさの洗い場パン(浴室用床パン)を用意しなければならないという問題がある。種々の大きさの浴室用床パンを用意するためには、その種類の数とほとんど同数の型を用意する必要があるため、コストがかかるという問題がある。
【0004】
一方、浴室用床パンの種類を少なくすると、ユニットバスの施工空間の大きさに柔軟に対応することが困難となるおそれがある。つまり、ユニットバスの施工空間に対して余裕があるにもかかわらず、より大きな浴室用床パンを施工空間に入れることができないため、それよりも小さな浴室用床パンを使用しなければならないという問題がある。浴室用床パンは、洗い場の空間が広いと身体などを洗いやすいため、より広い方が好ましい。
【0005】
そこで、浴室用床パンをカットすることで、多種サイズのユニットバスに対応可能とされた浴室用防水床パンがある(特許文献2)。つまり、特許文献2に記載された浴室用防水床パンによれば、浴室用防水床パンをカットすることで、1種類の浴室用防水床パンから多種サイズの浴室用防水床パンを提供することができる。そして、浴室の壁パネルの位置決めをするために、カット後の浴室用防水床パンに位置決め具を取り付けることが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2では、カット後の浴室用防水床パンの正確な位置に位置決め具を取り付ける手段や方法は開示されていない。浴室用防水床パンは、一般的に、硬質な材料で形成されており、そのサイズは大きいため、寸法誤差がないように浴室用防水床パンをカットすることは困難である。そのため、浴室用防水床パンのカットした部分を基準として位置決め具を取り付けると、その位置決め具を浴室用防水床パンの正確な位置に取り付けることができないおそれがある。その結果、浴室の壁パネルを正確な位置に取り付けることができないおそれがある。浴室の壁パネルを正確な位置に取り付けることができないと、ユニットバス自体が歪んだり、隙間が発生して気密性や水密性が低下するため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−27861号公報
【特許文献2】特開平11−29967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、多種サイズのユニットバスに対応することができ、浴室用床パンをカットした際に形成される切断面の寸法誤差の影響を受けることなく、壁パネルを正確な位置に配置することができる浴室用床パンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、周縁に設けられ、壁パネルが載置される壁載置部と、前記壁載置部が切り落とされた際に形成される切断面と、前記壁パネルの載置位置の基準となるピース部材を正確な位置に取り付けるために、床パン本体の下面に成形時に形成された位置決め手段と、を備え、前記ピース部材は、前記ピース部材と前記切断面との間に間隙が形成されることにより、切断面に接触しないことを特徴とする浴室用床パンが提供される。
【0010】
または、本発明の一態様によれば、周縁の少なくとも一側面に切断面が形成された床パン本体と、前記床パン本体の前記切断面側に取り付けられ、壁パネルの載置位置の基準となるピース部材と、を備え、前記床パン本体の下面には、前記ピース部材を正確な位置に取り付けるために、前記床パン本体の成形時に形成された位置決め手段が設けられていることを前記ピース部材は、前記ピース部材と前記切断面との間に間隙が存在することにより、前記切断面に接触しないことを特徴とする浴室用床パンが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、多種サイズのユニットバスに対応することができ、浴室用床パンをカットした際に形成される切断面の寸法誤差の影響を受けることなく、壁パネルを正確な位置に配置することができる浴室用床パンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる浴室用床パンが設置された浴室を例示する斜視模式図である。
【図2】本実施形態にかかる浴室用床パンの断面を表す断面模式図であり、図1に表したA−A断面図に相当する。
【図3】切断前の浴室用床パンを表す模式図である。
【図4】切断後の浴室用床パンを表す模式図である。
【図5】ピース部材が取り付けられた浴室用床パンを表す模式図である。
【図6】ピース部材と浴室用床パンとの位置決め部を拡大して眺めた断面模式図である。
【図7】他のピース部材が取り付けられた浴室用床パンを表す斜視模式図である。
【図8】ピース部材同士の接合部を拡大して眺めた斜視模式図である。
【図9】ピース部材同士の接合部に補強部材が取り付けられた状態を例示する斜視模式図である。
【図10】補強部材を拡大して眺めた斜視模式図である。
【図11】補強部材の断面を表す断面模式図であり、図9に表したG−G断面図に相当する。
【図12】支持部材を拡大して眺めた斜視模式図である。
【図13】支持部材の断面を表す断面模式図であり、図9に表したH−H断面図に相当する。
【図14】変形例のピース部材が取り付けられた浴室用床パンを表す断面模式図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態にかかる浴室用床パンが設置された浴室を例示する斜視模式図である。
【図16】本実施形態の浴室用床パンおよび床パンの断面を表す断面模式図であり、図15に表したJ−J断面図に相当する。
【図17】本実施形態の洗い場蓋を下面から眺めた平面模式図である。
【図18】切断後の浴室用床パンおよび洗い場蓋を表す断面模式図である。
【図19】嵌合部材が取り付けられた洗い場蓋を下面から眺めた平面模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、周縁に設けられ、壁パネルが載置される壁載置部と、前記壁載置部が切り落とされた際に形成される切断面と、前記壁パネルの載置位置の基準となるピース部材を正確な位置に取り付けるために、床パン本体の下面に成形時に形成された位置決め手段と、を備え、前記ピース部材は、前記ピース部材と前記切断面との間に間隙が形成されることにより、切断面に接触しないことを特徴とする浴室用床パンである。
この浴室用床パンによれば、浴室用床パンを切断することにより壁載置部が切り落とされた後であっても、壁載置部の代替として機能するピース部材を、成形時に予め形成された位置決め手段を基準として、切断面に対応した正確な位置に取り付けることができ、さらに、ピース部材は、切断面に接触していないため、ピース部材は、切断面の寸法誤差に影響を受けることなく、浴室用床パンに対して正確な位置に取り付けられる。従って、多種サイズのユニットバスに対応することができ、浴室用床パンをカットした際に形成される切断面の寸法誤差の影響を受けることなく、壁パネルを正確な位置に配置することができる。
【0014】
また、第2の発明は、周縁の少なくとも一側面に切断面が形成された床パン本体と、前記床パン本体の前記切断面側に取り付けられ、壁パネルの載置位置の基準となるピース部材と、を備え、前記床パン本体の下面には、前記ピース部材を正確な位置に取り付けるために、前記床パン本体の成形時に形成された位置決め手段が設けられていることを前記ピース部材は、前記ピース部材と前記切断面との間に間隙が存在することにより、前記切断面に接触しないことを特徴とする浴室用床パンである。
この浴室用床パンによれば、浴室用床パンを切断することにより壁載置部が切り落とされた後であっても、壁載置部の代替として機能するピース部材を、成形時に予め形成された位置決め手段を基準として、切断面に対応した正確な位置に取り付けることができ、さらに、ピース部材は、切断面に接触していないため、ピース部材は、切断面の寸法誤差に影響を受けることなく、浴室用床パンに対して正確な位置に取り付けられる。従って、多種サイズのユニットバスに対応することができ、浴室用床パンをカットした際に形成される切断面の寸法誤差の影響を受けることなく、壁パネルを正確な位置に配置することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる浴室用床パンが設置された浴室を例示する斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる浴室用床パンの断面を表す断面模式図であり、図1に表したA−A断面図に相当する。
【0016】
本実施形態にかかる浴室用床パン100が設置された浴室(ユニットバス)は、図1に表したように、浴室用床パン100と、浴槽200と、エプロン300と、壁パネル10a、10b、10c、10dと、を備える。なお、壁パネル10a、10b、10dのいずれかには、図示しないドアが設けられている。また、壁パネル10a、10b、10dの少なくともいずれかには、図示しない窓がさらに設けられていてもよい。
【0017】
浴室用床パン100は、図2に表したように、その下部に支持脚190を有し、建物床20eの上に載置されている。また、浴室用床パン100は、浴槽載置部110を有している。浴槽200は、その浴槽載置部110に載置され、浴室用床パン100に適宜固定されている。そして、浴槽200の側面を覆い隠すように、エプロン300が浴室用床パン100と浴槽200との間に設けられている。
【0018】
浴室用床パン100は、浴槽載置部110に隣接するように、洗い場120を有している。そして、浴室用床パン100の周縁には、図2に表したように、壁パネル10a、10b、10c、10dを載置する壁載置部121が設けられている。壁載置部121は、外周端において、上方に突出した側壁部121aを有している。そして、壁パネル10a、10b、10c、10dは、壁載置部121の側壁部121aに当接され、且つ壁載置部121の底部121bに載置されることにより、浴室用床パン100に対する位置が決められる。つまり、壁載置部121は、壁パネル10a、10b、10c、10dをガイドするための位置決め部として機能する。なお、側壁部121aは、壁載置部121と壁パネル10a、10b、10c、10dとの間の隙間からの漏水(湯も含む)を防止する「水返し」としても機能する。
【0019】
壁パネル10aの外側には、建物壁20aが存在する。これと同様に、壁パネル10b、10c、10dの外側には、図示しない建物壁がそれぞれ存在する。つまり、ユニットバスは、建物床20eや建物壁20aなどにより画設された施工空間の中に設けられている。そのため、浴室用床パン100は、ユニットバスの施工空間の中に入るような大きさを有する必要がある。言い換えれば、ユニットバスの施工空間に入れることができないほど大きい浴室用床パン100を使用することはできない。
【0020】
浴室(ユニットバス)の施工空間の大きさは、家屋によりさまざまである。そのため、ユニットバスの施工空間の大きさに柔軟に対応するためには、種々の大きさの浴室用床パン100を用意しなければならない。しかしながら、種々の大きさの浴室用床パン100を用意するためには、その種類の数とほとんど同数の型を用意する必要がある。そうすると、浴室用床パン100の製造コストがかかり、多くの種類の型を管理することも容易ではない。
【0021】
一方、浴室用床パン100の種類を少なくすると、ユニットバスの施工空間の大きさに柔軟に対応することが困難となる。つまり、壁パネル10aや浴室用床パン100と建物壁20aとの間の空間が広く空いている場合に、それよりも大きい浴室用床パン100を使用すると、ユニットバスの施工空間に浴室用床パン100を入れることができない場合がある。そのため、壁パネル10aや浴室用床パン100と建物壁20aとの間の空間が広く空いているにもかかわらず、より小さな浴室用床パン100を使用せざるを得ない場合がある。浴室(ユニットバス)や洗い場120などは、その空間が広いと身体などを洗いやすいため便利である。
【0022】
そこで、本実施形態では、浴室用床パン100を切断することにより、多種サイズのユニットバスに対応することができる。つまり、ユニットバスの施工空間に大きさに応じて浴室用床パン100を切断することにより、その施工空間の大きさにより適した浴室用床パン100を提供することができる。これによれば、ユニットバスの施工空間に大きさに応じて、より広い洗い場120などを有するユニットバスを提供することができる。また、浴室用床パン100の型の種類を減らすことができるため、製造コストを抑えることもできる。
【0023】
ここで、浴室用床パン100を切断すると、壁パネル10a、10b、10c、10dの位置決め部として機能する壁載置部121が切り落とされてしまう。そのため、壁パネル10a、10b、10c、10dの少なくともいずれかを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置できないおそれがある。壁パネル10a、10b、10c、10dの少なくともいずれかを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置できないと、壁パネル10a、10b、10c、10dが建物壁20aなどに接触したり、ユニットバス自体が歪んだり、隙間が発生して気密性や水密性を低下させるおそれがあるため好ましくない。
【0024】
これに対して、本実施形態では、浴室用床パン100を切断することにより壁載置部121が切り落とされた後であっても、壁載置部121の代替として機能するピース部材141(図5参照)を浴室用床パン100に取り付けることができる。このピース部材141については、後に詳述する。さらに、浴室用床パン100には、図2に表したように、ピース部材141を正確な位置に取り付けるための位置決め部(位置決め手段)123が設けられている。その結果、本実施形態では、浴室用床パン100を切断することにより壁載置部121が切り落とされた後であっても、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。以下、さらに詳細な説明について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図3は、切断前の浴室用床パンを表す模式図である。
なお、図3(a)は、切断前の浴室用床パンの角部を表す斜視模式図であり、図1に表した領域Bに相当する。また、図3(b)は、切断前の浴室用床パンの断面を表す断面模式図であり、図3(a)に表したC−C断面図に相当する。
【0026】
浴室用床パン100の周縁には、図1および図2に関して前述したように、壁パネル10a、10b、10c、10dを載置する壁載置部121が設けられている。この壁載置部121は、側壁部121aと底部121bとを有している。壁パネル10a、10b、10c、10dは、壁載置部121の側壁部121aに当接され、且つ壁載置部121の底部121bに載置されることにより、浴室用床パン100に対する位置が決められる。つまり、浴室用床パン100を切断する前の状態では、壁載置部121が設けられているため、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。
【0027】
浴室用床パン100の洗い場120には、壁載置部121と略並行して位置決め部(位置決め手段)123と接着溜まり部125とが設けられている。位置決め部123と接着溜まり部125とは、図3(b)に表したように、凹形状に形成された溝部であり、互いに近接して設けられている。つまり、1つの位置決め部123と、1つの接着溜まり部125と、は近接した状態で1組の溝部127を形成している。1組の溝部127の内において、位置決め部123は浴室用床パン100の外側(周縁側)に設けられており、接着溜まり部125は浴室用床パン100の内側に設けられている。
【0028】
そして、図3(b)に表したように、所定間隔をおいて、さらに他の1組の溝部127が形成されている。1組の溝部127と、他の1組の溝部127と、の間の距離は、例えば約50ミリメートル程度である。また、洗い場120の下面には、浴室用床パン100を補強する垂下形成された補強部(リブ)129が適宜設けられている。この補強部129は、1組の溝部127の近傍に設けられている。
【0029】
ここで、図1および図2に関して前述したように、ユニットバスの施工空間に大きさに応じて浴室用床パン100を切断すると、壁パネル10a、10b、10c、10dの位置決め部として機能する壁載置部121が切り落とされてしまう。以下、図3(a)に表した切断面Dおよび切断面Eにおいて、浴室用床パン100を切断した場合を例に挙げて説明する。
【0030】
図4は、切断後の浴室用床パンを表す模式図である。
また、図5は、ピース部材が取り付けられた浴室用床パンを表す模式図である。
また、図6は、ピース部材と浴室用床パンとの位置決め部を拡大して眺めた断面模式図である。
なお、図4(a)および図5(a)は、浴室用床パンの角部を表す斜視模式図であり、図3(a)に表した浴室用床パンに対応する。また、図4(b)および図5(b)は、浴室用床パンの断面模式図であり、図3(a)に表したC−C断面図に相当する。
【0031】
浴室用床パン100が切断面Dにおいて切断されると、図4(a)に表したように、壁載置部121とともに1組の溝部127が切り落とされる。また、これと同様に、浴室用床パン100が切断面Eにおいて切断されると、図4(a)に表したように、壁載置部121が切り落とされる。そのため、この状態のままでは、壁パネル10a、10b、10c、10dの少なくともいずれかを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置できない。
【0032】
そこで、本実施形態では、図5に表したように、壁載置部121の代替として機能するピース部材141を浴室用床パン100に取り付けることができる。なお、説明の便宜上、切断後であってピース部材141を取り付ける前の状態の浴室用床パン100を「床パン本体」ともいう。つまり、切断後において、ピース部材141が取り付けられた浴室用床パン100は、床パン本体と、ピース部材141と、を備える。ここで、浴室用床パン100は、一般的に、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の熱硬化性樹脂、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂に補強を施した硬質な材料で形成されており、そのサイズは大きい。そのため、寸法誤差がないように浴室用床パン100を切断することは困難であり、またその切断面Dおよび切断面Eの表面は粗い。そのため、切断面Dおよび切断面Eを基準としてピース部材141を取り付けると、浴室用床パン100に対して正確な位置にピース部材141を取り付けることができないおそれがある。
【0033】
これに対して、本実施形態のピース部材141は、図6に表したように、浴室用床パン100との当接面に突起部141cを有する。そして、浴室用床パン(床パン本体)100の位置決め部123にピース部材141の突起部141cを嵌合させることにより、浴室用床パン(床パン本体)100に対して正確な位置にピース部材141を取り付けることができる。つまり、位置決め部123は、切断面(ここでは切断面D)に対応した位置に成形時に予め形成されており、その位置決め部123に突起部141cを嵌合させる、すなわち位置決め部123を基準としてピース部材141を取り付けることにより、切断面(ここでは切断面D)に対応した正確な位置にピース部材141を取り付けることができる。
【0034】
位置決め部123は、浴室用床パン100の洗い場120の表面に設けられている。そのため、位置決め部123の位置は、切断面Dおよび切断面Eの寸法誤差や表面状態などに影響を受けることはない。したがって、切断面Dおよび切断面Eの寸法誤差や表面状態などに影響を受けることなく、浴室用床パン100に対して正確な位置にピース部材141を取り付けることができる。
【0035】
ピース部材141を浴室用床パン100に取り付ける前において、位置決め部123および接着溜まり部125には、図6に表したように、例えばシリコンなどの止水性を有する接着剤175が予め塗布されている。そのため、この状態から位置決め部123に突起部141cを嵌合させることにより、浴室用床パン100に対して正確な位置にピース部材141を取り付けつつ、ピース部材141を浴室用床パン100に接着することができる。
【0036】
さらに、図5(a)に表したように、ピース部材141の底部141bにおいて、ねじが入り込むための図示しないざぐり部が形成されており、そのピース部材141のざぐり部から浴室用床パン100へ向かって、例えばねじなどの固定部材173が取り付けられている。そのため、ピース部材141は、接着剤175による接着と、固定部材173による締結と、により浴室用床パン100に固定されている。
【0037】
また、ピース部材141は、壁載置部121と同様に、側壁部141aと底部141bとをさらに有している。そのため、壁パネル10a、10b、10c、10dは、ピース部材141の側壁部141aに当接され、且つピース部材141の底部141bに載置されることにより、浴室用床パン100に対する位置が決められる。このとき、ピース部材141は、切断面(ここでは切断面D)に対応した正確な位置に取り付けられている。その結果、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。
【0038】
なお、切断後の浴室用床パン100の補強部129には、浴室用床パン100を補強する補強部材171が適宜設けられていてもよい。補強部材171は、例えばねじなどの固定部材173により固定されている。補強部材171を取り付けることにより、浴室用床パン100を切断したことで生じる反りを矯正することが可能となる。また、側壁部141aは、図2に表した側壁部121aと同様に、壁載置部141と壁パネル10a、10b、10c、10dとの間の隙間からの漏水を防止する「水返し」としても機能する。
【0039】
図7は、他のピース部材が取り付けられた浴室用床パンを表す斜視模式図である。
また、図8は、ピース部材同士の接合部を拡大して眺めた斜視模式図である。
なお、図8は、図7に表した矢視Fの方向に眺めた斜視模式図に相当する。
【0040】
切断面Dに対応した正確な位置にピース部材141を取り付ける場合と同様にして、切断面Eについても、切断面Eに対応した正確な位置にピース部材141を取り付けることができる。つまり、位置決め部123は、切断面(ここでは切断面E)に対応した位置に予め形成されている。そのため、その位置決め部123に突起部141cを嵌合させることにより、切断面(ここでは切断面E)に対応した正確な位置にピース部材141を取り付けることができる。
【0041】
また、切断面Dに対応した位置に取り付けられたピース部材141と同様に、切断面Eに対応した位置に取り付けられたピース部材141は、接着剤175による接着と、固定部材173による締結と、により浴室用床パン100に固定されている。さらに、切断面Dおよび切断面Eに対応した位置に取り付けられたそれぞれのピース部材141は、図8に表したように、止水性を有する接着剤175(例えばシリコン)により互いに接着されている。そして、切断面Dおよび切断面Eの外側から、浴室用床パン100とピース部材141との間に接着剤175が塗布されている。これにより、ピース部材141同士が液密に結合され、それぞれのピース部材141は浴室用床パン100により強固に接着されている。
【0042】
このようにして、それぞれの切断面に対応した正確な位置にピース部材141がそれぞれ取り付けられる。その結果、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。つまり、浴室用床パン100を切断することにより壁載置部121が切り落とされた後であっても、ピース部材141を切断面に対応した位置に取り付けることにより、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。これによれば、浴室用床パン100を切断することにより、多種サイズのユニットバスに対応することができ、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。
【0043】
なお、図3に表したように、位置決め部123同士が交差している場合には、その位置決め部123は凹形状を有することが好ましい。これは、位置決め部123同士が交差している場合に、その位置決め部123が凸形状を有すると、ピース部材141が位置決め部123同士の交差部と干渉して、取り付けられない場合があるためである。つまり、例えば、位置決め部123が凸形状を有すると、図4に表した領域Nにおける位置決め部123同士の交差部と、ピース部材141と、が干渉して、ピース部材141を取り付けることができない場合があるためである。
【0044】
図9は、ピース部材同士の接合部に補強部材が取り付けられた状態を例示する斜視模式図である。
図3〜図8に関して前述したように、本実施形態では、浴室用床パン100を切断することにより、多種サイズのユニットバスに対応することができる。ここで、浴室用床パン100は、一般的に、硬質な材料で形成されているため、ユニットバスの施工現場において浴室用床パン100を切断することは容易ではない。そのため、浴室用床パン100の切断や接着剤175の塗布などは、例えば工場などにおいて行われる。
【0045】
そのため、例えば工場などから施工現場へ浴室用床パン100を運搬するときや、ユニットバスの施工時に、ピース部材141同士の接合部(図8参照)が物体などに接触すると、例えばシリコンなどの接着剤175が切れたり、剥がれるおそれがある。そこで、本実施形態では、ピース部材141同士の接合部に、補強部材178が設けられている。
【0046】
補強部材178は、例えば金属などから形成されており、ピース部材141同士の接合部を覆うように設けられている。そのため、補強部材178に物体などが接触した場合であっても、接着剤175が切れたり、剥がれるおそれは少ない。
【0047】
また、それぞれのピース部材141の中間部には、図9に表したように、1つあるいは複数の支持部材179が設けられている。この支持部材179には、壁パネル10a、10b、10c、10dを支持したり、補強するための図示しない支柱が取り付けられる。支持部材179は、施工現場において取り付けられてもよいし、工場などにおいて取り付けられてもよい。なお、補強部材178は、支持部材179と同様に、壁パネル10a、10b、10c、10dを支持したり、補強する支柱を取り付ける機能も有する。
【0048】
図10は、補強部材を拡大して眺めた斜視模式図である。
また、図11は、補強部材の断面を表す断面模式図であり、図9に表したG−G断面図に相当する。
なお、図10(a)は、補強部材を浴室用床パンの内側から眺めた斜視模式図であり、図10(b)は、補強部材を浴室用床パンの外側から眺めた斜視模式図である。
【0049】
補強部材178は、図10(b)および図11に表したように、ピース部材141の外側において、固定部材173により固定されている。そして、図10(a)および図11に表したように、補強部材178の上部において、固定部材173を締めつけることによりピース部材141の側壁部141aを挟み込むようにして、補強部材178は側壁部141aにも固定されている。
【0050】
その結果、隣接するピース部材141は、補強部材178を介してより強固に結合される。これによれば、隣接するピース部材141同士の接合部近傍が物体などに接触した場合であっても、その隣接するピース部材141同士の相対位置はほとんど変化しないため、接着剤175が切れたり、剥がれるおそれは少ない。
【0051】
また、補強部材178は、隣接するピース部材141同士の接合部を覆うようにして取り付けられているため、物体がその接合部に直接接触することはない。つまり、補強部材178は、カバーとしての機能も有する。そのため、隣接するピース部材141同士の接合部近傍が物体などに接触した場合であっても、接着剤175が切れたり、剥がれるおそれは少ない。
【0052】
図12は、支持部材を拡大して眺めた斜視模式図である。
また、図13は、支持部材の断面を表す断面模式図であり、図9に表したH−H断面図に相当する。
なお、図12(a)は、支持部材を浴室用床パンの内側から眺めた斜視模式図であり、図12(b)は、支持部材を浴室用床パンの外側から眺めた斜視模式図である。また、図13においては、説明の便宜上、補強部材178などを適宜省略している。
【0053】
支持部材179は、図13に表したように、ピース部材141の内側に取り付けられる第1の支持部材179aと、ピース部材141の外側に取り付けられる第2の支持部材179bと、を有する。第1の支持部材179aの下部には、図12(a)に表したように、爪部179cが設けられている。そして、第1の支持部材179aは、その爪部179cが側壁部141aに引っ掛けられた状態で、ピース部材141に取り付けられている。
【0054】
また、第2の支持部材179bの下部には、図13に表したように、爪部179dが設けられている。一方、ピース部材141の外側には、図13に表したように、凹部141dが設けられている。そして、第2の支持部材179bは、その爪部179dが凹部141dに引っ掛けられた状態で、ピース部材141に取り付けられている。
【0055】
続いて、この状態から、固定部材173を締めつけることにより、第1の支持部材179aと、第2の支持部材179bと、で側壁部141aを挟み込むようにして、支持部材179はピース部材141に固定される。これによれば、壁パネル10a、10b、10c、10dを支持したり、補強するための支柱を支持部材179に取り付けることができる。
【0056】
図14は、変形例のピース部材が取り付けられた浴室用床パンを表す断面模式図である。
なお、図14は、図3(a)に表したC−C断面図に相当する。
【0057】
本変形例のピース部材151は、図6に表したようには、突起部を有していない。一方、浴室用床パン100の洗い場120にも、位置決め部123および接着溜まり部125は設けられていない。そのため、本変形例では、ピース部材151は、洗い場120の表面では位置決めされない。ピース部材151は、図14に表したように、下方に垂下形成された補強部(位置決め手段)129に当接されることにより、浴室用床パン(床パン本体)100に対して正確な位置に取り付けられる。
【0058】
つまり、補強部129は、切断面(ここでは切断面D)に対応した位置に成形時に予め形成されており、その補強部129にピース部材151を当接させる、すなわち補強部12を基準としてピース部材151を取り付けることにより、切断面(ここでは切断面D)に対応した正確な位置にピース部材151を取り付けることができる。そして、固定部材173を締め付けることにより、ピース部材151を補強部129に固定することができる。
【0059】
このとき、切断面Dとピース部材151との間には、間隙Iが存在する。つまり、ピース部材151は、切断面Dには接触していない(クリアランスが形成されている)。そのため、ピース部材151は、切断面Dの寸法誤差や表面状態などに影響を受けることなく、浴室用床パン100に対して正確な位置に取り付けられる。
【0060】
また、ピース部材151は、壁載置部121と同様に、側壁部151aと底部151bとを有している。そのため、壁パネル10a、10b、10c、10dは、ピース部材151の側壁部151aに当接され、且つピース部材141の底部151bに載置されることにより、浴室用床パン100に対する位置が決められる。このとき、ピース部材151は、切断面(ここでは切断面D)に対応した正確な位置に取り付けられている。その結果、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。
【0061】
さらに、前述したように、浴室用床パン100の洗い場120には、位置決め部123および接着溜まり部125は設けられていない。そのため、浴室用床パン100を切断せずに設置する場合であっても、位置決め部123や接着溜まり部125が洗い場120の表面に存在することはない。これによれば、不要となった位置決め部123や接着溜まり部125が洗い場120に存在しないため、汚れが溜まり難く、見栄えがより良い浴室用床パン100を提供することができる。また、間隙Iには、例えばシリコンなどの接着剤175が適宜充填され、壁パネル10a、10b、10dと浴室用床パン100とは液密に接着されている。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、浴室用床パン100の切断面に対応した位置に位置決め部123が予め形成されている。一方、壁載置部121の代替として機能するピース部材141は、浴室用床パン100との当接面に突起部141cを有する。そして、位置決め部123に突起部141cを嵌合させる、すなわち位置決め部123を基準としてピース部材141を取り付けることにより、切断面に対応した正確な位置にピース部材141を取り付けることができる。そのため、浴室用床パン100を切断した後であっても、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。これによれば、浴室用床パン100を切断することにより、多種サイズのユニットバスに対応することができ、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン100に対して正確な位置に設置することができる。なお、壁パネル10a、10b、10c、10dの位置については、ピース部材141を基準として、支柱を介して決めることも可能である。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図15は、本発明の第2の実施の形態にかかる浴室用床パンが設置された浴室を例示する斜視模式図である。
また、図16は、本実施形態の浴室用床パンおよび床パンの断面を表す断面模式図であり、図15に表したJ−J断面図に相当する。
また、図17は、本実施形態の洗い場蓋を下面から眺めた平面模式図である。
【0064】
本実施形態にかかる浴室用床パン500が設置された浴室(ユニットバス)は、図15
に表したように、浴室用床パン500と、浴槽200と、エプロン300と、洗い場蓋6
00と、壁パネル10a、10b、10c、10dと、を備える。
【0065】
浴室用床パン500は、図15に表したように、開口部520を有する。これによれば、作業者などが浴室用床パン500をユニットバスの施工空間に設置する際に、その開口部520から手など挿入することにより、支持脚190の高さ調整や、配管の接続などを容易に行うことができる。また、図16に表したように、浴室用床パン500の周縁には、図2に表した浴室用床パン100と同様に、壁パネル10a、10b、10c、10dを載置する壁載置部521が設けられている。この壁載置部521は、壁パネル10a、10b、10c、10dの位置決め部として機能し、その下部には凹部521dが設けられている。
【0066】
浴室用床パン500は開口部520を有するため、この状態のままでは洗い場が存在しない。そこで、本実施形態では、開口部520を上から覆うように、洗い場620を有する洗い場蓋600が設置されている。洗い場蓋600は、図16および図17に表したように、浴槽200とは反対側の端部に爪部621を有する。
【0067】
爪部621は、図15に表した矢印Kのようにして、壁載置部521の下部に設けられた凹部521dに嵌合される。これにより、浴槽200とは反対側の洗い場蓋600の端部は、浴室用床パン500に固定される。一方、浴槽200側の洗い場蓋600の端部は、図15に表したように、エプロン300の裏側で固定部材173により浴室用床パン500に固定される。このようにして、洗い場蓋600は、全体として浴室用床パン500に固定される。なお、その他の構造については、図1および図2に表した浴室の構造と同様である。
【0068】
ここで、多種サイズのユニットバスに対応するために浴室用床パン500および洗い場蓋600を切断すると、壁パネル10a、10b、10c、10dの位置決め部として機能する壁載置部521と、洗い場蓋600を浴室用床パン500に固定する爪部621と、がそれぞれ切り落とされてしまう。そうすると、壁パネル10a、10b、10c、10dの少なくともいずれかを浴室用床パン500に対して正確な位置に設置できないおそれがあり、さらに、洗い場蓋600を浴室用床パン500に固定することができない。
【0069】
そこで、本実施形態では、洗い場蓋600を切断することにより爪部621が切り落とされた後であっても、爪部621の代替として機能する嵌合部材631(図18および図19参照)を洗い場蓋600に取り付けることができる。このとき、洗い場蓋600には、図17に表したように、嵌合部材631を正確な位置に取り付けるための取付部627およびリブ629が成形時に予め形成されている。そして、そのリブ629を基準として嵌合部材631を洗い場蓋600に取り付けることにより、切断面に対応した正確な位置に嵌合部材631を取り付けることができる。なお、リブ629は、洗い場蓋600を補強する補強部としての機能も有する。
【0070】
さらに、図1〜図15に関して説明した浴室用床パン100と同様に、浴室用床パン500には、ピース部材161を正確な位置に取り付けるための位置決め部(位置決め手段)523が設けられている。以下、さらに詳細な説明について、図面を参照しつつ説明する。
【0071】
図18は、切断後の浴室用床パンおよび洗い場蓋を表す断面模式図である。
また、図19は、嵌合部材が取り付けられた洗い場蓋を下面から眺めた平面模式図である。
なお、図18は、図15に表したJ−J断面図に相当する。
【0072】
例えば、ユニットバスの施工空間に大きさに応じて、洗い場蓋600を切断面L(図16参照)において切断し、浴室用床パン500を切断面M(図16参照)において切断した場合を例に挙げて説明する。
洗い場蓋600が切断面Lにおいて切断されると、浴室用床パン500に嵌合させる爪部621が切り落とされる。また、これと同様に、浴室用床パン500が切断面Mにおいて切断されると、壁載置部521が切り落とされる。そのため、この状態のままでは、洗い場蓋600を浴室用床パン500に固定することができず、且つ壁パネル10a、10b、10c、10dの少なくともいずれかを浴室用床パン500に対して正確な位置に設置できない。
【0073】
そこで、本実施形態では、図18および図19に表したように、爪部621の代替として機能する嵌合部材631を洗い場蓋600に取り付けることができる。ここで、洗い場蓋600は、一般的に、硬質な材料で形成されており、そのサイズは大きい。そのため、寸法誤差がないように洗い場蓋600を切断することは困難であり、またその切断面Lの表面は粗い。そのため、切断面Lを基準として嵌合部材631を取り付けると、洗い場蓋600に対して正確な位置に嵌合部材631を取り付けることができないおそれがある。洗い場蓋600に対して正確な位置に嵌合部材631を取り付けることができないと、洗い場蓋600を浴室用床パン500に固定できないおそれがある。
【0074】
これに対して、本実施形態の洗い場蓋600は、図17および図18に表したように、嵌合部材631を正確な位置に取り付けるための取付部627およびリブ629を有する。そして、図18に表したように、嵌合部材631を取付部627およびリブ629に当接させ、固定部材173を締めつけることにより、洗い場蓋600に対して正確な位置に嵌合部材631を取り付けることができる(リブ629を基準として嵌合部材631を洗い場蓋600に固定する)。つまり、取付部627およびリブ629は、切断面(ここでは切断面L)に対応した位置に成形時に予め形成されており、その取付部627およびリブ629に嵌合部材631を当接させる、すなわちリブ629を基準として嵌合部材631を洗い場蓋600に取り付けることにより、切断面(ここでは切断面L)に対応した正確な位置に嵌合部材631を取り付けることができる。
【0075】
取付部627およびリブ629は、浴室用床パン500の洗い場620の裏面に設けられている。そのため、嵌合部材631は、切断面Lの寸法誤差や表面状態などに影響を受けることはない。したがって、切断面Lの寸法誤差や表面状態などに影響を受けることなく、洗い場蓋600に対して正確な位置に嵌合部材631を取り付けることができる。
【0076】
一方、図1〜図15に関して説明した浴室用床パン100と同様に、本実施形態にかかる浴室用床パン500には、切断面(ここでは切断面M)に対応した位置に予め位置決め部(位置決め手段)523が形成されている。また、図1〜図15に関して説明したピース部材141と同様に、本実施形態のピース部材161は、浴室用床パン500との当接面に突起部161cを有する。そのため、図1〜図15に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0077】
さらに、本実施形態のピース部材161は、壁載置部521と同様に、下部に凹部161dを有する。そして、図15に表した矢印Kのようにして、洗い場蓋600に取り付けられた嵌合部材631をピース部材161の下部に設けられた凹部161dに嵌合させることにより、浴槽200とは反対側の洗い場蓋600の端部を浴室用床パン500に固定することができる。一方、浴槽200側の洗い場蓋600の端部は、図15に表したように、固定部材173により浴室用床パン500に固定される。このようにして、洗い場蓋600を切断面Lにおいて切断し、浴室用床パン500を切断面Mにおいて切断した場合であっても、洗い場蓋600は、全体として浴室用床パン500に固定される。これによれば、浴室用床パン500および洗い場蓋600を切断することにより、多種サイズのユニットバスに対応することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、前述したように、開口部520を上から覆うように、洗い場620を有する洗い場蓋600が設置される。そのため、浴室用床パン500を切断せずに設置する場合であっても、位置決め部523や接着溜まり部525は洗い場蓋600により覆い隠される。これによれば、不要となった位置決め部523や接着溜まり部525が洗い場620に存在しないため、汚れが溜まり難く、見栄えがより良い浴室を提供することができる。
【0079】
また、切断後の浴室用床パン500の補強部529には、浴室用床パン100を補強する補強部材171が適宜設けられていてもよい。補強部材171は、例えばねじなどの固定部材173により固定されている。さらに、壁パネル10a、10b、10dと洗い場蓋600との間の間隙には、例えばシリコンなどの接着剤175が適宜充填され、壁パネル10a、10b、10dと洗い場蓋600とは液密に接着されている。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、切断面に対応した位置に取付部627およびリブ629が予め形成されている。その取付部627およびリブ629に嵌合部材631を当接させることにより、切断面に対応した正確な位置に嵌合部材631を取り付けることができる。一方、ピース部材161は、下部に凹部161dを有する。そして、嵌合部材631を凹部161dに嵌合させることにより、浴槽200とは反対側の洗い場蓋600の端部を浴室用床パン500に固定できる。さらに、浴室用床パン500およびピース部材161は、図1〜図15に関して前述した浴室用床パン100およびピース部材141とそれぞれ同様の構造を有する。そのため、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン500に対して正確な位置に設置することができる。これらによれば、浴室用床パン500および洗い場蓋600を切断することにより、多種サイズのユニットバスに対応することができ、壁パネル10a、10b、10c、10dを浴室用床パン500に対して正確な位置に設置することができる。
【符号の説明】
【0081】
10a、10b、10c、10d 壁パネル、 20a 建物壁、 20e 建物床、 100 浴室用床パン、 110 浴槽載置部、 120 洗い場、 121 壁載置部、 121a 側壁部、 121b 底部、 123 位置決め部、 125 接着溜まり部、 127 1組の溝部、 129 補強部、 141 ピース部材、 141a 側壁部、 141b 底部、 141c 突起部、 141d 凹部、 151 ピース部材、 151a 側壁部、 151b 底部、 161 ピース部材、 161c 突起部、 161d 凹部、 171 補強部材、 173 固定部材、 175 接着剤、 178 補強部材、 179 支持部材、 179a 第1の支持部材、 179b 第2の支持部材、 179c、179d 爪部、 190 支持脚、 200 浴槽、 300 エプロン、 500 浴室用床パン、 520 開口部、 521 壁載置部、 521d 凹部、 523 位置決め部、 525 接着溜まり部、 529 補強部、 600 洗い場蓋、 620 洗い場、 621 爪部、 627 取付部、 629 リブ、 631 嵌合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁に設けられ、壁パネルが載置される壁載置部と、
前記壁載置部が切り落とされた際に形成される切断面と、
前記壁パネルの載置位置の基準となるピース部材を正確な位置に取り付けるために、床パン本体の下面に成形時に形成された位置決め手段と、を備え、
前記ピース部材は、前記ピース部材と前記切断面との間に間隙が形成されることにより、切断面に接触しないことを特徴とする浴室用床パン。
【請求項2】
周縁の少なくとも一側面に切断面が形成された床パン本体と、
前記床パン本体の前記切断面側に取り付けられ、壁パネルの載置位置の基準となるピース部材と、を備え、
前記床パン本体の下面には、前記ピース部材を正確な位置に取り付けるために、前記床パン本体の成形時に形成された位置決め手段が設けられていることを
前記ピース部材は、前記ピース部材と前記切断面との間に間隙が存在することにより、前記切断面に接触しないことを特徴とする浴室用床パン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−121435(P2010−121435A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82853(P2009−82853)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【分割の表示】特願2008−297074(P2008−297074)の分割
【原出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】