説明

浴室用軟水装置

【課題】浴室用軟水装置の高さを抑える。
【解決手段】イオン交換樹脂を収容した樹脂タンク2と、前記イオン交換樹脂の再生液が貯留され、前記樹脂タンク2と再生液供給ライン8を介して接続された再生液タンク7と、前記樹脂タンク2と接続され、前記再生液タンク7から前記樹脂タンク2へ供給された再生液を再生排水として装置外へ排出する排水ライン20とを備え、前記再生液タンク7における再生液液面が、前記樹脂タンク2よりも高い位置とならず、なおかつ前記排水ライン20の末端部よりも高い位置となるように構成し、前記再生液タンク7における再生液液面と前記排水ライン20の末端部との間の水頭圧差により、前記再生液タンク7から前記樹脂タンク2へ再生液を供給するとともに、この再生液を前記樹脂タンク2から前記排水ライン20へ排出するように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室内で使用される湯水に含まれる硬度分を除去する浴室用軟水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軟水装置は、たとえば工場における水処理システムなど様々な分野で利用されている。軟水は、保湿力や保温力が高く、温泉と同様の入浴感が得られること、また入浴によってアレルギー性疾患の治癒に効能を示す事例があることから、一般家庭の浴室内に置かれ、入浴時の湯水として使用するための軟水を生成する浴室用軟水装置が近年注目を集めている。
【0003】
前記浴室用軟水装置は、ナトリウム型またはカリウム型のイオン交換樹脂を収容した樹脂タンクを備える。そして、この樹脂タンクへ原水ラインから原水を供給し、この原水中に含まれる硬度分,すなわちカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンをナトリウムイオンまたはカリウムイオンと置換させることにより軟水を生成し、この軟水を軟水ラインから供給するようになっている。
【0004】
前記イオン交換樹脂は、所定の処理水量に達すると、イオン交換基が硬度分でほぼ飽和状態になり、イオン交換能力を失う状態,すなわち破過状態になる。そこで、前記浴室用軟水装置では、前記イオン交換樹脂が破過状態になる前に、前記樹脂タンクへ、再生液として塩化ナトリウムや塩化カリウムを水に溶解させた塩水を供給して前記イオン交換樹脂のイオン交換能力を回復させる再生作動が行われている。
【0005】
前記再生作動は、前記樹脂タンクへ塩水を供給する工程,すなわち再生工程と、前記樹脂タンクへ原水を供給してこの樹脂タンク内の塩水を押し出す工程,すなわち押出工程と、前記樹脂タンクへ洗浄水としての原水を供給して前記樹脂タンク内を洗浄する工程,すなわち洗浄工程とを含んで行われる。前記再生作動の際に用いる塩水および原水,すなわち再生液は、従来、前記樹脂タンクの上方に設けられ大気開放された再生液タンクから、前記樹脂タンクへ水頭圧差によって落下させて供給されるようになっているのが一般的である(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3525899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記浴室用軟水装置を浴室内に設置する場合、浴室内の既設の湯水混合栓をそのまま利用する観点から、まず前記湯水混合栓からシャワーヘッドをホースごと取り外す。つぎに、前記湯水混合栓と前記樹脂タンクとを前記原水ラインで接続する。そして、取り外した前記ホースを前記軟水ラインとして前記樹脂タンクと接続する。すなわち、前記樹脂タンクを前記湯水混合栓と前記シャワーヘッドとの間に介在させるように施工する。
【0007】
このように施工された前記軟水装置では、前記樹脂タンクからの軟水は、前記シャワーヘッドから吐出されるようになっている。したがって、浴槽に軟水を溜める場合、前記シャワーヘッドから前記浴槽へ吐水を行うようになっている。
【0008】
ここで、前記浴室用軟水装置が設置されていない浴室においては、前記湯水混合栓の蛇口から前記浴槽に湯水を溜めるのが一般的である。一方で、前記浴室用軟水装置からの軟水を前記浴槽に溜める場合、前記シャワーヘッドから吐水を行うので、その吐出流量はヘッド部の圧力損失のために、前記湯水混合栓の蛇口からの吐出流量よりも少なく、前記浴槽に軟水が溜まるまでに非常に時間がかかっている。そこで、本願出願人は、前記樹脂タンクからの軟水を前記浴槽へ吐出するための吐水管を備えた軟水装置を提案している(特願2006−86835号)。
【0009】
ところで、従来において、前記樹脂タンクは大気開放となっており、前記再生液タンクを、その再生液液面が前記樹脂タンクよりも上方となる位置に設け、前記再生液タンクと前記樹脂タンクとの水頭圧差によって、前記再生液タンクから前記樹脂タンクへ再生液を落下させて供給するようになっている。このように前記再生液タンクを前記樹脂タンクの上方に設ける構成になっていると、前記装置の高さが高くはなるが、その厚みを薄くすることができる。前記シャワーヘッドから前記浴槽へ吐水を行うようになっている前記浴室用軟水装置にあっては、前記浴室内における設置位置はとくに限定されず、壁際に設置すれば、装置の高さが高くなっていても、厚みが薄くなっているために圧迫感は少なく、また邪魔になることもあまりなかった。
【0010】
しかし、前記吐水管を備えた前記浴室用軟水装置にあっては、前記吐水管が前記浴槽まで届くように、前記浴槽の近傍に設置する必要がある。この場合、装置の高さが、浴室床面からの浴槽壁の高さよりも高くなっていると、圧迫感を与えたり邪魔になったりする。前記樹脂タンクの高さは、浴室床面からの浴槽壁の高さとほぼ同じくらいの高さとなっており、前記樹脂タンクの上方に再生液タンクを設けると、前記浴槽よりも装置の高さがかなり高くなる。
【0011】
この発明が解決しようとする課題は、浴室用軟水装置の高さを抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、イオン交換樹脂を収容した樹脂タンクと、前記イオン交換樹脂の再生液が貯留され、前記樹脂タンクと再生液供給ラインを介して接続された再生液タンクと、前記樹脂タンクと接続され、前記再生液タンクから前記樹脂タンクへ供給された再生液を再生排水として装置外へ排出する排水ラインとを備えた浴室用軟水装置であって、前記再生液タンクにおける再生液液面が、前記樹脂タンクよりも高い位置とならず、なおかつ前記排水ラインの末端部よりも高い位置となるように構成し、前記再生液タンクにおける再生液液面と前記排水ラインの末端部との間の水頭圧差により、前記再生液タンクから前記樹脂タンクへ再生液を供給するとともに、この再生液を前記樹脂タンクから前記排水ラインへ排出するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、前記再生液タンクにおける再生液液面が、前記樹脂タンクよりも高い位置となっていなくても、前記再生液タンクにおける再生液液面と前記排水ラインの末端部との間の水頭圧差により、前記再生液タンクから前記樹脂タンクへ再生液を供給することができ、さらにこの再生液を前記排水ラインへ排出することができる。したがって、前記再生液タンクから前記樹脂タンクへ再生液を供給するために、前記再生液タンクにおける再生液液面を、前記樹脂タンクよりも高い位置とする必要がなく、これによって前記浴室用軟水装置の高さを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明に係る浴室用軟水装置の実施の形態の構成の一例を示す概略的な説明図である。
【0015】
浴室用軟水装置1は、原水中に含まれる硬度分を吸着除去して軟水を生成するために、イオン交換樹脂(図示省略)を収容した樹脂タンク2を備えている。この樹脂タンク2には、原水ライン3および軟水ライン4が接続されている。
【0016】
前記原水ライン3には、原水バルブ5が設けられ、また前記軟水ライン4には、軟水バルブ6が設けられている。そして、前記原水ライン3は、浴室(図示省略)内の湯水混合栓(図示省略)と接続されており、この湯水混合栓からの原水が、前記原水ライン3を介して前記樹脂タンク2へ供給されてこの樹脂タンク2で軟水となり、この軟水が前記軟水ライン4を介して前記浴室内へ供給されるようになっている。
【0017】
また、前記浴室用軟水装置1は、前記イオン交換樹脂の再生液が貯留された再生液タンク7を備えている。この再生液タンク7は、前記樹脂タンク2と再生液供給ライン8を介して接続されている。
【0018】
前記再生液タンク7は、再生剤9(たとえば、粒状やペレット状の塩化ナトリウム)が貯蔵されている再生剤タンク10およびこの再生剤タンク10と連通ライン11を介して連通する原水タンク12が一体となって構成されている。
【0019】
前記再生液供給ライン8は、前記再生液タンク7側において、前記再生剤タンク10と接続された第一ライン13および前記原水タンク12と接続された第二ライン14とに分岐している。前記第一ライン13および前記第二ライン14には、それぞれ第一バルブ15および第二バルブ16が設けられている。
【0020】
前記原水タンク12は、原水導入バルブ17が設けられた原水導入ライン18を介して、前記原水バルブ5の上流側の前記原水ライン3と接続されている。前記原水導入ライン18を介して前記原水タンク12へ供給された原水は、前記連通ライン11を介して前記再生剤タンク10へ供給される。この再生剤タンク10には、前記原水タンク12から供給された原水に、前記再生剤9を溶解させることによって生成された再生剤溶液が貯留されている。
【0021】
また、前記原水タンク12の側部には、前記再生液タンク7の液位制御手段として、オーバーフローライン19が接続されており、後述する再生作動時に前記再生液タンク7の液位,すなわち前記原水タンク12内の原水の水位および前記再生剤タンク10内の再生剤溶液の液位が一定に維持されるようになっている。
【0022】
ここで、再生液とは、前記再生剤タンク10に貯留され、前記再生作動における再生工程の際に使用される再生剤溶液およびこの再生剤溶液の希釈水として使用されるとともに、前記再生作動における押出工程の際に使用される前記原水タンク12の原水を含む概念である。この他、再生液には、前記再生作動における洗浄工程の際に使用される前記原水ライン3からの原水も含まれる。
【0023】
前記再生液タンク7は、その高さが前記樹脂タンク2の高さよりも若干低くなっている。そして、前記再生液タンク7は、その上端部が前記樹脂タンク2の上端部とほぼ同じ位置となるように前記樹脂タンク2と並列に設置され、その再生液液面が前記樹脂タンク2よりも高い位置とならず、なおかつ前記樹脂タンク2と接続された後述する排水ライン20の末端部よりも高い位置となるような位置に設けられている。前記再生液タンク7は大気圧に開放されており、この再生液タンク7における再生液液面と、前記排水ライン20の末端部との間の水頭圧差により、前記再生液タンク7から前記樹脂タンク2へ再生液が供給されるとともに、この再生液が前記樹脂タンク2から前記排水ライン20へ排出されるようになっている。
【0024】
前記樹脂タンク2には、前記再生液タンク7から前記樹脂タンク2へ供給された再生液を再生排水として装置外へ排出する排水ライン20が接続されている。この排水ライン20には排水バルブ21が設けられている。
【0025】
さて、前記浴室用軟水装置1の通水作動および再生作動について説明する。まず、通水作動について説明する。この通水作動において、軟水を供給する場合、前記原水バルブ5および前記軟水バルブ6を開状態に設定し、一方で前記第一バルブ15、前記第二バルブ16,前記原水導入バルブ17および前記排水バルブ21を閉状態に設定する。そして、前記湯水混合栓(図示省略)からの原水を、前記原水ライン3を介して前記樹脂タンク2へ供給すると、この原水中の硬度分が前記イオン交換樹脂(図示省略)によって除去されて軟水が生成される。前記樹脂タンク2において生成された軟水は、前記軟水ライン4を介して前記浴室(図示省略)内へ供給される。
【0026】
一方で、軟水の供給を停止する場合、前記各バルブ5,6,15,16,17,21を閉状態に設定する。
【0027】
つぎに、前記再生作動について説明する。この再生作動は、補水工程,エア抜き工程,再生工程,押出工程および洗浄工程をこの順で行う。以下、これら各工程について説明する。
【0028】
前記補水工程は、前記原水タンク12へ原水を供給して前記再生液タンク7内の水位を所定水位(具体的には、前記原水タンク12内における前記オーバーフローライン19の接続箇所の部位)とする工程であり、前記第二バルブ16,前記原水導入バルブ17および前記排水バルブ21を開状態に設定し、一方で前記原水バルブ5,前記軟水バルブ6および第一バルブ15を閉状態に設定する。これにより、前記湯水混合栓からの原水の供給を行うと、前記原水導入ライン18を介して前記原水タンク12へ原水が流入するとともに、この原水タンク12から前記連通ライン11を介して前記再生剤タンク10へ原水が流入する。また、前記オーバーフローライン19へ達した前記原水タンク12内の原水は、前記オーバーフローライン19から装置外へ排出される。さらに、前記原水タンク12内の原水は、前記再生液供給ライン8および前記樹脂タンク2を流れて、前記排水ライン20から排出される。
【0029】
前記エア抜き工程は、前記再生工程に先立ち、前記樹脂タンク2,前記再生液供給ライン8,前記原水導入ライン18および前記排水ライン20内に滞留しているエアを排出するとともに、前記各ライン8,18,20および前記樹脂タンク2内を水で充満させる工程である。前記再生工程は、後述するように前記再生液タンク7内における再生液液面と前記排水ライン22の末端部との間に生じる水頭圧差によって前記樹脂タンク2へ再生液を供給する。このため、再生液が流れる前記各ライン8,20および前記樹脂タンク2内にエアが存在していると、再生液がスムーズに流れなくなり、再生不良を引き起こすおそれがある。また、前記原水導入ライン18内にエアが存在していると、再生液となる原水が、前記原水ライン3から前記原水導入ライン18を介して前記再生液タンク7へスムーズに流れなくなるおそれがある。前記エア抜き工程は、こうした不具合をなくすために、再生液が流れる流路を水で充満させるようにしている。
【0030】
前記エア抜き工程は、第一エア抜き工程と第二エア抜き工程とからなる。前記第一エア抜き工程は、前記樹脂タンク2,前記第二ライン14を含む前記再生液供給ライン8(前記第一ライン13を除く部分)および前記排水ライン20からなる流路内に滞留しているエアを排出するとともに、前記流路を水で充満させる工程である。この第一エア抜き工程では、前記原水バルブ5,前記第二バルブ16,前記原水導入バルブ17および前記排水バルブ21を開状態に設定し、一方で前記軟水バルブ6および前記第一バルブ15を閉状態に設定する。これにより、前記湯水混合栓からの原水の供給を行うと、前記原水ライン3から前記樹脂タンク2へ原水が流入し、この原水が前記樹脂タンク2内を前記原水ライン3側から前記再生液供給ライン8側へ向かって流れて前記再生液供給ライン8へ流出し、さらに前記再生液供給ライン8内を前記原水タンク12へ向かって流れる。また、前記樹脂タンク2ないへ流入した原水は、前記排水ライン20へ流出する。さらに、前記原水ライン3から前記原水導入ライン18へ流入した原水が、この原水導入ライン18内を前記原水タンク12へ向かって流れる。
【0031】
前記第二エア抜き工程は、前記樹脂タンク2内および前記第一ライン13を含む前記再生液供給ライン8(前記第二ライン14を除く部分)内に滞留しているエアを排出するとともに、これらを水で充満させる工程である。この第二エア抜き工程では、前記原水バルブ5および前記第一バルブ15を開状態に設定し、一方で前記軟水バルブ6,前記第二バルブ16,前記原水導入バルブ17および前記排水バルブ21を閉状態に設定する。これにより、前記湯水混合栓からの原水の供給を行うと、前記原水ライン3から前記樹脂タンク2へ原水が流入し、この原水が前記樹脂タンク2内を前記原水ライン3側から前記再生液供給ライン8側へ向かって流れて前記再生液供給ライン8へ流出し、さらに前記再生液供給ライン8内を前記再生剤タンク10へ向かって流れる。
【0032】
前記再生工程では、前記第一バルブ15,前記第二バルブ16,前記原水導入バルブ17および前記排水バルブ21を開状態に設定し、一方で前記原水バルブ5および前記軟水バルブ6を閉状態に設定する。これにより、前記湯水混合栓からの原水の供給を行うと、前記原水ライン3から前記原水導入ライン18を介して前記原水タンク12へ原水が供給される。前記原水タンク12へ供給された原水は、前記連通ライン11を介して前記再生剤タンク10へ供給される。同時に前記原水タンク12内の原水は、この原水タンク12内の水面と前記排水ライン20の末端部との間に生じる水頭圧差によって、前記第二ライン14へ流出する。
【0033】
前記再生剤タンク10へ供給された原水は、この再生剤タンク10内を流動しながら前記再生剤9を溶解し、再生剤溶液を生成する。そして、前記再生剤タンク10内の再生剤溶液は、この再生剤タンク10内の液面と前記排水ライン20の末端部との間に生じる水頭圧差によって、前記第一ライン13へ流出する。
【0034】
前記再生液供給ライン8では、前記第一ライン13および前記第二ライン14の合流部分において、前記第一ライン13へ流出した再生剤溶液が、前記第二ライン14へ流出した原水と混合され、再生に適した濃度にまで希釈された後に、前記イオン交換樹脂(図示省略)を再生するための再生液として前記樹脂タンク2へ流入する。この樹脂タンク2へ流入した再生液は、前記イオン交換樹脂を通過した後、前記排水ライン20へ流出し、装置外へ排出される。
【0035】
前記再生工程の直後に行われる前記押出工程では、前記再生液タンク7から前記樹脂タンク2へ原水のみを供給すべく、前記再生工程において開状態に設定されていた前記第一バルブ15を閉状態に設定する。すなわち、前記押出工程では、前記第二バルブ16,前記原水導入バルブ17および前記排水バルブ21を開状態に設定し、一方で前記原水バルブ5,前記軟水バルブ6および前記第一バルブ15を閉状態に設定する。これにより、前記原水導入ライン18を介して前記原水タンク12へ供給され貯留された原水が、前記原水タンク12内の水面と前記排水ライン20の末端部との間に生じる水頭圧差によって、前記第二ライン14へ流出し、原水のみが前記再生液供給ライン8を介して前記樹脂タンク2へ押出水として流入する。
【0036】
前記樹脂タンク2へ流入した原水は、再生液を押し出しながら前記イオン交換樹脂を通過し、このイオン交換樹脂を引き続き再生させる。そして、前記イオン交換樹脂を通過した原水は、前記排水ライン20へ流出し、装置外へ排出される。
【0037】
前記洗浄工程は、第一洗浄工程と第二洗浄工程とからなる。前記第一洗浄工程は、前記原水ライン3を介して前記樹脂タンク2へ原水を供給し、この樹脂タンク2内の洗浄を行う工程である。この第一洗浄工程では、前記原水バルブ5および前記排水バルブ21を開状態に設定し、前記軟水バルブ6,前記第一バルブ15,前記第二バルブ16および前記原水導入バルブ17を閉状態に設定する。これにより、前記湯水混合栓からの原水の供給を行うと、前記原水ライン3から前記樹脂タンク2へ原水が洗浄水として供給される。そして、前記樹脂タンク2へ供給された原水は、この樹脂タンク2内に残留している再生液を洗い流しながら、前記イオン交換樹脂を通過した後、前記排水ライン20へ流出し、装置外へ排出される。ここで、図1において、前記原水ライン3および前記排水ライン20は、ともに前記樹脂タンク2の下端側に接続されているが、図1は概略説明図であり、実際の装置においては、前記原水ライン3から前記樹脂タンク2へ洗浄水として流入した原水が、前記樹脂タンク2内を下端側から上端側まで通過した後に、前記排水ライン20へ排出されるように構成されている。
【0038】
前記第二洗浄工程は、前記第一ライン13を含む前記再生液供給ライン8および前記第一バルブ15へ原水を供給して洗浄を行う工程である。この第二洗浄工程では、前記原水バルブ5および前記第一バルブ15を開状態に設定し、前記軟水バルブ6,前記第二バルブ16,前記原水導入バルブ17および前記排水バルブ21を閉状態に設定する。これにより、前記湯水混合栓からの原水の供給を行うと、前記原水ライン3から前記樹脂タンク2へ原水が流入し、さらにこの原水が前記再生液供給ライン8を通って前記再生剤タンク10へ流入する。これにより、前記再生液供給ライン8および前記第一バルブ15内において、残留している再生液中の塩分が再結晶化することを防止することができる。
【0039】
以上説明した前記浴室用軟水装置1によれば、前記再生液タンク7における再生液液面が、前記樹脂タンク2よりも高い位置となっていなくても、前記再生工程および前記押出工程のとき、前記原水バルブ5および前記軟水バルブ6を閉状態に設定して、前記再生液供給ライン8および前記樹脂タンク2を密閉状態とし、前記再生液タンク7における再生液液面と前記排水ライン20の末端部との間の水頭圧差により、前記再生液タンク7から前記樹脂タンク2へ再生液を供給することができ、さらにこの再生液を前記排水ライン20へ排出することができる。したがって、前記再生液タンク7から前記樹脂タンク2へ再生液を供給するために、前記再生液タンク7における再生液液面を、前記樹脂タンク2よりも高い位置とする必要がなく、これによって前記浴室用軟水装置1の高さを抑えることができる。
【0040】
以上、この発明を前記実施形態によって説明したが、この発明は前記実施形態に限られるものではなく、その主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明に係る浴室用軟水装置の実施の形態の構成の一例を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 浴室用軟水装置
2 樹脂タンク
7 再生液タンク
8 再生液供給ライン
20 排水ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂を収容した樹脂タンクと、前記イオン交換樹脂の再生液が貯留され、前記樹脂タンクと再生液供給ラインを介して接続された再生液タンクと、前記樹脂タンクと接続され、前記再生液タンクから前記樹脂タンクへ供給された再生液を再生排水として装置外へ排出する排水ラインとを備えた浴室用軟水装置であって、
前記再生液タンクにおける再生液液面が、前記樹脂タンクよりも高い位置とならず、なおかつ前記排水ラインの末端部よりも高い位置となるように構成し、前記再生液タンクにおける再生液液面と前記排水ラインの末端部との間の水頭圧差により、前記再生液タンクから前記樹脂タンクへ再生液を供給するとともに、この再生液を前記樹脂タンクから前記排水ラインへ排出するように構成したことを特徴とする浴室用軟水装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−80273(P2008−80273A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264472(P2006−264472)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】