説明

浴室空調システム

【課題】ジェットバス装置等を設けることなく、また浴室に酸素富化空気供給用の開口部を別途設けることなく、酸素富化空気を浴室内に供給できる浴室空調システムを提供する。
【解決手段】浴室2に設けた空調用開口5を通じて浴室2内の空調を行う浴室空調装置1を備える。浴室2の外部に設けられて大気から高酸素濃度の酸素富化空気を得る酸素富化装置3を備える。酸素富化装置3で得た酸素富化空気を空調用開口5から浴室2内に供給するための酸素富化空気供給手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房、涼風、乾燥、換気等の浴室内空調を行う浴室空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、浴槽内にジェット水流を生じさせるジェットバス装置や浴槽内の湯水に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置を備えた浴槽装置に高酸素濃度の酸素富化空気を発生させる酸素富化装置を設けたものが開示してある。このものは酸素富化装置で発生させた酸素富化空気をジェット水流に混合したり、微細気泡として発生させたりでき、浴槽内で酸素富化空気を発生させることで、浴槽内の湯水の水面付近の酸素濃度を高めて、浴槽に居る入浴者の心肺機能の負担を軽減し、快適度を高める。
【0003】
しかし上記のものは浴室内に酸素富化空気を供給するにはジェットバス装置や微細気泡発生装置を設け、尚且つこれら浴槽にジェット水流や微細気泡を発生させる装置を酸素富化装置と同時に運転する必要がある。また上記ジェットバス装置や微細気泡発生装置を設けることなく酸素富化空気を浴室に供給するには、例えば浴室に酸素富化空気供給用の開口部を設け、該開口部から酸素富化装置で発生した酸素富化空気を浴室内に供給すれば良いが、この場合は浴室に酸素富化空気を供給するための開口部を新たに設ける必要があってコストがかかる。
【特許文献1】特開2005−324001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ジェットバス装置等を設けることなく、また浴室に酸素富化空気供給用の開口部を別途設けることなく、酸素富化空気を浴室内に供給できる浴室空調システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る浴室空調システムは、浴室2に設けた空調用開口5を通じて浴室2内の空調を行う浴室空調装置1と、浴室2の外部に設けられて大気から高酸素濃度の酸素富化空気を得る酸素富化装置3を備え、酸素富化装置3で得た酸素富化空気を空調用開口5から浴室2内に供給するための酸素富化空気供給手段を設けて成ることを特徴とする。酸素富化装置3で生成した酸素富化空気を浴室空調装置1が有する空調用開口5を利用して浴室2内に供給できる。
【0006】
また請求項2は請求項1において、空調用開口5として浴室内2に向けて開口する吸込口5a及び吹出口5bを備え、吸込口5a及び吹出口5bを循環風路7を介して連通接続し、該循環風路7に吸込口5aから浴室2内の空気を吸い込むと共に吸い込んだ空気を吹出口5bから浴室2内に吹き出すファン8を設け、酸素富化装置3は酸素富化空気を循環風路7に供給可能であり、該酸素富化装置3から循環風路7に供給された酸素富化空気をファン7により吹出口5bから浴室2内に吹き出せるようにしたことを特徴とする。ファン8により浴室2内の空気を循環して空調を行うことができ、また酸素富化装置3とファン8を同時に運転することで、酸素富化空気をファン8によって流れる空気と共に浴室2全体に送り出すことができる。
【0007】
また請求項3は請求項2において、循環風路7にヒータ9を設け、ファン8及びヒータ9を運転して吸込口5aから浴室2内の空気を吸い込むと共に吸い込んだ空気をヒータ9で加熱し、この後、吹出口5bから浴室2内に吹き出す暖房モードを備え、酸素富化装置3は酸素富化空気を暖房モードにおいて循環風路7内に供給可能であり、暖房モードにおいて運転されるファン8により酸素富化空気を吹出口5bから浴室2内に吹き出せるようにしたことを特徴とする。例えば冬季において入浴前に浴室空調装置1を暖房モードで運転することで浴室2内を予備暖房できる。またこの予備暖房時には酸素富化装置3から循環風路7内に酸素富化空気を供給して、吹出口5bから浴室2内に吹き出すことができる。
【0008】
また請求項4は請求項2又は請求項3において、循環風路7におけるファン8よりも下流側の位置に浴室2外部に通じる分岐風路10を接続し、ファン8を運転して循環風路7に吸込口5aから浴室2内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気の一部を分岐風路10を介して浴室2外部に排気すると共にその他を吹出口5bから浴室2内に吹き出す涼風モードを備え、酸素富化装置3は酸素富化空気を涼風モードにおいて循環風路7内に供給可能であり、涼風モードにおいて運転されるファン8により酸素富化空気を吹出口5bから浴室2内に吹き出せるようにしたことを特徴とする。例えば夏季において入浴中に浴室空調装置1を涼風モードで運転することで、浴室2内の空気の一部を分岐風路10から排気すると共に浴室ドアのガラリ等から外気を取り入れつつ、浴室2内の空気を循環させ、これにより吹出口5bから浴室2内に涼風を送ることができる。またこの涼風時には酸素富化装置3から循環風路7内に酸素富化空気を供給できる。
【0009】
また請求項5は請求項2〜4のいずれか1項において、酸素富化装置3は、大気を酸素富化膜に通すことで高酸素濃度の酸素富化空気を得て、該酸素富化空気を空気供給路14を介して循環風路7内に送るものであり、空気供給路14から循環風路7内に滴下する水を乾燥する乾燥手段を設けて成ることを特徴とする。酸素富化膜の透過速度は酸素よりも水蒸気の方が速く、酸素富化装置3の運転時に空気供給路14から結露水が滴下する恐れがあるが、仮にこのように結露水が滴下したとしても、この水を乾燥手段により乾燥できる。
【0010】
また請求項6は請求項5において、前記乾燥手段として、循環風路7において空気供給路14の循環風路7内で開口する下流端開口の下方の位置に空気供給路14から滴下する水を受ける水受け部15を設けて成ることを特徴とする。ファン8の運転により生じた風により水受け部15内の水を乾燥できる。
【0011】
また請求項7は請求項5又は請求項6において、前記循環風路7に空気を加熱して吹出口5bから加熱空気を吹き出すための加熱手段を設けて成ることを特徴とする。加熱手段で加熱された高温の風により水受け部15内の水を乾燥できる。
【0012】
また請求項8は請求項1〜7のいずれか1項において、浴室空調装置1と別体の酸素富化装置3を空気供給路14を介して接続し、酸素富化装置3は大気を酸素富化膜に通して高酸素濃度の酸素富化空気を得ると共に、該酸素富化空気を空気供給路14を介して浴室空調装置1に送るポンプを備え、空気供給路14の途中に消音タンク21を設けて成ることを特徴とする。ポンプの騒音が空気供給路14を介して浴室空調装置1側に伝わることを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、ジェットバス装置等を設けることなく、また浴室に酸素富化空気供給用の開口部を別途設けることなく、酸素富化空気を浴室内に供給でき、浴室内の酸素濃度を高めて入浴者の心肺機能の負担を軽減できる。
【0014】
また請求項2に係る発明では、請求項1の発明の効果に加えて、ファンにより浴室内の空気を循環して空調を行うことができ、また酸素富化装置で得た酸素富化空気をこのような空調を行うために必要な吹出口を利用して浴室内に供給できる。また酸素富化装置とファンを同時に運転することで、酸素富化空気を循環空気と共に吹出口から吹き出し、浴室全体に送り出すことができ、この場合、酸素富化装置で発生した酸素富化空気を浴室全体に均一に充満させることができる。
【0015】
また請求項3に係る発明では、請求項2の発明の効果に加えて、例えば冬季において浴室空調装置を暖房モードで運転することで入浴前に浴室内を予備暖房できる。またこの予備暖房時には吹出口から加熱された循環空気と共に酸素富化空気を吹き出すことができ、入浴前に浴室の予備暖房を行うと共に入浴前の浴室全体の酸素濃度を高めることができる。
【0016】
また請求項4に係る発明では、請求項2又は請求項3の発明の効果に加えて、例えば夏季において入浴中に浴室空調装置を涼風モードで運転することで、浴室内に涼風を送ることができる。またこの涼風時には吹出口から涼風となった循環空気と共に酸素富化空気を吹き出すことができ、入浴中の浴室に涼風を送ると共に該浴室の酸素濃度を高めることができる。
【0017】
また請求項5に係る発明では、請求項1〜4のいずれか1項の発明の効果に加えて、酸素富化装置3の運転時に空気供給路から結露水が滴下しても、この水を乾燥手段により乾燥でき、浴室内に結露水が滴下することを防止できる。
【0018】
また請求項6に係る発明では、請求項5の発明の効果に加えて、浴室空調装置1が有するファンを利用して空気供給路から滴下する水を乾燥できる。
【0019】
また請求項7に係る発明では、請求項5又は請求項6の発明において、高温の風により水受け部内の水を速やかに乾燥できる。
【0020】
また請求項8に係る発明では、請求項1〜7のいずれか1項の発明において、ポンプの騒音が空気供給路を介して浴室空調装置側、ひいては浴室内に伝わることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。本例の浴室空調システムは図1に示す浴室空調装置1と該浴室空調装置1とは別体の酸素富化装置3を備えている。
【0022】
浴室空調装置1は、浴室2内の空気を外部に排出して換気を行う換気機能、浴室2内の空気の一部を外部に排出しつつ浴室2内に涼風を送って入浴者に涼感を与える涼風機能、浴室2内の空気の一部を外部に排出しつつ浴室2内に温風を送って浴室2内にある衣類等を乾燥させる乾燥機能、浴室2内の空気を循環すると共に浴室2内に温風を送って入浴前の暖房を行う暖房機能を備えたものであり、涼風機能付きの浴室暖房換気乾燥機として機能する。
【0023】
浴室空調装置1はユニットバスルーム等からなる浴室2の天井の上に設置され、浴槽13の上方に位置している。浴室空調装置1は図2に示すケーシング4で外郭を構成している。ケーシング4の下面には空調用開口5として片側に吸込口5aを設けると共に他側に吹出口5bを設けてあり、吸込口5a及び吹出口5bはケーシング4を浴室2の天井を介して浴室2内に向けて下方に開口している。ケーシング4内には一端を吸込口5aに接続すると共に他端を吹出口5bに接続する循環風路7を形成している。循環風路7の吸込口5aの上方位置には遠心ファン等からなるファン8を設けてあり、後述のダンパ12を図2(b)や図2(c)の状態とした場合には、ファン8を運転することで吸込口5aから浴室2内の空気を吸い込むと共にこの吸い込んだ空気を吹出口5bから浴室2内に吹き出せるようになっている。循環風路7のファン8よりも下流側の吹出口5bの上方位置には循環風路7内を流れる空気を加熱する加熱手段として電気ヒータ9を設けている。
【0024】
ケーシング4内には一端を循環風路7のファン8よりも下流側で且つヒータ9よりも上流側に連通接続した分岐風路10を形成している。分岐風路10の他端はケーシング4の吹出口5b側の側面に設けた屋外へと通じる排気口11に接続されている。循環風路7において排気口11側と吹出口5b側に分岐する部分には回動自在となったダンパ12を設けている。ダンパ12は図示しないモータ等の駆動手段によりその回動角度を、図2(a)〜(c)の3つの状態に変更できるようになっている。つまりダンパ12は駆動手段を駆動することで、図2(a)に示すようにその曲面部12aで吹出口5b側を閉塞すると共に排気口11側を開放してファン8からの風を排気口11側のみに送る状態、又は図2(b)に示すように吹出口5b側及び排気口11側を共に開放してファン8からの風を吹出口5b側と排気口11側の両方に送る状態、又は図2(c)に示すように吹出口5b側を開放すると共に前記曲面部12aで排気口11側を閉塞してファン8からの風を吹出口5b側にのみ送る状態に切り替えられるようになっている。
【0025】
酸素富化装置3は上記浴室空調装置1と離れた天井の上に設置される。酸素富化装置3としては例えば特開2005−324001号公報等に示されるような従来から利用されている公知のものを利用する。即ち酸素富化装置3は酸素富化膜と真空ポンプとで主体が構成されており、真空ポンプで大気中の空気を取り入れて有機高分子の平膜のような酸素富化膜に空気を通すことで酸素が富化された空気を得ることができるようになっている。空気を酸素富化膜に通す時、酸素と窒素とは減速するが、酸素は窒素の約2.5倍の速度で通過する。これにより通常の大気中の空気は窒素が78%、酸素が21%であったのが、酸素富化膜によって窒素が69%、酸素が30%の空気となり、高酸素濃度の空気が得られる。
【0026】
図1に示すように上記酸素富化装置3と浴室空調装置1はエアチューブからなる空気供給路14で接続され、酸素富化装置3で得た酸素富化空気は真空ポンプを運転することで空気供給路14を介して循環風路7内に供給されるようになっている。空気供給路14の下流側端部はケーシング4b内に導入してあり、その下流端開口は循環風路7のファン8よりも下流側で且つダンパ12よりも上流側の位置で下方に向けて開口している。
【0027】
また酸素富化装置3は内装した真空ポンプの騒音が浴室2の天井に伝わらないようにするために防振用ゴム20を介して浴室2に設置されている。さらには浴室空調装置1と別体の酸素富化装置3を接続する空気供給路14の途中には真空ポンプで発生する騒音が浴室空調装置1側に伝わることを防止するための消音タンク21を設けている。
【0028】
上記浴室空調装置1のファン8、ヒータ9、ダンパ12の駆動手段、酸素富化装置3の真空ポンプ等は図示しない制御回路に接続され、制御回路は脱衣室等の浴室2に隣接する部屋に設置されたリモコン22が操作された場合に操作信号に基づいてこれらファン8、ヒータ9、ダンパ12の駆動手段、酸素富化装置3の真空ポンプを制御する。なお図1中24は浴室空調装置1と酸素富化装置3を接続する中継ケーブルであり、25は浴室空調装置とリモコンを接続する信号線である。
【0029】
リモコン22は図4に示すように操作釦23として、換気釦23a、乾燥釦23b、涼風釦23c、暖房釦23d、酸素釦23e、切釦23fを備えている。換気釦23a、乾燥釦23b、涼風釦23c、暖房釦23dのうち任意の操作釦23を操作することで、
各操作釦23に対応する換気モード、涼風モード、乾燥モード、暖房モード(予備暖房モード)、のいずれかのモードで運転が開始されるように設定してあり、各モードでの運転時に切釦23fを操作することで各モードにおいて運転状態にあるファン8、ヒータ、酸素富化装置3等を停止する。なお各モードの運転はタイマにより停止できるようにしても良い。
【0030】
換気モードでは、ファン8を運転し、ダンパ12を図2(a)のように配置し、またヒータ9、酸素富化装置3(真空ポンプ)は運転しない。これにより図2(a)及び図3(a)に示すように浴室2内の空気は吸込口5aから循環風路7内に吸い込まれ、その全てが分岐風路10を通って排気口11から排気され、浴室2内が換気される。なお換気モードでは換気釦23aを操作することでファン8による送風量を強又は弱のいずれかに変更できるようになっている。
【0031】
涼風モードでは、ファン8及び酸素富化装置3(真空ポンプ)を運転し、ダンパ12を図2(b)のように配置し、またヒータ9は運転しない。これにより図2(b)及び図3(b)に示すように浴室2内の空気は吸込口5aから循環風路7内に吸い込まれ、一部(約半分)が分岐風路10を通って排気口11から排気され、その他が吹出口5bから浴室2内に吹き出される。従って例えば夏季において浴室空調装置1を涼風モードで運転することで、入浴者が居る浴室2内に涼風を送ることができる。またこの時、酸素富化装置3で酸素富化空気が生成されると共にこの酸素富化空気が空気供給路14を介して循環風路7に供給され、この酸素富化空気は、ファン8により循環風路7内を流れる涼風用の空気と共に吹出口5bから浴室2内に吹き出される。即ちこの場合は酸素富化装置3の真空ポンプ及びファン8が酸素富化空気を浴室2内に供給するための酸素富化空気供給手段となる。
【0032】
乾燥モードでは、ファン8及びヒータ9を運転し、ダンパ12を図2(b)のように配置し、また酸素富化装置3(真空ポンプ)は運転しない。これにより図2(b)及び図3(b)に示すように浴室2内の空気は吸込口5aから循環風路7内に吸い込まれ、一部が分岐風路10を通って排気口11から排気され、その他がヒータ9で加熱された後、吹出口5bから浴室2内に吹き出され、これにより浴室2内や浴室2内の衣類を乾燥できるようになっている。
【0033】
暖房モードでは、ファン8及びヒータ9を運転し、ダンパ12を図2(c)のように配置し、同時に酸素富化装置3(真空ポンプ)の運転を開始する。これにより図2(c)及び図3(c)に示すように浴室2内の空気は吸込口5aから循環風路7内に吸い込まれ、その全てがヒータ9で加熱された後、吹出口5bから浴室2内に吹き出される。従って例えば冬季において浴室空調装置1を暖房モードで運転することで入浴前に浴室2内を予備暖房できる。またこの時、酸素富化装置3で酸素富化空気が生成されると共にこの酸素富化空気が空気供給路14を介して循環風路7に供給され、この酸素富化空気は、ファン8により循環風路7内を流れる暖房用の空気と共に吹出口5bから浴室2内に吹き出される。なおこの暖房モード及び前述の涼風モードでの運転時における酸素富化装置3(真空ポンプ)のON・OFFは酸素釦23eの操作により切替可能であり、暖房モード開始後又は涼風モード開始後は酸素釦23eを操作することで浴室2内に酸素富化空気を供給するか否かを切替えられるようになっている。
【0034】
また浴室空調装置1の運転停止時におけるダンパ12は図2(c)のように配置されるものとする。またこのようにダンパ12を図2(c)のように配置した状態にある浴室空調装置1の停止時においては、酸素釦23eの操作により酸素富化装置3(真空ポンプ)のON・OFFを切替えられるようにしている。
【0035】
以上説明したように、本発明の浴室空調システムでは、浴室2に設けた空調用開口5(吸込口5a及び吹出口5b)を通じて暖房、涼風、換気、乾燥等の浴室2内の空調を行う浴室空調装置1と、浴室2の外部に設けられて大気から高酸素濃度の酸素富化空気を得る酸素富化装置3を備え、酸素富化装置3で得た酸素富化空気を空調用開口5から浴室2内に供給するための酸素富化空気供給手段を設けたので、浴室空調装置1を利用して酸素富化装置3で得た酸素富化空気を浴室2内に供給でき、入浴者の心肺機能の負担を軽減できる。またこの酸素富化空気は空調に利用される空調用開口5を通じて浴室2内に供給されるので、浴室2に酸素富化空気供給用の開口部を別途設ける必要がない。また既述したように浴室空調装置1の停止時において酸素富化装置3を運転して浴室2内に酸素富化空気を供給することもできる。
【0036】
また浴室空調装置1によって浴室2内の空気を循環させる涼風モードや暖房モードでの運転時においては、酸素富化装置3から循環風路7に供給された酸素富化空気を浴室空調装置1に設けた浴室2内の空気を循環させるファン8により吹出口5bから浴室2内に吹き出すことができ、酸素富化装置3で発生した酸素富化空気を浴室2全体に均一に充満させることができる。また特に暖房モードでの運転時においては、浴室2を暖房すると共に浴室2内に酸素富化空気を送ることができ、しかもこの場合、ファン8により浴室2全体に酸素富化空気を送ることができるので、浴槽13近傍だけではなく洗い場にも酸素富化空気を供給できる。また特に涼風モードでの運転時においては、浴室2に涼風と酸素富化空気を同時に送ることができ、しかもこの場合、ファン8により浴室2全体に酸素富化空気を送ることができるので、浴槽13に居る人に対してだけではなく洗い場に居る人に対しても酸素富化空気を供給できる。
【0037】
ところで上記酸素富化装置3は大気を気体分離膜からなる酸素富化膜に通過させることで高酸素濃度の酸素富化空気を得るものであり、この酸素富化膜の透過速度は酸素よりも水蒸気の方が速い。従ってこのような酸素富化装置3を上記のように浴室空気循環装置に設けた場合、空気供給路14内の水蒸気量が増加して結露が発生し、この結露によって生じた水が循環風路7内、ひいては浴室2内に滴下する恐れがある。
【0038】
そこで本例では上記浴室空調装置1に空気供給路14から循環風路7内に滴下する水を乾燥する乾燥手段を設けている。乾燥手段は、循環風路7の空気供給路14の下流端開口の下方の位置に設けた容器状の水受け部15と、この水受け部15に風を送る前述のファン8とからなり、空気供給路14から滴下する水を上方に開口する水受け部15で受けて、この水受け部15に貯めた水をファン8を運転することで生じた風により乾燥できるようになっている。なお酸素富化装置3の運転時において空気供給路14から滴下する水滴の量は例えば1回の運転(30分間)で1〜2cc程度のため、水受け部15は比較的浅いものであっても良く、つまり空気供給路14から滴下した水滴を十分に貯めることができる容量があれば良い。
【0039】
上記乾燥手段により空気供給路14から滴下する水を乾燥できるので、空気供給路14の下流端から滴下した結露水が循環風路7を経て浴室2内に落下することを防止できる。またこの乾燥手段を構成する水受け部15はファン8の下流側で且つファン8から送られた風が水受け部15の直上を通過する位置に配置してあるので、より一層水受け部15の水を乾燥できる。さらには空気供給路14の下流端開口は下方の水受け部15の底部に向けて開口しているので、酸素富化装置3の運転により空気供給路14の下流端開口から噴出された酸素富化空気よりなる風を水受け部15に溜まった水に当てることができ、より一層水受け部15の水を乾燥できるようになっている。なお、上記ファン8による水受け部15内の水の乾燥は既述の換気モード、涼風モード、乾燥モード、暖房モードで運転されるファン8により行っても良いし、さらには浴室空調装置1の停止時において結露水を乾燥するためにファン8を運転できるようにしても良い。またこの時、ヒータ9を運転しても良く、この場合は、温度の高い空気で水受け部15内の水を効率良く乾燥できる。
【0040】
なお既述の実施例における浴室空調装置1は、浴室2内の空気を循環して涼風、暖房、乾燥を行う循環機能と、浴室2内の空気を排気して換気を行う換気機能の両方を備えたものであるが、浴室空調装置1としては循環機能及び換気機能のうちいずれか一方のみを備えたものであっても良く、つまり浴室空調装置1は前記循環機能及び換気機能のうち少なくともいずれか一方を備えたものであれば良い。
【0041】
また上記実施例では涼風モード及び暖房モードでの運転を開始した時に酸素富化装置3の運転を自動的に開始するように設定したが、この時酸素富化装置3は停止状態のままであっても良い。さらにこの場合は浴室空調装置1の停止時における酸素釦23eの操作により、以下に示す酸素モードによる運転を開始しても良い。
【0042】
酸素モードでは、酸素富化装置3の真空ポンプを運転し、ダンパ12を図2(c)のように配置する。ここで酸素モードの運転が要求された場合、ファン8は運転又は停止のどちらの状態としても良いし、またファン8を運転するか否かを操作部を操作する等して変更できるようにしても良い。またこの場合、ヒータ9は運転又は停止のどちらの状態としても良いし、またヒータ9を運転するか否かを操作部を操作する等して変更できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態の一例の浴室空調システムの説明図である。
【図2】同上の浴室空調装置を示し、(a)は換気モードでの運転時状態を示す説明図、(b)は涼風モード及び乾燥モードでの運転時の状態を示す説明図、(c)は暖房モードでの運転時の状態を示す説明図である。
【図3】同上の浴室空気循環装置を備えた浴室を示し、(a)は換気モードでの運転時の状態を示す説明図、(b)は涼風モード及び乾燥モードでの運転時の状態を示す説明図、(c)は暖房モードでの運転時の状態を示す説明図である。
【図4】同上のリモコンの正面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 浴室空調装置
2 浴室
3 酸素富化装置
5 空調用開口
5a 吸込口
5b 吹出口
7 循環風路
8 ファン
14 空気供給路
15 水受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設けた空調用開口を通じて浴室内の空調を行う浴室空調装置と、浴室の外部に設けられて大気から高酸素濃度の酸素富化空気を得る酸素富化装置を備え、酸素富化装置で得た酸素富化空気を空調用開口から浴室内に供給するための酸素富化空気供給手段を設けて成ることを特徴とする浴室空調システム。
【請求項2】
空調用開口として浴室内に向けて開口する吸込口及び吹出口を備え、吸込口及び吹出口を循環風路を介して連通接続し、該循環風路に吸込口から浴室内の空気を吸い込むと共に吸い込んだ空気を吹出口から浴室内に吹き出すファンを設け、酸素富化装置は酸素富化空気を循環風路に供給可能であり、該酸素富化装置から循環風路に供給された酸素富化空気をファンにより吹出口から浴室内に吹き出せるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の浴室空調システム。
【請求項3】
循環風路にヒータを設け、ファン及びヒータを運転して吸込口から浴室内の空気を吸い込むと共に吸い込んだ空気をヒータで加熱し、この後、吹出口から浴室内に吹き出す暖房モードを備え、酸素富化装置は酸素富化空気を暖房モードにおいて循環風路内に供給可能であり、暖房モードにおいて運転されるファンにより酸素富化空気を吹出口から浴室内に吹き出せるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の浴室空調システム。
【請求項4】
循環風路におけるファンよりも下流側の位置に浴室外部に通じる分岐風路を接続し、ファンを運転して循環風路に吸込口から浴室内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気の一部を分岐風路を介して浴室外部に排気すると共にその他を吹出口から浴室内に吹き出す涼風モードを備え、酸素富化装置は酸素富化空気を涼風モードにおいて循環風路内に供給可能であり、涼風モードにおいて運転されるファンにより酸素富化空気を吹出口から浴室内に吹き出せるようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の浴室空調システム。
【請求項5】
酸素富化装置は、大気を酸素富化膜に通すことで高酸素濃度の酸素富化空気を得て、該酸素富化空気を空気供給路を介して循環風路内に送るものであり、空気供給路から循環風路内に滴下する水を乾燥する乾燥手段を設けて成ることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の浴室空調システム。
【請求項6】
前記乾燥手段として、循環風路において空気供給路の循環風路内で開口する下流端開口の下方の位置に空気供給路から滴下する水を受ける水受け部を設けて成ることを特徴とする請求項5に記載の浴室空調システム。
【請求項7】
前記循環風路に空気を加熱して吹出口から加熱空気を吹き出すための加熱手段を設けて成ることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の浴室空調システム。
【請求項8】
浴室空調装置と別体の酸素富化装置を空気供給路を介して接続し、酸素富化装置は大気を酸素富化膜に通して高酸素濃度の酸素富化空気を得ると共に、該酸素富化空気を浴室空調装置を介して循環風路内に送るポンプを備え、空気供給路の途中に前記ポンプで発生する騒音が浴室空調装置側に伝わることを防止するための消音タンクを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の浴室空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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