説明

浴室

【課題】腰を下ろし楽な姿勢でシャワーを浴びることのできる浴室を提供する。
【解決手段】上面外周にフランジ部が形成された平面視長方形状の浴槽2が設置され、壁面にはシャワー10b付水栓10が設けられた浴室1であって、浴槽2は、2つの長辺21a,21bおよび1つの短辺22aが浴室の壁面11,12,13に当接されているとともに、壁面に当接された一方側の長辺フランジ部21aには腰掛部Kが形成され、他方側の長辺フランジ部21bが当接する浴室の壁面13にシャワー付水栓10が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽な姿勢でシャワーを浴びることができる浴室に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、ハンドシャワー装置に近接する位置の浴槽に腰掛部が設けられた浴室が存在する。
また、特許文献2に開示されているように、平面視正方形状の浴槽を備え、ユニットバスルームの対角線上に位置する浴槽の上縁面に一段高い腰掛部が形成されたものが存在する。
また、特許文献3に開示されているように、浴槽の上部縁に座席を設けて、座席の上方空間の壁にシャワーノズルを配置した構成のものが存在する。
【特許文献1】実開平5−43988号公報
【特許文献2】実開平5−67759号公報
【特許文献3】特開平6−125854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
入浴者がシャワーで洗髪する時は、両肘が張るため、左右のスペースを要するが、上記特許文献1に開示されている構成では、浴槽の隅角部に座るために、浴室の壁に肘等が当たりやすく、シャワーが使いづらいという問題点があった。
また、上記特許文献2に開示されている構成においても、浴槽の隅角部に座るために、肘が壁に当たり、シャワーが使いにくいという問題点があった。
また、上記特許文献3に開示されている構成では、浴槽の短辺側に座るものであり、やはり体の左右に肘を動かせるスペースが小さく、シャワーで洗髪しにくいという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、腰を掛けて楽な姿勢でシャワーで洗髪することができる浴室を提供するものであり、その請求項1は、上面外周にフランジ部が形成された平面視長方形状の浴槽が設置され、壁面にはシャワー付水栓が設けられた浴室であって、前記浴槽は、2つの長辺および1つの短辺が浴室の壁面に当接されて設置されているとともに、該壁面に当接された一方側の長辺のフランジ部に腰掛部が形成されて構成され、浴槽の他方側の長辺が当接する前記浴室壁面に前記シャワー付水栓が設けられていることである。
【0005】
また、請求項2は、前記腰掛部は、前記一方側の長辺のフランジ部の略中央に浴槽内方へ傾斜して形成されていることである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上面外周にフランジ部が形成された平面視長方形状の浴槽が設置され、壁面にはシャワー付水栓が設けられた浴室であって、前記浴槽は、2つの長辺および1つの短辺が浴室の壁面に当接されて設置されているとともに、該壁面に当接された一方側の長辺のフランジ部に腰掛部が形成されて構成され、浴槽の他方側の長辺が当接する前記浴室壁面に前記シャワー付水栓が設けられていることにより、浴槽内でシャワーを浴びる際に、浴槽の長辺に形成されている腰掛部に腰を下ろして楽な姿勢でシャワーを浴びることができ、浴槽が小さい場合でもシャワー動作の際に肘等が壁に当たることがなく、壁までの横方向スペースを十分に確保できて、良好にシャワーで洗髪することができるものとなる。
また、腰掛部がフランジ部に形成されるので、比較的腰の高い腰掛姿勢となり、即ち、立った姿勢に近いので、シャワーを全身に浴びやすく、さらに、足がつっかえることもない。
また、腰掛部は幅が広いために、その上にシャワーボトル等を置くことができ、棚としても利用することができるものとなる。
【0007】
また、前記腰掛部は、前記一方側の長辺のフランジ部の略中央に浴槽内方へ傾斜して形成されていることにより、安定して腰を掛けることができ、また、腰掛部以外の長辺のフランジ部が浴槽を狭くすることがない。
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室の正面構成図であり、図2は、図1の平面構成図である。
浴室1内には、浴槽2が設置されており、浴槽2に出入りする側にはカーテン3が設けられ、カーテン3の図示右側の室内には、便器4が設置され、また、洗面器5,ペーパーホルダー6,鏡7,棚8,タオル掛け9が設けられている。なお、図中14は、出入り口である。
【0009】
本例の浴槽2は、平面視長方形状に形成されたものであり、上面外周にはフランジ部が形成され、一方側の長辺を形成する長辺フランジ部21aと、対向する他方側の長辺を形成する長辺フランジ部21bと、カーテン3に対向する側の短辺を形成する短辺フランジ部22aが、浴室1を構成する第1壁面11,第3壁面13,第2壁面12にそれぞれ当接して、カーテン3側の短辺フランジ部22b側のみが開放されて、この短辺フランジ部22b側から跨ぎ込んで浴槽2内に入ることができるように構成されている。
【0010】
本例では、長辺フランジ部21b側の第3壁面13に水栓10が設けられており、この水栓10にはシャワーホース10aを介してシャワーヘッド10bが接続され、シャワーヘッド10bからシャワー水を噴出させて使用できるように構成されており、第3壁面13には、高い位置に上フック30aが、また低い位置に下フック30bが設けられて、何れかのフック30a,30bにシャワーヘッド10bを掛止できるように構成されている。
本例の浴槽2は、水栓10と反対側の第1壁面11側の長辺フランジ部21aの幅寸法aが10cm以上の幅広に形成されており、反対側の第3壁面13側の長辺フランジ部21bの幅寸法bは5〜6cm程度に設定されている。
【0011】
なお、図3は、浴槽の変更例を示す図2に対応した浴室の平面構成図であり、図3では、長辺フランジ部21aの中央部に膨出状に腰掛部Kが形成された浴槽2が設置されたものである。
浴槽2の形状を明瞭にするために、図4〜図10において種々のタイプの浴槽を斜視図で示す。
【0012】
図4に斜視図で示す浴槽2は、前記図2に平面図で示した浴槽であり、第1壁面11に当接された長辺フランジ部21aが幅広に形成されて、この長辺フランジ部21aの上面が腰掛部Kとなっており、反対側の長辺フランジ部21b側の第3壁面13にシャワー付水栓10が設置されるものである。
浴槽2は、この長辺フランジ部21aのみが幅広の腰掛部Kとなっており、その他の長辺フランジ部21bおよび短辺フランジ部22a,22bの幅は、5〜6cm程度の幅に形成されており、長辺フランジ部21a,21bから略垂下状に長辺立上面23が形成されており、また、短辺フランジ部22a,22bから略垂下状に短辺立上面24が形成されており、底側に底面25が形成されている。
【0013】
次に、図5に斜視図で示す浴槽は、前記図3に平面図で示した浴槽であり、この浴槽2は、長辺フランジ部21aの略中央部に、長辺フランジ部21b側へ湾曲状に膨出して幅寸法cが略20cmの腰掛部Kが形成されており、この腰掛部Kの上面は、底面25側へ下傾した傾斜面Kaとなっている。なお、腰掛部Kに対応して長辺立上面23の中央部は長辺フランジ部21b側へ湾曲した膨出柱部23aとされている。
【0014】
前記図4の腰掛部Kあるいは図5の腰掛部Kに腰を掛けた状態で、図6に示すように、シャワーヘッド10bを手で持つ等して、良好に浴槽2内でシャワーを浴びることができ、シャワーを浴びる際に楽な姿勢を保つことができ、浴槽2が小さい場合でも腰掛部Kは長辺フランジ部21aに形成されているため、両腕の横方向には十分なスペースが確保されて、シャワーで洗髪する際等に、肘等が壁に当たることなく良好にシャワー動作を行うことができるものとなる。
【0015】
なお、図5のように、腰掛部Kが傾斜面Kaとなっていれば、腰掛動作を容易に行うことができ、より楽な姿勢をシャワー時にとることができるものとなる。
なお、長辺フランジ部21aが幅広であるため、図4あるいは図6のように、腰掛部Kが略水平となっていれば、その上面にシャワーボトル等を置くことができるものである。
【0016】
次に、図7に示す浴槽は、長辺フランジ部21aの中央部に、底面25側に向かって下傾状の傾斜面Kaを備えた腰掛部Kを一体形成したものであり、この腰掛部Kは横方向に長く形成されているため、浴槽1内に入った状態で、この腰掛部Kに腰掛けて良好にシャワーを浴びることができるものである。
【0017】
また、図8の浴槽は、長辺フランジ部21aに、上面に傾斜面Kaを備えた腰掛部Kが浴槽内側へ膨出状に一体形成されており、また、図8では、短辺フランジ部22a,22b側の短辺立上面24が円弧形状に形成されたものである。
【0018】
更に、図9に斜視図で示す浴槽は、腰掛部Kが、浴槽の内側に向かって下傾しながら凹状に湾曲した傾斜湾曲面Kbとなっており、この傾斜湾曲面Kb上に腰を深く落とし込んで、安定して腰を掛けることができるように構成したものである。また、膨出柱部23aは、底面25側に向かって下端側の幅が狭められて略三角形状に一体形成されている。
【0019】
また、図10に示す浴槽2では、長辺フランジ部21aの中央部に、底面25側へ下傾した傾斜面Kaを有する腰掛部Kが形成されており、この腰掛部Kの内端は長辺立上面23と面一にされており、長辺立上面23側には膨出する膨出柱部23aが存在しないために、浴槽2内を広く確保することができるものである。
なお、このような構成においても、腰掛部Kに楽な姿勢で腰掛けて、浴槽2内でシャワーを良好に浴びることができ、肘等が当たることがなく、狭い浴槽2でも良好なシャワー動作が行えるものである。また、長辺フランジ部21a上には、シャワーボトル等を良好に置くことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】浴室の正面構成図である。
【図2】図1の浴室の平面構成図である。
【図3】異なる浴槽を設置した浴室の平面構成図である。
【図4】浴槽の斜視構成図である。
【図5】異なる形状の浴槽の斜視構成図である。
【図6】図5の浴槽の腰掛部に腰掛けて浴槽内でシャワーを使用している使用状態図である。
【図7】更に異なる浴槽の斜視構成図である。
【図8】更に異なる浴槽の斜視構成図である。
【図9】更に異なる浴槽の斜視構成図である。
【図10】更に異なる浴槽の斜視構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1 浴室
2 浴槽
3 カーテン
10 水栓
10a シャワーホース
10b シャワーヘッド
11 第1壁面
12 第2壁面
13 第3壁面
21a,21b 長辺フランジ部
22a,22b 短辺フランジ部
23 長辺立上面
23a 膨出柱部
24 短辺立上面
25 底面
K 腰掛部
Ka 傾斜面
Kb 傾斜湾曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面外周にフランジ部が形成された平面視長方形状の浴槽が設置され、壁面にはシャワー付水栓が設けられた浴室であって、
前記浴槽は、2つの長辺および1つの短辺が浴室の壁面に当接されて設置されているとともに、該壁面に当接された一方側の長辺のフランジ部に腰掛部が形成されて構成され、該浴槽の他方側の長辺が当接する前記浴室壁面に前記シャワー付水栓が設けられていることを特徴とする浴室。
【請求項2】
前記腰掛部は、前記一方側の長辺のフランジ部の略中央に浴槽内方へ傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−73261(P2008−73261A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256526(P2006−256526)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】