浴槽の設置構造および設置方法
【課題】浴槽のフランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことを容易とし、防水パン内の気密性をより確実に確保する。
【解決手段】浴槽1は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部12と、該フランジ部12の裏側から下方側に突出形成された突出部17とを有し、該浴槽1の下側に配置される防水パン2は、底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁22を有するとともに、該囲い壁22の上端部22aには、気密部材40と、該気密部材40よりも高い位置にガイド面5aが形成されたガイド部5とが配置され、該ガイド部5は、浴槽1を防水パン2に設置する際、当該ガイド部5上に載置された状態の浴槽1の突出部17がガイド面5aから落下するのを規制し、動かされた当該浴槽1が所定の設置位置に達したときに当該突出部17を気密部材40の上面の所定位置にガイドする。
【解決手段】浴槽1は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部12と、該フランジ部12の裏側から下方側に突出形成された突出部17とを有し、該浴槽1の下側に配置される防水パン2は、底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁22を有するとともに、該囲い壁22の上端部22aには、気密部材40と、該気密部材40よりも高い位置にガイド面5aが形成されたガイド部5とが配置され、該ガイド部5は、浴槽1を防水パン2に設置する際、当該ガイド部5上に載置された状態の浴槽1の突出部17がガイド面5aから落下するのを規制し、動かされた当該浴槽1が所定の設置位置に達したときに当該突出部17を気密部材40の上面の所定位置にガイドする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の設置構造および設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室ユニットとして、底面と囲い壁を有する防水パンに浴槽を設置し、当該浴槽のフランジ部(浴槽の内壁の上端から外周側へせり出す部分)にユニット等の壁パネルを設置する構造のものが利用されている。また、浴槽のフランジ部の裏側には下方への突出部が形成されており、該突出部と防水パンの囲い壁の上端部との間に気密部材(パッキン)が挟み込まれている。突出部と囲い壁とがこの気密部材を押し潰した状態で挟み込むことにより、浴槽と防水パンとの間の隙間が気密に閉塞され、浴槽の外側と囲い壁の内側との間の湿気が建築躯体側に漏出するのを抑制することができる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、浴室ユニットを施工するにあたっては、浴室内に固定された状態の防水パンに対し、作業者が浴槽を防水パン上まで持ち運び、およそ所定の位置にて、突出部と防水パンの囲い壁との間で気密部材を挟み込むように当該浴槽を位置合わせしながら下ろすというような設置態様が一般に多いというのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−91812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユニットバスの他の部材に比べ重い浴槽を持ち運びするのは困難な作業であり、フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込ませることも大変困難な作業である。また、設置作業がうまくいかず、気密部材に対してフランジ部裏の突出部を垂直に落し込ませることができなかった場合には、気密部材を十分に押し潰すことができないため、浴槽のフランジ部と防水パンの囲い壁との間の隙間が気密に閉塞されず、浴槽の外側と囲い壁の内側との間の湿気が建築躯体側に漏出してしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、浴槽のフランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易であり、防水パン内の気密性をより確実に確保することを可能にする浴槽の設置構造および設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するべく本発明者は、まずは浴槽設置の実情に着目して種々の検討を行った。通常、防水パンおよび浴槽は浴室内の壁付近に取り付けられるから、防水パンに浴槽を設置するにあたっては、当該浴槽と壁との間に作業者が介入しながら作業することができず、したがって作業者は、浴室中央から壁を向いた姿勢で浴槽を持ち運ぶしかない。この場合、浴槽の相対位置を目視で確認しながらの作業は困難であるため、例えば事前に所定位置をある程度確認しておき、所定位置だと思われるあたりで位置合わせしながら浴槽をゆっくりと下ろす、あるいは浴槽をいったん下ろしてから浴槽位置を微調整するといったように設置作業に手間を要する。当該設置作業を作業者一人で行わなければならないのであればその手間は尚更である。ところが、浴槽設置にはこのように手間を要するにもかかわらず、防水パン内の気密性を確実に確保するための措置は講じられていないため、各作業者の熟練度によっては気密性に違いが生じうる。
【0008】
上述のごとき検討結果に基づき、防水パン内の気密性をいかに確保するかについてさらに検討を重ねた本発明者は、課題の解決に結び付く知見を得るに至った。本発明はかかる知見に基づくものであり、浴槽を防水パンに設置するための構造であって、浴槽は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有し、該浴槽の下側に配置される防水パンは、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁とを有するとともに、該囲い壁の上端部には、浴槽と防水パンとの間の隙間を閉塞するための気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部とが配置され、該ガイド部は、浴槽を防水パンに設置する際、当該ガイド部上に載置された状態の浴槽の突出部がガイド面から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに当該突出部がガイド面から落下するのを許容して当該突出部を気密部材の上面の所定位置にガイドするものであることを特徴とする。
【0009】
かかる浴槽の設置構造におけるガイド部は、作業者が浴槽を防水パン内の大まかな位置に位置決めした際に、浴槽のフランジ部裏の突出部の下端が当該ガイド部の上面(ガイド面)に当接して載置されるように配置されている。作業者にとってみれば、突出部の下端がガイド部のガイド面に載置された状態で浴槽を所定の設置位置に移動(例えばスライド)させることで、突出部の下端が気密部材の上面に落下するようにガイドすることが可能である。これによれば、作業者の熟練度、浴槽の大きさや形状の違いなどにかかわらず、当該フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができるようになる。このことは、浴槽設置態様の実情、すなわち、浴室内に固定された状態の防水パンに対し、作業者が浴槽を防水パン上まで持ち運び、およそ所定の位置にて気密部材を挟み込むように当該浴槽を位置合わせしながら下ろすというような設置態様の実情に照らせば、気密部材を目視できなくても浴槽を所定位置に設置することが可能となる点で好適であり、仮に作業者一人であっても確実な設置作業が可能になる点でも好適である。
【0010】
しかも、設置時、浴槽は、所定の設置位置に達するまではガイド面によって落下が規制され、フランジ部裏の突出部がガイド部上に載置された状態にあることから、その間は全体が傾いていたり、移動中にがたついたりする。このような不安定な状態にあれば、作業者は浴槽が所定の設置位置に達していないこと、つまりは浴槽の設置が完了していないことを容易に認識することができる。
【0011】
このような浴槽の設置構造においては、防水パンに、気密部材よりも高い上縁を有する立ち上がり部が気密部材の外側に設けられており、当該立ち上がり部は、浴槽を防水パンに設置する際、当該立ち上がり部上に載置された状態(干渉した状態)の浴槽の突出部が当該立ち上がり部から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに突出部が当該突出部から気密部材の上面に落下するのを許容することが好ましい。例えば、設置時、浴槽をガイド部よりも奥に載せてしまった場合でも、当該浴槽を手前にスライドさせて引き出せばフランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことができ、防水パン内の気密性をより確実に確保することができる。浴槽が左右方向にずれた場合でも同様にしてフランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことができる。
【0012】
また、浴槽の設置構造においては、ガイド面の端が気密部材の幅方向略中央に位置していることが好ましい。このようなガイド部は、浴槽のフランジ部裏の突出部を、気密部材の幅方向略中央にガイドする。
【0013】
また、気密部材は、囲い壁の上端部に周回するように配置される長尺物であり、ガイド部は、当該気密部材の一部に圧接し、当該圧接される気密部材の幅方向略中央にガイド面の端を位置させるものが好ましい。この場合、突出部の下端を、(ガイド部から圧接されていない)気密部材の幅方向略中央に垂直に落し込むことがより容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができる。
【0014】
さらに、ガイド部のガイド面は、立ち上がり部の上縁以下の高さに形成されていることが好ましい。この場合、浴槽の一部がガイド部の上面(ガイド面)に引っかかった状態となるのを回避することができる。
【0015】
ガイド部は、防水パンのコーナー部に設けられていることが好ましい。防水パンのコーナー部は干渉する部材が少ないことから、こうした場合には浴槽の形状に対する制約を少なくすることができる。
【0016】
また、かかる設置構造において、ガイド部は、浴槽のフランジ部の裏側に形成されている裏リブとの干渉を避ける位置および高さに形成されていることが好ましい。浴槽において所要の強度を確保するための一手段として、フランジの裏側に補強用の裏リブが例えば放射状に形成されることがある。このような場合、これら補強用の裏リブとの干渉を避けるようにガイド部が形成されていれば、既存の浴槽(の裏リブ)に設計変更を来すことなく本発明を適用することができる。
【0017】
また、本発明にかかる浴槽の設置方法は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有する浴槽を、該浴槽の下側に配置される防水パンであって、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁と、該囲い壁の上端部に配置された気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部と、を有する防水パンに設置する際、突出部の少なくとも一部がガイド部上に載置された状態となるように浴槽を防水パン上に置き、該防水パン上で浴槽を移動させ、ガイド部のガイド面の端から突出部を落下させ、浴槽の突出部を気密部材の上面の所定位置にガイドすることを特徴とするものである。
【0018】
ガイド部は、作業者が浴槽を防水パン内の大まかな位置に位置決めした際に、浴槽のフランジ部裏の突出部の下端が当該ガイド部の上面(ガイド面)に当接して載置されるように配置されている。作業者は、突出部の下端がガイド部のガイド面に載置された状態で浴槽を所定の設置位置に移動(例えばスライド)させることで、突出部の下端が気密部材の上面に落下するようにガイドすることが可能である。これによれば、作業者の熟練度、浴槽の大きさや形状の違いなどにかかわらず、当該フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができるようになる。
【0019】
しかも、設置時、浴槽は、所定の設置位置に達するまではガイド面によって落下が規制され、フランジ部裏の突出部がガイド部上に載置された状態にあることから、その間は全体が傾いていたり、移動中にがたついたりする。このような不安定な状態にあれば、作業者は浴槽が所定の設置位置に達していないこと、つまりは浴槽の設置が完了していないことを容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】浴室ユニットの一例を示す平面図である。
【図2】図1のII-II線における浴槽および防水パンの断面図である。
【図3】図1のIII-III線における浴室ユニット等の断面を参考として示す図である。
【図4】浴槽のフランジ部の突出部と囲い壁の上端部、およびこれらの間に介在する気密部材の斜視図である。
【図5】図4に示した突出部と上端部とが気密部材を挟み込んだ様子を示す斜視図である。
【図6】防水パンの囲い壁のコーナー部に設けられた台座形状のガイド部の一例を示す斜視図である。
【図7】ガイド部の付近における浴槽のフランジ部の突出部、囲い壁の上端部、気密部材などの断面図である。
【図8】防止パン上の所定の設置位置に浴槽が設置された様子を示す平面図である。
【図9】防止パン上の所定の設置位置よりも奥側に浴槽が載置された様子を示す平面図である。
【図10】防止パン上の所定の設置位置よりも左側に浴槽が載置された様子を示す平面図である。
【図11】防止パン上の所定の設置位置よりも手前側に浴槽が載置された様子を示す平面図である。
【図12】突出ガイド部が形成されたガイド部とその周辺部の構成例を示す平面図である。
【図13】突出ガイド部のうちパッキンよりも高い部分のみを奥側へ突出させた形状のガイド部およびその周辺部の構成例を示す断面図である。
【図14】フランジ部の裏側に裏リブ(ただし図示しているのはその一部)が形成された浴槽の平面図である。
【図15】図14のXV-XV線における浴槽の断面図である。
【図16】図14のXVI-XVI線における浴槽の断面図である。
【図17】図14のXVII-XVII線における浴槽の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1等に本発明にかかる浴槽の設置構造および設置方法の例を示す。本発明にかかる設置構造は浴槽1を防水パン2に設置するための構造であって、ガイド部5上に載置された状態の浴槽1の突出部17がガイド面5aから落下するのを規制し、動かされた当該浴槽1が所定の設置位置に達したときに当該突出部17がガイド面5aから落下するのを許容して当該突出部17をパッキン(気密部材)40の上面の所定位置にガイドするものである。以下においてはまず浴室ユニットの各部について説明し、その後、浴槽1の設置構造について詳細に説明する。
【0024】
建築物内において浴室ユニットが設置されるスペースは、洗い場スペースと浴槽設置スペースとに大きく分けられる(図1参照)。洗い場スペースには洗い場床4が設置される。浴槽設置スペースは洗い場スペースに隣接し、その建築物床面上には、支持部材3が設置され、その支持部材3の上方に防水パン2と浴槽1が設置される(図2参照)。
【0025】
支持部材3は、柱状の金属材(鋼材)を縦横に組み合わせて構成され、浴槽水を溜めた状態で且つ入浴者が存在している状態の浴槽荷重を支えるのに十分な強度および耐久性を有する。
【0026】
支持部材3の上には防水パン2が支持されている。防水パン2は、当該防水パン2の外部に湯水を漏出させない防水性、および浴槽1に貯留された湯の保温性を実現するための断熱性を有し、例えば発泡系の断熱材からなる。また、防水パン2は、支持部材3の上に支持される底面部21と、この底面部21の周囲に設けられて上方に立ち上がるように延在する囲い壁22とを有する深底パン状に形成されている(図2等参照)。
【0027】
防水パン2の底面部21の上方であって且つ囲い壁22の内側には浴槽1が設置される。浴槽1は、浴槽水を貯留可能な内槽部11、内槽部11の上端縁部の周囲に、外方側に突出するように形成されたフランジ部12、排水孔14等を有する(図3等参照)。図1等に示す本実施形態の浴槽1は、平面視形状が略四角形(もしくは長円形状等でもよい)であり、一対の長辺側浴槽壁のうちの一方を洗い場側に向けて設置されている。
【0028】
浴槽1のフランジ部12において、洗い場側以外の3辺部の上には壁パネル載置部13が設けられている。壁パネル載置部13は、フランジ部12の外周側の縁部に設けられた例えばアングル部材であり、これら壁パネル載置部13には壁パネル60の下端が支持される(図3参照)。
【0029】
浴槽1の底部15における例えば四隅近傍には、支持脚16が設けられている(図2参照)。本実施形態における浴槽1の支持脚16は、防水パン2の上ではなく、防水パン2とは別に設けられた浴槽脚受け部材30の上にて支持されている。
【0030】
防水パン2の底面部21には貫通孔部21aが形成され、その貫通孔部21aには上述の浴槽脚受け部材30が水密に取り付けられている(図2参照)。本実施形態の浴槽脚受け部材30は、防水パン2の底面部21に固定された支持部材設置部31と、この支持部材設置部31に対して螺着して取り付けられた浴槽支持脚載置部32とを有している。浴槽脚受け部材30は、浴槽1の支持脚16の個数に対応した数が設置される。
【0031】
支持部材設置部31の下端部は、防水パン2の底面部21の裏側に露出し、支持部材3上に載置された状態で支持されている(図2参照)。浴槽支持脚載置部32の上端部は防水パン2の底面部21の上方の空間に露出し、その上に浴槽1の支持脚16が支持されている。かかる構成の場合、浴槽1、そのフランジ部12の上に支持された壁パネル60、内槽部11に溜められた湯水、入浴者などの荷重は、浴槽脚受け部材30を介して支持部材3に伝わる。浴槽脚受け部材30は、例えば発泡系断熱材が用いられている防水パン2より強度が大きい樹脂や金属材料から構成されており、上記荷重に対する十分な強度および耐久性を備えている。
【0032】
また、浴槽1のフランジ部12の裏側には下方に例えばリブ状に突出した突出部(以下、気密用リブともいう)17が設けられ、該気密用リブ17と囲い壁22の上端部22aとの間には、弾性変形可能であり且つ気密性を有する例えばゴム材料からなるパッキン(気密部材)40が介在している(図4、図5等参照)。本実施形態のパッキン40は、囲い壁22の上端部22aに周回するように配置される長尺物であり、囲い壁22の上端部22aの上に貼着されている。気密用リブ17の形状は特に限定されないが、例えば本実施形態では、浴槽1の内槽部11の周囲に、パッキン40と同様に周回する形状としている。また、本実施形態の気密用リブ17はパッキン40の幅よりも薄くなるように形成されている。さらに、本実施形態の気密用リブ17は、その下端を結ぶと面一となるように同一水平面状に形成されている。
【0033】
続いて、浴槽1の設置構造について説明する。
【0034】
防水パン2の囲い壁22の上端部22aには上述したようにパッキン40が設けられ、さらに、該パッキン40よりも高い位置にガイド面5aが形成された、例えば台座形状のガイド部5が設けられている(図6、図7参照)。ガイド部5は、当該ガイド部5上に載置された状態の浴槽1の気密用リブ17がガイド面5aから落下しないよう保持した状態を保ち、作業者(図8参照)によって動かされた当該浴槽1が所定の設置位置に達したとき、気密用リブ17がガイド面5aから落下するのを許容する。ガイド面5aの端まで移動した気密用リブ17は、当該ガイド面5aの端を滑落し、パッキン40の上面の所定位置に垂直に落し込まれる(図7等参照)。
【0035】
ガイド部5の設置位置は特に限定されないが、本実施形態では、防水パン2の壁パネル60寄り(洗い場床4から遠い側)の2箇所のコーナー部のそれぞれに設けている(図8等参照)。
【0036】
また、本実施形態では、ガイド部5のガイド面5aを、立ち上がり部24の上縁24a以下の高さに形成している(図7等参照)。この場合、浴槽1の一部がガイド部5の上面(ガイド面5a)に引っかかった状態となるのを回避することができる。なお、浴槽1のフランジ部12の裏側に裏リブ18が形成されている場合、当該裏リブ18は、一般的には気密用リブ17と同じ突出量、またはこれを上回る突出量となるように形成されている。こうした場合、ガイド部5に引っかかった状態となるのは特に作業者から直接目視することができない当該裏リブ18であるが、本実施形態によればこのような事態を回避することができる。
【0037】
また、本実施形態では、防水パン2に、パッキン40よりも高い上縁24aを有する立ち上がり部24を当該パッキン40の外側となる位置に設けている(図6、図7参照)。この立ち上がり部24は、浴槽1を防水パン2に設置する際、浴槽1が例えば所定の設置位置よりも奥側にあったり(図9参照)、左側にあったりした場合(図10参照)に、浴槽1の気密用リブ17に干渉した状態となる。このような状態の浴槽1を作業者が所定位置まで移動させると、気密用リブ17は立ち上がり部24と干渉した状態を脱し、当該立ち上がり部24から落下してパッキン40の上面に落し込まれる。
【0038】
ここで、浴槽1の設置態様の例を説明すると以下のとおりである(図8〜図11参照)。なお、以下でいう手前、奥、右、左は、防水パン2上に浴槽1を運び込む際の作業者の位置を基準としている(図8参照)。
【0039】
まず、作業者が浴槽1を持って防水パン2の短手方向の手前側から奥側へと運び、大まかに位置決めした状態で防水パン2上に置いた結果、作業者からみて当該浴槽1が所定の設置位置(図8参照)よりも奥側に位置した状態となった場合(図9参照)、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17は、図9中の矢印部分において防水パン2の立ち上がり部24に干渉した状態(載置した状態)となっている。この場合、作業者は、当該浴槽1をスライドさせながら手前へと徐々にずらせばよい。浴槽1の気密用リブ(突出部)17のうち奥側に位置する突出部(壁パネル60に沿った突出部)が、防水パン2の奥側の立ち上がり部24を超えて手前側まで移動すると、立ち上がり部24との干渉状態が脱して浴槽1が自然に落下する。このとき、当該気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことができるから、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができる(図8、図9参照)。
【0040】
また、作業者が浴槽1を大まかに位置決めした状態で防水パン2上に置いた結果、作業者からみて当該浴槽1が所定の設置位置(図8参照)よりも左側に位置した状態となった場合(図10参照)、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17は、図10中の矢印部分において防水パン2の立ち上がり部24に干渉した状態(載置した状態)となり、さらに、図10中の別矢印部分において、ガイド部5に干渉した状態(載置した状態)となっている。この場合、作業者は、当該浴槽1をスライドさせながら右側へと徐々にずらせばよい。浴槽1の左側に位置する気密用リブ17が防水パン2の左側の立ち上がり部24を超え、かつ、浴槽1の右側に位置する気密用リブ17がガイド部5のガイド面5aを超えるまで移動すると、立ち上がり部24およびガイド部5との干渉状態が脱して浴槽1が自然に落下する。このとき、当該気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことができるから、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができる(図8、図10参照)。
【0041】
あるいは、作業者が浴槽1を大まかに位置決めした状態で防水パン2上に置いた結果、作業者からみて当該浴槽1が所定の設置位置(図8参照)よりも手前側に位置した状態となった場合(図11参照)、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17は、2箇所のガイド部5のそれぞれに干渉した状態(載置した状態)となる。この場合、作業者は、当該浴槽1をスライドさせながら奥側へと徐々にずらせばよい。浴槽1の気密用リブ17がガイド部5のガイド面5aを超えるまで移動すると、ガイド部5との干渉状態が脱して浴槽1が自然に落下する。このとき、当該気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことができるから、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができる(図8、図11参照)。
【0042】
このような浴槽1の設置構造においては、ガイド面5aの端がパッキン40の幅方向略中央に位置していることが好ましい。このようなガイド部5は、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17を、パッキン40の幅方向略中央にガイドすることができる。例えば本実施形態では、ガイド部5の一部を奥側へ突出させた突出ガイド部5bとし(図12等参照)、当該突出ガイド部5bの先端まで浴槽1の気密用リブ17をガイドし、ガイド面5aからの落下が許容されたとき、当該気密用リブ17をパッキン40の幅方向略中央(図12中の一点鎖線参照)に落し込むようにしている。この場合、突出ガイド部5bはパッキン40の一部に圧接した状態となるため、当該箇所においてパッキン40は例えば半分程度の幅にまで潰れた状態となっている。
【0043】
あるいは、突出ガイド部5bのうちパッキン40よりも高い部分のみを奥側へ突出させた形状としてもよい(図13参照)。こうした場合、周回するパッキン40の一部を潰すことなく、突出ガイド部5bの先端まで浴槽1の気密用リブ17をガイドしてパッキン40の幅方向略中央に落し込むことができる。
【0044】
上述した浴槽1の設置構造によれば、作業者は、気密用リブ17の下端がガイド部5のガイド面5aあるいは防水パン2の立ち上がり部24に干渉させた状態(仮置きした状態)で浴槽1を所定の設置位置に移動(例えばスライド)させることで、気密用リブ17の下端がパッキン40の上面に落下するようにガイドすることが可能である。これによれば、作業者の熟練度や、浴槽1の大きさないし形状といった違い等にかかわらず、当該フランジ部12裏側の気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができるようになる。
【0045】
しかも、設置時、浴槽1は、所定の設置位置に達するまでは、フランジ部12裏側の気密用リブ17がガイド部5ないしは立ち上がり部24に載置された干渉状態にあり、落下が規制されていることから、その間は浴槽1の全体が傾いたり、移動中にがたついたりすることがある。このような不安定な状態にあれば、作業者は浴槽1が所定の設置位置に達していないこと、つまりは浴槽1の設置が完了していないことを容易に認識することができる。
【0046】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態ではガイド部5を2箇所のコーナー部のそれぞれ設けた場合について説明したが、この他、例えばこれら両ガイド部5の間にさらに別のガイド部5を設ける等してもよい(図6等参照)。ただし、浴槽1のフランジ部12の裏側に裏リブ18が形成されている場合、ガイド部5はこれら裏リブ18との干渉を避ける位置および高さに形成されていることが好ましい(図17等参照)。また、所要の強度を確保しうる範囲で裏リブ18を狭小化し、ガイド部5の設計に余裕をつくることも好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1:浴槽
2:防水パン
5:ガイド部
5a:ガイド面
11:内槽部
12:フランジ部
17:気密用リブ(突出部)
18:裏リブ
40:パッキン(気密部材)
21:防水パンの底面部
22:囲い壁
22a:上端部
24:立ち上がり部
24a:上縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の設置構造および設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室ユニットとして、底面と囲い壁を有する防水パンに浴槽を設置し、当該浴槽のフランジ部(浴槽の内壁の上端から外周側へせり出す部分)にユニット等の壁パネルを設置する構造のものが利用されている。また、浴槽のフランジ部の裏側には下方への突出部が形成されており、該突出部と防水パンの囲い壁の上端部との間に気密部材(パッキン)が挟み込まれている。突出部と囲い壁とがこの気密部材を押し潰した状態で挟み込むことにより、浴槽と防水パンとの間の隙間が気密に閉塞され、浴槽の外側と囲い壁の内側との間の湿気が建築躯体側に漏出するのを抑制することができる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、浴室ユニットを施工するにあたっては、浴室内に固定された状態の防水パンに対し、作業者が浴槽を防水パン上まで持ち運び、およそ所定の位置にて、突出部と防水パンの囲い壁との間で気密部材を挟み込むように当該浴槽を位置合わせしながら下ろすというような設置態様が一般に多いというのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−91812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユニットバスの他の部材に比べ重い浴槽を持ち運びするのは困難な作業であり、フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込ませることも大変困難な作業である。また、設置作業がうまくいかず、気密部材に対してフランジ部裏の突出部を垂直に落し込ませることができなかった場合には、気密部材を十分に押し潰すことができないため、浴槽のフランジ部と防水パンの囲い壁との間の隙間が気密に閉塞されず、浴槽の外側と囲い壁の内側との間の湿気が建築躯体側に漏出してしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、浴槽のフランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易であり、防水パン内の気密性をより確実に確保することを可能にする浴槽の設置構造および設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するべく本発明者は、まずは浴槽設置の実情に着目して種々の検討を行った。通常、防水パンおよび浴槽は浴室内の壁付近に取り付けられるから、防水パンに浴槽を設置するにあたっては、当該浴槽と壁との間に作業者が介入しながら作業することができず、したがって作業者は、浴室中央から壁を向いた姿勢で浴槽を持ち運ぶしかない。この場合、浴槽の相対位置を目視で確認しながらの作業は困難であるため、例えば事前に所定位置をある程度確認しておき、所定位置だと思われるあたりで位置合わせしながら浴槽をゆっくりと下ろす、あるいは浴槽をいったん下ろしてから浴槽位置を微調整するといったように設置作業に手間を要する。当該設置作業を作業者一人で行わなければならないのであればその手間は尚更である。ところが、浴槽設置にはこのように手間を要するにもかかわらず、防水パン内の気密性を確実に確保するための措置は講じられていないため、各作業者の熟練度によっては気密性に違いが生じうる。
【0008】
上述のごとき検討結果に基づき、防水パン内の気密性をいかに確保するかについてさらに検討を重ねた本発明者は、課題の解決に結び付く知見を得るに至った。本発明はかかる知見に基づくものであり、浴槽を防水パンに設置するための構造であって、浴槽は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有し、該浴槽の下側に配置される防水パンは、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁とを有するとともに、該囲い壁の上端部には、浴槽と防水パンとの間の隙間を閉塞するための気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部とが配置され、該ガイド部は、浴槽を防水パンに設置する際、当該ガイド部上に載置された状態の浴槽の突出部がガイド面から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに当該突出部がガイド面から落下するのを許容して当該突出部を気密部材の上面の所定位置にガイドするものであることを特徴とする。
【0009】
かかる浴槽の設置構造におけるガイド部は、作業者が浴槽を防水パン内の大まかな位置に位置決めした際に、浴槽のフランジ部裏の突出部の下端が当該ガイド部の上面(ガイド面)に当接して載置されるように配置されている。作業者にとってみれば、突出部の下端がガイド部のガイド面に載置された状態で浴槽を所定の設置位置に移動(例えばスライド)させることで、突出部の下端が気密部材の上面に落下するようにガイドすることが可能である。これによれば、作業者の熟練度、浴槽の大きさや形状の違いなどにかかわらず、当該フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができるようになる。このことは、浴槽設置態様の実情、すなわち、浴室内に固定された状態の防水パンに対し、作業者が浴槽を防水パン上まで持ち運び、およそ所定の位置にて気密部材を挟み込むように当該浴槽を位置合わせしながら下ろすというような設置態様の実情に照らせば、気密部材を目視できなくても浴槽を所定位置に設置することが可能となる点で好適であり、仮に作業者一人であっても確実な設置作業が可能になる点でも好適である。
【0010】
しかも、設置時、浴槽は、所定の設置位置に達するまではガイド面によって落下が規制され、フランジ部裏の突出部がガイド部上に載置された状態にあることから、その間は全体が傾いていたり、移動中にがたついたりする。このような不安定な状態にあれば、作業者は浴槽が所定の設置位置に達していないこと、つまりは浴槽の設置が完了していないことを容易に認識することができる。
【0011】
このような浴槽の設置構造においては、防水パンに、気密部材よりも高い上縁を有する立ち上がり部が気密部材の外側に設けられており、当該立ち上がり部は、浴槽を防水パンに設置する際、当該立ち上がり部上に載置された状態(干渉した状態)の浴槽の突出部が当該立ち上がり部から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに突出部が当該突出部から気密部材の上面に落下するのを許容することが好ましい。例えば、設置時、浴槽をガイド部よりも奥に載せてしまった場合でも、当該浴槽を手前にスライドさせて引き出せばフランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことができ、防水パン内の気密性をより確実に確保することができる。浴槽が左右方向にずれた場合でも同様にしてフランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことができる。
【0012】
また、浴槽の設置構造においては、ガイド面の端が気密部材の幅方向略中央に位置していることが好ましい。このようなガイド部は、浴槽のフランジ部裏の突出部を、気密部材の幅方向略中央にガイドする。
【0013】
また、気密部材は、囲い壁の上端部に周回するように配置される長尺物であり、ガイド部は、当該気密部材の一部に圧接し、当該圧接される気密部材の幅方向略中央にガイド面の端を位置させるものが好ましい。この場合、突出部の下端を、(ガイド部から圧接されていない)気密部材の幅方向略中央に垂直に落し込むことがより容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができる。
【0014】
さらに、ガイド部のガイド面は、立ち上がり部の上縁以下の高さに形成されていることが好ましい。この場合、浴槽の一部がガイド部の上面(ガイド面)に引っかかった状態となるのを回避することができる。
【0015】
ガイド部は、防水パンのコーナー部に設けられていることが好ましい。防水パンのコーナー部は干渉する部材が少ないことから、こうした場合には浴槽の形状に対する制約を少なくすることができる。
【0016】
また、かかる設置構造において、ガイド部は、浴槽のフランジ部の裏側に形成されている裏リブとの干渉を避ける位置および高さに形成されていることが好ましい。浴槽において所要の強度を確保するための一手段として、フランジの裏側に補強用の裏リブが例えば放射状に形成されることがある。このような場合、これら補強用の裏リブとの干渉を避けるようにガイド部が形成されていれば、既存の浴槽(の裏リブ)に設計変更を来すことなく本発明を適用することができる。
【0017】
また、本発明にかかる浴槽の設置方法は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有する浴槽を、該浴槽の下側に配置される防水パンであって、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁と、該囲い壁の上端部に配置された気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部と、を有する防水パンに設置する際、突出部の少なくとも一部がガイド部上に載置された状態となるように浴槽を防水パン上に置き、該防水パン上で浴槽を移動させ、ガイド部のガイド面の端から突出部を落下させ、浴槽の突出部を気密部材の上面の所定位置にガイドすることを特徴とするものである。
【0018】
ガイド部は、作業者が浴槽を防水パン内の大まかな位置に位置決めした際に、浴槽のフランジ部裏の突出部の下端が当該ガイド部の上面(ガイド面)に当接して載置されるように配置されている。作業者は、突出部の下端がガイド部のガイド面に載置された状態で浴槽を所定の設置位置に移動(例えばスライド)させることで、突出部の下端が気密部材の上面に落下するようにガイドすることが可能である。これによれば、作業者の熟練度、浴槽の大きさや形状の違いなどにかかわらず、当該フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができるようになる。
【0019】
しかも、設置時、浴槽は、所定の設置位置に達するまではガイド面によって落下が規制され、フランジ部裏の突出部がガイド部上に載置された状態にあることから、その間は全体が傾いていたり、移動中にがたついたりする。このような不安定な状態にあれば、作業者は浴槽が所定の設置位置に達していないこと、つまりは浴槽の設置が完了していないことを容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フランジ部裏の突出部を気密部材に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン内の気密性をより確実に確保することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】浴室ユニットの一例を示す平面図である。
【図2】図1のII-II線における浴槽および防水パンの断面図である。
【図3】図1のIII-III線における浴室ユニット等の断面を参考として示す図である。
【図4】浴槽のフランジ部の突出部と囲い壁の上端部、およびこれらの間に介在する気密部材の斜視図である。
【図5】図4に示した突出部と上端部とが気密部材を挟み込んだ様子を示す斜視図である。
【図6】防水パンの囲い壁のコーナー部に設けられた台座形状のガイド部の一例を示す斜視図である。
【図7】ガイド部の付近における浴槽のフランジ部の突出部、囲い壁の上端部、気密部材などの断面図である。
【図8】防止パン上の所定の設置位置に浴槽が設置された様子を示す平面図である。
【図9】防止パン上の所定の設置位置よりも奥側に浴槽が載置された様子を示す平面図である。
【図10】防止パン上の所定の設置位置よりも左側に浴槽が載置された様子を示す平面図である。
【図11】防止パン上の所定の設置位置よりも手前側に浴槽が載置された様子を示す平面図である。
【図12】突出ガイド部が形成されたガイド部とその周辺部の構成例を示す平面図である。
【図13】突出ガイド部のうちパッキンよりも高い部分のみを奥側へ突出させた形状のガイド部およびその周辺部の構成例を示す断面図である。
【図14】フランジ部の裏側に裏リブ(ただし図示しているのはその一部)が形成された浴槽の平面図である。
【図15】図14のXV-XV線における浴槽の断面図である。
【図16】図14のXVI-XVI線における浴槽の断面図である。
【図17】図14のXVII-XVII線における浴槽の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1等に本発明にかかる浴槽の設置構造および設置方法の例を示す。本発明にかかる設置構造は浴槽1を防水パン2に設置するための構造であって、ガイド部5上に載置された状態の浴槽1の突出部17がガイド面5aから落下するのを規制し、動かされた当該浴槽1が所定の設置位置に達したときに当該突出部17がガイド面5aから落下するのを許容して当該突出部17をパッキン(気密部材)40の上面の所定位置にガイドするものである。以下においてはまず浴室ユニットの各部について説明し、その後、浴槽1の設置構造について詳細に説明する。
【0024】
建築物内において浴室ユニットが設置されるスペースは、洗い場スペースと浴槽設置スペースとに大きく分けられる(図1参照)。洗い場スペースには洗い場床4が設置される。浴槽設置スペースは洗い場スペースに隣接し、その建築物床面上には、支持部材3が設置され、その支持部材3の上方に防水パン2と浴槽1が設置される(図2参照)。
【0025】
支持部材3は、柱状の金属材(鋼材)を縦横に組み合わせて構成され、浴槽水を溜めた状態で且つ入浴者が存在している状態の浴槽荷重を支えるのに十分な強度および耐久性を有する。
【0026】
支持部材3の上には防水パン2が支持されている。防水パン2は、当該防水パン2の外部に湯水を漏出させない防水性、および浴槽1に貯留された湯の保温性を実現するための断熱性を有し、例えば発泡系の断熱材からなる。また、防水パン2は、支持部材3の上に支持される底面部21と、この底面部21の周囲に設けられて上方に立ち上がるように延在する囲い壁22とを有する深底パン状に形成されている(図2等参照)。
【0027】
防水パン2の底面部21の上方であって且つ囲い壁22の内側には浴槽1が設置される。浴槽1は、浴槽水を貯留可能な内槽部11、内槽部11の上端縁部の周囲に、外方側に突出するように形成されたフランジ部12、排水孔14等を有する(図3等参照)。図1等に示す本実施形態の浴槽1は、平面視形状が略四角形(もしくは長円形状等でもよい)であり、一対の長辺側浴槽壁のうちの一方を洗い場側に向けて設置されている。
【0028】
浴槽1のフランジ部12において、洗い場側以外の3辺部の上には壁パネル載置部13が設けられている。壁パネル載置部13は、フランジ部12の外周側の縁部に設けられた例えばアングル部材であり、これら壁パネル載置部13には壁パネル60の下端が支持される(図3参照)。
【0029】
浴槽1の底部15における例えば四隅近傍には、支持脚16が設けられている(図2参照)。本実施形態における浴槽1の支持脚16は、防水パン2の上ではなく、防水パン2とは別に設けられた浴槽脚受け部材30の上にて支持されている。
【0030】
防水パン2の底面部21には貫通孔部21aが形成され、その貫通孔部21aには上述の浴槽脚受け部材30が水密に取り付けられている(図2参照)。本実施形態の浴槽脚受け部材30は、防水パン2の底面部21に固定された支持部材設置部31と、この支持部材設置部31に対して螺着して取り付けられた浴槽支持脚載置部32とを有している。浴槽脚受け部材30は、浴槽1の支持脚16の個数に対応した数が設置される。
【0031】
支持部材設置部31の下端部は、防水パン2の底面部21の裏側に露出し、支持部材3上に載置された状態で支持されている(図2参照)。浴槽支持脚載置部32の上端部は防水パン2の底面部21の上方の空間に露出し、その上に浴槽1の支持脚16が支持されている。かかる構成の場合、浴槽1、そのフランジ部12の上に支持された壁パネル60、内槽部11に溜められた湯水、入浴者などの荷重は、浴槽脚受け部材30を介して支持部材3に伝わる。浴槽脚受け部材30は、例えば発泡系断熱材が用いられている防水パン2より強度が大きい樹脂や金属材料から構成されており、上記荷重に対する十分な強度および耐久性を備えている。
【0032】
また、浴槽1のフランジ部12の裏側には下方に例えばリブ状に突出した突出部(以下、気密用リブともいう)17が設けられ、該気密用リブ17と囲い壁22の上端部22aとの間には、弾性変形可能であり且つ気密性を有する例えばゴム材料からなるパッキン(気密部材)40が介在している(図4、図5等参照)。本実施形態のパッキン40は、囲い壁22の上端部22aに周回するように配置される長尺物であり、囲い壁22の上端部22aの上に貼着されている。気密用リブ17の形状は特に限定されないが、例えば本実施形態では、浴槽1の内槽部11の周囲に、パッキン40と同様に周回する形状としている。また、本実施形態の気密用リブ17はパッキン40の幅よりも薄くなるように形成されている。さらに、本実施形態の気密用リブ17は、その下端を結ぶと面一となるように同一水平面状に形成されている。
【0033】
続いて、浴槽1の設置構造について説明する。
【0034】
防水パン2の囲い壁22の上端部22aには上述したようにパッキン40が設けられ、さらに、該パッキン40よりも高い位置にガイド面5aが形成された、例えば台座形状のガイド部5が設けられている(図6、図7参照)。ガイド部5は、当該ガイド部5上に載置された状態の浴槽1の気密用リブ17がガイド面5aから落下しないよう保持した状態を保ち、作業者(図8参照)によって動かされた当該浴槽1が所定の設置位置に達したとき、気密用リブ17がガイド面5aから落下するのを許容する。ガイド面5aの端まで移動した気密用リブ17は、当該ガイド面5aの端を滑落し、パッキン40の上面の所定位置に垂直に落し込まれる(図7等参照)。
【0035】
ガイド部5の設置位置は特に限定されないが、本実施形態では、防水パン2の壁パネル60寄り(洗い場床4から遠い側)の2箇所のコーナー部のそれぞれに設けている(図8等参照)。
【0036】
また、本実施形態では、ガイド部5のガイド面5aを、立ち上がり部24の上縁24a以下の高さに形成している(図7等参照)。この場合、浴槽1の一部がガイド部5の上面(ガイド面5a)に引っかかった状態となるのを回避することができる。なお、浴槽1のフランジ部12の裏側に裏リブ18が形成されている場合、当該裏リブ18は、一般的には気密用リブ17と同じ突出量、またはこれを上回る突出量となるように形成されている。こうした場合、ガイド部5に引っかかった状態となるのは特に作業者から直接目視することができない当該裏リブ18であるが、本実施形態によればこのような事態を回避することができる。
【0037】
また、本実施形態では、防水パン2に、パッキン40よりも高い上縁24aを有する立ち上がり部24を当該パッキン40の外側となる位置に設けている(図6、図7参照)。この立ち上がり部24は、浴槽1を防水パン2に設置する際、浴槽1が例えば所定の設置位置よりも奥側にあったり(図9参照)、左側にあったりした場合(図10参照)に、浴槽1の気密用リブ17に干渉した状態となる。このような状態の浴槽1を作業者が所定位置まで移動させると、気密用リブ17は立ち上がり部24と干渉した状態を脱し、当該立ち上がり部24から落下してパッキン40の上面に落し込まれる。
【0038】
ここで、浴槽1の設置態様の例を説明すると以下のとおりである(図8〜図11参照)。なお、以下でいう手前、奥、右、左は、防水パン2上に浴槽1を運び込む際の作業者の位置を基準としている(図8参照)。
【0039】
まず、作業者が浴槽1を持って防水パン2の短手方向の手前側から奥側へと運び、大まかに位置決めした状態で防水パン2上に置いた結果、作業者からみて当該浴槽1が所定の設置位置(図8参照)よりも奥側に位置した状態となった場合(図9参照)、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17は、図9中の矢印部分において防水パン2の立ち上がり部24に干渉した状態(載置した状態)となっている。この場合、作業者は、当該浴槽1をスライドさせながら手前へと徐々にずらせばよい。浴槽1の気密用リブ(突出部)17のうち奥側に位置する突出部(壁パネル60に沿った突出部)が、防水パン2の奥側の立ち上がり部24を超えて手前側まで移動すると、立ち上がり部24との干渉状態が脱して浴槽1が自然に落下する。このとき、当該気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことができるから、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができる(図8、図9参照)。
【0040】
また、作業者が浴槽1を大まかに位置決めした状態で防水パン2上に置いた結果、作業者からみて当該浴槽1が所定の設置位置(図8参照)よりも左側に位置した状態となった場合(図10参照)、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17は、図10中の矢印部分において防水パン2の立ち上がり部24に干渉した状態(載置した状態)となり、さらに、図10中の別矢印部分において、ガイド部5に干渉した状態(載置した状態)となっている。この場合、作業者は、当該浴槽1をスライドさせながら右側へと徐々にずらせばよい。浴槽1の左側に位置する気密用リブ17が防水パン2の左側の立ち上がり部24を超え、かつ、浴槽1の右側に位置する気密用リブ17がガイド部5のガイド面5aを超えるまで移動すると、立ち上がり部24およびガイド部5との干渉状態が脱して浴槽1が自然に落下する。このとき、当該気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことができるから、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができる(図8、図10参照)。
【0041】
あるいは、作業者が浴槽1を大まかに位置決めした状態で防水パン2上に置いた結果、作業者からみて当該浴槽1が所定の設置位置(図8参照)よりも手前側に位置した状態となった場合(図11参照)、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17は、2箇所のガイド部5のそれぞれに干渉した状態(載置した状態)となる。この場合、作業者は、当該浴槽1をスライドさせながら奥側へと徐々にずらせばよい。浴槽1の気密用リブ17がガイド部5のガイド面5aを超えるまで移動すると、ガイド部5との干渉状態が脱して浴槽1が自然に落下する。このとき、当該気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことができるから、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができる(図8、図11参照)。
【0042】
このような浴槽1の設置構造においては、ガイド面5aの端がパッキン40の幅方向略中央に位置していることが好ましい。このようなガイド部5は、浴槽1のフランジ部12裏の気密用リブ17を、パッキン40の幅方向略中央にガイドすることができる。例えば本実施形態では、ガイド部5の一部を奥側へ突出させた突出ガイド部5bとし(図12等参照)、当該突出ガイド部5bの先端まで浴槽1の気密用リブ17をガイドし、ガイド面5aからの落下が許容されたとき、当該気密用リブ17をパッキン40の幅方向略中央(図12中の一点鎖線参照)に落し込むようにしている。この場合、突出ガイド部5bはパッキン40の一部に圧接した状態となるため、当該箇所においてパッキン40は例えば半分程度の幅にまで潰れた状態となっている。
【0043】
あるいは、突出ガイド部5bのうちパッキン40よりも高い部分のみを奥側へ突出させた形状としてもよい(図13参照)。こうした場合、周回するパッキン40の一部を潰すことなく、突出ガイド部5bの先端まで浴槽1の気密用リブ17をガイドしてパッキン40の幅方向略中央に落し込むことができる。
【0044】
上述した浴槽1の設置構造によれば、作業者は、気密用リブ17の下端がガイド部5のガイド面5aあるいは防水パン2の立ち上がり部24に干渉させた状態(仮置きした状態)で浴槽1を所定の設置位置に移動(例えばスライド)させることで、気密用リブ17の下端がパッキン40の上面に落下するようにガイドすることが可能である。これによれば、作業者の熟練度や、浴槽1の大きさないし形状といった違い等にかかわらず、当該フランジ部12裏側の気密用リブ17をパッキン40に対して垂直に落し込むことが容易となり、防水パン2内の気密性をより確実に確保することができるようになる。
【0045】
しかも、設置時、浴槽1は、所定の設置位置に達するまでは、フランジ部12裏側の気密用リブ17がガイド部5ないしは立ち上がり部24に載置された干渉状態にあり、落下が規制されていることから、その間は浴槽1の全体が傾いたり、移動中にがたついたりすることがある。このような不安定な状態にあれば、作業者は浴槽1が所定の設置位置に達していないこと、つまりは浴槽1の設置が完了していないことを容易に認識することができる。
【0046】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態ではガイド部5を2箇所のコーナー部のそれぞれ設けた場合について説明したが、この他、例えばこれら両ガイド部5の間にさらに別のガイド部5を設ける等してもよい(図6等参照)。ただし、浴槽1のフランジ部12の裏側に裏リブ18が形成されている場合、ガイド部5はこれら裏リブ18との干渉を避ける位置および高さに形成されていることが好ましい(図17等参照)。また、所要の強度を確保しうる範囲で裏リブ18を狭小化し、ガイド部5の設計に余裕をつくることも好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1:浴槽
2:防水パン
5:ガイド部
5a:ガイド面
11:内槽部
12:フランジ部
17:気密用リブ(突出部)
18:裏リブ
40:パッキン(気密部材)
21:防水パンの底面部
22:囲い壁
22a:上端部
24:立ち上がり部
24a:上縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽を防水パンに設置するための構造であって、
前記浴槽は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有し、
該浴槽の下側に配置される前記防水パンは、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁とを有するとともに、該囲い壁の上端部には、前記浴槽と前記防水パンとの間の隙間を閉塞するための気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部とが配置され、
該ガイド部は、前記浴槽を前記防水パンに設置する際、当該ガイド部上に載置された状態の前記浴槽の前記突出部が前記ガイド面から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに当該突出部が前記ガイド面から落下するのを許容して当該突出部を前記気密部材の上面の所定位置にガイドするものであることを特徴とする浴槽の設置構造。
【請求項2】
前記防水パンに、前記気密部材よりも高い上縁を有する立ち上がり部が前記気密部材の外側に設けられており、当該立ち上がり部は、前記浴槽を前記防水パンに設置する際、当該立ち上がり部上に干渉した状態の前記浴槽の前記突出部が当該立ち上がり部から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに前記突出部が当該突出部から前記気密部材の上面に落下するのを許容することを特徴とする請求項1に記載の浴槽の設置構造。
【請求項3】
前記ガイド面の端が前記気密部材の幅方向略中央に位置している、請求項1または2に記載の浴槽の設置構造。
【請求項4】
前記気密部材は、前記囲い壁の上端部に周回するように配置される長尺物であり、前記ガイド部は、当該気密部材の一部に圧接し、当該圧接される前記気密部材の幅方向略中央に前記ガイド面の端を位置させることを特徴とする請求項3に記載の浴槽の設置構造。
【請求項5】
前記ガイド部のガイド面は、前記立ち上がり部の上端以下の高さに形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の浴槽の設置構造。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記防水パンのコーナー部に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の浴槽の設置構造。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記浴槽の前記フランジ部の裏側に形成されている裏リブとの干渉を避ける位置および高さに形成されていることを特徴とする請求項6に記載の浴槽の設置構造。
【請求項8】
内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有する浴槽を、
該浴槽の下側に配置される前記防水パンであって、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁と、該囲い壁の上端部に配置された気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部と、を有する防水パンに設置する際、
前記突出部の少なくとも一部が前記ガイド部上に載置された状態となるように前記浴槽を防水パン上に置き、
該防水パン上で前記浴槽を移動させ、
前記ガイド部のガイド面の端から前記突出部を落下させ、前記浴槽の前記突出部を前記気密部材の上面の所定位置にガイドすることを特徴とする浴槽の設置方法。
【請求項1】
浴槽を防水パンに設置するための構造であって、
前記浴槽は、内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有し、
該浴槽の下側に配置される前記防水パンは、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁とを有するとともに、該囲い壁の上端部には、前記浴槽と前記防水パンとの間の隙間を閉塞するための気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部とが配置され、
該ガイド部は、前記浴槽を前記防水パンに設置する際、当該ガイド部上に載置された状態の前記浴槽の前記突出部が前記ガイド面から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに当該突出部が前記ガイド面から落下するのを許容して当該突出部を前記気密部材の上面の所定位置にガイドするものであることを特徴とする浴槽の設置構造。
【請求項2】
前記防水パンに、前記気密部材よりも高い上縁を有する立ち上がり部が前記気密部材の外側に設けられており、当該立ち上がり部は、前記浴槽を前記防水パンに設置する際、当該立ち上がり部上に干渉した状態の前記浴槽の前記突出部が当該立ち上がり部から落下するのを規制し、動かされた当該浴槽が所定の設置位置に達したときに前記突出部が当該突出部から前記気密部材の上面に落下するのを許容することを特徴とする請求項1に記載の浴槽の設置構造。
【請求項3】
前記ガイド面の端が前記気密部材の幅方向略中央に位置している、請求項1または2に記載の浴槽の設置構造。
【請求項4】
前記気密部材は、前記囲い壁の上端部に周回するように配置される長尺物であり、前記ガイド部は、当該気密部材の一部に圧接し、当該圧接される前記気密部材の幅方向略中央に前記ガイド面の端を位置させることを特徴とする請求項3に記載の浴槽の設置構造。
【請求項5】
前記ガイド部のガイド面は、前記立ち上がり部の上端以下の高さに形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の浴槽の設置構造。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記防水パンのコーナー部に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の浴槽の設置構造。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記浴槽の前記フランジ部の裏側に形成されている裏リブとの干渉を避ける位置および高さに形成されていることを特徴とする請求項6に記載の浴槽の設置構造。
【請求項8】
内槽部の上端縁から外方側に突出形成されたフランジ部と、該フランジ部の裏側から下方側に突出形成された突出部とを有する浴槽を、
該浴槽の下側に配置される前記防水パンであって、底面部と、該底面部の周縁から上方に立ち上がる囲い壁と、該囲い壁の上端部に配置された気密部材と、該気密部材よりも高い位置にガイド面が形成されたガイド部と、を有する防水パンに設置する際、
前記突出部の少なくとも一部が前記ガイド部上に載置された状態となるように前記浴槽を防水パン上に置き、
該防水パン上で前記浴槽を移動させ、
前記ガイド部のガイド面の端から前記突出部を落下させ、前記浴槽の前記突出部を前記気密部材の上面の所定位置にガイドすることを特徴とする浴槽の設置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図17】
【公開番号】特開2011−245132(P2011−245132A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123202(P2010−123202)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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