説明

浴槽ユニット

【課題】洗い場の人物と入浴者とのコミュニケーション、又は入浴時の窓を介した開放感を、入浴者のニーズに応じて得ることができる浴槽ユニットを提供する。
【達成手段】浴槽3の上縁の框21の短辺22同士及び長辺23同士をそれぞれ同一長さに形成して浴槽3の設置方向を左右自在に反転させて設置できるようにした浴槽ユニットを前提とする。框21の一方の長辺23に洗い場3が隣接しているとともに、他方の長辺23に出窓15が隣接している。そして、框21の一方又は他方の長辺23側に位置する浴槽3の壁面202に、浴槽3への入浴時に腰掛け可能な段部28を内方へ膨出させて設けている。框21の両短辺22を990mmの寸法に設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の設置方向を左右自在に設置できるようにした浴槽ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種浴槽ユニットとしては、浴槽の上縁より外側に張り出す略矩形枠状の框を有し、この框の短辺同士及び長辺同士をそれぞれ同一長さに形成して前記浴槽の設置方向を左右自在に設置できるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−34991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のものでは、浴槽に入浴した際に框の両短辺のうちの一方から他方に向かって足を延ばした入浴姿勢となる。このため、框の両長辺のうちの一方の長辺に洗い場が隣接して設けられていても、入浴者の顔が他方の短辺側を向いた状態となるため、洗い場の人物と入浴者との視線が合い難く、互いにコミュニケーションが得難い。一方、框の両長辺のうちの他方の長辺に窓が隣接して設けられている場合には、入浴者の視線が窓に向き辛いものとなり、入浴時に窓を介した開放感を得難い。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入浴者のニーズに応じて、洗い場の人物と入浴者とのコミュニケーションを得たり、入浴時の窓を介した開放感を得たりすることができる浴槽ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明が講じた解決手段は、浴槽の上縁より外側に張り出す略矩形枠状の框を有し、この框の短辺同士及び長辺同士がそれぞれ同一長さに形成されて前記浴槽の設置方向を左右自在に設置できるようにした浴槽ユニットを前提とする。更に、 前記框の両長辺側のうちの一方の長辺側に位置する前記浴槽の壁面に、前記浴槽への入浴時に当該框の一方の長辺側に入浴者が背を付けて腰掛け可能な段部を設け、前記框の一方の長辺に、洗い場を隣接して設けるとともに、前記框の他方の長辺に、窓を隣接して設ける。そして、前記浴槽を、前記段部に腰掛けた入浴者が前記窓に対面するように設置している。
この特定事項により、洗い場に隣接する框の一方の長辺側に位置する浴槽の壁面に段部を設け、この段部に腰掛けた入浴者が窓に対面するように浴槽が設置されているので、入浴時に段部に腰掛けた入浴者の顔が窓向きとなり、視線が窓に向いて窓を介した開放感が得られる。これにより、入浴者のニーズに応じた浴槽ユニットを提供することが可能となる。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明が講じたその他の解決手段は、浴槽の上縁より外側に張り出す略矩形枠状の框を有し、この框の短辺同士及び長辺同士がそれぞれ同一長さに形成されて前記浴槽の設置方向を左右自在に設置できるようにした浴槽ユニットを同様に前提とする。更に、前記框の両長辺側のうちの一方の長辺側に位置する前記浴槽の壁面に、前記浴槽への入浴時に当該框の一方の長辺に入浴者が背を付けて腰掛け可能な段部を設けるとともに、前記框の他方の長辺に、浴室への入室者が前記浴槽向きに着座可能なベンチを備えた洗い場を隣接して設ける。そして、前記浴槽を、前記段部に腰掛けた入浴者が前記ベンチに着座した入室者に対面するように設置している。
この特定事項により、洗い場に離反する框の一方の長辺側に位置する浴槽の壁面に段部を設け、この段部に腰掛けた入浴者が洗い場のベンチに着座した入室者に対面するように浴槽が設置されているので、入浴時に段部に腰掛けた入浴者と洗い場のベンチに着座した入室者とが互いに向き合えて互いの視線が合い、互いにコミュニケーションが得られる。これにより、入浴者のニーズに応じた浴槽ユニットを提供することが可能となる。
【0008】
また、前記段部を、前記框の両短辺のうちの一方の短辺に近接して設けることが好ましい。
この場合には、段部が框の一方の短辺に近接しているので、他方の短辺側に入浴した入浴者と段部に着座した入浴者とが同じ方向を向いて並んで入浴できる。これにより、二人の入浴者が洗い場を向いて入浴していれば洗い場のベンチに着座した入室者とのコミュニケーションを、二人の入浴者が窓を向いて入浴していれば窓を介した開放感を、それぞれのニーズに応じて得ることができる。
しかも、他方の短辺側に入浴した大人の入浴者と段部に着座した子供の入浴者とが同じ方向を向いて並んで入浴することができ、大人と子供とのコミュニケーションを図ることができる。
【0009】
また、前記段部を、前記浴槽への入浴時に大人の入浴者が腰掛けた状態での半身浴を可能とする高さに設定することが好ましい。
この場合には、段部が大人の入浴者の半身浴を可能とする高さに設定されているので、段部に腰掛けた状態での半身浴と、段部に腰掛けない状態での全身浴とを入浴時に選択することができる。
【0010】
また、前記框の両短辺に浴室の壁面を隣接して設け、前記段部と離反する前記框の他方の短辺側に位置する浴室の壁面に、前記浴槽への入浴を誘導する手摺を設けることが好ましい。
この場合には、段部と離反する框の他方の短辺側の浴室の壁面に手摺が設けられているので、手摺に誘導されて入浴する入浴者は、段部と反対側の短辺側から入浴される。このため、手摺に誘導された入浴者が入浴時に段部に誤って足を取られることが確実に防止され、入浴者の誘導を円滑に行うことができる。
【0011】
また、前記框の両短辺を、990mm以上の寸法に設定することが好ましい。
この場合には、框の両短辺が990mm以上の寸法に設定されているので、浴槽の長辺同士の間の寸法が十分に得られ、他方の短辺側に入浴した入浴者が余裕を持って入浴できる。しかも、段部に入浴者が着座した状態で、他方の短辺側に入浴した入浴者が一方の短辺側に足を延ばすこともできる。
【0012】
更に、前記洗い場と離反する前記浴槽の壁面に、前記浴槽への入浴時に把持可能なグリップを設けることが好ましい。
この場合には、洗い場と離反する浴槽の壁面にグリップが設けられているので、框の両短辺が990mm以上の寸法に設定された幅広な浴槽への入浴時に入浴者がグリップを把持して出入りすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、要するに、段部に腰掛けた入浴者が窓に対面するように浴槽を設置したり、段部に腰掛けた入浴者が洗い場のベンチに着座した入室者に対面するように浴槽を設置したりすることで、入浴者のニーズに応じて、入浴時に段部に腰掛けた入浴者の顔が窓向きとなって窓を介した開放感、又は入浴時に段部に腰掛けた入浴者と洗い場のベンチに着座した入室者との互いの視線が合わせてコミュニケーションを得ることができる浴槽ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る浴槽ユニットを適用した浴室を上方から見た斜視図である。
【図2】図1の浴槽を長辺の長手方向中央位置付近において切断した縦断側面図である。
【図3】図1の浴槽の斜視図である。
【図4】図3の浴槽を上方から見た平面図である。
【図5】浴槽の段部に大人が腰掛けた状態を示す図1相当図である。
【図6】段部に子供が腰掛けた状態で大人と並んで入浴している状態を示す図4相当図である。
【図7】段部に子供が腰掛けた状態で大人が足を延ばして入浴している状態を示す図4相当図である。
【図8】段部に子供が足を置いた状態で大人が足を延ばして入浴している状態を示す図4相当図である。
【図9】実施の形態の変形例に係る浴槽ユニットを適用した図1相当図であり、浴槽の設置方向を左右逆転させて段部に子供が腰掛けた状態で大人が浴室用ベンチに腰掛けて互いに対面している状態を示している。
【図10】図9の浴槽を長辺の長手方向中央位置付近において切断した縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る浴槽ユニットを適用した浴室を上方から見た斜視図を示し、この浴室1は、平面視で略矩形状を呈し、その周囲が4面の浴室壁面11〜14(浴室の壁面)により覆われている。また、浴室1には浴槽2が設置されている。この浴槽2は、外形が平面視で略B字状を呈する貯水部20と、この貯水部20の上縁より外側に張り出す略矩形枠状の框21とを備えている。框21は、それぞれ一対の短辺22,22及び長辺23,23からなる。この短辺22同士及び長辺23同士はそれぞれ同一長さに形成され、アンダーパン25に対する浴槽2の設置方向を入浴者のニーズに応じて左右自在に反転させて設置できるようにしている。本実施の形態の浴槽2の設置方向では、框21の両長辺23のうちの一方の長辺23(図1では右側の長辺)には洗い場3が隣接している。また、框21の他方の長辺23(図1では左側の長辺)には浴室1の長手方向一側(図1では左側)の浴室壁面11が隣接している。この浴室壁面11には、窓としての出窓15が設けられ、この出窓15が、框21の他方の長辺23(図1では左側の長辺)に隣接している。なお、洗い場3は、樹脂製の床パン31によって構成されている。
【0017】
前記浴室1の長手方向他側(図1では右側)の浴室壁面12には、当該浴室壁面12に沿って延びるベンチとしての浴室用ベンチ16が設置されている。この浴室用ベンチ16の長手方向一端側(図1では上側)の浴室壁面13には、上下方向に延びるシャワータワー17が設置されている。また、浴室用ベンチ16の長手方向他端側(図1では下側)の浴室壁面14には、洗い場3へ出入りするための出入口18が設けられ、この出入口18には扉19が取り付けられている。
【0018】
図2は長辺23の長手方向中央位置付近において切断した浴槽2の縦断側面図を示している。この図2において、浴槽2は、断熱材24により外方から覆われているとともに、その下部を外方から覆うタライ状のアンダーパン25の底部にスペーサ(図示せず)を介して設置されている。前記アンダーパン25の上縁は框21と略一致する略矩枠状を呈し、そのうちの洗い場4側辺を除く3辺には、浴槽2に対応する浴室壁面11,13,14の対応部位の下端が支持されている。また、アンダーパン25の上縁の洗い場3側辺は、床パン31の浴槽側縁より上方に立ち上がる水切り32に支持されている。この水切り32には、上端が框21の一方の長辺23に取り付けられて下方に延びるエプロン26の下端が支持されている。また、床パン31の残る3方の縁にも水切り(図示せず)が設けられ、これらの水切りにはそれぞれ浴室壁面12〜14の下端が水密状態で支持されている。なお、框21の両短辺22及び他方の長辺23は、浴室壁面11,13,14に対しそれぞれシール材(図示せず)を介して水密状態にシールされている。
【0019】
また、浴槽2の貯留部20の底面には、水栓201が設けられている。この水栓201は、框21の両長辺23の長手方向中央位置において一方の長辺23側寄りに位置している。そして、貯留部20は、水栓201を介して第1排水管271の上流端に接続されている。この排水管271は、框21の両長辺23の長手方向略中央位置をアンダーパン25の底面に沿って洗い場3側に延び、洗い場3側の排水トラップ32に接続された第2排水管272と合流して、第3排水管273の上流端に接続されている。
【0020】
図3は浴槽の斜視図であり、図4は浴槽を上方から見た平面図である。これらの図にも示すように、框21の一方の長辺23側(図4では上側)に位置する浴槽2の壁面202は、外形が平面視で略B字状となる貯水部20の2つの膨らみ部分に相当している。この2つの膨らみ部分はそれぞれ外方に円弧状に膨らんでおり、そのうちの一方の短辺22側(図4では右側)に近接する一方の膨らみ部分には、浴槽2への入浴時に大人L(入浴者)が一方の膨らみ部分に背を付けて腰掛け可能な段部28が設けられている。この段部28は、略円弧状に内方に膨出して腰掛け可能な表面積を確保している。また、段部28は、浴槽2の框21から底面までの高さの略五分の二程度の高さに設けられ、図5に示すように、浴槽2への入浴時に大人Lが腰掛けた状態での半身浴を可能とする高さに設定されている。この場合、浴槽2は、段部28に腰掛けた大人Lが出窓15に対面するように設置されている
【0021】
また、段部28と離反する框21の他方の短辺22側(図1では上側)に位置する浴室壁面13には、当該浴室壁面13に沿って略水平に延びる手摺30が設けられ、この手摺30によって浴槽2への入浴が誘導されるようになっている。更に、出窓15が隣接する框21の一方の長辺23側に位置する浴槽2の壁面202には、浴槽2への入浴時に把持可能なグリップ29が設けられている。このグリップ29は、浴槽2の壁面202の上部側における框21の長辺23の長手方向略中央位置に設置されている。
【0022】
そして、框21の両短辺22は990mmの寸法に設定され、浴槽2への入浴姿勢のバリエーションを拡大させている。例えば、図6に示すように、他方の短辺22側(図6では左側)に近接する他方の膨らみ部分に背を付けて底面に着座した大人Lと段部28に腰掛けた子供Sとが並んで入浴したり、図7に示すように、他方の短辺22側(図7では左側)の壁面202に背を付けて底面に着座した大人Lが一方の短辺22側(図7では右側)に足を延ばした状態で段部28に子供S(入浴者)が腰掛けて入浴したり、図8に示すように、他方の短辺22側(図8では左側)の壁面202に背を付けて底面に着座した大人Lが一方の短辺22側(図8では右側)に足を延ばして入浴した状態で框21に着座した子供Sが段部28に足を載せて足湯したりして、大人Lのみならず、子供Sとの入浴姿勢のバリエーションが拡大される。この場合、浴槽ユニットは、出窓15、浴室用ベンチ16、浴槽2、段部28、グリップ29、手摺30、洗い場3の他、浴室1に設置される全ての構成要件によって構成されている。
【0023】
このように、洗い場3に隣接する框21の一方の長辺23側に位置する浴槽2の壁面202のそれぞれ外方に膨らむ膨らみ部分のうちの一方の膨らみ部分(浴室壁面14側)に段部28を設け、この段部28に腰掛けた大人Lが出窓15に対面するように浴槽2が設置されているので、入浴時に段部28に腰掛けた大人Lの顔が窓向きとなり、視線が出窓15に向いて出窓15を介した開放感が得られる。これにより、入浴者L,Sのニーズに応じた浴槽ユニットを提供することができる。
【0024】
また、段部28が框21の一方の短辺22側(浴室壁面14側)に近接する一方の膨らみ部分に設けられていることにより、他方の短辺側(浴室壁面13側)に近接する他方の膨らみ部分に背を付けて底面に着座した大人Lと段部28に着座した子供Sとが同じ方向を向いて並んで入浴でき、入浴者L,Sのコミュニケーションを図ることができる。
【0025】
また、浴槽2への入浴時に大人Lが腰掛けた状態での半身浴を可能とする高さに段部28が設定されているので、段部28に腰掛けた状態での半身浴と、段部28に腰掛けない状態での全身浴とを入浴時に選択することができる。
【0026】
また、段部28と離反する框21の他方の短辺22側に位置する浴室壁面13に手摺30が設けられているので、手摺30に誘導されて入浴する入浴者は、段部28と反対側の短辺22側から入浴される。このため、手摺30に誘導された入浴者が入浴時に段部28に誤って足を取られることが確実に防止され、入浴者の誘導を円滑に行うことができる。
【0027】
また、框21の両短辺22が990mmの寸法に設定されているので、浴槽2の長辺23同士の間の寸法が十分に得られ、段部28と離反する他方の短辺22側に入浴した入浴者が余裕を持って入浴することができる。しかも、段部28を使って入浴者が足湯又は半身浴を行っている状態で、他方の短辺22側の壁面202に背を付けて入浴した入浴者が一方の短辺22側に足を延ばすこともできる。
【0028】
更に、出窓15が隣接する框21の一方の長辺23側の浴槽2の壁面202に、浴槽2への入浴時に把持可能なグリップ29が設けられているので、框21の両短辺が990mm以上の寸法に設定された幅広な浴槽への入浴時に入浴者L,Sがグリップ29を把持して出入りすることができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施の形態を図9及び図10に基づいて説明する。この実施の形態では、第1の実施の形態で設置した浴槽の設置方向を出窓の廃止に伴い左右逆転させている。なお、出窓を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態の場合と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0030】
すなわち、本実施の形態の浴槽2の浴槽2の設置方向では、図9に示すように、框21の一方の長辺23(図9では右側の長辺)には、洗い場3が隣接している。また、框21の他方の長辺23(図9では左側の長辺)には、浴室1の長手方向一側(図9では左側)の浴室壁面11が隣接している。要するに、浴槽2は、図10に示すアンダーパン25に対する設置方向を入浴者のニーズに応じて前記第1の実施の形態の場合とは左右逆転させて設置している。このとき、浴槽2の貯留部20の底面の水栓201は、框21の両長辺23の長手方向中央位置において他方の長辺23側寄りに位置しているため、第1排水管271の長さを長くして水栓201から第2排水管272との合流部までの長さを確保している。
【0031】
そして、框21の他方の長辺23側(浴室壁面11側)に位置する浴槽2の壁面202はそれぞれ外方に膨らんでおり、そのうちの一方の短辺22側(図9では上側)に近接する一方の膨らみ部分に、浴槽2への入浴時に大人S(入浴者)が腰掛け可能な段部28が設けられている。また、段部28と離反する框21の他方の短辺22側(図9では下側)に位置する浴室壁面14には、当該浴室壁面14に沿って略水平に延びる手摺30が設けられている。更に、浴室壁面11が隣接する框21の他方の長辺23側に位置する浴槽2の壁面202には、グリップ29が設けられている。このグリップ29は、浴槽2の壁面202の上部側における框21の長辺23の長手方向略中央位置に設置されている。この場合、浴槽2は、段部28に腰掛けた入浴者Sが浴室用ベンチ16に着座した大人L(入室者)に対面するように設置されている。また、浴槽ユニットは、浴室用ベンチ16、浴槽2、段部28、グリップ29、手摺30、洗い場3の他、浴室1に設置されるすべての構成要件によって構成されている。
【0032】
このように、洗い場3に離反する框21の他方の長辺23側に位置する浴槽2の壁面202のそれぞれ外方に膨らむ膨らみ部分のうちの一方の膨らみ部分(浴室壁面13側)に段部28を設け、この段部28に腰掛けた子供S(入浴者)が洗い場3の浴室用ベンチ16に着座した大人L(入室者)に対面するように浴槽2が設置されているので、入浴時に段部28に腰掛けた子供Sと洗い場3の浴室用ベンチ16に着座した大人Lとが互いに向き合えて互いの視線が合い、互いにコミュニケーションが得られる。これにより、入浴者L,Sのニーズに応じた浴槽ユニットを提供することができる。
【0033】
また、段部28が框21の一方の短辺22に近接していることにより、他方の短辺22側に入浴した大人Lと段部28に着座した子供Sとが同じ方向を向いて並んで入浴でき、大人Lと子供Sとのコミュニケーションを図ることができる上、洗い場3の浴室用ベンチ16に着座した大人Lとも互いに向き合えて相互間でのコミュニケーションを図ることもできる。
【0034】
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、前記各実施の形態では、框21の両短辺22を990mmの寸法に設定したが、框の両短辺が990mmを超える寸法に設定されていてもよいのはいうまでもない。
【0035】
また、前記各実施の形態では、大人Lと子供Sとの浴槽2への入浴姿勢のバリエーションについて述べたが、大人同士や子供同士の浴槽への入浴姿勢のバリエーションにも適用できるのはもちろんである。
【0036】
更に、前記各実施の形態では、洗い場3に隣接する框21の一方の長辺23側に位置する浴槽2の壁面202、又は洗い場3に離反する框21の他方の長辺23側に位置する浴槽2の壁面202にそれぞれ外方に膨らむ膨らみ部分を設けたが、框の長辺側に位置する浴槽の壁面の段部に対応する部分にのみ膨らみ部分が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
13 浴室壁面(框の短辺側の浴室の壁面)
14 浴室壁面(框の短辺側の浴室の壁面)
15 出窓(窓)
16 浴室用ベンチ(ベンチ)
2 浴槽
202 浴槽の壁面
21 框
22 短辺
23 長辺
28 段部
29 グリップ
3 洗い場
30 手摺
L 大人(入浴者、入室者)
S 子供(入浴者)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の上縁より外側に張り出す略矩形枠状の框を有し、この框の短辺同士及び長辺同士がそれぞれ同一長さに形成されて前記浴槽の設置方向を左右自在に設置できるようにした浴槽ユニットであって、
前記框の両長辺側のうちの一方の長辺側に位置する前記浴槽の壁面には、前記浴槽への入浴時に当該框の一方の長辺側に入浴者が背を付けて腰掛け可能な段部が設けられ、
前記框の一方の長辺には、洗い場が隣接して設けられているとともに、前記框の他方の長辺には、窓が隣接して設けられており、
前記浴槽は、前記段部に腰掛けた入浴者が前記窓に対面するように設置されていることを特徴とする浴槽ユニット。
【請求項2】
浴槽の上縁より外側に張り出す略矩形枠状の框を有し、この框の短辺同士及び長辺同士がそれぞれ同一長さに形成されて前記浴槽の設置方向を左右自在に設置できるようにした浴槽ユニットであって、
前記框の両長辺側のうちの一方の長辺側に位置する前記浴槽の壁面には、前記浴槽への入浴時に当該框の一方の長辺に入浴者が背を付けて腰掛け可能な段部が設けられているとともに、前記框の他方の長辺には、浴室への入室者が前記浴槽向きに着座可能なベンチを備えた洗い場が隣接して設けられており、
前記浴槽は、前記段部に腰掛けた入浴者が前記ベンチに着座した入室者に対面するように設置されていることを特徴とする浴槽ユニット。
【請求項3】
前記段部は、前記框の両短辺のうちの一方の短辺に近接して設けられている請求項1又は請求項2に記載の浴槽ユニット。
【請求項4】
前記段部は、前記浴槽への入浴時に大人の入浴者が腰掛けた状態での半身浴を可能とする高さに設定されている請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の浴槽ユニット。
【請求項5】
前記框の両短辺には浴室の壁面が隣接して設けられており、
前記段部と離反する前記框の他方の短辺側に位置する浴室の壁面には、前記浴槽への入浴を誘導する手摺が設けられている請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の浴槽ユニット。
【請求項6】
前記框の両短辺は、990mm以上の寸法に設定されている請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の浴槽ユニット。
【請求項7】
前記洗い場と離反する前記浴槽の壁面には、前記浴槽への入浴時に把持可能なグリップが設けられている請求項6に記載の浴槽ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−239533(P2012−239533A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110151(P2011−110151)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】