浴槽装置
【課題】 入浴者に継続的に運動させることができる浴槽装置を提供する
【解決手段】
本発明の一様態によれば、 第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置が提供される。
【解決手段】
本発明の一様態によれば、 第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴槽装置に関し、具体的には入浴者に運動させる浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会的に健康志向が高まり、フィットネスやエクササイズなどの運動によって健康管理を行いたいという要求が高まっている。また、入浴中に手軽に運動したいという要望もある。
【0003】
例えば、特許文献1には、浴槽内に踏み込み可能な踏み台を設ける技術が開示されている。踏み台にはバネによって踏み込み負荷が与えられており、入浴者は座位姿勢のまま片足で踏み台を踏み込むことにより、運動することができる。しかしながら、普段から運動習慣の無い人が運動を行うには、相当な意志の力を要する。特に、入浴時はリラックスした精神状態になっているため、意志の力を発揮することは困難である。このため、浴槽内に運動器具を設置しても、運動が長続きしないことが予想される。また、同じ動作を繰り返すため、その動作に慣れたり飽きたりして、運動が長続きしないことが予想される。
【0004】
一方、特許文献2には、内部に足置き部が設けられ、この足置き部に噴流を噴出する吐出口が設けられた循環式浴槽が開示されている。特許文献2には、入浴者が足置き部に足を載せた状態で、吐出口から噴流を噴出させることにより、入浴者の足裏を刺激して、マッサージを施すことができると記載されている。しかしながら、この循環式浴槽は、入浴者が足置き部に足を載せて使用するものであり、入浴者に身体の広範囲を運動させるものではない。
【0005】
また、特許文献3には、噴出ノズルからの噴流を制御部によって噴出・停止を制御する気泡発生装置が開示されている。特許文献3には、両噴出個所により浴湯が噴出する一定のオーバーラップ時間が生じ、噴出個所の移行が円滑に行えて、入浴者に不快感を与えることがなくなると記載されている。しかしながら、この気泡発生装置は、特許文献2に開示された循環式浴槽と同様に、入浴者に身体の広範囲を運動させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−236014号公報
【特許文献2】特開2005−287541号公報
【特許文献3】特許第2710829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、入浴者に継続的に運動させることができる、あるいは身体の部位をバランスよく運動させることができる浴槽装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、入浴者に継続的に運動させることができる、あるいは身体の部位をバランスよく運動させることができる浴槽装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかる浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図2】入浴者がノズルからの噴流を足に受けているときの状態を表す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の具体例にかかる浴槽装置の動作を表す平面模式図である。
【図4】時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸込み口から取り込まれる空気の流入量の具体例を例示するグラフ図である。
【図5】時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸込み口から取り込まれる空気の流入量の他の具体例を例示するグラフ図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の第一の具体例を示す模式的断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、噴流が持つ周波数域を例示する図である。
【図8】時間に対するノズルからの吐水流量の具体例を例示するグラフ図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の第三の具体例を示す模式的平面図である。
【図10】時間に対するノズルからの吐水流量の具体例を例示するグラフ図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の状態を例示する図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の筋活動を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の筋の場所とその活動を例示する図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、使用時の呼吸商を示した図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、流量と脚部移動量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置である。
【0012】
この浴槽装置によれば、制御部は、吐水駆動部を制御することにより、入浴者の脚部が屈曲する強さの噴流(第二の噴流状態)を間欠的に吐水させることにより、入浴者に適度な運動を行わせることができる。更に、吐水部に空気混入部を設け、入浴者が、吐水部より足を屈曲させる強さの噴流(第二の噴流状態)を受けた時、吐水部の管内において、第二の噴流状態によって作れる負圧の働きで空気混入部より噴流に空気を取り込み、吐水部より空気を含んだ噴流を噴射する。足を屈曲させる第二の噴流状態において、水より粘性抵抗が低い空気を取り込むことで、吐水部から噴射される空気を含んだ噴流の流速は高まることとなる。よって、F=ρvQの流体式より、空気が混入した噴流の流速が上がると、脚部を屈曲させる力が増加することとなる。即ち、空気混入部を設けて、吐水部より噴射される噴流に空気を混入させることで、足を屈曲する第二の噴流状態を少ない流量で噴射力を向上させることが可能となる。
【0013】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記空気混入部を制御し、前記噴流への前記空気の混入量を制御することを特徴とする浴槽装置である。この浴槽装置によれば、制御部の働きによって脚部を屈曲させない程度の噴流(第一の噴流状態)から入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流(第二の噴流状態)へと間欠的に吐水されている状態において、制御部は、空気混入部から空気が取り込める量を調節する。即ち、空気混入部より流入する流入量は、第一の噴流状態、第二の噴流状態に応じて調節させるため、噴流による脚部の屈曲伸展の運動において、瞬急な力変化を柔軟に生成することが可能となり、効果的な運動を入浴者へ提供することが出来るようになる。
【0014】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記制御部は、前記噴流に前記空気を間欠的に混入することで、前記空気を含んだ噴流の強さを間欠的に制御することを特徴とする浴槽装置である。この浴槽装置によれば、制御部の働きによって、空気を間欠的に混入することにより、第二の噴流状態を間欠的に吐水させることができる。この際、第二の噴流状態においては空気を含んだ流速の高い噴流を、それ以外の場合(第一の噴流状態)においては、空気の混入量を少なくすることで、吐水駆動部の出力を変えない、あるいは少ない出力の変化だけで、噴射する空気を含んだ噴流の流量を変化させることができる。これにより、第一と第二の噴流状態の変化を吐水駆動部のみで実現させるよりも、吐水駆動部への負荷を軽減することができる。
【0015】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記吐水部は、前記入浴者の左足裏に噴流を吐水する第一の吐水部と、前記入浴者の右足裏に噴流を吐水する第二の吐水部と、を有し、前記吐水駆動部は、第一の吐水駆動部と第二の吐水駆動部とを有し、第一の吐水駆動部は、前記第一の吐水部に接続され、第二の吐水駆動部は、前記第二の吐水部に接続され、前記制御部は、前記第一及び第二の吐水駆動部を制御して前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から吐水させることを特徴とする浴槽装置である。この浴槽装置によれば、浴槽内に座った状態で、左右の脚部を屈曲させるという他動運動を入浴者に行わせることができる。また、脚部の運動のみならず、全身運動への波及効果もある。
【0016】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から交互に吐水させることを特徴とする請求項1乃至3に記載の浴槽装置である。この浴槽装置によれば、入浴者の左右の脚部を交互に運動させるという、歩行に似た運動を、浴槽内で座った状態にて行える。そのため、入浴者に過度の負担を強いることなく、適切な運動を行わせることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明は適宣省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る浴槽装置を例示する模式断面図である。
【0018】
図1に表したように、本実施形態にかかる浴槽装置1は、浴室ユニット60内に設けられている。浴室ユニット60は、防水パン61によって床が構成されており、壁パネル62によって壁が構成されており、天井パネル(図示せず)によって天井が構成された箱形の水密ユニットである。浴槽装置1は、防水パン61上に配置されている。
【0019】
浴槽装置1には、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は例えば略直方体形状であり、長手方向の一端部の内側面は、入浴者Mの背中m1が接触する背側面(第1の浴槽壁面)2aとなっており、長手方向の他端部の内側面は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときにその足裏m2が対向する足側面(第2の浴槽壁面)2bとなっている。つまり、入浴者Mは、背側面2aに背をもたれることができる。また、背側面2aと足側面2bとは、底面2cを挟んで相互に対向している。
【0020】
浴槽2の足側面2bには、入浴者Mの足に噴流を吐水するノズル(吐水部)3が設けられている。また、ノズル3は、ノズル3の側面に空気混入部9と接続された空気吸入口3fと空気噴射口3gを備える。空気混入部9よりノズル3の側面に備わる空気吸入口3fより空気が吸込され、空気噴射口3gより空気が噴流に混入される。ノズル3は、浴槽2の内部に向けて水流(噴流)を噴射するものであり、この噴流の方向は足側面2bから背側面2aに向かう方向である。また、ノズル3内部を通過する噴流は十分早いため、管内には負圧領域が生成される。そして、その負圧の働きを利用して、空気が噴流に混入されることとなる。
【0021】
浴槽2の長手方向の長さ、すなわち、浴槽2における足側面2bと背側面2aとの間の長さは、標準的な体格の入浴者Mが入浴姿勢をとったとき、すなわち、臀部を浴槽2の底面2cに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させたときに、足裏m2でノズル3を覆うことができる程度の長さである。
【0022】
また、浴槽装置1には、噴流を生成する駆動部として、ポンプ4が設けられている。このポンプ4は、ノズル3に接続されている。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。ポンプ4の吸入口7は浴槽2の内部に連通されている。これにより、ポンプ4は浴槽2内から水を汲み上げ、噴流を生成して吐出する。
【0023】
浴槽装置1には、ポンプ4と空気混入部9の動作を制御する制御部5がさらに設けられている。この制御部5は、ポンプ4と空気混入部9に電気的に接続され、ポンプ4と空気混入部9の動作を制御することによりノズル3からの噴流の状態を制御するとともに、噴流に空気を混入する量を制御できる。また、制御部5は、ノズル3からの噴流の状態を、入浴者Mの足を屈曲させない噴流状態(第1の噴流状態)と、第1の噴流状態よりも吐水流量が多く入浴者Mの足を屈曲させる噴流状態(第2の噴流状態)と、に設定できる。
【0024】
ノズル3の管内を噴流が通過する際、空気混入部9より引込まれた空気を、ノズル3に備わる空気噴射口3gより混入する。そして、空気を含む噴流としてノズル3より噴射する。空気を含む噴流の流量は、空気を含まないときに比べて少ない。しかし、空気の粘性抵抗は、水より小さいことから空気を含まない噴流に比べて流速が、早くなる。結果、噴流の水量は少ないにも関わらず、噴流が入浴者Mの足を屈曲させる力を備えた噴流状態を生成できる。入浴者Mの足を屈曲させるためには大量の流量の吐水が必要だが、空気を混入することにより、その流量を低減することができる。
【0025】
ノズル3から吐水されるい噴流が第1の噴流状態となる。その時、吐水流量wQ1は、例えば約30リットル/分程度である。一方、ノズル3から吐水される噴流が第2の噴流状態となる時、吐水流量wQ2は、例えば約130リットル/分程度である。このように、第2の噴流状態の吐水流量wQ2は、マッサージ用として噴出される噴流の吐水流量よりもかなり大きい。そのため、ノズル3から第2の噴流状態で吐水される噴流は、入浴者Mが背中m1を背側面2aに接触させ、足裏m2をノズル3に対向させたときに、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節を同時に屈曲させることが可能である。
【0026】
また、本実施形態にかかる浴槽装置1は、例えばリモコンなどの操作部8を備える。この操作部8は、例えば、浴室ユニット60の壁パネル62に取り付けられており、入浴者Mからの操作により制御部5へ制御信号を送信できる。そして、制御部5は、操作部8からの制御信号に基づいてポンプ4の動作を制御できる。つまり、入浴者Mは、操作部8を操作することによりポンプ4の動作を制御し、ノズル3からの噴流の状態を変更できる。
【0027】
脚部が屈曲しない噴流状態(第1の噴流状態)と脚部が屈曲する噴流状態(第2の噴流状態)とを間欠的に切替ながら吐水することで屈伸運動を行う。本実施例において、脚部を屈曲しない第1の噴流状態とは、例えば、0リットル/分であってもよいし、脚部が屈曲しない程度の噴流、例えば、30リットル/分であってもよい。第1の噴流状態を、脚部を屈曲しない程度の噴流とすると、第2の噴流状態までの立上り時間を短くすることができ、ポンプ4の負荷を少なくすることが出来る。
【0028】
図2は、入浴者がノズルからの噴流を足に受けているときの状態を表す模式図である。 なお、図2(a)は、入浴者の足の屈曲期を表しており、図2(b)は、入浴者の足の保持期を表しており、図2(c)は、入浴者の足の伸展期を表している。
また、図3は、本具体例にかかる浴槽装置の動作を表す平面模式図である。
図4は、時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸入口から取り込まれる空気の流入量の具体例を例示するグラフ図である。
また、図5は、時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸込口から取り込まれる空気流入量の他の具体例を例示するグラフ図である。
【0029】
まず、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる(図1参照)。すなわち、入浴者Mは、臀部を浴槽2の底面2cに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させる。そして、入浴者Mは、左の足裏m2で第一の吐水部である左のノズル3Lを覆い、右の足裏m2で第二の吐水部である右のノズル3Rを覆うように、左右の足を配置し、ノズル3から噴出される噴流を足裏で捉える初期姿勢をとる。このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあり、足関節、膝関節及び股関節は脱力されているものとする。
【0030】
この状態から、ポンプ4を作動させる。これにより、ポンプ4は、浴槽2内の水を吸入口7から汲み上げて噴流を生成し、ノズル3に対して供給する。このとき、ノズル3Lおよび3Rからそれぞれ吐水される噴流に伴って、ノズル3の側面に作られた空気吸入口3fより空気が流入し、空気通路3hを通過して空気噴射口3gより噴流と空気が混ざった噴流を吐水することなる。ノズル3と空気吸入口3fの時間に対する噴流状態(メータ/秒)は、図3あるいは図4に表した如くである。
【0031】
ノズル3から吐水される流量wQ2の噴流と噴流によって巻き込まれる空気の流量aQ2を含んで噴射されると、この噴流は入浴者Mの足裏m2を押圧する。これにより、図2(a)に表した屈曲期のように、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に屈曲し、足は背側面2aに向かって移動する。このとき、ノズル3からの噴流は、入浴者Mの足部を包むように流れ場を生成するため、噴流から足部が外れないような力を足裏m2に与える。これは、噴水の上にピンポン玉をのせたときに、そのピンポン玉が落ちずに噴水の略中心部で留まる現象と同じである。
【0032】
一方、ノズル3からとすいされる流量wQ1の噴流とその噴流によって、巻き込まれる空気の流量aQ1が噴射されると、足裏m2を押圧する圧力が低下する。そのため、図2(c)に表した伸展期ように、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が自然に伸び、足は足側面2bに向かって移動する。このとき、入浴者Mが足裏m2でノズル3を覆うように足の位置を意識的に調節することにより、足はノズル3の近傍に戻る。従って、ノズル3が吐水流量wQ1(空気流入量aQ1)およびwQ2(空気流入量aQ2)の噴流を交互に噴射することで、入浴者Mの足が浴槽2の長手方向に沿って往復運動する。
【0033】
このとき、図4に表したグラフ図のように、空気流入量は、ノズル3からの吐水される噴流量の変化に応じて、空気吸入口3fより吸込まれる空気の流量を変化させる。さらに、空気を含み流速の早くなった噴流(wQ2、aQ2)は、使用者の脚部を屈曲させることが可能となる。その際、足部は、浴槽壁面よりL2mm離れることとなる。この足の屈伸運動は、空気を含むことで噴流の流速v2を高めると共に、空気の混入によって見せ掛けの流量を増やし、少ない水量でも、十分に入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節を同時に屈曲させることができるようになる(図2(b))。
【0034】
一方、噴流v1(wQ1、aQ1)は、脚部が伸展することとなる。その際、噴流量の変化に応じて足部は、浴槽壁面よりL1mm離れることとなる。即ち、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に伸展した状態図2(a)となる。
【0035】
空気を噴流に含ませた噴流状態について、図4、図5を用いて説明する。図4は、空気を含んだ噴流v2によって入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に屈曲した状態図2(b)となる。この時、噴流の吐水量wQ2は、水より粘性抵抗が低い空気を取り込むことで噴流v2の流速となる。一方、空気を取り込まない図5に示す噴流v3は、図4に示す同じ噴流の吐水量wQ2であるにもかかわらず、噴流v3は、噴流v2より遅くなる。即ち、噴流によって入浴者Mの足を屈伸させる噴流状態を生成するには、空気吸入口3fより取り込んだ空気を空気噴射口3hより噴出し、噴流に空気を混入させた噴流状態を入浴者Mへ吐水ることが、効果的な屈伸運動を提供できると考える。
【0036】
第二の噴流状態の生成方法を以下に説明する。一つに、脚部を屈曲させる噴流状態(第二の噴流状態)は、吐水駆動部4によって吐水流量を制御することで生成することが可能である。また、脚部が屈曲しない噴流状態(第一の噴流状態)に、空気混入部9より空気を混入させ、吐水駆動部4からの流量を変化させずに第二の噴流状態を作ることで実施することも可能である。この方法によると、吐水流量を制御することで作られる第二の噴流状態よりも吐水量が少なくて済む。これにより、空気混入部9を設けることで、吐水駆動部4のサイズを小さくすることができ、また吐水流量を変化させることのできない吐水駆動部でも本実施例に示す運動を提供することができる。
【0037】
この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者Mの意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、入浴者は、リラックスした状態で運動することができる。この結果、運動を継続しやすい。なお、「他動運動」とは、人が自分の筋力ではなく外力を利用して行う運動をいい、本願明細書においては、上述の如く姿勢を崩された場合の補償動作も含むものとする。
【0038】
また、噴流に空気を混入する流量で、足裏へ与える噴流刺激の周波数帯を可変することが可能となる。図6(a)(b)に例示するように、空気混入部9より取り込んだ空気を噴流へ混入させる空気噴射口3gを設定し、噴流に混入する空気の気泡を調節することで噴流による振動刺激の周波数域を変更する。例えば、図6(a)のように空気噴射口3gを広く、少なくとることで、噴流に混入さえる空気の気泡は、大きくなる。そのため、入浴者Mの足裏へ噴流として伝わる噴流刺激は、低い周波数帯の刺激となる図7(a)。
【0039】
一方、噴流に空気を混入する空気噴射口3gを図6(b)のように配置することで、噴流に混ざる空気は細かい小さな気泡となる。そのため。入浴者Mの足裏へ噴流として伝わる噴流刺激は、高い周波数帯の刺激となる図7(b)。
【0040】
上述したように、噴流に混入する気泡の大きさを空気噴射口3gの開口面積で調節することが可能である。これにより、足裏に備える感覚器が活動しやすい周波数帯域を含んだ噴流刺激を入浴者Mに提供することが可能となる。すなわち、噴流刺激が感覚器を刺激することでバランス機能促通させることが可能となる。加えて、運動効果に関しても鍛えることが可能となる。感覚器を刺激する周波数の例を以下に記述する。パチニ小体であれば30Hz近傍で最も活動し、マイスネル小体は200Hz近傍の刺激によって活動することが一般的に知られている。そのため、噴流が備える振動周波数域を30Hz〜200Hzにするよう、噴流に混入させる空気を空気噴射口3gによって設定する。また、空気の混入だけでなく、吐水の水量や流速の変化によっても希望する振動周波数へ設定することが可能である。
【0041】
噴流によって入浴による温熱効果と、運動効果がより一層向上する。また、噴流により入浴者Mの周囲の温度境界層が常に破壊されるため、入浴者Mが温まり易く、運動効果がさらに向上する。このように、前述した運動を浴槽内で行うことにより、浴槽外で行う場合と比較して、より高い運動効果を得ることができる。
【0042】
本実施形態にかかる第一具体例の変形例に関して図8(a)、(b)、(c)を用いて説明する。図8(a)に例示する様に、混入される空気量が、第一の噴流状態から第二噴流状態に切替わる時に、b1秒だけ空気を噴流に混入する。図9は、図8(a)に例示した噴流状態(噴流、混入される空気量、流速)が、脚部の移動量に働きかける様子をタイムチャートで図示したものである。
【0043】
入浴者Mは、第一の噴流状態から第二の噴流状態へ切替わって吐水する水量が増えることに加え(図9a)、空気を取り込むことで、空気を混入した噴流の流速は、高まる、。即ち、噴流の押圧力F(N)が強くすることが可能となる(図9b、c)。これによって、屈曲初期の動作中に、高いストレッチ効果を得ることが出来る(図9d)。または、筋群に備わる固有受容器などを刺激することで運動が効果に得られることとなる。また、屈伸運動を誘発する噴流の刺激の強度を空気混入で調節することで順化防止にもなり、継続的に運動を入浴者へ提供することが可能となる。
【0044】
図8(b)に例示する様に、混入される空気量が、第一の噴流状態から第二噴流状態に切替わる時に、r1秒だけ送れて、第二の噴流状態が第一の噴流状態へ切替わるより早くb1秒間隔で、空気を噴流に混入する。
【0045】
入浴者Mは、第一の噴流状態から第二の噴流状態へ切替わってr1秒後に、空気を混入することで流速を高めることとなり、即ち、押圧力が強くすることが可能となる(図10a、b)。これによって、屈曲中期において高いストレッチ効果を得ることが出来る(図10c、d)。特に、足裏が浴槽側壁面より離間して、不安定な湯水空間ないで保持している中で、強い噴流を受けるため、インナーマッスルなどの通常鍛えつらい筋群をトレーニングすることができるようになる。
【0046】
また、図8(c)に例示する様に、混入される空気量は、第一の噴流状態から第二噴流状態に切替わる時に、r2秒だけ遅れて吸入され、さらに、第二の噴流状態が第一の噴流状態へ切替わるまでb1秒間隔で、空気を噴流に混入する。すなわち、入浴者Mは、第一の噴流状態から第二の噴流状態へ切替わってr2秒後から、第二の噴流状態が終わるまでに、空気が混入することで最も早い噴流を受けることなる図11(a、b)。
【0047】
これによって、屈曲後期において高いストレッチ効果を得ることが出来る図11(c、d)。噴流による屈曲後期は、大腿部などの腰関節周りに備わる筋群を刺激することとなる。上述しよように、噴流の強弱を脚部の屈伸運動の期間において調節することで、ことなる部位の筋群を刺激することができるようになり、入浴者Mはトレーニングした部位を選択肢、集中的に効果的運動を行うことができるようになる。ただし、噴流と空気の混入の時間間隔は上記によって限定されるものではない。そして、上記空気混入のタイミングを組合わせることで、屈伸運動を誘発する噴流の刺激の強度を周期毎、位相毎に調節でき順化防止にもなる。即ち、継続的に運動を入浴者へ提供することが可能となる。
【0048】
脚部が絶えず動き続けている状態は、脚部の運動のみならず全身運動への波及効果をもたらすことが、筋活動を調べた実験より確認されている。図12は、吐水状態における入浴者の筋群の筋活動を示した図である。図12の縦軸はそれぞれの筋群が活動している状態を、横軸は時間を表す。図12に示すように、腓腹筋や前脛骨筋、ハムストリングス(大腿4頭筋)のような下肢の筋群の運動だけではなく、脊柱起立筋のような背部の筋や、前腕筋群(腕橈骨筋)のような腕部の筋も活動していることがわかる。このように、本発明の一実施形態にかかる運動浴槽装置は、脚部だけでなく全身の筋群を活動させており、脚部だけでなく全身の運動や筋力トレーニングにも効果がある。また、入浴者へウォーキング動作を行っているような運動感を誘発させることも主観評価より分かっている。
【0049】
図13の(a)と(b)より、具体的に、他動的な屈伸運動によって起こる筋の活動を説明する。図13の(a)は、噴流によってもたらされる他動運動によって活動する筋群を例示した図であり、図13(b)で示されている筋群の位置を示す。図13(b)は、縦軸に筋の活動量を示し、横軸に時間をとり、吐水状態に応じて脚部の異なる筋が活動していることを示す。なお、M4はハムストリングス(大腿二頭筋他)を、M5は前脛骨筋を示す。吐水のS1時間に伴う脚部の屈曲より、前脛骨筋M5が積極的に活動し始める。これは、足部が第二の浴槽壁面より離れ、第一の浴槽壁面へ移動している状態で筋の活動が起こっている事を意味する。
【0050】
そして、次にS2時間で吐水しない状態となり、入浴者の足部が第二の浴槽壁面2bへ移動し、吐水部3と第二の浴槽壁面2bに当接する。入浴者の足部が第二の浴槽壁面2bに接すると、ハムストリングスM4が活動することを図13の(b)より示している。このように、噴流の増減に伴って起こる脚部の屈伸運動は、異なる筋群を働かせることで運動効果を高める。
【0051】
図13に図示されていた前脛骨筋M5は、ヒトの身体セグメントにおける下腿部に備わった筋である。前脛骨筋M5の働きは、歩行時、地面と足部とのクリアランスをとるために働く筋肉として知られている。よって、前脛骨筋M5を活動させる運動とは、転倒予防に貢献する運動を意味する。
【0052】
同じく、図13に図示されたハムストリングスM4は、ヒトの身体セグメントにおける大腿部に備わった筋群である。ハムストリングスM4は、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋、そして大内転筋によってなる筋群である。大腿二頭筋の働きは、主として歩行時における蹴りだす力、推進力を生成する筋として知られている。よって、ハムストリングスM4を刺激する運動とは、歩行速度の維持と歩行機能の向上に貢献できる運動を意味する。
【0053】
吐水部3から吐水する脚部を屈曲させる噴流状態(第2の噴流状態)は、入浴者Mが背中m1を第一の浴槽壁面2bに当接させ、足裏m2を吐水部3に対向させたときに、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節を同時に屈曲させることが可能な量であり、例えば、80〜300リットル/分である。尚、噴流の大きさが80リットル/分未満であると、入浴者の足裏m2が吐水部3から離れないことがあり、300リットル/分を超えると、浴槽2から水が溢れ出すことがある。
【0054】
吐水される水量が110リットル/分を超えると吐水される噴流の押圧によって脚部移動距離が140mm以上になり、この条件を境に使用者が、噴流による屈伸運動で運動感を感じることが確認されている。尚、モニター人数35名において、110リットル/分を超えると吐水で足部が140mm以上移動し、運動感を感じることを確認している。
【0055】
さらに屈伸運動において効果的で高い運動効果を得るには、150リットル/分程度の噴流で運動を行うことが良く。さら好ましくは、180リットル/分程度の噴流による運動が効果的である。なお、この噴流の大きさは、一般家庭用浴槽を対象とした循環式浴槽において、マッサージ用に噴出される噴流の大きさよりもかなり大きい。一般的なマッサージ用ブローにおいて、一つの吐水口から吐水される水量は、20リットル/分程度である。またマッサージブローの強い強度においても、水量は多くて40リットル/分程度である。
【0056】
上述した通り、噴流の流量を増やすことで足裏を押圧する力を増加させるとともに屈伸運動の可動範囲を広くする。この噴流の増加に伴って、足裏に備わる感覚器と脚部に備わる腱器官を、より効果的に刺激する事で歩行に働く機能を効果的促進させることが可能となる。
【0057】
また、利用する浴槽の水(湯)の水温は常温でも使用できるが、水温を、36〜41℃帯域で使用するのが好ましい。例えば、温度が体温に近く、温熱の負荷が低い場合の36〜38℃では、吐水の水量を多くし屈伸運動の回動量を増やす、もしくは、吐水の周期を早くすることで屈伸運動の回数を増やすことにより運動強度を高め、効果的な運動を入浴者へ提供することが可能となる。
【0058】
一方、比較的短い時間で十分な運動を求める場合は、湯温度を高めに設定し(例えば39〜41℃)、温熱と運動の効果の相乗効果によって、湯の温度を低く設定した時に比べ、短い時間でエネルギー消費を起こし、効果的な運動を短い時間で行うことができる。
【0059】
温熱の効果と運動効果について、図14において説明する。
図14は、縦軸に脂肪の燃焼効率を示す呼吸商を示し、横軸に経過の時間を図示し、速歩と噴流による他動運動を行った際の呼吸商を比較した値を示している。条件は、陸上での時速4.3キロ程のウォーキングと、湯温39度で吐水量が160リットル/分程度の噴流を選択した本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置を用いた入浴ウォーキングの場合を、呼吸商より比較した。結果、高い脂肪燃焼効果が得られる領域に、本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置を用いた入浴ウォーキングが、陸上のウォーキングより早い時間帯で突入したことを示している。上記結果は、本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置が、温熱と運動の相乗効果によって、短い時間で非常に高い運動効果を生成することを示すものである。
【0060】
本発明の一実施形態を用いた運動を、35名が体験した。その結果、入浴中の水中(入浴)ウォーキングが入浴姿勢から、噴流によって無理なく行われることがわかった。そして、継続して水中ウォーキングを行うと、運動感、筋の使用感を感じるという知見も得られた。また風呂から出たあと、足が温かい、ジョギングよりも運動感を感じる、といった運動の効果を体験者が体感していることを確認している。さらに、5分を経たずに、発汗作用が促進されることなども体感から知見を得ており、ダイエット効果にも適しておりメタボリック対策になるなどの感想も得られた。
【0061】
また、噴流を足裏で受けることによって、足裏に備わる感覚器を刺激することができる。足裏に備わる感覚器(圧受容器)は、年齢の増加にともなって感度が低下する。そのため高齢者は足裏で身体の重心位置を検地することが出来ず転等する可能性が高くなるとことは一般的に知られている。しかし、感覚器の感度などは、絶えず感覚器を刺激することによって、感覚器の感度、そして、感覚器より検出した情報を伝える神経系の処理機能を維持することが可能となることも最近の研究にて報告されている。
【0062】
運動効果としても、空気を含んだ噴流によって入浴者Mは、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節において屈伸運動を誘発させることが出来る。この脚部における繰り返しの屈伸運動は、脚部のトレーニングとして高い運動効果を有することは、図14から図15において説明した。また、入浴者Mは、この運動によって姿勢のバランスを崩され、不安定な姿勢となる。そのため、入浴者Mは、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。入浴者は、これによっても運動することができることにつても上述た。
【0063】
本発明の一実施形態における浴槽装置は、脚部が屈曲するほどの強い噴流を足裏に当てている。そのため、第一に脚部を屈伸することで、腱や筋に備わる腱紡錘、筋紡錘といった固有感覚器を刺激する。そして第二に、噴流を足裏で直接受けることで足裏に備わる感覚器(圧受容器)が刺激される。それにより、感覚器と感覚器より検出した情報を伝える神経系の経路を促通させることが可能となり、バランス能力などを向上させることが出来る。
【0064】
更に本実施形態によれば、入浴者は、第一の吐水部3L及び第二の吐水部3Rから吐水される水量に応じて屈伸運動より得る運動感が異なる。図15に示す実線Lは、吐水部3からの噴流によって入浴者が屈伸運動を起こった時の脚部が噴流によって第二の浴槽壁面から離れて移動する距離と吐水の流量をとの関係を表している。
【0065】
実線Lに示すように、足部の移動距離と吐水の流量には相関関係があり、吐水量が多くなると脚部移動量が増える。足部の異動距離が第二の浴槽壁面より離れるのは80リットル/分程度からであり、80リットル/分程度以上の吐水量になると、足部の移動が開始され屈伸運動を行える。より効果的な運動を入浴者が行うには、吐水量を110リットル/分とするとよい。
【0066】
本実施例では、足部の移動距離は140mm程度となっていた。さらにより効果的な運動を得ようとすると、入浴者は吐水量、180リットル/分を選択し、さらに高い効果的な運動を得ようとすると、200リットル/分となるように水量を調節してもよい。その際の脚部の移動距離は250mm〜300mm程度となっていることが実験より分かっている。
【0067】
また、足部の移動距離が、140mm程度となる吐水量、例えば110リットル/分の吐水での入浴ウォーキングにおいて、モニター実施者8人中7名が入浴ウォーキング実施終了後に、脚部を中心に運動感を感じるとコメントしている。ここでの運動感とは、脚部において軽い疲労感や、使用していた筋肉の一部が温かく感じることなどが主な意見として抽出されている。
【0068】
本具体例においては、浴槽2内に水(湯)Wを溜めた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる。そして、制御部5の操作ボタンを操作することにより、浴槽装置1による運動の実行時間及び屈伸運動の周期を任意に設定する。なお、制御部5の中に予め複数の種類の運動モードが設定されており、入浴者が好みの運動モードを選択するようにしてもよい。
【0069】
例えば、入浴者が、運動負荷の高いモードを選択すると、タイマーが比較的短い周期で吐水する状態、吐水しない状態へと水量を切替える制御を、制御部5から吐水駆動部4に対して出力する。又は、運動時間及び運動周期はタイマーが自動的に設定してもよい。例えば、湯の設定温度が39℃であるとき、タイマーは、1セットの運動時間を10分間に設定する。
このように、本具体例によれば、運動の負荷を入浴者の好みに応じて任意に設定することができる。本具体例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の実施形態と同様である。
【0070】
吐水駆動部4は、羽根車をモータによって回転させることで湯水を吸入し、吐水部3より吐水する噴流を作り出す回転式のポンプなどが用いられる。また、吐水駆動部4の制御には、シーケンサー、タイマー、AD/DA変換機と計算機などを用いてポンプの駆動状態を制御する。尚、回転式ポンプを想定して説明したが、本実施例は上記内容に限られるものではない。例えば、プランジャー、もしくはピストンなど容積型の電磁式往復ポンプを用いて吐水部3から噴流を作り出しても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 浴槽装置、2 浴槽、2a 足側面、2b 背側面、2c底面、3 ノズル、3f 空気吸入口、3g 空気噴射口、3h 空気通路、4 ポンプ、5 制御部、 7 吸入口、 8操作部、 9 空気混入部 60 浴室ユニット、61 防水パン、 62 壁パネル、 M 入浴者、m1 背中、m2 足裏、m7 足部、 W 水 Y 吐水方向
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴槽装置に関し、具体的には入浴者に運動させる浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会的に健康志向が高まり、フィットネスやエクササイズなどの運動によって健康管理を行いたいという要求が高まっている。また、入浴中に手軽に運動したいという要望もある。
【0003】
例えば、特許文献1には、浴槽内に踏み込み可能な踏み台を設ける技術が開示されている。踏み台にはバネによって踏み込み負荷が与えられており、入浴者は座位姿勢のまま片足で踏み台を踏み込むことにより、運動することができる。しかしながら、普段から運動習慣の無い人が運動を行うには、相当な意志の力を要する。特に、入浴時はリラックスした精神状態になっているため、意志の力を発揮することは困難である。このため、浴槽内に運動器具を設置しても、運動が長続きしないことが予想される。また、同じ動作を繰り返すため、その動作に慣れたり飽きたりして、運動が長続きしないことが予想される。
【0004】
一方、特許文献2には、内部に足置き部が設けられ、この足置き部に噴流を噴出する吐出口が設けられた循環式浴槽が開示されている。特許文献2には、入浴者が足置き部に足を載せた状態で、吐出口から噴流を噴出させることにより、入浴者の足裏を刺激して、マッサージを施すことができると記載されている。しかしながら、この循環式浴槽は、入浴者が足置き部に足を載せて使用するものであり、入浴者に身体の広範囲を運動させるものではない。
【0005】
また、特許文献3には、噴出ノズルからの噴流を制御部によって噴出・停止を制御する気泡発生装置が開示されている。特許文献3には、両噴出個所により浴湯が噴出する一定のオーバーラップ時間が生じ、噴出個所の移行が円滑に行えて、入浴者に不快感を与えることがなくなると記載されている。しかしながら、この気泡発生装置は、特許文献2に開示された循環式浴槽と同様に、入浴者に身体の広範囲を運動させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−236014号公報
【特許文献2】特開2005−287541号公報
【特許文献3】特許第2710829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、入浴者に継続的に運動させることができる、あるいは身体の部位をバランスよく運動させることができる浴槽装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、入浴者に継続的に運動させることができる、あるいは身体の部位をバランスよく運動させることができる浴槽装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかる浴槽装置を例示する模式的断面図である。
【図2】入浴者がノズルからの噴流を足に受けているときの状態を表す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の具体例にかかる浴槽装置の動作を表す平面模式図である。
【図4】時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸込み口から取り込まれる空気の流入量の具体例を例示するグラフ図である。
【図5】時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸込み口から取り込まれる空気の流入量の他の具体例を例示するグラフ図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の第一の具体例を示す模式的断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、噴流が持つ周波数域を例示する図である。
【図8】時間に対するノズルからの吐水流量の具体例を例示するグラフ図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の第三の具体例を示す模式的平面図である。
【図10】時間に対するノズルからの吐水流量の具体例を例示するグラフ図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の状態を例示する図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の筋活動を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、入浴者の筋の場所とその活動を例示する図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、使用時の呼吸商を示した図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る浴槽装置の、流量と脚部移動量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、前記吐水駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置である。
【0012】
この浴槽装置によれば、制御部は、吐水駆動部を制御することにより、入浴者の脚部が屈曲する強さの噴流(第二の噴流状態)を間欠的に吐水させることにより、入浴者に適度な運動を行わせることができる。更に、吐水部に空気混入部を設け、入浴者が、吐水部より足を屈曲させる強さの噴流(第二の噴流状態)を受けた時、吐水部の管内において、第二の噴流状態によって作れる負圧の働きで空気混入部より噴流に空気を取り込み、吐水部より空気を含んだ噴流を噴射する。足を屈曲させる第二の噴流状態において、水より粘性抵抗が低い空気を取り込むことで、吐水部から噴射される空気を含んだ噴流の流速は高まることとなる。よって、F=ρvQの流体式より、空気が混入した噴流の流速が上がると、脚部を屈曲させる力が増加することとなる。即ち、空気混入部を設けて、吐水部より噴射される噴流に空気を混入させることで、足を屈曲する第二の噴流状態を少ない流量で噴射力を向上させることが可能となる。
【0013】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記空気混入部を制御し、前記噴流への前記空気の混入量を制御することを特徴とする浴槽装置である。この浴槽装置によれば、制御部の働きによって脚部を屈曲させない程度の噴流(第一の噴流状態)から入浴者の脚部を屈曲させる強さの噴流(第二の噴流状態)へと間欠的に吐水されている状態において、制御部は、空気混入部から空気が取り込める量を調節する。即ち、空気混入部より流入する流入量は、第一の噴流状態、第二の噴流状態に応じて調節させるため、噴流による脚部の屈曲伸展の運動において、瞬急な力変化を柔軟に生成することが可能となり、効果的な運動を入浴者へ提供することが出来るようになる。
【0014】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記制御部は、前記噴流に前記空気を間欠的に混入することで、前記空気を含んだ噴流の強さを間欠的に制御することを特徴とする浴槽装置である。この浴槽装置によれば、制御部の働きによって、空気を間欠的に混入することにより、第二の噴流状態を間欠的に吐水させることができる。この際、第二の噴流状態においては空気を含んだ流速の高い噴流を、それ以外の場合(第一の噴流状態)においては、空気の混入量を少なくすることで、吐水駆動部の出力を変えない、あるいは少ない出力の変化だけで、噴射する空気を含んだ噴流の流量を変化させることができる。これにより、第一と第二の噴流状態の変化を吐水駆動部のみで実現させるよりも、吐水駆動部への負荷を軽減することができる。
【0015】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記吐水部は、前記入浴者の左足裏に噴流を吐水する第一の吐水部と、前記入浴者の右足裏に噴流を吐水する第二の吐水部と、を有し、前記吐水駆動部は、第一の吐水駆動部と第二の吐水駆動部とを有し、第一の吐水駆動部は、前記第一の吐水部に接続され、第二の吐水駆動部は、前記第二の吐水部に接続され、前記制御部は、前記第一及び第二の吐水駆動部を制御して前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から吐水させることを特徴とする浴槽装置である。この浴槽装置によれば、浴槽内に座った状態で、左右の脚部を屈曲させるという他動運動を入浴者に行わせることができる。また、脚部の運動のみならず、全身運動への波及効果もある。
【0016】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から交互に吐水させることを特徴とする請求項1乃至3に記載の浴槽装置である。この浴槽装置によれば、入浴者の左右の脚部を交互に運動させるという、歩行に似た運動を、浴槽内で座った状態にて行える。そのため、入浴者に過度の負担を強いることなく、適切な運動を行わせることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明は適宣省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る浴槽装置を例示する模式断面図である。
【0018】
図1に表したように、本実施形態にかかる浴槽装置1は、浴室ユニット60内に設けられている。浴室ユニット60は、防水パン61によって床が構成されており、壁パネル62によって壁が構成されており、天井パネル(図示せず)によって天井が構成された箱形の水密ユニットである。浴槽装置1は、防水パン61上に配置されている。
【0019】
浴槽装置1には、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は例えば略直方体形状であり、長手方向の一端部の内側面は、入浴者Mの背中m1が接触する背側面(第1の浴槽壁面)2aとなっており、長手方向の他端部の内側面は、入浴者Mが入浴姿勢をとったときにその足裏m2が対向する足側面(第2の浴槽壁面)2bとなっている。つまり、入浴者Mは、背側面2aに背をもたれることができる。また、背側面2aと足側面2bとは、底面2cを挟んで相互に対向している。
【0020】
浴槽2の足側面2bには、入浴者Mの足に噴流を吐水するノズル(吐水部)3が設けられている。また、ノズル3は、ノズル3の側面に空気混入部9と接続された空気吸入口3fと空気噴射口3gを備える。空気混入部9よりノズル3の側面に備わる空気吸入口3fより空気が吸込され、空気噴射口3gより空気が噴流に混入される。ノズル3は、浴槽2の内部に向けて水流(噴流)を噴射するものであり、この噴流の方向は足側面2bから背側面2aに向かう方向である。また、ノズル3内部を通過する噴流は十分早いため、管内には負圧領域が生成される。そして、その負圧の働きを利用して、空気が噴流に混入されることとなる。
【0021】
浴槽2の長手方向の長さ、すなわち、浴槽2における足側面2bと背側面2aとの間の長さは、標準的な体格の入浴者Mが入浴姿勢をとったとき、すなわち、臀部を浴槽2の底面2cに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させたときに、足裏m2でノズル3を覆うことができる程度の長さである。
【0022】
また、浴槽装置1には、噴流を生成する駆動部として、ポンプ4が設けられている。このポンプ4は、ノズル3に接続されている。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。ポンプ4の吸入口7は浴槽2の内部に連通されている。これにより、ポンプ4は浴槽2内から水を汲み上げ、噴流を生成して吐出する。
【0023】
浴槽装置1には、ポンプ4と空気混入部9の動作を制御する制御部5がさらに設けられている。この制御部5は、ポンプ4と空気混入部9に電気的に接続され、ポンプ4と空気混入部9の動作を制御することによりノズル3からの噴流の状態を制御するとともに、噴流に空気を混入する量を制御できる。また、制御部5は、ノズル3からの噴流の状態を、入浴者Mの足を屈曲させない噴流状態(第1の噴流状態)と、第1の噴流状態よりも吐水流量が多く入浴者Mの足を屈曲させる噴流状態(第2の噴流状態)と、に設定できる。
【0024】
ノズル3の管内を噴流が通過する際、空気混入部9より引込まれた空気を、ノズル3に備わる空気噴射口3gより混入する。そして、空気を含む噴流としてノズル3より噴射する。空気を含む噴流の流量は、空気を含まないときに比べて少ない。しかし、空気の粘性抵抗は、水より小さいことから空気を含まない噴流に比べて流速が、早くなる。結果、噴流の水量は少ないにも関わらず、噴流が入浴者Mの足を屈曲させる力を備えた噴流状態を生成できる。入浴者Mの足を屈曲させるためには大量の流量の吐水が必要だが、空気を混入することにより、その流量を低減することができる。
【0025】
ノズル3から吐水されるい噴流が第1の噴流状態となる。その時、吐水流量wQ1は、例えば約30リットル/分程度である。一方、ノズル3から吐水される噴流が第2の噴流状態となる時、吐水流量wQ2は、例えば約130リットル/分程度である。このように、第2の噴流状態の吐水流量wQ2は、マッサージ用として噴出される噴流の吐水流量よりもかなり大きい。そのため、ノズル3から第2の噴流状態で吐水される噴流は、入浴者Mが背中m1を背側面2aに接触させ、足裏m2をノズル3に対向させたときに、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節を同時に屈曲させることが可能である。
【0026】
また、本実施形態にかかる浴槽装置1は、例えばリモコンなどの操作部8を備える。この操作部8は、例えば、浴室ユニット60の壁パネル62に取り付けられており、入浴者Mからの操作により制御部5へ制御信号を送信できる。そして、制御部5は、操作部8からの制御信号に基づいてポンプ4の動作を制御できる。つまり、入浴者Mは、操作部8を操作することによりポンプ4の動作を制御し、ノズル3からの噴流の状態を変更できる。
【0027】
脚部が屈曲しない噴流状態(第1の噴流状態)と脚部が屈曲する噴流状態(第2の噴流状態)とを間欠的に切替ながら吐水することで屈伸運動を行う。本実施例において、脚部を屈曲しない第1の噴流状態とは、例えば、0リットル/分であってもよいし、脚部が屈曲しない程度の噴流、例えば、30リットル/分であってもよい。第1の噴流状態を、脚部を屈曲しない程度の噴流とすると、第2の噴流状態までの立上り時間を短くすることができ、ポンプ4の負荷を少なくすることが出来る。
【0028】
図2は、入浴者がノズルからの噴流を足に受けているときの状態を表す模式図である。 なお、図2(a)は、入浴者の足の屈曲期を表しており、図2(b)は、入浴者の足の保持期を表しており、図2(c)は、入浴者の足の伸展期を表している。
また、図3は、本具体例にかかる浴槽装置の動作を表す平面模式図である。
図4は、時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸入口から取り込まれる空気の流入量の具体例を例示するグラフ図である。
また、図5は、時間に対するノズルからの吐水流量とノズルに備わる空気吸込口から取り込まれる空気流入量の他の具体例を例示するグラフ図である。
【0029】
まず、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる(図1参照)。すなわち、入浴者Mは、臀部を浴槽2の底面2cに接触させ、背中m1を浴槽2の背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに対向させる。そして、入浴者Mは、左の足裏m2で第一の吐水部である左のノズル3Lを覆い、右の足裏m2で第二の吐水部である右のノズル3Rを覆うように、左右の足を配置し、ノズル3から噴出される噴流を足裏で捉える初期姿勢をとる。このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあり、足関節、膝関節及び股関節は脱力されているものとする。
【0030】
この状態から、ポンプ4を作動させる。これにより、ポンプ4は、浴槽2内の水を吸入口7から汲み上げて噴流を生成し、ノズル3に対して供給する。このとき、ノズル3Lおよび3Rからそれぞれ吐水される噴流に伴って、ノズル3の側面に作られた空気吸入口3fより空気が流入し、空気通路3hを通過して空気噴射口3gより噴流と空気が混ざった噴流を吐水することなる。ノズル3と空気吸入口3fの時間に対する噴流状態(メータ/秒)は、図3あるいは図4に表した如くである。
【0031】
ノズル3から吐水される流量wQ2の噴流と噴流によって巻き込まれる空気の流量aQ2を含んで噴射されると、この噴流は入浴者Mの足裏m2を押圧する。これにより、図2(a)に表した屈曲期のように、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に屈曲し、足は背側面2aに向かって移動する。このとき、ノズル3からの噴流は、入浴者Mの足部を包むように流れ場を生成するため、噴流から足部が外れないような力を足裏m2に与える。これは、噴水の上にピンポン玉をのせたときに、そのピンポン玉が落ちずに噴水の略中心部で留まる現象と同じである。
【0032】
一方、ノズル3からとすいされる流量wQ1の噴流とその噴流によって、巻き込まれる空気の流量aQ1が噴射されると、足裏m2を押圧する圧力が低下する。そのため、図2(c)に表した伸展期ように、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が自然に伸び、足は足側面2bに向かって移動する。このとき、入浴者Mが足裏m2でノズル3を覆うように足の位置を意識的に調節することにより、足はノズル3の近傍に戻る。従って、ノズル3が吐水流量wQ1(空気流入量aQ1)およびwQ2(空気流入量aQ2)の噴流を交互に噴射することで、入浴者Mの足が浴槽2の長手方向に沿って往復運動する。
【0033】
このとき、図4に表したグラフ図のように、空気流入量は、ノズル3からの吐水される噴流量の変化に応じて、空気吸入口3fより吸込まれる空気の流量を変化させる。さらに、空気を含み流速の早くなった噴流(wQ2、aQ2)は、使用者の脚部を屈曲させることが可能となる。その際、足部は、浴槽壁面よりL2mm離れることとなる。この足の屈伸運動は、空気を含むことで噴流の流速v2を高めると共に、空気の混入によって見せ掛けの流量を増やし、少ない水量でも、十分に入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節を同時に屈曲させることができるようになる(図2(b))。
【0034】
一方、噴流v1(wQ1、aQ1)は、脚部が伸展することとなる。その際、噴流量の変化に応じて足部は、浴槽壁面よりL1mm離れることとなる。即ち、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に伸展した状態図2(a)となる。
【0035】
空気を噴流に含ませた噴流状態について、図4、図5を用いて説明する。図4は、空気を含んだ噴流v2によって入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節が同時に屈曲した状態図2(b)となる。この時、噴流の吐水量wQ2は、水より粘性抵抗が低い空気を取り込むことで噴流v2の流速となる。一方、空気を取り込まない図5に示す噴流v3は、図4に示す同じ噴流の吐水量wQ2であるにもかかわらず、噴流v3は、噴流v2より遅くなる。即ち、噴流によって入浴者Mの足を屈伸させる噴流状態を生成するには、空気吸入口3fより取り込んだ空気を空気噴射口3hより噴出し、噴流に空気を混入させた噴流状態を入浴者Mへ吐水ることが、効果的な屈伸運動を提供できると考える。
【0036】
第二の噴流状態の生成方法を以下に説明する。一つに、脚部を屈曲させる噴流状態(第二の噴流状態)は、吐水駆動部4によって吐水流量を制御することで生成することが可能である。また、脚部が屈曲しない噴流状態(第一の噴流状態)に、空気混入部9より空気を混入させ、吐水駆動部4からの流量を変化させずに第二の噴流状態を作ることで実施することも可能である。この方法によると、吐水流量を制御することで作られる第二の噴流状態よりも吐水量が少なくて済む。これにより、空気混入部9を設けることで、吐水駆動部4のサイズを小さくすることができ、また吐水流量を変化させることのできない吐水駆動部でも本実施例に示す運動を提供することができる。
【0037】
この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者Mの意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、入浴者は、リラックスした状態で運動することができる。この結果、運動を継続しやすい。なお、「他動運動」とは、人が自分の筋力ではなく外力を利用して行う運動をいい、本願明細書においては、上述の如く姿勢を崩された場合の補償動作も含むものとする。
【0038】
また、噴流に空気を混入する流量で、足裏へ与える噴流刺激の周波数帯を可変することが可能となる。図6(a)(b)に例示するように、空気混入部9より取り込んだ空気を噴流へ混入させる空気噴射口3gを設定し、噴流に混入する空気の気泡を調節することで噴流による振動刺激の周波数域を変更する。例えば、図6(a)のように空気噴射口3gを広く、少なくとることで、噴流に混入さえる空気の気泡は、大きくなる。そのため、入浴者Mの足裏へ噴流として伝わる噴流刺激は、低い周波数帯の刺激となる図7(a)。
【0039】
一方、噴流に空気を混入する空気噴射口3gを図6(b)のように配置することで、噴流に混ざる空気は細かい小さな気泡となる。そのため。入浴者Mの足裏へ噴流として伝わる噴流刺激は、高い周波数帯の刺激となる図7(b)。
【0040】
上述したように、噴流に混入する気泡の大きさを空気噴射口3gの開口面積で調節することが可能である。これにより、足裏に備える感覚器が活動しやすい周波数帯域を含んだ噴流刺激を入浴者Mに提供することが可能となる。すなわち、噴流刺激が感覚器を刺激することでバランス機能促通させることが可能となる。加えて、運動効果に関しても鍛えることが可能となる。感覚器を刺激する周波数の例を以下に記述する。パチニ小体であれば30Hz近傍で最も活動し、マイスネル小体は200Hz近傍の刺激によって活動することが一般的に知られている。そのため、噴流が備える振動周波数域を30Hz〜200Hzにするよう、噴流に混入させる空気を空気噴射口3gによって設定する。また、空気の混入だけでなく、吐水の水量や流速の変化によっても希望する振動周波数へ設定することが可能である。
【0041】
噴流によって入浴による温熱効果と、運動効果がより一層向上する。また、噴流により入浴者Mの周囲の温度境界層が常に破壊されるため、入浴者Mが温まり易く、運動効果がさらに向上する。このように、前述した運動を浴槽内で行うことにより、浴槽外で行う場合と比較して、より高い運動効果を得ることができる。
【0042】
本実施形態にかかる第一具体例の変形例に関して図8(a)、(b)、(c)を用いて説明する。図8(a)に例示する様に、混入される空気量が、第一の噴流状態から第二噴流状態に切替わる時に、b1秒だけ空気を噴流に混入する。図9は、図8(a)に例示した噴流状態(噴流、混入される空気量、流速)が、脚部の移動量に働きかける様子をタイムチャートで図示したものである。
【0043】
入浴者Mは、第一の噴流状態から第二の噴流状態へ切替わって吐水する水量が増えることに加え(図9a)、空気を取り込むことで、空気を混入した噴流の流速は、高まる、。即ち、噴流の押圧力F(N)が強くすることが可能となる(図9b、c)。これによって、屈曲初期の動作中に、高いストレッチ効果を得ることが出来る(図9d)。または、筋群に備わる固有受容器などを刺激することで運動が効果に得られることとなる。また、屈伸運動を誘発する噴流の刺激の強度を空気混入で調節することで順化防止にもなり、継続的に運動を入浴者へ提供することが可能となる。
【0044】
図8(b)に例示する様に、混入される空気量が、第一の噴流状態から第二噴流状態に切替わる時に、r1秒だけ送れて、第二の噴流状態が第一の噴流状態へ切替わるより早くb1秒間隔で、空気を噴流に混入する。
【0045】
入浴者Mは、第一の噴流状態から第二の噴流状態へ切替わってr1秒後に、空気を混入することで流速を高めることとなり、即ち、押圧力が強くすることが可能となる(図10a、b)。これによって、屈曲中期において高いストレッチ効果を得ることが出来る(図10c、d)。特に、足裏が浴槽側壁面より離間して、不安定な湯水空間ないで保持している中で、強い噴流を受けるため、インナーマッスルなどの通常鍛えつらい筋群をトレーニングすることができるようになる。
【0046】
また、図8(c)に例示する様に、混入される空気量は、第一の噴流状態から第二噴流状態に切替わる時に、r2秒だけ遅れて吸入され、さらに、第二の噴流状態が第一の噴流状態へ切替わるまでb1秒間隔で、空気を噴流に混入する。すなわち、入浴者Mは、第一の噴流状態から第二の噴流状態へ切替わってr2秒後から、第二の噴流状態が終わるまでに、空気が混入することで最も早い噴流を受けることなる図11(a、b)。
【0047】
これによって、屈曲後期において高いストレッチ効果を得ることが出来る図11(c、d)。噴流による屈曲後期は、大腿部などの腰関節周りに備わる筋群を刺激することとなる。上述しよように、噴流の強弱を脚部の屈伸運動の期間において調節することで、ことなる部位の筋群を刺激することができるようになり、入浴者Mはトレーニングした部位を選択肢、集中的に効果的運動を行うことができるようになる。ただし、噴流と空気の混入の時間間隔は上記によって限定されるものではない。そして、上記空気混入のタイミングを組合わせることで、屈伸運動を誘発する噴流の刺激の強度を周期毎、位相毎に調節でき順化防止にもなる。即ち、継続的に運動を入浴者へ提供することが可能となる。
【0048】
脚部が絶えず動き続けている状態は、脚部の運動のみならず全身運動への波及効果をもたらすことが、筋活動を調べた実験より確認されている。図12は、吐水状態における入浴者の筋群の筋活動を示した図である。図12の縦軸はそれぞれの筋群が活動している状態を、横軸は時間を表す。図12に示すように、腓腹筋や前脛骨筋、ハムストリングス(大腿4頭筋)のような下肢の筋群の運動だけではなく、脊柱起立筋のような背部の筋や、前腕筋群(腕橈骨筋)のような腕部の筋も活動していることがわかる。このように、本発明の一実施形態にかかる運動浴槽装置は、脚部だけでなく全身の筋群を活動させており、脚部だけでなく全身の運動や筋力トレーニングにも効果がある。また、入浴者へウォーキング動作を行っているような運動感を誘発させることも主観評価より分かっている。
【0049】
図13の(a)と(b)より、具体的に、他動的な屈伸運動によって起こる筋の活動を説明する。図13の(a)は、噴流によってもたらされる他動運動によって活動する筋群を例示した図であり、図13(b)で示されている筋群の位置を示す。図13(b)は、縦軸に筋の活動量を示し、横軸に時間をとり、吐水状態に応じて脚部の異なる筋が活動していることを示す。なお、M4はハムストリングス(大腿二頭筋他)を、M5は前脛骨筋を示す。吐水のS1時間に伴う脚部の屈曲より、前脛骨筋M5が積極的に活動し始める。これは、足部が第二の浴槽壁面より離れ、第一の浴槽壁面へ移動している状態で筋の活動が起こっている事を意味する。
【0050】
そして、次にS2時間で吐水しない状態となり、入浴者の足部が第二の浴槽壁面2bへ移動し、吐水部3と第二の浴槽壁面2bに当接する。入浴者の足部が第二の浴槽壁面2bに接すると、ハムストリングスM4が活動することを図13の(b)より示している。このように、噴流の増減に伴って起こる脚部の屈伸運動は、異なる筋群を働かせることで運動効果を高める。
【0051】
図13に図示されていた前脛骨筋M5は、ヒトの身体セグメントにおける下腿部に備わった筋である。前脛骨筋M5の働きは、歩行時、地面と足部とのクリアランスをとるために働く筋肉として知られている。よって、前脛骨筋M5を活動させる運動とは、転倒予防に貢献する運動を意味する。
【0052】
同じく、図13に図示されたハムストリングスM4は、ヒトの身体セグメントにおける大腿部に備わった筋群である。ハムストリングスM4は、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋、そして大内転筋によってなる筋群である。大腿二頭筋の働きは、主として歩行時における蹴りだす力、推進力を生成する筋として知られている。よって、ハムストリングスM4を刺激する運動とは、歩行速度の維持と歩行機能の向上に貢献できる運動を意味する。
【0053】
吐水部3から吐水する脚部を屈曲させる噴流状態(第2の噴流状態)は、入浴者Mが背中m1を第一の浴槽壁面2bに当接させ、足裏m2を吐水部3に対向させたときに、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節を同時に屈曲させることが可能な量であり、例えば、80〜300リットル/分である。尚、噴流の大きさが80リットル/分未満であると、入浴者の足裏m2が吐水部3から離れないことがあり、300リットル/分を超えると、浴槽2から水が溢れ出すことがある。
【0054】
吐水される水量が110リットル/分を超えると吐水される噴流の押圧によって脚部移動距離が140mm以上になり、この条件を境に使用者が、噴流による屈伸運動で運動感を感じることが確認されている。尚、モニター人数35名において、110リットル/分を超えると吐水で足部が140mm以上移動し、運動感を感じることを確認している。
【0055】
さらに屈伸運動において効果的で高い運動効果を得るには、150リットル/分程度の噴流で運動を行うことが良く。さら好ましくは、180リットル/分程度の噴流による運動が効果的である。なお、この噴流の大きさは、一般家庭用浴槽を対象とした循環式浴槽において、マッサージ用に噴出される噴流の大きさよりもかなり大きい。一般的なマッサージ用ブローにおいて、一つの吐水口から吐水される水量は、20リットル/分程度である。またマッサージブローの強い強度においても、水量は多くて40リットル/分程度である。
【0056】
上述した通り、噴流の流量を増やすことで足裏を押圧する力を増加させるとともに屈伸運動の可動範囲を広くする。この噴流の増加に伴って、足裏に備わる感覚器と脚部に備わる腱器官を、より効果的に刺激する事で歩行に働く機能を効果的促進させることが可能となる。
【0057】
また、利用する浴槽の水(湯)の水温は常温でも使用できるが、水温を、36〜41℃帯域で使用するのが好ましい。例えば、温度が体温に近く、温熱の負荷が低い場合の36〜38℃では、吐水の水量を多くし屈伸運動の回動量を増やす、もしくは、吐水の周期を早くすることで屈伸運動の回数を増やすことにより運動強度を高め、効果的な運動を入浴者へ提供することが可能となる。
【0058】
一方、比較的短い時間で十分な運動を求める場合は、湯温度を高めに設定し(例えば39〜41℃)、温熱と運動の効果の相乗効果によって、湯の温度を低く設定した時に比べ、短い時間でエネルギー消費を起こし、効果的な運動を短い時間で行うことができる。
【0059】
温熱の効果と運動効果について、図14において説明する。
図14は、縦軸に脂肪の燃焼効率を示す呼吸商を示し、横軸に経過の時間を図示し、速歩と噴流による他動運動を行った際の呼吸商を比較した値を示している。条件は、陸上での時速4.3キロ程のウォーキングと、湯温39度で吐水量が160リットル/分程度の噴流を選択した本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置を用いた入浴ウォーキングの場合を、呼吸商より比較した。結果、高い脂肪燃焼効果が得られる領域に、本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置を用いた入浴ウォーキングが、陸上のウォーキングより早い時間帯で突入したことを示している。上記結果は、本発明の一実施形態に係る運動浴槽装置が、温熱と運動の相乗効果によって、短い時間で非常に高い運動効果を生成することを示すものである。
【0060】
本発明の一実施形態を用いた運動を、35名が体験した。その結果、入浴中の水中(入浴)ウォーキングが入浴姿勢から、噴流によって無理なく行われることがわかった。そして、継続して水中ウォーキングを行うと、運動感、筋の使用感を感じるという知見も得られた。また風呂から出たあと、足が温かい、ジョギングよりも運動感を感じる、といった運動の効果を体験者が体感していることを確認している。さらに、5分を経たずに、発汗作用が促進されることなども体感から知見を得ており、ダイエット効果にも適しておりメタボリック対策になるなどの感想も得られた。
【0061】
また、噴流を足裏で受けることによって、足裏に備わる感覚器を刺激することができる。足裏に備わる感覚器(圧受容器)は、年齢の増加にともなって感度が低下する。そのため高齢者は足裏で身体の重心位置を検地することが出来ず転等する可能性が高くなるとことは一般的に知られている。しかし、感覚器の感度などは、絶えず感覚器を刺激することによって、感覚器の感度、そして、感覚器より検出した情報を伝える神経系の処理機能を維持することが可能となることも最近の研究にて報告されている。
【0062】
運動効果としても、空気を含んだ噴流によって入浴者Mは、入浴者Mの足関節、膝関節及び股関節において屈伸運動を誘発させることが出来る。この脚部における繰り返しの屈伸運動は、脚部のトレーニングとして高い運動効果を有することは、図14から図15において説明した。また、入浴者Mは、この運動によって姿勢のバランスを崩され、不安定な姿勢となる。そのため、入浴者Mは、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。入浴者は、これによっても運動することができることにつても上述た。
【0063】
本発明の一実施形態における浴槽装置は、脚部が屈曲するほどの強い噴流を足裏に当てている。そのため、第一に脚部を屈伸することで、腱や筋に備わる腱紡錘、筋紡錘といった固有感覚器を刺激する。そして第二に、噴流を足裏で直接受けることで足裏に備わる感覚器(圧受容器)が刺激される。それにより、感覚器と感覚器より検出した情報を伝える神経系の経路を促通させることが可能となり、バランス能力などを向上させることが出来る。
【0064】
更に本実施形態によれば、入浴者は、第一の吐水部3L及び第二の吐水部3Rから吐水される水量に応じて屈伸運動より得る運動感が異なる。図15に示す実線Lは、吐水部3からの噴流によって入浴者が屈伸運動を起こった時の脚部が噴流によって第二の浴槽壁面から離れて移動する距離と吐水の流量をとの関係を表している。
【0065】
実線Lに示すように、足部の移動距離と吐水の流量には相関関係があり、吐水量が多くなると脚部移動量が増える。足部の異動距離が第二の浴槽壁面より離れるのは80リットル/分程度からであり、80リットル/分程度以上の吐水量になると、足部の移動が開始され屈伸運動を行える。より効果的な運動を入浴者が行うには、吐水量を110リットル/分とするとよい。
【0066】
本実施例では、足部の移動距離は140mm程度となっていた。さらにより効果的な運動を得ようとすると、入浴者は吐水量、180リットル/分を選択し、さらに高い効果的な運動を得ようとすると、200リットル/分となるように水量を調節してもよい。その際の脚部の移動距離は250mm〜300mm程度となっていることが実験より分かっている。
【0067】
また、足部の移動距離が、140mm程度となる吐水量、例えば110リットル/分の吐水での入浴ウォーキングにおいて、モニター実施者8人中7名が入浴ウォーキング実施終了後に、脚部を中心に運動感を感じるとコメントしている。ここでの運動感とは、脚部において軽い疲労感や、使用していた筋肉の一部が温かく感じることなどが主な意見として抽出されている。
【0068】
本具体例においては、浴槽2内に水(湯)Wを溜めた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる。そして、制御部5の操作ボタンを操作することにより、浴槽装置1による運動の実行時間及び屈伸運動の周期を任意に設定する。なお、制御部5の中に予め複数の種類の運動モードが設定されており、入浴者が好みの運動モードを選択するようにしてもよい。
【0069】
例えば、入浴者が、運動負荷の高いモードを選択すると、タイマーが比較的短い周期で吐水する状態、吐水しない状態へと水量を切替える制御を、制御部5から吐水駆動部4に対して出力する。又は、運動時間及び運動周期はタイマーが自動的に設定してもよい。例えば、湯の設定温度が39℃であるとき、タイマーは、1セットの運動時間を10分間に設定する。
このように、本具体例によれば、運動の負荷を入浴者の好みに応じて任意に設定することができる。本具体例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の実施形態と同様である。
【0070】
吐水駆動部4は、羽根車をモータによって回転させることで湯水を吸入し、吐水部3より吐水する噴流を作り出す回転式のポンプなどが用いられる。また、吐水駆動部4の制御には、シーケンサー、タイマー、AD/DA変換機と計算機などを用いてポンプの駆動状態を制御する。尚、回転式ポンプを想定して説明したが、本実施例は上記内容に限られるものではない。例えば、プランジャー、もしくはピストンなど容積型の電磁式往復ポンプを用いて吐水部3から噴流を作り出しても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 浴槽装置、2 浴槽、2a 足側面、2b 背側面、2c底面、3 ノズル、3f 空気吸入口、3g 空気噴射口、3h 空気通路、4 ポンプ、5 制御部、 7 吸入口、 8操作部、 9 空気混入部 60 浴室ユニット、61 防水パン、 62 壁パネル、 M 入浴者、m1 背中、m2 足裏、m7 足部、 W 水 Y 吐水方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、
前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、
前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、
前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、
前記吐水駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記空気混入部を制御し、前記噴流への前記空気の混入量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記噴流に前記空気を間欠的に混入することで、
前記空気を含んだ噴流の強さを間欠的に制御する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
前記吐水部は、前記入浴者の左足裏に噴流を吐水する第一の吐水部と、前記入浴者の右足裏に噴流を吐水する第二の吐水部と、を有し、
前記吐水駆動部は、第一の吐水駆動部と第二の吐水駆動部とを有し、
第一の吐水駆動部は、前記第一の吐水部に接続され、
第二の吐水駆動部は、前記第二の吐水部に接続され、
前記制御部は、
前記第一及び第二の吐水駆動部を制御して前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から吐水させる
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から交互に吐水させることを特徴とする請求項1乃至4に記載の浴槽装置。
【請求項1】
第一の浴槽壁面と、前記第一の浴槽壁面に対向して設けられた第二の浴槽壁面と、を有する浴槽と、
前記第二の浴槽壁面に設けられ、前記浴槽に入浴する入浴者の足裏に噴流を吐水する吐水部と、
前記吐水部に接続され、前記噴流に空気を混入することが可能な空気混入部と、
前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、
前記吐水駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者の脚部を屈曲させる強さの、空気を含んだ噴流を前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記空気混入部を制御し、前記噴流への前記空気の混入量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の浴槽装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記噴流に前記空気を間欠的に混入することで、
前記空気を含んだ噴流の強さを間欠的に制御する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
前記吐水部は、前記入浴者の左足裏に噴流を吐水する第一の吐水部と、前記入浴者の右足裏に噴流を吐水する第二の吐水部と、を有し、
前記吐水駆動部は、第一の吐水駆動部と第二の吐水駆動部とを有し、
第一の吐水駆動部は、前記第一の吐水部に接続され、
第二の吐水駆動部は、前記第二の吐水部に接続され、
前記制御部は、
前記第一及び第二の吐水駆動部を制御して前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から吐水させる
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の浴槽装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記入浴者の左右の脚部を屈曲させる強さの噴流を前記第一及び第二の吐水部から交互に吐水させることを特徴とする請求項1乃至4に記載の浴槽装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−207445(P2010−207445A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57791(P2009−57791)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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