説明

海産物加工器

【課題】操作性が良く、かつ短時間に不食部分を十分除去して価値の高い商品に加工処理できる海産物加工器を提供。
【解決手段】内臓除去器10は、駆動部12にドリル14を取り付け、取り付けたドリル14をドリルカバー16で覆い駆動部12に固定し、ホース20の一端側をドリルカバー16に形成された開口部28につなぎ、ホース20の他端側を廃棄物容器18における一方の開口部30につなぎ、ホース36の一端側を廃棄物容器18における他方の開口部32につなぎ、ホース36の他端側を吸引部22の開口部34につないで、駆動部12を駆動させて一定方向に回転させ、かつ吸引部22を動作させて吸引を開始して、たとえばウニに開けた口にドリル14の先端を挿入し、不要な内臓を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海産物加工器に関するものであり、本発明に係る海産物加工器は、水揚げした海産物、とくに、ウニの殻から不要内容物である内臓の除去に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
海産物の中で、たとえばウニやカキの剥き身は、需要があり、その商品価値も高いことが知られている。一般的に、これら所望の商品を提供する場合、作業員は、殻から不要な内蔵を箸やピンセットで除去し、塩水で洗浄した剥き身をトレーに移し変えている。
【0003】
この除去処理は、非常に時間がかかって作業効率を低下させ、商品価値を低下させてしまう虞がある。そこで、このような点を解消する装置や機器がいくつか提案されている。
【0004】
特許文献1は、海産物加工器具および加工方法であり、吸引孔が異なる複数の吸引部を差し替え交換できるノズルを用い、ノズルにより不要なウニ等の海産物の消化器官や昆布の摂取残滓を吸引排除して殻に付着した生殖巣のみとすることを目的としている。海産物加工器具は、孔径に設定した、海産物の不要内容物を除去する着脱自在な吸引ノズルと、吸引ノズルに接続されたホースと、ホースに接続された吸引機械とを有している。海産物加工器具は、中径孔や小径孔と付着した残滓を除去に適した吸引ノズルを用いることにより完全に除去した後、海水での洗浄を不要にして、衛生的で、かつ海産物の鮮度を保つことができる。
【0005】
特許文献2は、ウニ内臓の除去装置であり、殻付きの生ウニの不食部分である内臓を、短時間で、残すことなく除去することを目的としている。特許文献2は、この装置に、吸引手段と、この吸引手段に連結された分離器と、分離器に基端部が連結された可撓性のホースと、このホースの先端部に取り付けられた先細り状の吸引ノズルとを備え、吸引ノズルをウニ殻の開口部に挿入してウニ殻内部の内臓を吸引して除去することを開示している。
【0006】
さらに、特許文献3は生殖線を引き出すためのウニの処理装置および方法である。このウニの処理装置は、ウニを切断場所に移送するコンベアと、コンベアに配設されたカッタと、コンベア上のウニを方向付けて整列させ維持する整列平面と、コンベアを整列平面の方向に負荷を与えるバネ手段を有し、カッタには、レーザービームまたは帯状鋸刃の切断素子を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−17245号公報
【特許文献2】実用新案登録第3065492号
【特許文献3】特開平7−194347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1は、個々のウニに対してウニの内臓残滓の除去に適した孔径の吸引ノズルを用いることから煩雑な着脱が要求される。また、特許文献2の除去装置は、実際に内臓の除去に用いても、十分に内臓を除去できない現状がある。このため、たとえば数十万と高価な除去装置を購入しても、除去装置は使われないままの状況にある。
【0009】
さらに、特許文献3のウニの処理装置は、大掛かりな装置であり、個人が所有し設置も難しい。また、この処理装置は、切断することにより、ウニの商品価値を損なってしまいかねない。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑み、操作性が良く、かつ短時間に不食部分を十分除去して価値の高い商品に加工処理できる海産物加工器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述の課題を解決するために、海産物から不要として取り出される組織を取り除く海産物加工器において、この加工器は、取り出される組織を引っかけて、引っかけた組織を海産物からの排出方向に方向付けて取り出すロッド手段と、このロッド手段が取り付けられ、取り付けられたロッド手段を一定方向に回転させる駆動手段と、ロッド手段を貫通する管状に形成し、ロッド手段を覆うカバー手段と、取り出された組織を貯める容器と、この容器に取り出された組織を吸引する吸引手段とを含み、この加工器は、さらに、カバー手段に形成された開口部と容器における一方の開口部をつなぐ第1のホースと、容器における他方の開口部と吸引手段の開口部をつなぐ第2のホースとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動手段にロッド手段を取り付け、取り付けたロッド手段をカバー手段で覆い駆動手段に固定し、第1のホースの一端側をカバー手段に形成された開口部につなぎ、第1のホースの他端側を容器における一方の開口部につなぎ、第2のホースの一端側を容器における他方の開口部につなぎ、第2のホースの他端側を吸引手段の開口部につないで、駆動手段を駆動させて一定方向に回転させ、同時に吸引手段を動作させて吸引を開始して、たとえばウニに開けた口にロッド手段の先端を挿入するだけで取り出される不要な組織を容易に引っかけて、引っかけた組織を海産物からの排出方向に方向付けて取り出し、カバー手段でロッド手段の回転による取り出された組織の飛散を防止しながら、第1のホースを介して、吸引手段の吸引力で吸引した不要な組織を容器まで運び、貯める。このような簡単な操作により、水洗いすることもなく、従来の装置に比べて不要な組織を海産物からの除去に要する時間を大幅に短時間で済ますことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る海産物加工器を適用した内臓除去器の概略的な構成を示す図である。
【図2】図1のドリルを側面側から見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に添付図面を参照して本発明による海産物加工器の一実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明による海産物加工器の実施例は、内臓除去器10に適用した場合である。内臓除去器10は、駆動部12にドリル14を取り付け、取り付けたドリル14をドリルカバー16で覆い駆動部12に固定し、ホース20の一端側をドリルカバー16に形成された開口部28につなぎ、ホース20の他端側を廃棄物容器18における一方の開口部30につなぎ、ホース36の一端側を廃棄物容器18における他方の開口部32につなぎ、ホース36の他端側を吸引部22の開口部34につないで、駆動部12を駆動させて一定方向に回転させ、かつ吸引部22を動作させて吸引を開始して、たとえばウニに開けた口にドリル14の先端を挿入するだけで取り出される不要な組織を容易に引っかけて、引っかけた組織を海産物からの排出方向に方向付けて取り出し、ドリルカバー16でドリル14の回転による取り出された組織の飛散を防止しながら、ホース20を介して、吸引部22の吸引力で吸引した不要な組織を容器まで運び、貯める。このような簡単な操作により、水洗いすることなく、従来の装置に比べて不要な組織を海産物からの除去に要する時間を大幅に短時間で済ますことができる。
【0015】
本発明と直接関係のない部分について図示および説明を省略する。以下の説明で、信号はその現れる接続線の参照番号で指示する。
【0016】
本実施例は、本発明に係る海産物加工器を適用した内臓除去器10である。内臓除去器10は、図1に示すように、駆動部12、ドリル14、ドリルカバー16、廃棄物容器18、ホース20および36、ならびに吸引部22を含む。
【0017】
駆動部12は、内臓除去器10において、たとえばウニ殻内部に含まれる内臓を取り除く上でドリル14を回転させる機能を有する。駆動部12は、100ボルト給電のモータやバッテリ駆動のモータを用いるとよい。これらのモータは、ドリル14とドリルカバー16の間に巻き付けた内臓がドリル14に咬んでドリル14が回転停止しない、すなわち内臓の詰まりが生じないトルクを発生させるものであればよい。
【0018】
また、駆動部12には、後段で述べるドリル14を装着する側に、締結機構を図示しないが、たとえば3個の爪を有するドリルチャックが形成されている。駆動部12には、ドリル14を把持し固定するようにロッドクランプ用のねじが切られている。ロッドクランプは、ドリル14を挿通する貫通口が開けられ、ロッドクランプ用のねじを受けるねじが切られている。ロッドクランプは、ドリル14を通しドリルチャックに把持させた状態でねじを締めると、ドリルチャックを締め付けるように内側が形成されている。このように駆動部12は、把持したドリル14をロッドクランプの締結によって固定している。このように駆動部12は、ドリル12を着脱可能にしている。
【0019】
なお、ドリル14は、上述した駆動部12への固定に限定されるものでなく、少なくとも2本のねじを用いて駆動部12の回転軸に固定するようにしてもよい。
【0020】
ドリル14は、内臓の除去に際し、この内臓への接触にともない内臓を巻き付ける機能を有する。ドリル14は、ドリルロッドである。本実施例におけるドリル14は、内臓への接触した際に内臓の引っかけを容易にする形状に先端部が螺旋状に研磨されている。また、ドリル14は、図2に示すように、先端部だけでなく、上述したように内臓の詰まりが生じないように、長手方向に長さ24を螺旋状に研磨されている。
【0021】
なお、ドリル14は、先端の形状が螺旋状だけに限定されず、先端を釘状に形成して内臓を引っかけるものでもよい。
【0022】
さらに、ドリル14は、螺旋状に研磨した長さ24のうち、ホース20の取り付け位置26に合わせて位置26近傍を数ターン分にわたってこれまでの螺旋方向と逆方向に螺旋を形成する。ドリル14を駆動部12により一定方向に回転させても、取り出した内臓は形成した螺旋に沿って運ばれるから、この結果、位置26で運ばれた内臓は、ホース20が取り付けられるドリルカバー16の開口部28からホース20に排出される。このようにドリル14を形成すると、内臓除去器10は、複雑なストッパ機構を配設することなく、位置26よりも駆動部12側に取り出した内臓が送られない。これにより、駆動部12のロッドクランプが汚れることを防ぐことができる。
【0023】
図1に戻って、ドリルカバー16は、両端側が開口した貫通した管である。ドリルカバー16は、ドリル14を覆いドリル14を回転させても、引っかけた内臓の飛び散りを防ぎ、錆も防ぐ機能を有する。また、ドリルカバー16は、一端側を駆動部12に固着する。
【0024】
ドリルカバー16は、駆動部12にドリルカバー16を固着した際に、ドリルカバー16の長さを、ドリル14の先端部が数ミリ程度、突き出るように設定している。ドリルカバー16をこのように設定することにより、ドリル14は、商品となる部分を傷つける危険性をなくすとともに、たとえば不要なウニの内臓だけを引っかけることができる。
【0025】
ドリルカバー16は、ホース20が取り付けられる位置に開口28が形成されている。内臓除去器10は、開口部28を介して、内臓を排出する。開口部28は、あらわに図示していないがホース20を取り付けるためホース20の口径より若干大きく突設形成されている。ホース20をドリルカバー16の開口部28に取り付ける場合、ホース20が有する弾力性により、あらわに示していないが、ホース20は、枝状に形成されたドリルカバー16の突設部に密着固定させることができる。
【0026】
廃棄物容器18は、排出された内臓を貯める容器である。廃棄物容器18は、開口部30および32を2つ有する。開口部30および32は、貯めた内臓がホース20に逆流したり、吸引部22に吸引されたりすることを防ぐため廃棄物容器18の蓄積上限の高さより高い位置に形成することが望ましい。本実施例で開口部30および32は、廃棄物容器18の上面側に設けている。廃棄物容器18は、開口部30および32を蜜封した場合、密封状態を作ることができる。開口部30の位置には、ドリルカバー16の開口部28と同じ口径に突設部が形成されている。
【0027】
ホース20は、可撓性を有するものであればよい。ホース20は、突設部に密着配設することにより開口部28と開口部30をつないでいる。内臓除去器10は、ドリルカバー16と廃棄物容器18をホース20でつなぐことにより駆動部12と一体的になったドリルカバー14を自由に動かすことができる。このため、内臓除去器10は、操作性を向上させることができる。
【0028】
吸引部22は、空気を吸引する機能を有する。吸引部22は、たとえば簡易的な真空ポンプや掃除機のような吸引機能を有するものであればよい。吸引部22は、内臓がホース20に詰まらないような吸引力を有するものであることが好ましい。吸引部22も廃棄物容器18の開口部32と吸引部22の開口部34をホース36でつながれている。
【0029】
このようにホース36を接続し、吸引部22を駆動することにより、ホース20に送られた内臓が詰まることなく、廃棄物容器18に送られる。ホース236も、可撓性を有するものであればよい。
【0030】
さらに詳述すると、内臓除去器10は、ドリルカバー16、ホース20および36の管、ならびに廃棄物容器18に形成される空間で開いている部分をドリルカバー16における先端側の開口部38だけにしている。このため、内臓除去器10は、取り除いた内臓を吸引部22で吸引することにより廃棄物容器18まで吸い込んで内臓を廃棄物として貯めている。
【0031】
次に内臓除去器10の動作を簡単に記述する。使用の準備における組立てで、駆動部12にドリル14をまっすぐに固定する。次にドリルカバー16の管にドリル12を挿通させる。そして、ドリルカバー16を駆動部12に固定する。
【0032】
次にホース20の一端側をドリルカバー16の開口部28に取り付け、他端側を廃棄物容器18の開口部30に取り付ける。また、ホース36の一端側を廃棄物容器18の開口部32に取り付け、他端側を吸引部22の開口部34に取り付ける。
【0033】
駆動部12および吸引部22を電源に接続し、電源をオンにする。これにより、駆動部12および吸引部22が動作する。すなわち、駆動部12の駆動によりドリル14がドリルカバー16の管内で回転する。また、吸引部22の駆動により、ドリルカバー16の先端側の開口部38から空気を吸い込む。
【0034】
たとえばウニを割った部分にドリルカバー16の先端部分を挿入する。先端部分から出ているドリル12の先端に内臓が接触すると、ドリル14は内臓を引っかける。内臓は、ドリル14の回転に応じて螺旋状に巻き上げられる。これまでの高価な吸引式の内臓除去装置では必要とされた吸引力の調節がほとんど不要である。
【0035】
内臓は、ドリル14の位置26に達すると、これまでの回転方向と逆方向に送られる。このとき、吸引部22の吸引により内臓は、開口部28からホース20に吸い込まれる。ホース20内の内臓は、吸引部22からの吸引により廃棄物容器18に貯まる。内臓除去器10を用いることにより、これまで必要であった処理後の水洗いも不要になる。たとえ、この除去処理後に水洗いをしたとしても、使用する水量が少量で済み、大幅に節約することができる。
【0036】
以上のように構成することにより、たとえば水揚げしたウニを加工する際に不要な内臓を容易に引っかけ、内臓を除去することができる。内臓除去器10は、ホース20で廃棄物容器18と吸引部22を内臓除去器10における他の部分の操作に関わらないように分離していることから、ユーザは操作時、主に、駆動部12、ドリル14およびドリルカバー16だけの手持ち重量で操作すればよい。したがって、内臓除去器10は、小型軽量で操作性の良い機器を提供すすることができる。また、このように動作させることにより、従来の装置を用いた場合に比べて内臓除去の処理時間を1/3程度に短縮することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 内臓除去器
12 駆動部
14 ドリル
16 ドリルカバー
18 廃棄物容器
20、36 ホース
22 吸引部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海産物から不要として取り出される組織を取り除く海産物加工器において、該加工器は、
前記取り出される組織を引っかけて、引っかけた組織を前記海産物からの排出方向に方向付けて取り出すロッド手段と、
該ロッド手段が取り付けられ、取り付けられたロッド手段を一定方向に回転させる駆動手段と、
前記ロッド手段を貫通する管状に形成し、前記ロッド手段を覆うカバー手段と、
取り出された組織を貯める容器と、
該容器に前記取り出された組織を吸引する吸引手段とを含み、
該加工器は、さらに、前記カバー手段に形成された開口部と前記容器における一方の開口部をつなぐ第1のホースと、
前記容器における他方の開口部と前記吸引手段の開口部をつなぐ第2のホースとを含むことを特徴とする海産物加工器。
【請求項2】
請求項1に記載の加工器において、前記カバー手段は、該カバー手段の長さで前記ロッド手段の露出部分の長さを規定することを特徴とする海産物加工器。
【請求項3】
請求項1に記載の加工器において、前記ロッド手段は、螺旋状に形成し、前記カバー手段に形成された開口部近傍から螺旋の方向を逆螺旋に形成されていることを特徴とする海産物加工器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−41502(P2011−41502A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191213(P2009−191213)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(509236184)有限会社 アール (1)
【Fターム(参考)】