説明

海苔混合液の品質を判定する方法及び海苔混合液の品質判定用表示盤

【課題】 従来、海苔混合液の調整に関する技術として、海苔色の度合いを考慮して海苔調合液の濃度制御を行うことが開示されているが、調整の対象となる海苔調合液の濃度を海苔原料の色の相違に拘らず設定濃度を決定するに留まり、海苔混合液の品質を判定する方法と、この海苔混合液の品質判定用表示盤に関しては開示がない。
【構成】 本発明は、海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠して海苔混合液の品質を判定する方法と、海苔混合液の品質を評価する海苔混合液の品質を判定する方法に使用する海苔混合液の品質判定用表示盤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔混合液(海苔製品)の品質を判定する方法と、この海苔混合液(海苔製品)の品質判定用表示盤に関する。
【背景技術】
【0002】
海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液の調整に関する技術について、以下の文献がある。
【0003】
文献(1)は、紙葉海苔を製造する際に海苔調合液の濃度を制御する海苔調合液濃度制御装置及びその方法に関し、フィードバック制御の基準となる検出濃度に海苔色の度合いを考慮して海苔調合液の濃度制御を行うことにより、最終製品たる紙葉海苔を目標の品質(最終製品たる紙葉海苔の所定枚数当りの重量)に適合させることができる海苔調合液濃度制御装置及びその方法を提供することを目的としている。
【0004】
文献(1)によれば、海苔原料と水とを混合した海苔調合液の濃度を濃度検出手段が光学的に検出し、海苔調合液に関する海苔の色を海苔色検出手段が検出し、この検出された検出濃度、検出海苔色及び濃度設定手段で設定された設定濃度に基づいて濃度制御手段が海苔調合液の濃度を、海苔原藻の色の相違に拘らず、設定濃度に調整制御ができることとなり、最終製品たる紙葉海苔を目標の品質(最終製品たる紙葉海苔の所定枚数当りの重量)に適合させる。
【0005】
また、文献(1)では、海苔色検出部は抄製部に設けられており、抄製部の海苔蓑上の紙葉状に抄かれた海苔の色等を検知するように構成されている。また、海苔色検出器として、海苔原料の色をRGBカラー素子で構成されるカラーセンサーで分光測定し、この分光測定結果を予め記憶された黒色から茶色までの各色のデータと比較して一致を判定し、この判定結果に基づいて海苔色を検出するものが開示されている。及び、海苔色検出器として、発光ダイオードから海苔原料に光を投射し、この海苔原料からの反射光の光量(明度)に基づいて黒色から茶色までのいずれかの色に該当するか否かを光アナログセンサとして測定するものが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2900357号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記文献(1)は、従来の海苔調合液(海苔混合液)の濃度調整作業は、海苔原料(海苔原藻)の搬入毎に各々の海苔原料の各種状態、採取経過後の時間、又は種類等が異なることから、それぞれの海苔原料の状態に応じた海苔調合液の濃度を、当業者が即座に判断して調整しなければならない故に、この濃度調整は極めて困難かつ複雑であって、長年の勘・熟練を要するという課題を解消するものであり、フィードバック制御の基準となる検出濃度に海苔色の度合いを考慮して海苔調合液の濃度調整を行うことにより、最終海苔製品の紙葉及び/又は品質(最終製品たる紙葉海苔の所定枚数当りの重量)を確保することを意図する。
【0008】
しかし、この文献(1)は、[0018][0021][0024][0025]に開示されているが如く、海苔原料と水とを混合した海苔調合液の濃度を濃度検出手段が光学的に検出し、海苔原料に関する海苔色を海苔色入力手段で設定して入力し、この検出された検出濃度、入力された海苔色及び濃度設定手段で設定された設定濃度に基づいて濃度制御手段が海苔調合液の濃度を調整制御するようにしたので、調整の対象となる海苔調合液の濃度を海苔原料の色の相違に拘らず設定濃度を決定するに留まる。
【0009】
従って、海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠して海苔混合液の品質を判定する方法と、この海苔混合液の品質判定用表示盤に関しては開示がない。
【0010】
また、海苔原料の成分として挙げられているクロロフィル、カロチノイド、フィコエリスリン、フィコシアニン等の品質と相関関係がある成分の含有の程度を個別に光学的に計測し、この計測値を比演算して評価し、この評価値に基づいて、この海苔混合液の濃度制御及び/又は海苔切断機における海苔原藻の切断形態及び/又は海苔熟成機における原藻海苔の熟成状態及び/又は海苔乾燥機における乾燥状態の制御など、海苔製品の製造工程の条件を選択することの開示はない。
【0011】
ゆえに、経済性の確保と、海苔原藻の有効利用を図ることを意図し、文献(1)では解明されていない各種の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠して海苔混合液の品質を判定する方法と、この海苔混合液の品質判定用表示盤に関する発明とが考えられる。本発明は、前記課題の少なくとも一つを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、海苔製品の製造過程において、原料であり、パイプに還流させ、ポンプで輸送できる形態の海苔混合液に対して、海苔混合液の波長依存性を測定・判定原理とし、測定値の比演算を行うため、複数個の光学的手段を用いて透過光量を測定して、複数個の透過光量の測定値を得ることにより、比を演算し、判定に用いる値を算出し、かかる判定原理及び測定結果に基づいて品質を判定することを意図する。また、品質の判定により適切な製造工程を選択し、品質の良い海苔製品又は均一な海苔製品を効率的に製造し、市場価値の高い海苔製品を効率的に製造することを意図する。さらに、特定成分の量の程度を測定することを目的とし、製造する海苔製品の特定成分の含有量の程度を測定することを意図する。
【0013】
請求項1は、海苔製品製造工程における海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠して海苔混合液の品質を判定する方法は、少なくとも前記海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液に照射した波長領域が異なる複数個の光学的手段で行う測定であって、この測定は、前記一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を基に品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0014】
請求項1の発明において、波長依存性とは、特定波長を吸収する性質をいい、その性質により、物質に特定波長を照射した場合、物質に固有の光学的な透過率を得る。また、光学的手段は、少なくとも特定波長の光源とそれに対応する受光部から構成される。他の光学的手段とは、複数個の光学的手段のうち、選択した一つの光学的手段以外の光学的手段をいう。そして、この方法によれば、他の光学的手段それぞれにより検出した透過光量に対して比演算をする。
【0015】
請求項2の発明は、海苔製品の製造過程において、品質の判定により適切な製造工程を選択し、品質の良い海苔製品又は均一な海苔製品を効率的に製造し、市場価値の高い海苔製品を効率的に製造することを意図する。すなわち、海苔原藻を適切な大きさに切断することを制御すること、海苔原藻を適切な固さにすることを制御すること、乾海苔の残存水分量を適切な値に制御することなど、海苔製品の製造工程の条件を選択することを意図する。さらに、特定成分の量の程度を測定することを目的とし、製造する海苔製品の特定成分の含有量の程度を測定することを意図する。
【0016】
請求項2は、海苔製品製造工程における海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性を基に複数個の光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠し、海苔切断機における海苔原藻の切断形態及び/又は海苔熟成機における原藻海苔の熟成形態及び/又は海苔乾燥機における乾燥状態を制御し、海苔製品製造工程の標準化及び/又は海苔製品の品質の向上、また消費の拡大を最終目標とする海苔混合液の品質を判定する方法は、少なくとも前記海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液に照射した波長領域が異なる複数個の光学的手段で行う測定であって、この測定は、前記一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を基に品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0017】
請求項2の発明において、海苔熟成機による原藻海苔の熟成形態とは、海苔原藻を水とともに貯蔵庫に特定時間保存し、海苔原藻に水を吸収させ、柔軟にさせることである。この海苔熟成機による制御は、時間の指定等により行う。
【0018】
請求項3の発明は、光学的手段を構成する光源が時間差を置いて発光して測定を行うことにより、光学的手段を構成する受光部は、最初に発光するLEDに対する受光部と、後に発光するLEDに対する受光部とを同一のものとすることができ、受光部の感度の調整を必要とせず、測定誤差を小さくすることを意図する。
【0019】
請求項3は、請求項1に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に一のLEDが発光した後に、他のLEDが発光する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0020】
請求項3の発明において、光学的手段は、光源が発光ダイオード(LED)である、少なくとも特定波長の光源とそれに対応する受光部から構成される光学的手段とする。
【0021】
請求項4の発明は、透過光量が品質の影響を受ける光源を使用することにより、品質の影響を受ける透過光量を測定し、品質の判定をすることを意図する。また、透過光量が品質に影響されない光源を使用することにより、濃度の影響を受け、品質の影響を受けない透過光量を測定し、品質に左右されない測定値である一つの透過光量を選択して比演算を行うことにより、濃度による影響を排除することを意図する。また、誤差の少ない安定した測定を行うのに適する輝度の高いLEDを基準とし、最初に測定することにより、測定の可否を予見し、演算の簡易化を図り、測定の安定性を生むことを意図する。また、光学的手段を構成する光源が時間差を置いて発光して測定を行うことにより、光学的手段を構成する受光部は、最初に発光するLEDに対する受光部と、後に発光するLEDに対する受光部とを同一のものとすることができ、受光部の感度の調整を必要とせず、測定誤差を小さくすることを意図する。
【0022】
請求項4は、請求項1に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED及び橙色LEDが発光する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0023】
請求項4の発明において、光学的手段は、光源が赤色LED、青色LED、緑色LED及び橙色LEDである、少なくとも特定波長の光源とそれに対応する受光部から構成される光学的手段とする。赤色LEDとして、ピーク波長を641nm又は660nm又は700nmとするLEDがある。ただし、ピーク波長はこれらの値に限定されない。青色LEDとして、ピーク波長を450nm又は456nm又は489nmとするLEDがある。ただし、ピーク波長はこれらの値に限定されない。緑色LEDとして、ピーク波長を512nm又は517nm又は555nmとするLEDがある。ただし、ピーク波長はこれらの値に限定されない。橙色LEDとして、ピーク波長を592nmとするLEDがある。ただし、ピーク波長はこれらの値に限定されない。また、青色LED、緑色LED、橙色LEDそれぞれが、独立した光学的手段を形成し、これらの発光は、同時であることに限らない。
【0024】
請求項5の発明は、測定値について演算処理をし、結果の目視による確認を図ることを意図する。
【0025】
請求項5は、請求項3に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED及び橙色LEDが発光し、それぞれの透過光量を出力し、この出力値を演算装置に入力する作業を繰り返し、この演算装置上にグラフ表示する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0026】
請求項5の発明において、光学的手段は、光源が赤色LED、青色LED、緑色LED及び橙色LEDである、少なくとも特定波長の光源とそれに対応する受光部から構成される光学的手段とする。青色LED、緑色LED、橙色LEDそれぞれが、独立した光学的手段を形成し、これらの発光は、同時であることに限らない。また、例えば、演算装置に入力した透過光量をグラフ表示する。
【0027】
請求項6に記載の表示盤は、光源スイッチにより測定をする状態にし、光源選択スイッチにより、基準の光源か副次の光源か測定する光源を選択し、副次の光源において光源の種類を選択し、表示盤による測定条件の制御することを意図する。また、受光スイッチにより、光源に対応した受光部を選択し、表示部によるグラフ表示により、目視で測定を実施していること及び測定結果を確認することを意図し、評価ボタン、評価ブザーにより評価結果を確認することを意図する。
【0028】
請求項6は、請求項1又は請求項2に記載された海苔混合液の品質を評価する海苔混合液の品質を判定する方法に使用する海苔混合液の品質判定用表示盤であって、この表示盤は、複数の光源用の光源スイッチと、この各光源スイッチの中で基準の光源及び/又は副次の光源を選択できる光源選択スイッチと、この各光源に対峙する複数の受光部用の受光スイッチと、この受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部と、この表示部の内容を判断する評価ボタン及び/又は評価ブザーとで構成した海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【0029】
請求項6の発明において、海苔混合液の品質を判定する方法とは、海苔製品製造工程における海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠して海苔混合液の品質を判定する方法である。また、光学的手段は、少なくとも特定波長の光源とそれに対応する受光部から構成される光学的手段とする。光源選択スイッチは、基準の光源と副次の光源を、又は、副次の光源間で、選択できる。また、キャッチした数値とは、例えば、受光部で感知した透過光量の測定値、比演算結果(測定結果)である。
【0030】
請求項7の発明は、測定結果を表示し、判定を確実にすることを意図する。
【0031】
請求項7は、請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値をグラフで表示し、かつ色別して表示し、誤認のない判定を可能とする構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【0032】
請求項8の発明は、測定結果及び基準値のグラフ表示により、測定・結果の認識、確認を容易にし、品質の確実な判定をすることを意図する。
【0033】
請求項8は、請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値と、前記海苔製品の品質の基準値と対峙して表示し、良否の容易な判定を可能とする構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【0034】
請求項8の発明において、基準値とは、経験的に求めた品質の判定基準値をいう。
【0035】
請求項9の発明は、測定結果を表示し、判定を容易にすることを意図する。
【0036】
請求項9は、請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値をグラフで表示し、かつ色別する構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【発明の効果】
【0037】
請求項1は、海苔製品製造工程における海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠して海苔混合液の品質を判定する方法は、少なくとも前記海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液に照射した波長領域が異なる複数個の光学的手段で行う測定であって、この測定は、前記一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を基に品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0038】
従って、請求項1の発明は、海苔製品の製造過程において、原料であり、パイプに還流させ、ポンプで輸送できる形態の海苔混合液に対して、海苔混合液の波長依存性を測定・判定原理とし、測定値の比演算を行うため、複数個の光学的手段を用いて透過光量を測定して、複数個の透過光量の測定値を得ることにより、比を演算し、判定に用いる値を算出し、かかる判定原理及び測定結果に基づいて品質を判定する特徴がある。品質の判定により適切な製造工程を選択し、品質の良い海苔製品又は均一な海苔製品を効率的に製造し、市場価値の高い海苔製品を効率的に製造すること等の特徴がある。さらに、特定成分の量の程度を測定することを目的とし、製造する海苔製品の特定成分の含有量の程度を測定する等の特徴がある。
【0039】
請求項2は、海苔製品製造工程における海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性を基に複数個の光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠し、海苔切断機における海苔原藻の切断形態及び/又は海苔熟成機における原藻海苔の熟成形態及び/又は海苔乾燥機における乾燥状態を制御し、海苔製品製造工程の標準化及び/又は海苔製品の品質の向上、また消費の拡大を最終目標とする海苔混合液の品質を判定する方法は、少なくとも前記海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液に照射した波長領域が異なる複数個の光学的手段で行う測定であって、この測定は、前記一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を基に品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0040】
従って、請求項2の発明は、海苔製品の製造過程において、品質の判定により適切な製造工程を選択し、品質の良い海苔製品又は均一な海苔製品を効率的に製造し、市場価値の高い海苔製品を効率的に製造すること等の特徴がある。すなわち、海苔原藻を適切な大きさに切断することを制御すること、海苔原藻を適切な固さにすることを制御すること、乾海苔の残存水分量を適切な値に制御することなど、海苔製品の製造工程の条件を選択する等の特徴がある。さらに、特定成分の量の程度を測定することを目的とし、製造する海苔製品の特定成分の含有量の程度を測定すること等の特徴がある。
【0041】
請求項3は、請求項1に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に一のLEDが発光した後に、他のLEDが発光する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0042】
従って、請求項3の発明は、光学的手段を構成する光源が時間差を置いて発光して測定を行うことにより、光学的手段を構成する受光部は、最初に発光するLEDに対する受光部と、後に発光するLEDに対する受光部とを同一のものとすることができ、受光部の感度の調整を必要とせず、測定誤差を小さくすること等の特徴がある。
【0043】
請求項4は、請求項1に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED及び橙色LEDが発光する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0044】
従って、請求項4の発明は、透過光量が品質の影響を受ける光源を使用することにより、品質の影響を受ける透過光量を測定し、品質の判定をすること等の特徴がある。また、透過光量が品質に影響されない光源を使用することにより、濃度の影響を受け、品質の影響を受けない透過光量を測定し、品質に左右されない測定値である一つの透過光量を選択して比演算を行うことにより、濃度による影響を排除すること等の特徴がある。また、誤差の少ない安定した測定を行うのに適する輝度の高いLEDを基準とし、最初に測定することにより、測定の可否を予見し、演算の簡易化を図り、測定の安定性を生むこと等の特徴がある。また、光学的手段を構成する光源が時間差を置いて発光して測定を行うことにより、光学的手段を構成する受光部は、最初に発光するLEDに対する受光部と、後に発光するLEDに対する受光部とを同一のものとすることができ、受光部の感度の調整を必要とせず、測定誤差を小さくすること等の特徴がある。
【0045】
請求項5は、請求項3に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED及び橙色LEDが発光し、それぞれの透過光量を出力し、この出力値を演算装置に入力する作業を繰り返し、この演算装置上にグラフ表示する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法である。
【0046】
従って、請求項5の発明は、測定値について演算処理をし、結果の目視による確認を図ること等の特徴がある。
【0047】
請求項6は、請求項1又は請求項2に記載された海苔混合液の品質を評価する海苔混合液の品質を判定する方法に使用する海苔混合液の品質判定用表示盤であって、この表示盤は、複数の光源用の光源スイッチと、この各光源スイッチの中で基準の光源及び/又は副次の光源を選択できる光源選択スイッチと、この各光源に対峙する複数の受光部用の受光スイッチと、この受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部と、この表示部の内容を判断する評価ボタン及び/又は評価ブザーとで構成した海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【0048】
従って、請求項6に記載の表示盤は、光源スイッチにより測定をする状態にし、光源選択スイッチにより、基準の光源か副次の光源か測定する光源を選択し、副次の光源において光源の種類を選択し、表示盤による測定条件の制御をすること等の特徴がある。また、受光スイッチにより、光源に対応した受光部を選択し、表示部によるグラフ表示により、目視で測定を実施していること及び測定結果を確認すること等の特徴がある。また、評価ボタン、評価ブザーにより評価結果を確認すること等の特徴がある。
【0049】
請求項7は、請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値をグラフで表示し、かつ色別して表示し、誤認のない判定を可能とする構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【0050】
従って、請求項7の発明は、測定結果を表示し、判定を確実にすること等の特徴がある。
【0051】
請求項8は、請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値と、前記海苔製品の品質の基準値と対峙して表示し、良否の容易な判定を可能とする構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【0052】
従って、請求項8の発明は、測定結果及び基準値のグラフ表示により、測定・結果の認識、確認を容易にし、品質の確実な判定をすること等の特徴がある。
【0053】
請求項9は、請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値をグラフで表示し、かつ色別する構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤である。
【0054】
従って、請求項9の発明は、測定結果を表示し、判定を容易にすること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の実施の態様(形態)を説明する。
【0056】
海苔製品(乾燥海苔)の製造は、一般に、海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液を原料とし、洗浄工程、脱水工程、練り工程、切断工程、熟成工程、調合工程、海苔抄製工程、乾燥工程からなる。本発明の海苔混合液の品質を判定する方法及び海苔混合液の品質判定用表示盤の使用は、海苔製品の製造過程において行い、洗浄工程、脱水工程を経た後、いずれの段階で行ってもよい。ただし、海苔混合液の調整を行う前である、洗浄工程、脱水工程の後に行うことが望ましい。もしくは、水溶性物質をより溶存させるため、切断工程の後に行うことが望ましい。
【0057】
海苔混合液の品質を判定する対象である海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液は、海苔原藻と混合する水を、塩分などが混合していない水(真水)、海水、又は真水と海水の混合液とする。海水又は真水と海水の混合液を用いても、光学的手段により検出する透過光量は影響がない。また、海苔混合液中の水は、海苔原藻の水溶性物質を溶存する。
【0058】
測定は、光学的手段により行う。光学的手段を図5に基づいて説明する。光源に可視領域の波長を有する発光ダイオード(LED)を、受光部にフォトダイオードを用いる。光源は、その波長の光透過率(透過光量)が海苔の品質に影響を受けにくいものとして、赤色LEDがあり、これを基準の光源として利用する。また、光透過率(透過光量)が海苔の品質に影響を受ける光源として、青色LED、緑色LED、橙色LEDがあり、これを副次の光源として利用する。
【0059】
光源部は、光源中央部に赤色LED(ピーク波長641nm)を1個配置し、その周りに青色LED(ピーク波長456nm)を6個配置した光源(光源1とする)、同様に、周囲に緑色LED(ピーク波長517nm)を6個配置した光源(光源2とする)、周囲に橙色LED(ピーク波長592nm)を6個配置した光源(光源3とする)を利用する。光源は、この波長に限定されなく、その波長の光透過率が海苔の品質に影響を受けやすい、あるいは、受けにくいものを選択する。また、光源を6個配置したのは、測定に適切な光量を得るためである。また、パルス電流で駆動し、見かけの平均光量を連続発光時の光量と比較して、増大させてもよい。なお、LED1個当たりの光強度が大きい、橙色LEDが実用において有利である。また、赤色LED1個と、橙色LED6個の光透過率が同程度の値となることから、精度を高めるには、橙色LEDが有利となる。受光部は、各光源に対応する構造とする。
【0060】
海苔混合液の品質を判定する方法を、図2、図3及び図4に基づき説明する。図2、図3及び図4は、本願発明のフローチャート図である。
【0061】
試料に対し、各光源につき所定回、光源を照射し、透過光量を測定し、透過光信号を受光部において電気信号に変換し、得られた出力電圧をAD変換ボードを介してデジタル信号とし、演算装置に入力する。測定は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED、橙色LEDが発光し、それぞれの透過光量を出力し、この出力値を演算装置に入力する作業を繰り返す(ステップ1〜7)。青色LED、緑色LED、橙色LEDはそれぞれ単独で光学的手段を構成し、その発光は同時であることに限らない。また、赤色LEDと青色LED、緑色LED、橙色LEDとの発光の順番は限定しない。
【0062】
得られた所定回の各光源の出力電圧の平均を演算する(ステップ8〜9)。光源の出力光量は、同装置を用いているため、一定となっている。ただし、製造装置のパイプを流れる海苔混合液の濃度は、一定でない。このように、透過光量が濃度に左右されるため、各試料において、光源を赤色LEDとする透過光量に対する比として求め(ステップ10)、濃度依存性をなくす。
【0063】
すなわち、光源を赤色LEDとする透過光量に対して、光源を青色LEDとする透過光量の比を求める。また、光源を赤色LEDとする透過光量に対して、光源を緑色LEDとする透過光量の比を求める。さらに、光源を赤色LEDとする透過光量に対して、光源を橙色LEDとする透過光量の比を求める。
【0064】
品質の判断は、経験的に求めた比演算結果(経験的に求めた品質の判定基準値)と照らし合わせて判断する(ステップ11)。経験的に求めた比演算結果(経験的に求めた品質の判定基準値)とは、品質をあらかじめ目視等で認定した試料に対し測定を行い、そのとき得られた比演算の値をいう。
【0065】
品質は、階級に分け判定する(ステップ12)。品質の階級は、例えば、Aランク、Bランク、Cランクといった3階級に設定することができるが、これに限定されない。品質の判定は、例えば品質の階級を3段階に設定した場合、それぞれの階級の試料に対し、経験的に求めた比演算結果(経験的に求めた品質の判定基準値)を設定し、測定値が設定した経験的に求めた比演算結果(経験的に求めた品質の判定基準値)のうち、どの値に一番近いか判断し品質の階級を判定する。
【0066】
また、光源の種類ごとに得た比演算による測定の結果を比較して、品質を判定してもよい。
【0067】
品質の判定結果より、海苔切断機における海苔原藻の切断形態及び/又は海苔熟成機における原藻海苔の熟成形態及び/又は海苔乾燥機における乾燥状態等を制御する。
【0068】
また、海苔原藻の品質を評価する海苔混合液の品質を判定する方法において海苔混合液の品質判定用表示盤を使用してもよい。海苔混合液の品質判定用表示盤を、図6に基づき説明する。この品質判定用表示盤1は、複数の光源用の光源スイッチ2と、この各光源スイッチの中で基準の光源及び/又は副次の光源を選択できる光源選択スイッチ3と、この各光源に対峙する複数の受光部用の受光スイッチ4と、受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部5と、この表示部の内容を判断する評価ボタン6及び/又は評価ブザー7とで構成される。この海苔混合液の品質判定用表示盤1において、光源スイッチ2により測定をする状態にし、光源選択スイッチ3により、基準の光源か副次の光源か測定する光源を選択し及び/又は副次の光源の中で光源の種類を選択することにより、表示盤による測定条件の制御する。また、受光スイッチ4により、光源に対応した受光部を選択し、表示部5による比演算結果(測定結果)等のグラフ表示により、目視で測定を実施していること及び測定結果を確認する。また、評価ボタン6、評価ブザー7において、評価ボタンが点灯する、又は、評価ブザーが音を鳴ることにより、測定者に海苔の品質の判定結果を知らせ、評価結果を確認させる。このとき表示部5は、前記受光部でキャッチした数値と、前記海苔製品の品質の基準値と対峙してグラフで表示し、かつ色別する構成としてもよい。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の実例試験を基にした実施例を説明する。
【0070】
測定は、試料を下記に述べる採取条件である海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液として行った。
【0071】
試料1 採取回数 1回目 採取時期 平成14年12月 3日
試料2 採取回数 2回目 採取時期 平成14年12月10日
試料3 採取回数 3回目 採取時期 平成15年 1月17日
試料4 採取回数 4回目 採取時期 平成15年 1月31日
試料5 採取回数 5回目 採取時期 平成15年 2月20日
試料6 採取回数 6回目 採取時期 平成15年 3月10日
光源は、基準の光源として赤色LEDを使用し、また、副次の光源として青色LED、緑色LED、橙色LEDを使用した。
【0072】
各試料に対し、各光源につき所定回、光源を照射し、透過光量を測定し、透過光信号を受光部において電気信号に変換し、得られた出力電圧をAD変換ボードを介してデジタル信号とし、コンピューター入力をした。測定は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED、橙色LEDが発光し、それぞれの透過光量を測定し、この測定値をコンピューターに入力する作業を繰り返した。
【0073】
測定は、名古屋市の某工業研究所内にて行った。
【0074】
【表1】

【0075】
表1 試料1に対する、赤色LEDと青色LEDの透過光量
表1は、横軸は時間であり、縦軸は透過光量を示す出力電圧である。最初に赤色LEDが発光した後に青色LEDが発光させ、測定を行ったことにより、赤色LEDに対する透過光量を示す出力電圧と青色LEDに対する透過光量を示す出力電圧とが、時間差をおいて出力されたことを示す。表1において、基準光源と副次の光源を用いた測定が7回行われたことを示す。
【0076】
【表2】

【0077】
表2 試料1に対する、赤色LEDと緑色LEDの透過光量
表2は、最初に赤色LEDが発光した後に、緑色LEDが発光させ、測定を行ったことにより、赤色LEDに対する透過光量を示す出力電圧と、緑色LEDに対する透過光量を示す出力電圧とが、時間差をおいて出力されたことを示す。
【0078】
【表3】

【0079】
表3 試料1に対する、赤色LEDと橙色LEDの透過光量
表3は、最初に赤色LEDが発光した後に、橙色LED発光させ、測定を行ったことにより、赤色LEDに対する透過光量を示す出力電圧と、橙色LEDに対する透過光量を示す出力電圧とが、時間差をおいて出力されたことを示す。
【0080】
得られた所定回の各光源の出力電圧の平均を演算し、各試料において、光源を赤色LEDとする透過光量(出力電圧)に対する青色LED、緑色LED又は橙色LEDの透過光量(出力電圧)の比を求めた。
【0081】
【表4】

【0082】
表4 試料1〜6に対する、赤色LEDの透過光量に対する各光源の透過光量の比
一般に、海苔は、採取回数が増すにつれ、品質が低下することが知られている。本実例試験において、表4の如く、求めた比が採取回数が増すにつれて、増加するという同じ傾向が得られた。従って、本発明における測定に基づき、海苔混合液の品質を判定することができる。なお、採取回数3回目のデータについては数値の変動があるが、測定試料の状態に沿うものである。また、海苔は自然の条件により品質が異なることを付言する。
【0083】
本発明の他の実施例を示す。
【0084】
海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液に照射した複数個の光学的手段で行う測定であって、この測定は、基準とする透過光量として2以上の光学的手段による透過光量を選択し、この基準とする2以上の光学的手段による透過光量それぞれに対して他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を比較して、品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法がある。この方法によれば、比演算の基準とする透過光量として、2以上を選択し、それぞれの基準に対して他の透過光量の比演算を行い、演算結果を比較して、より確実に品質を判定することができる。
【0085】
また、得られた所定回(全測定回又は全測定回のうちの数回)の各光源の透過光量の測定値の平均を演算し、透過光量の平均値を基に比演算を行う構成の他に、複数個の光源の照射を、2回以上行い、測定回ごとに比演算を行ってもよい。この場合、各測定時の海苔混合液の品質の判定ができ、製造サイクルに換算して測定結果と製品の品質を結びつけることができる。さらに、これらの比演算結果の平均値を求め、これらの比演算による測定の結果を比較して、品質を判定してもよい。
【0086】
また、光源の照射を1回のみ行い比演算をし、これらの比演算による測定の結果より、品質を判定してもよい。この場合、短時間での測定が可能となり、後の海苔製品製造工程の条件をより速やかに判断できる。
【0087】
本発明の方法において、海苔混合液又は海苔原藻の品質、性質、市場価値を判定してもよい。また、製造サイクルに換算して測定結果と海苔製品の品質を結びつけることができる。
【0088】
本発明のさらに他の実施例を示す。
【0089】
海苔混合液又は海苔原藻の品質を判定するとし、海苔混合液、海苔原藻、海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液それぞれ単独に対して、光学的手段により透過光量を検出してもよい。海苔原藻の測定については、海苔原藻をプレパラートにセットし、測定してもよい。この場合、海苔製品製造の状況に応じて適切な品質の判定ができる。
【0090】
また、海苔混合液の品質を判定する方法は、海苔製造工程における海苔原藻と海苔原藻の成分を溶解する液体とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の成分を溶存した溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠する方法とし、少なくとも前記海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の成分を溶存した溶液に照射した複数個の光学的手段で行う測定であって、この測定は、前記一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を基に品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法としてもよい。
【0091】
このように、海苔混合液を、海苔原藻と水以外の液体とから構成してもよい。水以外の液体として、例えば、エタノール等のアルコールがある。この場合、海苔原藻及び/又は海苔原藻の構成成分のうち、用いた液体に溶解する成分を溶存する溶液の波長依存性とを基に、光学的手段により透過光量を検出する。この場合、用いた液体に溶解する特定成分の量の程度が測定でき、製造する海苔製品の特定成分の含有量の程度を測定する等の特徴がある。
【0092】
この場合、例えば、海苔混合液の品質とは、乾海苔の鑑定検査の検査員等海苔製品の製造に携わる専門家が判断する基準(色調、つや、香気、味覚等)に基づき判断する品質の階級であり、香気成分や、味覚成分であるアラニン、グリシン、イソフロリドシド、グルタミン酸ソーダ、イノシン酸、グアニル酸等の、品質と相関関係がある成分の含有の程度を個別に光学的に計測し、この計測値を比演算して評価し、この評価値に基づいて、この海苔調合液の濃度制御及び/又は海苔切断機における海苔原藻の切断形態及び/又は海苔熟成機における原藻海苔の熟成状態及び/又は海苔乾燥機における乾燥状態の制御など、海苔製品の製造工程の条件の制御ができる。
【0093】
透過光量の検出に用いる光学的手段は、2個、3個、4個又は5個としてもよい。
【0094】
光学的手段により透過光量を検出し、また、光源の光量を測定して、光透過率又は吸光度を求め、光透過率又は吸光度を用いて比演算をしてもよい。
【0095】
また、発光ダイオードの他に、光源として、白色光より色分解プリズム、フィルター等で取り出した特定波長の光がある。設計に応じた光源の選択が可能である。
海苔の品質の影響を受けない波長域として、420nmの光領域、700nmの光領域、840nmの光領域が考えられ、光源として赤外LEDがある。赤外LEDとして、ピーク波長を980nm又は1300nmとするLEDがある。ただし、ピーク波長はこれらの値に限定されない。
【0096】
受光部を形成する受光素子として、フォトダイオード、シリコンフォトダイオード、Cdsセル等の利用が考えられる。
【0097】
本願発明の海苔混合液の品質判定用表示盤に関する他の実施例を示す。
【0098】
表示盤は、複数の光源用の光源スイッチと、この各光源に対峙する複数の各受光部用の受光スイッチとを一つにした光学的手段スイッチを構成に含む海苔混合液の品質を判定する方法に使用する海苔混合液の品質判定用表示盤としてもよい。
【0099】
また、表示部は、受光部で感知した透過光量を電気信号に変換した電圧値、所定個の電圧値(透過光量)の平均値(測定平均値)、比演算結果(測定結果)、基準値(経験的に求めた品質の判定基準値)等を表示することができる。表示部において、グラフは色別して表示する他に、グラフの線種を変えること又はグラフごとに別の表示画面に表示してもよい。
【0100】
また、海苔混合液の供給を制御する、自動ボタン、手動ボタン、給水ボタン、排水ボタンを設けてもよい。
【0101】
また、表示部の設定スイッチを設けてもよい。設定スイッチの例としては、詳細設定ボタン、エラー履歴ボタン、グラフボタン等がある。
【0102】
また、他の実例試験を基にした実施例を以下に示す。採取時期の異なる海苔に対して海苔混合液の光学透過スペクトル測定を行った。測定結果の一例を表5に示す。
【0103】
【表5】

【0104】
表5 海苔混合液の光学透過スペクトル測定の結果
上記透過スペクトルの解析において、得られたデータから海苔色素に依存する複数の特徴的な波長を選択し、その透過率に対して主成分分析を行った。波長は、850、672、648、588、568、516、496、472、420nmを選択した。表6に結果を示す。
【0105】
【表6】

【0106】
表6 採取時期の異なる海苔原藻に対して実施した主成分分析結果
表6において、グラフは、横軸を第1主成分、縦軸を第2主成分とする。主成分分析によって、採取時期の異なる海苔試料をグループ化することができ、海苔の性質を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は本発明である海苔混合液の品質を判定する方法の概念図
【図2】図2は本発明である海苔混合液の品質を判定する方法のフローチャート図
【図3】図3は本発明である海苔混合液の品質を判定する方法のフローチャート図
【図4】図4は本発明である海苔混合液の品質を判定する方法のフローチャート図
【図5】図5は海苔製品品質制御装置の計測手段を示した概略図
【図6】図6は本発明である海苔混合液の品質判定用表示盤を示した正面図
【符号の説明】
【0108】
1 品質判定用表示盤
2 光源スイッチ
3 光源選択スイッチ
4 受光スイッチ
5 表示部
6 評価ボタン
7 評価ブザー
8 設定スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔製品製造工程における海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性とを基に光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠して海苔混合液の品質を判定する方法は、
少なくとも前記海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液に照射した波長領域が異なる複数個の光学的手段で行う測定であって、
この測定は、前記一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を基に品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法。
【請求項2】
海苔製品製造工程における海苔原藻と水とを混合してなる海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液の波長依存性を基に複数個の光学的手段により透過光量を検出し、この波長依存性及び/又は透過光量に準拠し、海苔切断機における海苔原藻の切断形態及び/又は海苔熟成機における原藻海苔の熟成状態及び/又は海苔乾燥機における乾燥状態を制御し、海苔製品製造工程の標準化及び/又は海苔製品の品質の向上、また消費の拡大を最終目標とする海苔混合液の品質を判定する方法は、
少なくとも前記海苔混合液中の海苔原藻及び/又は海苔原藻の水溶性物質を溶存した水溶液に照射した波長領域が異なる複数個の光学的手段で行う測定であって、
この測定は、前記一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量の比演算をする構成であり、この比演算による測定の結果を基に品質を判断する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に一のLEDが発光した後に、他のLEDが発光する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED及び橙色LEDが発光する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法。
【請求項5】
請求項3に記載の一つの光学的手段による透過光量を選択し、この一つの光学的手段による透過光量に対する他の光学的手段による透過光量を比演算して決定する方法は、最初に赤色LEDが発光した後に、青色LED、緑色LED及び橙色LEDが発光し、それぞれの透過光量を出力し、この出力値を演算装置に入力する作業を繰り返し、この演算装置上にグラフ表示する構成とした海苔混合液の品質を判定する方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載された海苔混合液の品質を評価する海苔混合液の品質を判定する方法に使用する海苔混合液の品質判定用表示盤であって、
この表示盤は、複数の光源用の光源スイッチと、この各光源スイッチの中で基準の光源及び/又は副次の光源を選択できる光源選択スイッチと、この各光源に対峙する複数の受光部用の受光スイッチと、この受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部と、この表示部の内容を判断する評価ボタン及び/又は評価ブザーとで構成した海苔混合液の品質判定用表示盤。
【請求項7】
請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値をグラフで表示し、かつ色別して表示し、誤認のない判定を可能とする構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤。
【請求項8】
請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値と、前記海苔製品の品質の基準値と対峙して表示し、良否の容易な判定を可能とする構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤。
【請求項9】
請求項6に記載の受光部でキャッチした数値をグラフ表示する表示部は、前記受光部でキャッチした数値をグラフで表示し、かつ色別する構成とした海苔混合液の品質判定用表示盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−325434(P2006−325434A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150195(P2005−150195)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】