説明

消化管又は尿管の障害のための細菌抽出物及びその製造方法

本発明は、消化管又は尿管の障害のような障害を治療するのに有用な細菌株からの抽出物、該抽出物を含む組成物、及びプリオン疾患の危険性がない培地から抽出物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2007年3月5日にファイルされた米国仮出願第60/904,787号の優先権を主張する。
本発明は、消化管又は尿管の障害のような適応症の治療に有用な細菌株からの抽出物、該抽出物を含む組成物及びプリオン疾患の危険性がない培地を用いて抽出物を作製する方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、尿管又は消化管の障害のような適応症を治療するのに有用な細菌抽出物を含む組成物に関する。抽出物は、大腸菌(Escherichia coli)の1種又は複数種から選択される培養物からの細菌溶解物を含み得る。いくつかの実施形態において、抽出物は、以下の大腸菌株から選択される1種又は複数種を含み得る:NCTC: 8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089。これらの株は、ブダペスト条約の下で寄託されている。Iの番号でリストに示される株は、フランス、パリ、75724、リュ デュ ドクトール ル 25(25 rue du Dr. Roux, 75724 Paris, France)のインスティティ・パスツール(Institut Pasteur)の国立微生物カルチャーコレクション(Collection Nationale de Culture des Microorganismes)で索引に示された。他の全ての株は、ロンドンの国立タイプカルチャーコレクションで索引に示された。
【0003】
いくつかの実施形態において、抽出物は、これらの株の全てから調製される。他の実施形態において、いくつかの株だけが選択される。いくつかの実施形態において、例えば、1つ又は複数の株が「I」グループから選択され、1つ又は複数の株が「NCTC」グループから選択される。
いくつかの実施形態において、上記で列挙された1つ又は複数の特定の株は、省くことができるか、又は大腸菌からの異なる株若しくは異なる種の細菌からの異なる株で置換できる。
【0004】
抽出物は、細胞が培養培地中で適切な光学密度まで成長した後に、アルカリ溶解プロセスにより得ることができる。いくつかの実施形態において、細菌は、プリオン関連疾患の危険性又は動物ベースの培地から得られる生成物を摂取することにより伝達され得るその他の疾患の危険性がない培地上でそれぞれ成長させる。例えば、いくつかの実施形態において、大豆ベースの培地のような植物ベースの培地を用いて細胞を成長させる。合成培地、又はそのような疾患の危険性がない酵母エキス及びウマ血清のような生物学的抽出物を含む培地を、細胞の成長のためにいくつかの実施形態において用いることができる。
【0005】
溶解物は、核酸及びより大きい細胞破砕物を除去するためにろ過することもできる。ろ過の結果、いくつかの実施形態において、抽出物中に存在する核酸の量は、100μg/ml未満である。いくつかの実施形態において、細胞壁破砕物及び分解が不十分なリポ多糖(LPS)のような不溶性化合物も、ろ過により除去される。よって、いくつかの実施形態において、得られる抽出物は、可溶性分子成分を含み、不溶性又は粒子状物質を著しい量では含有しない。
リポ多糖(LPS)成分を含む糖成分は、抽出物中に保持され得る。溶解プロセスの間に、糖類は、化学修飾を受け、例えば、より小さい構造に切断されるか、又は他の官能基で置換され得る。
【0006】
溶解プロセスの間のアミノ酸のラセミ化も、天然タンパク質で見出される天然に存在するL-アミノ酸からD-アミノ酸を創出する。D-アミノ酸は、哺乳動物の腸管で効率的に消化されないので、抽出物が有効な時間を増大させることにおいて有利であり得る。つまり、溶解の間に化学修飾されてD-アミノ酸を含有する抽出物中の抗原性分子は、患者の体内により長い時間残存して、より強い免疫刺激作用を潜在的に可能にする。
【0007】
細菌抽出物は、消化管及び尿管の疾患に対する免疫系を刺激するために、従来技術において用いられているが、それらをより安全に、より有効に、そしてより長く持続するようにするために、これらの抽出物をよりよく標準化し、制御する必要性があった。例えば、潜在的に毒性のリポ多糖(LPS)成分を含む糖成分は、安全性の理由から、細菌抽出物から除去されるべきであると以前は考えられていた(例えば米国特許第5,424,287号を参照)。しかし、本発明は、糖類が安全に保持されるLPS成分の充分な化学修飾をもたらす方法を提供する。これらの成分が保持されることにより、付加的な抗原が提供され、効力を改善することもできる。
【0008】
例えば、本発明者らは、pH及び溶解時間をモニターすることにより、潜在的にアレルゲン性又は毒性である細胞壁成分を充分に分解することが可能になることを見出した。より低いpH又はより短い時間の従来の溶解条件は、対照的に、細胞壁成分及びLPSが充分に化学修飾されない抽出物を生成した(例えばGB 2 054 374 Aを参照)。得られた抽出物は、患者に安全に投与するにはアレルゲン性が高すぎた。全般に、本発明者らは、低すぎるpH及び/又は短すぎる時間で溶解された生成物は、より高い毒性、より低いタンパク質抽出及びより低いろ過性(filterability)を有したことを見出した。
【0009】
さらに、本発明では、プリオン疾患のような疾患の危険性がない培養培地中で細菌株を成長させる。
ろ過プロセスも、フィルタの孔径及びときにはフィルタ表面の化学特性が、除去及び保持される物質の型を変化させるので、得られる抽出物の特性に影響し得る場合がある。例えば、本発明は、ある糖類を保持するが、核酸のようなその他の分子成分を除去するろ過プロセスを用いる。
よって、本発明は、一定の安全性及び効力を維持する助けとなる、細菌抽出物を標準化するパラメータを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】細菌の溶解の後の細菌抽出物の調製のためのタンジェンシャルフローろ過(TFF)システムの図。この図は、フィルタの異なる2つの配置を示す:全てのフィルタが同時に働く並行モード、及びフィルタが直列モードで配置される蛇行モード。
【図2】12.5 g/l (パートA)及び25 g/l (パートB)の溶解についての出発バイオマス濃度での末梢血単核細胞(PBMC)試験における抽出物の活性(より詳細には実施例5Aを参照)。
【図3】25 g/l (パートA)及び100 g/l (パートB)の溶解についての出発バイオマス濃度でのPBMC試験における抽出物の活性。
【図4】24時間(パートA)及び72時間(パートB)の溶解時間での末梢血単核細胞(PBMC)試験における抽出物の活性。
【図5】マクロファージの亜酸化窒素(NO)活性に対する、溶解の間のNaOH濃度の影響。
【図6】異なる実験群についての、膀胱(パートA)及び腎臓(パートB)における平均合計コロニー形成単位(CFU)の値。
【図7】104 CFUのサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)での感染後21日間の実験群における死亡記録。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
抽出物:本明細書で定義される抽出物は、1種又は複数種の細菌株の溶解の後に得られる物質を意味する。抽出物は、1つの株のみから得られる場合もあり、いくつかの異なる株からの抽出物の混合物である場合もある。
アルカリ溶解:これは、有機又は無機の塩基を用いるような塩基性条件下で細菌細胞を溶解する方法である。
溶解物:細胞溶解手順から得られる細菌の抽出物。
【0012】
ろ過:本明細書で定義されるろ過プロセスは、抽出物又は抽出物の混合物の、マイクロフィルタ(すなわち微細ろ過)又は限外ろ過フィルタ(すなわち限外ろ過)のような1つ又は複数のフィルタを通しての通過を意味する。このようなろ過は、除去するとされた成分を100%除去することを必要としない。ろ過は、数回の通過又はサイクルで反復される場合がある。
当初のpH:この用語は、細菌溶解又はろ過のような手順の開始時に測定されるpHを意味する。
【0013】
糖類:本明細書で定義される糖は、単糖類、二糖類、並びに直鎖状及び分岐鎖状の多糖類のようなより大きい糖類を含む。糖類は、置換(substituted)又は化学修飾された糖、例えばリポ多糖(LPS)及びそれらの化学修飾された変異体も含む。
D-アミノ酸:この用語は、生合成により生成する、左旋性異性体の形で存在するL-アミノ酸とは反対に、右旋性異性体の形で存在するアミノ酸のことをいう。
ラセミ化:この用語は、L-アミノ酸からD-アミノ酸への少なくとも部分的な化学修飾のことである。
【0014】
プリオンベースの疾患の危険性を回避する培地とは、ウシ若しくはヒツジのような動物、又はプリオンベースの疾患を伝達し得るいずれの他の動物から採取された血清又は肉抽出物のような材料を含まない、抽出物の製造の任意の段階で用いられる培養培地を意味する。このような培地の例は、植物ベース培地又は合成既知組成培地(synthetic chemically defined media)、及びウマ血清を用いる培地又はプリオン疾患を伝達しない動物種から採取された材料を含む培地を含む。プリオンベースの疾患の例は、例えば、狂牛病、スクラピー及びクロイツフェルト-ヤコブ病を含む。
非動物性培地は、動物に由来する成分を含まない培地である。その例は、植物ベース(すなわち植物性)培地、例えば大豆培地、及び合成培地を含む。
【0015】
本明細書で用いる場合、治療は、現在の感染及び例えば他の状態の治療と、例えば新しい感染の発生からの予防又は防御との両方を意味する。
本明細書で用いる場合、対象とは、哺乳動物対象、例えばヒト及び家畜哺乳動物を含む任意の動物対象を意味する。
【0016】
本明細書で同定され、本発明で用いられる具体的な細菌株は、本明細書に記載される原寄託、又は異なる寄託コード名で後から再寄託されたが、原寄託されたものと遺伝子的に同じ株であると考えられる株を含む、その遺伝子クローンから得られる株を含み得る。
本明細書で用いられる全ての数値は、測定に固有の誤差、丸め及び有効数字を考慮に入れた近似である。
【0017】
抽出物の調製
本発明の細菌抽出物は、発酵、及びその後の熱不活性化、濃縮及びバイオマスの採集、規定された条件下での単一細菌バイオマスのアルカリ溶解又は細菌バイオマスの混合物のアルカリ溶解により調製できる。異なる条件下でのアルカリ溶解物を、ろ過による精製の前に混合できる。得られたろ過物は、特定の物質を除去するなどさらに精製でき、凍結乾燥及び/又は製剤化(formulated)することもできる。
【0018】
各株について、充分量の物質を得るために、発酵培養は、作業用シードロットから出発し、その後、より大きい発酵容器への接種を行うことができる。
用いられる培地は、それぞれの種について同じであり得る。しかし、補充の成長因子を導入して、いくつかの種の成長を増進させることができる。いくつかの実施形態において、プリオンベースの疾患の危険性を回避する培地は、少なくともいくつか、又は全ての株の成長に用いる。その例は、植物ベース培地及び合成培地のような非動物性培地を含む。他の例は、このような危険性を有し得るウシ血清又は肉抽出物の存在下で成長した株とは対照的に、プリオン疾患の脅威がない種の動物から採取されたウマ血清又は別の動物性抽出物を含む培地を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、発酵は、0.1〜1.0リットルのような少量の培養を用いて開始し、約3〜6時間、30〜40℃、例えば37℃にてインキュベートして、3.0〜5.0の700 nmでの光学密度(OD)を得ることができる。小規模培養工程の後に、1つ又は一連のより大きい発酵槽でのさらなる培養を、30℃〜40℃にて、3時間〜20時間、例えば3〜10時間又は8時間行うことができる。
【0020】
発酵の後に、それぞれの株又は一連の株からのバイオマスは、熱処理、濃縮及び凍結により不活性化できる。凍結バイオマスを融解させた後に、細菌懸濁物を、次いで、希釈し、例えばNaOHからの水酸化物イオンの濃縮溶液を用いてアルカリ性にして細菌壁を溶解させる。いくつかの実施形態において、約15〜約80 g/L、又は約15〜約35 g/L、例えば15、20、25、30又は35 g/Lのような約10〜約120 g/Lの1つ又は混合の株からの細菌乾燥重量が溶解される。いくつかの実施形態において、約40〜約80 g/L、例えば40、50、60、70又は80 g/Lが溶解される(細菌乾燥重量は、溶解させるリットル当たりの乾燥バイオマスの量として定義される。乾燥重量濃度は、5 mLの物質を、小さい磁製皿で、105℃にて、一定質量になるまで乾燥させ、次いで、リットル当たりの質量をグラムで記録することにより測定される)。いくつかの実施形態において、0.01 N〜1.2 N、例えば0.10 N〜1.1 N、又は0.10 N〜0.65 N、又は0.10 N〜0.4 N、又は0.1、0.2、0.3若しくは0.4 Nから始まるか又は終わる範囲、又は0.6 N〜1.1 N、又は0.6、0.7、0.8、0.9、1.0若しくは1.1 Nから始まるか又は終わる範囲の強塩基濃度を用いるか、或いは当初のpHが12以上、又は12より高いpH、12より高く13.5未満のpH、例えば12.5より高く、12.6より高く、12.8より高く、又はpH 12.6〜pH 13.4となるような塩基濃度を用いる。溶解の間のpHは、可溶化された化合物の抽出の際に低下してよい。つまり、pHは、手順の間に調整できる。溶解温度は、30〜60℃、例えば35〜40℃、例えば37℃であり得る。溶解時間は、20時間から数日、例えば5、6、7、8、9若しくは10日、又は30〜120時間、又は30〜50時間、例えば30、35、40、45若しくは50時間、又は60〜120時間、例えば60、72、84、96、108若しくは120時間で変動できる。抽出物は、次いで、より低いpHに戻し、所望により一緒に混合し、ろ過できる。
【0021】
溶解の後に、可溶性乾燥重量は、20〜180 mg/mLであり得る(可溶性乾燥重量は、上記の細菌乾燥重量と同じ方法で決定され、代わりに、可溶性溶解物の密度が1g/mLであると仮定して、mg/gの単位で報告できる)。Lowry法により測定される残存タンパク質濃度は、8〜75 mg/mL、例えば10〜70 mg/mL、20〜60 mg/mL又は10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65若しくは70 mg/mLで始まるか又は終わる範囲であり得る。株の混合物の溶解の後の、全還元糖についてアントロン法により測定される糖類の濃度は、0.8〜4 mg/mL、例えば1〜3.5 mg/mL、1.2〜3 mg/mL、又は1、1.5、2、2.5、3、3.5若しくは4 mg/mLで始まるか又は終わる範囲であり得る。
【0022】
溶解は、一度に1つの株だけに対して、又は全ての所望の株の混合物に対して行うことができる。例えば、混合抽出物は、例えば2つ以上の細菌の溶解物を混合することにより得ることができる。それぞれのこのような溶解物は、10 g/L〜90 g/Lのバイオマス乾燥重量、例えば15〜85 g/L、又は20〜80 g/L、又は25〜75g/L、又は30〜70 g/L、又は35〜65 g/L又は40〜60 g/L、又は15〜35 g/L、又は40〜80 g/Lを含有するだろう。それぞれのこのような溶解物は、例えば、全抽出物の約20容量%〜80容量%を含み得る。2つの溶解物の容量混合割合は、例えば25%〜75%、又は75%〜25%、70%〜30%、又は30%〜70%、又は60%〜40%、又は40%〜60%、又は50〜50%であり得る。
【0023】
溶解物は、次いで、遠心分離及び/又はろ過により精製できる。例えば、溶解物は、9000×重力で遠心分離し、その後、0.2ミクロンフィルタでの1回又は複数回のろ過を用いて抽出物を精製できる。より大きい孔のフィルタでの連続する回のろ過の後に、0.2ミクロンフィルタでのろ過を行うことができる場合もある。可溶性物質を抽出物から抽出するのを助けるために例えば限外ろ過法を行って、限外ろ過透過物をさらなる微細ろ過のために再循環することもできる。
【0024】
いくつかの実施形態において、タンジェンシャルフローろ過(TFF)法を用いて、抽出物をろ過し、より大きい細胞破砕物から可溶化された分子を抽出できる(図1を参照) (例えば、Separations Technology, Pharmaceutical and Biotechnology Applications, Wayne P. Olson編 Interpharm Press, Inc., Buffalo Grove, IL, U.S.A., p.126〜135 ISBN:0-935184-72-4を参照)。このようなTFFプロセスの初めには、希釈細菌溶解物を、第1タンクに貯蔵できる。微細ろ過(MF)ループを開始し、生成物をポンピングし、得られたMF濃縮液(retentate)は再循環し、MF透過液は第2タンクに移す。
【0025】
適切な範囲の濃度に到達した後に、限外ろ過(UF)ループを開始する。UF透過液は、溶解物からの可溶化された化合物の連続的な抽出のために第1タンクに再循環して戻すことができるが、UF濃縮液は、第2タンクに貯蔵することができる。連続抽出の間に、タンク1及び2中の容量は、微細ろ過及び限外ろ過の透過液の流速の調節により調整できる。
このようないくつかの抽出サイクルを、TFF又は別のろ過方法を用いて行うことができる。TFFを用いる実施形態において、最後のサイクルの最後に、限外ろ過ループを閉じ、微細ろ過ループのみを運転し、MF透過液をタンク2に移すことができる。
【0026】
微細ろ過ループは、1.2ミクロン〜0.1ミクロンのフィルタ、例えば0.65〜0.2ミクロン、又は0.45ミクロンのフィルタに適合させることができる。クロスフローは、0.6〜2バール、例えば0.8と1.5バールの間、又は1.0バールのトランスメンブレン圧力(TMP)で、1000リットル/時 m2 (LHM)と3000 LHMの間、例えば1500と2500 LHMの間、又は2000 LHMであり得る。限外ろ過ループは、10 KDa〜1000 KDa、例えば10 KDa〜100 KDa、又は10 KDa〜30 KDa、又は30 KDa〜100 KDaのフィルタに適合させることができる。クロスフローは、0.2〜1.5バール、例えば0.4と1.2バールの間、又は0.5バールのTMPで、30 LHMと1000 LHMの間、例えば20と500 LHMの間であり得る。
【0027】
5と20の間のダイアフィルトレーション容量を用いて、細菌細胞壁から可溶化された化合物を抽出できる。いくつかの実施形態において、8容量と15容量の間を用いる。よって、例えば、いくつかの実施形態において、5サイクルと15サイクルの間のろ過、ある場合には8サイクルと15サイクルの間、例えば8、9、10、11、12、13、14又は15サイクルを用い得る。
【0028】
ろ過の後に、抽出物は、所望により、さらに濃縮又は遠心分離できる。例えば、より小さい孔のフィルタ、例えば0.2ミクロンのフィルタを用いるさらなる微細ろ過を行うことができる。ろ過の後に、Lowryにより測定される可溶化されたタンパク質の収率は、50〜90%、又は60%を超えることができる。ろ過の後に、抽出物は、使用のために製剤化する前に凍結乾燥させることができる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態において、溶解条件の選択は、「強い」又は「穏やかな」溶解を得るように選択できる。例えば、いくつかの実施形態において、強い溶解は、約15〜約35 g/Lの細菌乾燥重量、例えば15、20、25、30及び35 g/L、又はこれらの条件により結ばれるより小さい範囲(例えば15〜20、20〜25、20〜30など)を、0.6〜1.1 Nの水酸化物イオン、例えば0.6、0.7、0.8、0.9、1.0若しくは1.1 N、又はこれらの濃度により結ばれるより小さい範囲で、60〜120時間、例えば60、70、80、90、100、110及び120時間、又はこれらの時間により結ばれるより小さい範囲で、30〜40℃、例えば35〜40℃、30〜35℃又は37℃にて溶解することにより達成できる。つまり、本明細書で用いる場合、「強い」溶解は、上記の最も広い範囲のそれぞれにある細菌乾燥重量濃度、水酸化物イオン濃度、時間及び温度の使用を伴う。別の実施形態において、穏やかな溶解は、約40〜約80 g/Lの細菌乾燥重量(例えば40、45、50、55、60、65、70、75又は80)を、0.1〜0.4 Nの水酸化物イオン(すなわち0.1、0.2、0.3又は0.4)で、30〜50時間(例えば30、35、40、45又は50時間)、30〜40℃、例えば35〜40℃、30〜35℃、又は37℃にて溶解することにより達成できる。つまり、本明細書で用いる場合、「穏やかな」溶解は、上記の最も広い範囲のそれぞれにある細菌乾燥重量濃度、水酸化物イオン濃度、時間及び温度の使用を伴う。いくつかの実施形態において、上記の強い及び穏やかな溶解物のような2つの細菌溶解物の混合物、例えば10%対90%の混合物、20/80、25/75、35/65、50/50混合物(容量比)を調製できる(例えば以下の実施例8及び9を参照)。いくつかの実施形態において、抽出物に用いられる全ての株は、強い溶解及び穏やかな溶解の両方に付し、得られた溶解物を一緒に混合することができる。或いは、いくつかの株を強い溶解に付し、他のものを穏やかな溶解に付すことができる。0.65〜0.2ミクロンフィルタ、例えば、0.6、0.55、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3若しくは0.25ミクロンフィルタを用いるMFループ、及び10〜30 KDaフィルタを用いるUFループを通しての、合計で8〜15サイクル、例えば8、9、10、11、12、13、14又は15サイクルのTFF法によるこれらの溶解物のろ過は、混合の前後に行うことができる。一旦調製されると、本発明の抽出物を精製して、粒子状物質を除去することができる。
【0030】
細菌抽出物の化学的特性
本発明によるいくつかの実施形態は、例えば、5〜75 mg/mLのタンパク質、又は10〜65 mg/mL、又は20〜45 mg/mL、又は5〜40 mg/mL、又は5〜20 mg/mLのタンパク質、又は5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70若しくは75 mg/mLで始まるか又は終わる範囲;グルタミン酸(147.1 g/mol)から算出される、1.5〜2.5 mg/mLの遊離アミノ酸(A.A.)、又は1.5〜2 mg/mL、又は2〜2.5 mg/mLの遊離A.A.、又は1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4若しくは2.5 mg/mLで始まるか又は終わる範囲の遊離A.A.;並びに0.3〜4.5 mg/mLの多糖類及び単糖類、又は0.3〜4 mg/mL、又は0.4〜4 mg/mL、又は0.5〜3.5 mg/mL、又は0.6〜3 mg/mL、又は0.3〜1 mg/mL、又は0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、若しくは4.5 mg/mLで始まるか又は終わる範囲の多糖類及び単糖類を含有できる。例えば、いくつかの実施形態は、約5〜9 mg/mLのタンパク質、グルタミン酸(147.1 g/mol)から算出される2 mg/mLの遊離アミノ酸(A.A.)、及び/又は約0.3〜0.6 mg/mLの多糖類及び単糖類を含有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、リムルス変形細胞分解産物(LAL)色素産生試験に基づくLPS等量の濃度は、5000 ng/mL未満、又は2000 ng/mL未満、又は1000 ng/mL未満、又は750 ng/mL未満、又は500 ng/mL未満、又は200 ng/mL未満、又は100 ng/mL未満である。
【0032】
本発明による細菌の溶解は、リポ多糖及びリポペプチドのような両親媒性化合物の部分的加水分解をもたらし得る。本発明による細菌の溶解は、タンパク質の部分的加水分解、及び脱アミノ化、アミド分解、及びLからDへのアミノ酸の部分的ラセミ化ももたらし得る。本発明による抽出物のある分析研究において、抽出物のHCl完全加水分解及びアミノ酸の誘導体化の後に、D-アスパラギン酸及びD-アスパラギン、D-グルタミン酸及びD-グルタミン、D-セリン、D-メチオニン、D-ヒスチジン、D-アラニン、D-アルギニン、D-フェニルアラニン、D-チロシン、D-ロイシン、D-リジン、D-バリン、D-スレオニンを表すガスクロマトグラフィーのピークがそれぞれ観察された。この研究におけるこれらの種のD-アミノ酸のパーセンテージは、3%〜80%の範囲であった。よって、本発明のいくつかの実施形態は、上記の全てのアミノ酸のようなセリン、メチオニン、アスパラギン酸及びアスパラギン、スレオニン、ヒスチジン、アラニン、アルギニン、チロシン、フェニルアラニン、ロイシン並びにリジンの1つ又は複数、又は1つより多く上記のアミノ酸の全てより少ない選択、例えばセリン、アスパラギン酸、アスパラギン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン及びリジン、又はこれらのアミノ酸の選択のラセミ化を可能にする。いくつかの実施形態において、上記のアミノ酸の1つ又は複数の少なくとも10%が、LからDにラセミ化され得る。別の実施形態において、上記のアミノ酸の1つ又は複数の少なくとも30%がラセミ化され得る。
【0033】
細菌抽出物の生物活性
本発明による抽出物は、消化管又は尿管の感染のような尿管又は消化管の障害に罹患した又はそれを発生する危険性がある患者を治療するのに有効であり得る。本発明による抽出物は、再発性尿管感染の予防に有効であり得る。本発明の抽出物により治療され得る障害の例は、大腸菌及びその他の細菌の感染、尿道炎、尿細管間質性腎炎、閉塞性腎盂腎炎、閉塞性及び逆流性尿路疾患による尿管感染、慢性膀胱炎を含む膀胱炎、慢性前立腺炎を含む前立腺炎、前立腺膀胱炎、女性骨盤内炎症性疾患、クローン病及び過敏性腸症候群を含む。
【0034】
抽出物の生物活性は、いくつかのアッセイにより決定できる。例えば、末梢血単核細胞(PBMC)アッセイは、PBMCからのサイトカインIL-6の生成を試験し、抽出物が免疫系を刺激する能力についてスクリーニングできる。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の抽出物で刺激したPBMCの上清中で測定されるインビトロIL-6濃度は、2000 pg/ml〜70,000 pg/ml、2000 pg/ml〜50,000 pg/ml、2000 pg/ml〜30,000 pg/ml、2000 pg/ml〜20,000 pg/ml、2000 pg/ml〜10,000 pg/ml又は5000 pg/ml〜70,000 pg/ml、5000 pg/ml〜50,000 pg/ml、5000 pg/ml〜30,000 pg/ml、5000 pg/ml〜25,000 pg/ml、又は5000 pg/ml〜10,000 pg/ml、又は15,000 pg/ml〜25,000 pg/mlの範囲であった。LPSをアゴニスト対照として用いた場合(0.01μg/mlで)、得られた値は、提供者に応じて、5,000 pg/ml〜70,000 pg/mlの範囲であった。
【0035】
マウス酸化窒素(NO)試験は、マウスマクロファージによる、免疫刺激を示すNOの生成を測定する。例えば、マクロファージは、侵入した細菌を殺すためにNOを生成する。いくつかの実施形態において、0.001 mg/ml〜10 mg/mlの範囲の濃度の可溶性乾燥重量で試験した本発明の実施形態についてのインビトロ亜酸化窒素(NO)活性は、3μM〜100μM酸化窒素、又は3μM〜90μM、3μM〜80μM、3μM〜70μM、3μM〜60μM、3μM〜50μM、3μM〜40μM、3μM〜30μM、3μM〜20μM、3μM〜10μM、又は5μM〜80μM、5μM〜60μM、5μM〜40μM、5μM〜20μM、又は10μM〜80μM、10μM〜70μM、10μM〜50μM、10〜30μM、又は10μM〜15μMの範囲、又は3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100μMで始まるか又は終わる範囲の最大応答を与えた。
【0036】
ヒト末梢血単核細胞及びマウスマクロファージに対してインビトロで観察される活性は、溶解される細菌乾燥重量の量、すなわち溶解のための「出発原料」、アルカリ溶解の期間、及び溶解において用いるNaOHの当初のパーセンテージ又は当初のpHのような変数に依存し得る。
PBMC及びNOのようなインビトロ活性試験を、LALによるようなLPS濃度の決定と組み合わせることによっても、ある細菌抽出物の活性と毒性危険性とのバランスに関する情報を得ることができる。
【0037】
感染モデルの動物に対してインビボで観察される活性は、本発明のいくつかの実施形態が、防御効果を有することを示す。例えば、本発明による例示的な抽出物での動物の反復処置について示す実施例9を参照されたい。大腸菌尿管感染のインビボモデルにおいて(実施例8)、本発明による例示的な抽出物を反復して予防的に経口投与された動物は、尿管(膀胱及び腎臓)における細菌の量がより低い。
例えば、少なくとも8匹のLPS-非感受性マウスに、尿路疾患性大腸菌1677株で攻撃した13日後の生存率は、これらのマウスをまず本発明のある実施形態の有効量で10日間処置した場合に、少なくとも60%である。攻撃のための尿路疾患性大腸菌の用量は、未処置のマウス、又は水、若しくは賦形剤を含有するが抽出物を含有しないブランク製剤で処置されたマウスの生存率が60%以下、例えば50%以下になるように選択できる。このようなモデルにおいて本発明の実施形態で処置されたマウスの生存率は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の場合がある。
【0038】
別の例において、野生型LPS感受性を有する少なくとも8匹のマウスをサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella thyphimurium)で攻撃した13日後の生存率は、これらのマウスをまず本発明のいくつかの実施形態の有効量で10日間処置した場合に、少なくとも60%である。攻撃のためのサルモネラ・チフィムリウムの用量は、未処置のマウス、又は水、若しくは賦形剤を含有するが抽出物を含有しないブランク製剤対照で処置されたマウスの生存率が60%以下、例えば50%以下になるように選択できる。抽出物で処置されたマウスの生存率は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の場合がある。
【0039】
細菌抽出物を含む組成物
本発明による抽出物は、最終的な投与のためにいくつかの異なる方式で製剤化できる。例えば、経口の錠剤、カプセル及び丸剤、並びに液体製剤又はエアゾール剤を調製できる。点滴又は注射用の製剤も調製できる。
本発明の実施形態は、例えば、固体投与形態又は液体投与形態として製剤化できる。例示的な固体投与形態は、抽出物を含有する、例えば、錠剤、例えば被覆錠剤、チュアブル錠剤、発泡錠剤、舌下錠剤、顆粒剤、散剤、又はカプセル剤、並びに任意に、1つ又は複数の栄養及び/又は食餌補助剤を含み得る。固体投与形態は、希釈剤、充填剤及び/又はその他の賦形剤も含み得る。例えば防腐剤、着色剤、香料及び甘味料のようなその他の賦形剤成分を加えることができる。散剤又は顆粒剤の製剤を調製することも可能である。液剤、シロップ剤、懸濁剤又はドロップのような液体投与形態も、経口経路用に用いることができる。
【実施例】
【0040】
実施例1 大腸菌株の培養物の調製
大腸菌I-081 (E81)、大腸菌I-082 (E82)、大腸菌I-083 (E83)、大腸菌I-084 (E84)、大腸菌I-085 (E85)、大腸菌I-086 (E86)、大腸菌I-087 (E87)、大腸菌I-088 (E88)、大腸菌I-089 (E89)、大腸菌NCTC 8603 (E8603)、大腸菌NCTC 8621 (E8621)、大腸菌NCTC 8622 (E8622)、大腸菌NCTC 8623 (E8623)、大腸菌NCTC 9026 (E9026)、大腸菌NCTC 9111 (E9111)、大腸菌NCTC 9119 (E9119)、大腸菌NCTC 9707 (E9707)、及び大腸菌NCTC 9708 (E9708)用の培地は、以下の成分を精製水に溶解することにより調製した:塩化ナトリウム3.75 g/L;リン酸一水素ナトリウム2.5 g/L;酢酸ナトリウム0.625 g/L;植物性ペプトン(大豆パパイン消化物) 50 g/L;イノシン0.125 g/L;塩化カルシウム0.025 g/L;塩化カリウム0.125 g/L;炭酸水素ナトリウム0.75 g/L;アルギニン1 g/L;ピルビン酸ナトリウム0.35 g/L;グルコース3 g/L;及び「濃縮元素溶液」0.625 mL/L (硫酸銅3 mg/l;塩化鉄830 mg/l;硫酸亜鉛860 mg/l;及び硫酸1.1 mL/Lを含有)。
0.1 Lの培地に、1.5 mLの凍結菌体を接種し、300 mLのエルレンマイヤーフラスコ中で、37℃にて4時間、撹拌しながらインキュベートした。次いで、3000mLのエルレンマイヤーフラスコ中の1.0 Lの培地に、上記の300mL培養物の30 mLを接種し、37℃にて4時間、撹拌しながら再びインキュベートした。
【0041】
【表1−1】

【0042】
0.08 mL/Lポリプロピレングリコールを加える以外は上記と同じ培地を、予備発酵槽のために調製した。前のインキュベーション工程からの培養物1リットルを、予備発酵槽に移した。インキュベーション温度は、30℃に調節し、予備発酵槽を撹拌した。pHは調節しなかった。滅菌気流速度は、3.3 L/分に調整した。6時間後に、25リットルの2つの予備発酵槽を、より大きい発酵槽に移した。
【0043】
【表1−2】

【0044】
0.05 mL/Lのポリプロピレングリコール及び6 g/Lのグルコースを滅菌前に加える以外は、上記と同じ培地を、大規模発酵槽での次のインキュベーションのために調製した。インキュベーション温度は、37℃に調節し、インキュベーションの間に撹拌及び曝気した。pHは、6.8に調節した。12 Kgのグルコースを、培養の間に加えた。約10.5時間後に、培養を、90℃と100℃の間に加熱することにより不活性化し、採集タンクに移した。バイオマスを、次いで、培養培地から分離し、遠心分離により濃縮した。
所望の培地及び培養条件にしたがって、以下の表及び記載に示すように、培養物を調製した。
【0045】
【表1−3−1】

【0046】
【表1−3−2】

【0047】
実施例1.20
NCTC9111を、実施例1.2に記載したのと同じ条件下で、合成培地を用いて培養した。培地は、540 Lの精製水中に、以下のものを溶解することにより調製した:0.2220 Kgのイノシン、0.3330 Kgのクエン酸一水和物、1.4430 Kgのグルタミン酸、1.1655 Kgの塩化アンモニウム、0.7825 Kgの硫酸マグネシウム2H2O、1.5096 Kgのリン酸カリウム(KH2PO4)、0.3330 Kgのアルギニン、0.1110 Kgのウラシル、0.0189 Kgの塩化カルシウム、11.8200 Kgの塩化ナトリウム、0.5435 KgのL-ロイシン、0.5435 KgのL-リジン HCL、0.5435 KgのL-セリン、0.5435 KgのL-メチオニン、0.5435 KgのL-バリン、0.5435 KgのL-アラニン、0.5435 KgのL-アスパラギン、14.0000 Lの水酸化アンモニウム、0.3420 Lの水酸化カリウム、40.5000 Kgのグルコース、4.1667 gの塩化鉄、4.1667 gの塩化コバルト、4.1667 gのモリブデン酸ナトリウム、4.1667 gの硫酸マンガン、4.1667 gの硫酸亜鉛、4.1667 gの硫酸ニッケル、0.0833 gのホウ酸、0.1667 gの硫酸銅、1.8333 mLの硫酸(95〜97%)。
【0048】
実施例2:細胞のアルカリ溶解
実施例2.1
1810 gの細菌乾燥重量を含有する以下の株のそれぞれの1つの部分標本:E81、E82、E83、E084、E085、E086、E087、E088、E89、E9111、E 8603、E 8621、E 8622、E8623、E 026、E9119、E9707及びE9708を、室温にて融解し、次いで、精製水で26 g/Lの細菌バイオマス(乾燥重量)に到達するまで希釈した。0.8 M水酸化ナトリウムでのアルカリ化を行った。pHを、溶解の2時間後に測定したところ、13.1であった。次いで、溶解を、連続撹拌下で120時間、35〜40℃にてインキュベートした。インキュベーションの後に、pHを11.3に、濃HClを用いて調節した。(可溶性乾燥重量); SDW : 59.4 mg/mL; Prot: 17.4 mg/mL。可溶性乾燥重量は、溶解により得られた可溶性画分5 mLを得て、これを磁製皿内で105℃にて一定質量まで乾燥させることにより決定した。
【0049】
実施例2.2
実施例1.1〜1.19に従って、合計で9264 gの細菌乾燥重量を含有するE81、E82、E084、E086、E087、E89の3つの部分標本、E83及びE085の2つの部分標本、E088の4つの部分標本、E9111の6つの部分標本、E 8603、E9119の9つの部分標本、E8621、E9707の7つの部分標本、並びにE 8622、E8623、E9026及びE9708の8つの部分標本を室温にて融解し、次いで、精製水で50.1 g/Lの細菌バイオマス濃度(乾燥重量)に到達するまで希釈した。0.2 N水酸化物イオンでのアルカリ化は、12.3であった。溶解を、連続撹拌下で32時間、35〜40℃にてインキュベートした。溶解の間に、pHをモニターしたところ、1.3 pH単位を超えて低下しなかった。pHを、濃HClの添加により11.3に調節した。(可溶性乾燥重量); SDW : 60.7 mg/mL; Prot: 32.0 mg/mL。
【0050】
実施例2.3
表2に従って、バイオマスを、58 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で1日間、35〜40℃にてインキュベートした。(可溶性乾燥重量); SDW : 96.8 mg/mL; Prot: 35.3 mg/mL。
【0051】
実施例2.4
表2に従って、バイオマスを、92 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 Mでのアルカリ化を、10NでのNaOHを用いて行った。溶解を、連続撹拌下で1日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW: 146.6 mg/mL; Prot: 62.9 mg/mL。
【0052】
実施例2.5
表2に従って、バイオマスを、58 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で7日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 97.7mg/mL; Prot: 42.4 mg/mL。
【0053】
実施例2.6
表2に従って、バイオマスを、92 g/L細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で7日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 153.0 mg/mL; Prot: 78.9 mg/mL。
【0054】
実施例2.7
表2に従って、バイオマスを、58 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 98.6 mg/mL; Prot: 29.6 mg/mL。
【0055】
実施例2.8
表2に従って、バイオマスを、92 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 127.4 mg/mL; Prot: 60 mg/mL。
【0056】
実施例2.9
表2に従って、バイオマスを、43 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.2 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で168時間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 43.2 mg/mL; Prot: 8.2 mg/mL。
【0057】
実施例2.10
表2に従って、バイオマスを、57 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 69.5 mg/mL; Prot: 20.2 mg/mL。
【0058】
実施例2.11
表2に従って、バイオマスを、30 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。1 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 86.9 mg/mL; Prot: 13 mg/mL。
【0059】
実施例2.12
表2に従って、バイオマスを、27 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。1 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 91.3 mg/mL; Prot: 11.8 mg/mL。
【0060】
実施例2.13
表2に従って、バイオマスを、14 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.1 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で1日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 25.2 mg/mL; Prot: 5.8 mg/mL。
【0061】
実施例2.14
表2に従って、バイオマスを、14 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.2 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 26.6 mg/mL; Prot: 5.7 mg/mL。
【0062】
実施例2.15
表2に従って、バイオマスを、14 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.1 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で10日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 20.0 mg/mL; Prot: 2.1 mg/mL。
【0063】
実施例2.16
表2に従って、バイオマスを、114 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。1 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で1日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 163.3 mg/mL; Prot: 68.4 mg/mL。
【0064】
実施例2.17
表2に従って、バイオマスを、114 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.4 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 163.0 mg/mL; Prot: 60.3 mg/mL。
【0065】
実施例2.18
表2に従って、バイオマスを、114 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。1 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で10日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 171.2 mg/mL; Prot: 71.0 mg/mL。
【0066】
実施例2.19
表2に従って、バイオマスを、25 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.45 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で4日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 48.5 mg/mL; Prot: 15.2 mg/mL; A.A: 4.0 mg/ml; 糖: 0.86 mg/mL。
【0067】
実施例2.20
表2に従って、バイオマスを、28 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.6 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で4日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 59.4 mg/mL; Prot: 16.8 mg/mL; A.A: 5.4 mg/ml; 糖: 1.22 mg/mL。
【0068】
実施例2.21
表2に従って、バイオマスを、58 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.2 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で4日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW: 64.4 mg/mL; Prot: 32.4 mg/mL; A.A: 5.6 mg/ml; 糖: 1.84 mg/mL。
【0069】
実施例2.22
表2に従って、バイオマスを、56 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.2 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で3日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 61.0 mg/mL; Prot: 30.0 mg/mL; A.A: 5.6 mg/ml; 糖: 1.88 mg/mL。
【0070】
実施例2.23
表2に従って、バイオマスを、39 g/Lの細菌バイオマス濃度に希釈した。0.7 M NaOHでのアルカリ化を行った。溶解を、連続撹拌下で4日間、35〜40℃にてインキュベートした。SDW : 78.32 mg/mL; Prot: 20.60 mg/mL; A.A: 7.8 mg/ml; 糖: 1.54 mg/mL。
【0071】
実施例2.24
1810 gの細菌乾燥重量を含有する以下の株のそれぞれの1つの部分標本:E82、E83、E084、E086、E087、E088、E9111、E 8603、E 8621、E 8622、E8623、E 026、E9119、E9707及びE9708を、室温にて融解し、次いで、精製水で25 g/Lの細菌バイオマス(乾燥重量)に到達するまで希釈した。1.0 M水酸化ナトリウムでのアルカリ化を行った。pHを、溶解の2時間後に測定したところ、13.5であった。次いで、溶解を、連続撹拌下で72時間、35〜40℃にてインキュベートした。インキュベーションの後に、pHを11.4に、濃HClを用いて調節した。
(可溶性乾燥重量) ; SDW : 75.4 mg/mL; Prot: 14.8 mg/mL; A.A: 5.4 mg/ml; 糖: 0.9 mg/mL。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例3:溶解物の混合
いくつかの細菌抽出物を混合して、pHを調節して、以下の結果を得た。
実施例3.1
0.845 Kgの大腸菌実施例2.4を、1.4 kgの大腸菌実施例2.3と混合した。混合物を、精製水で12 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、可溶性乾燥重量 (SDW): 29.7 mg/mL; Prot: 10.0 mg/mLであった。
【0074】
実施例3.2
1.4 Kgの大腸菌実施例2.7を、0.85 kgの大腸菌実施例2.8と混合した。混合物を、精製水で12 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、可溶性乾燥重量 (SDW): 32.3 mg/mL; Prot: 10.3 mg/mLであった。SDWは、実施例2に記載されるようにして測定した。タンパク質濃度は、Lowryアッセイにより測定した(欧州薬局方2.5.33、「全タンパク質−方法2」を参照されたい)。
【0075】
実施例3.3
1.4 Kgの大腸菌実施例2.5を、0.86 kgの大腸菌実施例2.6と混合した。混合物を、精製水で12 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 26.8 mg/mL; Prot: 9.6 mg/mLであった。
【0076】
実施例3.4
2.4 Kgの大腸菌実施例2.7を、1.5 kgの大腸菌実施例2.8と混合した。混合物を、精製水で20 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 22.0 mg/mL; Prot: 9.5 mg/mLであった。
【0077】
実施例3.5
9.0 Kgの大腸菌実施例2.9を、精製水で9.3 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 45.7 mg/mL; Prot: 20.6 mg/mLであった。
【0078】
実施例3.6
8.1 Kgの大腸菌実施例2.10を、精製水で12 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 39.7 mg/mL; Prot: 17.3 mg/mLであった。
【0079】
実施例3.7
3.2 Kgの大腸菌実施例2.11を、3.2 kgの大腸菌実施例2.12と混合した。混合物を、精製水で12.8 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 39.9 mg/mL; Prot: 8.0 mg/mLであった。
【0080】
実施例3.8
248 Kgの大腸菌実施例2.19を、精製水で400 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 31.6 mg/mL; Prot: 10.2 mg/mL; 遊離アミノ酸(A.A.): 2.6 mg/mL; 糖: 0.59 mg/mLである。糖濃度は、酸加水分解の及び誘導体化の後に、D. Herbertら、Meth. Microbiol. 5B: 266以降(1971)に従ってアッセイした。遊離アミノ酸濃度は、Roth M.、Fluorescence reaction for amino acids、Anal.Chem.、43、880〜882(1971)に従って、アミノ酸をイソインドール誘導体に変換し、340 nmでの吸光度を測定することにより測定した。結果は、グルタミン酸の等量で表す。
【0081】
実施例3.9
248 Kgの大腸菌実施例2.20を、精製水で400 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 38.9 mg/mL; Prot: 10.8 mg/mL; A.A.: 3.6 mg/mL; 糖: 0.74 mg/mLである。
【0082】
実施例3.10
247 Kgの大腸菌実施例2.21を、精製水で400 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 40.08 mg/mL; Prot: 20.0 mg/mL; A.A.: 3.6 mg/mL; 糖: 1.17 mg/mLであった。
【0083】
実施例3.11
247 Kgの大腸菌実施例2.22を、精製水で400 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 43.9 mg/mL; Prot: 19.1 mg/mL; アミノ酸(A.A.): 3.9 mg/mL; 糖: 1.27 mg/mLであった。
【0084】
実施例3.12
1.9 Kgの大腸菌実施例2.21を、6 kgの大腸菌実施例2.23と混合した。混合物を、精製水で12 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 45.4 mg/mL; Prot: 12.6 mg/mL; A.A.: 3.8 mg/mL; 糖: 0.82 mg/mLであった。
【0085】
実施例3.13
4 Kgの大腸菌実施例2.21を、4 kgの大腸菌実施例2.23と混合した。混合物を、精製水で12 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 47.0 mg/mL; Prot: 15.0 mg/mL; A.A.: 3.9 mg/mL; 糖: 1.14 mg/mLであった。
【0086】
実施例3.14
72.4 Kgの大腸菌実施例2.1を、185.2 kgの大腸菌実施例2.2と混合した。混合物を、精製水で400 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 40.8 mg/mL; Prot: 17.7 mg/mL; A.A.: 3.7 mg/mL; 糖: 1.24 mg/mLであった。
【0087】
実施例3.15
75.4 Kgの大腸菌実施例2.24を、185.2 kgの大腸菌実施例2.2と混合した。混合物を、精製水で400 kgまで希釈した。希釈した細菌溶解物混合物を、微細ろ過タンクに移した。分析結果は、SDW: 43.6 mg/mL; Prot: 17.0 mg/mL; A.A.: 3.3 mg/mL; 糖: 1.16 mg/mLであった。
【0088】
実施例4:溶解物の精製
実施例4.1
実施例3.1の細菌溶解物混合物を、微細ろ過(MF)タンクに移した。微細ろ過(MF)ユニットは、蛇行モードの0.45ミクロンのタンジェンシャルフローろ過(TFF)フィルタ(PALL Procette)、又は並行モードのSchleicher & Schuellフィルタを用いた(TFF設定の例示の図について図1を参照)。蛇行モードについてのクロスフローは、2000 L/h m2 (LHM)、及びトランスメンブレン圧力(TMP)を1.3バールに設定した。透過物を、限外ろ過(UF)タンクに移した。
【0089】
微細ろ過タンク内の溶解物の容量が、当初の容量の半分に一旦到達すると、UFユニットを開始した。クロスフローを1500 LHMに、TMPを0.3バールに調節した。MF (MFの当初の容量をViMFという)及びUFの両方のタンクの容量を、同じレベルに維持した。それぞれのダイアフィルトレーション容量(ViMFに相当する)にて、タンパク質抽出の後に、Bradfordマイクロプラークアッセイによるタンパク質測定を行った。この測定により、全ての可溶化化合物を抽出するために、抽出のサイクル数を規定した。
【0090】
10ダイアフィルトレーション容量の後に、UFを停止し、細菌溶解物をMFタンク内で濃縮した。回収容量は、9.55 kgであった。この生成物を、次いで、7.0 mg/mLに希釈し、0.2ミクロン滅菌フィルタを通してろ過した。可溶性乾燥重量(SDW): 24.2 mg/mL; Prot: 6.4 mg/mL. A.A: 1.3 mg/mL、糖: 0.5 mg/mL。D-アミノ酸パーセンテージ: 29 % D-Ala、4 % D-Thr、11 % D-Leu、45 % D-Ser、36 % D-Asx、29 % D-Met、26 % D-Phe、21 % D-Glx、25 % D-Tyr、9 % D-Lys。
NOx (マクロファージ酸化窒素)生成を、20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈の後に測定して、以下の結果を得た:C1: 6.3μM、C2: 7.4μM及びC3 : 13.1μM。
いくつかのさらなる混合物を、タンジェンシャルフローろ過(TFF)により、以下に記載するようにしてろ過した。
【0091】
実施例4.2
実施例3.2の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2500 LHM及び1.30バールのTMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、38.2 LHMであった。乾燥重量抽出収率は65%であり、タンパク質抽出収率は80%であり、容量収率は80%であった。得られた濃縮物は、SDW: 26.1 mg/mL; Prot: 8.1 mg/mL; A.A.: 1.4 mg/mL; 糖: 0.6 mg/mL; DNA: 4.8μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 29% D-Ala、4% D-Thr、11 % D-Leu、45 % D-Ser、36 % D-Asx、29 % D- Met、26 % D-Phe、21 % D-Glx、25 % D-Tyr、9 % D-Lys。20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈後のNOx生成: C1: 5.5μM、C2: 7.5μM、C3: 5.5μM。
【0092】
実施例4.3
実施例3.3の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2450 (L/h m2) LHM及び1.3バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、26.2 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は65%であり、タンパク質抽出収率は75%であり、容量収率は88%であった。得られた濃縮物は、SDW: 24.5 mg/mL; Prot: 7.0 mg/mL; A.A.: 2.1 mg/mL; 糖: 0.5 mg/mL; DNA: 8.2μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 45 % D-Ala、11 % D-Leu、48 % D-Ser、44 % D-Asx、41 % D- Met、26 % D-Phe、25 % D-Glx、38 % D-Tyr、27 % D-Lys。20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈後のNOx生成: C1: 5.1μM、C2: 6.8μM、C3: 13.7μM。
【0093】
実施例4.4
実施例3.4の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2000 (L/h m2) LHM及び1.8バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、22.5 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は67%であり、タンパク質抽出収率は84%であり、容量収率は92%であった。得られた濃縮物は、SDW: 21.5 mg/mL; Prot: 6.1 mg/mL; A.A.: 1.5 mg/mL; 糖: 0.3 mg/mL; DNA: 5.6μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 44 % D-Ala、15 % D-Thr、12 % D-Leu、48 % D-Ser、40 % D-Asx、40 % D- Met、30 % D-Phe、26 % D-Glx、31 % D-Tyr、18 % D-Lys。
【0094】
実施例4.5
実施例3.5の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2000 (L/h m2) LHM及び1.3バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、27.7 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は72 %であり、タンパク質抽出収率は69%であり、容量収率は86%であった。得られた濃縮物は、SDW: 36.9 mg/mL; Prot: 16.9 mg/mL; A.A.: 2.8 mg/mL; 糖: 0.815 mg/mL; DNA: 46.7μg/mLであった。D-アミノ酸パーセンテージ: 27% D-Ala、16 % D-Thr、11 % D-Leu、48 % D-Ser、40 % D-Asx、39 % D- Met、36 % D-Phe、32 % D-Glx、31% D-Tyr。20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈後のNOx生成: C1: 6.2μM、C2: 10.9μM、C3: 18.3μM。
【0095】
実施例4.6
実施例3.6の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2000 (L/h m2) LHM及び1.3バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、15.7 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は53 %であり、タンパク質抽出収率は51%であり、容量収率は81 %であった。得られた濃縮物は、SDW: 30.1 mg/mL; Prot: 12.7 mg/mL; A.A.: 2.6 mg/mL; 糖: 0.364 mg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 40 % D-Ala、16 % D-Thr、12 % D-Leu、49 % D-Ser、43 % D-Asx、44 % D- Met、40 % D-Phe、38 % D-Glx、36 % D-Tyr、24 % D-Lys。20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈後のNOx生成: C1: 5.8μM、C2: 7.1μM、C3: 15.1μM。
【0096】
実施例4.7
実施例3.7の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2000 (L/h m2) LHM及び1.35バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、30.0 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は82 %であり、タンパク質抽出収率は83 %であり、容量収率は92 %であった。得られた濃縮物は、SDW: 38.2 mg/mL; Prot: 5.4 mg/mLを含んだ。20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈後のNOx生成: C1: 0.4μM、C2 : 2.1μM、C3: 16.3μM。
【0097】
実施例4.8
500 mlの実施例2.13の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。容量収率は、45%であった。得られた濃縮物は、SDW: 25.21 mg/mL; Prot: 5.85 mg/mL; DNA: 7.5μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 24 % D-Ala、16 % D-Thr、9 % D-Leu、43 % D-Ser、20 % D-Asx、16 % D- Met、10 % D-Phe、8 % D-Glx、7 % D-Tyr。
【0098】
実施例4.9
500 mlの実施例2.14の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。容量収率は、53%であった。得られた濃縮物は、SDW: 26.62 mg/mL; Prot: 5.75 mg/mL; DNA: 6.5μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 35 % D-Ala、22 % D-Thr、10 % D-Leu、45 % D-Ser、35 % D-Asx、35 % D- Met、31 % D-Phe、24 % D-Glx、22 % D-Tyr、12 % D-Lys。1 mgの活性乾燥重量/mLでのPBMC: IL-6 :9232 pg/mL。
【0099】
実施例4.10
500 mlの実施例2.15の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。容量収率は、53%であった。得られた濃縮物は、SDW: 20 mg/mL; Prot: 2.13 mg/mL; DNA: 3.5μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 35 % D-Ala、4 % D-Thr、11 % D-Leu、46 % D-Ser、34 % D-Asx、32 % D- Met、24 % D-Phe、24 % D-Glx、15 % D-Tyr。mgの活性乾燥重量/mLでのNOx生成: 0.01 mg/mL (C1)、0.1 mg/mL (C2)及び1.0 mg/mL (C3); C1: 3.6μM、C2: 4.4μM、C3: 7.9μM。
【0100】
実施例4.11
500 mlの実施例2.16の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。容量収率は、33%であった。得られた濃縮物は、SDW: 163.33 mg/mL; Prot: 68.42 mg/mL; DNA: 14.1μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 38 % D-Thr、1 % D-Leu、49 % D-Ser、43 % D-Asx、64 % D- Met、30 % D-Phe、31 % D-Glx、4 % D-Tyr。
【0101】
実施例4.12
500 mlの実施例2.17の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。容量収率は、17%であった。得られた濃縮物は、SDW: 162.78 mg/mL; Prot: 60.26 mg/mL; DNA: 14.8μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 10 % D-Leu、40 % D-Ser、34 % D-Asx、62 % D- Met、27 % D-Phe、23 % D-Glx、5 % D-Tyr。
【0102】
実施例4.13
500 mlの実施例2.18の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。容量収率は、13%であった。得られた濃縮物は、SDW: 171.16 mg/mL; Prot: 71.02 mg/mL; DNA: 16.9μg/mLを含んだ。
【0103】
実施例4.14
実施例3.8の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2300 (L/h m2) LHM及び1.5バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、11ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、32.5 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は86%であり、タンパク質抽出収率は87%であり、容量収率は90%であった。得られた濃縮物は、SDW: 26.6 mg/mL; Prot: 8.1 mg/mL; .A.A.: 2.3 mg/mL; 糖: 0.42 mg/mL; DNA: 68.5μg/mLを含んだ。mgの活性乾燥重量/mLでのPBMC: IL-6 :29898 pg/mL、IL-10 : 446 pg/ml、TNF-α: 3429 pg/mL。mgの活性乾燥重量/mLでのNOx生成: 0.02 mg/mL (C1)、0.2 mg/mL (C2)及び2.0 mg/mL (C3); C1: 2.3μM、C2: 16.6μM、C3: 4.0μM。
【0104】
実施例4.15
実施例3.9の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2375 (L/h m2) LHM及び1.3バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、32.5 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は83%であり、タンパク質抽出収率は79%であり、容量収率は92%であった。得られた濃縮物は、SDW: 24.9 mg/mL; Prot: 7.2 mg/mL; .A.A.: 2.3 mg/mL; 糖: 0.49 mg/mLを含んだ。1 mgの活性乾燥重量/mLでのPBMC: IL-6 : 23709 pg/mL、IL-10 : 385 pg/ml、TNF-α: 2917 pg/mL。mgの活性乾燥重量/mLでのNOx生成: 0.02 mg/mL (C1)、 0.2 mg/mL (C2)及び2.0 mg/mL (C3); C1: 1.1μM、C2: 13.8μM、C3: 4.2μM。
【0105】
実施例4.16
実施例3.10の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2500 (L/h m2) LHM及び1.0バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、15.0 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は58%であり、タンパク質抽出収率は59%であり、容量収率は79%であった。得られた濃縮物は、SDW: 22.0 mg/mL; Prot: 8.1 mg/mL; .A.A.: 1.6 mg/mL; 糖: 0.46 mg/mL; DNA: 23.9μg/mLを含んだ。1 mgの活性乾燥重量/mLでのPBMC: IL-6 :21458 pg/mL、IL-10 : 281 pg/ml、TNF-α: 123 pg/mL。mgの活性乾燥重量/mLでのNOx生成: 0.02 mg/mL (C1)、0.2 mg/mL (C2)及び2.0 mg/mL (C3); C1: 14.6μM C2: 23.8μM、C3: 16.9μM。D-アミノ酸パーセンテージ: 27% D-Ala、22% D-Thr、11 % D-Leu、44 % D-Ser、27 % D-Asx、26 % D- Met、22 % D-Phe、16 % D-Glx、15 % D-Tyr、8 % D-Lys。
【0106】
実施例4.17
実施例3.11の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2500 (L/h m2) LHM及び1.0バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、10ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、17.5 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は69%であり、タンパク質抽出収率は69%であり、容量収率は78%であった。得られた濃縮物は、SDW: 22.2 mg/mL; Prot: 8.3 mg/mL; .A.A.: 1.8 mg/mL; 糖: 0.5 mg/mL; DNA: 33.3μg/mLを含んだ。1 mgの活性乾燥重量/mLでのPBMC: IL-6 :19304 pg/mL、IL-10 : 343 pg/ml、TNF-α: 220 pg/mL。mgの活性乾燥重量/mLでのNOx生成: 0.02 mg/mL (C1、0.2 mg/mL (C2)及び2.0 mg/mL (C3); C1: 14.4μM C2: 20.5μM C3: 18.9μM。D-アミノ酸パーセンテージ: 30% D-Ala、18% D-Thr、10 % D-Leu、44 % D-Ser、29 % D-Asx、28 % D- Met、23 % D-Phe、18 % D-Glx、18 % D-Tyr、11 % D-Lys。
【0107】
70リットルの液体の形を、196 mLのHCl 25%を用いて中和し、10.44 kgのマンニトールと混合した。次いで、混合物を凍結乾燥した。凍結乾燥サイクルの間に、生成物は-50℃にて凍結させ、-25℃まで温めた。凍結乾燥機内の圧力は、0.2と0.5ミリバールの間に維持し、ろ過空気の注入により制御した。次いで、2次脱水において、生成物をその最終凍結乾燥温度(+30℃)まで温め、その間、真空レベルを0.2ミリバール未満に維持した。凍結乾燥サイクルが完了したときに、ろ過空気を用いて、凍結乾燥機内に通常圧力を回復した。凍結乾燥物を、適合させた振動ふるいを通してふるいにかけた。11.95 kgの凍結乾燥物を回収した。
【0108】
実施例4.18
500 mlの実施例3.13の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。得られた濃縮物は、SDW: 42.8 mg/mL; Prot: 12.5 mg/mL; A.A.: 3.5 mg/mL; 糖: 1.13 mg/mL; DNA: 14.1μg/mLを含んだ。20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈後のNOx生成: C1: 0.4μM C2: 5.7μM C3: 25.1μM。濃縮物の希釈容量mLについてのPBMC: 希釈100: IL-6 : 2101 pg/mL。D-アミノ酸パーセンテージ: 25% D-Ala、12% D-Thr、10% D-Leu、45 % D-Ser、35 % D-Asx、35 % D-Met、29 % D-Phe、26 % D-Glx。
【0109】
実施例4.19
500 mlの実施例3.12の溶解物を、9000 gにて30分間遠心分離した。次いで、上清を、孔径0.8μm、0.45μm及び0.2μmのフィルタを連続的に通してろ過した。pHを、10.5にHClを用いて調整した。得られた濃縮物は、SDW: 38 mg/mL; Prot: 9.7 mg/mL; A.A.: 3.1 mg/mL; 糖: 0.82 mg/mL; DNA: 80.1μg/mLを含んだ。20,000倍(C1)、2000倍(C2)及び200倍(C3)希釈後のNOx生成: C1: 0.3μM、C2: 2.6μM、C3: 19.2μM。濃縮物の希釈容量mLについてのPBMC: 希釈100: IL-6 : 2802 pg/mL。D-アミノ酸パーセンテージ: 35% D-Ala、25% D-Thr、10 % D-Leu、46 % D-Ser、40 % D-Asx、38 % D- Met、34 % D-Phe、32 % D-Glx、32 % D-Tyr、24 % D-Lys。
【0110】
実施例4.20
実施例3.14の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2500 (L/h m2) LHM及び1.2バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、13ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、16.0 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は64%であり、タンパク質抽出収率は62%であり、容量収率は78%であった。得られた濃縮物は、SDW: 22.4 mg/mL; Prot: 8.7 mg/mL; .A.A.: 1.8 mg/mL; 糖: 0.54 mg/mL; DNA: 39.1μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: 32% D-Ala、18% D-Thr、1 mgの活性乾燥重量/mLでのPBMC: IL-6 :22303 pg/mL、IL-10 : 561 pg/ml、TNF-α: 336 pg/mL。mgの活性乾燥重量/mLでのNOx生成: 0.02 mg/mL (C1、0.2 mg/mL (C2)及び2.0 mg/mL (C3): C1: 11.3μM、C2: 15.3μM、C3: 13.5μM。D-アミノ酸パーセンテージ: 32% D-Ala、18% D-Thr、10 % D-Leu、44 % D-Ser、26 % D-Asx、23 % D- Met、17 % D-Phe、15 % D-Glx、14 % D-Tyr、9 % D-Lys。
【0111】
実施例4.21
実施例3.15の溶解物を、MFタンクに移した。TFF設備は、実施例4.1と同様であった。蛇行モードについてのクロスフローは、2500 (L/h m2) LHM及び1.0バールの(トランスメンブレン圧力) TMPに調整した。UFは、13ダイアフィルトレーション容量の後に停止し、最初のサイクルの透過物流量は、15.0 L/h.m2であった。乾燥重量抽出収率は69%であり、タンパク質抽出収率は66%であり、容量収率は77%であった。得られた濃縮物は、SDW: 21.4 mg/mL; Prot: 7.6 mg/mL; .A.A.: 1.6 mg/mL; 糖: 0.5 mg/mL; DNA: 25.9μg/mLを含んだ。D-アミノ酸パーセンテージ: D-アミノ酸パーセンテージ: 12.5% D-Ala、3.4% Val、16.6%、65 % D-Ser、26.1 % D-Asx、18.8 % D- Met、15.6 % D-Glx、9.1 % D-Lys。mgの活性乾燥重量/mLでのNOx生成: 0.02 mg/mL (C1)、0.2 mg/mL (C2)及び2.0 mg/mL (C3): C1: 10.3μM、C2: 15.2μM、C3:12.3μM。
【0112】
液体の形を、実施例4.17に記載されるようにして凍結乾燥した。タンパク質含量(Lowry)は、凍結乾燥物1グラムあたり44 mgタンパク質であった。mgの活性乾燥重量/mLの凍結乾燥物でのNOx生成: 0.01 mg/mL (C1)、0.1 mg/mL (C2)及び1.0 mg/mL (C3): C1: 6.4μM、C2: 12.9μM、C3: 19.4μM。
【0113】
50.4 kgの凍結乾燥物を、64.68 kgのスターチ1500 PT、2.52 kgのステアリン酸マグネシウム及び50.4 kgのマンニトールと混合することにより、カプセル剤を製造した。mgの活性乾燥重量/mLのカプセルでのNOx生成: 0.01 mg/mL (C1)、0.1 mg/mL (C2)及び1.0 mg/mL (C3): C1: 6.8μM、C2: 12.1μM、C3 :19.1μM。
【0114】
実施例5
実施例5A:ヒトPBMCによるIL-6の分泌により測定される細菌溶解物の活性に対する、「出発原料」の量の影響
ヒトPBMC及び細胞培養物の調製
健常提供者からの末梢血(Centre de transfusion、Hopital Universitaire、Geneva)を、遠心分離してバフィーコートを得た。バフィーコートをハンクス液(HBSS、Sigma、Buchs、Switzerland)と混合し、Ficoll Paque Plus (Amersham Pharmacia)上に1.077 g/mLまで重層し、遠心分離した(2800 rpm、20℃、25分)。中間層から採集した細胞を、HBSS中で800 rpmにて15分間、室温にて2回洗浄し、ペレット化した細胞をHBSSに再懸濁した。細胞計数を、ノイバウエルセルを用いて行った。全ての細胞培養を、ペニシリン(100 U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、L-グルタミン(2 mmol/L)及び10%胎児ウシ血清(FCS)を補ったRPMI-1640培地(全てSigmaから得た)で行った。インビトロ刺激のために、細胞を、1×106生細胞/ウェルの濃度で培養した。
【0115】
培養上清中での刺激及びIL-6の測定
末梢血単核細胞(PBMC)を、37℃にて5% CO2雰囲気下で本発明の生成物とインキュベートした。本発明の生成物は、RPMI-1640培養培地中で0.25、0.5、1及び2 mg/mlの「可溶性乾燥重量(SDW)」で試験した。
培養物の上清を24時間後に採集し、IL-6の濃度を、製造者の使用説明に従って、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA) (Human IL-6 ELISA Set、BD OptEIA、San Diego、USA)により測定した。検出限界は、10 pg IL-6/mLであった。活性は、まず、PBMC試験で試験した(「出発原料」の量(溶解物1リットル当たりの乾燥重量のグラム数で表した細菌バイオマスの濃度)を12.5 g/l (図2a)から25 g/l (図2b)に増大させた効果を示す図2a及び2bを参照)。抽出物の活性は、アルカリ溶解を受ける「出発原料」の量に依存した(12.5 g/lに対して25 g/l)。NaOHのパーセンテージ(2容量%)及びアルカリ溶解の時間(72時間)は一定であった。図3a及び3bは、出発物質を25 g/lから100 g/lに増大させた効果を示す。アルカリ溶解の時間は168時間に固定し、NaOHのパーセンテージは1%に固定した。
図2及び3によると、「出発原料」のレベルが高いほど、得られる活性がより高い。
【0116】
実施例5B:ヒトPBMC試験での本発明の生成物の活性に対する溶解期間の影響
「出発原料」は12.5 g/lであり、2% NaOHで、24時間(図4a)又は72時間(図4b)のいずれかの間処理した。これらの図によると、より長い溶解時間は、より低い活性をもたらした。
【0117】
実施例6:マウス酸化窒素試験での本発明の細菌溶解物の活性に対する、NaOHの当初のパーセンテージ(v/v)の影響
6週齢雄性C57/BL6マウス(6週齢雄性、SPFクオリティ、Charles Rivier、FR)を、CO2吸入により屠殺した。股関節部、大腿骨及び後肢からの脛骨を回収した。骨髄を内腔から、骨の末端部分を切断後に骨にダルベッコ改変イーグル培地(DH)を注入することにより抽出した。洗浄後に、20%ウマ血清及び30% L929細胞上清を補ったDH培地中に幹細胞を再懸濁した(40,000細胞/mL)。細胞懸濁物を、8日間、37℃のインキュベーター中で8% CO2及び飽和水分雰囲気下でインキュベートした。マクロファージを、次いで、氷冷PBSを用いてはがし、5%ウシ胎児血清(FCS)、アミノ酸及び抗生物質を補ったDH培地(DHE培地)で洗浄して再懸濁した。細胞密度を、700000細胞/mLに調整した。生成物の水溶液を、マイクロタイタープレート内で直接、DHE培地中で系列希釈を作成した。生成物は、3重に試験し、各マイクロタイタープレートは、培地で構成される陰性対照を含んだ。各ウェル中の最終容量は、100μLであった。100μLの細胞懸濁物を、希釈した生成物に加え、細胞を、22時間、37℃のインキュベーター中で、8% CO2及び飽和水分雰囲気下でインキュベートした。インキュベーション期間の最後に、100μLの上清を別のマイクロタイタープレートに移し、各上清中で生成された亜硝酸塩を、グリエス(Griess)反応を行うことにより決定した。2.5%リン酸水溶液中の100μLのグリエス試薬(5 mg/mLのスルファニルアミド+ 0.5 mg/mLのN-(1-ナフチル)エチレン-ジアミン塩酸塩)を、各ウェルに加えた。マイクロタイタープレートを、分光光度計(SpectraMax Plus、Molecular Devices)で、562 nmにて、690 nmの参照に対して読み取った。亜硝酸塩濃度は、形成された酸化窒素含量に比例した。亜硝酸塩含量を、標準曲線に基づいて決定した。結果を、μM酸化窒素(NO)で、平均値±標準偏差として得て、用量応答曲線としてプロットした。
【0118】
図5に示す試験において、出発原料の量(25g/l)及び溶解時間(168時間)は同様であり、試験した変数は、両方の溶解物を得るために用いたNaOHの濃度(パートAでは1%に対してパートBでは4%)であった。4% NaOH (図5B)を用いた場合は、1% NaOH (図5A) に対してより低い活性が観察され、エンドトキシン様分子のおそらくアルカリ用量に依存する分解が示唆された。
出発原料、NaOHの濃度、及び溶解時間に応じて、NOマクロファージ試験における異なる免疫学的活性が生じ得る。
【0119】
実施例7:リムルス変形細胞分解色素産生(LAL)試験
エンドトキシン様分子の存在を決定するために、LAL試験を、Bio-Whittakerの色素産生性のLALキットを用いて行った。
この試験は、LALに存在する酵素カスケードによるリポ多糖(LPS)又は同等の構造の生成物による活性化に基づく。この酵素活性化は、ペプチドに連結された色原体のプロテアーゼによる分解により示される。酵素反応は、37℃にて行い、経時的な色原体の形成を、405 nmにて測定する。0.2単位のD.O.に到達するために必要な時間を記録し、エンドトキシン活性を、LPS標準(標準曲線)との関係で算出する。
【0120】
本発明の抽出物に対するこのような実施例実験の結果を、以下の表に、EU (エンドトキシン単位)で、大腸菌LPSの標準調製物との関係で表す(1 EUは、0.09 ng LPS等量に相当する)。
【0121】
【表3】

【0122】
実施例8:マウスのLPS非感受性株での尿管大腸菌感染モデルにおける本発明の実施形態の効果
本発明による実施形態を、LPS非感受性マウスでの大腸菌尿管感染モデルにおいて試験した(Hopkinsら、Inheritance of susceptibility to induced Escherichia coli bladder and kidney infections in female C3H/HeJ mice.、J Infect Dis. 2003 Feb 1;187(3):418〜23を参照)。10〜12週齢雌性C3H/HeJマウスの3群(各群8匹のマウス)を、3つの異なる抽出物の1つ(以下を参照)で、10日間経口的に処理した後に、大腸菌に感染させた。C3H/HeJマウスは、toll様受容体遺伝子TLR4に変異を有し、リポ多糖(LPS)のようなTLR4アゴニストに非感受性である。よって、このモデルは、TLR4以外の経路により作用する薬剤の効果を検出するのに適する。
【0123】
マウスは、処置期間の間、18〜26℃の周囲温度及び30〜70%の相対湿度での通常条件下で維持した。光条件は、12:12時間の明暗サイクルに設定した。動物に、Harlan Sprague Dawley (Indianapolis、IN)実験室から提供される標準食餌を供給した。水道水は、本明細書で特に記載しない限りは、自由に摂取させる。
【0124】
試験した3つの抽出物は、以下のとおりである:
a) 18種の大腸菌株の強い溶解により得られた抽出物
b) 18種の大腸菌株の穏やかな溶解により得られた抽出物
c) a)及びb)の混合により得られた抽出物(それぞれ1/4及び3/4)
【0125】
25 mgの細菌抽出物を、それぞれのマウスに1日1回、10日間連続で経口投与した。腎臓の逆流関連接種の可能性を低減し、全ての接種された動物に感染を誘導する最小接種プロトコルに従って、マウスに、リン酸緩衝食塩水(PBS)又は尿路疾患性大腸菌1677株を、膀胱内で接種した。熱性UTIの女性の尿から単離された大腸菌1677株を、これらの実験に用いた。この株は、O6であり、例えば溶血素、エアロバクチン、P線毛及び1型線毛の遺伝子を含有するが、例えば線毛アドヘシンI、細胞傷害性壊死因子1、及びS線毛の遺伝子は含有しない。接種物を調製するために、細菌を、凍結ストックから、トリプトースブロス(Difco Laboratories)中で2継代により成長させ、PBSで洗浄し、2×1010細菌/mLの濃度に再懸濁した。マウスは、1時間水を与えず、接種の直前に、尿を膀胱から除去した。10マイクロリットルの細菌接種物を、イソフルラン麻酔の下で尿道カテーテルにより膀胱に注入し、マウスあたり2×108の大腸菌の用量をもたらした。動物を麻酔から回復させ、水を1時間後に与え出した。
【0126】
マウスを、接種の10日後に屠殺し、膀胱及び腎臓感染の強さを評価した。各動物の膀胱及び両方の腎臓を回収し、秤量し、滅菌PBS中でホモジナイズし、その後、ホモジネートをLevineのエオシン-メチレンブルーアガー(Difco Laboratories)上に系列的に置いた。各プレート上の大腸菌コロニーの数を、37℃の一晩のインキュベーションの後に計数し、各膀胱又は腎臓の対の中の細菌の総数を算出するのに用いた。
フィッシャーの保護(protected)最小有意差検定を用いて、マウスの異なる群(PBS、未処置感染群、及び処置感染群)の間での平均合計コロニー形成単位(CFU)の値の統計的な有意差を決定した。膀胱及び腎臓の感染データを、合計CFU = log10 [(CFU + 100)/mg組織](式中、CFUは組織試料あたりで算出されたコロニー形成単位の合計数である)を用いて変換した。
【0127】
得られた結果を、膀胱及び腎臓についてそれぞれ図6a及び6bに示す。まとめると、試験した3つの細菌溶解物は、>3(膀胱)及び>2(腎臓)の係数で、得られた対数値が減少し、膀胱及び腎臓から培養されたコロニーの数が、それぞれ少なくとも1000及び100の係数で減少したことを示唆する。結果は、C3H/HeJマウスで得られたので、観察された効果は、TLR4非依存性である。
【0128】
実施例9:マウスのLPS感受性株での腹腔内サルモネラ・チフィムリウム感染のマウスモデルにおける本発明の実施形態の効果
実施例8に記載される本発明の3つの抽出物を、通常のLPS感受性を有するC57/blマウスでも試験した。試験した3つの抽出物は、以下のとおりである:
a) 18種の大腸菌株の強い溶解により得られた抽出物
b) 18種の大腸菌株の穏やかな溶解により得られた抽出物
c) a)及びb)の混合により得られた抽出物(それぞれ1/4及び3/4)
【0129】
C57BL/6マウスを、上記の物質で経口処理する前に7日間維持した。実験は、4つの実験群からなった:本発明の化合物で処理される3群と、対照群である。各実験群は20匹のマウスを含んだ。対照群のマウスは、0.5 mlの水を毎日、10日間経口投与する擬似処置を受けた。他の群について、抽出物を、0.5 mlの最終容量中での単回容量を有するように、蒸留水に毎日溶解した。この0.5 mlの容量を、それぞれのマウスに、1日1回、10日間経口的に与えた後に、全てのマウスをサルモネラで攻撃した。10 mgの細菌抽出物を、それぞれの動物に、各投与にて与えた。
攻撃のために、サルモネラ・チフィムリウム415株の懸濁物(I. Mechnokov Institute for Vaccines and Sera、Russian Academy of Medical Sciences)を、各マウスに腹腔内注射した。
【0130】
予備的な用量確認攻撃(示さず)は、マウスあたり102〜105 CFUのサルモネラの範囲であった。104 CFUの用量を、主実験のために選択した。なぜなら、この用量が、未処置動物において約50%の生存をもたらしたからである。攻撃の後に、マウスを、実験動物についての標準的な条件下で維持した。感染後21日間にわたって、観察及び死亡の記録を毎日行った。
化合物の抗感染効力(以下の表を参照)は、各実験群について算出された感染後生存率(SR)、感染後の平均生存期間(ADL)、防御係数(defense factor) (DF)、及び調製物効力指数(preparation efficacy index) (EI)に従って評価した。SRを、感染後21日目での実験群での生存動物のパーセンテージとして得た。ADL、DF及びEIを、以下の式を用いて算出した:
ADL = (X1 + X2 +・・・+ Xn):N
(式中、ADLは、平均生存期間であり、X1〜Xnは、実験マウス#1〜#nについての感染後生存期間であり、Nは、実験群中の動物の総数である)。
DF = CD:ED
(式中、DFは、防御係数であり、CDは、対照群での死亡のパーセントであり、EDは、実験群での死亡のパーセントである)。
EI = [(DF − 1):DF]×100%
(式中、EIは、調製物効力指数であり、DFは、防御係数である)。
【0131】
【表4】

【0132】
【表5】

【0133】
強いアルカリ溶解(強い)、並びに強い溶解及び穏やかな溶解の混合物(混合物)から作製した抽出物(a)及び(c)は、よく耐性があった。穏やかな溶解(穏やか)から作製された抽出物(b)は、他のものよりもより高い毒性を示した。測定は行っていないが、抽出物(b)を用いて処置した群において、マウスの体のサイズの減少、及びマウスの成長の遅延が観察された。実験群(b)又は「穏やか」の20匹のマウスのうち4匹が、処置の間に死亡した。よって、この群の16匹のマウスしか、その後、サルモネラでの攻撃を受けなかった。
【0134】
水で予め処置したマウスの対照群において、観察期間(21日間)の間の生存率は58%であり、ADLは15.3日であった。抽出物(b)は、サルモネラでの感染に対して、全く防御を提供しないようであり、抽出物は、感染動物の死亡を促進した。具体的には、90%のマウスが感染後7日までに死亡し、ADLは3.3日であった。感染後21日までのこの群の生存率は、6%ほどの低さであった(上記の表及び図7を参照)。
これとは対照的に、強い溶解(強い)又は強い溶解と穏やかな溶解の混合物(混合物)から作製された抽出物(a)及び(c)は、サルモネラ・チフィムリウムでの感染に対するマウスの耐性を増加させた。両方の物質は、良好な防御効力を示した。具体的には、抽出物(c) (混合物)での感染後生存率は90%であり、抽出物(a)(強い)を用いると、85%であった(上記の表及び図7を参照)。
【0135】
さらなる例
抽出物の調製の間に、12を超えるpHで1種又は複数種の細菌株が溶解され、核酸を除去するように抽出物が処理され、抽出物が、患者への投与によりプリオン疾患の危険性を有さない1種又は複数種の大腸菌株からの抽出物。
NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089から選択される少なくとも1種の大腸菌株から得られる、前段落の抽出物。
以下の大腸菌株:NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089のそれぞれから得られる、前段落の抽出物。
【0136】
抽出物が、100μg/mL未満の核酸を含む、前3つの段落のいずれかの抽出物。
抽出物が、少なくとも0.3 mg/mLの糖類を含む、前段落のいずれかの抽出物。
少なくとも1種の糖類が、単糖類、二糖類及び多糖類からなる群より選択される、前段落のいずれかの抽出物。
少なくとも1種の多糖類が、分岐多糖類である、前段落の抽出物。
少なくとも1種の糖類が、化学修飾されている、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物が、0.3と4.5 mg/mLの間の糖類を含む、前段落のいずれかの抽出物。
溶解が、pH 12.6〜13.4で行われる、前段落のいずれかの抽出物。
【0137】
抽出物が、15〜80 g/Lのバイオマスを用いる30〜120時間の溶解により得られる、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物が、粒子状及び/又は不溶性の成分を除去するように処理される、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物が、1.5と2.5 mg/mLの間の遊離アミノ酸を含む、前段落のいずれかの抽出物。
それぞれの細菌株が、プリオン疾患の危険性がない培地中で培養される、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物が導かれる各細菌株が、植物性又は合成の培地で培養される、前段落のいずれかの抽出物。
アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、アラニン、アルギニン、チロシン、メチオニン、フェニルアラニン及びリジンから選択される少なくとも1つのアミノ酸が、少なくとも10%ラセミ化されている、前段落のいずれかの抽出物。
【0138】
抽出物中の遊離アミノ酸が、1%と80%の間のD-アミノ酸を含む、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物中の遊離アミノ酸が、10%と45%の間のD-アミノ酸を含む、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物中の遊離アミノ酸が、25%と35%の間のD-アミノ酸を含む、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物が、D-アスパラギン酸及びD-アスパラギン、D-グルタミン酸及びD-グルタミン、D-セリン、D-メチオニン、D-ヒスチジン、D-アラニン、D-アルギニン、D-フェニルアラニン、D-チロシン、D-ロイシン、D-リジン、D-バリン並びにD-スレオニンから選択される少なくとも1つのD-アミノ酸を含む、前段落のいずれかの抽出物。
いずれの1つのD-アミノ酸の濃度が、遊離アミノ酸の濃度の1%と50%の間である、前段落のいずれかの抽出物。
いずれの1つのD-アミノ酸の濃度が、遊離アミノ酸の濃度の10%と40%の間である、前段落のいずれかの抽出物。
いずれの1つのD-アミノ酸の濃度が、遊離アミノ酸の濃度の15%と35%の間である、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物が、リムルス変形細胞分解産物(LAL)色素産生試験により5000 ng未満のLPS等量を含む、前段落のいずれかの抽出物。
抽出物が、8 mg/mLと75 mg/mLの間の1種又は複数種のタンパク質を含む、前段落のいずれかの抽出物。
1種又は複数種のタンパク質が、30 kDa未満の分子量を有する、前段落のいずれかの抽出物。
1種又は複数種のタンパク質が、10 kDa未満の分子量を有する、前段落のいずれかの抽出物。
尿路疾患性大腸菌1677株での攻撃の13日後の少なくとも8匹のLPS非感受性マウスの生存率が、少なくとも70%であり、尿路疾患性大腸菌1677株の用量が、少なくとも8匹の対照マウスの生存率が60%以下となるように選択される、前段落のいずれかの抽出物。
【0139】
生存率が、少なくとも80%である、前段落の抽出物。
生存率が、少なくとも90%である、前段落の抽出物。
サルモネラ・チフィムリウムでの攻撃の13日後の少なくとも8匹の野生型LPS感受性マウスの生存率が、少なくとも70%であり、サルモネラ・チフィムリウムの用量が、少なくとも8匹の対照マウスの生存率が60%以下となるように選択される、前段落のいずれかの抽出物。
生存率が、少なくとも80%である、前段落の抽出物。
生存率が、少なくとも90%である、前段落の抽出物。
前段落のいずれかの抽出物を含む医薬組成物。
前段落のいずれの抽出物の有効量を、消化管又は尿管の障害に罹患しているか又は該障害を生じる危険性がある対象に投与することを含む、前記対象を治療する方法。
対象がヒトである、前段落のいずれかに記載の方法。
消化管又は尿管の障害が、尿道炎、尿細管間質性腎炎、閉塞性腎盂腎炎、閉塞性及び逆流性尿路疾患による尿管感染、慢性膀胱炎を含む膀胱炎、慢性前立腺炎を含む前立腺炎、前立腺膀胱炎、女性骨盤内炎症性疾患、クローン病及び過敏性腸症候群から選択される、前段落のいずれかに記載の方法。
(a) 1種又は複数種の大腸菌の各株を、プリオン疾患の危険性がない培地で培養し;
(b) 各株を、12を超えるpHで溶解し、
(c) (b)の生成物を、少なくとも1回マイクロフィルタ及び少なくとも1回限外ろ過フィルタを通す
ことを含む、1種又は複数種の大腸菌株から得られる抽出物の製造方法。
抽出物が、NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089から選択される少なくとも1種の大腸菌株から得られる、前段落の方法。
抽出物が、以下の大腸菌株:NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089のそれぞれから得られる、前段落の方法。
溶解が、12.5を超える当初のpHで行われる、前段落のいずれかの方法。
溶解が、12.6〜13.4の当初のpHで行われる、前段落のいずれかの方法。
溶解が、0.1N〜1.1Nの当初の水酸化物イオン濃度で行われる、前段落のいずれかの方法。
溶解が、0.2N〜1Nの当初の水酸化物イオン濃度で行われる、前段落のいずれかの方法。
溶解が、20時間〜10日間、30〜60℃にて行われる、前段落のいずれかの方法。
溶解が、40時間〜72時間、35℃〜40℃にて行われる、前段落のいずれかの方法。
マイクロフィルタが0.45ミクロンであり、限外ろ過フィルタが30 KDaである、前段落のいずれかの方法。
(c)の生成物を、0.2ミクロンの第2のマイクロフィルタを通過させることをさらに含む、前段落のいずれかの方法。
工程(c)が、タンジェンシャルフローろ過により行われる、前段落のいずれかの方法。
タンジェンシャルフローろ過が、5〜15サイクル行われる、前段落の方法。
【0140】
タンジェンシャルフローろ過が、図1に示すようにして行われる、前段落のいずれかの方法。
タンジェンシャルフローろ過が、蛇行モードで、図1に示すようにして行われる、前段落のいずれかの方法。
工程(b)が、10〜120 g/lの原料の細菌乾燥重量で行われる、前段落のいずれかの方法。
工程(b)が、15〜80 g/lの原料の細菌乾燥重量で行われる、前段落のいずれかの方法。
前の段落のいずれかの方法により得られる生成物。
前段落のいずれかの方法のいずれかの生成物の有効量を、消化管又は尿管の障害に罹患しているか又は該障害を生じる危険性がある対象に投与することを含む、前記対象を治療する方法。
対象がヒトである、前段落の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出物の調製の間に、1種又は複数種の細菌株が12を超えるpHで溶解され、抽出物が核酸を除去するように処理され、かつ抽出物が、患者への投与でプリオン疾患の危険性を有さない、1種又は複数種の大腸菌株からの抽出物。
【請求項2】
NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089から選択される少なくとも1種の大腸菌株から得られる請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
以下の大腸菌株:NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089のそれぞれから得られる請求項1に記載の抽出物。
【請求項4】
100μg/mL未満の核酸を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項5】
少なくとも0.3 mg/mLの糖類を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項6】
0.3 mg/mLと4.5 mg/mLの間の糖類を含む請求項5に記載の抽出物。
【請求項7】
少なくとも1種の糖類が、単糖類、二糖類及び多糖類からなる群より選択される請求項5に記載の抽出物。
【請求項8】
少なくとも1種の多糖類が、分岐多糖類である請求項7に記載の抽出物。
【請求項9】
少なくとも1種の糖類が、化学修飾されている請求項5に記載の抽出物。
【請求項10】
溶解が、pH 12.6〜13.4で行われる請求項1〜9のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項11】
粒子状及び/又は不溶性の成分を除去するように処理される請求項1〜10のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項12】
それぞれの細菌株が、プリオン疾患の危険性がない培地中で培養される請求項1〜11のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項13】
抽出物が導かれる各細菌株が、植物性又は合成の培地で培養される請求項12に記載の抽出物。
【請求項14】
1.5 mg/mLと2.5 mg/mLの間の遊離アミノ酸を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項15】
少なくとも10%がラセミ化されている、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、アラニン、アルギニン、チロシン、メチオニン、フェニルアラニン及びリジンから選択される少なくとも1種のアミノ酸を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項16】
抽出物中の遊離アミノ酸が、1%と80%の間のD-アミノ酸を含む請求項14又は15に記載の抽出物。
【請求項17】
抽出物中の遊離アミノ酸が、10%と45%の間のD-アミノ酸を含む請求項16に記載の抽出物。
【請求項18】
抽出物中の遊離アミノ酸が、25%と35%の間のD-アミノ酸を含む請求項17に記載の抽出物。
【請求項19】
D-アスパラギン酸及びD-アスパラギン、D-グルタミン酸及びD-グルタミン、D-セリン、D-メチオニン、D-ヒスチジン、D-アラニン、D-アルギニン、D-フェニルアラニン、D-チロシン、D-ロイシン、D-リジン、D-バリン並びにD-スレオニンから選択される少なくとも1つのD-アミノ酸を含む請求項1〜18のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項20】
いずれの1つのD-アミノ酸の濃度が、遊離アミノ酸の濃度の1%と50%の間である請求項19に記載の抽出物。
【請求項21】
いずれの1つのD-アミノ酸の濃度が、遊離アミノ酸の濃度の10%と40%の間である請求項20に記載の抽出物。
【請求項22】
いずれの1つのD-アミノ酸の濃度が、遊離アミノ酸の濃度の15%と35%の間である請求項21に記載の抽出物。
【請求項23】
リムルス変形細胞分解産物(LAL)色素産生試験により5000 ng未満のLPS等量を含む請求項1〜22のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項24】
8 mg/mLと75 mg/mLの間の1種又は複数種のタンパク質を含む請求項1〜23のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項25】
1種又は複数種のタンパク質が、30 kDa未満の分子量を有する請求項24に記載の抽出物。
【請求項26】
1種又は複数種のタンパク質が、10 kDa未満の分子量を有する請求項24に記載の抽出物。
【請求項27】
尿路疾患性大腸菌1677株での攻撃の13日後の少なくとも8匹のLPS非感受性マウスの生存率が、少なくとも70%であり、尿路疾患性大腸菌1677株の用量が、少なくとも8匹の水で処理される対照マウスの生存率が60%以下となるように選択され、実験及び対照のマウスが、攻撃の前10日間にわたって抽出物又は水で処理される請求項1〜24のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項28】
生存率が、少なくとも80%である請求項27に記載の抽出物。
【請求項29】
生存率が、少なくとも90%である請求項27に記載の抽出物。
【請求項30】
サルモネラ・チフィムリウムでの攻撃の13日後の少なくとも8匹の野生型LPS感受性マウスの生存率が、少なくとも70%であり、サルモネラ・チフィムリウムの用量が、少なくとも8匹の水で処理される対照マウスの生存率が60%以下となるように選択され、実験及び対照のマウスが攻撃の前10日間にわたって抽出物又は水で処理される請求項1〜29のいずれか1項に記載の抽出物。
【請求項31】
生存率が、少なくとも80%である請求項30に記載の抽出物。
【請求項32】
生存率が、少なくとも90%である請求項30に記載の抽出物。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか1項に記載の抽出物を含む、ヒト対象に投与するのに適する医薬組成物。
【請求項34】
請求項1〜32のいずれか1項に記載の抽出物又は請求項33に記載の医薬組成物の有効量を、消化管又は尿管の障害に罹患しているか又は該障害を生じる危険性がある対象に投与することを含む、前記対象を治療する方法。
【請求項35】
対象がヒト又は家畜哺乳動物である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
消化管又は尿管の障害が、尿道炎、尿細管間質性腎炎、閉塞性腎盂腎炎、閉塞性及び逆流性尿路疾患による尿管感染、慢性膀胱炎を含む膀胱炎、慢性前立腺炎を含む前立腺炎、前立腺膀胱炎、女性骨盤内炎症性疾患、クローン病及び過敏性腸症候群から選択される、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
(a) 1種又は複数種の大腸菌の各株を、プリオン疾患の危険性がない培地で培養し;
(b) 各株を、12を超えるpHで溶解し、
(c) (b)の生成物を、少なくとも1回マイクロフィルタ及び少なくとも1回限外ろ過フィルタを通す
ことを含む、1種又は複数種の大腸菌株から得られる抽出物の製造方法。
【請求項38】
抽出物が、NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089から選択される少なくとも1種の大腸菌株から得られる請求項37に記載の方法。
【請求項39】
抽出物が、以下の大腸菌株:NCTC:8603、8621、8622、8623、9026、9111、9119、9707及び9708、並びにI: 081、082、083、084、085、086、087、088及び089のそれぞれから得られる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
溶解が、12.5を超える当初のpHで行われる請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
溶解が、12.6〜13.4の当初のpHで行われる請求項34に記載の方法。
【請求項42】
溶解の少なくとも一部分が、0.1N〜1.1Nの当初の水酸化物イオン濃度で行われる請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
溶解の少なくとも一部分が、0.2N〜1Nの当初の水酸化物イオン濃度で行われる請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
溶解の少なくとも一部分が、30〜50時間、30〜40℃にて行われる請求項37〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
溶解の少なくとも一部分が、60〜120時間、30〜40℃にて行われる請求項37〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
マイクロフィルタが0.45ミクロンであり、限外ろ過フィルタが30 KDaである請求項37〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
(c)の生成物を、0.2ミクロンの第2のマイクロフィルタに通過させることをさらに含む請求項37〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
工程(c)が、タンジェンシャルフローろ過により行われる請求項37〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
タンジェンシャルフローろ過が、5〜15サイクル行われる請求項48に記載の方法。
【請求項50】
工程(b)が、10〜120 g/lの細菌乾燥重量の原料を用いて行われる請求項37〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1種の株を強い溶解条件下で溶解し、少なくとも1種の株を穏やかな溶解条件下で溶解することを含み、強い溶解及び穏やかな溶解の生成物を一緒に混合することをさらに含む請求項37〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
それぞれの株を強い溶解条件及び穏やかな溶解条件の両方の下で溶解することを含み、強い溶解及び穏やかな溶解の生成物を一緒に混合することをさらに含む請求項37〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
請求項37〜53のいずれか1項に記載の方法により得られる生成物。
【請求項54】
請求項53に記載の生成物の有効量を、消化管又は尿管の障害に罹患しているか又は該障害を生じる危険性がある対象に投与することを含む、前記対象を治療する方法。
【請求項55】
対象がヒト又は家畜哺乳動物である請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−520301(P2010−520301A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552857(P2009−552857)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/055902
【国際公開番号】WO2008/109667
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508265549)オーエム ファーマ (3)
【氏名又は名称原語表記】OM PHARMA
【住所又は居所原語表記】22, rue du Bois−du−Lan, P.O. Box 84, CH−1217 Meyrin 2, SWITZERLAND
【Fターム(参考)】