説明

消泡剤

【課題】従来の疎水性シリカ及びポリエーテルを含有する消泡剤の、特に硬水を媒体とする活性剤の発泡に対して消泡性が劣るという問題を解決する、すなわち、硬水及び軟水を媒体とする活性剤の発泡に対して著しく消泡性(破泡、抑泡効果)に優れる消泡剤を提供する。
【解決手段】疎水性シリカ(A1)と−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)とを含んでなる疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)を含有することを特徴とする消泡剤を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消泡剤に関する。さらに詳しくは、化学工業、食品工業、石油工業、織物工業、紙パルプ工業、土木・建築工業又は医薬品工業等の分野において、加工工程用及び排水処理工程用として好適な消泡剤に関する。
【背景技術】
【0002】
疎水性シリカ及びポリエーテルを含有する消泡剤が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−147858号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の疎水性シリカ及びポリエーテルを含有する消泡剤は、十分な消泡性(破泡、抑泡効果)が得られないという問題、特に硬水を媒体とする活性剤の発泡に対して消泡性が劣るという問題がある。すなわち発明の目的は、硬水及び軟水を媒体とする活性剤の発泡に対して著しく消泡性(破泡、抑泡効果)に優れる消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に達した。すなわち本発明の消泡剤の特徴は、疎水性シリカ(A1)と−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)とを含んでなる疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)を含有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の消泡剤は、従来の消泡剤に比べて、硬水及び軟水を媒体とする活性剤の発泡に対して優れた消泡性能を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
疎水性シリカとは、親水性シリカを疎水化処理した酸化ケイ素微粒子を意味する。
一方、親水性シリカとは、疎水化処理していない酸化ケイ素微粒子を意味する。
疎水化処理は、親水性シリカを疎水化剤で処理する公知の方法(たとえば、特公昭42−26179号公報)により達成できる。
【0008】
親水性シリカとしては、湿式法シリカ{シリカヒドロゲル中の水分を、70℃以下の沸点を持ち、かつ水との混和性を有する溶媒(メタノール、アセトン、ギ酸メチル、酢酸メチル等)にて置換した後、加熱して該溶媒を除去することにより得られるコロイドシリカ}、熱分解法シリカ(四塩化ケイ素を焼いて生じたシリカ煤からなるコロイドシリカ)及び溶融固体法シリカ(ケイ酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウムイオンを滴下することにより凝集して得られるシリカ粒子)等が含まれる。
これらのうち、消泡性の観点等から、熱分解法シリカ及び溶融固体法シリカが好ましく、さらに好ましくは溶融固体法シリカである。
【0009】
疎水化剤としては、シリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が含まれる。
シリコーンオイルとしては、動粘度10〜3000(mm/s、25℃)のジメチルシロキサン等が挙げられ、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン等も含まれる。
変性シリコーンとしては、上記のジメチルシロキサンのメチル基の一部を炭素数2〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルコキシル基、フェニル基、水素原子、ハロゲン(塩素及び臭素等)原子、及び/又は炭素数2〜6のアミノアルキル基等に置き換えたもの等が含まれる。
【0010】
疎水化剤の使用量(重量%)としては、親水性シリカの重量に基づいて、5〜70が好ましく、さらに好ましくは7〜50、特に好ましくは10〜30である。この範囲であると消泡性がさらに優れる。
疎水化処理の温度(℃)としては、100〜400が好ましく、さらに好ましくは150〜350、特に好ましくは200〜300である。
【0011】
疎水化処理には、溶媒{炭化水素油、動粘度(mm/s、40℃)5〜30のパラフィンオイル及びプロセスオイル等}及び反応触媒(硫酸、硝酸、塩酸、ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)等が使用できる。
【0012】
疎水性シリカ(A1)は市場から容易に入手でき、商品名として、Nipsilシリーズ(SS−10、SS−40、SS−50及びSS−115等、日本シリカ株式会社);AEROSILシリーズ(R972、RX200、RY200、R202、R805及びR812等、日本アエロジル株式会社);TS−530、TS−610、TS−720等(キャボットカーボン社);Sipernatシリーズ(D10、D17、C600及びC630等、デグサジャパン株式会社);REOLOSILシリーズ(MT−10、DM−10及びDM−20S等、株式会社トクヤマ);並びにSYLOPHOBICシリーズ(100、702、505及び603等、富士シリシア化学株式会社)等が挙げられる。
【0013】
−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)としては、鉱物油、動植物油及び合成潤滑油等が挙げられる。この流動点(℃)は、−50〜0が好ましく、さらに好ましくは−40〜−5、特に好ましくは−30〜−10である。この範囲であると消泡性はさらに向上する。なお、流動点は、JIS K 2269−1987(3.流動点試験法)に準拠して測定される。
鉱物油としては、スピンドル油、マシン油及び冷凍機油等が挙げられる。
動植物油としては、魚油、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油及びパーム核油等が挙げられる。
合成潤滑油としては、ポリオレフィン油(α―オレフィン油)、ポリグリコール油、ポリブテン油、アルキルベンゼン油(アルキレート油)及びイソパラフィン油等が挙げられる。
【0014】
炭化水素油(A2)は市場から容易に入手でき、例えば、表1の商品等が挙げられる。
【表1】

【0015】
疎水性シリカ(A1)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)[疎水性シリカ(A1)及び炭化水素油(A2)の合計]の重量に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.3〜15、特に好ましくは0.5〜10である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0016】
炭化水素油(A2)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)[疎水性シリカ(A1)及び炭化水素油(A2)の合計]の重量に基づいて、80〜99.9が好ましく、さらに好ましくは85〜99.7、特に好ましくは90〜99.5である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0017】
疎水性シリカ分散液(A)には、疎水性シリカ(A1)及び炭化水素油(A2)以外に、他の構成成分(シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン化合物、水溶性高分子、天然ワックス、合成ワックス、炭素数12〜30のアルコール、炭素数12〜30のカルボン酸エステル及び炭素数8〜30の脂肪酸アミド等)を含んでもよい。さらに、添加剤(公知の界面活性剤、増粘剤、防腐剤及び溶剤等)を含んでもよい。他の構成成分及び添加剤は、それぞれ2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の構成成分のうち、シリコーンオイルとしては、公知のシリコーンオイル等が含まれ、疎水化剤として用いられるシリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が使用できる。
他の構成成分のうち、ポリオキシアルキレン化合物、水溶性高分子、天然ワックス、合成ワックス、炭素数12〜30のアルコール、炭素数12〜30のカルボン酸エステル及び炭素数8〜30の脂肪酸アミドとしては、公知のもの(たとえば、特開2005−313039号公報)等が使用できる。
添加剤としては、公知のもの(たとえば、特開2005−313039号公報)等が使用できる。
他の構成成分及び/又は添加剤を含有する場合、これらの合計含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A1)の重量に基づいて、1〜7000が好ましく、さらに好ましくは100〜6000、特に好ましくは200〜5000である。
【0018】
疎水性シリカ分散液(A)は、疎水性シリカ(A1)、炭化水素油(A2)、並びに必要により他の構成成分及び/又は添加剤を均一に混合することにより得られる。
均一に混合する装置としては、均一混合できる装置であれば制限なく、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダー及びラインミキサー等が使用できる。なお、これらの装置は任意に組み合わせて使用できる。
【0019】
疎水性シリカ分散液(A)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)の合計重量に基づいて、50〜90が好ましく、さらに好ましくは55〜85、特に好ましくは60〜80である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0020】
ポリオキシアルキレン化合物(B)としては、ポリオキシアルキレン鎖を含む化合物であれば制限なく使用できる。
ポリオキシアルキレン鎖を構成するオキシアルキレンとしては、炭素数2〜4のオキシアルキレン基(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン)等が含まれる。
ポリオキシアルキレン鎖には、1種類のオキシアルキレン基から構成されていてもよく、2種以上のオキシアルキレン基から構成されていてもよい。2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、結合様式はブロック、ランダム及びこれの混合のいずれでもよい。
ポリオキシアルキレン化合物(B)としては、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる化合物が好ましい。
【0021】
R(OA)t−OH (1)

CH(OA)t−OH

CH(OA)t−OH (2)

CH(OA)t−OH

なお、Rはアルキル基、アルケニル基又は水素原子、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、t及び(t+t+t)は1〜100の整数を表す。
【0022】
Rのうち、アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基等が含まれ、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基等が使用できる。
また、アルケニル基としては、炭素数2〜30のアルケニル基等が含まれ、直鎖アルケニル基及び分岐鎖アルケニル基等が使用できる。
これらのうち、消泡性の観点等から、アルキル基及び水素原子が好ましく、さらに好ましくは直鎖状アルキル基、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル、最も好ましくはプロピル及びブチルである。
【0023】
OAは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが含まれる。これらのうち、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましい。
OAには2種以上のオキシアルキレン基が含まれてもよい。2種以上のオキシアルキレン基が含まれる場合、ブロック状、ランダム状及びこれらの混合のいずれでもよいが、オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック状が好ましい。
【0024】
t及び(t+t+t)としては、1〜100の整数を表し、好ましくは3〜99の整数、さらに好ましくは30〜80の整数、特に好ましくは40〜70である。この範囲であると、消泡性がさらに向上される。
【0025】
ポリオキシアルキレン化合物(B)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)の合計重量に基づいて、10〜49が好ましく、さらに好ましくは13〜40、特に好ましくは15〜35である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0026】
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)としては、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物にアルキレンオキシドを付加した化合物が含まれる。
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)のHLBとしては、消泡性の観点から、10.0〜17.0が好ましく、さらに好ましくは13.0〜16.9、特に好ましくは15.0〜16.8である。
【0027】
HLBはグリフィンの式から計算される(例えば、藤本武彦著「界面活性剤入門」、141〜145頁(2007年)に記載)。なお、グリフィンの式は、ポリオキシエチレン鎖以外のポリオキシアルキレン鎖を持つ非イオン界面活性剤への適用はできないと通常されているが、本発明においては、ポリオキシエチレン鎖部分のみを親水基とし、これ以外のポリオキシプロピレン鎖などのポリオキシアルキレン鎖は疎水基として計算するものとする。
【0028】
オキシアルキレンとしては、炭素数2〜4のオキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン)が含まれる。
ポリオキシアルキレンは、1種のオキシアルキレンから構成されてもよく、又は2種以上のオキシアルキレンから構成されてもよい。2種以上のオキシアルキレンから構成される場合、結合様式はブロック、ランダム及びこれの混合のいずれでもよい。
【0029】
多価アルコールとしては、2〜8価アルコールが含まれる。
2〜8価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ペンタエリストール、ソルビトール、ソルビタン及びショ糖等が挙げられる。
これらのうち、消泡性の観点から、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ペンタエリストール、ソルビトール及びソルビタンが好ましく、さらに好ましくはグルコース、ペンタエリストール、ソルビトール及びソルビタン特に好ましくはペンタエリストール、ソルビトール及びソルビタンである。
【0030】
脂肪酸としては、アルキル脂肪酸及びアルケニル脂肪酸が含まれる。
アルキル脂肪酸としては、炭素数1〜30の脂肪酸が含まれ、直鎖アルキル脂肪酸及び分岐アルキル脂肪酸が使用できる。
直鎖アルキル脂肪酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸及びメリシン酸等が挙げられる。
分岐アルキル脂肪酸としては、イソ酪酸、イソ吉草酸、ピバル酸及びイソステアリン酸等が挙げられる。
これらのうち、消泡性の観点から、直鎖アルキル脂肪酸が好ましく、さらに好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸、特に好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸、最も好ましくはパルミチン酸及びステアリン酸である。
【0031】
アルケニル脂肪酸としては、炭素数3〜30の直鎖アルケニル脂肪酸が含まれ、直鎖アルケニル脂肪酸及び分岐アルケニル脂肪酸が使用できる。
直鎖アルケニル脂肪酸としては、アクリル酸、クロトン酸、ヘプテン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸及びトリアコンテン酸等が挙げられる。
分岐アルケニル脂肪酸としては、メタクリル酸、イソミリストレイン酸及びイソオレイン酸等が挙げられる。
これらのうち、消泡性の観点から、直鎖アルケニル脂肪酸が好ましく、さらに好ましくはクロトン酸、ヘプテン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸及びオレイン酸、特に好ましくはミリストレイン酸、パルミトレイン酸及びオレイン酸、最も好ましくはパルミトレイン酸及びオレイン酸である。
【0032】
ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)は、公知のアルキレンオキシド付加反応及びエステル化反応等により得られる(特開2005−054128公報、特開昭52−97385公報、特公昭58−58126号公報等)。
【0033】
ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)は市場からも容易に入手でき、たとえば以下の商品等が挙げられる。
【0034】
<一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物>
ニューポール(登録商標)シリーズ(LB−65、LB−385,LB−625,LB−1145,LB−1715、LB−1800X、PP−200、PP−950、PP−1000、PP−2000、PP−3000、PP−4000、PP−5000等){三洋化成工業(株)品}
<一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物>
サンニックス(登録商標)トリオールシリーズ(GP−3000、GP−4000、GP−5000、GL−3000及びGL−5000等){三洋化成工業(株)品}
ユニルーブ(登録商標)シリーズ(MB−19,MB−38及びMB−370等){日本油脂(株)品}
【0035】
<ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル>
イオネット(商標登録)シリーズ(MS−400[HLB:11.9]、MS−1000[HLB:15.7]、DO−600[HLB:10.4]及びDO−1000[HLB:12.9]等){三洋化成工業(株)品}
イオネット(登録商標)シリーズ(T−20C[HLB:16.7]、T−60C[HLB:14.9]及びT−80C[HLB:15.0]等){三洋化成工業(株)品}
【0036】
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)の合計重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは2〜20、特に好ましくは5〜10である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0037】
本発明の消泡剤には、必要によりさらに、特開2004−305882公報等に記載された他の成分{脂肪酸、アミド、動植物油、炭化水素油、シリコーン、疎水性シリカ、並びに親水性シリカ等)を含有することができる。
【0038】
他の成分を含有する場合、この合計含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)の重量に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜25、特に好ましくは0.1〜20である。この範囲であると消泡性がさらに良好となる。
【0039】
本発明の消泡剤は、一括添加法、連続添加方法、断続添加方法又は泡測定器と消泡剤添加装置とを連動させた方法等により、被添加液体に添加することができる。また、1カ所添加及び多点添加のいずれでもよい。また、添加に際しては適当な希釈溶媒又は水などで希釈してもよい。
【0040】
本発明の消泡剤の添加量(重量%)は、被添加液体の発泡状態、温度、粘度などに応じて適宜設定すればよいが、被添加液体の重量に基づいて、0.0001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜8、特に好ましくは0.001〜5、最も好ましくは0.005〜3である。
【実施例】
【0041】
次に、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
<製造例1(疎水性分散液(A)の調整)>
ステンレスビーカーに炭化水素油(a21)[ピュアスピンE、流動点0℃、コスモ石油ルブリカンツ(株)製]99.9部と疎水性シリカ(a11)[Nipsil SS−10、体積平均粒子径3μm、東ソー・シリカ(株)製]0.1部を投入した後、ホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G、タイテック(株)製)にて4000rpmで攪拌しつつ、180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌をして疎水性シリカ分散液(a1)を得た。なお、分散度試験[JIS K5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応)]にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
【0042】
<製造例2(疎水性分散液(A)の調整)>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a22)[ピュアスピンG、流動点−10℃、コスモ石油ルブリカンツ(株)製]95部及び疎水性シリカ(a12)[Nipsil SS−50、体積平均粒子径1μm、東ソー・シリカ(株)製]5部に変更した以外製造例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a2)を得た。
【0043】
<製造例3(疎水性分散液(A)の調整)>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a23)[スタノールLP−35、流動点−50℃、エッソ石油(株)製]90部及び疎水性シリカ(a13)[Sipernat D10、体積平均粒子径5μm、デグサジャパン(株)製]10部に変更した以外製造例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a3)を得た。
【0044】
以下の市販品及び製造品をポリオキシアルキレン化合物(B)として使用した。
ポリオキシプロピレン(重合度:3)グリコール(b1)[ニューポールPP−200、三洋化成工業(株)製]
ブタノールのプロピレンオキシド(40モル)付加体(b2)[ニューポールLB−1715、三洋化成工業(株)製]
【0045】
<製造例4(ポリオキシアルキレン化合物(B)の調整)>
オレイルアルコール[試薬特級、和光純薬(株)製]268部(1モル部)、水酸化カリウム[試薬特級、和光純薬(株)製]29部を攪拌式オートクレーブに仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温後、減圧下(0.013MPa以下)で1時間脱水した。次いで、150℃に昇温し、この温度でプロピレンオキシド5220部(90モル部)を連続滴下し(0.1〜1MPa)、同温度にさらに2時間保った。その後、130℃に調製し、この温度でエチレンオキシド396部(9モル部)を連続滴下し(0.1〜1MPa)、同温度でさらに3時間保った。そして、この反応生成物にマグネシウムシリケート(キョウワード600、協和化学株式会社)588部を添加して、100℃で1時間撹拌処理し、その後、減圧濾過により、このマグネシウムシリケートを除去して、ポリオキシアルキレン化合物(b3)[オレイルアルコールのプロピレンオキシド(90モル)エチレンオキシド(9モル)のブロック付加体]を得た。
【0046】
<製造例5(ポリオキシアルキレン化合物(B)の調整)>
グリセリン[試薬特級、和光純薬(株)製]92部(1モル部)、水酸化カリウム[試薬特級、和光純薬(株)製]1部を攪拌式オートクレーブに仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温後、減圧下(0.013MPa以下)で1時間脱水した。次いで、150℃に昇温し、この温度でプロピレンオキシド174部(3モル部)を連続滴下し(0.1〜1MPa)、同温度にさらに2時間保った。そして、この反応生成物にマグネシウムシリケート(キョウワード600、協和化学株式会社)27部を添加して、100℃で1時間撹拌処理し、その後、減圧濾過により、このマグネシウムシリケートを除去して、ポリオキシアルキレン化合物(b4)[グリセリンのプロピレンオキシド(3モル)付加体]を得た。
【0047】
<製造例6(ポリオキシアルキレン化合物(B)の調整)>
グリセリン[試薬特級、和光純薬(株)製]92部(1モル部)、水酸化カリウム[試薬特級、和光純薬(株)製]21部を攪拌式オートクレーブに仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温後、減圧下(0.013MPa以下)で1時間脱水した。次いで、150℃に昇温し、この温度でプロピレンオキシド3886部(67モル部)とエチレンオキシド132部(3モル部)を同時に連続滴下し(0.1〜1MPa)、同温度にさらに2時間保った。そして、この反応生成物にマグネシウムシリケート(キョウワード600、協和化学株式会社)588部を添加して、100℃で1時間撹拌処理し、その後、減圧濾過により、このマグネシウムシリケートを除去して、ポリオキシアルキレン化合物(b5)[オレイルアルコールのプロピレンオキシド(67モル)エチレンオキシド(3モル)のランダム付加体]を得た。
【0048】
以下の市販品をポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)として使用した。
ポリオキシエチレン(重合度:40)ソルビトールテトラオレイン酸エステル(c1)[レオドール430V、HLB=10.5、花王(株)製]
ポリオキシエチレン(重合度:60)ソルビトールテトラオレイン酸エステル(c2)[レオドール460V、HLB=13、8、花王(株)製]
ポリオキシエチレン(重合度:20)ソルビタンモノステアリン酸エステル(c3)[イオネットT−60C、HLB=14.9、三洋化成工業(株)製]
ポリオキシエチレン(重合度:20)ソルビタンモノオレイン酸エステル(c4)[イオネットT−80C、HLB=15.0、三洋化成工業(株)製]
ポリオキシエチレン(重合度:20)ソルビタンモノヤシ油脂肪酸エステル(c5)[イオネットT−20C、HLB=16.7、三洋化成工業(株)製]
【0049】
<消泡剤の調整>
ステンレスビーカーに表2及び表3に示した配合成分を投入した後、攪拌しつつ40℃まで昇温し、この温度にて1時間均一攪拌混合して、本発明及び比較例の消泡剤を得た。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
<硬水溶液の調整>
ステンレスビーカーに塩化カルシウム二水和物[試薬特級、関東化学(株)製]1.44部と塩化マグネシウム六水和物[試薬特級、関東化学(株)製]1.64部及びイオン交換水1000部を投入後、完全に溶解させるまで撹拌を行い、硬水溶液を得た。
【0053】
<発泡性試験液1の調整>
ステンレスビーカーにポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩[キャリボンEN−200、三洋化成工業(株)製]5部及びイオン交換水95部を投入後、10分間均一撹拌混合を行い、発泡試験液1を得た。
【0054】
<発泡性試験液2の調整>
ステンレスビーカーにポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩[キャリボンEN−200、三洋化成工業(株)製]5部及び硬水95部を投入後、10分間均一撹拌混合を行い、発泡試験液2を得た。
【0055】
<消泡性試験方法>
ガラス製シリンダー(以下、発泡管と称す)に発泡性試験水1或いは2を750ml入れ、40℃に温調する。このときの液面を基準として泡高さを測定する。次いでポンプを用いて発泡管の底部から発泡水溶液を3,000ml/分で循環しながら、発泡管上部より150mm下の試験液水面に落下させる。泡高さが100mmに達した時点でマイクロピペットにて消泡剤500ppm(対発泡水溶液)を添加する。発泡水溶液の循環を持続し、変化する泡高さを試験開始15秒後、1分後及び5分後に測定を行う。試験結果は表4に記載した。数値の小さい方が消泡性が高いことを意味し好ましい。
【0056】
【表4】

【0057】
本発明の消泡剤は、比較用の消泡剤に比べ、軟水を媒体とする活剤の発泡に対して高い消泡性を発揮できる上に、さらに硬水を媒体とする活性剤の発泡に対しても消泡性を著しく高めた。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の消泡剤は、化学工業、食品工業、石油工業、織物工業、紙パルプ工業、土木・建築工業又は医薬品工業等の分野において、加工工程用及び排水処理工程用として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性シリカ(A1)と−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)とを含んでなる疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)を含有することを特徴とする消泡剤。
【請求項2】
ポリオキシアルキレン化合物(B)が一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる化合物である請求項1に記載の消泡剤。
R(OA)t−OH (1)

CH(OA)t−OH

CH(OA)t−OH (2)

CH(OA)t−OH

なお、Rは炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又は水素原子、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、t及び(t+t+t)は1〜100の整数を表す。
【請求項3】
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)のHLB値が、10.0〜17.0の範囲である請求項1又は2に記載の消泡剤。
【請求項4】
疎水性シリカ分散液(A)、ポリオキシアルキレン化合物(B)及びポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル(C)の合計重量に基づいて、(A)の含有量が50〜90重量%、(B)の含有量が10〜49重量%、(C)の含有量が1〜30重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の消泡剤。

【公開番号】特開2010−162429(P2010−162429A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4175(P2009−4175)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】