説明

消泡装置及び泡入浴装置

【課題】小型化可能な消泡装置を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】供給口210a、排出口210c及び、微細泡沫群が流れる内部空間210bを区画する本体部210と上方開口部213と下方開口部214とを形成するように内部空間内に配設され、微細泡沫群の流れを邪魔する遮蔽板211とを有する。微細泡沫群が消泡されていない部分について滞留時間を長くすることができるため、確実に消泡することができる。微細泡沫群は時間の経過と共に消泡されて液状になる。そのために消泡の過程において、微細泡沫群は消泡された部分である排液と微細泡沫群のままの部分とに分離する。ここで、排液は微細泡沫群の部分よりも比重が大きいために相対的に下方に、微細泡沫群は上方にそれぞれ分離する。本体部における内部空間内を遮蔽板に配設することで微細泡沫群がそのまま流れていくことが防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細泡沫群に対して効果的な消泡が可能な消泡装置及び泡入浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴時の身体への負荷低減などを目的として微細泡沫群を浴槽内に充填する入浴装置が開発されている。ここで、微細泡沫群は非常に細かいために消えにくく、排水管などにそのまま流すと排水管が閉塞するおそれがあるため、微細泡沫群を消泡する装置が求められる。
【0003】
従来の消泡装置としては、特許文献1のように、泡立った液体の液面上部に配設した、水平または斜め下方に開口する複数の噴射ノズルを具え、回転自在としたノズルアームの噴射ノズルから流体を噴射しながらノズルアームを回転させることにより、流体及びノズルアームを泡に衝突させ消泡する装置がある。
【0004】
また、特許文献2のように、汚水吸引用のスキージ又は汚水回収ホースに対する消泡剤の注入をチューブポンプとブロアーの運転に連動させて、チューブポンプを所定の時間間隔で所定時間駆動せしめる制御部によって、汚水給水機や床面洗浄機等の運転時には安定した量の消泡剤を供給し、また運転停止時には消泡剤の供給を確実に停止して、消泡剤が外部に流出しないようにする装置がある。
【特許文献1】特開2001-145803号公報
【特許文献2】特開2005-74043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの消泡装置においては、その体躯が大きくなりがちである。入浴装置に用いられる消泡装置は設置スペースが限られており、できるだけ小型化された装置が求められている。また、入浴装置に限らず、装置の小型化は求められている。装置の小型化を実現するためには消泡装置の性能を向上する必要がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、小型化可能な消泡装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する請求項1に係る本発明の消泡装置の特徴は、微細泡沫群が供給される供給口、前記供給口から供給される前記微細泡沫群が消泡される内部空間、及び前記内部空間で消泡され液状化した排液を排出する排出口を有する本体部と、
前記内部空間に前記供給口から前記排出口へ流れる前記微細泡沫群の流れを抑制する遮蔽部材と、
を備えることにある。
【0008】
上記課題を解決する請求項2に係る本発明の消泡装置の特徴は、請求項1において、前記内部空間は、複数の前記遮蔽部材を備えることにある。
【0009】
上記課題を解決する請求項3に係る本発明の消泡装置の特徴は、請求項1又は2において、前記遮蔽部材は、前記内部空間内の上方及び下方を除く中央に設けられていることにある。
【0010】
上記課題を解決する請求項4に係る本発明の消泡装置の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記本体部には、前記内部空間に消泡剤が注入される消泡剤注入口を備えることにある。
【0011】
上記課題を解決する請求項5に係る本発明の消泡装置の特徴は、請求項1〜4の何れか1項において、前記消泡剤注入口は、前記微細泡沫群の流れに対して垂直方向から前記消泡剤を噴射する噴射口であることにある。
【0012】
上記課題を解決する請求項6に係る本発明の泡入浴装置の特徴は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の消泡装置と、
前記微細泡沫群を生成する微細泡沫群生成装置と、
前記微細泡沫群生成装置から生成される前記微細泡沫群の温度を検知する温度検知部と、
前記温度検知部で検知された前記微細泡沫群の温度が所定温度領域の場合に、該微細泡沫群が前記消泡装置を介して前記排出口から排出されることにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、消泡されていない微細泡沫群について滞留時間を長くすることができるため、確実に消泡することができる。微細泡沫群は時間の経過と共に消泡されて液状の排液になる。そのために消泡の過程において、微細泡沫群は消泡された後に生成する液状の排液との混合物になる。ここで、排液は液状なので微細泡沫群よりも比重が大きい。そのため、排液は相対的に下方に、微細泡沫群は上方にそれぞれ分離する。本体部における内部空間内に微細泡沫群の流れを抑制する遮蔽部材を配設することにより、微細泡沫群は排液の上に浮かんで内部空間内をゆっくり流れるようになり、微細泡沫群の消泡を進行させることができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、複数の遮蔽部材を備えることにより、消泡できずに1つの遮蔽部材を通過してしまった微細泡沫群についても次の遮蔽部材により滞留させることが可能になり、引き続き消泡することが可能になる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、内部空間の上方及び下方を除く中央に遮蔽部材を設けたことにより、消泡された液状部分である排液はその下方に形成された開口部を優先的に通過することになる。そして、上方に形成された開口部から微細泡沫群及び気体が抜けて、消泡されていない微細泡沫群が遮蔽部材の存在にかかわらず内部空間内に充満することができると共に、内部空間内に微細泡沫群が大量に供給されて消泡が一時的に間に合わないような場合でも過剰に供給された微細泡沫群は上方の開口部を通過することができ、下方の開口部における液状部分の流れを阻害せずに速やかに排液を流すことが可能になり消泡されていない微細泡沫群が充填される空間を最大限に利用することができる。微細泡沫群は内部空間内に滞留する間に消泡されることになる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、消泡剤を注入する消泡剤注入口を内部空間内に設けたことにより、効果的に微細泡沫群を消泡することができる。特に、請求項5に係る発明のように、微細泡沫群の流れに対して垂直方向に消泡剤を噴射することにより、確実且つ簡便に微細泡沫群の全体に消泡剤を接触させることができる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、上述した消泡装置を採用することにより、微細泡沫群の温度範囲を所定温度領域内に制御できると共に、所定温度領域を外れた微細泡沫群を消泡して排水口に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(消泡装置)
本発明の消泡装置について実施形態に基づき詳細に説明を行う。本実施形態の消泡装置は消泡を行うための装置である。微細泡沫群は何らかの起泡剤の作用により生成される。本実施形態の消泡装置は、泡風呂用、洗面台用、などとして用いられる微細泡沫群を消泡するための装置として用いることができる。微細泡沫群は泡の径が例えば数十〜数百μmの泡である。
【0019】
本実施形態の消泡装置は本体部と遮蔽部材とその他必要な部材とを有する。本体部は供給口、排出口及び、内部に微細泡沫群が流れる内部空間が形成される。微細泡沫群は供給口から内部空間内に供給され、内部空間を通過する際に含有する微細泡沫群が消泡される。微細泡沫群が消泡された排液は排出口から排出される。内部空間の形状は特に限定しない。微細泡沫群が流れる方向が長くなるような細長形状などが挙げられる。断面形状は矩形、円形などが挙げられる。底面が平らな方が望ましい。
【0020】
遮蔽部材は内部空間内に配設される部材であり、微細泡沫群の流れを抑制する部材である。例えば、内部空間内において微細泡沫群が流れる部位に配設することにより微細泡沫群の流れを抑制することができる。遮蔽部材は内部空間内の空間を有効利用するために微細泡沫群の流れ方向の長さが短い部材、例えば板状の部材を採用することができる。遮蔽部材は内部空間内にて1又は2以上配設されている。複数の遮蔽部材を配設する場合には微細泡沫群の流れ方向に直列に並べることができる。微細泡沫群の流れ方向に対して遮蔽部材を複数並べることで消泡されていない微細泡沫群の流れを確実に抑制することが可能になる。
【0021】
遮蔽部材は内部空間内の上方及び下方を除く中央に設けることができる。遮蔽部材を中央に設けることにより、遮蔽部材の上に開口する上方開口部と下に開口する下方開口部とが形成される。下方開口部は消泡された排液が主に通過することを想定した部分である。排液は消泡されていない微細泡沫群よりも見かけの比重が重いために微細泡沫群よりも下に分離することになる。そのため、下方開口部には排液が優先的に流れていく。排液よりも上に分離した消泡されていない微細泡沫群は中央に設けられた遮蔽部材により堰き止められて内部空間内に留まる。遮蔽部材により移動が制限された微細泡沫群は時間の経過と共に消泡される。消泡されて液状化した微細泡沫群は液状部分と共に微細泡沫群の下方に移動し下方開口部を通過して最終的には排出口から排出される。下方開口部としては微細泡沫群が流れていく際に、排液が優先的に下方開口部を通過する程度の開口の面積・形状とすることが望ましい。排液は比重の違いから下方に分離するため、想定される液状部分の体積に応じて内部空間内での液状部分の液面が想定されることになる。下方開口部の開口高さをその排液の液面の高さより僅かに低くすることで排液を優先的に通過させることができる。ここで、微細泡沫群は流れの下流に行くに従い消泡されるため、含まれる排液の相対量は下流に行くに従い多くなる。そのために遮蔽部材を複数設ける場合には下流に行くに従い下方開口部の断面積が大きくなるように(消泡の程度を考慮して大きさを順次大きくする)することができる。
【0022】
上方開口部は、微細泡沫群の通路として作用するほか、内部空間内に存在する気体の通路としても作用する。微細泡沫群が消泡して生成する気体はそのままでは内部空間内に貯まって内部空間内への微細泡沫群の充填を妨げるおそれがあるため上方開口部を気体抜きとして作用させて内部空間内に微細泡沫群が充填されるようにしたり、内部空間内での微細泡沫群の消泡が間に合わず、内部空間内が微細泡沫群の消泡されていない部分で概ね満たされた場合(満たされそうになった場合を含んでも良い)に消泡されていない微細泡沫群の部分が下方開口部から流れていくことを防いだりする作用を上方開口部に発揮させている。内部空間内から気体が抜ける通路としての上方開口部を設けることにより、内部空間内を微細泡沫群にて満たすことが可能になり内部空間内の空間を有効利用することができる。更には、微細泡沫群を上方開口部から通過させて流すことにより、下方開口部にて排液と共に消泡されていない微細泡沫群が流れていってしまわないようにしている。
【0023】
上方開口部と下方開口部との開口面積を比較した場合に、上方開口部の開口面積を下方開口部以上の大きさにすることが望ましい。微細泡沫群としては気体の体積比が大きいものを想定しているため、気体や消泡されていない部分の通過が想定される上方開口部の開口面積を大きくすることが望ましい。上方開口部と下方開口部とは完全に分離されていない形態を採用することもできる。つまり、下方開口部において主に消泡後の排液を選択的に通過させることができる程度の開口面積・形状とし、内部空間中における消泡されていない部分の流れを邪魔することができれば、上方開口部と下方開口部とは一部連絡しているような形状であっても良い。
【0024】
その他必要な部材としては消泡剤を内部空間内に注入する消泡剤注入口が挙げられる。消泡剤を用いることにより消泡を促進できる。消泡剤注入口は内部空間内に消泡剤を注入するのであるが、内部空間内のできるだけ上流部分に注入することが望ましい。例えば、内部空間内が遮蔽部材により複数部分に区画されているうちの最も上流部分に設けることができる。消泡剤としては特に限定しないが、シリコーン系消泡剤(エマルジョン型、自己乳化型、オイル型など)、界面活性剤系消泡剤(起泡剤との相性により、消泡に使用できるもの)、有機系消泡剤(高級アルコールなど)が例示される。消泡剤はそのまま単独で、又は何らかの液体(水や有機溶剤など)に溶解させた状態で注入される。消泡剤注入口から消泡剤を注入する方法としてはポンプなどにより加圧する方法、水道水などの流れを利用する方法が挙げられる。水道水の流れを利用する方法は水道水(加圧されている)の流れに対して消泡剤を加えた混合物をその水道水の流れに載せて注入するものである。水道水の流れに消泡剤を加えるために吐出量の小さなポンプを組み合わせることもできる。
【0025】
消泡剤注入口は内部空間内における微細泡沫群の流れの断面の全体に消泡剤を接触させる手段であることが望ましい。流れの断面の全体に消泡剤を接触させるためには、消泡剤注入口は微細泡沫群の流れに対して垂直方向に消泡剤を噴射する手段としたり、消泡剤注入口における消泡剤を吐出する消泡剤吐出部を断面の全体にわたり複数個設けたりすることができる。微細泡沫群の流れに対して垂直方向に消泡剤を噴射する場合には微細泡沫群の流れ方向の断面の全体に消泡剤が行き渡るように調節された勢いで消泡剤を噴射する。
【0026】
消泡剤注入口を設ける場合には消泡剤を微細泡沫群に混合する混合機を有することができる。混合機としては撹拌翼、撹拌棒などにより消泡剤を微細泡沫群に撹拌混合する装置が例示できる。
【0027】
(泡入浴装置)
本実施形態の泡入浴装置は上述した本実施形態の消泡装置と微細泡沫群生成装置と温度検知部とを有する。微細泡沫群生成装置は微細泡沫群を生成する装置である。生成された微細泡沫群は温度検知部により温度が検知され、その温度が所定温度領域内にある場合には浴槽内に微細泡沫群を吐出する吐出口から吐出され、所定温度領域外の場合には消泡装置を介して排出される。この微細泡沫群の流れの切替は三方弁などにより行うことができる。生成された微細泡沫群のうち温度に応じて不要になった部分について消泡装置にて消泡した後に排出することから排水管などを詰まらせるおそれがなくなる。
【0028】
(実施形態1)
以下、本発明の消泡装置及びその消泡装置を採用した泡入浴装置を具体的な実施形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態の消泡装置は、図1に示す本実施形態の泡入浴装置1に用いられる装置である。泡入浴装置1は微細泡沫群生成装置10と消泡装置20と温度検知部としての温度センサ15と切替弁16と制御装置19と浴槽40と給湯器33とエアコンプレッサ34と起泡剤タンク32と消泡剤タンク31とを有する。微細泡沫群生成装置10は給湯器33から供給される湯とエアコンプレッサ34から供給される空気と起泡剤タンク32から供給される起泡剤とにより微細泡沫群を生成する装置である。消泡装置20は微細泡沫群生成装置10にて生成した微細泡沫群のうちの使用しない(使用できない)部分を消泡して排出する装置である。
【0029】
微細泡沫群生成装置10は微細泡沫群生成部11とその微細泡沫群生成部11に起泡剤タンク32から起泡剤を供給するポンプ12と、給湯器33から供給される湯の量を調節する湯量調節弁13と、エアコンプレッサ34から供給される空気の量を調節する空気量調節弁14とをもつ。微細泡沫群生成部11は供給される空気を起泡剤と共に湯中に混入させて微細泡沫群を生成する。微細泡沫群の生成方法については限定しないが、単純に起泡剤を混合させた湯中に空気を供給する方法、空気を混入後に加圧しながら湯中にて気泡を微細化及び溶解させた後に減圧させることによる方法などがある。
【0030】
微細泡沫群生成装置10により生成された微細泡沫群は吐出口11aより吐出され、温度センサ15により温度が検知される。検知された微細泡沫群の温度は制御装置19に温度信号として出力される。制御装置19は切替弁16に制御信号を出力して制御する。具体的には温度センサ15により検知された微細泡沫群の温度が所定温度領域内である場合には浴槽40内に微細泡沫群を吐出する浴槽側吐泡口側17に切り替え、所定範囲から外れる場合に泡ドレイン側18に切り替える。低温や高温の微細泡沫群が浴槽40内に吐出されると、使用者に不快感を与えるためである。制御装置19は、切替弁16の他、図示しない制御信号線により、微細泡沫群生成装置10、消泡装置20、給湯器33、及びエアコンプレッサ34を制御する信号を出力する。制御装置19には図示しない操作パネルが接続され、本実施形態の泡入浴装置の動作を制御できる。
【0031】
消泡装置20は消泡ユニット21とポンプ25と上水調節弁24と消泡剤混合部26と配管22とをもつ。消泡剤は消泡剤タンク31からポンプ25により消泡剤混合部26に供給される。供給された消泡剤は消泡剤混合部26において上水調節弁24により量が調節された水道水と混合されて消泡剤溶液となり、配管22を通じて消泡ユニット21に供給される。消泡剤溶液は上水の圧力により加圧されている。消泡ユニット21は、図2に示すように、本体部210と遮蔽部材211としての遮蔽板211a〜211eと消泡剤注入口212とをもつ。本体部210は内部に内部空間210bが区画されている。内部空間210bは流れ方向に直交する断面が矩形であり、細長形状をもち、供給口210a及び排出口210cにて外部と連通している。遮蔽板211a〜211eは内部空間210b内において、流れ方向に所定間隔を空けて配設されている。遮蔽板211a〜211eは内部空間210b内を完全に仕切る部材ではなく、内部空間210bの内壁と共に、上方開口部213a〜213e及び下方開口部214a〜214eをそれぞれ形成するような形状である。つまり、遮蔽板211a〜211eは、内部空間内の上方及び下方を除く中央にそれぞれ配設されている。遮蔽板211a〜211eが配置された部分の上方及び下方に開口する部分を以下上方開口部213a〜213e、下方開口部214a〜214eと称する。
【0032】
上方開口部213a〜213e及び下方開口部214a〜214eの開口形状は共に矩形であり、内部空間210bの内壁から所定の距離(上方開口部がb、下方開口部がa)だけ開口している(図2(b))。ここで、bはa以上の大きさであり、上方開口部213は下方開口部214以上の開口面積になっている。
【0033】
以上の構成を有することから本発明の消泡装置は以下の作用効果を奏することになる。
【0034】
浴槽40内に微細泡沫群を満たすために使用者が制御装置19を操作すると、給湯器33、エアコンプレッサ34、及びポンプ12を動作させると共に、湯量調節弁13及び空気量調節弁14の開度を必要に応じて調節する。その結果、給湯器33からの湯とエアコンプレッサ34からの空気と起泡剤タンク32からの起泡剤とが微細泡沫群生成部11供給されて径が例えば数十〜数百μm程度の微細泡沫群が生成される。生成された微細泡沫群は温度センサ15を通じて切替弁16に向けて吐出される。制御装置19は温度センサ15により測定した微細泡沫群の温度が所定範囲外である場合には泡ドレイン側18に切り替え、所定範囲内の場合に浴槽側吐泡口側17に切り替える。泡ドレイン18側に切り替えられた場合には微細泡沫群は不要となるため排水口に棄てられるが、そのまま棄てると排水管が閉塞するおそれがあるため、消泡装置20により消泡される。消泡装置20は切替弁16の切替と合わせて運転することができる。
【0035】
消泡装置20は供給口210aから微細泡沫群が供給される。微細泡沫群は内部空間210b内を流れていく過程で消泡され排出口210cから排出される。排出口210cから排出された微細泡沫群は下水などに排水される。図3に示すように、微細泡沫群Fは内部空間210b内を流れていく際に消泡され液状部分Nが生じる。生じた液状部分Nは下方開口部214を通じて流れていく。ここで、微細泡沫群Fは液状部分Nよりも比重が小さいため、液状部分Nの上部に位置することになり、遮蔽板211a〜211eにより、移動が制限されることになる。例えば、図3に示すように、遮蔽板211bの前まで微細泡沫群Fが存在する場合であっても、その大部分は遮蔽板211bにより堰き止められ、遮蔽板211bを超えて上方開口部213bを通過して僅かに移動できた微細泡沫群Fも次に存在する遮蔽板211cにより完全に堰き止められることになる。どの遮蔽板211a〜211eにまで微細泡沫群が移動するかは微細泡沫群の供給速度により決定される。なお上方開口部213a〜213eの存在により、空気が内部空間210b内を排水口210cに向けて流れることが可能になり、微細泡沫群が十分に留まることができ、消泡するための空間を十分に利用することができる。
【0036】
本実施形態の消泡装置20では遮蔽板211aの前における内部空間210b内に消泡剤溶液が消泡剤注入口212から注入される。消泡剤注入口212には消泡剤混合部26にて混合された消泡剤溶液が上水の圧力により供給され、微細泡沫群中にその流れに対して垂直方向から勢いよく噴霧される。消泡剤溶液はその噴霧圧と重力とにより微細泡沫群中に浸透する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の消泡装置20は遮蔽板211a〜211eにより消泡されていない微細泡沫群を堰き止めることで、微細泡沫群が十分に消泡された後に排水されるようにすることができる。
【0038】
以下、本実施形態の泡入浴装置1に用いられる消泡装置20について変形態様に基づき説明を行う。以下の説明において同様の機能をもつ部材については同様の符号を付している。
【0039】
(変形態様1)
図4に示すように、本変形態様の消泡装置20がもつ消泡ユニット21は、消泡剤注入口212aが本体部210の流れ方向の端部に設けられていること以外は実施形態の消泡装置20と同様の構成をもつ。消泡剤注入口212aの位置を本体部210の端部に設けたことにより、供給口210aから供給される微細泡沫群が本体部210内の内壁により方向が変わる部分にて消泡剤溶液を注入することができ、均一に微細泡沫群中に混合することができるため、消泡剤の作用を充分に発揮することができる。
【0040】
(変形態様2)
本変形態様の消泡装置20は、図5に示すように、遮蔽板211の形状が異なる点以外は実施形態の消泡装置20と同様の構成をもつ。図5(a)に示すように、上方開口部213及び下方開口部214を本体部の壁面から離れた部位に設けた形態、図5(b)に示すように、上方開口部213及び下方開口部214を本体部の壁面から離れた部位に設け、その間を僅かな領域で連絡した形態、図5(c)に示すように、遮蔽板211の左右に隙間を設けた形態、図5(d)に示すように、上方開口部213及び下方開口部214を左右方向の一部に設けた形態(左右方向の異なる部位に設けた形態)、図5(e)に示すように、本体部の断面を円形(本体部を円筒形)とした形態(上方開口部213及び下方開口部214は液状部分の液面や微細泡沫群の上面に合わせて遮蔽板211との境界が水平になっている)などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態の泡入浴装置の全体概略図である。
【図2】本実施形態の消泡装置の断面概略図である。
【図3】消泡装置の本体部内における微細泡沫群及び消泡後の液状部分の流れを説明する説明図である。
【図4】本変形形態の消泡装置の断面概略図である。
【図5】遮蔽板(a)〜(d)、及び本体部(e)の変形態様を示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0042】
1…泡入浴装置
10…微細泡沫群生成装置
11…微細泡沫群生成部 12…ポンプ 13…湯量調節弁 14…空気量調節弁 15…温度センサ(温度検知部) 16…切替弁 32…起泡剤タンク 33…給湯器 34…エアコンプレッサ
20…消泡装置
21…消泡ユニット 210…本体部(210a:供給口、210b:内部空間、210c:排出口) 211、211a〜211e…遮蔽板(遮蔽部材) 213a〜213e…上方開口部 214a〜214e…下方開口部 212、212a…消泡剤注入口 24…上水調節弁 25…ポンプ 26…消泡剤混合部
40…浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細泡沫群が供給される供給口、前記供給口から供給される前記微細泡沫群が消泡される内部空間、及び前記内部空間で消泡され液状化した排液を排出する排出口を有する本体部と、
前記内部空間に前記供給口から前記排出口へ流れる前記微細泡沫群の流れを抑制する遮蔽部材と、
を備えることを特徴とする消泡装置。
【請求項2】
前記内部空間は、複数の前記遮蔽部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の消泡装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記内部空間内の上方及び下方を除く中央に設けられていることをと特徴とする請求項1又は2に記載の消泡装置。
【請求項4】
前記本体部には、前記内部空間に消泡剤が注入される消泡剤注入口を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の消泡装置。
【請求項5】
前記消泡剤注入口は、前記微細泡沫群の流れに対して垂直方向から前記消泡剤を噴射する噴射口であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の消泡装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の消泡装置と、
前記微細泡沫群を生成する微細泡沫群生成装置と、
前記微細泡沫群生成装置から生成される前記微細泡沫群の温度を検知する温度検知部と、
前記温度検知部で検知された前記微細泡沫群の温度が所定温度領域の場合に、該微細泡沫群が前記消泡装置を介して前記排出口から排出されることを特徴とする泡入浴装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−142787(P2010−142787A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326046(P2008−326046)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】